説明

無線メッシュ通信ネットワークのノードからデータを収集するためにデータ収集デバイスによって必要とされる時間期間を短縮するための方法及びデバイス、その方法に係るコンピュータープログラム、並びにその方法に係るコンピュータープログラムを格納する情報記憶手段

【課題】無線メッシュ通信ネットワークのノードからデータを収集するためにデバイスによって必要とされる時間を短縮するための方法を提供する。
【解決手段】データ収集デバイスが、第1のスケジューリングシーケンスで要求を送信することと、1つの無線リンク上で送信問題を検出することと、少なくとも1つの経路を特定することと、特定された経路上に存在する少なくとも1つの個々のノードに宛てられた少なくとも1つの要求を延期し、特定された経路とは異なる少なくとも1つの経路上に存在する少なくとも1つの個々のノードに宛てられた少なくとも1つの要求を繰り上げることによって、第2のスケジューリングシーケンスを得るために第1のスケジューリングシーケンスを変更することと、第2のスケジューリングシーケンスに従って、要求を送信し続けること、を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包括的には無線メッシュ通信ネットワークにおいてデータを収集することに関し、より詳細には、送信条件の変動を受ける無線メッシュ通信ネットワークにおいてそのようなデータを収集するのに必要とされる時間期間を短縮することに関する。
【背景技術】
【0002】
無線センサーネットワーク(WSN(Wireless Sensor Networks))は、自己構成性があり、かなり安価であり、エネルギー制御、環境監視、産業オートメーション等の非常に広範囲に及ぶ可能な用途において有用であるために関心を集め、支持を得てきた。
【0003】
スマートメーターネットワーク(SMN(Smart Meter Networks))は、そのような無線センサーネットワークの1つの応用例である。スマートメーターは通常、所与の期間の間隔において電気エネルギーの消費量を記録し、その情報を監視及び課金のためにサーバーに通信する電気メーターである。スマートメーターは通常、中央システムからコマンドを受信することができる。また、スマートメーターは他のデータ取得分野においても用いられ、例えば、天然ガス又は水の消費量を測定するデバイスを意味することもできる。
【0004】
データ収集デバイスは通常、そのようなSMN内でサーバーの形で実現される。データ収集デバイスは、スマートメーターによって与えられるデータを収集し、例えば、統計を得るため並びに/又は監視及び/若しくは課金のために、収集されたデータを処理する。
そのようなデータを収集するために、データ収集デバイスはスケジューリングシーケンスを規定し、データ収集デバイスに上記データを与えるように上記スマートメーターに要求するために、規定されたスケジューリングシーケンスに従って、SMNの各スマートメーターに要求を送信する。
SMN全体にわたってメッセージが伝搬する際の衝突を回避するために、スケジューリングシーケンスは、別のスマートメーターに新たな要求を送信する前に、データ収集デバイスが、送信された要求に対する応答の受信を待機するようになっている。
その要求に応答して、各スマートメーターは、上記要求されたデータを含む応答を送信する。要求されるデータは、例えば、水、ガス又は電気エネルギーの測定中にスマートメーターによって得られた計量データである。
SMN内の要求及び応答の送信は通常、SMN内のルーティングを規定する全域木(spanning tree)に沿って実行される。
【0005】
しかしながら、SMN内の無線リンクが一時的に使用できない等の送信条件の変動に起因した送信問題が存在するとき、要求及び応答の送信に遅延が生じるおそれがある。
【0006】
一般的に、そのような送信問題が生じるとき、SMN内のルーティングは変更される。それは、新たな経路が規定され、それに応じて全域木が、変更されるとともに、無線メッシュ通信ネットワークの全てのノードが全域木変更を認識するようにSMN内に伝搬されることを意味する。このように経路を規定し直すのは時間がかかり、それゆえ、データを収集するのに必要とされる時間期間が増加する。
【0007】
上記の問題は、スマートメーターの展開に特に関係しない、他の種類の無線メッシュ通信ネットワークにおいても生じるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
通常の無線メッシュ通信ネットワークにおいて生じる上記の問題を克服することが望ましい。
【0009】
詳細には、送信条件の変動を受ける無線メッシュ通信ネットワーク内の収集デバイスによってデータを収集するのに必要とされる時間を短縮できるようにする解決策を提供することが望ましい。
【0010】
送信問題が検出されるときに、無線メッシュ通信ネットワーク内の、全域木に沿ったルーティングを再構成するのを回避できるようにする解決策を提供することが更に望ましい。
【0011】
実施するのが容易であり、コスト効率が高い解決策を提供することが更に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのために、本発明は、無線メッシュ通信ネットワークのノードからデータを収集するためにデータ収集デバイスによって必要とされる時間期間を短縮するための方法であって、前記データ収集デバイスと前記ノードとの間の通信は前記無線メッシュ通信ネットワーク内の全域木に従って実行される、方法に関する。
本方法は、前記データ収集デバイスが、
前記データを収集するための第1のスケジューリングシーケンスにおいて前記ノードに要求を送信することであって、該各要求は少なくとも1つの前記ノードに宛てられる、送信することと、
前記全域木の1つの無線リンク上で送信問題を検出することと、
前記送信問題が検出された前記無線リンクを含む前記全域木の少なくとも1つの経路を特定することと、
前記送信問題が検出された前記無線リンクを含む前記少なくとも1つの特定された経路上に存在する少なくとも1つの個々のノードに宛てられた少なくとも1つの要求を延期するとともに、前記送信問題が検出された前記無線リンクを含む前記少なくとも1つの特定された経路とは異なる少なくとも1つの経路上に存在する少なくとも1つの個々のノードに宛てられた少なくとも1つの要求を繰り上げる(putting forward)ことによって、第2のスケジューリングシーケンスを得るために前記第1のスケジューリングシーケンスを変更することと、
前記第2のスケジューリングシーケンスに従って、前記ノードに要求を送信し続けることと、
を実行するようになっている。
【0013】
したがって、第2のスケジューリングシーケンスによれば、送信問題によって影響を受ける経路に対応する少なくとも1つの個々のノードに宛てられる少なくとも1つの要求を延期することによって、送信に成功する見込みがより大きい要求が最初に送信される。その際、送信問題が一時的であるときには全域木の変更は不要であり、それゆえ、データ収集デバイスによってデータを収集するのに必要とされる時間期間は短縮される。
【0014】
特定の特徴によれば、前記第1のスケジューリングシーケンスを変更することは、前記送信問題が検出された前記無線リンクを含む前記少なくとも1つの特定された経路に対応するノードに宛てられた全ての要求を、他の全ての要求後にスケジューリングすることを含む。
【0015】
したがって、スケジューリングシーケンスを変更することは、実施するのが容易である。
【0016】
特定の特徴によれば、前記第1のスケジューリングシーケンスを変更することは、前記送信問題が検出された前記無線リンクを含む前記少なくとも1つの特定された経路のうちの1つに対応するノードに宛てられた各要求を、或るシフト値だけ延期することを含む。
【0017】
したがって、検出された送信問題に関係するノードのためのデータを収集する際の余分なレイテンシを更に制限するために、スケジューリングシーケンスを変更することがより最適に実行される。
【0018】
特定の特徴によれば、前記第1のスケジューリングシーケンスを変更することは、前記送信問題が検出された前記無線リンクを含む前記少なくとも1つの特定された経路に対応する少なくとも1つの個々のノードに宛てられた各要求を、共通のシフト値だけ延期することを含む。
【0019】
特定の特徴によれば、
前記シフト値は、検討対象のスケジューリングシーケンス内の各要求がインデックスを付されるときに、インデックスシフトとして表されるか、又は
前記シフト値は、検討対象のスケジューリングシーケンス内の各要求が、前記データ収集デバイスによって送信するために前記要求がスケジューリングされた時点に関連付けられるときに、時間遅延として表される。
【0020】
したがって、スケジューリングシーケンスを変更することは、インデックス管理を用いて、又はより正確にタイミング定義を用いて、実施するのが容易な方法で行なうことができる。
【0021】
特定の特徴によれば、前記データ収集デバイスは、
前記送信問題が検出された前記無線リンクを含む前記少なくとも1つの特定された経路のうちの1つに対応するノードに宛てられた各要求に時間遅延を適用することと、
前記時間遅延が満了する前に、他の要求の中のどの要求をスケジューリングできるかを判断することと、
前記送信問題が検出された前記無線リンクを含む前記少なくとも1つの特定された経路のうちの1つに対応するノードに宛てられた各要求の前に、前記スケジューリングシーケンス内の前記判断された要求をスケジューリングすることと、
を実行する。
【0022】
したがって、スケジューリングシーケンスは最適化される。
【0023】
特定の特徴によれば、前記データ収集デバイスは、
各要求に、該要求を繰り上げることができるか否かを示す情報を関連付けることと、
前記送信問題が検出された前記無線リンクを含む前記少なくとも1つの特定された経路のうちの1つに対応するノードに宛てられた要求ごとに前記情報を更新することと、
前記第1のスケジューリングシーケンスを変更するときに、前記情報に基づいて、どの要求を繰り上げることが可能であるかを判断することと、
を実行する。
【0024】
したがって、以前に延期された要求を繰り上げることは、回避することができる。
【0025】
特定の特徴によれば、前記データ収集デバイスは、
各要求に、該要求を繰り上げることができるか否かを示すとともに、該要求を繰り上げることができる場合に該要求を何単位分繰り上げることができるかを示す制約値を関連付けることと、
前記第1のスケジューリングシーケンスを変更するときに、前記制約値に基づいて、どの要求を繰り上げることが可能であるかを判断することと、
前記第1のスケジューリングシーケンスの前記変更時に延期されたか又は繰り上げられた要求ごとの前記制約値を、前記第2のスケジューリングシーケンスを得るために更新することと、
を実行する。
【0026】
したがって、以前に延期された要求は、その要求が以前に延期されたときに規定された最小シフト値をまだ満たすので、以前に延期された要求を繰り上げることは、変更されたスケジューリングシーケンスに従ってその要求を送信する際に送信問題のリスクが低減される場合に限られる。
【0027】
特定の特徴によれば、前記データ収集デバイスは、ノードごとに、
スライディング時間窓において、前記ノードを介した又は前記ノードへの送信成功率を表す統計値を求めることと、
前記求められた統計値を所定の値と比較することと、
前記比較の結果に従って前記シフト値を変更することと、
を実行する。
【0028】
したがって、スケジューリングシーケンスは、送信条件の変動に応じて最適に変更することができる。
【0029】
特定の特徴によれば、前記データ収集デバイスは、1つのノードによって生成される無線リンク障害報告を受信することを実行し、
該報告は、該報告を生成した前記ノードによって前記要求が中継されることを試みられた無線リンクのインジケーションを含み、
該報告は、前記要求のうちの1つ又は該要求のうちの1つに対する応答の送信中に、該報告において示された前記無線リンク上で、又は該報告において示された前記無線リンクの子部分木に対応する前記全域木の部分内で生じた送信障害を表し、
前記経路は、前記子部分木のいずれかのノードを含む前記経路であると判断される。
【0030】
したがって、送信障害に関係する経路が容易に特定される。
【0031】
特定の特徴によれば、前記無線リンク障害報告は、中継されることを試みられた前記要求が応答において少なくとも1つの否定応答を生成することを示す通知をノードの或る層が該ノードの媒体アクセス制御層から受信するときに、該ノードによって生成される。
【0032】
したがって、上記要求のうちの1つの送信中に送信問題が生じるとき、その送信障害によって影響を受けると特定される全域木の部分は、送信問題が生じた無線リンク、及びこの無線リンクの子部分木に限定される。
【0033】
特定の特徴によれば、前記無線リンク障害報告は、或るノードが、前記要求のうちの1つが宛てられるノードから、タイムアウトが関連付けられた前記要求に対して、応答も別の無線リンク障害報告も受信することなく前記タイムアウトが満了するときに、該ノードによって生成される。
【0034】
したがって、上記要求のうちの1つに対する応答の送信中に送信障害が生じるとき、その送信問題によって影響を受けると特定される全域木の部分は、送信問題が生じた無線リンク、及びこの無線リンクの子部分木に限定される。
【0035】
特定の特徴によれば、前記タイムアウトは、該タイムアウトを設定する前記ノードと、該タイムアウトと関連付けられた前記要求が宛てられる前記ノードとの間の、前記全域木内のホップ数を少なくとも考慮に入れることによって設定される。
【0036】
したがって、データを収集するのに必要とされる時間期間を更に短縮するために、その要求が宛てられるノードに至るまでの要求の残りの経路及びその応答の残りの経路に従って、タイムアウト設定が適合される。また、本方法は、送信問題を検出するための反応もより速く、それゆえ、データ収集デバイスによってデータを収集するのに必要とされる時間期間が更に短縮される。
【0037】
特定の特徴によれば、前記無線リンク障害報告を生成する前記ノードは、
前記無線リンク障害報告を生成する前記ノードが前記要求のうちの1つに既に応答したか否かを調べることと、
前記無線リンク障害報告を生成する前記ノードが前記要求のうちの1つにまだ応答していないときに、前記デバイスによって収集されるべき自らのデータを前記無線リンク障害報告内に含めることと、
を実行する。
【0038】
したがって、収集されるデータの送信を予測することによって、データ収集デバイスによってデータを収集するのに必要とされる時間期間が更に短縮される。
【0039】
本発明はまた、無線メッシュ通信ネットワークのノードからデータを収集するためにデバイスによって必要とされる時間期間を短縮するための該デバイスであって、該デバイスと前記ノードとの間の通信は前記無線メッシュ通信ネットワーク内の全域木に従って実行される、デバイスにも関する。
本デバイスは、
前記データを収集するための第1のスケジューリングシーケンスにおいて前記ノードに要求を送信する手段であって、各要求は少なくとも1つの前記ノードに宛てられる、送信する手段と、
前記全域木の1つの無線リンク上で送信問題を検出する手段と、
前記送信問題が検出された前記無線リンクを含む前記全域木の少なくとも1つの経路を特定する手段と、
前記送信問題が検出された前記無線リンクを含む前記少なくとも1つの特定された経路上に存在する少なくとも1つの個々のノードに宛てられた少なくとも1つの要求を延期するとともに、前記送信問題が検出された前記無線リンクを含む前記少なくとも1つの特定された経路とは異なる少なくとも1つの経路上に存在する少なくとも1つの個々のノードに宛てられた少なくとも1つの要求を繰り上げることによって、第2のスケジューリングシーケンスを得るために前記第1のスケジューリングシーケンスを変更する手段と、
前記第2のスケジューリングシーケンスに従って、前記ノードに要求を送信し続ける手段と、
を備える。
【0040】
また、本発明は、少なくとも1つの実施の形態において、通信ネットワークからダウンロードすることができ、かつ/又はコンピューターによって読み取り、プロセッサによって実行することができる媒体上に格納することができるコンピュータープログラムにも関する。このコンピュータープログラムは、該プログラムがプロセッサによって実行されるときに、種々の実施の形態のうちのいずれか1つにおいて上述の方法を実施するための命令を含む。
【0041】
また、本発明は、格納された情報がコンピューターによって読み取られ、プロセッサによって実行されるときに、種々の実施の形態のうちのいずれか1つにおいて上述の方法を実施するための、プロセッサによって実行することができる1組の命令を含むコンピュータープログラムを格納する情報記憶手段にも関する。
【0042】
デバイス及びコンピュータープログラムに関する特徴及び利点は、対応する上述の方法に関して既に言及されたのと同一であるので、ここでは繰り返されない。
【0043】
本発明の特徴は、一例の実施形態の以下の説明を読むことによってより明らかになる。上記説明は、添付図面に関して作成されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明を実施することができる無線メッシュ通信ネットワークの第1のアーキテクチャを表す概略図である。
【図2】本発明を実施することができる無線メッシュ通信ネットワークの第2のアーキテクチャを表す概略図である。
【図3】図1の無線メッシュ通信ネットワークにおいて規定される全域木を表す概略図である。
【図4A】図1又は図2の無線メッシュ通信ネットワークのコンセントレーターデバイスのアーキテクチャを表す概略図である。
【図4B】図2の無線メッシュ通信ネットワークのサーバーデバイスのアーキテクチャを表す概略図である。
【図4C】図1又は図2の無線メッシュ通信ネットワークのスマートメーターのアーキテクチャを表す概略図である。
【図5】スマートメーターからデータを収集するための、図1又は図2の無線メッシュ通信ネットワークのデータ収集デバイスによって実行されるアルゴリズムを表す概略図である。
【図6】図1若しくは図2の無線メッシュ通信ネットワークのスマートメーターによって、又は図2の無線メッシュ通信ネットワークのコンセントレーターデバイスによって実行されるアルゴリズムを表す概略図である。
【図7A】図1又は図2の無線メッシュ通信ネットワークのスマートメーターからデータを収集するためのデータ収集段階をスケジューリングするためのシーケンスの第1の例を表す概略図である。
【図7B】図7Aに概略的に表される第1の例の変更から生じる、スマートメーターからデータを収集するためのデータ収集段階をスケジューリングするためのシーケンスを表す概略図である。
【図7C】図7Aに概略的に表される第1の例の変更から生じる、スマートメーターからデータを収集するためのデータ収集段階をスケジューリングするためのシーケンスを表す概略図である。
【図7D】図7Aに概略的に表される第1の例の変更から生じる、スマートメーターからデータを収集するためのデータ収集段階をスケジューリングするためのシーケンスを表す概略図である。
【図8A】図1又は図2の無線メッシュ通信ネットワークのスマートメーターからデータを収集するためのデータ収集段階をスケジューリングするためのシーケンスの第2の例を表す概略図である。
【図8B】図8Aに概略的に表される第2の例の変更から生じる、スマートメーターからデータを収集するためのデータ収集段階をスケジューリングするためのシーケンスを表す概略図である。
【図8C】図1又は図2の無線メッシュ通信ネットワークのスマートメーターからデータを収集するためのデータ収集段階をスケジューリングするためのシーケンスの第3の例を表す概略図である。
【図8D】図8Cに概略的に表される第3の例の変更から生じる、スマートメーターからデータを収集するためのデータ収集段階をスケジューリングするためのシーケンスを表す概略図である。
【図9】スケジューリングシーケンスを変更するための、図1又は図2の無線メッシュ通信ネットワークのデータ収集デバイスによって実行される第1のアルゴリズムを表す概略図である。
【図10】スケジューリングシーケンスを変更するための、図1又は図2の無線メッシュ通信ネットワークのデータ収集デバイスによって実行される第2のアルゴリズムを表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下の説明は、スマートメーターの無線メッシュ通信ネットワークの展開の範囲において本発明を詳述するが、以下に詳述される原理は、他の種類の無線メッシュ通信ネットワークの展開においても同じように適用することができる。例えば、以下に詳述される原理は、フェムトセルの展開、すなわち、通常、家又は小規模の事務所において用いるために設計され、屋内、特に拡張しなければアクセスが制限されるか又は利用不可能である場所にサービスプロバイダーがサービスカバレッジを拡張できるようにするセルラー基地局の展開においても同じように適用することができる。
【0046】
図1は、本発明を実施することができる無線メッシュ通信ネットワーク100の第1のアーキテクチャを概略的に表す。
【0047】
無線メッシュ通信ネットワーク100は、コンセントレーターデバイス110(concentrator device)と、スマート計量デバイスとも呼ばれる1組のスマートメーター(a set of smart meters)とを備える。図1には、7つのスマートメーター120iが示される。ただし、i=a,b,...,gである。無線メッシュ通信ネットワーク100内には、異なる複数のスマートメーターが存在する場合もある。通信ネットワーク100は、クラスターとも呼ばれる。
【0048】
コンセントレーターデバイス110及びスマートメーターは、ノード、通信ノード、又はネットワークノードと呼ばれる場合もある。
【0049】
無線メッシュ通信ネットワーク100のデバイスは、半二重無線通信を用いることが好ましい。しかしながら、無線メッシュ通信ネットワーク100のデバイスは、全二重無線通信を用いることもできる。
【0050】
そのような無線メッシュ通信ネットワークは、スマートメーターをアドホック方式で展開するのに特に適応している。
【0051】
電力消費及び放射を制限するために、無線メッシュ通信ネットワーク100内のデバイスは、無線メッシュ通信ネットワーク100内の任意の他のデバイスと直接通信することはできない。無線メッシュ通信ネットワーク100内の各デバイスは通常、無線メッシュ通信ネットワーク100内の幾つかの他のデバイスだけと直接通信することができる。それは、これらの幾つかの他のデバイスに関して、同期信号、メッセージ、そして更に一般的にはデータを交換するための無線リンクを設定するのに、送信信号強度が十分に高い(例えば、所定のしきい値より高い)とみなされることを意味する。
【0052】
それゆえ、無線メッシュ通信ネットワーク100の各デバイスは、無線メッシュ通信ネットワーク100の少なくとも1つの他のデバイスと直接通信することができる。
【0053】
互いに直接通信する無線メッシュ通信ネットワーク100の2つのデバイスは、隣接するデバイスである。
【0054】
無線メッシュ通信ネットワーク100の任意の1組のデバイス(any couple of devices)は、直接又は間接的に(すなわち、無線メッシュ通信ネットワーク100の少なくとも1つの他のデバイスを介して)互いに通信することができる。より詳細には、各スマートメーター120i(ただし、i=a,b,...,g)は、直接又は間接的にコンセントレーターデバイス110と通信することができる。
【0055】
図1では、可能な直接通信(以下に無線リンクと呼ばれる)は、関係するデバイス間のそれぞれの直線によって例示的に表されている。
