説明

無線ネットワークシステム、無線通信機器、無線通信機器設定装置、プログラム、情報記憶媒体及び携帯型電子機器

【課題】ゲーム装置で受信したIDコードを利用してゲームを進行させる場合に、受信されたIDコードを他のゲーム装置にコピーして利用するといった不正を防止すること。
【解決手段】無線LAN用のAP機器と携帯型ゲーム装置1000とを具備するゲームシステムにおいて、AP機器は、該AP機器のMACアドレスと、命令コードをこのMACアドレスで復号可能に暗号化したネットワークIDとを含むビーコン信号を発信する。そして、携帯型ゲーム装置1000では、受信したビーコン信号に含まれるネットワークIDをMACアドレスで復号し、復号した命令コードに含まれる真贋判定データが所定のデータに一致し、且つ現在日時が有効期間データが示す有効期間内である場合、制御データに従う制御を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器ID及びネットワークIDを随時発信する無線通信機器と、無線通信機器から発信される機器ID及びネットワークIDを受信可能な携帯型電子機器とを具備する無線ネットワークシステム等に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信機能を内蔵した携帯可能なゲーム装置の普及に伴い、自機の現在位置を取得して利用するゲームが種々開発されている。例えば、自機が現在位置する無線エリアを管轄する基地局から送信されてきた信号から、当該基地局のIDコードを抽出して記憶しておき、ゲームの進行過程において、記憶しておいた基地局IDを利用してゲームの進行を変化させるゲームが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−96069号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、基地局のIDコードは基地局毎に固有な値であり、例えば基地局として無線LANのアクセスポイントを利用した場合、基地局のIDコードであるBSSIDやESSIDは該IDコードを受信した端末側で知ることができるといったように、ゲーム装置において受信した基地局のIDコードを知ることが可能であった。このため、あるゲーム装置で受信されたIDコードを解析し、他のゲーム装置にコピーして利用するといった不正が行われる恐れがあった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みて為されたものであり、ゲーム装置で受信したIDコードを利用してゲームを進行させる場合に、受信されたIDコードを他のゲーム装置にコピーして利用するといった不正の防止を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、第1の発明は、
機器ID(例えば、本実施形態における「MACアドレス」)及び無線ネットワークID(例えば、実施形態における「ネットワークID」)を随時発信するID発信手段を備えた無線通信機器(例えば、図1のAP機器10)と、前記無線通信機器から発信される機器ID及び無線ネットワークIDを受信可能な携帯型電子機器(例えば、図1の携帯型ゲーム装置1000)とを具備した無線ネットワークシステム(例えば、図1のゲームシステム1)であって、
前記無線通信機器は、
自機の機器IDを記憶する機器ID記憶手段と、
所定の真贋判定データ(例えば、図4の「真贋判定データ」)と前記携帯型電子機器を制御するための所与の制御データ(例えば、図4の「制御データ」)とを少なくとも含むデータ(例えば、図4の「命令コード」)を前記機器ID記憶手段により記憶された機器IDで復号可能に暗号化されたデータを前記無線ネットワークIDとして記憶するネットID記憶手段と、
を備え、前記ID発信手段が、前記機器ID記憶手段により記憶された機器ID及び前記ネットID記憶手段により記憶された無線ネットワークIDを発信し、
前記携帯型電子機器は、
前記ID発信手段により発信された機器ID及び無線ネットワークIDを受信する受信手段(例えば、図6の無線通信部400)と、
前記受信された無線ネットワークIDを、前記受信された機器IDで復号する復号手段(例えば、図6の昆虫キャラ発生制御部211)と、
前記復号手段により復号されたデータに前記所定の真贋判定データと同じデータが含まれているか否かを判定する真贋判定手段(例えば、図6の昆虫キャラ発生制御部211)と、
前記真贋判定手段により含まれていると判定された場合に、前記復号されたデータに含まれる制御データに従った制御を実行する制御手段(例えば、図6の昆虫キャラ発生制御部211)と、
を備えた無線ネットワークシステムである。
【0006】
また、第3の発明は、
無線通信可能圏内に存在する携帯型電子機器(例えば、図2,6の携帯型ゲーム装置1000)との間で所定の通信規格に従った無線通信を行うために、自機の機器ID及び無線ネットワークIDを随時発信する無線通信機器(例えば、図1のAP機器10)であって、
自機の機器IDを記憶する機器ID記憶手段と、
所与のデータが前記機器ID記憶手段により記憶された機器IDで復号可能に暗号化されたデータを無線ネットワークIDとして記憶するネットID記憶手段と、
前記機器ID記憶手段により記憶された機器ID及び前記ネットID記憶手段により記憶された無線ネットワークIDを発信する発信手段と、
を備えた無線通信機器である。
【0007】
この第1又は第3の発明によれば、自機の機器ID及び無線ネットワークIDを随時発信する無線通信機器と、発信される機器ID及び無線ネットワークIDを受信可能な携帯型電子機器とを具備する無線ネットワークシステムにおいて、無線通信機器は、真贋判定データと制御データとを含むデータを機器IDで復号可能に暗号化されたデータを無線ネットワークIDとして発信し、携帯型電子機器は、受信した無線ネットワークIDを受信した機器IDで復号し、復号したデータに、所定の真贋判定データと同じデータが含まれていると判定した場合に、復号したデータに含まれる制御データに従った制御を実行する。
【0008】
ここで、無線ネットワークIDを復号したデータは、該無線ネットワークIDと同一の無線通信機器から発信された機器IDで復号した場合にのみ、予め定められた真贋判定データと同じデータが表われ、他の無線通信機器から発信された機器IDで復号した場合には予め定められた真贋判定データとは異なるデータが表われる。従って、無線ネットワークIDを復号したデータに真贋判定データと同じデータが含まれていない場合には、復号したデータに含まれる制御データに従った制御が実行されないことにすることで、ある携帯型電子機器で受信された無線ネットワークIDを、他の携帯型電子機器で利用しようとしても、所望の制御が実行されないことになる。これにより、受信された無線ネットワークIDを他の携帯型電子機器にコピーして利用するといった不正が防止される。
【0009】
第2の発明は、第1の発明の無線ネットワークシステムであって、
前記無線通信機器のネットID記憶手段は、前記真贋判定データと前記制御データと当該制御データによる制御の有効期間を示す期間データ(例えば、図4の「有効期間データ」)とを少なくとも含むデータを前記機器IDで復号可能に暗号化されたデータを前記無線ネットワークIDとして記憶し、
前記携帯型電子機器は、現在日時が前記復号手段により復号されたデータに含まれる期間データが示す有効期間内か否かを判定する期間判定手段(例えば、図6の昆虫キャラ発生制御部211;図11のステップB9)を備え、
前記制御手段は、前記期間判定手段により有効期間内でないと判定された場合には、前記制御データに従った制御を実行せず、前記期間判定手段により期間内であると判定され、且つ前記真贋判定手段により含まれている判定された場合に、前記制御データに従った制御を実行する、
無線ネットワークシステムである。
【0010】
この第2の発明によれば、無線通信機器では、真贋判定データと制御データとこの制御データによる制御の有効期間を示す期間データとを少なくとも含むデータを機器IDで復号可能に暗号化されたデータが無線ネットワークIDとして記憶され、携帯型電子機器では、現在日時が復号されたデータに含まれる期間データの示す有効期間内であると判定された場合には制御データに従った制御が実行されず、有効期間内であると判定され、且つ復号されたデータに所定の真贋判定データと同じデータが含まれていると判定された場合に、制御データに従った制御が実行される。これにより、携帯型電子機器における制御データに従った制御の実行に有効期間を設けることができる。
【0011】
第4の発明は、
第3の発明の無線通信機器に無線ネットワークIDを記憶させる無線通信機器設定装置(例えば、図4のAP機器設定装置20)であって、
所与のデータを前記無線通信機器に予め定められている機器IDで復号可能に暗号化する暗合化手段(例えば、図4の暗合化部22)と、
前記暗合化手段により暗合化されたデータを前記無線ネットワークIDとして前記無線通信機器に記憶させるネットID記憶制御手段(例えば、図4の設定部23)と、
を備えた無線通信機器設定装置である。
【0012】
この第4の発明によれば、無線通信機器設定装置により、所与のデータが無線通信機器に予め定められている機器IDで復号可能に暗号化され、暗合化されたデータが無線ネットワークIDとしてこの無線通信機器に記憶される。これにより、例えば街中の各所に設置された無線通信機器に対して、該無線通信機器から発信される無線ネットワークIDを任意のタイミングで変更することができる。従って、携帯型電子機器における制御データに基づく制御を任意のタイミングで変更させるといったことが可能となる。
【0013】
第5の発明は、
所定の通信規格に従った無線通信が可能な携帯型のコンピュータに、所定のゲームの進行を制御させて当該ゲームを実行させるためのプログラム(例えば、図6のゲームプログラム510)であって、
現在の無線通信可能圏内に存在する前記通信規格に従った無線通信を行う他の通信機器(例えば、図1のAP機器10)から送信されてきた、1)機器IDと、2)所定の真贋判定データ及び所与の制御データを少なくとも含むデータを前記機器IDで復号可能に暗号化された暗号化データとを受信する受信手段(例えば、図11のステップB1)、
前記受信された暗号化データを、前記受信された機器IDで復号する復号手段(例えば、図11のステップB5)、
前記復号手段により復号されたデータに前記所定の真贋判定データと同じデータが含まれているか否かを判定する真贋判定手段(例えば、図11のステップB7)、
前記真贋判定手段により含まれていると判定された場合に、前記復号されたデータに含まれる制御データに基づいて前記ゲームの進行を制御するゲーム進行制御手段(例えば、図11のステップB13)、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0014】
また、第9の発明は、
所定の通信規格に従った無線通信が可能であり、所定のゲームの進行を制御して当該ゲームを実行する携帯型電子機器(例えば、図2,6の携帯型ゲーム装置1000)であって、
現在の無線通信可能圏内に存在する前記通信規格に従った無線通信を行う他の通信機器から送信されてきた、1)機器IDと、2)所定の真贋判定データ及び所与の制御データを少なくとも含むデータを前記機器IDで復号可能に暗号化された暗号化データとを受信する受信手段(例えば、図6の無線通信部400)と、
前記受信された暗号化データを、前記受信された機器IDで復号する復号手段(例えば、図6の昆虫キャラ発生制御部211)と、
前記復号手段により復号されたデータに前記所定の真贋判定データと同じデータが含まれているか否かを判定する真贋判定手段(例えば、図6の昆虫キャラ発生制御部211)と、
前記真贋判定手段により含まれていると判定された場合に、前記復号されたデータに含まれる制御データに基づいて前記ゲームの進行を制御するゲーム進行制御手段(例えば、図6のゲーム演算部210)と、
を備えた携帯型電子機器である。
【0015】
この第5又は第9の発明によれば、所定のゲーム進行を制御して当該ゲームを実行する携帯型電子機器において、無線通信可能圏内に存在する通信規格に従った無線通信を行う他の通信機器から送信されてきた、1)機器IDと、2)真贋判定データ及び制御データを含む機器IDで復号可能に暗号化された暗号化データとが受信され、受信された暗号化データが受信された機器IDで復号され、復号されたデータに、真贋判定データと同じデータが含まれていると判定された場合に、復号されたデータに含まれる制御データに基づいてゲームの進行が制御される。
【0016】
ここで、無線ネットワークIDを復号したデータには、該無線ネットワークIDと同一の無線通信機器から発信された機器IDで復号した場合にのみ、予め定められた真贋判定データと同じデータが表われ、他の無線通信機器から発信された機器IDで復号した場合には、予め定められた真贋判定データとは異なるデータが表われる。従って、無線ネットワークIDを復号したデータに真贋判定データと同じデータが含まれていない場合には、復号したデータに含まれる制御データに従った制御が実行されないことにすることで、ある携帯型電子機器で受信された無線ネットワークIDを、他の携帯型電子機器で利用しようとしても、復号したデータに含まれる制御データに従った制御が実行されないことになる。これにより、受信された無線ネットワークIDを他の携帯型電子機器にコピーして利用するといった不正が防止される。
【0017】
第6の発明は、第5の発明のプログラムであって、
前記無線ネットワークIDは、前記真贋判定データと前記制御データと当該制御データによる制御の有効期間を示す期間データとを少なくとも含むデータを前記機器IDで復号可能に暗号化されたデータでなり、
現在日時が前記復号手段により復号されたデータに含まれる期間データが示す有効期間内か否かを判定する期間判定手段として前記コンピュータを機能させ、
前記ゲーム進行制御手段が、前記期間判定手段により有効期間内でないと判定された場合には、前記制御データに基づいた前記ゲームの進行制御を行わず、前記期間判定手段により有効期間内であると判定され、且つ前記真贋判定手段により含まれていると判定された場合に、前記制御データに基づく前記ゲームの進行制御を行うように前記コンピュータを機能させる、
