説明

無線基地局およびそれを用いた無線通信システム

【課題】消費電力の低減が可能であり、かつ、通常の無線通信の周波数帯を用いて活性化可能な無線基地局を提供する。
【解決手段】無線基地局1は、ウェイクアップ装置13と、メイン装置14とを含む。ウェイクアップ装置13は、メイン装置14がスリープ状態にあるとき、アンテナ11と接続される。そして、ウェイクアップ装置13は、無線基地局1に帰属する端末装置から無線基地局1を起動させるためのウェイクアップ信号を端末装置との間の無線通信に用いられる通信帯域で受信すると、その受信したウェイクアップ信号に含まれる起動させたい無線基地局を示す情報が無線基地局1の識別情報に一致するとき、起動信号をメイン装置14へ出力する。メイン装置14は、ウェイクアップ装置13からの起動信号に応じて、スリープ状態から起動状態へ移行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線基地局およびそれを用いた無線通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、省電力化を図る無線通信システムが知られている(特許文献1,2)。特許文献1における無線通信システムは、ホストと、ルータと、エンドデバイスとを備える。
【0003】
ルータは、ホストとエンドデバイスとの間で無線通信を中継する。ルータおよびエンドデバイスの各々は、スリープモードとアクティブモードとを有する。スリープモードは、Zigbeeの通信機能が無効になっている状態であり、アクティブモードは、Zigbeeの通信機能が有効になっている状態である。
【0004】
エンドデバイスは、スリープ状態において、自己に接続された温度センサーによって温度異常を検出すると、WAKE−UP信号をルータへ送信する。そして、ルータは、エンドデバイスからWAKE−UP信号を受信すると、スリープモードからアクティブモードへ移行し、エンドデバイスとホストとの間で無線通信を中継する。
【0005】
ルータは、スリープモードにおいては、通常の無線通信を行う無線回路部のうち、周波数変換回路と電波強度検出回路との2つの回路のみを起動させておき、この2つの回路でWAKE−UP信号を検波する。
【0006】
また、特許文献2における無線通信システムは、帯域内通信装置と、帯域外通信装置とを備える。帯域外通信装置は、帯域内通信装置に接続される。そして、帯域外通信装置は、帯域外無線通信情報を受信して帯域内通信装置をアクティブ化し、帯域内通信装置をスリープモードからアクティブモードへ遷移させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−104174号公報
【特許文献2】特表2007−526655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に開示された無線通信システムにおいては、通常の無線通信を行う無線回路部の一部を用いてWAKE−UP信号を検波するので、エンドデバイスおよびルータにおける消費電力を十分に低減することが困難である。
【0009】
また、特許文献2に開示された無線通信システムにおいては、帯域外通信装置が帯域外無線通信情報を受信して帯域内通信装置をアクティブ化するため、帯域内通信装置の通信帯域を用いて帯域内通信装置をアクティブ化できないという問題がある。
【0010】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、消費電力の低減が可能であり、かつ、通常の無線通信の周波数帯を用いて活性化可能な無線基地局を提供することである。
【0011】
また、この発明の別の目的は、消費電力の低減が可能であり、かつ、通常の無線通信の周波数帯を用いて活性化可能な無線基地局を備えた無線通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の実施の形態によれば、無線基地局は、メイン装置と、ウェイクアップ装置とを備える。メイン装置は、端末装置を管理するための管理フレームを定期的に送信するとともに、端末装置と無線通信を行う起動状態と、端末装置と無線通信を行うことができないスリープ状態とを有し、一定の期間、端末装置と無線通信を行わなかったとき、または当該無線基地局に帰属する端末装置が存在しないとき、起動状態から前記スリープ状態へ移行する。ウェイクアップ装置は、メイン装置がスリープ状態にあるときに、メイン装置の状態をスリープ状態から起動状態に移行させるためのウェイクアップ信号をメイン装置へのアクセスを開始する第1の端末装置から受信すると、メイン装置をスリープ状態から起動状態に移行させる。そして、ウェイクアップ装置は、メイン装置が起動状態において送受信するデータの伝送レートよりも低い伝送レートを有する変調方式によって変調され、かつ、第1の端末装置が起動させる無線基地局を示す情報を含むウェイクアップ信号をメイン装置が無線通信に用いる周波数帯と同じ周波数帯で第1の端末装置から受信し、その受信したウェイクアップ信号の復調処理を実行してメイン装置をスリープ状態から起動状態に移行させる。
【0013】
また、この発明の実施の形態によれば、無線基地局は、メイン装置と、ウェイクアップ装置とを備える。メイン装置は、端末装置を管理するための管理フレームを定期的に送信するとともに、端末装置と無線通信を行う起動状態と、端末装置と無線通信を行うことができないスリープ状態とを有し、一定の期間、端末装置と無線通信を行わなかったとき、または当該無線基地局に帰属する端末装置が存在しないとき、起動状態からスリープ状態へ移行する。ウェイクアップ装置は、メイン装置がスリープ状態にあるときに、メイン装置の状態をスリープ状態から起動状態に移行させるためのウェイクアップ信号をメイン装置へのアクセスを開始する第1の端末装置から受信すると、メイン装置をスリープ状態から起動状態に移行させる。そして、ウェイクアップ装置は、第1の端末装置が起動させる無線基地局を識別する識別情報を長さによって表した前記ウェイクアップ信号を前記第1の端末装置から受信し、その受信したウェイクアップ信号の復調処理を実行してメイン装置をスリープ状態から起動状態に移行させる。
