無線基地局、通信システム、所属情報管理方法、およびプログラム
【課題】所属情報管理テーブルの同期をとるために不要に大きなトラフィック発生を必要とせず、複数の無線基地局から更新通知情報を受信する可能性のある環境であっても、所属情報管理テーブルを迅速かつ確実に同期させることができるようにする。
【解決手段】無線基地局が、更新の新旧を判断するための新旧判断情報に、その基地局に所属する端末の所属情報が関連付けられた所属情報管理テーブルを格納する。そして所属情報更新手段が、その新旧判断情報を含めて所属情報の更新を行う。また、所属情報更新手段は、他の無線基地局から更新通知情報が受信されると、その更新通知情報に基づいて、所属情報管理テーブルを更新する。更新通知情報は、所属情報における更新部分と、新旧判断情報とを少なくとも含む。
【解決手段】無線基地局が、更新の新旧を判断するための新旧判断情報に、その基地局に所属する端末の所属情報が関連付けられた所属情報管理テーブルを格納する。そして所属情報更新手段が、その新旧判断情報を含めて所属情報の更新を行う。また、所属情報更新手段は、他の無線基地局から更新通知情報が受信されると、その更新通知情報に基づいて、所属情報管理テーブルを更新する。更新通知情報は、所属情報における更新部分と、新旧判断情報とを少なくとも含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば無線メッシュネットワークなどに用いられ、無線通信端末を所属させる無線基地局どうしで通信を行い、所属する端末の管理情報の送受信を行う無線基地局、通信システム、所属情報管理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線メッシュネットワークシステムは、複数の基地局が無線通信によって接続されるネットワークであり、端末はある時点においていずれかひとつの基地局に所属する。どの端末がどの基地局に所属しているかを把握するために所属情報が必要であり、ある基地局に所属する全端末の所属情報をLAB(Local Association Base)と呼ぶ。また、全基地局の所属情報、つまりLABの全集合をGAB(Global Association Base)と呼ぶ。
【0003】
こうした無線メッシュネットワークでは、各基地局がGABを持つことで端末間の通信を実現している。また、無線基地局間でLABA(Local Association Base Advertisement)メッセージにより定期的にLABを通知しあうことで、所属情報の変化の通知と、所属情報を管理するGAB(所属情報管理テーブル)の同期を実現している。
さらに、全基地局がサイズの大きいLABを定期的に通知しあうと無線帯域を大きく消費して効率が悪いため、LABCA(Local Association Base Checksum Advertisement)メッセージでLABのチェックサムだけを通知するchecksum diffusionモードが設けられている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
近年、VoIP(Voice over IP)等を用いてパケットネットワークで通話を実現する無線通信端末が普及しつつある。これらの端末に対しては、通信を維持しながら基地局間の移動を実現することが、無線端末の機動性を確保しつつ円滑な会話を実現するために重要である。
【0005】
また、本発明の関連技術として、ステーション情報要請フレームとステーション情報応答フレームを用いて、所属先がわからない端末の所属先を探索し、同期ずれに対応するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、本発明の関連技術として、バッファのシーケンス番号と破棄要求メッセージを含むバッファ状態同期信号を、基地局が他の基地局に送信することにより、送信先の基地局にも指定数のデータを破棄させ、バッファ内のデータ格納状態を同期させるようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2006−311549号公報
【特許文献2】特開2003−78937号公報
【非特許文献1】間瀬憲一、外1名、「アドホック・メッシュネットワーク ―ユビキタスネットワーク社会の実現に向けて―」、コロナ社、平成19年9月20日、p.171-174
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した非特許文献1のものでは、一定周期毎にLABを通知する方法であることから、無線端末の移動などに伴うLABの変化が他の基地局のGABに反映されるまでに時間がかかってしまう虞があった。
換言すれば、更新されてから送信周期が来るまでの間は、所属情報を管理する所属情報管理テーブルの同期が行われず、その間、移動した端末では通信断絶時間となってしまう虞があった。
【0008】
また、通信断絶時間を短縮するためにLABAメッセージの送信周期を短くすれば、所属情報管理テーブルの同期をとるための不要なトラフィックが増大してしまい、帯域を不要に圧迫してしまう虞があった。
【0009】
また、上述したchecksum diffusionモードについても、GABの差分を検出してから最新のLABを得るまでには次の通知周期を待たなければならず、同期が取れるまでにはさらに1周期分の時間が必要であった。
【0010】
また、無線干渉等の影響により通信断絶が発生し、一定期間GABの更新が出来ないなどにより、他の基地局のGABとの間で複数の差分が生じてしまうと、複数の基地局からのLABAメッセージを待つ必要があった。このため、GABの同期にさらに時間がかかってしまう虞があった。
【0011】
また、一定周期で全ての基地局がLABをフラッディングすると、ネットワーク全体として見ればメッセージ数が多くなってしまい、ネットワーク帯域を圧迫するという課題があった。
【0012】
また、上述した特許文献1のものは、移動ステーションについての情報の要請を無線LANモジュールがブロードキャスト方式で行い、ユニキャスト方式でその応答を得ることで所属端末の情報を管理するものであり、同期をとるための不要なトラフィックが要請の度にブロードキャストで増大してしまい、帯域を不要に圧迫してしまう虞があった。
また、移動ステーションについての更新情報を受信しても、その更新情報の新しさを確認しうるものではなかった。
すなわち、例えば無線メッシュネットワークにおける基地局など、複数の無線基地局から更新通知情報を受信する可能性のある環境に適用することについてまで考慮されたものではなかった。
【0013】
また、上述した特許文献2のものは、バッファ状態同期信号により他の基地局との間でバッファ内のユーザデータ格納状態を同期させるものであり、例えば無線メッシュネットワークにおける基地局など、複数の無線基地局から更新通知情報を受信する可能性のある環境で所属情報管理テーブルを同期させることについてまで考慮されたものではなかった。
【0014】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、同期されていない差分が複数生じた場合などであっても、所属情報管理テーブルの同期をとるために不要に大きなトラフィック発生を必要とせず、複数の無線基地局から更新通知情報を受信する可能性のある環境であっても、所属情報管理テーブルを迅速かつ確実に同期させることができる無線基地局、通信システム、所属情報管理方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
かかる目的を達成するために、本発明に係る無線基地局は、各無線基地局における端末の所属情報を、更新の新旧を判断するための新旧判断情報に関連付けて管理する所属情報管理テーブルを格納する管理テーブル格納手段と、上記所属情報管理テーブルが更新される際に上記新旧判断情報を含めて更新する所属情報更新手段と、上記所属情報更新手段により上記更新された際、上記所属情報管理テーブルにおける更新部分および上記新旧判断情報を少なくとも含む更新通知情報を有線または無線で他の無線基地局に送出する第1の送出手段と、を備え、上記所属情報更新手段は、他の無線基地局から上記更新通知情報が受信された場合、該更新通知情報に基づいて上記所属情報管理テーブルを更新することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る通信システムは、上述した本発明に係る無線基地局の複数が通信可能に接続されて構成されたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る所属情報管理方法は、各無線基地局における端末の所属情報を管理する所属情報管理テーブルが更新される際、該更新情報における更新の新旧を判断するための新旧判断情報を含めて更新する第1の所属情報更新工程と、上記第1の所属情報更新工程により上記更新された際、上記所属情報管理テーブルにおける更新部分および上記新旧判断情報を少なくとも含む更新通知情報を有線または無線で他の無線基地局に送出する第1の送出工程と、他の無線基地局から上記更新通知情報を受信した場合に、該更新通知情報に基づいて上記所属情報管理テーブルを更新する第2の所属情報更新工程と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る所属情報管理プログラムは、各無線基地局における端末の所属情報を管理する所属情報管理テーブルが更新される際、該更新情報における更新の新旧を判断するための新旧判断情報を含めて更新する第1の所属情報更新処理と、上記第1の所属情報更新処理により上記更新された際、上記所属情報管理テーブルにおける更新部分および上記新旧判断情報を少なくとも含む更新通知情報を有線または無線で他の無線基地局に送出する第1の送出処理と、他の無線基地局から上記更新通知情報を受信した場合に、該更新通知情報に基づいて上記所属情報管理テーブルを更新する第2の所属情報更新処理と、を無線基地局のコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、複数の無線基地局から更新通知情報を受信する可能性のある環境であっても、所属情報管理テーブルを迅速かつ確実に同期させることができ、安定した無線通信環境を提供することができる。
さらに、同期されていない差分が複数生じた場合などであっても、所属情報管理テーブルの同期をとるために不要に大きなトラフィック発生を必要とせず、上記効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明に係る無線基地局、通信システム、所属情報管理方法、およびプログラムを、無線メッシュネットワークシステムに適用した一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
各実施形態は、無線メッシュネットワークシステムについて、通信断絶時間の少ない無線端末の基地局間の移動を実現する。このため、自律同期可能な所属情報管理方法を提供する。
【0021】
このため、本発明の各実施形態では、図1に示すように、無線基地局が、更新の新旧を判断するための新旧判断情報に、その基地局に所属する端末の所属情報が関連付けられた所属情報管理テーブルを格納する。
そして所属情報更新手段が、その新旧判断情報を含めて所属情報の更新を行う。また、所属情報更新手段は、他の無線基地局から更新通知情報が受信されると、その更新通知情報に基づいて、所属情報管理テーブルを更新する。
更新通知情報は、所属情報における更新部分と、新旧判断情報とを少なくとも含む。この更新通知情報は、送出手段が送出する。
【0022】
次に、本発明の各実施形態に共通する概略について説明する。
本実施形態の基地局は、端末が基地局間でハンドオーバした場合など、端末の新たな帰属や離脱に伴ってLABを更新する。また、更新すると即座に更新したLABをフラッディングして、本無線メッシュネットワークシステムに含まれる全ての基地局に通知する。このことにより、個別の基地局におけるLABの変化が全ての基地局に速やかに展開され、同時に各基地局間でのLABの同期を速やかに行うことができる。
【0023】
また、本実施形態の基地局は、LAB中にそのLABの更新状況を表す「更新番号」(新旧判断情報)を備える。このことにより、通知を受けた他の基地局はLABの新旧の判断が可能となる。さらに、全ての基地局は周期的に隣接の基地局と全ての基地局のLABの「更新番号」のみを交換することで、GAB(所属情報管理テーブル)の更新状況を互いに確認する。
このように、本実施形態では、更新状況の確認のために「更新番号」だけを交換するため、同期確認のための情報量の削減が可能になる。また、同期確認が隣接ノード間に閉じて実現できるため、ネットワーク内のメッセージ数が削減される。
【0024】
また、任意の基地局は、隣接の基地局から受信した「更新番号」が自局のGABに記憶する「更新番号」よりも古いことを検出すると、自局が持つGABを即座に全基地局にフラッディングする。これにより、全基地局間でGABが即座に同期される。
また、各基地局は無線端末から移動通知を受信すると、LABを更新するとともに他の全ての基地局にフラッディングする。これにより通信中断の少ない基地局間の端末の移動を実現する。
【0025】
端末からのデータ送信時に宛先端末の所属先がわからない場合、その宛先端末の所属先探索を行う。探索要求への応答は、探索対象の端末が所属する基地局が自局のLABを全基地局にフラッディングすることで実現する。このことにより、探索結果が全基地局に展開されると同時に、このLABの同期を取ることを可能とする。
【0026】
また、有線端末の場合には、端末が送信するデータから送信元アドレスを抽出することで、LABに有線端末を自動的に登録するとともに、LABを全基地局にフラッディングすることでこのLABの更新を通知し通信を可能とする。
【0027】
〔第1の実施形態〕
次に、本発明の第1の実施形態の構成について図面を参照して詳細に説明する。
以下、説明を簡略化するために、ある基地局に所属する全端末の所属情報をLAB、全基地局の所属情報つまりLABの全集合をGABと略記する。
【0028】
図2は、第1の実施形態としての無線メッシュネットワークの一構成例を示している。図2を参照すると、本実施形態としての無線メッシュネットワークMは、基地局AP1(200a)、基地局AP2(200b)、基地局AP3(200c)で構成され、無線端末ST1(100a)が基地局AP1(200a)に、無線端末ST2(100b)が基地局AP3(200c)にそれぞれ所属している。
また、有線端末ST3(300a)が基地局AP1(200a)に、有線端末ST4(300b)が基地局AP3(200c)にそれぞれ所属している。
【0029】
基地局AP1(200a)、基地局AP2(200b)、基地局AP3(200c)は無線によって相互に通信が可能である。基地局AP1(200a)、基地局AP2(200b)、基地局AP3(200c)は、それぞれに所属する端末間の通信データを通信データの宛先にしたがって転送する。通信データの転送は、手動設定や無線メッシュネットワークの既存のルーティングプロトコルによって構築されたルーティング情報に基づいて実現される。
【0030】
また本実施形態においては、基地局を特定するために個々の基地局に識別子を割り当てて管理する。この基地局に割り当てられた識別子をAPIDと略記する。APIDは基地局ごとに異なる値が割り当てられる。
【0031】
なお、図2に示される構成は無線メッシュネットワークの一例であり、基地局の数や所属する端末の数は図2に制限されるものではない。また、本実施形態においては、各基地局は位置を固定されず、任意に移動してネットワーク構成が動的に変化しても構わない。
【0032】
次に図3を参照して、図2に示す基地局の構成について詳細に説明する。図3を参照すると、基地局200は無線APインタフェース機能部210、有線インタフェース機能部220、無線メッシュインタフェース機能部230、所属情報管理部240、データ転送機能部250から構成される。
【0033】
無線APインタフェース機能部210は無線アクセスポイント機能を持ちIEEE802.11等により無線端末100を収容する。
無線APインタフェース機能部210は、無線端末100から受信したデータが制御メッセージの場合にはそのメッセージを終端し、端末間の送受信データの場合にはデータ転送機能部250に渡す。
【0034】
ここで制御メッセージとは、所属、離脱、移動に伴い基地局と端末の間で送受信されるメッセージを指し、IEEE802.11の無線LAN規格においては、所属要求とその応答はAssociation RequestとAssociation Response、離脱要求はDisassociationもしくはDeauthentication、移動要求とその応答はReassociation RequestとReassociation Responseに該当し、無線APインタフェース機能部210はIEEE802.11規格に沿って動作する。
ただし、本実施形態はIEEE802.11規格に限定されるものではなく、他の無線技術における類似の制御方法にも適用可能である。また、例えばIEEE802.1X規格等を利用して認証を行う場合には、認証メッセージを制御信号として使用しても良い。
【0035】
有線インタフェース機能部220はIEEE802.3等により有線端末と接続され通信を行う。有線端末はHUB等を使用して複数台接続することも可能であり、また、ルータを接続して外部ネットワークとつなぐことも可能である。さらに、複数の無線メッシュネットワークを有線インタフェース機能部220を介して有線により接続し、一つのネットワークを構成することも可能である。
無線メッシュインタフェース機能部230は、IEEE802.11等により他の基地局200と通信する。
【0036】
所属情報管理部240は、端末の所属情報を管理する。所属情報管理部240は、無線メッシュアドレス記憶部241、無線APアドレス記憶部242、所属情報記憶部243、所属情報制御部244を有して構成される。無線メッシュアドレス記憶部241は、各基地局の無線メッシュインタフェース機能部230のアドレスとAPIDの対応を記憶し、他の基地局にデータを送信する際にAPIDから宛先アドレスを得るために使用される。
【0037】
無線APアドレス記憶部242は、各基地局の無線APインタフェース機能部210のアドレスとAPIDとの対応を記憶し、端末の移動の際に移動前の無線APインタフェース機能部210のアドレスからその基地局のAPIDを求めるために使用される。
無線メッシュアドレス記憶部241および無線APアドレス記憶部242に記憶される情報は、あらかじめ手動等により設定される。
【0038】
所属情報記憶部243は、無線メッシュネットワーク内に存在する全端末の所属情報であるGAB(D)を記憶する。所属情報制御部244は、端末のアドレスをもとに、無線メッシュアドレス記憶部241、無線APアドレス記憶部242、所属情報記憶部243に記憶されたGAB(D)を検索し端末の所属先を求める機能を持つ。
【0039】
さらに所属情報制御部244は、無線APインタフェース機能部210を通じて無線端末100の所属、離脱、移動を検知し、所属情報記憶部243に記憶されるGAB(D)を更新する。また、所属情報制御部244はデータ転送機能部250から有線端末300が送信するデータの送信元アドレスを入手し、所属情報記憶部243のGAB(D)を更新する。また所属情報制御部244は、データ転送機能部250および無線メッシュインタフェース機能部230を通じて他の基地局200と所属情報交換メッセージを送受信し、必要に応じて所属情報記憶部243のGAB(D)を更新する。
【0040】
データ転送機能部250は、無線メッシュネットワーク内のルーティング情報を保持し、端末間で送受信されるデータや基地局間で送受信されるデータを適切な宛先に転送する機能を持つ。端末宛のデータの場合には、データ転送機能部250は所属情報管理部240から宛先端末の所属先を得て適切な基地局に転送する。端末間のデータ転送の際には、データ転送機能部250は、端末が送信するデータの送信元アドレスを抽出して所属情報管理部240に伝える。また、データ転送機能部250は、所属情報管理部240と他の基地局200との間で所属情報交換メッセージを転送する機能を持つ。
【0041】
図4は、図3の所属情報記憶部243に記憶されるGAB(D)の構成を例示している。図4を参照すると、所属情報管理テーブルであるGAB(D)は、APID247、更新番号248、端末アドレス249を有し、これらが互いに関連付けられて構成される。APID247には、各基地局のAPIDが格納される。更新番号248には更新番号が格納される。端末アドレス249には、APID247で示される基地局に所属する全ての端末のアドレスが格納される。更新番号248は、端末アドレス249への端末アドレスの追加、削除に伴って1つずつ値が加算されるものであり、値の大小を比較することにより所属情報の新旧を比較することが可能である。
【0042】
例えば、あるAPIDに関連付けられた更新番号248が“10”と記憶されていて、他の基地局から受信した所属情報交換メッセージにおけるそのAPIDの更新番号が“11”である場合、受信した情報の方が新しいと判断することができる。GAB(D)は無線メッシュネットワーク内の全ての基地局のLABで構成される。なお、図4は図2のネットワーク構成の場合に各基地局が持つGAB(D)を例示している。
【0043】
図5は、所属情報を基地局間で交換する所属情報交換メッセージの種類を示す。図5を参照すると、メッセージ種別400は、メッセージ名410に表されるUPDATEメッセージ411、MOVEメッセージ412、NOTIFYメッセージ413、STATUSメッセージ414、DISCOVERYメッセージ415の5種類のメッセージで構成され、個々のメッセージを識別するためにメッセージ番号420の値が割り当てられる。
本実施形態では、GABが更新されたことを通知する更新通知情報として、こうしたUPDATEメッセージ411、MOVEメッセージ412、NOTIFYメッセージ413を基地局から他の基地局へと送信することで、各基地局のGABの同期を行う。
なお、メッセージ番号420は本実施形態における一例であり、メッセージを特定できるものであれば番号でなくても良い。
【0044】
図6は、UPDATEメッセージ(テーブル更新通知情報)を例示している。UPDATEメッセージ500は、送信元APID510、送信先APID520、メッセージ種別530、シーケンス番号540、更新番号550、所属端末数560、端末アドレス群570を有して構成される。
【0045】
送信元APID510にはメッセージの送信元のAPID、送信先APID520には全基地局を示す特別に予約されたAPIDが格納される。メッセージ種別530には、図5で示したようにUPDATEメッセージを示す値“1”が格納される。シーケンス番号540はメッセージのシーケンス番号が格納される。更新番号550は、メッセージ送信元の基地局のLABの更新番号が格納される。端末アドレス群570にはメッセージ送信元の基地局に所属する全ての端末のアドレスが連続して格納され、所属端末数550にその数が格納される。
【0046】
UPDATEメッセージは、ある基地局においてその基地局の所属情報つまりLABに変更があった場合などに、LABを他の基地局に通知するために使用され、フラッディングによって他の全ての基地局に届けられる。
【0047】
図7は、MOVEメッセージ(移動通知情報)を例示している。MOVEメッセージ600は、送信元APID610、送信先APID620、メッセージ種別630、シーケンス番号640、移動前APID650、移動端末アドレス660、更新番号670、所属端末数680、端末アドレス群690を有して構成される。
【0048】
送信先APID620には全基地局を示す特別に予約されたAPIDが格納される。メッセージ種別630には、MOVEメッセージを示す値“2”が格納される。移動端末アドレス660には、メッセージ送信元の基地局に移動してきた端末のアドレスが格納され、移動前APID650には端末が移動する前に所属していた基地局のAPIDが格納される。
【0049】
MOVEメッセージは、無線端末が移動に伴って所属する基地局を変更した場合に使用され、フラッディングによって新たに所属した基地局から他の全基地局に届けられる。
【0050】
図8は、NOTIFYメッセージ(一般通知情報)を例示している。NOTIFYメッセージ700は、送信元APID710、送信先APID720、メッセージ種別730、シーケンス番号740、APID数750、APID760、更新番号770、所属端末数780、端末アドレス群790を有して構成される。
【0051】
送信先APID720には全基地局を示す特別に予約されたAPIDが格納される。メッセージ種別730には、NOTIFYメッセージを示す値“3”が格納される。APID数750には、送信元の基地局が記憶するGABに含まれる全APIDの数が格納され、APID760、更新番号770、所属端末数780、端末アドレス群790は、APID数750が示す値の数分だけ繰り返しメッセージに格納される。APID760にはAPIDが格納され、次に続く更新番号770と所属端末数780と端末アドレス群790にはAPID760が示す基地局のLABの更新番号と端末アドレスの数と端末アドレスが格納される。
【0052】
NOTIFYメッセージは、任意の基地局が自局に記憶するGAB(D)を他の基地局に伝える場合に使われ、フラッディングによって他の全ての基地局に届けられる。
【0053】
図9は、STATUSメッセージ(周期送信情報)を例示している。STATUSメッセージ800は、送信元APID810、送信先APID820、メッセージ種別830、シーケンス番号840、APID数850、APID860、更新番号870を有して構成される。
【0054】
送信先APID820には隣接基地局を示す特別に予約されたAPIDが格納される。メッセージ種別830には、STATUSメッセージを示す値“4”が格納される。APID数850には、送信元の基地局が記憶するGAB(D)に含まれる全APIDの数が格納され、APID860、更新番号870は、APID数850が示す値の数分だけ繰り返しメッセージに格納される。APID860にはAPIDが格納され、次に続く更新番号870にはAPID860が示す基地局のLABの更新番号が格納される。
【0055】
STATUSメッセージは、ある基地局が記憶するGAB(D)に含まれる全ての更新番号を他の基地局に伝える場合に使用され、予め定められた一定周期で定期的に各基地局から隣接の全基地局、すなわち他の基地局を経由せずに有線または無線で送信可能な全基地局に対してブロードキャストによって届けられる。
このようにSTATUSメッセージでは、APIDにそのLABの更新番号を関連付けて、各基地局についての情報が構成される。すなわち、端末アドレスなどのデータ量がかさばる情報を含まない構成となっている。このため、周期的にSTATUSメッセージをフラッディングして送信する場合にも、不要に大きなデータ量となってネットワークトラフィックを圧迫することなく、小さなデータ通信量で確実な更新確認を行うことができる。
【0056】
図10は、DISCOVERYメッセージ(探索要求情報)を例示している。DISCOVERYメッセージ900は、送信元APID910、送信先APID920、メッセージ種別930、シーケンス番号940、端末アドレス950を有して構成される。
【0057】
送信先APID920には全基地局を示す特定のAPIDが格納される。メッセージ種別930には、DISCOVERYメッセージを示す値“5”が格納される。端末アドレス950には、探索対象の端末のアドレスが格納される。
【0058】
DISCOVERYメッセージは、ある端末がどの基地局に所属しているのかを調べるために使われ、フラッディングによって他の全ての基地局に届けられる。
【0059】
次に、本実施形態としての無線メッシュネットワークシステムの動作について、図面を参照して詳細に説明する。
【0060】
図11に示すシーケンスチャートは、無線端末ST1(100a)がAP1(200a)に所属する際の所属情報の通知と更新の方法を示している。図11中、D11〜D16は基地局AP1(200a)、AP2(200b)、AP3(200c)がそれぞれの時点で記憶するGAB(D)を示す。以下の各GAB(D)中、更新番号を“No”、端末アドレスを“STADR”と略記している。
【0061】
まず無線端末ST1(100a)は、AP1(200a)に対して所属要求(S101)を送信する。AP1(200a)は所属要求(S101)を受信すると、無線端末ST1(100a)に対して所属応答(S102)を送信する。次にAP1(200a)は、自局のLABであるAPID=”AP1”のLABの端末アドレス欄(STADR)に、無線端末ST1(100a)の端末アドレス“ST1”を登録し更新番号(No)を“2”から“3”に更新する(S103)。その結果、AP1(200a)のGABはD14となる。
【0062】
次にAP1(200a)は、自局のLABであるAPID=“AP1”のLABからUPDATEメッセージを生成し、フラッディングにより他の全ての基地局に通知する(S303)。UPDATEメッセージ(S104)を受信したAP2(200b)およびAP3(200c)は、UPDATEメッセージ(S104)に含まれるLABを元に自局のGAB(D)のAPID=“AP1”のLABの更新番号(No)と端末アドレス欄(STADR)を更新する(S105)。
以上により、全ての基地局のGAB(D)について、APID=“AP1”のLABに無線端末ST1(100a)のアドレス“ST1”が登録される(D14、D15、D16)。
【0063】
図12に示すシーケンスチャートは、AP1(200a)に所属している無線端末ST1(100a)が、AP1(200a)から離脱する際の所属情報の通知と更新の方法を示している。
【0064】
まず無線端末ST1(100a)は、AP1(200a)に離脱要求(S300)を送信する。AP1(200a)は離脱要求(S201)を受信すると、自局のLABであるAPID=“AP1”のLABの端末アドレス欄(STADR)から無線端末ST1(100a)の端末アドレス“ST1”を削除し更新番号(No)を“3”から“4”に更新する(S202、D24)。
【0065】
次にAP1(200a)は、自局のLABであるAPID=“AP1”のLABからUPDATEメッセージを生成し全ての基地局に通知する(S203)。UPDATEメッセージ(S203)を受信したAP2(200b)およびAP3(200c)は、UPDATEメッセージ(S203)に含まれるLABを元にGAB(D)のAPID=“AP1”のLABを更新する(S204)。
以上により、全ての基地局のGAB(D)において、APID=“AP1”のLABから無線端末ST1(100a)のアドレス“ST1”が削除される(D24、D25、D26)。
【0066】
図13に示すシーケンスチャートは、AP1(200a)に所属していた無線端末ST1(100a)が、AP2(200b)に移動する際の所属情報の通知と更新の方法を示している。
【0067】
まず無線端末ST1(100a)は、AP2(200b)に移動要求(S301)を送信する。このとき、移動要求(S301)には、無線端末ST1(100a)が移動前に所属していた基地局の無線APアドレスが含まれている。AP2(200b)は移動要求(S301)を受信すると、無線端末ST1(100a)に対して移動応答(S302)を送信する。
【0068】
送信後、AP2(200b)は、自局のLABであるAPID=“AP2”のLABの端末アドレス欄(STADR)に、無線端末ST1(100a)の端末アドレス“ST1”を登録し、更新番号(No)を“3”から“4”に更新する(S303、D34)。次にAP2(200b)は、移動要求(S301)に含まれていた移動前の基地局の無線APアドレスから移動前の基地局のAPID=“AP1”を求める(S304)。この処理は、図3における所属情報制御部244が無線APアドレス記憶部242を検索することで実現される。
【0069】
次にAP2は、自局のLABであるAPID=“AP2”のLABからMOVEメッセージを生成し、フラッディングにより他の全ての基地局に通知する(S305)。このMOVEメッセージ(S305)の移動前APID(図7の移動前APID650)にはS304で求めた移動前の基地局のAPID=“AP1”が格納され、移動端末アドレス(図7の移動端末アドレス660)には無線端末ST1(100a)の端末アドレス“ST1”が格納される。
【0070】
AP2(200b)およびAP3(200c)は、MOVEメッセージ(S305)を受信すると、MOVEメッセージ(S305)に含まれるLABを元にGAB(D)のAPID=“AP2”のLABを更新する(S306、D35、D36)。次にAP1(200a)は、MOVEメッセージ(S305)の移動前APIDが自局を示していることを検知すると、移動端末アドレス“ST1”を自局のLABであるAPID=“AP1”のLABから削除する(S307、D37)。
【0071】
次にAP1(200a)は、自局のLABであるAPID=“AP1”のLABからUPDATEメッセージを生成し全ての基地局に通知する(S308)。UPDATEメッセージ(S308)を受信したAP2(200b)およびAP3(200c)は、UPDATEメッセージ(S308)に含まれるLABを元にGAB(D)のAPID=“AP1”のLABを更新する(S309)。
以上により、全ての基地局のGAB(D)において、無線端末ST1(100a)はAP1(200a)からAP2(200b)に所属先が変更される(D37、D38、D39)。
【0072】
図14に示すシーケンスチャートは、基地局AP1(200a)に有線接続された有線端末ST1(100a)がAP1(200a)に所属する際の所属情報の通知と更新の方法を示している。有線端末ST1(100a)は、有線で接続された基地局AP1(200a)に無線端末ST2(100b)宛てのデータを送信する(S401)。
【0073】
AP1(200a)は、ST2宛データ(S401)を受信すると、ST2宛データ(S401)の送信元アドレス“ST1”がGAB(D)のAPID=“AP1”のLABに存在するかどうかを調べ、存在しない場合には新たに送信元アドレス“ST1”を登録する(S402、D44)。次にAP1(200a)は、自局のLABであるAPID=“AP1”のLABからUPDATEメッセージを生成し、フラッディングにより他の全ての基地局に通知する(S403)。
【0074】
UPDATEメッセージ(S403)を受信したAP2(200b)およびAP3(200c)は、UPDATEメッセージ(S403)に含まれるLABを元にGAB(D)のAPID=“AP1”のLABを更新する(S404)。
以上により、全ての基地局のGAB(D)において、APID=“AP1”のLABに無線端末ST1(100a)のアドレス“ST1”が登録される(D44、D45、D46)。
【0075】
なお、この図14に示す動作例では、無線端末ST2(100b)は有線端末でも良い。また、有線端末ST1(100a)が送信するデータ(S401)の宛先アドレスは特定の端末のアドレスに限定されるものではなく、例えばマルチキャストアドレスやブロードキャストアドレス等でも良い。また、本動作においては、有線端末ST1(100a)を所属させるために参照するデータ(S401)を、ARP要求やARP応答など特定のプロトコルデータに限定しても良い。
【0076】
図15に示すシーケンスチャートは、AP1(200a)において無線端末ST2(100b)の所属先が不明な場合の探索方法を示している。まず無線端末ST1(100a)がAP1(200a)に対して無線端末ST2(100b)宛てのデータを送信する(S501)。
【0077】
次にAP1(200a)は、ST2宛データ(S501)を転送するためにGAB(D51)を検索するが、GAB内のいずれのLABにもアドレス“ST2”が存在しないため所属先不明と判断し、DISCOVERYメッセージ(S502)を、フラッディングにより他の全ての基地局に送信する。このとき、DISCOVERYメッセージ(S502)の端末アドレス欄(図10の端末アドレス950)には、探索対象のアドレス“ST2”が格納される。
【0078】
AP2(200b)は、DISCOVERYメッセージ(S503)を受信すると、DISCOVERYメッセージ(S503)で指定された端末アドレス“ST2”についてGABを検索し自局に所属していないことを検知して処理を終了する(S504)。AP3(200c)は、DISCOVERYメッセージ(S503)を受信すると、DISCOVERYメッセージ(S503)で指定された端末アドレス“ST2”についてGAB(D)を検索し自局に所属していることを検知する(S505)。
【0079】
次にAP3(200c)は自局のLABであるAPID=“AP3”のLABからUPDATEメッセージを生成し、フラッディングにより他の全ての基地局に通知する(S506)。UPDATEメッセージ(S506)を受信したAP1(200a)およびAP2(200b)は、UPDATEメッセージ(S506)に含まれるLABを元にGAB(D)のAPID=”AP3”のLABを更新する(S507)。
【0080】
以上により、全ての基地局のGAB(D)において、APID=“AP3”のLABに無線端末ST2(100b)のアドレス“ST2”が登録される(D54、D55)。
なお、本動作においては、無線端末ST1(100a)、無線端末ST2(100b)はそれぞれ有線端末であっても同様である。
【0081】
図16に示すシーケンスチャートは、AP1(200a)、AP2(200b)、AP3(200c)、AP4(200d)の間の所属情報の同期方法を示している。図16の各基地局が格納するGABであるD61、D62、D63、D64を参照すると、D61、D62のAPID=“AP3”のLABに“ST2”が存在しないのに対して、D63、D64には“ST2”が存在し、GABの同期が取れていない状態である。
【0082】
まず、各基地局は定期的にSTATUSメッセージを隣接の基地局に送信し、受信側で更新状況確認処理を実行して互いに更新状況の確認を行っている(S601〜S606)。AP2(200b)が送信したSTATUSメッセージ(S605)をAP3(200c)が受信し、更新状況確認処理を実行した結果、AP2(200b)が記憶するAPID=“AP4”のLABが古いことを検知する(S607)。
【0083】
次にAP3(200c)は、自局が記憶するGAB(D)からNOTIFYメッセージを生成し、フラッディングにより他の全ての基地局に通知する(S608)。NOTIFYメッセージ(S608)を受信したAP1(200a)およびAP2(200b)はNOTIFYメッセージの所属情報更新処理を実行し、自局のGAB(D)に記憶される古いLABを更新する。この例では、AP1(200a)およびAP2(200b)においてAPID=“AP4”のLABが更新される(S609、D65、D66)。AP4(200d)は、NOTIFYメッセージ(S608)を受信して同様にNOTIFYメッセージの所属情報更新処理を実行するが、この例ではデータの更新の必要はない(S610)。
以上により、全ての基地局のGAB(D)が一斉に同期される(D65、D66、D63、D64)。
【0084】
次に、図4、図9、図17を用いて、STATUSメッセージを受信した際の更新状況確認処理(図16のS602、S604、S606、S607)の動作を説明する。図17に示すフロースチャートは、STATUSメッセージを受信した際の更新状況確認処理の動作を示している。
【0085】
図17を参照すると、基地局はSTATUSメッセージを受信すると、まず“NOTIFY送信フラグ”を“OFF”に初期化する(S701)。次に、STATUSメッセージに含まれる最初のAPID(図9のAPID860)を参照し、自局のAPIDかどうかを判定する(S703)。
【0086】
自局のAPIDではなかった場合には、STATUSメッセージ中の更新番号(図9の更新番号870)と自局が記憶するGAB(D)の中の該当するAPIDのLABの更新番号(図4の更新番号248)を比較する(S704)。STATUSメッセージで受信した更新番号がGAB(D)に記憶する更新番号より小さい場合には、NOTIFY送信フラグを“ON”にする(S705)。
【0087】
一方、ステップS703で対象のAPIDが自局である場合には、受信した更新番号と記憶する更新番号を比較する(S706)。そして、もし受信した更新番号が記憶していた更新番号より大きい場合には、自局内のGAB(D)に記憶する自局のLABの更新番号を受信した番号に“1”を加えた新たな番号に更新し(S707)、NOTIFY送信フラグを“ON”にする(S708)。これは、LABの所有者の情報が最も新しい事を保証するための仕組みである。
【0088】
以上のようにして、ステップS702からS709までをSTATUSメッセージで受信した全APID分繰り返した後、NOTIFY送信フラグを確認し(S710)、“ON”だったならばNOTIFY送信処理を実行する(S711)。
【0089】
次に、図4、図8、図18を用いて、NOTIFYメッセージを受信した際の所属情報更新処理(図16のS609、S610)の動作を説明する。図18に示すフローチャートは、NOTIFYメッセージを受信した際の所属情報更新処理の動作を示している。
【0090】
図18を参照すると、基地局はNOTIFYメッセージを受信すると、NOTIFYメッセージに含まれるGABの最初のAPID(図8のAPID760)を参照し、自局のAPIDかどうかを判定する(S802)。自局のAPIDではなかった場合には、NOTIFYメッセージ中の更新番号(図8の更新番号770)と自局が記憶するGAB(D)内の該当するLABの更新番号(図4の更新番号248)を比較する(S803)。
【0091】
NOTIFYメッセージで受信した更新番号がGAB(D)に記憶する番号よりも大きい場合には、GAB(D)内の該当するLABの更新番号(図4の更新番号248)と端末アドレス(図4の端末アドレス249)を、NOTIFYメッセージで受信した更新番号(図8の更新番号770)と端末アドレス(図8の端末アドレス群790)の値に書き換える(S804)。
【0092】
一方、ステップS802において対象のAPIDが自局だった場合には、受信した更新番号と記憶する更新番号を比較し(S805)、もし受信した更新番号の方が大きい場合には、GAB(D)に記憶する自局のLABの更新番号を受信した番号に“1”を加えた新たな番号に更新する(S806)。これは、LABの所有者の情報が最も新しい事を保証するための仕組みである。
以上のようにしてステップS801からS807までを、NOTIFYメッセージで受信した全APID分繰り返して処理を終了する。
【0093】
次に、図19を用いて、NOTIFYメッセージの重複送信の回避を行う動作を説明する。これはSTATUSメッセージを複数の基地局が受信することによって、複数の基地局から同時に複数のNOTIFYメッセージが送信されることを防ぐための仕組みである。
【0094】
図19に示すシーケンスチャートは、AP2(200b)のGABが古いことをAP1(200a)とAP3(200c)が検知した場合の動作を示している。S904において、AP2(200b)がSTATUSメッセージを送信すると、AP1(200a)およびAP3(200c)の双方がAP2(200b)のGABが古いことを検知する(S905)。
【0095】
ここでAP1(200a)およびAP3(200c)はすぐにNOTIFYメッセージを送信するのではなく、S906、S907のように、それぞれ異なる待機時間を設けて一時的に待機し、待機時間満了後にNOTIFYメッセージの送信を行う(S908)。この待機時間は、例えばAP毎に異なる値を予め定めておいたり、APのアドレスやAPID等のAP毎に異なる値を用いたり、乱数を使用するなど、予め定められた各種の方法を用いて各基地局の所属情報制御部244が算出するものであってよい。
【0096】
図19の例では、AP1(200a)が待機時間中にAP3(200c)からNOTIFYメッセージを受信したことにより、NOTIFYメッセージの送信を中止する(S909)。これにより、AP1(200a)およびAP3(200c)の双方から重複してNOTIFYメッセージが送信されることを回避する。
【0097】
図20に示すフローチャートは、NOTIFYメッセージを送信する際に重複送信を回避するための基地局の動作を示したものであり、図19におけるS905〜S909に該当するものである。図20を参照すると、基地局はNOTIFYメッセージを送信するにあたり、まずNOTIFYメッセージを生成する(S1001)。
【0098】
次に基地局は、予め格納した乱数などを用いてランダムに待機時間を算出する(S1002)。続いて、ステップS1002で求めた待機時間を最大待ち時間として他基地局からのNOTIFYメッセージの受信待ちを行う(S1003)。他基地局からNOTIFYメッセージを受信するか、待機時間が満了すると次のステップに進み、NOTIFYメッセージを受信したかどうかを判定する(S1004)。
【0099】
NOTIFYメッセージを受信しなかった、つまり待機時間が満了した場合には、ステップS1001で生成したNOTIFYメッセージを送信する(S1005)。他基地局からNOTIFYメッセージを受信していた場合には、受信したNOTIFYメッセージを元にNOTIFYメッセージの所属情報更新処理を実行し(S1006)処理を終了する。
以上により、複数の基地局から同時にNOTIFYメッセージが送信されることが回避される。
【0100】
なお、この図20に示す処理は、NOTIFYメッセージを送信する際に常に実行されるものであり、図16におけるNOTIFYメッセージ(S608)送信の際にも同様に待機時間の待ちが存在する。図16では説明を簡単にするため、記述を省略している。
【0101】
図21に示すシーケンスチャートは、AP1(200a)に所属する無線端末ST1(100a)が離脱せずに電波範囲外に出てしまった場合や一定期間通信が無い場合などに無線端末ST1(100a)の所属を解除する方法を示している。
【0102】
まずAP1(200a)は、自局に所属する無線端末ST1(100a)が予め定められた一定期間データを送信していないことを検知する(S1101)と、無線端末ST1(100a)に対して離脱要求(S1102)を送信する。次にAP1(200a)は、GAB(D)のAPID=“AP1”のLABから端末アドレス“ST1”を削除する(S1103、D84)。次にAP1(200a)は、APID=“AP1”のLABを元にUPDATEメッセージを生成し全ての基地局に通知する(S1104)。
【0103】
UPDATEメッセージ(S1104)を受信したAP2(200b)およびAP3(200c)は、UPDATEメッセージ(S1104)に含まれるLABを元にGAB(D)のAPID=“AP1”のLABを更新する(S1105、D85、D86)。
以上により、全ての基地局のGAB(D)において、APID=“AP1”のLABから無線端末ST1(100a)の端末アドレス“ST1”が削除される(D84、D85、D86)。
【0104】
なお、上述した図21に示す動作について、無線端末ST1(100a)が有線端末であった場合には、本動作は有線端末の自動離脱処理として用いられる。この有線端末の場合、離脱要求(S1102)は送信されずに省略されることとなる。
【0105】
次に、図22に示すフローチャートを用いて、図21の周期解除処理(S1101)の動作を説明する。
周期解除処理は基地局に端末が所属した段階で起動される。周期解除処理が起動されると、最初に、所属情報制御部244が経過時間測定を行い、予め定められた時間まで端末からのデータ送信を待つ(S1201)。ステップS1201において、端末からデータの送信があった場合には再度データ送信待ち、ステップS1201に戻る(S1202)。一方、ステップS1201において端末からデータの送信が規定時間内に無かった場合には、端末の所属解除を実行する(S1203)。
【0106】
次に、図23に示すシーケンスチャートを参照して、基地局起動時や再起動時の初期設定動作について説明する。
本動作は、本実施形態としての基地局において、更新番号が揮発性メモリに記憶されている場合に、電源オフなどによって次回の起動時に更新番号が0にリセットされる場合の動作であり、更新番号が不揮発メモリなどの不揮発性の記憶装置に記憶される場合には、この動作は不要である。
【0107】
図23の動作例では、AP2が電源断などにより再起動したものとする(S1301)。起動直後のAP2では、初期値として、GAB(D)の更新番号が全て0となっている(D94)。AP2は、起動後、予め定められた規定時間まで、STATUSもしくはNOTIFYの受信を待つ(S1302)。
【0108】
待ち時間の間に他APから受信したSTATUSもしくはNOTIFY(S1303)に含まれる更新番号が、自局で管理するGABの各更新番号の値と同じかそれ以上である場合、その更新番号を受信値+1に更新する(S1304、D95)。
受信したSTATUSもしくはNOTIFY(S1305)に含まれる更新番号が、自局で管理するGABの各更新番号の値より小さい場合、番号の更新を行わずに無視する(S1306)。
【0109】
所属情報制御部244により計測される規定時間が経過(タイマー満了)したら、AP2は自局のGAB(D)における各更新番号を確定し、更新番号を含む自局の所属情報(LAB)をUPDATEで他の基地局に通知する(S1307)。
UPDATE送信(S1308)によって、上述のようにして他の基地局のGABが、最新の更新番号に更新される(S1309、D96、D97)。
【0110】
自局が記憶するGABの他のAPのLABについては、上記の初期化が終わったあとに通常の同期手順で同期される(S1310)。
【0111】
以上のように、上述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
第1の効果は、端末が基地局に新たに所属すると、即座にその端末と通信が可能になることである。
その理由は、所属情報に変化が生じると、基地局が即座に他の全ての基地局に所属情報を伝えるためである。
【0112】
第2の効果は、端末が基地局間を移動する際に、通信中断時間が短いことである。
その理由は、移動前後の基地局が連携し、移動に伴う所属情報の変化を即座に他の全ての基地局に伝えるためである。
【0113】
第3の効果は、有線端末を接続した場合に、特別な設定をせずに通信を開始できることである。
その理由は、有線端末が送信するデータの送信元アドレスを元に所属情報に登録し、一定期間データの送信が無い場合に所属情報を削除するようにして、有線端末の所属情報を動的に管理できるためである。
【0114】
このように、有線端末を動的に収容してその所属情報を管理できることは、無線メッシュネットワークシステムにおいても、固定カメラやアプリケーションサーバなどの有線端末を容易に収容できることとなり、用途を広げる意味で大変有益である。
【0115】
第4の効果は、所属情報の伝達が一時的に失敗した場合でも、自動的に最新の状態に更新されることである。
その理由は、所属情報が変化した場合、変化した情報だけでなくその基地局に所属する全ての端末の所属情報が他の基地局に伝えられるためである。
【0116】
第5の効果は、所属情報の伝達が一時的に失敗した場合でも、迅速に最新の状態に更新されることである。
その理由は、基地局間において定期的に所属情報の同期が取れているかどうかを確認し、同期のずれを検出すると即座に最新の情報が通知され同期されるためである。
【0117】
第6の効果は、複数の基地局で同期のずれが検出された場合に、一度のメッセージ送信で同期が取れることである。
その理由は、ある1つの基地局の同期ずれを検出すると、即座に最新の情報が全ての基地局に伝えられるためである。
【0118】
第7の効果は、所属情報の定期的な同期確認において、ネットワーク帯域への圧迫が少ないことである。
その理由は、同期確認において所属情報の全てではなく各基地局の更新番号だけを交換することでデータ量が削減されることと、同期確認は各基地局が隣接局とだけメッセージを交換するためメッセージ量が少ないためである。
【0119】
第8の効果は、ある特定の基地局に負荷が集中せず、負荷分散が実現できていることである。
その理由は、全ての基地局が同じ所属情報を保持するとともに、更新番号を用いることで全ての基地局が情報の新旧を判断でき、所属情報の同期が取れていない場合にそれを検出した任意の基地局が新しい所属情報を通知するためである。
【0120】
第9の効果は、ある特定の基地局に情報が依存せず、危険分散が実現できていることである。
その理由は、全基地局が同じ所属情報を保持するとともに、更新番号を用いることで全ての基地局が情報の新旧を判断でき、所属情報の同期が取れていない場合にそれを検出した任意の基地局が新しい所属情報を通知するためである。
【0121】
第10の効果は、端末の探索結果が一斉に他の基地局にも反映されることである。
その理由は、探索要求に対して探索対象の端末が所属する基地局が、他の全ての基地局に所属情報を通知するためである。
【0122】
このように、本実施形態では、各基地局がGAB中の各LABの新旧を判断する仕組みを持つことにより、他の基地局のLABについても情報の新しさを保証できるようになっている。このため、他の基地局がLABの所有者に代わって全ての基地局のLAB、つまりGABを他の基地局に通知することができる。
このことにより、一定周期で全ての基地局がLABをフラッディングしてネットワーク全体としてのメッセージ数が多くなってしまい、ネットワーク帯域を圧迫するといったことなく、全基地局のGABを同期させるためのフラッディングを一度で済ませることができる。このため、メッセージ数を削減することができ、ネットワークトラフィックへの負荷を小さく抑えることができる。
【0123】
また、LABの所有基地局に代わって他の基地局が全ての基地局のLAB、つまりGABを他の基地局に通知することができるため、同期をとるために端末毎、基地局毎に問い合わせを行う必要がない。このため、一定期間の通信断絶などにより基地局間のメッセージが複数回届かなかった場合であっても、探索が多発してしまうといった効率低下を引き起こすことがないようにできる。
さらに、ひとつのステーション情報広告フレームが複数の基地局に届かなかった場合であっても、探索が多発してしまうといった効率低下を引き起こすことがないようにできる。
【0124】
一般に、無線メッシュネットワークでは、無線通信端末がバケツリレー式に他の無線通信端末のパケットを転送することにより、無線通信の通信可能範囲を広げるようになっているため、特に端末の機動性と通信の継続性を維持するためには、所属情報の変化をネットワーク全体に迅速に伝えることが重要となる。
【0125】
ここで、無線メッシュネットワークでは、端末の所属情報などをネットワーク全体に伝えるために、無線の同報性を生かしたフラッディングが多用されているが、無線メッシュネットワークにおけるフラッディングはブロードキャスト通信をベースとしているため、一般的に到達確認が無く、情報の欠損が発生してもその欠損確認ができないという課題があった。
【0126】
これに対し、上述した実施形態では、多数の基地局間で無線通信が行われる無線メッシュネットワークのように、複数の無線基地局から更新通知情報を受信する可能性のある環境であっても、所属情報の変化を迅速に伝達することができると共に、各基地局が記憶する所属情報の同期を確実に維持することができる。
また、基地局間で上述のようにして端末の所属情報を交換し、GABを管理し維持するため、GABの同期をとるために大きなデータ量のトラフィック発生を必要としないようにできる。
さらに、バッファ内に時系列的に蓄積される順次データでなく、GABの所属情報のような各基地局に無秩序に現れたり消えたり、なおかつ順序性を持たないデータであっても、各基地局間で迅速かつ確実に同期させることができる。このため、安定した無線通信環境を提供することができる。
【0127】
また、無線干渉等の影響による通信断絶により一定期間GABの更新が出来ず、他の基地局のGABとの間で複数の差分が生じた場合であっても、複数の基地局からのLABAメッセージを待つ必要がなく、迅速にGABを最新の状態に更新することができる。
【0128】
また、上述した実施形態では、無線基地局の機能により上述した各効果を得ることができるため、無線端末や有線端末に機能的な追加や制限を設ける必要なく、一般の無線端末や有線端末を接続させながら、上述した各効果を得ることができる。
【0129】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
この第2の実施形態は、図24に示すように、上述した実施形態における図3の構成に入出力制御部(更新要求受信手段)245を追加することで、保守端末(他の情報処理装置)によるLABへの手動入力ができるようにしたものである。
【0130】
この入出力制御部245は、保守端末(350)からの入力に従って所属情報制御部244に所属登録もしくは所属解除を指示する。保守端末(350)は、入出力制御部245の制御によりその基地局にリモートログインする機能を備える。
所属情報制御部244は、ログインされた保守端末(350)からの所属登録や所属解除といった指示に従って所属情報記憶部243に記憶されたGAB(D)内の自局のLABを書き換え、所属情報交換メッセージを他の基地局に伝える。これにより、LABを手動操作で更新することが可能となる。
【0131】
第2の実施形態の動作を、図25、図26のシーケンスチャートを用いて説明する。
図25に示すシーケンスチャートは、AP1(200a)に接続された保守端末(350)からAP1(200a)に端末ST1を所属させる方法を示している。
【0132】
まず、保守端末(350)からAP1(200a)にST1所属登録(S1401)を指示する。次にAP1(200a)は、GAB(D)の自局のLABであるAPID=“AP1”のLABに、無線端末ST1(100a)の端末アドレス“ST1”を登録し更新番号(No)を“2”から“3”に更新する(S1402)。その結果、AP1(200a)のGABはD104となる。
【0133】
次にAP1(200a)は、GAB(D)のAPID=“AP1”のLABを元にUPDATEメッセージを生成して、フラッディングにより他の全ての基地局に通知し(S1403)、保守端末(350)に所属登録応答(S1404)を通知する。UPDATEメッセージ(S1403)を受信したAP2(200b)およびAP3(200c)は、UPDATEメッセージ(S1403)に含まれるLABを元にGAB(D)のAPID=“AP1”のLABを更新する(S1405)。
以上により、全ての基地局のGAB(D)において、APID=“AP1”のLABに無線端末ST1(100a)の端末アドレス“ST1”が登録される(D104、D105、D106)。
【0134】
図26に示すシーケンスチャートは、AP1(200a)に接続された保守端末(350)からAP1(200a)に所属している無線端末ST1(100a)をAP1(200a)から離脱させる方法を示している。
【0135】
まず、保守端末(350)からAP1(200a)にST1離脱要求(S1501)を指示する。次にAP1(200a)は、APID=“AP1”のLABから無線端末ST1(100a)の端末アドレス“ST1”を削除し更新番号(No)を“3”から“4”に更新する(S1502、D204)。
【0136】
次にAP1(200a)は、GAB(D)のAPID=“AP1”のLABを元にUPDATEメッセージを生成して全ての基地局に通知し(S1503)、保守端末(350)に離脱応答(S1504)を通知する。UPDATEメッセージ(S1503)を受信したAP2(200b)およびAP3(200c)は、UPDATEメッセージ(S1503)に含まれるLABを元にGAB(D)のAPID=“AP1”のLABを更新する(S1505)。
以上により、全ての基地局のGAB(D)において、APID=“AP1”のLABから無線端末ST1(100a)のアドレス“ST1”が削除される(D204、D205、D206)。
【0137】
以上のように、上述した第2の実施形態によれば、上述した第1の実施形態による上述した効果が同様に得られると共に、保守端末(350)によるLABへの手動入力ができることで、運用中に予測しない不具合が仮に発生した場合であっても、ネットワークの状況に応じた適切な保守管理を行うことができる。
【0138】
〔各実施形態について〕
なお、上述した各実施形態は本発明の好適な実施形態であり、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々変形して実施することが可能である。
例えば、無線基地局(AP)、有線端末、無線端末の数は上述したものに限定されず、通信可能に接続されたものであれば任意の数であってよい。
【0139】
また、図6〜図10に示す各メッセージは上述した実施形態における一例であり、図に示した内容に相当する情報が含まれていれば、メッセージを構成する要素や順番は図示したものに限定されず、各種のデータ構造であってよい。
【0140】
また、上述した各実施形態では、更新番号は順次加算されていくこととして説明したが、更新の新しさを確認することができればこのことに限定されない。
【0141】
また、上述した各実施形態における基地局間での各種メッセージ送信は、無線通信による送信に限定されず、有線通信によるものであってもよい。
すなわち、図27に例示するように、無線メッシュネットワークM1の基地局AP1から、有線接続された他の無線メッシュネットワークM2の基地局AP4に各種メッセージを送信し、上述のようにして各無線メッシュネットワーク内でGABを同期させることにより、複数の無線メッシュネットワーク間でGABを同期させるといった構成であっても、本発明は同様に実現することができる。
【0142】
また、上述した各実施形態としての無線メッシュネットワークシステムや無線基地局を実現するための処理手順をプログラムとして記録媒体に記録することにより、本発明の各実施形態による上述した各機能を、その記録媒体から供給されるプログラムによって、システムを構成するコンピュータのCPUに処理を行わせて実現させることができる。
この場合、上記の記録媒体により、あるいはネットワークを介して外部の記録媒体から、プログラムを含む情報群を出力装置に供給される場合でも本発明は適用されるものである。
すなわち、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記録媒体および該記録媒体から読み出された信号は本発明を構成することになる。
この記録媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリーカード、ROM等を用いてよい。
【0143】
この本発明に係るプログラムによれば、当該プログラムによって制御される無線メッシュネットワークシステムや無線基地局に、上述した各実施形態における各機能を実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】本発明の実施形態の概要を示す図である。
【図2】第1の実施形態としての無線メッシュネットワークの一構成例を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態としての基地局周りの構成例を示すブロック図である。
【図4】所属情報記憶部243に記憶されるGAB(D)の構成を示す図である。
【図5】所属情報交換メッセージの種類を示す図である。
【図6】UPDATEメッセージを示す図である。
【図7】MOVEメッセージを示す図である。
【図8】NOTIFYメッセージを示す図である。
【図9】STATUSメッセージを示す図である。
【図10】DISCOVERYメッセージを示す図である。
【図11】第1の実施形態としての無線メッシュネットワークの動作例を示すシーケンス図である。
【図12】該無線メッシュネットワークの動作例を示すシーケンス図である。
【図13】該無線メッシュネットワークの動作例を示すシーケンス図である。
【図14】該無線メッシュネットワークの動作例を示すシーケンス図である。
【図15】該無線メッシュネットワークの動作例を示すシーケンス図である。
【図16】該無線メッシュネットワークの動作例を示すシーケンス図である。
【図17】該無線メッシュネットワークの動作例を示すフローチャートである。
【図18】該無線メッシュネットワークの動作例を示すフローチャートである。
【図19】該無線メッシュネットワークの動作例を示すシーケンス図である。
【図20】該無線メッシュネットワークの動作例を示すフローチャートである。
【図21】該無線メッシュネットワークの動作例を示すシーケンス図である。
【図22】該無線メッシュネットワークの動作例を示すフローチャートである。
【図23】該無線メッシュネットワークの動作例を示すシーケンス図である。
【図24】本発明の第2の実施形態の構成例を示すブロック図である。
【図25】第2の実施形態としての無線メッシュネットワークの動作例を示すシーケンス図である。
【図26】該無線メッシュネットワークの動作例を示すシーケンス図である。
【図27】無線メッシュネットワークの他の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0145】
100 無線端末
200 基地局
244 所属情報制御部
D GAB(所属情報管理テーブルの一例)
300 有線端末
350 保守端末
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば無線メッシュネットワークなどに用いられ、無線通信端末を所属させる無線基地局どうしで通信を行い、所属する端末の管理情報の送受信を行う無線基地局、通信システム、所属情報管理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線メッシュネットワークシステムは、複数の基地局が無線通信によって接続されるネットワークであり、端末はある時点においていずれかひとつの基地局に所属する。どの端末がどの基地局に所属しているかを把握するために所属情報が必要であり、ある基地局に所属する全端末の所属情報をLAB(Local Association Base)と呼ぶ。また、全基地局の所属情報、つまりLABの全集合をGAB(Global Association Base)と呼ぶ。
【0003】
こうした無線メッシュネットワークでは、各基地局がGABを持つことで端末間の通信を実現している。また、無線基地局間でLABA(Local Association Base Advertisement)メッセージにより定期的にLABを通知しあうことで、所属情報の変化の通知と、所属情報を管理するGAB(所属情報管理テーブル)の同期を実現している。
さらに、全基地局がサイズの大きいLABを定期的に通知しあうと無線帯域を大きく消費して効率が悪いため、LABCA(Local Association Base Checksum Advertisement)メッセージでLABのチェックサムだけを通知するchecksum diffusionモードが設けられている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
近年、VoIP(Voice over IP)等を用いてパケットネットワークで通話を実現する無線通信端末が普及しつつある。これらの端末に対しては、通信を維持しながら基地局間の移動を実現することが、無線端末の機動性を確保しつつ円滑な会話を実現するために重要である。
【0005】
また、本発明の関連技術として、ステーション情報要請フレームとステーション情報応答フレームを用いて、所属先がわからない端末の所属先を探索し、同期ずれに対応するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、本発明の関連技術として、バッファのシーケンス番号と破棄要求メッセージを含むバッファ状態同期信号を、基地局が他の基地局に送信することにより、送信先の基地局にも指定数のデータを破棄させ、バッファ内のデータ格納状態を同期させるようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2006−311549号公報
【特許文献2】特開2003−78937号公報
【非特許文献1】間瀬憲一、外1名、「アドホック・メッシュネットワーク ―ユビキタスネットワーク社会の実現に向けて―」、コロナ社、平成19年9月20日、p.171-174
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した非特許文献1のものでは、一定周期毎にLABを通知する方法であることから、無線端末の移動などに伴うLABの変化が他の基地局のGABに反映されるまでに時間がかかってしまう虞があった。
換言すれば、更新されてから送信周期が来るまでの間は、所属情報を管理する所属情報管理テーブルの同期が行われず、その間、移動した端末では通信断絶時間となってしまう虞があった。
【0008】
また、通信断絶時間を短縮するためにLABAメッセージの送信周期を短くすれば、所属情報管理テーブルの同期をとるための不要なトラフィックが増大してしまい、帯域を不要に圧迫してしまう虞があった。
【0009】
また、上述したchecksum diffusionモードについても、GABの差分を検出してから最新のLABを得るまでには次の通知周期を待たなければならず、同期が取れるまでにはさらに1周期分の時間が必要であった。
【0010】
また、無線干渉等の影響により通信断絶が発生し、一定期間GABの更新が出来ないなどにより、他の基地局のGABとの間で複数の差分が生じてしまうと、複数の基地局からのLABAメッセージを待つ必要があった。このため、GABの同期にさらに時間がかかってしまう虞があった。
【0011】
また、一定周期で全ての基地局がLABをフラッディングすると、ネットワーク全体として見ればメッセージ数が多くなってしまい、ネットワーク帯域を圧迫するという課題があった。
【0012】
また、上述した特許文献1のものは、移動ステーションについての情報の要請を無線LANモジュールがブロードキャスト方式で行い、ユニキャスト方式でその応答を得ることで所属端末の情報を管理するものであり、同期をとるための不要なトラフィックが要請の度にブロードキャストで増大してしまい、帯域を不要に圧迫してしまう虞があった。
また、移動ステーションについての更新情報を受信しても、その更新情報の新しさを確認しうるものではなかった。
すなわち、例えば無線メッシュネットワークにおける基地局など、複数の無線基地局から更新通知情報を受信する可能性のある環境に適用することについてまで考慮されたものではなかった。
【0013】
また、上述した特許文献2のものは、バッファ状態同期信号により他の基地局との間でバッファ内のユーザデータ格納状態を同期させるものであり、例えば無線メッシュネットワークにおける基地局など、複数の無線基地局から更新通知情報を受信する可能性のある環境で所属情報管理テーブルを同期させることについてまで考慮されたものではなかった。
【0014】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、同期されていない差分が複数生じた場合などであっても、所属情報管理テーブルの同期をとるために不要に大きなトラフィック発生を必要とせず、複数の無線基地局から更新通知情報を受信する可能性のある環境であっても、所属情報管理テーブルを迅速かつ確実に同期させることができる無線基地局、通信システム、所属情報管理方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
かかる目的を達成するために、本発明に係る無線基地局は、各無線基地局における端末の所属情報を、更新の新旧を判断するための新旧判断情報に関連付けて管理する所属情報管理テーブルを格納する管理テーブル格納手段と、上記所属情報管理テーブルが更新される際に上記新旧判断情報を含めて更新する所属情報更新手段と、上記所属情報更新手段により上記更新された際、上記所属情報管理テーブルにおける更新部分および上記新旧判断情報を少なくとも含む更新通知情報を有線または無線で他の無線基地局に送出する第1の送出手段と、を備え、上記所属情報更新手段は、他の無線基地局から上記更新通知情報が受信された場合、該更新通知情報に基づいて上記所属情報管理テーブルを更新することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る通信システムは、上述した本発明に係る無線基地局の複数が通信可能に接続されて構成されたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る所属情報管理方法は、各無線基地局における端末の所属情報を管理する所属情報管理テーブルが更新される際、該更新情報における更新の新旧を判断するための新旧判断情報を含めて更新する第1の所属情報更新工程と、上記第1の所属情報更新工程により上記更新された際、上記所属情報管理テーブルにおける更新部分および上記新旧判断情報を少なくとも含む更新通知情報を有線または無線で他の無線基地局に送出する第1の送出工程と、他の無線基地局から上記更新通知情報を受信した場合に、該更新通知情報に基づいて上記所属情報管理テーブルを更新する第2の所属情報更新工程と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る所属情報管理プログラムは、各無線基地局における端末の所属情報を管理する所属情報管理テーブルが更新される際、該更新情報における更新の新旧を判断するための新旧判断情報を含めて更新する第1の所属情報更新処理と、上記第1の所属情報更新処理により上記更新された際、上記所属情報管理テーブルにおける更新部分および上記新旧判断情報を少なくとも含む更新通知情報を有線または無線で他の無線基地局に送出する第1の送出処理と、他の無線基地局から上記更新通知情報を受信した場合に、該更新通知情報に基づいて上記所属情報管理テーブルを更新する第2の所属情報更新処理と、を無線基地局のコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、複数の無線基地局から更新通知情報を受信する可能性のある環境であっても、所属情報管理テーブルを迅速かつ確実に同期させることができ、安定した無線通信環境を提供することができる。
さらに、同期されていない差分が複数生じた場合などであっても、所属情報管理テーブルの同期をとるために不要に大きなトラフィック発生を必要とせず、上記効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明に係る無線基地局、通信システム、所属情報管理方法、およびプログラムを、無線メッシュネットワークシステムに適用した一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
各実施形態は、無線メッシュネットワークシステムについて、通信断絶時間の少ない無線端末の基地局間の移動を実現する。このため、自律同期可能な所属情報管理方法を提供する。
【0021】
このため、本発明の各実施形態では、図1に示すように、無線基地局が、更新の新旧を判断するための新旧判断情報に、その基地局に所属する端末の所属情報が関連付けられた所属情報管理テーブルを格納する。
そして所属情報更新手段が、その新旧判断情報を含めて所属情報の更新を行う。また、所属情報更新手段は、他の無線基地局から更新通知情報が受信されると、その更新通知情報に基づいて、所属情報管理テーブルを更新する。
更新通知情報は、所属情報における更新部分と、新旧判断情報とを少なくとも含む。この更新通知情報は、送出手段が送出する。
【0022】
次に、本発明の各実施形態に共通する概略について説明する。
本実施形態の基地局は、端末が基地局間でハンドオーバした場合など、端末の新たな帰属や離脱に伴ってLABを更新する。また、更新すると即座に更新したLABをフラッディングして、本無線メッシュネットワークシステムに含まれる全ての基地局に通知する。このことにより、個別の基地局におけるLABの変化が全ての基地局に速やかに展開され、同時に各基地局間でのLABの同期を速やかに行うことができる。
【0023】
また、本実施形態の基地局は、LAB中にそのLABの更新状況を表す「更新番号」(新旧判断情報)を備える。このことにより、通知を受けた他の基地局はLABの新旧の判断が可能となる。さらに、全ての基地局は周期的に隣接の基地局と全ての基地局のLABの「更新番号」のみを交換することで、GAB(所属情報管理テーブル)の更新状況を互いに確認する。
このように、本実施形態では、更新状況の確認のために「更新番号」だけを交換するため、同期確認のための情報量の削減が可能になる。また、同期確認が隣接ノード間に閉じて実現できるため、ネットワーク内のメッセージ数が削減される。
【0024】
また、任意の基地局は、隣接の基地局から受信した「更新番号」が自局のGABに記憶する「更新番号」よりも古いことを検出すると、自局が持つGABを即座に全基地局にフラッディングする。これにより、全基地局間でGABが即座に同期される。
また、各基地局は無線端末から移動通知を受信すると、LABを更新するとともに他の全ての基地局にフラッディングする。これにより通信中断の少ない基地局間の端末の移動を実現する。
【0025】
端末からのデータ送信時に宛先端末の所属先がわからない場合、その宛先端末の所属先探索を行う。探索要求への応答は、探索対象の端末が所属する基地局が自局のLABを全基地局にフラッディングすることで実現する。このことにより、探索結果が全基地局に展開されると同時に、このLABの同期を取ることを可能とする。
【0026】
また、有線端末の場合には、端末が送信するデータから送信元アドレスを抽出することで、LABに有線端末を自動的に登録するとともに、LABを全基地局にフラッディングすることでこのLABの更新を通知し通信を可能とする。
【0027】
〔第1の実施形態〕
次に、本発明の第1の実施形態の構成について図面を参照して詳細に説明する。
以下、説明を簡略化するために、ある基地局に所属する全端末の所属情報をLAB、全基地局の所属情報つまりLABの全集合をGABと略記する。
【0028】
図2は、第1の実施形態としての無線メッシュネットワークの一構成例を示している。図2を参照すると、本実施形態としての無線メッシュネットワークMは、基地局AP1(200a)、基地局AP2(200b)、基地局AP3(200c)で構成され、無線端末ST1(100a)が基地局AP1(200a)に、無線端末ST2(100b)が基地局AP3(200c)にそれぞれ所属している。
また、有線端末ST3(300a)が基地局AP1(200a)に、有線端末ST4(300b)が基地局AP3(200c)にそれぞれ所属している。
【0029】
基地局AP1(200a)、基地局AP2(200b)、基地局AP3(200c)は無線によって相互に通信が可能である。基地局AP1(200a)、基地局AP2(200b)、基地局AP3(200c)は、それぞれに所属する端末間の通信データを通信データの宛先にしたがって転送する。通信データの転送は、手動設定や無線メッシュネットワークの既存のルーティングプロトコルによって構築されたルーティング情報に基づいて実現される。
【0030】
また本実施形態においては、基地局を特定するために個々の基地局に識別子を割り当てて管理する。この基地局に割り当てられた識別子をAPIDと略記する。APIDは基地局ごとに異なる値が割り当てられる。
【0031】
なお、図2に示される構成は無線メッシュネットワークの一例であり、基地局の数や所属する端末の数は図2に制限されるものではない。また、本実施形態においては、各基地局は位置を固定されず、任意に移動してネットワーク構成が動的に変化しても構わない。
【0032】
次に図3を参照して、図2に示す基地局の構成について詳細に説明する。図3を参照すると、基地局200は無線APインタフェース機能部210、有線インタフェース機能部220、無線メッシュインタフェース機能部230、所属情報管理部240、データ転送機能部250から構成される。
【0033】
無線APインタフェース機能部210は無線アクセスポイント機能を持ちIEEE802.11等により無線端末100を収容する。
無線APインタフェース機能部210は、無線端末100から受信したデータが制御メッセージの場合にはそのメッセージを終端し、端末間の送受信データの場合にはデータ転送機能部250に渡す。
【0034】
ここで制御メッセージとは、所属、離脱、移動に伴い基地局と端末の間で送受信されるメッセージを指し、IEEE802.11の無線LAN規格においては、所属要求とその応答はAssociation RequestとAssociation Response、離脱要求はDisassociationもしくはDeauthentication、移動要求とその応答はReassociation RequestとReassociation Responseに該当し、無線APインタフェース機能部210はIEEE802.11規格に沿って動作する。
ただし、本実施形態はIEEE802.11規格に限定されるものではなく、他の無線技術における類似の制御方法にも適用可能である。また、例えばIEEE802.1X規格等を利用して認証を行う場合には、認証メッセージを制御信号として使用しても良い。
【0035】
有線インタフェース機能部220はIEEE802.3等により有線端末と接続され通信を行う。有線端末はHUB等を使用して複数台接続することも可能であり、また、ルータを接続して外部ネットワークとつなぐことも可能である。さらに、複数の無線メッシュネットワークを有線インタフェース機能部220を介して有線により接続し、一つのネットワークを構成することも可能である。
無線メッシュインタフェース機能部230は、IEEE802.11等により他の基地局200と通信する。
【0036】
所属情報管理部240は、端末の所属情報を管理する。所属情報管理部240は、無線メッシュアドレス記憶部241、無線APアドレス記憶部242、所属情報記憶部243、所属情報制御部244を有して構成される。無線メッシュアドレス記憶部241は、各基地局の無線メッシュインタフェース機能部230のアドレスとAPIDの対応を記憶し、他の基地局にデータを送信する際にAPIDから宛先アドレスを得るために使用される。
【0037】
無線APアドレス記憶部242は、各基地局の無線APインタフェース機能部210のアドレスとAPIDとの対応を記憶し、端末の移動の際に移動前の無線APインタフェース機能部210のアドレスからその基地局のAPIDを求めるために使用される。
無線メッシュアドレス記憶部241および無線APアドレス記憶部242に記憶される情報は、あらかじめ手動等により設定される。
【0038】
所属情報記憶部243は、無線メッシュネットワーク内に存在する全端末の所属情報であるGAB(D)を記憶する。所属情報制御部244は、端末のアドレスをもとに、無線メッシュアドレス記憶部241、無線APアドレス記憶部242、所属情報記憶部243に記憶されたGAB(D)を検索し端末の所属先を求める機能を持つ。
【0039】
さらに所属情報制御部244は、無線APインタフェース機能部210を通じて無線端末100の所属、離脱、移動を検知し、所属情報記憶部243に記憶されるGAB(D)を更新する。また、所属情報制御部244はデータ転送機能部250から有線端末300が送信するデータの送信元アドレスを入手し、所属情報記憶部243のGAB(D)を更新する。また所属情報制御部244は、データ転送機能部250および無線メッシュインタフェース機能部230を通じて他の基地局200と所属情報交換メッセージを送受信し、必要に応じて所属情報記憶部243のGAB(D)を更新する。
【0040】
データ転送機能部250は、無線メッシュネットワーク内のルーティング情報を保持し、端末間で送受信されるデータや基地局間で送受信されるデータを適切な宛先に転送する機能を持つ。端末宛のデータの場合には、データ転送機能部250は所属情報管理部240から宛先端末の所属先を得て適切な基地局に転送する。端末間のデータ転送の際には、データ転送機能部250は、端末が送信するデータの送信元アドレスを抽出して所属情報管理部240に伝える。また、データ転送機能部250は、所属情報管理部240と他の基地局200との間で所属情報交換メッセージを転送する機能を持つ。
【0041】
図4は、図3の所属情報記憶部243に記憶されるGAB(D)の構成を例示している。図4を参照すると、所属情報管理テーブルであるGAB(D)は、APID247、更新番号248、端末アドレス249を有し、これらが互いに関連付けられて構成される。APID247には、各基地局のAPIDが格納される。更新番号248には更新番号が格納される。端末アドレス249には、APID247で示される基地局に所属する全ての端末のアドレスが格納される。更新番号248は、端末アドレス249への端末アドレスの追加、削除に伴って1つずつ値が加算されるものであり、値の大小を比較することにより所属情報の新旧を比較することが可能である。
【0042】
例えば、あるAPIDに関連付けられた更新番号248が“10”と記憶されていて、他の基地局から受信した所属情報交換メッセージにおけるそのAPIDの更新番号が“11”である場合、受信した情報の方が新しいと判断することができる。GAB(D)は無線メッシュネットワーク内の全ての基地局のLABで構成される。なお、図4は図2のネットワーク構成の場合に各基地局が持つGAB(D)を例示している。
【0043】
図5は、所属情報を基地局間で交換する所属情報交換メッセージの種類を示す。図5を参照すると、メッセージ種別400は、メッセージ名410に表されるUPDATEメッセージ411、MOVEメッセージ412、NOTIFYメッセージ413、STATUSメッセージ414、DISCOVERYメッセージ415の5種類のメッセージで構成され、個々のメッセージを識別するためにメッセージ番号420の値が割り当てられる。
本実施形態では、GABが更新されたことを通知する更新通知情報として、こうしたUPDATEメッセージ411、MOVEメッセージ412、NOTIFYメッセージ413を基地局から他の基地局へと送信することで、各基地局のGABの同期を行う。
なお、メッセージ番号420は本実施形態における一例であり、メッセージを特定できるものであれば番号でなくても良い。
【0044】
図6は、UPDATEメッセージ(テーブル更新通知情報)を例示している。UPDATEメッセージ500は、送信元APID510、送信先APID520、メッセージ種別530、シーケンス番号540、更新番号550、所属端末数560、端末アドレス群570を有して構成される。
【0045】
送信元APID510にはメッセージの送信元のAPID、送信先APID520には全基地局を示す特別に予約されたAPIDが格納される。メッセージ種別530には、図5で示したようにUPDATEメッセージを示す値“1”が格納される。シーケンス番号540はメッセージのシーケンス番号が格納される。更新番号550は、メッセージ送信元の基地局のLABの更新番号が格納される。端末アドレス群570にはメッセージ送信元の基地局に所属する全ての端末のアドレスが連続して格納され、所属端末数550にその数が格納される。
【0046】
UPDATEメッセージは、ある基地局においてその基地局の所属情報つまりLABに変更があった場合などに、LABを他の基地局に通知するために使用され、フラッディングによって他の全ての基地局に届けられる。
【0047】
図7は、MOVEメッセージ(移動通知情報)を例示している。MOVEメッセージ600は、送信元APID610、送信先APID620、メッセージ種別630、シーケンス番号640、移動前APID650、移動端末アドレス660、更新番号670、所属端末数680、端末アドレス群690を有して構成される。
【0048】
送信先APID620には全基地局を示す特別に予約されたAPIDが格納される。メッセージ種別630には、MOVEメッセージを示す値“2”が格納される。移動端末アドレス660には、メッセージ送信元の基地局に移動してきた端末のアドレスが格納され、移動前APID650には端末が移動する前に所属していた基地局のAPIDが格納される。
【0049】
MOVEメッセージは、無線端末が移動に伴って所属する基地局を変更した場合に使用され、フラッディングによって新たに所属した基地局から他の全基地局に届けられる。
【0050】
図8は、NOTIFYメッセージ(一般通知情報)を例示している。NOTIFYメッセージ700は、送信元APID710、送信先APID720、メッセージ種別730、シーケンス番号740、APID数750、APID760、更新番号770、所属端末数780、端末アドレス群790を有して構成される。
【0051】
送信先APID720には全基地局を示す特別に予約されたAPIDが格納される。メッセージ種別730には、NOTIFYメッセージを示す値“3”が格納される。APID数750には、送信元の基地局が記憶するGABに含まれる全APIDの数が格納され、APID760、更新番号770、所属端末数780、端末アドレス群790は、APID数750が示す値の数分だけ繰り返しメッセージに格納される。APID760にはAPIDが格納され、次に続く更新番号770と所属端末数780と端末アドレス群790にはAPID760が示す基地局のLABの更新番号と端末アドレスの数と端末アドレスが格納される。
【0052】
NOTIFYメッセージは、任意の基地局が自局に記憶するGAB(D)を他の基地局に伝える場合に使われ、フラッディングによって他の全ての基地局に届けられる。
【0053】
図9は、STATUSメッセージ(周期送信情報)を例示している。STATUSメッセージ800は、送信元APID810、送信先APID820、メッセージ種別830、シーケンス番号840、APID数850、APID860、更新番号870を有して構成される。
【0054】
送信先APID820には隣接基地局を示す特別に予約されたAPIDが格納される。メッセージ種別830には、STATUSメッセージを示す値“4”が格納される。APID数850には、送信元の基地局が記憶するGAB(D)に含まれる全APIDの数が格納され、APID860、更新番号870は、APID数850が示す値の数分だけ繰り返しメッセージに格納される。APID860にはAPIDが格納され、次に続く更新番号870にはAPID860が示す基地局のLABの更新番号が格納される。
【0055】
STATUSメッセージは、ある基地局が記憶するGAB(D)に含まれる全ての更新番号を他の基地局に伝える場合に使用され、予め定められた一定周期で定期的に各基地局から隣接の全基地局、すなわち他の基地局を経由せずに有線または無線で送信可能な全基地局に対してブロードキャストによって届けられる。
このようにSTATUSメッセージでは、APIDにそのLABの更新番号を関連付けて、各基地局についての情報が構成される。すなわち、端末アドレスなどのデータ量がかさばる情報を含まない構成となっている。このため、周期的にSTATUSメッセージをフラッディングして送信する場合にも、不要に大きなデータ量となってネットワークトラフィックを圧迫することなく、小さなデータ通信量で確実な更新確認を行うことができる。
【0056】
図10は、DISCOVERYメッセージ(探索要求情報)を例示している。DISCOVERYメッセージ900は、送信元APID910、送信先APID920、メッセージ種別930、シーケンス番号940、端末アドレス950を有して構成される。
【0057】
送信先APID920には全基地局を示す特定のAPIDが格納される。メッセージ種別930には、DISCOVERYメッセージを示す値“5”が格納される。端末アドレス950には、探索対象の端末のアドレスが格納される。
【0058】
DISCOVERYメッセージは、ある端末がどの基地局に所属しているのかを調べるために使われ、フラッディングによって他の全ての基地局に届けられる。
【0059】
次に、本実施形態としての無線メッシュネットワークシステムの動作について、図面を参照して詳細に説明する。
【0060】
図11に示すシーケンスチャートは、無線端末ST1(100a)がAP1(200a)に所属する際の所属情報の通知と更新の方法を示している。図11中、D11〜D16は基地局AP1(200a)、AP2(200b)、AP3(200c)がそれぞれの時点で記憶するGAB(D)を示す。以下の各GAB(D)中、更新番号を“No”、端末アドレスを“STADR”と略記している。
【0061】
まず無線端末ST1(100a)は、AP1(200a)に対して所属要求(S101)を送信する。AP1(200a)は所属要求(S101)を受信すると、無線端末ST1(100a)に対して所属応答(S102)を送信する。次にAP1(200a)は、自局のLABであるAPID=”AP1”のLABの端末アドレス欄(STADR)に、無線端末ST1(100a)の端末アドレス“ST1”を登録し更新番号(No)を“2”から“3”に更新する(S103)。その結果、AP1(200a)のGABはD14となる。
【0062】
次にAP1(200a)は、自局のLABであるAPID=“AP1”のLABからUPDATEメッセージを生成し、フラッディングにより他の全ての基地局に通知する(S303)。UPDATEメッセージ(S104)を受信したAP2(200b)およびAP3(200c)は、UPDATEメッセージ(S104)に含まれるLABを元に自局のGAB(D)のAPID=“AP1”のLABの更新番号(No)と端末アドレス欄(STADR)を更新する(S105)。
以上により、全ての基地局のGAB(D)について、APID=“AP1”のLABに無線端末ST1(100a)のアドレス“ST1”が登録される(D14、D15、D16)。
【0063】
図12に示すシーケンスチャートは、AP1(200a)に所属している無線端末ST1(100a)が、AP1(200a)から離脱する際の所属情報の通知と更新の方法を示している。
【0064】
まず無線端末ST1(100a)は、AP1(200a)に離脱要求(S300)を送信する。AP1(200a)は離脱要求(S201)を受信すると、自局のLABであるAPID=“AP1”のLABの端末アドレス欄(STADR)から無線端末ST1(100a)の端末アドレス“ST1”を削除し更新番号(No)を“3”から“4”に更新する(S202、D24)。
【0065】
次にAP1(200a)は、自局のLABであるAPID=“AP1”のLABからUPDATEメッセージを生成し全ての基地局に通知する(S203)。UPDATEメッセージ(S203)を受信したAP2(200b)およびAP3(200c)は、UPDATEメッセージ(S203)に含まれるLABを元にGAB(D)のAPID=“AP1”のLABを更新する(S204)。
以上により、全ての基地局のGAB(D)において、APID=“AP1”のLABから無線端末ST1(100a)のアドレス“ST1”が削除される(D24、D25、D26)。
【0066】
図13に示すシーケンスチャートは、AP1(200a)に所属していた無線端末ST1(100a)が、AP2(200b)に移動する際の所属情報の通知と更新の方法を示している。
【0067】
まず無線端末ST1(100a)は、AP2(200b)に移動要求(S301)を送信する。このとき、移動要求(S301)には、無線端末ST1(100a)が移動前に所属していた基地局の無線APアドレスが含まれている。AP2(200b)は移動要求(S301)を受信すると、無線端末ST1(100a)に対して移動応答(S302)を送信する。
【0068】
送信後、AP2(200b)は、自局のLABであるAPID=“AP2”のLABの端末アドレス欄(STADR)に、無線端末ST1(100a)の端末アドレス“ST1”を登録し、更新番号(No)を“3”から“4”に更新する(S303、D34)。次にAP2(200b)は、移動要求(S301)に含まれていた移動前の基地局の無線APアドレスから移動前の基地局のAPID=“AP1”を求める(S304)。この処理は、図3における所属情報制御部244が無線APアドレス記憶部242を検索することで実現される。
【0069】
次にAP2は、自局のLABであるAPID=“AP2”のLABからMOVEメッセージを生成し、フラッディングにより他の全ての基地局に通知する(S305)。このMOVEメッセージ(S305)の移動前APID(図7の移動前APID650)にはS304で求めた移動前の基地局のAPID=“AP1”が格納され、移動端末アドレス(図7の移動端末アドレス660)には無線端末ST1(100a)の端末アドレス“ST1”が格納される。
【0070】
AP2(200b)およびAP3(200c)は、MOVEメッセージ(S305)を受信すると、MOVEメッセージ(S305)に含まれるLABを元にGAB(D)のAPID=“AP2”のLABを更新する(S306、D35、D36)。次にAP1(200a)は、MOVEメッセージ(S305)の移動前APIDが自局を示していることを検知すると、移動端末アドレス“ST1”を自局のLABであるAPID=“AP1”のLABから削除する(S307、D37)。
【0071】
次にAP1(200a)は、自局のLABであるAPID=“AP1”のLABからUPDATEメッセージを生成し全ての基地局に通知する(S308)。UPDATEメッセージ(S308)を受信したAP2(200b)およびAP3(200c)は、UPDATEメッセージ(S308)に含まれるLABを元にGAB(D)のAPID=“AP1”のLABを更新する(S309)。
以上により、全ての基地局のGAB(D)において、無線端末ST1(100a)はAP1(200a)からAP2(200b)に所属先が変更される(D37、D38、D39)。
【0072】
図14に示すシーケンスチャートは、基地局AP1(200a)に有線接続された有線端末ST1(100a)がAP1(200a)に所属する際の所属情報の通知と更新の方法を示している。有線端末ST1(100a)は、有線で接続された基地局AP1(200a)に無線端末ST2(100b)宛てのデータを送信する(S401)。
【0073】
AP1(200a)は、ST2宛データ(S401)を受信すると、ST2宛データ(S401)の送信元アドレス“ST1”がGAB(D)のAPID=“AP1”のLABに存在するかどうかを調べ、存在しない場合には新たに送信元アドレス“ST1”を登録する(S402、D44)。次にAP1(200a)は、自局のLABであるAPID=“AP1”のLABからUPDATEメッセージを生成し、フラッディングにより他の全ての基地局に通知する(S403)。
【0074】
UPDATEメッセージ(S403)を受信したAP2(200b)およびAP3(200c)は、UPDATEメッセージ(S403)に含まれるLABを元にGAB(D)のAPID=“AP1”のLABを更新する(S404)。
以上により、全ての基地局のGAB(D)において、APID=“AP1”のLABに無線端末ST1(100a)のアドレス“ST1”が登録される(D44、D45、D46)。
【0075】
なお、この図14に示す動作例では、無線端末ST2(100b)は有線端末でも良い。また、有線端末ST1(100a)が送信するデータ(S401)の宛先アドレスは特定の端末のアドレスに限定されるものではなく、例えばマルチキャストアドレスやブロードキャストアドレス等でも良い。また、本動作においては、有線端末ST1(100a)を所属させるために参照するデータ(S401)を、ARP要求やARP応答など特定のプロトコルデータに限定しても良い。
【0076】
図15に示すシーケンスチャートは、AP1(200a)において無線端末ST2(100b)の所属先が不明な場合の探索方法を示している。まず無線端末ST1(100a)がAP1(200a)に対して無線端末ST2(100b)宛てのデータを送信する(S501)。
【0077】
次にAP1(200a)は、ST2宛データ(S501)を転送するためにGAB(D51)を検索するが、GAB内のいずれのLABにもアドレス“ST2”が存在しないため所属先不明と判断し、DISCOVERYメッセージ(S502)を、フラッディングにより他の全ての基地局に送信する。このとき、DISCOVERYメッセージ(S502)の端末アドレス欄(図10の端末アドレス950)には、探索対象のアドレス“ST2”が格納される。
【0078】
AP2(200b)は、DISCOVERYメッセージ(S503)を受信すると、DISCOVERYメッセージ(S503)で指定された端末アドレス“ST2”についてGABを検索し自局に所属していないことを検知して処理を終了する(S504)。AP3(200c)は、DISCOVERYメッセージ(S503)を受信すると、DISCOVERYメッセージ(S503)で指定された端末アドレス“ST2”についてGAB(D)を検索し自局に所属していることを検知する(S505)。
【0079】
次にAP3(200c)は自局のLABであるAPID=“AP3”のLABからUPDATEメッセージを生成し、フラッディングにより他の全ての基地局に通知する(S506)。UPDATEメッセージ(S506)を受信したAP1(200a)およびAP2(200b)は、UPDATEメッセージ(S506)に含まれるLABを元にGAB(D)のAPID=”AP3”のLABを更新する(S507)。
【0080】
以上により、全ての基地局のGAB(D)において、APID=“AP3”のLABに無線端末ST2(100b)のアドレス“ST2”が登録される(D54、D55)。
なお、本動作においては、無線端末ST1(100a)、無線端末ST2(100b)はそれぞれ有線端末であっても同様である。
【0081】
図16に示すシーケンスチャートは、AP1(200a)、AP2(200b)、AP3(200c)、AP4(200d)の間の所属情報の同期方法を示している。図16の各基地局が格納するGABであるD61、D62、D63、D64を参照すると、D61、D62のAPID=“AP3”のLABに“ST2”が存在しないのに対して、D63、D64には“ST2”が存在し、GABの同期が取れていない状態である。
【0082】
まず、各基地局は定期的にSTATUSメッセージを隣接の基地局に送信し、受信側で更新状況確認処理を実行して互いに更新状況の確認を行っている(S601〜S606)。AP2(200b)が送信したSTATUSメッセージ(S605)をAP3(200c)が受信し、更新状況確認処理を実行した結果、AP2(200b)が記憶するAPID=“AP4”のLABが古いことを検知する(S607)。
【0083】
次にAP3(200c)は、自局が記憶するGAB(D)からNOTIFYメッセージを生成し、フラッディングにより他の全ての基地局に通知する(S608)。NOTIFYメッセージ(S608)を受信したAP1(200a)およびAP2(200b)はNOTIFYメッセージの所属情報更新処理を実行し、自局のGAB(D)に記憶される古いLABを更新する。この例では、AP1(200a)およびAP2(200b)においてAPID=“AP4”のLABが更新される(S609、D65、D66)。AP4(200d)は、NOTIFYメッセージ(S608)を受信して同様にNOTIFYメッセージの所属情報更新処理を実行するが、この例ではデータの更新の必要はない(S610)。
以上により、全ての基地局のGAB(D)が一斉に同期される(D65、D66、D63、D64)。
【0084】
次に、図4、図9、図17を用いて、STATUSメッセージを受信した際の更新状況確認処理(図16のS602、S604、S606、S607)の動作を説明する。図17に示すフロースチャートは、STATUSメッセージを受信した際の更新状況確認処理の動作を示している。
【0085】
図17を参照すると、基地局はSTATUSメッセージを受信すると、まず“NOTIFY送信フラグ”を“OFF”に初期化する(S701)。次に、STATUSメッセージに含まれる最初のAPID(図9のAPID860)を参照し、自局のAPIDかどうかを判定する(S703)。
【0086】
自局のAPIDではなかった場合には、STATUSメッセージ中の更新番号(図9の更新番号870)と自局が記憶するGAB(D)の中の該当するAPIDのLABの更新番号(図4の更新番号248)を比較する(S704)。STATUSメッセージで受信した更新番号がGAB(D)に記憶する更新番号より小さい場合には、NOTIFY送信フラグを“ON”にする(S705)。
【0087】
一方、ステップS703で対象のAPIDが自局である場合には、受信した更新番号と記憶する更新番号を比較する(S706)。そして、もし受信した更新番号が記憶していた更新番号より大きい場合には、自局内のGAB(D)に記憶する自局のLABの更新番号を受信した番号に“1”を加えた新たな番号に更新し(S707)、NOTIFY送信フラグを“ON”にする(S708)。これは、LABの所有者の情報が最も新しい事を保証するための仕組みである。
【0088】
以上のようにして、ステップS702からS709までをSTATUSメッセージで受信した全APID分繰り返した後、NOTIFY送信フラグを確認し(S710)、“ON”だったならばNOTIFY送信処理を実行する(S711)。
【0089】
次に、図4、図8、図18を用いて、NOTIFYメッセージを受信した際の所属情報更新処理(図16のS609、S610)の動作を説明する。図18に示すフローチャートは、NOTIFYメッセージを受信した際の所属情報更新処理の動作を示している。
【0090】
図18を参照すると、基地局はNOTIFYメッセージを受信すると、NOTIFYメッセージに含まれるGABの最初のAPID(図8のAPID760)を参照し、自局のAPIDかどうかを判定する(S802)。自局のAPIDではなかった場合には、NOTIFYメッセージ中の更新番号(図8の更新番号770)と自局が記憶するGAB(D)内の該当するLABの更新番号(図4の更新番号248)を比較する(S803)。
【0091】
NOTIFYメッセージで受信した更新番号がGAB(D)に記憶する番号よりも大きい場合には、GAB(D)内の該当するLABの更新番号(図4の更新番号248)と端末アドレス(図4の端末アドレス249)を、NOTIFYメッセージで受信した更新番号(図8の更新番号770)と端末アドレス(図8の端末アドレス群790)の値に書き換える(S804)。
【0092】
一方、ステップS802において対象のAPIDが自局だった場合には、受信した更新番号と記憶する更新番号を比較し(S805)、もし受信した更新番号の方が大きい場合には、GAB(D)に記憶する自局のLABの更新番号を受信した番号に“1”を加えた新たな番号に更新する(S806)。これは、LABの所有者の情報が最も新しい事を保証するための仕組みである。
以上のようにしてステップS801からS807までを、NOTIFYメッセージで受信した全APID分繰り返して処理を終了する。
【0093】
次に、図19を用いて、NOTIFYメッセージの重複送信の回避を行う動作を説明する。これはSTATUSメッセージを複数の基地局が受信することによって、複数の基地局から同時に複数のNOTIFYメッセージが送信されることを防ぐための仕組みである。
【0094】
図19に示すシーケンスチャートは、AP2(200b)のGABが古いことをAP1(200a)とAP3(200c)が検知した場合の動作を示している。S904において、AP2(200b)がSTATUSメッセージを送信すると、AP1(200a)およびAP3(200c)の双方がAP2(200b)のGABが古いことを検知する(S905)。
【0095】
ここでAP1(200a)およびAP3(200c)はすぐにNOTIFYメッセージを送信するのではなく、S906、S907のように、それぞれ異なる待機時間を設けて一時的に待機し、待機時間満了後にNOTIFYメッセージの送信を行う(S908)。この待機時間は、例えばAP毎に異なる値を予め定めておいたり、APのアドレスやAPID等のAP毎に異なる値を用いたり、乱数を使用するなど、予め定められた各種の方法を用いて各基地局の所属情報制御部244が算出するものであってよい。
【0096】
図19の例では、AP1(200a)が待機時間中にAP3(200c)からNOTIFYメッセージを受信したことにより、NOTIFYメッセージの送信を中止する(S909)。これにより、AP1(200a)およびAP3(200c)の双方から重複してNOTIFYメッセージが送信されることを回避する。
【0097】
図20に示すフローチャートは、NOTIFYメッセージを送信する際に重複送信を回避するための基地局の動作を示したものであり、図19におけるS905〜S909に該当するものである。図20を参照すると、基地局はNOTIFYメッセージを送信するにあたり、まずNOTIFYメッセージを生成する(S1001)。
【0098】
次に基地局は、予め格納した乱数などを用いてランダムに待機時間を算出する(S1002)。続いて、ステップS1002で求めた待機時間を最大待ち時間として他基地局からのNOTIFYメッセージの受信待ちを行う(S1003)。他基地局からNOTIFYメッセージを受信するか、待機時間が満了すると次のステップに進み、NOTIFYメッセージを受信したかどうかを判定する(S1004)。
【0099】
NOTIFYメッセージを受信しなかった、つまり待機時間が満了した場合には、ステップS1001で生成したNOTIFYメッセージを送信する(S1005)。他基地局からNOTIFYメッセージを受信していた場合には、受信したNOTIFYメッセージを元にNOTIFYメッセージの所属情報更新処理を実行し(S1006)処理を終了する。
以上により、複数の基地局から同時にNOTIFYメッセージが送信されることが回避される。
【0100】
なお、この図20に示す処理は、NOTIFYメッセージを送信する際に常に実行されるものであり、図16におけるNOTIFYメッセージ(S608)送信の際にも同様に待機時間の待ちが存在する。図16では説明を簡単にするため、記述を省略している。
【0101】
図21に示すシーケンスチャートは、AP1(200a)に所属する無線端末ST1(100a)が離脱せずに電波範囲外に出てしまった場合や一定期間通信が無い場合などに無線端末ST1(100a)の所属を解除する方法を示している。
【0102】
まずAP1(200a)は、自局に所属する無線端末ST1(100a)が予め定められた一定期間データを送信していないことを検知する(S1101)と、無線端末ST1(100a)に対して離脱要求(S1102)を送信する。次にAP1(200a)は、GAB(D)のAPID=“AP1”のLABから端末アドレス“ST1”を削除する(S1103、D84)。次にAP1(200a)は、APID=“AP1”のLABを元にUPDATEメッセージを生成し全ての基地局に通知する(S1104)。
【0103】
UPDATEメッセージ(S1104)を受信したAP2(200b)およびAP3(200c)は、UPDATEメッセージ(S1104)に含まれるLABを元にGAB(D)のAPID=“AP1”のLABを更新する(S1105、D85、D86)。
以上により、全ての基地局のGAB(D)において、APID=“AP1”のLABから無線端末ST1(100a)の端末アドレス“ST1”が削除される(D84、D85、D86)。
【0104】
なお、上述した図21に示す動作について、無線端末ST1(100a)が有線端末であった場合には、本動作は有線端末の自動離脱処理として用いられる。この有線端末の場合、離脱要求(S1102)は送信されずに省略されることとなる。
【0105】
次に、図22に示すフローチャートを用いて、図21の周期解除処理(S1101)の動作を説明する。
周期解除処理は基地局に端末が所属した段階で起動される。周期解除処理が起動されると、最初に、所属情報制御部244が経過時間測定を行い、予め定められた時間まで端末からのデータ送信を待つ(S1201)。ステップS1201において、端末からデータの送信があった場合には再度データ送信待ち、ステップS1201に戻る(S1202)。一方、ステップS1201において端末からデータの送信が規定時間内に無かった場合には、端末の所属解除を実行する(S1203)。
【0106】
次に、図23に示すシーケンスチャートを参照して、基地局起動時や再起動時の初期設定動作について説明する。
本動作は、本実施形態としての基地局において、更新番号が揮発性メモリに記憶されている場合に、電源オフなどによって次回の起動時に更新番号が0にリセットされる場合の動作であり、更新番号が不揮発メモリなどの不揮発性の記憶装置に記憶される場合には、この動作は不要である。
【0107】
図23の動作例では、AP2が電源断などにより再起動したものとする(S1301)。起動直後のAP2では、初期値として、GAB(D)の更新番号が全て0となっている(D94)。AP2は、起動後、予め定められた規定時間まで、STATUSもしくはNOTIFYの受信を待つ(S1302)。
【0108】
待ち時間の間に他APから受信したSTATUSもしくはNOTIFY(S1303)に含まれる更新番号が、自局で管理するGABの各更新番号の値と同じかそれ以上である場合、その更新番号を受信値+1に更新する(S1304、D95)。
受信したSTATUSもしくはNOTIFY(S1305)に含まれる更新番号が、自局で管理するGABの各更新番号の値より小さい場合、番号の更新を行わずに無視する(S1306)。
【0109】
所属情報制御部244により計測される規定時間が経過(タイマー満了)したら、AP2は自局のGAB(D)における各更新番号を確定し、更新番号を含む自局の所属情報(LAB)をUPDATEで他の基地局に通知する(S1307)。
UPDATE送信(S1308)によって、上述のようにして他の基地局のGABが、最新の更新番号に更新される(S1309、D96、D97)。
【0110】
自局が記憶するGABの他のAPのLABについては、上記の初期化が終わったあとに通常の同期手順で同期される(S1310)。
【0111】
以上のように、上述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
第1の効果は、端末が基地局に新たに所属すると、即座にその端末と通信が可能になることである。
その理由は、所属情報に変化が生じると、基地局が即座に他の全ての基地局に所属情報を伝えるためである。
【0112】
第2の効果は、端末が基地局間を移動する際に、通信中断時間が短いことである。
その理由は、移動前後の基地局が連携し、移動に伴う所属情報の変化を即座に他の全ての基地局に伝えるためである。
【0113】
第3の効果は、有線端末を接続した場合に、特別な設定をせずに通信を開始できることである。
その理由は、有線端末が送信するデータの送信元アドレスを元に所属情報に登録し、一定期間データの送信が無い場合に所属情報を削除するようにして、有線端末の所属情報を動的に管理できるためである。
【0114】
このように、有線端末を動的に収容してその所属情報を管理できることは、無線メッシュネットワークシステムにおいても、固定カメラやアプリケーションサーバなどの有線端末を容易に収容できることとなり、用途を広げる意味で大変有益である。
【0115】
第4の効果は、所属情報の伝達が一時的に失敗した場合でも、自動的に最新の状態に更新されることである。
その理由は、所属情報が変化した場合、変化した情報だけでなくその基地局に所属する全ての端末の所属情報が他の基地局に伝えられるためである。
【0116】
第5の効果は、所属情報の伝達が一時的に失敗した場合でも、迅速に最新の状態に更新されることである。
その理由は、基地局間において定期的に所属情報の同期が取れているかどうかを確認し、同期のずれを検出すると即座に最新の情報が通知され同期されるためである。
【0117】
第6の効果は、複数の基地局で同期のずれが検出された場合に、一度のメッセージ送信で同期が取れることである。
その理由は、ある1つの基地局の同期ずれを検出すると、即座に最新の情報が全ての基地局に伝えられるためである。
【0118】
第7の効果は、所属情報の定期的な同期確認において、ネットワーク帯域への圧迫が少ないことである。
その理由は、同期確認において所属情報の全てではなく各基地局の更新番号だけを交換することでデータ量が削減されることと、同期確認は各基地局が隣接局とだけメッセージを交換するためメッセージ量が少ないためである。
【0119】
第8の効果は、ある特定の基地局に負荷が集中せず、負荷分散が実現できていることである。
その理由は、全ての基地局が同じ所属情報を保持するとともに、更新番号を用いることで全ての基地局が情報の新旧を判断でき、所属情報の同期が取れていない場合にそれを検出した任意の基地局が新しい所属情報を通知するためである。
【0120】
第9の効果は、ある特定の基地局に情報が依存せず、危険分散が実現できていることである。
その理由は、全基地局が同じ所属情報を保持するとともに、更新番号を用いることで全ての基地局が情報の新旧を判断でき、所属情報の同期が取れていない場合にそれを検出した任意の基地局が新しい所属情報を通知するためである。
【0121】
第10の効果は、端末の探索結果が一斉に他の基地局にも反映されることである。
その理由は、探索要求に対して探索対象の端末が所属する基地局が、他の全ての基地局に所属情報を通知するためである。
【0122】
このように、本実施形態では、各基地局がGAB中の各LABの新旧を判断する仕組みを持つことにより、他の基地局のLABについても情報の新しさを保証できるようになっている。このため、他の基地局がLABの所有者に代わって全ての基地局のLAB、つまりGABを他の基地局に通知することができる。
このことにより、一定周期で全ての基地局がLABをフラッディングしてネットワーク全体としてのメッセージ数が多くなってしまい、ネットワーク帯域を圧迫するといったことなく、全基地局のGABを同期させるためのフラッディングを一度で済ませることができる。このため、メッセージ数を削減することができ、ネットワークトラフィックへの負荷を小さく抑えることができる。
【0123】
また、LABの所有基地局に代わって他の基地局が全ての基地局のLAB、つまりGABを他の基地局に通知することができるため、同期をとるために端末毎、基地局毎に問い合わせを行う必要がない。このため、一定期間の通信断絶などにより基地局間のメッセージが複数回届かなかった場合であっても、探索が多発してしまうといった効率低下を引き起こすことがないようにできる。
さらに、ひとつのステーション情報広告フレームが複数の基地局に届かなかった場合であっても、探索が多発してしまうといった効率低下を引き起こすことがないようにできる。
【0124】
一般に、無線メッシュネットワークでは、無線通信端末がバケツリレー式に他の無線通信端末のパケットを転送することにより、無線通信の通信可能範囲を広げるようになっているため、特に端末の機動性と通信の継続性を維持するためには、所属情報の変化をネットワーク全体に迅速に伝えることが重要となる。
【0125】
ここで、無線メッシュネットワークでは、端末の所属情報などをネットワーク全体に伝えるために、無線の同報性を生かしたフラッディングが多用されているが、無線メッシュネットワークにおけるフラッディングはブロードキャスト通信をベースとしているため、一般的に到達確認が無く、情報の欠損が発生してもその欠損確認ができないという課題があった。
【0126】
これに対し、上述した実施形態では、多数の基地局間で無線通信が行われる無線メッシュネットワークのように、複数の無線基地局から更新通知情報を受信する可能性のある環境であっても、所属情報の変化を迅速に伝達することができると共に、各基地局が記憶する所属情報の同期を確実に維持することができる。
また、基地局間で上述のようにして端末の所属情報を交換し、GABを管理し維持するため、GABの同期をとるために大きなデータ量のトラフィック発生を必要としないようにできる。
さらに、バッファ内に時系列的に蓄積される順次データでなく、GABの所属情報のような各基地局に無秩序に現れたり消えたり、なおかつ順序性を持たないデータであっても、各基地局間で迅速かつ確実に同期させることができる。このため、安定した無線通信環境を提供することができる。
【0127】
また、無線干渉等の影響による通信断絶により一定期間GABの更新が出来ず、他の基地局のGABとの間で複数の差分が生じた場合であっても、複数の基地局からのLABAメッセージを待つ必要がなく、迅速にGABを最新の状態に更新することができる。
【0128】
また、上述した実施形態では、無線基地局の機能により上述した各効果を得ることができるため、無線端末や有線端末に機能的な追加や制限を設ける必要なく、一般の無線端末や有線端末を接続させながら、上述した各効果を得ることができる。
【0129】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
この第2の実施形態は、図24に示すように、上述した実施形態における図3の構成に入出力制御部(更新要求受信手段)245を追加することで、保守端末(他の情報処理装置)によるLABへの手動入力ができるようにしたものである。
【0130】
この入出力制御部245は、保守端末(350)からの入力に従って所属情報制御部244に所属登録もしくは所属解除を指示する。保守端末(350)は、入出力制御部245の制御によりその基地局にリモートログインする機能を備える。
所属情報制御部244は、ログインされた保守端末(350)からの所属登録や所属解除といった指示に従って所属情報記憶部243に記憶されたGAB(D)内の自局のLABを書き換え、所属情報交換メッセージを他の基地局に伝える。これにより、LABを手動操作で更新することが可能となる。
【0131】
第2の実施形態の動作を、図25、図26のシーケンスチャートを用いて説明する。
図25に示すシーケンスチャートは、AP1(200a)に接続された保守端末(350)からAP1(200a)に端末ST1を所属させる方法を示している。
【0132】
まず、保守端末(350)からAP1(200a)にST1所属登録(S1401)を指示する。次にAP1(200a)は、GAB(D)の自局のLABであるAPID=“AP1”のLABに、無線端末ST1(100a)の端末アドレス“ST1”を登録し更新番号(No)を“2”から“3”に更新する(S1402)。その結果、AP1(200a)のGABはD104となる。
【0133】
次にAP1(200a)は、GAB(D)のAPID=“AP1”のLABを元にUPDATEメッセージを生成して、フラッディングにより他の全ての基地局に通知し(S1403)、保守端末(350)に所属登録応答(S1404)を通知する。UPDATEメッセージ(S1403)を受信したAP2(200b)およびAP3(200c)は、UPDATEメッセージ(S1403)に含まれるLABを元にGAB(D)のAPID=“AP1”のLABを更新する(S1405)。
以上により、全ての基地局のGAB(D)において、APID=“AP1”のLABに無線端末ST1(100a)の端末アドレス“ST1”が登録される(D104、D105、D106)。
【0134】
図26に示すシーケンスチャートは、AP1(200a)に接続された保守端末(350)からAP1(200a)に所属している無線端末ST1(100a)をAP1(200a)から離脱させる方法を示している。
【0135】
まず、保守端末(350)からAP1(200a)にST1離脱要求(S1501)を指示する。次にAP1(200a)は、APID=“AP1”のLABから無線端末ST1(100a)の端末アドレス“ST1”を削除し更新番号(No)を“3”から“4”に更新する(S1502、D204)。
【0136】
次にAP1(200a)は、GAB(D)のAPID=“AP1”のLABを元にUPDATEメッセージを生成して全ての基地局に通知し(S1503)、保守端末(350)に離脱応答(S1504)を通知する。UPDATEメッセージ(S1503)を受信したAP2(200b)およびAP3(200c)は、UPDATEメッセージ(S1503)に含まれるLABを元にGAB(D)のAPID=“AP1”のLABを更新する(S1505)。
以上により、全ての基地局のGAB(D)において、APID=“AP1”のLABから無線端末ST1(100a)のアドレス“ST1”が削除される(D204、D205、D206)。
【0137】
以上のように、上述した第2の実施形態によれば、上述した第1の実施形態による上述した効果が同様に得られると共に、保守端末(350)によるLABへの手動入力ができることで、運用中に予測しない不具合が仮に発生した場合であっても、ネットワークの状況に応じた適切な保守管理を行うことができる。
【0138】
〔各実施形態について〕
なお、上述した各実施形態は本発明の好適な実施形態であり、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々変形して実施することが可能である。
例えば、無線基地局(AP)、有線端末、無線端末の数は上述したものに限定されず、通信可能に接続されたものであれば任意の数であってよい。
【0139】
また、図6〜図10に示す各メッセージは上述した実施形態における一例であり、図に示した内容に相当する情報が含まれていれば、メッセージを構成する要素や順番は図示したものに限定されず、各種のデータ構造であってよい。
【0140】
また、上述した各実施形態では、更新番号は順次加算されていくこととして説明したが、更新の新しさを確認することができればこのことに限定されない。
【0141】
また、上述した各実施形態における基地局間での各種メッセージ送信は、無線通信による送信に限定されず、有線通信によるものであってもよい。
すなわち、図27に例示するように、無線メッシュネットワークM1の基地局AP1から、有線接続された他の無線メッシュネットワークM2の基地局AP4に各種メッセージを送信し、上述のようにして各無線メッシュネットワーク内でGABを同期させることにより、複数の無線メッシュネットワーク間でGABを同期させるといった構成であっても、本発明は同様に実現することができる。
【0142】
また、上述した各実施形態としての無線メッシュネットワークシステムや無線基地局を実現するための処理手順をプログラムとして記録媒体に記録することにより、本発明の各実施形態による上述した各機能を、その記録媒体から供給されるプログラムによって、システムを構成するコンピュータのCPUに処理を行わせて実現させることができる。
この場合、上記の記録媒体により、あるいはネットワークを介して外部の記録媒体から、プログラムを含む情報群を出力装置に供給される場合でも本発明は適用されるものである。
すなわち、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記録媒体および該記録媒体から読み出された信号は本発明を構成することになる。
この記録媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリーカード、ROM等を用いてよい。
【0143】
この本発明に係るプログラムによれば、当該プログラムによって制御される無線メッシュネットワークシステムや無線基地局に、上述した各実施形態における各機能を実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】本発明の実施形態の概要を示す図である。
【図2】第1の実施形態としての無線メッシュネットワークの一構成例を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態としての基地局周りの構成例を示すブロック図である。
【図4】所属情報記憶部243に記憶されるGAB(D)の構成を示す図である。
【図5】所属情報交換メッセージの種類を示す図である。
【図6】UPDATEメッセージを示す図である。
【図7】MOVEメッセージを示す図である。
【図8】NOTIFYメッセージを示す図である。
【図9】STATUSメッセージを示す図である。
【図10】DISCOVERYメッセージを示す図である。
【図11】第1の実施形態としての無線メッシュネットワークの動作例を示すシーケンス図である。
【図12】該無線メッシュネットワークの動作例を示すシーケンス図である。
【図13】該無線メッシュネットワークの動作例を示すシーケンス図である。
【図14】該無線メッシュネットワークの動作例を示すシーケンス図である。
【図15】該無線メッシュネットワークの動作例を示すシーケンス図である。
【図16】該無線メッシュネットワークの動作例を示すシーケンス図である。
【図17】該無線メッシュネットワークの動作例を示すフローチャートである。
【図18】該無線メッシュネットワークの動作例を示すフローチャートである。
【図19】該無線メッシュネットワークの動作例を示すシーケンス図である。
【図20】該無線メッシュネットワークの動作例を示すフローチャートである。
【図21】該無線メッシュネットワークの動作例を示すシーケンス図である。
【図22】該無線メッシュネットワークの動作例を示すフローチャートである。
【図23】該無線メッシュネットワークの動作例を示すシーケンス図である。
【図24】本発明の第2の実施形態の構成例を示すブロック図である。
【図25】第2の実施形態としての無線メッシュネットワークの動作例を示すシーケンス図である。
【図26】該無線メッシュネットワークの動作例を示すシーケンス図である。
【図27】無線メッシュネットワークの他の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0145】
100 無線端末
200 基地局
244 所属情報制御部
D GAB(所属情報管理テーブルの一例)
300 有線端末
350 保守端末
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各無線基地局における端末の所属情報を、更新の新旧を判断するための新旧判断情報に関連付けて管理する所属情報管理テーブルを格納する管理テーブル格納手段と、
前記所属情報管理テーブルが更新される際に前記新旧判断情報を含めて更新する所属情報更新手段と、
前記所属情報更新手段により前記更新された際、前記所属情報管理テーブルにおける更新部分および前記新旧判断情報を少なくとも含む更新通知情報を有線または無線で他の無線基地局に送出する第1の送出手段と、を備え、
前記所属情報更新手段は、他の無線基地局から前記更新通知情報が受信された場合、該更新通知情報に基づいて前記所属情報管理テーブルを更新することを特徴とする無線基地局。
【請求項2】
前記所属情報を含まず、前記新旧判断情報を含む周期送信情報を、周期的に他の無線基地局へ送信する周期情報送信手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の無線基地局。
【請求項3】
前記更新通知情報は、他の基地局に前記所属情報管理テーブルの情報を通知する一般通知情報を少なくとも含み、
他の無線基地局から前記周期送信情報が受信され、当該周期送信情報に含まれる前記新旧判断情報に基づいて、該周期送信情報に含まれる情報が最新でないと判定された場合に、自局の前記所属情報管理テーブルの情報を通知する一般通知情報を送出する第2の送出手段を備えたことを特徴とする請求項2記載の無線基地局。
【請求項4】
他の無線基地局から前記周期送信情報が受信された場合、当該周期送信情報における自局についての新旧判断情報、および前記管理テーブル格納手段の所属情報管理テーブルにおける自局についての新旧判断情報を比較し、該管理テーブル格納手段の新旧判断情報が最新でないと判定された場合、該管理テーブル格納手段の新旧判断情報を最新に更新する最新更新手段を備えたことを特徴とする請求項3記載の無線基地局。
【請求項5】
前記周期情報送信手段は、前記周期送信情報を、他の無線基地局を経由せずに有線または無線で送信可能な無線基地局に対して送信することを特徴とする請求項2から4の何れか1項に記載の無線基地局。
【請求項6】
前記更新通知情報は、他の基地局に前記所属情報管理テーブルの情報を通知する一般通知情報を少なくとも含み、
前記所属情報更新手段は、他の無線基地局から前記一般通知情報が受信された場合、該一般通知情報における前記新旧判断情報に基づいて最新でないと判定された箇所について前記所属情報管理テーブルを更新することを特徴とする請求項1または2記載の無線基地局。
【請求項7】
他の無線基地局の前記所属情報管理テーブルが最新でないと判定された場合に、予め定められた算出方法で算出された時間経過後に前記一般通知情報を送出する第3の送出手段を備えたことを特徴とする請求項3から6の何れか1項に記載の無線基地局。
【請求項8】
前記更新通知情報は、他の無線基地局から移動してきた端末情報および前記新旧判断情報を含む移動通知情報を少なくとも含み、
前記第1の送出手段は、該移動により前記所属情報管理テーブルが更新されると前記移動通知情報を送出することを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の無線基地局。
【請求項9】
前記更新通知情報は、新たに所属した端末情報および前記新旧判断情報を含むテーブル更新通知情報を少なくとも含み、
前記第1の送出手段は、新たに端末が所属することで前記所属情報管理テーブルが更新されると前記テーブル更新通知情報を送出することを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の無線基地局。
【請求項10】
所属している端末から予め定められた時間データが受信されない場合、前記所属情報更新手段は、該端末の所属情報を前記所属情報管理テーブルから削除することを特徴とする請求項1から9の何れか1項に記載の無線基地局。
【請求項11】
前記新旧判断情報が初期化された場合、予め定められた時間までの間に他の無線基地局から受信される情報に基づいて前記新旧判断情報を確定する同期手段を備えたことを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載の無線基地局。
【請求項12】
所属先が不明な端末の探索要求を行う探索要求情報を送信する探索要求手段を備え、
受信された探索要求情報による探索対象端末が前記無線基地局に所属している場合に、該無線基地局についての前記所属情報を含む更新通知情報をフラッディングにより他の基地局に通知する第4の送出手段を備えたことを特徴とする請求項1から11の何れか1項に記載の無線基地局。
【請求項13】
前記各送出手段は、前記更新通知情報をフラッディングにより他の基地局に通知することを特徴とする請求項1から12の何れか1項に記載の無線基地局。
【請求項14】
前記所属情報管理テーブルの更新は、少なくとも端末の所属先基地局が変更された場合を含むことを特徴とする請求項1から13の何れか1項に記載の無線基地局。
【請求項15】
前記所属情報管理テーブルにおける所属端末は、無線基地局に有線または無線で接続されたことを特徴とする請求項1から14の何れか1項に記載の無線基地局。
【請求項16】
接続された他の情報処理装置からの更新要求を受ける更新要求受信手段を備え、
前記所属情報更新手段は、前記更新要求受信手段が更新要求を受信すると当該更新要求に基づいて前記所属情報管理テーブルを更新することを特徴とする請求項1から15の何れか1項に記載の無線基地局。
【請求項17】
請求項1から16の何れか1項に記載の無線基地局の複数が通信可能に接続されて構成されたことを特徴とする通信システム。
【請求項18】
各無線基地局における端末の所属情報を管理する所属情報管理テーブルが更新される際、該更新情報における更新の新旧を判断するための新旧判断情報を含めて更新する第1の所属情報更新工程と、
前記第1の所属情報更新工程により前記更新された際、前記所属情報管理テーブルにおける更新部分および前記新旧判断情報を少なくとも含む更新通知情報を有線または無線で他の無線基地局に送出する第1の送出工程と、
他の無線基地局から前記更新通知情報を受信した場合に、該更新通知情報に基づいて前記所属情報管理テーブルを更新する第2の所属情報更新工程と、を備えたことを特徴とする所属情報管理方法。
【請求項19】
前記所属情報を含まず、前記新旧判断情報を含む周期送信情報を他の無線基地局へ送信する周期情報送信工程を予め定められた周期毎に行うことを特徴とする請求項18記載の所属情報管理方法。
【請求項20】
前記更新通知情報は、他の基地局に前記所属情報管理テーブルの情報を通知する一般通知情報を少なくとも含み、
他の無線基地局から前記周期送信情報が受信され、当該周期送信情報に含まれる前記新旧判断情報に基づいて、該周期送信情報に含まれる情報が最新でないと判定された場合に、自局の前記所属情報管理テーブルの情報を通知する一般通知情報を送出する第2の送出工程を備えたことを特徴とする請求項19記載の所属情報管理方法。
【請求項21】
他の無線基地局から前記周期送信情報が受信された場合、当該周期送信情報における自局についての新旧判断情報、および自局内の所属情報管理テーブルにおける自局についての新旧判断情報を比較し、該自局内の新旧判断情報が最新でないと判定された場合、該自局内の新旧判断情報を最新に更新する最新更新工程を備えたことを特徴とする請求項20記載の所属情報管理方法。
【請求項22】
前記周期情報送信工程では、前記周期送信情報を、他の無線基地局を経由せずに有線または無線で送信可能な無線基地局に対して送信することを特徴とする請求項19から21の何れか1項に記載の所属情報管理方法。
【請求項23】
前記更新通知情報は、他の基地局に前記所属情報管理テーブルの情報を通知する一般通知情報を少なくとも含み、
前記所属情報更新工程では、他の無線基地局から前記一般通知情報が受信された場合、該一般通知情報における前記新旧判断情報に基づいて最新でないと判定された箇所について前記所属情報管理テーブルを更新することを特徴とする請求項18または19記載の所属情報管理方法。
【請求項24】
他の無線基地局の前記所属情報管理テーブルが最新でないと判定された場合に、予め定められた算出方法で算出された時間経過後に前記一般通知情報を送出する第3の送出工程を備えたことを特徴とする請求項20から23の何れか1項に記載の所属情報管理方法。
【請求項25】
前記更新通知情報は、他の無線基地局から移動してきた端末情報および前記新旧判断情報を含む移動通知情報を少なくとも含み、
前記第1の送出工程では、該移動により前記所属情報管理テーブルが更新されると前記移動通知情報を送出することを特徴とする請求項18から24の何れか1項に記載の所属情報管理方法。
【請求項26】
前記更新通知情報は、新たに所属した端末情報および前記新旧判断情報を含むテーブル更新通知情報を少なくとも含み、
前記第1の送出工程では、新たに端末が所属することで前記所属情報管理テーブルが更新されると前記テーブル更新通知情報を送出することを特徴とする請求項18から25の何れか1項に記載の所属情報管理方法。
【請求項27】
所属している端末から予め定められた時間データが受信されない場合、前記所属情報更新工程では、該端末の所属情報を前記所属情報管理テーブルから削除することを特徴とする請求項18から26の何れか1項に記載の所属情報管理方法。
【請求項28】
前記新旧判断情報が初期化された場合、予め定められた時間までの間に他の無線基地局から受信される情報に基づいて前記新旧判断情報を確定する同期工程を備えたことを特徴とする請求項18から27の何れか1項に記載の所属情報管理方法。
【請求項29】
所属先が不明な端末の探索要求を行う探索要求情報を送信する探索要求工程を備え、
受信された探索要求情報による探索対象端末が前記無線基地局に所属している場合に、該無線基地局についての前記所属情報を含む更新通知情報をフラッディングにより他の基地局に通知する第4の送出工程を備えたことを特徴とする請求項18から28の何れか1項に記載の所属情報管理方法。
【請求項30】
前記各送出工程では、前記更新通知情報をフラッディングにより他の基地局に通知することを特徴とする請求項18から29の何れか1項に記載の所属情報管理方法。
【請求項31】
前記所属情報管理テーブルの更新は、少なくとも端末の所属先基地局が変更された場合を含むことを特徴とする請求項18から30の何れか1項に記載の所属情報管理方法。
【請求項32】
接続された他の情報処理装置からの更新要求を受ける更新要求受信工程を備え、
前記第2の所属情報更新工程では、前記更新要求受信工程で更新要求が受信されると当該更新要求に基づいて前記所属情報管理テーブルを更新することを特徴とする請求項18から31の何れか1項に記載の所属情報管理方法。
【請求項33】
各無線基地局における端末の所属情報を管理する所属情報管理テーブルが更新される際、該更新情報における更新の新旧を判断するための新旧判断情報を含めて更新する第1の所属情報更新処理と、
前記第1の所属情報更新処理により前記更新された際、前記所属情報管理テーブルにおける更新部分および前記新旧判断情報を少なくとも含む更新通知情報を有線または無線で他の無線基地局に送出する第1の送出処理と、
他の無線基地局から前記更新通知情報を受信した場合に、該更新通知情報に基づいて前記所属情報管理テーブルを更新する第2の所属情報更新処理と、を無線基地局のコンピュータに実行させることを特徴とする所属情報管理プログラム。
【請求項34】
前記所属情報を含まず、前記新旧判断情報を含む周期送信情報を他の無線基地局へ送信する周期情報送信処理を予め定められた周期毎に前記無線基地局のコンピュータに実行させることを特徴とする請求項33記載の所属情報管理プログラム。
【請求項35】
前記更新通知情報は、他の基地局に前記所属情報管理テーブルの情報を通知する一般通知情報を少なくとも含み、
他の無線基地局から前記周期送信情報が受信され、当該周期送信情報に含まれる前記新旧判断情報に基づいて、該周期送信情報に含まれる情報が最新でないと判定された場合に、自局の前記所属情報管理テーブルの情報を通知する一般通知情報を送出する第2の送出処理を前記無線基地局のコンピュータに実行させることを特徴とする請求項34記載の所属情報管理プログラム。
【請求項36】
他の無線基地局から前記周期送信情報が受信された場合、当該周期送信情報における自局についての新旧判断情報、および自局内の所属情報管理テーブルにおける自局についての新旧判断情報を比較し、該自局内の新旧判断情報が最新でないと判定された場合、該自局内の新旧判断情報を最新に更新する最新更新処理を前記無線基地局のコンピュータに実行させることを特徴とする請求項35記載の所属情報管理プログラム。
