説明

無線媒体を利用する装置の監視及び制御方法及びシステム

所定の地理的ゾーン内の1つ以上の装置と選択的に通信する方法及びシステムを開示する。複数の地理的ゾーンを規定し、各ゾーンは緯度及び経度の属性によって規定する。各地理的ゾーンには複数の装置が関連し、携帯装置がこれらの装置と通信可能であり、携帯装置は上記複数の地理的ゾーンを表現するデータを有する。携帯装置は地上測位装置の受信機を有して、携帯装置の地理的座標を得る。携帯装置が、自機の位置が上記複数の地理的ゾーンの1つの中にあることを判定した場合に、携帯装置は、当該地理的ゾーンに関連する装置と通信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、前に出願された米国暫定特許出願番号60/625,467、2004年11月5日出願に基づいて優先権を主張する。また本願は、米国通常特許出願番号11/105,931、2005年4月13日出願、発明の名称”Method and System to Configure and Utilize Geographical Zones”、及び米国通常特許出願番号11/158,720、2005年6月21日出願、発明の名称”Method and System to Monitor and Control Devices Utilizing Wireless Media”に基づいて優先権を主張する。本願は、米国通常特許出願番号11/158,667、2005年4月13日出願、発明の名称”Method and System to Monitor Persons Utilizing Wireless Media”の関連出願である。これら4つの出願はすべて参考文献として本明細書に含める。
【0002】
(1.発明の分野)
本発明は、家庭用電気製品、または場所に特有の他の装置のような装置を監視及び制御するためのシステム及び方法に関するものである。特に、本発明は、無線携帯装置を利用して、地理的ゾーンによって規定される独立した場所内の複数の装置を制御及び監視することに関するものである。地理的ゾーンのデータは無線携帯装置内に設定されている。
【0003】
(2.発明の背景)
個人用装置を監視及び制御するシステム及び方法は広く用いられるようになってきた。一部のシステムは、一般に演算能力を少ししか、あるいは全く有しない単一目的の装置である無線装置を利用する。現代のビジネス及びライフスタイル(生活様式)のシナリオは、常に成長するサーバーベースのインフラストラクチャ(基盤)によって解析される大きなデータのストリームを搬送するために大きな量の帯域幅を必要とする。現在の監視装置は、演算能力、あるいは個人が操作を行うすべての環境に参加するために必要な構成に欠ける。
【0004】
(発明の概要)
本明細書に提示するPDA(Personal Digital Assistant:個人用携帯情報端末)は、高い演算能力を有する携帯無線装置である。PDAは個人が携帯可能であり、他の装置と無線で通信する。さらに、PDAは、複数の環境を制御及び監視するための複数の構成を記憶する能力を有する。各環境も、PDAが監視及び解析することのできる多数の装置を含む。PDAは、例外が生じるか、しきい値を超えるか、あるいは以上が認識された際にしかデータを送信することを要求されないインテリジェントな装置である。このシステムは上述したように、ビジネスの状況をサポート(支援)するために、最小の帯域幅並びに小規模なインフラストラクチャを必要とする。
【0005】
1つの態様では、予め定められた地理的ゾーン内で選択的に装置と通信する方法が存在する。複数の地理的ゾーンが規定され、各ゾーンは所定の属性によって規定される。各地理的ゾーン内の少なくとも1つの装置は、この装置と通信可能な携帯装置に関連する。この携帯装置には測地ユニット受信機が設けられている。複数の地理的ゾーンを表現するデータが携帯装置にロードされている。携帯装置の地理的座標は測地ユニット受信機から得られる。携帯装置の位置は、これら複数の地理的ゾーンの少なくとも1つに関連して特定される。この少なくとも1つの地理的ゾーンに関連する少なくとも1つの装置との通信は、携帯装置がこの少なくとも1つの地理的ゾーン内にあることをこの携帯装置が特定した際に確立される。前記所定の属性は緯度及び経度の属性とすることができる。
【0006】
前記携帯装置は、セル移動電話機、スマートフォン、またはパーソナル・ディジタル・アシスタント(個人用携帯情報端末)のいずれとすることもできる。前記地理的ゾーンは、家庭環境、職場環境、州、市、商業地区、住宅地、文教地区の少なくとも1つである。
【0007】
他の態様では、前記方法はさらに、前記少なくとも1つの地理的ゾーンに関連する少なくとも1つの装置と通信可能なように結合されたモジュールを用意するステップを具え、このモジュールは、前記少なくとも1つの装置と前記携帯装置との間の通信用のハブ(拠点)として動作する。
【0008】
前記携帯装置と前記複数の装置との間の通信信号は、ブルートゥース(登録商標)信号、赤外線信号、短距離無線信号、無線ユニバーサル・シリアルバス(USB)、またはWi−Fi(Wireless Fidelity)のいずれとすることもできる。前記少なくとも1つの装置は、空気中の一酸化炭素、塩素、煙、スモッグ(煙霧)、酸素のレベル、あるいは温度を測定する測定機器とすることができる。
【0009】
他の態様では、前記方法はさらに、前記少なくとも1つの装置が、イベント(出来事、事象)の発生を示す信号を前記携帯装置に送信することを可能にするステップと、発生したイベントは事前に設定された動作の実行をトリガするものであることを前記携帯装置内のマイクロプロセッサが判定した場合に、前記携帯装置内のマイクロプロセッサがこの事前に設定された動作を実行することを可能にするステップとを具えている。
【0010】
他の態様では、各地理的ゾーンを表現するデータが複数の座標であり、前記携帯装置は、次のステップを実行することによって、複数の座標を用いて前記地理的ゾーンの別な表現を作成する:前記座標を画素化された画像上にマッピングして、1つの画素をこれら複数の座標の各座標に割り当てるステップ、ここで各割り当て済みの画素間の距離は設定可能である;複数の割り当て済みの画素を線で接続して、前記画素化された画像内の領域を囲む連続的な接続線を形成するステップ;及び、前記複数の線上にある画素を活性化して、前記画素化された画像内のある形を囲む連続的な画素アレイを形成するステップ。
【0011】
さらに他の態様では、各地理的ゾーンを表現するデータが複数の中間点であり、これら複数の中継点中の各中継点は地理的座標及び半径によって規定され、前記地理的座標は緯度及び経度によって表現され、前記半径は距離の大きさによって表現される。
【0012】
他の態様では、各地理的ゾーンを表現するデータが、次のステップを実行することによって作成される画素化された画像である:ユーザーが2つの座標属性を用いてコンピュータマップ中の幾何学的領域を識別することを可能にするステップ;識別した幾何学的領域を分割してグリッド(格子)にするステップ;ユーザーがこのグリッド内から少なくとも1つのセクション(区画)を選択して地理的領域を規定することを可能にするステップ;及び、前記少なくとも1つのセクションを画素化されたコンピュータ画像内の画素に関連付けて、ユーザーが識別した幾何学的領域内で選択した画素が前記地理的領域内にあるものとして識別されるようにするステップ。前記幾何学的領域を分割することによって前記グリッドを構築または構成した際に、複数の前記セクションは、前記地理的ゾーンを正しく線引きすることができるために十分高い解像度が達成されるように分割される。
【0013】
他の態様では、前記携帯装置が、前記地理的ゾーン内で特定条件が発生したか否かを判定するようにプログラムされ、ある条件が発生すると、前記携帯装置はこの発生をコントロール(管制)センターまたは第2の携帯装置に報告する。電話をかけること、コントロールセンターに報告すること、警報を始動させることのような事前にプログラムされた動作を実行することができる。
【0014】
1つの態様では、リモート(遠隔)環境内の装置と選択的に通信する方法が存在する。この方法は次のステップを具えている:前記地理的位置に関連する機器モジュールを用意するステップ;前記機器モジュールと前記地理的位置に置かれた複数の機器との間の通信を可能にするステップ;前記機器モジュールと前記携帯装置との間の通信ネットワークを通した無線通信を可能にするステップ;前記地理的位置の各々に関連する複数の機器を識別するデータ、及びこれに対応する機器モジュールを識別するデータを前記携帯装置にロードするステップ;前記機器モジュール内のマイクロプロセッサを、前記複数の機器の1つから得られるデータに関係するイベントの発生を判定するようにプログラムするステップ;及び、前記機器モジュール内の前記マイクロプロセッサが、イベントの発生を示すイベントメッセージを前記携帯装置に送信することを可能にするステップ。前記携帯装置内の前記マイクロプロセッサが、発生したイベントが事前設定された動作の実行をトリガするものであることを判定した場合に、前記携帯装置内の前記マイクロプロセッサは、この事前設定された動作を実行することができる。
【0015】
1つの態様では、リモート環境内の装置と選択的に通信するシステムが存在する。このシステムは、ある地理的位置に関連する機器モジュール、前記機器モジュールとの通信が接続されている少なくとも1つの機器とを具え、前記機器の少なくとも1つは前記地理的位置に存在し、前記携帯装置は通信ネットワークを通して前記機器モジュールに無線接続され、前記携帯装置に、前記少なくとも1つの機器及びこれに対応する機器モジュールを識別するデータがロードされる。前記機器モジュールは、前記少なくとも1つの機器から得られたデータに関係するイベントの発生を判定して、このイベントの発生を示すイベントメッセージを前記携帯装置に送信するマイクロプロセッサを含む。
【0016】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0017】
(実施例の詳細な説明)
以下に説明する方法及びシステムは、複数の電子装置に関連するパラメータ及びイベント(事象)を測定、時間タグ付け、記録、分析、及び制御することのできる個人用データ取得兼報告システムを利用する。このシステムは、位置及び状態情報を全地球規模で提供することのできるGPS測位衛星と組み合わせたセルラー及び衛星ネットワーク上で通信するPDAを具えることができる。PDAは、広範な周辺装置との相互作用及びこれらの周辺装置の制御を可能し、事前設定された地理的ゾーン及びイベントに応じて操作することを含む。PDAは、心拍、体温、血圧、血糖値、体内埋込トランスデューサ及び投薬装置のような健康パラメータを監視し分析することができ、そして緊急通知を監視することができる。さらに、PDAは、地理的境界の交差、個別またはホスト車両の経路(ルート)及びスケジュール順守を検出することができ、PDA、個別またはホスト車両の位置、速度、走行距離、進行方向、加速度、及び姿勢を報告する。PDAは、有害な環境条件を監視し分析することができ、これらは酸素、一酸化炭素、塩素、天然ガス、スモッグ、及び煙の濃度を含む。さらに、PDAは家庭用電気製品を監視し遠隔制御することができる。
【0018】
PDAは複数の環境内で動作することができ、そして各環境の装置と相互作用することができる。PDAはGPS情報を、事前記憶された地理的ゾーンについての情報と組み合わせて用いて、変化する環境に対して設定を変更する。これらの事前設定されたゾーンは、地理的境界をユーザーが望む多数の形に形成するように設定することができる。PDAは、各環境の装置に対して異なった適応をし、異なった相互作用をする。
【0019】
従って、PDAが車両内に位置するものとすれば、PDAは(ブルートゥース(登録商標)、短距離無線、等によって実現される)ローカル通信リンクを通して燃料バルブのような車両の装置と通信する。
【0020】
携帯装置は、各環境に関連する装置から得られたデータに基づいて事前にプログラムされた動作を実行するだけの大きな演算能力を有する。従って、PDAはインテリジェント装置の特徴、フレキシビリティ(柔軟性)、及び能力を有する。PDAは少なくとも32ビットのプロセッサを含み、このプロセッサは、少なくとも1つの(セルラー、衛星、及びその他の)モデム、少なくとも1つの全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)受信機、少なくとも1つのメモリーモジュール、及び他の周辺装置とインターフェース接続されることができる。このプロセッサは、リモートの(遠隔的な)サーバーベースのコントロールセンターをPDAに置くことよりもむしろ、論理分析及び意思決定能力をPDAに与えることを可能にする。PDAの他の構成要素は、少なくとも1つのGPSアンテナ、少なくとも1つのモデムアンテナ、通信及び設定用の少なくとも1つのシリアルポートを含むことができるが、これらに限定されない。
【0021】
PDAの中央処理装置(CPU)は、その多くの能力の中で、多くの設定可能なイベントまたは設定可能な動作の報告、観測、認識、処理、及び分析する動作を含む設定可能な動作を管理し、種々のコマンド(命令語)を与え種々のコマンドに応答し、多くのイベントをその設定箇所において達成し、そして構成要素を記録する履歴を含むように構成することができる。
【0022】
PDAは、ユーザーの望み通りの少数または多数の設定可能な論理イベントを含むように設定可能である。イベントは、GPS位置と時間または速度のような他の1つの要素との組合せを用いたルール(規則)に基づくものとすることができる。
【0023】
設定可能な動作とは、PDA内のCPUが実行する動作を称する。例えば、家庭用電気製品の故障のイベント信号を受信するPDAは、即座にサービス会社に電話するように設定することができる。他の設定可能なイベントまたは設定可能な動作は、車両のイグニッション(点火)のオンまたはオフ切り換え、温度レベルまたはその変化、燃料タンクレベルまたはその変化を含むが、これらに限定されない。設定可能な動作またはその組合せを処理して、特定のメッセージを送信し、特定の質問またはコマンドに応答し、特定メカニズムをイネーブル(有効化)またはディスエーブル(無効化)し、または特定イベントを認識することができる。設定可能なイベントまたは設定可能な動作は多くの状況で発生する。これらの状況は、コマンドに応答して設定可能なイベントまたは設定可能な動作が発生する状況、質問に応答して設定可能なイベントまたは設定可能な動作が発生する状況、あるいは事前選択した条件の認識時に設定可能なイベントまたは設定可能な動作が発生する状況を含むが、これらに限定されない。
【0024】
設定可能な境界または地理的ゾーンも利用することができ、これらはユーザーが望むあらゆる形状に設定される。例えば、これらの境界またはゾーンは州の境界線を辿ることができ、あるいは選択したハイウェイ(幹線道路)または経路を辿ることができる。これらの境界またはゾーンは、文教地区、飛行禁止地区、市域、等の土地の境界を辿ることができる。これらの境界またはゾーンは、幾何学的形状にも幾何学的でない形状にもすることができる。本発明のさらなる利点は、PDAをローカル(その場)で、あるいは無線で更新及び設定できることにある。
【0025】
PDAは、イベントドリブン(事象駆動)に設計され、例外が生じた際のみにデータを送信する。これらの例外はイベントとしてPDA内に設定する。こうしたイベントドリブンの方法は、無線で送信されるデータの量を制限して帯域幅を保つ。このことは、内部及び外部のデータ源の任意の組合せに対して設定することのできるルール及びしきい値を用いて達成される。ルールが破られるかしきい値を超えると、顧客が規定したイベントを生成することができる。これらのイベントの伝送は、伝送ルール及び装置の動作設定によって制御される。
【0026】
機器モジュールは、種々の物品または電気装置上に実装、取り付け、製造するか、さもなければこれらの物品または装置内に含めることができる。こうした物品または電気装置は、エンターテインメント(娯楽)製品、コンピュータシステム、環境条件センサ、健康監視品、及びその動作の監視または制御が有益である他の品目を含むことができる。監視システムに関係して、機器モジュールは、この機器モジュールが接続された品目または電気装置についての情報を収集、処理、及び伝達すべく動作する。
【0027】
図1に、装置を制御し監視するためのPDAの通信リンクの高レベルのアーキテクチャを示す。PDA105は、GPSコンステレーション131から無線信号を受信して、PDA105がその地理的位置、及び及び必要ならばジオコードを識別することを可能にする。PDA105は、PDA105のハードウェア内に集積された複数の無線装置によって種々のネットワークと無線で通信することができる。一具体例では、こうした通信ネットワークは、複数のセルラー基地局120及びサービスプロバイダ135を含むセルラーネットワークである。他の具体例では、こうした通信ネットワークは、SMS(Short Message Service:ショートメッセージサービス)受信機を有する複数のセルラー基地局125及びサービスプロバイダ140を含むセルラーネットワークである。他の具体例では、こうした通信ネットワークは、複数の衛星受信機兼送信機130、及び衛星地上局145を含む衛星ネットワークである。さらに他の具体例では、こうした通信ネットワークは短距離無線通信ネットワークである。
【0028】
こうした通信ネットワークは、PDA105がバックエンド制御システム150と通信することを可能にする。PDA105は、イベント情報をバックエンド制御システム150に送信し、バックエンド制御システム150が通信ネットワークを通してPDA105に送信するコマンドに応答する。バックエンド制御システム150は複数のゲートウェイ151、152、153及び154を含み、これらはコーデック(符号復号器)155と相互作用する。コーデック155は、バックエンド制御システム150の中央符号化器及び復号化器であり、バックエンド制御システム150があらゆる通信ネットワークに適応しこれらの通信ネットワークと通信することを可能にする。モジュール式の設計は、監視及び報告ソフトウェアを変更しなければならないことなしに新たなハードウェア及びネットワークプロトコルを導入することを可能にする。バックエンド制御システム150は、入り及び出の通信が非同期で効率的に処理されることを可能にする非同期ルーティング(経路設定)システム159も含む。一具体例では、非同期ルーティングシステム159は、複数のルーティングサービス156、少なくとも1つのデータベース157及びウェブサーバー158を含む。ルーティングサービス156によって経路設定されたメッセージはクライアント・コンソール(操作卓)176に直接伝えられる。クライアント・コンソール176は、機器及びPDA105の情報をオペレータ(操作員)に提供する。クライアント・コンソール176は、バックエンド制御システム150及び通信ネットワークを通してコマンドをPDA105に送信する。
【0029】
多数のアプリケーションを中央データベース157に接続してさらなるシステム機能を提供することができる。管理者コンソール175は、オペレータがPDA105の情報、機器情報、ユーザー情報、等を追加、編集、または削除することを可能にする。履歴プロセッサ174は、オペレータが報告を見てイベントデータに応答することを可能にする。操作データプロセッサ173は、オペレータがPDA105の操作のために地理的ゾーン及び経路上の地点を定めることを可能にする。設定ユーティリティ172は、オペレータがPDA105の特徴及び機能を容易に設定することを可能にする。
【0030】
機器情報は、PDA105の他に代わりの媒体を通してオペレータに提供することができる。一具体例では、機器情報をウェブサーバー158からウェブ・クライアント171に送信することによって、ウェブサイトまたはe−メール(電子メール)を通してオペレータに提供することができる。他の具体例では、テキストまたは音声メッセージを他の所定の無線装置177に送信することによって機器情報をオペレータに提供することができる。
【0031】
PDA105は機器モジュール195を通して複数の機器または装置と通信することができる。一具体例では、機器モジュール195は、ユーザーが監視または対話したい複数の機器または装置に接続されている。例えば、機器モジュール195は、テレビジョン装置192、ガレージドア開閉器194、及びファクシミリ機196に接続することができる。PDA105の設定に応じて、PDA105は、機器をオン状態にする動作、機器からの測定値を問い合わせる動作、等を実行することができる。機器モジュール195をインターネット160に接続して、ウェブサーバー158及びバックエンド制御システム150との接続性を持たせることもできる。機器モジュール195は、機器モジュール195に関連する機器のいずれかに関係する特定のイベントまたは発生を報告するように設定することができる。機器モジュール195は、こうした情報をインターネット160を通してバックエンド制御システム150及びPDA105に報告する。PDA105が付近にある場合には、機器モジュール195はPDA105に直接送信することができる。
【0032】
図2に、PDA105が装置を監視し制御することのできる環境の好例を示す。一具体例では、この環境は家庭環境190とすることができる。機器モジュール195を家庭環境190内に設置して、制御及び監視能力をPDA105に提供することができる。PDA105は、ブルートゥース、短距離無線、等のような既知のプロトコルの無線リンクを通して機器モジュール195と相互作用することができる。
【0033】
一方、機器モジュール195は家庭環境内の種々の機器に接続されている。一具体例では、これら種々の機器はテレビジョン装置192、ガレージドア開閉器194、及びファクシミリ機196とすることができる。機器モジュール195は、特定環境内でローカルエリアネットワークまたは他の何らかのネットワーク手段を通して接続される。
【0034】
一具体例では、機器モジュール195がこれに接続された機器のいずれかからの信号を受信する場合には、機器モジュール195は、事前設定されたイベントがこの機器において発生したか否かを判定する。例えば、接続されたファクシミリ機196にファクシミリが到着している場合には、機器モジュール195はファクシミリの受信時に動作を実行するように設定することができる。例えば、機器モジュール195は、インターネット160を通してPDA105にファクシミリが到着していることを通知することができる。PDA105が機器モジュール195の付近にある場合には、この通知はPDA105への直接的な無線リンクを通して行うことができる。
【0035】
他の具体例では、機器モジュール195には、PDA105の存在を検出すること、PDA105によるメッセージを受信すること、または測定を行う時間を計算することのようなイベントを設定することができる。一旦、こうしたイベントが発生すると、PDA105はプログラムされた動作を実行することができる。例えば、PDA105が機器モジュール195の付近に存在することを示すメッセージをPDAから受信すると、機器モジュール195はガレージドア開閉器194に信号を出してガレージドアを開放することができる。ガレージドア194は適切な電気信号を機器モジュール195から受信して、ガレージドアが開放されるように動作する。
【0036】
こうしたものとして、機器モジュール195は、あらゆる設定された機器と相互作用して動作を実行するように設定することができる。家庭環境190内にあり、機器モジュール195が相互作用することのできる機器の他の例は、警報(アラーム)システム、暖房装置、空調装置、食器洗い機、衣類乾燥機、貯蔵庫、等である。
【0037】
一具体例では、PDA105は、このPDAが機器モジュール195の範囲内にある時を示す信号を出すようにプログラムすることができる。PDA105は、GPS位置データを得て、PDA105が事前設定された境界内にあるか否かを判定することによって、PDA105が家庭環境190内にあることを認識することができる。近所、または文教地区、職場、等のような事前設定された不規則な境界を用いることができる。他の具体例では、機器モジュール195は単に、PDA105が常に存在するものと仮定する。
【0038】
PDA105は、設定されたイベントが発生した際に実行すべき動作を設定することもできる。こうした動作は、機器モジュール195からの情報を要求すること、機器モジュール195における動作を命令すること、等とすることができる。
【0039】
(ハードウェア構成)
図3に、装置を制御し監視するシステムにおいて使用されるPDAの構成要素の配置(レイアウト)を示す。一具体例では、PDA105はセル電話モジュール240及びデータ取得モジュール242を有する。セル電話モジュール240は、少なくとも1つのセルラーモデム220、少なくとも1つのCPU210、及び少なくとも1つのオーディオ(音声)処理装置214を含む。他の具体例では、衛星通信モデムをセル電話モジュール240内に含めて、最も手頃かつ完全な全地球のカバー範囲を提供することができる。
【0040】
CPU210は、複雑な計算を迅速に実行するのに十分な演算能力を有する高性能プロセッサである。一具体例では、プロセッサ210は少なくとも32ビットのプロセッサである。プロセッサ210は、少なくとも32キロバイトのRAMを含む。例えば、2つのビルトイン(作り付けの)UART(Universal Asynchronous Receiver-Transmitter:パソコン向けの汎用非同期送受信回路)を有するモトローラ社の32ビットRISCプロセッサMMC2114(登録商標)が考えられる。しかし、類似またはより先進のプロセッサも考えられる。
【0041】
データ取得モジュール242は、全地球測位システム(GPS)受信機215、データシステム・マイクロプロセッサ212、メモリーモジュール280、及び通信リンク244を含むことができる。GPS受信機215は、2、3フィート以内、あるいはそれ以下の精度で測位することができる。例えば、12チャンネルのトリンブル(Trimble)社のSQ(登録商標)、LapaicのUV40(登録商標)、あるいは短距離精度の受信機が考えられる。メモリーモジュール280は少なくとも2つの追加的なメモリーチップを含み、これらの追加的なメモリーチップの各々は少なくとも128Kbである。
【0042】
一具体例では、セルラーモデム220は、バックエンド制御システム150との通信用の主要手段である。セルラーモデム220は、GSMモデム、CDMAモデム、あるいは同様のモデムとすることができる。衛星モデムまたはトランシーバ230は、PDA105の外部に置いて、シリアルポート340によってPDA105に接続することができる。あるいはまた、衛星モデム230はPDA105の内部に置くことができる。
【0043】
衛星モデム230は、セルラーのカバー範囲が小さいか無い際のみに、あるいはユーザーが衛星モデム230の使用を指定した際のみに主に使用される。衛星モデム230の効率的な使用は、ユーザーにとっての追跡システムのコストを低下させるように機能する。一具体例は、スカイウェーブ(Sky Wave)社のDMR-200(登録商標)衛星モデムのような衛星モデム230を考える。同様に考えられる衛星モデムは、ビルトイン無指向性アンテナのような特徴機能を含み、全世界のカバー範囲を提供し、そしてPDAのプロセッサ210と効率的にインターフェース接続される。
【0044】
一具体例では、通信リンク244は、少なくとも20mの範囲を有するブルートゥース・トランシーバ215である。例えば、一具体例では、ナショナル・セミコンダクター社のSimply Blue LMX9820 Class 2(登録商標)ブルートゥースモジュールが考えられる。しかし、見通しを必要としない他の無線接続性を有する類似またはより先進のブルートゥース受信機も考えられる。ブルートゥース受信機は、複数の無線周辺装置を集積しサポートすること、短距離無線として動作してデータをダウンロードすること、あるいはローカルの、移動型の無線「ホットスポット」として働くことのような異なる能力を利用するように設置することができる。
【0045】
電源235は、12〜24ボルトの範囲の動作電圧を有するヒューズ付きの主電力入力源とすることができる。一具体例は、通常動作中の低電力消費(65mAまたはそれ以下)を見込む。さらに、PDA105は、随意的なバックアップバッテリを充電するための回路を含む。主電源235の給電が最小許容電圧に達した場合には、PDA105は自動的にバックアップ電力に切り換えると共に、電源235が臨界(クリティカル)レベルにあることを識別するメッセージを送信する。
【0046】
機器モジュール195は、PDA105から分離したパッケージに入れるか、あるいはまた、機器モジュール195はPDA105と同じ筐体(ハウジング)内に入れることができる。機器モジュール195とPDA105とは、PDAの通信リンク244及び機器モジュールの通信リンク260を通して通信する。通信リンク244と260とは、無線(ワイヤレス)USB、Wi−Fi、ブルートゥース、等のような無線通信プロトコルを通して結合され、これらの無線通信プロトコルはPDA105と機器モジュール195とが300フィート以上の距離で通信することを可能にする。機器モジュール195はさらに、通信リンク272、274及び276を持つことができる。これらのリンク272、274及び276は、機器モジュール195が、例えば環境条件を測定する装置、家庭電気製品のオン/オフ状態を制御する装置、及び自動車の機能を監視する装置のような種々の装置に接続されることを可能にする。
【0047】
機器モジュール195はさらに、マイクロプロセッサ及びメモリーモジュールを備えることができる。このマイクロプロセッサは、イベントの発生、動作及びコンピュータプログラムの実行の分析及び演算を行うように設定することができる。
【0048】
PDA105は、セルラー通信ネットワーク上で機器モジュール195と通信することができる。機器モジュール195はセルラーネットワーク上に設置することができ、さらに、機器モジュールをセルラーネットワークとインターフェース接続することを可能にするセルラーモデムを備えることができる。
【0049】
(イベント構成)
PDA105は、以下に説明する多くの特徴、機能、及び能力を有する。PDA105は、多くの論理的イベントを報告、観測、及び分析するように設定することのできるインテリジェント装置である。PDA105は、種々のコマンドを与え、種々のコマンドに応答するように設定することもでき、そして設定可能な履歴記録構成要素を含む。所望の機能を実行するために、PDA105を、イベントの発生に基づいて所望の動作を実行するソフトウェアをロードすることによって設定する。従って、動作の実行は例外に基づく。
【0050】
PDA105に対するすべての設定はローカル(その場)で、あるいは無線で行うことができる。従って、ユーザーは、PDAのオペレーティングシステム全体を含むあらゆる特徴を無線で設定することができる。こうした無線での設定は、セルラーモデム220または他の無線手段の使用によって達成することができる。一具体例では、無線またはローカルでの設定中に、PDA105が通常の動作を継続する。このことは、PDA105の操作性を少ししか、あるいは全く損なわずにPDA105を設定することができることを意味する。無線での設定コマンドは、物理的及び論理的イベントをオン・ザ・フライで処理するために使用するパラメータを変更する。この方法では、無線でのオペレーティングシステムの更新は、2つの実行可能コード空間、及び新たなコードをロードするための一時コード空間を用いて達成される。一旦、新たなコードの一時コード空間へのロードを完了すると、PDAは再起動(リブート)し、新たなコードを二次的な実行可能コード空間にコピーし、そして更新が最新のもので実行を再開する。
【0051】
図4に、PDAの設定アプリケーションのウィンドウを示し、ここでユーザーはパラメータを選択して多数のイベントを設定することができる。特に、設定イベントをPDA105上に設定するためのユーザーインターフェースのスクリーンショットの好例を示す。このスクリーンショットは、ユーザーが対話してPDA105を設定するための汎用インターフェースの例として役立つに過ぎない。このユーザーインターフェースはPDAを設定することを可能にし、ユーザーはスクリプトまたはハードコードされたパラメータを知ることを必要としない。代わりに、ユーザーが論理的ウィンドウ、タブ、フィールド、チェックボックス、及びラジオボタンと容易に対話してPDAを設定することのできるソフトウェア・アプリケーションを開示する。
【0052】
ウィンドウ400は、PDA105上に設定することのできる好適なイベントのリストを示す。本発明のシステム及び方法は、このスクリーンショットには表わされていない種々の設定可能な論理的イベントを意図する。各イベントは対応するフィールドボックスを有し、このフィールドボックス内にユーザーが適切な値を入れることができる。
【0053】
ユーザーは、提供された各チェックボックス内に好みを指示することによって、各イベント435〜445を設定することができる。例えば、PDA105内のイベントの設定は、チェックボックス424において入力または特徴を有効にすること、チェックボックス425においてこれらのイベントを優先イベントとして割り当てること、チェックボックス426において1つ以上の出力をこれらのイベントに割り当てること、あるいは複数のチェックボックス427のうち適切なチェックボックスをチェックすることによってイベントの発生をセルラーネットワーク経由で送信されるメッセージ送信にリンクする(結び付ける)ことを伴うことができる。このユーザーインターフェースは、設定ユーティリティ172(図1)中に存在するアプリケーションの一部とすることができる。イベントの好例は、”Zone Boundary Enter(ゾーンの境界内に入る)”435、”Zone Boundary Exit(ゾーンの境界を出る)”436、及び”Smart Time Reporting(スマート時間の報告)”437または”Scheduled Time Reporting(スケジュールされた時間の報告)”438のように設定することができる。
【0054】
一具体例では、イベントは、PDA105のGPS位置と時刻または速度のような他の1つの要素との組合せを用いたルールに基づく。他の具体例では、イベントは、PDA105内に事前にプログラムされた特定時点に達すること、あるいはPDA105による動作をトリガするようにプログラムされた他の例外に基づく。イベントメッセージを送信することは、イベントの発生によってトリガされる動作の例であり、そして、イベント自体が発生したことのメッセージを緯度、経度、速度、方向、時刻、健康状態、家庭用電気製品の測定値、環境条件、または機器モジュール195から受信することのできる他の測定値を含む情報と組み合わせた送信を含むことができる。
【0055】
PDA105は、ユーザーが望む通りの少数または多数の論理的イベントを含むように設定される。一具体例では、イベントは、特定の時間間隔中の最後に知ったPDAの位置をバックエンド制御システム150に報告することとすることができる。
【0056】
他の具体例では、設定イベントが、測定値レベルのしきい値を読み取ることである。例えば、測定値は、一酸化炭素、インシュリン及び他の血液内容物のレベル、心拍数、呼吸数、室温、アセンブリ(組立)ラインにおいて一日当りに生産されるパッケージ数、等の測定値とすることができる。
【0057】
これらの測定値は機器モジュール195によって周期的に取得してPDA105に報告することができる。一具体例では、機器モジュール195は機器から受信したすべての測定値を送信する。他の具体例では、取得した測定値が所定しきい値を超えたか否かを判定する論理回路を機器モジュール195に設け、超えた場合には、機器モジュール195はイベントメッセージをPDA105に送信する。
【0058】
機器モジュール195は、接続された機器または装置から所定時刻に測定値を取得するように設定することもできる。例えば、機器モジュール195は、毎朝6時に部屋の空気の質を測定するようにプログラムすることができる。そして、機器モジュールは測定値をPDA105に報告し、PDA105はイベントが発生したか否かを判定する。設定イベントは例えば空気の質が悪いこととすることができる。PDA105上に事前にプログラムされた動作は、PDA105のディスプレイ上に、室内のエアフィルタを交換しなければならないことを示すメッセージを表示することを含むことができる。
【0059】
他の例では、機器モジュール195は、年配の人に接続した機器から、一晩おきの午後9時にグルコース(ブドウ糖)レベルを測定するように設定することができる。機器モジュール195は、グルコースレベルが高過ぎまたは低過ぎであるしきい値レベルを超えたか否かを判定することができ、そして機器モジュール195は警告メッセージをPDA105に送信する。あるいはまた、すべての測定値をPDA105に送信し、PDA105は、事前にプログラムされたしきい値レベルを超えたことの警告のみをユーザーに報告する。
【0060】
さらに他の測定値は、車両内に配置した機器モジュール195に接続した速度計によって測定した車両の速度とすることができる。PDA105は、測定した車両の速度に応じた報告を送信するように設定することができる。従って、速度しきい値を超える毎に、機器モジュール195は変化を検出して即座に速度レベルをPDA105に送信する。他の測定値は、車のエンジン、コンピュータモニター、等の機器のアイドリングとすることができる。機器モジュール195は、機器をアイドリングした時間の長さに応じた報告を送信するように設定することができる。これに加えて、PDA105は、過剰なアイドリングのイベントメッセージを伴うメッセージをバックエンド制御システム150に送信し、そしてバックエンド制御システム150は、他のPDAまたはセル電話機のような事前にロードして設定した受信機に送信することができる。機器モジュール195からPDA105に中継される情報は、アイドリングの時間長を含むことができる。
【0061】
他の具体例では、イベントが、スケジュールされた報告を実行しなければならない時刻に達したことである。この特徴は、PDA105に、日時の参照に基づく間隔で報告する特徴を設定する。従って、ユーザーはPDA105を、事前選択した曜日及び時間についての何らかのパラメータまたはデータを報告するように設定することができる。例えば、ユーザーはスケジュールされた報告の特徴を用いて、PDA105を平日の午前8時、正午、及び午後4時のみに報告し、そして週末日には1回のみ報告するように設定することができる。従って、PDA105が機器モジュール195から複数のメッセージを受信した際にも、PDA105は、ユーザーが指定した時間中にはイベントを報告するのみである。
【0062】
他の具体例では、設定イベントが、機器のオン状態、オフ状態への切り換え(電源投入、切断)である。例えば、空調装置が自動的にオン状態になる際には、機器モジュール195は空調装置がオン状態になったことを検出するように設定することができる。そして機器モジュール195は、AC(Air Conditioner:空調装置)がオン状態になったことを示すメッセージをPDA105に送信する。PDA105はさらに、即座に機器モジュール195に室温を問い合わせるように設定することができ、機器モジュール195は、機器モジュール195に接続された温度計を利用して室温を測定する。機器モジュール195は、現在の室温を含む信号をPDA105に送信し、そしてPDA105は、警告を発生すべきか否かを計算する。空調装置がオン状態であり室温が空調装置をオン状態にするほどでもない場合には、PDAは警告メッセージをそのディスプレイ上に表示し、そしてイベントメッセージをバックエンド制御システム150に送信する。機器モジュール195は、オン状態切り換え及びオフ状態切り換え信号を、キッチン及び家庭用電気製品、2,3例を挙げれば室内灯、貯蔵システム、暖房装置、のような種々の機器及び周辺装置から受信することができる。
【0063】
さらに他の具体例では、設定イベントを、通信装置におけるメッセージの受信または送信とすることができる。通信装置は、ファクシミリ機、インターネットに接続されたコンピュータシステム、電話機、等である。
【0064】
以上で説明したイベント設定は主にPDA105に当てはまるが、イベントの発生を検出するための論理回路、及びイベントの発生に起因する特定動作を実行するための論理回路は機器モジュール195において実現することができる。従って、イベント設定はPDA105上単独で、機器モジュール195上単独で、あるいは機器モジュール195及びPDA105の両方における組合せとして実現することができる。
【0065】
(ジオフェンシング(仮想境界設定))
種々のイベントは「ジオフェンシング」イベントとして設定することができる。ジオフェンシングは、その内部でPDA105が動作し機器モジュール195と関係する設定可能な境界または地理的ゾーンを作成することを伴う。さらに、ジオフェンス(仮想境界を設定)されていた地理的領域に入るか出ることもイベント自体とすることができ、そしてPDA105内にプログラムすることができる。他の具体例では、一旦、PDA105がゾーンに入ると、PDA105は通信モードを切り換えて新たなゾーンに適応し、これにより、PDA105は入ったゾーン内の周辺装置のみと相互作用することができる。さらに、PDA105は、当該ゾーン用の特別な設定をロードすることによって新たなゾーンに適応し、これにより、PDA105は、当該ゾーン内で動作する機器モジュール195を通してゾーン特有の機器と相互作用することができる。
【0066】
設定可能な境界または地理的ゾーンは、中間点及び/またはゾーンの組合せによって構成することができる。この組合せにより、設定可能な境界または地理的ゾーンは、非常に特別な形状に、かつ外形特有の境界または経路で構成することができる。中間点は、地理的中心点及び半径によって規定される円形領域である。中間点によって規定される領域は、上記半径及び中心点の地理的位置を変更することによって設定可能である。従って、中間点によって作成される境界は設定可能である。
【0067】
一具体例では、PDA105に、各々が座標及び半径によって規定される複数の中間点をロードする。ゾーンは複数の中間点によって規定することができる。従って、例えば、市域は2つの中間点によって規定することができる。GPSデータを用いて、PDA105は、このPDAが市域を規定する2つの中間点のいずれかにあるか否かを計算する。PDA105が、このPDAがこれら2つの中間点のいずれかにあることを判定した場合には、PDA105はこのPDAが市域の限界内にあることを仮定する。より多数の中間点はゾーンを規定する分解能を増加させる。従って、2つの中間点を用いる場合には、市域境界の描画線をさらに規定する10個の特別な中間点を追加することによって分解能を増加させることができる。
【0068】
ゾーンは、領域を囲む一連の線分によって規定される不規則な領域とすることができる。一具体例では、各ゾーンは3〜256個、またはそれ以上の屈曲点を含んで、この不規則な領域を規定する線分を作成する。一具体例では、この不規則な領域は設定可能な境界または地理的ゾーンを作成することができる。ゾーンの属性は、名前、記述、及びこのゾーンが立入禁止ゾーンまたは囲い込まれたゾーンであるか否かを定めるフラグを含む。
【0069】
一具体例では、地理的ゾーンは、複数の座標を選択してこれらの座標をPDA105にダウンロードすることによって作成することができる。これら複数の座標はメルカトル系とすることができる。次に、PDA105は各座標を、PDA105にロードされた画素化された画像中の画素に割り当てる。この割り当てを実行するために、PDA105は論理回路を利用して、複数の座標の周りに「境界」の正方形またはボックスを規定する。そして境界ボックスを画素化し、このボックス内に入る座標はアクティブ(有効、選択状態)にされたものとしてマークする。一旦、座標毎に画素を割り当てると、1つの画素から次の画素に線を延ばして、画素化された画像中に閉じた領域を形成する。アクティブにされた画素どうしの間にある経路上の画素もアクティブにされる。こうして、画素の閉じた連続線が形成される。
【0070】
中間点及びゾーンは、データプロセッサ173の演算によって構成される。一旦、中間点を構成すると、この中間点はPDAのロード(データ)中で用いることができる。一具体例では、PDAのロードは、PDA105にロードすべく選択したゾーン及び中間点の集合である。これらのロードは設定ユーティリティ172によってPDAにロードされる。
【0071】
図5Aに、分割されてグリッド(格子)をなす地理的ゾーンの地図(マップ)を示す。まず、画素マップ502を、演算装置に接続されたスクリーン上の地理的な地図としてユーザーに提供する。一具体例では、この演算装置は演算データプロセッサ173(図1)であり、ユーザーは、PDA105を持つあらゆるユーザーによって選択可能にすることのできる一般的な地理的ゾーン(例えば市域の限界)を入力するシステムオペレータである。他の具体例では、演算装置はホームコンピュータであり、ユーザーは、異なる地理的ゾーンを自分のコンピュータ上に設定するPDA105のユーザーである。このホームコンピュータは、ホームコンピュータ上にインストールされたアプリケーションによる直接かつ安全な接続を通して設定ユーティリティに接続される。あるいはまた、このホームコンピュータは、ウェブブラウザを用いてインターネットを通して接続することができる。
【0072】
コンピュータ・アプリケーションまたはインターフェースは、ユーザーが地図と対話することによって境界をカスタマイズし、作成されたゾーンまたは境界を視覚化することを可能にする。設定アプリケーションは地図を表示し、この地図上でユーザーは、ユーザーが規定したい地理的領域504の周りの矩形形状503を選択する。他の具体例では、ユーザーはカスタマイズした形状を規定することができる。そして上記矩形をより小さい矩形に分割し、これにより上記矩形形状は分割されてグリッドになる。グリッド内の各画素をアクティブにして地理的ゾーンの一部とすることができる。
【0073】
一具体例では、ユーザーは各画素上でダブルクリックすることによって各画素をアクティブにすることができる。他の具体例では、ユーザーはより小さい矩形領域を選択し、そしてこのより小さい矩形領域を地理的ゾーン504の一部としてマークし、これにより、このより小さい地理的ゾーン内に含まれる画素がアクティブにされる。さらに他の具体例では、ユーザーは円形領域を地理的ゾーン504の一部として選択することができ、こうした円形領域内のすべての画素はアクティブにされる。他の具体例では、ユーザーは任意にカスタマイズした幾何学的または非幾何学的形状を規定することができる。
【0074】
ユーザーは、領域を規定する分解能を選択することもできる。換言すれば、選択した領域を再分割して矩形のグリッドにする際に、グリッドはずっと多数の垂直及び水平ラインを含み、これにより、再分割から得られたグリッド矩形の数が増加する。矩形数の増加は分解能を増加させる、というのは、各矩形はより小さい地理的領域をカバーするからである。領域を規定するに当たり細密にすることを望むユーザーは、グリッド矩形のサイズを低減し、これにより領域の分解能を増加させることができる。
【0075】
増加した領域の分解能は、ユーザーが例えば家屋の地理的領域を規定することを可能にすることができ、カバーされる地理的領域は州の地理的領域よりずっと小さい。家屋の地理的領域の周りの境界線は、非常に高い分解能によってのみ識別することのできる細密さを持つことができる。他方では、ある州に入ったことを大まかに知ることに関心のあるユーザーは、州領域の大きな分解能は必要としない。従って、州の領域を規定するのに必要な分解能は低く設定することができる。
【0076】
そして、選択した各矩形を画素にマッピング(写像、対応付け)する。従って、一旦、望みのすべての画素をユーザーが地理的ゾーン504の一部として選択すると、矩形形状503は画素化されたコンピュータ画像にマッピングされる。一具体例では、画素化されたコンピュータ画像はグリッド内のセクション(区分)数と同数の画素を含む。そして画素化されたコンピュータ画像はPDA105にロードすることができる。PDA105は、実体(エンティティ)の位置を、PDAの位置に当たる画素がアクティブ(有効、選択状態)にされているか非アクティブ(無効、非選択状態)にされているかの単純な計算で特定するようにプログラムすることができる。他の具体例では、矩形領域及び円形領域を選択することによって地理的ゾーンを規定する。円形領域は中間点によって規定することができる。
【0077】
不規則なゾーンまたは地理的ゾーンは、中間点の集合及び画素化された画像によって規定することができる。さらに、各不規則なゾーンは、実体の速度しきい値、「飛行禁止地区」としてフラグが立てられていること、危険または安全への脅威の順にカラーコード化されていること、通信が許可または禁止されていること、等のような追加的パラメータを持つことができる。
【0078】
PDA105が中間点またはゾーンに入るかこれらから出る際に、入るか出るかした基準点またはゾーンを示すイベントメッセージを送信することができる。このイベントメッセージは、緯度、経度、速度、方向、時刻、入力の状態、走行距離計、イベントの理由または源、及び他の関連情報を含むことができる。ゾーン境界及び中間点は、ユーザーが複数のゾーンに入って当該ゾーンの機器と対話することを可能にする。これに加えて、ゾーン及び境界は、ユーザーがPDA105に、第2のPDAを着けている他のユーザーの位置の情報を受信させることを可能にする。従って、PDAのユーザーは、州境界または指定ルート(経路)のような設定可能な境界または地理的ゾーンを通って進む他のPDAのユーザーの位置を監視する能力を持つことができる。
【0079】
一具体例では、中間点及びゾーンのイベントが1つ以上の動作を行うように設定可能である。例えば、ゾーンに入った際に、PDA105は、統合されたスクリーン上に表示するか、あるいは歌の名前を有する音または事前録音を出すかのいずれかによって、新たなゾーンの名前を示すように設定することができる。これに加えて、ゾーンに入ったイベントに起因して他の動作を実行することができる。例えば、PDA105は、入ったゾーンが新たなタイムゾーンであるか否かを算出し、新たなタイムゾーンであれば、新たなタイムゾーン及び現在時刻を示すことができる。
【0080】
図5Bに、地理的領域を表わす画素化した画像500を示す。一具体例では、所定ゾーンについてのすべての屈曲点をアップロードした後に、このゾーンをPDA105のメモリーモジュール280に画素マップ500の形式でセーブ(保存)する。画素マップ500は、まずゾーンの領域全体の周りに正方形を描くことによって作成される。そしてこの正方形を80×80の画素マップに分割する。各画素505は正方形である。そしてこれらの正方形を用いてゾーン515の外形形状510を描く。そして地理的領域を画素マップ500の各画素505にマッピングする。
【0081】
他の具体例では、設定するコンピュータ内に画素化した画像を作成する場合には、この画像を単にPDA105上にロードし、PDA105は自分で画像を構築または構成する必要はない。
【0082】
画素マップ500中の固定位置520は、PDA105の現在の地理的位置からマッピングされる。ゾーン毎の固定位置520毎にテストを実行して、PDA105がゾーン515の内部にあるかゾーン515の外部にあるかを判定する。こうして、ゾーン515毎に、固定位置520が画素マップ500の内部にあるか外部にあるかの単純なチェックでテストを開始する。現在の固定位置520が画素マップ500の内部にある場合には、固定位置520を境界ボックスの内部にプロットし、固定位置520から4本の線を4方向(東西南北)に、画素マップ500の境界まで引くことによって、より広範囲のテストを完了する。これに続いて、4本の線525毎に、ゾーン境界との交差530の数を数える。
【0083】
正確を期すために、複数の境界交差テストを実行する。所定の線525がゾーン境界510を奇数回交差する場合には、固定位置520はゾーン515の内部にあるものと考える。所定の線525がゾーン境界を偶数回交差する場合には、固定位置520はゾーン515の外部にあるものと考える。4回の境界交差テストのうち少なくとも3回の結果が合えば、ゾーン境界交差530を用いて、固定位置520がゾーンの内部にあるか外部にあるかを判定する。4回の境界交差テストのうち3回の結果が合わなければ、固定位置520はゾーン515の外部にあるものと考える。
【0084】
画素マップ500中の特定位置にある固定位置520は、特定の位置結果を生じさせ得る。一具体例では、ゾーン境界510上にある固定位置520がゾーン境界510の外部にあるものと判定される。他の具体例では、ゾーン境界510上にある固定位置520がゾーン境界510の内部にあるものと判定される。一具体例では、1画素のみの幅の「細長い突起」上にある固定位置520は、常にゾーン515の内部にあるものと考えられ得る。他の具体例では、1画素のみの幅の「細長い突起」上にある固定位置520は、常にゾーン515の外部にあるものと考えられ得る。
【0085】
(PDAへのコマンド)
PDA105は、無線で送信される種々の質問及び設定コマンドに応答するように設定することもできる。位置の質問は、最後の有効なGPS位置、速度、進行方向、時刻、及び機器モジュール195から受信するか、あるいはPDA105の計算によって求めた他のデータを返送することを命令する。PDA105は、衛星モデム上で送信される種々の質問コマンドに応答するように構成することもできる。
【0086】
質問コマンドを受信すると、PDA105はそのデータの状態、接続中の機器、及びこれらの接続中の機器からの最後の測定値及び状態信号を返送する。PDA105に送信される質問コマンドの他の形態の例は、機器モジュールからの入力、機器モジュールへの出力、受信した測定値、GPS情報、ファームウェアのバージョンの質問、衛星の状態の質問、等である。
【0087】
他の随意的なコマンドは警告の確認応答である。このコマンドは、優先イベントの送信を終了させるべくPDA105に送信される(パニック、医療また沿道の支援は優先イベントの例である)。警告の確認応答を受信すると、現在のイベントについてのさらなる優先メッセージは送信されない。
【0088】
他の具体例では、コマンドは、テキストメッセージを、PDA105から通信ネットワークを通して、テキストメッセージを受信し解釈するように設定された装置、例えばページャ(ポケットベル)、セルラー電話機、または他の無線装置に送信することとすることができる。
【0089】
GPSのドリフトに対抗する取り組みでは、2つのパラメータを含めて、GPS受信機から受信したGPS位置をフィルタ処理(選別)する。これら2つのフィルタは、最大許容速度及び最大許容加速度に基づく。これらのパラメータはインストールの種類に合わせてカスタマイズすることができる。パケットをGPS受信機から受信し、これら2つのパラメータのいずれかを超過した場合には、位置パケットを廃棄する。
【0090】
(機器モジュールへのコマンド)
PDA105と全く同様に、機器モジュール195も、無線で、あるいはインターネットを通して送信される種々の質問及び設定コマンドに応答するように設定することができる。機器モジュール195によって受信される大部分のコマンドはPDA105から出すことができる。
【0091】
他の具体例では、コマンドは、前に説明したように機器モジュール195の機能を設定する設定コマンドである。設定コマンドの例は、定時報告を設定する、新たなファームウェアをアップロードする、血液試料中のある物質の超過/最高しきい値を設定する、短距離無線通信を有効(イネーブル状態)にする、過剰なアイドリングのイベントを設定する、臨界電力レベルを設定する、スマートな定時報告を設定する、スケジュールされた報告を設定する、機器の状態を質問する、機器の測定値を質問する、機器をオン状態にする、機器をオフ状態にする、等である。
【0092】
機器モジュール195は、履歴報告の構成要素を含むことができる。機器モジュール195が、主要な通信リンク経由のカバー範囲でないためにデータパケットを送信することができない際にいつも、パケットを、オンボード(ボード上の)フラッシュメモリー記憶装置上の少なくとも2つの履歴ログ(記録)のうちの1つに記憶する。PDA105が送信範囲内にあることを機器モジュール195が判定した際に、あるいは、PDA105が機器モジュール195に質問をしている場合には、機器モジュール195は、通信リンクが再確立されたことを判定し、メモリーに記憶されているあらゆるパケットを順に、優先として識別されているメッセージを最初にして送信する。例えば、機器140からの測定値からの緊急情報は優先メッセージであり、接続が再確立された際に最初に送信されるメッセージとなる。
【0093】
また機器モジュール195は、バックエンド制御システム150からインターネットを通してコマンドを受信する。これらのメッセージは、製造における生産速度のような特定情報を要求するコマンドであり、ここで機器モジュール195はパッケージマシン(梱包機)に接続されている。さらに他の具体例では、機器モジュール195を、極めて緊急の場合にインターネットに接続して測定値をバックエンド制御システム150に報告するように設定することができる。例えば、機器モジュール195が、室内に高いレベルの煙が存在することを示す測定値を機器または装置から受信した場合には、機器モジュール195はインターネット接続、または直接的なゲートウェイのような他のネットワーク接続を利用して、バックエンド制御システム150に接続する。バックエンド制御システム150はイベントメッセージを受信し、このメッセージをPDA105に中継する。
【0094】
(バックエンド制御システム)
バックエンド制御システムは、システムがより理解力のあるものとなり、そして他の計算システムとの大規模な接続性を持つことを可能にする。しかし、バックエンド制御システムは、環境内の機器または周辺装置の監視及び制御の実現には必要でない。このことは、すべての監視及び制御機能はPDA105に置くことができるからである。
【0095】
図6に、バックエンド制御システム150の構成要素図を示す。この図は、複数のゲートウェイシステム151〜153、コーデック155、非同期ルーティング(経路設定)システム159を含む。非同期ルーティングシステム159は、ウェブサーバー158、複数のルーター(経路設定器)システム620、622、リアルタイムデータベース630、履歴データベース642、及びリソース(資源)データベース670を含む。
【0096】
一具体例では、リアルタイムデータベース630は、PDA105からの最新の情報、例えば位置、速度、方向、関連機器、関連の地理的ゾーン、等の記録を維持することができる。履歴データベース642は、非同期ルーティングシステム159が受信及び送信したすべてのイベント及びトランザクションの記録を維持する。最後に、リソースデータベース670は、システムの一部であるすべての機器モジュールの記録を保持する。
【0097】
バックエンド制御システム150は、コンピュータサーバーの任意の組合せ上で動作するように構成することができる。一具体例では、複数の通信ゲートウェイシステム151〜153が独立したコンピュータシステム上で動作する。他の具体例では、通信ゲートウェイ151〜153が共通のコンピュータシステム上で動作する。
【0098】
通信ゲートウェイシステム151〜153は、データフローを各PDA105からバックエンド制御システム150に指向させる。ゲートウェイシステム151〜153は、コマンド及び質問も適切なPDA105に指向させる。各ゲートウェイは、通信ネットワーク651〜653との通信リンクを確立して維持する。一具体例では、ゲートウェイは、インターネット/セルラーネットワーク651に接続されるユニバーサル・データグラム・プロトコル/インターネット・プロトコル(UDP/IP:Universal Datagram Protocol/Internet Protocol)パケット受信機及び送信機151である。データを送信及び受信するUDP/IPゲートウェイ151は2つ以上存在し得る。UDP/IP151は、バックエンド制御システム150がGSM/GPRS(Global System for Mobile Communication/General Packet Radio Service)、CDMA/1xRTT(Code Division Multiple Access/1x Radio Transmission Technology)、及びCDPD(Cellular Digital Packet Data)ネットワーク上でUDPパケットを用いて通信することを可能にする。
【0099】
他の具体例では、ゲートウェイシステムは、ショートメッセージサービス(SMS:Short Message Service)ネットワーク652に接続されるショートメッセージ・ピア・ツー・ピア(SMPP:Short Message Peer-to-Peer)ゲートウェイ152である。複数のSMPPゲートウェイシステム152が、SMSネットワーク上でSMPPプロトコルを用いて通信するPDA用のデータを送信及び受信する。各SMPPゲートウェイシステム152は、サービスプロバイダ(サービス提供者)のショートメッセージ・サービスセンター(SMSC:Short Message Service Center)への連続的な接続を入りデータ用に開放させて維持し、これにより、PDA105によるSMSCからのデータの受信を保証する。
【0100】
他の具体例では、ゲートウェイシステムは衛星ネットワーク653に接続される衛星ゲートウェイ153である。図1に示すように、衛星ネットワーク653は1つ以上の衛星130、及び少なくとも1つの地上局145を含むことができる。衛星ゲートウェイ153は、衛星通信を通して通信するPDA105用のデータを送信及び受信する。一具体例では、衛星通信プロトコルは、8バイトのデータパケットを使用するインマルサット衛星のものとすることができる。衛星ゲートウェイ153は、衛星ネットワーク653への連続的な接続を開設し維持する。
【0101】
非同期ルーティングシステムとPDA105との通信は、適切なゲートウェイシステム151〜154を通るチャンネルとなる。適切なゲートウェイシステム151〜154は、PDAの製造業者、通信プロトコル、及びサービスプロバイダの一意的な組合せに基づいて選択する。例えば、CDPD通信を用いるPDA105は、SMS通信プロトコルを用いるPDA105とは異なるゲートウェイシステム151〜154を通るように経路設定される。同様に、CDPDのような同じ通信プロトコルを用いるが異なるサービスプロバイダを有するPDA105どうしは別個のゲートウェイを有する。
【0102】
ゲートウェイシステム151〜153が入りの各データパケットを受信する際に、ゲートウェイ151〜153は各パケットに、到着日時、PDA105の製造業者の情報、PDA105のアドレス情報のタグを付け、パケットを再パッケージ(梱包)してコーデック155に送信する。そしてゲートウェイ151〜153は再パッケージしたデータをキュー(待ち行列)665に書き込み、このデータはコーデック155によって読み出される。
【0103】
ゲートウェイシステム151〜153が出のパケットを出のキュー661〜664から受信すると、ゲートウェイシステム151〜153はアドレス情報を用いてパケットをターゲット(目標)PDA105に送信する。必要であれば、ゲートウェイシステム151〜153は送信前に、ゲートウェイシステム151〜153が対応するネットワーク651〜653への開放され有効な接続を有することを確認する。各ゲートウェイシステム151〜153は少なくとも1つの対応する出のキュー661〜663を有する。例えば、各UDP/IPゲートウェイ151は少なくとも1つの出のUDP/IPキュー661を有する。各SMPPゲートウェイ152は少なくとも1つの出のSMSキュー662を有する。各衛星ゲートウェイ153は少なくとも1つの出の衛星663を有する。各SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)メール・ゲートウェイ154は少なくとも1つの出のSMTPキュー664を有する。
【0104】
パケットを入りのキュー665内に置いた後に、種々のネットワークから来るデータを標準的なデータフォーマットに復号化する。同様に、パケットを出のキュー661〜664に置いた後に、異なる通信ネットワークに行くデータを、標準的なデータフォーマットからネットワーク特有のデータフォーマットに符号化する。こうしたデータの符号化及び復号化はコーデック(コーダ−デコーダ(符号復号器))155によって実行される。コーデック155はより大きなフレキシビリティを可能にする、というのは、新たな通信ネットワーク・プロトコルの導入が非同期ルーティングシステム159にとって透過的(トランスペアレント)になるからである。従って、新たなPDAモデルが新たな通信ネットワーク・プロトコルを使用する場合には、バックエンド制御システムをアップグレード(機能向上)する必要はない。必要なシステム・アップグレードはコーデック155のアップグレード、及び必要ならば新たなゲートウェイのアップグレードである。
【0105】
パケットが非同期ルーティングシステム159に到来する際には、コーデック155が受信する入りのパケットの各々をまず検査してPDAモデルを判定する。コーデック155が指定されたPDAモデルをサポートする場合には、データはPDA105の独自のフォーマットから標準的なシステムフォーマットに変換される。一旦、コーデック155がデータを解釈すると、コーデック155はこのデータを応答キュー610に書き込む。コーデック155がPDAモデルを認識しない場合には、コーデック155はサポートしないデータの記録を付けてこのデータを指定されたシステムまたはネットワーク技術者にe−メールで送信する。
【0106】
パケットが非同期ルーティングシステム159から送信される際に、コーデック155は、このパケットを送信すべきPDAモデルを特定する。コーデック155が指定されたPDAモデルをサポートする場合には、データは標準的なシステムフォーマットからPDA105の独自のフォーマットに変換される。同様に、パケットをPDA105ではない他の装置に送信する場合には、コーデックは自分がこの装置をサポートするか否かを判定し、サポートする場合には、このパケットを適切なフォーマットに変換する。一旦、コーデック155がデータを解釈し符号化すると、コーデック155はパケットを、適切な種類のネットワーク通信プロトコルに対応するキュー内に置く。SMSパケットデータは出のSMSキュー662内に置く。コーデック155がPDA105のモデルをサポートしない場合には、コーデック155はサポートしないデータの記録を付けてデータを指定されたシステムまたはネットワーク技術者に送信する。
【0107】
一旦、パケットがコーデック155によって処理されると、パケットは出のパケットであるか入りのパケットであるかに応じて処理される。出のパケットは適切な出のキュー661〜664に置かれる。入りのパケットは、非同期ルーティングシステム159によって応答キュー610内に受信される。応答キュー610はパケットを応答ルーター620に供給する。応答ルーター620は、クライアント・コンソール176が、入りのメッセージに関連するPDA105または機器モジュール195を追跡しているか否かを判定する。これらを追跡している場合には、応答ルーター620は入りのメッセージを適切なクライアント・コンソール176に経路設定する。従って、クライアント・コンソール176は、非同期ルーティングシステム159における他のプロセスの前にメッセージを受信する。クライアント・コンソール176が入りのメッセージに関連するPDA105または機器モジュール195を追跡していない場合には、応答ルーター620はこの入りのメッセージを新たなイベントキュー621内に置く。新たなイベントキュー621は新たなイベントルーター622にデータ供給する。新たなイベントルーター622は各入りのメッセージを分析して、この入りのメッセージがPDA105に対する新たな優先イベントに関連するか否かを判定する。新たなイベントルーター622は、リアルタイムデータベース630内でPDA105または機器モジュール195に関連する類似のイベントを探索することによって、この入りのメッセージが新たなイベントに関連するか否かを判定する。PDA105に対するイベントが記録されていないか、あるいはイベントが高い優先度のものである場合には、新たなイベントルーター622はルーティング要求を、この入りのメッセージを見る許可を持つすべてのクライアント・コンソール176に送信する。この要求は、少なくとも1つのクライアント・コンソール176がこのルーティング要求を受け入れるまで間欠的に送信される。一旦、ルーティング要求が受け入れられると、クライアント・コンソール176はPDA105をクライアント・コンソール176の一覧表に追加して、上記入りのメッセージを処理できるようにする。
【0108】
非同期的に、履歴キュー640はすべてのPDA105について、入り及び出のメッセージ、及び機器モジュール195からのすべてのメッセージを受信する。入りのメッセージは履歴キュー640から履歴レコーダ(記録装置)641に供給される。履歴レコーダ641は、有効な緯度及び経度を有するすべてのパケットをジオコード化する。ジオコード情報は履歴データベース641内に保存され、後に報告及び統計分析に使用される。さらに、履歴レコーダ641はすべての入りのメッセージにタイムスタンプ(日時印)を付け、そしてこれらのメッセージに、PDA105からのものか機器モジュール195からのものかを示すタグを付ける。
【0109】
1つの方法では、PDA105または機器モジュール195からの入りのメッセージを、e−メールアドレス、またはセルラー電話機、あるいは他の通信装置に転送することもできる。この機能を達成するために、履歴レコーダ641はまた、ジオコード化した位置を遠隔(リモート)通知キュー680内に置くことによって、ジオコード化した位置及びイベントメッセージ情報を遠隔(リモート)通知ルーター681に送信する。ジオコード化した位置及びイベント情報を受信する遠隔通知ルーター681は、リソースデータベース670に質問をして、受信した設定情報またはイベント情報がPDA105、機器モジュール195、または通信装置177への通知を必要とするか否かを見出す。通知が必要である場合には、遠隔通知ルーター681は適切なPDA105、機器モジュール195、または通信装置177についての接触情報を検索する。そして遠隔通知ルーター681は、PDA105、機器モジュール195、または通信装置177に送信されるメッセージをフォーマット(書式)設定及び符号化する。このメッセージは出のSMTPキュー664内に置いて、SMTPゲートウェイ152を通して送信することができる。そしてこのメッセージは、出のSMSキュー662内に置いてSMPPゲートウェイ152を通して送信することができる。
【0110】
リアルタイムデータベース630は、入りのメッセージに関連する新たなイベント情報でも更新される。従って、リアルタイムデータベース630は所定のPDA105上で報告された最新情報を含む。リアルタイムデータベース630はウェブサーバー158に接続されている。ウェブサーバー158はインターネット160に直接接続され、ウェブトラッキング(追跡)アプリケーション171のユーザーが位置要求、コマンド要求632、及び報告要求633を行うことを可能にする。ウェブサーバー158がウェブトラッキング・アプリケーション171から位置要求631を受信すると、ウェブサーバー158は履歴データベース642に質問をする。履歴データベース642はすべてのイベントを時系列順に含む。ウェブサーバー158は、ウェブトラッキング・アプリケーション171の質問に関係するすべてのトランザクションを検索し、データをウェブトラッキング・アプリケーション171に転送してウェブブラウザ中に表示させる。
【0111】
ウェブサーバー158は位置要求631をウェブトラッキング・アプリケーション171から受信し、ウェブサーバー158はリアルタイムデータベース630に、対応するPDA105の情報を問い合わせる。リアルタイムデータベース630はPDA情報を、現在動作中のPDA105からの真に最終の入りメッセージに関係するものとして提供する。ウェブトラッキング・アプリケーション171は、PDA105の位置を問い合わせることのようなコマンド要求632を送信することもできる。コマンド要求632はコマンド受信機690に送信され、コマンド受信機690は、適切なPDA105にタグ付けすることによって位置要求コマンドを処理する。メッセージはコーデック155によって符号化され、適切な出のキュー661〜664内に置かれ、そして対応するゲートウェイシステム151〜154を通してPDA105に送信される。そしてPDA105は応答を返送し、そしてバックエンド制御システム150はこの応答を処理してリアルタイムデータベース630を更新する。リアルタイムデータベース630が更新された後に、ウェブサーバー631はウェブトラッキング・アプリケーション171の内容をリフレッシュしてPDA105の新たな位置を示す。
【0112】
他の具体例では、ウェブトラッキング・アプリケーション171は機器モジュール195の位置を監視することができる。リアルタイムデータベース630をリソースデータベース670に接続して、機器モジュールの位置を問い合わせることができる。他の具体例では、機器モジュール195の位置情報をリソースデータベース670内のみに置く、というのは、機器モジュールの位置は静止しているものと仮定するからである。そして、ウェブトラッキング・アプリケーション171はリソースデータベース670に直接接続され、機器モジュール195の位置を問い合わせ、この位置は各機器モジュール195の一定の属性として処理することができる。
【0113】
コマンド受信機690は、PDA及び機器モジュールに送信すべきすべての出のメッセージに付随するすべてのコマンドを保有する。コマンド受信機690は、クライアント・コンソール176、管理者コンソール175、またはウェブサーバー158からのコマンドメッセージを受信することができる。コマンド受信機690がコマンドメッセージを受信する際に、コマンド受信機690は出のメッセージの各々に適正なPDA105のアドレスをタグ付けする。同様に、コマンド受信機690は、リソースデータベース670を探索しアドレス情報を検索することによって、上記メッセージに適正な機器モジュール195のアドレスをタグ付けすることができる。各メッセージは、コマンド受信690によってコーデック155に送信され符号化される。
【0114】
一具体例では、コマンド受信機690によって処理されるコマンドのすべてが最終的に、遠隔的にPDA105または機器モジュール195に送信される。コマンドの好例は位置問合せコマンドである。この問合せコマンドを受信すると、PDA105は最後の有効な位置、速度、方向、時刻、及び入力の状態を返送する。
【0115】
他の具体例では、コマンドをPDA105または機器モジュール195に指向させて測定値の問合せの要求を行う。この問合せのコマンドを受信すると、PDA105または機器モジュール195は、特定機器または接続された装置の最後に更新した測定値を返送することができる。他の具体例では、測定値問合せコマンドが機器モジュール195をトリガして他の測定値を取得してバックエンド制御システム150に中継返送する。他の方法では、あらゆる所定測定値に対して、応答を「ハイ(高)」、「ロー(低)」またはあらゆる所定のものとすることができる。
【0116】
他の具体例では、コマンドが警告確認応答である。このコマンドはPDA105または機器モジュール195に送信して、緊急信号を受信し確認応答したことをPDA105または機器モジュール195に指示することができる。この緊急信号は、パニック、沿道支援、または医療支援のようなあらゆるイベントに関するものとすることができる。警告確認応答を受信すると、現在のイベントについてのさらなる緊急メッセージはPDA105または機器モジュール195から送信されない。PDA105または機器モジュール195に送信される他のコマンドの好例は、報告の時間間隔を設定すること、IPアドレスを設定すること、及び新たなファームウェアをアップロードすることである。
【0117】
非同期ルーティングシステム159は種々の制御コンソールと相互作用する。報告コンソール174はリソースデータベース670に接続されて機器モジュールの情報を表示する。管理者コンソール175もリソースデータベース670に接続して、機器モジュール195、PDA105、及びユーザー情報を検索することができる。管理者コンソール175はコマンド受信機690にも接続されてコマンドをPDA105に送信する。操作データプロセッサ173は、リソースデータベース670に接続されて、特定のユーザー、PDA105、または機器モジュール195についての設定情報を検索する。最後に、クライアント・コンソール176も、PDA105についての情報を応答ルーター620または新たなイベントルーター621から受信し、そしてPDA105または機器モジュール195に関連する情報をリソースデータベース670から検索する。またクライアント・コンソール176は、コマンドをコマンド受信機690に送信することによって、このコマンドをPDA105に送信する。
【0118】
(論理階層)
図7に、システムの論理構成要素の階層を示す。この論理構成要素の階層は、異なる論理構成要素及びその機能の互いの関係を示す。例えば、論理構成要素ブロック702はメンバーに関するアカウントを表わす。メンバーは論理構成要素ブロック704によって表わされる。アカウントは、バックエンド制御システム150、またはすべての論理構成要素を単一のデータベースに集積することを可能にするポータルのホストによって確立することができる。一方法では、ポータルに対するホストはサーバーコンピュータ内に存在する。他の具体例では、ポータルのホストは機器モジュール195とすることができる。
【0119】
論理構成要素ブロック702と論理構成要素ブロック704との関係は多対多の関係である。従って、アカウントは複数のメンバーに関係し、あるアカウントに属するメンバーは、このアカウントに属する情報にアクセスし、このアカウントに属する設定を維持することができる。他の具体例では、メンバーは複数のアカウントを持つことができる。メンバーは、例えば2つのPDA105を利用し、PDA105毎にアカウントを持つならば、異なるアカウントに加入することができる。
【0120】
メンバーのアカウントへのアクセスは許可によって制御される。各メンバーは割り当てられた許可を持つ。論理構成要素ブロック706はメンバーと割り当てられた許可との関係を示す。管理者の特権を持つメンバーは他のメンバーに特権を与えることができる。PDA105の所有者には管理者の特権を割り当てることができる。この所有者は、所有者のPDA105に接続された健康管理装置(ヘルスモニター)とやり取りする許可を医者に与えることができる。他の例では、所有者は、PDA105を監視することによってPDA105の所有者の運転の癖を見る許可を保険会社に与えることができる。
【0121】
許可は、メンバーが、アカウント内の装置に対する設定能力、並びにアカウント内の装置から受信した情報にアクセスすることを可能にする。例えば、論理構成要素ブロック710は、遠隔的な通知を受信する許可を持つメンバーによって受信されるこうした遠隔的な通知に対応する。あるいはまた、適正な許可を持つメンバーは遠隔的な通知の送信及び受信を設定することができる。こうした通知は、PDA105または他の無線装置によって受信される。一方法では、こうした通知はイベントの発生に関係する。こうした通知は、e−メール、SMSメッセージ、インスタントメッセージ、音声メッセージ、ネットワーク・ポップアップ(小画面)、及び英数字のページ、等とすることができる。
【0122】
論理構成要素ブロック712はリアルタイム追跡(トラッキング)機能に対応する。メンバーが適正な許可を持つ場合には、このメンバーは自分のPDA105上で資産を監視し、処理フローの更新を受信し、送付スケジュールを更新することができる。同様に、論理構成要素ブロック714では、適正な許可を持つメンバーは、PDA105を利用して資産を監視し、他のメンバーとの通信を管理することができる。最後に、論理構成要素ブロック712の許可は、論理構成要素ブロック716に示すように、ユーザーが履歴データにアクセスすることを可能にすることができる。履歴データの好例は、論理構成要素ブロック720に示すアカウントデータである。正しい許可を持つメンバーのみが、入り及び出のトラフィック並びにこのトラフィックを生成した装置に対応する詳細なアカウントデータを持つことができる。論理構成要素ブロック718に示すように、前に与えた許可を有するウェブサーバーも履歴データにアクセスすることができる。
【0123】
論理構成要素ブロック720は、所定メンバーに属する装置に対応する。これらの装置はごく一般にはPDA装置105であるが、ポータルはPDA装置105のサポートに限定されない。装置の設定は、バックエンド制御システム150または他のポータルのホストに入力され、そして連続的に、あるいは無線でのいずれかでこれらの装置にダウンロードされる。これらの装置は、無限数の内部及び外部データ源とインターフェース接続して情報を収集するように設定されている。これらのインターフェースは、PDA105に直接配線するか、あるいはブルートゥースまたはセルラー伝送経由でデータを伝送することができる。
【0124】
PDA105はイベントドリブン(事象駆動型)に設計され、例外が生じた際のみにデータを送信する。この方法は、無線で送信されるデータの量を制限して帯域幅を保つ。このことは、内部データ源と外部データ源との任意の組合せに対して設定することのできるルール及びしきい値を用いて達成される。ルールが破られるかしきい値を超えると、顧客が規定したイベントを生成することができる。これらのイベントの伝送は、伝送ルール及び装置の動作設定によって制御される。
【0125】
イベントは、論理構成要素ブロック722に対応する周辺装置、論理構成要素ブロック724に対応するGPS装置、論理構成要素ブロック726に対応する環境、論理構成要素ブロック728に対応するジオフェンス、及び論理構成要素ブロック730に対応する動作設定のような他の装置との相互作用に関して設定する。
【0126】
周辺装置は、ホスト装置に情報を渡すことのできる測定機器、例えば機器モジュール195のようなあらゆる外部監視装置を含むことができる。周辺装置は、健康管理装置、環境条件センサ、処理フローシステム、車両及び車両上の装置を含む。
【0127】
(複数環境)
これらの装置に関連する環境は家庭環境、オフィス環境、車両、レストラン、等とすることができる。ジオフェンスは、あらゆる環境または市、国、地区、等のような地政学的な分割の境界線を描くように構成し設定することができる。ジオフェンスは、中間点、ゾーン、経路、または中間点の集合、ゾーンの集合、経路の集合、あるいはこれらの任意の組合せとすることができる。
【0128】
図8に、PDAが動作する複数の環境を示す。一具体例では、個人がPDA105を所有し、そしてこのPDAを、自分の家庭環境190及び自分の職場環境804を認識するように設定する。ユーザーは、自分がPDAを操作して制御を行いたい環境を規定する境界を選択することができる。家庭環境190は地理的ゾーン810によって規定することができ、職場環境は地理的ゾーン820によって規定することができる。上述したように、これらの地理的ゾーンは不規則な境界線を描き、そしてPDA105内に記憶されるように設定することができる。
【0129】
一具体例では、PDA105はGPS情報を、事前記憶した地理的ゾーン810及び820と組み合わせて利用して、このPDAが家庭環境190内または職場環境804内にあるか否かを判定する。従って、PDA105は、機器モジュール195または各環境内の他の装置に信号通知してPDA105の存在を確立する必要はない。むしろ、PDA105は、GPSデータ、及び自分が新たな位置にあるか否かの「知識」に基づいて、その位置を計算する。PDA105のGPS受信機215から得られたデータを利用して、PDA105の位置をジオコード化する。PDA105の位置は、周期的にジオコード化し、そして地理的ゾーン内で計算することができる。各地理的ゾーンは関連する座標データを有し、この座標データをGPS受信機215から得られたデータと比較して、PDA105がその地理的ゾーン内にあるか否かを判定する。
【0130】
PDA105が1つの位置から他の位置(例えば家庭環境から車両環境)に移動すると共に、この携帯装置は新たな位置を認識し、この位置に関する動作モードに切り換わる。例えば、携帯装置が家庭環境190の敷地を出て車両の車体に入った場合には、PDA105は家庭用電気製品との相互作用を中止し、車両の部品との相互作用を開始する。実際には、携帯装置は位置特有の挙動を行う。
【0131】
従って、PDA105が、自分がまだ地理的ゾーン810内にあるものと判定した場合には、PDA105は家庭環境190に対応する設定をロードする。即ち、PDA105が家庭環境190内にあることを判定し次第、PDA105は、機器モジュール812との通信が可能であることを仮定し、そしてファクシミリ機196、テレビジョン装置192、及びガレージドア開閉器194及び警報システム802への情報の送信及びこれらからの情報の受信を開始する。
【0132】
PDA105は、ガレージドア開閉器194または家庭のガレージドアにおける他のロック(施錠)システムと通信するように設定することができ、これにより、PDA105を携行する個人が地理的領域810に入ると、ガレージドアが解錠されて開く。同様に、PDA105は警報システム802と通信して、警報システム802を無効(ディスエーブル)にすることができることを示し、そしてテレビジョン装置192と通信してこれをオン状態にすることができる。ファクシミリ機196がオフ状態である場合には、この個人が地理的領域810に入り次第、PDA105は機器モジュール812に信号を送信して、ファクシミリ機196がオン状態することを伝えることができる。他の具体例では、機器モジュール812が一酸化炭素検出器に接続され、一酸化炭素のレベルが高い場合には、機器モジュール812は、個人が地理的領域810に入る際にこの個人と通信し、危険の警告を伝えることができる。
【0133】
他の具体例では、各自がPDA105を持つ複数の家族員(例えば父親、母親、息子、及び娘)を有する家族において、各PDA105の設定を異ならせることができる。例えば、各PDA105は、例えば息子に対しては家庭及び学校、娘に対しては家庭、学校、及び近所のようなユーザー特有の位置に対応する複数の地理的ゾーンに設定することができる。娘のPDA105は不安全な近所についての地理的領域、及び不安全な近所に入ったことを示すイベント警告を、危険な近所から出る方法の指示と共に含むことができる。娘に属するPDA105が不安全な地理的領域内にある際には、この携帯装置は一方の親のPDA105にこのことを報告することができる。
【0134】
同様に、PDA105と通信する周辺装置は家族のメンバーから他の家族のメンバーへと変化することができる。例えば、親のPDA105は、警報システム、キッチンの電化製品、及び火災検知器と相互作用するように設定することができる。子供の携帯装置は、火災検知器及びテレビジョンのみと相互作用するように設定することができる。従って、子供の装置はキッチンの電化製品とは通信しない。それにもかかわらず、親の携帯装置及び子供の携帯装置は共に、火災検知器からの警報を受信する。さらに、家族の各メンバーのPDA105と通信する機器モジュール195は異ならせることもできる。
【0135】
図9に、PDAを利用して、PDA内に設定したリモート(遠隔)位置にある異なるプロセスと対話する管理者(マネージャ)を示す。一具体例では、製造プラントの所有者である個人は、この製造プラント内の装置と通信するPDA105を所有する。この製造プラントはさらに、これらの装置によって監視される種々のプロセスを含む。これらの装置は、機器モジュール195を通して所有者のPDA105と通信する。機器モジュール195は、セルラーネットワーク上でPDA105と通信する。
【0136】
一具体例では、機器モジュール195は、セルラーネットワーク910上でPDA105と通信することを可能にするセルラーモデムを含む。そして機器モジュール195は、イベント信号、例外、及び確認応答をPDA105に送信することができる。他の具体例では、機器モジュール195はインターネットを通してPDA105と通信する。機器モジュール195は、PDA105をインターネットに接続し、ゲートウェイを通して情報をPDA105に送信することを可能にするイーサネット(登録商標)カードを含むことができる。さらに他の具体例では、PDA105が最適な近さにある場合に、機器モジュール195がWi−Fi、ブルートゥース(登録商標)、ワイヤレスUSB、等経由でPDA105に接続される。
【0137】
プラントの所有者は、種々のプロセスを制御することができる。例えば、所有者は管理者914の役割をすると共に、DAT105を利用して、プラントにおける種々のプロセスについての情報を遠隔的に制御し受信することができる。従って、管理者914は自動化された製造プロセス902、904、906、及び908をリアルタイムで監視し制御することができる。各プロセスが完了すると、すべての進行中の活動の現在状態を含むマスタースケジュールがローカルネットワーク上で更新される。マスタースケジュール916はPDA105内に駐在させることができ、そしてプロセス毎の完了時間のような属性を含むことができる。プロセスが時間通りに完了していない場合には、機器モジュール195には、プロセスが完了していないことを管理者914に通知するイベントを設定することができる。
【0138】
他の具体例では、マスタースケジュール916における各変化が即座に送信されて、マネージャ914に関連するPDA105にロードされた同一のスケジュールが更新される。
【0139】
図10に職場環境を示し、ここではPDAが他のPDAの職場環境からの近さに依存して動作する。一具体例では、転送センター1010の管理者1008が、機器モジュール(図示せず)及び転送センター1010内の装置と通信するPDA105を所有する。機器モジュールは、PDA105との接続性を与えるセルラーネットワーク1012に接続することができる。他の具体例では、機器モジュールがインターネットを通してPDA105に接続される。
【0140】
一例では、転送センター1010が種々の州及び国から貨物を受け取る。入荷のトラック1002の運転者も、転送センター1010と通信するPDA1005を用意することができる。この運転者のPDA1005は、毎日のスケジュール及び複数の配送ゾーンがそのメモリーにロードされている。配送ゾーンは、トラックが近づくかそこかそこに向かって進行中のゾーンに対応する境界とすることができる。
【0141】
例えば、トラック1002がゾーン1030に入りつつある。PDA1005は、ソーン1030に入る際に、第1ゾーン1030に入ったことを示すイベントメッセージを転送センター1010に送信するように設定することができる。転送センター1010では、機器モジュールまたは他の計算装置は、トラック1002がゾーン1030に入ったことのイベントメッセージを受信する。機器モジュールは、トラック1002がゾーン1030に入る際に動作をトリガするように構成することができる。こうした動作は例えば、トラック1002がゾーン1030に入ったことを示すメッセージをPDA105に送信することとすることができる。他の具体例では、機器モジュール上に設定することのできる他の動作を、トラック1002の到着の準備をするプロセスを開始することとすることができる。こうした準備は、貨物を受け取る設備及び人員を用意することを含むことができる。他の具体例では、機器モジュールによる動作は、トラック1002及びその貨物の推定到着時刻をウェブページ上に記入する通知をウェブサーバーに送信することとすることができる。
【0142】
トラックが転送センター1010に近づくと共に、さらなる準備が行われる。複数のトリガが、タイミング良く順序立ったトラック1002の到着の準備を可能にし、荷降ろしドックの割り当て、特別な道具及び設備、及びトラック1002が必要とする人員を伴う。他のトラックが転送センター1010に到着すると、このトラックの情報に応じた他のイベントを設定することができる。
【0143】
転送センター1010への接近は、事前設定された動作を発生させるイベントを連続的に生成することができる。例えば、一旦、トラックがゾーン1020に入ると、PDA1005は、貨物の状態、より正確な到着時刻、交通状況、等を伴うメッセージを送信する。転送センター1010にある機器モジュールはPDA1005から情報を受信し、機器モジュール上に設定されたイベントに応じて、この情報に対応する動作を実行する。トラック1002がゾーン1012に入ると、PDA1005は、ゾーン1012に入ったことを示す他のメッセージを送信する。機器モジュールはゲートのドアに命令して、トラック1002を転送センター1010にいれるためにドアを開放させる。
【0144】
PDA1005に設定した各ゾーンは、中間点、不規則なゾーン、または複数の中間点、不規則な境界、等とすることができる。従って、一具体例では、これらのゾーンは州境界、国境、市境界、及びビジネス(業務)地域の境界とすることができる。トラックが州に入ると、特定イベントが発生するように設定することができる。同様に、トラック1002が国境内に入ると、他のイベントが発生し、その結果ある動作が実行されるようにすることができる。例えば、国境内に入った後に、PDA1005はフリーザー(冷凍機)を電源遮断して製品の解凍を開始することができる。トラック1002が市または目的地の近辺に入ると、他のイベントを発生させることができる。
【0145】
さらに他の具体例では、管理者1008はセルラーネットワーク1012上にある位置と通信して、到着を受け入れる準備設備と遠隔的にトリガすることができる。管理者のPDA105は、転送センター1010の位置にある機器モジュールと通信して、配備すべき設備及び到着を通知すべき人員をトリガする(起動させる)ことができる。
【0146】
以上の説明は多数の詳細事項を含むが、これらは本発明の範囲を限定するものではなく、その一実施例の例示である。
【0147】
上述した方法及びシステムは本発明の多くの応用を意図したものである。本発明は、所定の地理的位置または環境にある複数の機器または装置を制御し監視する能力を有するシステムを含む。地理的位置は、家庭環境、ビジネス環境、領土、国、土地、領域、行政区分、地域、建物、及び大建造物、家屋、店舗、テント、及び他の場所とすることができる。環境内でPDAが動作することのできる可動環境は、車両、航空機、空輸品目、動物、人物、貨物、化学薬品、武器、または有害材料のような特殊及び/または揮発性の貨物を含む。
【0148】
監視し制御することのできる対象物または装置は、毒作用検出装置、健康管理装置、環境制御監視装置、軍装備品、車両運転装置、家庭用電気製品、電子装置、コンピュータ装置を含むが、これらに限定されない。
【0149】
監視されるパラメータは、温度、圧力、湿度、血圧、EKG(心電図)、空気圧、ロック(施錠)制御、等とすることができる。PDAは、ナノ及び/またはミクロンスケールのPDAを含む多くの異なるサイズが考えられる。
【0150】
さらに、本発明は、本明細書に記載した異なる形態及び/または具体例からの要素の任意の組合せまたは副結合を含む。これらの特徴、及び従って本発明の範囲は、請求項及びこれと等価なものに照らして解釈すべきことは、当業者の認める所である。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】装置を制御及び監視するためのコンピュータシステム及びPDAの高レベルのアーキテクチャを示す図である。
【図2】PDAが装置を監視及び制御することのできる環境の好例を示す図である。
【図3】装置を制御及び監視するためのシステムにおいて使用されるPDAの構成要素のレイアウトを示す図である。
【図4】複数のイベントを構成するためのパラメータをユーザーが選択することのできるPDA構成アプリケーションのウィンドウを示す図である。
【図5A】分割されてグリッドをなす地理的ゾーンの地図を示す図である。
【図5B】地理的ゾーンを表現する画像を示す画素化された図である。
【図6】バックエンド制御システムの構成要素図である。
【図7】システムの論理的構成要素の階層を示す図である。
【図8】PDAが動作することのできる複数の環境を示すずである。
【図9】管理者が、PDAを利用して、このPDA内に設定されたリモート位置における異なるプロセスと対話する様子を示す図である。
【図10】PDAが、他のPDAの職場環境への近さに応じて動作する職場環境を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の地理的ゾーン内の装置と選択的に通信する方法において:
各々が所定の属性によって規定される複数の地理的ゾーンを規定するステップと;
各々の前記地理的ゾーン内の少なくとも1つの装置を、当該装置と通信可能な携帯装置に関連付けるステップと;
前記携帯装置に、地上測位装置の受信機を設けるステップと;
前記複数の地理的ゾーンを表現するデータを、前記携帯装置にロードするステップと;
前記携帯装置の地理的座標を、前記地上測位装置の受信機から得るステップと;
前記携帯装置の位置を、前記複数の地理的ゾーンの少なくとも1つに関連して判定するステップと;
前記携帯装置が、この携帯装置が前記少なくとも1つの地理的ゾーン内にあることを判定した際に、前記少なくとも1つの地理的ゾーンに関連する少なくとも1つの装置との通信を可能にするステップと
を具えていることを特徴とする通信方法。
【請求項2】
さらに、
前記少なくとも1つの地理的ゾーンに関連する少なくとも1つの装置に通信で結合されたモジュールを用意するステップを具えていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記所定の属性は、緯度及び経度の属性であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
さらに、
前記少なくとも1つの装置が、イベントの発生を示す信号を前記携帯装置に送信することを可能にするステップと;
前記携帯装置内のマイクロプロセッサが、前記発生したイベントが事前設定された動作の実行をトリガするものであることを判定した場合に、前記マイクロプロセッサが前記事前設定された動作を実行することを可能にするステップと
を具えていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記携帯装置が、セル移動電話機、スマートフォン、または個人用携帯情報端末であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記地理的ゾーンが、家庭環境、職場環境、州、市、商業地区、住宅地、または文教地区の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記地理的ゾーンの各々を表現するデータが複数の座標であり、前記携帯装置が、前記複数の座標を用いて:
前記複数の座標の各座標に1画素を割り当てるように、前記複数の座標を画素化された画像上にマッピングするステップであって、前記割り当てた画素の各々の間の距離が設定可能であるステップと;
複数の前記割り当てた画素を線で接続して、前記画素化された画像中のある領域を囲む連続的な接続線を形成するステップと;
前記接続線上にある画素をアクティブにして、前記画素化された画像中のある形状を囲む連続した画素のアレイを形成するステップと
を実行することによって、前記地理的ゾーンの別な表現を作成することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記地理的ゾーンの各々を表現するデータが複数の中間点であり、前記複数の中間点における各中間点が地理的座標及び半径によって規定され、前記地理的座標は緯度及び経度によって表現され、前記半径は距離の大きさによって表現されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記地理的ゾーンの各々を表現するデータは:
ユーザーが2つの座標属性を用いてコンピュータマップ中の幾何学的領域を識別することを可能にするステップと;
前記識別した幾何学的領域を分割してグリッドにするステップと;
ユーザーが前記グリッド内の少なくとも1つのセクションを選択して地理的領域を規定することを可能にするステップと;
前記少なくとも1つのセクションを、画素化されたコンピュータ画像中の1つの画素に関連付け、これにより、前記識別した幾何学的領域内でユーザーが選択した画素が、前記地理的ゾーン内にあるものとして識別されるステップと
を実行することによって作成される画素化された画像であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記グリッドを、前記地理的ゾーンを正しく区切ることができるのに十分な高解像度を達成する程度の数のセクションに分割することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記携帯装置と前記少なくとも1つの装置との間の通信信号が、ブルートゥース(登録商標)信号、赤外線信号、短距離無線信号、無線ユニバーサル・シリアルバス、またはWi−Fiであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
さらに、事前にプログラムされた動作を実行するステップを具え、前記事前にプログラムされた動作は、電話の発呼を行うこと、コントロールセンターに報告すること、または警報を始動させること、とし得ることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの装置は、空気中の一酸化炭素、塩素、煙、スモッグ、酸素、または温度の少なくとも1つを測定する測定機器であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記携帯装置は、前記地理的ゾーン内で特定条件が発生しているか否かを判定し、前記特定条件が発生している際に、この発生をコントロールセンターまたは第2の携帯装置に報告するようにプログラムされていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
リモート環境内の装置と選択的に通信する方法において:
地理的位置に関連する機器モジュールを用意するステップと;
前記機器モジュールと、前記地理的位置に配置された複数の機器との間の通信ネットワークを通した無線通信を可能にするステップと;
前記携帯装置に、各地理的位置に関連する複数の機器を識別するデータ、及び前記複数の機器に対応する機器モジュールを識別するデータをロードするステップと;
前記機器モジュール内のマイクロプロセッサを、前記複数の機器の1つから得られたデータに関係するイベントの発生を判定するようにプログラムするステップと;
前記機器モジュール内の前記マイクロプロセッサが、前記イベントの発生を示すイベントメッセージを前記携帯装置に送信するステップと
を具えていることを特徴とする通信方法。
【請求項16】
前記通信ネットワークがインターネットであることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記通信ネットワークがセルラーネットワークであることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
さらに、
前記携帯装置内のマイクロプロセッサが、前記発生したイベントが事前設定された動作の実行をトリガするものであることを判定した場合に、前記携帯装置内のマイクロプロセッサが前記事前設定された動作を実行することを可能にするステップを具えていることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
リモート環境内の装置と選択的に通信するシステムにおいて:
地理的位置に関連する機器モジュールと;
前記地理的位置にあり、前記機器モジュールに通信で接続された少なくとも1つの機器と;
通信ネットワークを通して前記機器モジュールに無線接続され、前記少なくとも1つの機器及びこれに対応する前記機器モジュールを識別するデータをロードされた携帯装置とを具え、
前記機器モジュールがマイクロプロセッサを具え、該マイクロプロセッサは、前記少なくとも1つの機器から得られたデータに関係するイベントの発生を判定し、前記イベントの発生を示すイベントメッセージを前記携帯装置に送信することを特徴とする通信システム。
【請求項20】
前記通信ネットワークがインターネットであることを特徴とする請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記通信ネットワークがセルラーネットワークであることを特徴とする請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
前記携帯装置内のマイクロプロセッサが、前記発生したイベントが事前設定された動作の実行をトリガするものであることを判定した場合に、前記マイクロプロセッサが、前記事前設定された動作を実行することを特徴とする請求項19に記載のシステム。
【請求項23】
事前設定された地理的ゾーン内の装置と選択的に通信する方法において:
各々が所定の属性によって規定される複数の地理的ゾーンを規定するステップと;
各々の前記地理的ゾーン内の複数の装置を、当該装置と通信可能な携帯装置に関連付けるステップと;
前記携帯装置に、地上測位装置の受信機を設けるステップと;
前記複数の地理的ゾーンを表現するデータを、前記携帯装置にロードするステップと;
前記携帯装置の地理的座標を、前記地上測位装置の受信機から得るステップと;
前記携帯装置の位置を、前記複数の地理的ゾーンの少なくとも1つに関連して判定するステップと;
前記携帯装置が、この携帯装置が前記少なくとも1つの地理的ゾーン内にあることを判定した際に、前記少なくとも1つの地理的ゾーンに関連する複数の装置における1つの装置との通信を可能にするステップとことを特徴とする通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−519555(P2008−519555A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540328(P2007−540328)
【出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/037529
【国際公開番号】WO2006/052401
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(507146212)ワイヤレスワークス インターナショナル インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】