説明

無線式感知器の試験方法及び試験用治具

【課題】無線式感知器の試験を容易に行うことができる、無線式感知器の試験用治具を提供すること。
【解決手段】無線式の感知器1を試験するための試験方法であって、感知器1を送信側予定位置P1〜P3に対して移動可能に配置する送信側配置工程と、感知器1から信号を送信させる信号送信工程と、感知器1から送信された信号の強度を表示する受信側治具4を、受信機器の受信側予定位置P4に配置する受信側配置工程と、受信側治具4にて表示された信号の強度を測定することにより、当該強度に基づいて感知器1の試験結果を判定することを可能とする信号強度測定工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線式感知器の試験を行うための試験方法及び試験用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、監視領域の異常を検出して警報を行う火災感知器や人感センサの如き各種の感知器として、無線式の感知器が提案されている。この無線式の感知器は、監視領域の異常を検出した際、受信機に対して直接的に、あるいは無線中継器を介して間接的に、無線にて移報信号を送信する。あるいは、無線式の感知器は、他の無線式の感知器と連動動作を行うため、他の感知器に対して直接的に、あるいは無線中継器を介して間接的に、無線にて連動信号を送信する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような無線式感知器を用いた感知システムを構築するためには、無線式感知器から送信された移報信号や連動信号の如き各種の信号が、無線中継器等によって正常に受信されるように、これら無線式感知器や無線中継器等の配置を決定することが必要になる。しかしながら、信号の信号強度や受信距離は、建屋や各種の障害物の構造や材質等の影響を受けるため、感知システムが実際に構築される建屋に無線式感知器や無線中継器等を実際に配置した上で、無線式感知器から送信された信号が無線中継器等で正しく受信されているか否かを確認するための通信試験を行う必要があった。
【0004】
このような従来の通信試験は、具体的には、複数の作業者が建屋に出向き、一人の作業者が、無線式感知器を設置予定位置(例えば、天井面における特定の位置)に配置した状態で、当該無線式感知器に予め設けられている点検処理起動用の点検スイッチを操作し、他方の作業者は、無線式感知器から離れた位置に配置された無線中継器等の表示灯を目視等して、無線式感知器から点検処理により送信された信号が無線中継器等で受信されたか否かを確認していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−171343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の無線式感知器の通信試験は、作業性が悪いという問題があった。具体的には、無線式感知器や無線中継器等を実際に配置しなければ通信試験ができなかったので、試験によって通信状態が悪いことが分かった場合には、無線式感知器や無線中継器等を異なる位置に配置し直して再度試験を行う必要があり、状況によっては、このような配置変更を複数回行う必要があったので、試験に手間を要していた。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、無線式感知器の試験を容易に行うことができる、無線式感知器の試験方法及び試験用治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の無線式感知器の試験方法は、無線式感知器を試験するための試験方法であって、前記無線式感知器を設置予定位置に対して移動可能に配置する送信側配置工程と、前記無線式感知器を操作することにより、当該無線式感知器から信号を送信させる信号送信工程と、前記無線式感知器から送信された信号を受信し、当該受信した信号の強度を表示する受信側治具を、前記無線式感知器から送信された信号を受信する受信機器の設置予定位置に配置する受信側配置工程と、前記送信側配置工程、前記受信側配置工程、及び前記信号送信工程の後に、前記受信側治具にて表示された信号の強度を測定することにより、当該強度に基づいて前記無線式感知器の試験結果を判定することを可能とする信号強度測定工程とを含む。
【0009】
また、請求項2に記載の無線式感知器の試験方法は、請求項1に記載の無線式感知器の試験方法において、最初の前記送信側配置工程を行い、最初の前記信号送信工程において、前記無線式感知器から前記信号を継続的に送信させ、最初の前記受信側配置工程において、電波透過材料にて構成された容器に、前記受信側治具を、前記信号の強度の表示が当該容器の外部から見えるように収容し、最初の前記信号強度測定工程を行い、次いで、2回目の前記送信側配置工程において前記無線式感知器を最初の前記送信側配置工程とは異なる前記設置予定位置に配置した後、2回目の前記信号強度測定工程を行い、以降、前記送信側配置工程と前記信号強度測定工程とを、当該送信側配置工程においては前記無線式感知器を前回の前記送信側配置工程とは異なる前記設置予定位置に配置しながら、交互に繰り返して行う。
【0010】
また、請求項3に記載の無線式感知器の試験方法は、請求項1に記載の無線式感知器の試験方法において、最初の前記送信側配置工程を行い、最初の前記信号送信工程において、前記無線式感知器から前記信号を所定時間だけ送信させ、最初の前記受信側配置工程において、電波不透過材料にて構成された容器に、前記信号の強度を記録可能な前記受信側治具を収容し、最初の前記信号強度測定工程において、前記容器から前記受信側治具を取り出し、当該取り出した前記受信側治具によって記録された最大の強度を特定し、次いで、2回目の前記送信側配置工程において前記無線式感知器を最初の前記送信側配置工程とは異なる前記設置予定位置に配置し、2回目の前記受信側配置工程において前記容器に前記受信側治具を収容し、2回目の前記信号強度測定工程を行い、以降、前記送信側配置工程、前記受信側配置工程、及び前記信号強度測定工程を、当該送信側配置工程においては前記無線式感知器を前回の前記送信側配置工程とは異なる前記設置予定位置に配置しながら、順次繰り返して行う。
【0011】
また、請求項4に記載の無線式感知器の試験方法は、請求項1から3のいずれか一項に記載の無線式感知器の試験方法において、前記送信側配置工程において、前記信号の強度を示す信号であって前記受信側治具から送信された信号を受信し、当該受信した信号によって示される信号の強度を表示可能な前記無線式感知器を配置し、前記受信側配置工程において、前記信号の強度を示す信号を送信可能な前記受信側治具を配置し、前記信号強度測定工程において、前記無線式感知器で表示された信号の強度に基づいて、前記無線式感知器の試験結果を判定する。
【0012】
また、請求項5に記載の無線式感知器の試験用治具は、無線式感知器を試験するための試験用治具であって、当該無線式感知器から送信された信号を受信する試験用治具において、前記無線式感知器から送信された信号を受信する受信手段と、前記受信手段にて受信された信号の強度を測定する信号強度測定手段と、前記信号強度測定手段にて測定された信号の強度の中で、最大の強度を特定する最大信号強度特定手段と、前記信号強度測定手段にて測定された信号の強度又は前記最大信号強度特定手段にて特定された最大の強度を出力する出力手段とを備える。
【0013】
また、請求項6に記載の無線式感知器の試験用治具は、請求項5に記載の無線式感知器の試験用治具において、前記出力手段は、前記信号強度測定手段にて測定された信号の強度に応じて点灯又は点滅する複数の表示手段を備える。
【0014】
また、請求項7に記載の無線式感知器の試験用治具は、請求項5又は6に記載の無線式感知器の試験用治具において、前記出力手段は、前記信号強度測定手段にて測定された信号の強度又は前記最大信号強度特定手段にて特定された最大の強度を示す信号を無線送信する送信手段を備える。
【0015】
また、請求項8に記載の無線式感知器の試験用治具は、無線式感知器を試験するための試験用治具であって、当該無線式感知器を設置予定位置に対して移動可能に配置する試験用治具において、前記無線式感知器を収容するための収容手段であって、電波透過材料にて構成された収容手段と、前記収容手段を支持するための支持手段とを備える。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の無線式感知器の試験方法によれば、無線式感知器を設置予定位置に対して移動可能に配置し、受信側治具を受信機器の設置予定位置に配置して、受信側治具にて表示された信号の強度を測定することにより、当該強度に基づいて無線式感知器の試験結果を判定することができるので、無線式感知器を設置予定位置に対して実際に固定したり、受信機器の設置予定位置に配置することなく試験を行うことが可能となり、試験作業効率を高めることができる。
【0017】
また、請求項2に記載の無線式感知器の試験方法によれば、電波透過材料にて構成された容器に受信機器を設置することを前提とした通信試験を行う場合、受信側治具を、信号の強度の表示が当該容器の外部から見えるように収容して試験を行うことで、容器から受信側治具を取り出すことなく信号の強度を測定することができ、無線式感知器を複数の設置予定位置に順次移動させながら、当該移動を行う毎に信号の強度を容易に測定することができるので、試験作業効率を高めることができる。
【0018】
また、請求項3に記載の無線式感知器の試験方法によれば、電波不透過材料にて構成された容器に受信機器を設置することを前提とした通信試験を行う場合、受信機器の設置環境が再現できるように受信側治具を容器に完全に収容した場合であっても、感知器から受信側治具への信号の送信後に、受信側治具を容器から取り出し、当該受信側治具によって記録された最大の強度を特定することができるので、正確な通信試験を行うことが可能となる。
【0019】
また、請求項4に記載の無線式感知器の試験方法によれば、感知器から送信され受信側治具で受信された信号の強度を、当該感知器において表示することができるので、送信側の作業者のみで、無線式感知器を複数の設置予定位置に順次移動させながら、当該移動を行う毎に信号の強度を容易に測定することができるので、試験作業効率を一層高めることができる。
【0020】
また、請求項5に記載の無線式感知器の試験用治具によれば、受信側治具を受信機器の設置予定位置に配置して、受信側治具にて表示された信号の強度を測定することにより、当該強度に基づいて無線式感知器の試験結果を判定することができるので、受信機器の設置予定位置に配置することなく試験を行うことが可能となり、試験作業効率を高めることができる。
【0021】
また、請求項6に記載の無線式感知器の試験用治具によれば、信号強度測定手段にて測定された信号の強度に応じて点灯又は点滅する複数の表示手段を備えるので、これら複数の表示手段を目視することで信号の強度を容易かつ迅速に把握することが可能となり、試験作業効率を一層高めることができる。
【0022】
また、請求項7に記載の無線式感知器の試験用治具によれば、受信側治具を受信機器の設置予定位置に配置して、受信側治具にて表示された信号の強度を測定することにより、当該強度に基づいて無線式感知器の試験結果を判定することができるので、無線式感知器を設置予定位置に対して実際に固定したり、受信機器の設置予定位置に配置することなく試験を行うことが可能となり、試験作業効率を高めることができる。
【0023】
また、請求項8に記載の無線式感知器の試験用治具によれば、感知器を収容手段に収容した後、支持手段で配置予定位置に簡単に配置することができ、無線式感知器を設置予定位置に対して実際に固定することなく試験を行うことが可能となり、試験作業効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1に係る感知器の試験状況を説明するための説明図である。
【図2】実施の形態1に係る送信側治具の側面図である。
【図3】送信側治具の収容部に収容された感知器の側面図である。
【図4】実施の形態1に係る感知器の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】受信側治具の正面図である。
【図6】受信側治具の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】感知器から受信した信号の強度に基づく表示方法を示す図である。
【図8】試験方法のフローチャートである。
【図9】実施の形態2に係る感知器の電気的構成を示すブロック図である。
【図10】実施の形態2に係る受信側治具の電気的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る無線式感知器の試験方法及び試験用治具の各実施の形態を詳細に説明する。ただし、これらの実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0026】
〔実施の形態1〕
最初に、実施の形態1について説明する。この形態は、無線式感知器から送信され、受信側治具で受信された信号の強度を、受信側治具の表示を見ることで測定する形態である。
【0027】
(感知システムと試験方法の概要)
最初に、本実施の形態に係る感知システムと試験方法の概要について説明する。この感知システムは、少なくとも1台の無線式感知器(以下、単に感知器)1と、この感知器1から送信された信号を受信する図示しない受信機器とを備えて構成されている。受信機器としては、無線中継器や受信機が該当する。無線中継器としては、感知器1から無線にて受信した信号を有線にて受信機に送信するものと、感知器1から無線にて受信した信号を無線にて再送信するもの(リピータ)を挙げることができる。あるいは、感知システムは、複数の感知器1を相互に無線通信可能となるように構成することもでき、この場合には、各感知器1が受信機器としても機能することになる。以下では、感知器1から送信された信号を無線中継器で受信する場合の通信試験を行う場合について説明する。
【0028】
図1は、本実施の形態に係る感知器1の試験状況を説明するための説明図である。ここでは、感知器1を、監視領域の天井面に設定された複数の設置予定位置(以下、送信側予定位置P1〜P3)のいずれかに設置されることを前提として説明する。ただし、送信側予定位置P1〜P3は、必ずしも試験前に事前に設定される必要はなく、試験結果に応じてその都度設定されたり変更され得るものである。また、ここでは、無線中継器等の受信機器を、送信側予定位置P1〜P3から離れた設置予定位置(以下、受信側予定位置P4)に設置されることを前提として説明する。特に、ここでは、壁面等に固定された収容箱2の内部に受信側予定位置が設定されている場合(収容箱2の内部に無線中継器を収容する場合)について説明する。
【0029】
この収容箱2としては、電波透過材料(樹脂、ガラス、木材等)にて構成されている収容箱(以下、透過型収容箱2)と、電波不透過材料(金属等)にて構成されている収容箱(以下、不透過型収容箱2。例えば、金属製の機器収容箱や消火栓箱が該当する)があり、いずれの収容箱2を使用するのかにより、異なる試験方法が採用される。以下では、透過型収容箱2を使用する場合に採用される試験方法を「透過型試験方法」と称し、不透過型収容箱2を使用する場合に採用される試験方法を「不透過型試験方法」と称する。ただし、透過型収容箱2と不透過型収容箱2とを相互に区別する必要がない場合には、これらを単に「収容箱2」と総称し、透過型試験方法と不透過型試験方法とを相互に区別する必要がない場合には、これらを単に「試験方法」と総称する。
【0030】
この試験方法では、概略的に、作業者は、感知器1を、送信側予定位置P1に送信側治具3を用いて配置する。一方、作業者は、受信側治具4を、受信側予定位置P4に配置する。そして、作業者が感知器1に信号を送信させると、この信号が受信側治具4で受信され、この受信側治具4において、当該受信した信号の強度が測定され、当該測定された強度が表示される。そして、この強度を作業者が読み取ることで、感知器1を送信側予定位置P1に配置した場合の受信した信号強度を確認することができる。次いで、作業者は、感知器1を、送信側治具3を用いて他の送信側予定位置P2に配置し、感知器1に信号を送信させ、作業者は、受信側治具4に表示された強度を読み取ることで、感知器1を送信側予定位置P2に配置した場合の信号強度を確認することができる。以降同様に、感知器1を異なる送信側予定位置P1〜P3に配置する毎に信号を送信させ、信号を送信させる毎に受信側治具4に表示された強度を読み取り、最も信号強度の良い送信側予定位置P1〜P3を特定することで、通信試験を終了する。そして、この通信試験で特定した、最も信号強度の良い送信側予定位置P1〜P3に、感知器1を固定することができる。
【0031】
この試験方法においては、感知器1としては、実際に設置する感知器1を使用してもよく、あるいは、試験用の感知器1を使用してもよい。ただし、試験用の感知器1を使用する場合であっても、実際に設置する感知器1と同じ信号を送信することができるものが使用される。一方、無線中継器は実際に使用する必要はなく、無線中継器に代えて受信側治具4が使用される。
【0032】
(送信側治具)
次に、送信側治具3の構成について説明する。図2は、送信側治具3の側面図、図3は、送信側治具3の収容部30に収容された感知器1の側面図である。この送信側治具3は、感知器1を試験するための試験用治具であって、当該感知器1を収容可能した状態で操作可能な試験用治具である。具体的には、送信側治具3は、収容部30と支持棒31を備えて構成されている。
【0033】
収容部30は、感知器1を収容するための収容手段であり、収容部本体30aと固定部30bとを備えて構成されている。収容部本体30aは、感知器1を収容可能な内部空間を有する椀状の中空体であり、図2における上面が開口面となっており、この開口面を介して収容部本体30aの内部に感知器1を出し入れすることができる。この収容部本体30aには、感知器1の後述する点検ヒモ11bを挿通させるための挿通孔30cが形成されている。また、固定部30bは、収容部本体30aの開口面を開閉自在に閉じるもので、板状体であり、収容部本体30aに回転自在に固定されている。そして、固定部30bにおける収容部本体30a側の面に感知器1をビス等で固定した状態で、固定部30bにより収容部本体30aの開口面を閉じることで、感知器1が収容部本体30aの内部に配置される。ここで、これら収容部本体30aと固定部30bは電波透過材料にて形成されており、感知器1から送信された信号が、当該収容部本体30aや当該固定部30bを透過して外部に送信される。さらに、これら収容部本体30aと固定部30bは透明又は半透明の材料(透明又は半透明の樹脂、ガラス等)にて形成されており、収容部本体30aの内部に配置した感知器1の状態を外部から目視することが可能となっている。
【0034】
支持棒31は、収容部30を支持するための支持手段であり、細長の棒状体として形成されている。この支持棒31の一端(図2の上端)には、収容部30が図示しないビス等にて固定されている。また、支持棒31の他端(図2の下端)には、当該支持棒31を作業者が保持するための保持部31aが設けられている。この支持棒31は、収容部30に収容した感知器1を天井面の近傍位置に配置することができるように、作業者の胴体部から天井面に至る程度の長さで形成されている。なお、支持棒31は、感知器1から送信される電波の伝播に影響を与えるのを防ぐため、電波透過材料にて形成されている。
【0035】
(感知器)
次に、感知器1の構成について説明する。図4は、感知器1の電気的構成を示すブロック図である。この感知器1は、煙感知式(散乱光式)の火災感知器として構成されており、特記する場合を除いて、従来の煙感知式(散乱光式)の火災感知器と同様に構成されている。具体的には、感知器1は、図3、4に示すように、感知器カバー10の内部に感知器本体11を収容して構成されている。感知器本体11は、発光部13及び受光部14を有する検煙部12と、制御部15と、記憶部16とを備えて構成されている。検煙部12に煙が存在しない場合には、発光部13にて発せられた光は受光部14にて受光されず、検煙部12に煙が存在する場合には、発光部13にて発せられた光が煙粒子にて散乱されて受光部14にて受光される。制御部15は、当該受光部14での受光量に基づいて煙の濃度を算定し、この煙の濃度が一定濃度以上の場合には、火災が発生したものと判断して移報信号(火災検出信号)を無線にて送信する。また、記憶部16には、当該感知器1を一意に識別するための感知器IDが記憶されている。また、制御部15は、無線信号を生成するための電気回路も含んでいる。
【0036】
さらに、図4に示すように、感知器1には、アンテナ17、表示灯18、及び電池19が設けられている。アンテナ17は、無線送信を行う送信手段であり、このアンテナ17を介して移報信号が無線送信される。表示灯18は、火災発生等を報知する出力手段であり、感知器カバー10から外部に露出するように設けられていて、火災が発生したものと判断された場合に点滅される。電池19は、電源手段であり、この電池19から感知器1の各部に電力が供給される。
【0037】
このように構成された感知器1から送信される信号としては、上記の移報信号に加えて、電池19の電圧が所定電圧以下に低下した場合に送信される電圧低下信号がある。これら移報信号と電圧低下信号の送信は、所定の複数の周波数(ここでは、1チャンネルと2チャンネルの2つの周波数)の中から、感知器1に設けた図示しないスイッチにて選択された一つの周波数にて行われる。また、これら移報信号と電圧低下信号には、記憶部16に記憶された感知器IDが含められる。
【0038】
このように構成された感知器1としては、送信継続型の感知器1と、送信逐次型の感知器1との2種類の感知器1が準備される。送信継続型の感知器1とは、感知器1の試験のために構成された専用の感知器であり、所定方法で操作された場合に、移報信号を継続的に送信する感知器である。この操作方法は任意であるが、例えば、感知器本体11には図示しない磁気センサが設けられており、感知器1に外部から磁石を近接させる毎に、この磁石の磁力を磁気センサで検知して、感知器1の状態を、休止状態(移報信号を送信することなく電池19を節約している状態)と、送信状態(移報信号を送信している状態)に交互に切り替える。送信状態では、例えば、移報信号の送信を、2秒間連続して行った後、2秒間休止し、以降同様に、送信と休止を2秒毎に休止状態になるまで切り替えて行う。この感知器1は、送信逐次型の感知器1とは異なり、点検処理とは無関係に移報信号の出力を行うため、後述する点検スイッチ11aや点検ヒモ11bは不要となる。この送信継続型の感知器1は、透過型試験方法で使用される。
【0039】
一方、送信逐次型の感知器1とは、通常の火災監視用に構成された汎用的な感知器であり、この感知器1に従来から設けられている点検機能を使用して試験が行われる。図3においては、収容部30に収容された状態の送信逐次型の感知器1を示しており、この感知器1の底面(図3の上面)には、点検処理を起動するための点検スイッチ11aが設けられており、この点検スイッチ11aがオンされた場合、感知器本体11の制御部15は、所定の点検処理を実行し、この点検処理において、実際の火災発生判断時と同様に移報信号を無線にて送信する。また、感知器1には点検ヒモ11bが設けられている。この点検ヒモ11bは、点検スイッチ11aを感知器1から離れた位置で操作するためのものであり、その一端は、感知器1の底面に固定されており、その他端は、送信側治具3の収容部30に設けた挿通孔30cを介して収容部30の外部に引き出されて、支持棒31の長手方向の中央位置近傍に垂れ下げられている。ここで、この点検ヒモ11bの一部は、点検スイッチ11aに懸架されているため、点検ヒモ11bの他端を図示下方に引っ張ることで、点検ヒモ11bを介して点検スイッチ11aをオンすることができる。この送信逐次型の感知器1は、不透過型試験方法で使用される。
