無線周波モーション・トラッキング・システムと方法
無線周波数(RF)モーション・キャプチャ・システムは、静止センサ受信器と、キャプチャ域内で追跡すべき1つ以上の物体上の1個以上の送信器マーカー・タグと、少なくとも1つの静止基準タグ送信器と、受信信号を処理する処理システムとを含む。個々のタグはスペクトル拡散RF信号のバーストを送信する。送信信号は共通の同期コードと、各タグに固有のタグ識別コードを含む。擬似範囲の2重差を計算することにより、時間項がキャンセルされて、センサとタグとの間でクロックを同期する必要性なしに、キャプチャ域を移動するに従って処理システムが各タグの位置を正確に決定可能となる。本システムはRF整合移動に使用可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモーション・キャプチャの分野に関係する。特に、本発明は無線周波(RF)モーション・キャプチャ・システムと方法の分野に関係する。
【背景技術】
【0002】
モーション・キャプチャまたはモーション・トラッキングという用語は、物体または複数の物体上の1つ以上の物体または位置をトラック(追跡)し、空間を移動するときの物体の位置を量子化し記録することを指す。空間は1次元、2次元、または一般的には、3次元空間である。歩行解析のような多数の応用例で、物体上の多数の点を追跡して、関節や肢のような物体の構成部分の線形及び回転運動を有効に追跡、量子化、記録する。モーション・キャプチャは実際の演技をディジタル演技に翻訳可能とする。モーション・キャプチャは、スタントの人間のような人の多数の点や、演技者が携帯している物または演技者と関連している何らかの物体を追跡することが望ましい、エンタテイメント業界で益々重要になって来ている。人間の肢や関連物体の動きがディジタル的にキャプチャされると、移動データを使用して異なる環境で人間にディジタル的に重ね合わせたり、または異なる演技者やこれらの同様な動きを実行する生き物のような異なるキャラクタにディジタル的に再作成可能である。生成したディジタル作成画像は動画、ビデオゲーム、仮想現実システム、及び同様な応用例に使用可能である。スポーツでは、人体と付属器官の動きを正確に追跡することは、例えばある人のゴルフのスィングを解析し修正するために使用可能である。
【0003】
多数の従来技術のモーション・トラッキング技術が存在する。モーション・キャプチャに従来使用された原理技術は光学、電磁気、電子機械システムである。いくつかのRFシステムも提案され使用されている。地球測地システム(GPS)とその衛星のアレイを基にしたシステムも貨物コンテナのような地球上の物体の位置を追跡するために使用可能であるが、GPSベースのシステムは、モーション・キャプチャ・システムが通常使用される応用例にとっては相対的に遅く、不正確で、扱いにくく、高価である。
【0004】
(光学モーション・キャプチャ・システム)
光学モーション・キャプチャ・システムは演技者の衣服に接着または縫い付けた反射パッチと演技者を照らす光線を一般的に使用する。光学カメラがパッチからの反射を記録し、処理システムがカメラにより記録された画像を処理して演技者が画面を移動する間のパッチの位置を決定する。光学モーション・キャプチャ・システムの例はアバター・アニメーションのウェーブレット・ベースの顔面モーション・キャプチャという題名の米国特許第6,580,511号と、複数物体トラッキング・システムという題名の米国特許第6,567,116号を含む。前者の特許は機能検出と追にトラッキングにウェーブレット変換を含む。光学モーション・トラッキング・システムは視界内操作に限定される。特定のパッチが演技者の動きにより視界から隠され、再度視界にパッチが現れると、操作員は手動により再現したパッチをシステムに通常識別しなければならない。
【0005】
(電磁トラッカー)
電磁トラッカーは、タグがキャプチャ域に電磁場を生成する、または誘起された電磁場中に擾乱を誘起する原理で一般的に動作する。磁場モーション・キャプチャ・システムの例は、コード分割複数アクセスを使用した分散磁場位置決めシステムという題名の米国特許第6,549,004号と、歪補償付き電磁位置及び方向トラッキングの方法と装置という題名の米国特許第6,400,139号を含む。前者の特許はコード分割複数アクセス(CDMA)を使用してビーコン間を識別し、称するところでは、より大きなキャプチャ域と干渉の減少を可能とする。
【0006】
(電子機械装置とスーツ)
電子機械装置とスーツは電位計のような電子機械センサを通常使用して関節の回転のような移動をキャプチャする。センサは電線により処理システムに接続されるか、またはセンサの出力は無線接続を介して送信可能である。電子機械スーツは仮想現実シミュレーション・システムで広範囲に使用されていた。電子機械モーション・トラッキング・システムの例は位相学動き測定ツールという題名の米国特許第6,563,107号と、実時間コンピュータ・アニメーションと仮想現実応用のデータスーツという題名の米国特許第6,070,269号を含む。電子機械システムはしばしば大掛かりで目立つものであり、独立した物体の相対運動を追跡するには必ずしも適合していない。
【0007】
(無線周波システム)
いくつかの無線周波数(RF)システムも提案されている。米国特許第6,204,813号は多数の物体の識別及び位置データを決定する無線周波位置決めシステムを記載していると称している。このシステムは、少なくとも1つの送受信器が多数の物体の各々に配置されている複数個のスペクトル拡散無線送受信器を含む。少なくとも3台のスペクトル拡散無線送受信器が複数個の無線送受信器から信号を送受信する。スペクトル拡散無線送受信器に信号プロセッサが結合されて物体の識別及び位置データを決定する。
【0008】
米国特許第5,583,517号は耐マルチパス周波数ホップスペクトル拡散移動位置システムに向けられている。周波数ホップスペクトル拡散移動車両または人間位置システムは、中央局と、複数個の基地局と、周波数ホップスペクトル拡散差分2位相シフト・キーイング(BPSK)通信信号を使用して通信する複数個の移動送信器から構成される。複数個の基地局の各々は受信ダイポール・アンテナのアレイを含み、雑音のあるマルチパス環境で非常に低電力の周波数ホップスペクトル拡散信号を検索する特殊なアルゴリズムを使用している。基地局は受信ダイポール・アンテナの各々の間の位相差を決定して各基地局の位置に対する送信器の方向を決定する計算アルゴリズムを使用する。各基地局での受信信号の受信角度の複数の方向は到着の最も可能性のある角度を位置決めするn次元曖昧空間を基に補正される。
【0009】
米国特許第5,513,854号はフィールド上の各プレーヤが極小化した無線周波数送信器を担持しているシステムを記述している。少なくとも3台の無線周波角度測定受信器の組が送信器から送信される方向を決定する。ディジタル・プロセッサは三角法を使用して送信器の位置を決定する。
【0010】
米国特許第5,438,321号は地中の鉱夫を追跡する位置決めシステムを記述する。このシステムは中央制御局に接続した多数の識別局を含む。鉱夫はそのヘッドランプに取付けた携帯識別モジュールを交付する。識別モジュールは固有の識別信号を定期間隔で送信し、これは識別局により拾われる。キャップランプを交付する鉱夫は最初にカードから固有の個人識別コードを読取るリーダーに識別カードを通す。このシステムは不明の鉱夫の識別モジュールにより送信される識別コードを受信し表示する方向発見受信機を含む。
【0011】
米国特許第5,056,106号は、携帯受信装置と固定位置基準送信器とを用いて、スペクトル拡散・ベースの無線位置システムを使用し、ゴルフ・コース上のゴルファーと重要位置との間の距離と方向を決定するシステムを記述している。ゴルフ・コースの近傍を通して配置された複数個のタイミング基準送信器は、周期擬似雑音(PN)コード化または同様の列により直接変調された無線周波搬送波から構成されるスペクトル拡散搬送波信号を放送する。各送信器は同一のRF信号で放送するが、固有のPNコード化列が各送信器に割当てられる。ゴルファーには、送信器スペクトル拡散信号を受信し基準送信器の選択された組に対する範囲評価を得るためにスペクトル拡散信号と同期する携帯受信装置が与えられる。
【0012】
米国特許第4,660,039号はスポーツ物体を位置決めするシステムを記述している。ユーザーは無線周波送信器を担持し、スポーツ物体は信号周波数のλ/4の実効長を有する電導ストライプを有しているため、送信器がスポーツ物体に近づくにつれて電導ストライプは送信器への負荷を増大する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は従来技術のシステムに対して各種の利点を与える改良されたRFモーション・トラッキング・システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
ある面では、本発明はモーション・キャプチャ・システムである。この第1の面によると、望ましい実施例で本発明は、キャプチャ域を定義するある区域の周りまたは周辺の既知の位置に配置されたセンサを定義する少なくとも4台の静止無線周波受信器と、基準タグを定義する少なくとも1台の静止周波送信器と、追跡すべき1つ以上の物体に配置したマーカー・タグを定義する多数の無線周波送信器と、を含むことが望ましい。処理システムはセンサにより受信した信号を処理する。信号はスペクトル拡散RF信号である。センサに対する基準タグの位置は直接測定を使用して決定可能であるかまたは直接測定に依存しない各種の可能な較正処理及び技術を用いて決定可能である。キャプチャ域は少なくとも全ての受信器の受信範囲内でなければならない。
センサに対する基準タグの位置が決定されると、センサからのディジタル・サンプルが処理されて各タグと各センサとの間の擬似範囲測定を抽出する。測定は範囲ではなく擬似範囲である、何故なら距離項と共に時間項を含むからである。これらの測定はマーカー・タグと基準タグとの間で差を取られ、生成信号差はセンサ間で差を取られて2重差を形成する。2重差は各測定時に基準タグ位置に対するマーカー・タグ位置を決定する。等価的には、マーカー・タグの各々の位置は既知の数学座標変換を使用して、お互い、センサ位置、または任意の座標系を含む基準のフレーム内の位置に対して決定可能である。基準タグとマーカー・タグからの信号を処理するために使用されるアルゴリズムは時間依存項を落としてしまうため、センサ間、タグ間、またはセンサとタグ間でクロックを同期させる必要性なしにマーカー・タグの位置を非常な高精度で決定可能である。
【0015】
タグにより送信される信号は搬送波周波数に対してコード列変調され、直接シーケンススペクトル拡散技術を使用して拡散される。コード列は、全てのタグに共通の同期コードと、各タグに固有のタグ識別コードとを含む。望ましい実施例では、同期コードは良好な自動相関特性を有する16ビット・ノイマン−ハフマン同期ワードOEED 16進である。タグ識別コードはペア間の相互相関(pairwise cross−correlation)を最小とするように選択される。これらのコードは2進拡張2次残留コード空間(binary extended quadratic residue code space)のランダムに選択されたベクトルである。処理システムはコード位相と搬送波位相決定を使用してタグの位置を波長の一部以内まで解明する。送信器は時間の5%未満で、時間の1%未満で、例示実施例では時間の約0.2%で送信するように、送信機はコードのマイクロバーストを送信する。この小さなデューティサイクルは送信器の電池の消耗を最小化し、また衝突の可能性を減少する。送信レートは秒当たり24及び秒当たり30の両方の整数倍であることが望ましく、特に秒当たり240が望ましい。これは、エンタテイメント業界内で使用されている標準のフレームレートである秒当たり24フレームまたは秒当たり30フレームのどちらかに等しいフレームレートでモーションをキャプチャ可能であることを保証する。
【0016】
処理システムでは、タグ識別コードを表す受信波形は、1と0のビット・ストリームに復調され、検索表から検索されない。代わりに、受信タグ識別コード波形を表すディジタル・サンプルはディジタル信号プロセッサ(DSP)内に実装された相関器を介して処理される。タグ識別コードは受信波形に対して候補タグコード波形を自動相関することにより決定される。
【0017】
本システムはサブミリメータの精度で、対角125メートルまでのキャプチャ域内の5000個までのタグを追跡可能であることをシミュレーションは示している。より一般的には、このことは本システムが少なくとも50メートルの対角線を有するキャプチャ域に対して1cmの精度内で少なくとも100タグの位置を解明可能であることを意味している。これはまた、本システムは少なくとも75メートルのキャプチャ域に対して1cm未満の精度で少なくとも1000送信器の位置を解明可能であることも意味している。
【0018】
他の面では、本発明は柔軟なRFパッチ・タグで、これは、保護カバーまたは層を除去すると、自動的に自身をオンとして送信を開始する。視覚、音声、またはその他のフィードバックを与えて、タグが作動していて送信していることを実証可能である。1実施例では、パッチ送信器は、背面層、接着コーティング、電池層、回路層、アンテナ層、及び保護層を含むいくつかの薄層を有する小さな丸い柔軟なパッチである。本装置は接着層を覆う紙またはフィルム層によりカバーされ、紙層の除去により電源接点が閉鎖して装置を作動させるようにしてもよい。同時に、紙層の除去により接着剤が露出されてタグは追跡すべき物体に直接接着可能となる。パッチ・タグは人間の皮膚または衣服上の多数の位置に接着できるよう十分小さく、これにより人間の実質的に完全な動きを可能とする。
【0019】
本発明のモーション・キャプチャ・システムは、基準フレーム内の物体の位置を知ることが望ましい任意の応用例と、特に物体または多数の別々な物体上の多数の迅速に移動する点の位置を知りたい応用例で利用可能である。
【0020】
他の面では、本発明は、動画カメラの移動を追跡し、カメラの追跡位置と姿勢に従って記録した移動画像上で後処理を実施するよう記述したRFモーション・キャプチャ・システムを利用する整合移動システムである。本発明のこの観点では、携帯動画カメラのような動画カメラ上に少なくとも3個のマーカー・タグが配置される。マーカー・タグは、3個のタグの位置がカメラの空間位置と共にそのピッチ、ヨー、及びロール角を完全に決定するようにカメラ上の非同一平面位置に配置される。カメラ操作員により手動で担持されるようにして、カメラが移動している間にカメラは画面を記録する。カメラの正確な位置と姿勢がRFモーション・トラッキング・システムにより正確に記録されるため、生成した画像を以後に後処理して多数の所要効果を達成可能である。
【0021】
1例では、記録画面を後処理して、ディジタル・コンピュータ生成画像(CG)イメージを画面に挿入可能である。カメラが画面で水平にまたは垂直にパンし、前後に移動し、回転し、ピッチし、またはその他任意の移動を実行すると、カメラの移動に整合するようCGイメージを変更可能である。CG画像の外観は、カメラが移動すると画面に物理的に存在する画像が変化するように望みどおりに正確に変化する。この結果、ある種の従来技術システムで必要であったようなCG画像の手動相関と処理を実質的に減少しつつ動画内の現実的なCG画像が生成される。他の例では、整合移動システムは記録した画像を後処理してカメラのジッタを除去すること、すなわち記録画像からカメラの小さな移動の効果を除去して、画面のフィルム上を介しては、多分移動しているが、観客からはカメラが固定されているように見せることが可能となる。
【0022】
本システムはある応用例で、かつ大部分の意図した応用例で使用されるGPS、慣性センサ、電子機械センサのようなその他の位置決定技術と理論的に組合わせ可能であるが、本システムはその他の位置決定方法なしでも動作可能である。
【0023】
本発明の例示実施例を、同一番号は同一部品を参照している、図面を参照して以下に記載する。
【実施例1】
【0024】
図1を参照すると、本発明の第1面による無線周波(RF)位置トラッキング・システム40は3つのサブシステム:能動RFタグまたは単にタグ、受動センサ42、処理装置または単にプロセッサ60、から構成される。システム40は2つの異なる型式のタグ:1個以上の基準タグ50と1個以上のマーカー・タグ52、を使用する。基準タグ50とマーカー・タグ52は構造が同一でもよい。これらは主にその配置と使用法が異なる。望ましい実施例では、図面に図示した人間や、人間により担持されている銃や剣のような何らかの付属物56のような追跡すべき物体54上に複数個のマーカー・タグ52が配置されている。人間のような多数の構成部品と可能な運動を有する物体に対しては、個々のマーカー・タグ52の追跡移動が物体の各種移動の完全なまたは殆ど完全な記録を生成するように、多数のマーカー・タグ52を人間の各肢や関節に配置することが望ましい。複数物体にタグを取り付け追跡可能である。例えば、剣闘に係わる2人の人間を追跡し、生成したディジタル演技を記憶し、以後2人の異星生物間の剣闘技に変換可能である。物体と基準タグは、センサ42により取囲まれた区域内の、モーション・キャプチャ域、または単にキャプチャ域内に配置される。キャプチャ域は一般にはセンサ42により取囲まれる区域内にあるが、キャプチャ域とセンサ42間にはバッファ域があってもよいので、必ずしも完全には占有しない。マーカー・タグ52と基準タグ50は、直接シーケンススペクトル拡散信号が望ましいRF信号を送信する。信号センサ42はタグにより送信されるRF信号を受信する受信器である。
【0025】
各マーカー・タグ52と基準タグ50からの信号は固有にコード化されて個々のタグを識別する。キャプチャ域の周辺には最小で4個のセンサ42が配置される。センサ42は受信信号帯をディジタル化(サンプルし量子化)する。センサ42からのディジタル・サンプルを処理して各タグ50または52と各センサ42との間の擬似範囲測定を抽出する。測定は範囲ではなく擬似範囲である、何故ならこれは時間項を含むからである。これらの擬似範囲測定はマーカー・タグ52と基準タグ50との間で差を取られ、生成した信号差をセンサ間で差を取って2重差を形成する。2重差を処理して基準タグ50位置に対して各測定時間でマーカー・タグ52位置を決定する。この未加工の位置情報を各マーカー・タグ52に対して出力する。
【0026】
図2は、追跡すべき物体が動画カメラ57である本発明の1つの特殊化した応用例を図示する。カメラ57にはこれに取り付けたまたはその他の場合これと関係する複数個のマーカー・タグ52を有する。カメラ57は、カメラの移動がカメラ上の少なくとも1点のx、y、z位置と共にそのピッチ、ロール、ヨーを含んで完全にキャプチャ可能となるように、少なくとも3個のマーカー・タグが非線形及び非平面空間関係に取り付けられることが望ましい。本応用例では本システムは整合移動システムの一部として使用される。整合移動システムはコンピュータ生成物体の発生またはカメラ・ジッタの除去に使用可能である。
【0027】
(処理アルゴリズム)
以下の説明では、本明細書の特定の図面を参照することなく数式展開をする都合上、名称Aは任意のマーカー・タグ52、名称Rは基準タグ50、及び名称iは任意のセンサ42を参照する。
【0028】
2重差測定はセンサの各々に対するマーカー・タグAと基準タグRからの擬似範囲測定を使用して形成される。n番目の測定時間で、基準タグRはクロックTR(n)で(0、0、0)に位置し、マーカー・タグAはクロックTA(n)でrA(n)=[rAx(n)、rAy(n)、rAz(n)]Tに位置する。複数センサがAとRからRF信号を受信する。センサiは既知の位置Si=[siX、siY、siZ]Tに位置し、クロックTi(n)に対し静止している。センサiでのマーカーAと基準タグRの擬似範囲(PR)の測定式は
ここで
【0029】
マーカー・タグAと基準タグR擬似範囲測定との間の単一差はセンサの時間項(sensor clock term)を除去する。
【0030】
センサiとjとの間の2重差はタグ関連の時間項(tag related clocks terms)を除去する。
【0031】
左側のマーカー・タグA位置に独立な項を組合わせると:
【0032】
3個の未知数は時間nでのマーカー・タグAの位置座標、rAX(n)、rAY(n)、rAZ(n)である。4個のセンサ42からの測定が、これらの3個の未知数の3つの独立な式を得るために必要な3つの独立な2重差を形成するのに必要である。生成した式はマーカー・タグA座標に対して直接解くことが可能である。または、式を近似解法により線形化し、生成線形式をマーカー・タグA座標に対して解くことも可能である。直接解法も線形化の近似解法として使用可能である。
【0033】
4個のセンサからの単一差測定を与えると、直接解法は以下のように計算可能である、ここでs0、s1、s2及びs3は基準タグRに対する4個のセンサの位置ベクトル、δPR01AR、δPR02AR、及びδPR03ARは3個のスカラ2重差である。
【0034】
M≧3の(M+1)センサに対しては、基準タグに対するマーカー・タグA位置の一般化最小2乗解法は以下で与えられる:
rA(n)=r0(n)+δrA
ここで
r0(n)はマーカー・タグA位置ベクトルの近似解
精度を改善するため、これらの式は以下に従って繰り返し可能である:
1.初期マーカーA評価位置ベクトルr0(n)、センサ位置ベクトルsi、及び2重差を与えて、δPRijARを計算。
2.測定ベクトルδZを計算。
3.線形化観察マトリクスHnを計算。
4.誤差状態ベクトルδrを計算。
5.マーカー・タグA評価位置ベクトルrA(n)を更新。
6.更新した位置ベクトルを新たな評価位置ベクトルとして使用し、計算した誤差状態ベクトルが十分小さくなるまで段階2からを繰返す。
誤差状態評価の共分散は以下により与えられる。
【0035】
個々の測定誤差は分散σM2でi.i.d.(独立に一様分布)であると仮定すると、誤差共分散マトリクスは:
で与えられ、ここで
【0036】
センサ・タグ配置の効果は精度の位置希薄化、PDOPで、これは以下のように計算される
PDOPは垂直及び水平成分に分解可能である
PDOP2=HDOP2+VDOP2
【0037】
図3の例示4センサ配列に図示するように、システムは少なくとも4個のセンサ42を使用することが望ましい。図4に示す例示8センサ配列のようなより多くのセンサも可能である。一般的に言って、センサ42の数が増加すると、PDOPが低下する。しかしながら、より良い精度を得るために使用するセンサとタグの数は、処理パワーとスループットを含む実用的な観点からバランスしなければならない。
[0001]5個以上のセンサからの擬似範囲測定が利用可能であると、4つの独立な2重差が一致していない時を検出可能である。6個以上のセンサからの擬似範囲測定では、1つの誤った2重差測定を識別可能である。一般に、(M+1)センサで、(M−4)までの誤った測定を識別可能である。誤った測定は、マルチパス、無線屈折率の変動、干渉、及び装置誤差の結果として生じる。Mx1フォールト・ベクトル
は以下で計算される:
【0038】
決定変数
が閾値を越えた場合、M2重差測定は一致していない。Mが5より大きいか等しい場合、(M−4)の誤った測定が、fi2/Siiを最大とする指数iを見出すことにより識別可能である。
(M+1)センサに対する閾値Tは
で与えられ、ここで
σM2は擬似範囲測定分散
PFAは受入れ可能な誤りアラームレート
Q−1(x、n)は
の逆数、誤差検出の確率は
を使用して計算され、ここで
Bは受入れ可能な測定誤差である。
【0039】
基準タグに対してマーカー・タグ位置を決定するため2重差を処理する別のアルゴリズムは拡張カルマン・フィルタである。マーカー・タグの移動は白色雑音加速により駆動されるものとしてモデル化され、システム・モデルは:
x(k)=Φx(k−1)+w(k)
ここで
x(k)=[r(k)T v(k)T a(k)T]T {9x1状態ベクトル}
r(k)はマーカー・タグ位置ベクトル
v(k)はマーカー・タグ速度ベクトル
a(k)はマーカー・タグ加速度ベクトル
ΔTは測定kとk+1との間の間隔(公称0.004167秒)
σAはモデル化した加速度雑音標準偏差(公称2.25m/sec2)
測定モデルは
δz(k)=H(k)δx(k)+v(k)
ここで
σPRは擬似範囲標準偏差(公称コード位相ベースの測定に対して3.5m、搬送波位相ベースの測定に対して0.00025m)
時間更新式は
測定更新式は
【0040】
状態共分散マトリクスPはマーカー・タグの位置の不確定性を基に初期化される。
【0041】
拡張カルマン・フィルタは性能改良のため繰り返し可能である。各繰り返しの開始時に最新の状態評価を使用して誤差測定ベクトルと観察マトリクスを再計算して、3つの測定更新式が繰り返し計算される。
【0042】
無線周波数の広範囲のスペクトルを使用して本節で記述した概念を実装可能である。しかしながら、最も可能な周波数は0.3GHzから300GHzの範囲である。この範囲はUHF(0.3GHz−3GHz)、SHF(3GHz−30GHz)、及びEHF(30GHzから300GHz)帯を含む。擬似範囲測定を得るために本概念は多様な技術により実装可能である。
【0043】
(第1例示システム実施例)
第1例示システム実施例では、タグ50と52は直接列スペクトル拡散・マイクロ波信号バーストを送信する。センサ42は受信した信号帯をダウン変換しアナログ−ディジタル(A/D)サンプルする。センサ42からのディジタル・サンプルを処理してタグ50と52の各々のコード擬似範囲と搬送波擬似範囲測定を抽出する。これらの擬似範囲測定を処理して各サンプリング時のタグ位置を決定する。
【0044】
シミュレーション結果によると、本システムは130mx55mx10mのキャプチャ域で動作することが予見され、区域内のどこでもタグ52の位置をキャプチャ可能である。最小の望ましいセンサ構成は8センサであり、各々がキャプチャ域の各頂点の近傍にある。さらに24個までのセンサをキャプチャ域の周辺に配置して改良された性能を得られる。センサ42は、センサの前面とキャプチャ域との間に約5から15メートルあるようにセンサ42をセットバックする。タグ50と52は、センサに対する最近接点でキャプチャ域に接する面とキャプチャ域の最近接点からセンサのセットバック距離の2倍だけ離れた平行面とにより定義される容積から一般的に除去される。
【0045】
本システムはキャプチャ域中の5000個までのタグで動作し、軸当り4.5m/sまでの速度、軸当り0.45m/s2加速度、軸当り0.45m/s3ジャークのタグ・ダイナミクスの完全な精度を提供するよう設計されている。軸当り45m/s、軸当り4.5m/s2加速度、軸当り4.5m/s3ジャークまでのタグ・ダイナミクスには精度を減少して与える。本システムは、最小4個のセンサに対して妨害されない視野を有するキャプチャ域内で各個々のタグをキャプチャする90%の確率を提供する。
【0046】
シミュレーションによると、本システムはキャプチャ域内に配置した固定基準タグ50の位置に対してX、Y、Z局所レベル座標でマーカー・タグ位置出力を与える。位置レーテンシは0.1秒を越えない。各マーカー・タグ52の位置出力レートは秒当り1、2、3、4、5、6、8、10、12、15、16、20、24、30、40、48、60、80、120及び240から選択可能であることが望ましい。望ましい実施例では、出力レートは、エンタテインメント業界内で一般的に使用されるフレームレートとの都合のよい適合性から、240のような、24と30の両方の整数倍である。出力精度(output accuracy)は限定されたダイナミクスの期間では軸当り1mm1シグマであり、高速ダイナミクスの期間では軸当り10mm1シグマである。出力精度(output precision)は軸当り1mmである。
【0047】
キャプチャ域内に5000タグを有するシステムの全出力データレートはアンフォーマット・データで9Mバイト/秒、バイト境界にフォーマットしたデータでは10.8Mバイト/秒である。各タグの位置データは17ビットのX位置、16ビットのY位置、14ビットのZ位置、及び13ビットのタグIDとしてフォーマット可能である。バイト境界フォーマットによると、出力位置は3バイトのX位置、2バイトのY位置、2バイトのZ位置、及び2バイトのタグIDから構成される。
【0048】
センサ42は67マイクロ秒のタイミング精度でディジタル・サンプルを発生する。これは最小29dB RF入力ダイナミックレンジを有し、そのアンテナは全キャプチャ域をカバーする視野を与える。
【0049】
図5は第1例示システム実施例が動作する周波数帯域を図示する。本実施例は5.725−5.850GHz周波数帯で動作する。この周波数帯60は8個のサブチャネル、AからHに分割される。各動作サブチャネル62、64、66、68、70、72、74、及び76は10MHz幅で5MHz保護帯域61、63、65、67、69、71、73、75及び77により分離される。
【0050】
図6は本実施例の送信パケット構造を図示する。各パケット80は各タグに共通な16ビット同期ワード82を含む。同期ワード82はその自動相関特性から選択される。望ましい実施例では、16ビット・ノイマン−ホフマン同期ワード0EED16進(0000111011101101 2進)が選択され全パケットに使用される。この同期パターンは図7に示すように優秀な自己相関特性を有する。選択した特定の同期ワードの代わりにその他の同期ワードを使用可能である。さらに、全てのタグが同じ同期ワードを送信する必要はないが、同じ同期ワードを使用することは便利性の利点があり、各タグに良好な同期ワードを使用可能である。またさらに、他のビット数を有する同期ワードを選択可能である。
【0051】
パケット80はまた各タグに固有の48ビット・タグIDフィールド84も含む。各タグの固有のタグIDによりシステムは互いを識別し、個々のタグを自動的に追跡可能である。従来技術の光学反射タグでは、タグがカメラの視界から隠され、次いで再び現れた時、システム操作員が手動で処理システムに対してどのタグが再び現れてどの位置であるかを識別する必要がある。各タグに固有のタグIDを放射させることによりこの要件を除去する。タグIDはヒューズのレーザー蒸着によるような各種の技術によりダイにハード的に配線されるか、またはEEPROM、電池バックアップのRAM、FRAM、UVPROM等のような各種の技術を介してプログラム可能である。
【0052】
タグIDは[48、24、12]2進拡張2次残留コード空間で任意のベクトルとして選択される。これは、全てのコード・ベクトルが最小でも12ビット位置異なることを保証する。タグはエンコーダを必要としない、またはタグIDは予め計算されてタグに記憶される。また、タグは予め記憶したパターンとの相互相関により識別されるため、センサはデコーダを必要としない。コード生成多項式は:
ここでQ={1、2、3、4、6、7、8、9、12、14、16、17、18、21、24、25、27、28、32、34、36、37、42}、で、タグIDのLSBは最初の47ビットに加えるLSBのモジューロ2和が0となるように計算される。
【0053】
タグコードはまた書込まれたタグID、バーコード、またはその他のタグ上の人間またはマシン読取り可能なコード化機構によりタグ自体またはタグ・パッケージ上でも識別可能である。例えば、各タグ上のバーコードにより、追跡すべきどの物体のどの部分に各タグが使用されているか、を操作員が処理中に一旦識別することにより処理の一部としてタグが携帯または固定バーコード・リーダにより走査される。タグIDコードを表す走査バーコードもまた、システム操作員に同じタグIDを有する2つのタグが同じキャプチャ域内で同時に使用されていないことを保証可能とする。
【0054】
例示システム実施例の複数アクセス構造はFDMA(周波数分割複数アクセス)とSSMA(スペクトル拡散複数アクセス)の組合せである。タグは8個の異なる周波数チャネル間に均等に分割される。各チャネルの全てのバーストは、良好な自動相関特性と有する同じ640チップ・セグメントの長い擬似雑音(PN)コードを使用して拡散される。パケット間の衝突は、あるチャネルの1バーストの第1チップがセンサで当該チャネルの他のバーストの第1チップと重なり合った場合にのみ発生する。衝突発生の確率はPC=1−e−2τλで、ここでτはチップ持続時間(100nsec)でλはチャネルレート(バースト/秒)である。例えば、1チャネルでλ=120万バースト/秒では、衝突確率はPC=21%である。2チャネルではチャネル当りのバースト/秒はλ=60万に減少し、PC=11%である。4チャネルでは、λ=30万バースト/秒/チャネルで、PC=5.8%である。8チャネルでは、λ=15万バースト/秒/チャネルで、PC=3.1%である。従って、8チャネルでタグ当り秒当り240測定では、タグ当り秒当り平均7.4測定が衝突により失われる。
【0055】
図8は640チップPNセグメントを発生する簡単なシフトレジスタ発生器を図示する。セグメントは最大長帰還多項式x19+x5+x2+xで初期条件0EEDA16進(0001110111011011010 2進数)によるca19段単純シフトレジスタ発生器(SSRG)から発生される。SSRGは19段、5段、2段及び1段のビットを排他ORして1段への入力を発生する。次いでビットは1段左へシフトされる。最左段、19段のビットは出力である。最初の640ビットが使用される。最初の40ビットは7DBA98EEDA 16進である。
【0056】
図9は640ビットPN列の自動相関を図示する。
【0057】
搬送波は、帯域時間積(BT)=0.3で10Mbpsチップ列により変調されたガウス最小シフト・キーイング(GMSK)である。リンク予定値は以下の表1に与えられる:
【0058】
図10はマーカー・タグ52、センサ42、及びプロセッサ62間の機能インターフェースを示すインターフェース機能線図である。各タグ52は5.8GHz RF搬送波上で変調されたデータペットを周期的に放射する。センサ42はタグ52からのパケットを受信し復調し、これを処理してタグID、コード位相及び搬送波位相を抽出する。このデータはセンサ当り秒当り120万測定の速度でプロセッサ62に与えられる。プロセッサは測定を処理して各タグのX、Y及びZ位置座標、全体で秒当り120万位置を決定する。
【0059】
図11は第1システム実施例の第1タグ実施例の機能ブロック線図である。水晶発振器(XO)1112は基準搬送波を発生する。位相/周波数検出器、低域フィルタ(LPF)1116と分割器1120から構成される、位相ロックループ(PLL)を使用して、これをXO基準搬送波にロックすることにより公称1.16GHz電圧制御発信器(VCO)1118の出力を安定化する。安定化したVCO出力は範囲−π/5からπ/5で線形変調器1128により位相変調される。VCO出力は次いでx5周波数乗算器1130へ印加される。乗算器1130出力は帯域フィルタ(BPF)1132によりフィルタされて不要な高調波を除去する。変調信号は、積分器1124で制御器1122出力波形を積分し、次いで帯域−時間積0.3を有するガウス低域フィルタ(GLPF)1126でフィルタすることにより発生される。制御器1122は、共に10Mbps擬似雑音コードにより拡散された同期ヘッダとタグIDから構成されるデータパケットを周期的に発生する。波形はタグ・アンテナ1134で送信される。
【0060】
図12は第1システム実施例の第2タグ実施例の機能ブロック線図である。本実施例では、水晶発信器(XO)1212が基準クロックを発生する。位相/周波数検出器、低域フィルタ(LPF)1216と分割器1220から構成される位相ロックループを使用して、これをXO基準搬送波にロックすることにより公称5.8GHz電圧制御発信器(VCO)1218の出力を安定化する。安定化したVCO出力は範囲−πからπで線形変調器1228により位相変調される。変調器出力は帯域フィルタ(BPF)1230によりフィルタされる。変調信号は、積分器1224で制御器1222出力波形を積分し、次いで帯域−時間積0.3を有するガウス低域フィルタ(GLPF)1226でフィルタすることにより発生される。制御器1222は、共に10Mbps擬似雑音コードにより拡散された同期ヘッダとタグIDから構成されるデータパケットを周期的に発生する。波形はタグ・アンテナ1234で送信される。
【0061】
図13はタグ制御器1112または1222の第1実装の回路概略図である。10MHzタグ・クロック1312はクロック分割器1314により41667によって除算されて240Hzパケット・クロックを発生する。パケット・クロックは、10MHzクロック信号がANDゲート1318を通過することを可能とし、かつ送信器を付勢するイネーブル・ラッチをセットする。パケット送信が完了した後、ゲートされた10MHzクロックをクロック分割器1320で640クロックにより除算して、イネーブル・ラッチをリセットし、送信器を減勢する。
【0062】
ゲートされた10MHzクロックを使用して19段シフトレジスタ1328をシフトする。このシフトレジスタは各パケットの開始時に0EEDA16進(00001110111011011010 2進)に初期化される。1段、2段、5段、及び19段からの出力が排他オア(XOR)ゲート1330に入力される。ゲート出力は次いでシフトレジスタの第1段に入力される。シフトレジスタ出力、19段の出力は出力排他オア(XOR)ゲート1338に印加される。
【0063】
ゲートされた10MHzクロックはクロック分割器1322で10により除算されて1MHzクロックを形成する。このクロックを使用して6段(64による除算)カウンタ1324を駆動する。カウンタ状態の3つのMSBを使用して、パケットデータを含む8x8ROM1334をアドレスする。アドレスされた8ビットROMデータは8対1MUX1332に印加される。カウンタ状態の3つのMSBを使用してMUX出力を選択する。MUX出力はDフリップフロップ1336を介して10MHzゲート化クロックにより再クロックされ、次いで出力排他オア(XOR)ゲート1338に印加される。
【0064】
図14はタグ制御器1122または1222の第2の可能な実装1122’または1222’の回路線図である。10MHzタグ・クロック1412はクロック分割器1414で41667により除算されて240Hzパケット・クロックを発生する。このパケット・クロックは10段(1024による除算)カウンタ1424をリセットする。カウンタ状態NOT640がデコードされて10MHzクロックをゲートするのに使用され、送信器を付勢する。ゲートされた10MHzクロックを使用してカウンタ1424をクロックする。カウンタ状態が640に達すると、ゲート化クロックが減勢され、カウンタ1424を停止し、送信器が減勢される。カウンタ状態の7つのMSBを使用して、640ビットの拡散パケットデータを含む128x8ROM1434をアドレスする。アドレスされた8ビットROMデータは8対1MUX1432に印加される。カウンタ状態の3つのLSBを使用して、制御器出力を与えるMUX出力を選択する。
【0065】
図15はセンサ42の1つの機能ブロック線図である。センサは受信器アンテナ1512を介してタグから5.8GHz信号を受信し、これを帯域フィルタ1514で帯域フィルタして干渉を除去し、増幅器1516により低雑音増幅して受信器雑音下限値を設定する。低雑音増幅信号は次いで帯域フィルタ1518で再度帯域フィルタされて雑音電力を制限し、各々インフェーズ及びクォドレーチャ・フェーズのベースバンド信号1522と1524に変換される。ベースバンド信号は低域フィルタ1536と1538で低域フィルタされ、増幅器1540と1542で増幅され、アナログ・ディジタル変換機1544と1546でサンプルされ量子化される。受信器クロックを構成するアナログ・ディジタル変換器1544と1546の変換クロックは送信器クロックのいずれとも、またその他の受信器クロックのいずれとも同期していないことに注意されたい。ディジタル・インフェーズ及びクォドレーチャ・フェーズ・サンプルは、マルチプレクサ1548で相関器1550のバンクに印加される単一のデータストリームに多重化される。相関器は、ディジタル信号プロセッサ(DSP)1552により最も可能なタグID、コード位相及び搬送波位相に変換されるパラメータを決定する。これらの評価は次いで処理システム62への転送用に100Base−Tイーサネット(登録商標)・インターフェース1554に出力される。
【0066】
図16は受信したタグ信号を処理するプロセッサ62の機能ブロック線図である。各種のセンサ42からの100Base−Tインターフェース1612上のデータは、コード及び搬送波位相を位置評価に変換する、測定プロセッサ1614に入力される。この評価は1000Base−Tギガビット・イーサネット(登録商標)・インターフェース1616を介して出力される。
【0067】
プロセッサ62はセンサ42からのコード及び搬送波擬似範囲測定を使用してサンプリング時間でのタグ位置を決定する。次いで未加工位置情報が出力される。全ての位置は基準タグ50に対してである。もちろん、基準タグ50の位置が既知であると、キャプチャ域内での任意の基準点またはタグに対する位置は既知の座標変換アルゴリズムを使用して計算可能である。コード擬似範囲測定は前述したように処理されて粗い位置評価を与えるコード位相測定を与える。この粗い評価を使用して曖昧探索を制約し、搬送波擬似範囲測定を使用して最終位置評価を得る。すなわち、コード位相決定は位置の粗い評価を与え、搬送波位相決定は粗い評価内での微細位置決定を与える。コード位相と搬送波位相測定はそれ自体当該技術において公知であり文献に記載されている。
コード擬似範囲測定誤差標準偏差は以下で与えられる:
ここでRはコードレート(10Mcps)
Tは測定持続時間(48ビット/1Mbps=48x10−6s)
C/N0は搬送波対雑音密度比(68dB−Hz@閾値)
これはσコード=1,724mm、またはσ2重差=√4xσコード=3,448mmの値を与える。
【0068】
その他のコード擬似範囲位置誤差原因は1mセンサ位置誤差、実行に何らかの形式の軽減化を必要とする1mマルチパス誤差がある。センサ・アンテナ位相中心変動、及び大気屈折を含む、残りの誤差原因は小さい。誤差予定を表2に示す。
【0069】
搬送波擬似範囲測定式は
ここで
NiAは基準時のタグAとセンサiとの間のサイクルの整数
φiAは基準時の部分位相プラス基準時(サイクル)からの累積測定位相変化
λは搬送波波長(メータ/サイクル)
【0070】
2重差は同様にコード擬似範囲測定に対して以下のように形成可能である
ここで
【0071】
δNijARが既知である場合、処理アルゴリズムという名称の節で説明した直接法、最小2乗、拡張カルマン・フィルタ解法、及び関係するPDOP及びフォールト検出及び分離アルゴリズムが適用可能である。整数が未知である場合、2つのエポック間で2重差の差を取ることにより、3重差を形成することで除去可能である。
【0072】
6個の未知数は時間エポックnとn+1でのマーカー・タグA位置ベクトルrA(n)とrA(n+1)である。これらの6未知数で6個の独立な式を得るために必要な6つの独立な3重差を形成するため、これら2つの時間エポックでの7個のセンサからの測定が必要である。これらの式は以前のエポックからまたはコード擬似範囲解法のどちらかから近似解法で線形化可能で、生成線形式をマーカー・タグA座標に対して解く。
【0073】
M≧6の(M+1)センサと、近似解法[r0(n)、r0(n+1)]に対して、一般化した最小2乗解法は:
XA(n)=X0(n)+δXA
ここで
【0074】
最小2乗解法はrank(Hn)=6の場合にのみ存在する。必要条件は、マーカー・タグAがエポックnとn+1の間で移動することである。そうでない場合、観察マトリクスHの最後の3列は最初の3つの負数であり、rank(H)≦3である。単一エポックの間で良好な観察性を与えるようにタグが十分移動することは有りえないため、時間で十分離れた2つのエポックを使用するか、またはδNijARを決定する必要がある。
【0075】
1つのオプションは2重差を使用し2重差整数を評価することである。各2重差は3つのマーカー・タグAの座標とそのサイクルの2重差整数の関数である。従って、(M+1)センサに対してM+3未知数のM式を有する。これは不定問題である。(M+1)センサでLエポックの場合、LxM式でM+3xL未知数を有する。従って、2つのエポック(L=2)で7センサ(M=6)からの測定が必要である。同様に、4エポック(L=4)では、5センサ(M=4)からの測定が必要である。不運なことに、これらのシステム式は3重差システムと同じ観察性問題を有する。エポック間で顕著なタグA移動が必要である。しかしながら、δNijARを評価しているため、連続するエポックは必要なくなる。
【0076】
2つのエポック、nとn+kと、M≧6の(M+1)センサと、近似式による線形化に対して、一般化した最小2乗解法は:
XA(n)=X0(n)+δXA
ここで
【0077】
このアルゴリズムを使用する1つの方式は、マーカー・タグ2重差整数較正(MTDDIC)を実行することである。プロセッサ62はMTDDICモードに置かれる。基準タグ50とマーカー・タグ52がキャプチャ域に配置される。次いで、所定のMTDDICパターンで、または2重差整数に良好な観察性を保証できるコード擬似範囲測定の処理を基にした十分な移動をプロセッサが観察できるまで、マーカー・タグをキャプチャ域内で移動させる。後者の場合、マーカー・タグの各々に対して十分な移動を観察した時をプロセッサは指示する。両方の場合で、状態評価を上記のように計算する。δNijARが既知となると、各センサが各タグ信号への位相ロックを保持している限り、2重差位相を処理するため処理アルゴリズムという名称で上記したアルゴリズムを使用可能である。
【0078】
較正モードを必要としない他の方式では、δNijAR値を決定するまでプロセッサは2重差位相測定を記憶し、上記の処理アルゴリズムで記載したアルゴリズムを使用してこれを処理してマーカー・タグ位置の時間履歴を解く。2重差整数の良好な観察性を保証できるコード擬似範囲測定の処理を基にした十分な移動が発生するまでプロセッサは待機する。次いでプロセッサはこれを解く。整数が一旦解決されると、処理アルゴリズムで記述したアルゴリズムを使用して2重差位相を処理し、位置評価が実時間で発生される。タグまたはセンサのどれかで位相ロックが失われた場合にMTDDICの後でもこの方式を適用可能である。
【0079】
さらに他の方式は拡張カルマン・フィルタを使用することである。時間更新と測定更新式は処理アルゴリズムの節で記載したものと同一である。状態式と測定モデルの差は:
x(k)=[r(k)T v(k)T a(k)T nT]T は(9+M)x1状態ベクトル
r(k)は3x1マーカー・タグ位置ベクトル
v(k)は3x1マーカー・タグ速度ベクトル
a(k)は3x1マーカー・タグ加速度ベクトル
nは2重差整数、δNijARのMx1ベクトル
σPRは搬送波位相擬似範囲標準偏差(公称0.00025m)である
【0080】
状態共分散マトリクスPは各マーカー・タグ位置の不確定性を基に初期化される。コード擬似範囲解法は軸当り3.5メートルの公称不確定性を与える。
【0081】
システムからのマーカー・タグ位置出力は100msまで遅延可能であるため、タグ位置を決定するため固定遅れ最適スムーザを使用可能である。
【0082】
GPS曖昧性解決には多数の方式が文献に記載されている;これらは一般的に微小な修正により2重差整数の解決に適用可能である。これは、システム識別、粒子フィルタリング、最小2乗曖昧性脱相関調整、高速曖昧性解決方式、高速曖昧性探索フィルタ、遺伝アルゴリズム、及び干渉非線形プログラミング方法を含む。
【0083】
搬送波擬似範囲測定誤差標準偏差は
で与えられ、ここで
cは光速(3x108m/s)
Fは搬送波周波数(5.8GHz)
Tは測定持続時間(48ビット/1Mbps=48x10−6s)
C/N0は搬送波・雑音密度比(閾値で68dB−Hz)
【0084】
生成したσ搬送波は閾値0.24mm、73.7dB−Hz C/N0で0.47mmで、93.4dB−Hz C/N0で0.024mmである。
【0085】
搬送波擬似範囲測定は無線屈折率で補正されなければならない。範囲は光速による伝播時間と関係している、すなわち、aからbへの範囲は光速かけるaからbへの伝播時間に等しい。真空中の光速はc=2.99792458x108m/sである。大気中では、光速はc/(1+Nx10−6)≒cx(1−Nx10−6)で、ここでNは以下で評価可能な無線屈折率(N単位)で、
ここで Tは大気温度(℃)
Pは大気圧(hPa)
Hは相対湿度(%)
(a、b、c)は−20℃<T<+50℃で(6.1121、17.502、240.97)で、−50℃<T<−20℃で(6.1115、22.452、272.55)に等しい。
【0086】
評価誤差は5%以下である。表3は各種の大気条件での150m路に必要な補正を示す。
【0087】
搬送波擬似範囲測定多重路誤差は
で与えられ、ここで
λは搬送波波長
αは反射係数とコード相関(0から1)の積
【0088】
図17は反射係数の関数として計算された搬送波位相マルチパス誤差を示す。
【0089】
マルチパス軽減には多様な技術が利用可能である、制限なしでは、円偏光信号、良好な軸比センサ・アンテナ、チョーク・リング・センサ・アンテナ、センサでのディジタル処理、複数素子センサ・アンテナ、RF吸収センサ接地面、及び高周波搬送波を含む。
【0090】
その他の誤差原因は、センサ・アンテナ位相中心変動とセンサ位置誤差である。位相中心はアンテナの信号到着角の関数として変動する。5.8GHzでは、2から5mmの変動が予想される。各センサ・アンテナは信号到着角の関数として位相中心変動に対して較正され、この較正値が測定から減算される。10%モデル化誤差は0.2から0.5mmの残留誤差を残す。
【0091】
センサ位置は以下の処理を使用してサブミリメータの精度まで測定されることが望ましい:
1)センサを堅牢な支持部に設置する。
2)全てのセンサを較正モードに切り替える。
a)センサ受信器を非活動状態とする。
b)センサ受信器からタグ状信号を放射する。
3)基準タグを堅牢な支持部に設置し、作動させる。
4)基準タグに対していくつかの既知位置に較正受信器を配置する。
5)各位置でデータを収集する。
6)データを処理して基準タグに対するセンサ位置を決定する。
【0092】
当業者には明らかなように、その他の較正処理も可能である。
【0093】
搬送波擬似範囲位置誤差予定値を表4に示す。設計の正当性を示すためシミュレーションを使用した。
【0094】
相関整合フィルタを使用して、時間、周波数、及び位相測定を得る。相関処理は2つのレベルで実行される。第1に、タグ波形の同期フィールドとの相関を時間と周波数同期に使用する。この相関は可能なドップラー・シフトと発信器オフセットの範囲をカバーする周波数で実行されなければならない。この周波数範囲は周波数ビンに分割され、相関は各ビンの中心周波数で実行される。全てのタグは同じ同期フィールドを有しているため、同期相関は各センサにより観察される全てのタグを検出する。
【0095】
タグを検出し、その受信周波数ビンを識別した後、IDフィールドとの相関を使用してコード位相測定と搬送波位相測定を得る。コード位相測定は100nsec相関サンプル間を内挿してピーク相関値を見出すことにより発生される。搬送波位相測定は、内挿したピーク相関値の引数を計算することにより発生される。
【0096】
図18はプロセッサ62内の相関バンク機能処理とその相関バンク1550を示す。秒当たり10x百万サンプル(MSPS)の8ビット・インフェーズ(I)及び8ビット・クォドレーチャ・フェーズ(Q)サンプルの各対がFIFO(先入先出)レジスタ1812に入力される。サンプル対は16ビット・ワードとして記憶される。FIFO1812は800ワード長である。FIFOに入力される160の新たなワードに対応する、62.5kHzのレートで、FIFOの内容は800ワード・バッファにコピーされる。FIFOの最も古い320ワードに対応する320ワードはバッファからコピーされる。このコピー・ブロックは、全て0から構成される160ワードをパッドすることにより320ワードから480ワードに拡張される。このゼロのパッディングはFIFOからの320ワードの最新のものの次のブロックに添付される。パッドされたブロックは480点複素高速フーリエ変換(FFT)部分1814に入力される。8ビットのIサンプルは実数部分として処理され、8ビットのQサンプルは虚数部分として処理される。FFTは、連続する時間フーリエ変換の離散版である、離散フーリエ変換(DFT)の高速実装である。
【0097】
FFT出力は乗算器1816で基準同期列1818により乗算される。480ワード基準同期列は予め計算されメモリ・チップに記憶される。同じ基準同期列が全てのセンサにより使用される。基準同期列はパッドした列の複素FFTを計算し、その複素共役を取る(すなわち、Q部分の代数符号を変更する)ことにより発生される。パッド列の最初の160ワードは10MSPSの理想同期波形を複素サンプリングすることにより得られた160ワードから構成される。残りの320ワードはゼロ・パッディング、すなわち全て0であるワードから構成される。
複素乗算は以下のように使用される:
IM=IFxIC−QFxQC
QM=IFxQC+IFxQC
ここでIMとQMは乗数出力である。
IFとQFはFFT出力である。
ICとQCは基準メモリ・チップからの予め計算された出力である。
【0098】
乗算は要素毎に実行される、すなわちFFT出力ブロック1814の最初のワードが予め計算された基準1818の最初のワードにより乗算され、第2ワードに第2ワードが、等々である。
【0099】
乗算の結果は複素数の480ワード・ベクトルである。このベクトルは480点IFFT(逆FFT)機能1820に入力される。IFFTの出力は複素数の別の480ワード・ベクトルである。これらの数の各々の大きさはIとQ値の2乗和の平方根を取ることにより計算される。生成した480の大きさのピーク値を検査する。各ピークはバッファからの320ワードに含まれるタグ同期フィールドに対応し、ピークの位置はタグ・パケットの開始を識別する。
【0100】
同期フィールドはバッファの最後の320ワード内に含まれているため、タグIDフィールドはバッファ内に完全に含まれなければならない。同期相関により識別された各相関ピークに対して、480ワードIDフィールド加えることの両側の1ワードの予測位置に対応するバッファから482ワードがコピーされる。コピー・ブロックの中心480ワードはブロック1824で可能なタグID基準列の各々と相関される(要素毎の複素乗算を使用して)。480ワード基準ID列は予め計算されタグID波形EEPROM1822のようなメモリ・チップに記憶される。全てのセンサにより同じ組の基準ID列が使用される。基準ID列は10MSPSの理想ID波形を複素サンプリングすることにより発生される。
【0101】
最初に、「可能なタグID基準列」の数はキャプチャ域のタグ数と等しくされる。センサのクロックにより測定される、時間TAで特定のセンサがタグAからのパケットを検出すると、これはタグAからの次のパケットが、タグAクロック・オフセット(100ppm)と移動による±417μsecの最大不確定性でTA+4167μsecに到着することが分かる。センサがタグAからのいくつかのパケットを検出した後は、これはタグAからの次のパケットの到着を特定のバッファに分離可能である。ついで「可能なタグID基準列」の平均数は(240xキャプチャ域中のタグ数/62、500)である。
【0102】
相関の結果は、各可能なタグID基準列に対して1つの複素数値である。ピーク相関値に対応するタグIDを使用してどのタグがパケットを送信しているかを決定する。識別したタグID基準列を使用して、2つの別な相関、1つはコピーの最初の480ワードとのもの、他方はコピーの最後の480ワードとのもの、を計算する。これらの数の各々により表された大きさと位相は、各々、I及びQ値の2乗和の平方根を取ることにより、またI値により除算されたQ値の逆正接、ATAN(Q/I)を取ることにより計算される。大きさ値の内挿を使用して相関ピークを評価し、この値がコード位相測定である。相関ピークを識別すると、位相値を時間の同じ瞬間まで内挿する、この生成値が搬送波位相測定である。
【0103】
同期相関処理の数学説明は以下の通りである。受信した波形複素サンプルはsw(n)により表され、ここでn=0から319であり、基準波形複素サンプルはrw(n)で表され、ここでn=0から159である。パッドされた複素サンプル列、sとrは以下のように発生される:
k=0から159に対してs(k)=0で、k=160から479に対してs(k)=sw(k−160)
k=0から159に対してr(k)=rw(k)で、k=160から479に対してr(k)=0
この時処理は以下のように進行する:
Sはsの高速フーリエ変換(FFT)として計算される
RはrのFFTとして計算される
R*はRの共役として計算される
DはSとR*の要素毎の積、D(k)=S(k)xR*(k)として計算される
相関ベクトルCはDの逆FFTとして計算される
【0104】
テキサス州ダラスのテキサス・インスツルメンツ社(「TI」)から利用可能なTI TMS320C6713−200DSPマイクロ回路をセンサ処理の例示実施例に使用する。TIのTMS320C67xDSPライブラリを利用し、単精度浮動小数点を使用した、同期相関の所要クロック・サイクル数を表5に示す。各DSPは秒当たり200ミリオン・クロックを与えるため、各センサに全部で7個のプロセッサが必要である。プロセッサは並列に動作し、各々が利用され終わるまで、各々が1つのサンプル・バッファを処理し、この時点で第1のプロセッサはフリーとなり、サイクルが繰返される。従って、各プロセッサは7番目毎のサンプル・バッファを処理する。
【0105】
センサがタグを追跡していると、タグID相関処理は3つの480点複素相関と各タグからの各パケットの内挿ピーク値と位相の計算から構成される。ID相関の所要クロック数は表6に示される。キャプチャ域の5000タグと秒当たり240パケットでは、37プロセッサが必要である。
【0106】
(第2システム実施例)
第2のシステム実施例は第1システム実施例と同様であるが、いくつかの異なる技術を使用している。第2システム実施例は第1システム実施例に対して幾分望ましいものと一般的に決定されるため、第2世代設計と考えられる。
【0107】
キャプチャ域は最大対角線が150メートルまでの長方形平行四辺形である。本システムはこのキャプチャ域内のどこでもタグ位置をキャプチャする。本システムは4から32までの任意の数のセンサ42で動作する。センサの前面とキャプチャ域との間の距離がキャプチャ域の最大対角線の5パーセントから15パーセントの間にあるようにセンサは配置される。
【0108】
各センサのバッファ域は当該センサへのその最近接点でキャプチャ域に接する面とキャプチャ域からそのセンサへ離れる2倍のセットバック距離の平行面とにより定義される容積である。バッファ域からタグは排除される。本システムはキャプチャ域内の1000タグをキャプチャ可能である。本システムは軸当たり45m/s速度、軸当たり45m/s2加速度及び軸当たり45m/s3のジャークのダイナミクスでタグをキャプチャ可能である。
【0109】
タグ位置は固定基準タグ50の位置に対してX、Y、Z座標で与えられる。座標フレームの方向は較正中に決定される。タグ位置出力は0.1秒以上のレーテンシを有しない。各タグの位置は秒当たりN回の速度で出力され、ここでNは集合{1、2、3、4、5、6、8、10、12、15、16、20、24、30、40、48、60、80、120、及び240}から選択可能である。
【0110】
同じタグでもよい2つのタグAとBで、同じ時間でもよい2つの時間t1とt2に対して、時間t2でのタグBの報告位置に対する時間t1でのタグAの報告位置の軸誤差当たりの1−σは以下を超えない;タグへの明白な視界を有しているセンサのみを使用して計算された基準タグ50、Aタグ、Bタグの各々の精度の位置希薄(dilution)化(PDOP)は1.73を超えない:
ε=1mm+FV(VAB)+FT(t2−t1)+FD(δAB)
ここで
VAB=MAX[VA(t1)、VA(t2)、VB(t1)、VB(t2)]
VX(tk)は時間tkでのタグXの実際の速度
δAB=|PA(t1)−PB(t2)|
PX(tk)は時間tkでのタグXの実際の位置ベクトル
v<1m/sの場合、FV(v)=0mm、それ以外はFV(v)=1mmxv/(1m/s)
t<21、600秒の場合、FT(t)=0mm、それ以外はFT(t)=1mmxt/(21、600s)
d<3mの場合、FD(d)=0mm、それ以外はFD(d)=1mmxd/(3m)
タグ位置出力は0.1mm、またはそれ以上の精度を有する。
【0111】
システム出力は1000Base−Tインターフェースに与えられる。これは、UDPを使用してIPマルチキャスト・アドレス214.0.0.2上でポート3030へブロードキャストされる。表7に示すフォーマットで選択された出力レートで各タグに1つのUDPパケットが発生される。
【0112】
タグは5725MHzから5875MHz帯に送信される。これは5730+nx10MHz、n=0、1、…、14の中心周波数で15チャネルに分割される。各チャネルに1000までのタグが配置され、帯域では15、000タグの全体容量がある。
【0113】
タグは400ビット・パケットを送信する。特定の周波数チャネルで動作するよう設計された各タグは長い最大長列(PN列)の部分ストリングとして得られる固有の400ビット・パターンを割当てられる。1000タグを収容するため、400、000ビットの最小列長が必要である。これは19以上の段のSSRGと適切な帰還タップにより与えられる。または、ゴールド・コードのような、良好な相互相関特性を有するコード族を使用可能である。
【0114】
図19はタグ内で使用される単純なシフトレジスタ発生器を示す。1000個の400ビット・パターンが最大長帰還多項式x19+x5+x2+xと初期条件07FFFF16進(1111111111111111111 2進)のSSRGから発生される。219−1=524、287はメルセンヌ素数であるため、Z2に対する全ての19次非既約多項式は最大長列を生成する。また、全て0を除いた任意の初期条件で、最大長列を発生する。SSRGは第19段、第5段、第2段、及び1段のビットを排他ORして第1段への入力を発生する。次いでビットは左方へ1段シフトされる。最左方段、第19段のビットが出力される。タグkのビット・パターンは、k=0、1、…、999に対して、出力列のビット400xkから400xk+399である。
【0115】
タグ送信信号変調レートは10Mbpsである。従って、その400ビット・パケットが送信される度に、タグは40μ秒バーストを送信する。バースト繰返しレートは50Hzであり、従ってバースト間の時間は約20、000μ秒である。このように各タグは0.2%の送信デューティサイクルを有する。タグ間の送信クロックには意図的に同期はない。このことは、センサの各々で見出される、異なるタグからのバースト間の重なりは最小化されることを保証する。
【0116】
図20はタグの機能ブロック線図である。10MHz水晶発振器(XO)2012は基準クロックを発生する。位相/周波数検出器、低域フィルタ(LPF)2016、及び分割器2020から構成される位相ロックループ(PLL)を使用して、これをXO基準クロックにロックすることにより公称5.8GHz電圧制御発信器(VCO)2018の出力を安定化する。分割比は所要の周波数チャネルに対応して573、574、…、587の内の1つに設定される。安定化されたVCO出力は変調器2028によりBPSK変調される。変調信号は、ロールオフ係数α=0.35で隆起余弦(RC)LPF2025により制御器2022出力波形をパルス整形することにより発生される。制御器2022は秒当たり50回、10Mbpsでタグの400ビット列を出力する。
【0117】
図21は1つの可能なタグ制御器回路の概略線図である。10MHzタグ・クロック2112は分割器2114で200、000により除算されて50Hzパケット・クロック2116を発生する。このパケット・クロックは付勢フリップフロップ2118をセットし、9段(512除算)カウンタ2122をリセットする。付勢フリップフロップ状態を使用して10MHzクロックをゲートし、送信付勢信号2132を介して送信器を付勢する。ゲートされた10MHzクロックを使用してカウンタ2122をクロックする。カウンタ2122が400状態に到達すると、付勢フリップフロップ2118はリセットされ、ゲート化クロックは減勢され、カウンタ2122を停止し、送信器を減勢する。カウンタ状態の7MSBを使用して、400ビットのパケットデータを含む64x8ROM2124をアドレスする。アドレスされた8ビットROMデータを8対1MUX2126に印加する。カウンタ状態の3LSBを使用して、制御器出力2130を与えるMUX出力を選択する。
【0118】
図27は1つの可能なパッチ・タグ実施例によるパッチ・タグの側面斜視図である。タグ2710は人間の持続性薬品に使用するものと同様の、貼付けパッチとしてパッケージされる。これは平らで、柔軟な、直径約40mmで、複数層を含む。これらの層は上面保護層2712、フィルムまたはプリント・アンテナでよいアンテナ2715を含むアンテナ層、ASIC回路ダイまたはその他の回路を含む回路ダイ層2716、プリント電池のような電池を含む電池層2714、保護層2720、及び接着層2722を含む。除去可能層2724は、タグが使用可能となるまで接着層をカバーし保護する引き剥がし可能な紙層またはフィルム層である。装置が使用可能となると、ユーザーは除去可能層2724を剥がして、タグ2710を人間の皮膚、衣服、または何らかのその他の表面に貼り付けるために使用される接着部を露出する。この背面部(backing)2724の除去はまた、電池接続を閉鎖することによりタグ2710を動作させる。1実施例では、電池層2718は、31mA/時間保持力と1.5VDCで63mAピークパルス放電電流を与えるプリント・オープンセル電池である。回路ダイ層2716上のダイはRF及びディジタル・タグ機能の両方を包含するSiGe BiCMOS ASIC素子でよい。その0.2%デューティサイクルでは、各タグ2710は63mAピークパルス放電電流で10日間動作可能である。
【0119】
除去層2724の除去は多数の異なる方法のどれかでタグ2710を動作可能である。除去層2724は、除去層2724の除去によりタブが接点間から引抜かれ、従って電池回路が閉鎖して素子に電力を与えるまたはこれを動作させるように、パッチ・アンテナ2710の面から内方に伸び、2つのスプリング装着電池接点の間に配置されたタブを含むことが可能である。これは通常開の配置である。通常閉の配置も代わりに使用可能であり、この場合除去層2724は、非常な低アンペア電流が流れる2つの電気接点間を通常カバーし、従って閉鎖する導電部分を有する。除去層が除去されると、接点が開放され、装置は現在開の回路を検出し、装置の残りの部分に電力を与えて送信を開始することにより応答する。
【0120】
使用可能となった時に素子を動作させるその他の機構も可能である。少なくとも1つの不透明部分を有する除去層2724を除去して光ダイオードまたはその他の光レセプタを露光し、素子をオンさせる。除去層2724を除去して、酸素センサを大気に露出して素子をオン出来る。フォイル・ラッパーのようなラッパーでタグ2710を包んで、ラッパーを除去するとタグ2710上のセンサを光、酸素、またはその他の環境条件に露出させて、タグ2710を動作させる。その他の検出方法が公知であり、使用可能である。
【0121】
タグ2710はまた視覚、音声またはその他のフィードバックを与えて、これが動作していることを指示し、ある種の状態情報を与える。例えば、素子の動作時に、小さな発光ダイオード(LED)が何回か発光し、または素子が何回か音声を出し、素子が現在送信していることを指示する。状態情報もまた各種の方法で提供可能である。LED発光パターンまたは音声パターンが、組込み自己検査(BIST)に通過したまたは失敗した、電池が完全充電しているまたは低充電である、またはその他の条件を指示可能である。BIST結果及びその他の診断及び状態情報も、初期作動時及び/または周期的にRF送信を介して送信可能である。
【0122】
図22は1実施例によるセンサ42の機能ブロック線図である。センサはタグから受信アンテナ2212を介して5.8GHz信号を受信し、帯域フィルタ2214で信号を帯域フィルタして干渉を除去し、増幅器2216で低雑音増幅して受信器雑音下限値を設定する。低雑音増幅信号は次いで帯域フィルタ2218で再度帯域フィルタされて雑音電力を制限し、乗算器2224で105MHzIF信号にダウン変換される。IF信号は8MHz帯域によりBPFブロック2226で帯域フィルタされ、増幅器2228で増幅され、A−D変換器2230で20Mspsでサンプルされ量子化される。サンプルレートFSとIF周波数FIFは、ある整数kに対して4xFS=(2k+1)xFSとなるように選択される。FIF=105MHzでFS=20Mspsでは、k=10で(2k+1)=21である。ディジタル・サンプルは、I、Q、−I、−Qに従う交番のインフェーズ(I)とクォドレーチャ・フェーズ(Q)サンプルを表す。これらのサンプルはDSP2232に入力され、ここで複素サンプルに組み合わされて交番符号が訂正される。DSP2232は相関バンクを実装して最もそれらしいタグID、コード位相、及び搬送波位相に変換されるパラメータを決定する。これらの評価は次いで100Base−Tイーサネット(登録商標)・インターフェース2234を介して処理システムに転送される。
【0123】
図23はセンサDSP処理機能ブロック線図である。10Msps複素サンプル2310はFIFOレジスタ2312に入力される。各サンプルは16ビット・ワードとして記憶される。FIFOは600ワード長である。FIFOに入力される200新規ワードに対応する、50kHzのレートで、FIFO内容は600ワード・バッファ2314にコピーされる。バッファ・データはセンサ・モード、獲得または追跡に従って処理される。
【0124】
獲得モードでは、全て0から構成される424ワードをパッドすることにより、バッファは600ワードから1024ワードに拡張される。ゼロ・パッディングはFIFO2312からの最新のワードの隣のブロックに追加される。パッドされたバッファは1024点複素FFT部分2334に入力される。
【0125】
FFT出力は乗算器2336で順次1000基準ID列の各々により乗算される。1024ワード基準ID列は予め計算されメモリ・チップに記憶される。同じ基準ID列が全てのセンサにより使用される。基準ID列はパッドした列の複素FFTを計算し、その複素共役(すなわち、Q部分の代数符号を変更する)を取ることにより発生される。各パッド列の最初の400ワードは10Mspsの理想タグ波形を複素サンプリングすることにより得られた400ワードから構成される。これらの理想タグ波形は、記憶された波形が実際にセンサで受信されたものであるように理想化タグ識別コードを近似するように、送信波形に影響するであろうフィルタのような全てのタグ成分のモデルを含む。残りの624ワードはゼロ・パッディング、すなわち全て0であるワードから構成される。結果はEEPROM2332に記憶される。
【0126】
複素乗算は以下のように使用される:
IM=IFxIC−QFxQC
QM=IFxQC+IFxQC
ここでIMとQMは乗数出力である。
IFとQFはFFT出力である。
ICとQCは基準メモリ・チップからの予め計算された出力である。
【0127】
乗算は要素毎に実行される、すなわちFFT出力ブロックの最初のワードが予め計算された基準の最初のワードにより乗算され、第2ワードに第2ワードが、等々である。
【0128】
乗算の結果は複素数の1024ワード・ベクトルである。このベクトルは1024点IFFT(逆FFT)機能2338に入力される。IFFTの出力2340は複素数の別の1024ワード・ベクトルである。これらの数の各々の大きさはIとQ値の2乗和の平方根を取ることにより計算される。ピーク値と対応する指数が1000タグ基準列の各々に対して決定される。ピークが閾値を越えた場合、対応するタグが受信される。
【0129】
これらのピーク指数の各々により表された大きさと位相は、各々、I及びQ値の2乗和の平方根を取ることにより、またI値により除算されたQ値の逆正接、ATAN(Q/I)を取ることにより計算される。大きさ値の内挿を使用して相関ピークを評価し、この値がコード位相測定である。コード位相測定は粗い位置評価を与える。相関ピークを識別すると、位相値を時間の同じ瞬間まで内挿する、この生成値が搬送波位相測定である。搬送波位相測定はコード位相測定の範囲内で微細な位置評価を与える。
【0130】
獲得モード処理の数学説明は以下の通りである。受信した波形複素サンプルはsw(n)により表され、ここでn=0から599であり、基準波形複素サンプルはrw(n)で表され、ここでn=0から399である。パッドされた複素サンプル列、sとrは以下のように発生される:
k=0から423に対してs(k)=0で、k=424から1023に対してs(k)=sw(k−424)
k=0から399に対してr(k)=rw(k)で、k=400から1023に対してr(k)=0
この時処理は以下のように進行する:
Sはsの高速フーリエ変換(FFT)として計算される
RはrのFFTとして計算される
R*はRの共役として計算される
DはSとR*の要素毎の積、D(k)=S(k)xR*(k)として計算される
相関ベクトルCはDの逆FFTとして計算される
【0131】
追跡モードでは、バッファ中にあるものと予測される各パケットに対して、このパケットと関連する400ワードがセンサに予め記憶された3つの400ワード基準波形と相関される。3つの相関波形はオンタイム・パケットと1/2ビット前に、1/2ビット後にシフトしたパケットである。相関はバッファから抽出した400ワード・ベクトルとオンタイム、早期、後期の予め記憶した基準波形との間の複素ベクトル内積として計算される。従って、追跡モードでは処理は3つの400点複素ベクトル内積と各タグからの各パケットの内挿ピーク値と位相の計算から構成される。
【0132】
TI TMS320C6713−200DSPをセンサ処理に使用してもよい。TIのTMS320C67xDSPライブラリを利用し、単精度浮動小数点を使用すると、キャプチャ域の500タグに対して、期待される所要クロック・サイクル数を表8に示す。各DSPは秒当たり200ミリオン・クロックを与えるため、各センサに単一のプロセッサが必要である。
【0133】
図24は本実施例に従って受信タグ信号を処理するプロセッサの機能ブロック線図である。センサ・インターフェース2414を介した各種のセンサからの100Base−Tインターフェース上のデータ2412は測定プロセッサ2416に入力され、このプロセッサはコード及び搬送波位相を位置評価に変換する。評価2420は1000Base−Tギガビット・イーサネット(登録商標)・インターフェース2418を介して出力される。
【0134】
プロセッサはセンサからのコード及び搬送波擬似範囲測定を使用してサンプリング瞬間のタグ位置を決定する。全ての位置は基準タグに対してである。コード擬似範囲測定は処理アルゴリズムの題名の節で記載したように処理されて粗い位置評価を与える。この粗い位置評価を使用して曖昧探索の範囲を限定し、搬送波擬似範囲測定を処理して最後の位置評価を得る。
【0135】
プロセッサはタグ位置測定を再サンプルして所要位置出力レート(1Hzから240Hz)に整合させる。プロセッサは許容可能な100msecのレーテンシを利用して図25に示すように位置を平滑化する。測定レートと出力レートが同一だとしても、タグ送信時間が非同期であるため再サンプリングが望ましい。
【0136】
図26は、上記の技術を使用して如何に拡張キャプチャ域を作成するかを図示する。拡張キャプチャ域2610は複数個の分離しているが、重なり合ったキャプチャ域2612、2614、2616を含む。センサ2620は個々のキャプチャ域間に配置される。重なり合ったキャプチャ域空間のセンサ2620は線形ではないまたは殆ど線形ではないことが望ましい。
【0137】
(応用例)
上記の基本システムを、ビデオゲーム、テレビ、漫画、コマーシャル、音楽ビデオ、機能フィルム、ディジタル・エキストラ、ディジタル・スタント、ディジタル群集のモーション・キャプチャを含む多数の応用例に使用可能である。本発明は、各種の欠点(膨大な事後処理、高価なハードウェア、隠匿マーカーのキャプチャ不能、制御環境の必要性)なしで、光学システムの多数の利点(非常に正確、多数のマーカー、マーカー構成を容易に変更、演技者がケーブルにより拘束されない、大きな演技区域)を提供する。
【0138】
モーション・キャプチャ・トラッキング・ソフトウェアはプロセッサからマーカー・タグ座標を受信し、これを処理して必要に応じてデータ雑音を減少させる。この減少は、各種の隣接サンプルの平均化、座標上の最大変動値の制限、履歴を基にした位置の予測、のような異なる方法により実現可能である。この目的のためその他の雑音減少アルゴリズムも使用可能である。減少後、モーション・キャプチャ・トラッキング・ソフトウェアは未利用データを再構築する。この再構築は、既存の軌跡を解析し完了させることによりなされる。
【0139】
生物機械ソルバ・プログラムはモーション・キャプチャ・トラッキング・ソフトウェア出力データを取って主題の動きを再構成するために使用される階層構造を構築する。この過程は、3つまでのマーカー・タグの位置を組み合わせて離散部品の回転をその親の周りに再構築する。生成した階層チェーンは、人間の場合は、局所軸のまわりの各肢の回転のような、単一の全体並進と一連の回転から構成される。システムは次いで生物機械ソルバ・プログラムにより発生されたデータを出力する。
【0140】
(RF整合移動)
本システムは整合移動応用に使用可能である。整合移動は2Dフィルムまたはビデオ画像による3D仮想画像の自動登録である。コンピュータ作成(CG)物体を見る仮想カメラは実際のカメラ位置、回転、焦点距離、及び絞りを緊密に整合しなければならない。これは、監督の柔軟性に制限を与える、移動制御カメラを使用することにより、またはカメラを実時間で追跡することにより達成可能である。いずれの場合でも、カメラ設定を記録しなければならない。
【0141】
最小4個の静止基準タグをキャプチャ域に配置して基準座標系を確立する。タグは共平面でない、または殆ど共平面でないことが望ましい。角度精度は、センチメートルで表示した基準タグ間の分離距離により割り算した11°に大体等しい。従って、300cm、10フィートの分離では、0.05°より良好な角度精度が達成可能である。
【0142】
図2は整合移動用にタグをカメラ上に有するカメラを図示する。最小3個のマーカー・タグが各カメラに取り付けられてその空間位置と回転を追跡する。タグは共線形でないまたは殆ど共線形でないことが望ましい。角度精度は、センチメートルで表示した基準タグ間の分離距離により割り算した11°に大体等しい。従って、30cm、1フィートの分離では、0.5°より良好な角度精度が達成可能である。
【0143】
静止マーカー・タグがキャプチャ域に配置されてCG物体の座標フレームを定義する。3個のタグを選択して各物体の座標フレームをロックする。さらに、CG物体は最小で3個のマーカー・タグを取り付けたキャプチャ域の非固定「活動」物体にロック可能である。いずれの場合でも、3個のタグは共線形でないまたは殆ど共線形でないことが望ましい。
【0144】
所要の基準タグとマーカー・タグがキャプチャ域に配置され、カメラに取り付けられ、所要の活動物体に取り付けられると、CG物体は以下のように生の演技画像と組合される:
・ビデオカメラを使用して生の演技を記録する。
・キャプチャ域の全てのマーカー・タグを追跡する。
・カメラの焦点距離と絞り設定を記録する。
・RF位置トラッキング・システム時間コードとカメラ時間コードを記録する。
・各CG物体に座標フレーム・ロック用の3個のタグを割当てる。
・もしこれが「生の」な物体である場合、ビデオカメラによりキャプチャされたように各CG物体が発生される。
・全てのCG物体が「生の」ビデオと表示用の合成物と組み合わされる。
【0145】
カメラから見える静止タグを使用してカメラ・レンズ歪やその他の効果を補正可能である。
【0146】
(遊園地/モール/空港/集合域のアセット・トラッキング・システム)
本システムをアセット・トラッキングに使用可能である。アセット・トラッキングは、高密度の人間、動物、またはその他の移動または固定物体がある可能性のある、遊園地、モール、空港、またはその他の屋内または屋外位置のような任意の区域で人間またはその他の物体の位置と移動をキャプチャする。この使用例は、遊園地での迷子の発見の能力、空港に入った人間が使用する路の追跡能力を含む。マーカー・タグが各アセットに取り付けられる。子供には、子供がマーカー・タグを自分で取り外すことが万一にもないようにマーカー・タグは腕輪または衣服の下に印加される。本システムは任意のマーカー・タグを発見し及び/または時間でのその移動を追跡可能である。本システムを使用して、数千人の子供を遊園地内または同様の集合点でピンポイントの精度で瞬間的かつ同時に追跡可能である。付き添いの両親もマーカー・タグを担持している場合、子供と両親のマーカー・タグを走査により対として登録し、子供が両親の付き添いなく公園を離れた場合に警報が鳴る及び/または保安員に警告することも可能である。誘拐状況の可能性が解決されるまで、子供は駐車ロットまたはその他の外部周辺地を離れることは許されない。
【0147】
アセット・トラッキング・システムでは、アセット・トラッキング・ソフトウェアはプロセッサからマーカー・タグ座標を受信し、これをさらに処理して必要に応じてデータ雑音を減少させる。この減少は、各種の隣接サンプルの平均化、座標上の最大変動値の制限、履歴を基にした位置の予測、のような異なる方法により実現可能である。この目的のためその他の雑音減少アルゴリズムも使用可能である。減少後、アセット・キャプチャ・トラッキング・ソフトウェアは未利用データを再構築する。この再構築は、既存の軌跡を解析し完了させることによりなされる。
【0148】
トレース及びキャプチャ・プログラムはアセット・トラッキング・ソフトウェア出力データを取り、任意の特定時間における被験者の移動と位置を再構築するのに使用される階層構造を構築する。このデータは、建物/構造物/環境詳細を提供する地図、青焼き、GISまたはその他のソフトウェアと組み合わせ可能である。この組み合わせデータをコンピュータ・システム上で監視し、PDAや公衆キオスクへストリーム可能である。
【0149】
(ドライビング・レンジのゴルフ・スィング解析ツール)
位置トラッキング・システムの応用例は個人の再生と解析用にゴルフ・スィングをキャプチャする能力を含む。マーカー・タグとセンサを使用して移動データをキャプチャするドライビング・レンジに本システムを設定可能である。データは実時間で処理されて現実的な3D動画で高精度に表示される。この動画は無限の方法で見て処理可能であり、個人のゴルフ・スィングに考察と解析を提供する。各スィングからのデータセットを保存し、プロのゴルフ・スィング、以前のゴルフ・スィング等と比較可能である。他の部分に対するある人体部分の回転のような、人体部分の移動を分離して見ることが可能である。被験者を一連のワイヤフレームにより表示し、焦点を合わせた解析を与えることも可能である。さらに、データセットをビデオゲームに入力して、個人が自分の実際のスィングと画像をゲームで見ることが可能である。このような応用にはマーカー・タグの数は相対的に少ないため、マーカー・タグ・バースト・レート、従って実効キャプチャ・レートは秒当たり30フレームを優に超過可能であり、標準のビデオ録画装置のものより高速なフレームレートに到達できる。データセットは本質的にディジタルであるため、コンピュータ・システムは瞬間の定量的及び定性的解析を提供可能である。例えば、ゴルフ・スィングの直後に、処理システムはゴルファーに、ボールのインパクトの前に手首を10%回しすぎていることを教え、モデル・ゴルファーと対比して手首のスローモーション画像を提供できる。
【0150】
同様に、ランニングのストライド、ピッチングの運動、棒高跳び、及びその他の活動のようなその他のスポーツ活動をキャプチャし、解析し、処理するために本システムを使用可能である。
【0151】
(工業応用)
上述したアセット・トラッキングに加えて、高速度の異なる部品の高精度整合移動を必要とする高速工業製品製造過程を含む工業過程のような、非人間移動を追跡し解析するために本システムを使用可能である。本システムは、記録されたシーケンスを通して正確な距離、速度、及び回転測定を提供する能力を含む、前記過程を解析するため過去に使用されてきた工業過程の高速フィルムに対して各種の利点を提供する。
【0152】
(ビデオゲーム作成で使用するフィルム作成またはスポーツ・イベントからの移動データのキャプチャ)
正確なトラッキング・システムはフィルムまたはテレビでの視覚効果用に運動をキャプチャするために使用可能である。フィルム上で作成された同じデータセットを、ビデオゲーム用の演技者を模倣する生きているかのような動きの発生に使用可能である。このデータをビデオゲーム・ソフトウェアに使用して、ビデオゲーム用の映画のフィルムから実際の人体の動きと相互作用を再作成可能である。
【0153】
正確なトラッキング・システムを使用して、バスケットボールやフットボールのような実際のスポーツ・イベント時の選手、重要な人物と物体の動きをキャプチャし、ビデオゲーム用の3D動画を作成するために使用可能な位置データを提供可能である。さらに、正確なトラッキング・システムによりキャプチャされたゲームのデータセットをダウンロードし、既存のビデオゲームに入れてプレーヤ体験を強化できる。このデータをビデオゲーム動画ソフトウェアに使用してビデオゲーム用のスポーツ・イベントからの実際の人体の動きや相互作用を再作成できる。
【0154】
(スポーツ放送を強化するためスポーツ・イベント全体をトラッキング)
本システムはまた、プレーヤ、審判/レフェリー/フィールド・ジャッジ、プレーヤ、設備(球、バット、クラブ、等)、及びゲームに重要な静止物体を含む、スポーツ・イベントに係る全ての要素を実時間でキャプチャするために使用可能である。3D動画を使用して実際の動作を再現するため、センサにより収集された動きデータを使用可能である。次いでこの動画を使用して、インターネットを介した観察者制御の視点のような、正確な再生、解析、視覚広告、仮想画像及び相互作用を提供可能である。
【0155】
複数のタグをプレーヤと追跡すべきその他の物体に取り付けることが可能である。ソフトウェアは画像を再構築し、これを動画と併合し、操作員により処理可能な動作の正確な再現を表示し、テレビまたはストリームされるオンラインに放送可能である。
【0156】
(スポーツ演技解析と再生ツール)
位置トラッキング・システムの応用例は、実時間での選手の演技をキャプチャし、監視し、解析する能力を含む。演技中、動きデータはマーカー・タグとセンサの使用によりキャプチャされる。このデータを実時間で処理して高精度に写真精度3D動画で表示する。この動画は無限の方法で見て処理し、選手の演技の洞察と解析を提供可能である。データセットと動画シーケンスは、判断、選手の医療状態の監視、及び訓練用に使用可能である。
【0157】
複数のマーカー・タグをプレーヤと追跡すべきその他の物体に取り付け可能である。ソフトウェアは画像を再構築し、これを動画と併合して、操作員により無限の方法で処理可能な動作の正確な再現を表示する。
【0158】
(完全人体ビデオゲーム・コントローラ)
正確なトラッキング・システムは、既存の手動コントローラが現在行っているものと同じ方法でビデオゲームの動きを実時間で制御する、ビデオゲーム・プレーヤの動きをキャプチャするために使用可能である。プレーヤは、マーカー・タグを身体に取り付けてビデオゲームをプレイし、センサはその動きデータをキャプチャしてこれを処理表示するためビデオゲーム・コンソールに送信する。プレーヤは自分の身体の動きが画面上に再現されるのを見ることができる。
【0159】
手首、かかと、及び腰のような、プレーヤの身体の重要点上に複数のマーカー・タグを取り付ける。ビデオゲーム・コンソールは既存のビデオゲーム・コントローラによるもののようにその動作を解釈し描画する。
【0160】
本明細書で使用するように、用語「無線周波」(RF)は、マイクロ波を含む、約10kHzから約300GHzのスペクトル範囲を包含する意図である。
【0161】
以上の説明で、基準タグは固定または静止しているものとして特徴付けられている。基準タグは必ずしも厳格に静止または固定する必要はないことが認められる。基準タグの位置が決定可能であれば、基準タグは本発明の意味内で固定または静止しているものと理解される。例えば、基準タグを既知または知られている距離だけ既知のまたは知られている方向に移動した場合、方向と距離は処理システムにより知られている、または決定できる。処理システムは単に既知の移動を考慮に入れてこれに従ってタグ擬似範囲測定の処理を続行し、追跡しているマーカー・タグの正確な相対及び/または絶対位置を決定する。本明細書に与える請求の範囲はこのような本質的でない変更を望ましい実施例でカバーする意図である。従って、基準タグを参照する時に本明細書で使用している単語「静止」または「固定」は、地球表面に対して絶対的に静止している場合のみならず、たとえ決定可能な位置がある瞬間から次の瞬間に移動しているものとしても、所要の座標系に対して決定可能な位置に配置されている場合もカバーするものと理解すべきである。
【0162】
本明細書で使用する用語「本発明」は、単一の基本要素または要素の群を有する単一の発明のみが与えられていることを意味しているものと認めるべきでないことが認められる。同様に、用語「本発明」は、各々が別々の発明と考えることが可能な多数の別々な新規発想を包含していることも認められる。本発明を望ましい実施例とその図面に関して詳細に説明してきたが、本発明の要旨と範囲から逸脱することなく本発明の各種の適合や修正を実施できることは当業者には明らかである。例えば、他のハードウェア構造やマイクロ回路技術を使用可能である、アルゴリズムの変更が使用可能である、異なるメモリ型式を使用可能である、異なるビット長、コード・ワード、コード型式を使用可能である、異なる周波数、周波数配置、変調型式、及び送受信技術を使用可能である。従って、上記の詳細な説明と添付の図面は本発明の範囲を制限する意図のものではなく、これは以下の請求の範囲とその適切に認められた法的等価物からのみ推論すべきものであることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】本発明のモーション・キャプチャ・システムの全体システム線図。
【図2】整合移動システムの一部として本発明が動画カメラと共に如何に使用可能であるかを図示する線図。
【図3】例示4センサ実施例のセンサの配置を示す。
【図4】例示8センサ実施例のセンサの配置を示す。
【図5】タグ送信用の周波数平面図。
【図6】送信パケット構造を図示する。
【図7】望ましい実施例で使用する同期ワードの自動相関を示す自動相関図。
【図8】送信列を発生するために使用される単純なシフトレジスタ発生器を図示する。
【図9】本発明の1実施例のタグにより送信される640ビットPN列の自動相関を示す自動相関図。
【図10】システム・インターフェース機能線図。
【図11】第1タグ実施例の機能線図。
【図12】第2タグ実施例の機能線図。
【図13】第1タグ制御器実施例による例示タグ制御器回路の概略線図。
【図14】第2タグ制御器実施例による例示タグ制御器回路の概略線図。
【図15】センサの機能ブロック線図。
【図16】受信したタグ信号を処理するプロセッサの機能ブロック線図。
【図17】望ましい実施例の予測搬送波位相マルチパス誤差を図示する線図。
【図18】プロセッサ内に実装した相関バンクの機能ブロック線図。
【図19】第2システム実施例によりタグ送信を発生するために使用する単純なシフトレジスタ発生器。
【図20】第2システム実施例で使用する第3タグ実施例によるタグの機能ブロック線図。
【図21】第2システム実施例で使用する第3タグ制御器実施例による例示タグ制御器回路の概略図。
【図22】第2システム実施例によるセンサの機能ブロック線図。
【図23】第2システム実施例によるセンサDSP処理機能ブロック線図。
【図24】第2システム実施例による受信したタグ信号を処理するプロセッサの機能ブロック線図。
【図25】タグ位置再サンプリング・プロット。
【図26】個々のキャプチャ域を重ね合わせることにより本システムを使用して如何に拡張したキャプチャ域を生成可能であるかを図示する。
【図27】本発明の1面によるパッチ・タグの側面斜視図。
【技術分野】
【0001】
本発明はモーション・キャプチャの分野に関係する。特に、本発明は無線周波(RF)モーション・キャプチャ・システムと方法の分野に関係する。
【背景技術】
【0002】
モーション・キャプチャまたはモーション・トラッキングという用語は、物体または複数の物体上の1つ以上の物体または位置をトラック(追跡)し、空間を移動するときの物体の位置を量子化し記録することを指す。空間は1次元、2次元、または一般的には、3次元空間である。歩行解析のような多数の応用例で、物体上の多数の点を追跡して、関節や肢のような物体の構成部分の線形及び回転運動を有効に追跡、量子化、記録する。モーション・キャプチャは実際の演技をディジタル演技に翻訳可能とする。モーション・キャプチャは、スタントの人間のような人の多数の点や、演技者が携帯している物または演技者と関連している何らかの物体を追跡することが望ましい、エンタテイメント業界で益々重要になって来ている。人間の肢や関連物体の動きがディジタル的にキャプチャされると、移動データを使用して異なる環境で人間にディジタル的に重ね合わせたり、または異なる演技者やこれらの同様な動きを実行する生き物のような異なるキャラクタにディジタル的に再作成可能である。生成したディジタル作成画像は動画、ビデオゲーム、仮想現実システム、及び同様な応用例に使用可能である。スポーツでは、人体と付属器官の動きを正確に追跡することは、例えばある人のゴルフのスィングを解析し修正するために使用可能である。
【0003】
多数の従来技術のモーション・トラッキング技術が存在する。モーション・キャプチャに従来使用された原理技術は光学、電磁気、電子機械システムである。いくつかのRFシステムも提案され使用されている。地球測地システム(GPS)とその衛星のアレイを基にしたシステムも貨物コンテナのような地球上の物体の位置を追跡するために使用可能であるが、GPSベースのシステムは、モーション・キャプチャ・システムが通常使用される応用例にとっては相対的に遅く、不正確で、扱いにくく、高価である。
【0004】
(光学モーション・キャプチャ・システム)
光学モーション・キャプチャ・システムは演技者の衣服に接着または縫い付けた反射パッチと演技者を照らす光線を一般的に使用する。光学カメラがパッチからの反射を記録し、処理システムがカメラにより記録された画像を処理して演技者が画面を移動する間のパッチの位置を決定する。光学モーション・キャプチャ・システムの例はアバター・アニメーションのウェーブレット・ベースの顔面モーション・キャプチャという題名の米国特許第6,580,511号と、複数物体トラッキング・システムという題名の米国特許第6,567,116号を含む。前者の特許は機能検出と追にトラッキングにウェーブレット変換を含む。光学モーション・トラッキング・システムは視界内操作に限定される。特定のパッチが演技者の動きにより視界から隠され、再度視界にパッチが現れると、操作員は手動により再現したパッチをシステムに通常識別しなければならない。
【0005】
(電磁トラッカー)
電磁トラッカーは、タグがキャプチャ域に電磁場を生成する、または誘起された電磁場中に擾乱を誘起する原理で一般的に動作する。磁場モーション・キャプチャ・システムの例は、コード分割複数アクセスを使用した分散磁場位置決めシステムという題名の米国特許第6,549,004号と、歪補償付き電磁位置及び方向トラッキングの方法と装置という題名の米国特許第6,400,139号を含む。前者の特許はコード分割複数アクセス(CDMA)を使用してビーコン間を識別し、称するところでは、より大きなキャプチャ域と干渉の減少を可能とする。
【0006】
(電子機械装置とスーツ)
電子機械装置とスーツは電位計のような電子機械センサを通常使用して関節の回転のような移動をキャプチャする。センサは電線により処理システムに接続されるか、またはセンサの出力は無線接続を介して送信可能である。電子機械スーツは仮想現実シミュレーション・システムで広範囲に使用されていた。電子機械モーション・トラッキング・システムの例は位相学動き測定ツールという題名の米国特許第6,563,107号と、実時間コンピュータ・アニメーションと仮想現実応用のデータスーツという題名の米国特許第6,070,269号を含む。電子機械システムはしばしば大掛かりで目立つものであり、独立した物体の相対運動を追跡するには必ずしも適合していない。
【0007】
(無線周波システム)
いくつかの無線周波数(RF)システムも提案されている。米国特許第6,204,813号は多数の物体の識別及び位置データを決定する無線周波位置決めシステムを記載していると称している。このシステムは、少なくとも1つの送受信器が多数の物体の各々に配置されている複数個のスペクトル拡散無線送受信器を含む。少なくとも3台のスペクトル拡散無線送受信器が複数個の無線送受信器から信号を送受信する。スペクトル拡散無線送受信器に信号プロセッサが結合されて物体の識別及び位置データを決定する。
【0008】
米国特許第5,583,517号は耐マルチパス周波数ホップスペクトル拡散移動位置システムに向けられている。周波数ホップスペクトル拡散移動車両または人間位置システムは、中央局と、複数個の基地局と、周波数ホップスペクトル拡散差分2位相シフト・キーイング(BPSK)通信信号を使用して通信する複数個の移動送信器から構成される。複数個の基地局の各々は受信ダイポール・アンテナのアレイを含み、雑音のあるマルチパス環境で非常に低電力の周波数ホップスペクトル拡散信号を検索する特殊なアルゴリズムを使用している。基地局は受信ダイポール・アンテナの各々の間の位相差を決定して各基地局の位置に対する送信器の方向を決定する計算アルゴリズムを使用する。各基地局での受信信号の受信角度の複数の方向は到着の最も可能性のある角度を位置決めするn次元曖昧空間を基に補正される。
【0009】
米国特許第5,513,854号はフィールド上の各プレーヤが極小化した無線周波数送信器を担持しているシステムを記述している。少なくとも3台の無線周波角度測定受信器の組が送信器から送信される方向を決定する。ディジタル・プロセッサは三角法を使用して送信器の位置を決定する。
【0010】
米国特許第5,438,321号は地中の鉱夫を追跡する位置決めシステムを記述する。このシステムは中央制御局に接続した多数の識別局を含む。鉱夫はそのヘッドランプに取付けた携帯識別モジュールを交付する。識別モジュールは固有の識別信号を定期間隔で送信し、これは識別局により拾われる。キャップランプを交付する鉱夫は最初にカードから固有の個人識別コードを読取るリーダーに識別カードを通す。このシステムは不明の鉱夫の識別モジュールにより送信される識別コードを受信し表示する方向発見受信機を含む。
【0011】
米国特許第5,056,106号は、携帯受信装置と固定位置基準送信器とを用いて、スペクトル拡散・ベースの無線位置システムを使用し、ゴルフ・コース上のゴルファーと重要位置との間の距離と方向を決定するシステムを記述している。ゴルフ・コースの近傍を通して配置された複数個のタイミング基準送信器は、周期擬似雑音(PN)コード化または同様の列により直接変調された無線周波搬送波から構成されるスペクトル拡散搬送波信号を放送する。各送信器は同一のRF信号で放送するが、固有のPNコード化列が各送信器に割当てられる。ゴルファーには、送信器スペクトル拡散信号を受信し基準送信器の選択された組に対する範囲評価を得るためにスペクトル拡散信号と同期する携帯受信装置が与えられる。
【0012】
米国特許第4,660,039号はスポーツ物体を位置決めするシステムを記述している。ユーザーは無線周波送信器を担持し、スポーツ物体は信号周波数のλ/4の実効長を有する電導ストライプを有しているため、送信器がスポーツ物体に近づくにつれて電導ストライプは送信器への負荷を増大する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は従来技術のシステムに対して各種の利点を与える改良されたRFモーション・トラッキング・システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
ある面では、本発明はモーション・キャプチャ・システムである。この第1の面によると、望ましい実施例で本発明は、キャプチャ域を定義するある区域の周りまたは周辺の既知の位置に配置されたセンサを定義する少なくとも4台の静止無線周波受信器と、基準タグを定義する少なくとも1台の静止周波送信器と、追跡すべき1つ以上の物体に配置したマーカー・タグを定義する多数の無線周波送信器と、を含むことが望ましい。処理システムはセンサにより受信した信号を処理する。信号はスペクトル拡散RF信号である。センサに対する基準タグの位置は直接測定を使用して決定可能であるかまたは直接測定に依存しない各種の可能な較正処理及び技術を用いて決定可能である。キャプチャ域は少なくとも全ての受信器の受信範囲内でなければならない。
センサに対する基準タグの位置が決定されると、センサからのディジタル・サンプルが処理されて各タグと各センサとの間の擬似範囲測定を抽出する。測定は範囲ではなく擬似範囲である、何故なら距離項と共に時間項を含むからである。これらの測定はマーカー・タグと基準タグとの間で差を取られ、生成信号差はセンサ間で差を取られて2重差を形成する。2重差は各測定時に基準タグ位置に対するマーカー・タグ位置を決定する。等価的には、マーカー・タグの各々の位置は既知の数学座標変換を使用して、お互い、センサ位置、または任意の座標系を含む基準のフレーム内の位置に対して決定可能である。基準タグとマーカー・タグからの信号を処理するために使用されるアルゴリズムは時間依存項を落としてしまうため、センサ間、タグ間、またはセンサとタグ間でクロックを同期させる必要性なしにマーカー・タグの位置を非常な高精度で決定可能である。
【0015】
タグにより送信される信号は搬送波周波数に対してコード列変調され、直接シーケンススペクトル拡散技術を使用して拡散される。コード列は、全てのタグに共通の同期コードと、各タグに固有のタグ識別コードとを含む。望ましい実施例では、同期コードは良好な自動相関特性を有する16ビット・ノイマン−ハフマン同期ワードOEED 16進である。タグ識別コードはペア間の相互相関(pairwise cross−correlation)を最小とするように選択される。これらのコードは2進拡張2次残留コード空間(binary extended quadratic residue code space)のランダムに選択されたベクトルである。処理システムはコード位相と搬送波位相決定を使用してタグの位置を波長の一部以内まで解明する。送信器は時間の5%未満で、時間の1%未満で、例示実施例では時間の約0.2%で送信するように、送信機はコードのマイクロバーストを送信する。この小さなデューティサイクルは送信器の電池の消耗を最小化し、また衝突の可能性を減少する。送信レートは秒当たり24及び秒当たり30の両方の整数倍であることが望ましく、特に秒当たり240が望ましい。これは、エンタテイメント業界内で使用されている標準のフレームレートである秒当たり24フレームまたは秒当たり30フレームのどちらかに等しいフレームレートでモーションをキャプチャ可能であることを保証する。
【0016】
処理システムでは、タグ識別コードを表す受信波形は、1と0のビット・ストリームに復調され、検索表から検索されない。代わりに、受信タグ識別コード波形を表すディジタル・サンプルはディジタル信号プロセッサ(DSP)内に実装された相関器を介して処理される。タグ識別コードは受信波形に対して候補タグコード波形を自動相関することにより決定される。
【0017】
本システムはサブミリメータの精度で、対角125メートルまでのキャプチャ域内の5000個までのタグを追跡可能であることをシミュレーションは示している。より一般的には、このことは本システムが少なくとも50メートルの対角線を有するキャプチャ域に対して1cmの精度内で少なくとも100タグの位置を解明可能であることを意味している。これはまた、本システムは少なくとも75メートルのキャプチャ域に対して1cm未満の精度で少なくとも1000送信器の位置を解明可能であることも意味している。
【0018】
他の面では、本発明は柔軟なRFパッチ・タグで、これは、保護カバーまたは層を除去すると、自動的に自身をオンとして送信を開始する。視覚、音声、またはその他のフィードバックを与えて、タグが作動していて送信していることを実証可能である。1実施例では、パッチ送信器は、背面層、接着コーティング、電池層、回路層、アンテナ層、及び保護層を含むいくつかの薄層を有する小さな丸い柔軟なパッチである。本装置は接着層を覆う紙またはフィルム層によりカバーされ、紙層の除去により電源接点が閉鎖して装置を作動させるようにしてもよい。同時に、紙層の除去により接着剤が露出されてタグは追跡すべき物体に直接接着可能となる。パッチ・タグは人間の皮膚または衣服上の多数の位置に接着できるよう十分小さく、これにより人間の実質的に完全な動きを可能とする。
【0019】
本発明のモーション・キャプチャ・システムは、基準フレーム内の物体の位置を知ることが望ましい任意の応用例と、特に物体または多数の別々な物体上の多数の迅速に移動する点の位置を知りたい応用例で利用可能である。
【0020】
他の面では、本発明は、動画カメラの移動を追跡し、カメラの追跡位置と姿勢に従って記録した移動画像上で後処理を実施するよう記述したRFモーション・キャプチャ・システムを利用する整合移動システムである。本発明のこの観点では、携帯動画カメラのような動画カメラ上に少なくとも3個のマーカー・タグが配置される。マーカー・タグは、3個のタグの位置がカメラの空間位置と共にそのピッチ、ヨー、及びロール角を完全に決定するようにカメラ上の非同一平面位置に配置される。カメラ操作員により手動で担持されるようにして、カメラが移動している間にカメラは画面を記録する。カメラの正確な位置と姿勢がRFモーション・トラッキング・システムにより正確に記録されるため、生成した画像を以後に後処理して多数の所要効果を達成可能である。
【0021】
1例では、記録画面を後処理して、ディジタル・コンピュータ生成画像(CG)イメージを画面に挿入可能である。カメラが画面で水平にまたは垂直にパンし、前後に移動し、回転し、ピッチし、またはその他任意の移動を実行すると、カメラの移動に整合するようCGイメージを変更可能である。CG画像の外観は、カメラが移動すると画面に物理的に存在する画像が変化するように望みどおりに正確に変化する。この結果、ある種の従来技術システムで必要であったようなCG画像の手動相関と処理を実質的に減少しつつ動画内の現実的なCG画像が生成される。他の例では、整合移動システムは記録した画像を後処理してカメラのジッタを除去すること、すなわち記録画像からカメラの小さな移動の効果を除去して、画面のフィルム上を介しては、多分移動しているが、観客からはカメラが固定されているように見せることが可能となる。
【0022】
本システムはある応用例で、かつ大部分の意図した応用例で使用されるGPS、慣性センサ、電子機械センサのようなその他の位置決定技術と理論的に組合わせ可能であるが、本システムはその他の位置決定方法なしでも動作可能である。
【0023】
本発明の例示実施例を、同一番号は同一部品を参照している、図面を参照して以下に記載する。
【実施例1】
【0024】
図1を参照すると、本発明の第1面による無線周波(RF)位置トラッキング・システム40は3つのサブシステム:能動RFタグまたは単にタグ、受動センサ42、処理装置または単にプロセッサ60、から構成される。システム40は2つの異なる型式のタグ:1個以上の基準タグ50と1個以上のマーカー・タグ52、を使用する。基準タグ50とマーカー・タグ52は構造が同一でもよい。これらは主にその配置と使用法が異なる。望ましい実施例では、図面に図示した人間や、人間により担持されている銃や剣のような何らかの付属物56のような追跡すべき物体54上に複数個のマーカー・タグ52が配置されている。人間のような多数の構成部品と可能な運動を有する物体に対しては、個々のマーカー・タグ52の追跡移動が物体の各種移動の完全なまたは殆ど完全な記録を生成するように、多数のマーカー・タグ52を人間の各肢や関節に配置することが望ましい。複数物体にタグを取り付け追跡可能である。例えば、剣闘に係わる2人の人間を追跡し、生成したディジタル演技を記憶し、以後2人の異星生物間の剣闘技に変換可能である。物体と基準タグは、センサ42により取囲まれた区域内の、モーション・キャプチャ域、または単にキャプチャ域内に配置される。キャプチャ域は一般にはセンサ42により取囲まれる区域内にあるが、キャプチャ域とセンサ42間にはバッファ域があってもよいので、必ずしも完全には占有しない。マーカー・タグ52と基準タグ50は、直接シーケンススペクトル拡散信号が望ましいRF信号を送信する。信号センサ42はタグにより送信されるRF信号を受信する受信器である。
【0025】
各マーカー・タグ52と基準タグ50からの信号は固有にコード化されて個々のタグを識別する。キャプチャ域の周辺には最小で4個のセンサ42が配置される。センサ42は受信信号帯をディジタル化(サンプルし量子化)する。センサ42からのディジタル・サンプルを処理して各タグ50または52と各センサ42との間の擬似範囲測定を抽出する。測定は範囲ではなく擬似範囲である、何故ならこれは時間項を含むからである。これらの擬似範囲測定はマーカー・タグ52と基準タグ50との間で差を取られ、生成した信号差をセンサ間で差を取って2重差を形成する。2重差を処理して基準タグ50位置に対して各測定時間でマーカー・タグ52位置を決定する。この未加工の位置情報を各マーカー・タグ52に対して出力する。
【0026】
図2は、追跡すべき物体が動画カメラ57である本発明の1つの特殊化した応用例を図示する。カメラ57にはこれに取り付けたまたはその他の場合これと関係する複数個のマーカー・タグ52を有する。カメラ57は、カメラの移動がカメラ上の少なくとも1点のx、y、z位置と共にそのピッチ、ロール、ヨーを含んで完全にキャプチャ可能となるように、少なくとも3個のマーカー・タグが非線形及び非平面空間関係に取り付けられることが望ましい。本応用例では本システムは整合移動システムの一部として使用される。整合移動システムはコンピュータ生成物体の発生またはカメラ・ジッタの除去に使用可能である。
【0027】
(処理アルゴリズム)
以下の説明では、本明細書の特定の図面を参照することなく数式展開をする都合上、名称Aは任意のマーカー・タグ52、名称Rは基準タグ50、及び名称iは任意のセンサ42を参照する。
【0028】
2重差測定はセンサの各々に対するマーカー・タグAと基準タグRからの擬似範囲測定を使用して形成される。n番目の測定時間で、基準タグRはクロックTR(n)で(0、0、0)に位置し、マーカー・タグAはクロックTA(n)でrA(n)=[rAx(n)、rAy(n)、rAz(n)]Tに位置する。複数センサがAとRからRF信号を受信する。センサiは既知の位置Si=[siX、siY、siZ]Tに位置し、クロックTi(n)に対し静止している。センサiでのマーカーAと基準タグRの擬似範囲(PR)の測定式は
ここで
【0029】
マーカー・タグAと基準タグR擬似範囲測定との間の単一差はセンサの時間項(sensor clock term)を除去する。
【0030】
センサiとjとの間の2重差はタグ関連の時間項(tag related clocks terms)を除去する。
【0031】
左側のマーカー・タグA位置に独立な項を組合わせると:
【0032】
3個の未知数は時間nでのマーカー・タグAの位置座標、rAX(n)、rAY(n)、rAZ(n)である。4個のセンサ42からの測定が、これらの3個の未知数の3つの独立な式を得るために必要な3つの独立な2重差を形成するのに必要である。生成した式はマーカー・タグA座標に対して直接解くことが可能である。または、式を近似解法により線形化し、生成線形式をマーカー・タグA座標に対して解くことも可能である。直接解法も線形化の近似解法として使用可能である。
【0033】
4個のセンサからの単一差測定を与えると、直接解法は以下のように計算可能である、ここでs0、s1、s2及びs3は基準タグRに対する4個のセンサの位置ベクトル、δPR01AR、δPR02AR、及びδPR03ARは3個のスカラ2重差である。
【0034】
M≧3の(M+1)センサに対しては、基準タグに対するマーカー・タグA位置の一般化最小2乗解法は以下で与えられる:
rA(n)=r0(n)+δrA
ここで
r0(n)はマーカー・タグA位置ベクトルの近似解
精度を改善するため、これらの式は以下に従って繰り返し可能である:
1.初期マーカーA評価位置ベクトルr0(n)、センサ位置ベクトルsi、及び2重差を与えて、δPRijARを計算。
2.測定ベクトルδZを計算。
3.線形化観察マトリクスHnを計算。
4.誤差状態ベクトルδrを計算。
5.マーカー・タグA評価位置ベクトルrA(n)を更新。
6.更新した位置ベクトルを新たな評価位置ベクトルとして使用し、計算した誤差状態ベクトルが十分小さくなるまで段階2からを繰返す。
誤差状態評価の共分散は以下により与えられる。
【0035】
個々の測定誤差は分散σM2でi.i.d.(独立に一様分布)であると仮定すると、誤差共分散マトリクスは:
で与えられ、ここで
【0036】
センサ・タグ配置の効果は精度の位置希薄化、PDOPで、これは以下のように計算される
PDOPは垂直及び水平成分に分解可能である
PDOP2=HDOP2+VDOP2
【0037】
図3の例示4センサ配列に図示するように、システムは少なくとも4個のセンサ42を使用することが望ましい。図4に示す例示8センサ配列のようなより多くのセンサも可能である。一般的に言って、センサ42の数が増加すると、PDOPが低下する。しかしながら、より良い精度を得るために使用するセンサとタグの数は、処理パワーとスループットを含む実用的な観点からバランスしなければならない。
[0001]5個以上のセンサからの擬似範囲測定が利用可能であると、4つの独立な2重差が一致していない時を検出可能である。6個以上のセンサからの擬似範囲測定では、1つの誤った2重差測定を識別可能である。一般に、(M+1)センサで、(M−4)までの誤った測定を識別可能である。誤った測定は、マルチパス、無線屈折率の変動、干渉、及び装置誤差の結果として生じる。Mx1フォールト・ベクトル
は以下で計算される:
【0038】
決定変数
が閾値を越えた場合、M2重差測定は一致していない。Mが5より大きいか等しい場合、(M−4)の誤った測定が、fi2/Siiを最大とする指数iを見出すことにより識別可能である。
(M+1)センサに対する閾値Tは
で与えられ、ここで
σM2は擬似範囲測定分散
PFAは受入れ可能な誤りアラームレート
Q−1(x、n)は
の逆数、誤差検出の確率は
を使用して計算され、ここで
Bは受入れ可能な測定誤差である。
【0039】
基準タグに対してマーカー・タグ位置を決定するため2重差を処理する別のアルゴリズムは拡張カルマン・フィルタである。マーカー・タグの移動は白色雑音加速により駆動されるものとしてモデル化され、システム・モデルは:
x(k)=Φx(k−1)+w(k)
ここで
x(k)=[r(k)T v(k)T a(k)T]T {9x1状態ベクトル}
r(k)はマーカー・タグ位置ベクトル
v(k)はマーカー・タグ速度ベクトル
a(k)はマーカー・タグ加速度ベクトル
ΔTは測定kとk+1との間の間隔(公称0.004167秒)
σAはモデル化した加速度雑音標準偏差(公称2.25m/sec2)
測定モデルは
δz(k)=H(k)δx(k)+v(k)
ここで
σPRは擬似範囲標準偏差(公称コード位相ベースの測定に対して3.5m、搬送波位相ベースの測定に対して0.00025m)
時間更新式は
測定更新式は
【0040】
状態共分散マトリクスPはマーカー・タグの位置の不確定性を基に初期化される。
【0041】
拡張カルマン・フィルタは性能改良のため繰り返し可能である。各繰り返しの開始時に最新の状態評価を使用して誤差測定ベクトルと観察マトリクスを再計算して、3つの測定更新式が繰り返し計算される。
【0042】
無線周波数の広範囲のスペクトルを使用して本節で記述した概念を実装可能である。しかしながら、最も可能な周波数は0.3GHzから300GHzの範囲である。この範囲はUHF(0.3GHz−3GHz)、SHF(3GHz−30GHz)、及びEHF(30GHzから300GHz)帯を含む。擬似範囲測定を得るために本概念は多様な技術により実装可能である。
【0043】
(第1例示システム実施例)
第1例示システム実施例では、タグ50と52は直接列スペクトル拡散・マイクロ波信号バーストを送信する。センサ42は受信した信号帯をダウン変換しアナログ−ディジタル(A/D)サンプルする。センサ42からのディジタル・サンプルを処理してタグ50と52の各々のコード擬似範囲と搬送波擬似範囲測定を抽出する。これらの擬似範囲測定を処理して各サンプリング時のタグ位置を決定する。
【0044】
シミュレーション結果によると、本システムは130mx55mx10mのキャプチャ域で動作することが予見され、区域内のどこでもタグ52の位置をキャプチャ可能である。最小の望ましいセンサ構成は8センサであり、各々がキャプチャ域の各頂点の近傍にある。さらに24個までのセンサをキャプチャ域の周辺に配置して改良された性能を得られる。センサ42は、センサの前面とキャプチャ域との間に約5から15メートルあるようにセンサ42をセットバックする。タグ50と52は、センサに対する最近接点でキャプチャ域に接する面とキャプチャ域の最近接点からセンサのセットバック距離の2倍だけ離れた平行面とにより定義される容積から一般的に除去される。
【0045】
本システムはキャプチャ域中の5000個までのタグで動作し、軸当り4.5m/sまでの速度、軸当り0.45m/s2加速度、軸当り0.45m/s3ジャークのタグ・ダイナミクスの完全な精度を提供するよう設計されている。軸当り45m/s、軸当り4.5m/s2加速度、軸当り4.5m/s3ジャークまでのタグ・ダイナミクスには精度を減少して与える。本システムは、最小4個のセンサに対して妨害されない視野を有するキャプチャ域内で各個々のタグをキャプチャする90%の確率を提供する。
【0046】
シミュレーションによると、本システムはキャプチャ域内に配置した固定基準タグ50の位置に対してX、Y、Z局所レベル座標でマーカー・タグ位置出力を与える。位置レーテンシは0.1秒を越えない。各マーカー・タグ52の位置出力レートは秒当り1、2、3、4、5、6、8、10、12、15、16、20、24、30、40、48、60、80、120及び240から選択可能であることが望ましい。望ましい実施例では、出力レートは、エンタテインメント業界内で一般的に使用されるフレームレートとの都合のよい適合性から、240のような、24と30の両方の整数倍である。出力精度(output accuracy)は限定されたダイナミクスの期間では軸当り1mm1シグマであり、高速ダイナミクスの期間では軸当り10mm1シグマである。出力精度(output precision)は軸当り1mmである。
【0047】
キャプチャ域内に5000タグを有するシステムの全出力データレートはアンフォーマット・データで9Mバイト/秒、バイト境界にフォーマットしたデータでは10.8Mバイト/秒である。各タグの位置データは17ビットのX位置、16ビットのY位置、14ビットのZ位置、及び13ビットのタグIDとしてフォーマット可能である。バイト境界フォーマットによると、出力位置は3バイトのX位置、2バイトのY位置、2バイトのZ位置、及び2バイトのタグIDから構成される。
【0048】
センサ42は67マイクロ秒のタイミング精度でディジタル・サンプルを発生する。これは最小29dB RF入力ダイナミックレンジを有し、そのアンテナは全キャプチャ域をカバーする視野を与える。
【0049】
図5は第1例示システム実施例が動作する周波数帯域を図示する。本実施例は5.725−5.850GHz周波数帯で動作する。この周波数帯60は8個のサブチャネル、AからHに分割される。各動作サブチャネル62、64、66、68、70、72、74、及び76は10MHz幅で5MHz保護帯域61、63、65、67、69、71、73、75及び77により分離される。
【0050】
図6は本実施例の送信パケット構造を図示する。各パケット80は各タグに共通な16ビット同期ワード82を含む。同期ワード82はその自動相関特性から選択される。望ましい実施例では、16ビット・ノイマン−ホフマン同期ワード0EED16進(0000111011101101 2進)が選択され全パケットに使用される。この同期パターンは図7に示すように優秀な自己相関特性を有する。選択した特定の同期ワードの代わりにその他の同期ワードを使用可能である。さらに、全てのタグが同じ同期ワードを送信する必要はないが、同じ同期ワードを使用することは便利性の利点があり、各タグに良好な同期ワードを使用可能である。またさらに、他のビット数を有する同期ワードを選択可能である。
【0051】
パケット80はまた各タグに固有の48ビット・タグIDフィールド84も含む。各タグの固有のタグIDによりシステムは互いを識別し、個々のタグを自動的に追跡可能である。従来技術の光学反射タグでは、タグがカメラの視界から隠され、次いで再び現れた時、システム操作員が手動で処理システムに対してどのタグが再び現れてどの位置であるかを識別する必要がある。各タグに固有のタグIDを放射させることによりこの要件を除去する。タグIDはヒューズのレーザー蒸着によるような各種の技術によりダイにハード的に配線されるか、またはEEPROM、電池バックアップのRAM、FRAM、UVPROM等のような各種の技術を介してプログラム可能である。
【0052】
タグIDは[48、24、12]2進拡張2次残留コード空間で任意のベクトルとして選択される。これは、全てのコード・ベクトルが最小でも12ビット位置異なることを保証する。タグはエンコーダを必要としない、またはタグIDは予め計算されてタグに記憶される。また、タグは予め記憶したパターンとの相互相関により識別されるため、センサはデコーダを必要としない。コード生成多項式は:
ここでQ={1、2、3、4、6、7、8、9、12、14、16、17、18、21、24、25、27、28、32、34、36、37、42}、で、タグIDのLSBは最初の47ビットに加えるLSBのモジューロ2和が0となるように計算される。
【0053】
タグコードはまた書込まれたタグID、バーコード、またはその他のタグ上の人間またはマシン読取り可能なコード化機構によりタグ自体またはタグ・パッケージ上でも識別可能である。例えば、各タグ上のバーコードにより、追跡すべきどの物体のどの部分に各タグが使用されているか、を操作員が処理中に一旦識別することにより処理の一部としてタグが携帯または固定バーコード・リーダにより走査される。タグIDコードを表す走査バーコードもまた、システム操作員に同じタグIDを有する2つのタグが同じキャプチャ域内で同時に使用されていないことを保証可能とする。
【0054】
例示システム実施例の複数アクセス構造はFDMA(周波数分割複数アクセス)とSSMA(スペクトル拡散複数アクセス)の組合せである。タグは8個の異なる周波数チャネル間に均等に分割される。各チャネルの全てのバーストは、良好な自動相関特性と有する同じ640チップ・セグメントの長い擬似雑音(PN)コードを使用して拡散される。パケット間の衝突は、あるチャネルの1バーストの第1チップがセンサで当該チャネルの他のバーストの第1チップと重なり合った場合にのみ発生する。衝突発生の確率はPC=1−e−2τλで、ここでτはチップ持続時間(100nsec)でλはチャネルレート(バースト/秒)である。例えば、1チャネルでλ=120万バースト/秒では、衝突確率はPC=21%である。2チャネルではチャネル当りのバースト/秒はλ=60万に減少し、PC=11%である。4チャネルでは、λ=30万バースト/秒/チャネルで、PC=5.8%である。8チャネルでは、λ=15万バースト/秒/チャネルで、PC=3.1%である。従って、8チャネルでタグ当り秒当り240測定では、タグ当り秒当り平均7.4測定が衝突により失われる。
【0055】
図8は640チップPNセグメントを発生する簡単なシフトレジスタ発生器を図示する。セグメントは最大長帰還多項式x19+x5+x2+xで初期条件0EEDA16進(0001110111011011010 2進数)によるca19段単純シフトレジスタ発生器(SSRG)から発生される。SSRGは19段、5段、2段及び1段のビットを排他ORして1段への入力を発生する。次いでビットは1段左へシフトされる。最左段、19段のビットは出力である。最初の640ビットが使用される。最初の40ビットは7DBA98EEDA 16進である。
【0056】
図9は640ビットPN列の自動相関を図示する。
【0057】
搬送波は、帯域時間積(BT)=0.3で10Mbpsチップ列により変調されたガウス最小シフト・キーイング(GMSK)である。リンク予定値は以下の表1に与えられる:
【0058】
図10はマーカー・タグ52、センサ42、及びプロセッサ62間の機能インターフェースを示すインターフェース機能線図である。各タグ52は5.8GHz RF搬送波上で変調されたデータペットを周期的に放射する。センサ42はタグ52からのパケットを受信し復調し、これを処理してタグID、コード位相及び搬送波位相を抽出する。このデータはセンサ当り秒当り120万測定の速度でプロセッサ62に与えられる。プロセッサは測定を処理して各タグのX、Y及びZ位置座標、全体で秒当り120万位置を決定する。
【0059】
図11は第1システム実施例の第1タグ実施例の機能ブロック線図である。水晶発振器(XO)1112は基準搬送波を発生する。位相/周波数検出器、低域フィルタ(LPF)1116と分割器1120から構成される、位相ロックループ(PLL)を使用して、これをXO基準搬送波にロックすることにより公称1.16GHz電圧制御発信器(VCO)1118の出力を安定化する。安定化したVCO出力は範囲−π/5からπ/5で線形変調器1128により位相変調される。VCO出力は次いでx5周波数乗算器1130へ印加される。乗算器1130出力は帯域フィルタ(BPF)1132によりフィルタされて不要な高調波を除去する。変調信号は、積分器1124で制御器1122出力波形を積分し、次いで帯域−時間積0.3を有するガウス低域フィルタ(GLPF)1126でフィルタすることにより発生される。制御器1122は、共に10Mbps擬似雑音コードにより拡散された同期ヘッダとタグIDから構成されるデータパケットを周期的に発生する。波形はタグ・アンテナ1134で送信される。
【0060】
図12は第1システム実施例の第2タグ実施例の機能ブロック線図である。本実施例では、水晶発信器(XO)1212が基準クロックを発生する。位相/周波数検出器、低域フィルタ(LPF)1216と分割器1220から構成される位相ロックループを使用して、これをXO基準搬送波にロックすることにより公称5.8GHz電圧制御発信器(VCO)1218の出力を安定化する。安定化したVCO出力は範囲−πからπで線形変調器1228により位相変調される。変調器出力は帯域フィルタ(BPF)1230によりフィルタされる。変調信号は、積分器1224で制御器1222出力波形を積分し、次いで帯域−時間積0.3を有するガウス低域フィルタ(GLPF)1226でフィルタすることにより発生される。制御器1222は、共に10Mbps擬似雑音コードにより拡散された同期ヘッダとタグIDから構成されるデータパケットを周期的に発生する。波形はタグ・アンテナ1234で送信される。
【0061】
図13はタグ制御器1112または1222の第1実装の回路概略図である。10MHzタグ・クロック1312はクロック分割器1314により41667によって除算されて240Hzパケット・クロックを発生する。パケット・クロックは、10MHzクロック信号がANDゲート1318を通過することを可能とし、かつ送信器を付勢するイネーブル・ラッチをセットする。パケット送信が完了した後、ゲートされた10MHzクロックをクロック分割器1320で640クロックにより除算して、イネーブル・ラッチをリセットし、送信器を減勢する。
【0062】
ゲートされた10MHzクロックを使用して19段シフトレジスタ1328をシフトする。このシフトレジスタは各パケットの開始時に0EEDA16進(00001110111011011010 2進)に初期化される。1段、2段、5段、及び19段からの出力が排他オア(XOR)ゲート1330に入力される。ゲート出力は次いでシフトレジスタの第1段に入力される。シフトレジスタ出力、19段の出力は出力排他オア(XOR)ゲート1338に印加される。
【0063】
ゲートされた10MHzクロックはクロック分割器1322で10により除算されて1MHzクロックを形成する。このクロックを使用して6段(64による除算)カウンタ1324を駆動する。カウンタ状態の3つのMSBを使用して、パケットデータを含む8x8ROM1334をアドレスする。アドレスされた8ビットROMデータは8対1MUX1332に印加される。カウンタ状態の3つのMSBを使用してMUX出力を選択する。MUX出力はDフリップフロップ1336を介して10MHzゲート化クロックにより再クロックされ、次いで出力排他オア(XOR)ゲート1338に印加される。
【0064】
図14はタグ制御器1122または1222の第2の可能な実装1122’または1222’の回路線図である。10MHzタグ・クロック1412はクロック分割器1414で41667により除算されて240Hzパケット・クロックを発生する。このパケット・クロックは10段(1024による除算)カウンタ1424をリセットする。カウンタ状態NOT640がデコードされて10MHzクロックをゲートするのに使用され、送信器を付勢する。ゲートされた10MHzクロックを使用してカウンタ1424をクロックする。カウンタ状態が640に達すると、ゲート化クロックが減勢され、カウンタ1424を停止し、送信器が減勢される。カウンタ状態の7つのMSBを使用して、640ビットの拡散パケットデータを含む128x8ROM1434をアドレスする。アドレスされた8ビットROMデータは8対1MUX1432に印加される。カウンタ状態の3つのLSBを使用して、制御器出力を与えるMUX出力を選択する。
【0065】
図15はセンサ42の1つの機能ブロック線図である。センサは受信器アンテナ1512を介してタグから5.8GHz信号を受信し、これを帯域フィルタ1514で帯域フィルタして干渉を除去し、増幅器1516により低雑音増幅して受信器雑音下限値を設定する。低雑音増幅信号は次いで帯域フィルタ1518で再度帯域フィルタされて雑音電力を制限し、各々インフェーズ及びクォドレーチャ・フェーズのベースバンド信号1522と1524に変換される。ベースバンド信号は低域フィルタ1536と1538で低域フィルタされ、増幅器1540と1542で増幅され、アナログ・ディジタル変換機1544と1546でサンプルされ量子化される。受信器クロックを構成するアナログ・ディジタル変換器1544と1546の変換クロックは送信器クロックのいずれとも、またその他の受信器クロックのいずれとも同期していないことに注意されたい。ディジタル・インフェーズ及びクォドレーチャ・フェーズ・サンプルは、マルチプレクサ1548で相関器1550のバンクに印加される単一のデータストリームに多重化される。相関器は、ディジタル信号プロセッサ(DSP)1552により最も可能なタグID、コード位相及び搬送波位相に変換されるパラメータを決定する。これらの評価は次いで処理システム62への転送用に100Base−Tイーサネット(登録商標)・インターフェース1554に出力される。
【0066】
図16は受信したタグ信号を処理するプロセッサ62の機能ブロック線図である。各種のセンサ42からの100Base−Tインターフェース1612上のデータは、コード及び搬送波位相を位置評価に変換する、測定プロセッサ1614に入力される。この評価は1000Base−Tギガビット・イーサネット(登録商標)・インターフェース1616を介して出力される。
【0067】
プロセッサ62はセンサ42からのコード及び搬送波擬似範囲測定を使用してサンプリング時間でのタグ位置を決定する。次いで未加工位置情報が出力される。全ての位置は基準タグ50に対してである。もちろん、基準タグ50の位置が既知であると、キャプチャ域内での任意の基準点またはタグに対する位置は既知の座標変換アルゴリズムを使用して計算可能である。コード擬似範囲測定は前述したように処理されて粗い位置評価を与えるコード位相測定を与える。この粗い評価を使用して曖昧探索を制約し、搬送波擬似範囲測定を使用して最終位置評価を得る。すなわち、コード位相決定は位置の粗い評価を与え、搬送波位相決定は粗い評価内での微細位置決定を与える。コード位相と搬送波位相測定はそれ自体当該技術において公知であり文献に記載されている。
コード擬似範囲測定誤差標準偏差は以下で与えられる:
ここでRはコードレート(10Mcps)
Tは測定持続時間(48ビット/1Mbps=48x10−6s)
C/N0は搬送波対雑音密度比(68dB−Hz@閾値)
これはσコード=1,724mm、またはσ2重差=√4xσコード=3,448mmの値を与える。
【0068】
その他のコード擬似範囲位置誤差原因は1mセンサ位置誤差、実行に何らかの形式の軽減化を必要とする1mマルチパス誤差がある。センサ・アンテナ位相中心変動、及び大気屈折を含む、残りの誤差原因は小さい。誤差予定を表2に示す。
【0069】
搬送波擬似範囲測定式は
ここで
NiAは基準時のタグAとセンサiとの間のサイクルの整数
φiAは基準時の部分位相プラス基準時(サイクル)からの累積測定位相変化
λは搬送波波長(メータ/サイクル)
【0070】
2重差は同様にコード擬似範囲測定に対して以下のように形成可能である
ここで
【0071】
δNijARが既知である場合、処理アルゴリズムという名称の節で説明した直接法、最小2乗、拡張カルマン・フィルタ解法、及び関係するPDOP及びフォールト検出及び分離アルゴリズムが適用可能である。整数が未知である場合、2つのエポック間で2重差の差を取ることにより、3重差を形成することで除去可能である。
【0072】
6個の未知数は時間エポックnとn+1でのマーカー・タグA位置ベクトルrA(n)とrA(n+1)である。これらの6未知数で6個の独立な式を得るために必要な6つの独立な3重差を形成するため、これら2つの時間エポックでの7個のセンサからの測定が必要である。これらの式は以前のエポックからまたはコード擬似範囲解法のどちらかから近似解法で線形化可能で、生成線形式をマーカー・タグA座標に対して解く。
【0073】
M≧6の(M+1)センサと、近似解法[r0(n)、r0(n+1)]に対して、一般化した最小2乗解法は:
XA(n)=X0(n)+δXA
ここで
【0074】
最小2乗解法はrank(Hn)=6の場合にのみ存在する。必要条件は、マーカー・タグAがエポックnとn+1の間で移動することである。そうでない場合、観察マトリクスHの最後の3列は最初の3つの負数であり、rank(H)≦3である。単一エポックの間で良好な観察性を与えるようにタグが十分移動することは有りえないため、時間で十分離れた2つのエポックを使用するか、またはδNijARを決定する必要がある。
【0075】
1つのオプションは2重差を使用し2重差整数を評価することである。各2重差は3つのマーカー・タグAの座標とそのサイクルの2重差整数の関数である。従って、(M+1)センサに対してM+3未知数のM式を有する。これは不定問題である。(M+1)センサでLエポックの場合、LxM式でM+3xL未知数を有する。従って、2つのエポック(L=2)で7センサ(M=6)からの測定が必要である。同様に、4エポック(L=4)では、5センサ(M=4)からの測定が必要である。不運なことに、これらのシステム式は3重差システムと同じ観察性問題を有する。エポック間で顕著なタグA移動が必要である。しかしながら、δNijARを評価しているため、連続するエポックは必要なくなる。
【0076】
2つのエポック、nとn+kと、M≧6の(M+1)センサと、近似式による線形化に対して、一般化した最小2乗解法は:
XA(n)=X0(n)+δXA
ここで
【0077】
このアルゴリズムを使用する1つの方式は、マーカー・タグ2重差整数較正(MTDDIC)を実行することである。プロセッサ62はMTDDICモードに置かれる。基準タグ50とマーカー・タグ52がキャプチャ域に配置される。次いで、所定のMTDDICパターンで、または2重差整数に良好な観察性を保証できるコード擬似範囲測定の処理を基にした十分な移動をプロセッサが観察できるまで、マーカー・タグをキャプチャ域内で移動させる。後者の場合、マーカー・タグの各々に対して十分な移動を観察した時をプロセッサは指示する。両方の場合で、状態評価を上記のように計算する。δNijARが既知となると、各センサが各タグ信号への位相ロックを保持している限り、2重差位相を処理するため処理アルゴリズムという名称で上記したアルゴリズムを使用可能である。
【0078】
較正モードを必要としない他の方式では、δNijAR値を決定するまでプロセッサは2重差位相測定を記憶し、上記の処理アルゴリズムで記載したアルゴリズムを使用してこれを処理してマーカー・タグ位置の時間履歴を解く。2重差整数の良好な観察性を保証できるコード擬似範囲測定の処理を基にした十分な移動が発生するまでプロセッサは待機する。次いでプロセッサはこれを解く。整数が一旦解決されると、処理アルゴリズムで記述したアルゴリズムを使用して2重差位相を処理し、位置評価が実時間で発生される。タグまたはセンサのどれかで位相ロックが失われた場合にMTDDICの後でもこの方式を適用可能である。
【0079】
さらに他の方式は拡張カルマン・フィルタを使用することである。時間更新と測定更新式は処理アルゴリズムの節で記載したものと同一である。状態式と測定モデルの差は:
x(k)=[r(k)T v(k)T a(k)T nT]T は(9+M)x1状態ベクトル
r(k)は3x1マーカー・タグ位置ベクトル
v(k)は3x1マーカー・タグ速度ベクトル
a(k)は3x1マーカー・タグ加速度ベクトル
nは2重差整数、δNijARのMx1ベクトル
σPRは搬送波位相擬似範囲標準偏差(公称0.00025m)である
【0080】
状態共分散マトリクスPは各マーカー・タグ位置の不確定性を基に初期化される。コード擬似範囲解法は軸当り3.5メートルの公称不確定性を与える。
【0081】
システムからのマーカー・タグ位置出力は100msまで遅延可能であるため、タグ位置を決定するため固定遅れ最適スムーザを使用可能である。
【0082】
GPS曖昧性解決には多数の方式が文献に記載されている;これらは一般的に微小な修正により2重差整数の解決に適用可能である。これは、システム識別、粒子フィルタリング、最小2乗曖昧性脱相関調整、高速曖昧性解決方式、高速曖昧性探索フィルタ、遺伝アルゴリズム、及び干渉非線形プログラミング方法を含む。
【0083】
搬送波擬似範囲測定誤差標準偏差は
で与えられ、ここで
cは光速(3x108m/s)
Fは搬送波周波数(5.8GHz)
Tは測定持続時間(48ビット/1Mbps=48x10−6s)
C/N0は搬送波・雑音密度比(閾値で68dB−Hz)
【0084】
生成したσ搬送波は閾値0.24mm、73.7dB−Hz C/N0で0.47mmで、93.4dB−Hz C/N0で0.024mmである。
【0085】
搬送波擬似範囲測定は無線屈折率で補正されなければならない。範囲は光速による伝播時間と関係している、すなわち、aからbへの範囲は光速かけるaからbへの伝播時間に等しい。真空中の光速はc=2.99792458x108m/sである。大気中では、光速はc/(1+Nx10−6)≒cx(1−Nx10−6)で、ここでNは以下で評価可能な無線屈折率(N単位)で、
ここで Tは大気温度(℃)
Pは大気圧(hPa)
Hは相対湿度(%)
(a、b、c)は−20℃<T<+50℃で(6.1121、17.502、240.97)で、−50℃<T<−20℃で(6.1115、22.452、272.55)に等しい。
【0086】
評価誤差は5%以下である。表3は各種の大気条件での150m路に必要な補正を示す。
【0087】
搬送波擬似範囲測定多重路誤差は
で与えられ、ここで
λは搬送波波長
αは反射係数とコード相関(0から1)の積
【0088】
図17は反射係数の関数として計算された搬送波位相マルチパス誤差を示す。
【0089】
マルチパス軽減には多様な技術が利用可能である、制限なしでは、円偏光信号、良好な軸比センサ・アンテナ、チョーク・リング・センサ・アンテナ、センサでのディジタル処理、複数素子センサ・アンテナ、RF吸収センサ接地面、及び高周波搬送波を含む。
【0090】
その他の誤差原因は、センサ・アンテナ位相中心変動とセンサ位置誤差である。位相中心はアンテナの信号到着角の関数として変動する。5.8GHzでは、2から5mmの変動が予想される。各センサ・アンテナは信号到着角の関数として位相中心変動に対して較正され、この較正値が測定から減算される。10%モデル化誤差は0.2から0.5mmの残留誤差を残す。
【0091】
センサ位置は以下の処理を使用してサブミリメータの精度まで測定されることが望ましい:
1)センサを堅牢な支持部に設置する。
2)全てのセンサを較正モードに切り替える。
a)センサ受信器を非活動状態とする。
b)センサ受信器からタグ状信号を放射する。
3)基準タグを堅牢な支持部に設置し、作動させる。
4)基準タグに対していくつかの既知位置に較正受信器を配置する。
5)各位置でデータを収集する。
6)データを処理して基準タグに対するセンサ位置を決定する。
【0092】
当業者には明らかなように、その他の較正処理も可能である。
【0093】
搬送波擬似範囲位置誤差予定値を表4に示す。設計の正当性を示すためシミュレーションを使用した。
【0094】
相関整合フィルタを使用して、時間、周波数、及び位相測定を得る。相関処理は2つのレベルで実行される。第1に、タグ波形の同期フィールドとの相関を時間と周波数同期に使用する。この相関は可能なドップラー・シフトと発信器オフセットの範囲をカバーする周波数で実行されなければならない。この周波数範囲は周波数ビンに分割され、相関は各ビンの中心周波数で実行される。全てのタグは同じ同期フィールドを有しているため、同期相関は各センサにより観察される全てのタグを検出する。
【0095】
タグを検出し、その受信周波数ビンを識別した後、IDフィールドとの相関を使用してコード位相測定と搬送波位相測定を得る。コード位相測定は100nsec相関サンプル間を内挿してピーク相関値を見出すことにより発生される。搬送波位相測定は、内挿したピーク相関値の引数を計算することにより発生される。
【0096】
図18はプロセッサ62内の相関バンク機能処理とその相関バンク1550を示す。秒当たり10x百万サンプル(MSPS)の8ビット・インフェーズ(I)及び8ビット・クォドレーチャ・フェーズ(Q)サンプルの各対がFIFO(先入先出)レジスタ1812に入力される。サンプル対は16ビット・ワードとして記憶される。FIFO1812は800ワード長である。FIFOに入力される160の新たなワードに対応する、62.5kHzのレートで、FIFOの内容は800ワード・バッファにコピーされる。FIFOの最も古い320ワードに対応する320ワードはバッファからコピーされる。このコピー・ブロックは、全て0から構成される160ワードをパッドすることにより320ワードから480ワードに拡張される。このゼロのパッディングはFIFOからの320ワードの最新のものの次のブロックに添付される。パッドされたブロックは480点複素高速フーリエ変換(FFT)部分1814に入力される。8ビットのIサンプルは実数部分として処理され、8ビットのQサンプルは虚数部分として処理される。FFTは、連続する時間フーリエ変換の離散版である、離散フーリエ変換(DFT)の高速実装である。
【0097】
FFT出力は乗算器1816で基準同期列1818により乗算される。480ワード基準同期列は予め計算されメモリ・チップに記憶される。同じ基準同期列が全てのセンサにより使用される。基準同期列はパッドした列の複素FFTを計算し、その複素共役を取る(すなわち、Q部分の代数符号を変更する)ことにより発生される。パッド列の最初の160ワードは10MSPSの理想同期波形を複素サンプリングすることにより得られた160ワードから構成される。残りの320ワードはゼロ・パッディング、すなわち全て0であるワードから構成される。
複素乗算は以下のように使用される:
IM=IFxIC−QFxQC
QM=IFxQC+IFxQC
ここでIMとQMは乗数出力である。
IFとQFはFFT出力である。
ICとQCは基準メモリ・チップからの予め計算された出力である。
【0098】
乗算は要素毎に実行される、すなわちFFT出力ブロック1814の最初のワードが予め計算された基準1818の最初のワードにより乗算され、第2ワードに第2ワードが、等々である。
【0099】
乗算の結果は複素数の480ワード・ベクトルである。このベクトルは480点IFFT(逆FFT)機能1820に入力される。IFFTの出力は複素数の別の480ワード・ベクトルである。これらの数の各々の大きさはIとQ値の2乗和の平方根を取ることにより計算される。生成した480の大きさのピーク値を検査する。各ピークはバッファからの320ワードに含まれるタグ同期フィールドに対応し、ピークの位置はタグ・パケットの開始を識別する。
【0100】
同期フィールドはバッファの最後の320ワード内に含まれているため、タグIDフィールドはバッファ内に完全に含まれなければならない。同期相関により識別された各相関ピークに対して、480ワードIDフィールド加えることの両側の1ワードの予測位置に対応するバッファから482ワードがコピーされる。コピー・ブロックの中心480ワードはブロック1824で可能なタグID基準列の各々と相関される(要素毎の複素乗算を使用して)。480ワード基準ID列は予め計算されタグID波形EEPROM1822のようなメモリ・チップに記憶される。全てのセンサにより同じ組の基準ID列が使用される。基準ID列は10MSPSの理想ID波形を複素サンプリングすることにより発生される。
【0101】
最初に、「可能なタグID基準列」の数はキャプチャ域のタグ数と等しくされる。センサのクロックにより測定される、時間TAで特定のセンサがタグAからのパケットを検出すると、これはタグAからの次のパケットが、タグAクロック・オフセット(100ppm)と移動による±417μsecの最大不確定性でTA+4167μsecに到着することが分かる。センサがタグAからのいくつかのパケットを検出した後は、これはタグAからの次のパケットの到着を特定のバッファに分離可能である。ついで「可能なタグID基準列」の平均数は(240xキャプチャ域中のタグ数/62、500)である。
【0102】
相関の結果は、各可能なタグID基準列に対して1つの複素数値である。ピーク相関値に対応するタグIDを使用してどのタグがパケットを送信しているかを決定する。識別したタグID基準列を使用して、2つの別な相関、1つはコピーの最初の480ワードとのもの、他方はコピーの最後の480ワードとのもの、を計算する。これらの数の各々により表された大きさと位相は、各々、I及びQ値の2乗和の平方根を取ることにより、またI値により除算されたQ値の逆正接、ATAN(Q/I)を取ることにより計算される。大きさ値の内挿を使用して相関ピークを評価し、この値がコード位相測定である。相関ピークを識別すると、位相値を時間の同じ瞬間まで内挿する、この生成値が搬送波位相測定である。
【0103】
同期相関処理の数学説明は以下の通りである。受信した波形複素サンプルはsw(n)により表され、ここでn=0から319であり、基準波形複素サンプルはrw(n)で表され、ここでn=0から159である。パッドされた複素サンプル列、sとrは以下のように発生される:
k=0から159に対してs(k)=0で、k=160から479に対してs(k)=sw(k−160)
k=0から159に対してr(k)=rw(k)で、k=160から479に対してr(k)=0
この時処理は以下のように進行する:
Sはsの高速フーリエ変換(FFT)として計算される
RはrのFFTとして計算される
R*はRの共役として計算される
DはSとR*の要素毎の積、D(k)=S(k)xR*(k)として計算される
相関ベクトルCはDの逆FFTとして計算される
【0104】
テキサス州ダラスのテキサス・インスツルメンツ社(「TI」)から利用可能なTI TMS320C6713−200DSPマイクロ回路をセンサ処理の例示実施例に使用する。TIのTMS320C67xDSPライブラリを利用し、単精度浮動小数点を使用した、同期相関の所要クロック・サイクル数を表5に示す。各DSPは秒当たり200ミリオン・クロックを与えるため、各センサに全部で7個のプロセッサが必要である。プロセッサは並列に動作し、各々が利用され終わるまで、各々が1つのサンプル・バッファを処理し、この時点で第1のプロセッサはフリーとなり、サイクルが繰返される。従って、各プロセッサは7番目毎のサンプル・バッファを処理する。
【0105】
センサがタグを追跡していると、タグID相関処理は3つの480点複素相関と各タグからの各パケットの内挿ピーク値と位相の計算から構成される。ID相関の所要クロック数は表6に示される。キャプチャ域の5000タグと秒当たり240パケットでは、37プロセッサが必要である。
【0106】
(第2システム実施例)
第2のシステム実施例は第1システム実施例と同様であるが、いくつかの異なる技術を使用している。第2システム実施例は第1システム実施例に対して幾分望ましいものと一般的に決定されるため、第2世代設計と考えられる。
【0107】
キャプチャ域は最大対角線が150メートルまでの長方形平行四辺形である。本システムはこのキャプチャ域内のどこでもタグ位置をキャプチャする。本システムは4から32までの任意の数のセンサ42で動作する。センサの前面とキャプチャ域との間の距離がキャプチャ域の最大対角線の5パーセントから15パーセントの間にあるようにセンサは配置される。
【0108】
各センサのバッファ域は当該センサへのその最近接点でキャプチャ域に接する面とキャプチャ域からそのセンサへ離れる2倍のセットバック距離の平行面とにより定義される容積である。バッファ域からタグは排除される。本システムはキャプチャ域内の1000タグをキャプチャ可能である。本システムは軸当たり45m/s速度、軸当たり45m/s2加速度及び軸当たり45m/s3のジャークのダイナミクスでタグをキャプチャ可能である。
【0109】
タグ位置は固定基準タグ50の位置に対してX、Y、Z座標で与えられる。座標フレームの方向は較正中に決定される。タグ位置出力は0.1秒以上のレーテンシを有しない。各タグの位置は秒当たりN回の速度で出力され、ここでNは集合{1、2、3、4、5、6、8、10、12、15、16、20、24、30、40、48、60、80、120、及び240}から選択可能である。
【0110】
同じタグでもよい2つのタグAとBで、同じ時間でもよい2つの時間t1とt2に対して、時間t2でのタグBの報告位置に対する時間t1でのタグAの報告位置の軸誤差当たりの1−σは以下を超えない;タグへの明白な視界を有しているセンサのみを使用して計算された基準タグ50、Aタグ、Bタグの各々の精度の位置希薄(dilution)化(PDOP)は1.73を超えない:
ε=1mm+FV(VAB)+FT(t2−t1)+FD(δAB)
ここで
VAB=MAX[VA(t1)、VA(t2)、VB(t1)、VB(t2)]
VX(tk)は時間tkでのタグXの実際の速度
δAB=|PA(t1)−PB(t2)|
PX(tk)は時間tkでのタグXの実際の位置ベクトル
v<1m/sの場合、FV(v)=0mm、それ以外はFV(v)=1mmxv/(1m/s)
t<21、600秒の場合、FT(t)=0mm、それ以外はFT(t)=1mmxt/(21、600s)
d<3mの場合、FD(d)=0mm、それ以外はFD(d)=1mmxd/(3m)
タグ位置出力は0.1mm、またはそれ以上の精度を有する。
【0111】
システム出力は1000Base−Tインターフェースに与えられる。これは、UDPを使用してIPマルチキャスト・アドレス214.0.0.2上でポート3030へブロードキャストされる。表7に示すフォーマットで選択された出力レートで各タグに1つのUDPパケットが発生される。
【0112】
タグは5725MHzから5875MHz帯に送信される。これは5730+nx10MHz、n=0、1、…、14の中心周波数で15チャネルに分割される。各チャネルに1000までのタグが配置され、帯域では15、000タグの全体容量がある。
【0113】
タグは400ビット・パケットを送信する。特定の周波数チャネルで動作するよう設計された各タグは長い最大長列(PN列)の部分ストリングとして得られる固有の400ビット・パターンを割当てられる。1000タグを収容するため、400、000ビットの最小列長が必要である。これは19以上の段のSSRGと適切な帰還タップにより与えられる。または、ゴールド・コードのような、良好な相互相関特性を有するコード族を使用可能である。
【0114】
図19はタグ内で使用される単純なシフトレジスタ発生器を示す。1000個の400ビット・パターンが最大長帰還多項式x19+x5+x2+xと初期条件07FFFF16進(1111111111111111111 2進)のSSRGから発生される。219−1=524、287はメルセンヌ素数であるため、Z2に対する全ての19次非既約多項式は最大長列を生成する。また、全て0を除いた任意の初期条件で、最大長列を発生する。SSRGは第19段、第5段、第2段、及び1段のビットを排他ORして第1段への入力を発生する。次いでビットは左方へ1段シフトされる。最左方段、第19段のビットが出力される。タグkのビット・パターンは、k=0、1、…、999に対して、出力列のビット400xkから400xk+399である。
【0115】
タグ送信信号変調レートは10Mbpsである。従って、その400ビット・パケットが送信される度に、タグは40μ秒バーストを送信する。バースト繰返しレートは50Hzであり、従ってバースト間の時間は約20、000μ秒である。このように各タグは0.2%の送信デューティサイクルを有する。タグ間の送信クロックには意図的に同期はない。このことは、センサの各々で見出される、異なるタグからのバースト間の重なりは最小化されることを保証する。
【0116】
図20はタグの機能ブロック線図である。10MHz水晶発振器(XO)2012は基準クロックを発生する。位相/周波数検出器、低域フィルタ(LPF)2016、及び分割器2020から構成される位相ロックループ(PLL)を使用して、これをXO基準クロックにロックすることにより公称5.8GHz電圧制御発信器(VCO)2018の出力を安定化する。分割比は所要の周波数チャネルに対応して573、574、…、587の内の1つに設定される。安定化されたVCO出力は変調器2028によりBPSK変調される。変調信号は、ロールオフ係数α=0.35で隆起余弦(RC)LPF2025により制御器2022出力波形をパルス整形することにより発生される。制御器2022は秒当たり50回、10Mbpsでタグの400ビット列を出力する。
【0117】
図21は1つの可能なタグ制御器回路の概略線図である。10MHzタグ・クロック2112は分割器2114で200、000により除算されて50Hzパケット・クロック2116を発生する。このパケット・クロックは付勢フリップフロップ2118をセットし、9段(512除算)カウンタ2122をリセットする。付勢フリップフロップ状態を使用して10MHzクロックをゲートし、送信付勢信号2132を介して送信器を付勢する。ゲートされた10MHzクロックを使用してカウンタ2122をクロックする。カウンタ2122が400状態に到達すると、付勢フリップフロップ2118はリセットされ、ゲート化クロックは減勢され、カウンタ2122を停止し、送信器を減勢する。カウンタ状態の7MSBを使用して、400ビットのパケットデータを含む64x8ROM2124をアドレスする。アドレスされた8ビットROMデータを8対1MUX2126に印加する。カウンタ状態の3LSBを使用して、制御器出力2130を与えるMUX出力を選択する。
【0118】
図27は1つの可能なパッチ・タグ実施例によるパッチ・タグの側面斜視図である。タグ2710は人間の持続性薬品に使用するものと同様の、貼付けパッチとしてパッケージされる。これは平らで、柔軟な、直径約40mmで、複数層を含む。これらの層は上面保護層2712、フィルムまたはプリント・アンテナでよいアンテナ2715を含むアンテナ層、ASIC回路ダイまたはその他の回路を含む回路ダイ層2716、プリント電池のような電池を含む電池層2714、保護層2720、及び接着層2722を含む。除去可能層2724は、タグが使用可能となるまで接着層をカバーし保護する引き剥がし可能な紙層またはフィルム層である。装置が使用可能となると、ユーザーは除去可能層2724を剥がして、タグ2710を人間の皮膚、衣服、または何らかのその他の表面に貼り付けるために使用される接着部を露出する。この背面部(backing)2724の除去はまた、電池接続を閉鎖することによりタグ2710を動作させる。1実施例では、電池層2718は、31mA/時間保持力と1.5VDCで63mAピークパルス放電電流を与えるプリント・オープンセル電池である。回路ダイ層2716上のダイはRF及びディジタル・タグ機能の両方を包含するSiGe BiCMOS ASIC素子でよい。その0.2%デューティサイクルでは、各タグ2710は63mAピークパルス放電電流で10日間動作可能である。
【0119】
除去層2724の除去は多数の異なる方法のどれかでタグ2710を動作可能である。除去層2724は、除去層2724の除去によりタブが接点間から引抜かれ、従って電池回路が閉鎖して素子に電力を与えるまたはこれを動作させるように、パッチ・アンテナ2710の面から内方に伸び、2つのスプリング装着電池接点の間に配置されたタブを含むことが可能である。これは通常開の配置である。通常閉の配置も代わりに使用可能であり、この場合除去層2724は、非常な低アンペア電流が流れる2つの電気接点間を通常カバーし、従って閉鎖する導電部分を有する。除去層が除去されると、接点が開放され、装置は現在開の回路を検出し、装置の残りの部分に電力を与えて送信を開始することにより応答する。
【0120】
使用可能となった時に素子を動作させるその他の機構も可能である。少なくとも1つの不透明部分を有する除去層2724を除去して光ダイオードまたはその他の光レセプタを露光し、素子をオンさせる。除去層2724を除去して、酸素センサを大気に露出して素子をオン出来る。フォイル・ラッパーのようなラッパーでタグ2710を包んで、ラッパーを除去するとタグ2710上のセンサを光、酸素、またはその他の環境条件に露出させて、タグ2710を動作させる。その他の検出方法が公知であり、使用可能である。
【0121】
タグ2710はまた視覚、音声またはその他のフィードバックを与えて、これが動作していることを指示し、ある種の状態情報を与える。例えば、素子の動作時に、小さな発光ダイオード(LED)が何回か発光し、または素子が何回か音声を出し、素子が現在送信していることを指示する。状態情報もまた各種の方法で提供可能である。LED発光パターンまたは音声パターンが、組込み自己検査(BIST)に通過したまたは失敗した、電池が完全充電しているまたは低充電である、またはその他の条件を指示可能である。BIST結果及びその他の診断及び状態情報も、初期作動時及び/または周期的にRF送信を介して送信可能である。
【0122】
図22は1実施例によるセンサ42の機能ブロック線図である。センサはタグから受信アンテナ2212を介して5.8GHz信号を受信し、帯域フィルタ2214で信号を帯域フィルタして干渉を除去し、増幅器2216で低雑音増幅して受信器雑音下限値を設定する。低雑音増幅信号は次いで帯域フィルタ2218で再度帯域フィルタされて雑音電力を制限し、乗算器2224で105MHzIF信号にダウン変換される。IF信号は8MHz帯域によりBPFブロック2226で帯域フィルタされ、増幅器2228で増幅され、A−D変換器2230で20Mspsでサンプルされ量子化される。サンプルレートFSとIF周波数FIFは、ある整数kに対して4xFS=(2k+1)xFSとなるように選択される。FIF=105MHzでFS=20Mspsでは、k=10で(2k+1)=21である。ディジタル・サンプルは、I、Q、−I、−Qに従う交番のインフェーズ(I)とクォドレーチャ・フェーズ(Q)サンプルを表す。これらのサンプルはDSP2232に入力され、ここで複素サンプルに組み合わされて交番符号が訂正される。DSP2232は相関バンクを実装して最もそれらしいタグID、コード位相、及び搬送波位相に変換されるパラメータを決定する。これらの評価は次いで100Base−Tイーサネット(登録商標)・インターフェース2234を介して処理システムに転送される。
【0123】
図23はセンサDSP処理機能ブロック線図である。10Msps複素サンプル2310はFIFOレジスタ2312に入力される。各サンプルは16ビット・ワードとして記憶される。FIFOは600ワード長である。FIFOに入力される200新規ワードに対応する、50kHzのレートで、FIFO内容は600ワード・バッファ2314にコピーされる。バッファ・データはセンサ・モード、獲得または追跡に従って処理される。
【0124】
獲得モードでは、全て0から構成される424ワードをパッドすることにより、バッファは600ワードから1024ワードに拡張される。ゼロ・パッディングはFIFO2312からの最新のワードの隣のブロックに追加される。パッドされたバッファは1024点複素FFT部分2334に入力される。
【0125】
FFT出力は乗算器2336で順次1000基準ID列の各々により乗算される。1024ワード基準ID列は予め計算されメモリ・チップに記憶される。同じ基準ID列が全てのセンサにより使用される。基準ID列はパッドした列の複素FFTを計算し、その複素共役(すなわち、Q部分の代数符号を変更する)を取ることにより発生される。各パッド列の最初の400ワードは10Mspsの理想タグ波形を複素サンプリングすることにより得られた400ワードから構成される。これらの理想タグ波形は、記憶された波形が実際にセンサで受信されたものであるように理想化タグ識別コードを近似するように、送信波形に影響するであろうフィルタのような全てのタグ成分のモデルを含む。残りの624ワードはゼロ・パッディング、すなわち全て0であるワードから構成される。結果はEEPROM2332に記憶される。
【0126】
複素乗算は以下のように使用される:
IM=IFxIC−QFxQC
QM=IFxQC+IFxQC
ここでIMとQMは乗数出力である。
IFとQFはFFT出力である。
ICとQCは基準メモリ・チップからの予め計算された出力である。
【0127】
乗算は要素毎に実行される、すなわちFFT出力ブロックの最初のワードが予め計算された基準の最初のワードにより乗算され、第2ワードに第2ワードが、等々である。
【0128】
乗算の結果は複素数の1024ワード・ベクトルである。このベクトルは1024点IFFT(逆FFT)機能2338に入力される。IFFTの出力2340は複素数の別の1024ワード・ベクトルである。これらの数の各々の大きさはIとQ値の2乗和の平方根を取ることにより計算される。ピーク値と対応する指数が1000タグ基準列の各々に対して決定される。ピークが閾値を越えた場合、対応するタグが受信される。
【0129】
これらのピーク指数の各々により表された大きさと位相は、各々、I及びQ値の2乗和の平方根を取ることにより、またI値により除算されたQ値の逆正接、ATAN(Q/I)を取ることにより計算される。大きさ値の内挿を使用して相関ピークを評価し、この値がコード位相測定である。コード位相測定は粗い位置評価を与える。相関ピークを識別すると、位相値を時間の同じ瞬間まで内挿する、この生成値が搬送波位相測定である。搬送波位相測定はコード位相測定の範囲内で微細な位置評価を与える。
【0130】
獲得モード処理の数学説明は以下の通りである。受信した波形複素サンプルはsw(n)により表され、ここでn=0から599であり、基準波形複素サンプルはrw(n)で表され、ここでn=0から399である。パッドされた複素サンプル列、sとrは以下のように発生される:
k=0から423に対してs(k)=0で、k=424から1023に対してs(k)=sw(k−424)
k=0から399に対してr(k)=rw(k)で、k=400から1023に対してr(k)=0
この時処理は以下のように進行する:
Sはsの高速フーリエ変換(FFT)として計算される
RはrのFFTとして計算される
R*はRの共役として計算される
DはSとR*の要素毎の積、D(k)=S(k)xR*(k)として計算される
相関ベクトルCはDの逆FFTとして計算される
【0131】
追跡モードでは、バッファ中にあるものと予測される各パケットに対して、このパケットと関連する400ワードがセンサに予め記憶された3つの400ワード基準波形と相関される。3つの相関波形はオンタイム・パケットと1/2ビット前に、1/2ビット後にシフトしたパケットである。相関はバッファから抽出した400ワード・ベクトルとオンタイム、早期、後期の予め記憶した基準波形との間の複素ベクトル内積として計算される。従って、追跡モードでは処理は3つの400点複素ベクトル内積と各タグからの各パケットの内挿ピーク値と位相の計算から構成される。
【0132】
TI TMS320C6713−200DSPをセンサ処理に使用してもよい。TIのTMS320C67xDSPライブラリを利用し、単精度浮動小数点を使用すると、キャプチャ域の500タグに対して、期待される所要クロック・サイクル数を表8に示す。各DSPは秒当たり200ミリオン・クロックを与えるため、各センサに単一のプロセッサが必要である。
【0133】
図24は本実施例に従って受信タグ信号を処理するプロセッサの機能ブロック線図である。センサ・インターフェース2414を介した各種のセンサからの100Base−Tインターフェース上のデータ2412は測定プロセッサ2416に入力され、このプロセッサはコード及び搬送波位相を位置評価に変換する。評価2420は1000Base−Tギガビット・イーサネット(登録商標)・インターフェース2418を介して出力される。
【0134】
プロセッサはセンサからのコード及び搬送波擬似範囲測定を使用してサンプリング瞬間のタグ位置を決定する。全ての位置は基準タグに対してである。コード擬似範囲測定は処理アルゴリズムの題名の節で記載したように処理されて粗い位置評価を与える。この粗い位置評価を使用して曖昧探索の範囲を限定し、搬送波擬似範囲測定を処理して最後の位置評価を得る。
【0135】
プロセッサはタグ位置測定を再サンプルして所要位置出力レート(1Hzから240Hz)に整合させる。プロセッサは許容可能な100msecのレーテンシを利用して図25に示すように位置を平滑化する。測定レートと出力レートが同一だとしても、タグ送信時間が非同期であるため再サンプリングが望ましい。
【0136】
図26は、上記の技術を使用して如何に拡張キャプチャ域を作成するかを図示する。拡張キャプチャ域2610は複数個の分離しているが、重なり合ったキャプチャ域2612、2614、2616を含む。センサ2620は個々のキャプチャ域間に配置される。重なり合ったキャプチャ域空間のセンサ2620は線形ではないまたは殆ど線形ではないことが望ましい。
【0137】
(応用例)
上記の基本システムを、ビデオゲーム、テレビ、漫画、コマーシャル、音楽ビデオ、機能フィルム、ディジタル・エキストラ、ディジタル・スタント、ディジタル群集のモーション・キャプチャを含む多数の応用例に使用可能である。本発明は、各種の欠点(膨大な事後処理、高価なハードウェア、隠匿マーカーのキャプチャ不能、制御環境の必要性)なしで、光学システムの多数の利点(非常に正確、多数のマーカー、マーカー構成を容易に変更、演技者がケーブルにより拘束されない、大きな演技区域)を提供する。
【0138】
モーション・キャプチャ・トラッキング・ソフトウェアはプロセッサからマーカー・タグ座標を受信し、これを処理して必要に応じてデータ雑音を減少させる。この減少は、各種の隣接サンプルの平均化、座標上の最大変動値の制限、履歴を基にした位置の予測、のような異なる方法により実現可能である。この目的のためその他の雑音減少アルゴリズムも使用可能である。減少後、モーション・キャプチャ・トラッキング・ソフトウェアは未利用データを再構築する。この再構築は、既存の軌跡を解析し完了させることによりなされる。
【0139】
生物機械ソルバ・プログラムはモーション・キャプチャ・トラッキング・ソフトウェア出力データを取って主題の動きを再構成するために使用される階層構造を構築する。この過程は、3つまでのマーカー・タグの位置を組み合わせて離散部品の回転をその親の周りに再構築する。生成した階層チェーンは、人間の場合は、局所軸のまわりの各肢の回転のような、単一の全体並進と一連の回転から構成される。システムは次いで生物機械ソルバ・プログラムにより発生されたデータを出力する。
【0140】
(RF整合移動)
本システムは整合移動応用に使用可能である。整合移動は2Dフィルムまたはビデオ画像による3D仮想画像の自動登録である。コンピュータ作成(CG)物体を見る仮想カメラは実際のカメラ位置、回転、焦点距離、及び絞りを緊密に整合しなければならない。これは、監督の柔軟性に制限を与える、移動制御カメラを使用することにより、またはカメラを実時間で追跡することにより達成可能である。いずれの場合でも、カメラ設定を記録しなければならない。
【0141】
最小4個の静止基準タグをキャプチャ域に配置して基準座標系を確立する。タグは共平面でない、または殆ど共平面でないことが望ましい。角度精度は、センチメートルで表示した基準タグ間の分離距離により割り算した11°に大体等しい。従って、300cm、10フィートの分離では、0.05°より良好な角度精度が達成可能である。
【0142】
図2は整合移動用にタグをカメラ上に有するカメラを図示する。最小3個のマーカー・タグが各カメラに取り付けられてその空間位置と回転を追跡する。タグは共線形でないまたは殆ど共線形でないことが望ましい。角度精度は、センチメートルで表示した基準タグ間の分離距離により割り算した11°に大体等しい。従って、30cm、1フィートの分離では、0.5°より良好な角度精度が達成可能である。
【0143】
静止マーカー・タグがキャプチャ域に配置されてCG物体の座標フレームを定義する。3個のタグを選択して各物体の座標フレームをロックする。さらに、CG物体は最小で3個のマーカー・タグを取り付けたキャプチャ域の非固定「活動」物体にロック可能である。いずれの場合でも、3個のタグは共線形でないまたは殆ど共線形でないことが望ましい。
【0144】
所要の基準タグとマーカー・タグがキャプチャ域に配置され、カメラに取り付けられ、所要の活動物体に取り付けられると、CG物体は以下のように生の演技画像と組合される:
・ビデオカメラを使用して生の演技を記録する。
・キャプチャ域の全てのマーカー・タグを追跡する。
・カメラの焦点距離と絞り設定を記録する。
・RF位置トラッキング・システム時間コードとカメラ時間コードを記録する。
・各CG物体に座標フレーム・ロック用の3個のタグを割当てる。
・もしこれが「生の」な物体である場合、ビデオカメラによりキャプチャされたように各CG物体が発生される。
・全てのCG物体が「生の」ビデオと表示用の合成物と組み合わされる。
【0145】
カメラから見える静止タグを使用してカメラ・レンズ歪やその他の効果を補正可能である。
【0146】
(遊園地/モール/空港/集合域のアセット・トラッキング・システム)
本システムをアセット・トラッキングに使用可能である。アセット・トラッキングは、高密度の人間、動物、またはその他の移動または固定物体がある可能性のある、遊園地、モール、空港、またはその他の屋内または屋外位置のような任意の区域で人間またはその他の物体の位置と移動をキャプチャする。この使用例は、遊園地での迷子の発見の能力、空港に入った人間が使用する路の追跡能力を含む。マーカー・タグが各アセットに取り付けられる。子供には、子供がマーカー・タグを自分で取り外すことが万一にもないようにマーカー・タグは腕輪または衣服の下に印加される。本システムは任意のマーカー・タグを発見し及び/または時間でのその移動を追跡可能である。本システムを使用して、数千人の子供を遊園地内または同様の集合点でピンポイントの精度で瞬間的かつ同時に追跡可能である。付き添いの両親もマーカー・タグを担持している場合、子供と両親のマーカー・タグを走査により対として登録し、子供が両親の付き添いなく公園を離れた場合に警報が鳴る及び/または保安員に警告することも可能である。誘拐状況の可能性が解決されるまで、子供は駐車ロットまたはその他の外部周辺地を離れることは許されない。
【0147】
アセット・トラッキング・システムでは、アセット・トラッキング・ソフトウェアはプロセッサからマーカー・タグ座標を受信し、これをさらに処理して必要に応じてデータ雑音を減少させる。この減少は、各種の隣接サンプルの平均化、座標上の最大変動値の制限、履歴を基にした位置の予測、のような異なる方法により実現可能である。この目的のためその他の雑音減少アルゴリズムも使用可能である。減少後、アセット・キャプチャ・トラッキング・ソフトウェアは未利用データを再構築する。この再構築は、既存の軌跡を解析し完了させることによりなされる。
【0148】
トレース及びキャプチャ・プログラムはアセット・トラッキング・ソフトウェア出力データを取り、任意の特定時間における被験者の移動と位置を再構築するのに使用される階層構造を構築する。このデータは、建物/構造物/環境詳細を提供する地図、青焼き、GISまたはその他のソフトウェアと組み合わせ可能である。この組み合わせデータをコンピュータ・システム上で監視し、PDAや公衆キオスクへストリーム可能である。
【0149】
(ドライビング・レンジのゴルフ・スィング解析ツール)
位置トラッキング・システムの応用例は個人の再生と解析用にゴルフ・スィングをキャプチャする能力を含む。マーカー・タグとセンサを使用して移動データをキャプチャするドライビング・レンジに本システムを設定可能である。データは実時間で処理されて現実的な3D動画で高精度に表示される。この動画は無限の方法で見て処理可能であり、個人のゴルフ・スィングに考察と解析を提供する。各スィングからのデータセットを保存し、プロのゴルフ・スィング、以前のゴルフ・スィング等と比較可能である。他の部分に対するある人体部分の回転のような、人体部分の移動を分離して見ることが可能である。被験者を一連のワイヤフレームにより表示し、焦点を合わせた解析を与えることも可能である。さらに、データセットをビデオゲームに入力して、個人が自分の実際のスィングと画像をゲームで見ることが可能である。このような応用にはマーカー・タグの数は相対的に少ないため、マーカー・タグ・バースト・レート、従って実効キャプチャ・レートは秒当たり30フレームを優に超過可能であり、標準のビデオ録画装置のものより高速なフレームレートに到達できる。データセットは本質的にディジタルであるため、コンピュータ・システムは瞬間の定量的及び定性的解析を提供可能である。例えば、ゴルフ・スィングの直後に、処理システムはゴルファーに、ボールのインパクトの前に手首を10%回しすぎていることを教え、モデル・ゴルファーと対比して手首のスローモーション画像を提供できる。
【0150】
同様に、ランニングのストライド、ピッチングの運動、棒高跳び、及びその他の活動のようなその他のスポーツ活動をキャプチャし、解析し、処理するために本システムを使用可能である。
【0151】
(工業応用)
上述したアセット・トラッキングに加えて、高速度の異なる部品の高精度整合移動を必要とする高速工業製品製造過程を含む工業過程のような、非人間移動を追跡し解析するために本システムを使用可能である。本システムは、記録されたシーケンスを通して正確な距離、速度、及び回転測定を提供する能力を含む、前記過程を解析するため過去に使用されてきた工業過程の高速フィルムに対して各種の利点を提供する。
【0152】
(ビデオゲーム作成で使用するフィルム作成またはスポーツ・イベントからの移動データのキャプチャ)
正確なトラッキング・システムはフィルムまたはテレビでの視覚効果用に運動をキャプチャするために使用可能である。フィルム上で作成された同じデータセットを、ビデオゲーム用の演技者を模倣する生きているかのような動きの発生に使用可能である。このデータをビデオゲーム・ソフトウェアに使用して、ビデオゲーム用の映画のフィルムから実際の人体の動きと相互作用を再作成可能である。
【0153】
正確なトラッキング・システムを使用して、バスケットボールやフットボールのような実際のスポーツ・イベント時の選手、重要な人物と物体の動きをキャプチャし、ビデオゲーム用の3D動画を作成するために使用可能な位置データを提供可能である。さらに、正確なトラッキング・システムによりキャプチャされたゲームのデータセットをダウンロードし、既存のビデオゲームに入れてプレーヤ体験を強化できる。このデータをビデオゲーム動画ソフトウェアに使用してビデオゲーム用のスポーツ・イベントからの実際の人体の動きや相互作用を再作成できる。
【0154】
(スポーツ放送を強化するためスポーツ・イベント全体をトラッキング)
本システムはまた、プレーヤ、審判/レフェリー/フィールド・ジャッジ、プレーヤ、設備(球、バット、クラブ、等)、及びゲームに重要な静止物体を含む、スポーツ・イベントに係る全ての要素を実時間でキャプチャするために使用可能である。3D動画を使用して実際の動作を再現するため、センサにより収集された動きデータを使用可能である。次いでこの動画を使用して、インターネットを介した観察者制御の視点のような、正確な再生、解析、視覚広告、仮想画像及び相互作用を提供可能である。
【0155】
複数のタグをプレーヤと追跡すべきその他の物体に取り付けることが可能である。ソフトウェアは画像を再構築し、これを動画と併合し、操作員により処理可能な動作の正確な再現を表示し、テレビまたはストリームされるオンラインに放送可能である。
【0156】
(スポーツ演技解析と再生ツール)
位置トラッキング・システムの応用例は、実時間での選手の演技をキャプチャし、監視し、解析する能力を含む。演技中、動きデータはマーカー・タグとセンサの使用によりキャプチャされる。このデータを実時間で処理して高精度に写真精度3D動画で表示する。この動画は無限の方法で見て処理し、選手の演技の洞察と解析を提供可能である。データセットと動画シーケンスは、判断、選手の医療状態の監視、及び訓練用に使用可能である。
【0157】
複数のマーカー・タグをプレーヤと追跡すべきその他の物体に取り付け可能である。ソフトウェアは画像を再構築し、これを動画と併合して、操作員により無限の方法で処理可能な動作の正確な再現を表示する。
【0158】
(完全人体ビデオゲーム・コントローラ)
正確なトラッキング・システムは、既存の手動コントローラが現在行っているものと同じ方法でビデオゲームの動きを実時間で制御する、ビデオゲーム・プレーヤの動きをキャプチャするために使用可能である。プレーヤは、マーカー・タグを身体に取り付けてビデオゲームをプレイし、センサはその動きデータをキャプチャしてこれを処理表示するためビデオゲーム・コンソールに送信する。プレーヤは自分の身体の動きが画面上に再現されるのを見ることができる。
【0159】
手首、かかと、及び腰のような、プレーヤの身体の重要点上に複数のマーカー・タグを取り付ける。ビデオゲーム・コンソールは既存のビデオゲーム・コントローラによるもののようにその動作を解釈し描画する。
【0160】
本明細書で使用するように、用語「無線周波」(RF)は、マイクロ波を含む、約10kHzから約300GHzのスペクトル範囲を包含する意図である。
【0161】
以上の説明で、基準タグは固定または静止しているものとして特徴付けられている。基準タグは必ずしも厳格に静止または固定する必要はないことが認められる。基準タグの位置が決定可能であれば、基準タグは本発明の意味内で固定または静止しているものと理解される。例えば、基準タグを既知または知られている距離だけ既知のまたは知られている方向に移動した場合、方向と距離は処理システムにより知られている、または決定できる。処理システムは単に既知の移動を考慮に入れてこれに従ってタグ擬似範囲測定の処理を続行し、追跡しているマーカー・タグの正確な相対及び/または絶対位置を決定する。本明細書に与える請求の範囲はこのような本質的でない変更を望ましい実施例でカバーする意図である。従って、基準タグを参照する時に本明細書で使用している単語「静止」または「固定」は、地球表面に対して絶対的に静止している場合のみならず、たとえ決定可能な位置がある瞬間から次の瞬間に移動しているものとしても、所要の座標系に対して決定可能な位置に配置されている場合もカバーするものと理解すべきである。
【0162】
本明細書で使用する用語「本発明」は、単一の基本要素または要素の群を有する単一の発明のみが与えられていることを意味しているものと認めるべきでないことが認められる。同様に、用語「本発明」は、各々が別々の発明と考えることが可能な多数の別々な新規発想を包含していることも認められる。本発明を望ましい実施例とその図面に関して詳細に説明してきたが、本発明の要旨と範囲から逸脱することなく本発明の各種の適合や修正を実施できることは当業者には明らかである。例えば、他のハードウェア構造やマイクロ回路技術を使用可能である、アルゴリズムの変更が使用可能である、異なるメモリ型式を使用可能である、異なるビット長、コード・ワード、コード型式を使用可能である、異なる周波数、周波数配置、変調型式、及び送受信技術を使用可能である。従って、上記の詳細な説明と添付の図面は本発明の範囲を制限する意図のものではなく、これは以下の請求の範囲とその適切に認められた法的等価物からのみ推論すべきものであることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】本発明のモーション・キャプチャ・システムの全体システム線図。
【図2】整合移動システムの一部として本発明が動画カメラと共に如何に使用可能であるかを図示する線図。
【図3】例示4センサ実施例のセンサの配置を示す。
【図4】例示8センサ実施例のセンサの配置を示す。
【図5】タグ送信用の周波数平面図。
【図6】送信パケット構造を図示する。
【図7】望ましい実施例で使用する同期ワードの自動相関を示す自動相関図。
【図8】送信列を発生するために使用される単純なシフトレジスタ発生器を図示する。
【図9】本発明の1実施例のタグにより送信される640ビットPN列の自動相関を示す自動相関図。
【図10】システム・インターフェース機能線図。
【図11】第1タグ実施例の機能線図。
【図12】第2タグ実施例の機能線図。
【図13】第1タグ制御器実施例による例示タグ制御器回路の概略線図。
【図14】第2タグ制御器実施例による例示タグ制御器回路の概略線図。
【図15】センサの機能ブロック線図。
【図16】受信したタグ信号を処理するプロセッサの機能ブロック線図。
【図17】望ましい実施例の予測搬送波位相マルチパス誤差を図示する線図。
【図18】プロセッサ内に実装した相関バンクの機能ブロック線図。
【図19】第2システム実施例によりタグ送信を発生するために使用する単純なシフトレジスタ発生器。
【図20】第2システム実施例で使用する第3タグ実施例によるタグの機能ブロック線図。
【図21】第2システム実施例で使用する第3タグ制御器実施例による例示タグ制御器回路の概略図。
【図22】第2システム実施例によるセンサの機能ブロック線図。
【図23】第2システム実施例によるセンサDSP処理機能ブロック線図。
【図24】第2システム実施例による受信したタグ信号を処理するプロセッサの機能ブロック線図。
【図25】タグ位置再サンプリング・プロット。
【図26】個々のキャプチャ域を重ね合わせることにより本システムを使用して如何に拡張したキャプチャ域を生成可能であるかを図示する。
【図27】本発明の1面によるパッチ・タグの側面斜視図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーション・キャプチャ・システムにおいて、
限定された区域の周囲の少なくとも4台の静止無線周波受信器と、
受信器に対して決定可能な位置に配置した第1無線周数送信器と、
限定された区域の近傍内の少なくとも1つの移動可能な物体に取り付けた複数個の無線周波送信器と、
送信器により送信された無線周波信号を受信する受信器と、
送信器により受信された信号を処理して限定された区域の近傍内の移動可能な物体に関する位置情報を決定する処理システムであって、移動可能な物体に取り付けた送信器の位置を決定するため第1送信器から受信した信号を基準として使用する前記処理システムと、
を含むモーション・キャプチャ・システム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムにおいて、受信器に対する前記第1送信器位置を決定する装置をさらに含むシステム。
【請求項3】
請求項1記載のシステムにおいて、静止受信器は各々の受信器クロックを有し、静止受信器はある静止受信器から他へその受信器クロックを同期する回路を有しない、システム。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、前記決定された位置情報を使用して、動画画面内のコンピュータ発生物体を位置決めする段階をさらに含む方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、前記決定された位置情報を使用して、ビデオゲーム画面内のコンピュータ発生物体を位置決めする段階をさらに含む方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、少なくとも1つの移動可能な物体は製品製造過程内で少なくとも2つの相対的に移動する物体を含み、前記決定された位置情報を使用して、前記製品製造過程を解析する段階をさらに含む方法。
【請求項7】
請求項1記載のシステムにおいて、移動可能な物体は動画カメラであり、これに取り付けた複数個の送信器は、カメラのピッチ、ヨー、及びロールを決定するのに十分なカメラ上の位置に配置された少なくとも3個の送信器を含む、システム。
【請求項8】
請求項7記載のシステムにおいて、動画カメラは携帯動画カメラである、システム。
【請求項9】
請求項1記載のシステムにおいて、移動可能な物体に取り付けた複数個の無線周波送信器の内の少なくとも1個は、後背層(backing layer)の除去により作動するパッチを含む、システム。
【請求項10】
請求項9記載のシステムにおいて、パッチは後背層によりカバーされた接着層を有する柔軟なパッチであり、送信器は後背層を除去して接着層を露出することにより作動される、システム。
【請求項11】
請求項1記載のシステムにおいて、物体に取り付けた送信器の各々は同期コードとタグ識別コードを送信し、タグ識別コードは各タグに固有であり、同期コードとタグ識別コードは搬送波周波数に変調される、システム。
【請求項12】
請求項11記載のシステムにおいて、同期コードは0EED16進である、システム。
【請求項13】
請求項11記載のシステムにおいて、タグ識別コードは対の相互相関値が低いものから選択された、システム。
【請求項14】
請求項11記載のシステムにおいて、タグ識別コードは2進拡張2次残留コード空間のベクトルである、システム。
【請求項15】
請求項11記載のシステムにおいて、タグ識別コードは以下のコード発生多項式により発生される値を表す、
ここで、Q={1、2、3、4、6、7、8、9、12、14、16、17、18、21、24、25、27、28、32、34、36、37、42}である、システム。
【請求項16】
請求項1記載のシステムにおいて、処理システムは、地球測地システム(GPS)データまたは物体上の送信器により送信される慣性センサ・データを使用することなく、物体上の送信器の各位置を計算する、システム。
【請求項17】
請求項1記載のシステムにおいて、送信器の各々は、秒当たり24送信と秒当たり30送信の両方の整数倍数である送信レートで送信する、システム。
【請求項18】
請求項1記載のシステムにおいて、移動可能な物体に取り付けた送信器の各々は、
後背層と、
無線周波波形を発生する後背層に取り付けた回路と、
波形を送信するアンテナと、
後背層に印加した接着剤と、
接着剤に印加した除去可能部分と、
除去可能部分を除去した時を検出するセンサと、
除去部分を除去したことをセンサが検出した時に装置に無線周波波形を送信開始させる送信器制御器と、
を含む、システム。
【請求項19】
少なくとも1つの物体の移動をトラッキングする方法において、
センサを定義する複数個の無線周波受信器を設ける段階と、
第1無線周波送信器を設ける段階であって、第1無線周波送信器は基準タグを定義し、
少なくとも1つの物体上に複数個の無線周波送信器を設ける段階であって、送信器はマーカー・タグを定義し、
基準タグの位置を決定して基準タグ既知位置を定義する段階と、
基準タグの既知位置とマーカー・タグと基準タグとからセンサで受信した無線周波信号を処理し、基準タグからマーカー・タグの各々の位置を決定する段階と、
を含む少なくとも1つの物体の移動をトラッキングする方法。
【請求項20】
請求項19記載の方法において、処理は、
基準タグとセンサとの間の各基準タグ擬似範囲測定を計算する段階と、
マーカー・タグの各々とセンサとの間の各マーカー・タグ擬似範囲測定を計算する段階と、
センサの各々に対してマーカー・タグ擬似範囲測定と基準タグ擬似範囲測定との間の各単一差を計算する段階と、
センサの対に対して単一差間の各2重差を計算する段階と、
2重差を使用して連立方程式の組を形成する段階と、
連立方程式を解いてマーカー・タグの位置を計算する段階と、
を含む方法。
【請求項21】
請求項19記載の方法において、マーカー・タグの各々は同期コードと各タグ識別コードを送信し、タグ識別コードは各タグに固有であり、同期コードとタグ識別コードは搬送波周波数上で変調される、方法。
【請求項22】
請求項21記載の方法において、処理は、前記同期コードのビット位置に対応する範囲内に特定のマーカー・タグの位置を指示するコード位相を決定する段階を含む、方法。
【請求項23】
請求項19記載の方法において、処理は、搬送波位相をさらに決定する段階を含み、搬送波位相は搬送波周波数の1波長以下内で前記ビット位置内の特定のマーカー・タグの位置を解明する、方法。
【請求項24】
請求項19記載の方法において、動画画面内にコンピュータ生成画像を挿入するため本方法により作成されたデータを使用する段階をさらに含む、方法。
【請求項25】
請求項19記載の方法において、ビデオゲーム画面を作成するため本方法により作成されたデータを使用する段階をさらに含む、方法。
【請求項26】
請求項19記載の方法において、仮想現実シミュレータ内で本方法により作成されたデータを使用する段階をさらに含む、方法。
【請求項27】
請求項19記載の方法において、スポーツのトレーニング用に本方法により作成されたデータを使用する段階をさらに含む、方法。
【請求項28】
請求項19記載の方法において、スポーツ・イベントの放送時に選手の動作を図示するため本方法により作成されたデータを使用する段階をさらに含む、方法。
【請求項29】
物体の移動をトラッキングする方法において、
少なくとも1つの物体上に少なくとも1個の送信器を配置する段階であって、該送信器は無線周波信号を送信する前記配置する段階と、
複数個の無線周波受信器で信号を受信する段階と、
信号の送信と特定の受信器での信号の受信の両方が他の受信器の任意のものに対した時間で制御されておらず、
受信器で受信した信号のタイミングを処理して物体の移動を追跡する段階と、
を含む物体の移動をトラッキングする方法。
【請求項30】
請求項29記載の方法において、25メートルかける25メートル以上の水平寸法を有するキャプチャ域内で移動が発生し有効に追跡される、方法。
【請求項31】
請求項29記載の方法において、少なくとも100メートルの対角線寸法を有するキャプチャ域内で移動が発生し有効に追跡される方法。
【請求項32】
請求項29記載の方法において、少なくとも1個の送信器は少なくとも1000個の送信器を含む方法。
【請求項33】
請求項29記載の方法において、少なくとも1個の送信器は、送信器間の対の相互相関を最小にするよう選択された各波形で送信する複数個の送信器を含む、方法。
【請求項34】
請求項29記載の方法において、送信器は5パーセント以下のデューティサイクルで送信する、方法。
【請求項35】
物体の移動をトラッキングする方法において、
キャプチャ域の周りに複数個の無線周波センサを配置する段階と、
キャプチャ域内の基準タグを定義する少なくとも1個の基準無線周波送信器を配置する段階と、
センサに対するマーカー・タグの位置を決定する段階と、
物体上にマーカー・タグを定義する複数個の無線周波送信器を配置する段階と、
センサで基準タグとマーカー・タグにより送信される信号を受信する段階と、
基準タグとマーカー・タグにより送信された信号を処理して、物体がキャプチャ域を移動する間の物体の位置を決定する段階と、
を含む物体の移動をトラッキングする方法。
【請求項36】
請求項35記載の方法において、マーカー・タグは互いに対して、または基準タグに対して同期していない、方法。
【請求項37】
物体の移動をトラッキングする方法において、
物体上の複数個の別々の位置の各々に各マーカー・タグを定義する無線周波送信器を配置する段階であって、各送信器は少なくとも部分的に固有のマーカー・タグ識別コードに対応する各々の波形を送信する前記配置する段階と、
送信波形を受信する段階であって、送信波形の受信版は受信波形を定義する、前記受信する段階と、
波形を各々のビット・パターンに復調することなくこれらの波形を送信した各マーカー・タグに各受信波形を関連付ける段階と、
各波形を処理して各マーカー・タグの位置を決定する段階と、
を含む物体の移動をトラッキングする方法。
【請求項38】
請求項37記載の方法において、波形処理は記憶したタグ識別コード波形のサンプルに対して受信波形の各々のサンプル値を相関する段階を含み、
前記特定の受信波形の前記サンプルと特定の記憶タグ識別コード波形との間の高相関を基に特定の受信波形を送信したマーカー・タグとして特定のマーカー・タグを識別する段階と、
を含む方法。
【請求項39】
請求項38記載の方法において、ディジタル信号処理マイクロ回路を使用して相関が実行される、方法。
【請求項40】
請求項38記載の方法において、記憶したタグ識別コード波形は、実際に前記センサで受信されるような理想タグ識別コード波形を近似するようフィルタされた、方法。
【請求項41】
物体の移動をトラッキングする方法において、
物体上に複数個の送信器を配置する段階であって、送信器の各々は秒当たり24送信と秒当たり30送信の両方の整数倍数である送信レートで信号を送信する、前記配置する段階と、
送信信号を処理して物体の移動をトラッキングする段階と、
を含む物体の移動をトラッキングする方法。
【請求項42】
請求項41記載の方法において、送信レートは秒当たり240送信である、方法。
【請求項43】
無線周波送信装置において、
後背層と、
後背層に取り付けられて無線周波波形を発生する回路と、
波形を送信するアンテナと、
後背層に印加した接着剤と、
接着剤に印加した除去部分と、
除去部分を除去した時を検出するセンサと、
除去部分を除去したことをセンサが検出した時に装置に無線周波波形を送信開始させる送信器制御器と、
を含む無線周波送信装置。
【請求項44】
請求項43記載の無線周波送信装置において、送信器制御器は、除去部分を除去したことを検出した時点で少なくとも回路の一部へ電池から電力を流すスイッチを含む、無線周波送信装置。
【請求項45】
請求項43記載の無線周波送信装置において、除去部分は、除去層を剥がし、これにより装置を動作させ、装置が以後接着剤により物体に接着するように、接着剤と接触する除去コーディングを塗布されたフィルムまたは紙層を含む、無線周波送信装置。
【請求項46】
請求項43記載の無線周波送信装置において、実質的に人体の完全な動作を可能としつつ、着衣のまたは着衣していない人体のどちらかに直接接着されるよう装置は十分小さく柔軟である、無線周波数送信装置。
【請求項47】
無線周波送信装置において、
送信器と、
送信器に電力を与える電源と、
送信すべき波形に対応するデータを記憶するメモリと、
装置の少なくとも一部の上に配置された保護カバーと、
保護カバーの除去時に装置を自動的に動作させる装置と、
を含む無線周波送信装置。
【請求項48】
請求項47記載の装置において、保護カバーは、装置の接着剤塗布部分の上に配置された除去コーティングを有する除去層であり、作動装置は除去層の除去により動作するスイッチを含む、装置。
【請求項49】
請求項47記載の装置において、保護カバーは装置を包装する気密包装であり、作動装置は酸素センサと、酸素センサが酸素の存在を感知した時に装置を作動させるスイッチとを含む、装置。
【請求項50】
請求項47記載の装置において、作動装置は光スイッチであり、保護カバーは光スイッチ上に配置された不透明なカバーである、装置。
【請求項51】
請求項47記載の装置において、装置の少なくとも1つと保護カバー上に機械読取り可能な証印(indicia)をさらに有し、機械読取り可能証印は装置が作動した時に装置により送信されるタグ識別コードに対応する、装置。
【請求項52】
請求項47記載の装置において、装置の少なくとも1つと保護カバー上に人間により読取り可能な証印をさらに有し、証印は装置が作動した時に装置により送信されるタグ識別コードに対応する、装置。
【請求項53】
請求項51記載の装置において、機械読取り可能な証印はバーコードである、装置。
【請求項54】
方法において、
カメラに取り付けた少なくとも3個の無線送信器を設けて、カメラ送信器を定義する段階と、
カメラ送信器から受信した信号を処理してカメラの移動を決定する段階と、
を含む方法。
【請求項55】
請求項54記載の方法において、カメラの移動を決定するため何らの電子機械的または光学センサを使用する段階を含まない、方法。
【請求項56】
請求項54記載の方法において、カメラにより記録された画面で画像のコンピュータ合成とカメラの移動を相関する段階をさらに含む方法。
【請求項57】
請求項54記載の方法において、
静止位置に基準送信器を定義する少なくとも1個の無線送信器を設ける段階と、をさらに含み、
処理段階は、カメラ送信器から及び基準送信器から受信した信号を処理してカメラの移動を決定する段階を含む、
方法。
【請求項58】
請求項54記載の方法において、送信器は無線周波送信器である、方法。
【請求項59】
請求項54記載の方法において、カメラは携帯動画カメラである、方法。
【請求項60】
請求項59記載の方法において、
携帯カメラにより記録された画像とカメラ上の送信器から受信した信号を処理して記録画像からカメラのジッタを除去する段階と、
をさらに含む、方法。
【請求項61】
後処理用の動画画像を記録するシステムにおいて、
移動可能な動画カメラと、
カメラに取り付けた複数個の無線周波送信器と、
カメラに取り付けていない基準送信器と、
送信器により送信された信号を受信し、これからカメラの移動を決定する第1処理部分と、
を含む、後処理用の動画画像を記録するシステム。
【請求項62】
請求項61記載のシステムにおいて、
カメラの前記移動を基に記録した動画画像を変更する第2処理部分と、
をさらに含むシステム。
【請求項63】
請求項62記載のシステムにおいて、カメラに取り付けた送信器は何らの慣性センサ・データを送信しない、システム。
【請求項64】
請求項62記載のシステムにおいて、記録画像を変更する段階は、カメラの移動がコンピュータ生成画像の外観に対応する変化を生じさせるように、記録画像に少なくとも1つのコンピュータ生成画像を追加する段階を含む、システム。
【請求項65】
請求項62記載のシステムにおいて、記録画像を変更する段階は、記録画像からカメラ・ジッタを除去する段階を含む、システム。
【請求項66】
モーション・キャプチャ・システムにおいて、
複数個の無線送信器と、
複数個の無線受信器と、
送信器または受信器のどちらのタイミング・クロックも同期する必要性なしに、受信器により送信器から受信した信号のタイミングを基に無線送信器の位置を決定する装置と、
を含むモーション・キャプチャ・システム。
【請求項67】
請求項66記載のモーション・キャプチャ・システムにおいて、少なくともいくつかの無線送信器は移動可能なカメラに配置されている、モーション・キャプチャ・システム。
【請求項68】
請求項66記載のモーション・キャプチャ・システムにおいて、
無線送信器は、基準送信器を定義する既知位置に配置された少なくとも1台の送信器を含み、
位置決定装置は、少なくとも50メートルの対角線を有するキャプチャ域に対して1cm以内の精度で少なくとも100個の送信器の位置を解明可能な装置を含む、
モーション・キャプチャ・システム。
【請求項69】
請求項68記載のモーション・キャプチャ・システムにおいて、解明装置は、少なくとも75メートルのキャプチャ域に対して1cm以内の精度で少なくとも1000個の送信器の位置を解明する装置を含む、モーション・キャプチャ・システム。
【請求項70】
請求項66記載のモーション・キャプチャ・システムにおいて、位置決定装置は、送信器クロック依存項と受信器クロック依存項を数学的にキャンセルし、これにより送信器と受信器との間の同期の必要性を不要とする装置を含む、モーション・キャプチャ・システム。
【請求項71】
請求項70記載のモーション・キャプチャ・システムにおいて、
受信器は互いに隔置したセンサ受信器を定義する少なくとも4台の受信器を含み、
送信器は基準送信器を定義する既知位置の少なくとも1台の送信器と、少なくとも1つの移動物体に取り付けたマーカー送信器を定義する複数個の送信器とを含み、移動物体は4台の受信器の受信範囲内のキャプチャ域内で移動し、
クロック依存項を数学的にキャンセルする装置は、
マーカー送信器受信信号パラメータと基準送信基準信号パラメータとの間の各単一差を計算する装置と、
センサ受信器の対に対して前記単一差間の各2重差を計算する装置と、
を含む、モーション・キャプチャ・システム。
【請求項72】
請求項68記載のモーション・キャプチャ・システムにおいて、マーカー送信器は、1%デューティサイクル以下のバーストでスペクトル拡散信号を送信する、モーション・キャプチャ・システム。
【請求項73】
請求項68記載のモーション・キャプチャ・システムにおいて、マーカー送信器は複数個のマーカー送信器の群を含み、第1群のマーカー送信器は第1周波数帯内のスペクトル拡散信号を送信し、第2群のマーカー送信器は第2周波数帯内のスペクトル拡散信号を送信し、第1及び第2周波数帯は保護帯により分離されている、モーション・キャプチャ・システム。
【請求項1】
モーション・キャプチャ・システムにおいて、
限定された区域の周囲の少なくとも4台の静止無線周波受信器と、
受信器に対して決定可能な位置に配置した第1無線周数送信器と、
限定された区域の近傍内の少なくとも1つの移動可能な物体に取り付けた複数個の無線周波送信器と、
送信器により送信された無線周波信号を受信する受信器と、
送信器により受信された信号を処理して限定された区域の近傍内の移動可能な物体に関する位置情報を決定する処理システムであって、移動可能な物体に取り付けた送信器の位置を決定するため第1送信器から受信した信号を基準として使用する前記処理システムと、
を含むモーション・キャプチャ・システム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムにおいて、受信器に対する前記第1送信器位置を決定する装置をさらに含むシステム。
【請求項3】
請求項1記載のシステムにおいて、静止受信器は各々の受信器クロックを有し、静止受信器はある静止受信器から他へその受信器クロックを同期する回路を有しない、システム。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、前記決定された位置情報を使用して、動画画面内のコンピュータ発生物体を位置決めする段階をさらに含む方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、前記決定された位置情報を使用して、ビデオゲーム画面内のコンピュータ発生物体を位置決めする段階をさらに含む方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、少なくとも1つの移動可能な物体は製品製造過程内で少なくとも2つの相対的に移動する物体を含み、前記決定された位置情報を使用して、前記製品製造過程を解析する段階をさらに含む方法。
【請求項7】
請求項1記載のシステムにおいて、移動可能な物体は動画カメラであり、これに取り付けた複数個の送信器は、カメラのピッチ、ヨー、及びロールを決定するのに十分なカメラ上の位置に配置された少なくとも3個の送信器を含む、システム。
【請求項8】
請求項7記載のシステムにおいて、動画カメラは携帯動画カメラである、システム。
【請求項9】
請求項1記載のシステムにおいて、移動可能な物体に取り付けた複数個の無線周波送信器の内の少なくとも1個は、後背層(backing layer)の除去により作動するパッチを含む、システム。
【請求項10】
請求項9記載のシステムにおいて、パッチは後背層によりカバーされた接着層を有する柔軟なパッチであり、送信器は後背層を除去して接着層を露出することにより作動される、システム。
【請求項11】
請求項1記載のシステムにおいて、物体に取り付けた送信器の各々は同期コードとタグ識別コードを送信し、タグ識別コードは各タグに固有であり、同期コードとタグ識別コードは搬送波周波数に変調される、システム。
【請求項12】
請求項11記載のシステムにおいて、同期コードは0EED16進である、システム。
【請求項13】
請求項11記載のシステムにおいて、タグ識別コードは対の相互相関値が低いものから選択された、システム。
【請求項14】
請求項11記載のシステムにおいて、タグ識別コードは2進拡張2次残留コード空間のベクトルである、システム。
【請求項15】
請求項11記載のシステムにおいて、タグ識別コードは以下のコード発生多項式により発生される値を表す、
ここで、Q={1、2、3、4、6、7、8、9、12、14、16、17、18、21、24、25、27、28、32、34、36、37、42}である、システム。
【請求項16】
請求項1記載のシステムにおいて、処理システムは、地球測地システム(GPS)データまたは物体上の送信器により送信される慣性センサ・データを使用することなく、物体上の送信器の各位置を計算する、システム。
【請求項17】
請求項1記載のシステムにおいて、送信器の各々は、秒当たり24送信と秒当たり30送信の両方の整数倍数である送信レートで送信する、システム。
【請求項18】
請求項1記載のシステムにおいて、移動可能な物体に取り付けた送信器の各々は、
後背層と、
無線周波波形を発生する後背層に取り付けた回路と、
波形を送信するアンテナと、
後背層に印加した接着剤と、
接着剤に印加した除去可能部分と、
除去可能部分を除去した時を検出するセンサと、
除去部分を除去したことをセンサが検出した時に装置に無線周波波形を送信開始させる送信器制御器と、
を含む、システム。
【請求項19】
少なくとも1つの物体の移動をトラッキングする方法において、
センサを定義する複数個の無線周波受信器を設ける段階と、
第1無線周波送信器を設ける段階であって、第1無線周波送信器は基準タグを定義し、
少なくとも1つの物体上に複数個の無線周波送信器を設ける段階であって、送信器はマーカー・タグを定義し、
基準タグの位置を決定して基準タグ既知位置を定義する段階と、
基準タグの既知位置とマーカー・タグと基準タグとからセンサで受信した無線周波信号を処理し、基準タグからマーカー・タグの各々の位置を決定する段階と、
を含む少なくとも1つの物体の移動をトラッキングする方法。
【請求項20】
請求項19記載の方法において、処理は、
基準タグとセンサとの間の各基準タグ擬似範囲測定を計算する段階と、
マーカー・タグの各々とセンサとの間の各マーカー・タグ擬似範囲測定を計算する段階と、
センサの各々に対してマーカー・タグ擬似範囲測定と基準タグ擬似範囲測定との間の各単一差を計算する段階と、
センサの対に対して単一差間の各2重差を計算する段階と、
2重差を使用して連立方程式の組を形成する段階と、
連立方程式を解いてマーカー・タグの位置を計算する段階と、
を含む方法。
【請求項21】
請求項19記載の方法において、マーカー・タグの各々は同期コードと各タグ識別コードを送信し、タグ識別コードは各タグに固有であり、同期コードとタグ識別コードは搬送波周波数上で変調される、方法。
【請求項22】
請求項21記載の方法において、処理は、前記同期コードのビット位置に対応する範囲内に特定のマーカー・タグの位置を指示するコード位相を決定する段階を含む、方法。
【請求項23】
請求項19記載の方法において、処理は、搬送波位相をさらに決定する段階を含み、搬送波位相は搬送波周波数の1波長以下内で前記ビット位置内の特定のマーカー・タグの位置を解明する、方法。
【請求項24】
請求項19記載の方法において、動画画面内にコンピュータ生成画像を挿入するため本方法により作成されたデータを使用する段階をさらに含む、方法。
【請求項25】
請求項19記載の方法において、ビデオゲーム画面を作成するため本方法により作成されたデータを使用する段階をさらに含む、方法。
【請求項26】
請求項19記載の方法において、仮想現実シミュレータ内で本方法により作成されたデータを使用する段階をさらに含む、方法。
【請求項27】
請求項19記載の方法において、スポーツのトレーニング用に本方法により作成されたデータを使用する段階をさらに含む、方法。
【請求項28】
請求項19記載の方法において、スポーツ・イベントの放送時に選手の動作を図示するため本方法により作成されたデータを使用する段階をさらに含む、方法。
【請求項29】
物体の移動をトラッキングする方法において、
少なくとも1つの物体上に少なくとも1個の送信器を配置する段階であって、該送信器は無線周波信号を送信する前記配置する段階と、
複数個の無線周波受信器で信号を受信する段階と、
信号の送信と特定の受信器での信号の受信の両方が他の受信器の任意のものに対した時間で制御されておらず、
受信器で受信した信号のタイミングを処理して物体の移動を追跡する段階と、
を含む物体の移動をトラッキングする方法。
【請求項30】
請求項29記載の方法において、25メートルかける25メートル以上の水平寸法を有するキャプチャ域内で移動が発生し有効に追跡される、方法。
【請求項31】
請求項29記載の方法において、少なくとも100メートルの対角線寸法を有するキャプチャ域内で移動が発生し有効に追跡される方法。
【請求項32】
請求項29記載の方法において、少なくとも1個の送信器は少なくとも1000個の送信器を含む方法。
【請求項33】
請求項29記載の方法において、少なくとも1個の送信器は、送信器間の対の相互相関を最小にするよう選択された各波形で送信する複数個の送信器を含む、方法。
【請求項34】
請求項29記載の方法において、送信器は5パーセント以下のデューティサイクルで送信する、方法。
【請求項35】
物体の移動をトラッキングする方法において、
キャプチャ域の周りに複数個の無線周波センサを配置する段階と、
キャプチャ域内の基準タグを定義する少なくとも1個の基準無線周波送信器を配置する段階と、
センサに対するマーカー・タグの位置を決定する段階と、
物体上にマーカー・タグを定義する複数個の無線周波送信器を配置する段階と、
センサで基準タグとマーカー・タグにより送信される信号を受信する段階と、
基準タグとマーカー・タグにより送信された信号を処理して、物体がキャプチャ域を移動する間の物体の位置を決定する段階と、
を含む物体の移動をトラッキングする方法。
【請求項36】
請求項35記載の方法において、マーカー・タグは互いに対して、または基準タグに対して同期していない、方法。
【請求項37】
物体の移動をトラッキングする方法において、
物体上の複数個の別々の位置の各々に各マーカー・タグを定義する無線周波送信器を配置する段階であって、各送信器は少なくとも部分的に固有のマーカー・タグ識別コードに対応する各々の波形を送信する前記配置する段階と、
送信波形を受信する段階であって、送信波形の受信版は受信波形を定義する、前記受信する段階と、
波形を各々のビット・パターンに復調することなくこれらの波形を送信した各マーカー・タグに各受信波形を関連付ける段階と、
各波形を処理して各マーカー・タグの位置を決定する段階と、
を含む物体の移動をトラッキングする方法。
【請求項38】
請求項37記載の方法において、波形処理は記憶したタグ識別コード波形のサンプルに対して受信波形の各々のサンプル値を相関する段階を含み、
前記特定の受信波形の前記サンプルと特定の記憶タグ識別コード波形との間の高相関を基に特定の受信波形を送信したマーカー・タグとして特定のマーカー・タグを識別する段階と、
を含む方法。
【請求項39】
請求項38記載の方法において、ディジタル信号処理マイクロ回路を使用して相関が実行される、方法。
【請求項40】
請求項38記載の方法において、記憶したタグ識別コード波形は、実際に前記センサで受信されるような理想タグ識別コード波形を近似するようフィルタされた、方法。
【請求項41】
物体の移動をトラッキングする方法において、
物体上に複数個の送信器を配置する段階であって、送信器の各々は秒当たり24送信と秒当たり30送信の両方の整数倍数である送信レートで信号を送信する、前記配置する段階と、
送信信号を処理して物体の移動をトラッキングする段階と、
を含む物体の移動をトラッキングする方法。
【請求項42】
請求項41記載の方法において、送信レートは秒当たり240送信である、方法。
【請求項43】
無線周波送信装置において、
後背層と、
後背層に取り付けられて無線周波波形を発生する回路と、
波形を送信するアンテナと、
後背層に印加した接着剤と、
接着剤に印加した除去部分と、
除去部分を除去した時を検出するセンサと、
除去部分を除去したことをセンサが検出した時に装置に無線周波波形を送信開始させる送信器制御器と、
を含む無線周波送信装置。
【請求項44】
請求項43記載の無線周波送信装置において、送信器制御器は、除去部分を除去したことを検出した時点で少なくとも回路の一部へ電池から電力を流すスイッチを含む、無線周波送信装置。
【請求項45】
請求項43記載の無線周波送信装置において、除去部分は、除去層を剥がし、これにより装置を動作させ、装置が以後接着剤により物体に接着するように、接着剤と接触する除去コーディングを塗布されたフィルムまたは紙層を含む、無線周波送信装置。
【請求項46】
請求項43記載の無線周波送信装置において、実質的に人体の完全な動作を可能としつつ、着衣のまたは着衣していない人体のどちらかに直接接着されるよう装置は十分小さく柔軟である、無線周波数送信装置。
【請求項47】
無線周波送信装置において、
送信器と、
送信器に電力を与える電源と、
送信すべき波形に対応するデータを記憶するメモリと、
装置の少なくとも一部の上に配置された保護カバーと、
保護カバーの除去時に装置を自動的に動作させる装置と、
を含む無線周波送信装置。
【請求項48】
請求項47記載の装置において、保護カバーは、装置の接着剤塗布部分の上に配置された除去コーティングを有する除去層であり、作動装置は除去層の除去により動作するスイッチを含む、装置。
【請求項49】
請求項47記載の装置において、保護カバーは装置を包装する気密包装であり、作動装置は酸素センサと、酸素センサが酸素の存在を感知した時に装置を作動させるスイッチとを含む、装置。
【請求項50】
請求項47記載の装置において、作動装置は光スイッチであり、保護カバーは光スイッチ上に配置された不透明なカバーである、装置。
【請求項51】
請求項47記載の装置において、装置の少なくとも1つと保護カバー上に機械読取り可能な証印(indicia)をさらに有し、機械読取り可能証印は装置が作動した時に装置により送信されるタグ識別コードに対応する、装置。
【請求項52】
請求項47記載の装置において、装置の少なくとも1つと保護カバー上に人間により読取り可能な証印をさらに有し、証印は装置が作動した時に装置により送信されるタグ識別コードに対応する、装置。
【請求項53】
請求項51記載の装置において、機械読取り可能な証印はバーコードである、装置。
【請求項54】
方法において、
カメラに取り付けた少なくとも3個の無線送信器を設けて、カメラ送信器を定義する段階と、
カメラ送信器から受信した信号を処理してカメラの移動を決定する段階と、
を含む方法。
【請求項55】
請求項54記載の方法において、カメラの移動を決定するため何らの電子機械的または光学センサを使用する段階を含まない、方法。
【請求項56】
請求項54記載の方法において、カメラにより記録された画面で画像のコンピュータ合成とカメラの移動を相関する段階をさらに含む方法。
【請求項57】
請求項54記載の方法において、
静止位置に基準送信器を定義する少なくとも1個の無線送信器を設ける段階と、をさらに含み、
処理段階は、カメラ送信器から及び基準送信器から受信した信号を処理してカメラの移動を決定する段階を含む、
方法。
【請求項58】
請求項54記載の方法において、送信器は無線周波送信器である、方法。
【請求項59】
請求項54記載の方法において、カメラは携帯動画カメラである、方法。
【請求項60】
請求項59記載の方法において、
携帯カメラにより記録された画像とカメラ上の送信器から受信した信号を処理して記録画像からカメラのジッタを除去する段階と、
をさらに含む、方法。
【請求項61】
後処理用の動画画像を記録するシステムにおいて、
移動可能な動画カメラと、
カメラに取り付けた複数個の無線周波送信器と、
カメラに取り付けていない基準送信器と、
送信器により送信された信号を受信し、これからカメラの移動を決定する第1処理部分と、
を含む、後処理用の動画画像を記録するシステム。
【請求項62】
請求項61記載のシステムにおいて、
カメラの前記移動を基に記録した動画画像を変更する第2処理部分と、
をさらに含むシステム。
【請求項63】
請求項62記載のシステムにおいて、カメラに取り付けた送信器は何らの慣性センサ・データを送信しない、システム。
【請求項64】
請求項62記載のシステムにおいて、記録画像を変更する段階は、カメラの移動がコンピュータ生成画像の外観に対応する変化を生じさせるように、記録画像に少なくとも1つのコンピュータ生成画像を追加する段階を含む、システム。
【請求項65】
請求項62記載のシステムにおいて、記録画像を変更する段階は、記録画像からカメラ・ジッタを除去する段階を含む、システム。
【請求項66】
モーション・キャプチャ・システムにおいて、
複数個の無線送信器と、
複数個の無線受信器と、
送信器または受信器のどちらのタイミング・クロックも同期する必要性なしに、受信器により送信器から受信した信号のタイミングを基に無線送信器の位置を決定する装置と、
を含むモーション・キャプチャ・システム。
【請求項67】
請求項66記載のモーション・キャプチャ・システムにおいて、少なくともいくつかの無線送信器は移動可能なカメラに配置されている、モーション・キャプチャ・システム。
【請求項68】
請求項66記載のモーション・キャプチャ・システムにおいて、
無線送信器は、基準送信器を定義する既知位置に配置された少なくとも1台の送信器を含み、
位置決定装置は、少なくとも50メートルの対角線を有するキャプチャ域に対して1cm以内の精度で少なくとも100個の送信器の位置を解明可能な装置を含む、
モーション・キャプチャ・システム。
【請求項69】
請求項68記載のモーション・キャプチャ・システムにおいて、解明装置は、少なくとも75メートルのキャプチャ域に対して1cm以内の精度で少なくとも1000個の送信器の位置を解明する装置を含む、モーション・キャプチャ・システム。
【請求項70】
請求項66記載のモーション・キャプチャ・システムにおいて、位置決定装置は、送信器クロック依存項と受信器クロック依存項を数学的にキャンセルし、これにより送信器と受信器との間の同期の必要性を不要とする装置を含む、モーション・キャプチャ・システム。
【請求項71】
請求項70記載のモーション・キャプチャ・システムにおいて、
受信器は互いに隔置したセンサ受信器を定義する少なくとも4台の受信器を含み、
送信器は基準送信器を定義する既知位置の少なくとも1台の送信器と、少なくとも1つの移動物体に取り付けたマーカー送信器を定義する複数個の送信器とを含み、移動物体は4台の受信器の受信範囲内のキャプチャ域内で移動し、
クロック依存項を数学的にキャンセルする装置は、
マーカー送信器受信信号パラメータと基準送信基準信号パラメータとの間の各単一差を計算する装置と、
センサ受信器の対に対して前記単一差間の各2重差を計算する装置と、
を含む、モーション・キャプチャ・システム。
【請求項72】
請求項68記載のモーション・キャプチャ・システムにおいて、マーカー送信器は、1%デューティサイクル以下のバーストでスペクトル拡散信号を送信する、モーション・キャプチャ・システム。
【請求項73】
請求項68記載のモーション・キャプチャ・システムにおいて、マーカー送信器は複数個のマーカー送信器の群を含み、第1群のマーカー送信器は第1周波数帯内のスペクトル拡散信号を送信し、第2群のマーカー送信器は第2周波数帯内のスペクトル拡散信号を送信し、第1及び第2周波数帯は保護帯により分離されている、モーション・キャプチャ・システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14】
【図13】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14】
【図13】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公表番号】特表2007−521474(P2007−521474A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507060(P2006−507060)
【出願日】平成16年3月10日(2004.3.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/007375
【国際公開番号】WO2004/081602
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FRAM
【出願人】(504344462)メナーチェ エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年3月10日(2004.3.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/007375
【国際公開番号】WO2004/081602
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FRAM
【出願人】(504344462)メナーチェ エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]