説明

無線基地局システム及び通信制御方法

【課題】複数の通信事業者により簡易に通信エリアを拡大することが可能な無線基地局システム、及び、通信制御方法を提供する。
【解決手段】無線基地局システムは、A社MS301及びB社MS302との間で無線通信を行う。無線基地局システムは、通信事業者A及び通信事業者Bによって共用され、加入先の通信事業者が異なるA社MS301及びB社MS302との間で無線信号を送受信する共用RE200と、通信事業者毎に設けられ、対応する通信事業者に加入するA社MS301又はB社MS302との間の共用RE200を介する通信を制御するREC100とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動端末との間で無線通信を行う無線基地局システム、及び、当該無線基地局システムにおける通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の通信事業者(オペレータ)が、携帯電話サービス等の無線通信サービスを提供している。各オペレータは、同一の地域に、それぞれ独自に無線基地局を設置している。このため、各オペレータは、通信エリアを拡大するために、個別に無線基地局の設置場所の確保等を行う必要があり、無駄が多い。
【0003】
このような問題を解決すべく、特許文献1には、複数のオペレータによって共用される通信システムが開示されている。通信システムは、複数の通信事業者毎に設けられた無線基地局と、中継親機装置を介して各無線基地局に接続され、複数の通信事業者によって共用される子機とにより構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−6163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、サービスが開始されたLTE(Long Term Evolution)方式の通信システムは、CPRI(Common Public Radio Interface)が適用される場合がある。CPRIでは、無線基地局システムは、無線制御部(REC:Radio Equipment Control)と無線部(RE:Radio Equipment)とにより構成される。無線部は、移動端末との間で無線信号の送受信を行う。無線制御部は、遠隔地に配置された複数の無線部を、通信回線を介して接続して制御する。このように、1つの無線制御部が、遠隔地の複数の無線部を接続することができるため、通信エリアを拡大するためには、無線部を設置するだけでよく、簡易に通信エリアを拡大することができる。
【0006】
このようなCPRIが適用される無線基地局システムにおいても、上述と同様、複数のオペレータによって共用されることで、各通信事業者が簡易に通信エリアを拡大することが要求されている。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、複数の通信事業者により簡易に通信エリアを拡大することが可能な無線基地局システム、及び、通信制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る無線基地局システムは、
移動端末との間で無線通信を行う無線基地局システムであって、
複数の通信事業者によって共用され、加入先の通信事業者が異なる複数の移動端末との間で無線信号を送受信する無線部と、
前記複数の通信事業者毎に設けられ、対応する前記通信事業者に加入する前記移動端末との間の前記無線部を介する通信を制御する複数の無線制御部と
を備えることを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の第2の観点に係る通信制御方法は、
複数の通信事業者によって共用される無線部と、前記複数の通信事業者毎に設けられる複数の無線制御部とを備え、移動端末との間で無線通信を行う無線基地局システムにおける通信制御方法であって、
前記無線部が、加入先の通信事業者が異なる複数の移動端末との間で無線信号を送受信するステップと、
前記無線制御部が、対応する前記通信事業者に加入する前記移動端末との間の前記無線部を介する通信を制御するステップと
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の通信事業者により簡易に通信エリアを拡大することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る移動通信システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係るRECの構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る共用REの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る無線基地局システムの動作を示す第1のシーケンス図である。