ためのプログラムである。
【0018】
この第6の発明によれば、無線ネットワークIDは、真贋判定データと制御データとこの制御データによる制御の有効期間を示す期間データとを少なくとも含むデータを、機器IDで復号可能に暗号化されたデータであり、現在日時が復号されたデータに含まれる期間データが示す有効期間内であり、且つ真贋判定された場合に、制御データに基づくゲームの進行制御が行われる。これにより、携帯型電子機器における制御データに従った制御の実行に有効期間を設けることができる。
【0019】
第7の発明は、第5又は第6の発明のプログラムであって、
前記ゲーム進行制御手段が、前記制御データに基づいて新たなキャラクタ(例えば、図3の昆虫キャラクタ)を発生させる新キャラ発生手段(例えば、図6の昆虫キャラ発生制御部211;図11のステップB13)を有するように前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0020】
この第7の発明によれば、制御データに基づいて新たなキャラクタが発生される。例えばゲームの進行途中、受信された無線ネットワークIDに応じた新たなキャラクタが発生される。
【0021】
第8の発明は、第5〜第7の何れかの発明のプログラムであって、
前記ゲーム進行制御手段が、前記制御データに基づいて前記ゲームに登場するキャラクタに設定されている所定のパラメータ値を変更するパラメータ変更手段を有するように前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0022】
この第8の発明によれば、制御データに基づいて、ゲームに登場するキャラクタに設定されている所定のパラメータ値が変更される。
【0023】
第9の発明は、第5〜第8の何れかの発明のプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体(例えば、図6の記憶部500)である。
【0024】
ここで、情報記憶媒体とは、記憶されている情報をコンピュータが読み取り可能な、例えばハードディスクやMO、CD−ROM、DVD、メモリカード、ICメモリ等の記憶媒体である。従って、この第9の発明によれば、情報記憶媒体に記憶されている情報をコンピュータに読み取らせて演算処理を実行させることで、第5〜第8の発明と同様の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、携帯型電子機器は、受信した無線ネットワークIDを受信した機器IDで復号し、復号したデータに所定の真贋判定データと同じデータが含まれていると判定した場合に、復号したデータに含まれる制御データに従った制御を実行する。従って、無線ネットワークIDを復号したデータに真贋判定データと同じデータが含まれていない場合には復号したデータに含まれる制御データに従った制御が実行されないことにすることで、ある携帯型電子機器で受信された無線ネットワークIDを他の携帯型電子機器で利用しようとしても所望の制御が実行されないことになり、これにより、受信された無線ネットワークIDを他の携帯型電子機器にコピーして利用するといった不正が防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明に好適な実施形態を説明する。尚、以下では、携帯型ゲーム装置で昆虫採集ゲームを実行する場合を説明するが、本発明を適用可能な実施形態がこれに限定されるものではない。
【0027】
[ゲームシステム]
図1は、本実施形態におけるゲームシステム1の概略構成を示す図である。同図によれば、ゲームシステム1は、無線LAN用のアクセスポイント(AP:Access Point)機器10と、無線LAN規格に従った無線通信が可能な携帯型ゲーム装置1000とを具備している。
【0028】
AP機器10は、無線LANに接続するために街中の各所に設置される無線通信機器であり、ビーコン(Beacon)信号を周期的に発信している。ビーコン信号は、AP機器10の通信可能圏内に存在する携帯型ゲーム装置1000等の端末機器に対して当該AP機器10の存在を報知するための信号であり、ネットワークを識別するための識別子であるBSSID(Basic Service Set Identifier)及びESSID(Extended Service Set Identifier)を含んでいる。
【0029】
携帯型ゲーム装置1000では、プレーヤに携帯される小型の電子機器(携帯型電子機器)であり、AP機器10との間で無線LAN規格に従った無線通信が可能である。そして、携帯型ゲーム装置1000は、AP機器10との無線通信を行うことで、昆虫キャラクタを採集して楽しむ昆虫採集ゲームが実行される。昆虫採集ゲームでは、AP機器10が発信するビーコン信号を受信すると、受信したビーコン信号に含まれるデータを基に昆虫キャラクタが発生される。
【0030】
例えば、プレーヤの移動に伴い、携帯型ゲーム装置1000が矢印A1に示す経路に従って移動した場合、AP機器10Aの通信可能圏内11Aに移動し、AP機器10Aから発信されるビーコン信号を受信すると、該ビーコン信号に基づく昆虫キャラクタが発生される。次いで、AP機器10Bの通信可能圏内11Bに移動し、AP機器10Bから発信されるビーコン信号を受信すると、該ビーコン信号に基づく昆虫キャラクタが発生される。そして、AP機器10Cの通信可能圏内11Cに移動し、AP機器10Cから発信されるビーコン信号を受信すると、該ビーコン信号に基づく昆虫キャラクタが発生される。
【0031】
ここで、ビーコン信号に含まれるデータは、該ビーコン信号の発信元であるAP機器10毎に異なる。従って、発生される昆虫キャラクタは、受信したビーコン信号の発信元のAP機器10毎に異なる。また、同一のAP機器10から発信されるビーコン信号を基に発生される昆虫キャラクタは、1匹のみである。
【0032】
図2は、携帯型ゲーム装置1000の外観の一例を示す図である。同図によれば、携帯型ゲーム装置1000は、上側の筐体10Aと下側の筐体10Bとがヒンジ12を介して開閉可能に連結されて構成された折り畳み式であり、同図において、使用時である携帯型ゲーム装置1000の開状態を示している。
【0033】
各筐体10A,10Bの内側面には、使用時においてヒンジ12を挟んで上下に並ぶように配置された2つのディスプレイ1A,1Bやスピーカ3、各種の操作ボタン5等が設けられている。また、ディスプレイ1Bには、その表示領域全体に亘ってタッチパネル110が一体的に形成されている。タッチパネル110は、感圧式や光学式、静電式、電磁誘導式等の検出原理によって、タッチ操作位置を、例えばディスプレイ1Bを構成するドット単位で検出する。プレーヤは、付属のスタイラスペン20や手指によるディスプレイ1B上のタッチ操作によって、各種の操作入力を行うことができる。
【0034】
携帯型ゲーム装置1000がゲーム処理を実行するために必要なプログラムやデータ等を含むゲーム情報は、筐体10Bの側面に設けられたスロット7に着脱自在なカートリッジ30に格納されている。尚、このゲーム情報は、携帯型ゲーム装置1000が内蔵する無線通信装置16を介して無線通信回線に接続し、外部機器から取得することにしても良い。
【0035】
また、携帯型ゲーム装置1000は、CPUやICメモリ類を搭載した制御ユニット14、無線LAN規格に従った無線通信を行うための無線通信装置16、カートリッジ30の読取装置等を内蔵する。制御ユニット14に搭載されたCPUは、ICメモリやカートリッジ30から読み出したプログラムやデータ、タッチパネル110により検出されたタッチ操作位置、操作ボタン5から入力される操作信号、無線通信装置16による受信データ等に基づいて種々のゲーム処理を実行し、ゲーム画面の画像信号及びゲーム音の音信号を生成する。そして、生成した画像信号をディスプレイ1A,1Bに出力してゲーム画面を表示させるとともに、音信号をスピーカ3に出力してゲーム音を出力させる。プレーヤは、ディスプレイ1A,1Bに表示されるゲーム画面を見ながら、操作ボタン5を操作或いはディスプレイ1B上をタッチ操作して昆虫採集ゲームを楽しむ。
【0036】
図3は、携帯型ゲーム装置1000のディスプレイ1A,1Bに表示されるゲーム画面の一例である。上側はディスプレイ1Aに表示される画面を示し、下側はディスプレイ1Bに表示される画面を示している。
【0037】
同図によれば、ディスプレイ1Aにはコレクション画面W10が表示され、ディスプレイ1Bには虫かご画面W20が表示される。虫かご画面W20には、ビーコン信号の受信により発生された昆虫キャラクタ(同図では、昆虫キャラクタC21,C23,C25,C27,C29)が動画表示される。また、コレクション画面W10には、ビーコン信号の受信により発生された昆虫キャラクタのうち、プレーヤによる所定のコレクション操作によりコレクションに加えられた昆虫キャラクタ(同図では、昆虫キャラクタC11,C13)が静止画表示される。
【0038】
具体的には、虫かご画面W20上でのタッチ操作によって昆虫キャラクタを指定し、画面の上方向(矢印A21の方向)にスライド操作するといったコレクション操作を行うと、指定した昆虫キャラクタがコレクションに加えられる。また、虫かご画面W20上でのタッチ操作によって昆虫キャラクタを指定し、画面の下方向(矢印A23の方向)にスライド操作するといった破棄操作を行うと、指定した昆虫キャラクタが虫かごから破棄される。
【0039】
AP機器10が発信するビーコン信号には、(1)MAC(Media Access Control)アドレスと、(2)ネットワークIDとが含まれている。MACアドレスは、該AP機器10の機器IDであり、BSSIDとして発信される。ネットワークIDは、携帯型ゲーム装置1000に対する命令コードが、該AP機器10のMACアドレスで復号可能なように所定の方式で暗号化されたデータ(暗号化データ)であり、無線LANのネットワーク識別子(無線ネットワークID)であるESSIDとして発信される。また、このネットワークIDは、図4に示すように、AP機器設定装置20によって予め設定・記憶される。
【0040】
図4は、AP機器設定装置20の動作概要を示す図である。同図(a)によれば、AP機器設定装置20は、先ず、対象のAP機器10用の命令コードを作成する。命令コードには、真贋判定データと、有効期間データと、制御データとが含まれる。真贋判定データは、復号されたネットワークIDが正規のデータであるか否かを判定するためのデータであり、例えば所定長の所定の文字列が設定される。有効期間データは、制御データに基づく制御の有効期間を示すデータであり、例えば有効期間の開始日時及び終了日時が設定される。制御データは、携帯型ゲーム装置1000における昆虫キャラクタの発生を制御するためのデータであり、ここでは、発生させる昆虫キャラクタの昆虫種別が設定される。
【0041】
次いで、AP機器設定装置20は、作成した命令コードを、対象のAP機器10のMACアドレスで復号可能なように所定の方法で暗号化し、ネットワークIDとする。その後、対象のAP機器10に、生成したネットワークIDを設定する(記憶させる)。そして、AP機器10は、設定・記憶されているMACアドレスとネットワークIDとを含むビーコン信号を発信する。
【0042】
AP機器設定装置20は、パーソナルコンピュータ等のコンピュータシステムによって構成されるものであり、同図(b)に示すように、多数のAP機器10それぞれについて、順に通信接続して機器ID及びネットワークIDを設定する。また、AP機器設定装置20は、命令コード作成部21と、暗合化部22と、設定部23とを含む。命令コード作成部21は、対象のAP機器10用の命令コードを作成する。暗合化部22は、命令コード作成部21により作成された命令コードを、対象のAP機器10の機器IDで復号可能なように所定の方式で暗号化する。そして、設定部23は、対象のAP機器10と通信接続し、暗合化部22により暗合化されたデータを、ネットワークIDとして対象のAP機器10に送信・設定させる。
【0043】
図5は、ビーコン信号を受信した携帯型ゲーム装置1000における動作概要を示す図である。同図によれば、携帯型ゲーム装置1000では、AP機器10から発信されるビーコン信号を受信すると、受信したビーコン信号から、MACアドレス及びネットワークIDを取り出す。次いで、取り出したネットワークIDを、取り出したMACアドレスを用いて元データである命令コードに復号する。そして、復号した命令コードに含まれる真贋判定データが、予め定められた所定の真贋判定データに一致するか否かを判定する。一致するならば、現在日時が、復号した命令コードに含まれる有効期間データの示す有効期間内であるか否かを判定する。有効期間内ならば、復号した命令コードに含まれる制御データに従って、昆虫キャラクタを発生させる。
【0044】
[機能構成]
図6は、携帯型ゲーム装置1000の機能構成の一例を示す図である。同図によれば、携帯型ゲーム装置1000は、機能的には、操作入力部100と、処理部200と、画像表示部330と、音出力部340と、無線通信部400と、記憶部500とを備えて構成される。
【0045】
操作入力部100は、プレーヤによる操作指示入力を受け付け、操作に応じた操作信号を処理部200に出力する。また、操作入力部100はタッチパネル110を含み、検出した第2画面332上のタッチ位置を処理部200に出力する。この機能は、例えばボタンスイッチやレバー、ダイヤル、マウス、キーボード、各種センサ、タッチパネル等によって実現される。図2では、操作ボタン5や、ディスプレイ1Bに一体形成されたタッチパネルがこれに該当する。
【0046】
処理部200は、携帯型ゲーム装置1000の全体制御やゲームの進行、画像生成等の各種演算処理を行う。この機能は、例えばCPU(CISC型、RISC型)、ASIC(ゲートアレイ等)等の演算装置やその制御プログラムにより実現される。図2では、制御ユニット14に実装されているCPUがこれに該当する。
【0047】
また、処理部200は、主にゲームの実行に係る演算処理を行うゲーム演算部210と、ゲーム演算部210の処理によって求められた各種のデータに基づき、仮想カメラ等の所与の視点から見た仮想三次元空間(ゲーム空間)の画像を生成する画像生成部230と、効果音やBGM等のゲーム音を生成する音生成部240とを含んでいる。
【0048】
ゲーム演算部210は、操作入力部100から入力された操作信号や、無線通信部400から入力された受信データ、記憶部500から読み出したプログラムやデータ等に基づいて種々のゲーム処理を実行する。ゲーム処理としては、例えば、仮想三次元空間に各種のオブジェクトを配置してゲーム空間を設定する処理、操作入力部100からの操作信号に基づくプレーヤキャラクタの制御、オブジェクトのヒット交差判定(ヒットチェック)、視点(仮想カメラ)の制御等がある。
【0049】
また、本実施形態では、ゲーム演算部210は、昆虫キャラ発生制御部211を含む。昆虫キャラ発生制御部211は、AP機器10から発信され、受信されたビーコン信号を基に、昆虫キャラクタの発生を制御する。具体的には、受信されたビーコン信号から、MACアドレス及びネットワークIDを取り出し、取り出したネットワークIDを、取り出したMACアドレスを用いて元データである命令コードに復号する。
【0050】
次いで、昆虫キャラ発生制御部211は、復号した命令コードに含まれる真贋判定データが、予め定められた所定の真贋判定データと一致するか否かを判定する。一致するならば、復号された命令コードは正規のデータであると判定し、一致しないならば正規のデータでないと判定する。正規のデータであると判定したならば、続いて、現在日時が、復号された命令コードに含まれる有効期間データの示す有効期間内であるか否かを判定する。有効期間内であれば、復号した命令コードに含まれる制御データが示す昆虫種別の昆虫キャラクタを、発生させるか否かを判断する。即ち、復号した命令コードに含まれるMACアドレスと、復号した命令コードに含まれる制御データが示す昆虫種別との組のデータが、虫かご一覧情報522、或いはコレクション一覧情報523に格納されているか否かを判断し、格納されていないならば発生させると判断し、格納されているならば発生させないと判断する。
【0051】
発生させると判断すると、制御データが示す昆虫種別と、復号した命令コードに含まれているMACアドレスと、現在時刻とを対応付けて、虫かご一覧情報522に追加するとともに、昆虫キャラクタ情報521を参照して、該当する昆虫キャラクタを虫かご画面W20に表示させる。
【0052】
虫かご一覧情報522は、現在虫かごに入れられている昆虫キャラクタ、即ち昆虫キャラ発生制御部211によって発生された昆虫キャラクタであって、コレクションに加えられておらず、破棄もされていない昆虫キャラクタに関するデータである。図8に、虫かご一覧情報522のデータ構成の一例を示す。同図によれば、虫かご一覧情報522は、虫かごに入れられている各昆虫キャラクタについて、昆虫種別522aと、MACアドレス522bと、発生日時522cとを対応付けて格納している。MACアドレス522bは、該当する昆虫キャラクタが発生された基となったビーコン信号のMACアドレスを格納する。発生日時522cは、該当する昆虫キャラクタが発生された日時である。
【0053】
コレクション一覧情報523は、現在コレクションに加えられている昆虫キャラクタに関するデータである。図9に、コレクション一覧情報523のデータ構成の一例を示す。同図によれば、コレクション一覧情報523は、コレクションに加えられている各昆虫キャラクタについて、昆虫種別523aと、MACアドレス523bと、発生日時523cとを対応付けて格納している。
【0054】
虫かご画面W20において、プレーヤによるコレクション操作が為されると、コレクション操作により指定された昆虫キャラクタに関するデータが虫かご一覧情報522から削除されるとともに、この指定された昆虫キャラクタに関するデータがコレクション一覧情報523に追加される。また、虫かご画面W20において、プレーヤによる破棄操作が為されると、破棄操作により指定された昆虫キャラクタに関するデータが虫かご一覧情報522から削除される。
【0055】
昆虫キャラクタ情報521は、発生させ得る昆虫キャラクタに関するデータである。図7に、昆虫キャラクタ情報521のデータ構成の一例を示す。同図によれば、昆虫キャラクタ情報521は、昆虫キャラクタの種別毎に用意され、昆虫種別521aと、設定データ521bとを含んでいる。昆虫種別521aは、該当する昆虫キャラクタの名称を格納する。設定データ521bは、該当する昆虫キャラクタの動画像や静止画像を表示させるための画像データや、泣き声等の音データである。
【0056】
画像生成部230は、ゲーム演算部210による演算結果に基づき、ゲーム画面を表示するためのゲーム画像(3DCG画像や2DCG画像)を生成し、生成した画像の画像信号を画像表示部330に出力する。
【0057】
画像表示部330は、第1画面331及び第2画面332を含み、画像生成部230からの画像信号に基づいて、例えば1/60秒毎に1フレームの画面を再描画しながらゲーム画面を表示する。この機能は、例えばCRT、LCD、ELD、PDP、HMD等のハードウェアによって実現される。図2では、ディスプレイ1Aが第1画面331に相当し、ディスプレイ1Bが第2画面332に該当する。
【0058】
音生成部240は、ゲーム中に使用される効果音やBGM等のゲーム音を生成し、生成したゲーム音の音信号を音出力部340に出力する。音出力部340は、音生成部240からの音信号に基づいてBGMや効果音等のゲーム音声を出力する。この機能は、例えばスピーカ等によって実現される。図2では、スピーカ3がこれに該当する。
【0059】
無線通信部400は、所定の無線通信回線に接続して外部機器(主に、AP機器10)とのデータ通信を行う。この機能は、無線LAN規格に従った無線通信を行うための無線通信モジュールによって実現される。
【0060】
記憶部500は、処理部200に携帯型ゲーム装置1000を統合的に制御させるための諸機能を実現するためのシステムプログラムや、ゲームを実行させるために必要なプログラムやデータ等を記憶するとともに、処理部200の作業領域として用いられ、処理部200が各種プログラムに従って実行した演算結果や操作入力部100から入力される入力データ等を一時的に記憶する。この機能は、例えば各種ICメモリやハードディスク、CD−ROM、DVD、MO、RAM、VRAM等によって実現される。図2では、制御ユニット14に実装されているICメモリやカートリッジ30がこれに該当する。
【0061】
また、記憶部500は、処理部200をゲーム演算部210として機能させるためのゲームプログラム510及びゲームデータを記憶する。ゲームデータには、昆虫キャラクタ情報521と、虫かご一覧情報522と、コレクション一覧情報523とが含まれている。
【0062】
[処理の流れ]
図10は、携帯型ゲーム装置1000において実行されるゲーム処理の流れを説明するためのフローチャートである。この処理は、ゲーム演算部210がゲームプログラム510を実行することで実現される処理であり、携帯型ゲーム装置1000の電源がON(投入)されると開始される。同図によれば、先ず、昆虫キャラ発生制御部211が、昆虫キャラ発生制御処理を実行する(ステップA1)。
【0063】
図11は、昆虫キャラ発生制御処理の流れを説明するためのフローチャートである。同図によれば、昆虫キャラ発生制御部211は、ビーコン信号を受信したか否かを判断し、受信したならば(ステップB1:YES)、受信したビーコン信号から、MACアドレス及びネットワークIDを取り出す(ステップB3)。次いで、取り出したネットワークIDを、取り出したMACアドレスを用いて、元データである命令コードに復号する(ステップB5)。
【0064】
続いて、昆虫キャラ発生制御部211は、復号した命令コードに含まれる真贋判定データが、予め定められた所定の真贋判定データに一致するか否かを判定し、一致するならば(ステップB7:YES)、現在日時が、復号した命令コードに含まれる有効期間データの示す有効期間内であるか否かを判定する。有効期間内ならば(ステップB9:YES)、復号したMACアドレスと、復号した命令コードに含まれる制御データが示す昆虫種別との組のデータが、虫かご一覧情報522或いはコレクション一覧情報523の何れかに格納されているか否かを判断する。
【0065】
何れにも格納されていないならば(ステップB11:NO)、制御データが示す昆虫種別の昆虫キャラクタを、虫かごに追加する。即ち、制御データが示す昆虫種別と、MACアドレスと、現在日時とを対応付けて虫かご一覧情報522に追加し(ステップB13)、また、昆虫キャラクタ情報521を参照して、制御データが示す昆虫種別の昆虫キャラクタを、虫かご画面W20に追加表示させる(ステップB15)。
以上の処理を行うと、昆虫キャラ発生制御部211は、昆虫キャラ発生処理を終了する。
【0066】
昆虫キャラ発生制御処理が終了すると、ゲーム演算部210は、虫かご画面W20において、昆虫キャラクタを指定したコレクション操作がなされたか否かを判断する。コレクション操作が為されたならば(ステップA3:YES)、指定された昆虫キャラクタを虫かごからコレクションに加える。即ち、指定された昆虫キャラクタに関するデータを虫かご一覧情報522から削除してコレクション一覧情報523に追加するとともに、指定された昆虫キャラクタを虫かご画面W20からコレクション画面W10に移動させる(ステップA5)。
【0067】
また、虫かご画面W20において、昆虫キャラクタを指定した破棄操作が為されたか否かを判断し、為されたならば(ステップA3:NO〜A7:YES)、指定された昆虫キャラクタを虫かごから破棄する。即ち、指定された昆虫キャラクタのデータを虫かご一覧情報522から削除するとともに、指定された昆虫キャラクタを虫かご画面W20から消去させる(ステップA9)。
【0068】
その後、ゲーム演算部210は、携帯型ゲーム装置1000の電源がOFF(遮断)されたか否かを判断し、OFFされていないならば(ステップA11:NO)、ステップA1に戻る。電源がOFFされたならば(ステップA11:YES)、本ゲーム処理を終了する。
【0069】
[作用・効果]
以上、本実施形態によれば、無線LAN規格に従った無線通信機能を内蔵した携帯型ゲーム装置1000では、街中の各所に設置された無線LAN用のAP機器20から発信されるビーコン信号を受信すると、受信したビーコン信号を基に昆虫キャラクタが発生される。各AP機器20から発信されるビーコン信号には、MACアドレス及びネットワークIDが含まれている。ネットワークIDは、真贋判定データと有効期間データと制御データとを含む命令コードを、該AP機器20のMACアドレスで復号可能に暗号化したデータである。そして、携帯型ゲーム装置1000では、受信したビーコン信号に含まれるネットワークIDを、該ビーコン信号に含まれるMACアドレスで復号し、復号した命令コードに含まれる真贋判定データが予め定められた真贋判定データに一致し、且つ現在日時が復号した命令コードに含まれる有効期間データの示す有効期間内である場合にのみ、復号した命令コードに含まれる制御データが示す昆虫キャラクタを発生させる。
【0070】
ここで、ネットワークIDを復号した命令コードに含まれる真贋判定データは、該ネットワークIDと同一のAP機器20から発信されたMACアドレスで復号した場合にのみ、予め定められた真贋判定データに一致し、他のAP機器20から発信されたMACアドレスで復号した場合には一致しない。即ち、例えば、ある携帯型ゲーム装置1000で受信されたビーコン信号に含まれるネットワークIDを他の携帯型ゲーム装置1000で利用しようとしても、そのネットワークIDとともに受信されたMACアドレスで復号しない限り、正しい真贋判定データに復号されないため、昆虫キャラクタは発生されない。従って、受信されたネットワークIDを他の携帯型ゲーム装置1000にコピーして利用するといった不正が防止される。
【0071】
また、有効期間データによって昆虫キャラクタを発生させる有効期間が設定されることにより、AP機器10の設置・回収にかかる時間的余裕ができる。即ち、AP機器10は、電源がONされている間、周期的にビーコン信号を発信し続けるが、該ビーコン信号を受信する携帯型ゲーム装置1000は、ビーコン信号に設定された有効期間内においてのみ、制御データに基づく昆虫キャラクタを発生させる。これにより、設定した有効期間の開始時点より早めに所望の箇所にAP機器10を設置して電源をONしておいたり、或いは有効期間の終了時点を過ぎた後であればAP機器10をいつ回収しても差し支えないといった、ゲームシステム1の管理事業者側がAP機器10を設置・回収する際の業務上の利点がある。
【0072】
[変形例]
尚、本発明の適用可能な実施形態は上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
【0073】
(A)制御データ
例えば、上述した実施形態では、命令コードに含まれる制御データを、発生させる昆虫キャラクタの昆虫種別としたが、例えば「もんしろちょうのさなぎを孵化させる」や「みんみんぜみが死ぬ」といったように、虫かご或いはコレクションにいる昆虫キャラクタに対する制御内容を示すコマンドとしても良い。即ち、制御プログラムとして利用することも可能である。
【0074】
例えば、昆虫キャラクタにパラメータとして育成の程度を示す育成レベルを設定し、発生させた昆虫キャラクタの育成レベルの値を上昇(変更)させることで、当該昆虫キャラクタを育成する。
【0075】
詳細には、図12に示すように、命令コードに含まれる制御データとして、制御種別と、昆虫種別とを設定する。制御種別は、AP機器10に対する制御内容を示すデータであり、具体的には、(1)昆虫キャラクタを発生させる「発生」、(2)虫かご或いはコレクションに存在する昆虫キャラクタの育成レベルを変更(上昇)させる「育成」、の何れかを示す値が設定される。
【0076】
また、図13に示すように、昆虫キャラクタ情報521Aに、更に、育成レベル521d毎に当該キャラクタの育成の程度521eを対応付けた育成制御データ521cを格納しておくとともに、キャラクタ設定データ521bにおいて、育成制御データ521cで設定される育成の程度それぞれに応じた当該昆虫キャラクタの画像データ(例えば、「さなぎ」や成虫である「せみ」の画像データ)を格納しておく。
【0077】
更に、虫かご一覧情報522Aにおいて、図14に示すように、昆虫種別522a毎に、更に、育成レベル522dを対応付けて格納するとともに、コレクション一覧情報523Aにおいて、図15に示すように、昆虫種別523a毎に、更に、育成レベル523dを対応付けて格納する。
【0078】
そして、昆虫キャラ発生制御部211は、受信したビーコン信号から復号した命令コードに含まれる制御データの制御種別を判断し、判断した制御種別に応じた処理を行う。即ち、制御種別が「発生」ならば、上述の実施形態と同様に、虫かご一覧情報522A及びコレクション一覧情報523Aを参照して、該当する昆虫キャラクタが虫かご或いはコレクションに存在するか否かを判断し、存在しないならば、当該制御データの昆虫種別の昆虫キャラクタを発生させる。このとき、当該昆虫キャラクタの育成レベルを最も低いレベル(例えば、「1」)に設定するとともに、昆虫キャラクタ情報521Aを参照して、設定した育成レベルに応じた当該昆虫キャラクタの画像を虫かご画面W20に表示させる。
【0079】
一方、判断した制御種別が「育成」ならば、昆虫種別の昆虫キャラクタが虫かご或いはコレクションに存在するか否かを判断し、存在するならば、当該昆虫キャラクタの育成レベルを1つ上昇させる。そして、虫かご画面W20或いはコレクション画面W10に表示されている当該昆虫キャラクタを、更新後の育成レベルに応じた画像に更新する。但し、該当する昆虫キャラクタが虫かご及びコレクションの何れにも存在しない場合には、“育成”即ち育成レベルの更新は行われない。
【0080】
(B)暗合化
また、上述した実施形態では、命令コードをMACアドレスで復号可能に暗号化したデータをネットワークIDとすることにしたが、命令コードのうち、真贋判定データのみを暗号化することにしても良い。これは、携帯型ゲーム装置1000では、ネットワークIDを受信したMACアドレスで復号したデータに含まれる真贋判定データが予め設定された所定の真贋判定データに一致しない場合には、制御データに従う制御(昆虫キャラクタの発生)が為されないためである。
【0081】
(C)真贋判定
また、上述した実施形態における真贋判定データによる真贋判定に加えて、更にWEPキーによる認証を行うことにしても良い。具体的には、AP機器設定装置20がAP機器10にネットワークIDを設定する際に、合わせて所定のWEPキーを設定する。そして、ビーコン信号を受信した携帯型ゲーム装置1000では、復号した命令コードに含まれる真贋判定データが予め定められた所定の真贋判定データに一致すると判定した後、更に、予め定められた所定のWEPキーを用いたAP機器10への通信接続を試み、この接続が成功した場合にのみ、正規のデータであると判断して制御データに従う昆虫キャラクタを発生させる。
【0082】
(D)適用するゲーム
また、上述した実施形態では、昆虫採集ゲームを実行する場合について説明したが、他のゲームにも同様に適用可能である。例えば、格闘アクションゲームやロールプレイングゲームを実行することにしても良い。この場合、ビーコン信号の受信によって、例えばプレーヤキャラクタに新たなアイテムを獲得させたり、新たな仲間キャラクタを出現させるように制御データを設定すれば好適である。またこの場合、例えばAP機器20をイベント会場に設置し、このAP機器20に、イベントの開催中を有効期間として有効期間データを設定しておくことで、イベント開催中にイベント会場に来場したプレーヤのみが、予め用意された隠しシナリオを実行可能となる、隠しアイテムを獲得できる、或いは隠しキャラクタが出現されるといったことが可能となる。
【0083】
更に、これらのゲームにおいて、ビーコン信号の受信によって、プレーヤキャラクタや出現させたキャラクタ等のゲームに登場する各キャラクタに設定されているパラメータの値を変更することにしても良い。例えば、格闘アクションゲームの場合、プレーヤキャラクタの体力値や、攻撃力、防御力といった能力値を上昇させる。また、ロールプレイングゲームの場合、同様にプレーヤキャラクタや仲間キャラクタの能力値を上昇させたり、新たな技や魔法を取得させる。更に、例えばプレーヤキャラクタの外見が変化するといったように、ゲーム進行に直接は関係の無いパラメータを変更することにしても良い。尚、このパラメータの変更は、能力値等を減少させることにしても良い。
【0084】
(E)携帯型電子機器
また、上述した実施形態では、携帯型電子機器を携帯型ゲーム装置1000とした場合を説明したが、例えば携帯電話機やPDAといった、ユーザが持ち運び可能であり、且つ無線通信機能を内蔵した電子機器であれば同様に適用可能である。
【0085】
(F)無線通信規格
更に、上述した実施形態では、無線LAN規格に従った無線通信を行うゲームシステム1としたが、他の無線通信規格に従うネットワークシステムにも同様に適用可能なのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】実施形態のゲームシステムの概略構成図。
【図2】携帯型ゲーム装置の外観例。
【図3】携帯型ゲーム装置におけるゲーム画面例。
【図4】AP機器設定装置における動作の概要図。
【図5】携帯型ゲーム装置における動作の概要図。
【図6】携帯型ゲーム装置の機能構成図。
【図7】昆虫キャラクタ情報のデータ構成例。
【図8】虫かご一覧情報のデータ構成例。
【図9】コレクション一覧情報のデータ構成例。
【図10】ゲーム処理の流れ図。
【図11】ゲーム処理中に実行される昆虫キャラ発生制御処理の流れ図。
【図12】昆虫キャラクタのパラメータを変更する場合の命令コードの構成例。
【図13】昆虫キャラクタのパラメータを変更する場合の昆虫キャラクタ情報のデータ構成例。
【図14】昆虫キャラクタのパラメータを変更する場合の虫かご一覧情報のデータ構成例。
【図15】昆虫キャラクタのパラメータを変更する場合のコレクション一覧情報のデータ構成例。
【符号の説明】
【0087】
1 ゲームシステム
10 AP機器
20 AP機器設定部
1000 携帯型ゲーム装置
100 操作入力部
110 タッチパネル
200 処理部
210 ゲーム演算部
211 昆虫キャラ発生制御部
230 画像生成部
240 音生成部
330 画像表示部
331 第1画面
332 第2画面
340 音出力部
400 無線通信部
500 記憶部
510 ゲームプログラム
511 昆虫キャラ発生制御プログラム
521 昆虫キャラクタ情報
522 虫かご一覧情報
523 コレクション一覧情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器ID及び無線ネットワークIDを随時発信するID発信手段を備えた無線通信機器と、前記無線通信機器から発信される機器ID及び無線ネットワークIDを受信可能な携帯型電子機器とを具備した無線ネットワークシステムであって、
前記無線通信機器は、
自機の機器IDを記憶する機器ID記憶手段と、
所定の真贋判定データと前記携帯型電子機器を制御するための所与の制御データとを少なくとも含むデータを前記機器ID記憶手段により記憶された機器IDで復号可能に暗号化されたデータを前記無線ネットワークIDとして記憶するネットID記憶手段と、
を備え、前記ID発信手段が、前記機器ID記憶手段により記憶された機器ID及び前記ネットID記憶手段により記憶された無線ネットワークIDを発信し、
前記携帯型電子機器は、
前記ID発信手段により発信された機器ID及び無線ネットワークIDを受信する受信手段と、
前記受信された無線ネットワークIDを、前記受信された機器IDで復号する復号手段と、
前記復号手段により復号されたデータに前記所定の真贋判定データと同じデータが含まれているか否かを判定する真贋判定手段と、
前記真贋判定手段により含まれていると判定された場合に、前記復号されたデータに含まれる制御データに従った制御を実行する制御手段と、
を備えた無線ネットワークシステム。
【請求項2】
前記無線通信機器のネットID記憶手段は、前記真贋判定データと前記制御データと当該制御データによる制御の有効期間を示す期間データとを少なくとも含むデータを前記機器IDで復号可能に暗号化されたデータを前記無線ネットワークIDとして記憶し、
前記携帯型電子機器は、現在日時が前記復号手段により復号されたデータに含まれる期間データが示す有効期間内か否かを判定する期間判定手段を備え、
前記制御手段は、前記期間判定手段により有効期間内でないと判定された場合には、前記制御データに従った制御を実行せず、前記期間判定手段により期間内であると判定され、且つ前記真贋判定手段により含まれている判定された場合に、前記制御データに従った制御を実行する、
請求項1に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項3】
無線通信可能圏内に存在する携帯型電子機器との間で所定の通信規格に従った無線通信を行うために、自機の機器ID及び無線ネットワークIDを随時発信する無線通信機器であって、
自機の機器IDを記憶する機器ID記憶手段と、
所与のデータが前記機器ID記憶手段により記憶された機器IDで復号可能に暗号化されたデータを無線ネットワークIDとして記憶するネットID記憶手段と、
前記機器ID記憶手段により記憶された機器ID及び前記ネットID記憶手段により記憶された無線ネットワークIDを発信する発信手段と、
を備えた無線通信機器。
【請求項4】
請求項3に記載の無線通信機器に無線ネットワークIDを記憶させる無線通信機器設定装置であって、
所与のデータを前記無線通信機器に予め定められている機器IDで復号可能に暗号化する暗合化手段と、
前記暗合化手段により暗合化されたデータを前記無線ネットワークIDとして前記無線通信機器に記憶させるネットID記憶制御手段と、
を備えた無線通信機器設定装置。
【請求項5】
所定の通信規格に従った無線通信が可能な携帯型のコンピュータに、所定のゲームの進行を制御させて当該ゲームを実行させるためのプログラムであって、
現在の無線通信可能圏内に存在する前記通信規格に従った無線通信を行う他の通信機器から送信されてきた、1)機器IDと、2)所定の真贋判定データ及び所与の制御データを少なくとも含むデータを前記機器IDで復号可能に暗号化された暗号化データとを受信する受信手段、
前記受信された暗号化データを、前記受信された機器IDで復号する復号手段、
前記復号手段により復号されたデータに前記所定の真贋判定データと同じデータが含まれているか否かを判定する真贋判定手段、
前記真贋判定手段により含まれていると判定された場合に、前記復号されたデータに含まれる制御データに基づいて前記ゲームの進行を制御するゲーム進行制御手段、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項6】
前記無線ネットワークIDは、前記真贋判定データと前記制御データと当該制御データによる制御の有効期間を示す期間データとを少なくとも含むデータを前記機器IDで復号可能に暗号化されたデータでなり、
現在日時が前記復号手段により復号されたデータに含まれる期間データが示す有効期間内か否かを判定する期間判定手段として前記コンピュータを機能させ、
前記ゲーム進行制御手段が、前記期間判定手段により有効期間内でないと判定された場合には、前記制御データに基づいた前記ゲームの進行制御を行わず、前記期間判定手段により有効期間内であると判定され、且つ前記真贋判定手段により含まれていると判定された場合に、前記制御データに基づく前記ゲームの進行制御を行うように前記コンピュータを機能させる、
ための請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
前記ゲーム進行制御手段が、前記制御データに基づいて新たなキャラクタを発生させる新キャラ発生手段を有するように前記コンピュータを機能させるための請求項5又は6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記ゲーム進行制御手段が、前記制御データに基づいて前記ゲームに登場するキャラクタに設定されている所定のパラメータ値を変更するパラメータ変更手段を有するように前記コンピュータを機能させるための請求項5〜7の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項9】
請求項5〜8の何れか一項に記載のプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体。
【請求項10】
所定の通信規格に従った無線通信が可能であり、所定のゲームの進行を制御して当該ゲームを実行する携帯型電子機器であって、
現在の無線通信可能圏内に存在する前記通信規格に従った無線通信を行う他の通信機器から送信されてきた、1)機器IDと、2)所定の真贋判定データ及び所与の制御データを少なくとも含むデータを前記機器IDで復号可能に暗号化された暗号化データとを受信する受信手段と、
前記受信された暗号化データを、前記受信された機器IDで復号する復号手段と、
前記復号手段により復号されたデータに前記所定の真贋判定データと同じデータが含まれているか否かを判定する真贋判定手段と、
前記真贋判定手段により含まれていると判定された場合に、前記復号されたデータに含まれる制御データに基づいて前記ゲームの進行を制御するゲーム進行制御手段と、
を備えた携帯型電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−295521(P2007−295521A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−337989(P2006−337989)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(000134855)株式会社バンダイナムコゲームス (1,157)
【Fターム(参考)】