説明

無線増幅装置のVSWR検出回路

【課題】特に装置出力電力が大きい場合であっても出力端におけるVSWR値を精度よく検出できる新規な無線増幅装置のVSWR検出回路の提供。
【解決手段】増幅された進行波成分電力を分配する方向性結合器12と、装置出力端18にて反射された反射波成分電力を取り出すサーキュレータ13と、前記分配された進行波成分電力値と反射波成分電力値とに基づいてVSWR値を検出するVSWR検出手段を備え、当該VSWR検出手段は、前記分配された進行波成分電力の振幅と位相を変化させた電力と前記サーキュレータをリークしてくるリーク進行波成分電力とを合成して当該リーク進行波成分電力を除去すると共に、前記進行波成分電力と反射波成分電力との相対位相差が半波長の整数倍になるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話等の無線基地局(BTS:Base Transceiver Station)に備えられている無線増幅装置のVSWR(電圧定在波比)値を精度良く検出するためのVSWR検出回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の無線基地局から出た高周波信号は、無線増幅装置により増幅され、RFケーブルを介してアンテナに出力される。この無線増幅装置には、接続するRFケーブルの断線ならびにアンテナ故障などによる異常を検出するために、出力端にVSWR(電圧定在波比)値を検出するための回路が設けられている場合が多い。
【0003】
一般に、通常の無線増幅装置からの出力は、RFケーブルからアンテナ端までインピーダンスの整合がとれているため、接続時のVSWR値は小さく、無線増幅装置に反射してくる電力量は小さい。しかしながら、RFケーブルが断線したりアンテナが破損した場合には、接続時のVSWR値が大きくなって無線増幅装置に反射してくる電力量が増大して無線増幅装置の最終増幅部などを破壊するおそれが生ずる。
【0004】
このため、例えば無線増幅装置の最終端に、非可逆回路素子であるアイソレーターを挿入したり、あるいは以下の特許文献1乃至3などに示すように、方向性結合器や電力検知器などからなるVSWR検出回路を挿入してVSWR値が閾値以上となった場合に増幅動作を停止または出力レベルを下げるなどして無線増幅装置を保護することが行われている。
【0005】
ここで、出力端におけるVSWR値は、出力端の進行波電力Paと出力端から反射してくる反射波電力Pbの比で求められるリターンロスRLから計算することができる。VSWR値とリターンロスRLには下記の様な関係式(1)がある。
VSWR=(10RL/20+1)/(10RL/20−1)…(1)
ここで、RL=Pa−Pbである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−284522号公報
【特許文献2】特開2005−49231号公報
【特許文献3】特開2011−35703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記特許文献1乃至3などに開示されている従来のVSWR検出回路では、例えば鉄塔アンテナ端までの距離が長く、接続不良がそのアンテナ部周辺で発生した場合には、VSWR検出基準点までの距離が長くなってしまい、ケーブル損失が増大してしまう。この結果、VSWR値の精度が悪くなってしまい、接続不良などを検出できなくなったり、あるいは誤検出してしまう可能性が高い。
【0008】
そこで、これらの課題を解決するために本発明者らは、図2及び図3に示すようなVSWR検出回路を構成してその作用・効果を検討した。先ず、図2のVSWR検出回路は、無線増幅装置の最終増幅部10とアンテナ11との間に設けられた方向性結合器12と、サーキュレータ13と、出力レベル検出器14と、減衰器15と、反射レベル検出器16と、制御部17とから構成される。
【0009】
そして、最終増幅部10から出力された進行波成分電力(RF出力)は、方向性結合器12に入力してその一部が分配された後、サーキュレータ13を通過し、本線の出力端18からRFケーブル19を介してアンテナ11より出力される。一方、方向性結合器12により分配された進行波成分電力Poは、出力レベル検出部14の検波ICにより出力レベルが検出される。
【0010】
回路の出力端18における進行波成分電力Paは、あらかじめ方向性結合器12の分岐端から出力レベル検出部14までの減衰量と出力端18までの減衰量オフセット値と分配された進行波成分電力Poとから制御部17にて換算して求められる。また、出力端18からの反射波成分電力Pbはサーキュレータ13から減衰器15に入力し、この減衰器15によって減衰した反射波成分電力Prを反射レベル検出部16の検波IC部にて求めることができる。これにより、出力端18からの反射波成分電力Pbは、あらかじめ出力端18からのオフセット値と反射波成分電力Prとから制御部17により換算して求められる。
【0011】
なお、アンテナ11端の干渉にて他帯域成分が混入する場合には、出力端18にデュプレクサやバンドパスフィルタなどを挿入したりして、不要スプリアスを除去することができる。また、装置出力が大きい場合には、サーキュレータ13および減衰器15の耐電力も大きいものを使用しなければならないため、反射電力検出素子としてサーキュレータ13と減衰器15の代わりに、図中破線で示すように第2の方向性結合器12aを実装し、進行波側と反射波側の出力レベルを求める方法もある。これらの方法で求めたリターンロスRLよりVSWR値を求める。しかしながら、出力端18側のVSWR値が悪い場合、方向性結合器の特性にも影響が出て、検出精度が悪くなってしまう。
【0012】
一方、図3に示すVSWR検出回路は、図2の出力端18側に可変位相器20を入れると共に、出力レベル検出部14と反射レベル検出部16の代わりに検波部20aを備えた構成としたものである。この可変位相器20により、反射波には任意に位相が加えられる。この場合、反射波成分と進行波成分の漏れ成分と可変位相器20による両者の相対位相差をθとする。θ値を回転させ、位相差を変化させると検波電圧は、最大値||Vo‘|+|Vr||と、最小値||Vo‘|−|Vr||をとる。このことから、制御部17にて反射レベル検波電圧が最大と最小になるように可変位相器20を操作し、その時の値を求めることによって、反射波成分と進行波成分の漏れ成分が計算できる。同様に進行波成分も求めることができるため、精度よくVSWR値を求めることができる。
【0013】
しかし、これら図2および図3に示すような構成では、特に装置出力電力が大きい場合などでは精度よくVSWR値を求めることができないといった問題点が生じる。例えば、図2の構成にて求められたVSWR値は、求める値によっては誤差が大きくなる傾向にある。図4にその増幅装置のVSWR検出構成時の問題点を示す。方向性結合器12によって分配されたポート側には、分配された進行波成分電力Poと、出力端18で反射してサーキュレータ13を通過してきた反射波成分電力Pr’が合成して出力される。
【0014】
仮に出力端18で進行波成分電力Paが全反射(Pa=Pb)した場合には、サーキュレータ13の阻止成分が20dBならびに方向性結合器12の方向性が14.15dB以上程度と考える。この場合、出力レベル検出部14では、Po>>Pr’の関係が成り立つ。出力端18におけるVSWR値が良くなれば、さらに進行波成分電力Pa>>反射波成分電力Pbの関係になり、出力レベル検出部14で検出する電力レベルは、Po+Pr’≒Poと考えても問題ない。
【0015】
一方、サーキュレータ13のポート側には、反射波成分電力Prとサーキュレータ13をリークしてその減衰器15によって減衰した進行波成分Po’が合成して出力される。仮に出力端18で進行波成分電力Paが全反射(Pa=Pb)した場合は、Pr>>Po’が成り立つが、VSWR値が良くなり反射成分が減ると、Pr≒Po’となり、さらにVSWR値が良くなれば、Pr<Po’となってしまう。
【0016】
つまり、VSWR値が良くなるにつれ、反射電力ポートで検出する誤差成分が増えて、正確な反射電力成分Prを算出することができなくなる。また、電力の大きな装置では、鉄塔アンテナ端までの距離が長く、接続不良がアンテナ部周辺で発生した場合、出力端18から鉄塔までのRFケーブル損失が例えば5dBであれば、往復リターンロスRLは10dBとなる。VSWR検出基準点までの距離が長くなると、VSWR検出精度が悪くなるため、接続不良などを診断することができなくなったり、あるいは誤検出してしまう可能性がある。
【0017】
