説明

無線中継装置

【課題】電波の微弱地点で無線中継装置の設置を移動局に知らせることができる技術を提供する。
【解決手段】基地局側送受信部14は、基地局300側の無線通信装置から無線信号を受信して電界レベル検出部13に出力する。電界レベル検出部13は、無線信号の信号レベルを検出して判定部12に出力する。判定部12は、信号レベルが所定の閾値以下であるか否かを判定し、所定の閾値以下であるときに無線信号が微弱であることを移動局IF部10に通知する。移動局IF部10は、移動局200に無線中継装置の設置を促す設置要求通知を送信して、移動局200の利用者に無線中継装置を設置すべきことを知らせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信した無線信号を増幅して送信する無線中継装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動体通信システムには、移動局が基地局と無線通信を行う無線LAN(Wireless Local Area Network)がある。基地局は、移動局間を無線で相互に接続したり、無線ネットワークと有線等による他のネットワークとの相互接続を行ったりするアクセスポイントである。移動局は、アクセスポイントである基地局からの電波が到達する範囲内で通信が可能である。
【0003】
基地局から送信される無線信号は、遠くへ伝送されるに従って信号レベル(電界強度)が小さくなる。また、基地局からの見通しが利かない範囲では通信できないことがある。そのため、基地局からの無線信号が微弱となるエリアには、無線信号を受信して増幅し、再送信するリピータ(以下、リピータを無線中継装置と呼ぶ。)が設置される。無線中継装置が基地局からの無線信号を中継することで、無線LANにおける通信距離の延長や、電波の届かない死角範囲への中継が可能となる。
【0004】
また、無線中継装置において、中継受信した信号レベルを検出し、検出した信号レベルと中継対象の信号が受信されていないとみなす閾値との比較結果に応じて、増幅器のゲインを増減させて中継送信することにより、中継増幅の効率化を図る技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−082983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、無線中継装置は、基地局から無線送信される信号レベルが微弱になるエリアに設置されるが、その設置に際しては、例えば、屋外では基地局からの距離や、屋内では見通しが利かなくなる場所等が目安にされる。また、無線中継装置の中には、基地局から無線送信される信号レベルを簡易的に表示できるものもあり、この表示を目安に設置場所を判断することも行われる。
【0007】
しかしながら、急いで移動しながら通信を確立していくような場合、いつどこに無線中継装置を設置すればよいのか検討している時間がないことがある。例えば、通信が圏外になりがちなトンネル内や地下施設等に、緊急時や災害時などにおける捜索のために進入し、通信を確立しながら急いで移動しなければならないときなどである。
【0008】
このような場合、利用者は、小型の無線中継装置を複数持ち、携帯端末等の移動局で指示者や他の利用者と常時連絡を取りながら目的地への移動を試みつつ、移動しながら無線中継装置を適宜設置して通信を確立していくことが考えられる。
【0009】
しかし、利用者が、無線中継装置を設置するタイミングを確認するために、無線中継装置に簡易表示される信号レベルを注視しながら移動するのでは、移動速度が遅くなってしまったり、足元が悪い場合に危険であったりと不便である。また、利用者が、無線中継装置の簡易表示に頼らずに、基地局からどれだけ離れているかや、通信を阻害する障害物等がないかを考慮して、無線中継装置を設置することはさらに難しい。
【0010】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、電波の微弱地点で無線中継装置の設置を移動局に知らせることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の無線中継装置は、移動局に携行される無線中継装置であって、基地局側の無線通信装置から受信した無線信号の信号レベルを検出するレベル検出手段と、検出された前記信号レベルが所定の閾値以下であるか否かを判定する判定手段と、前記信号レベルが前記所定の閾値以下であるときに、無線中継装置の設置が必要である旨の設置要求通知を前記移動局に送信する設置要求通知送信手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電波の微弱地点で無線中継装置の設置を移動局に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る実施形態1の無線通信システムの全体構成図である。
【図2】本発明に係る実施形態1の無線中継装置が移動経路に設置されていく様子を示した模式図である。
【図3】本発明に係る実施形態1の無線中継装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図4】本発明に係る実施形態1の無線通信システムにおいて無線中継装置の設置が必要である旨の通知が移動局に送信される流れを示すシーケンス図である。
【図5】本発明に係る実施形態2の無線中継装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図6】本発明に係る実施形態2の無線通信システムにおいて無線中継装置の処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0015】
<実施形態1>
まず、図1を参照して本実施形態の無線通信システム1000の全体構成を説明する。本実施形態の無線通信システム1000は、基地局300と、移動局200と、移動局200(具体的には移動局200を所持する利用者)に携行される複数の無線中継装置100とで構成される。ここで、基地局300は、アクセスポイントであり、衛星通信を行うものを含む。
【0016】
利用者は、無線中継装置100を介し移動局200と基地局300との間で通信を行うとともに、通信を行っている無線中継装置100の他に複数の無線中継装置100を持ち運ぶ。本実施形態では、無線中継装置100が、電波の微弱地点に到達したことを検知し、移動局200に無線中継装置100を設置するよう通知を行う。この電波の微弱地点とは、移動局200が基地局300と正常に通信できるものの、その地点から所定距離(例えば10メートル)進行方向に進むと、通信が不安定になる虞がある場所である。つまり、無線中継装置100は、移動局200が基地局300と確実に通信を行えるように、ある程度余裕を持って電波の微弱地点であるか否かを判定して移動局200に通知している。本実施形態では、これにより、移動局200を利用している利用者は、例えばトンネル内の移動などで電波の微弱地点に到達する度に、無線中継装置100からの通知を受けて、持ち運んでいる無線中継装置100を設置し通信を確立しながら移動することができる。
【0017】
具体的に、無線中継装置100を設置して通信を確保しながら移動する様子を説明する。図2は、無線中継装置100が移動経路に設置されていく様子を模式的に示したものである。以下では、移動局200と直接通信を行っている無線中継装置100を無線中継装置101とし、移動経路に設置された無線中継装置100を無線中継装置102とし、利用者が持ち運んでいる予備の無線中継装置100を無線中継装置103として説明する。
【0018】
図2(a)に示すとおり、無線中継装置101は、移動局200の通信を確保するため、移動局200とともに目的地方向に移動する。無線中継装置101は、移動するにつれて基地局300から遠ざかり、これ以上移動すると基地局300との通信が切れそうな場所である電波微弱地点に到達する。無線中継装置101は、電波が微弱であることを検知し、無線中継装置103を設置するよう移動局200に通知して、移動局200の利用者に無線中継装置103の設置を促す。
【0019】
図2(b)では、移動局200の利用者は、電波が微弱であることを示す通知を受けて、無線中継装置102を設置して基地局300との通信を確保する。そして、利用者は、無線中継装置102と無線中継装置101とを介して、基地局300と移動局200との間の通信を継続し、さらに目的地へ移動する。
【0020】
図2(c)では、移動経路に障害物があることにより、無線中継装置101から移動局200に無線中継装置103の設置を促す通知が送信され、利用者によって無線中継装置102が追加して設置されている。利用者は、無線中継装置102を追加設置すると、移動経路に設置した2つの無線中継装置102と無線中継装置101とを使用して通信を継続し、さらに目的地へ移動することができる。
【0021】
この無線中継装置101の構成について具体的に説明する。
【0022】
図3は、無線中継装置101の構成を示す機能ブロック図である。無線中継装置101は、移動局IF部10と表示部11と判定部12と電界レベル検出部13と基地局側送受信部14と下り信号増幅器15と移動局側送受信部16と上り信号増幅器17とを備えている。また、無線中継装置101は、不図示のバッテリを内蔵しており、このバッテリを電源に駆動する。
【0023】
無線中継装置101は、基地局300から移動局200に向けて送信される無線信号と移動局200から基地局300に向けて送信される無線信号とのそれぞれを受信し、増幅して送信する双方向増幅器である。本実施形態では、無線信号が基地局300から移動局200へ伝送される場合を下り回線とし、移動局200から基地局300へ伝送される場合を上り回線として説明する。
【0024】
基地局側送受信部14は、アンテナや変調・復調器等で構成される。基地局300から移動局200への下り回線において、基地局側送受信部14は、基地局300から送信された無線信号を受信し、復調して電界レベル検出部13に出力する。なお、ここでは、基地局側送受信部14は、基地局300からの無線信号を受信するものとして説明するが、基地局300から無線中継装置101までの通信経路に無線中継装置102が設置されている場合、その設置された無線中継装置102からの無線信号を受信することになる。
【0025】
電界レベル検出部13は、取得した無線信号を下り信号増幅器15の入力端に出力するとともに、無線信号の信号レベル(電界強度)を検出し、検出した信号レベルを示す情報を含んだ検出レベル信号を判定部12に出力する。
【0026】
電界レベル検出部13は、下り信号増幅器15の前段における下り回線の電界強度を検出することで、基地局300から中継受信した無線信号の信号レベルを検出している。
【0027】
具体的には、電界レベル検出部13は、信号レベルを検出するための回路として、例えば電波の存在の有無を検出するIF検波用ICを用いてもよい。この場合、電界レベル検出部13は、IF検波用ICにおける受信信号の強度を測定するRSSI(Received Signal Strength Indicator)機能により出力されるRSSI信号(受信信号強度表示信号)を検出レベル信号として用いることができる。なお、電界レベル検出部13は、信号レベルを検出することができるものであれば、どのような検出手段が用いられてもよい。
【0028】
判定部12は、電界レベル検出部13から検出レベル信号を取得すると、検出レベル信号に基づく信号レベルと予め設定された閾値とを比較する。この閾値は、中継受信した無線信号が微弱であるとみなす信号レベルを示しており、予め判定部12に設定されている。閾値は、例えば基地局300の設置環境や、基地局300と無線中継装置101との間の通信環境等を鑑みて設定される。無線信号が微弱であるとみなす信号レベルは、移動局200が基地局300と正常に通信できるものの、その地点から所定距離(例えば10メートル)進行方向に進むと、通信が不安定になる虞がある信号レベルである。つまり、閾値は、移動局200が基地局300と確実に通信を行えるように、ある程度余裕を持って無線信号が微弱であるとみなす信号レベルに設定されている。
【0029】
判定部12は、信号レベルが閾値以下であると判定すると、中継対象の無線信号が微弱である旨を移動局IF部10に出力する。また、判定部12は、無線信号が微弱である旨を表示部11に表示させる。なお、表示部11には、無線中継装置103の設置を要求するメッセージを表示させてもよい。
【0030】
移動局IF部10は、移動局200と通信可能な機能を有しており、移動局200と通信可能に構成されている。移動局IF部10は、判定部12から無線信号が微弱である旨の通知を取得すると、移動局200に無線信号が微弱であるため無線中継装置103の設置が必要である旨を知らせる設置要求通知を送信する。移動局200には、無線中継装置103の設置を促す音声データ、例えば、「電波が微弱です。ここに無線中継装置を設置してください。」といった音声データが予め記憶されている。移動局200は、移動局IF部10から上記通知を受信すると、予め記憶されている音声データを再生し、利用者に無線中継装置103の設置を促す。これにより、移動局200を使用する利用者は、いつどこで無線中継装置103を設置すべきか分かるので、通信に支障をきたす心配をせずに迅速に移動することができる。
【0031】
一方、電界レベル検出部13から無線信号を取得した下り信号増幅器15は、無線信号を所定レベルまで増幅し、増幅した無線信号を移動局側送受信部16へ出力する。移動局側送受信部16は、アンテナや変調・復調器等で構成され、下り信号増幅器15から取得した無線信号を変調して移動局200に向けて送信する。
【0032】
また、移動局200から基地局300への上り回線において、移動局側送受信部16は、移動局200から送信された無線信号を受信し、復調して上り信号増幅器17に出力する。上り信号増幅器17は、取得した無線信号を所定のレベルまで増幅して基地局側送受信部14に出力する。基地局側送受信部14は、上り信号増幅器17から取得した無線信号を変調して基地局300に送信する。
【0033】
このように、無線中継装置101は、下り回線において、受信した無線信号の信号レベルを検出し、無線信号が微弱であると判定したときに、移動局200に無線中継装置103の設置が必要である旨の設置要求通知を送信し、利用者に無線中継装置103の設置を促す。
【0034】
次に、図4を参照して、無線通信システム1000において移動局200に信号レベルが微弱である旨の通知が送信される流れを説明する。なお、ここでは、無線中継装置101における信号増幅処理等についての説明は省略する。
【0035】
まず、基地局300から送信された無線信号は、無線中継装置101の基地局側送受信部14で受信される(ステップS10)。受信された無線信号は、無線中継装置101の電界レベル検出部13で信号レベルを検出される(ステップS11)。検出された信号レベルは、無線中継装置101の判定部12で、電波が微弱であるとみなす閾値(所定閾値)以下であるか判定される(ステップS12)。
【0036】
検出された信号レベルが所定閾値以下である場合(ステップS12でYes)、移動局IF部10によって移動局200に無線中継装置103の設置要求通知が送信される(ステップS13)。一方、検出された信号レベルが所定閾値以下でない場合(ステップS12でNo)、移動局IF部10から移動局200に対する通知は行われない。
【0037】
移動局200は、無線中継装置101から無線中継装置103の設置要求通知を受信すると、予め記憶された音声データを再生し、無線中継装置103の設置を利用者に促す(ステップS14)。
【0038】
このように、本実施形態では、無線中継装置101が、受信した無線信号の信号レベルを常に検出して信号レベルが微弱になっていないか判定し、信号レベルが微弱であるときは、移動局200を介して利用者に無線中継装置103を設置するよう促している。そのため、移動局200を使用する利用者は、いつどこで無線中継装置103を設置すべきか分かるので、通信に支障をきたす心配をせずに迅速に移動することができる。
【0039】
なお、無線中継装置101は、無線中継装置103の設置要求通知を所定範囲の複数の移動局200に通知してもよい。これによれば、現在が電波微弱地点であり、複数の移動局200を使用する各利用者に無線中継装置103の設置が必要であることを共通に認識させることができる。
【0040】
また、移動局200は、無線中継装置101からの設置要求通知を受信したときに音声データを再生するのではなく、単に無線中継装置103の設置を促すアラーム音を再生してもよい。このアラーム音は、無線中継装置101から再生されてもよい。また、移動局200は、音声データの再生とともに無線中継装置103の設置を促すメッセージを表示してもよい。
【0041】
また、移動局IF部10は、設置要求通知に代えて、移動局200に再生させる音声データを送信してもよいし、単に信号レベルが微弱である旨を送信してもよい。また、判定部12は、信号レベルが微弱であると判定すると、利用者の背中等に固定されている無線中継装置103の固定を解除し、無線中継装置103を地面や水面等に自動的に落下させて強制的に設置を行ってもよい。
【0042】
また、本実施形態では、移動局200と直接通信を行う無線中継装置101だけが、無線信号の電波が微弱であるかを判定して移動局200に通知する機能を備えるものとして説明したが、すべての無線中継装置100が無線中継装置101と同一の構成であってもよい。この場合、無線中継装置101が電波微弱地点であることを検出したときは、無線中継装置101を移動経路に設置して無線中継装置102とし、利用者によって持ち運ばれる予備の無線中継装置103を無線中継装置101として用いるようにしてもよい。
【0043】
<実施形態2>
図5は、本発明に係る実施形態2の無線中継装置501の構成を示す機能ブロック図である。本実施形態の無線中継装置501は、上記実施形態1の構成に加え、電源スイッチ51と増幅送信開始スイッチ54とを有している。また、電界レベル検出部52は、電源スイッチ51が押下された場合のみ上記実施形態1の処理を行う。下り信号増幅器53と上り信号増幅器55とは、増幅送信開始スイッチ54が押下された場合のみ上記実施形態1の処理を行う。これ以外の構成は、上記実施形態1と同様であり、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0044】
電源スイッチ51は、利用者によって押下されることによって、電界レベル検出部52に検出開始信号を出力する。電界レベル検出部52は、検出信号を取得すると、基地局側送受信部14から出力され、下り信号増幅器53に入力される無線信号の電界レベルの検出を行う。
【0045】
増幅送信開始スイッチ54は、押下されると、下り信号増幅器53と上り信号増幅器55とに増幅開始信号を出力する。下り信号増幅器53は、増幅開始信号を取得すると、基地局側送受信部14で受信された無線信号の増幅を行って移動局側送受信部16に出力する。上り信号増幅器55は、増幅開始信号を取得すると、移動局側送受信部16で受信された無線信号の増幅を行って基地局側送受信部14に出力する。なお、増幅送信開始スイッチ54の押下は、利用者によって行われてもよいし、増幅送信開始スイッチ54を無線中継装置501の底面(設置場所と接する面)に設け、無線中継装置501を設置したときに無線中継装置501の自重等により自動的に押下されるようにしてもよい。
【0046】
なお、電源スイッチ51が押下されない場合、電界レベル検出部52は、基地局側送受信部14から取得する無線信号に対し電界レベルの検出を行わないまま下り信号増幅器53に出力する。また、増幅送信開始スイッチ54が押下されない場合、下り信号増幅器53と上り信号増幅器55とは、無線信号の増幅処理及び出力を行わない。
【0047】
これにより、例えば、無線中継装置501を設置するまでは、増幅送信開始スイッチ54を押下せず、電源スイッチ51だけ押下することで、無線信号の受信電界レベルを移動局200で取得することができる。また、このとき、下り信号増幅器53は機能していないため、共に移動する移動局200への無線信号の過入力を防止するとともに、省電力化を図ることができる。
【0048】
なお、電源スイッチ51が押下される毎に、電界レベル検出部52における電界レベルの検出処理の開始と中止とを切り替えられるようにしてもよい。同様に、増幅送信開始スイッチ54も押下される毎に、下り信号増幅器53と上り信号増幅器55とにおける増幅処理の開始と中止とを切り替えられるようにしてもよい。また、電源スイッチ51と増幅送信開始スイッチ54とにおける操作は、押下だけに限らず、他の操作手法が用いられても良い。
【0049】
図6は、本実施形態の無線中継装置501の処理の流れを示すシーケンス図である。
【0050】
無線中継装置501には、基地局300からの無線信号が入力される(ステップA10)。無線中継装置501の電界レベル検出部52は、電源スイッチ51が押下されている場合(ステップA11でYes)、基地局側送受信部14を介して取得する無線信号の電界レベルを検出する(ステップA12)。以降のステップA13からステップA15までの各処理は、実施形態1における図4のステップS12からステップS14までの各処理と同じであるため、説明を省略する。一方、無線中継装置501の電界レベル検出部52は、電源スイッチ51が押下されていない場合(ステップA11でNo)、基地局側送受信部14を介して取得する無線信号の電界レベルの検出を行なわず、ステップA16に進む。
【0051】
次に、無線中継装置501の下り信号増幅器53は、増幅送信開始スイッチ54が押下されている場合(ステップA16でYes)、基地局側送受信部14と電界レベル検出部53とを介して取得する無線信号の増幅を行う(ステップA17)。下り信号増幅器53は、増幅した無線信号を移動局側送受信部16を介して移動局200に送信する(ステップA18)。一方、下り信号増幅器53は、増幅送信開始スイッチ54が押下されていない場合(ステップA16でNo)、無線信号の増幅及び移動局200への出力を行わなず、処理を終了する。なお、電界レベルの検出処理に関するステップA11からステップA15までの処理と、無線信号の増幅処理に関するステップA16からステップA18までの処理とは、平行して行われてもよい。
【0052】
このように、本実施形態によれば、無線中継装置501は、設置されたとき(例えば特定のスイッチが押下されたとき)に受信信号の増幅送信を開始し、それまでは信号レベルの検出と移動局200への通知のみ行う。これにより、無線中継装置501は、省電力化と、共に移動する移動局200への過入力を防ぐことができる。
【0053】
以上、本実施形態を概説すると、本実施形態の無線中継装置は、移動局に携行される無線中継装置であって、基地局側の無線通信装置から受信した無線信号の信号レベルを検出するレベル検出手段と、検出された前記信号レベルが所定の閾値以下であるか否かを判定する判定手段と、前記信号レベルが前記所定の閾値以下であるときに、無線中継装置の設置が必要である旨の設置要求通知を前記移動局に送信する設置要求通知送信手段とを備えたことを特徴とする。
また、前記レベル検出手段は、IF検波用ICで構成され、検出した前記信号レベルとしてRSSI信号を判定部に出力してもよい。
また、前記判定手段は、前記信号レベルが前記所定の閾値以下であると判定したときに、利用者によって持ち運ばれる予備の無線中継装置を落下させて強制的に設置してもよい。
また、前記レベル検出手段における処理を開始させる検出処理開始指示手段を備えてもよい。
また、受信した前記無線信号の増幅を行う増幅手段と、前記増幅手段における処理を開始させる増幅処理開始指示手段とを備えてもよい。
【0054】
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々様々に変更が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0055】
10・・・移動局IF部
11・・・表示部
12・・・判定部
13,52・・・電界レベル検出部
14・・・基地局側送受信部
15,53・・・下り信号増幅器
16・・・移動局側送受信部
17,55・・・上り信号増幅器
51・・・電源スイッチ
54・・・増幅送信開始スイッチ
100,101,102,103,501・・・無線中継装置
200・・・移動局
300・・・基地局
1000・・・無線通信システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局に携行される無線中継装置であって、
基地局側の無線通信装置から受信した無線信号の信号レベルを検出するレベル検出手段と、
検出された前記信号レベルが所定の閾値以下であるか否かを判定する判定手段と、
前記信号レベルが前記所定の閾値以下であるときに、無線中継装置の設置が必要である旨の設置要求通知を前記移動局に送信する設置要求通知送信手段と
を備えたことを特徴とする無線中継装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−39383(P2012−39383A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177683(P2010−177683)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】