例えば、コンセントレーターデバイス110は2つの隣接するデバイスを有し、それらのデバイスはスマートメーター120a、120bである。スマートメーター120aは2つの隣接するデバイスを有し、それらのデバイスはスマートメーター120c及びコンセントレーター110である。スマートメーター120bは3つの隣接するデバイスを有し、それらのデバイスは、スマートメーター120c、120d及びコンセントレーターデバイス110である。
図1は、無線メッシュ通信ネットワーク100内の他の実現可能な直接通信も例示的に示すが、ここではそれらの直接通信は更には詳述しない。
【0056】
無線メッシュ通信ネットワーク100内の通信は、CSMA(キャリアセンス多元接続(Carrier sense multiple access))を用いて実行されることが好ましい。無線メッシュ通信ネットワーク100内の通信は、TDMA、FDMA又はCDMA(符号分割多元接続(Code Division Multiple Access))を用いて実行することもできる。
隣接するノード間の通信プロトコルは、2つの隣接するノード間に通信障害があると判断する前に何度か送信を試みることができるようにするために、肯定応答(ACK)及び否定応答(NACK)を含むことができる。通常、そのような肯定応答に基づくプロトコルは、MAC(媒体アクセス制御(Medium Access Control))層において実行される。
【0057】
無線メッシュ通信ネットワーク100の範囲内で、コンセントレーターデバイス110はデータ収集デバイスとしての役割を果たす。
コンセントレーターデバイス110は、例えば、統計を得るために並びに/又は監視及び/若しくは課金のために、スマートメーターによって与えられるデータを収集し、収集されたデータを処理する。
そのようなデータを収集するために、コンセントレーターデバイス110は、上記データをコンセントレーターデバイス110に与えるように上記スマートメーター120iに要求するために、各スマートメーター120i(ただし、i=a,b,...,g)に要求を送信する。その要求に応答して、各スマートメーター120iは、上記要求されたデータを含む応答を送信する。要求されたデータは、例えば、水、ガス又は電気エネルギーの測定中にスマートメーター120iによって得られた計量データである。
コンセントレーターデバイス110は、状態情報、測定履歴又はエラー報告のような他の種類のデータをスマートメーターに要求することもできる。
【0058】
図2は、本発明を実施することができる無線メッシュ通信ネットワーク200の第2のアーキテクチャを概略的に表す。
【0059】
無線メッシュ通信ネットワーク200は、サーバーデバイス230と、1組のコンセントレーターデバイスとを備える。図2には、3つのコンセントレーターデバイス110m(ただし、m=a、b又はc)が示される。無線メッシュ通信ネットワーク200内に異なる複数のコンセントレーターデバイスが存在する場合もある。
【0060】
各コンセントレーターデバイス110mはサーバーデバイス230と直接通信する。コンセントレーターデバイス110mとサーバーデバイス230との間の通信は、RFC791仕様書によって詳述されているようなインターネットプロトコル(IP)を用いて実行されることが好ましく、有線又は無線のいずれかとすることができる。
【0061】
各コンセントレーターデバイス110mはクラスター100m(ただし、m=a、b又はc)の一部であり、クラスターは図1に示される無線メッシュ通信ネットワーク100に対応する。コンセントレーターデバイス110mは、サーバーデバイス230と、上記コンセントレーターデバイス110mがそれぞれ属する個々のクラスター100mのスマートメーターとの間のゲートウエイとしての役割を果たす。
【0062】
図2に示されるアーキテクチャにおいて、各スマートメーターは1つのクラスターのみに属し、単一のコンセントレーターデバイス110mを介してサーバーデバイス230と通信する。
【0063】
図2に示されるアーキテクチャでは、クラスター100mは、スタートポロジーネットワークを用いて、それぞれのコンセントレーターデバイス110mを介してサーバーデバイス230に接続されている。
【0064】
サーバーデバイス230は、コンセントレーターデバイス110mを介して、任意のスマートメーターにコマンドを送信することができる。そのようなコマンドは、例えば、スマートメーターからの或る報告を要求するためのコマンド、スマートメーターによって監視されるシステムのシャットダウンを命令するためのコマンド、スマートメーターのソフトウェア更新を提供するためのコマンド等である。
【0065】
メッシュ通信ネットワーク200の範囲内で、サーバーデバイス230はデータ収集デバイスとしての役割を果たす。それゆえ、サーバーデバイス230は、各スマートメーターに要求を送信して、収集されるべきデータを集める。
【0066】
データ収集デバイスは、それが無線メッシュ通信ネットワーク100のコンセントレーターデバイス110に対応するにしても、又は無線メッシュ通信ネットワーク200のサーバーデバイス230に対応するにしても、収集されるべきデータを収集段階のシーケンスに従って集める。これらの収集段階中に交換されるメッセージは、全域木(spanning tree)に沿って、無線メッシュ通信ネットワーク100又は200内を伝搬される。
【0067】
シーケンスは、図5に関して以下に詳述されるように、動的調整(dynamic adjustments)を受ける。
そのような調整は、全域木のいかなる変更も回避しつつ、データ収集デバイスによってデータを収集するのに必要とされる時間期間を短縮することを目的とする。
しかしながら、データを収集するためにスマートメーターと通信するのに失敗した試みが所定の回数に達した場合には、データ収集デバイスは、無線メッシュ通信ネットワーク全体にわたるデータルーティングを変更すること、すなわち、全域木を変更することを決定することができる。
【0068】
図3は、無線メッシュ通信ネットワーク100において規定される全域木を概略的に表す。無線メッシュ通信ネットワーク200のクラスター100a、100b、100cの場合にも同じように全域木を規定することができる。無線メッシュ通信ネットワーク200全体に対して、単一の全域木を規定することもできる。
【0069】
スマートメーターによって与えられるデータを収集するために、データ収集デバイスはそのような全域木を用いる。言い換えると、データ収集デバイスによってスマートメーターに送信される要求、及びスマートメーターによってデータ収集デバイスにそれぞれ送信される応答は、全域木に沿って伝搬する。
【0070】
図3に示される全域木は、無線メッシュ通信ネットワーク100の無線リンクのサブセット(a subset)からなる。各全域木は根ノード(root node)を含む。全域木の根ノードはデータ収集デバイス、すなわち、無線メッシュ通信ネットワーク100の範囲内のコンセントレーターデバイス110である。全域木は、無線メッシュ通信ネットワーク100の全てのノードがその全域木内に存在するが、ループが形成されないように規定される。
【0071】
図3に示される全域木によれば、コンセントレーターデバイス110は、スマートメーター120bを介してスマートメーター120dと通信する。
コンセントレーターデバイス110は、スマートメーター120aを介してスマートメーター120cと通信する。
コンセントレーターデバイス110はスマートメーター120a及び120cを介してスマートメーター120gと通信する。
コンセントレーターデバイス110は同じくスマートメーター120a及び120cを介してスマートメーター120eと通信する。
コンセントレーターデバイス110は、スマートメーター120a、120c及び120eを介してスマートメーター120fと通信する。
【0072】
全域木内の各無線リンクは、親ノードと子ノードとの間に設定される。親ノードは、全域木の根に達するのに必要とするホップ数がより少ないノードである。例えば、スマートメーター120aと120cとの間の無線リンクについて考えると、スマートメーター120aは親ノードであり、スマートメーター120cは子ノードである。
【0073】
無線メッシュ通信ネットワーク100の各ノードは使用中の全域木を認識している。各ノードは、全域木において、自らと、自らの子部分木と、自らの親とを含む全域木部分のみを認識している場合もある。
1つのノードに関連する子部分木は、全域木のうち、検討対象のノードの全ての子ノードと、存在する場合にはそれぞれの子部分木とを含む部分を指している。例えば、図3に示される全域木では、ノード120cの子部分木は2つの枝を含み、第1の枝はノード120gを含み、第2の枝はノード120e及びその子ノード120fを含む。
親ノードと子ノードとの間の1つの無線リンクに関連する子部分木は、全域木のうち、上記子ノードと、存在する場合には上記子ノードの子部分木とを含む部分を指している。例えば、図3に示される全域木では、ノード120aと120cとの間の無線リンクの子部分木は、ノード120cと、2つの枝とを含み、第1の枝はノード120gを含み、第2の枝はノード120e及びその子ノード120fを含む。
【0074】
全域木は、その全域木の根ノードであるデータ収集デバイスと、無線メッシュ通信ネットワークの任意の他のノードとの間の経路を規定する。各経路は、各無線リンクがチャネル条件に関して双方向的であるときに、データ収集デバイスから検討対象のスマートメーターまでの連続的な無線リンクのみからなることができる。無線リンクがチャネル条件に関して双方向的でないときに、経路は、サーバーデバイス230から関係するスマートメーターまで、及び関係するスマートメーターからサーバーデバイス230までの連続的な無線リンクからなることができる。
【0075】
無線メッシュ通信ネットワークから全域木を構築する数多くのアルゴリズム及びプロトコルが、当業者によって知られている。本発明は動的に変化する全域木との関連で実施することができるが、本発明は、無線メッシュ通信ネットワークのノード間のルーティングを制限し、更にはそのルーティングの変更を回避することを目的としており、そのため、全域木はあらかじめ設定することができる。それゆえ、ここでは全域木の構築は更には詳述しない。
【0076】
図4Aは、コンセントレーターデバイス110のアーキテクチャを概略的に表す。コンセントレーターデバイス110は、図2に関連する任意のコンセントレーターデバイス110m(ただし、m=a、b又はc)に対応することができる。
【0077】
図示されるアーキテクチャによれば、コンセントレーターデバイス110は、通信バス306によって相互接続される以下の構成要素、すなわち、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラー又はCPU(中央処理装置)300と、RAM(ランダムアクセスメモリ)301と、ROM(読出し専用メモリ)302と、SD(セキュアデジタル)カードリーダー303、又は記憶手段上に格納された情報を読み取るように適合された任意の他のデバイスと、第1の通信インターフェース304及び第2の通信インターフェース305と、を備える。
【0078】
第1の通信インターフェース304によって、コンセントレーターデバイス110は、無線メッシュ通信ネットワーク100内の隣接するスマートメーターと無線通信できるようになる。
【0079】
第2の通信インターフェース305によって、コンセントレーターデバイス110は、サーバー230と通信できるようになる。
【0080】
CPU300は、ROM302、又はSDカードのような外部メモリからRAM301の中にロードされた命令を実行することができる。コンセントレーターデバイス110の電源投入後に、CPU300は、RAM301から命令を読み取り、これらの命令を実行することができる。それらの命令は、コンセントレーターデバイス110がデータ収集デバイスとしての役割を果たすときに、図6又は図5、図9及び図10に関して以下に説明されるアルゴリズムの幾つか又は全てのステップをCPU300に実行させる1つのコンピュータープログラムを形成する。
【0081】
図6又は図5、図9及び図10に関して以下に説明されるアルゴリズムのありとあらゆるステップは、コンセントレーターデバイス110がデータ収集デバイスとしての役割を果たすときに、PC(パーソナルコンピューター)、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)又はマイクロコントローラーのようなプログラム可能な計算機によって1組の命令又はプログラムを実行することにより、ソフトウェアにおいて実施することもできるし、そうでなければ、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)のような機械又は専用部品により、ハードウェアにおいて実施することもできる。
【0082】
図4Bは、サーバーデバイス230のアーキテクチャを概略的に表す。
【0083】
図示されるアーキテクチャによれば、サーバーデバイス230は、通信バス316によって相互接続される以下の構成要素、すなわち、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラー又はCPU310と、RAM311と、ROM312と、HDD(ハードディスクドライブ)313、又は記憶手段上に格納された情報を読み取るように適合された任意の他のデバイスと、通信インターフェース314と、を備える。
【0084】
通信インターフェース314によって、サーバーデバイス230は、コンセントレーターデバイス110a、110b、110cと通信できるようになる。
【0085】
CPU310は、ROM312、又はHDD313のような外部メモリからRAM311の中にロードされた命令を実行することができる。サーバーデバイス230の電源投入後に、CPU310は、RAM311から命令を読み取り、これらの命令を実行することができる。それらの命令は、CPU310に、図5、図9及び図10に関して以下に説明されるアルゴリズムの幾つか又は全てのステップを実行させる1つのコンピュータープログラムを形成する。
【0086】
図5、図9及び図10に関して以下に説明されるアルゴリズムのありとあらゆるステップは、PC、DSP又はマイクロコントローラーのようなプログラム可能な計算機によって1組の命令又はプログラムを実行することにより、ソフトウェアにおいて実施することもできるし、そうでなければ、FPGA又はASICのような機械又は専用部品により、ハードウェアにおいて実施することもできる。
【0087】
図4Cは、スマートメーター120のアーキテクチャを概略的に表す。スマートメーター120は、図1に関連する任意のスマートメーター120i(ただし、i=a,b,...,g)に対応する。
【0088】
図示されるアーキテクチャによれば、スマートメーター120は、通信バス406によって相互接続される以下の構成要素、すなわち、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラー又はCPU400と、RAM401と、ROM402と、SDカードリーダー403、又は記憶手段上に格納された情報を読み取るように適合された任意の他のデバイスと、通信インターフェース404と、計量インターフェース405と、を備える。
【0089】
第1の通信インターフェース404によって、スマートメーター120は無線メッシュ通信ネットワーク100又は200内の任意の隣接するデバイスと無線通信できるようになり、上記隣接するデバイスは別のスマートメーター又はコンセントレーターデバイスのいずれかである。
【0090】
計量インターフェース405によって、スマートメーター120は、監視、測定、及び電気消費量データ又は水消費量データのようなデータ収集を実行できるようになる。計量インターフェース405によって、スマートメーター120は、監視されるシステムにコマンドを送信できるようになる。
【0091】
CPU400は、ROM402、又はSDカードのような外部メモリからRAM401の中にロードされた命令を実行することができる。スマートメーターデバイス120の電源投入後に、CPU400は、RAM401から命令を読み取り、これらの命令を実行することができる。それらの命令は、CPU400に、図6に関して以下に説明されるアルゴリズムの幾つか又は全てのステップを実行させる1つのコンピュータープログラムを形成する。
【0092】
図6に関して以下に説明されるアルゴリズムのありとあらゆるステップは、PC、DSP又はマイクロコントローラーのようなプログラム可能な計算機によって1組の命令又はプログラムを実行することにより、ソフトウェアにおいて実施することもできるし、そうでなければ、FPGA又はASICのような機械又は専用部品により、ハードウェアにおいて実施することもできる。
【0093】
図5は、データを収集するためのデータ収集デバイスによって実行されるアルゴリズムを概略的に表す。データ収集デバイスは、通信ネットワーク200の範囲内ではサーバーデバイス230であり、通信ネットワーク100の範囲内ではコンセントレーターデバイス110である。以下において、データ収集デバイスがサーバーデバイス230である場合について考える。アルゴリズムはステップS500において開始する。
【0094】
次のステップS501において、サーバーデバイス230は、データを収集するための収集段階のスケジューリングシーケンスを決定する。サーバーデバイス230は、任意にシーケンスを決定することも、初期シーケンスを適用することもできる。
【0095】
サーバーデバイス230は、一度に1つのスマートメーターに対して、収集されるべきデータを要求することが好ましい。しかしながら、サーバーデバイス230は、一度に幾つかのスマートメーターに対して、収集されるべきデータを要求することもできる。それは、サーバーデバイス230が、別の要求を開始する前に、1つの要求に対する応答又は送信障害通知を受信するのを待つことが好ましいことを意味する。
【0096】
しかしながら、サーバーデバイス230は、一度に全てではないが、一度に幾つかのスマートメーターに対して、収集されるべきデータを要求することもできる。
第1の例によれば、図3に示される全域木において、サーバーデバイス230は、スマートメーター120aの子部分木内にあるスマートメーター120c、120e、120f及び120gに対して、収集されるべきデータを同時に要求することができる。
これを達成するために、サーバーデバイス230は、上記データの収集要求を送信することができ、上記要求は、その要求が全域木の或る部分に関するデータの収集に関係していること示す要求識別子と、スマートメーター120cの識別子とを含む。
スマートメーター120cは、そのような要求を受信すると、その要求をスマートメーター120gに、及びスマートメーター120eに転送し、サーバーデバイス230に向かって、自らのデータを含む応答を送信する。
それゆえ、サーバーデバイス230は、全域木の一部分に対して、収集されるべきデータを要求することができ、その部分は所与のノードの子部分木内、又は所与のリンクの子部分木内にある全てのノードに対応する。
第2の例によれば、図3に示される全域木において、サーバーデバイス230は、スマートメーター120dに対して、収集されるべきデータを要求することができ、その後、スマートメーター120dからのいかなる応答も待つことなく、スマートメーター120fに対して、収集されるべきデータを要求することができる。
それゆえ、サーバーデバイス230は、重なり合うデータ収集段階において、全域木の異なる分岐内のスマートメーターに対して、収集されるべきデータを要求することができる。
全域木の異なる枝内のスマートメーターに宛てることは、それぞれの経路が共通の無線リンクを共有するスマートメーターに対してデータを要求することに比べて、データ送信中に起こり得る送信衝突を制限する。
【0097】
以下に、サーバーデバイス230が、一度に1つのスマートメーターに対して、収集されるべきデータを要求する場合について考える。
【0098】
例えば、サーバーデバイス230は、図7Aに示されるようなスケジューリングシーケンスを決定する。
【0099】
図7Aは、
−スマートメーター120aに対してデータを要求するためのデータ収集段階700aと、その後に、
−スマートメーター120bに対してデータを要求するためのデータ収集段階700bと、その後に、
−スマートメーター120cに対してデータを要求するためのデータ収集段階700cと、その後に、
−スマートメーター120eに対してデータを要求するためのデータ収集段階700eと、その後に、
−スマートメーター120fに対してデータを要求するためのデータ収集段階700fと、その後に、
−スマートメーター120gに対してデータを要求するためのデータ収集段階700gと、その後に、
−スマートメーター120dに対してデータを要求するためのデータ収集段階700dと、を含むスケジューリングシーケンスを示す。
【0100】
各データ収集段階700i(ただし、i=a,b,...,g)は、収集デバイスからスマートメーター120iへのデータ収集要求のダウンリンク送信と、スマートメーター120iから収集デバイスへの、上記データ収集要求に対する応答のアップリンク送信とを含む。メッセージのダウンリンク送信及びアップリンク送信という用語は、全域木の根ノードの位置に対する全域木に沿ったメッセージの伝搬に関連して用いられ、すなわち、根ノードに向かって伝搬するメッセージはアップリンク送信であるとみなされ、逆方向に伝搬するときに、ダウンリンク送信であるとみなされる。
【0101】
図5に戻ると、次のステップS502において、サーバーデバイス230は、少なくとも1つの要求が使用中のスケジューリングシーケンスに従ってまだ送信されていないか否かを調べる。少なくとも1つの要求が使用中のスケジューリングシーケンスに従ってまだ送信されていないとき、サーバーデバイス230はステップS504を実行し、そうでない場合には、アルゴリズムはステップS503において終了する。
【0102】
ステップS504において、サーバーデバイス230は、使用中のスケジューリングシーケンスに従って、次の要求を順次に送信する。例えば、データ収集段階700aに対応する応答がサーバーデバイス230によって受信されているとき、図7Aのスケジューリングシーケンスに従って、シーケンス内の次の要求がスマートメーター120bに宛てられる。
【0103】
全域木に沿ってサーバーデバイス230によって送信される各データ収集要求は、
そのメッセージがそのようなデータ収集要求であることを示すとともに、応答においてどのタイプのデータを受信することが期待されているかを示す識別子と、
その要求が宛てられる単数又は複数のスマートメーターの識別子と
を少なくとも含むメッセージである。
【0104】
次のステップS505において、サーバーデバイス230は、ステップS504において送信された要求に対する応答が受信されたか否かを調べる。そのような応答が受信されると、サーバーデバイス230は、関係するスマートメーターから収集されたデータを格納するとともに、使用中のスケジューリングシーケンスに従ってシーケンス内の次の要求を送信することによって、ステップS504を繰り返す。応答が受信されないとき、サーバーデバイス230は、ステップS506を実行する。
【0105】
ステップS506において、サーバーデバイス230は、送信問題があるか否かを調べる。
【0106】
そのような送信問題は、図6に関して以下に詳述されるような、無線メッシュ通信ネットワークの1つのノードからサーバーデバイス230によって受信される無線リンク障害メッセージ(WLFM)に従って、検出することができる。
【0107】
送信問題が生じているときに、サーバーデバイス230はステップS507を実行し、そうでない場合には、サーバーデバイス230はステップS505を繰り返す。
【0108】
ステップS507において、サーバーデバイス230は、送信問題が検出された無線リンクを特定する。
【0109】
次のステップS508において、サーバーデバイス230は、ステップS506において送信問題が検出された無線リンクを含む、全域木内の各経路を特定する。言い換えると、サーバーデバイス230は、その時点で規定されている全域木に従って要求及び応答をルーティングするときに、送信問題に起因して達するのが困難な場合があるスマートメーターを特定する。
【0110】
次のステップS509において、サーバーデバイス230は、
ステップS508において特定された経路に対応するスマートメーターに宛てられた要求を延期するとともに、ステップS506において送信問題が検出された無線リンクを含まない経路に対応する個々のスマートメーターに宛てられた少なくとも1つの要求を繰り上げることによって(by putting forward)、
スケジューリングシーケンスを変更する。
【0111】
スケジューリングシーケンスにおいて全てのデータ収集段階がインデックスを付される場合について考えると、延期される各データ収集段階のインデックスを増加させ、かつ繰り上げられる各データ収集段階のインデックスを減少させることによって、スケジューリングシーケンスの変更を管理することができる。
【0112】
延期されることなる1組のデータ収集段階は、先行するスケジューリングシーケンスにおいて規定されるのと同じ相対的なシーケンス順序において延期されることが好ましい。言い換えると、スケジューリングシーケンスにおいてこれらのデータ収集段階がシフトされる場合であっても、これらのデータ収集段階の順序は互いに相対的に維持される。それらの個々のインデックスは共通のシフト値だけ増加する。
【0113】
図7Bは、
−スマートメーター120gに対してデータを要求するためのデータ収集段階700gと、その後に、
−スマートメーター120eに対してデータを要求するためのデータ収集段階700eと、その後に、
−スマートメーター120fに対してデータを要求するためのデータ収集段階700fと、その後に、
−スマートメーター120dに対してデータを要求するためのデータ収集段階700dと、
を含む、変更されたスケジューリングシーケンスを示す。
【0114】
データ収集段階700gの直後に再スケジューリングされるようにデータ収集段階700e及び700fを延期するとともに、データ収集段階700gを繰り上げることによってスケジューリングシーケンスを変更した場合、データ収集段階700g中に送信障害が生じた場合を除いて、データ収集段階700gが終了するとデータ収集段階700e及び700fが再試行される。
データ収集段階700g中にそのような送信障害が生じる場合には、データ収集段階700gの前にデータ収集段階700e及び700fを再試行することによって、スケジューリングシーケンスを再び変更することができる。
それゆえ、データを収集するのに必要な時間は短縮され、全てのスマートメーターからデータを収集するのに必要な最小時間期間に比べて送信問題の持続時間が短いときに全域木の変更は必要とされない。
【0115】
別の特定の実施形態によれば、データ収集段階において1つの無線リンク上で送信障害が生じる場合には、その無線リンクを含む経路に対応する全てのデータ収集段階が上記スケジューリングシーケンスの終了まで同じ順序において延期され、他の全てのデータ収集段階が同じ順序において繰り上げられる。これが図7Cに示される。
この第2の例によれば、サーバーデバイス230は、図7Aに示されるスケジューリングシーケンスを変更し、図7Bに示されるスケジューリングシーケンスを取得する。そのスケジューリングシーケンスでは、データ収集段階700a、700b及び700cの実行に成功したと考えられる。
【0116】
図7Cは、
−スマートメーター120gに対してデータを要求するためのデータ収集段階700gと、その後に、
−スマートメーター120dに対してデータを要求するためのデータ収集段階700dと、その後に、
−スマートメーター120eに対してデータを要求するためのデータ収集段階700eと、その後に、
−スマートメーター120fに対してデータを要求するためのデータ収集段階700fと、
を含む、変更されたスケジューリングシーケンスを示す。
【0117】
データ収集段階700e及び700fを延期し、かつデータ収集段階700g及び700dを繰り上げることによってスケジューリングシーケンスを変更した場合、スマートメーター120aと120cとの間の無線リンク上での送信問題に関係しないノードから収集されるべきデータを最初に要求するために、データ収集段階の順序が再び変更される。それゆえ、データを収集するのに必要な時間期間は短縮され、全てのスマートメーターからデータを収集するのに必要な最小時間期間に比べて送信問題の持続時間が短いときに全域木の変更は不要である。
【0118】
更に別の特定の実施形態では、データ収集段階において1つの無線リンク上で送信障害が生じる場合、その無線リンクを含む経路に対応する全てのデータ収集段階が同じ相対的なインデックス差で延期され、所定のインデックス増加分シフトされる。
【0119】
延期されるデータ収集段階のインデックス増加は、デフォルト値にあらかじめ規定することができる。
【0120】
1つの変形形態では、延期されるデータ収集段階のインデックス増加は、無線メッシュ通信ネットワーク内の送信条件の先行する変動についての統計値に従って適合することができる。言い換えると、サーバーデバイス230は、ノードごとに、スライディング時間窓において、上記ノードを介した又は上記ノードへの送信成功率を表す統計値を求め、その後、求められた統計値を所定の値と比較し、その比較結果に従ってインデックス増加を変更する。
所定の幅を有するスライディング時間窓について考える。
サーバーデバイス230は、スライディング時間窓中の、各ノードへの又は各ノードを介しての送信の成功回数をカウントすることができる。
また、サーバーデバイス230は、スライディング時間窓中の、各ノードへの又は各ノードを介しての送信の失敗回数、又はスライディング時間窓中の、各ノードへの又は各ノードを介した送信の全試行回数もカウントすることができる。
その後、サーバーデバイス230は、スライディング時間窓中の、各ノードへの又は各ノードを介した送信の平均成功率を求めることができる。
その後、サーバーデバイス230は、経時的に、この送信平均成功率の変化を解析することができる。
この平均成功率が、先行する値に比べて減少するとき、それは、送信条件が悪くなっており、サーバーデバイス230が、延期されるデータ収集段階のインデックスがシフトされる値を増加させるとの結論を下すことができることを意味し、
この平均成功率が、先行する値に比べて増加するとき、それは、送信条件が良くなっており、サーバーデバイス230が、延期されるデータ収集段階のインデックスがシフトされる値を減少させるとの結論を下すことができることを意味する。
1つの変形形態では、この平均成功率がしきい値よりも低いとき、それは、送信条件が不良であり、サーバーデバイス230が、延期されるデータ収集段階のインデックスがシフトされる値を増加させるとの結論を下すことができることを意味し、
この平均成功率がしきい値以上であるとき、それは、送信条件が良好であり、サーバーデバイス230が、延期されるデータ収集段階のインデックスがシフトされる値を減少させるとの結論を下すことができることを意味する。
【0121】
別の変形形態では、延期されるデータ収集段階のインデックス増加は、データ収集段階の2回の試行間で異なる場合がある。例えば、全域木の葉であるスマートメーターに関係するデータ収集段階中に、或る障害が検出される。ただし、葉は、子部分木を持たないノードである。その際、インデックスシフト値S1を適用してこのデータ収集段階を延期し、変更されたスケジューリングシーケンスに従ってその順番でデータ収集段階が再試行される。データ収集段階のこの再試行中に障害が検出される場合には、インデックスシフト値S2を適用して、そのデータ収集段階を再度延期する。ただし、S2>S1である。
【0122】
更に別の変形形態では、延期されるデータ収集段階のインデックス増加は、同じ地理的エリア内の全てのスマートメーターの場合に同一とすることができる。その際、サーバーデバイス230は、それらの個々の地理的位置に応じて、スマートメーターのグループを維持する。
スマートメーターの地理的位置は、GPSを用いて入手することもできるし、システム導入時にプリセットすることもできる。スマートメーターの地理的位置を特定するために、例えば、三角測量に基づく他の機構を実装することもできる。
その際、同じインデックス増加を、所与の地理的エリアの全てのスマートメーターに適用することができる。このインデックス増加は、既に説明されたように、経時的に変化する場合があるが、所与の地理的エリアの全てのスマートメーターの場合に等しく変化する。
所与のノードへの経路に関して上記で言及された統計値を求めることができ、その統計値を上記ノードの地理的エリア内のノードへの全ての経路に対して適用することができる。また、サーバーデバイス230は、所与の地理的エリアの任意のノードを介した又は任意のノードへの送信成功率を計算することによって、スライディング窓内で統計値を求めることもできる。
【0123】
図5に戻ると、サーバーデバイス230は、スケジューリングシーケンスを変更すると、ステップS502を繰り返し、それゆえ、変更されたスケジューリングシーケンスに従って要求を送信し続ける。
【0124】
図5Bのアルゴリズムは例示であり、本発明から逸脱することなく変更できることに留意されたい。
より詳細には、サーバーデバイス230は、前回の要求の送信時又はそれぞれの応答の送信時に送信障害は生じないが、ノード間の別のメッセージの送信中に送信障害が検出されたか又は無線リンク品質の低下が検出された場合に、使用中のスケジューリングシーケンスを変更することができる。
その後、そのような送信障害又は無線リンク品質の低下は、進行中のデータ収集段階700i(ただし、i=a,b,...,g)とは無関係に、ノードによってサーバーデバイス230に報告することができる。
【0125】
別の実施形態では、スケジューリングシーケンスは、データ収集段階を開始するタイミングを規定することができる。したがって、スケジューリングシーケンスは、各データ収集段階が始まると予想される時点を規定することができる。図7Dは連続したデータ収集段階700iのスケジューリングシーケンスを示す。ただし、i=a,b,...,gであり、個々のデータ収集段階は時点710iにおいて開始する。それゆえ、データ収集段階の延期は、時間遅延に関して表すことができ、関係するデータ収集段階の新たな開始時点を規定することができる。
【0126】
各データ収集段階の最大許容持続時間(すなわち、上記データ収集段階の開始時点と、シーケンス内の次のデータ収集段階の開始時点との間の時間差)は、上記収集段階に対して特に規定することができ、別のデータ収集段階の最大許容持続時間とは異なることができる。
例えば、データ収集段階の最大許容持続時間は、関係する経路の長さに従って規定することができ、それゆえ、関係する経路内のホップ数に、1ホップあたりの時間期間基準値を乗算することによって規定することができる。1ホップあたりの時間期間基準値は、1つのノードによってメッセージを処理し、そのメッセージを上記ノードから隣接するノードに伝達するための最大許容時間期間に対応する。
【0127】
それゆえ、データ収集段階の延期は、そのデータ収集段階が終了すると最初に予想された時点に所定の遅延を加算することによって実行することができる。
【0128】
その後、サーバーデバイス230は、どのデータ収集段階(複数の場合もあり)がこの遅延内に収まることができるかを求め、求められたデータ収集段階(複数の場合もあり)を、変更後のスケジューリングシーケンスにおいて、遅延したデータ収集段階前にスケジューリングされるように繰り上げることができる。
【0129】
適用される遅延は、デフォルト値にあらかじめ規定することができる。
【0130】
その遅延は、伝搬チャネルの統計的特性から推定することができる。実際には、固定された隣接ノード間の通信の場合、動いている散乱体によって、チャネル時間変動が引き起こされる。時間の経過に伴うチャネルの相関は、散乱体の位置及びその速度の関数であり、近似として、搬送波周波数fc、信号帯域幅、光の速さc、及び1組の散乱体の等価速度νの関数である。一般的な経験則は、コヒーレンス時間は0.5の無相関を与える時間遅延によって定義され、それは0.423・c/(ν・fc)によって近似できることを示す。例えば、0.12m/sに等しい散乱体平均速度について(これは、いくつかの散乱体が高速で動いていることを示している)考えるとき、コヒーレンス時間は約1秒である。このコヒーレンス時間は、任意に選択することもできるし、ノードにおける測定値から推定することもできる。
【0131】
1つの変形形態では、遅延は、ランダムフェージング変数が所与のしきい値未満である平均時間と定義される、フェージング変数の平均フェード持続時間から計算される。実際には、無線リンク上で送信されるシングルキャリアの誤りの確率は、通常、瞬時SNRρが減少するときに上昇する。瞬時SNRρiは、長期SNRρl×|α|2によって定義される。ただし、αは瞬時フェージング変数である。したがって、ρiが所与のしきい値Th未満に降下するたびに、誤りの確率は、値Ptargetより高くなる。この状況は、|α|2<Th/ρlであるときに生じ、αの分布から計算又は測定することができる平均持続時間を有する。例えば、|α|がレイリー分布を有するとき、平均フェード持続時間は、以下の通りである。
【数1】

【0132】
所見として、平均フェード持続時間は、無線リンクによって異なものであり、
ノードからサーバーデバイス230に送信される長期ρlの測定値から、及び
ノードが任意に選択することができるか、又はノードが測定してサーバーデバイス230に与えることができる高速フェージングαの分布から
計算することができる。
【0133】
別の変形形態では、適用される遅延は、送信問題の先行する持続時間の統計値に従って適応させることができる。言い換えると、サーバーデバイス230は、ノードごとに、スライディング時間窓において、上記ノードを介した又は上記ノードへの送信成功率を表す統計値を求め、その後、求められた統計値を所定の値と比較して、その比較結果に従って、適用される遅延を変更する。
既に言及されたスライディング時間窓について考える。
その際、サーバーデバイス230は、スライディング時間窓中の、各ノードへの又は各ノードを介した送信の平均成功率を求めることができる。
その後、サーバーデバイス230は、経時的に、この送信平均成功率の変化を解析することができる。
この平均成功率が、先行する値に比べて減少するとき、それは、送信条件が悪くなっており、サーバーデバイス230が、適用される遅延を増加させるとの結論を下すことができることを意味し、
この平均成功率が、先行する値に比べて増加するとき、それは、送信条件が良くなっており、サーバーデバイス230が、適用される遅延を減少させるとの結論を下すことができることを意味する。
1つの変形形態では、この平均成功率がしきい値よりも低いとき、それは、送信条件が不良であり、サーバーデバイス230が、適用される遅延を増加させるとの結論を下すことができることを意味し、
この平均成功率がそのしきい値以上であるとき、それは、送信条件が良好であり、サーバーデバイス230が、適用される遅延を減少させるとの結論を下すことができることを意味する。
【0134】
更に別の変形形態では、適用される遅延は、1つのデータ収集段階の2回の試行間で異なる場合がある。例えば、全域木の葉であるスマートメーターに関係するデータ収集段階中に、或る障害が検出される。ただし、葉は、子部分木を持たないノードである。その際、遅延D1を適用してこのデータ収集段階を延期し、その遅延が経過すると、そのデータ収集段階が再試行される。データ収集段階のこの再試行中に障害が検出される場合には、遅延D2を適用して、そのデータ収集段階を再度延期する。ただし、D2>D1である。
【0135】
更に別の変形形態では、適用される遅延は、同じ地理的エリア内の全てのスマートメーターの場合に同一とすることができる。それゆえ、所与の地理的エリアの全てのスマートメーターに対して同じ遅延を適用することができる。この遅延は、既に説明されたように、経時的に変化する場合があるが、所与の地理的エリアの全てのスマートメーターの場合に等しく変化する。
所与のノードへの経路に関して、上記で言及された統計値を求めることができ、その統計値を上記ノードの地理的エリア内のノードへの全ての経路に対して適用することができる。
また、サーバーデバイス230は、所与の地理的エリアの任意のノードを介した又は任意のノードへの送信成功率を計算することによって、スライディング窓内で、統計値を求めることもできる。
【0136】
更に別の実施形態では、サーバーデバイス230は、各要求に、その要求を繰り上げることができるか否かを示す情報を関連付ける。
その情報は、その値未満では要求をスケジューリングすることが可能でないしきい値も更に示すことができ、サーバーデバイス230が1つの要求を繰り上げようと試みるときに、そのサーバーデバイス230は最初に、どの要求を繰り上げることができるかを調べるとともに、しきい値を用いて、そのような要求をどの程度繰り上げることが可能であるかを調べる。
このしきい値は、そのしきい値が関連付けられる要求の実際のスケジュールタイミング又はインデックスと比べた相対値として表すことができる。この実施形態によれば、スケジューリングシーケンスの前回の変更時に既に延期されている要求を繰り上げるのを避けられるようになる。この実施形態は、図9及び図10に関して後に更に説明される。
【0137】
図6は、無線メッシュ通信ネットワーク100若しくは200のスマートメーター120によって、又は無線メッシュ通信ネットワーク200のコンセントレーターデバイス110によって実行されるアルゴリズムを概略的に表す。以下では、そのアルゴリズムがスマートメーター120によって実行されると考える。そのアルゴリズムはステップS600において開始する。
【0138】
次のステップS601において、スマートメーター120は、サーバーデバイス230から要求を受信する。その要求は、サーバーデバイス230から直接受信することもできるし、スマートメーター120の親ノードを介して間接的に受信することもできる。
【0139】
次のステップS602において、スマートメーター120は、その要求が正しく受信されたか否かを調べる。例えば、スマートメーター120は、その要求内に含まれるCRC(巡回冗長検査)フィールドを用いてその要求の整合性を調べる。その要求が正しく受信された場合には、スマートメーター120はステップS605を実行する。そうでない場合には、スマートメーター120はステップS603を実行する。
【0140】
ステップS603において、スマートメーター120は、全域木内の親ノードを介して、サーバーデバイス230に無線リンク障害メッセージ(WLFM(Wireless Link Failure Message))を送信する。送信されたWLFMは、その要求がスマートメーター120によって正しく受信されなかったことを示す。それゆえ、WLFMは、送信障害が検出された無線リンクを特定する。その後、アルゴリズムはステップS615において終了する。
【0141】
WLFMメッセージはサーバーデバイス230と無線メッシュ通信ネットワークのノードとの間のシグナリングメッセージであり、既に説明されたような、MAC層において2つの隣接するノード間で送信される場合があるACK/NACKとは異なることに留意されたい。
【0142】
ステップS605において、スマートメーター120は受信された要求が自らに宛てられたか、又は自身の子部分木内に位置するスマートメーターに宛てられたかを調べる。スマートメーター120は、この情報をスマートメーターの識別子から、又はステップS504においてサーバーデバイス230によって送信された要求に含まれる、その要求が宛てられたスマートメーターから入手する。
全域木、又は少なくとも自らと、自らの親ノードと、自らの子部分木とを含む全域木の部分を認識しているスマートメーター120は、その要求が、自らに宛てられたか、又は別のスマートメーターに宛てられたかを、及びその別のスマートメーターが自身の子部分木内に位置するか否かを特定することができる。
受信されたメッセージが自らに宛てられたとき、スマートメーター120は、ステップS606を実行する。そうでない場合には、スマートメーター120はステップS607を実行する。
【0143】
ステップS606において、スマートメーター120は、サーバーデバイス230によって要求されたデータを検索し、検索されたデータを含む応答を構成し、その応答を自らの親ノードに送信する。その後、そのアルゴリズムはステップS615において終了する。
【0144】
ステップS607において、スマートメーター120は、要求が宛てられたスマートメーターに達するためのホップ数を求める。スマートメーター120が全域木を、それゆえ、全域木内の各ノードの位置を認識しているとき、スマートメーター120は上記ホップ数を求めることができる。
【0145】
次のステップS608において、スマートメーター120は、タイムアウトを設定する。このタイムアウトはステップS601において受信された要求に関連付けられる。このタイムアウトの持続時間は、少なくともステップS607において求められたホップ数に従って計算される。スマートメーター120は、タイムアウトの持続時間を計算するために、1つのノードから隣接するノードまでの最大送信時間、1つのノードから隣接するノードまでの最大許容再送回数、及び1つのノードにおいて最大許容メッセージ処理時間期間を考慮に入れることができる。
【0146】
好ましい実施形態では、スマートメーター120は、求められたホップ数に、既に言及された1ホップあたりの基準時間期間値を掛けることによってタイムアウト持続時間を得る。ホップあたりの基準時間値はサーバーデバイス230によって与えることもできるし、スマートメーター120の隣接するノードとの送信の長期的な統計値に基づいて、スマートメーター120自体によって推定することもできる。
【0147】
次のステップS609において、スマートメーター120は、受信された要求を、受け手、すなわち、ステップS504で、要求においてサーバーデバイス230によって特定されるスマートメーターに向かって転送する。それゆえ、スマートメーター120は、受信された要求を、全域木に従って受け手に向かう途中にある次のスマートメーターに転送する。ただし、次のスマートメーター自体が受け手である場合もある。
【0148】
次のステップS610において、スマートメーター120は或るイベントを検出するのを待ち、そのイベントは、ステップS609において実行された送信が失敗したというMAC層からの指示(MAC_ERR)の受信、WLFMの受信、要求に対する受け手からの応答(RESP)の受信、又はステップS608において設定されたタイムアウト(TO)の満了とすることができる。
【0149】
図6のアルゴリズムが実施されたスマートメーター120の層が、スマートメーター120のMAC層から、中継しようと試みられた要求がその応答において少なくとも1つの否定応答を生成したことを示す通知(MAC_ERR)を受信するとき、ステップS613が実行される。
【0150】
ステップS609において転送された要求は、
スマートメーター120からその要求の受け手までの途中にある1つのスマートメーターによって正しく受信されないとき、又は
その要求に対する応答が、その要求の受け手からスマートメーター120までの途中にある1つのスマートメーターによって正しく受信されないとき、又は
所定の時間期間内に、その要求の受け手からスマートメーター120までの途中にある1つのスマートメーターによって応答もWLFMも受信されなかったときに、
スマートメーター120によってWLFMが受信される。
WLFMが受信されると、スマートメーター120はステップS612を実行する。
【0151】
ステップS608において設定されたタイムアウトは、ステップS609において転送された要求の受け手に向かう途中にある次のスマートメーターから、又は次のスマートメーターを介して、RESPもWLFMも受信されないときに満了する。
タイムアウトが満了するとき、それは、その要求が中継された無線リンク上で、又はこの無線リンクの子部分木内で送信障害が検出されることを意味する。
ステップS608において設定されたタイムアウトは、送信障害が生じた無線リンクを特定する精度を高めるために、タイムアウトが満了する前に、受け手に向かう経路上にある子部分木のいずれかのノードからそのようなWLFMを受信することを可能にするように適合されることが好ましい。
その結果として、スマートメーター120は、ステップS613を実行する。
【0152】
受け手から要求に対する応答(RESP)が受信されると、スマートメーター120はステップS614を実行する。
【0153】
ステップS612において、スマートメーター120は、受信されたWLFMを、自らの親ノードを介してサーバーデバイス230に向かって転送し、ステップS615においてアルゴリズムは終了する。
【0154】
ステップS613において、スマートメーター120は、WLFMを生成するとともに、自らの親ノードを介してそのWLFMをサーバーデバイス230に向かって送信し、ステップS615においてアルゴリズムは終了する。
【0155】
スマートメーター120によって生成されたWLFMは、1つの要求、又はこの要求に対する応答の送信中に、スマートメーター120の子部分木に対応する全域木の部分において生じた送信障害を表す。その際、WLFMは、スマートメーター120が上記要求の中継を試みた無線リンクのインジケーションを含む。検出されたリンク障害によって影響を受ける全域木の経路は、特定された無線リンクの子部分木のいずれかのノードを含む経路である。
【0156】
それゆえ、WLFMは、送信障害が検出された無線リンクを特定するが、WLFMは特定された無線リンクの子部分木の別の無線リンク上で生じた場合もある。
【0157】
スマートメーター120がサーバーデバイス230に向かってWLFMを送信すると、ステップS615においてそのアルゴリズムは終了する。
【0158】
好ましい実施形態では、サーバーデバイス230によって収集されることになり、かつスマートメーター120によって与えられるデータが、スマートメーター120によってサーバーデバイス230にまだ与えられていない場合、スマートメーター120によって生成又は転送されるWLFMはそのデータも含む。
これにより、サーバーデバイス230によってスマートメーター120に明確に宛てられた要求を受信するのを待つことに比べて、プロトコルオーバーヘッドを制限できるようになり、サーバーデバイス230によってデータを収集するための全レイテンシが短縮される。
【0159】
ステップS614において、スマートメーター120は、サーバーデバイス230に向かって応答(RESP)を転送する。その結果として、ステップS608において設定されたタイムアウトは無効にされる。その後、ステップS615においてアルゴリズムは終了する。
【0160】
図9は、スケジューリングシーケンスを変更するためにデータ収集デバイスによって実行されるアルゴリズムを概略的に表す。そのデータ収集デバイスは、通信ネットワーク200の範囲内ではサーバーデバイス230であり、通信ネットワーク100の範囲内ではコンセントレーターデバイス110である。以下において、データ収集デバイスがサーバーデバイス230であると考える。
【0161】
ステップS901において、サーバーデバイス230は、図5に関して上記で既に説明されているように、無線リンク障害又は送信問題を検出する。
【0162】
次のステップS902において、サーバーデバイス230は、スケジューリングシーケンスにおいて延期される要求を特定する。これらの要求は、ステップS901において検出された無線リンク障害又は送信問題によって影響を受ける経路に対応する。サーバーデバイス230は更に、いくつの要求が延期される必要があるかを判断する。Nを延期される要求の数とする。また、サーバーデバイス230は、延期されるシーケンス内の最初の要求に対して適用されるシフト値Tも得る。
【0163】
次のステップS903において、サーバーデバイス230は、繰り上げられる、スケジューリングシーケンス内のタグ付けされていない要求を特定する。タグは、要求を繰り上げることが可能であるか否かを示すために用いられる。
要求に関連付けられるタグが、その要求を繰り上げることが可能でないことを示すとき、サーバーデバイス230は、変更されたスケジューリングシーケンスにおいて、この要求のインデックスがスケジューリングシーケンスの変更前のそのインデックスよりも小さくないことを確実にするか、又は変更されたスケジューリングシーケンス内でその要求の送信がスケジューリングされる時点が、スケジューリングシーケンスの変更前にその要求の送信がスケジューリングされた時点よりも早くないことを確実にする。
【0164】
サーバーデバイス230は、シフト値Tによって規定される時間フレーム内で繰り上げることが可能である少なくともN個の要求を最適に見つける必要がある。
【0165】
例えば、図8Aにおいて概略的に表されるスケジューリングシーケンスについて考える。図8Aは、9つの連続したデータ収集段階800kを含むスケジューリングシーケンスを概略的に表す。ただし、k=a,b,...,iである。
データ収集段階800a中に無線リンク障害が検出され、データ収集段階800a、800c及び800dが延期される必要がある。
シフト値Tによって、データ収集段階800aに関して、少なくとも5単位に等しいインデックス増加が生じる。
データ収集段階800c及び800dは、その相対的な順序を維持するために、データ収集段階800a後に再スケジューリングされるものとすることが考えられる。
データ収集段階800gは、繰り上げることが可能でないものとしてタグ付けされていると考えられる一方で、データ収集段階800b、800e、800f、800h、800iは繰り上げることが可能でないものとしてタグ付けされてされない。
スケジューリングシーケンスを変更する結果として、図8Bに概略的に表されるスケジューリングシーケンスが生じることができる。図8Bは、変更されたスケジューリングシーケンスを概略的に表しており、そのスケジューリングシーケンスでは、データ収集段階800bがあり、その後に、データ収集段階800eがあり、その後に、データ収集段階800fがあり、その後に、データ収集段階800hがあり、その後に、データ収集段階800iがあり、その後に、データ収集段階800aがあり、その後に、データ収集段階800cがあり、その後に、データ収集段階800dがあり、その後に、データ収集段階800gがある。
それゆえ、データ収集段階800a、800c及び800dの延期を補償するために、データ収集段階800gは繰り上げられていない。
【0166】
図9に戻ると、次のステップS904において、サーバーデバイス230は、ステップS901において特定された要求を延期するとともにステップS903において特定された要求を繰り上げることによって、スケジューリングシーケンスを変更する。
【0167】
次のステップS905において、サーバーデバイス230は、延期された要求に、繰り上げることが可能でない要求としてタグ付けする。図8Bを参照すると、その結果、データ収集段階800a、800b、800c及び800dは、繰り上げることが可能でないものとしてタグ付けされる。
【0168】
図10は、スケジューリングシーケンスを変更するためにデータ収集デバイスによって実行される別のアルゴリズムを概略的に表す。そのデータ収集デバイスは、通信ネットワーク200の範囲内ではサーバーデバイス230であり、通信ネットワーク100の範囲内ではコンセントレーターデバイス110である。以下において、データ収集デバイスがサーバーデバイス230であると考える。
【0169】
ステップS1001において、サーバーデバイス230は、図5に関して上記で既に説明されているように、無線リンク障害又は送信問題を検出する。
【0170】
次のステップS1002において、サーバーデバイス230は、スケジューリングシーケンスにおいて延期される要求を特定する。これらの要求は、ステップS1001において検出された無線リンク障害又は送信問題によって影響を受ける経路に対応する。
サーバーデバイス230は更に、いくつの要求が延期される必要があるかを判断する。Nを延期される要求の数とする。
また、サーバーデバイス230は、延期されるシーケンス内の任意の要求に対して適用されるシフト値Tも得る。
【0171】
次のステップS1003において、サーバーデバイス230は、シフト値Tに適合する関連する制約値Δを有するとともにステップS1002において特定されないスケジューリングシーケンス内の要求を特定する。この制約値Δを用いて、関連する要求に適用することができるインデックス減少幅を示す。
要求に関連付けられる制約値Δが、その要求をnに等しいインデックス減少分だけ繰り上げることが可能であることを示すとき、サーバーデバイス230は、変更されたスケジューリングシーケンスにおいて、この要求のインデックスが、スケジューリングシーケンスの変更前のインデックス−nよりも小さくないことを確実にする。
【0172】
同じ原理は、インデックス基準の代わりに、時間基準にも適用することができる。サーバーデバイス230は、シフト値Tによって規定される時間フレーム内で繰り上げることが可能である少なくともN個の要求を最適に見つける必要がある。
【0173】
例えば、図8Cにおいて概略的に表されるスケジューリングシーケンスについて考える。図8Cは、図8Aのスケジューリングシーケンスと同様に9つの連続したデータ収集段階800kを含むスケジューリングシーケンスを概略的に表す。ただし、k=a,b,...,iである。
データ収集段階800a中に無線リンク障害が検出され、データ収集段階800a、800c及び800dが延期される必要がある。
シフト値Tによって、データ収集段階800a、800c及び800dに関して、少なくとも5単位に等しいインデックス増加が生じる。
データ収集段階800gは、2に等しい制約値Δと関連付けられると考えられる一方で、データ収集段階800b、800e、800f、800h、800iは、制約値Δを有しないか、又は無限値を表す制約値Δを有する。
スケジューリングシーケンスを変更する結果として、図8Dに概略的に表されるスケジューリングシーケンスが生じることができる。図8Dは、変更されたスケジューリングシーケンスを概略的に表しており、そのスケジューリングシーケンスでは、データ収集段階800bがあり、その後に、データ収集段階800eがあり、その後に、データ収集段階800fがあり、その後に、データ収集段階800hがあり、その後に、データ収集段階800gがあり、その後に、データ収集段階800aがあり、その後に、データ収集段階800iがあり、その後に、データ収集段階800cがあり、その後に、データ収集段階800dがある。
それゆえ、データ収集段階800a、800c及び800dの延期を補償するために、データ収集段階800gは3つ以上の単位分繰り上げられていない。
【0174】
図10に戻ると、次のステップS1004において、サーバーデバイス230は、ステップS1001において特定された要求を延期するとともにステップS1003において特定された要求を繰り上げることによって、スケジューリングシーケンスを変更する。
【0175】
次のステップS1005において、サーバーデバイス230は、インデックス、又は要求が送信のためにスケジューリングされる時点が変化した、要求ごとの制約値Δを変更する。結果として、図8Dを参照すると、データ収集段階800g、800a、800c及び800dのための制約値Δが0に設定される。延期されたデータ収集段階のインデックス又はタイミングの相対的な差が必ずしも維持される必要がない場合には、制約値Δは、データ収集段階800cの場合に2に、データ収集段階800dの場合に3に設定することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線メッシュ通信ネットワークのノードからデータを収集するためにデータ収集デバイスによって必要とされる時間期間を短縮するための方法であって、前記データ収集デバイスと前記ノードとの間の通信は前記無線メッシュ通信ネットワーク内の全域木に従って実行され、前記データ収集デバイスは、
前記データを収集するための第1のスケジューリングシーケンスにおいて前記ノードに要求を送信することであって、各要求は少なくとも1つの前記ノードに宛てられる、送信することと、
前記全域木の1つの無線リンク上で送信問題を検出することと、
前記送信問題が検出された前記無線リンクを含む前記全域木の少なくとも1つの経路を特定することと、
前記送信問題が検出された前記無線リンクを含む前記少なくとも1つの特定された経路上に存在する少なくとも1つの個々のノードに宛てられた少なくとも1つの要求を延期するとともに、前記送信問題が検出された前記無線リンクを含む前記少なくとも1つの特定された経路とは異なる少なくとも1つの経路上に存在する少なくとも1つの個々のノードに宛てられた少なくとも1つの要求を繰り上げることによって、第2のスケジューリングシーケンスを得るために前記第1のスケジューリングシーケンスを変更することと、
前記第2のスケジューリングシーケンスに従って、前記ノードに要求を送信し続けることと、
を実行することを特徴とする、無線メッシュ通信ネットワークのノードからデータを収集するためにデータ収集デバイスによって必要とされる時間期間を短縮するための方法。
【請求項2】
前記第1のスケジューリングシーケンスを変更することは、前記送信問題が検出された前記無線リンクを含む前記少なくとも1つの特定された経路に対応するノードに宛てられた全ての要求を、他の全ての要求後にスケジューリングすることを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のスケジューリングシーケンスを変更することは、前記送信問題が検出された前記無線リンクを含む前記少なくとも1つの特定された経路のうちの1つに対応するノードに宛てられた各要求を、或るシフト値だけ延期することを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のスケジューリングシーケンスを変更することは、前記送信問題が検出された前記無線リンクを含む前記少なくとも1つの特定された経路に対応する少なくとも1つの個々のノードに宛てられた各要求を、共通のシフト値だけ延期することを含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記シフト値は、検討対象のスケジューリングシーケンス内の各要求がインデックスを付されるときに、インデックスシフトとして表されるか、又は
前記シフト値は、検討対象のスケジューリングシーケンス内の各要求が、前記データ収集デバイスによって送信するために前記要求がスケジューリングされた時点に関連付けられるときに、時間遅延として表される
ことを特徴とする、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記データ収集デバイスは、
前記送信問題が検出された前記無線リンクを含む前記少なくとも1つの特定された経路のうちの1つに対応するノードに宛てられた各要求に時間遅延を適用することと、
前記時間遅延が満了する前に、他の要求の中のどの要求をスケジューリングできるかを判断することと、
前記送信問題が検出された前記無線リンクを含む前記少なくとも1つの特定された経路のうちの1つに対応するノードに宛てられた各要求の前に、前記スケジューリングシーケンス内の前記判断された要求をスケジューリングすることと、
を実行することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記データ収集デバイスは、
各要求に、該要求を繰り上げることができるか否かを示す情報を関連付けることと、
前記送信問題が検出された前記無線リンクを含む前記少なくとも1つの特定された経路のうちの1つに対応するノードに宛てられた要求ごとに前記情報を更新することと、
前記第1のスケジューリングシーケンスを変更するときに、前記情報に基づいて、どの要求を繰り上げることが可能であるかを判断することと、
を実行することを特徴とする、請求項3〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記データ収集デバイスは、
各要求に、該要求を繰り上げることができるか否かを示すとともに、該要求を繰り上げることができる場合に該要求を何単位分繰り上げることができるかを示す制約値を関連付けることと、
前記第1のスケジューリングシーケンスを変更するときに、前記制約値に基づいて、どの要求を繰り上げることが可能であるかを判断することと、
前記第1のスケジューリングシーケンスの前記変更時に延期されたか又は繰り上げられた要求ごとの前記制約値を、前記第2のスケジューリングシーケンスを得るために更新することと、
を実行することを特徴とする、請求項3〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記データ収集デバイスは、ノードごとに、
スライディング時間窓において、前記ノードを介した又は前記ノードへの送信成功率を表す統計値を求めることと、
前記求められた統計値を所定の値と比較することと、
前記比較の結果に従って前記シフト値を変更することと、
を実行することを特徴とする、請求項3〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記データ収集デバイスは、1つのノードによって生成される無線リンク障害報告を受信することを実行し、
該報告は、該報告を生成した前記ノードによって前記要求が中継されることを試みられた無線リンクのインジケーションを含み、
該報告は、前記要求のうちの1つ又は該要求のうちの1つに対する応答の送信中に、該報告において示された前記無線リンク上で、又は該報告において示された前記無線リンクの子部分木に対応する前記全域木の部分内で生じた送信障害を表す
ことを特徴とし、
前記経路は前記子部分木のいずれかのノードを含む前記経路であると判断されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記無線リンク障害報告は、中継されることを試みられた前記要求が応答において少なくとも1つの否定応答を生成することを示す通知をノードの或る層が該ノードの媒体アクセス制御層から受信するときに、該ノードによって生成されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記無線リンク障害報告は、或るノードが、前記要求のうちの1つが宛てられるノードから、タイムアウトが関連付けられた前記要求に対して応答も別の無線リンク障害報告も受信することなく前記タイムアウトが満了するときに、該ノードによって生成されることを特徴とする、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記タイムアウトは、該タイムアウトを設定する前記ノードと、該タイムアウトと関連付けられた前記要求が宛てられる前記ノードとの間の、前記全域木内のホップ数を少なくとも考慮に入れることによって設定されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記無線リンク障害報告を生成する前記ノードは、
前記無線リンク障害報告を生成する前記ノードが前記要求のうちの1つに既に応答したか否かを調べることと、
前記無線リンク障害報告を生成する前記ノードが前記要求のうちの1つにまだ応答していないときに、前記デバイスによって収集されるべき自らのデータを前記無線リンク障害報告内に含めることと、
を実行することを特徴とする、請求項10〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
無線メッシュ通信ネットワークのノードからデータを収集するためにデバイスによって必要とされる時間期間を短縮するための該デバイスであって、該デバイスと前記ノードとの間の通信は前記無線メッシュ通信ネットワーク内の全域木に従って実行され、
該デバイスは、
前記データを収集するための第1のスケジューリングシーケンスにおいて前記ノードに要求を送信する手段であって、各要求は少なくとも1つの前記ノードに宛てられる、送信する手段と、
前記全域木の1つの無線リンク上で送信問題を検出する手段と、
前記送信問題が検出された前記無線リンクを含む前記全域木の少なくとも1つの経路を特定する手段と、
前記送信問題が検出された前記無線リンクを含む前記少なくとも1つの特定された経路上に存在する少なくとも1つの個々のノードに宛てられた少なくとも1つの要求を延期するとともに、前記送信問題が検出された前記無線リンクを含む前記少なくとも1つの特定された経路とは異なる少なくとも1つの経路上に存在する少なくとも1つの個々のノードに宛てられた少なくとも1つの要求を繰り上げることによって、第2のスケジューリングシーケンスを得るために前記第1のスケジューリングシーケンスを変更する手段と、
前記第2のスケジューリングシーケンスに従って、前記ノードに要求を送信し続ける手段と、
を備えることを特徴とする、無線メッシュ通信ネットワークのノードからデータを収集するためにデバイスによって必要とされる時間期間を短縮するための該デバイス。
【請求項16】
コンピュータープログラムであって、該コンピュータープログラムは、プログラムコード命令であって、該プログラムコード命令が請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法を実施するためのプログラマブルデバイスによって実行されるときに、該プログラマブルデバイス内にロードすることができる、プログラムコード命令を含むことを特徴とする、コンピュータープログラム。
【請求項17】
情報記憶手段であって、該情報記憶手段はプログラムコード命令を含むコンピュータープログラムであって、該プログラムコード命令が請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法を実施するためのプログラマブルデバイスによって実行されるときに、該プログラムコード命令を該プログラマブルデバイス内にロードすることができる、コンピュータープログラムを格納することを特徴とする、情報記憶手段。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−90333(P2013−90333A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−223982(P2012−223982)
【出願日】平成24年10月9日(2012.10.9)
【出願人】(503163527)ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ (175)
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
【Fターム(参考)】