【請求項37】
前記周期情報送信処理では、前記周期送信情報を、他の無線基地局を経由せずに有線または無線で送信可能な無線基地局に対して送信することを特徴とする請求項34から36の何れか1項に記載の所属情報管理プログラム。
【請求項38】
前記更新通知情報は、他の基地局に前記所属情報管理テーブルの情報を通知する一般通知情報を少なくとも含み、
前記所属情報更新処理では、他の無線基地局から前記一般通知情報が受信された場合、該一般通知情報における前記新旧判断情報に基づいて最新でないと判定された箇所について前記所属情報管理テーブルを更新することを特徴とする請求項33または34記載の所属情報管理プログラム。
【請求項39】
他の無線基地局の前記所属情報管理テーブルが最新でないと判定された場合に、予め定められた算出方法で算出された時間経過後に前記一般通知情報を送出する第3の送出処理を前記無線基地局のコンピュータに実行させることを特徴とする請求項35から38の何れか1項に記載の所属情報管理プログラム。
【請求項40】
前記更新通知情報は、他の無線基地局から移動してきた端末情報および前記新旧判断情報を含む移動通知情報を少なくとも含み、
前記第1の送出処理では、該移動により前記所属情報管理テーブルが更新されると前記移動通知情報を送出することを特徴とする請求項33から39の何れか1項に記載の所属情報管理プログラム。
【請求項41】
前記更新通知情報は、新たに所属した端末情報および前記新旧判断情報を含むテーブル更新通知情報を少なくとも含み、
前記第1の送出処理では、新たに端末が所属することで前記所属情報管理テーブルが更新されると前記テーブル更新通知情報を送出することを特徴とする請求項33から40の何れか1項に記載の所属情報管理プログラム。
【請求項42】
所属している端末から予め定められた時間データが受信されない場合、前記所属情報更新処理では、該端末の所属情報を前記所属情報管理テーブルから削除することを特徴とする請求項33から41の何れか1項に記載の所属情報管理プログラム。
【請求項43】
前記新旧判断情報が初期化された場合、予め定められた時間までの間に他の無線基地局から受信される情報に基づいて前記新旧判断情報を確定する同期処理を前記無線基地局のコンピュータに実行させることを特徴とする請求項33から42の何れか1項に記載の所属情報管理プログラム。
【請求項44】
所属先が不明な端末の探索要求を行う探索要求情報を送信する探索要求処理を前記無線基地局のコンピュータに実行させ、
受信された探索要求情報による探索対象端末が前記無線基地局に所属している場合に、該無線基地局についての前記所属情報を含む更新通知情報をフラッディングにより他の基地局に通知する第4の送出処理を前記無線基地局のコンピュータに実行させることを特徴とする請求項33から43の何れか1項に記載の所属情報管理プログラム。
【請求項45】
前記各送出処理では、前記更新通知情報をフラッディングにより他の基地局に通知することを特徴とする請求項33から44の何れか1項に記載の所属情報管理プログラム。
【請求項46】
前記所属情報管理テーブルの更新は、少なくとも端末の所属先基地局が変更された場合を含むことを特徴とする請求項33から45の何れか1項に記載の所属情報管理プログラム。
【請求項47】
接続された他の情報処理装置からの更新要求を受ける更新要求受信処理を前記無線基地局のコンピュータに実行させ、
前記第2の所属情報更新処理では、前記更新要求受信処理で更新要求が受信されると当該更新要求に基づいて前記所属情報管理テーブルを更新することを特徴とする請求項33から46の何れか1項に記載の所属情報管理プログラム。
【請求項1】
各無線基地局における端末の所属情報を、更新の新旧を判断するための新旧判断情報に関連付けて管理する所属情報管理テーブルを格納する管理テーブル格納手段と、
前記所属情報管理テーブルが更新される際に前記新旧判断情報を含めて更新する所属情報更新手段と、
前記所属情報更新手段により前記更新された際、前記所属情報管理テーブルにおける更新部分および前記新旧判断情報を少なくとも含む更新通知情報を有線または無線で他の無線基地局に送出する第1の送出手段と、を備え、
前記所属情報更新手段は、他の無線基地局から前記更新通知情報が受信された場合、該更新通知情報に基づいて前記所属情報管理テーブルを更新することを特徴とする無線基地局。
【請求項2】
前記所属情報を含まず、前記新旧判断情報を含む周期送信情報を、周期的に他の無線基地局へ送信する周期情報送信手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の無線基地局。
【請求項3】
前記更新通知情報は、他の基地局に前記所属情報管理テーブルの情報を通知する一般通知情報を少なくとも含み、
他の無線基地局から前記周期送信情報が受信され、当該周期送信情報に含まれる前記新旧判断情報に基づいて、該周期送信情報に含まれる情報が最新でないと判定された場合に、自局の前記所属情報管理テーブルの情報を通知する一般通知情報を送出する第2の送出手段を備えたことを特徴とする請求項2記載の無線基地局。
【請求項4】
他の無線基地局から前記周期送信情報が受信された場合、当該周期送信情報における自局についての新旧判断情報、および前記管理テーブル格納手段の所属情報管理テーブルにおける自局についての新旧判断情報を比較し、該管理テーブル格納手段の新旧判断情報が最新でないと判定された場合、該管理テーブル格納手段の新旧判断情報を最新に更新する最新更新手段を備えたことを特徴とする請求項3記載の無線基地局。
【請求項5】
前記周期情報送信手段は、前記周期送信情報を、他の無線基地局を経由せずに有線または無線で送信可能な無線基地局に対して送信することを特徴とする請求項2から4の何れか1項に記載の無線基地局。
【請求項6】
前記更新通知情報は、他の基地局に前記所属情報管理テーブルの情報を通知する一般通知情報を少なくとも含み、
前記所属情報更新手段は、他の無線基地局から前記一般通知情報が受信された場合、該一般通知情報における前記新旧判断情報に基づいて最新でないと判定された箇所について前記所属情報管理テーブルを更新することを特徴とする請求項1または2記載の無線基地局。
【請求項7】
他の無線基地局の前記所属情報管理テーブルが最新でないと判定された場合に、予め定められた算出方法で算出された時間経過後に前記一般通知情報を送出する第3の送出手段を備えたことを特徴とする請求項3から6の何れか1項に記載の無線基地局。
【請求項8】
前記更新通知情報は、他の無線基地局から移動してきた端末情報および前記新旧判断情報を含む移動通知情報を少なくとも含み、
前記第1の送出手段は、該移動により前記所属情報管理テーブルが更新されると前記移動通知情報を送出することを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の無線基地局。
【請求項9】
前記更新通知情報は、新たに所属した端末情報および前記新旧判断情報を含むテーブル更新通知情報を少なくとも含み、
前記第1の送出手段は、新たに端末が所属することで前記所属情報管理テーブルが更新されると前記テーブル更新通知情報を送出することを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の無線基地局。
【請求項10】
所属している端末から予め定められた時間データが受信されない場合、前記所属情報更新手段は、該端末の所属情報を前記所属情報管理テーブルから削除することを特徴とする請求項1から9の何れか1項に記載の無線基地局。
【請求項11】
前記新旧判断情報が初期化された場合、予め定められた時間までの間に他の無線基地局から受信される情報に基づいて前記新旧判断情報を確定する同期手段を備えたことを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載の無線基地局。
【請求項12】
所属先が不明な端末の探索要求を行う探索要求情報を送信する探索要求手段を備え、
受信された探索要求情報による探索対象端末が前記無線基地局に所属している場合に、該無線基地局についての前記所属情報を含む更新通知情報をフラッディングにより他の基地局に通知する第4の送出手段を備えたことを特徴とする請求項1から11の何れか1項に記載の無線基地局。
【請求項13】
前記各送出手段は、前記更新通知情報をフラッディングにより他の基地局に通知することを特徴とする請求項1から12の何れか1項に記載の無線基地局。
【請求項14】
前記所属情報管理テーブルの更新は、少なくとも端末の所属先基地局が変更された場合を含むことを特徴とする請求項1から13の何れか1項に記載の無線基地局。
【請求項15】
前記所属情報管理テーブルにおける所属端末は、無線基地局に有線または無線で接続されたことを特徴とする請求項1から14の何れか1項に記載の無線基地局。
【請求項16】
接続された他の情報処理装置からの更新要求を受ける更新要求受信手段を備え、
前記所属情報更新手段は、前記更新要求受信手段が更新要求を受信すると当該更新要求に基づいて前記所属情報管理テーブルを更新することを特徴とする請求項1から15の何れか1項に記載の無線基地局。
【請求項17】
請求項1から16の何れか1項に記載の無線基地局の複数が通信可能に接続されて構成されたことを特徴とする通信システム。
【請求項18】
各無線基地局における端末の所属情報を管理する所属情報管理テーブルが更新される際、該更新情報における更新の新旧を判断するための新旧判断情報を含めて更新する第1の所属情報更新工程と、
前記第1の所属情報更新工程により前記更新された際、前記所属情報管理テーブルにおける更新部分および前記新旧判断情報を少なくとも含む更新通知情報を有線または無線で他の無線基地局に送出する第1の送出工程と、
他の無線基地局から前記更新通知情報を受信した場合に、該更新通知情報に基づいて前記所属情報管理テーブルを更新する第2の所属情報更新工程と、を備えたことを特徴とする所属情報管理方法。
【請求項19】
前記所属情報を含まず、前記新旧判断情報を含む周期送信情報を他の無線基地局へ送信する周期情報送信工程を予め定められた周期毎に行うことを特徴とする請求項18記載の所属情報管理方法。
【請求項20】
前記更新通知情報は、他の基地局に前記所属情報管理テーブルの情報を通知する一般通知情報を少なくとも含み、
他の無線基地局から前記周期送信情報が受信され、当該周期送信情報に含まれる前記新旧判断情報に基づいて、該周期送信情報に含まれる情報が最新でないと判定された場合に、自局の前記所属情報管理テーブルの情報を通知する一般通知情報を送出する第2の送出工程を備えたことを特徴とする請求項19記載の所属情報管理方法。
【請求項21】
他の無線基地局から前記周期送信情報が受信された場合、当該周期送信情報における自局についての新旧判断情報、および自局内の所属情報管理テーブルにおける自局についての新旧判断情報を比較し、該自局内の新旧判断情報が最新でないと判定された場合、該自局内の新旧判断情報を最新に更新する最新更新工程を備えたことを特徴とする請求項20記載の所属情報管理方法。
【請求項22】
前記周期情報送信工程では、前記周期送信情報を、他の無線基地局を経由せずに有線または無線で送信可能な無線基地局に対して送信することを特徴とする請求項19から21の何れか1項に記載の所属情報管理方法。
【請求項23】
前記更新通知情報は、他の基地局に前記所属情報管理テーブルの情報を通知する一般通知情報を少なくとも含み、
前記所属情報更新工程では、他の無線基地局から前記一般通知情報が受信された場合、該一般通知情報における前記新旧判断情報に基づいて最新でないと判定された箇所について前記所属情報管理テーブルを更新することを特徴とする請求項18または19記載の所属情報管理方法。
【請求項24】
他の無線基地局の前記所属情報管理テーブルが最新でないと判定された場合に、予め定められた算出方法で算出された時間経過後に前記一般通知情報を送出する第3の送出工程を備えたことを特徴とする請求項20から23の何れか1項に記載の所属情報管理方法。
【請求項25】
前記更新通知情報は、他の無線基地局から移動してきた端末情報および前記新旧判断情報を含む移動通知情報を少なくとも含み、
前記第1の送出工程では、該移動により前記所属情報管理テーブルが更新されると前記移動通知情報を送出することを特徴とする請求項18から24の何れか1項に記載の所属情報管理方法。
【請求項26】
前記更新通知情報は、新たに所属した端末情報および前記新旧判断情報を含むテーブル更新通知情報を少なくとも含み、
前記第1の送出工程では、新たに端末が所属することで前記所属情報管理テーブルが更新されると前記テーブル更新通知情報を送出することを特徴とする請求項18から25の何れか1項に記載の所属情報管理方法。
【請求項27】
所属している端末から予め定められた時間データが受信されない場合、前記所属情報更新工程では、該端末の所属情報を前記所属情報管理テーブルから削除することを特徴とする請求項18から26の何れか1項に記載の所属情報管理方法。
【請求項28】
前記新旧判断情報が初期化された場合、予め定められた時間までの間に他の無線基地局から受信される情報に基づいて前記新旧判断情報を確定する同期工程を備えたことを特徴とする請求項18から27の何れか1項に記載の所属情報管理方法。
【請求項29】
所属先が不明な端末の探索要求を行う探索要求情報を送信する探索要求工程を備え、
受信された探索要求情報による探索対象端末が前記無線基地局に所属している場合に、該無線基地局についての前記所属情報を含む更新通知情報をフラッディングにより他の基地局に通知する第4の送出工程を備えたことを特徴とする請求項18から28の何れか1項に記載の所属情報管理方法。
【請求項30】
前記各送出工程では、前記更新通知情報をフラッディングにより他の基地局に通知することを特徴とする請求項18から29の何れか1項に記載の所属情報管理方法。
【請求項31】
前記所属情報管理テーブルの更新は、少なくとも端末の所属先基地局が変更された場合を含むことを特徴とする請求項18から30の何れか1項に記載の所属情報管理方法。
【請求項32】
接続された他の情報処理装置からの更新要求を受ける更新要求受信工程を備え、
前記第2の所属情報更新工程では、前記更新要求受信工程で更新要求が受信されると当該更新要求に基づいて前記所属情報管理テーブルを更新することを特徴とする請求項18から31の何れか1項に記載の所属情報管理方法。
【請求項33】
各無線基地局における端末の所属情報を管理する所属情報管理テーブルが更新される際、該更新情報における更新の新旧を判断するための新旧判断情報を含めて更新する第1の所属情報更新処理と、
前記第1の所属情報更新処理により前記更新された際、前記所属情報管理テーブルにおける更新部分および前記新旧判断情報を少なくとも含む更新通知情報を有線または無線で他の無線基地局に送出する第1の送出処理と、
他の無線基地局から前記更新通知情報を受信した場合に、該更新通知情報に基づいて前記所属情報管理テーブルを更新する第2の所属情報更新処理と、を無線基地局のコンピュータに実行させることを特徴とする所属情報管理プログラム。
【請求項34】
前記所属情報を含まず、前記新旧判断情報を含む周期送信情報を他の無線基地局へ送信する周期情報送信処理を予め定められた周期毎に前記無線基地局のコンピュータに実行させることを特徴とする請求項33記載の所属情報管理プログラム。
【請求項35】
前記更新通知情報は、他の基地局に前記所属情報管理テーブルの情報を通知する一般通知情報を少なくとも含み、
他の無線基地局から前記周期送信情報が受信され、当該周期送信情報に含まれる前記新旧判断情報に基づいて、該周期送信情報に含まれる情報が最新でないと判定された場合に、自局の前記所属情報管理テーブルの情報を通知する一般通知情報を送出する第2の送出処理を前記無線基地局のコンピュータに実行させることを特徴とする請求項34記載の所属情報管理プログラム。
【請求項36】
他の無線基地局から前記周期送信情報が受信された場合、当該周期送信情報における自局についての新旧判断情報、および自局内の所属情報管理テーブルにおける自局についての新旧判断情報を比較し、該自局内の新旧判断情報が最新でないと判定された場合、該自局内の新旧判断情報を最新に更新する最新更新処理を前記無線基地局のコンピュータに実行させることを特徴とする請求項35記載の所属情報管理プログラム。
【請求項37】
前記周期情報送信処理では、前記周期送信情報を、他の無線基地局を経由せずに有線または無線で送信可能な無線基地局に対して送信することを特徴とする請求項34から36の何れか1項に記載の所属情報管理プログラム。
【請求項38】
前記更新通知情報は、他の基地局に前記所属情報管理テーブルの情報を通知する一般通知情報を少なくとも含み、
前記所属情報更新処理では、他の無線基地局から前記一般通知情報が受信された場合、該一般通知情報における前記新旧判断情報に基づいて最新でないと判定された箇所について前記所属情報管理テーブルを更新することを特徴とする請求項33または34記載の所属情報管理プログラム。
【請求項39】
他の無線基地局の前記所属情報管理テーブルが最新でないと判定された場合に、予め定められた算出方法で算出された時間経過後に前記一般通知情報を送出する第3の送出処理を前記無線基地局のコンピュータに実行させることを特徴とする請求項35から38の何れか1項に記載の所属情報管理プログラム。
【請求項40】
前記更新通知情報は、他の無線基地局から移動してきた端末情報および前記新旧判断情報を含む移動通知情報を少なくとも含み、
前記第1の送出処理では、該移動により前記所属情報管理テーブルが更新されると前記移動通知情報を送出することを特徴とする請求項33から39の何れか1項に記載の所属情報管理プログラム。
【請求項41】
前記更新通知情報は、新たに所属した端末情報および前記新旧判断情報を含むテーブル更新通知情報を少なくとも含み、
前記第1の送出処理では、新たに端末が所属することで前記所属情報管理テーブルが更新されると前記テーブル更新通知情報を送出することを特徴とする請求項33から40の何れか1項に記載の所属情報管理プログラム。
【請求項42】
所属している端末から予め定められた時間データが受信されない場合、前記所属情報更新処理では、該端末の所属情報を前記所属情報管理テーブルから削除することを特徴とする請求項33から41の何れか1項に記載の所属情報管理プログラム。
【請求項43】
前記新旧判断情報が初期化された場合、予め定められた時間までの間に他の無線基地局から受信される情報に基づいて前記新旧判断情報を確定する同期処理を前記無線基地局のコンピュータに実行させることを特徴とする請求項33から42の何れか1項に記載の所属情報管理プログラム。
【請求項44】
所属先が不明な端末の探索要求を行う探索要求情報を送信する探索要求処理を前記無線基地局のコンピュータに実行させ、
受信された探索要求情報による探索対象端末が前記無線基地局に所属している場合に、該無線基地局についての前記所属情報を含む更新通知情報をフラッディングにより他の基地局に通知する第4の送出処理を前記無線基地局のコンピュータに実行させることを特徴とする請求項33から43の何れか1項に記載の所属情報管理プログラム。
【請求項45】
前記各送出処理では、前記更新通知情報をフラッディングにより他の基地局に通知することを特徴とする請求項33から44の何れか1項に記載の所属情報管理プログラム。
【請求項46】
前記所属情報管理テーブルの更新は、少なくとも端末の所属先基地局が変更された場合を含むことを特徴とする請求項33から45の何れか1項に記載の所属情報管理プログラム。
【請求項47】
接続された他の情報処理装置からの更新要求を受ける更新要求受信処理を前記無線基地局のコンピュータに実行させ、
前記第2の所属情報更新処理では、前記更新要求受信処理で更新要求が受信されると当該更新要求に基づいて前記所属情報管理テーブルを更新することを特徴とする請求項33から46の何れか1項に記載の所属情報管理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2009−141683(P2009−141683A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−316120(P2007−316120)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)
【Fターム(参考)】
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