また、図3の構成では、装置出力部に可変位相器20を挿入しているため、出力電力が大きい増幅装置では、仮に本素子の伝送損失が0.5dB〜1dBと考えても耐電力の問題が発生したり、装置効率も下がってしまう。さらに、複数ユニットにて、装置を合成する系の場合には、装置としての位相を可変させることができないため、図3の様な構成ではVSWR値を求めることができなくなってしまう。
【0018】
そこで、本発明はこれらの課題を解決するために案出されたものであり、その主な目的は、特に装置出力電力が大きい場合であっても出力端におけるVSWR(電圧定在波)値を精度よく検出できる新規な無線増幅装置のVSWR検出回路を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記課題を達成するために本発明は、増幅された進行波成分電力を分配する方向性結合器と、出力端にて反射された反射波成分電力を取り出すサーキュレータと、前記分配された進行波成分電力値と反射波成分電力値とに基づいてVSWR値を検出するVSWR検出手段を備え、当該VSWR検出手段は、前記分配された進行波成分電力の振幅と位相を変化させた電力と前記サーキュレータをリークしてくるリーク進行波成分電力とを合成して当該リーク進行波成分電力を除去すると共に、前記進行波成分電力と反射波成分電力との相対位相差が半波長の整数倍になるように制御するようにした無線増幅装置のVSWR検出回路である。
【0020】
より具体的には、増幅装置で増幅された進行波成分電力を出力すると共にその一部を分配する方向性結合器と、当該方向性結合器からの進行波成分電力を出力端へ送出すると共に当該出力端での反射波成分電力を取り出して出力するサーキュレータと、前記方向性結合器で分配された進行波成分電力の一部を取り込むと共にその振幅と位相とを前記サーキュレータから取り出された反射波成分電力のなかに含まれるリーク進行波成分電力と同一振幅、逆位相となるように変化させて出力するベクトル調整器と、当該ベクトル調整器の出力と前記サーキュレータから取り出された反射波成分電力とを合成してリーク進行波成分電力を除去した反射波成分電力を出力する合成器と、前記方向性結合器で分配された進行波成分電力のレベルを検出する出力レベル検出部と、前記合成器から出力されるリーク進行波成分電力除去後の反射波成分電力のレベルを検出する反射レベル検出部と、前記出力レベル検出部で検出した進行波成分電力値と前記反射レベル検出部で検出した反射波成分電力値とに基づいてVSWR値を検出するVSWR検出手段と、前記出力レベル検出部に取り込まれる進行波成分電力と前記反射レベル検出部に取り込まれる反射波成分電力との位相差が半波長の整数倍になるように、前記出力レベル検出部に取り込まれる進行波成分電力の位相または前記反射レベル検出部に取り込まれる反射波成分電力の位相のいずれかまたは両方を変化させる位相器とを備え、前記VSWR検出手段での前記進行波成分電力値と前記反射波成分電力値とは、前記位相器での位相変化後の電力値とすることを特徴とする増幅装置のVSWR検出回路である。
【0021】
このような構成によれば、サーキュレータから反射レベル検出部にリークしてくる進行波成分を、ベクトル調整器によって逆位相とした進行波成分と合成して予め除去(相殺)することにより、反射波成分電力値を精度よく検出することができる。また、位相器によって反射波成分または進行波成分のいずれかあるいは両方の位相をそれらの位相差が半波長の整数倍になるように可変させることにより、進行波成分と反射波成分の位相差による誤差VSWR値の計算誤差を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る無線増幅装置のVSWR検出回路によれば、反射レベル検出部にリークしてくる進行波成分を予め除去(相殺)することにより、反射波成分電力値を精度よく検出することができる。また、反射波成分または進行波成分の位相をそれらの位相差が半波長の整数倍になるように可変させることにより、位相差による誤差VSWR値の計算誤差を小さくすることができる。この結果、特に装置出力電力が大きい場合やVSWR検出基準点までの距離が長い場合、さらには出力端でVSWR値が良い場合であっても、精度良くVSWR値を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る無線増幅装置のVSWR検出回路100の実施の一形態を示す構成図である。
【図2】無線増幅装置のVSWR検出回路の第一の構成例を示す図である。
【図3】無線増幅装置のVSWR検出回路の第二の構成例を示す図である。
【図4】第一の構成例の問題点を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施の一形態を添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る無線増幅装置のVSWR検出回路100の実施の一形態を示したものである。図示するようにこのVSWR検出回路100は、無線増幅装置の最終増幅部10とアンテナ11との間に、方向性結合器12と、サーキュレータ13とが順に備えられている。
【0025】
方向性結合器12は、最終増幅部10で増幅された装置の出力電力である進行波成分電力を出力すると共にその一部を分配する機能を有する。サーキュレータ13は、この方向性結合器12からの進行波成分電力を出力端18へ送り出すと共にこの出力端18で反射してきた反射波成分電力を取り出して出力する機能を有する。
【0026】
この方向性結合器12側には、分配された進行波成分の一部をさらに分配する第1分配器21および第2分配器24と、分配された進行波成分電力の出力レベルを検出する出力レベル検出部14と、これを制御する制御部17とが順に接続されている。
【0027】
一方、サーキュレータ13側には、取り出された反射波成分を減衰する減衰器15と、反射波成分と前記方向性結合器12で分配された進行波成分の一部と合成する第1の合成器22と、反射波成分の位相を変化させる可変位相器25と、反射波成分を分配する第3の分配器26と、反射波成分電力の出力レベルを検出する反射レベル検出器16とが順に接続されている。
【0028】
そして、前記第1分配器21と第1合成器22との間には、第1分配器21で分配された進行波成分の振幅及び位相を変化させるベクトル調整器23が設けられている。また、第2分配器24と第3分配器26との間には、それぞれで分配された成分電力を合成する第2合成器27とその合成波を検出する合成波検出部28とが設けられている。これら合成波検出部28、反射レベル検出器16、ベクトル調整器23、可変位相器25は、前記出力レベル検出部14と共に制御部17によってそれぞれ制御および検出された電力監視を行う構成となっている。制御部17からの各制御については、図1に点線で示した通りである。
【0029】
次に、このような構成をしたVSWR検出回路100の動作原理について説明する。先ず、方向性結合器12によって分配される進行波成分の電力をPo、出力端18から反射し、サーキュレータ13をリークして方向性結合器12で分配される反射波リーク電力をPr’とする。この反射波リーク電力Pr’は、サーキュレータ13の阻止方向成分でかつ方向性結合器12のISOポート側になるので2重に減衰してくる。
【0030】
そのため、出力端18で進行波成分が全反射したとしても、Po>>Pr’の関係が成り立つので、反射波リーク電力Pr’は、誤差成分以下であると考えられることから、出力レベル検出部14で検出される電力はPo(Po+Pr’≒Po)となる。一方、方向性結合器12によって分配された進行波成分電力Poは、さらに第1分配器21によってベクトル調整器23側に分配され、このベクトル調整器23によって振幅と位相を変化させた進行波成分電力Pvとなる。
【0031】
次に、サーキュレータ13によって分配され、減衰器15を通ってくる反射波成分電力をPr、方向性結合器12を通過してサーキュレータ13をリークしてくるリーク進行波電力をPo’とすると、これらは、第1合成器22によって、先に変調させた進行波成分電力Pvと合成される。その後に接続されている可変位相器25は一定位相値とする。
【0032】
このとき、反射レベル検出部16にて検出される電力は、これらの合計であるPr+Po’+Pvである。Po’の振幅と位相値は固定値となるため、進行波成分電力Pvの振幅は出力レベル検出部15の値との差、位相は事前に両経路値が逆位相になる様にベクトル調整器23にて調整する(Pv→−Po’)。これらの制御により、リーク進行波成分電力Po’は第1合成器22にて進行波成分電力Pv(−Po’)と合成されることで相殺されて除去されるため、反射レベル検出部16では、所望の反射波電力Prだけを求める結果となる。
【0033】
VSWR値を求めるための電力検出値は、進行波成分電力Poおよび反射波成分電力Prの電力検出位置(つまり位相差)を調整することによって誤差を低減できることが知られている(例えば、前記特許文献2(特開2005−49231号公報)など)。すなわち、進行波成分と反射波成分の電力検出部までの位相差を半波長の整数倍となるように制御することによって誤差を低減することが可能となる。
【0034】
そのため、本発明においても、出力レベル検出部14と反射レベル検出部16との間の位相差を検出するため、第2分配器24および第3分配器26からそれぞれ分配された進行波成分電力Poと、リーク進行波成分電力Po’が除去された反射波成分電力Prとを第2合成器27にて合成する。
【0035】
この際、あらかじめ方向性結合器12から出力レベル検出部14およびサーキュレータ13から反射レベル検出部16までの初期位相差を検出しておく。さらに進行波成分と反射波成分の第2合成器27までの初期位相差を一定値にしておく。それを合成波レベル検出部28にて出力を検出するときに、可変位相器25を回転させる。この可変位相器25による位相変化量をθとする。合成波レベル検出部28の電力はθ=2nπの整数倍(n=1,2,…)で最大となり、θ=(2n−1)π(n=1,2,…)で最小となるため、可変位相器25を走査することにより、進行波成分電力Poと反射波成分電力Prの相対位相差が半波長の整数倍になるように制御部17にて制御することができる。このようにして求められた進行波成分電力Poと反射波成分電力PrとからVSWR値を求めることになる。
【0036】
本発明のVSWR検出回路100は、このような構成にすることにより、出力本線部分の挿入損失を増やすことなく、精度よくVSWR値を検出することが可能となる。なお、本実施の形態では可変位相器25は、反射レベル検出側に挿入しているが、出力レベル検出側あるいは両方に挿入した構成にしても良い。
【0037】
また、本発明のVSWR検出手段は、分配された進行波成分電力値を検出する出力レベル検出部14と、反射波成分電力値を検出する反射レベル検出部16と、これらを制御する制御部17とによって実現される。
【符号の説明】
【0038】
100…VSWR検出回路
10…無線増幅装置の最終増幅部
11…アンテナ
12…方向性分配器
13…サーキュレータ
14…出力レベル検出部
15…減衰器
16…反射レベル検出部
17…制御部
21…第一分配器
22…第一合成器
23…ベクトル調整器
24…第二分配器
25…可変位相器
26…第三分配器
27…第二合成器
28…合成波レベル検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
増幅装置で増幅された進行波成分電力を出力すると共にその一部を分配する方向性結合器と、
当該方向性結合器からの進行波成分電力を出力端へ送出すると共に当該出力端での反射波成分電力を取り出して出力するサーキュレータと、
前記方向性結合器で分配された進行波成分電力の一部を取り込むと共にその振幅と位相とを、前記サーキュレータから取り出された反射波成分電力のなかに含まれるリーク進行波成分電力と同一振幅、逆位相となるように変化させて出力するベクトル調整器と、
当該ベクトル調整器の出力と前記サーキュレータから取り出された反射波成分電力とを合成してリーク進行波成分電力を除去した反射波成分電力を出力する合成器と、
前記方向性結合器で分配された進行波成分電力のレベルを検出する出力レベル検出部と、
前記合成器から出力されるリーク進行波成分電力除去後の反射波成分電力のレベルを検出する反射レベル検出部と、
前記出力レベル検出部で検出した進行波成分電力値と前記反射レベル検出部で検出した反射波成分電力値とに基づいてVSWR値を検出するVSWR検出手段と、
前記出力レベル検出部に取り込まれる進行波成分電力と前記反射レベル検出部に取り込まれる反射波成分電力との位相差が半波長の整数倍になるように、前記出力レベル検出部に取り込まれる進行波成分電力の位相または前記反射レベル検出部に取り込まれる反射波成分電力の位相のいずれかまたは両方を変化させる位相器とを備え、
前記VSWR検出手段での前記進行波成分電力値と前記反射波成分電力値とは、前記位相器での位相変化後の電力値とすることを特徴とする増幅装置のVSWR検出回路。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate