説明

無線充電用の線型電池

本発明は、線型電池に無線充電用のコイルを付加して構成された無線充電用の線型電池に関し、無線で充電できる線型電池を提供することにより、既存の有線充電方式に比べて非常に便利に電池の充電を行うことができ、電池の形状により予想される充電時の問題点を解決することで充電効率を向上させることができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線充電方式を適用した線型電池に関し、より詳細には、線型電池にコイルを挿入して無線充電が可能となるようにした電池に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯用の電子機器は、ナノ技術とMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術の開発に伴い、益々小型化するとともに多機能性を有する形態に進歩されている。これに、線型電池は電子機器の収納空間の活用と電池自体の小さな体積を通して電子機器の変遷に応えることができるため、これらの主電源若しくは補助電源として注目されている。特に、小型の線型電池は体に着用可能な形態に製作することにより、未来の着るコンピュータに対応できる電源システムとしてその役割が期待されている。
【0003】
線型電池は、断面の直径に対する長さの比がかなり大きい電池のことをいい、通常の常用電池の形態(角形、コイン形又は円筒形の電池)とは大きさと外形において区別され、構成要素(電極、電解質、集電体)の断面形状によって区分され得る(図1のa及びb参照)。
【0004】
このような線型電池は電池の体積に比べて表面積の非常に大きい電極及び集電体素子から構成されることにより、電子の円滑な流れが既存の常用電池に比べて相対的に困難になる。
【0005】
断面積に比べて長さの比率が非常に大きい電池において、既存の有線充電方式をそのまま適用する場合、電池内部にある電極全般にわたって充電されるよりは、上記の現象により外部導線と集電体(或は電極)の接触部位に局限して充電されることがある。また、電流密度の高い高速充電の際には、抵抗の影響が相対的に大きく作用することにより、その充電効率は更に低くなる。
【0006】
一方、従来電池の充電方式として使われてきた有線充電方式に対応して、最近、無線充電が可能なシステムが紹介されており、ここにはマイクロ波を利用する方法と電磁気誘導方法とがある。
【0007】
マイクロ波を利用する方法は、空中線で伝搬されてきたマイクロ波の電力をアンテナを介して受信し、ダイオード及びフィルタから構成された整流回路を通して直流電流に変換させることで電池を充電させる方法であり、電磁気誘導方法は、電流が流れると磁場が発生し、この磁場がまた新しい電流を発生させる原理を利用した方法である。パッドの電源を入れるとパッド内部の1次コイルで磁場が発生し、この磁場は携帯電話など電子機器の電力受信部にある2次コイルの誘導電流を発生させ、この電流が電子機器の内部若しくは外部のバッテリを充電させるのである。
【0008】
このような無線充電方式は、電池の長さがいくら長くても共鳴及び電磁気を誘導することができる媒体(コイル)を電池の内部に挿入することで充電を可能とさせるだけでなく、特に、電磁気誘導方式においては、既存の常用電池に比べて体積が減少することにより相対的に低い外部磁場から電池内部の電流を誘導することができる長所を有する。
【0009】
また、線型電池を応用するにあって、2つ以上の線型電池を複合的に利用できるという長所を有するため、このような線型電池に無線充電方式を導入することにより、電池それぞれを個別に有線充電させる方式に比べて非常に便利でかつ簡単に電池を充電することができるようになる。これまでこのような無線充電方式を適用して線型電池を製造し、これを活用した事例は報告されていない実情である。
【0010】
本発明者らは電子機器の収納空間の活用と電池自体の小さな体積を通して電子機器の変遷に応えることができる線型電子の長所を極大化する一方、有線充電の際に発生し得る短所を克服するために鋭意研究した結果、本発明に至るようになった。
【0011】
従って、本発明の目的は無線充電方式が可能となるように構成された線形電池を提供することにある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このような本発明の目的は、線型電池の内部に媒体(コイル)を挿入して無線充電が可能となるようにすることで、常用電池に比べて体積を減少させると同時に、相対的に低い外部磁場から電池内部に電流を誘導することができるようにすることで達成される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、内部集電体、負極または正極の内部電極、電解質、正極または負極の外部電極、外部集電体及び被覆材から構成された線形電池において、線型内部集電体を中心に前記要素が順にコーティングされて構成され、前記外部集電体と被覆材との間に無線充電用コイルが更に巻線されてなる単一芯型の無線充電用の線型電池を提供する。
【0014】
また、本発明は、線型集電体上に個別にコーティングされて形成された多数個の線型負極及び正極が電解質の内部に挿入され、無線充電用コイルが電解質の外部にコーティングされて形成された多重芯型の無線充電用の線型電池を提供する。
【0015】
また、本発明は、上記のような多重芯型の線型電池において、無線充電用コイルが電解質の外殻に挿入されて形成された多重芯型の無線充電用の線型電池を提供する。
【0016】
また、本発明は、内部集電体、負極、電解質、正極、外部集電体及び無線充電用コイルが順に積層され、外部を被覆材で被覆して形成された無線充電用の線型電池を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、無線充電方式を線型電池の充電に利用することにより、既存の有線充電方式に比べて非常に便利に電池の充電を行うことができ、線型電池の形状によって生じる局部的な充電の問題点を、電池内部に誘導コイルが挿入される電池構造を提供することにより解決することができる。また、このような線型電池は小型電池機器及び着るコンピュータ等の未来電子事業の電源部としてその応用可能性が高いため、電池産業上とても有用な発明である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る無線充電用の線型電池の形状を概略的に示す図であって、a)とb)は断面の形状に応じて円形断面と角形断面を例示する図である。
【図2】aは本発明に係る無線充電用の線型電池であって、単一芯型の線型電池の構成を概略的に示す図で、bは本発明に係る無線充電用の線型電池であって、多重芯型の線型電池の構成を概略的に示す図である。
【図3】本発明に係る断面が角形である線型電池の構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下で、本発明の無線充電用の線型電池の細部的な構造を図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
本発明の無線充電用の線型電池は断面の形に応じて円形断面(図1のa)及び角形断面(図1のb)の形態になされることができる。
【0021】
円形断面の形態を有する電池は更に細部的に単一芯型(図2のa)と多重芯型(図2のb)に分類することができる。
【0022】
図2のaに示すような単一芯型の線型電池10は、内部集電体11を中心に、負極または正極の内部電極12、電解質13、正極または負極の外部電極14及び外部集電体15が順に被覆またはコーティングされて構成されてもよい。
【0023】
このように構成された単一芯型の線型電池10を無線充電が可能となるようにするため、最外殻に被覆材17を被覆する前に、外部から印加される電磁場及びマイクロ波の共鳴を誘導してそれぞれの環境で電力を生産することのできる機能をするコイル16を巻線する。
【0024】
このような電池の構成は電池の用途または特性を考慮して正極及び負極の位置を変えて構成することができる。
【0025】
内部または外部電極(負極または正極)としては、活物質を粉末形態に製造してバインダーとともに集電体に接着させて製造したものを使ったり、物理化学的な薄膜製造工程を介して製作して薄膜に製造された電極薄膜を使ったりすることができる。
【0026】
コイルの材料は電気伝導度が高い物質を利用することが好ましく、Cu(銅)、Al(アルミニウム)、Ti(チタニウム)、Au(金)、Pt(白金)、Ag(銀)またはこれらの合金、または超伝導体物質、たとえば、MgB、REBaCu7−δ(ここで、RE=Y、Nd、Gd又はSMのような希土類元素である)から構成された群から選択されるものが代表的に使用されてもよい。また、電池の外殻に挿入されるコイルの形状は、単純線型タイプ、ソレノイド型タイプ、板状型タイプが可能である。
【0027】
図2のbに示すような多重芯型の線型電池20は、それぞれ線型集電体21上に負極22及び正極23を被覆またはコーティングして線形態に2つ以上の個別電極を製造し、これらを電池内部の電解質24に挿入した形態に構成してもよい。
【0028】
前記個別電極は負極22及び正極23を集電体21上に前記電極製造方法を利用して形成させることができ、電解質24の基地内にそれぞれ芯の形態に挿入される。
【0029】
次いで、無線充電のために追加されるコイル25は図に示すように電解質24の基地の外殻に挿入される。
【0030】
図3は、本発明における角形断面を有する無線充電用の線型電池30の一実施形態を示すもので、内部には集電体31、負極32、電解質33、正極34、集電体31、無線充電用コイル35が順に積層されており、外部を被覆材36で被覆した形態に構成されている。また、正極及び負極の配列は電池の特性に応じて変更されてもよい。
【0031】
電極は上記で例示した製造方法と同一に製造することができるが、電極の支持台として断面が板状型である支持台を利用して製造することもできる。角形断面を有する電池の場合、コイルは電極の上部または下部に挿入されることが好ましく、場合によって電池の最外殻を取り囲む構造に製造されてもよい。
【0032】
上記で提示した形態は単位線型電池の構造に関し、用途に応じてこれらを2つ以上に組み合わせて使用することもできる。
【0033】
線型電池を磁場が変化するパッドの上に一直線または螺旋型に置くと充電用コイルに誘起電圧が発生する。この電圧をダイオード整流器などの充電回路を介して線型電池の負極と正極に接続すると電流が流れて充電するようになる。従って、一定時間の間、線型電池を磁場が変化するパッドの上に置いておくと電池は満充電する。
【図1a)】