【発明の効果】
【0014】
この発明の実施の形態による無線基地局においては、メイン装置は、一定条件下で起動状態からスリープ状態へ移行する。ウェイクアップ装置は、メイン装置が起動状態において送受信するデータの伝送レートよりも低い伝送レートを有する変調方式によって変調されたウェイクアップ信号をメイン装置が無線通信に用いる周波数帯と同じ周波数帯で受信する。そして、ウェイクアップ装置は、ウェイクアップ信号の復調処理を実行してメイン装置をスリープ状態から起動状態へ移行させる。この場合、ウェイクアップ装置は、低い伝送レートを有する変調方式によって変調されたウェイクアップ信号を復調するので、ウェイクアップ装置の消費電力は、低い。
【0015】
従って、消費電力を低減できるとともに、通常の無線通信の周波数帯を用いて無線基地局をスリープ状態から起動状態へ移行できる。
【0016】
また、この発明の実施の形態による無線基地局においては、メイン装置は、一定条件下で起動状態からスリープ状態へ移行する。ウェイクアップ装置は、第1の端末装置が起動させる無線基地局を示す情報を長さによって表したウェイクアップ信号をメイン装置が無線通信に用いる周波数帯と同じ周波数帯で受信する。そして、ウェイクアップ装置は、ウェイクアップ信号の復調処理を実行してメイン装置をスリープ状態から起動状態へ移行させる。この場合、ウェイクアップ装置は、ウェイクアップ信号の長さを検出して、第1の端末装置が起動させる無線基地局を検出するので、ウェイクアップ装置の消費電力は、低い。
【0017】
従って、消費電力を低減できるとともに、通常の無線通信の周波数帯を用いて無線基地局をスリープ状態から起動状態へ移行できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施の形態による無線通信システムの概略図である。
【図2】図1に示す無線基地局の構成図である。
【図3】図1に示す端末装置の構成図である。
【図4】図1に示す無線通信システムにおける動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】図1に示す端末装置の他の構成図である。
【図6】状態遷移図である。
【図7】他の状態遷移図である。
【図8】更に他の状態遷移図である。
【図9】更に他の状態遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0020】
図1は、この発明の実施の形態による無線通信システムの概略図である。図1を参照して、この発明の実施の形態による無線通信システム10は、無線基地局1と、端末装置2とを備える。
【0021】
無線基地局1は、通信範囲REGを有する。また、無線基地局1は、有線ケーブル20を介してネットワーク30に接続される。
【0022】
無線基地局1は、端末装置2を管理するためのビーコンフレームBeacon(=管理フレーム)を定期的に送信するとともに、端末装置2と無線通信を行う起動状態と、端末装置2と無線通信(=データの送受信)を行うことができないスリープ状態とを有する。
【0023】
無線基地局1は、一定の期間、端末装置2と無線通信を行わなかったとき、または自己に帰属する端末装置が存在しないとき(即ち、通信範囲REG内に端末装置が存在しないとき)、起動状態からスリープ状態へ移行する。
【0024】
また、無線基地局1は、スリープ状態において、端末装置2から自己を起動させるためのウェイクアップ信号を受信すると、スリープ状態から起動状態へ移行する。そして、無線基地局1は、端末装置2と無線通信を行うとともに、有線ケーブル20およびネットワーク30を介して他の通信装置と通信を行う。この場合、無線基地局1は、例えば、2.45GHz帯で端末装置2と無線通信を行う。
【0025】
端末装置2は、無線基地局1の通信範囲REG内に存在する。そして、端末装置2は、無線基地局1からビーコンフレームBeaconを受信しないとき、無線基地局1がスリープ状態であると判定する。そして、端末装置2は、無線基地局1がスリープ状態にあるときに無線基地局1との間で無線通信を開始するとき、無線基地局1を起動させるためのウェイクアップ信号を生成し、その生成したウェイクアップ信号を2.45GHz帯で無線通信によって無線基地局1へ送信する。即ち、端末装置2は、無線基地局1との無線通信に用いる周波数帯と同じ周波数帯を用いてウェイクアップ信号を無線基地局1へ送信する。
【0026】
また、端末装置2は、無線基地局1が起動状態であるとき、通常の無線通信を2.45GHz帯で無線基地局1と行う。
【0027】
図2は、図1に示す無線基地局1の構成図である。図2を参照して、無線基地局1は、アンテナ11と、切替器12と、ウェイクアップ装置13と、メイン装置14と、電源15とを含む。
【0028】
アンテナ11は、切替器12を介してウェイクアップ装置13またはメイン装置14に接続される。
【0029】
切替器12は、アンテナ11と、ウェイクアップ装置13およびメイン装置14との間に接続される。
【0030】
アンテナ11は、無線通信によって端末装置2からパケットを受信し、その受信したパケットを切替器12を介してウェイクアップ装置13またはメイン装置14へ出力する。また、アンテナ11は、メイン装置14から受けたパケットを無線通信によって端末装置2へ送信する。
【0031】
切替器12は、メイン装置14からの制御信号CTLに応じて、アンテナ11をウェイクアップ装置13またはメイン装置14に接続する。
【0032】
ウェイクアップ装置13は、例えば、100μWの電力を電源15から受け、その受けた電力によって駆動される。また、ウェイクアップ装置13は、メイン装置14がスリープ状態にあるとき、切替器12を介してアンテナ11に接続される。そして、ウェイクアップ装置13は、アンテナ11を介して端末装置2からウェイクアップ信号を受信すると、その受信したウェイクアップ信号に含まれるウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致するか否かを判定する。ウェイクアップ装置13は、ウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致すると判定したとき、起動信号を生成し、その生成した起動信号をメイン装置14へ出力する。
【0033】
一方、ウェイクアップ装置13は、ウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致しないとき、ウェイクアップ信号を破棄する。そして、ウェイクアップ装置13は、ウェイクアップ信号の受信を待つ状態になる。
【0034】
なお、ウェイクアップ装置13は、ウェイクアップ信号等のパケットを受信する機能のみを有し、パケットを送信する機能を有しない。
【0035】
メイン装置14は、例えば、7Wの電力を電源15から受け、その受けた電力によって駆動される。
【0036】
メイン装置14は、起動状態であるとき、アンテナ11を介して端末装置2と無線通信を行い、有線ケーブル20を介して他の通信装置と通信を行う。
【0037】
また、メイン装置14は、一定の期間T1、端末装置2と無線通信を行わなかったとき、または無線基地局1に帰属する端末装置が存在しないとき、起動状態からスリープ状態へ移行する。なお、一定の期間T1は、例えば、数十秒に設定される。
【0038】
更に、メイン装置14は、スリープ状態にあるときに、ウェイクアップ装置13から起動信号を受けると、スリープ状態から起動状態へ移行する。
【0039】
電源15は、100μWの電力をウェイクアップ装置13へ供給し、7Wの電力をメイン装置14へ供給する。
【0040】
切替器12は、スイッチ121と、端子122,123とを含む。ウェイクアップ装置13は、ウェイクアップ信号受信器131と、ウェイクアップ判定器132とを含む。メイン装置14は、無線通信モジュール141と、有線通信モジュール142と、ホストシステム143とを含む。
【0041】
スイッチ121は、アンテナ11に接続される。端子122は、ウェイクアップ信号受信器131に接続される。端子123は、無線通信モジュール141に接続される。
【0042】
スイッチ121は、メイン装置14のホストシステム143から制御信号CTLを受ける。そして、スイッチ121は、その制御信号CTLによってアンテナ11を端子122または端子123に接続する。
【0043】
この場合、制御信号CTLは、L(論理ロー)レベルの信号、またはH(論理ハイ)レベルの信号からなる。そして、スイッチ121は、制御信号CTLがLレベルの信号からなる場合、アンテナ11を端子122に接続し、制御信号CTLがHレベルの信号からなる場合、アンテナ11を端子123に接続する。
【0044】
ウェイクアップ信号受信器131は、パケットを受信する機能のみを有し、パケットを送信する機能を有しない。
【0045】
ウェイクアップ信号受信器131は、無線通信帯域(=2.45GHz帯)の1つの周波数に設定されたチャネルXを有する。そして、ウェイクアップ信号受信器131は、スイッチ121が端子122に接続されたとき、チャネルXでウェイクアップ信号を待ち受ける。
【0046】
ウェイクアップ信号受信器131は、ウェイクアップ信号をアンテナ11を介して受信すると、その受信したウェイクアップ信号を復調し、その復調したウェイクアップ信号をウェイクアップ判定器132へ出力する。
【0047】
ウェイクアップ判定器132は、無線基地局1のIDを予め保持している。ウェイクアップ判定器132は、ウェイクアップ信号をウェイクアップ信号受信器131から受ける。そして、ウェイクアップ判定器132は、その受けたウェイクアップ信号に含まれるウェイクアップIDを抽出する。
【0048】
そうすると、ウェイクアップ判定器132は、ウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致するか否かを判定する。ウェイクアップ判定器132は、ウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致すると判定したとき、起動信号を生成し、その生成した起動信号をメイン装置14のホストシステム143へ出力する。一方、ウェイクアップ判定器132は、ウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致しないと判定したとき、その抽出したウェイクアップIDを破棄する。
【0049】
無線通信モジュール141は、端末装置2との間のデータ通信に使用されるチャネルZ(=2.45GHz帯の1つの周波数を有する周波数チャネル)が予め設定されている。
【0050】
無線通信モジュール141は、ホストシステム143からコマンド信号COM1を受けると、起動状態からスリープ状態へ移行し、ホストシステム143からコマンド信号COM2を受けると、スリープ状態から起動状態へ移行する。なお、このスリープ状態は、無線通信モジュール141が動作を停止した状態である。
【0051】
そして、無線通信モジュール141は、起動状態へ移行すると、無線基地局1が起動したことを端末装置2へ通知するためのパケット(起動通知)を生成し、その生成したパケット(起動通知)をチャネルY(=2.45GHz帯の1つの周波数を周波数チャネル)で端末装置2へ送信する。
【0052】
その後、無線通信モジュール141は、アンテナ11を介してビーコンフレームBeaconを定期的に送信し、周囲に自らの存在並びに起動状態であることを知らせる。その後、無線通信モジュール141は、端末装置2との間で無線通信リンクを確立する。そして、無線通信モジュール141は、端末装置2と無線通信を行う。この場合、無線通信モジュール141は、端末装置2から受信したパケットからデータを取り出してホストシステム143へ出力し、ホストシステム143から受けたデータを含むパケットを生成して端末装置2へ送信する。
【0053】
有線通信モジュール142は、有線ケーブル20を介して他の通信装置からデータを受信し、その受信したデータをホストシステム143へ出力する。
【0054】
また、有線通信モジュール142は、ホストシステム143からデータを受け、その受けたデータを有線ケーブル20を介して他の通信装置へ送信する。
【0055】
更に、有線通信モジュール142は、ホストシステム143からコマンド信号COM1を受けると、起動状態からスリープ状態へ移行し、ホストシステム143からコマンド信号COM2を受けると、スリープ状態から起動状態へ移行する。なお、このスリープ状態とは、マジックパケットを受信できるが、マジックパケット以外のパケットを受信できない状態である。
【0056】
ホストシステム143は、一定の期間T1、端末装置2からのパケットを無線通信モジュール141を介して受けないとき、または通信範囲REG内に端末装置が存在しないとき、コマンド信号COM1を生成し、その生成したコマンド信号COM1を無線通信モジュール141および有線通信モジュール142へ出力するとともに、Lレベルの制御信号CTLを生成して切替器12へ出力する。そして、ホストシステム143は、スリープ状態(=停止状態)へ移行する。
【0057】
また、ホストシステム143は、ウェイクアップ判定器132または有線通信モジュール142から起動信号を受けると、スリープ状態から起動状態へ移行する。そして、ホストシステム143は、コマンド信号COM2を生成し、その生成したコマンド信号COM2を無線通信モジュール141および有線通信モジュール142へ出力するとともに、Hレベルの制御信号CTLを生成して切替器12へ出力する。
【0058】
更に、ホストシステム143は、無線通信モジュール141からデータを受けると、その受けたデータを有線通信モジュール142へ出力する。
【0059】
更に、ホストシステム143は、有線通信モジュール142からデータを受けると、その受けたデータを無線通信モジュール141へ出力する。
【0060】
更に、ホストシステム143は、通信範囲REG内に存在する端末装置を管理する。
【0061】
図3は、図1に示す端末装置2の構成図である。図3を参照して、端末装置2は、アンテナ21と、無線通信モジュール22と、ウェイクアップ信号送信器23と、ホストシステム24とを含む。
【0062】
無線通信モジュール22は、無線基地局1との間のデータ通信に使用されるチャネルYが予め設定されている。そして、無線通信モジュール22は、アンテナ21を介して無線基地局1から起動通知を受信すると、各通信チャネルをスキャンし、無線基地局1がデータ通信に使用するチャネルZを特定する。そうすると、無線通信モジュール22は、チャネルZを用いて無線基地局1との間で無線通信リンクを確立し、無線基地局1との間で無線通信を行う。
【0063】
この場合、無線通信モジュール22は、アンテナ21を介して無線基地局1からパケットを受信し、その受信したパケットを復調してデータを取り出し、その取り出したデータをホストシステム24へ出力する。また、無線通信モジュール22は、ホストシステム24からデータを受け、その受けたデータを含むパケットを生成し、その生成したパケットを無線LANによる変調方式によって変調し、その変調したパケットをチャネルZでアンテナ21を介して無線基地局1へ送信する。
【0064】
なお、無線通信モジュール22は、無線基地局1がデータ通信に使用するチャネルZが起動通知に含まれている場合、即座に自己の通信チャネルをチャネルZに設定し、その設定したチャネルZを用いて無線基地局1との間で無線通信リンクを確立し、無線基地局1との間で無線通信を行う。
【0065】
ウェイクアップ信号送信器23は、コマンド信号COM3およびESSID(またはBSSID)をホストシステム24から受けると、ESSID、BSSID、およびそれらのハッシュ値等のいずれかからなるウェイクアップIDを生成し、その生成したウェイクアップIDを含むウェイクアップ信号を生成する。なお、ウェイクアップIDは、端末装置2が起動させる無線基地局を示す情報である。
【0066】
そして、ウェイクアップ信号送信器23は、ウェイクアップ信号をオンオフキーイングの変調方式によって変調し、その変調したウェイクアップ信号をアンテナ21を介してチャネルXで無線基地局1へ送信する。
【0067】
このオンオフキーイングの変調方式は、伝送レートが数十kbps〜数百kbpsである変調方式であり、通常の無線LANに用いられる変調方式よりも伝送レートが低い。このように伝送レートが低い変調方式によってウェイクアップ信号を変調するのは、100μWという非常に低い電力で動作するウェイクアップ装置13によってウェイクアップ信号を復調できるようにするためである。
【0068】
ホストシステム24は、無線通信モジュール22がアンテナ21を介して受信したビーコンフレームBeaconを無線通信モジュール22から受ける。そして、ホストシステム24は、その受けたビーコンフレームBeaconに含まれるESSIDまたはBSSIDを取り出して管理するとともに、ESSIDまたはBSSIDに基づいて、端末装置2が帰属する無線基地局1を管理する。
【0069】
また、ホストシステム24は、無線基地局1からビーコンフレームBeaconを受信しないとき、無線基地局1がスリープ状態であると判定し、コマンド信号COM3およびESSID(またはBSSID)をウェイクアップ信号送信器23へ出力する。
【0070】
更に、ホストシステム24は、無線通信モジュール22からデータを受けるとともに、データを生成して無線通信モジュール22へ出力する。
【0071】
図4は、図1に示す無線通信システム10における動作を説明するためのフローチャートである。
【0072】
図4を参照して、一連の動作が開始されると、無線基地局1のホストシステム143は、スリープ状態へ移行するか否かを判定する(ステップS1)。より具体的には、無線基地局1のホストシステム143は、一定の期間T1、端末装置2との間で無線通信が行われていないとき、または無線基地局1に帰属する端末装置が存在しないとき、スリープ状態へ移行すると判定する。また、無線基地局1のホストシステム143は、一定の期間T1内に、端末装置2との間で無線通信が行われているとき、または無線基地局1に帰属する端末装置が存在するとき、スリープ状態へ移行しないと判定する。
【0073】
ステップS1において、スリープ状態へ移行すると判定されたとき、無線基地局1のホストシステム143は、コマンド信号COM1を生成して無線通信モジュール141および有線通信モジュール142へ出力するとともに、Lレベルの信号からなる制御信号CTLを生成して切替器12へ出力し、自己の動作を停止する。そして、無線基地局1の切替器12は、Lレベルの制御信号CTLに応じてアンテナ11を端子122に接続する。また、無線基地局1の無線通信モジュール141および有線通信モジュール142は、コマンド信号COM1に応じて、動作を停止する。即ち、ステップS1において、スリープ状態へ移行すると判定されたとき、メイン装置14が停止する(ステップS2)。
【0074】
そして、ウェイクアップ装置13のウェイクアップ信号受信器131は、チャネルXでウェイクアップ信号を待ち受ける(ステップS3)。
【0075】
その後、端末装置2のホストシステム24は、無線基地局1からビーコンフレームBeaconを受信しないことを検知する(ステップS4)。即ち、端末装置2のホストシステム24は、無線基地局1がスリープ状態であることを検知する。そして、端末装置2のホストシステム24は、無線通信を開始するか否かを判定する(ステップS5)。
【0076】
ステップS5において、無線通信を開始すると判定されたとき、端末装置2のホストシステム24は、起動させたい無線基地局1のESSID(またはBSSID)とコマンド信号COM3とをウェイクアップ信号送信器23へ出力する。そして、端末装置2のウェイクアップ信号送信器23は、コマンド信号COM3を受けると、ESSID(またはBSSID)に基づいて、上述した方法によってウェイクアップ信号を生成する。即ち、端末装置2は、起動させたい無線基地局1を示すウェイクアップIDを含むウェイクアップ信号を生成する(ステップS6)。
【0077】
そして、端末装置2のウェイクアップ信号送信器23は、オンオフキーイングの変調方式によってウェイクアップ信号を変調し、その変調したウェイクアップ信号をアンテナ21を介してチャネルXで無線基地局1へ送信する(ステップS7)。
【0078】
そうすると、無線基地局1のウェイクアップ信号受信器131は、アンテナ11を介してウェイクアップ信号をチャネルXで受信し(ステップS8)、その受信したウェイクアップ信号を復調する。そして、無線基地局1のウェイクアップ信号受信器131は、その復調したウェイクアップ信号をウェイクアップ判定器132へ出力する。
【0079】
無線基地局1のウェイクアップ判定器132は、復調されたウェイクアップ信号からウェイクアップIDを取り出し、その取り出したウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致するか否かを判定する(ステップS9)。
【0080】
ステップS9において、ウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致しないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS3へ戻る。
【0081】
一方、ステップS9において、ウェイクアップIDが無線基地局1のIDに一致すると判定されたとき、無線基地局1のウェイクアップ判定器132は、起動信号を生成してホストシステム143へ出力する。そして、無線基地局1のホストシステム143は、ウェイクアップ判定器132からの起動信号に応じてスリープ状態から起動状態へ移行し、コマンド信号COM2を生成して無線通信モジュール141および有線通信モジュール142へ出力する。そして、無線基地局1の無線通信モジュール141および有線通信モジュール142は、コマンドCOM2に応じてスリープ状態から起動状態へ移行する。このように、無線基地局1のメイン装置14は、ウェイクアップ装置13からの起動信号に応じて、スリープ状態から起動状態へ移行する(ステップS10)。
【0082】
そうすると、無線基地局1の無線通信モジュール141は、チャネルZを含む起動通知を生成し、その生成した起動通知をチャネルYでアンテナ11を介して端末装置2へ送信する(ステップS11)。
【0083】
そして、端末装置2の無線通信モジュール22は、アンテナ21を介してチャネルYで起動通知を受信し(ステップS12)、その受信した起動通知をホストシステム24へ出力する。その後、端末装置2のホストシステム24は、無線通信モジュール22からの起動通知に応じて、無線基地局1がスリープ状態から起動状態へ移行したことを検知するとともに、起動通知に含まれるチャネルZを取り出す。そして、端末装置2のホストシステム24は、その取り出したチャネルZを無線通信モジュール22へ出力する。
【0084】
そうすると、無線基地局1の無線通信モジュール141は、端末装置2との間で無線通信リンクを確立するための無線通信をチャネルZで開始し、端末装置2は、チャネルZを用いて無線基地局1との間で無線通信リンクを確立し、無線通信を行う(ステップS13)。
【0085】
なお、端末装置2の無線通信モジュール22は、ウェイクアップ信号を無線基地局1へ送信した後、起動通知を無線基地局1から受信しないとき、チャネルをスキャンしてビーコンフレームBeaconを受信することによって無線基地局1が起動したことを検知する。そして、ビーコンフレームBeaconは、チャネルZを含むので、端末装置2の無線通信モジュール22は、チャネルZを用いて無線基地局1との間で無線通信を行うことができる。
【0086】
また、ステップS1において、スリープ状態へ移行しないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS13へ移行する。
【0087】
そして、ステップS13の後、またはステップS5において、無線通信を開始しないと判定されたとき、一連の動作は、終了する。
【0088】
上述したように、無線基地局1および端末装置2は、チャネルZで相互に無線通信を行う。また、端末装置2は、チャネルXでウェイクアップ信号を無線基地局1へ送信し、無線基地局1は、チャネルXでウェイクアップ信号を受信する。そして、チャネルXおよびチャネルZは、両方とも、2.45GHz帯のチャネルである。従って、端末装置2は、無線基地局1のメイン装置14が無線通信に用いる通信帯域と同じ通信帯域を用いてウェイクアップ信号を送信し、無線基地局1のウェイクアップ装置13は、メイン装置14が無線通信に用いる通信帯域と同じ通信帯域を用いてウェイクアップ信号を受信する。
【0089】
その結果、無線基地局1において、ウェイクアップ装置13およびメイン装置14は、1つのアンテナ11を共用できる。
【0090】
また、無線基地局1がスリープ状態にあるときに、端末装置2がウェイクアップ信号を生成して無線基地局1へ送信することによって、無線基地局1は、スリープ状態から起動状態へ移行する(ステップS6〜S8,S9の“YES”,S10参照)。
【0091】
従って、端末装置2によって無線基地局1がスリープ状態から起動状態へ移行するのを遠隔操作できる。
【0092】
更に、無線基地局1の通信範囲REG内に新たに入って来た端末装置は、無線基地局1からビーコンフレームBeaconを受信しなければ、無線基地局1がスリープ状態であることを検知し、ウェイクアップ信号を生成して無線基地局1へ送信する(ステップS4,S5の“YES”,S6,S7参照)。
【0093】
従って、無線基地局1の通信範囲REG内に新たに入って来た端末装置によっても、無線基地局1をスリープ状態から起動状態へ移行させることができる。
【0094】
更に、端末装置2が無線基地局1の通信範囲REGから別の無線基地局の通信範囲へ移動するとき(即ち、ハンドオーバーのとき)も、端末装置2は、ウェイクアップ信号を生成して別の無線基地局へ送信することによって別の無線基地局をスリープ状態から起動状態へ移行させることができる。その結果、ハンドオーバーをスムーズに行うことができる。
【0095】
更に、無線通信システム10が複数の無線基地局を備える場合、その複数の無線基地局の全てがスリープ状態であっても、端末装置は、起動させたい無線基地局をスリープ状態から起動状態へ移行させることができる。
【0096】
更に、無線基地局1のウェイクアップ装置13は、スリープ状態において、メイン装置14が必要とする電力(=7W)の約10万分の1である100μWの電力で動作する。
【0097】
従って、消費電力を非常に低減できる。
【0098】
図5は、図1に示す端末装置2の他の構成図である。この発明の実施の形態においては、端末装置2は、図5に示す端末装置2Aであってもよい。
【0099】
図5を参照して、端末装置2Aは、図3に示す端末装置2のウェイクアップ信号送信器23を削除したものであり、その他は、端末装置2と同じである。
【0100】
端末装置2Aのホストシステム24は、上述した方法によって、無線基地局1がスリープ状態にあることを検知すると、コマンド信号COM3を生成して無線通信モジュール22へ出力する。
【0101】
そして、端末装置2Aの無線通信モジュール22は、コマンド信号COM3に応じて、長さによって表されたウェイクアップIDを生成し、その生成したウェイクアップIDを含むウェイクアップ信号を生成する。
【0102】
ここで、長さによって表わされたウェイクアップIDとは、例えば、無線基地局1を起動させるためのウェイクアップIDを8ビットで表現し、別の無線基地局を起動させるためのウェイクアップIDを16ビットで表現する等、ウェイクアップIDの長さ自体が各無線基地局を表していることを言う。
【0103】
その後、端末装置2Aの無線通信モジュール22は、その生成したウェイクアップ信号を無線LANによる変調方式によって変調し、その変調したウェイクアップ信号をチャネルXで無線基地局1へ送信する。
【0104】
このように、端末装置2Aは、無線LANによる変調方式(即ち、伝送レートが速い変調方式)によってウェイクアップ信号を変調して無線基地局1へ送信するが、ウェイクアップ信号に含まれるウェイクアップIDは、その長さによって各無線基地局を表すので、無線基地局1のウェイクアップ装置13は、ウェイクアップ信号が速い伝送レートの変調方式によって変調されていても、ウェイクアップ信号の長さを検出してウェイクアップIDを検出できる。
【0105】
無線通信システム10が端末装置2に代えて端末装置2Aを備える場合も、無線通信システム10における動作は、図4に示すフローチャートに従って実行される。
【0106】
上記においては、無線基地局1のメイン装置14(無線通信モジュール141、有線通信モジュール142およびホストシステム143の全て)は、スリープ状態になると動作を停止すると説明した。即ち、無線基地局1のメイン装置14のスリープ状態は、1つのスリープレベルからなる。
【0107】
しかし、この発明の実施の形態においては、これに限らず、無線基地局1は、複数のスリープレベルからなるスリープ状態を有していてもよい。
【0108】
以下、複数のスリープレベルについて説明する。
(i)レベル0(通常動作)
無線通信モジュール141、有線通信モジュール142およびホストシステム143の全てが起動状態である。
(ii)レベル1
無線通信モジュール141は、電源がオフされ、有線通信モジュール142およびホストシステム143は、スリープ状態である。
【0109】
そして、このレベル1では、ホストシステム143は、無線基地局1に帰属する端末装置が存在する場合、その帰属情報を補助記憶装置に保持し、帰属を(無線基地局1の内部的に)維持したままスリープする。
(iii)レベル2
無線通信モジュール141および有線通信モジュール14は、電源がオフされ、ホストシステム143は、スリープ状態である。そして、このレベル2でも、ホストシステム143は、無線基地局1に帰属する端末装置が存在する場合、その帰属情報を補助記憶装置に保持し、帰属を(無線基地局の内部的に)維持したままスリープする。
(iv)レベル3
無線通信モジュール141およびホストシステム143は、電源がオフされ、有線通信モジュール142は、ホストがスリープ状態であるとき、稼働状態である。
【0110】
レベル3では、ウェイクアップ装置13または有線通信モジュール142が起動用信号を受信することによってホストシステム143を起動状態にする。即ち、ウェイクアップ装置13が端末装置2からウェイクアップ信号を起動用信号として受信し、有線通信モジュール142がホストから起動用信号を受信することによってホストシステム143を起動状態にする。
(v)レベル4
無線通信モジュール141、有線通信モジュール142およびホストシステム143の全ての電源がオフされている。
【0111】
上述したレベル0は、起動状態を表し、レベル1〜レベル4が複数のスリープレベルを表す。
【0112】
この発明の実施の形態においては、上述したレベル1〜レベル4から任意のレベルを選択し、その選択したレベルをスリープ状態として無線基地局1へ設定する。この場合、無線基地局1のメイン装置14は、一定の期間T1、端末装置2との間で無線通信を行わなかったとき、または無線基地局1に帰属する端末装置が存在しないとき、その設定されたスリープレベル(=レベル1〜レベル4のいずれか)からなるスリープ状態へ移行する。
【0113】
また、この発明の実施の形態においては、通信の状態に応じて、状態が遷移するようにしてもよい。
【0114】
以下、状態が動的に遷移する状態遷移図について説明する。
【0115】
図6は、状態遷移図である。図6を参照して、状態遷移図は、レベル0、レベル1およびレベル3からなる。
【0116】
無線基地局1のメイン装置14は、最初、電源がオフされた状態にあり、起動されると、レベル0へ移行する。そして、無線基地局1のメイン装置14は、レベル0で通常の起動状態における動作を行う。
【0117】
無線基地局1のメイン装置14は、レベル0において、一定時間(T1)、端末装置2との間で無線通信が無くなると、レベル1へ移行する。そして、無線基地局1のメイン装置14は、レベル1において、ウェイクアップ装置13が端末装置2から起動用信号(無線)を受けた時、またはホストから有線通信モジュール142が起動用信号(有線)を受けたとき、レベル0へ移行する。また、無線基地局1のメイン装置14は、レベル1において、帰属端末が無く、一定時間(T2)内に起動信号を受信しないとき、レベル3へ移行する。一定時間T2は、例えば、数十秒である。
【0118】
無線基地局1のメイン装置14は、レベル3において、ウェイクアップ装置13が端末装置2から起動用信号(無線)を受けた時、またはホストから有線通信モジュール142が起動用信号(有線)を受けたとき、レベル0へ移行する。
【0119】
図7は、他の状態遷移図である。図7を参照して、状態遷移図は、レベル0、レベル1およびレベル4からなる。
【0120】
図7に示す状態遷移図は、図6に示す状態遷移図のレベル3をレベル4に代えたものであり、その他は、図6に示す状態遷移図と同じである。
【0121】
無線基地局1のメイン装置14は、レベル1において、帰属端末が無く、一定時間(T2)内に起動信号を受信しないとき、レベル4へ移行する。
【0122】
また、無線基地局1のメイン装置14は、レベル4において、ウェイクアップ装置13が端末装置2から起動用信号(無線)を受けた時、レベル0へ移行する。
【0123】
その他の説明は、図6に示す状態遷移図の説明と同じである。
【0124】
図8は、更に他の状態遷移図である。図8を参照して、状態遷移図は、レベル0、レベル1、レベル2およびレベル4からなる。
【0125】
図8に示す状態遷移図は、図7に示す状態遷移図のレベル1とレベル4との間にレベル2を挿入したものであり、その他は、図7に示す状態遷移図と同じである。
【0126】
無線基地局1のメイン装置14は、レベル1において、帰属端末が無く、一定時間(T2)内に起動信号を受信しないとき、レベル2へ移行する。
【0127】
そして、無線基地局1のメイン装置14は、レベル2において、ウェイクアップ装置13が端末装置2から起動用信号(無線)を受けると、レベル0へ移行する。また、無線基地局1のメイン装置14は、レベル2において、一定時間(T3)内に起動信号を受信しないとき、レベル4へ移行する。一定時間T3は、例えば、数分である。
【0128】
その他の説明は、図6,7に示す状態遷移図の説明と同じである。
【0129】
図9は、更に他の状態遷移図である。図9を参照して、状態遷移図は、レベル0、レベル1、レベル3およびレベル4からなる。
【0130】
図9に示す状態遷移図は、図8に示す状態遷移図のレベル2をレベル3に代えたものであり、その他は、図8に示す状態遷移図と同じである。
【0131】
無線基地局1のメイン装置14は、レベル1において、帰属端末が無く、一定時間(T2)内に起動信号を受信しないとき、レベル3へ移行する。
【0132】
そして、無線基地局1のメイン装置14は、レベル3において、ウェイクアップ装置13が端末装置2から起動用信号(無線)を受けたとき、またはホストから有線通信モジュール142が起動用信号(有線)を受けたとき、レベル0へ移行する。また、無線基地局1のメイン装置14は、レベル2において、一定時間(T3)内に起動信号を受信しないとき、レベル4へ移行する。
【0133】
その他の説明は、図6〜8に示す状態遷移図の説明と同じである。
【0134】
従って、無線基地局1のメイン装置14は、上述した図6から図9に示す状態遷移図のいずれかに従って状態が遷移するようにしてもよい。この場合、無線通信モジュール141、有線通信モジュール142およびホストシステム143は、複数のスリープレベルに応じて電源がオフされ、またはスリープ状態になる。
【0135】
なお、この発明の実施の形態においては、無線基地局1のメイン装置14は、スリープ状態へ移行すると判定したときに、無線基地局1に帰属する端末装置が存在する場合、スリープ状態への移行の可否を端末装置へ問合せ、端末装置が許可した場合にスリープ状態へ移行するようにしてもよい。この場合、端末装置2は、問合信号を無線基地局1から受信すると、無線基地局1との間で無線通信を開始する予定がなければ、スリープ状態への移行を許可する信号を無線基地局1へ送信する。
【0136】
これによって、無線基地局1は、無線基地局1と端末装置2との間の無線通信が無いことを確認した後にスリープ状態へ移行できる。
【0137】
上記においては、ウェイクアップ信号は、オンオフキーイングの変調方式によって変調されると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、ウェイクアップ信号は、ASKおよびFSK等の変調方式によって変調されてもよい。
【0138】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0139】
この発明は、無線基地局およびそれを用いた無線通信システムに適用される。
【符号の説明】
【0140】
1 無線基地局、2,2A 端末装置、10 無線通信システム、11,21 アンテナ、12 切替器、13 ウェイクアップ装置、14 メイン装置、15 電源、20 有線ケーブル、22,141 無線通信モジュール、23 ウェイクアップ信号送信器、24,143 ホストシステム、30 ネットワーク、121 スイッチ、122,123 端子、131 ウェイクアップ信号受信器、132 ウェイクアップ判定器、142 有線通信モジュール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置を管理するための管理フレームを定期的に送信するとともに、前記端末装置と無線通信を行う起動状態と、前記端末装置と無線通信を行うことができないスリープ状態とを有し、一定の期間、前記端末装置と無線通信を行わなかったとき、または当該無線基地局に帰属する端末装置が存在しないとき、前記起動状態から前記スリープ状態へ移行するメイン装置と、
前記メイン装置が前記スリープ状態にあるときに、前記メイン装置の状態を前記スリープ状態から前記起動状態に移行させるためのウェイクアップ信号を前記メイン装置へのアクセスを開始する第1の端末装置から受信すると、前記メイン装置を前記スリープ状態から前記起動状態に移行させるウェイクアップ装置とを備え、
前記ウェイクアップ装置は、前記メイン装置が前記起動状態において送受信するデータの伝送レートよりも低い伝送レートを有する変調方式によって変調され、かつ、前記第1の端末装置が起動させる無線基地局を示す情報を含む前記ウェイクアップ信号を前記メイン装置が無線通信に用いる周波数帯と同じ周波数帯で前記第1の端末装置から受信し、その受信したウェイクアップ信号の復調処理を実行して前記メイン装置を前記スリープ状態から前記起動状態に移行させる、無線基地局。
【請求項2】
端末装置を管理するための管理フレームを定期的に送信するとともに、前記端末装置と無線通信を行う起動状態と、前記端末装置と無線通信を行うことができないスリープ状態とを有し、一定の期間、前記端末装置と無線通信を行わなかったとき、または当該無線基地局に帰属する端末装置が存在しないとき、前記起動状態から前記スリープ状態へ移行するメイン装置と、
前記メイン装置が前記スリープ状態にあるときに、前記メイン装置の状態を前記スリープ状態から前記起動状態に移行させるためのウェイクアップ信号を前記メイン装置へのアクセスを開始する第1の端末装置から受信すると、前記メイン装置を前記スリープ状態から前記起動状態に移行させるウェイクアップ装置とを備え、
前記ウェイクアップ装置は、前記第1の端末装置が起動させる無線基地局を示す情報を長さによって表した前記ウェイクアップ信号を前記第1の端末装置から受信し、その受信したウェイクアップ信号の復調処理を実行して前記メイン装置を前記スリープ状態から前記起動状態に移行させる、無線基地局。
【請求項3】
前記メイン装置は、当該無線基地局に帰属する端末装置が存在するときに前記起動状態から前記スリープ状態へ移行する場合、前記スリープ状態への移行の可否を問い合わせる問合信号を当該無線基地局に帰属する全ての端末装置へ送信し、前記全ての端末装置が前記スリープ状態への移行を許可すると、前記スリープ状態へ移行する、請求項1または請求項2に記載の無線基地局。
【請求項4】
前記スリープ状態は、複数のスリープレベルからなり、
前記メイン装置は、
前記起動状態において前記端末装置と無線通信を行う無線通信モジュールと、
有線ケーブルを介してネットワークに接続された有線通信モジュールと、
前記無線通信モジュールおよび前記有線通信モジュールを制御するホストシステムとを含み、
前記無線通信モジュール、前記有線通信モジュールおよび前記ホストシステムは、前記複数のスリープレベルに応じて電源がオフされ、またはスリープ状態になる、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の無線基地局。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の無線基地局と、
前記無線基地局が前記スリープ状態にあるときに前記無線基地局と無線通信を開始するとき、前記ウェイクアップ信号を前記無線基地局へ送信する端末装置とを備える無線通信システム。
【請求項6】
前記端末装置は、前記無線基地局を示す情報を長さによって表した前記ウェイクアップ信号を無線LANの変調方式によって変調して前記無線基地局へ送信する、請求項5に記載の無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−175516(P2012−175516A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37031(P2011−37031)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、支出負担行為担当官、総務省大臣官房会計課企画官、研究テーマ「無駄な消費電力量を削減するRadio On Demand Networksの研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)
【Fターム(参考)】