【0040】
(受信側治具)
次に、受信側治具4の構成について説明する。図5は、受信側治具4の正面図、図6は、受信側治具4の電気的構成を示すブロック図である。これら図5、6に示すように、受信側治具4は、正面長方形状の筐体40の正面に、電源灯41、機器登録灯42、信号強度表示灯43a〜43m、チャンネル選択スイッチ44、登録スイッチ45、リセットスイッチ46、ピークホールドスイッチ47、及びアンテナ端子48を備えて構成されており、このアンテナ端子48にはアンテナ49が接続可能となっている。また、筐体40の内部に、記憶部51、及び制御部52を備えて構成されている。この受信側治具4は、筐体40の正面に設けられた端子台を介して電源に接続され、当該電源から供給された電力により動作する。
【0041】
電源灯41は、受信側治具4の電源の状態を表示する電源状態表示手段であり、電源がオンである場合には点灯、電源がオフである場合には消灯、感知器1の電池電圧が低下している場合には点滅する。機器登録灯42は、受信側治具4に対する感知器1の登録状態を表示する登録状態表示手段であり、受信側治具4に対して感知器1が登録済みである場合には点灯、受信側治具4に対して感知器1が未登録である場合には消灯、受信側治具4に対して感知器1を登録している途中の所定状態(以下、登録待ち状態)である場合には点滅する。
【0042】
信号強度表示灯43a〜43mは、感知器1から受信した信号の強度を出力する出力手段である。ここでは、信号強度表示灯43a〜43mは、複数(ここでは、13個)設けられており、所定の色(ここでは、3個の信号強度表示灯43a〜43cが赤色、4個の信号強度表示灯43d〜43gが橙色、3個の信号強度表示灯43h〜43jが黄色、3個の信号強度表示灯が緑色43k〜43m)を発光する。図7には、感知器1から受信した信号の強度に基づく表示方法を示す。信号の強度(ここでは、実際には、受信電力。以下同じ)が−106dBm以下である場合には、所定の信号強度以下であると判定され、信号強度表示灯43a〜43mは一つも点灯されない。信号の強度が−105dBm以上で−103dBm以下である場合には、信号強度=Dであると判定され、赤色の信号強度表示灯43aが点灯される。信号の強度が−102dBm以上で−100dBm以下である場合には、信号強度=Dであると判定され、赤色の信号強度表示灯43aに加えて、もう一つの赤色の信号強度表示灯43aが点灯される。以降、同様に、信号の強度に応じて、信号強度が、受信感度以下、D、C、B、Aのように判定され、信号の強度に応じた数の信号強度表示灯43a〜43mが点灯する。そして、信号の強度が−59dBm以上である場合には、信号強度=Aであると判定され、全ての信号強度表示灯43a〜43mが点灯される。なお、信号強度表示灯43a〜43mは、感知器1からの信号を受信するチャンネルを選択するための出力手段としても機能するように構成されており、チャンネル設定操作中において、Aチャンネルが選択されている場合には、信号強度表示灯43a〜43mの中の特定の一つ(ここでは、信号強度表示灯43m)が点灯し、Bチャンネルが選択されている場合には、信号強度表示灯43a〜43mの中の特定の他の一つ(ここでは、信号強度表示灯43l)が点灯する。
【0043】
図5、6において、チャンネル選択スイッチ44は、感知器1からの信号を受信するチャンネルを選択するためのチャンネル選択手段である。登録スイッチ45は、受信側治具4に対する感知器1の登録を行うための登録手段である。リセットスイッチ46は、信号強度表示灯43a〜43mによる表示をリセットするための出力リセット手段である。ピークホールドスイッチ47は、測定された信号の強度の中で、最大の強度を出力する機能(以下、ピークホールド機能)を選択するための選択手段である。これらチャンネル選択スイッチ44、登録スイッチ45、リセットスイッチ46、及びピークホールドスイッチ47の具体的な構成は任意であるが、ここでは、チャンネル選択スイッチ44、登録スイッチ45、及びリセットスイッチ46は押しボタンとして構成されており、ピークホールドスイッチ47はディップスイッチとして構成されている。
【0044】
アンテナ端子48は、不透過型試験方法を行う際に、図示しない外部アンテナを受信側治具4に接続するための接続端子である。すなわち、不透過型試験方法は、受信機器が不透過型収容箱2に収容されることを想定して行う試験方法であるが、このように不透過型収容箱2に受信機器を収容する場合には、不透過型収容箱2の外側に設けられた外部アンテナを同軸ケーブル等により受信機器に接続し、不透過型収容箱2の外部からの信号が外部アンテナを介して受信機器にて受信されるようにすることが想定されている。従って、このような受信環境を再現した状態で不透過型試験方法を行うため、不透過型収容箱2に収容した受信側治具4にも当該外部アンテナを接続することとし、この接続のためにアンテナ端子48が使用される。なお、外部アンテナの具体的な構成は任意であるが、例えば、不透過型収容箱2が消火栓収容箱である場合には、消火栓収容箱に設けた表示灯の樹脂製カバーの内部に、外部アンテナが配置される。
【0045】
図6において、アンテナ49は、感知器1から送信された信号を受信する受信手段である。電池50は、受信側治具4の各部に電力を供給する電源である。記憶部51は、受信側治具4の各部を制御するために必要な情報を記憶する記憶手段であり、特に、制御部52にて解釈及び実行されるプログラムと、試験対象として登録された感知器1の感知器IDと、選択されているチャンネルを記憶する。制御部52は、受信側治具4の各部を制御する制御手段であり、例えば、CPUを含んで構成されており、記憶部51に記憶されたプログラムを解釈及び実行することで、制御部52の各部の機能を実現する。この制御部52は、機能概念的に、信号強度測定部52a及び最大信号強度特定部52bを備える。信号強度測定部52aは、アンテナ49にて受信された信号の強度を測定する信号強度測定手段である。最大信号強度特定部52bは、信号強度測定部52aにて測定された信号の強度の中で、最大の強度を特定する最大信号強度特定手段である。
【0046】
(試験方法)
次に、これら送信側治具3、感知器1、及び受信側治具4を用いて行われる試験方法について説明する。図8は、試験方法のフローチャートである(以下、ステップを「S」と略記する)。なお、以下に説明する感知器1の動作のうち、特に説明なき動作については、制御部15にて実行されるものとし、また、以下に説明する受信側治具4の動作のうち、特に説明なき動作については、制御部52にて実行されるものとする。また、この試験方法では、基本的に、2人の作業者が試験を行うことを前提とし、送信側治具3や感知器1の操作等を行う作業者を送信側作業者、受信側治具4の操作等を行う作業者を受信側作業者と、それぞれ称する。
【0047】
(試験方法−透過型試験方法−チャンネル選択工程)
最初に、透過型試験方法について説明する。まず、チャンネル選択工程を行う(SA1)。このチャンネル選択工程は、感知器1からの信号を受信するチャンネルを選択する工程である。具体的には、受信側作業者が受信側治具4のチャンネル選択スイッチ44を押すと、受信側治具4の制御部52は、その時点で選択されているチャンネル(初回操作時には、工場出荷時に選択されたチャンネル)を記憶部51から取得し、当該取得したチャンネルに応じた信号強度表示灯43a〜43m(Aチャンネルが選択されている場合には信号強度表示灯43m、Bチャンネルが選択されている場合には信号強度表示灯43l)を点灯させることで、選択されているチャンネルを受信側作業者に報知する。チャンネルを変更する必要がある場合に、受信側作業者が信号強度表示灯43m、43lの点灯中にチャンネル選択スイッチ44を再び押すと、受信側治具4の制御部52は、その時点で選択されているチャンネルとは異なるチャンネルを記憶部51に新たに記憶させると共に、当該新たに記憶させたチャンネルに応じた信号強度表示灯43m、43lを点灯させることで、チャンネルが変更されたことを受信側作業者に報知する。これにてチャンネル選択工程が終了する。
【0048】
(試験方法−透過型試験方法−感知器登録工程)
次に、感知器登録工程を行う(SA2)。この感知器登録工程は、登録された感知器1から送信された信号の強度のみを受信側治具4に表示させるために、試験を行う感知器1を受信側治具4に登録する工程である。具体的には、受信側作業者が受信側治具4の登録スイッチ45を所定方法で操作(例えば1秒間以上の長押し)すると、受信側治具4の制御部52は、当該受信側治具4を登録待ち状態とすると共に、機器登録灯42を点滅させることで、当該受信側治具4を登録待ち状態としたことを受信側作業者に報知する。
【0049】
この登録待ち状態において、送信側作業者が、当該受信側治具4に信号が確実に届く範囲内で、試験を行う感知器1の点検スイッチ11aを操作すると、感知器1の制御部15は、点検処理を実行し、自己の感知器IDを含んだ信号を送信する。受信側治具4の制御部52は、チャンネル選択工程で選択されたチャンネルにおいて感知器1から送信された信号を受信すると、この信号から感知器IDを取得し、当該取得した感知器IDを、試験対象の感知器1の感知器IDとして自己の記憶部51に記憶させ、当該受信側治具4の登録待ち状態を終了すると共に、機器登録灯42を点灯させることで、当該受信側治具4に対して感知器1が登録済みであることを受信側作業者に報知する。これにて感知器登録工程が終了する。
【0050】
なお、このように登録を行った後、登録された感知器1を他の感知器1へ変更する場合には、受信側作業者が登録スイッチ45を再度同じ方法で操作することで、上記と同様に他の感知器1を登録することができる。また、受信側治具4が登録待ち状態となっている状態で、受信側作業者が登録スイッチ45を所定方法で操作(例えば1秒間以上の長押し)すると、その時点で受信側治具4に登録されている感知器1がある場合には、当該登録内容が抹消される。なお、受信側治具4は、感知器1の登録が行われていない場合には、受信した信号の強度を、送信元の機器に関わらず、表示する。従って、例えば、受信側治具4の受信エリア内に、試験対象となる感知器1以外の、同じ無線周波数を使用する無線式感知器が存在しない場合には、この登録操作を省略して試験を行うことができる。
【0051】
(試験方法−透過型試験方法−送信側配置工程)
次に、送信側配置工程を行う(SA3)。この送信側配置工程は、感知器1を設置予定位置に配置する工程である。具体的には、送信側作業者は、送信継続型の感知器1を送信側治具3の収容部30に収容した後、この支持棒31を保持して感知器1を天井面の近傍に持ち上げることで、感知器1を送信側予定位置(例えば図1のP1)に配置する。これにて送信側配置工程が終了する。
【0052】
(試験方法−透過型試験方法−信号送信工程)
次に、信号送信工程を行う(SA4)。この信号送信工程は、感知器1を操作することにより、当該感知器1から信号を送信させる工程である。具体的には、送信側作業者は、送信継続型の感知器1に所定方法で操作を行うことで、この感知器1を送信状態とする。例えば、感知器1に磁石を近接させることで送信状態にする場合、送信側治具3の固定部30bに固定された感知器1に磁石を近接させることで送信状態にした後、固定部30bにより収容部本体30aを閉じて、感知器1を天井面の近傍に持ち上げる。あるいは、磁石の磁力が収容部30を介して感知器1に届く場合には、固定部30bにより収容部本体30aを閉じた後に、感知器1に磁石を近接させることで送信状態にし、感知器1を天井面の近傍に持ち上げてもよい。これにて信号送信工程が終了する。このように、送信側配置工程と信号送信工程は、いずれを先に行ってもよく、あるいは相互に混在させてもよい。
【0053】
(試験方法−透過型試験方法−受信側配置工程)
次に、受信側配置工程を行う(SA5)。この受信側配置工程は、感知器1から送信された信号を受信し、当該受信した信号の強度を表示する受信側治具4を、感知器1から送信された信号を受信する受信機器の設置予定位置に配置する工程である。具体的には、受信側作業者は、透過型収容箱2の内部に受信側治具4を配置する。この際、受信側作業者は、受信側治具4のピークホールドスイッチ47をオフにし、受信側治具4の信号強度表示灯43a〜43mが透過型収容箱2の外部から見えるような状態(例えば、透過型収容箱2の扉を開いたままの状態)とする。このように受信側治具4の信号強度表示灯43a〜43mが透過型収容箱2の外部から見える状態にするのは、透過型収容箱2は信号を透過するため、透過型収容箱2の内部に受信側治具4を密閉して試験を行った場合と、透過型収容箱2の一部を開放して試験を行った場合とで、同じ結果を得ることができるため、透過型収容箱2の一部を開放した状態で(信号強度表示灯43a〜43mが透過型収容箱2の外部から見える状態で)試験を行うことで、信号強度表示灯43a〜43mの確認を容易にし、試験作業効率を高めるためである。これにて受信側配置工程が終了する。この受信側配置工程は、送信側配置工程や信号送信工程より先に行ってもよく、あるいは、送信側配置工程や信号送信工程と同時に行ってもよい。
【0054】
(試験方法−透過型試験方法−信号強度測定工程)
次に、信号強度測定工程を行う(SA6)。この信号強度測定工程は、送信側配置工程、受信側配置工程、及び信号送信工程の後に、受信側治具4にて表示された信号の強度を測定することにより、当該強度に基づいて感知器1の試験結果を判定することを可能とする工程である。具体的には、送信側配置工程で配置され信号送信工程で送信された感知器1からの信号は、透過型収容箱2を透過して、受信側治具4に到達し、アンテナ49を介して受信側治具4にて受信される。受信側治具4の制御部52は、信号に含まれる感知器IDが自己の記憶部51に記憶されている感知器IDと一致するか否かを判断し、一致する場合には信号強度測定部52aが当該信号の強度を測定し、当該測定した強度に応じて信号強度表示灯43a〜43mを点灯させ、一方、一致する場合には何ら処理を行わない。この信号は、感知器1から2秒毎に送信され、各種の条件によってその強度が変化する可能性があり、このように強度が変化した場合に、その都度、最新の強度のみに応じて信号強度表示灯43a〜43mが点灯される(ここでは、受信側配置工程でピークホールドスイッチ47をオフにしているので、ピークホールドは行われない)。そして、この強度を受信側作業者が読み取ることで、感知器1の試験結果を判定する(感知器1を送信側予定位置P1に配置した場合の信号強度を確認する)。これにて信号強度測定工程が終了する。
【0055】
その後、送信側作業者は、2回目の送信側配置工程を行い(SA7)、感知器1を最初の送信側配置工程とは異なる送信側予定位置(例えば図1のP2)に配置する。この場合には、感知器1を収容器に収容した状態のまま支持棒31を移動させることで、感知器1を容易かつ迅速に移動させることができる。その後、2回目の信号強度測定工程を行い(SA8)、感知器1を2回目の送信側予定位置に配置した場合の信号強度を確認する。以降同様に、送信側配置工程と信号強度測定工程とを、当該送信側配置工程においては感知器1を前回の送信側配置工程とは異なる送信側予定位置(例えば図1のP3)に配置しながら、交互に繰り返して行うことで、感知器1を各送信側予定位置に配置した場合の信号強度を順次確認する(図8における図示は省略する)。そして、確認した各送信側予定位置の信号強度に基づいて、感知器1の設置環境の適否(所定の信号強度以上の信号強度が得られているか否か)や、最も好ましい感知器1の設置位置(最も信号強度が高い設置位置)を決定し、透過型試験方法を終了する。
【0056】
(試験方法−不透過型試験方法−感知器登録工程、チャンネル選択工程、送信側配置工程)
次に、不透過型試験方法について説明する。まず、チャンネル選択工程(SA1)、感知器登録工程(SA2)、及び送信側配置工程(SA3)を、透過型試験方法の場合とそれぞれ同様に行う。ただし、送信側配置工程においては、送信逐次型の感知器1を送信側治具3の収容部30に収容し、この感知器1の点検ヒモ11bの他端を、挿通孔30cを介して収容部30の外部に引き出して、支持棒31の長手方向の中央位置近傍に垂れ下げた状態としておく。また、感知器1のピークホールドスイッチ47はオンにする。
【0057】
(試験方法−不透過型試験方法−信号送信工程)
次に、信号送信工程を行う(SA4)。具体的には、送信側作業者は、感知器1の点検ヒモ11bの他端を引っ張ることで、点検ヒモ11bを介して点検スイッチ11aをオンさせて、感知器1に点検処理を開始させる。この点検処理では、感知器1の制御部15は、移報信号を所定時間(例えば30秒間)、断続的に送信する。なお、このように断続的な送信を行うのは、電波法の制約上、休止時間を設ける必要があるためである。
【0058】
(試験方法−不透過型試験方法−受信側配置工程)
次に、受信側配置工程を行う(SA5)。具体的には、受信側作業者は、不透過型収容箱2の内部に受信側治具4を配置する。この際、受信側作業者は、受信側治具4を不透過型収容箱2の内部に完全に収容する。このように受信側治具4を不透過型収容箱2の内部に完全に収容するのは、不透過型収容箱2は信号を透過しないため、不透過型収容箱2の内部に受信側治具4を密閉して試験を行った場合と、不透過型収容箱2の一部を開放して試験を行った場合とで、結果が異なり得るため、不透過型収容箱2の一部を開放しない状態で(信号強度表示灯43a〜43mが不透過型収容箱2の外部から見えない状態で)試験を行うことで、試験を正確に行うためである。ただし、受信側治具4が信号を受信可能となるように、受信側治具4のアンテナ端子48に外部アンテナを接続する。これにて受信側配置工程が終了する。この受信側配置工程は、送信側配置工程より先に行ってもよく、あるいは、送信側配置工程と同時に行ってもよいが、信号送信工程よりは先に行う必要がある。
【0059】
(試験方法−不透過型試験方法−信号強度測定工程)
次に、信号強度測定工程を行う(SA6)。具体的には、送信側配置工程で配置され信号送信工程で送信された感知器1からの信号は、外部アンテナを介して受信側治具4にて受信される。受信側治具4の制御部52は、透過型試験方法の信号強度測定工程の場合と同様に、信号に含まれる感知器IDが記憶部51に記憶された感知器IDと一致する場合にのみ、信号の強度を測定し、当該測定した強度に応じて信号強度表示灯43a〜43mを点灯させる。この信号は、感知器1から30秒間継続して送信されるが、各種の条件によってその強度が変化する可能性がある。ここで、ピークホールドスイッチ47がオンにされていることから、最大信号強度特定部52bは、信号強度測定部52aにて測定された信号の強度の中で、最大の強度を常時特定し、当該特定した最大の強度が表示されるように、信号強度表示灯43a〜43mを点灯させる。例えば、信号強度測定部52aにて測定された信号の強度が、−99dBmから−81dBmに変化し、さらに−105dBmに変化した場合には、最大の強度である−81dBmに対応する信号強度表示灯43iを点灯させる。そして、感知器1からの信号の送信が終了した後に、受信側作業者が不透過型収容箱2から受信側治具4を取り出し、信号強度表示灯43a〜43mにて表示されている最大の強度を読み取ることで、感知器1を送信側予定位置に配置した場合の信号強度を確認する。これにて信号強度測定工程が終了する。
【0060】
その後、送信側作業者は、2回目の送信側配置工程を行い(SA7)、感知器1を最初の送信側配置工程とは異なる送信側予定位置(例えば図1のP2)に配置した後、2回目の信号送信工程を行う(SA8)。また、受信側作業者は、2回目の受信側配置工程を行う(図8における2回目の受信側配置工程以降のステップの図示を省略する)。この際、受信側作業者は、リセットスイッチ46を所定方法で操作(例えば1秒間以上の長押し)することで、信号強度表示灯43a〜43mによる最大の強度の表示をリセットし、この受信側治具4を不透過型収容箱2に再び収容する。その後、2回目の信号強度測定工程を行い、感知器1を2回目の送信側予定位置に配置した場合の信号強度を確認する。以降同様に、送信側配置工程、受信側配置工程、及び信号強度測定工程を、当該送信側配置工程においては感知器1を前回の送信側配置工程とは異なる送信側予定位置(例えば図1のP3)に配置しながら、順次繰り返して行うことで、感知器1を各送信側予定位置に配置した場合の信号強度を順次確認する。そして、確認した各送信側予定位置の信号強度に基づいて、感知器1の設置環境の適否(所定の信号強度以上の信号強度が得られているか否か)や、最も好ましい感知器1の設置位置(最も信号強度が高い設置位置)を決定し、不透過型試験方法を終了する。
【0061】
(効果)
このように実施の形態1によれば、感知器1を送信側予定位置に対して移動可能に配置し、受信側治具4を受信機器の受信側予定位置に配置して、受信側治具4にて表示された信号の強度を測定することにより、当該強度に基づいて感知器1の試験結果を判定することができるので、感知器1を送信側予定位置に対して実際に固定することなく試験を行うことが可能となり、試験作業効率を高めることができる。また、感知器1を送信側予定位置に対して実際に固定する場合には、天井面に対してネジ留め等、損傷を与える方法で固定する必要が生じることも想定されるが、このような固定の方法を用いることで、天井面に損傷を与えずに試験を行うことができる。また、実際に天井がまだ張られていない建築途中の段階でも、天井が張られる予定の高さに感知器1を固定することができ、天井が張られる前の段階で試験を行うことができる。
【0062】
また、電波透過材料にて構成された透過型収容箱2に受信機器を設置することを前提とした通信試験を行う場合、受信側治具4を、信号の強度の表示が当該容器の外部から見えるように収容して試験を行うことで、透過型収容箱2から受信側治具4を取り出すことなく信号の強度を測定することができ、感知器1を複数の送信側予定位置に順次移動させながら、当該移動を行う毎に信号の強度を容易に測定することができるので、試験作業効率を高めることができる。
【0063】
また、電波不透過材料にて構成された不透過型収容箱2に受信機器を設置することを前提とした通信試験を行う場合、受信機器の設置環境が再現できるように受信側治具4を不透過型収容箱2に完全に収容した場合であっても、感知器1から受信側治具4への信号の送信後に、受信側治具4を不透過型収容箱2から取り出し、当該受信側治具4によって記録された最大の強度を特定することができるので、正確な通信試験を行うことが可能となる。
【0064】
また、信号強度測定部52aにて測定された信号の強度に応じて点灯又は点滅する複数の信号強度表示灯43a〜43mを備えるので、これら複数の信号強度表示灯43a〜43mを目視することで信号の強度を容易かつ迅速に把握することが可能となり、試験作業効率を一層高めることができる。
【0065】
また、感知器1を収容部30に収容した後、支持棒31で配置予定位置に簡単に配置することができ、感知器1を送信側予定位置に対して実際に固定することなく試験を行うことが可能となり、試験作業効率を高めることができる。
【0066】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。この形態は、受信側治具で受信した信号の強度を示す信号を無線送信する形態である。ただし、実施の形態2における構成は、特記する部分を除いて、実施の形態1における構成と同一であり、実施の形態1で使用した符号を必要に応じて付することにより、その説明を省略する。
【0067】
(感知器)
最初に、本実施の形態2に係る感知器6の構成について説明する。図9は、感知器6の電気的構成を示すブロック図である。この感知器6は、制御部60を備えて構成されている。この制御部60は、実施の形態1における感知器1の制御部15とほぼ同様に構成されているが、最大強度報知部60aが設けられている点で異なる。この最大強度報知部60aは、受信側治具4から送信された信号に基づいて、当該感知器6から送信されて受信側治具4によって測定された信号の最大強度を、送信側作業者に報知する最大強度報知手段である。
【0068】
この報知の具体的な方法としては、感知器6に設けられている既存の出力手段を使用して行うことが好ましく、例えば、火災警報音を出力するための図示しないスピーカを介して、信号の最大強度に応じた所定の音声メッセージ(例えば「最大強度は−90dBmです」)にて出力してもよく、あるいは、火災警報表示を行うための表示灯18を、信号の最大強度に応じた所定の方法で点滅や点灯させ手もよい。以下では、表示灯18を信号の最大強度に応じた所定の方法で点滅させる場合について説明するものとし、具体的には、表示灯18を、図7に示した信号強度レベルに応じた数(レベル1の場合には1回、レベル13の場合には13回)だけ所定間隔で点滅させる。
【0069】
なお、この感知器6としては、実施の形態1と同様に、透過型試験方法では送信継続型の感知器を使用し、不透過型試験方法では送信逐次型の感知器を使用してもよいが、本実施の形態では、いずれの試験方法の場合においても、送信継続型の感知器を用いることができ、かつ、送信継続型の感知器を用いた方が試験作業効率を向上させることができるので、送信継続型の感知器を使用するものとして説明を行う。
【0070】
(受信側治具)
次に、本実施の形態2に係る受信側治具7の構成について説明する。図10は、受信側治具7の電気的構成を示すブロック図である。この受信側治具7は制御部70を備えて構成されている。この制御部70は、実施の形態1における受信側治具4の制御部52とほぼ同様に構成されているが、最大強度送信部70aが設けられている点で異なる。この最大強度送信部70aは、感知器6から送信されて受信側治具7によって受信された信号の最大強度を示す信号を無線送信する送信手段である。この信号は、チャンネル選択スイッチ44を用いて設定されたチャンネルで行われる。
【0071】
(試験方法)
次に、送信側治具3、感知器6及び受信側治具7を用いて行われる試験方法について説明する。ここでは、実施の形態1とは異なり、一人の作業者が試験を行う場合を説明する。ただし、特に説明なき場合には、実施の形態1の受信側作業者と送信側作業者を、一人の作業者が兼ねるものと考えることで説明ができるため、繰り返して説明することを省略する。
【0072】
(試験方法)
次に、試験方法について説明する。本実施の形態では、透過型試験方法と不透過型試験方法とをほぼ同様の方法で行うことができる。具体的には、作業者は、チャンネル選択工程、感知器登録工程、送信側配置工程、信号送信工程、及び受信側配置工程を、実施の形態1の場合と同様に行う。この受信側配置工程において、作業者は、受信側治具7のピークホールドスイッチ47をオフにする。受信側治具7の透過型収容箱2への収容は、透過型試験方法の場合には、実施の形態1の場合と同様に、受信側治具7の信号強度表示灯43a〜43mが透過型収容箱2の外部から見えるような状態としてもよいが、透過型試験方法と不透過型試験方法とのいずれにおいても、受信側治具7を透過型収容箱2に密閉状に収容してもよい。
【0073】
次に、信号強度測定工程を行う。この信号強度測定工程において、受信側治具7の制御部は、実施の形態1の場合と同様に、感知器6から送信された信号に含まれる感知器IDが自己の記憶部51に記憶されている感知器IDと一致するか否かを判断し、一致する場合には信号強度測定部52aが当該信号の強度を測定し、当該測定した強度に応じて信号強度表示灯43a〜43mを点灯させる。さらに、本実施の形態において、最大信号強度特定部52bは、信号強度測定部52aにて測定された信号の強度の中で、最大の強度を常時特定し、最大強度送信部70aは、当該特定された信号の最大の強度を示す信号を、アンテナ49を介して無線送信する。このとき、感知器6から送信される信号と、受信側治具7から送信されて感知器6が受信する信号では、感知器6の回路内部では、感知器6から送信される信号のレベルの方が著しく強くなり、感知器6が送信する信号が受信した信号を打ち消してしまうような現象が起こり、感知器6が受信側治具7から送信された信号を受信できなくなることが想定される。この対策として、感知器6は送信時間に休止時間を設け、この休止時間の間に受信側治具7から最大強度を示す信号を、アンテナ49を介して無線送信することとするか、感知器6から受信側治具7に向けて送信する信号と、受信側治具7から感知器6に向けて送信する信号の無線周波数を異なるものとする、等の方法をとる。
【0074】
一方、感知器6の最大強度報知部60aは、受信側治具7から送信された信号をアンテナ17を介して受信した場合には、当該受信した信号によって示される、信号の最大の強度(感知器6から送信され受信側治具7で受信された信号の最大の強度)に応じて、表示灯18を表示させる。従って、作業者は、この感知器6の表示を見ることで、受信側治具7を見ることなく、信号の最大の強度を確認することができる。これにて信号強度測定工程が終了する。
【0075】
その後、送信側作業者は、2回目の送信側配置工程を行い、感知器6を最初の送信側配置工程とは異なる送信側予定位置(例えば図1のP2)に配置した後、2回目の信号強度測定工程を行い、感知器6を2回目の送信側予定位置に配置した場合の信号強度を確認する。以降同様に、送信側配置工程と信号強度測定工程とを、当該送信側配置工程においては感知器6を前回の送信側配置工程とは異なる送信側予定位置(例えば図1のP3)に配置しながら、交互に繰り返して行うことで、感知器6を各送信側予定位置P1〜P3に配置した場合の信号強度を順次確認する。
【0076】
(効果)
このように実施の形態2によれば、感知器6から送信され受信側治具7で受信された信号の強度を、当該感知器6において表示することができるので、送信側の作業者のみで、無線式感知器6を複数の送信側予定位置に順次移動させながら、当該移動を行う毎に信号の強度を容易に測定することができるので、試験作業効率を一層高めることができる。
【0077】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0078】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0079】
(送信側治具について)
送信側治具3は、感知器1、6を収容部30に完全に収容するように構成されているが、感知器1、6の一部を収容部30から外部に露出させるように構成しても、信号の送信強度には影響を与えないため、当該外部への露出が可能となるような構成としてもよい。また、点検スイッチ11aは、点検ヒモ11b以外で操作できるようにしてもよい。例えば、固定部30bに開口部を形成しておき、この開口部から点検スイッチ11aのみが固定部30bの外部に露出するようにし、収容部30を天井面に下方から押し当てることで、点検スイッチ11aがオン操作されるようにしてもよく、この場合には、支持棒31を介して感知器1、6を配置予定位置に配置するだけで、信号を送信させることができる。
【0080】
(感知器について)
感知器1、6としては、送信継続型の感知器と、送信逐次型の感知器との2種類の感知器を準備するものとして説明したが、1台の感知器1、6にスイッチ等の切り替え手段を設け、この切り替え手段を操作することで、送信継続型の感知器と送信逐次型の感知器とに必要に応じて切り替えることができるようにしてもよい。
【0081】
(受信側治具について)
実施の形態2では、感知器6から送信され受信側治具7で受信された信号の最大の強度を示す信号のみを、感知器6に送信するものとして説明したが、最大の強度に代えて、あるいは最大の強度に加えて、受信側治具7で測定された各信号の強度を示す信号を感知器6に送信するようにしてもよい。また、感知器6から送信され受信側治具7で受信された信号の強度を送信側で確認可能とするための構成としては、実施の形態2で説明した構成以外の構成を採用してもよく、例えば、受信側治具7において、感知器6から送信された信号の強度を所定の閾値と比較し、この比較結果に応じた音を出力するようにしてもよい。例えば、信号の強度が所定の閾値以上である場合には、連続ブザー音を出力させ、信号の強度が所定の閾値未満である場合には、断続ブザー音を出力させるようにする。この場合には、送信側でこの音を聴くことで、信号の強度を確認することが可能となる。また、受信側治具4、7における信号の強度の出力や、最大の強度の出力は、信号強度表示灯43a〜43mで行うものとして説明したが、他の出力手段で行うようにしてもよく、例えば、液晶モニタを設けて強度を数値表示したり、スピーカを設けて強度を音や音声メッセージ(例えば「最大強度は−90dBmです」)等で出力してもよい。
【0082】
(作業者について)
実施の形態1では、2人の作業者が試験を行うことを前提としたが、1人の作業者で試験を行うことも可能であり、例えば、透過型試験方法においては、各工程を、1人の作業者が必要に応じて移動しながら順次行ってもよい。ただし、感知器1、6の配置予定位置から受信側治具4、7の信号強度表示灯43a〜43mを見ることができない場合には、不透過型試験方法と同様に、受信側治具4、7のピークホールドスイッチ47をオンにすることで、感知器1、6からの信号送信後に、受信側治具4、7において信号の最大の強度を確認することができるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1、6 感知器
2 収容箱、透過型収容箱、不透過型収容箱
3 送信側治具
4、7 受信側治具
10 感知器カバー
11 感知器本体
11a 点検スイッチ
11b 点検ヒモ
12 検煙部
13 発光部
14 受光部
15、52、60、70 制御部
16、51 記憶部
17、49 アンテナ
18 表示灯
19、50 電池
30 収容部
30a 収容部本体
30b 固定部
30c 挿通孔
31 支持棒
31a 保持部
40 筐体
41 電源灯
42 機器登録灯
43a〜43m 信号強度表示灯
44 チャンネル選択スイッチ
45 登録スイッチ
46 リセットスイッチ
47 ピークホールドスイッチ
48 アンテナ端子
52a 信号強度測定部
52b 最大信号強度特定部
60a 最大強度報知部
70a 最大強度送信部
P1〜P3 送信側予定位置
P4 受信側予定位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線式感知器を試験するための試験方法であって、
前記無線式感知器を設置予定位置に対して移動可能に配置する送信側配置工程と、
前記無線式感知器を操作することにより、当該無線式感知器から信号を送信させる信号送信工程と、
前記無線式感知器から送信された信号を受信し、当該受信した信号の強度を表示する受信側治具を、前記無線式感知器から送信された信号を受信する受信機器の設置予定位置に配置する受信側配置工程と、
前記送信側配置工程、前記受信側配置工程、及び前記信号送信工程の後に、前記受信側治具にて表示された信号の強度を測定することにより、当該強度に基づいて前記無線式感知器の試験結果を判定することを可能とする信号強度測定工程と、
を含む無線式感知器の試験方法。
【請求項2】
最初の前記送信側配置工程を行い、
最初の前記信号送信工程において、前記無線式感知器から前記信号を継続的に送信させ、
最初の前記受信側配置工程において、電波透過材料にて構成された容器に、前記受信側治具を、前記信号の強度の表示が当該容器の外部から見えるように収容し、
最初の前記信号強度測定工程を行い、
次いで、2回目の前記送信側配置工程において前記無線式感知器を最初の前記送信側配置工程とは異なる前記設置予定位置に配置した後、2回目の前記信号強度測定工程を行い、
以降、前記送信側配置工程と前記信号強度測定工程とを、当該送信側配置工程においては前記無線式感知器を前回の前記送信側配置工程とは異なる前記設置予定位置に配置しながら、交互に繰り返して行う、
請求項1に記載の無線式感知器の試験方法。
【請求項3】
最初の前記送信側配置工程を行い、
最初の前記信号送信工程において、前記無線式感知器から前記信号を所定時間だけ送信させ、
最初の前記受信側配置工程において、電波不透過材料にて構成された容器に、前記信号の強度を記録可能な前記受信側治具を収容し、
最初の前記信号強度測定工程において、前記容器から前記受信側治具を取り出し、当該取り出した前記受信側治具によって記録された最大の強度を特定し、
次いで、2回目の前記送信側配置工程において前記無線式感知器を最初の前記送信側配置工程とは異なる前記設置予定位置に配置し、2回目の前記受信側配置工程において前記容器に前記受信側治具を収容し、2回目の前記信号強度測定工程を行い、
以降、前記送信側配置工程、前記受信側配置工程、及び前記信号強度測定工程を、当該送信側配置工程においては前記無線式感知器を前回の前記送信側配置工程とは異なる前記設置予定位置に配置しながら、順次繰り返して行う、
請求項1に記載の無線式感知器の試験方法。
【請求項4】
前記送信側配置工程において、前記信号の強度を示す信号であって前記受信側治具から送信された信号を受信し、当該受信した信号によって示される信号の強度を表示可能な前記無線式感知器を配置し、
前記受信側配置工程において、前記信号の強度を示す信号を送信可能な前記受信側治具を配置し、
前記信号強度測定工程において、前記無線式感知器で表示された信号の強度に基づいて、前記無線式感知器の試験結果を判定する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の無線式感知器の試験方法。
【請求項5】
無線式感知器を試験するための試験用治具であって、当該無線式感知器から送信された信号を受信する試験用治具において、
前記無線式感知器から送信された信号を受信する受信手段と、
前記受信手段にて受信された信号の強度を測定する信号強度測定手段と、
前記信号強度測定手段にて測定された信号の強度の中で、最大の強度を特定する最大信号強度特定手段と、
前記信号強度測定手段にて測定された信号の強度又は前記最大信号強度特定手段にて特定された最大の強度を出力する出力手段と、
を備える無線式感知器の試験用治具。
【請求項6】
前記出力手段は、前記信号強度測定手段にて測定された信号の強度に応じて点灯又は点滅する複数の表示手段を備える、
請求項5に記載の無線式感知器の試験用治具。
【請求項7】
前記出力手段は、前記信号強度測定手段にて測定された信号の強度又は前記最大信号強度特定手段にて特定された最大の強度を示す信号を無線送信する送信手段を備える、
請求項5又は6に記載の無線式感知器の試験用治具。
【請求項8】
無線式感知器を試験するための試験用治具であって、当該無線式感知器を設置予定位置に対して移動可能に配置する試験用治具において、
前記無線式感知器を収容するための収容手段であって、電波透過材料にて構成された収容手段と、
前記収容手段を支持するための支持手段と、
を備える無線式感知器の試験用治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−38221(P2012−38221A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179857(P2010−179857)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】