【図5】本発明の実施形態に係る無線基地局システムの動作を示す第2のシーケンス図である。
【図6】従来の無線基地局システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る無線基地局システム及び通信制御方法を説明する。
【0013】
(1)移動通信システムの構成
図1に示す移動通信システム1は、通信事業者A(A社)に加入する移動端末(A社MS)301−1乃至301−3と、通信事業者B(B社)に加入する移動端末(B社MS)302−1乃至302−3とに対して、移動通信サービスを提供する。
【0014】
移動通信システム1は、通信事業者Aによって使用される交換機(A社交換機)50−1と、通信事業者Bによって使用される交換機(B社交換機)50−2と、通信事業者Aによって使用される無線制御部としてのA社REC(Radio Equipment Control)100−1と、通信事業者Bによって使用される無線制御部としてのB社REC100−2と、通信事業者A及び通信事業者Bによって共用される無線部としての共用RE(Radio Equipment)200−1乃至200−3とを備える。
【0015】
本実施形態において、無線基地局システムは、A社REC100−1、B社REC100−2、及び、共用RE200−1乃至200−3により構成される。以下、A社交換機50−1及びB社交換機50−2をまとめて、適宜「交換機50」と称する。また、A社REC100−1及びB社REC100−2をまとめて、適宜「REC100」と称する。また、共用RE200−1乃至200−3をまとめて、適宜「共用RE200」と称する。また、A社MS301−1乃至301−3をまとめて、適宜「A社MS301」と称し、B社MS302−1乃至302−3をまとめて、適宜「B社MS302」と称する。
【0016】
A社交換機50−1及びB社交換機50−2は、図示しない上位ネットワークに接続される。A社交換機50−1は、通信回線を介してA社REC100−1を接続する。B社交換機50−2は、通信回線を介してB社REC100−2を接続する。図1では、A社交換機50−1は、1つのA社REC100−1を接続しているが、複数のA社REC100−1を接続することもできる。また、B社交換機50−2は、1つのB社REC100−2を接続しているが、複数のB社REC100−2を接続することもできる。
【0017】
A社交換機50−1は、無線基地局システム1のうち、通信事業者Aに関わる構成である、A社REC100−1と共用RE200−1乃至200−3との状態の監視や、各種制御を行う。また、A社交換機50−1は、A社REC100−1と共用RE200−1乃至200−3とを介して、当該A社MS301と通信を行う。更に、A社交換機50−1は、A社MS301の通信時の管理を行う。
【0018】
同様に、B社交換機50−2は、無線基地局システム1のうち、通信事業者Bに関わる構成である、B社REC100−2と共用RE200−1乃至200−3との状態の監視や、各種制御を行う。また、B社交換機50−2は、B社REC100−2と共用RE200−1乃至200−3とを介して、当該B社MS302と通信を行う。更に、B社交換機50−2は、B社MS302の通信時の管理を行う。
【0019】
A社REC100−1は、A社MS301−1との間の共用RE200−1乃至200−3を介する通信を制御する。A社REC100−1は、光ファイバ等の通信回線を介して共用RE200−1乃至200−3を接続する。B社REC100−2は、B社MS302−1との間の共用RE200−1乃至200−3を介する通信を制御する。B社REC100−2は、光ファイバ等の通信回線を介して共用RE200−1乃至200−3を接続する。
【0020】
共用RE200−1乃至200−3は、A社REC100−1及びB社REC100−2から離れた位置、例えば、数十km離れた位置に設置される。共用RE200−1は、通信事業者Aの通信エリアとしてのセル201−1と、通信事業者Bの通信エリアとしてのセル202−1とを形成する。セル201−1とセル202−1とは、ほぼ同一の領域である。共用RE200−1は、セル201−1内のA社MS301−1及びB社MS302−1との間で無線通信を行う。
【0021】
