無線基地局
【課題】
基地局の通信能力によらず、通信アプリケーションのサービス品質を低下させずにハンドオフを実行できる通信システムを提供する。
【解決手段】
本発明に係る無線基地局100は、無線通信端末300が自局から無線基地局200へハンドオフする際に、無線基地局200に対して無線通信端末300が実行中のアプリケーションの通信レベルを通知し、無線基地局200は、この通信レベルに基づいて無線通信端末300からの上り通信速度を制御するための情報を無線通信端末300に送信し、無線通信端末300は、無線基地局200から通知された情報に基づき上り通信速度を制御する。
基地局の通信能力によらず、通信アプリケーションのサービス品質を低下させずにハンドオフを実行できる通信システムを提供する。
【解決手段】
本発明に係る無線基地局100は、無線通信端末300が自局から無線基地局200へハンドオフする際に、無線基地局200に対して無線通信端末300が実行中のアプリケーションの通信レベルを通知し、無線基地局200は、この通信レベルに基づいて無線通信端末300からの上り通信速度を制御するための情報を無線通信端末300に送信し、無線通信端末300は、無線基地局200から通知された情報に基づき上り通信速度を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信能力の異なる無線基地局が混在する無線通信システムにおいて用いられる無線通信基地局、無線通信端末および無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
CDMA2000 1xEV-DO(以下、1xEV-DOという)システムにおいて、携帯電話等の無線通信端末のデータ通信速度は、基地局から所定のタイミング毎に送信される通信速度の上限値の上げ下げを指示する情報「RAbit(Reverse Activity Bit)」と、無線通信端末と基地局とのセッション確立時に決定される閾値とに基づいて制御される。
【0003】
図11は、1xEV-DOシステムで使用されるデータ通信速度変更試験テーブルである。
(非特許文献参照) 図11に示すように、1xEV-DOにおいて、データ通信速度の上限値は、9.6kbps、19.2kbps、38.4kbps、76.8kbps、153.6kbpsの5段階に分かれており、無線通信端末が無線基地局と通信を開始すると、まず一番遅い通信速度(9.6bps)で通信を開始する。
その後、基地局から与えられるRAbitを無線通信端末が受信して通信速度を調整する。
【0004】
RAbitとは、無線通信端末が現在接続している基地局、及びハンドオフ対象とする周辺基地局の混雑具合によって変動するビット値である。
また、基地局の混雑とは、その基地局に多くの無線通信端末が集中して接続した場合や、通信回線に輻輳が生じた場合などである。
【0005】
基地局において通信が混雑していない場合、即ち、通信速度を上げることが可能な場合は、RAbitは「0」にセットされる。
一方、基地局において通信が混雑していると判断された場合、即ち、通信速度を上げることが好ましくない場合は、RAbitは「1」にセットされる。
【0006】
図12は、1xEV-DO対応の無線通信端末が行うデータ通信速度の変更処理を示すフローチャートである。
【0007】
1xEV-DO対応無線通信端末は、まず、一番低い通信速度(9.6bps)で通信を開始する(ステップ9001)。
【0008】
基地局からRAbitを受信すると、受信したRAbitが「1」であるか否かを判断する。
(ステップ9002)。
RAbitが「0」であると判断した場合は(ステップ9002でYES)、現在の通信速度の上限値を一段階上げる方向に動作する。
この場合、通信速度は、絶対的に上げるのではなく確率的に上げるよう構成されている。
【0009】
まず、乱数x(0<x<1)を発生する(ステップ9003)。
発生した乱数xが通信速度を変更させるための閾値αよりも小さいか否かを判別する(ステップ9004)。
ここで、閾値αは、図7に示すように、現在の通信速度によって異なり、例えば、9.6kbpsから19.2bpsに一段階上げようとするときは、閾値αは「48」を「255」で除算した値、すなわち「48/255」となる。
この例では、乱数xが「48/255」よりも大きいか小さいかを判断する。
【0010】
乱数xが閾値αよりも小さいと判断した場合は(ステップ9004で)、現在の通信速度の上限値を一段階上げる(ステップ9005)。
例えば、現在の通信速度の上限値が9.6kbpsであれば、一段階上の19.2bpsに変更する。
一方、乱数xが閾値α以上であると判断した場合は、現在の通信速度の上限値を維持する(ステップ9006)。
例えば、現在の通信速度が9.6kbpsであれば9.6kbpsを維持する。
【0011】
一方、Rabitが「1」であると判断した場合は(ステップ9007)、現在の通信速度の上限値を一段下げる方向に動作する。
すなわち、まず、乱数x(0<x<1)を発生し(ステップ9007)、乱数xと閾値αとを比較する(ステップ9008)。
乱数xが閾値αよりも小さいと判断した場合は(ステップ9008でYES)、現在の通信速度の上限値を一段下げる(ステップ9009)。
例えば、現在の通信速度が19.2kbpsであれば、一段下の9.6kbpsに変更する。
一方、乱数xが閾値α以上であると判断した場合は(ステップ9008でNO)、現在の通信速度の上限値を維持する(ステップ9006)。
例えば、現在の通信速度が19.2kbpsであれば19.2kbpsを維持する。
【0012】
このように、1xEV-DOシステムにおいて、無線通信端末は、基地局から所定のタイミング毎に送信されるRAbitと無線通信端末と基地局とのセッション確立時に決定される閾値とに基づいて、少なくとも上り通信における通信速度の上限値を、一段階上げるか下げるか、維持するかを制御する。
【0013】
ところで、現在、上記1xEV-DO(以下、1xEV-DO rev.0という。
)の通信方式を拡張したCDMA2000 1xEV-DO rev.A(以下、1xEV-DO rev.Aという)の検討が進んでいる。
この1xEV-DO rev.Aに新たに追加される機能に、QoS(Quality of Service)制御がある。
QoS制御は、無線通信端末上で実行されるアプリケーション毎のパケットに優先度を儲け、優先度の高いパケットから転送するという制御である。
すなわち、前述のような確率によって段階的な通信速度の制御を行うのではなく、無線通信端末上で実行されるアプリケーションが必要とする通信速度を通信開始時から確保することができ、また、通信中においてもアプリケーションが必要とする通信速度に応じて比較的自由に通信速度を変更する事ができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】“cdma2000 High Rate Packet Data Air Interface 3GPP2 C.S0024 Version 4.0 section8.5.6.1.5.2 Rate Control”、3GPP2、2002年10月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
1xEV-DO rev.A環境下で、無線通信端末上である程度の通信速度を必要とするアプリケーションを実行している最中に、当該無線通信端末が1xEV-DO rev.0基地局にハンドオフした場合、まずは9.6kbpsから通信を開始し、上述の確率による通信速度上昇試験を通らなければ、必要とする通信速度を得ることができない。
しかしながら、上記従来の技術では、各通信速度の上限値毎に閾値αが一つずつしか与えてられていないため、遅延を許さないある程度の速度が必要とされる通信でも低速で実行可能な通信でも、全ての通信の通信速度の上げ下げが同確率で制御されてしまう。
【0016】
例えば、IP電話を実行する場合について述べる。
このIP電話は音声データをIPパケット(VoIP)化し、通常のIP網を経由して相手に音声を届けるものである。
専用の音声網(回線交換網)を使用しないため、経路上で遅延が発生しやすいが、音声通話であるため一定時間以上の遅延は許されない仕様になっている。
つまり、一般的に70〜80kbps程度の通信速度が要求されるが、1xEV-DO rev.0では必ず9.6kbpsから始まり、要求する速度を満たすまでには上述の通信速度上昇試験が少なくとも3回必要となる。
実際には、上述の通信速度上昇試験は確率に支配され、通信速度が高くなるに従い上昇できる確率も低くなるため、相当回数の試験をパスしなけば必要な速度を得ることができず、「遅延」が発生する。
【0017】
また、IP電話では、話していない側のデータを送信しない、つまり、無音時間はデータを転送しないようにすることで帯域の有効利用を図る「無音圧縮」という方法を使用しており、ユーザが相手の話を聞いている間のデータ送信を行わず、話し始める時にデータの送信を開始する。
すなわち、1xEV-DO rev.0環境下においてIP電話を実行する場合、通話中において話し始める時の上り通信速度は必ず9.6kbpsから始まり、上述の通信速度上昇試験では通信速度が必要十分な速度に上がるまでに時間を要するため、話し始め部分で常に遅延が発生するようになる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の無線基地局は、無線通信端末がアプリケーションを実行する際に、該アプリケーションが必要とする上り通信速度を受信する受信手段と、前記無線通信端末が自局から他の無線基地局へハンドオフする際に、該無線通信端末が実行中のアプリケーションで必要とされる前記上り通信速度を、前記他の無線基地局に通知する通知手段を具備する事を特徴とする。
【0019】
また、請求項2に記載の発明の無線基地局は、段階的に設定された通信速度の上限値を変更するための閾値を、無線通信端末が実行中のアプリケーションで必要とされる上り通信速度に対応して複数記憶する記憶手段と、無線通信端末と通信中の他の基地局より、該無線通信端末が実行中のアプリケーションで必要とされる前記上り通信速度に関する通知を受信する受信手段と、前記無線通信端末が前記他の基地局より自局にハンドオフした際に、前記受信手段で受信した前記前記上り通信速度に対応する前記閾値を前記記憶手段より取得し、前記無線通信端末に通知する通知手段とを具備する事を特徴とする。
【0020】
また、請求項3に記載の発明の無線通信端末は、アプリケーションを実行する際に、該アプリケーションが必要とする上り通信速度を通知する通知手段と、通信中の無線基地局から他の無線基地局へハンドオフする場合に、前記通知した上り通信速度に基づいて決められた、段階的に設定された通信速度の上限値を変更するための閾値を、無線基地局より受信する受信手段と、前記受信手段により受信した前記閾値に基づき、アプリケーションの上り通信速度を制御する制御手段とを具備する事を特徴とする。
【0021】
また、請求項4に記載の発明の無線通信システムは、アプリケーションに応じて所望の上り通信速度を割り当てることが可能な第1の無線基地局と、通信速度の上限値を段階的に変更することにより前記通信速度を制御する第2の無線基地局と、前記第1の無線基地局、および前記第2の無線基地局と通信可能な無線通信端末とから成る無線通信システムであって、前記第1の無線基地局は、前記無線通信端末がアプリケーションを実行する際に、該アプリケーションが必要とする上り通信速度を受信する受信手段と、前記無線通信端末が自局から他の無線基地局へハンドオフする際に、該無線通信端末が実行中のアプリケーションで必要とされる前記上り通信速度を、前記他の無線基地局に通知する通知手段を有し、前記第2の無線基地局は、段階的に設定された通信速度の上限値を変更するための閾値を、前記無線通信端末が実行中のアプリケーションで必要とされる上り通信速度に対応して複数記憶する記憶手段と、前記第1の無線基地局より、前記無線通信端末が実行中のアプリケーションで必要とされる前記上り通信速度に関する通知を受信する受信手段と、前記無線通信端末が前記第1の無線基地局より自局にハンドオフした際に、前記受信手段で受信した前記前記上り通信速度に対応する前記閾値を前記記憶手段より取得し、前記無線通信端末に通知する通知手段を有し、前記無線通信端末は、前記第1の無線基地局に対し、アプリケーションを実行する際に該アプリケーションが必要とする上り通信速度を通知する通知手段と、前記第1の無線基地局から前記第2の無線基地局にハンドオフする場合に、前記通知した上り通信速度に基づいて決められた、段階的に設定された通信速度の上限値を変更するための閾値を、前記第1の無線基地局より受信する受信手段と、前記受信手段により受信した前記閾値に基づき、アプリケーションの上り通信速度を制御する制御手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、所望の上り通信速度を割り当てることが可能な無線基地局から通信速度の上限値を段階的に変更することにより通信速度を制御する無線基地局へのハンドオフを、実行中のアプリケーションのサービス品質を低下させることなく実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施携帯に係る無線通信システムの全体概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る無線基地局の機能ブロック構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る無線基地局のシステム制御部およびシステム記憶部の詳細機能ブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る無線基地局のシステム制御部およびシステム記憶部の詳細機能ブロック図である。
【図5】本発明の実施形態に係る無線通信端末の機能ブロック図である。
【図6】本発明の実施形態に係る無線通信端末のシステム制御部およびシステム記憶部の詳細機能ブロック図である。
【図7】本発明の実施形態に係る通信速度変更試験用テーブルの一例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る無線基地局の動作フローを示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る無線基地局の動作フローを示す図である。
【図10】本発明の実施の携帯に係る無線通信端末の動作フローを示す図である。
【図11】従来の通信速度変更試験テーブルを示す図である。
【図12】従来の無線通信端末における通信速度変更の動作フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムの全体概略構成図である。
【0026】
図1に示す無線通信システム10は、複数の無線基地局(基地局100、200)と、無線通信端末300から構成される。
なお、無線通信端末10を構成する無線基地局及び無線端末の数は、図1に示した数に限定されるものではない。
【0027】
移動通信システム10は、CDMA2000方式に従った無線通信システムであり、データ通信の方式として、通信能力の異なる複数の方式が導入されている。
【0028】
具体的には、上り方向:153.6kbps、下り方向:約2.4Mbpsのデータレートを実現する1xEV-DO rev.0(以下、rev.0という)と、上り方向:約1.8Mbps、下り方向:約3.1Mbpsのデータレートを実現する1xEV-DO rev.A(以下、rev.Aという)とが導入されている。
【0029】
基地局100は、rev.0及びrev.Aに対応した基地局、基地局200は、rev.0にのみ対応の基地局であり、それぞれ、セルC100、C200を形成する。
【0030】
無線通信端末300は、rev.0及びrev.Aに対応した端末であり、無線基地局100及び200と通信を実行する。
【0031】
図2は、基地局100のブロック構成図である。
【0032】
図2に示すように、基地局100は、RF部110、システム制御部120及びシステム記憶部130を備える。
【0033】
RF部110は、無線通信端末300との間において、CDMAに従った無線信号を送受信する。
又、RF部110は、当該無線信号とベースバンド信号との変換を実行し、ベースバンド信号をシステム制御部120との間で送受信する。
【0034】
システム制御部120は、基地局100が具備する各種機能を制御する。
本実施の形態に関するシステム制御部120のさらに詳細な機能ブロック図については後述する。
【0035】
システム記憶部130は、基地局100における制御などにおいて用いられる各種情報を記憶する。
本実施の形態に関するシステム記憶部130のさらに詳細な機能ブロックについては後述する。
【0036】
なお、rev.0のみに対応した無線基地局200も、図2に示した無線基地局100と同様の機能ブロック構成を有する。
【0037】
図3は、無線通信基地局100におけるシステム制御部120、及びシステム記憶部130の詳細機能ブロック構成図である。
【0038】
図3に示すように、無線通信基地局100のシステム制御部120は、データ通信部121、ハンドオフ判定部122、ハンドオフ実行部123、通信レベル通知部124を具備して構成される。
【0039】
また、システム記憶部130は、周辺基地局Revision記憶部131、通信レベル記憶部132を具備して構成される。
【0040】
データ通信部121は、画像コンテンツや音楽コンテンツなどの通信に関する処理や、各種制御情報の送受信を実行する。
【0041】
図4は、無線通信基地局200におけるシステム制御部120’、及びシステム記憶部130’の詳細機能ブロック構成図である。
【0042】
なお、無線基地局100のシステム制御部120と構成を同じくする部分についての説明は省略する。
【0043】
図4に示すように、無線基地局200のシステム制御部120’は、データ通信部121、ハンドオフ判定部122、ハンドオフ実行部123、通信速度変更試験用テーブル通知部125、RAbit発生部126を具備して構成される。
【0044】
また、システム記憶部130’は、通信レベル記憶部132、通信速度変更試験用テーブル記憶部133を具備して構成される。
【0045】
ここで、通信速度変更試験用テーブル記憶部133に記憶される通信速度変更試験用テーブル150を図7に示す。
【0046】
図7において、通信速度変更試験用テーブル150は、各上り通信速度の上限値毎に複数の通信レベルを対応付け、この通信レベル毎に前述した確率試験の閾値を設けており、この点で、従来の通信速度変更試験テーブルとは異なる。
【0047】
なお、通信レベルとは、通信レベル設定部124において、アプリケーションに必要な通信速度に基づいて設定される値であり、本実施の形態では、通信速度の上限値毎に1〜4までの4段階の値が設定されている。
しかしながら、通信レベルの設定方法はこれに限るものではなく、各通信速度の上限値毎に3段階に設定する事もできるし、さらに、通信速度の上限値毎に異なる段階(例えば、9.6kbpsでは4段階、19.2kbpsでは3段階等)に設定しても良い。
もちろん、閾値αの値は、本実施の形態で用いられる値に限るものではない。
【0048】
通信速度変更試験テーブル150によれば、アプリケーションの通信レベルが「1」と判定され、かつ、RAbit=0である場合(すなわち、通信速度を上げることが可能な場合)、例えば、9.6kbpsにおける通信レベル「1」に対応する閾値αは「255/255」となり、必ずα≧x(0<x<1)(確率100%)となるため、通信速度の上限値は必ず次の段階である19.2kbpsに引き上げられる。
同様に、19.2kbps、38.4kbpsにおいても、通信レベルが「1」である場合の閾値αは「255/255」であるので、必ず次の段階に引き上げられる。
【0049】
すなわち、通信速度変更試験テーブル150によれば、通信レベルが「1」であると設定されたアプリケーションについては、3回の変更試験で確実に通信速度の上限値が76.8kbpsにまで引き上げられる。
【0050】
また、RAbit=1である場合(すなわち、通信速度を上げることが好ましくない場合)においても、アプリケーションの通信レベルが「1」である場合、例えば、76.8kbpsにおける通信レベル「1」に対応する閾値αは「0/255」となり、必ずα<x(0<x<1)(確率100%)となるため、通信速度を76.8kbpsに維持できる。
【0051】
図5は、無線通信端末300のブロック構成図である。
【0052】
図5に示すように、無線通信端末300は、RF部310、システム制御部320、システム記憶部330、表示部340、キー入力部350を備える。
【0053】
RF部310、システム制御部320、システム記憶部330は、基地局100のRF部110、システム制御部120、システム記憶部130とそれぞれ同様の機能を提供する。
【0054】
表示部340は、RF部310及びシステム制御部320を介して受信した画像コンテンツなどを表示したり、操作内容(入力電話番号やアドレスなど)を表示したりする。
【0055】
キー入力部350は、テンキーやファンクションキーなどによって構成され、ユーザの操作内容を入力するために用いられるインタフェースである。
【0056】
図6は、システム制御部320、およびシステム記憶部330の詳細機能ブロック構成図である。
【0057】
図6に示すように、システム制御部320は、データ通信321、ハンドオフ判定部322、ハンドオフ実行部323、通信速度設定部324、乱数発生部325、乱数/テーブル比較部326を具備して構成される。
【0058】
また、システム記憶部330は、通信速度変更試験用テーブル記憶部331、通信レベル記憶部332を具備して構成される。
【0059】
データ通信部321は、データ通信を実行中の基地局とは通信能力の異なる基地局をハンドオフ先候補基地局とするRouteUpdateメッセージ(候補基地局通知)を、当該データ通信を実行しているハンドオフ元基地局に送信する。
【0060】
また、データ通信部321は、rev.0対応無線基地局より定期的に送信されるRAbitを受信する。
【0061】
ハンドオフ判定部323は、ハンドオフ元基地局と通信能力の異なる基地局がハンドオフ先候補基地局に含まれているか否かを判定する。
【0062】
通信速度設定部324は、実行するアプリケーションに応じた通信速度の設定を行う。
【0063】
乱数発生部325は、所定のタイミングで定期的に乱数x(0<x<1)を発生する。
【0064】
乱数/テーブル比較部326は、後に詳述するように、乱数発生部325で発生された乱数x、基地局より定期的に受信するRAbitに基づいて、通信速度変更試験用テーブル記憶部331に記憶される通信速度変更試験用テーブルを参照し、比較結果を通信速度設定部324に通知する。
【0065】
通信速度変更試験用テーブル記憶部331は、無線基地局より受信する通信速度変更試験用テーブル150の全部若しくは一部を記憶する。
【0066】
通信レベル記憶部322は、アプリケーションに応じた通信レベルを記憶する。
【0067】
図8は、無線基地局100の動作の詳細を示すフローチャートである。
【0068】
無線基地局100は、無線通信端末300と通信を開始すると、まず、現在実行中のアプリケーションに必要な通信速度に応じた通信レベルを無線端末300より受信し(ステップ801)、通信レベル記憶部132に記憶する。
【0069】
無線通信端末300より、基地局200を含むRouteUpdateメッセージ、具体的には無線基地局200のパイロット信号強度が所定の閾値β以上となったことを示すRouteUpdateメッセージを受信したか否かを判定する(ステップ802)。
無線基地局200を含むRouteUpdateメッセージを受信した場合(ステップ802でYES)、無線基地局200がrev.0のみに対応するか否かを判定する(ステップ803)。
【0070】
無線基地局200がrev.0でないと判定された場合は(ステップ803でNO)、通常のハンドオフ手続きを行う。
【0071】
基地局200がrev.0にのみ対応すると判定されると(ステップ803でYES)、基地局100は、続いて基地局200のパイロット信号強度が所定の閾値γ以上になったか否かを判定する(ステップ804)。
【0072】
当該RouteUpdateメッセージを受信した場合(ステップ804でYES)、通信レベル記憶部132に記憶されている通信レベルを基地局200に通知し(ステップ805)、無線通信端末300にConnectionCloseメッセージを送信し(ステップ806)、無線通信端末300との通信を終了する。
【0073】
図9は、無線基地局200の動作の詳細を示すフローチャートである。
【0074】
無線基地局200は、無線基地局100より、無線通信端末300との通信において実行中の通信アプリケーションの通信レベルを通知されると(ステップ901でYES)、通知された通信レベルに応じ、通信速度変更テーブル記憶部133を参照し、該通信レベルに対応する値を抽出して通信速度変更試験用テーブル150’を作成し(図7参照)、無線通信端末300がハンドオフされてきた際に、該通信速度変更試験用テーブル150’を無線通信端末300に送信する(ステップ902)。
【0075】
例えば、通信レベルが「1」と通知された場合、図5に示すように、通信速度変更試験用テーブル150において通信レベル「1」に対応する閾値αを抽出して、通信速度変更試験用テーブル150’とする。
【0076】
以後、この通信速度変更試験用テーブル150’に基づいて無線通信端末300との上り通信をコントロールする。
【0077】
図10は、無線通信端末300の動作の詳細を示すフローチャートである。
【0078】
無線通信端末300は、rev.A対応セルC100内でアプリケーションを起動すると(ステップ701)、無線基地局100に該アプリケーションの通信レベルを通知する(ステップ702)。
【0079】
基地局100から基地局200へのハンドオフが決定すると(ステップ703)、まず、基地局200がrev.0か否かを判定し(ステップ704)、rev.0であると判定されれば(ステップ704でYES)、基地局200からsession確立時に通信速度変更試験用テーブル150’を受信し(ステップ705)、該受信した通信速度変更試験用テーブル150’に基づいて、上りの通信速度を制御する(ステップ706)。
【符号の説明】
【0080】
10…無線通信システム、100,200…基地局、300…端末、110,310…RF部、120,320…システム制御部、130,330…システム記憶部、340…表示部、350…入力部、121,321…データ通信部、122,322…ハンドオフ判定部、123,133…ハンドオフ実行部、124…通信レベル通知部、125…テーブル通知部、126…RAbit発生部、324…通信速度設定部、325…乱数発生部、326…比較部、131…Revision記憶部、132,332…通信レベル記憶部、133,331…テーブル記憶部
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信能力の異なる無線基地局が混在する無線通信システムにおいて用いられる無線通信基地局、無線通信端末および無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
CDMA2000 1xEV-DO(以下、1xEV-DOという)システムにおいて、携帯電話等の無線通信端末のデータ通信速度は、基地局から所定のタイミング毎に送信される通信速度の上限値の上げ下げを指示する情報「RAbit(Reverse Activity Bit)」と、無線通信端末と基地局とのセッション確立時に決定される閾値とに基づいて制御される。
【0003】
図11は、1xEV-DOシステムで使用されるデータ通信速度変更試験テーブルである。
(非特許文献参照) 図11に示すように、1xEV-DOにおいて、データ通信速度の上限値は、9.6kbps、19.2kbps、38.4kbps、76.8kbps、153.6kbpsの5段階に分かれており、無線通信端末が無線基地局と通信を開始すると、まず一番遅い通信速度(9.6bps)で通信を開始する。
その後、基地局から与えられるRAbitを無線通信端末が受信して通信速度を調整する。
【0004】
RAbitとは、無線通信端末が現在接続している基地局、及びハンドオフ対象とする周辺基地局の混雑具合によって変動するビット値である。
また、基地局の混雑とは、その基地局に多くの無線通信端末が集中して接続した場合や、通信回線に輻輳が生じた場合などである。
【0005】
基地局において通信が混雑していない場合、即ち、通信速度を上げることが可能な場合は、RAbitは「0」にセットされる。
一方、基地局において通信が混雑していると判断された場合、即ち、通信速度を上げることが好ましくない場合は、RAbitは「1」にセットされる。
【0006】
図12は、1xEV-DO対応の無線通信端末が行うデータ通信速度の変更処理を示すフローチャートである。
【0007】
1xEV-DO対応無線通信端末は、まず、一番低い通信速度(9.6bps)で通信を開始する(ステップ9001)。
【0008】
基地局からRAbitを受信すると、受信したRAbitが「1」であるか否かを判断する。
(ステップ9002)。
RAbitが「0」であると判断した場合は(ステップ9002でYES)、現在の通信速度の上限値を一段階上げる方向に動作する。
この場合、通信速度は、絶対的に上げるのではなく確率的に上げるよう構成されている。
【0009】
まず、乱数x(0<x<1)を発生する(ステップ9003)。
発生した乱数xが通信速度を変更させるための閾値αよりも小さいか否かを判別する(ステップ9004)。
ここで、閾値αは、図7に示すように、現在の通信速度によって異なり、例えば、9.6kbpsから19.2bpsに一段階上げようとするときは、閾値αは「48」を「255」で除算した値、すなわち「48/255」となる。
この例では、乱数xが「48/255」よりも大きいか小さいかを判断する。
【0010】
乱数xが閾値αよりも小さいと判断した場合は(ステップ9004で)、現在の通信速度の上限値を一段階上げる(ステップ9005)。
例えば、現在の通信速度の上限値が9.6kbpsであれば、一段階上の19.2bpsに変更する。
一方、乱数xが閾値α以上であると判断した場合は、現在の通信速度の上限値を維持する(ステップ9006)。
例えば、現在の通信速度が9.6kbpsであれば9.6kbpsを維持する。
【0011】
一方、Rabitが「1」であると判断した場合は(ステップ9007)、現在の通信速度の上限値を一段下げる方向に動作する。
すなわち、まず、乱数x(0<x<1)を発生し(ステップ9007)、乱数xと閾値αとを比較する(ステップ9008)。
乱数xが閾値αよりも小さいと判断した場合は(ステップ9008でYES)、現在の通信速度の上限値を一段下げる(ステップ9009)。
例えば、現在の通信速度が19.2kbpsであれば、一段下の9.6kbpsに変更する。
一方、乱数xが閾値α以上であると判断した場合は(ステップ9008でNO)、現在の通信速度の上限値を維持する(ステップ9006)。
例えば、現在の通信速度が19.2kbpsであれば19.2kbpsを維持する。
【0012】
このように、1xEV-DOシステムにおいて、無線通信端末は、基地局から所定のタイミング毎に送信されるRAbitと無線通信端末と基地局とのセッション確立時に決定される閾値とに基づいて、少なくとも上り通信における通信速度の上限値を、一段階上げるか下げるか、維持するかを制御する。
【0013】
ところで、現在、上記1xEV-DO(以下、1xEV-DO rev.0という。
)の通信方式を拡張したCDMA2000 1xEV-DO rev.A(以下、1xEV-DO rev.Aという)の検討が進んでいる。
この1xEV-DO rev.Aに新たに追加される機能に、QoS(Quality of Service)制御がある。
QoS制御は、無線通信端末上で実行されるアプリケーション毎のパケットに優先度を儲け、優先度の高いパケットから転送するという制御である。
すなわち、前述のような確率によって段階的な通信速度の制御を行うのではなく、無線通信端末上で実行されるアプリケーションが必要とする通信速度を通信開始時から確保することができ、また、通信中においてもアプリケーションが必要とする通信速度に応じて比較的自由に通信速度を変更する事ができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】“cdma2000 High Rate Packet Data Air Interface 3GPP2 C.S0024 Version 4.0 section8.5.6.1.5.2 Rate Control”、3GPP2、2002年10月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
1xEV-DO rev.A環境下で、無線通信端末上である程度の通信速度を必要とするアプリケーションを実行している最中に、当該無線通信端末が1xEV-DO rev.0基地局にハンドオフした場合、まずは9.6kbpsから通信を開始し、上述の確率による通信速度上昇試験を通らなければ、必要とする通信速度を得ることができない。
しかしながら、上記従来の技術では、各通信速度の上限値毎に閾値αが一つずつしか与えてられていないため、遅延を許さないある程度の速度が必要とされる通信でも低速で実行可能な通信でも、全ての通信の通信速度の上げ下げが同確率で制御されてしまう。
【0016】
例えば、IP電話を実行する場合について述べる。
このIP電話は音声データをIPパケット(VoIP)化し、通常のIP網を経由して相手に音声を届けるものである。
専用の音声網(回線交換網)を使用しないため、経路上で遅延が発生しやすいが、音声通話であるため一定時間以上の遅延は許されない仕様になっている。
つまり、一般的に70〜80kbps程度の通信速度が要求されるが、1xEV-DO rev.0では必ず9.6kbpsから始まり、要求する速度を満たすまでには上述の通信速度上昇試験が少なくとも3回必要となる。
実際には、上述の通信速度上昇試験は確率に支配され、通信速度が高くなるに従い上昇できる確率も低くなるため、相当回数の試験をパスしなけば必要な速度を得ることができず、「遅延」が発生する。
【0017】
また、IP電話では、話していない側のデータを送信しない、つまり、無音時間はデータを転送しないようにすることで帯域の有効利用を図る「無音圧縮」という方法を使用しており、ユーザが相手の話を聞いている間のデータ送信を行わず、話し始める時にデータの送信を開始する。
すなわち、1xEV-DO rev.0環境下においてIP電話を実行する場合、通話中において話し始める時の上り通信速度は必ず9.6kbpsから始まり、上述の通信速度上昇試験では通信速度が必要十分な速度に上がるまでに時間を要するため、話し始め部分で常に遅延が発生するようになる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の無線基地局は、無線通信端末がアプリケーションを実行する際に、該アプリケーションが必要とする上り通信速度を受信する受信手段と、前記無線通信端末が自局から他の無線基地局へハンドオフする際に、該無線通信端末が実行中のアプリケーションで必要とされる前記上り通信速度を、前記他の無線基地局に通知する通知手段を具備する事を特徴とする。
【0019】
また、請求項2に記載の発明の無線基地局は、段階的に設定された通信速度の上限値を変更するための閾値を、無線通信端末が実行中のアプリケーションで必要とされる上り通信速度に対応して複数記憶する記憶手段と、無線通信端末と通信中の他の基地局より、該無線通信端末が実行中のアプリケーションで必要とされる前記上り通信速度に関する通知を受信する受信手段と、前記無線通信端末が前記他の基地局より自局にハンドオフした際に、前記受信手段で受信した前記前記上り通信速度に対応する前記閾値を前記記憶手段より取得し、前記無線通信端末に通知する通知手段とを具備する事を特徴とする。
【0020】
また、請求項3に記載の発明の無線通信端末は、アプリケーションを実行する際に、該アプリケーションが必要とする上り通信速度を通知する通知手段と、通信中の無線基地局から他の無線基地局へハンドオフする場合に、前記通知した上り通信速度に基づいて決められた、段階的に設定された通信速度の上限値を変更するための閾値を、無線基地局より受信する受信手段と、前記受信手段により受信した前記閾値に基づき、アプリケーションの上り通信速度を制御する制御手段とを具備する事を特徴とする。
【0021】
また、請求項4に記載の発明の無線通信システムは、アプリケーションに応じて所望の上り通信速度を割り当てることが可能な第1の無線基地局と、通信速度の上限値を段階的に変更することにより前記通信速度を制御する第2の無線基地局と、前記第1の無線基地局、および前記第2の無線基地局と通信可能な無線通信端末とから成る無線通信システムであって、前記第1の無線基地局は、前記無線通信端末がアプリケーションを実行する際に、該アプリケーションが必要とする上り通信速度を受信する受信手段と、前記無線通信端末が自局から他の無線基地局へハンドオフする際に、該無線通信端末が実行中のアプリケーションで必要とされる前記上り通信速度を、前記他の無線基地局に通知する通知手段を有し、前記第2の無線基地局は、段階的に設定された通信速度の上限値を変更するための閾値を、前記無線通信端末が実行中のアプリケーションで必要とされる上り通信速度に対応して複数記憶する記憶手段と、前記第1の無線基地局より、前記無線通信端末が実行中のアプリケーションで必要とされる前記上り通信速度に関する通知を受信する受信手段と、前記無線通信端末が前記第1の無線基地局より自局にハンドオフした際に、前記受信手段で受信した前記前記上り通信速度に対応する前記閾値を前記記憶手段より取得し、前記無線通信端末に通知する通知手段を有し、前記無線通信端末は、前記第1の無線基地局に対し、アプリケーションを実行する際に該アプリケーションが必要とする上り通信速度を通知する通知手段と、前記第1の無線基地局から前記第2の無線基地局にハンドオフする場合に、前記通知した上り通信速度に基づいて決められた、段階的に設定された通信速度の上限値を変更するための閾値を、前記第1の無線基地局より受信する受信手段と、前記受信手段により受信した前記閾値に基づき、アプリケーションの上り通信速度を制御する制御手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、所望の上り通信速度を割り当てることが可能な無線基地局から通信速度の上限値を段階的に変更することにより通信速度を制御する無線基地局へのハンドオフを、実行中のアプリケーションのサービス品質を低下させることなく実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施携帯に係る無線通信システムの全体概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る無線基地局の機能ブロック構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る無線基地局のシステム制御部およびシステム記憶部の詳細機能ブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る無線基地局のシステム制御部およびシステム記憶部の詳細機能ブロック図である。
【図5】本発明の実施形態に係る無線通信端末の機能ブロック図である。
【図6】本発明の実施形態に係る無線通信端末のシステム制御部およびシステム記憶部の詳細機能ブロック図である。
【図7】本発明の実施形態に係る通信速度変更試験用テーブルの一例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る無線基地局の動作フローを示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る無線基地局の動作フローを示す図である。
【図10】本発明の実施の携帯に係る無線通信端末の動作フローを示す図である。
【図11】従来の通信速度変更試験テーブルを示す図である。
【図12】従来の無線通信端末における通信速度変更の動作フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムの全体概略構成図である。
【0026】
図1に示す無線通信システム10は、複数の無線基地局(基地局100、200)と、無線通信端末300から構成される。
なお、無線通信端末10を構成する無線基地局及び無線端末の数は、図1に示した数に限定されるものではない。
【0027】
移動通信システム10は、CDMA2000方式に従った無線通信システムであり、データ通信の方式として、通信能力の異なる複数の方式が導入されている。
【0028】
具体的には、上り方向:153.6kbps、下り方向:約2.4Mbpsのデータレートを実現する1xEV-DO rev.0(以下、rev.0という)と、上り方向:約1.8Mbps、下り方向:約3.1Mbpsのデータレートを実現する1xEV-DO rev.A(以下、rev.Aという)とが導入されている。
【0029】
基地局100は、rev.0及びrev.Aに対応した基地局、基地局200は、rev.0にのみ対応の基地局であり、それぞれ、セルC100、C200を形成する。
【0030】
無線通信端末300は、rev.0及びrev.Aに対応した端末であり、無線基地局100及び200と通信を実行する。
【0031】
図2は、基地局100のブロック構成図である。
【0032】
図2に示すように、基地局100は、RF部110、システム制御部120及びシステム記憶部130を備える。
【0033】
RF部110は、無線通信端末300との間において、CDMAに従った無線信号を送受信する。
又、RF部110は、当該無線信号とベースバンド信号との変換を実行し、ベースバンド信号をシステム制御部120との間で送受信する。
【0034】
システム制御部120は、基地局100が具備する各種機能を制御する。
本実施の形態に関するシステム制御部120のさらに詳細な機能ブロック図については後述する。
【0035】
システム記憶部130は、基地局100における制御などにおいて用いられる各種情報を記憶する。
本実施の形態に関するシステム記憶部130のさらに詳細な機能ブロックについては後述する。
【0036】
なお、rev.0のみに対応した無線基地局200も、図2に示した無線基地局100と同様の機能ブロック構成を有する。
【0037】
図3は、無線通信基地局100におけるシステム制御部120、及びシステム記憶部130の詳細機能ブロック構成図である。
【0038】
図3に示すように、無線通信基地局100のシステム制御部120は、データ通信部121、ハンドオフ判定部122、ハンドオフ実行部123、通信レベル通知部124を具備して構成される。
【0039】
また、システム記憶部130は、周辺基地局Revision記憶部131、通信レベル記憶部132を具備して構成される。
【0040】
データ通信部121は、画像コンテンツや音楽コンテンツなどの通信に関する処理や、各種制御情報の送受信を実行する。
【0041】
図4は、無線通信基地局200におけるシステム制御部120’、及びシステム記憶部130’の詳細機能ブロック構成図である。
【0042】
なお、無線基地局100のシステム制御部120と構成を同じくする部分についての説明は省略する。
【0043】
図4に示すように、無線基地局200のシステム制御部120’は、データ通信部121、ハンドオフ判定部122、ハンドオフ実行部123、通信速度変更試験用テーブル通知部125、RAbit発生部126を具備して構成される。
【0044】
また、システム記憶部130’は、通信レベル記憶部132、通信速度変更試験用テーブル記憶部133を具備して構成される。
【0045】
ここで、通信速度変更試験用テーブル記憶部133に記憶される通信速度変更試験用テーブル150を図7に示す。
【0046】
図7において、通信速度変更試験用テーブル150は、各上り通信速度の上限値毎に複数の通信レベルを対応付け、この通信レベル毎に前述した確率試験の閾値を設けており、この点で、従来の通信速度変更試験テーブルとは異なる。
【0047】
なお、通信レベルとは、通信レベル設定部124において、アプリケーションに必要な通信速度に基づいて設定される値であり、本実施の形態では、通信速度の上限値毎に1〜4までの4段階の値が設定されている。
しかしながら、通信レベルの設定方法はこれに限るものではなく、各通信速度の上限値毎に3段階に設定する事もできるし、さらに、通信速度の上限値毎に異なる段階(例えば、9.6kbpsでは4段階、19.2kbpsでは3段階等)に設定しても良い。
もちろん、閾値αの値は、本実施の形態で用いられる値に限るものではない。
【0048】
通信速度変更試験テーブル150によれば、アプリケーションの通信レベルが「1」と判定され、かつ、RAbit=0である場合(すなわち、通信速度を上げることが可能な場合)、例えば、9.6kbpsにおける通信レベル「1」に対応する閾値αは「255/255」となり、必ずα≧x(0<x<1)(確率100%)となるため、通信速度の上限値は必ず次の段階である19.2kbpsに引き上げられる。
同様に、19.2kbps、38.4kbpsにおいても、通信レベルが「1」である場合の閾値αは「255/255」であるので、必ず次の段階に引き上げられる。
【0049】
すなわち、通信速度変更試験テーブル150によれば、通信レベルが「1」であると設定されたアプリケーションについては、3回の変更試験で確実に通信速度の上限値が76.8kbpsにまで引き上げられる。
【0050】
また、RAbit=1である場合(すなわち、通信速度を上げることが好ましくない場合)においても、アプリケーションの通信レベルが「1」である場合、例えば、76.8kbpsにおける通信レベル「1」に対応する閾値αは「0/255」となり、必ずα<x(0<x<1)(確率100%)となるため、通信速度を76.8kbpsに維持できる。
【0051】
図5は、無線通信端末300のブロック構成図である。
【0052】
図5に示すように、無線通信端末300は、RF部310、システム制御部320、システム記憶部330、表示部340、キー入力部350を備える。
【0053】
RF部310、システム制御部320、システム記憶部330は、基地局100のRF部110、システム制御部120、システム記憶部130とそれぞれ同様の機能を提供する。
【0054】
表示部340は、RF部310及びシステム制御部320を介して受信した画像コンテンツなどを表示したり、操作内容(入力電話番号やアドレスなど)を表示したりする。
【0055】
キー入力部350は、テンキーやファンクションキーなどによって構成され、ユーザの操作内容を入力するために用いられるインタフェースである。
【0056】
図6は、システム制御部320、およびシステム記憶部330の詳細機能ブロック構成図である。
【0057】
図6に示すように、システム制御部320は、データ通信321、ハンドオフ判定部322、ハンドオフ実行部323、通信速度設定部324、乱数発生部325、乱数/テーブル比較部326を具備して構成される。
【0058】
また、システム記憶部330は、通信速度変更試験用テーブル記憶部331、通信レベル記憶部332を具備して構成される。
【0059】
データ通信部321は、データ通信を実行中の基地局とは通信能力の異なる基地局をハンドオフ先候補基地局とするRouteUpdateメッセージ(候補基地局通知)を、当該データ通信を実行しているハンドオフ元基地局に送信する。
【0060】
また、データ通信部321は、rev.0対応無線基地局より定期的に送信されるRAbitを受信する。
【0061】
ハンドオフ判定部323は、ハンドオフ元基地局と通信能力の異なる基地局がハンドオフ先候補基地局に含まれているか否かを判定する。
【0062】
通信速度設定部324は、実行するアプリケーションに応じた通信速度の設定を行う。
【0063】
乱数発生部325は、所定のタイミングで定期的に乱数x(0<x<1)を発生する。
【0064】
乱数/テーブル比較部326は、後に詳述するように、乱数発生部325で発生された乱数x、基地局より定期的に受信するRAbitに基づいて、通信速度変更試験用テーブル記憶部331に記憶される通信速度変更試験用テーブルを参照し、比較結果を通信速度設定部324に通知する。
【0065】
通信速度変更試験用テーブル記憶部331は、無線基地局より受信する通信速度変更試験用テーブル150の全部若しくは一部を記憶する。
【0066】
通信レベル記憶部322は、アプリケーションに応じた通信レベルを記憶する。
【0067】
図8は、無線基地局100の動作の詳細を示すフローチャートである。
【0068】
無線基地局100は、無線通信端末300と通信を開始すると、まず、現在実行中のアプリケーションに必要な通信速度に応じた通信レベルを無線端末300より受信し(ステップ801)、通信レベル記憶部132に記憶する。
【0069】
無線通信端末300より、基地局200を含むRouteUpdateメッセージ、具体的には無線基地局200のパイロット信号強度が所定の閾値β以上となったことを示すRouteUpdateメッセージを受信したか否かを判定する(ステップ802)。
無線基地局200を含むRouteUpdateメッセージを受信した場合(ステップ802でYES)、無線基地局200がrev.0のみに対応するか否かを判定する(ステップ803)。
【0070】
無線基地局200がrev.0でないと判定された場合は(ステップ803でNO)、通常のハンドオフ手続きを行う。
【0071】
基地局200がrev.0にのみ対応すると判定されると(ステップ803でYES)、基地局100は、続いて基地局200のパイロット信号強度が所定の閾値γ以上になったか否かを判定する(ステップ804)。
【0072】
当該RouteUpdateメッセージを受信した場合(ステップ804でYES)、通信レベル記憶部132に記憶されている通信レベルを基地局200に通知し(ステップ805)、無線通信端末300にConnectionCloseメッセージを送信し(ステップ806)、無線通信端末300との通信を終了する。
【0073】
図9は、無線基地局200の動作の詳細を示すフローチャートである。
【0074】
無線基地局200は、無線基地局100より、無線通信端末300との通信において実行中の通信アプリケーションの通信レベルを通知されると(ステップ901でYES)、通知された通信レベルに応じ、通信速度変更テーブル記憶部133を参照し、該通信レベルに対応する値を抽出して通信速度変更試験用テーブル150’を作成し(図7参照)、無線通信端末300がハンドオフされてきた際に、該通信速度変更試験用テーブル150’を無線通信端末300に送信する(ステップ902)。
【0075】
例えば、通信レベルが「1」と通知された場合、図5に示すように、通信速度変更試験用テーブル150において通信レベル「1」に対応する閾値αを抽出して、通信速度変更試験用テーブル150’とする。
【0076】
以後、この通信速度変更試験用テーブル150’に基づいて無線通信端末300との上り通信をコントロールする。
【0077】
図10は、無線通信端末300の動作の詳細を示すフローチャートである。
【0078】
無線通信端末300は、rev.A対応セルC100内でアプリケーションを起動すると(ステップ701)、無線基地局100に該アプリケーションの通信レベルを通知する(ステップ702)。
【0079】
基地局100から基地局200へのハンドオフが決定すると(ステップ703)、まず、基地局200がrev.0か否かを判定し(ステップ704)、rev.0であると判定されれば(ステップ704でYES)、基地局200からsession確立時に通信速度変更試験用テーブル150’を受信し(ステップ705)、該受信した通信速度変更試験用テーブル150’に基づいて、上りの通信速度を制御する(ステップ706)。
【符号の説明】
【0080】
10…無線通信システム、100,200…基地局、300…端末、110,310…RF部、120,320…システム制御部、130,330…システム記憶部、340…表示部、350…入力部、121,321…データ通信部、122,322…ハンドオフ判定部、123,133…ハンドオフ実行部、124…通信レベル通知部、125…テーブル通知部、126…RAbit発生部、324…通信速度設定部、325…乱数発生部、326…比較部、131…Revision記憶部、132,332…通信レベル記憶部、133,331…テーブル記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信端末がアプリケーションを実行する際に、該アプリケーションが必要とする上り通信速度を受信する受信手段と、
前記無線通信端末が自局から他の無線基地局へハンドオフする際に、該無線通信端末が実行中のアプリケーションで必要とされる前記上り通信速度を、前記他の無線基地局に通知する通知手段
を具備する事を特徴とする無線基地局。
【請求項1】
無線通信端末がアプリケーションを実行する際に、該アプリケーションが必要とする上り通信速度を受信する受信手段と、
前記無線通信端末が自局から他の無線基地局へハンドオフする際に、該無線通信端末が実行中のアプリケーションで必要とされる前記上り通信速度を、前記他の無線基地局に通知する通知手段
を具備する事を特徴とする無線基地局。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−70442(P2012−70442A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−278806(P2011−278806)
【出願日】平成23年12月20日(2011.12.20)
【分割の表示】特願2005−342176(P2005−342176)の分割
【原出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月20日(2011.12.20)
【分割の表示】特願2005−342176(P2005−342176)の分割
【原出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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