説明

無線ネットワークプロトコルを用いて通信するパッシブRFデバイス

【課題】より効果的かつ信頼性高くRFIDデバイスなどのパッシブRFデバイスを実現する。
【解決手段】
無線ネットワークプロトコルを用いて通信するパッシブRFデバイスを開示する。このデバイスは、ワイヤレスネットワークプロトコルに基づきRF信号を送信するRFソースから、ラジオ周波数(RF)信号を受信するように動作するアンテナを含む。このデバイスは、さらに、RF信号から電力を得る回路を含む。この回路は、RF信号から電力を取り、さらに、メモリからデータを読み出し、そのデータをワイヤレスネットワークプロトコルに基づき符号化し、その符号化されたデータを含むようにRF信号を変調する。アンテナは、さらに、RFソースその他のパッシブRFデバイスによる受信のため、ワイヤレスネットワークプロトコルに基づき、変調されたRF信号を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッシブラジオ周波数(RF)デバイスの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
無線自動識別(RFID)は、リーダと、物品に取り付けられたデバイスとの間で、ラジオ周波数(RF)信号でデータを転送するプロセスを言う。RFIDは物品を識別しトラッキングするために一般的に用いられている。例えば、RFIDデバイスは、倉庫にある在庫をトラッキングできるように、その倉庫にある物品に取り付けられる。RFIDデバイスは、RFIDタグとも呼ばれるが、一般的に、物品の識別子(ID)をメモリに格納している。RFIDデバイスは、メモリから物品IDを読み出し、その物品IDを含むRF信号(例えば、その物品IDがRF信号に変調されている)をブロードキャストする。RFIDリーダは、RF信号を受信し、そのRF信号から物品IDを読み取る(interpret)。
【0003】
ほとんどのRFIDデバイスは、RF信号を送受信するアンテナと、データを格納しRF信号を処理する集積回路とを含む。RFIDデバイスによっては、バッテリも含むものもあり、アクティブデバイスと呼ばれる。その他のRFIDデバイスは、バッテリを含まず、パッシブデバイスと呼ばれる。パッシブRFIDデバイスでは、集積回路の電源は、RFIDリーダにより供給されるRF信号により供給される。パッシブRFIDデバイスのアンテナが、RFIDリーダからブロードキャストされたRF信号を受信する。アンテナにはコイル状の構成があり、これによりRF信号がアンテナに電磁場を形成する。集積回路はその電磁場から電力を取り、バッテリその他の電源ではなくその電力が、集積回路を動かす。RF信号により供給される電力により、集積回路はメモリに格納されたデータを読み出し、格納されたデータをRF信号に変調する。アンテナは、RFIDリーダによる受信のため、変調されたRF信号を送信又は反射する。RFIDリーダは、パッシブRFIDデバイスからのRF信号を検知し、RF信号に加えられたデータを処理する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
ここに説明する実施形態は、無線ネットワークプロトコルを用いて通信できる、改良型パッシブRFデバイスである。このパッシブRFデバイスは、RFソースから送信されるRF信号から電力を取ることができる回路を含む。RFソースからのRF信号は、無線ネットワークプロトコル(例えば、IEEE802.15.4又はIEEE802.11)に基づく。回路は、RF信号から取った電力で、RFソースその他のパッシブRFデバイスと、無線ネットワークプロトコルを用いて通信できる。このように、無線ネットワークプロトコルを通信に用いることにより、RFIDデバイスなどのパッシブRFデバイスを、より効果的かつ信頼性高く、実現することができる。
【0005】
他の実施形態にはパッシブRFデバイスが含まれる。このデバイスは、無線ネットワークプロトコルに基づきRF信号を送信するRFソースから、ラジオ周波数(RF)信号を受信するアンテナを含む。このデバイスは、さらに、RF信号から電力を取る回路を含む。この回路は、RF信号から電力を取り、さらに、メモリからデータを読み出し、そのデータを無線ネットワークプロトコルに基づき符号化し、その符号化されたデータを含むようにRF信号を変調する。アンテナは、さらに、RFソースその他のパッシブRFデバイスによる受信のため、無線ネットワークプロトコルに基づき、変調されたRF信号を送信する。
【0006】
その他の実施形態は以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
例として、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。全図面において同じ参照番号は同じ要素または同じタイプの要素を表す。
【図1】一実施形態によるRFIDシステムを示すブロック図である。
【図2】一実施形態によるパッシブRFデバイスを示すブロック図である。
【図3】一実施形態による、無線ネットワークプロトコルを用いて通信するパッシブRFデバイスの動作方法を示すフローチャートである。
【図4】一実施形態によるフレームを示す図である。
【図5】一実施形態による電気装置の電力使用量をモニタするパッシブRFデバイスのアプリケーションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面及び以下の説明は、本発明の具体例としての実施形態を示す。言うまでもなく、当業者は、ここには明示的に説明や図示はしていないが、本発明の原理を化体し、本発明の範囲に含まれる様々な構成を工夫することができる。さらに、ここに説明する例はどれも、本発明の原理の理解を助けることを意図したものであり、具体的に記載した例や条件に限定するものと解釈すべきではない。結果として、本発明は以下に説明する具体的な実施形態に限定はされず、特許請求の範囲及びその均等の範囲にのみ限定される。
【0009】
図1は、一実施形態によるRFIDシステム100を示すブロック図である。RFIDシステム100は、RFソース102と、パッシブRFデバイス104−105とを含む。RFソース102は、無線ネットワークプロトコルに基づきRF信号を送信するアクティブデバイスである。無線ネットワークプロトコルは、送信されるデータのフォーマットと、データを送信する規則とを規定する。RFIDシステム100において使える無線ネットワークプロトコルの例としては、IEEE802.15.4、Zigbee(登録商標)、IEEE802.11、Wi−Fiなどがある。RFソース102は、無線ネットワークプロトコルに準拠したRFIDリーダを含み、又はパーソナルエリアネットワーク(PAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、その他の無線ネットワークプロトコルを用いるネットワークの無線アクセスポイントを含む。
【0010】
RFデバイス104−105は、パッシブデバイスであり、すなわち、バッテリなどのアクティブ電力源からではなく、RFソース102から受信するRF信号から電力を取る。各RFデバイス104−105は、物品の識別子(ID)などのデータでプログラムされている。RFデバイス104は、RF信号から取った電力を用いて、格納されたデータを特定し、そのデータを無線ネットワークプロトコルに基づいて符号化する。RFデバイス104は、符号化されたデータを無線ネットワークプロトコルに基づき送信する。符号化されたデータは、RFソース102又はその他のパッシブRFデバイス(例えば、RFデバイス105)に送られる。
【0011】
図2は、一実施形態によるパッシブRFデバイス104を示すブロック図である。RFデバイス104は、アンテナ202と回路204とを含む。アンテナ202は、無線ネットワークプロトコルに基づきRF信号を送受信するように動作可能である。回路204は、電源回路206、メモリ208、及びプロセッサ210を含む。電源回路206は、アンテナ202を介してRFソース102から受信したRF信号から電源を取るように動作可能である。バッテリその他のアクティブ電源ではなく、電源回路206から得た電力により、回路204は動作する。そのためRFデバイス104はパッシブデバイスである。メモリ208は、物品の識別子(ID)などのデータを格納するように動作可能である。メモリ208は、プロセッサ210により実行可能なその他のプログラムやコマンド、又はその他の所望のデータを格納できる。プロセッサ210は、RFデバイス104の所望の機能を提供するようにプログラム可能である。プロセッサ210により提供される複数の機能のうちの一機能は、メモリ208に格納されているデータをレポートするものである。プロセッサ210により提供される複数の機能のうちの他の一機能は、無線ネットワークプロトコルを用いてFRソース102及び/又はRFデバイス105と通信するものである。
【0012】
RFデバイス104のプロトコルベースの通信は、プロセッサ210内のプロトコル要素212により提供される。図2に示したプロトコル要素212は、無線ネットワークプロトコル(例えば、IEEE802.15.4やIEEE802.11)に基づきデータを交換する、RFデバイス104の機能を表す。プロトコル要素212は、データ交換の一部として、RFソース102及び/又はRFデバイス105への送信のため、無線ネットワークプロトコルに基づいてデータを符号化できる。プロトコル要素212は、無線ネットワークプロトコルに基づき、RFソース102及び/又はRFデバイス105から受信したデータを復号することもできる。
【0013】
図1において、RFデバイス104がRFソース102の近くにある時に、RFソース102が無線ネットワークプロトコルに基づきRF信号を送信すると仮定する。図3は、一実施形態による、無線ネットワークプロトコルを用いて通信するパッシブRFデバイス104の動作方法300を示すフローチャートである。方法300のステップを図1、図2のRFデバイス104を参照して説明するが、ここに説明する方法は図示しないその他のデバイスが実行することも可能であることは、当業者には明らかであろう。ここに説明する方法のステップは、すべてを含まなくてもよいし、図示しないその他のステップを含んでもよい。ここに示したフローチャートのステップは、これとは異なる順序で実行することもできる。
【0014】
ステップ302において、アンテナ202がRFソース102からRF信号を受信する。なお、RFソース102からのRF信号は無線ネットワークプロトコルに基づくことは上述の通りである。ステップ304において、電源回路206がRF信号から電力を得る。例えば、アンテナ202にはコイル状の構成があり、これによりRF信号がアンテナ202に電磁場を形成する。電源回路206は、その電磁場から電力を得る。この電力で回路204は動く。
【0015】
ステップ306において、RF信号から得た電力を用いて、プロセッサ210が、メモリ208に格納されたデータを読み出す。単にデータをRF信号に変調して変調されたRF信号を送信する替わりに、ステップ308において、プロトコル要素212が、無線ネットワークプロトコルに基づきデータを符号化する。無線ネットワークプロトコルは、送信のためにデータをいかに組織化又はフォーマットしてデータユニットにするかを規定する。例えば、無線ネットワークプロトコルは、データユニットの構造を、ヘッダとそれに付加されたペイロードとして規定している。ヘッダは送信元アドレスと宛先アドレスなどのアドレッシング用のフィールドを含む。ヘッダはデータユニットの「タイプ」を示すフィールドも含む。例えば、無線ネットワークプロトコルとしてIEEE802.15.4を用いる場合、データユニットのタイプは、データ、アクノレッジメント、ビーコン、又はメディアアクセスコントロール(MAC)コマンドである。無線ネットワークプロトコルとしてIEEE802.11を用いる場合、データユニットのタイプは、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)パケット又はトランスミッションコントロールプロトコル(TCP)パケットである。
【0016】
下位レベルネットワーキングプロトコルに用いられる一タイプのデータユニットはフレームである。フレームの一例を図4に示す。図4のフレーム400は、制御情報及び/又はアドレッシング情報を含むヘッダ410を含む。この実施形態では、ヘッダ410は、プリアンブルフィールド412と、宛先アドレスフィールド414と、送信元アドレスフィールド416と、フレームタイプフィールド418とを含む。宛先アドレスフィールド414と送信元アドレスフィールド416は、それぞれフレームの宛先MACアドレスと送信元MACアドレスを含む。フレーム400は、さらに、ペイロード420を含む。これは、送信される物品IDなどの実際のデータを含む。フレーム400は、エラー検査に用いるフレームチェックシーケンス430も含む。図4に示したフレーム400の構成は単なる一例である。ここに説明するフレームその他のデータユニットは他の望ましい構成を有していてもよい。
【0017】
無線ネットワークプロトコルとしてIEEE802.11を用いる場合、下位レベルネットワーキングに用いる一タイプのデータはService Set Identifier(SSID)である。SSIDは、特定の802.11無線LANを特定する名称であり、2乃至32の8ビットバイトとして規定されている。SSIDは、一般的には802.11サーバにより識別子としてブロードキャストされ、クライアントはそのサーバに接続すべきか選択できる。RFデバイス104は、SSIDのデータを符号化して、そのデータを変調し、RFソース102とパッシブRFデバイス105により受信されるように送信する。SSIDは、デバイスの識別子とメモリ208のコンテンツとを含む。例えば、識別子は3バイトであり、メモリコンテンツは29バイトである。また、識別子は0バイトであり、32バイト全部がメモリコンテンツに使われても良い。又は、SSIDの最初のNバイトをシーケンス番号(例えば、4バイトシーケンスのSSIDの場合0,1,2,3)に割り当て、Nバイトを最大シーケンス番号に割り当て、その後の(32−2N)バイトをメモリコンテンツに割り当ててもよい。プロセッサ210は、連続するSSID中のメモリ208のコンテンツを、シーケンス番号が小さい方から符号化し、SSIDのシーケンスを繰り返しブロードキャストする。レシーバはSSID中の符号化されたデータをリ・アセンブルする。例えば、75バイトメッセージを送信する場合、3つのSSIDが用いられ、それらのバイトパターンは次のようになる:02[30バイトペイロード]、12[30バイトペイロード]、22[利用可能な30のうちの15バイトのペイロードデータ]。
【0018】
図3で、データが符号化されると、ステップ310において、プロセッサ210は符号化されたデータを含むようにRF信号を変調する。ステップ312において、アンテナ202は、無線ネットワークプロトコルに基づき、変調されたRF信号を送信する。アンテナ202は、電源回路206から得た電力に基づき、変調されたRF信号を能動的に送信できる。あるいは、アンテナ202は、RFソース102から受信したRF信号を、変調してから反射又は後方散乱してもよい。いずれにしても、変調されたRF信号は送信され、RFソース102及び/又はRFデバイス105により受信される。
【0019】
データがRFソース102宛のものであれば、プロトコル要素212は、RFソース102のアドレス(例えば、MACアドレス)でデータを符号化する。RFソース102は、変調されたRF信号を受信すると、変調されたRF信号から符号化されたデータを取り出し、そのデータを復号する。RFソース102は、復号されたデータを処理して、宛先アドレスを特定する。データ中の宛先アドレスがRFソース102のMACアドレスと一致したら、RFソース102は自分がそのデータの受信者であると判断する。RFソース102は、そのデータを所望の方法で処理する。
【0020】
データがRFデバイス105など他のパッシブRFデバイス宛のものであれば、プロトコル要素212は、RFデバイス105のアドレス(例えば、MACアドレス)でそのデータを符号化する。アンテナ202からの変調されたRF信号はRFデバイス105で受信される。RFデバイス105は、RFソース102がRF信号を処理する上記の方法と同様に、変調されたRF信号を処理する。
【0021】
RFIDシステム100において無線ネットワークプロトコルを用いることにより、RFデバイス104とRFソース102との間の双方向通信が可能になる。例えば、無線ネットワークプロトコルは、データやコマンドの送信をするリクエスト・レスポンス手順を指定している。一リクエスト・レスポンス手順は、RFソース102がRFデバイス104にデータを要求するものである。それゆえ、RFデバイス104がRFソース102に符号化されたデータを送信する前に、RFソース102は無線ネットワークプロトコルに基づきRFデバイス104にそのデータを要求する。そうするため、RFソース102は、RFデバイス104に格納されたデータを求めるリクエストを生成し、無線ネットワークプロトコルに基づきそのリクエストを符号化する。リクエストは、RFデバイス104に格納されたすべてのデータを求めるものでもよいし、特定のデータを(例えば、ファイル名により)示して要求するものでもよい。RFソース102は符号化された要求を含むようにRF信号を変調する。RFデバイス104のアンテナ202は、RFソース102からRF信号を受信し、回路204が無線ネットワークプロトコルに基づき、RF信号から得た符号化されたリクエストを復号する。RFソース102からのリクエストに応答して、回路204は、図3で説明したように、要求されたデータをメモリ208から読み出し、そのデータを無線ネットワークプロトコルに基づき符号化し、符号化されたデータを含むようにRF信号を変調して、RFソース102にデータを提供する。
【0022】
他の一リクエスト・レスポンス手順は、RFソース102がRFデバイス104からのデータの受信をアクノレッジするものである。RFソース102は、RFデバイス104からデータを成功裏に受信すると、アクノレッジメントを生成し、そのアクノレッジメントを無線ネットワークプロトコルに基づき符号化する。RFソース102は符号化されたアクノレッジメントを含むようにRF信号を変調する。RFデバイス104のアンテナ202は、RFソース102からRF信号を受信し、回路204が無線ネットワークプロトコルに基づき、符号化されたアクノレッジメントを復号する。回路204は、RFソース102からのアクノレッジメントを処理して、RFソース102においてデータが成功裏に受信されたと判断する。データが成功裏に受信されないと、回路204は、データの送信をリトライする。
【0023】
他の一リクエスト・レスポンス手順は、RFデバイス104が、RFソース102がRF信号をある時間維持することを要求するものである。RFデバイス104はパッシブデバイスなので、電源をRF信号に依存している。RFデバイス104のプロセッサ210が、ある機能の実行をまかされると、そのタスクの間はRF信号があり、プロセッサ210に電力を供給できることが望ましい。このように、プロセッサ210は、タスクの間、RFソース102がRF信号を維持するように要求する。そうするため、回路204は、無線ネットワークプロトコルに基づき、ある時間(例えば、その機能を完了するのに要する時間)にわたりRF信号を維持するリクエストを符号化する。回路204は、符号化されたリクエストを含むようにRF信号を変調し、アンテナ202を介してRFソース102に送信する。RFソース102は、変調されたRF信号を受信すると、変調されたRF信号から符号化されたリクエストを取り出し、そのリクエストを復号する。RFソース102は、ある時間にわたりRF信号を供給することをRFデバイス104が要求していると判断し、RFデバイス104がタスクを完了できるよう、要求された時間にわたりRF信号を維持する。
【0024】
無線ネットワークプロトコルのリクエスト・レスポンス手順により、RFIDシステム100において追加的機能が可能になる。例えば、RFソース102は、RFデバイス104からあるデータを要求し、RFデバイス104がそのデータをいつ送信するか、RFデバイス104がそのデータをどのくらい頻繁に送信するか、要求できる。RFデバイス104はRFソース102に同様の要求をしてもよい。
【0025】
RFIDシステム100において無線ネットワークプロトコルを用いることにより、RFデバイス104とその他のRFデバイス(例えば、RFデバイス105)との間の双方向通信が可能になる。無線ネットワークプロトコルのリクエスト・レスポンス手順を用いると、RFデバイス104はRFデバイス105にデータを要求することができ、その逆もできる。例えば、RFデバイス105がRFデバイス104に格納されたデータを要求すると仮定する。そうするため、RFデバイス105は、RFデバイス104に格納されたデータを求めるリクエストを生成し、無線ネットワークプロトコルに基づきそのリクエストを符号化する。RFデバイス104と同様に、RFデバイス105は、RFソース102により供給されるRF信号から電力を得ている。RFデバイス105は、符号化されたリクエストを含むようにRF信号を変調し、変調されたRF信号を送信する。RFデバイス104のアンテナ202は、RFデバイス105からRF信号を受信し、回路204が無線ネットワークプロトコルに基づき、符号化されたリクエストを復号する。RFデバイス105からのリクエストに応答して、回路204は、図3で説明したように、データをメモリ208から読み出し、そのデータを無線ネットワークプロトコルに基づき符号化し、符号化されたデータを含むようにRF信号を変調する。アンテナ202は、RFデバイス105による受信のため、変調されたRF信号を送信する。RFデバイス105は、RF信号からデータを復号する。
【0026】
RFIDシステム100(図1参照)における無線ネットワークプロトコルの使用により、有利にも、RFソース102とRFデバイス104−105との間の通信を改善できる。無線ネットワークプロトコルは(RF信号により)、RFデバイス104−105に電力を供給し、RFソース102とRFデバイス104−105との間の双方向通信(例えば、リクエスト・レスポンス手順)を可能にする。データ送信は、無線ネットワークプロトコルを用いて、より安全になり、信頼性がより高くなる。また、RFデバイス104−105は、専用のRFIDリーダを必要とせずに、アクセスポイントその他のプロトコルに準拠したソースと直接的に通信できる。
【0027】
上記のパッシブRFデバイスはいろいろなアプリケーションで使える。図5は、一実施形態による電気装置510の電力使用量をモニタするパッシブRFデバイスのアプリケーションを示す図である。図5の電気装置は、単なる一例としてプリンタである。電気装置510は、コンピュータ、テレビジョン、ストーブ、扇風機など、電気を使う装置であればその種類は問わない。パッシブRFデバイス520は電気装置510の電源コード511に取り付けられる。電源コード511は、次に、電源ストリップ530に差し込まれる。電源ストリップ530は、パッシブRFデバイス521とアクティブRFデバイス525を含む。電源ストリップ530は、そのアウトレットの1つに差し込まれているデバイスの電力使用量をモニタする機能を含むので、スマート電源アウトレットである。パワーストリップ530の一例は、ThinkEco社により製造されているModletである。パワーストリップ530はパッシブRFデバイス522を含むウォールアウトレット540に差し込まれる。
【0028】
電源コード511のパッシブRFデバイス520は、電気装置510のIDでプログラムされている。電気装置510のIDは、シリアル番号、モデル番号、及び/又はその他の情報を含む。パッシブRFデバイス521はパワーストリップ530のIDでプログラムされている。電源ストリップ530のIDは、シリアル番号、モデル番号、及び/又はその他の情報を含む。パッシブRFデバイス522はウォールアウトレット540のIDでプログラムされている。ウォールアウトレット540のIDは、ロケーション(例えば、部屋番号、フロア番号など)、モデル番号、及び/又はその他の情報を含む。この例は、電気デバイス510の電力使用量をモニタするように、パッシブRFデバイス520−522が、それらに格納されたIDを、無線ネットワークプロトコルを用いてどのように通信するか示す。
【0029】
電源ストリップ530はウォールアウトレット540に差し込まれ、電源コード511は電源ストリップ530に差し込まれ、アクティブRFデバイス525はパッシブRFデバイス520−522のそれぞれに非常に近く(すなわち、数インチ以内に)配置される。アクティブRFデバイス525は、無線ネットワークプロトコルに基づきRF信号を送信するRFソースとして機能する。この例では、無線ネットワークプロトコルはIEEE802.15.4であると仮定するが、他の実施形態では他のプロトコルを用いても良い。
【0030】
電源コード511上のパッシブRFデバイス520は、アクティブRFデバイス525からRF信号を受信し、IEEE802.15.4RF信号から電力を得る。パッシブRFデバイス520は、アクティブRFデバイス525の近くにあるので、IEEE802.15.4などのネットワークベースのプロトコルをサポートする十分な電力を得られる。電力をRF信号から得て、パッシブRFデバイス520は、メモリに格納された電気装置510のIDを読み取り、IEEE802.15.4プロトコルに基づきそのIDを符号化し、符号化したIDを含むようにRF信号を変調する。パッシブRFデバイス520は、IEEE802.15.4プロトコルに基づき、変調されたRF信号を送信する。変調されたRF信号はアクティブRFデバイス525で受信される。アクティブRFデバイス525は、RF信号から電気装置510のIDを取り出し、復号する。
【0031】
電源ストリップ530上のパッシブRFデバイス521は、同様に動作して、電源ストリップ530のIDを提供する。より具体的には、パッシブRFデバイス521は、アクティブRFデバイス525からRF信号を受信し、IEEE802.15.4のRF信号から電力を得る。電力をRF信号から得て、パッシブRFデバイス521は、メモリに格納された電源ストリップ530のIDを読み取り、IEEE802.15.4プロトコルに基づきそのIDを符号化し、符号化したIDを含むようにRF信号を変調する。パッシブRFデバイス521は、IEEE802.15.4プロトコルに基づき、変調されたRF信号を送信する。変調されたRF信号はアクティブRFデバイス525で受信される。アクティブRFデバイス525は、RF信号から電源ストリップ530のIDを取り出し、復号する。電源ストリップ530はそのアウトレットのそれぞれによる電力使用量を決定できるので、アクティブRFデバイス525は電気装置510のある時間にわたる電力使用量を決定できる。
【0032】
ウォールアウトレット540上のパッシブRFデバイス522は、パッシブRFデバイス520ー521と同様に動作して、アクティブRFデバイス525にウォールアウトレット540のIDを提供する。アクティブRFデバイス525は、電気装置510のIDと、電源ストリップ530のIDと、ウォールアウトレット540のIDと、パワー使用量情報とを集計する。アクティブRFデバイス525は、集計された情報(例えば、集計されたファイル)をIEEE802.15.4アクセスポイント552を介してコンピュータ550に送信する。コンピュータ550は、IDと使用量情報を処理するアプリケーション551を実行して、電気装置510による電力負荷をモニタする。アプリケーション551は、電気装置510がある時間にわたりどれだけの電力を消費(draw)するかログを取って、電力使用量のピークを特定することもできる。アプリケーション551は、電気装置510が、ある機能や処理イベントで、どのくらいの電力を消費するかログを取ることもできる。例えば、電気装置510が図5に示したプリンタである場合、アプリケーション551は、そのプリンタが、文書を印刷する時にどのくらいの電力を消費するか、ログを取り、それを送信データに符号化してもよい。
【0033】
上記の電力量モニタリングは、複数の電気装置と複数のウォールアウトレットに拡張することができる。よって、パッシブRFデバイスのメッシュネットワークを形成して、各電気装置のIDをレポートすることもできる。これにより、電力使用量の大規模モニタリングが可能となる。これは大企業やキャンパスで特に有用であり、電力消費が平準化又は低減されるだろう。
【0034】
具体的な実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれらの具体的実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲とその等価範囲により決まる。
【符号の説明】
【0035】
102 RFソース
104 パッシブRFデバイス
105 パッシブRFデバイス
202 アンテナ
204 回路
206 電源回路
208 メモリ
210 プロセッサ
212 プロトコル要素
522 パッシブRFデバイス
525 アクティブRFデバイス
521 パッシブRFデバイス
520 パッシブRFデバイス
552 802.15.4アクセスポイント
550 コンピュータ
551 アプリケーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレスネットワークプロトコルに基づきラジオ周波数(RF)信号を送信するRFソースから、RF信号を受信するアンテナと、
前記RF信号から電力を得る回路と、を有し、
前記回路は、前記RF信号から電力を取り、さらに、メモリからデータを読み出し、前記データを前記ワイヤレスネットワークプロトコルに基づき符号化し、前記符号化されたデータを含むように前記RF信号を変調し、
前記アンテナは、さらに、前記無線ネットワークプロトコルに基づき、前記変調されたRF信号を送信する、装置。
【請求項2】
前記回路は、さらに、前記無線ネットワークプロトコルに基づき、前記データを、前記RFソースのアドレスとともに符号化する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記回路は、さらに、前記無線ネットワークプロトコルに基づき符号化された、前記RFソースからのアクノレッジメントを受信し、前記アクノレッジメントは前記符号化されたデータが前記RFソースにおいて受信されたことを示す、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記回路は、さらに、前記無線ネットワークプロトコルに基づき符号化された、前記RFソースからのリクエストを受信し、前記リクエストは前記メモリに格納された前記データを求めるものであり、
前記回路は、さらに、前記リクエストに応じて前記メモリから前記データを読み出す、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記回路は、さらに、前記無線ネットワークプロトコルに基づき、前記データを、他のパッシブ無線自動識別(RFID)装置のアドレスとともに符号化する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記回路は、さらに、前記RFソースに対する、前記RF信号をある時間にわたり維持するリクエストを、前記無線ネットワークプロトコルに基づき符号化し、
前記回路は、さらに、符号化された要求を含むように前記RF信号を変調する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記無線ネットワークプロトコルはIEEE802.15.4標準に基づく、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記無線ネットワークプロトコルにより、前記装置と前記RFソースとの間の双方向通信が可能になる、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
パッシブ無線自動識別(RFID)装置を動作させる方法であって、
ワイヤレスネットワークプロトコルに基づきラジオ周波数(RF)信号を送信するRFソースから、RF信号を受信するするステップと、
前記RF信号から電力を得るステップとを有し、
前記RF信号から得た電力で、さらに、
メモリからデータを読み出すステップと、
前記無線ネットワークプロトコルに基づいて前記データを符号化するステップと、
前記符号化されたデータを含むように前記RF信号を変調するステップと、
前記無線ネットワークプロトコルに基づいて前記変調されたRF信号を送信するステップと、を有する、方法。
【請求項10】
前記無線ネットワークプロトコルに基づいて前記データを符号化するステップは、さらに、前記無線ネットワークプロトコルに基づき、前記データを、前記RFソースのアドレスとともに符号化するステップを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
さらに、前記無線ネットワークプロトコルに基づき符号化された、前記RFソースからのアクノレッジメントを受信する、前記アクノレッジメントは前記符号化されたデータが前記RFソースにおいて受信されたことを示す、ステップを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
さらに、
前記メモリに格納された前記データを求める、前記無線ネットワークプロトコルに基づき符号化されたリクエストを、前記RFソースから受信するステップと、
前記リクエストに応じて前記メモリから前記データを読み出すステップと、を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記無線ネットワークプロトコルに基づいて前記データを符号化するステップは、さらに、
前記無線ネットワークプロトコルに基づき、前記データを、他のパッシブRFデバイスのアドレスとともに符号化するステップを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
さらに、
前記RFソースに対する、前記RF信号をある時間にわたり維持するリクエストを、前記無線ネットワークプロトコルに基づき符号化するステップと、
前記符号化されたリクエストを含むように前記RF信号を変調するステップと、を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記無線ネットワークプロトコルはIEEE802.15.4標準に基づく、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記無線ネットワークプロトコルにより、前記装置と前記RFソースとの間の双方向通信が可能になる、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
無線自動識別(RFID)システムであって、
無線ネットワークプロトコルに基づきラジオ周波数(RF)信号を送信するアクティブRFデバイスと、
電気装置の識別子(ID)を格納し、前記RF信号から電力を得て、前記無線ネットワークプロトコルに基づき、前記電気装置のIDを前記アクティブRFデバイスに送信する、電気装置の電源コードに取り付けられた第1のパッシブRFデバイスと、
電源ストリップのIDを格納し、前記RF信号から電力を得て、前記無線ネットワークプロトコルに基づき、前記アクティブRFデバイスに、前記電源ストリップのIDを送信する、前記電気装置の電源コードを受ける電源ストリップに取り付けられた第2のパッシブRFデバイスと、
前記ウォールアウトレットのIDを格納し、前記RF信号から電力を得て、前記無線ネットワークプロトコルに基づき、前記ウォールアウトレットのIDを前記アクティブRFデバイスに送信する、電源ストリップに電気的に接続されたウォールアウトレットに取り付けられた第3のパッシブRFデバイスとを有し、
前記アクティブRFデバイスは、さらに、前記電源ストリップから前記電気装置の電力使用量データを読み出し、前記電気装置のIDと、前記電源ストリップのIDと、前記ウォールアウトレットのIDと、前記電気装置の電力使用量データとを集計する、RFIDシステム。
【請求項18】
前記アクティブRFデバイスは、さらに、前記無線ネットワークプロトコルを用いて、コンピュータに、前記集計された情報を送信する、請求項17に記載のRFIDシステム。
【請求項19】
さらに、
前記集計された情報を処理して、前記電気装置の電力使用量のログを生成する、前記コンピュータ上のアプリケーションを有する、請求項18に記載のRFIDシステム。
【請求項20】
前記無線ネットワークプロトコルはIEEE802.15.4標準に基づく、請求項17に記載のRFIDシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−46416(P2013−46416A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−182407(P2012−182407)
【出願日】平成24年8月21日(2012.8.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】