無線位置決定精度を改善するための方法及び装置
【課題】利用可能な測定値を使用して端末に対するより正確な所在地推定値を行う、無線位置決定精度を改善するための方法及び装置を提供する。
【解決手段】端末110に対する初期の所在地推定値が、(例えば、セルID解又は拡張セルID解に基づいて)初めに取得される。測定値は、端末に対して取得される。初期の所在地推定値は、それから、測定値を用いて更新されて、端末に対する修正された所在地推定値を取得する。更新することは、下記によって実行されることができる、(1)初期の所在地推定値及び測定値に基づいて測定値ベクトルを決定すること、(2)測定値に対する観測行列を作成すること、(3)加重の行列を決定すること、(4)測定値ベクトル、観測行列、及び加重行列に基づいて補正ベクトルを導き出すこと、及び(5)補正ベクトルを用いて初期の所在地推定値を更新すること。
【解決手段】端末110に対する初期の所在地推定値が、(例えば、セルID解又は拡張セルID解に基づいて)初めに取得される。測定値は、端末に対して取得される。初期の所在地推定値は、それから、測定値を用いて更新されて、端末に対する修正された所在地推定値を取得する。更新することは、下記によって実行されることができる、(1)初期の所在地推定値及び測定値に基づいて測定値ベクトルを決定すること、(2)測定値に対する観測行列を作成すること、(3)加重の行列を決定すること、(4)測定値ベクトル、観測行列、及び加重行列に基づいて補正ベクトルを導き出すこと、及び(5)補正ベクトルを用いて初期の所在地推定値を更新すること。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2002年10月17日提出の米国仮出願番号第60/419,680号、及び2002年12月13日提出の米国仮出願番号第60/433,055号の優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、一般に所在地決定に係る。特に、本発明は、測定のセットを使用してワイアレス端末に対するより正確な所在地推定値を提供するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
ワイアレス・ユーザの所在地を知ることは、しばしば望まれ、時には必要である。例えば、連邦通信委員会(Federal Communication Commission)(FCC)は、拡張911(E9−1−1)ワイアレス・サービスに関する報告及び命令を採用している。E911は、911通話が端末から行われるたび毎に、公共安全性回答ポイント(Public Safety Answering Point)(PSAP)へ提供されるべきワイアレス端末(例えば、セルラ電話機、モデム、ワイアレス能力を有するコンピュータ、パーソナル・ディジタル・アシスタンツ(PDA)、若しくは任意の他のそのようなワイアレス通信能力を有する移動又は携帯装置)の位置を必要とする。FCC命令は、67%の通話に対して50m以内の、そして95%の通話に対して150m以内の精度になるように、補助GPS(Assisted-GPS)(A−GPS)のような、手持ち電話機ベースの技術のために、端末の位置を必要とする。FCC命令に加えて、サービス・プロバイダは、追加の収入を発生させる可能性がある価値を付加した商品を提供するために、種々のアプリケーションにおいて位置決定サービス(すなわち、ワイアレス端末の所在地を同定するサービス)を使用する可能性がある。
【0004】
種々のシステムが、ワイアレス端末の所在地を決定するために使用されることができる。1つのそのようなシステムは、周知のグローバル所在地決定システム(Global Positioning System)(GPS)である。GPSは、地球の周回軌道を回っている24個の適切に間隔をおいて配置された人工衛星の“コンステレーション(constellation)”である。各GPS人工衛星は、情報を用いてエンコードされた信号を送信する。情報は、時間の任意の時点に対して相対的に受信された信号の到着の時間を受信機が測定することを可能にする。この相対的な到着の時間測定は、その後、“擬似距離(pseudo-range)”へ変換される。擬似距離は、人工衛星と端末との間の実際の距離の測定に伴う全ての誤差を加えた合計である。GPS受信機の3次元の所在地は、十分な数の人工衛星(代表的に4個)に対する擬似距離測定値及びそれら位置に基づいて(大部分のGPS受信機に関して10から100mの範囲内で)正確に推定されることができる。
【0005】
セルラ通信システムのような、ワイアレス通信システムも、ワイアレス端末の所在地を決定するために使用されることができる。GPS信号と同様に、端末は、地上基地局からの“地上波”信号を受信することができ、そして受信された信号の到着の時間を決定することができる。再び、到着の時間測定値は、擬似距離に変換されることができる。十分な数の基地局(代表的に3若しくはそれより多い)に対する擬似距離測定値は、その後、端末の2次元の所在地を推定するために使用されることができる。
【0006】
ハイブリッド所在地決定システムでは、地上基地局からの信号は、ワイアレス端末の所在地を決定するためにGPS衛星からの信号の代わりに、又は補充するために使用されることができる。“ハイブリッド”端末は、人工衛星からGPS信号を受信するためのGPS受信機及び基地局からの地上波信号を受信するための“地上波”受信機を含む。基地局から受信された信号は、端末によりタイミングを合わせるために使用されることができる、若しくは擬似距離に変換されることができる。端末の3次元の所在地は、人工衛星及び基地局に対する十分な数の測定値(CDMAネットワークに対して、これは代表的に4である)に基づいて推定されることができる。
【0007】
上記で説明した3つの異なる所在地決定システム(すなわち、GPS、ワイアレス、及びハイブリッド)は、異なる精度のレベルで所在地推定値(若しくは“位置決定値(fix)”)を提供できる。GPSからの信号に基づいて導き出された所在地推定値は、最も正確である。しかしながら、GPS信号は、人工衛星と受信機との間が大きく離れているために非常に低い電力レベルで受信される。さらに、大部分の従来のGPS受信機は、ビルの内部で、厚く繁った葉の下で、高いビルが空の多くを遮る都市環境において、及びその他でGPS信号を受信することが非常に困難である。ハイブリッド・システムから導き出された所在地推定値は、精度が悪くなり、ワイアレス通信システムからの信号に基づいて導き出されたものは、さらに精度が悪くなる。これは、基地局からの信号に基づいて算出された擬似距離が、基地局中のタイミング及びハードウェアの誤差、端末中のタイミング及びハードウェアの誤差、及び地上波伝播経路に起因する誤差のために、GPS信号から算出されたものよりも大きな誤差を示す傾向があるためである。
【0008】
端末の所在地は、上記に説明した3つのシステムのいずれか1つに基づいて推定されることができる。可能な限り正確な所在地推定値を得ることが望まれる。それゆえ、十分な数のGPS信号が利用可能であるならば、GPS解が、導き出されるはずである。そのようでない場合に、1若しくはそれより多くのGPS信号に加えて十分な数の地上波信号が利用可能であるならば、ハイブリッド解が、導き出されることができる。そして、GPS信号が利用できない場合には、十分な数の地上波信号が利用可能であるならば、セルラ解が、取得されることができる。
【0009】
上記で説明した3つの解のいずれかを導き出すために必要な信号の数が、利用できない可能性がある。そのような状況では、ある種の代わりの所在地決定技術が、端末の所在地を推定するために使用されることができる。1つのそのような代わりの技術は、セルID技術である。これは、端末の所在地推定値として端末が通信している基準(reference)(若しくはサービスしている)基地局に対する指定された位置を提供する。この指定された位置は、基地局の交信地域の中心、基地局のアンテナの位置、若しくは基地局の交信地域の内部のあるその他の位置である可能性がある。拡張セルID解は、基準基地局からのセルID情報を他の基地局からのセルID情報と統合することができ、及び/若しくは往復遅延測定値及び/又は端末と通信している少なくとも1の基地局からの信号強度測定値を含むことができる。セルID解又は拡張セルID解は、十分な数の信号が利用できないために、より正確な解が独立して導き出すことができない場合に、“頼みの綱(fall-back)”若しくは“安全対策(safety-net)”解として与えられることができる。不幸にして、上記の代替技術によって与えられる所在地推定値の質は基地局の交信地域の大きさに依存するために、所在地推定値の質は、極めて悪い可能性がある。
【0010】
それゆえ、利用可能な測定値を使用して端末に対するより正確な所在地推定値を提供する方法及び装置に対して、この分野における必要性がある。
【発明の概要】
【0011】
方法及び装置は、ワイアレス端末に対する初期の所在地推定値の精度を改善するように所在地位置測定値を利用するためにここに説明される。これらの測定値は、測定値の部分セット又は測定値の“完全な”セットのどちらかであることができる。部分測定値セットは、事前に決められたサービスの質(すなわち、事前に決められた精度)で端末の個々の所在地位置決定値を生成するために利用できるが十分でない数の測定値を含む。しかしながら、これらの測定値を放棄する代わりに、通常行われているように、これらは、初期の所在地推定値よりも改善された精度を有する修正された所在地推定値を導き出すために使用される。他の1つの方法及び装置では、初期の所在地推定値は、測定値の完全なセットを使用して改善される。測定値の完全なセットは、そのセットから十分に高いサービスの質で所在地位置の解を導き出すことが可能な測定値のセットであるが、それでも方法及び装置によって改善されることができる。この方法及び装置は、測定値の完全なセット又は測定値の部分セットのいずれが使用されるかに拘らず、基本的に同じである。したがって、議論を容易にするために、開示された方法及び装置は、測定値の部分セットのみに関連して説明される。
【0012】
ワイアレス端末に対する所在地推定値を決定するための1方法では、端末に対する初期の所在地推定値は、セルID解又は拡張セルID解若しくは他の所在地の位置推定スキームに基づいて初めに取得される。測定値の部分セットも、1又はそれより多くの所在地決定システムから端末に対して取得される。部分セットは、人工衛星、ワイアレス基地局及び/又はアクセス・ポイントからの測定値、若しくは人工衛星測定値と地上波測定値との組み合わせを含むことができる。初期の所在地推定値は、それから端末に対する修正された所在地推定値を取得するために測定値の部分セットを用いて更新される。
【0013】
更新することは、初期の所在地推定値及び測定値の部分セットに基づいて測定値ベクトルを初めに導き出すことによって実行されることができる。測定値ベクトルは、その測定値が部分セットの中にある送信機に対する擬似距離残差(pseudo-range residuals)を一般に含む。各擬似距離残差は、(1)(測定値に基づいて導き出された)端末の所在地から送信機までの“測定された”擬似距離と(2)初期の所在地推定値から送信機までの“算出された”擬似距離との間の差である。観測行列も、測定値の部分セットに対して生成される。初期の所在地推定値と測定値の部分セットの統合において使用される加重の行列も、決定されることができる。補正ベクトルは、それから、測定ベクトル、観測行列、及び加重行列に基づいて導き出される。初期の所在地推定値は、それから、初期の所在地推定値への変更を含む、補正ベクトルを用いて更新される。
【0014】
方法及び装置の各種の態様及び実施形態が、下記にさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、複数の所在地決定システムを具備するシステムを図示する。
【図2】図2は、測定値の部分セットを使用してワイアレス端末に対するより正確な所在地推定値を与えるためのプロセスを示す。
【図3】図3は、開示された方法及び装置がより正確な所在地推定値を提供することができる動作シナリオの例を図示する。
【図4】図4は、開示された方法及び装置がより正確な所在地推定値を提供することができる動作シナリオの例を図示する。
【図5】図5は、開示された方法及び装置がより正確な所在地推定値を提供することができる動作シナリオの例を図示する。
【図6】図6は、人工衛星測定値及び/又はセルラ測定値を用いた初期の所在地推定値を統合するプロセスを図式的に説明する。
【図7】図7は、人工衛星測定値及び/又はセルラ測定値を用いた初期の所在地推定値を統合するプロセスを図式的に説明する。
【図8】図8は、人工衛星測定値及び/又はセルラ測定値を用いた初期の所在地推定値を統合するプロセスを図式的に説明する。
【図9】図9は、人工衛星測定値及び/又はセルラ測定値を用いた初期の所在地推定値を統合するプロセスを図式的に説明する。
【図10】図10は、人工衛星測定値及び/又はセルラ測定値を用いた初期の所在地推定値を統合するプロセスを図式的に説明する。
【図11】図11は、図2に示されたプロセスの具体的な実施形態を示す。
【図12】図12は、より正確な所在地推定値を提供するために状態ドメイン情報を測定ドメイン情報と統合するためのプロセスを示す。
【図13】図13は、ワイアレス端末の構成要素とすることができる受信機ユニットの実施形態のブロック図である。
【発明の詳細な説明】
【0016】
本発明の特徴、本質、及び利点は、図面を使用して以下に述べられる詳細な説明から、さらに明確になる。図面では、一貫して対応するものは同じ参照符号で識別する。
【0017】
図1は、複数の所在地決定システムを具備したシステム100を説明する図である。1つのそのような所在地決定システムは、衛星所在地決定システム(satellite positioning system)(SPS)である。これは、周知のグローバル所在地決定システム(Global Positioning System)(GPS)である可能性がある。他の1つのそのような所在地決定システムは、セルラ通信システムである。これは、コード分割多元アクセス(Code Division Multiple Access)(CDMA)通信システム、モービルに対するグローバル・システム(Global System for Mobile)(GSM(登録商標))通信システム、又はある種の他のワイアレス・システムである可能性がある。一般に、システム100は、任意のタイプ(例えば、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、ワイアレス・フィデリティ(Wireless Fidelity)(Wi−Fi)、ウルトラ−ワイド・バンド幅(Ultra-Wide Bandwidth)(UWB)、又は位置に関係する情報を提供することができる任意のその他のシステム)である可能性がある任意の数の所在地決定システムを含むことができる。システムが地域的に偏在した信号交信可能範囲を与えるように設計されるのであれば、このシステムは、ローカル・エリア所在地決定システム(Local Area Positioning System)(LAPS)として呼ばれることができる。
【0018】
図1に示されたように、端末110は、複数の送信機(又はトランシーバ)から送信された信号を受信することができる。送信機の各々は、セルラ通信システムの基地局120又はSPSの人工衛星130であることができる。端末110は、セルラ電話機、モデム、ワイアレス能力を有するコンピュータ、パーソナル・ディジタル・アシスタンツ(personal digital assistant)(PDA)、若しくはワイアレス通信能力を有する任意の他のそのようなモービル装置又は携帯型装置であることができる。一般に、既知の又は確認できる場所に置かれた任意のタイプの送信機は、端末の所在地を決定するために使用されることができる。例えば、端末110は、ブルートゥース・システム中のアクセス・ポイントから信号を受信できる。ここで使用されるように、基地局は、所在地決定のために使用されることができる信号を送信する及び/又は受信する任意の地上送信機又はトランシーバであることができる。
【0019】
端末110は、所在地決定システムから信号を受信する及び処理する能力があるいずれかの装置であることができ、タイミング、距離測定、及び/又は位置決定情報を取得できる。タイミング及び距離測定は、一緒に結び付けられる必要性がないことを、記しておく。例えば、ブルートゥース・システムのような短距離測定システムから信号を単に受信することは、端末の位置を無線で決定するための十分な情報を提供することができる。端末110は、セルラ電話機、固定端末、ワイアレス・モデムを有する電子ユニット(例えば、コンピュータ・システム、パーソナル・ディジタル・アシスタンツ(PDA)、等)、人工衛星及び/又は基地局から信号を受信する能力がある受信機ユニット、等であることができる。他の1つの例では、端末110は、所在地決定システムへ信号を送信する能力があるいずれかの装置であることができ、その結果これらの所在地決定システムは、タイミング、距離測定、及び/又は位置決定情報を取得できる。
【0020】
ワイアレス端末の所在地は、1又はそれより多くの所在地決定システムからの信号に基づいて決定されることができる。例えば、システム100がSPS及びセルラ通信システムを含むのであれば、端末の所在地は、(1)SPS単独、(2)セルラ通信システム単独、若しくは(3)SPS及びセルラ通信システムの両者からの信号に基づいて推定されることができる。セルラ通信システム中の基地局からの測定値だけに基づいて端末の所在地を決定するための技術は、高等順方向リンク三辺測量(Advanced Forward Link Trilateration)(A−FLT)、アップリンク到着の時間(Uplink Time of Arrival)(U−TOA)又はアップリンク到着の時間差(Uplink Time Difference of Arrival)(U−TDOA)、拡張された観測された時間差(Enhanced Observed Time Difference)(E−OTD)、及び観測された到着の時間差(Observed Time Difference of Arrival)(OTDOA)として知られる。
【0021】
各所在地決定システムは、あるレベルの精度を有する所在地推定値(又は位置決定値)を与えることができ、しかも、ある種の動作環境に対しても利用可能である。システム100がSPS及びセルラ通信システムを含むのであれば、精度及びこれらのシステムに対する利用可能性は、表1に示されたように(一般的な精度の下降順で)簡単にまとめられることができる。
【表1】
【0022】
“SPSベース”の解は、表1で最も高い精度を有する。しかしながら、十分な数のSPS衛星(一般的に4)は、ある種の動作環境(例えば、室内)において、この解を算出するために利用できないことがある。“ハイブリッド”解は、次に高い精度を有するが、1又はそれより多くのSPS衛星に加えて十分な数の基地局からの信号を必要とする。再び、信号の必要な数(一般的に4)は、ある種の動作環境において利用できない可能性がある。A−FLTのような“ネットワーク・ベース”の解は、(3又はそれより多くの)十分な数の基地局に対する測定値に基づいて取得されることができる。必要な数の基地局が利用できないのであれば、“セル・ベース”のセルID解又は拡張セルID解は、1つの基地局に対する測定値に基づいて取得されることができる。この基地局は、一般に端末と通信している基地局であり、しばしば“基準(reference)”基地局として呼ばれる。他の1つの例では、拡張セルID解は、複数の基地局若しくはセル交信地域説明のようなセル、複数の送信機からの観測、及び信号強度、信号干渉、等の信号特性、からの情報を含む。
【0023】
ハイブリッド解を導き出すための技術は、米国特許第5,999,124号、名称“ワイアレス通信信号を用いた衛星所在地決定システム増強”1999年12月7日発行、に詳しく説明されており、引用文献としてここに取り込まれている。
【0024】
従来、表1に示された解の1つが、所在地推定値が端末に対して必要なときはいつでも提供される。解くために必要な数の測定値(すなわち、測定値の完全なセット)が利用可能な場合に、最も正確な解が、導き出される。必要な数よりも少ない数の測定値が利用可能であるならば、セルID解又は拡張セルID解のような頼みの綱又は安全対策解が与えられることができる。
【0025】
方法及び装置は、粗い初期の所在地推定値の精度を改善するために1又はそれより多くの所在地決定システムから取得された測定値の部分セットを利用するためにここに説明される。初期の所在地推定値は、例えば、セルID解、拡張セルID解又はLAPS解により与えられることができる。非天位位置推測値(dead reckoning)の使用によるような初期の所在地推定値及びユーザによる直接入力の推定値、等を決定するために、複数のその他の方法が知られていることは、この分野において知識のある者により理解される。
【0026】
部分セットは、SPS及び/又はセルラ測定値を含むことができる。この部分セットは、事前に決められたサービスの質で端末に対する個々の所在地推定値を導き出すために必要な十分な数の測定値を含まないという事実によって規定される。事前に決められたサービスの質が、それに対して所在地位置決定が使用される特定のアプリケーションに基づいて決定されることを、この分野において知識のある者によって理解されるはずである。例えば、関心のある場所(例えば、自動金銭出納機(automated teller machines)(ATM)、レストラン、特定のタイプの店、等)が近くのどこにあるかに関する情報を提供するために必要とされるサービスの質は、相対的に低い(不正確)可能性がある。対照的に、事前に決められたサービスの質は、比較的小さな距離により隔てられた狭い道の迷路を経由してナビゲートするようなアプリケーションに対して相対的に高く(正確に)なることが必要である。そこにたまたま位置した特定の店又はレストランに関する情報を提供するために、高い品質でさえが、必要であることがある。例えば、1つのアプリケーションでは、端末のユーザは、互いに非常に近接して(すなわち、互いに隣同士で)複数の競合するレストランを有する道路上で、彼が入ろうとしているレストランのメニューをダウンロードすることに関心がある。1つのものを他から区別するために、サービスの質は、相対的に高い必要があるはずである。
【0027】
しかしながら、従来行われていたように、事前に決められたサービスの質を達成するために不十分である測定値を破棄する代わりに、今回開示された方法及び装置は、初期の所在地推定値よりも改善された精度を有する修正された所在地推定値を導き出すためにこれらの測定値を使用する。1つの例外は、LAPS解である可能性がある。LAPS最大信号距離若しくはLAPS送信機からの距離が、初期の所在地誤差推定値より小さいのであれば、初期の所在地推定値は、LAPS解によって更新される(置き換えられる)。LAPS解は、1個のLAPS測定値から導き出されてきていることがある。このLAPS測定値は、距離測定値、信号特性値、信号受信の単純な指標であることができ、若しくはLAPS交信地域の説明に基づく可能性がある。
【0028】
他の1つの方法及び装置では、初期の所在地推定値は、測定値の完全なセットを使用することによって改善される。測定値の完全なセットは、そこから、十分に高いサービスの質で所在地位置の解を導き出すことが可能な測定値のセットであるが、それにも拘らず方法及び装置によって改善されることができる。ここに開示された方法及び装置は、測定値の完全なセット又は測定値の部分セットが使用されたかどうかに拘らず、基本的に同じである。したがって、議論を容易にするために、開示された方法及び装置は、測定値の部分セットだけの関連で説明される。
【0029】
図2は、測定値の部分セットを使用してワイアレス端末に対するより正確な所在地推定値を提供するためのプロセス200の実施形態のフロー図である。プロセスは、端末に対する初期の所在地推定値を取得することにより開始する(ステップ212)。この初期の所在地推定値は、1又はそれより多くの所在地決定システムから導き出されることができる。さらに、初期の所在地推定値は、利用可能ないずれかの所在地決定技術を使用して取得されることができる最も正確な解を表すことができる。例えば、初期の所在地推定値は、セルID解、拡張セルID解、又はある種のその他の解により与えられることができる。
【0030】
測定値の部分セットは、また、1又はそれより多くの所在地決定システムから取得される(ステップ214)。この部分セットは、事前に決められたサービスの質で端末に対する独自の所在地推定値を導き出すために十分な数の測定値を含まない。しかしながら、必要な数の測定値が利用可能であるならば、独自の所在地推定値は、端末に対して取得されてきているはずであり、この所在地推定値は、一般に初期の所在地推定値よりも高い精度を有するはずである。部分セットは、SPSだけからの測定値、セルラ通信システムだけからの測定値、若しくはSPS及びワイアレス通信システムの両者から又は任意の数のその他の所在地決定システムからの測定値を含むことができる。
【0031】
初期の所在地推定値は、その後、端末に対する修正された所在地推定値を取得するために測定値の部分セットを用いて更新される(ステップ216)。この修正された所在地推定値は、初期の所在地推定値より高い精度を有する。精度の改善の量は、下記のような各種の要因に依存する。例えば、(1)初期の所在地推定値の正確さ(又は不正確さ)、(2)更新するために利用可能な測定値の数及びタイプ、幾何学的な配置(すなわち、そこからの信号が受信される送信機の相対的な位置)、等である。更新することは、下記に説明される。
【0032】
方法及び装置をより明確に説明するために、測定値の完全なセットに基づいて端末に対する所在地推定値を算出するための導出が、初めに説明される。下記の説明では、測地学的な座標系が使用され、3次元の(3−D)所在地は、緯度(北)、経度(東)、及び高度(上)に対する3つの値によって定義されることができる。
【0033】
所与の3−D座標に位置する端末に対して、その正確な所在地は、既知の位置の3つの送信機への実際の(すなわち“真の”)距離に基づいて決定されることができる。しかしながら、各送信機への真の距離は、時計及びその他の測定誤差のために、通常は決定できない。その代わりに、“擬似距離”が決定される。それは、真の距離に加えて時計及びその他の測定誤差に起因するオフセットを含む。4番目の測定値は、全ての測定値中の共通のオフセットを削除するために必要である。
【0034】
端末の所在地、i番目の送信機の位置、及び端末の所在地からi番目の送信機の位置までの擬似距離PRiを関係付ける基本方程式は、次式で表されることができる:
【数1】
【0035】
ここで、Lat,Long,及びAltは、端末の実際の所在地の3−D平面空間座標を表し;
Lati,Longi,及びAltiは、i番目の送信機の位置の座標を表し;そして
Tは、時間座標を表す。
【0036】
4つの基本方程式のセットが、4つの異なる送信機、すなわち、i={1,2,3,4}、に対して式(1)に示されたように取得されることができる。
【0037】
基本方程式は、増分関係を採用することによって線形化されることができ、下記のようである:
Long=Longinit+Δe, 式(2)
Lat=Latinit+Δn,
Alt=Altinit+Δu,
T=Tinit+ΔT,及び
PRi=PRinit,i+ΔPRi, i={1,2,3,4}に対して、
ここで、Latinit,Longinit,Altinit,及びTinitは、それぞれLat,Long,Alt,及びTの初期値(アプリオリ(a priori)最適推定値)であり;
Δe,Δn,Δu,及びΔTは、それぞれ初期値Latinit,Longinit,Altinit,及びTinitへの補正を表し;
PRinit,iは、初期の所在地推定値からi番目の送信機までの擬似距離測定値(すなわち、“算出された”擬似距離)を表し;
PRiは、端末の所在地からi番目の送信機までの擬似距離測定値(すなわち、“測定された”擬似距離)を表し;そして
ΔPRiは、算出された擬似距離と測定された擬似距離との間の差(これは、“擬似距離残差”とも呼ばれる)を表す。
【0038】
式のセット(2)では、Latinit,Longinit,及びAltinitは、端末の最初の3−D所在地推定値を表し、そして、Lat,Long,及びAltは、端末の実際の3−D所在地(すなわち、アポステリオリ(a posteriori)最適推定値)を表す。初期の所在地推定値は、端末に対して現在利用可能な最善の推定値である。
【0039】
擬似距離測定値PRinit,iは、初期の所在地推定値(Latinit,Longinit,及びAltinit)とi番目の送信機の既知の位置(Lati,Longi,及びAlti)との間の擬似距離に関する算出された値である。この擬似距離測定値は、下記のように表される:
【数2】
【0040】
擬似距離測定値PRiは、PRiが端末によって受信されたi番目の送信機からの信号に基づいて導き出されるので、“測定された”値と考えられる。特に、信号がi番目の送信機から送信された時間が既知であるならば(例えば、信号は発信記録がある若しくは時間情報が信号中にエンコードされているならば)、信号が端末に到着するまでにかかる時間は、信号が端末において受信される(端末の内部クロックに基づいた)時間を観測することによって、決定されることができる。しかしながら、送信と受信との間の時間の大きさは、一般に、送信機と端末との間のクロックの間のオフセット及びその他の測定誤差のために正確に決定されることができない。そのために、擬似距離は、基準時間と信号が受信された時間との間の差に基づいて導き出される。他の一例では、信号強度のような信号特性、若しくは信号特性の組み合わせが、擬似距離測定値を導き出すために使用されることができる。SPS衛星から受信された信号から擬似距離を導き出すことは、この分野において公知であり、ここでは詳細に説明されない。
【0041】
i番目の送信機に対する擬似距離残差ΔPRiは、下記のように表されることができる:
ΔPRi=PRi−PRinit,i 式(4)
基本方程式(1)へ式のセット(2)中の増加分の式を代入し、2次の誤差項を無視すると、次式が得られる:
【数3】
【0042】
式(5)により示された4つの線形化された式は、行列の形式でより都合よく表されることができ、下記の通りである:
【数4】
【0043】
ここで、∂/∂xは、i番目の送信機への擬似距離とx方向のベクトルとの間の角度の方向余弦である。ここで、xは、東、北、又は上である。式(6)は、端末の所在地を決定するため又は更新するために使用されることができ、4つの送信機に対する完全なかつ独立した擬似距離測定値のセットが利用可能であることを与える。
【0044】
図3は、開示された方法及び装置がより正確な所在地推定値を与えるために使用されることができる動作シナリオの一例を説明する図である。図3において、端末110は、基地局120xからの信号及び2個のSPS衛星130xと130yからの信号を受信する。これらの3つの信号は、3−Dハイブリッド所在地位置決定値を導き出すために十分でない可能性がある。セルID解は、その後、端末110と通信している基地局120xの基本的な知識を使用して導き出されることができる。基地局120xが円310によって近似された地理的地域に対して交信地域を与えるように表されるのであれば、端末110の所在地は、基地局の位置として若しくは交信地域の範囲内であるその他の指定された位置として推定されることができる。
【0045】
システム能力を増加させるために、各基地局の交信地域は、複数のセクタ(例えば、3つのセクタ)に区切られることができる。各セクタは、それから、対応する基地トランシーバ・サブシステム(base transceiver subsystem)(BTS)によってサービスされる。セクタにされた交信地域(一般にセクタにされたセルと呼ばれる)に対して、その交信地域をサービスしている基地局は、交信地域のセクタをサービスしている全てのBTSを含むはずである。拡張セルID解は、それから、それと端末が通信している特定のBTSセクタを識別する追加の情報を用いて取得されることができる。そのような場合には、端末の所在地の不確実性は、図3にセクタAとして名前を付けられているパイ型の地域に縮小されることができる。端末の所在地は、それから、このBTSによってカバーされたセクタの中心(点312)として、若しくはあるその他の指定された位置として推定されることができる。
【0046】
追加の情報も、利用可能である。例えば、BTSから受信された信号の強度、端末とBTSとの間の往復遅延(roundtrip delay)(RTD)、(GSMに対する)受信された信号の時間進行(time advance)(TA)、端末と(W−CDMAに対する)BTSとの間の往復時間(round trip time)(RTT)、等のようなものである。そのような追加の情報が利用可能であるならば、端末の所在地推定値は、それに応じて調節されることができる。
【0047】
上記に説明されたように、セルID技術又は拡張セルID技術は、端末に対する粗い所在地推定値を与えることができる。これは、端末に対する2−Dアプリオリ最適推定値(すなわち、初期の所在地推定値)を表すはずである。端末に対する初期の所在地推定値は、(Latinit及びLonginit)として与えられることができる。改善された精度を有する修正された所在地推定値は、それから、2つのSPS衛星130xと130yに対する2つの擬似距離測定値を使用して端末に対して取得されることができる。
【0048】
2つの人工衛星に関する2つの擬似距離測定値を有する端末に対する線形化された方程式は、次のように表されることができる:
【数5】
【0049】
ここで、ΔHは、高度残差であり、端末の高度の現在の推定値と実際の高度との間の差を表し;及び
ΔCBは、現在の基準時間推定値と“真の”基準時間との間の差を表す。
【0050】
式(7)において、2つのSPS衛星のそれぞれに対する擬似距離残差ΔPRiは、式(4)に示されたように、人工衛星に対して算出された擬似距離PRinit,iと測定された擬似距離PRiに基づいて決定されることができる。擬似距離PRinit,iは、端末の初期の所在地推定値(Latinit,Longinit,及びAltinit)とi番目の人工衛星の位置(Lati,Longi,及びAlti)との間の距離として算出されることができる。ここで、端末の高度、Altinit、は、サービスしているBTSに対する高度、又はある他の高度に等しくなるように推定されることができる。基準時間に関するいくつかの追加の情報が与えられると、ΔCBは、現在の基準時間推定値と“真の”基準時間との間の差を考慮して使用される。一例では、サービスしているBTSと端末との間の伝播時間は、基準時間遅延に関する情報を提供するために測定され、使用されることができる。擬似距離PRiは、i番目の人工衛星から受信された信号に基づいて導き出され、そしてi番目の人工衛星から端末の実際の(“真の”)位置までの距離の測定値である。
【0051】
式(7)は、しかも、次式のより簡潔な形式で表現されることができる:
r=Hx 式(8)
ここで、rは、擬似距離残差に関する4個の要素を有するベクトル(すなわち、“測定”ベクトル)であり;
xは、ユーザ所在地及び時間補正に関する4個の要素を有するベクトル(すなわち、“補正”ベクトル)であり;そして
Hは、4×4“観測”行列である。
【0052】
補正ベクトルxは、その後、次のように決定されることができる:
x=H−1r 式(9)
式(9)は、補正ベクトルxに対する重み付けをしない解を与える。この式は、(例えば、セルID技術又はある種のその他の技術から取得された)初期の所在地推定値に関係した情報及びSPS衛星に対する距離情報に対して等しい加重を与える。2つの断片的な情報をうまく統合するために、初期の所在地推定値及び擬似距離測定値は、適切な重みを割り当てられる。
【0053】
共分散行列V、これは測定ノイズ行列としても知られる、は、式のセット(7)に示された線形化された式に対して決定されることができ、次式で表されることができる:
【数6】
【0054】
ここで、V11は、第1の人工衛星に対する擬似距離測定値PR1に関する誤差の分散であり;
V22は、第2の人工衛星に対する擬似距離測定値PR2に関する誤差の分散であり;
Vhは、高度測定値に関する誤差の分散であり;及び
Vcbは、基準時間に関係した誤差の分散である。
【0055】
要素V11及びV22は、V11=σ2pr1及びV22=σ2pr2として表されることができる。ここで、σpr1及びσpr2は、それぞれ擬似距離測定値PR1及びPR2に対する誤差の標準偏差である。加重行列Wは、共分散行列Vの逆として規定されることができる(すなわち、W=V−1)。Wのゼロでない要素は、擬似距離測定値に関する重み付け及び修正された所在地推定値の導出における初期の所在地推定値に関係した情報を決定する。Wの要素は、測定値の誤差の二乗又はクロス積の期待値に対して逆に関係する。そのようにして、いずれかの量(例えば、PRi)に対する小さな誤差は、より信頼性のある観測を意味し、Wに関する大きな対応する値に対応する。これは、初期の所在地推定値を擬似距離測定値と統合することでより高い加重を与えられようとしている量に帰結するはずである。
【0056】
i番目の人工衛星への擬似距離PRiは、次式のように定義されることができる:
PRi=Ri+CB+SVi+Tri+Ii+Mi+ηi 式(11)
ここで、Riは、端末の所在地からi番目の人工衛星までの真の又は実際の距離であり;
CBは、基準時間に起因する誤差を表し;
SViは、i番目の人工衛星に関係した全ての誤差を表し;
Triは、成層圏を通過するSPS信号に起因する誤差を表し;
Iiは、電離層を通過するSPS信号に起因する誤差を表し;
Miは、マルチパスを含む信号伝播環境に関係した誤差を表し;そして
ηiは、受信機測定ノイズ(又は、熱ノイズ)に関係した誤差を表す。
【0057】
誤差推定値Viiは、そこで、i番目の人工衛星に対する擬似距離測定値中の誤差の全てを含むはずである。式(10)は、擬似距離測定値が、相互に独立であると仮定する。測定ノイズ行列Vの導出は、この分野において公知であり、ここでは詳細には説明されない。
