説明

無線リソース割当装置、基地局、および無線リソース割当方法

【課題】無線通信システム全体の周波数効率の向上に寄与することを図る。
【解決手段】割当単位の無線リソースと割当候補の端末局の組毎に、割当対象の無線フレームにおいて当該組の割当を優先する度合いを示す割当優先度を算出する割当優先度算出部12と、割当候補の端末局毎に、割当対象の無線フレームにおいて当該端末局が送信するデータ量の目標値である送信データ量目標値を算出する送信データ量目標値算出部13と、割当候補の端末局に対して割当優先度に従って無線リソースを割り当てていく過程において、当該端末局に既に割当済みの無線リソースと割当候補の無線リソースとによって送信可能なデータ量が増加せず、且つ、当該端末局に既に割当済みの無線リソースによって送信可能なデータ量が送信データ量目標値以上であるときに、当該端末局に対する無線リソースの追加割当を終了する無線リソース割当部14と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線リソース割当装置、基地局、および無線リソース割当方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速かつ広帯域の無線伝送を実現する次世代の移動通信方式として、例えば3GPP(Third Generation Partnership Project)の標準規格の一つである「LTE(Long Term Evolution)」が知られている。LTEでは、下りリンク(基地局から端末局方向のリンク)の多元接続方式として直交周波数分割多元接続(Orthogonal Frequency Division Multiple Access:OFDMA)方式を、上りリンク(端末局から基地局方向のリンク)の多元接続方式としてシングルキャリア周波数分割多元接続(Single-Carrier Frequency-Division Multiple Access:SC−FDMA)方式を用いる。
【0003】
LTEにおいて、周波数リソースは、リソースブロック(Resource block:RB)と呼ばれる単位に分割されて、端末局に割り当てられる。RBは、端末局に無線リソースを割り当てるときの最小単位である。端末局は、1つ又は連続する複数のRBを用いてパケットを送信する。基地局に設けられた無線リソース割当装置は、1msの時間長を有するサブフレーム(Subframe)毎に、端末局に対してどのRBを割り当てるのかを決定する無線パケットスケジューリング(周波数スケジューリング)を行う。なお、他の無線通信規格(WiMAX、LTE-Advanced、IEEE802.16m等)でも同様の周波数スケジューリングを行う。
【0004】
従来の無線パケットスケジューリング技術として、例えば非特許文献1に記載される技術が知られている。非特許文献1に記載の無線パケットスケジューリング技術では、端末局の間のRB割当の公平性を確保しながらヒューリスティックに周波数スケジューリングを行う。具体的には、式(1)に従って、i番サブフレームでb番RBを割り当てる端末局(k)を決定する。
【0005】
【数1】

【0006】
但し、rk’,b(i)は、i番サブフレームでb番RBを端末局(k’)に場合に期待できる当該RBでの瞬時スループットである。Rk’(i)は、「i−1」番サブフレームまでの通信によって得られている端末局(k’)の平均スループットである。式(1)のargmax関数の引数となっている式は、一般的にプロポーショナルフェアネスメトリックと呼ばれる。
【0007】
また、特許文献1に記載の無線パケットスケジューリング技術では、非特許文献1のようにRBを端末局にシーケンシャルに割り当てていく過程で、割当対象となった端末局に関して所定のRB追加終了条件(例えば一定の周波数効率)に合致したら、当該端末局に対するRBの割当を終了している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−029768号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Pokhariyal, T. E. Kolding and P. E. Mogensen, “Performance of downlink frequency domain packet scheduling for the UTRAN Long Term Evolution,” IEEE PIMRC, 2006.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上述した従来の無線パケットスケジューリング技術では、以下に示すような課題がある。
【0011】
非特許文献1に記載される無線パケットスケジューリング技術では、チャネル品質の異なる複数のRBを一端末局に割り当てることが起こりえる。ここで、LTEでは、複数のRBが一端末局に割り当てられた場合に当該複数のRBを全て使用してパケットを送信しなければならないので、チャネル品質の異なる複数のRBが割り当てられた端末局では、決められた符号化率で誤り訂正符号化が施された一パケットを、同一の変調方式を用いて当該複数のRBを全て使用して送信しなければならない。しかし、当該端末局にとっては、チャネル品質のよいRBだけを割り当ててもらって変調指数の高い変調方式を用いた方が、伝送効率がよいかもしれない。
【0012】
特許文献1に記載の無線パケットスケジューリング技術では、端末局数が少ない場合や、チャネルの周波数特性がフラットに近い場合など、端末局間のダイバーシチゲインが得られにくい条件下では、一端末局の周波数効率の条件だけで当該端末局に対するRBの割当を終了すると、結果的に無線通信システムの周波数帯域全体のRB使用率が低下する恐れがある。
【0013】
図8は、LTEにおける、MCS(Modulation and Coding Scheme;変調方式と符号化率)毎の、通信に用いるRB数に対する周波数効率の関係の例を表すグラフ図である。図8から分かるように、同一のMCSであっても、通信に用いるRB数によって周波数効率にバラつきが生じている。したがって、ある端末局に対して、RBを割り当てる数を増やしていく過程においてある周波数効率の条件下である個数のRBを割り当てると決定しても、更にRBを追加で割り当てることによって周波数効率が更によくなることが起こりえる。
【0014】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、無線通信システム全体の周波数効率の向上に寄与することができる無線リソース割当装置、基地局、および無線リソース割当方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するために、本発明に係る無線リソース割当装置は、周波数分割多元接続方式において無線フレーム毎に端末局に対して無線リソースを割り当てる無線リソース割当装置であって、割当単位の無線リソースと割当候補の端末局の組毎に、割当対象の無線フレームにおいて当該組の割当を優先する度合いを示す割当優先度を算出する割当優先度算出部と、割当候補の端末局毎に、割当対象の無線フレームにおいて当該端末局が送信するデータ量の目標値である送信データ量目標値を算出する送信データ量目標値算出部と、割当候補の端末局に対して割当優先度に従って無線リソースを割り当てていく過程において、当該端末局に既に割当済みの無線リソースと割当候補の無線リソースとによって送信可能なデータ量が増加せず、且つ、当該端末局に既に割当済みの無線リソースによって送信可能なデータ量が送信データ量目標値以上であるときに、当該端末局に対する無線リソースの追加割当を終了する無線リソース割当部と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明に係る無線リソース割当装置において、前記割当候補の無線リソースは、当該端末局の割当優先度が最大となっている無線リソースであることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る無線リソース割当装置において、前記割当候補の無線リソースは、当該端末局のチャネル品質が最大となっている無線リソースであることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る無線リソース割当装置において、前記送信データ量目標値は、所定の通信品質を満たして送信可能なデータ量であることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る無線リソース割当装置において、前記送信データ量目標値は、所定の通信品質を満たすMCSで送信可能なデータ量であることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る無線リソース割当装置において、前記送信データ量目標値算出部は、端末局に対する無線リソースの割当毎に、送信データ量目標値を再計算することを特徴とする。
【0021】
本発明に係る無線リソース割当装置において、前記送信データ量目標値算出部は、端末局に対する無線リソースの割当開始時点にのみ、送信データ量目標値を計算することを特徴とする。
【0022】
本発明に係る基地局は、前述のいずれかの無線リソース割当装置を備え、端末局に対する無線リソース割当を行うことを特徴とする。
【0023】
本発明に係る無線リソース割当方法は、周波数分割多元接続方式において無線フレーム毎に端末局に対して無線リソースを割り当てる無線リソース割当方法であって、割当単位の無線リソースと割当候補の端末局の組毎に、割当対象の無線フレームにおいて当該組の割当を優先する度合いを示す割当優先度を算出する割当優先度算出ステップと、割当候補の端末局毎に、割当対象の無線フレームにおいて当該端末局が送信するデータ量の目標値である送信データ量目標値を算出する送信データ量目標値算出ステップと、割当候補の端末局に対して割当優先度に従って無線リソースを割り当てていく過程において、当該端末局に既に割当済みの無線リソースと割当候補の無線リソースとによって送信可能なデータ量が増加せず、且つ、当該端末局に既に割当済みの無線リソースによって送信可能なデータ量が送信データ量目標値以上であるときに、当該端末局に対する無線リソースの追加割当を終了する無線リソース割当ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、無線通信システム全体の周波数効率の向上に寄与することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係る無線通信システムの概略構成図である。
【図2】図1に示す無線リソース割当装置10の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る無線リソース割当処理のフローチャートである。
【図4】本発明の実施例1に係るRB追加終了判定処理のフローチャートである。
【図5】本発明の実施例2に係るRB追加終了判定処理のフローチャートである。
【図6】本発明の実施例7に係る無線リソース割当処理のフローチャートである。
【図7】本発明の実施例7に係るRB追加終了判定処理のフローチャートである。
【図8】LTEにおけるMCS毎の通信に用いるRB数に対する周波数効率の関係の例を表すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る無線通信システムの概略構成図である。図1において、基地局1は、無線リソース割当装置10を備える。端末局2は、基地局1に無線接続して通信を行う。基地局1は、複数の端末局2と無線接続して通信を行うことができる。基地局1と端末局2とは通信規格としてLTEを用いている。無線リソース割当装置10は、サブフレーム毎に、端末局2に対してどのRBを割り当てるのかを決定する。
【0027】
図2は、図1に示す無線リソース割当装置10の構成を示すブロック図である。図2において、無線リソース割当装置10は、入力情報取得部11と割当優先度算出部12と送信データ量目標値算出部13と無線リソース割当部14と割当結果出力部15を有する。
【0028】
入力情報取得部11は入力情報を取得する。入力情報としては、基地局1に無線接続している全端末局2について、RB毎の無線品質情報(基地局1と端末局2間のチャネル品質情報)、送信待ちのデータ量、QoS(Quality of Service)要求(端末局が要求する、伝送レートや許容遅延量)、などである。これらの入力情報については、一般的な基地局1は常に最新の情報を保持している。入力情報取得部11は、基地局1が保持している最新の入力情報を取得する。
【0029】
割当優先度算出部12は、入力情報取得部11が取得した入力情報に基づいて、割当候補の全RB及び割当候補の全端末局2を対象にして、一RBと一端末局2の組(割当候補組)毎に、RB割当対象のサブフレームにおいて当該組の割当を優先する度合いを示す割当優先度を算出する。
【0030】
割当優先度は、例えば、端末局2間の無線リソース割当の公平性を表す指標(プロポーショナルフェアネスメトリック)、送信データの送信期限までの残り時間を表す指標(許容遅延メトリック)、ある程度の通信速度を保証するための指標(保証伝送速度メトリック)、又は、チャネル品質を表す指標などを用いて、算出される。
【0031】
なお、本実施形態では一RBを無線リソースの割当最小単位として割当優先度を算出するが、複数のRBを無線リソースの割当最小単位として割当優先度を算出するようにしてもよい。
【0032】
送信データ量目標値算出部13は、割当候補の端末局2毎に、RB割当対象のサブフレームにおいて当該端末局2が送信するデータ量の目標値(送信データ量目標値)を算出する。送信データ量目標値の算出方法については後述する。
【0033】
無線リソース割当部14は、割当候補組のうち割当優先度が高い割当候補組から順番に、RB割当対象のサブフレームにおける割当を行う。無線リソース割当部14は、送信データ量目標値を用いて、割当候補の端末局2に対するRBの割当を終了するか否かを判定する。
【0034】
割当結果出力部15は、RB割当対象のサブフレームにおいて無線リソース割当部14が割り当てたRB及び端末局2の情報を出力する。
【0035】
次に、図3を参照して、図2に示す無線リソース割当装置10の全体的な動作の流れを説明する。図3は、本実施形態に係る無線リソース割当処理のフローチャートである。図3のフローチャートは、一サブフレーム分の無線リソース割当処理を示している。
【0036】
図3において、Gは、初期状態では、割当候補の全RBの各識別子(index)からなる集合である。Uは、初期状態では、割当候補の全端末局2の各識別子(index)からなる集合である。G(u)は、識別子がuである端末局2に割り当てたRBの識別子の集合である。G(u)の初期状態は空集合(φ)である。以下、識別子がuである端末局2を端末局uと称し、識別子がgであるRBをRB_gと称する。P(u,g)は、端末局uとRB_gの割当候補組についての割当優先度である。
【0037】
(ステップS1)
割当優先度算出部12は、入力情報取得部11が取得した入力情報に基づいて、集合Uに属する全ての端末局uと、集合Gに属する全てのRB_gとを対象にして、全ての各割当候補組についての各割当優先度P(u,g)を計算する。
【0038】
(ステップS2)
無線リソース割当部14は、集合Uに属する端末局uと集合Gに属するRB_gの中から、割当優先度P(u,g)が最大である端末局uとRB_gを選択する。
【0039】
(ステップS3)
無線リソース割当部14は、ステップS2で選択した割当候補組(端末局u,RB_g)について、RB追加終了判定処理を行う。RB追加終了判定処理については後述する。
【0040】
(ステップS4)
無線リソース割当部14は、ステップS3の判定結果が、端末局uに対するRB追加終了であるときはステップS5に進み、一方、端末局uに対するRB追加終了でないときはステップS6に進む。
【0041】
(ステップS5)
無線リソース割当部14は、集合Uから端末局uの識別子(u)を削除する。これにより、当該サブフレームにおいて、端末局uには、これ以上のRBの追加割当は行われない。
【0042】
(ステップS6)
無線リソース割当部14は、集合G(u)に対して、RB_gの識別子(g)を追加する。そして、無線リソース割当部14は、集合GからRB_gの識別子(g)を削除する。
【0043】
(ステップS7)
無線リソース割当部14は、集合Uが空集合(φ)である、又は、集合Gが空集合(φ)である、場合には、図3の処理(当該サブフレームの無線リソース割当処理)を終了する。そうでない場合には、ステップS2に戻る。
【0044】
次に、本実施形態に係る、送信データ量目標値の算出方法およびRB追加終了判定処理について、実施例を挙げて説明する。
【実施例1】
【0045】
送信データ量目標値(TBS)は、端末局uが以下で定義されるRB識別子群のRBを用いたときに所定の誤り率で送信可能なパケットサイズである。このRB識別子群は、集合G(u)と識別子(g)と識別子({g’|g’∈G,P(u,g’)≧P(u’,g’) for ∀u’∈U})とからなる。
【0046】
実施例1では、端末局uに対して、既に割当済みのG(u)に属するRBおよび今回の割当候補のRB_gに加えて、未割当のRB_g’のうち、端末局uとの割当優先度P(u,g’)が他の端末局u’との割当優先度P(u’,g’)以上であるRB_g’を割り当てた場合に、所定の誤り率で送信可能なパケットサイズを送信データ量目標値(TBS)としている。
【0047】
図4は、実施例1に係るRB追加終了判定処理のフローチャートである。
(ステップS101)
無線リソース割当部14は、端末局uが既に割当済みのG(u)に属するRBを用いたときに所定の誤り率で送信可能なパケットサイズ(TBS)を算出する。さらに、無線リソース割当部14は、端末局uが既に割当済みのG(u)に属するRBおよび今回の割当候補のRB_gを用いたときに所定の誤り率で送信可能なパケットサイズ(TBS)を算出する。
【0048】
(ステップS102)
無線リソース割当部14は、パケットサイズ(TBS)がパケットサイズ(TBS)以上である場合にステップS103に進み、一方、パケットサイズ(TBS)がパケットサイズ(TBS)未満である場合にステップS106に進む。
【0049】
(ステップS103)
無線リソース割当部14は、送信データ量目標値(TBS)を算出する。
【0050】
(ステップS104)
無線リソース割当部14は、パケットサイズ(TBS)が送信データ量目標値(TBS)以上である場合にステップS105に進み、一方、パケットサイズ(TBS)が送信データ量目標値(TBS)未満である場合にステップS106に進む。
【0051】
(ステップS105)
無線リソース割当部14は、端末局uに対するRB追加終了とする。
【0052】
(ステップS106)
無線リソース割当部14は、端末局uに対するRB追加継続とする。
【0053】
実施例1では、端末局uにRBを割り当てていく過程において、割当優先度に従ってRB_gを割り当てた結果として周波数効率が低下したとしても、端末局uの割当優先度が最大となっている割当候補のRBについては無線リソース割当処理を継続するようにしている。これにより、更なる周波数効率の向上を期待することができ、無線通信システム全体の周波数効率の向上に寄与することが可能となる。
【0054】
なお、上述した実施例1では、「所定の誤り率で送信可能なパケットサイズ」を用いたが、「所定の無線通信品質を達成する無線通信条件で送信可能なパケットサイズ」を用いるものであってもよい。無線通信条件としては、例えばMCSである。無線通信品質としては、例えば誤り率である。
【実施例2】
【0055】
実施例2は実施例1の変形例である。送信データ量目標値(TBS)は、端末局uが以下で定義されるRB識別子群のRBを用いたときにMCSで送信可能なパケットサイズである。このRB識別子群は、集合G(u)と識別子(g)と識別子({g’|g’∈G,P(u,g’)≧P(u’,g’) for ∀u’∈U})とからなる。
【0056】
MCSは、端末局uが既に割当済みのG(u)に属するRBおよび今回の割当候補のRB_gを用いて所定の誤り率を達成するMCSである。
【0057】
図5は、実施例2に係るRB追加終了判定処理のフローチャートである。
(ステップS201)
無線リソース割当部14は、端末局uが既に割当済みのG(u)に属するRBを用いたときに所定の誤り率で送信可能なパケットサイズ(TBS)を算出する。さらに、無線リソース割当部14は、端末局uが既に割当済みのG(u)に属するRBおよび今回の割当候補のRB_gを用いたときに所定の誤り率で送信可能なパケットサイズ(TBS)を算出する。さらに、無線リソース割当部14は、端末局uが既に割当済みのG(u)に属するRBおよび今回の割当候補のRB_gを用いたときに、パケットサイズ(TBS)のパケットを所定の誤り率で送信するために必要なMCS(MCS)を算出する。これ以降のステップS202からS206は、実施例1の図4のステップS102からS106と同様である。
【0058】
実施例2も実施例1と同様に、端末局uにRBを割り当てていく過程において、割当優先度に従ってRB_gを割り当てた結果として周波数効率が低下したとしても、端末局uの割当優先度が最大となっている割当候補のRBについては無線リソース割当処理を継続するようにしている。これにより、更なる周波数効率の向上を期待することができ、無線通信システム全体の周波数効率の向上に寄与することが可能となる。
【実施例3】
【0059】
実施例3は実施例1の変形例である。送信データ量目標値(TBS)は、端末局uが以下で定義されるRB識別子群のRBを用いたときに所定の誤り率で送信可能なパケットサイズである。このRB識別子群は、集合G(u)と識別子(g)と識別子({g’|g’∈G,C(u,g’)≧C(u’,g’) for ∀u’∈U})とからなる。
【0060】
C(u,g’)は、端末局uとRB_g’の組における、端末局uのチャネル品質である。C(u’,g’)は、端末局u’とRB_g’の組における、端末局uのチャネル品質である。チャネル品質としては、例えばSINR(Signal to Interference and Noise power Ratio)を利用できる。
【0061】
実施例3に係るRB追加終了判定処理のフローチャートは、実施例1に係る図4と同じである。
【0062】
実施例3では、端末局uにRBを割り当てていく過程において、割当優先度に従ってRB_gを割り当てた結果として周波数効率が低下したとしても、端末局uのチャネル品質が最大となっている割当候補のRBについては無線リソース割当処理を継続するようにしている。これにより、更なる周波数効率の向上を期待することができ、無線通信システム全体の周波数効率の向上に寄与することが可能となる。
【0063】
又、割当優先度ではなく、端末局uのチャネル品質によって無線リソース割当処理を終了するか継続するかを判定するので、より周波数効率の向上に特化することができる。
【実施例4】
【0064】
実施例4は実施例2の変形例である。送信データ量目標値(TBS)は、端末局uが以下で定義されるRB識別子群のRBを用いたときにMCSで送信可能なパケットサイズである。このRB識別子群は、集合G(u)と識別子(g)と識別子({g’|g’∈G,C(u,g’)≧C(u’,g’) for ∀u’∈U})とからなる。
【0065】
C(u,g’)は、端末局uとRB_g’の組における、端末局uのチャネル品質である。C(u’,g’)は、端末局u’とRB_g’の組における、端末局uのチャネル品質である。チャネル品質としては、例えばSINR(Signal to Interference and Noise power Ratio)を利用できる。
【0066】
実施例4に係るRB追加終了判定処理のフローチャートは、実施例2に係る図5と同じである。
【0067】
実施例4も実施例3と同様に、端末局uにRBを割り当てていく過程において、割当優先度に従ってRB_gを割り当てた結果として周波数効率が低下したとしても、端末局uのチャネル品質が最大となっている割当候補のRBについては無線リソース割当処理を継続するようにしている。これにより、更なる周波数効率の向上を期待することができ、無線通信システム全体の周波数効率の向上に寄与することが可能となる。
【0068】
又、割当優先度ではなく、端末局uのチャネル品質によって無線リソース割当処理を終了するか継続するかを判定するので、より周波数効率の向上に特化することができる。
【実施例5】
【0069】
実施例5は、実施例1と実施例3の組合せである。送信データ量目標値(TBS)は、端末局uが以下で定義されるRB識別子群のRBを用いたときに所定の誤り率で送信可能なパケットサイズである。このRB識別子群は、集合G(u)と識別子(g)と識別子({g’|g’∈G,P(u,g’)≧P(u’,g’)且つC(u,g’)≧C(u’,g’) for ∀u’∈U})とからなる。
【0070】
実施例5に係るRB追加終了判定処理のフローチャートは、実施例1に係る図4と同じである。
【0071】
実施例5では、端末局uにRBを割り当てていく過程において、割当優先度に従ってRB_gを割り当てた結果として周波数効率が低下したとしても、端末局uの割当優先度およびチャネル品質が最大となっている割当候補のRBについては無線リソース割当処理を継続するようにしている。これにより、更なる周波数効率の向上を期待することができ、無線通信システム全体の周波数効率の向上に寄与することが可能となる。
【実施例6】
【0072】
実施例6は、実施例2と実施例4の組合せである。送信データ量目標値(TBS)は、端末局uが以下で定義されるRB識別子群のRBを用いたときにMCSで送信可能なパケットサイズである。このRB識別子群は、集合G(u)と識別子(g)と識別子({g’|g’∈G,P(u,g’)≧P(u’,g’)且つC(u,g’)≧C(u’,g’) for ∀u’∈U})とからなる。
【0073】
実施例6に係るRB追加終了判定処理のフローチャートは、実施例2に係る図5と同じである。
【0074】
実施例6も実施例5と同様に、端末局uにRBを割り当てていく過程において、割当優先度に従ってRB_gを割り当てた結果として周波数効率が低下したとしても、端末局uの割当優先度およびチャネル品質が最大となっている割当候補のRBについては無線リソース割当処理を継続するようにしている。これにより、更なる周波数効率の向上を期待することができ、無線通信システム全体の周波数効率の向上に寄与することが可能となる。
【実施例7】
【0075】
図6は、実施例7に係る無線リソース割当処理のフローチャートである。図6のフローチャートは、一サブフレーム分の無線リソース割当処理を示している。図6において、図3の各ステップに対応する部分には同一の符号を付している。
【0076】
実施例7では、無線リソース割当処理の中で一度だけ送信データ量目標値(TBS)を算出する(図6のステップS300)。送信データ量目標値(TBS)は、端末局uが以下で定義されるRB識別子群のRBを用いたときにMCSで送信可能なパケットサイズである。このRB識別子群は、識別子({g’|g’∈G,P(u,g’)≧P(u’,g’) for ∀u’∈U})からなる。
【0077】
MCSは、端末局uの平均的なチャネル品質に相当するMCSである。MCSとしては、例えば、端末局uの「Wideband CQI」、端末局uが上記RB識別子群のRBを用いたときの平均的なMCS、又は、それらのMCSに対してオフセットを与えた値を利用可能である。
【0078】
図7は、実施例7に係るRB追加終了判定処理のフローチャートである。
(ステップS301)
無線リソース割当部14は、端末局uが既に割当済みのG(u)に属するRBを用いたときに所定の誤り率で送信可能なパケットサイズ(TBS)を算出する。さらに、無線リソース割当部14は、端末局uが既に割当済みのG(u)に属するRBおよび今回の割当候補のRB_gを用いたときに所定の誤り率で送信可能なパケットサイズ(TBS)を算出する。
【0079】
(ステップS302)
無線リソース割当部14は、パケットサイズ(TBS)がパケットサイズ(TBS)以上である場合にステップS303に進み、一方、パケットサイズ(TBS)がパケットサイズ(TBS)未満である場合にステップS305に進む。
【0080】
(ステップS303)
無線リソース割当部14は、パケットサイズ(TBS)が送信データ量目標値(TBS)以上である場合にステップS304に進み、一方、パケットサイズ(TBS)が送信データ量目標値(TBS)未満である場合にステップS305に進む。
【0081】
(ステップS304)
無線リソース割当部14は、端末局uに対するRB追加終了とする。
【0082】
(ステップS305)
無線リソース割当部14は、端末局uに対するRB追加継続とする。
【0083】
実施例7では、端末局uにRBを割り当てていく過程において、割当優先度に従ってRB_gを割り当てた結果として周波数効率が低下したとしても、端末局uの割当優先度が最大となっている割当候補のRBについては無線リソース割当処理を継続するようにしている。これにより、更なる周波数効率の向上を期待することができ、無線通信システム全体の周波数効率の向上に寄与することが可能となる。
【0084】
又、実施例7では、無線リソース割当処理の開始段階(ステップS300)において、端末局uの割当優先度が最大となっている割当候補のRBを端末局uに割り当てたときの送信可能なパケットサイズを、端末局uの平均的なチャネル品質に基づいて算出し、この算出値を送信データ量目標値(TBS)としている。これにより、無線リソース割当処理の演算量を削減し、且つ、少なくとも平均的なチャネル品質で達成できるスループットまでは、RBを割り当てることができる。この結果として、更なる周波数効率の向上を期待することができ、無線通信システム全体の周波数効率の向上に寄与することが可能となる。
【0085】
上述した実施形態によれば、端末局uに対して割当優先度に従ってRBを割り当てていく過程において、端末局uに既に割当済みのRBと割当候補のRBとによって送信可能なデータ量が増加せず、且つ、端末局uに既に割当済みのRBによって送信可能なデータ量が送信データ量目標値以上であるときに、端末局uに対するRBの追加割当を終了する。言い換えれば、端末局uに対して既に割当済みのRBに加えて次の割当候補であるRBを割り当てたことによって、送信可能なデータ量が増加しない場合であっても、送信可能なデータ量が送信データ量目標値に達していなければ、端末局uに対するRB割当を継続する。これにより、更なる周波数効率の向上を期待することができ、無線通信システム全体の周波数効率の向上に寄与することが可能となる。
【0086】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0087】
1…基地局、2…端末局、10…無線リソース割当装置、11…入力情報取得部、12…割当優先度算出部、13…送信データ量目標値算出部、14…無線リソース割当部、15…割当結果出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数分割多元接続方式において無線フレーム毎に端末局に対して無線リソースを割り当てる無線リソース割当装置であって、
割当単位の無線リソースと割当候補の端末局の組毎に、割当対象の無線フレームにおいて当該組の割当を優先する度合いを示す割当優先度を算出する割当優先度算出部と、
割当候補の端末局毎に、割当対象の無線フレームにおいて当該端末局が送信するデータ量の目標値である送信データ量目標値を算出する送信データ量目標値算出部と、
割当候補の端末局に対して割当優先度に従って無線リソースを割り当てていく過程において、当該端末局に既に割当済みの無線リソースと割当候補の無線リソースとによって送信可能なデータ量が増加せず、且つ、当該端末局に既に割当済みの無線リソースによって送信可能なデータ量が送信データ量目標値以上であるときに、当該端末局に対する無線リソースの追加割当を終了する無線リソース割当部と、
を備えたことを特徴とする無線リソース割当装置。
【請求項2】
前記割当候補の無線リソースは、当該端末局の割当優先度が最大となっている無線リソースであることを特徴とする請求項1に記載の無線リソース割当装置。
【請求項3】
前記割当候補の無線リソースは、当該端末局のチャネル品質が最大となっている無線リソースであることを特徴とする請求項1又は2に記載の無線リソース割当装置。
【請求項4】
前記送信データ量目標値は、所定の通信品質を満たして送信可能なデータ量であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の無線リソース割当装置。
【請求項5】
前記送信データ量目標値は、所定の通信品質を満たすMCSで送信可能なデータ量であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の無線リソース割当装置。
【請求項6】
前記送信データ量目標値算出部は、端末局に対する無線リソースの割当毎に、送信データ量目標値を再計算することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の無線リソース割当装置。
【請求項7】
前記送信データ量目標値算出部は、端末局に対する無線リソースの割当開始時点にのみ、送信データ量目標値を計算することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の無線リソース割当装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の無線リソース割当装置を備え、端末局に対する無線リソース割当を行うことを特徴とする基地局。
【請求項9】
周波数分割多元接続方式において無線フレーム毎に端末局に対して無線リソースを割り当てる無線リソース割当方法であって、
割当単位の無線リソースと割当候補の端末局の組毎に、割当対象の無線フレームにおいて当該組の割当を優先する度合いを示す割当優先度を算出する割当優先度算出ステップと、
割当候補の端末局毎に、割当対象の無線フレームにおいて当該端末局が送信するデータ量の目標値である送信データ量目標値を算出する送信データ量目標値算出ステップと、
割当候補の端末局に対して割当優先度に従って無線リソースを割り当てていく過程において、当該端末局に既に割当済みの無線リソースと割当候補の無線リソースとによって送信可能なデータ量が増加せず、且つ、当該端末局に既に割当済みの無線リソースによって送信可能なデータ量が送信データ量目標値以上であるときに、当該端末局に対する無線リソースの追加割当を終了する無線リソース割当ステップと、
を含むことを特徴とする無線リソース割当方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−106076(P2013−106076A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246580(P2011−246580)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】