【図1b)】

【図2a)】

【図2b)】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部集電体、負極または正極の内部電極、電解質、正極または負極の外部電極、外部集電体及び被覆材から構成された線形電池において、
線型内部集電体を中心に前記要素が順にコーティングされて構成され、前記外部集電体と被覆材との間に無線充電用コイルが更に巻線されてなる単一芯型の無線充電用の線型電池。
【請求項2】
内部集電体、正極、電解質、負極、外部集電体及び被覆材から構成された線形電池において、
線型集電体上に個別にコーティングされて形成された多数個の線型負極及び正極が電解質の内部に挿入され、無線充電用コイルが電解質の外部にコーティングされて形成された多重芯型の無線充電用の線型電池。
【請求項3】
前記無線充電用コイルが電解質の外殻に挿入されて形成されたものであることを特徴とする請求項2に記載の無線充電用の線型電池。
【請求項4】
内部集電体、負極、電解質、正極、外部集電体及びコイルが順に積層され、外部を被覆材で被覆して形成されたものであることを特徴とする無線充電用の線型電池。
【請求項5】
前記コイルがCu、Al、Ti、Au、Pt、Agまたはこれらの合金、またはMgB、REBaCu7−δ(ここで、RE=Y、Nd、Gd又はSMのような希土類元素である)から構成された群から選択される材料で製造されたものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の無線充電用の線型電池。

【図3】
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【公表番号】特表2010−534389(P2010−534389A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516911(P2010−516911)
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【国際出願番号】PCT/KR2008/001830
【国際公開番号】WO2009/014299
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(506415241)インダストリー−アカデミック コーオペレーション ファンデーション キョンサン ナショナル ユニバーシティ (8)
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRY−ACADEMIC COOPERATION FOUNDATION GYEONGSANG NATIONAL UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】900,Gajwa−dong, Jinju−si, Gyeongsangnam−do 660−701, Republic of Korea
【Fターム(参考)】