【0058】
補正ベクトルxの重み付けされた解は、その後、次式として表されることができる:
x=(HTWH)−1HTWr 式(12)
ここで、HTは、Hの転置を表す。
【0059】
式(9)又は(12)は、補正ベクトルxを取得するために使用されることができる。このベクトルは、Δe及びΔnに関する2つのゼロでない項を含む。端末に対する修正された2D−所在地推定値は、その後、次式のように算出されることができる:
Longrev=Longinit+Δe、及び 式(13)
Latrev=Latinit+Δn
初期の所在地推定値をSPSの測定値及び/又はその他の測定値と統合するプロセスは、図6から図9を参照して、下記にさらに詳細に説明される。
【0060】
図4は、開示された方法及び装置がより正確な所在地推定値を与えるために使用されることができる動作シナリオの他の一例を説明する図である。図4において、端末110は、基地局120x及び120yからの2つの信号を受信する。これらの2つの信号は、ネットワーク・ベースの(例えば、A−FLT)所在地位置決定値を導き出すために十分ではない。セルID解又は拡張セルID解は、図3に関して上記に説明されたものと同様に、端末をサービスしている基地局として指定された基地局の位置に基づいて導き出されることができる。端末に対する初期の所在地推定値は、Latinit及びLonginitとして与えられることができる。
【0061】
SPS衛星と同様に、各基地局への擬似距離は、基地局から受信された信号に基づいて推定されることができる。CDMAシステムに対して、各基地局は、固有のオフセット(すなわち、開始時間)を有する擬似ランダム・ノイズ(pseudo-random noise)(PN)シーケンスを割り当てられる。このPNシーケンスは、基地局からの送信に先立ってデータをスペクトル的に拡散させるために使用される。各基地局も、パイロットを送信する。パイロットは、割り当てられたPNシーケンスを用いて拡散された、単純に全て1(又は、全てゼロ)のシーケンスである。基地局によって送信された信号は、端末において受信され、信号の到着時間は、拡散させるために使用されたPNシーケンスの位相に基づいて決定されることができる。パイロットがこのPN位相情報を取得するために一般に処理されるので、端末におけるこの測定値も、パイロット位相測定値として公知である。パイロット位相測定値は、基地局から端末まで信号が移動するためにかかる時間の大きさを推定するために使用される。この移動時間は、SPS衛星に対して実施されたものと同様に擬似距離に変換されることができる。地上波信号から導き出された擬似距離測定値(例えば、パイロット位相測定値)は、SPS信号から導き出された擬似距離測定値と区別させるためにPPとして記される。
【0062】
2つの基地局に対する2つの擬似距離測定値を有する端末に関する線形化された方程式は、次式のように表されることができる:
【数7】
【0063】
式(14)に示されたように、端末及び基地局は、同じ高度面上にあると仮定され、観察行列中に∂/∂uの項がない。しかしながら、相対的な幾何学的な形状に依存して(例えば、BTSが丘の上であり、端末が谷にある)、PP測定値に対して垂直方向の観測可能性があることがある。この場合には、観測行列の初めの2行中の“上”に関する部分導関数項(すなわち、∂/∂u項)を含むことが適切であるはずである。式(14)は、地上波信号に関する擬似距離残差ΔPP算出が、式(7)に示されたSPS信号に関する擬似距離残差ΔPR算出と同様であることを示す。所在地推定値を算出するための代わりの方法は、線形化を用いない代数的な解である。
【0064】
補正ベクトルxは、式(9)又は(12)を使用することによって解くことができ、Δe及びΔnに対する2つのゼロでない項を含むはずである。端末に対する修正された所在地推定値(Latrev及びLongrev)は、それから式(13)に示されたように算出されることができる。
【0065】
図5は、開示された方法及び装置がより正確な所在地推定値を与えるために使用されることができる動作シナリオのさらに他の一例を説明する図である。図5において、端末110は、基地局120xからの信号及びSPS衛星130xからの信号を受信する。これらの2つの信号は、ハイブリッド所在地位置決定値を導き出すために十分ではない。セルID解又は拡張セルID解は、図3に関して上記に説明されたように、基地局120xの位置に基づいて導き出されることができて、端末に対する初期の所在地推定値(Latinit及びLonginit)を与える。
【0066】
擬似距離PR1は、SPS衛星130xからの信号に基づいて導き出されることができ、擬似距離PP1は、基地局120xからの信号に基づいて導き出されることができる。1個の人工衛星及び1個の基地局に対する2つの擬似距離測定値を有する端末に対する線形化された方程式は、次式のように表されることができる:
【数8】
【0067】
補正ベクトルxは、それから、式(9)又は(12)を使用することによって解くことができ、Δe及びΔnに対する2つのゼロでない項を含むはずである。端末に対する修正された所在地推定値(Latrev及びLongrev)は、それから式(13)に示されたように算出されることができる。
【0068】
特定の座標(寸法)は、修正された所在地推定値の導出において固定される又は制約される可能性がある。例えば、基地局からの信号が初期の所在地推定値を更新するために使用されるのであれば、垂直方向は観測可能でない可能性がある。この場合には、修正された所在地推定値の高度座標は、(1)初期の所在地推定値の高度座標と同じになるように決定される(すなわち、ΔH=0)若しくは(2)事前に決定された高度残差ΔHを算出することによって事前に決定されたレベルに設定される、のいずれかであることができる。高度は、次式のように、観測行列を適切に設定することにより制約される可能性がある:
【数9】
【0069】
式(16)に示されたように、測定ベクトルの1要素又は観測行列の1行は、適用された場合に、ΔHが事前に決定された値に高度推定値が導き出されるように定義される(ここで、Δuは、ゼロ又はある他の値に導き出されることができる)。基地局の測定値が更新するために使用されるのであれば、高度の制約は、自動的に適用されることができる。人工衛星測定値と基地局測定値が、又は人工衛星測定値だけが更新するために使用されるのであれば、高度の制約が、適用される可能性がある又は適用されない可能性がある(すなわち、オプションである)。高度の制約は、3次元の所在地決定−高さ−における未知数の1つを考慮するために測定値の1つを効果的に与える。(図3は、この場合をカバーすると考える)。図6から図9は、初期の所在地推定値をSPS測定値及び/又はその他の測定値と統合するプロセスを図式的に説明する図である。図6において、端末に対する2−D所在地推定値は、Xinit=[Latinit,Longinit]であり、図6の影を付けた領域412によって示された誤差楕円により規定された不確定性を有する。誤差楕円は、しかも共分散測定値ノイズ行列により表されることができ、これは次式のように表されることができる:
【数10】
【0070】
ここで、Veは、東方向の初期の所在地推定値の誤差の分散であり;
Vnは、北方向の初期の所在地推定値の誤差の分散であり;そして
Venは、初期の所在地推定値の東誤差と北誤差との間のクロス相関である。
【0071】
単純化のために、クロス相関誤差項Ven及びVneは、図6ではゼロになると仮定される。
【0072】
初期の所在地の不確定性が共分散行列を用いて表される図6に図示された例では、初期の所在地推定値は、観測方程式に直接変換される。
【数11】
【0073】
ここで、人工衛星所在地決定システム及び地上波所在地決定システムから導き出された測定方程式は、式(15)のように、1つのSPS測定値及び1つの基地局測定値として示される。これらの方程式は、この分野において知識のある者によって任意の数のSPS測定値及び基地局測定値に(例えば、式(14)及び式(7)のように)容易に拡張されることができる。この例では、ΔE及びΔNの値は、その付近で方程式が線形化される推定された端末の所在地に関する初期の所在地の推定値を表すために選択される。初期の所在地が2次元空間において推定された端末の所在地である場合には、これらの値は、それぞれ0、及び0に設定されることができる。
【0074】
この場合には、共分散行列及び加重行列は、最初の位置における不確定性を表すように設定されることができる。例えば、共分散行列は、次のように設定されることができる:
【数12】
【0075】
ここで、VPRは、第2の人工衛星に対しての擬似距離測定値PR1に関する誤差の分散であり;
VPPは、第2の基地局に対しての擬似距離測定値PR1に関する誤差の分散であり;
Ve,Ven,Vne,及びVnは、上記の式(17)におけるように設定され;
及び
Vhは、上記の式(10)におけるように設定される。加重行列は、それから共分散行列の逆として計算されることができ、そして、所在地解は、式(12)におけるように計算されることができる。
【0076】
他の1つの実施形態では、所在地更新は、最大尤推定法(maximum likelihood method
)を使用して算出されることができる。例えば、人工衛星所在地決定システム及び/又は地上波基地局送信機からの観測方程式は、解空間の種々の点
【数13】
【0077】
の可能性を決定するために使用されることができる。[注:読みやすさのために、水平ベクトル―上記の転置―として解空間を表す。]さらに、東の所在地、北の所在地に関する情報を含む、初期の所在地は、解空間中で端末の最も可能性のある位置(所在地)を表している所与の仮定の点をさらに正確にするために使用されることができる。共分散行列、又はより一般的な確率密度関数は、解空間中の種々の位置における可能性を決定するために使用されることができる。高さの値(Δu)は、所在地の最大の可能性を決定するために固定される又は制約される可能性がある。解空間は、しかも相対的な可能性に対しても検索されることができ、選択された最も可能性のある所在地に対する誤差推定値を決定する。
【0078】
所在地の線(LOP)414は、SPS測定値又は基地局測定値(又はある種のその他の測定値)のような距離測定値に基づいて端末に対して取得されることができる。初期の所在地推定値Xinitは、上記に説明されたように、SPS所在地の線と統合されることができ、端末に対する修正された(又は最終の)所在地推定値を取得することができる。この修正された所在地推定値は、線414に沿ったバンドによって表される不確定性(又は誤差)を有するはずである。このバンドは、単純化のために図6に示されない。バンドの幅は、LOPを取得するために使用される基底にある距離測定値の不確定性に依存する。幅を持つ線は、初期の不確定性に結び付けられる。これは、初期の所在地推定値の誤差楕円に対して影を付けられた領域412である。
【0079】
図7において、端末に対する初期の所在地推定値は、セルID解から取得される。セルID解は、端末に対してサービスしているBTSのセクタに基づいている。初期の所在地推定値の不確定性は、それから、パイ型のBTSの交信地域422(これは、セル・セクタとしても呼ばれる)を近似する形状を有することができる。再び、初期の所在地推定値Xinitは、SPS所在地の線424と統合されることができて、端末に対する修正された所在地推定値Xrevを取得できる。この修正された所在地推定値は、初期の不確定性、これは影を付けられた領域422、に結び付けられた線424に沿ったバンドによって表される不確定性を有するはずである。
【0080】
図8において、端末に対する初期の所在地推定値は、拡張セルID解から取得される。拡張セルID解は、サービスしているBTSのセクタ422及びこのBTSへの往復遅延(RTD)に基づいて取得される。RTDは、BTSに対するパイロット位相測定値に基づいて取得されることができる。初期の所在地推定値Xinitは、それから、バンド432によって表された不確定性を有するはずである。この不確定性バンドの幅は、RTD測定値の不確定性(又は誤差)に依存する。初期の所在地推定値Xinitは、SPS所在地の線434と統合されることができ、端末に対する修正された所在地推定値Xrevを取得できる。
【0081】
図9において、BTSへの正確なRTDが、端末に対して取得される。これは、そこで、結果として、初期の所在地推定値Xinitに対してより狭い不確定性バンド442になる。その結果、より正確な修正された所在地推定値Xrev及び低減された不確定性は、初期の所在地推定値Xinit及びSPS所在地の線444に基づいて端末に対して取得されることができる。正確なRTDは、しかも、正確な基準時間推定値に対する良いΔCB測定値を与えることができる。
【0082】
図10において、端末に対する初期の所在地推定値Xinitは、拡張セルID解に基づいて取得される。この例では、初期の所在地推定値Xinitは、2つのSPS所在地の線452及び454と統合されて、端末に対する修正された所在地推定値Xrevを取得する。修正された所在地推定値中の不確定性は、そのように、2つのSPS所在地の線452と454及び初期の所在地推定値の不確定性に依存する。
【0083】
明確にするために、図3から図5及び図7から図9に示された例は、セルID技術又は拡張セルID技術を利用して、端末に対する初期の所在地推定値を与える。一般に、初期の所在地推定値は、いずれかの利用可能な所在地決定技術によって算出されることができる。一例として、初期の所在地推定値は、端末によって受信された複数の基地局に対して取得された複数のセルID解又は拡張セルID解を統合することによって取得されることができる。端末によって受信されたその他の基地局に関する情報も使用されるので、これは端末に対するより正確な初期の所在地推定値与えられる。他の一例として、初期の所在地推定値は、端末によって受信された複数の基地局に対するモデル化された交信地域を統合することによって取得されることができる。この交信地域ベースの所在地決定技術は、米国特許出願番号[代理人文書番号第020112]、名称“ワイアレス・ネットワークにおける端末に対する地域ベースの所在地決定”、提出xxx、にさらに詳細に説明されており、本出願の譲受人に譲渡され、ここに引用文献として組み込まれている。初期の所在地推定値は、しかも、A−FLTを使用して導き出されたネットワーク−ベースの解であることができる。
【0084】
種々のタイプの測定値は、所在地の線、及びその結果、初期の所在地推定値に基づいて端末に対する修正された所在地推定値を導き出すために使用されることができる。一般に、初期の所在地推定値を更新するために使用される測定値は、より高い精度を有するはずである。すなわち、十分な数のこれらの測定値が端末に対する独立した所在地推定値を取得するために利用可能であるならば、その独立した所在地推定値は、初期の所在地推定値よりさらに正確であるはずである。そのようにして、初期の所在地推定値がセルID技術、拡張セルID技術、又はある種のその他の同等な技術により与えられるのであれば、基地局及び/又は人工衛星に対する測定値が、更新するために使用されることができる。これは、基地局測定値のみから導き出されたネットワーク・ベースの(A−FLT)解、人工衛星測定値及び基地局測定値から導き出されたハイブリッド解、及びSPS測定値のみから導き出されたSPS解が、全て通常はセルID解及び拡張セルID解よりさらに正確であるためである。初期の所在地推定値がセル・ベースの解であるならば、人工衛星測定値が更新するために使用されることができる。信号が制限される環境では、ローカル・エリア所在地決定システムは、初期の所在地推定値を生成させるために使用されることができる、若しくは他の1つのソースから導き出された初期の所在地推定値を更新するために使用されることができる。
【0085】
更新するために必要な測定値の数は、初期の所在地推定値及び更新方法に依存する。図6から図9は、1個のLOP測定値が2−Dの初期の所在地推定値を修正するためにどのようにして使用されることができるかを説明する。最小の必要な数より多くの測定値も、初期の所在地推定値を更新するために使用されることができる。ある種の更新方法に関して、1又はそれより多くの座標(時間−空間次元)(例えば、高度、基準時間)は、しかも、上記で説明されたように、観測行列を適切に設定することにより固定される又は制約される可能性がある。この場合には、より少ない測定値が、更新するために必要であるはずである。LAPSベースの更新方法に関して、1個の測定値が、使用されることができる。
【0086】
図11は、測定値の部分セットを使用して端末に対するより正確な所在地推定値を与えるためのプロセス200aのフロー図である。プロセス200aは、図2に示されたプロセス200の特別の実施形態であり、図10によって表される。プロセス200aは、端末に対する初期の所在地推定値(例えば、セルID解、拡張セルID解、又はある種のその他の解)を取得することにより開始する(ステップ212a)。2つの測定値が、しかも、2つの送信機に対して取得され、送信機のそれぞれは、人工衛星又は基地局であることができる(ステップ214a)。
【0087】
初期の所在地推定値は、その後、測定値の部分セットを用いて更新されて、端末に対する修正された所在地推定値を取得する(ステップ216a)。更新することを実行するために、測定値ベクトルrが、初期の所在地推定値及び測定値に基づいて導き出される(ステップ222)。更新するために使用される測定値のタイプ(例えば、SPS又はセルラ)に依存して、測定値ベクトルは、式(7)、(14)、(15)、又は(18)に左辺に示されたもののようである。観測行列Hは、それから、測定値に対して(例えば、式(7)、(14)、(15)、又は(18)に示されたように)形成される(ステップ224)。加重の行列Wが、上記に説明されたように、次に決定される(ステップ226)。補正ベクトルxは、それから、式(12)に示されたように取得される。(ステップ228)。初期の所在地推定値は、それから、式(13)に示されたように、修正された所在地推定値を取得するために補正ベクトルを用いて更新される(ステップ230)。プロセスは、それから、終了する。
【0088】
上記に説明されたある種の所在地決定技術は、しかも、測定値の部分セットに関する測定値ドメイン情報を有する所在地(又は状態)ドメイン情報の増加として見られることができる。具体的に、ここで説明される増加は、セルIDベースの解に対して使用されることができる。従来は、測定値ドメイン情報を有する状態ドメイン情報の増加は、測定値の完全なセットを必要とする。これは、増加が使用されることができる状況を大きく制限する。
【0089】
図12は、ワイアレス端末に対するより正確な所在地推定値を与えるために状態ドメイン情報を測定値ドメイン情報と統合するためのプロセス600の1実施形態のフロー図である。初めに、状態ドメイン情報が端末に対して取得される(ステップ612)。この状態ドメイン情報は、各種の技術(例えば、セルID技術又は拡張セルID技術)を使用して導き出されることができる初期の所在地推定値であることができる。測定値ドメイン情報も、端末に対して取得される(ステップ614)。この測定値ドメイン情報は、測定値の部分セットを具備する。これは、事前に決められたサービスの質の独立した所在地位置決定値を導き出すために十分ではないが、状態ドメイン情報と統合されることができる。
【0090】
状態ドメイン情報は、それから、測定値ドメイン情報と統合されて、状態ドメインの精度と少なくとも同等の精度を有する端末に対する所在地推定値を取得する(ステップ616)。
【0091】
図13は、ワイアレス端末の構成要素であることができる受信機ユニット700の実施形態のブロック図である。受信機ユニット700は、SPSシステム及びワイアレス通信システムのような複数の所在地決定システムからの信号を処理する能力を有するように設計されることができる。図13に示された実施形態では、受信機ユニット700は、アンテナ710、地上波受信機712a、SPS受信機712b、処理ユニット716、メモリ・ユニット718及びコントローラ720を含む。
【0092】
アンテナ710は、複数の送信機(これは、SPS衛星及び/又は基地局の任意の組み合わせであることができる)からの信号を受信し、そして地上波受信機及びSPS受信機712a及び712bへ受信された信号を与える。地上波受信機712aは、フロント−エンド回路系(例えば、高周波(RF)回路系及び/又はその他の処理回路系)を含む。フロント−エンド回路系は、基地局から送信された信号を処理して、所在地決定のために使用される情報を取得する。例えば、地上波受信機712aは、各基地局から受信された順方向リンク信号中のパイロットの位相を測定することができ、タイミング情報(例えば、到着の時間)を取得する。このタイミング情報は、そのあとで、基地局への擬似距離を導き出すために使用されることができる。
【0093】
地上波受信機712aは、レーキ受信機を実装することができる。レーキ受信機は、受信された信号中の複数の信号事象(signal instance)(又はマルチパス成分)を同時に処理する能力がある。レーキ受信機は、複数の復調素子(しばしばフィンガとして知られる)を含む。フィンガの各々は、特定のマルチパス成分を処理し、追跡するために割り当てられることができる。複数のフィンガが所与の基地局に対する複数のマルチパス成分を処理するために割り当てられることができるとしても、1つのマルチパス成分(例えば、最初に到着するマルチパス成分、又は最大強度のマルチパス成分)に対して取得された1つの擬似距離だけが、所在地決定に対して一般的に使用される。あるいは、異なるフィンガ間のタイミング(又は距離測定)の関係が、設定され、そして維持されることができる。このようにして、フェーディング及びマルチパス効果に依存する所在地決定のために所与の基地局に対する異なるマルチパス成分を使用することが可能である。
【0094】
SPS受信機ユニット712bは、所在地決定のために使用される情報を取得するためにSPS衛星から送信された信号を処理する、フロント−エンド回路系を含む。SPS信号及び地上波信号から適切な情報を抽出するための受信機712a及び712bによる処理は、この分野において公知であり、ここでは詳細には説明されない。ある実施形態では、SPS信号処理は、地上波受信機ユニット712aによって実行されることができる。受信機712a及び712bは、各種のタイプの情報、例えば、タイミング情報、信号特性、その信号が受信される送信機のアイデンティ及び位置、及びその他のような情報を処理ユニット716へ与える。
【0095】
処理ユニット716は、要求されたときはいつでも受信機ユニット700に対する初期の所在地推定値を取得できる。処理ユニット716は、しかも、上記に説明されたように、初期の所在地推定値を更新するためにこれから使用される各基地局及び人工衛星に対する擬似距離残差を決定できる。処理ユニット716は、そのあとで、擬似距離残差に基づいて初期の所在地推定値を更新して、受信機ユニットに対する修正された所在地推定値を取得する。
【0096】
メモリ・ユニット718は、所在地を決定するために使用される各種のデータを記憶する。例えば、メモリ・ユニット718は、SPS衛星の位置(これは、人工衛星によって送信された又は地上ソース(例えば、ワイアレス・ネットワーク)により与えられた1年暦及び/又は天体暦から導き出されることができる)、基地局の位置(これは、シグナリングを介して与えられることができる)、及び擬似距離残差に関する情報を記憶できる。メモリ・ユニット718は、しかも、処理ユニット716に対するプログラム・コード及びデータを記憶できる。
【0097】
コントローラ720は、処理ユニット716の動作を管理できる。例えば、コントローラ720は、算出されるべき特定のタイプの解(例えば、SPSベースの解、ネットワーク・ベースの解、ハイブリッド解、セル・ベースの解、LAPS解、安全ネット解、及びその他の組み合わせ解)、使用されるべき特定のアルゴリズム(1より多くが利用可能であるならば)、及びその他、を選択できる。
【0098】
図13に示されないが、受信機ユニット700は、位置決めサーバ140(図1参照)と通信できる。位置決めサーバ140は、端末の所在地推定値を決定するときに手助けできる。位置決めサーバは、所在地推定値を導き出すために演算を実行できる、若しくは、(1)人工衛星測定値及び/又は基地局測定値を捕捉する(例えば、捕捉支援、タイミング支援、SPS衛星及び/又は基地局の位置に関係した情報、及びその他)、及び/又は(2)修正された所在地推定値を決定する、ために使用されるある種の情報を与えられる。それによって位置決めサーバが所在地決定を実行する実施形態に関して、種々の所在地決定システムからの基底にある測定値及び初期の所在地推定値は、位置決めサーバへ(例えば、ワイアレス・リンク及び/又は有線リンクを介して)通信される。そのような位置決めサーバの一例が、米国特許番号第6,208,290に説明され、これは、引用文献としてここに組み込まれている。
【0099】
ここに説明された方法及び装置は、各種のワイアレス通信システム及びネットワークとともに使用されることができる。例えば、開示された方法及び装置は、CDMA、時分割多元アクセス(time division multiple access)(TDMA)、周波数分割多元アクセス(frequency division multiple access)(FDMA)、及びその他のワイアレス通信システムに対して使用されることができる。これらのシステムは、1又はそれより多くの適用できる標準を実行できる。例えば、CDMAシステムは、IS−95、cdma2000、IS−856、W−CDMA、及びその他を実行できる。TDMAシステムは、GSM、GPRS及びその他を実行できる。これらの各種の標準は、この分野で知られており、引用文献としてここに組み込まれている。その他のワイアレス通信システムは、例えば、IEEE802.11システム、ブルートゥース・システム、及びワイアレス・ローカル・エリア・ネットワーク(wireless local area network)(WLAN)のような、非セルラ・ワイアレス通信システムを含む。
【0100】
ここに説明された方法及び装置は、米国グローバル所在地決定システム(United States Global Positioning System)(GPS)、ロシア・グロナス・システム(Russian Glonass system)、及びヨーロッパ・ガリレオ・システム(European Galileo system)のような各種の衛星所在地決定システム(SPS)とともに使用されることができる。さらに、開示された方法及び装置は、擬似ライト(pseudolite)又は人工衛星と擬似ライトとの組み合わせを利用する所在地決定システムとともに使用されることができる。擬似ライトは、GPS時間と同期させることができるL帯域(又はその他の周波数)キャリア信号上に変調されたPNコード又はその他の距離測定コード(GPS又はCDMAセルラ信号に類似である)を同報通信する地上ベースの送信機である。各々のそのような送信機は、遠隔受信機によるアイデンティフィケーションを可能にするように、固有のPNコードを割り当てられることができる。擬似ライトは、トンネル、鉱山、ビル、都会の谷間、又はその他の取り囲まれた地域のような、軌道上の人工衛星からのGPS信号が利用できない可能性がある状況において、有用である。擬似ライトの他の1つのインプリメンテーションは、無線ビーコンとして知られる。用語“人工衛星”は、ここで使用されたように、擬似ライト、擬似ライトと同等のもの、及び可能性のあるその他のものを含むことを意図されている。用語“SPS信号”は、ここで使用されたように、擬似ライト又は擬似ライトと同等のものからのSPSのような信号を含むことを意図されている。用語“基地局”は、ここで使用されたように、セルラ、ワイアレス、LAN、WAN、LAPS、ブルートゥース、802.11アクセス・ポイント及びその他の信号の地上ソースを含むことを意図されている。
【0101】
ここに開示された方法及び装置は、ハードウェア、ソフトウェア、又はその組み合わせのような、種々の手段によって実行されることができる。ハードウェアの実行に関して、方法及び装置は、1又はそれより多くのアプリケーション・スペシフィック集積回路(ASICs)、ディジタル・シグナル・プロセッサ(DSPs)、ディジタル信号処理装置(DSPDs)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLDs)、フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGAs)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、ここに記述した機能を実行するために設計された電子ユニット、若しくはこれらの組み合わせの範囲内で実行されることができる。
【0102】
ソフトウェアの実行に関して、開示された方法は、ここで説明された機能を実行するモジュール(例えば、手順、機能、及びその他)を用いて実行されることができる。ソフトウェア・コードは、メモリ・ユニット(例えば、図13のメモリ718)中に記憶されることができ、プロセッサ(例えば、処理ユニット716又はコントローラ720)によって実行されることができる。メモリ・ユニットは、プロセッサの内部で、又はプロセッサの外付けで実行されることができる。外付けの場合には、この分野で知られたような種々の手段を介してプロセッサに通信的に接続されることができる。
【0103】
開示された実施形態のこれまでの説明は、本技術分野に知識のあるいかなる者でも、本発明を作成し、使用することを可能にする。これらの実施形態の各種の変形は、本技術分野に知識のある者に、容易に実現されるであろう。そして、ここで定義された一般的な原理は、本発明の精神又は範囲から逸脱しないで他の実施形態に適用されることができる。それゆえ、本発明は、ここに示された実施形態に制限することを意図したものではなく、ここに開示した原理及び新規な特性と整合する広い範囲に適用されるものである。
【関連出願】
【0001】
本出願は、2002年10月17日提出の米国仮出願番号第60/419,680号、及び2002年12月13日提出の米国仮出願番号第60/433,055号の優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、一般に所在地決定に係る。特に、本発明は、測定のセットを使用してワイアレス端末に対するより正確な所在地推定値を提供するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
ワイアレス・ユーザの所在地を知ることは、しばしば望まれ、時には必要である。例えば、連邦通信委員会(Federal Communication Commission)(FCC)は、拡張911(E9−1−1)ワイアレス・サービスに関する報告及び命令を採用している。E911は、911通話が端末から行われるたび毎に、公共安全性回答ポイント(Public Safety Answering Point)(PSAP)へ提供されるべきワイアレス端末(例えば、セルラ電話機、モデム、ワイアレス能力を有するコンピュータ、パーソナル・ディジタル・アシスタンツ(PDA)、若しくは任意の他のそのようなワイアレス通信能力を有する移動又は携帯装置)の位置を必要とする。FCC命令は、67%の通話に対して50m以内の、そして95%の通話に対して150m以内の精度になるように、補助GPS(Assisted-GPS)(A−GPS)のような、手持ち電話機ベースの技術のために、端末の位置を必要とする。FCC命令に加えて、サービス・プロバイダは、追加の収入を発生させる可能性がある価値を付加した商品を提供するために、種々のアプリケーションにおいて位置決定サービス(すなわち、ワイアレス端末の所在地を同定するサービス)を使用する可能性がある。
【0004】
種々のシステムが、ワイアレス端末の所在地を決定するために使用されることができる。1つのそのようなシステムは、周知のグローバル所在地決定システム(Global Positioning System)(GPS)である。GPSは、地球の周回軌道を回っている24個の適切に間隔をおいて配置された人工衛星の“コンステレーション(constellation)”である。各GPS人工衛星は、情報を用いてエンコードされた信号を送信する。情報は、時間の任意の時点に対して相対的に受信された信号の到着の時間を受信機が測定することを可能にする。この相対的な到着の時間測定は、その後、“擬似距離(pseudo-range)”へ変換される。擬似距離は、人工衛星と端末との間の実際の距離の測定に伴う全ての誤差を加えた合計である。GPS受信機の3次元の所在地は、十分な数の人工衛星(代表的に4個)に対する擬似距離測定値及びそれら位置に基づいて(大部分のGPS受信機に関して10から100mの範囲内で)正確に推定されることができる。
【0005】
セルラ通信システムのような、ワイアレス通信システムも、ワイアレス端末の所在地を決定するために使用されることができる。GPS信号と同様に、端末は、地上基地局からの“地上波”信号を受信することができ、そして受信された信号の到着の時間を決定することができる。再び、到着の時間測定値は、擬似距離に変換されることができる。十分な数の基地局(代表的に3若しくはそれより多い)に対する擬似距離測定値は、その後、端末の2次元の所在地を推定するために使用されることができる。
【0006】
ハイブリッド所在地決定システムでは、地上基地局からの信号は、ワイアレス端末の所在地を決定するためにGPS衛星からの信号の代わりに、又は補充するために使用されることができる。“ハイブリッド”端末は、人工衛星からGPS信号を受信するためのGPS受信機及び基地局からの地上波信号を受信するための“地上波”受信機を含む。基地局から受信された信号は、端末によりタイミングを合わせるために使用されることができる、若しくは擬似距離に変換されることができる。端末の3次元の所在地は、人工衛星及び基地局に対する十分な数の測定値(CDMAネットワークに対して、これは代表的に4である)に基づいて推定されることができる。
【0007】
上記で説明した3つの異なる所在地決定システム(すなわち、GPS、ワイアレス、及びハイブリッド)は、異なる精度のレベルで所在地推定値(若しくは“位置決定値(fix)”)を提供できる。GPSからの信号に基づいて導き出された所在地推定値は、最も正確である。しかしながら、GPS信号は、人工衛星と受信機との間が大きく離れているために非常に低い電力レベルで受信される。さらに、大部分の従来のGPS受信機は、ビルの内部で、厚く繁った葉の下で、高いビルが空の多くを遮る都市環境において、及びその他でGPS信号を受信することが非常に困難である。ハイブリッド・システムから導き出された所在地推定値は、精度が悪くなり、ワイアレス通信システムからの信号に基づいて導き出されたものは、さらに精度が悪くなる。これは、基地局からの信号に基づいて算出された擬似距離が、基地局中のタイミング及びハードウェアの誤差、端末中のタイミング及びハードウェアの誤差、及び地上波伝播経路に起因する誤差のために、GPS信号から算出されたものよりも大きな誤差を示す傾向があるためである。
【0008】
端末の所在地は、上記に説明した3つのシステムのいずれか1つに基づいて推定されることができる。可能な限り正確な所在地推定値を得ることが望まれる。それゆえ、十分な数のGPS信号が利用可能であるならば、GPS解が、導き出されるはずである。そのようでない場合に、1若しくはそれより多くのGPS信号に加えて十分な数の地上波信号が利用可能であるならば、ハイブリッド解が、導き出されることができる。そして、GPS信号が利用できない場合には、十分な数の地上波信号が利用可能であるならば、セルラ解が、取得されることができる。
【0009】
上記で説明した3つの解のいずれかを導き出すために必要な信号の数が、利用できない可能性がある。そのような状況では、ある種の代わりの所在地決定技術が、端末の所在地を推定するために使用されることができる。1つのそのような代わりの技術は、セルID技術である。これは、端末の所在地推定値として端末が通信している基準(reference)(若しくはサービスしている)基地局に対する指定された位置を提供する。この指定された位置は、基地局の交信地域の中心、基地局のアンテナの位置、若しくは基地局の交信地域の内部のあるその他の位置である可能性がある。拡張セルID解は、基準基地局からのセルID情報を他の基地局からのセルID情報と統合することができ、及び/若しくは往復遅延測定値及び/又は端末と通信している少なくとも1の基地局からの信号強度測定値を含むことができる。セルID解又は拡張セルID解は、十分な数の信号が利用できないために、より正確な解が独立して導き出すことができない場合に、“頼みの綱(fall-back)”若しくは“安全対策(safety-net)”解として与えられることができる。不幸にして、上記の代替技術によって与えられる所在地推定値の質は基地局の交信地域の大きさに依存するために、所在地推定値の質は、極めて悪い可能性がある。
【0010】
それゆえ、利用可能な測定値を使用して端末に対するより正確な所在地推定値を提供する方法及び装置に対して、この分野における必要性がある。
【発明の概要】
【0011】
方法及び装置は、ワイアレス端末に対する初期の所在地推定値の精度を改善するように所在地位置測定値を利用するためにここに説明される。これらの測定値は、測定値の部分セット又は測定値の“完全な”セットのどちらかであることができる。部分測定値セットは、事前に決められたサービスの質(すなわち、事前に決められた精度)で端末の個々の所在地位置決定値を生成するために利用できるが十分でない数の測定値を含む。しかしながら、これらの測定値を放棄する代わりに、通常行われているように、これらは、初期の所在地推定値よりも改善された精度を有する修正された所在地推定値を導き出すために使用される。他の1つの方法及び装置では、初期の所在地推定値は、測定値の完全なセットを使用して改善される。測定値の完全なセットは、そのセットから十分に高いサービスの質で所在地位置の解を導き出すことが可能な測定値のセットであるが、それでも方法及び装置によって改善されることができる。この方法及び装置は、測定値の完全なセット又は測定値の部分セットのいずれが使用されるかに拘らず、基本的に同じである。したがって、議論を容易にするために、開示された方法及び装置は、測定値の部分セットのみに関連して説明される。
【0012】
ワイアレス端末に対する所在地推定値を決定するための1方法では、端末に対する初期の所在地推定値は、セルID解又は拡張セルID解若しくは他の所在地の位置推定スキームに基づいて初めに取得される。測定値の部分セットも、1又はそれより多くの所在地決定システムから端末に対して取得される。部分セットは、人工衛星、ワイアレス基地局及び/又はアクセス・ポイントからの測定値、若しくは人工衛星測定値と地上波測定値との組み合わせを含むことができる。初期の所在地推定値は、それから端末に対する修正された所在地推定値を取得するために測定値の部分セットを用いて更新される。
【0013】
更新することは、初期の所在地推定値及び測定値の部分セットに基づいて測定値ベクトルを初めに導き出すことによって実行されることができる。測定値ベクトルは、その測定値が部分セットの中にある送信機に対する擬似距離残差(pseudo-range residuals)を一般に含む。各擬似距離残差は、(1)(測定値に基づいて導き出された)端末の所在地から送信機までの“測定された”擬似距離と(2)初期の所在地推定値から送信機までの“算出された”擬似距離との間の差である。観測行列も、測定値の部分セットに対して生成される。初期の所在地推定値と測定値の部分セットの統合において使用される加重の行列も、決定されることができる。補正ベクトルは、それから、測定ベクトル、観測行列、及び加重行列に基づいて導き出される。初期の所在地推定値は、それから、初期の所在地推定値への変更を含む、補正ベクトルを用いて更新される。
【0014】
方法及び装置の各種の態様及び実施形態が、下記にさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、複数の所在地決定システムを具備するシステムを図示する。
【図2】図2は、測定値の部分セットを使用してワイアレス端末に対するより正確な所在地推定値を与えるためのプロセスを示す。
【図3】図3は、開示された方法及び装置がより正確な所在地推定値を提供することができる動作シナリオの例を図示する。
【図4】図4は、開示された方法及び装置がより正確な所在地推定値を提供することができる動作シナリオの例を図示する。
【図5】図5は、開示された方法及び装置がより正確な所在地推定値を提供することができる動作シナリオの例を図示する。
【図6】図6は、人工衛星測定値及び/又はセルラ測定値を用いた初期の所在地推定値を統合するプロセスを図式的に説明する。
【図7】図7は、人工衛星測定値及び/又はセルラ測定値を用いた初期の所在地推定値を統合するプロセスを図式的に説明する。
【図8】図8は、人工衛星測定値及び/又はセルラ測定値を用いた初期の所在地推定値を統合するプロセスを図式的に説明する。
【図9】図9は、人工衛星測定値及び/又はセルラ測定値を用いた初期の所在地推定値を統合するプロセスを図式的に説明する。
【図10】図10は、人工衛星測定値及び/又はセルラ測定値を用いた初期の所在地推定値を統合するプロセスを図式的に説明する。
【図11】図11は、図2に示されたプロセスの具体的な実施形態を示す。
【図12】図12は、より正確な所在地推定値を提供するために状態ドメイン情報を測定ドメイン情報と統合するためのプロセスを示す。
【図13】図13は、ワイアレス端末の構成要素とすることができる受信機ユニットの実施形態のブロック図である。
【発明の詳細な説明】
【0016】
本発明の特徴、本質、及び利点は、図面を使用して以下に述べられる詳細な説明から、さらに明確になる。図面では、一貫して対応するものは同じ参照符号で識別する。
【0017】
図1は、複数の所在地決定システムを具備したシステム100を説明する図である。1つのそのような所在地決定システムは、衛星所在地決定システム(satellite positioning system)(SPS)である。これは、周知のグローバル所在地決定システム(Global Positioning System)(GPS)である可能性がある。他の1つのそのような所在地決定システムは、セルラ通信システムである。これは、コード分割多元アクセス(Code Division Multiple Access)(CDMA)通信システム、モービルに対するグローバル・システム(Global System for Mobile)(GSM(登録商標))通信システム、又はある種の他のワイアレス・システムである可能性がある。一般に、システム100は、任意のタイプ(例えば、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、ワイアレス・フィデリティ(Wireless Fidelity)(Wi−Fi)、ウルトラ−ワイド・バンド幅(Ultra-Wide Bandwidth)(UWB)、又は位置に関係する情報を提供することができる任意のその他のシステム)である可能性がある任意の数の所在地決定システムを含むことができる。システムが地域的に偏在した信号交信可能範囲を与えるように設計されるのであれば、このシステムは、ローカル・エリア所在地決定システム(Local Area Positioning System)(LAPS)として呼ばれることができる。
【0018】
図1に示されたように、端末110は、複数の送信機(又はトランシーバ)から送信された信号を受信することができる。送信機の各々は、セルラ通信システムの基地局120又はSPSの人工衛星130であることができる。端末110は、セルラ電話機、モデム、ワイアレス能力を有するコンピュータ、パーソナル・ディジタル・アシスタンツ(personal digital assistant)(PDA)、若しくはワイアレス通信能力を有する任意の他のそのようなモービル装置又は携帯型装置であることができる。一般に、既知の又は確認できる場所に置かれた任意のタイプの送信機は、端末の所在地を決定するために使用されることができる。例えば、端末110は、ブルートゥース・システム中のアクセス・ポイントから信号を受信できる。ここで使用されるように、基地局は、所在地決定のために使用されることができる信号を送信する及び/又は受信する任意の地上送信機又はトランシーバであることができる。
【0019】
端末110は、所在地決定システムから信号を受信する及び処理する能力があるいずれかの装置であることができ、タイミング、距離測定、及び/又は位置決定情報を取得できる。タイミング及び距離測定は、一緒に結び付けられる必要性がないことを、記しておく。例えば、ブルートゥース・システムのような短距離測定システムから信号を単に受信することは、端末の位置を無線で決定するための十分な情報を提供することができる。端末110は、セルラ電話機、固定端末、ワイアレス・モデムを有する電子ユニット(例えば、コンピュータ・システム、パーソナル・ディジタル・アシスタンツ(PDA)、等)、人工衛星及び/又は基地局から信号を受信する能力がある受信機ユニット、等であることができる。他の1つの例では、端末110は、所在地決定システムへ信号を送信する能力があるいずれかの装置であることができ、その結果これらの所在地決定システムは、タイミング、距離測定、及び/又は位置決定情報を取得できる。
【0020】
ワイアレス端末の所在地は、1又はそれより多くの所在地決定システムからの信号に基づいて決定されることができる。例えば、システム100がSPS及びセルラ通信システムを含むのであれば、端末の所在地は、(1)SPS単独、(2)セルラ通信システム単独、若しくは(3)SPS及びセルラ通信システムの両者からの信号に基づいて推定されることができる。セルラ通信システム中の基地局からの測定値だけに基づいて端末の所在地を決定するための技術は、高等順方向リンク三辺測量(Advanced Forward Link Trilateration)(A−FLT)、アップリンク到着の時間(Uplink Time of Arrival)(U−TOA)又はアップリンク到着の時間差(Uplink Time Difference of Arrival)(U−TDOA)、拡張された観測された時間差(Enhanced Observed Time Difference)(E−OTD)、及び観測された到着の時間差(Observed Time Difference of Arrival)(OTDOA)として知られる。
【0021】
各所在地決定システムは、あるレベルの精度を有する所在地推定値(又は位置決定値)を与えることができ、しかも、ある種の動作環境に対しても利用可能である。システム100がSPS及びセルラ通信システムを含むのであれば、精度及びこれらのシステムに対する利用可能性は、表1に示されたように(一般的な精度の下降順で)簡単にまとめられることができる。
【表1】
【0022】
“SPSベース”の解は、表1で最も高い精度を有する。しかしながら、十分な数のSPS衛星(一般的に4)は、ある種の動作環境(例えば、室内)において、この解を算出するために利用できないことがある。“ハイブリッド”解は、次に高い精度を有するが、1又はそれより多くのSPS衛星に加えて十分な数の基地局からの信号を必要とする。再び、信号の必要な数(一般的に4)は、ある種の動作環境において利用できない可能性がある。A−FLTのような“ネットワーク・ベース”の解は、(3又はそれより多くの)十分な数の基地局に対する測定値に基づいて取得されることができる。必要な数の基地局が利用できないのであれば、“セル・ベース”のセルID解又は拡張セルID解は、1つの基地局に対する測定値に基づいて取得されることができる。この基地局は、一般に端末と通信している基地局であり、しばしば“基準(reference)”基地局として呼ばれる。他の1つの例では、拡張セルID解は、複数の基地局若しくはセル交信地域説明のようなセル、複数の送信機からの観測、及び信号強度、信号干渉、等の信号特性、からの情報を含む。
【0023】
ハイブリッド解を導き出すための技術は、米国特許第5,999,124号、名称“ワイアレス通信信号を用いた衛星所在地決定システム増強”1999年12月7日発行、に詳しく説明されており、引用文献としてここに取り込まれている。
【0024】
従来、表1に示された解の1つが、所在地推定値が端末に対して必要なときはいつでも提供される。解くために必要な数の測定値(すなわち、測定値の完全なセット)が利用可能な場合に、最も正確な解が、導き出される。必要な数よりも少ない数の測定値が利用可能であるならば、セルID解又は拡張セルID解のような頼みの綱又は安全対策解が与えられることができる。
【0025】
方法及び装置は、粗い初期の所在地推定値の精度を改善するために1又はそれより多くの所在地決定システムから取得された測定値の部分セットを利用するためにここに説明される。初期の所在地推定値は、例えば、セルID解、拡張セルID解又はLAPS解により与えられることができる。非天位位置推測値(dead reckoning)の使用によるような初期の所在地推定値及びユーザによる直接入力の推定値、等を決定するために、複数のその他の方法が知られていることは、この分野において知識のある者により理解される。
【0026】
部分セットは、SPS及び/又はセルラ測定値を含むことができる。この部分セットは、事前に決められたサービスの質で端末に対する個々の所在地推定値を導き出すために必要な十分な数の測定値を含まないという事実によって規定される。事前に決められたサービスの質が、それに対して所在地位置決定が使用される特定のアプリケーションに基づいて決定されることを、この分野において知識のある者によって理解されるはずである。例えば、関心のある場所(例えば、自動金銭出納機(automated teller machines)(ATM)、レストラン、特定のタイプの店、等)が近くのどこにあるかに関する情報を提供するために必要とされるサービスの質は、相対的に低い(不正確)可能性がある。対照的に、事前に決められたサービスの質は、比較的小さな距離により隔てられた狭い道の迷路を経由してナビゲートするようなアプリケーションに対して相対的に高く(正確に)なることが必要である。そこにたまたま位置した特定の店又はレストランに関する情報を提供するために、高い品質でさえが、必要であることがある。例えば、1つのアプリケーションでは、端末のユーザは、互いに非常に近接して(すなわち、互いに隣同士で)複数の競合するレストランを有する道路上で、彼が入ろうとしているレストランのメニューをダウンロードすることに関心がある。1つのものを他から区別するために、サービスの質は、相対的に高い必要があるはずである。
【0027】
しかしながら、従来行われていたように、事前に決められたサービスの質を達成するために不十分である測定値を破棄する代わりに、今回開示された方法及び装置は、初期の所在地推定値よりも改善された精度を有する修正された所在地推定値を導き出すためにこれらの測定値を使用する。1つの例外は、LAPS解である可能性がある。LAPS最大信号距離若しくはLAPS送信機からの距離が、初期の所在地誤差推定値より小さいのであれば、初期の所在地推定値は、LAPS解によって更新される(置き換えられる)。LAPS解は、1個のLAPS測定値から導き出されてきていることがある。このLAPS測定値は、距離測定値、信号特性値、信号受信の単純な指標であることができ、若しくはLAPS交信地域の説明に基づく可能性がある。
【0028】
他の1つの方法及び装置では、初期の所在地推定値は、測定値の完全なセットを使用することによって改善される。測定値の完全なセットは、そこから、十分に高いサービスの質で所在地位置の解を導き出すことが可能な測定値のセットであるが、それにも拘らず方法及び装置によって改善されることができる。ここに開示された方法及び装置は、測定値の完全なセット又は測定値の部分セットが使用されたかどうかに拘らず、基本的に同じである。したがって、議論を容易にするために、開示された方法及び装置は、測定値の部分セットだけの関連で説明される。
【0029】
図2は、測定値の部分セットを使用してワイアレス端末に対するより正確な所在地推定値を提供するためのプロセス200の実施形態のフロー図である。プロセスは、端末に対する初期の所在地推定値を取得することにより開始する(ステップ212)。この初期の所在地推定値は、1又はそれより多くの所在地決定システムから導き出されることができる。さらに、初期の所在地推定値は、利用可能ないずれかの所在地決定技術を使用して取得されることができる最も正確な解を表すことができる。例えば、初期の所在地推定値は、セルID解、拡張セルID解、又はある種のその他の解により与えられることができる。
【0030】
測定値の部分セットは、また、1又はそれより多くの所在地決定システムから取得される(ステップ214)。この部分セットは、事前に決められたサービスの質で端末に対する独自の所在地推定値を導き出すために十分な数の測定値を含まない。しかしながら、必要な数の測定値が利用可能であるならば、独自の所在地推定値は、端末に対して取得されてきているはずであり、この所在地推定値は、一般に初期の所在地推定値よりも高い精度を有するはずである。部分セットは、SPSだけからの測定値、セルラ通信システムだけからの測定値、若しくはSPS及びワイアレス通信システムの両者から又は任意の数のその他の所在地決定システムからの測定値を含むことができる。
【0031】
初期の所在地推定値は、その後、端末に対する修正された所在地推定値を取得するために測定値の部分セットを用いて更新される(ステップ216)。この修正された所在地推定値は、初期の所在地推定値より高い精度を有する。精度の改善の量は、下記のような各種の要因に依存する。例えば、(1)初期の所在地推定値の正確さ(又は不正確さ)、(2)更新するために利用可能な測定値の数及びタイプ、幾何学的な配置(すなわち、そこからの信号が受信される送信機の相対的な位置)、等である。更新することは、下記に説明される。
【0032】
方法及び装置をより明確に説明するために、測定値の完全なセットに基づいて端末に対する所在地推定値を算出するための導出が、初めに説明される。下記の説明では、測地学的な座標系が使用され、3次元の(3−D)所在地は、緯度(北)、経度(東)、及び高度(上)に対する3つの値によって定義されることができる。
【0033】
所与の3−D座標に位置する端末に対して、その正確な所在地は、既知の位置の3つの送信機への実際の(すなわち“真の”)距離に基づいて決定されることができる。しかしながら、各送信機への真の距離は、時計及びその他の測定誤差のために、通常は決定できない。その代わりに、“擬似距離”が決定される。それは、真の距離に加えて時計及びその他の測定誤差に起因するオフセットを含む。4番目の測定値は、全ての測定値中の共通のオフセットを削除するために必要である。
【0034】
端末の所在地、i番目の送信機の位置、及び端末の所在地からi番目の送信機の位置までの擬似距離PRiを関係付ける基本方程式は、次式で表されることができる:
【数1】
【0035】
ここで、Lat,Long,及びAltは、端末の実際の所在地の3−D平面空間座標を表し;
Lati,Longi,及びAltiは、i番目の送信機の位置の座標を表し;そして
Tは、時間座標を表す。
【0036】
4つの基本方程式のセットが、4つの異なる送信機、すなわち、i={1,2,3,4}、に対して式(1)に示されたように取得されることができる。
【0037】
基本方程式は、増分関係を採用することによって線形化されることができ、下記のようである:
Long=Longinit+Δe, 式(2)
Lat=Latinit+Δn,
Alt=Altinit+Δu,
T=Tinit+ΔT,及び
PRi=PRinit,i+ΔPRi, i={1,2,3,4}に対して、
ここで、Latinit,Longinit,Altinit,及びTinitは、それぞれLat,Long,Alt,及びTの初期値(アプリオリ(a priori)最適推定値)であり;
Δe,Δn,Δu,及びΔTは、それぞれ初期値Latinit,Longinit,Altinit,及びTinitへの補正を表し;
PRinit,iは、初期の所在地推定値からi番目の送信機までの擬似距離測定値(すなわち、“算出された”擬似距離)を表し;
PRiは、端末の所在地からi番目の送信機までの擬似距離測定値(すなわち、“測定された”擬似距離)を表し;そして
ΔPRiは、算出された擬似距離と測定された擬似距離との間の差(これは、“擬似距離残差”とも呼ばれる)を表す。
【0038】
式のセット(2)では、Latinit,Longinit,及びAltinitは、端末の最初の3−D所在地推定値を表し、そして、Lat,Long,及びAltは、端末の実際の3−D所在地(すなわち、アポステリオリ(a posteriori)最適推定値)を表す。初期の所在地推定値は、端末に対して現在利用可能な最善の推定値である。
【0039】
擬似距離測定値PRinit,iは、初期の所在地推定値(Latinit,Longinit,及びAltinit)とi番目の送信機の既知の位置(Lati,Longi,及びAlti)との間の擬似距離に関する算出された値である。この擬似距離測定値は、下記のように表される:
【数2】
【0040】
擬似距離測定値PRiは、PRiが端末によって受信されたi番目の送信機からの信号に基づいて導き出されるので、“測定された”値と考えられる。特に、信号がi番目の送信機から送信された時間が既知であるならば(例えば、信号は発信記録がある若しくは時間情報が信号中にエンコードされているならば)、信号が端末に到着するまでにかかる時間は、信号が端末において受信される(端末の内部クロックに基づいた)時間を観測することによって、決定されることができる。しかしながら、送信と受信との間の時間の大きさは、一般に、送信機と端末との間のクロックの間のオフセット及びその他の測定誤差のために正確に決定されることができない。そのために、擬似距離は、基準時間と信号が受信された時間との間の差に基づいて導き出される。他の一例では、信号強度のような信号特性、若しくは信号特性の組み合わせが、擬似距離測定値を導き出すために使用されることができる。SPS衛星から受信された信号から擬似距離を導き出すことは、この分野において公知であり、ここでは詳細に説明されない。
【0041】
i番目の送信機に対する擬似距離残差ΔPRiは、下記のように表されることができる:
ΔPRi=PRi−PRinit,i 式(4)
基本方程式(1)へ式のセット(2)中の増加分の式を代入し、2次の誤差項を無視すると、次式が得られる:
【数3】
【0042】
式(5)により示された4つの線形化された式は、行列の形式でより都合よく表されることができ、下記の通りである:
【数4】
【0043】
ここで、∂/∂xは、i番目の送信機への擬似距離とx方向のベクトルとの間の角度の方向余弦である。ここで、xは、東、北、又は上である。式(6)は、端末の所在地を決定するため又は更新するために使用されることができ、4つの送信機に対する完全なかつ独立した擬似距離測定値のセットが利用可能であることを与える。
【0044】
図3は、開示された方法及び装置がより正確な所在地推定値を与えるために使用されることができる動作シナリオの一例を説明する図である。図3において、端末110は、基地局120xからの信号及び2個のSPS衛星130xと130yからの信号を受信する。これらの3つの信号は、3−Dハイブリッド所在地位置決定値を導き出すために十分でない可能性がある。セルID解は、その後、端末110と通信している基地局120xの基本的な知識を使用して導き出されることができる。基地局120xが円310によって近似された地理的地域に対して交信地域を与えるように表されるのであれば、端末110の所在地は、基地局の位置として若しくは交信地域の範囲内であるその他の指定された位置として推定されることができる。
【0045】
システム能力を増加させるために、各基地局の交信地域は、複数のセクタ(例えば、3つのセクタ)に区切られることができる。各セクタは、それから、対応する基地トランシーバ・サブシステム(base transceiver subsystem)(BTS)によってサービスされる。セクタにされた交信地域(一般にセクタにされたセルと呼ばれる)に対して、その交信地域をサービスしている基地局は、交信地域のセクタをサービスしている全てのBTSを含むはずである。拡張セルID解は、それから、それと端末が通信している特定のBTSセクタを識別する追加の情報を用いて取得されることができる。そのような場合には、端末の所在地の不確実性は、図3にセクタAとして名前を付けられているパイ型の地域に縮小されることができる。端末の所在地は、それから、このBTSによってカバーされたセクタの中心(点312)として、若しくはあるその他の指定された位置として推定されることができる。
【0046】
追加の情報も、利用可能である。例えば、BTSから受信された信号の強度、端末とBTSとの間の往復遅延(roundtrip delay)(RTD)、(GSMに対する)受信された信号の時間進行(time advance)(TA)、端末と(W−CDMAに対する)BTSとの間の往復時間(round trip time)(RTT)、等のようなものである。そのような追加の情報が利用可能であるならば、端末の所在地推定値は、それに応じて調節されることができる。
【0047】
上記に説明されたように、セルID技術又は拡張セルID技術は、端末に対する粗い所在地推定値を与えることができる。これは、端末に対する2−Dアプリオリ最適推定値(すなわち、初期の所在地推定値)を表すはずである。端末に対する初期の所在地推定値は、(Latinit及びLonginit)として与えられることができる。改善された精度を有する修正された所在地推定値は、それから、2つのSPS衛星130xと130yに対する2つの擬似距離測定値を使用して端末に対して取得されることができる。
【0048】
2つの人工衛星に関する2つの擬似距離測定値を有する端末に対する線形化された方程式は、次のように表されることができる:
【数5】
【0049】
ここで、ΔHは、高度残差であり、端末の高度の現在の推定値と実際の高度との間の差を表し;及び
ΔCBは、現在の基準時間推定値と“真の”基準時間との間の差を表す。
【0050】
式(7)において、2つのSPS衛星のそれぞれに対する擬似距離残差ΔPRiは、式(4)に示されたように、人工衛星に対して算出された擬似距離PRinit,iと測定された擬似距離PRiに基づいて決定されることができる。擬似距離PRinit,iは、端末の初期の所在地推定値(Latinit,Longinit,及びAltinit)とi番目の人工衛星の位置(Lati,Longi,及びAlti)との間の距離として算出されることができる。ここで、端末の高度、Altinit、は、サービスしているBTSに対する高度、又はある他の高度に等しくなるように推定されることができる。基準時間に関するいくつかの追加の情報が与えられると、ΔCBは、現在の基準時間推定値と“真の”基準時間との間の差を考慮して使用される。一例では、サービスしているBTSと端末との間の伝播時間は、基準時間遅延に関する情報を提供するために測定され、使用されることができる。擬似距離PRiは、i番目の人工衛星から受信された信号に基づいて導き出され、そしてi番目の人工衛星から端末の実際の(“真の”)位置までの距離の測定値である。
【0051】
式(7)は、しかも、次式のより簡潔な形式で表現されることができる:
r=Hx 式(8)
ここで、rは、擬似距離残差に関する4個の要素を有するベクトル(すなわち、“測定”ベクトル)であり;
xは、ユーザ所在地及び時間補正に関する4個の要素を有するベクトル(すなわち、“補正”ベクトル)であり;そして
Hは、4×4“観測”行列である。
【0052】
補正ベクトルxは、その後、次のように決定されることができる:
x=H−1r 式(9)
式(9)は、補正ベクトルxに対する重み付けをしない解を与える。この式は、(例えば、セルID技術又はある種のその他の技術から取得された)初期の所在地推定値に関係した情報及びSPS衛星に対する距離情報に対して等しい加重を与える。2つの断片的な情報をうまく統合するために、初期の所在地推定値及び擬似距離測定値は、適切な重みを割り当てられる。
【0053】
共分散行列V、これは測定ノイズ行列としても知られる、は、式のセット(7)に示された線形化された式に対して決定されることができ、次式で表されることができる:
【数6】
【0054】
ここで、V11は、第1の人工衛星に対する擬似距離測定値PR1に関する誤差の分散であり;
V22は、第2の人工衛星に対する擬似距離測定値PR2に関する誤差の分散であり;
Vhは、高度測定値に関する誤差の分散であり;及び
Vcbは、基準時間に関係した誤差の分散である。
【0055】
要素V11及びV22は、V11=σ2pr1及びV22=σ2pr2として表されることができる。ここで、σpr1及びσpr2は、それぞれ擬似距離測定値PR1及びPR2に対する誤差の標準偏差である。加重行列Wは、共分散行列Vの逆として規定されることができる(すなわち、W=V−1)。Wのゼロでない要素は、擬似距離測定値に関する重み付け及び修正された所在地推定値の導出における初期の所在地推定値に関係した情報を決定する。Wの要素は、測定値の誤差の二乗又はクロス積の期待値に対して逆に関係する。そのようにして、いずれかの量(例えば、PRi)に対する小さな誤差は、より信頼性のある観測を意味し、Wに関する大きな対応する値に対応する。これは、初期の所在地推定値を擬似距離測定値と統合することでより高い加重を与えられようとしている量に帰結するはずである。
【0056】
i番目の人工衛星への擬似距離PRiは、次式のように定義されることができる:
PRi=Ri+CB+SVi+Tri+Ii+Mi+ηi 式(11)
ここで、Riは、端末の所在地からi番目の人工衛星までの真の又は実際の距離であり;
CBは、基準時間に起因する誤差を表し;
SViは、i番目の人工衛星に関係した全ての誤差を表し;
Triは、成層圏を通過するSPS信号に起因する誤差を表し;
Iiは、電離層を通過するSPS信号に起因する誤差を表し;
Miは、マルチパスを含む信号伝播環境に関係した誤差を表し;そして
ηiは、受信機測定ノイズ(又は、熱ノイズ)に関係した誤差を表す。
【0057】
誤差推定値Viiは、そこで、i番目の人工衛星に対する擬似距離測定値中の誤差の全てを含むはずである。式(10)は、擬似距離測定値が、相互に独立であると仮定する。測定ノイズ行列Vの導出は、この分野において公知であり、ここでは詳細には説明されない。
【0058】
補正ベクトルxの重み付けされた解は、その後、次式として表されることができる:
x=(HTWH)−1HTWr 式(12)
ここで、HTは、Hの転置を表す。
【0059】
式(9)又は(12)は、補正ベクトルxを取得するために使用されることができる。このベクトルは、Δe及びΔnに関する2つのゼロでない項を含む。端末に対する修正された2D−所在地推定値は、その後、次式のように算出されることができる:
Longrev=Longinit+Δe、及び 式(13)
Latrev=Latinit+Δn
初期の所在地推定値をSPSの測定値及び/又はその他の測定値と統合するプロセスは、図6から図9を参照して、下記にさらに詳細に説明される。
【0060】
図4は、開示された方法及び装置がより正確な所在地推定値を与えるために使用されることができる動作シナリオの他の一例を説明する図である。図4において、端末110は、基地局120x及び120yからの2つの信号を受信する。これらの2つの信号は、ネットワーク・ベースの(例えば、A−FLT)所在地位置決定値を導き出すために十分ではない。セルID解又は拡張セルID解は、図3に関して上記に説明されたものと同様に、端末をサービスしている基地局として指定された基地局の位置に基づいて導き出されることができる。端末に対する初期の所在地推定値は、Latinit及びLonginitとして与えられることができる。
【0061】
SPS衛星と同様に、各基地局への擬似距離は、基地局から受信された信号に基づいて推定されることができる。CDMAシステムに対して、各基地局は、固有のオフセット(すなわち、開始時間)を有する擬似ランダム・ノイズ(pseudo-random noise)(PN)シーケンスを割り当てられる。このPNシーケンスは、基地局からの送信に先立ってデータをスペクトル的に拡散させるために使用される。各基地局も、パイロットを送信する。パイロットは、割り当てられたPNシーケンスを用いて拡散された、単純に全て1(又は、全てゼロ)のシーケンスである。基地局によって送信された信号は、端末において受信され、信号の到着時間は、拡散させるために使用されたPNシーケンスの位相に基づいて決定されることができる。パイロットがこのPN位相情報を取得するために一般に処理されるので、端末におけるこの測定値も、パイロット位相測定値として公知である。パイロット位相測定値は、基地局から端末まで信号が移動するためにかかる時間の大きさを推定するために使用される。この移動時間は、SPS衛星に対して実施されたものと同様に擬似距離に変換されることができる。地上波信号から導き出された擬似距離測定値(例えば、パイロット位相測定値)は、SPS信号から導き出された擬似距離測定値と区別させるためにPPとして記される。
【0062】
2つの基地局に対する2つの擬似距離測定値を有する端末に関する線形化された方程式は、次式のように表されることができる:
【数7】
【0063】
式(14)に示されたように、端末及び基地局は、同じ高度面上にあると仮定され、観察行列中に∂/∂uの項がない。しかしながら、相対的な幾何学的な形状に依存して(例えば、BTSが丘の上であり、端末が谷にある)、PP測定値に対して垂直方向の観測可能性があることがある。この場合には、観測行列の初めの2行中の“上”に関する部分導関数項(すなわち、∂/∂u項)を含むことが適切であるはずである。式(14)は、地上波信号に関する擬似距離残差ΔPP算出が、式(7)に示されたSPS信号に関する擬似距離残差ΔPR算出と同様であることを示す。所在地推定値を算出するための代わりの方法は、線形化を用いない代数的な解である。
【0064】
補正ベクトルxは、式(9)又は(12)を使用することによって解くことができ、Δe及びΔnに対する2つのゼロでない項を含むはずである。端末に対する修正された所在地推定値(Latrev及びLongrev)は、それから式(13)に示されたように算出されることができる。
【0065】
図5は、開示された方法及び装置がより正確な所在地推定値を与えるために使用されることができる動作シナリオのさらに他の一例を説明する図である。図5において、端末110は、基地局120xからの信号及びSPS衛星130xからの信号を受信する。これらの2つの信号は、ハイブリッド所在地位置決定値を導き出すために十分ではない。セルID解又は拡張セルID解は、図3に関して上記に説明されたように、基地局120xの位置に基づいて導き出されることができて、端末に対する初期の所在地推定値(Latinit及びLonginit)を与える。
【0066】
擬似距離PR1は、SPS衛星130xからの信号に基づいて導き出されることができ、擬似距離PP1は、基地局120xからの信号に基づいて導き出されることができる。1個の人工衛星及び1個の基地局に対する2つの擬似距離測定値を有する端末に対する線形化された方程式は、次式のように表されることができる:
【数8】
【0067】
補正ベクトルxは、それから、式(9)又は(12)を使用することによって解くことができ、Δe及びΔnに対する2つのゼロでない項を含むはずである。端末に対する修正された所在地推定値(Latrev及びLongrev)は、それから式(13)に示されたように算出されることができる。
【0068】
特定の座標(寸法)は、修正された所在地推定値の導出において固定される又は制約される可能性がある。例えば、基地局からの信号が初期の所在地推定値を更新するために使用されるのであれば、垂直方向は観測可能でない可能性がある。この場合には、修正された所在地推定値の高度座標は、(1)初期の所在地推定値の高度座標と同じになるように決定される(すなわち、ΔH=0)若しくは(2)事前に決定された高度残差ΔHを算出することによって事前に決定されたレベルに設定される、のいずれかであることができる。高度は、次式のように、観測行列を適切に設定することにより制約される可能性がある:
【数9】
【0069】
式(16)に示されたように、測定ベクトルの1要素又は観測行列の1行は、適用された場合に、ΔHが事前に決定された値に高度推定値が導き出されるように定義される(ここで、Δuは、ゼロ又はある他の値に導き出されることができる)。基地局の測定値が更新するために使用されるのであれば、高度の制約は、自動的に適用されることができる。人工衛星測定値と基地局測定値が、又は人工衛星測定値だけが更新するために使用されるのであれば、高度の制約が、適用される可能性がある又は適用されない可能性がある(すなわち、オプションである)。高度の制約は、3次元の所在地決定−高さ−における未知数の1つを考慮するために測定値の1つを効果的に与える。(図3は、この場合をカバーすると考える)。図6から図9は、初期の所在地推定値をSPS測定値及び/又はその他の測定値と統合するプロセスを図式的に説明する図である。図6において、端末に対する2−D所在地推定値は、Xinit=[Latinit,Longinit]であり、図6の影を付けた領域412によって示された誤差楕円により規定された不確定性を有する。誤差楕円は、しかも共分散測定値ノイズ行列により表されることができ、これは次式のように表されることができる:
【数10】
【0070】
ここで、Veは、東方向の初期の所在地推定値の誤差の分散であり;
Vnは、北方向の初期の所在地推定値の誤差の分散であり;そして
Venは、初期の所在地推定値の東誤差と北誤差との間のクロス相関である。
【0071】
単純化のために、クロス相関誤差項Ven及びVneは、図6ではゼロになると仮定される。
【0072】
初期の所在地の不確定性が共分散行列を用いて表される図6に図示された例では、初期の所在地推定値は、観測方程式に直接変換される。
【数11】
【0073】
ここで、人工衛星所在地決定システム及び地上波所在地決定システムから導き出された測定方程式は、式(15)のように、1つのSPS測定値及び1つの基地局測定値として示される。これらの方程式は、この分野において知識のある者によって任意の数のSPS測定値及び基地局測定値に(例えば、式(14)及び式(7)のように)容易に拡張されることができる。この例では、ΔE及びΔNの値は、その付近で方程式が線形化される推定された端末の所在地に関する初期の所在地の推定値を表すために選択される。初期の所在地が2次元空間において推定された端末の所在地である場合には、これらの値は、それぞれ0、及び0に設定されることができる。
【0074】
この場合には、共分散行列及び加重行列は、最初の位置における不確定性を表すように設定されることができる。例えば、共分散行列は、次のように設定されることができる:
【数12】
【0075】
ここで、VPRは、第2の人工衛星に対しての擬似距離測定値PR1に関する誤差の分散であり;
VPPは、第2の基地局に対しての擬似距離測定値PR1に関する誤差の分散であり;
Ve,Ven,Vne,及びVnは、上記の式(17)におけるように設定され;
及び
Vhは、上記の式(10)におけるように設定される。加重行列は、それから共分散行列の逆として計算されることができ、そして、所在地解は、式(12)におけるように計算されることができる。
【0076】
他の1つの実施形態では、所在地更新は、最大尤推定法(maximum likelihood method
)を使用して算出されることができる。例えば、人工衛星所在地決定システム及び/又は地上波基地局送信機からの観測方程式は、解空間の種々の点
【数13】
【0077】
の可能性を決定するために使用されることができる。[注:読みやすさのために、水平ベクトル―上記の転置―として解空間を表す。]さらに、東の所在地、北の所在地に関する情報を含む、初期の所在地は、解空間中で端末の最も可能性のある位置(所在地)を表している所与の仮定の点をさらに正確にするために使用されることができる。共分散行列、又はより一般的な確率密度関数は、解空間中の種々の位置における可能性を決定するために使用されることができる。高さの値(Δu)は、所在地の最大の可能性を決定するために固定される又は制約される可能性がある。解空間は、しかも相対的な可能性に対しても検索されることができ、選択された最も可能性のある所在地に対する誤差推定値を決定する。
【0078】
所在地の線(LOP)414は、SPS測定値又は基地局測定値(又はある種のその他の測定値)のような距離測定値に基づいて端末に対して取得されることができる。初期の所在地推定値Xinitは、上記に説明されたように、SPS所在地の線と統合されることができ、端末に対する修正された(又は最終の)所在地推定値を取得することができる。この修正された所在地推定値は、線414に沿ったバンドによって表される不確定性(又は誤差)を有するはずである。このバンドは、単純化のために図6に示されない。バンドの幅は、LOPを取得するために使用される基底にある距離測定値の不確定性に依存する。幅を持つ線は、初期の不確定性に結び付けられる。これは、初期の所在地推定値の誤差楕円に対して影を付けられた領域412である。
【0079】
図7において、端末に対する初期の所在地推定値は、セルID解から取得される。セルID解は、端末に対してサービスしているBTSのセクタに基づいている。初期の所在地推定値の不確定性は、それから、パイ型のBTSの交信地域422(これは、セル・セクタとしても呼ばれる)を近似する形状を有することができる。再び、初期の所在地推定値Xinitは、SPS所在地の線424と統合されることができて、端末に対する修正された所在地推定値Xrevを取得できる。この修正された所在地推定値は、初期の不確定性、これは影を付けられた領域422、に結び付けられた線424に沿ったバンドによって表される不確定性を有するはずである。
【0080】
図8において、端末に対する初期の所在地推定値は、拡張セルID解から取得される。拡張セルID解は、サービスしているBTSのセクタ422及びこのBTSへの往復遅延(RTD)に基づいて取得される。RTDは、BTSに対するパイロット位相測定値に基づいて取得されることができる。初期の所在地推定値Xinitは、それから、バンド432によって表された不確定性を有するはずである。この不確定性バンドの幅は、RTD測定値の不確定性(又は誤差)に依存する。初期の所在地推定値Xinitは、SPS所在地の線434と統合されることができ、端末に対する修正された所在地推定値Xrevを取得できる。
【0081】
図9において、BTSへの正確なRTDが、端末に対して取得される。これは、そこで、結果として、初期の所在地推定値Xinitに対してより狭い不確定性バンド442になる。その結果、より正確な修正された所在地推定値Xrev及び低減された不確定性は、初期の所在地推定値Xinit及びSPS所在地の線444に基づいて端末に対して取得されることができる。正確なRTDは、しかも、正確な基準時間推定値に対する良いΔCB測定値を与えることができる。
【0082】
図10において、端末に対する初期の所在地推定値Xinitは、拡張セルID解に基づいて取得される。この例では、初期の所在地推定値Xinitは、2つのSPS所在地の線452及び454と統合されて、端末に対する修正された所在地推定値Xrevを取得する。修正された所在地推定値中の不確定性は、そのように、2つのSPS所在地の線452と454及び初期の所在地推定値の不確定性に依存する。
【0083】
明確にするために、図3から図5及び図7から図9に示された例は、セルID技術又は拡張セルID技術を利用して、端末に対する初期の所在地推定値を与える。一般に、初期の所在地推定値は、いずれかの利用可能な所在地決定技術によって算出されることができる。一例として、初期の所在地推定値は、端末によって受信された複数の基地局に対して取得された複数のセルID解又は拡張セルID解を統合することによって取得されることができる。端末によって受信されたその他の基地局に関する情報も使用されるので、これは端末に対するより正確な初期の所在地推定値与えられる。他の一例として、初期の所在地推定値は、端末によって受信された複数の基地局に対するモデル化された交信地域を統合することによって取得されることができる。この交信地域ベースの所在地決定技術は、米国特許出願番号[代理人文書番号第020112]、名称“ワイアレス・ネットワークにおける端末に対する地域ベースの所在地決定”、提出xxx、にさらに詳細に説明されており、本出願の譲受人に譲渡され、ここに引用文献として組み込まれている。初期の所在地推定値は、しかも、A−FLTを使用して導き出されたネットワーク−ベースの解であることができる。
【0084】
種々のタイプの測定値は、所在地の線、及びその結果、初期の所在地推定値に基づいて端末に対する修正された所在地推定値を導き出すために使用されることができる。一般に、初期の所在地推定値を更新するために使用される測定値は、より高い精度を有するはずである。すなわち、十分な数のこれらの測定値が端末に対する独立した所在地推定値を取得するために利用可能であるならば、その独立した所在地推定値は、初期の所在地推定値よりさらに正確であるはずである。そのようにして、初期の所在地推定値がセルID技術、拡張セルID技術、又はある種のその他の同等な技術により与えられるのであれば、基地局及び/又は人工衛星に対する測定値が、更新するために使用されることができる。これは、基地局測定値のみから導き出されたネットワーク・ベースの(A−FLT)解、人工衛星測定値及び基地局測定値から導き出されたハイブリッド解、及びSPS測定値のみから導き出されたSPS解が、全て通常はセルID解及び拡張セルID解よりさらに正確であるためである。初期の所在地推定値がセル・ベースの解であるならば、人工衛星測定値が更新するために使用されることができる。信号が制限される環境では、ローカル・エリア所在地決定システムは、初期の所在地推定値を生成させるために使用されることができる、若しくは他の1つのソースから導き出された初期の所在地推定値を更新するために使用されることができる。
【0085】
更新するために必要な測定値の数は、初期の所在地推定値及び更新方法に依存する。図6から図9は、1個のLOP測定値が2−Dの初期の所在地推定値を修正するためにどのようにして使用されることができるかを説明する。最小の必要な数より多くの測定値も、初期の所在地推定値を更新するために使用されることができる。ある種の更新方法に関して、1又はそれより多くの座標(時間−空間次元)(例えば、高度、基準時間)は、しかも、上記で説明されたように、観測行列を適切に設定することにより固定される又は制約される可能性がある。この場合には、より少ない測定値が、更新するために必要であるはずである。LAPSベースの更新方法に関して、1個の測定値が、使用されることができる。
【0086】
図11は、測定値の部分セットを使用して端末に対するより正確な所在地推定値を与えるためのプロセス200aのフロー図である。プロセス200aは、図2に示されたプロセス200の特別の実施形態であり、図10によって表される。プロセス200aは、端末に対する初期の所在地推定値(例えば、セルID解、拡張セルID解、又はある種のその他の解)を取得することにより開始する(ステップ212a)。2つの測定値が、しかも、2つの送信機に対して取得され、送信機のそれぞれは、人工衛星又は基地局であることができる(ステップ214a)。
【0087】
初期の所在地推定値は、その後、測定値の部分セットを用いて更新されて、端末に対する修正された所在地推定値を取得する(ステップ216a)。更新することを実行するために、測定値ベクトルrが、初期の所在地推定値及び測定値に基づいて導き出される(ステップ222)。更新するために使用される測定値のタイプ(例えば、SPS又はセルラ)に依存して、測定値ベクトルは、式(7)、(14)、(15)、又は(18)に左辺に示されたもののようである。観測行列Hは、それから、測定値に対して(例えば、式(7)、(14)、(15)、又は(18)に示されたように)形成される(ステップ224)。加重の行列Wが、上記に説明されたように、次に決定される(ステップ226)。補正ベクトルxは、それから、式(12)に示されたように取得される。(ステップ228)。初期の所在地推定値は、それから、式(13)に示されたように、修正された所在地推定値を取得するために補正ベクトルを用いて更新される(ステップ230)。プロセスは、それから、終了する。
【0088】
上記に説明されたある種の所在地決定技術は、しかも、測定値の部分セットに関する測定値ドメイン情報を有する所在地(又は状態)ドメイン情報の増加として見られることができる。具体的に、ここで説明される増加は、セルIDベースの解に対して使用されることができる。従来は、測定値ドメイン情報を有する状態ドメイン情報の増加は、測定値の完全なセットを必要とする。これは、増加が使用されることができる状況を大きく制限する。
【0089】
図12は、ワイアレス端末に対するより正確な所在地推定値を与えるために状態ドメイン情報を測定値ドメイン情報と統合するためのプロセス600の1実施形態のフロー図である。初めに、状態ドメイン情報が端末に対して取得される(ステップ612)。この状態ドメイン情報は、各種の技術(例えば、セルID技術又は拡張セルID技術)を使用して導き出されることができる初期の所在地推定値であることができる。測定値ドメイン情報も、端末に対して取得される(ステップ614)。この測定値ドメイン情報は、測定値の部分セットを具備する。これは、事前に決められたサービスの質の独立した所在地位置決定値を導き出すために十分ではないが、状態ドメイン情報と統合されることができる。
【0090】
状態ドメイン情報は、それから、測定値ドメイン情報と統合されて、状態ドメインの精度と少なくとも同等の精度を有する端末に対する所在地推定値を取得する(ステップ616)。
【0091】
図13は、ワイアレス端末の構成要素であることができる受信機ユニット700の実施形態のブロック図である。受信機ユニット700は、SPSシステム及びワイアレス通信システムのような複数の所在地決定システムからの信号を処理する能力を有するように設計されることができる。図13に示された実施形態では、受信機ユニット700は、アンテナ710、地上波受信機712a、SPS受信機712b、処理ユニット716、メモリ・ユニット718及びコントローラ720を含む。
【0092】
アンテナ710は、複数の送信機(これは、SPS衛星及び/又は基地局の任意の組み合わせであることができる)からの信号を受信し、そして地上波受信機及びSPS受信機712a及び712bへ受信された信号を与える。地上波受信機712aは、フロント−エンド回路系(例えば、高周波(RF)回路系及び/又はその他の処理回路系)を含む。フロント−エンド回路系は、基地局から送信された信号を処理して、所在地決定のために使用される情報を取得する。例えば、地上波受信機712aは、各基地局から受信された順方向リンク信号中のパイロットの位相を測定することができ、タイミング情報(例えば、到着の時間)を取得する。このタイミング情報は、そのあとで、基地局への擬似距離を導き出すために使用されることができる。
【0093】
地上波受信機712aは、レーキ受信機を実装することができる。レーキ受信機は、受信された信号中の複数の信号事象(signal instance)(又はマルチパス成分)を同時に処理する能力がある。レーキ受信機は、複数の復調素子(しばしばフィンガとして知られる)を含む。フィンガの各々は、特定のマルチパス成分を処理し、追跡するために割り当てられることができる。複数のフィンガが所与の基地局に対する複数のマルチパス成分を処理するために割り当てられることができるとしても、1つのマルチパス成分(例えば、最初に到着するマルチパス成分、又は最大強度のマルチパス成分)に対して取得された1つの擬似距離だけが、所在地決定に対して一般的に使用される。あるいは、異なるフィンガ間のタイミング(又は距離測定)の関係が、設定され、そして維持されることができる。このようにして、フェーディング及びマルチパス効果に依存する所在地決定のために所与の基地局に対する異なるマルチパス成分を使用することが可能である。
【0094】
SPS受信機ユニット712bは、所在地決定のために使用される情報を取得するためにSPS衛星から送信された信号を処理する、フロント−エンド回路系を含む。SPS信号及び地上波信号から適切な情報を抽出するための受信機712a及び712bによる処理は、この分野において公知であり、ここでは詳細には説明されない。ある実施形態では、SPS信号処理は、地上波受信機ユニット712aによって実行されることができる。受信機712a及び712bは、各種のタイプの情報、例えば、タイミング情報、信号特性、その信号が受信される送信機のアイデンティ及び位置、及びその他のような情報を処理ユニット716へ与える。
【0095】
処理ユニット716は、要求されたときはいつでも受信機ユニット700に対する初期の所在地推定値を取得できる。処理ユニット716は、しかも、上記に説明されたように、初期の所在地推定値を更新するためにこれから使用される各基地局及び人工衛星に対する擬似距離残差を決定できる。処理ユニット716は、そのあとで、擬似距離残差に基づいて初期の所在地推定値を更新して、受信機ユニットに対する修正された所在地推定値を取得する。
【0096】
メモリ・ユニット718は、所在地を決定するために使用される各種のデータを記憶する。例えば、メモリ・ユニット718は、SPS衛星の位置(これは、人工衛星によって送信された又は地上ソース(例えば、ワイアレス・ネットワーク)により与えられた1年暦及び/又は天体暦から導き出されることができる)、基地局の位置(これは、シグナリングを介して与えられることができる)、及び擬似距離残差に関する情報を記憶できる。メモリ・ユニット718は、しかも、処理ユニット716に対するプログラム・コード及びデータを記憶できる。
【0097】
コントローラ720は、処理ユニット716の動作を管理できる。例えば、コントローラ720は、算出されるべき特定のタイプの解(例えば、SPSベースの解、ネットワーク・ベースの解、ハイブリッド解、セル・ベースの解、LAPS解、安全ネット解、及びその他の組み合わせ解)、使用されるべき特定のアルゴリズム(1より多くが利用可能であるならば)、及びその他、を選択できる。
【0098】
図13に示されないが、受信機ユニット700は、位置決めサーバ140(図1参照)と通信できる。位置決めサーバ140は、端末の所在地推定値を決定するときに手助けできる。位置決めサーバは、所在地推定値を導き出すために演算を実行できる、若しくは、(1)人工衛星測定値及び/又は基地局測定値を捕捉する(例えば、捕捉支援、タイミング支援、SPS衛星及び/又は基地局の位置に関係した情報、及びその他)、及び/又は(2)修正された所在地推定値を決定する、ために使用されるある種の情報を与えられる。それによって位置決めサーバが所在地決定を実行する実施形態に関して、種々の所在地決定システムからの基底にある測定値及び初期の所在地推定値は、位置決めサーバへ(例えば、ワイアレス・リンク及び/又は有線リンクを介して)通信される。そのような位置決めサーバの一例が、米国特許番号第6,208,290に説明され、これは、引用文献としてここに組み込まれている。
【0099】
ここに説明された方法及び装置は、各種のワイアレス通信システム及びネットワークとともに使用されることができる。例えば、開示された方法及び装置は、CDMA、時分割多元アクセス(time division multiple access)(TDMA)、周波数分割多元アクセス(frequency division multiple access)(FDMA)、及びその他のワイアレス通信システムに対して使用されることができる。これらのシステムは、1又はそれより多くの適用できる標準を実行できる。例えば、CDMAシステムは、IS−95、cdma2000、IS−856、W−CDMA、及びその他を実行できる。TDMAシステムは、GSM、GPRS及びその他を実行できる。これらの各種の標準は、この分野で知られており、引用文献としてここに組み込まれている。その他のワイアレス通信システムは、例えば、IEEE802.11システム、ブルートゥース・システム、及びワイアレス・ローカル・エリア・ネットワーク(wireless local area network)(WLAN)のような、非セルラ・ワイアレス通信システムを含む。
【0100】
ここに説明された方法及び装置は、米国グローバル所在地決定システム(United States Global Positioning System)(GPS)、ロシア・グロナス・システム(Russian Glonass system)、及びヨーロッパ・ガリレオ・システム(European Galileo system)のような各種の衛星所在地決定システム(SPS)とともに使用されることができる。さらに、開示された方法及び装置は、擬似ライト(pseudolite)又は人工衛星と擬似ライトとの組み合わせを利用する所在地決定システムとともに使用されることができる。擬似ライトは、GPS時間と同期させることができるL帯域(又はその他の周波数)キャリア信号上に変調されたPNコード又はその他の距離測定コード(GPS又はCDMAセルラ信号に類似である)を同報通信する地上ベースの送信機である。各々のそのような送信機は、遠隔受信機によるアイデンティフィケーションを可能にするように、固有のPNコードを割り当てられることができる。擬似ライトは、トンネル、鉱山、ビル、都会の谷間、又はその他の取り囲まれた地域のような、軌道上の人工衛星からのGPS信号が利用できない可能性がある状況において、有用である。擬似ライトの他の1つのインプリメンテーションは、無線ビーコンとして知られる。用語“人工衛星”は、ここで使用されたように、擬似ライト、擬似ライトと同等のもの、及び可能性のあるその他のものを含むことを意図されている。用語“SPS信号”は、ここで使用されたように、擬似ライト又は擬似ライトと同等のものからのSPSのような信号を含むことを意図されている。用語“基地局”は、ここで使用されたように、セルラ、ワイアレス、LAN、WAN、LAPS、ブルートゥース、802.11アクセス・ポイント及びその他の信号の地上ソースを含むことを意図されている。
【0101】
ここに開示された方法及び装置は、ハードウェア、ソフトウェア、又はその組み合わせのような、種々の手段によって実行されることができる。ハードウェアの実行に関して、方法及び装置は、1又はそれより多くのアプリケーション・スペシフィック集積回路(ASICs)、ディジタル・シグナル・プロセッサ(DSPs)、ディジタル信号処理装置(DSPDs)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLDs)、フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGAs)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、ここに記述した機能を実行するために設計された電子ユニット、若しくはこれらの組み合わせの範囲内で実行されることができる。
【0102】
ソフトウェアの実行に関して、開示された方法は、ここで説明された機能を実行するモジュール(例えば、手順、機能、及びその他)を用いて実行されることができる。ソフトウェア・コードは、メモリ・ユニット(例えば、図13のメモリ718)中に記憶されることができ、プロセッサ(例えば、処理ユニット716又はコントローラ720)によって実行されることができる。メモリ・ユニットは、プロセッサの内部で、又はプロセッサの外付けで実行されることができる。外付けの場合には、この分野で知られたような種々の手段を介してプロセッサに通信的に接続されることができる。
【0103】
開示された実施形態のこれまでの説明は、本技術分野に知識のあるいかなる者でも、本発明を作成し、使用することを可能にする。これらの実施形態の各種の変形は、本技術分野に知識のある者に、容易に実現されるであろう。そして、ここで定義された一般的な原理は、本発明の精神又は範囲から逸脱しないで他の実施形態に適用されることができる。それゆえ、本発明は、ここに示された実施形態に制限することを意図したものではなく、ここに開示した原理及び新規な特性と整合する広い範囲に適用されるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末に対する初期の所在地推定値を取得すること;
1若しくはそれより多くの所在地決定システムから測定値のセットを取得すること;及び
端末に対する修正された所在地推定値を取得するために測定値のセットを用いて初期の所在地推定値を更新すること;
を具備する、ワイアレス端末に対する所在地推定値を決定する方法。
【請求項2】
測定値のセットは、測定値の部分セットである、請求項1の方法。
【請求項3】
測定値のセットは、測定値の完全なセットである、請求項1の方法。
【請求項4】
初期の所在地推定値は、セルID解に基づいて取得される、請求項1の方法。
【請求項5】
初期の所在地推定値は、拡張セルID解に基づいて取得される、請求項1の方法。
【請求項6】
更新することは:
初期の所在地推定値及び測定値のセットに基づいて測定値ベクトルを導き出すこと、
測定値のセットに対する観測行列を作成すること、
測定値ベクトル及び観測行列に基づいて補正ベクトルを導き出すこと、及び
補正ベクトルを用いて初期の所在地推定値を更新すること、
を含む、請求項1の方法。
【請求項7】
測定値ベクトルを導き出すことは:
測定値のセット中の対応する測定値に基づいて各送信機への擬似距離を決定すること、
各送信機への初期の所在地推定値から擬似距離を算出すること、及び
各送信機に対する擬似距離残差を決定すること、そしてここで、測定値ベクトルは、その測定値が測定値のセット中にある送信機に対する擬似距離残差を含む、
を含む、請求項6の方法。
【請求項8】
更新することは、最大尤推定技術を使用することを含む、請求項1の方法。
【請求項9】
初期の所在地推定値及び測定値のセットに対する加重を決定することを具備する、ここで、更新することは加重を使用して実行される、請求項1の方法。
【請求項10】
1若しくはそれより多くの距離は、修正された所在地推定値に対して制約される、請求項1の方法。
【請求項11】
縦方向の距離は、修正された所在地推定値に対して制約される、請求項10の方法。
【請求項12】
測定値のセットは、衛星所在地決定システム(SPS)から受信された信号に基づいて取得される、請求項1の方法。
【請求項13】
測定値のセットは、ワイアレス通信システムから受信された信号に基づいて取得される、請求項1の方法。
【請求項14】
測定値のセットは、衛星所在地決定システム(SPS)及びワイアレス通信システムの少なくとも1つから受信された信号に基づいて取得される、請求項1の方法。
【請求項15】
測定値のセットは、少なくとも1の所在地の線(LOP)を含む、請求項1の方法。
【請求項16】
端末に対する初期の所在地推定値を取得すること;
複数の送信機に対する測定値のセットを取得すること、ここで、各送信機は、人工衛星又は基地局のいずれかである;
測定値のセットに基づいて測定値ベクトルを導き出すこと;
測定値のセットに対する観測行列を作成すること;
測定値ベクトル及び観測行列に基づいて補正ベクトルを導き出すこと;及び
端末に対する修正された所在地推定値を取得するために補正ベクトルを用いて初期の所在地推定値を更新すること;
を具備する、ワイアレス端末に対する所在地推定値を決定する方法。
【請求項17】
測定値のセットは、測定値の部分セットである、請求項16の方法。
【請求項18】
測定値のセットは、測定値の完全なセットである、請求項16の方法。
【請求項19】
測定値ベクトルは、初期の所在地推定値を含む、請求項16の方法。
【請求項20】
観測行列は、初期の所在地推定値を含む、請求項16の方法。
【請求項21】
初期の所在地推定値に対する加重を決定することを具備する、ここで、更新することは加重を使用して実行される、請求項16の方法。
【請求項22】
測定値の部分セットに対する加重を決定することをさらに具備する、ここで、更新することは加重を使用して実行される、請求項17の方法。
【請求項23】
初期の所在地推定値及び測定値の部分セットに対する加重を決定することをさらに具備する、ここで、更新することは加重を使用して実行される、請求項17の方法。
【請求項24】
初期の所在地推定値は、セルID解又は拡張セルID解に基づいて取得される、請求項16の方法。
【請求項25】
初期の所在地推定値は、観測行列に対する方程式を作成するために使用される、請求項16の方法。
【請求項26】
初期の所在地推定値の不確定性は、観測行列に対する加重を作成するために使用される、請求項25の方法。
【請求項27】
所在地推定値に対する状態ドメイン情報を取得すること;
端末に対する測定値ドメイン情報を取得すること、ここで、測定値ドメイン情報は端末に対する独立した所在地推定値を導き出すために不十分である;及び
端末に対する所在地推定値を取得するために状態ドメイン情報及び測定値ドメイン情報を統合すること;
を具備する、ワイアレス端末に対する所在地推定値を決定する方法。
【請求項28】
端末に対する初期の所在地推定値を取得するためのコード;
1若しくはそれより多くの所在地決定システムから測定値のセットを取得するためのコード;
端末に対する修正された所在地推定値を取得するために測定値のセットを用いて初期の所在地推定値を更新するためのコード;及び
コードを記憶するためのコンピュータ使用可能な媒体、
を具備する、ワイアレス端末に対する所在地推定値を決定するためのコンピュータ・プログラム製品。
【請求項29】
ワイアレス端末に対する初期の所在地推定値を取得するための手段;
1若しくはそれより多くの所在地決定システムから測定値のセットを取得するための手段;及び
端末に対する修正された所在地推定値を取得するために測定値のセットを用いて初期の所在地推定値を更新するための手段、
を具備する、ディジタル・シグナル・プロセッサ。
【請求項30】
更新するための手段は:
初期の所在地推定値及び測定値のセットに基づいて測定値ベクトルを導き出すための手段;
測定値のセットに対する観測行列を作成するための手段;
測定値ベクトル及び観測行列に基づいて補正ベクトルを導き出すための手段;及び
補正ベクトルを用いて初期の所在地推定値を更新するための手段、
を含む、請求項29のディジタル・シグナル・プロセッサ。
【請求項31】
第1の所在地決定システムに対するデータを与えるために適切に受信し、受信された信号を処理するための第1の受信機;
第2の所在地決定システムに対するデータを与えるために適切に受信し、受信された信号を処理するための第2の受信機;及び
第1及び第2の受信機に接続され、
受信機ユニットに対する初期の所在地推定値を取得する、
第1又は第2の所在地決定システム、若しくは両方から測定値のセットを取得する、及び
受信機ユニットに対する修正された所在地推定値を取得するために測定値のセットを用いて初期の所在地推定値を更新する、
を適切に行う処理ユニット、
を具備する、ワイアレス通信システムにおける受信機ユニット。
【請求項32】
第1の受信機は、SPS衛星からの信号を適切に処理する、請求項31の受信機ユニット。
【請求項33】
第2の受信機は、ワイアレス通信システム中の基地局からの信号を適切に処理する、請求項31の受信機ユニット。
【請求項34】
プロセッサは:
初期の所在地推定値及び測定値のセットに基づいて測定値ベクトルを導き出す;
測定値のセットに対する観測行列を作成する;
測定値ベクトル及び観測行列に基づいて補正ベクトルを導き出す;及び
補正ベクトルを用いて初期の所在地推定値を更新する、
をさらに適切に行う、請求項31の受信機ユニット。
【請求項35】
端末に対する初期の所在地推定値を取得するための手段;
1若しくはそれより多くの所在地決定システムから測定値のセットを取得すための手段;及び
端末に対する修正された所在地推定値を取得するために測定値のセットを用いて初期の所在地推定値を更新するための手段、
を具備する、ワイアレス通信システム中にあり、そしてワイアレス端末に対する所在地推定値を適切に決定する位置決めサーバ。
【請求項36】
システムの第1の構成要素中の端末に対する初期の所在地推定値を取得するための手段:
システムの第2の構成要素へ初期の所在地推定値を通信するための手段;
少なくとも1の所在地決定システムから測定値のセットを取得するための手段;及び
システムの第2の構成要素中の測定値のセットを用いて初期の所在地推定値を更新するための手段、
を具備する、2つの構成要素を具備する位置決定システム。
【請求項37】
初期の所在地推定値は、ネットワークによって決定される、請求項36の方法。
【請求項38】
初期の所在地推定値は、端末により測定値のセットを用いて更新される、請求項36の方法。
【請求項1】
端末に対する初期の所在地推定値を取得すること;
1若しくはそれより多くの所在地決定システムから測定値のセットを取得すること;及び
端末に対する修正された所在地推定値を取得するために測定値のセットを用いて初期の所在地推定値を更新すること;
を具備する、ワイアレス端末に対する所在地推定値を決定する方法。
【請求項2】
測定値のセットは、測定値の部分セットである、請求項1の方法。
【請求項3】
測定値のセットは、測定値の完全なセットである、請求項1の方法。
【請求項4】
初期の所在地推定値は、セルID解に基づいて取得される、請求項1の方法。
【請求項5】
初期の所在地推定値は、拡張セルID解に基づいて取得される、請求項1の方法。
【請求項6】
更新することは:
初期の所在地推定値及び測定値のセットに基づいて測定値ベクトルを導き出すこと、
測定値のセットに対する観測行列を作成すること、
測定値ベクトル及び観測行列に基づいて補正ベクトルを導き出すこと、及び
補正ベクトルを用いて初期の所在地推定値を更新すること、
を含む、請求項1の方法。
【請求項7】
測定値ベクトルを導き出すことは:
測定値のセット中の対応する測定値に基づいて各送信機への擬似距離を決定すること、
各送信機への初期の所在地推定値から擬似距離を算出すること、及び
各送信機に対する擬似距離残差を決定すること、そしてここで、測定値ベクトルは、その測定値が測定値のセット中にある送信機に対する擬似距離残差を含む、
を含む、請求項6の方法。
【請求項8】
更新することは、最大尤推定技術を使用することを含む、請求項1の方法。
【請求項9】
初期の所在地推定値及び測定値のセットに対する加重を決定することを具備する、ここで、更新することは加重を使用して実行される、請求項1の方法。
【請求項10】
1若しくはそれより多くの距離は、修正された所在地推定値に対して制約される、請求項1の方法。
【請求項11】
縦方向の距離は、修正された所在地推定値に対して制約される、請求項10の方法。
【請求項12】
測定値のセットは、衛星所在地決定システム(SPS)から受信された信号に基づいて取得される、請求項1の方法。
【請求項13】
測定値のセットは、ワイアレス通信システムから受信された信号に基づいて取得される、請求項1の方法。
【請求項14】
測定値のセットは、衛星所在地決定システム(SPS)及びワイアレス通信システムの少なくとも1つから受信された信号に基づいて取得される、請求項1の方法。
【請求項15】
測定値のセットは、少なくとも1の所在地の線(LOP)を含む、請求項1の方法。
【請求項16】
端末に対する初期の所在地推定値を取得すること;
複数の送信機に対する測定値のセットを取得すること、ここで、各送信機は、人工衛星又は基地局のいずれかである;
測定値のセットに基づいて測定値ベクトルを導き出すこと;
測定値のセットに対する観測行列を作成すること;
測定値ベクトル及び観測行列に基づいて補正ベクトルを導き出すこと;及び
端末に対する修正された所在地推定値を取得するために補正ベクトルを用いて初期の所在地推定値を更新すること;
を具備する、ワイアレス端末に対する所在地推定値を決定する方法。
【請求項17】
測定値のセットは、測定値の部分セットである、請求項16の方法。
【請求項18】
測定値のセットは、測定値の完全なセットである、請求項16の方法。
【請求項19】
測定値ベクトルは、初期の所在地推定値を含む、請求項16の方法。
【請求項20】
観測行列は、初期の所在地推定値を含む、請求項16の方法。
【請求項21】
初期の所在地推定値に対する加重を決定することを具備する、ここで、更新することは加重を使用して実行される、請求項16の方法。
【請求項22】
測定値の部分セットに対する加重を決定することをさらに具備する、ここで、更新することは加重を使用して実行される、請求項17の方法。
【請求項23】
初期の所在地推定値及び測定値の部分セットに対する加重を決定することをさらに具備する、ここで、更新することは加重を使用して実行される、請求項17の方法。
【請求項24】
初期の所在地推定値は、セルID解又は拡張セルID解に基づいて取得される、請求項16の方法。
【請求項25】
初期の所在地推定値は、観測行列に対する方程式を作成するために使用される、請求項16の方法。
【請求項26】
初期の所在地推定値の不確定性は、観測行列に対する加重を作成するために使用される、請求項25の方法。
【請求項27】
所在地推定値に対する状態ドメイン情報を取得すること;
端末に対する測定値ドメイン情報を取得すること、ここで、測定値ドメイン情報は端末に対する独立した所在地推定値を導き出すために不十分である;及び
端末に対する所在地推定値を取得するために状態ドメイン情報及び測定値ドメイン情報を統合すること;
を具備する、ワイアレス端末に対する所在地推定値を決定する方法。
【請求項28】
端末に対する初期の所在地推定値を取得するためのコード;
1若しくはそれより多くの所在地決定システムから測定値のセットを取得するためのコード;
端末に対する修正された所在地推定値を取得するために測定値のセットを用いて初期の所在地推定値を更新するためのコード;及び
コードを記憶するためのコンピュータ使用可能な媒体、
を具備する、ワイアレス端末に対する所在地推定値を決定するためのコンピュータ・プログラム製品。
【請求項29】
ワイアレス端末に対する初期の所在地推定値を取得するための手段;
1若しくはそれより多くの所在地決定システムから測定値のセットを取得するための手段;及び
端末に対する修正された所在地推定値を取得するために測定値のセットを用いて初期の所在地推定値を更新するための手段、
を具備する、ディジタル・シグナル・プロセッサ。
【請求項30】
更新するための手段は:
初期の所在地推定値及び測定値のセットに基づいて測定値ベクトルを導き出すための手段;
測定値のセットに対する観測行列を作成するための手段;
測定値ベクトル及び観測行列に基づいて補正ベクトルを導き出すための手段;及び
補正ベクトルを用いて初期の所在地推定値を更新するための手段、
を含む、請求項29のディジタル・シグナル・プロセッサ。
【請求項31】
第1の所在地決定システムに対するデータを与えるために適切に受信し、受信された信号を処理するための第1の受信機;
第2の所在地決定システムに対するデータを与えるために適切に受信し、受信された信号を処理するための第2の受信機;及び
第1及び第2の受信機に接続され、
受信機ユニットに対する初期の所在地推定値を取得する、
第1又は第2の所在地決定システム、若しくは両方から測定値のセットを取得する、及び
受信機ユニットに対する修正された所在地推定値を取得するために測定値のセットを用いて初期の所在地推定値を更新する、
を適切に行う処理ユニット、
を具備する、ワイアレス通信システムにおける受信機ユニット。
【請求項32】
第1の受信機は、SPS衛星からの信号を適切に処理する、請求項31の受信機ユニット。
【請求項33】
第2の受信機は、ワイアレス通信システム中の基地局からの信号を適切に処理する、請求項31の受信機ユニット。
【請求項34】
プロセッサは:
初期の所在地推定値及び測定値のセットに基づいて測定値ベクトルを導き出す;
測定値のセットに対する観測行列を作成する;
測定値ベクトル及び観測行列に基づいて補正ベクトルを導き出す;及び
補正ベクトルを用いて初期の所在地推定値を更新する、
をさらに適切に行う、請求項31の受信機ユニット。
【請求項35】
端末に対する初期の所在地推定値を取得するための手段;
1若しくはそれより多くの所在地決定システムから測定値のセットを取得すための手段;及び
端末に対する修正された所在地推定値を取得するために測定値のセットを用いて初期の所在地推定値を更新するための手段、
を具備する、ワイアレス通信システム中にあり、そしてワイアレス端末に対する所在地推定値を適切に決定する位置決めサーバ。
【請求項36】
システムの第1の構成要素中の端末に対する初期の所在地推定値を取得するための手段:
システムの第2の構成要素へ初期の所在地推定値を通信するための手段;
少なくとも1の所在地決定システムから測定値のセットを取得するための手段;及び
システムの第2の構成要素中の測定値のセットを用いて初期の所在地推定値を更新するための手段、
を具備する、2つの構成要素を具備する位置決定システム。
【請求項37】
初期の所在地推定値は、ネットワークによって決定される、請求項36の方法。
【請求項38】
初期の所在地推定値は、端末により測定値のセットを用いて更新される、請求項36の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−163564(P2012−163564A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−23297(P2012−23297)
【出願日】平成24年2月6日(2012.2.6)
【分割の表示】特願2005−501476(P2005−501476)の分割
【原出願日】平成15年10月17日(2003.10.17)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−23297(P2012−23297)
【出願日】平成24年2月6日(2012.2.6)
【分割の表示】特願2005−501476(P2005−501476)の分割
【原出願日】平成15年10月17日(2003.10.17)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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