共用RE200−2は、通信事業者Aの通信エリアとしてのセル201−2と、通信事業者Bの通信エリアとしてのセル202−2とを形成する。セル201−2とセル202−2とは、ほぼ同一の領域である。共用RE200−2は、セル201−2内のA社MS301−2及びB社MS302−2との間で無線通信を行う。共用RE200−3は、通信事業者Aの通信エリアとしてのセル201−3と、通信事業者Bの通信エリアとしてのセル202−3とを形成する。セル201−3とセル202−3とは、ほぼ同一の領域である。共用RE200−3は、セル201−3内のA社MS301−3及びB社MS302−3との間で無線通信を行う。
【0022】
(2)RECの構成
図2に示すA社REC100−1は、制御部102、メモリ103、有線通信部104、及び、有線通信部106を備える。なお、B社REC100−2も同様の構成である。
【0023】
制御部102は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。制御部102は、メモリ103に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、A社REC100−1が具備する各種機能を制御する。例えば、制御部102は、A社MS301との間の共用RE20を介する通信を制御するためのプログラムに従ってソフトウェア処理を実行する。これにより、制御部102は、A社交換機50−1からA社MS301へ伝送されるユーザデータと、A社MS301からA社交換機50−1へ伝送されるユーザデータとを処理する。メモリ103は、制御部102における制御等に用いられる各種情報(プログラム等)を記憶する。
【0024】
有線通信部104は、通信回線を介してA社交換機50−1に接続される。有線通信部104は、A社交換機50−1との間で、ユーザデータの送信及び受信を行う。有線通信部106は、通信回線を介して共用RE200−1乃至200−3に接続される。
【0025】
有線通信部106は、制御部102からのユーザデータを、通信回線を介して、共用RE200−1乃至200−3へ送信する。また、有線通信部106は、共用RE200−1乃至200−3からのユーザデータを、通信回線を介して受信し、制御部102へ出力する。
【0026】
(3)共用REの構成
図3に示す共用RE200−1は、中継手段としての制御部202−1及び202−2と、メモリ203と、無線通信手段としての信号処理部204、無線通信部206及びアンテナ208とを備える。なお、共用RE200−2及び200−3も同様の構成である。
【0027】
制御部202−1は、通信回線を介して、A社REC100−1に接続される。制御部202−1は、例えば、CPUである。制御部202−1は、メモリ203に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、共用RE200−1が具備する各種機能を制御する。例えば、制御部202−1は、A社REC100−1とA社MS301との間の通信の中継を行うためのプログラムに従ってソフトウェア処理を実行する。これにより、制御部202−1は、A社REC100−1からのユーザデータを信号処理部204へ出力する。また、制御部202−1は、信号処理部204からのユーザデータをA社REC100−1へ出力する。
【0028】
制御部202−2は、通信回線を介して、B社REC100−2に接続される。制御部202−2は、例えば、CPUである。制御部202−2は、メモリ203に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、共用RE200−1が具備する各種機能を制御する。例えば、制御部202−2は、B社REC100−2とB社MS302との間の通信の中継を行うためのプログラムに従ってソフトウェア処理を実行する。これにより、制御部202−2は、B社REC100−2からのユーザデータを信号処理部204へ出力する。また、制御部202−2は、信号処理部204からのユーザデータをB社REC100−2へ出力する。メモリ203は、制御部202−1及び202−2における制御等に用いられる各種情報(プログラム等)を記憶する。
【0029】
信号処理部204は、制御部202−1からのユーザデータ(A社MS301−1宛のユーザデータ)と、制御部202−2からのユーザデータ(B社MS302−1宛のユーザデータ)とを、無線通信部206へ出力する。また、信号処理部204は、無線通信部206からのA社REC100−1宛のユーザデータを制御部202−1へ出力し、B社REC100−2宛のユーザデータを制御部202−2へ出力する。
【0030】
無線通信部206は、入力されたユーザデータを符号化し、更に変調することで、無線周波数帯の信号に変換する。更に、無線通信部206は、無線周波数帯の信号を、アンテナ208を介してA社MS301−1及びB社MS302−1へ送信する。また、無線通信部206は、アンテナ208を介してA社MS301−1及びB社MS302−1からの無線周波数帯の信号を受信する。更に、無線通信部206は、無線周波数帯の信号を復調し、復号することで、A社REC100−1宛のユーザデータと、B社REC100−2宛のユーザデータとを取得し、信号処理部204へ出力する。
【0031】
(4)無線基地局システムの動作
まず、RECからMSへのユーザデータの送信時の動作を説明する。図4に示すように、A社REC100−1は、A社MS301−1宛のユーザデータを送信する。共用RE200−1は、A社MS301−1宛のユーザデータを受信する(ステップS101)。
【0032】
具体的には、A社REC100−1内の制御部102は、A社交換機50−1からのA社MS301−1宛のユーザデータを、有線通信部104を介して受信する。更に、制御部102は、A社MS301−1宛のユーザデータを、有線通信部106へ出力する。有線通信部106は、A社MS301−1宛のユーザデータを共用RE200−1へ送信する。共用RE200−1内の制御部202−1は、A社MS301−1宛のユーザデータを受信する。
【0033】
B社REC100−2は、B社MS302−1宛のユーザデータを送信する。共用RE200−1は、B社MS302−1宛のユーザデータを受信する(ステップS102)。
【0034】
具体的には、B社REC100−2内の制御部102は、B社交換機50−2からのB社MS302−1宛のユーザデータを、有線通信部104を介して受信する。更に、制御部102は、B社MS302−1宛のユーザデータを、有線通信部106へ出力する。有線通信部106は、B社MS302−1宛のユーザデータを共用RE200−1へ送信する。共用RE200−1内の制御部202−1は、B社MS302−1宛のユーザデータを受信する。
【0035】
次に、共用RE200−1は、A社MS301−1宛のユーザデータとB社MS302−1宛のユーザデータとを混合する(ステップS103)。具体的には、共用RE200−1内の制御部202−1は、A社MS301−1宛のユーザデータとB社MS302−1宛のユーザデータとを信号処理部204へ出力する。信号処理部204は、A社MS301−1宛のユーザデータとB社MS302−1宛のユーザデータとをまとめて1つのデータ(混合ユーザデータ)を構成する。例えば、混合ユーザデータのヘッダには、混合ユーザデータ内におけるA社MS301−1宛のユーザデータの位置とB社MS302−1宛のユーザデータの位置とが判別可能な情報(位置識別情報)が含まれている。
【0036】
次に、共用RE200−1は、混合したユーザデータに対応する無線周波数帯の信号を送信する。A社MS301−1及びB社MS302−1は、それぞれ無線周波数帯の信号を受信する(ステップS104)。
【0037】
具体的には、共用RE200−1内の信号処理部204は、混合ユーザデータを無線通信部206へ出力する。無線通信部206は、入力された混合ユーザデータを符号化し、更に変調することで、A社MS301−1及びB社MS302−1の双方が受信可能な無線リソースである無線周波数帯の信号に変換する。更に、無線通信部206は、無線周波数帯の信号を、アンテナ208を介して送信する。A社MS301−1は、無線周波数帯の信号を受信する。次に、A社MS301−1は、無線周波数帯の信号を復調し、更に復号することで、混合ユーザデータを取得する。更に、A社MS301−1は、混合ユーザデータからA社MS301−1宛のユーザデータを抽出する。例えば、A社MS301−1は、混合ユーザデータのヘッダに含まれる位置識別情報に基づいて、A社MS301−1宛のユーザデータを抽出することができる。同様に、B社MS302−1は、無線周波数帯の信号を受信する。次に、B社MS302−1は、無線周波数帯の信号を復調し、更に復号することで、混合ユーザデータを取得する。更に、B社MS302−1は、混合ユーザデータからB社MS302−1宛のユーザデータを抽出する。
【0038】
次に、MSからRECへのユーザデータの送信時の動作を説明する。図5に示すように、A社MS301−1は、ユーザデータ(A社REC100−1宛のユーザデータ)に対応する無線周波数帯の信号を送信する。共用RE200−1は、A社MS301−1からの無線周波数帯の信号を受信する(ステップS201)。
【0039】
具体的には、A社MS301−1は、A社REC100−1宛のユーザデータを符号化し、更に変調することで、無線周波数帯の信号に変換する。無線周波数帯は、A社MS301−1に予め割り当てられた無線リソースである。A社MS301−1と共用RE200−1は、A社MS301−1に予め割り当てられた無線周波数帯を認識している。更に、A社MS301−1は、無線周波数帯の信号を送信する。共用RE200−1内の無線通信部206は、アンテナ208を介して、A社MS301−1からの無線周波数帯の信号を受信する。次に、無線通信部206は、無線周波数帯の信号を復調し、更に復号することで、A社REC100−1宛のユーザデータを取得する。更に、無線通信部206は、A社REC100−1宛のユーザデータを信号処理部204へ出力する。
【0040】
次に、共用RE200−1は、受信した無線周波数帯の信号の周波数帯(受信無線周波数帯)に基づいて、ユーザデータの送信先をA社REC100−1に決定する(ステップS202)。具体的には、共用RE200−1内の信号処理部204は、無線通信部206の受信周波数帯を監視し、その受信周波数帯に基づいて、ユーザデータの送信先をA社REC100−1であると判別する。
【0041】
次に、共用RE200−1は、A社REC100−1宛のユーザデータをA社REC100−1へ送信する。A社REC100−1は、A社REC100−1宛のユーザデータを受信する(ステップS203)。具体的には、共用RE200−1内の信号処理部204は、A社REC100−1宛のユーザデータを、A社REC100−1を接続する制御部202−1へ出力する。制御部202−1は、A社REC100−1宛のユーザデータをA社REC100−1へ送信する。A社REC100−1内の有線通信部106は、受信したA社REC100−1宛のユーザデータを制御部102へ出力する。
【0042】
同様に、B社MS302−1からB社REC100−2へのユーザデータの送信も行われる。すなわち、B社MS302−1は、ユーザデータ(B社REC100−2宛のユーザデータ)に対応する無線周波数帯の信号を送信する。共用RE200−1は、B社MS302−1からの無線周波数帯の信号を受信する(ステップS204)。
【0043】
具体的には、B社MS302−1は、B社REC100−2宛のユーザデータを符号化し、更に変調することで、無線周波数帯の信号に変換する。無線周波数帯は、B社MS302−1に予め割り当てられた無線リソースである。B社MS302−1と共用RE200−1は、B社MS302−1に予め割り当てられた無線周波数帯を認識している。更に、B社MS301−2は、無線周波数帯の信号を送信する。共用RE200−1内の無線通信部206は、アンテナ208を介して、B社MS302−1からの無線周波数帯の信号を受信する。次に、無線通信部206は、無線周波数帯の信号を復調し、更に復号することで、B社REC100−2宛のユーザデータを取得する。更に、無線通信部206は、B社REC100−2宛のユーザデータを信号処理部204へ出力する。
【0044】
次に、共用RE200−1は、受信した無線周波数帯の信号の周波数帯(受信無線周波数帯)に基づいて、ユーザデータの送信先をB社REC100−2に決定する(ステップS205)。具体的には、共用RE200−1内の信号処理部204は、無線通信部206の受信周波数帯を監視し、その受信周波数帯に基づいて、ユーザデータの送信先をB社REC100−2であると判別する。なお、A社MS301−1とB社MS302−1からの無線周波数帯の信号が同時に受信された場合には、共用RE200−1内の信号処理部204は、認識しているA社MS301−1に割り当てられた無線周波数帯(第1無線周波数帯)と、A社MS301−1に割り当てられた無線周波数帯(第2無線周波数帯)とに基づいて、無線通信部206が受信した信号の無線周波数帯が第1無線周波数帯と第2無線周波数帯であることを認識する。更に、信号処理部204は、ユーザデータを、ヘッダの宛先情報等に基づいて、第1無線周波数帯の信号から得られるユーザデータと、第2無線周波数帯の信号から得られるユーザデータとに分離し、第1無線周波数帯の信号から得られるユーザデータの送信先をA社REC100−1に決定し、第2無線周波数帯の信号から得られるユーザデータの送信先をB社REC100−2に決定する。
【0045】
次に、共用RE200−1は、B社REC100−2宛のユーザデータをB社REC100−2へ送信する。B社REC100−2は、B社REC100−2宛のユーザデータを受信する(ステップS206)。具体的には、共用RE200−1内の信号処理部204は、B社REC100−2宛のユーザデータを、B社REC100−2を接続する制御部202−2へ出力する。制御部202−2は、B社REC100−2宛のユーザデータをB社REC100−2へ送信する。B社REC100−2内の有線通信部106は、受信したB社REC100−2宛のユーザデータを制御部102へ出力する。
【0046】
(5)作用・効果
図6は、従来の移動通信システムの構成を示す図である。図6に示す従来の移動通信システム2は、通信事業者A(A社)に加入する移動端末(A社MS)と、通信事業者B(B社)に加入する移動端末(B社MS)とに対して、移動通信サービスを提供する。
【0047】
移動通信システム2は、通信事業者Aによって使用される交換機(A社交換機)250−1と、通信事業者Bによって使用される交換機(B社交換機)250−2と、通信事業者Aによって使用されるA社REC200−1と、通信事業者Bによって使用されるB社REC100−2と、通信事業者Aによって使用されるA社RE211−1乃至211−3と、通信事業者Bによって使用されるB社RE212−1乃至212−3とを備える。すなわち、REC及びREからなる無線基地局システムは、通信事業者A及び通信事業者B毎に備えられる。
【0048】
一方、図1に示す本実施形態の移動通信システム1は、RECは、通信事業者A及び通信事業者B毎に備えられるが、REは、通信事業者A及び通信事業者Bによって共用される。また、REは、A社MSとA社RECとの間で伝送されるユーザデータと、B社MSとB社RECとの間で伝送されるユーザデータとを区別することができる。このため、REが共用されても、RECとMSとの間の通信は可能である。従って、REが共用されることにより、各通信事業者は、同一のエリアに重複してREを設置する必要がなく、簡易に通信エリアを拡大することができる。
【0049】
(6)その他の実施形態
上述した実施形態では、共用RE200−1内の信号処理部204は、無線通信部206の受信周波数帯を監視し、その受信周波数帯に基づいて、ユーザデータの送信先がA社REC100−1であるか、B社REC100−2であるかを判別した。しかし、他の手法により、判別してもよい。例えば、A社MS201−1とB社MS202−1による送信タイミングが予め定められており、更に、これらの送信タイミングが異なる場合、信号処理部204は、無線通信部206による受信タイミングに基づいて、ユーザデータの送信先がA社REC100−1であるか、B社REC100−2であるかを判別することができる。
【0050】
上述した実施形態では、REは、通信事業者A及び通信事業者Bによって共用されたが、3つ以上の通信事業者によって共用されてもよい。この場合、交換機及びRECは、通信事業者毎に設けられ、REは、通信事業者によって共用される。また、RE(共用RE)は、通信事業者毎の制御部を備える。
【0051】
上述した実施形態では、無線リソースは、周波数帯域であったが、CDMA(符号分割多元接続)における符号、あるいは、時間帯であるタイムスロットでもよい。
【0052】
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0053】
(付記1)
移動端末との間で無線通信を行う無線基地局システムであって、
複数の通信事業者によって共用され、加入先の通信事業者が異なる複数の移動端末との間で無線信号を送受信する無線部と、
前記複数の通信事業者毎に設けられ、対応する前記通信事業者に加入する前記移動端末との間の前記無線部を介する通信を制御する複数の無線制御部と
を備えることを特徴とする無線基地局システム。
【0054】
(付記2)
前記無線部は、
前記移動端末からの無線信号を受信するとともに、前記移動端末へ無線信号を送信する無線通信手段と、
前記複数の通信事業者毎に設けられ、前記無線制御部と1対1に接続されるとともに、前記無線通信手段に接続され、前記無線制御部と前記無線通信手段との間の通信の中継を行う中継手段と
を備えることを特徴とする付記1に記載の無線基地局システム。
【0055】
(付記3)
前記無線通信手段は、前記中継手段のそれぞれからのデータを混合し、合成後のデータに対応する無線信号を送信するとともに、前記移動端末からの無線信号に対応するデータを、前記移動端末が加入する通信事業者に対応する前記中継手段毎に分離し、分離後のデータを、前記移動端末が加入する通信事業者に対応する前記中継手段へ出力することを特徴とする付記2に記載の無線基地局システム。
【0056】
(付記4)
前記無線通信手段と前記移動端末との間の無線通信は、前記複数の通信事業者毎に異なる無線リソースが用いられ、
前記無線通信手段は、前記移動端末からの無線信号の伝送に用いられる無線リソースに基づいて、前記分離後のデータの出力先の前記中継手段を決定する付記3に記載の無線基地局システム。
【0057】
(付記5)
前記無線リソースは、周波数帯域であることを特徴とする付記4に記載の無線基地局システム。
【0058】
(付記6)
前記無線リソースは、符号分割多元接続における符号であることを特徴とする付記4に記載の無線基地局システム。
【0059】
(付記7)
前記無線リソースは、タイムスロットであることを特徴とする付記4に記載の無線基地局システム。
【0060】
(付記8)
複数の通信事業者によって共用される無線部と、前記複数の通信事業者毎に設けられる複数の無線制御部とを備え、移動端末との間で無線通信を行う無線基地局システムにおける通信制御方法であって、
前記無線部が、加入先の通信事業者が異なる複数の移動端末との間で無線信号を送受信するステップと、
前記無線制御部が、対応する前記通信事業者に加入する前記移動端末との間の前記無線部を介する通信を制御するステップと
を備えることを特徴とする通信制御方法。
【0061】
その他、本発明は、上記実施形態の説明及び図面によって限定されるものではなく、上記実施形態及び図面に適宜変更等を加えることは可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 移動通信システム
50−1 A社交換機
50−2 B社交換機
100−1 A社REC
100−2 B社REC
102 制御部
103 メモリ
104、106 有線通信部
200−1、200−2、200−3 共用RE
202−1、202−2 制御部
204 信号処理部
206 無線通信部
208 アンテナ
301−1、301−2、301−3 A社MS
302−1、302−2、302−3 B社MS

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動端末との間で無線通信を行う無線基地局システムであって、
複数の通信事業者によって共用され、加入先の通信事業者が異なる複数の移動端末との間で無線信号を送受信する無線部と、
前記複数の通信事業者毎に設けられ、対応する前記通信事業者に加入する前記移動端末との間の前記無線部を介する通信を制御する複数の無線制御部と
を備えることを特徴とする無線基地局システム。
【請求項2】
前記無線部は、
前記移動端末からの無線信号を受信するとともに、前記移動端末へ無線信号を送信する無線通信手段と、
前記複数の通信事業者毎に設けられ、前記無線制御部と1対1に接続されるとともに、前記無線通信手段に接続され、前記無線制御部と前記無線通信手段との間の通信の中継を行う中継手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の無線基地局システム。
【請求項3】
前記無線通信手段は、前記中継手段のそれぞれからのデータを混合し、合成後のデータに対応する無線信号を送信するとともに、前記移動端末からの無線信号に対応するデータを、前記移動端末が加入する通信事業者に対応する前記中継手段毎に分離し、分離後のデータを、前記移動端末が加入する通信事業者に対応する前記中継手段へ出力することを特徴とする請求項2に記載の無線基地局システム。
【請求項4】
前記無線通信手段と前記移動端末との間の無線通信は、前記複数の通信事業者毎に異なる無線リソースが用いられ、
前記無線通信手段は、前記移動端末からの無線信号の伝送に用いられる無線リソースに基づいて、前記分離後のデータの出力先の前記中継手段を決定する請求項3に記載の無線基地局システム。
【請求項5】
前記無線リソースは、周波数帯域であることを特徴とする請求項4に記載の無線基地局システム。
【請求項6】
前記無線リソースは、符号分割多元接続における符号であることを特徴とする請求項4に記載の無線基地局システム。
【請求項7】
前記無線リソースは、タイムスロットであることを特徴とする請求項4に記載の無線基地局システム。
【請求項8】
複数の通信事業者によって共用される無線部と、前記複数の通信事業者毎に設けられる複数の無線制御部とを備え、移動端末との間で無線通信を行う無線基地局システムにおける通信制御方法であって、
前記無線部が、加入先の通信事業者が異なる複数の移動端末との間で無線信号を送受信するステップと、
前記無線制御部が、対応する前記通信事業者に加入する前記移動端末との間の前記無線部を介する通信を制御するステップと
を備えることを特徴とする通信制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate