説明

無線情報機器システム、無線情報機器、無線情報機器異常検出方法、および異常検出プログラム

【課題】RFIDリーダライタ等の無線情報機器を利用した無線情報機器システムにおいて、無線情報機器全てに対し、自動で故障を検出する。
【解決手段】センタ用コンピュータ10と店舗システム20とを備え、店舗システム20は、保守用RFIDタグが付随されたRFIDアンテナ部211を有するRFIDリーダ210を有する。店舗システム20は、RFIDアンテナ部212に付随される保守用RFIDタグの識別IDを認識し、通常運用時においては処理対象から除外しつつ、所定のタイミングで正常動作確認処理を行うことによって、RFIDリーダライタ210の異常を検出する。例えば、所定のデータの書き込み処理や読み込み処理を1つまたは複数のパターンで行い、保守用RFIDタグ全てから正しくデータが読み出せるか否かを確認する。店舗システム20は、RFIDリーダライタ210の異常を検出すると、センタに通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線を用いて情報媒体に情報を読み書きする無線情報機器を利用した無線情報機器システム、無線情報機器、無線情報機器異常検出方法、および異常検出プログラムに関し、特に、無線情報機器の保守を自動で行う無線情報機器システム、無線情報機器、無線情報機器異常検出方法、および異常検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
RFID(Radio Frequency IDentification)タグやその他関連機器の低価格化に伴い、RFIDタグを用いた情報取得や、情報配信、ポイントサービス等の様々なサービスが各種検討されている。
【0003】
例えば、来客時に、店舗に設置されたRFIDリーダにRFIDタグをかざしてもらい、RFIDタグに記憶されている顧客の識別情報から顧客情報を取得して、顧客の携帯電話向けに動画配信や割引クーポン券配信をするサービスや、RFIDタグに記憶されている金額データによる精算や、来店ポイントによる割引サービスなども考えられている。
【0004】
このようなRFIDタグを用いた自動認識システムにおいて、RFIDリーダライタが故障すると、RFIDタグとの間で正しい情報のやりとりができずに、サービスが提供できないだけでなく、以降このRFIDタグの使用が不可能になる可能性や、無関係の顧客情報を変更してしまう可能性もある。
【0005】
特許文献1には、カードを用いた金額データの自動認識システムにおいて、故障を的確に検出できるカードリーダが記載されている。特許文献1に記載のカードリーダは、カードの使用が終了したときにカードの可変トラックに所定の同一データを複数個記録しておき、次回挿入されたときに記録された複数のデータを読み出して記録時のデータと比較することによって異常を検出する。
【0006】
【特許文献1】特開平07−105331号公報(段落0016−0019)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
RFIDタグを用いた各種サービスは、例えば、図4に示すような無線情報機器システムによって実現される。図4は、来店した顧客の携帯電話機向けに情報配信サービスを行う無線情報機器システムの構成例を示す概念図である。図4に示す無線情報機器システムは、顧客93が所有する携帯電話機931と、予め顧客に配布されたRFIDタグ932と、店舗92に設置されるRFIDリーダ921と、店舗を管理するセンタ91(具体的には、センタに設置されるサーバ装置)とから構成される。ここでは、無線情報機器として、RFIDリーダ921を用いる。
【0008】
なお、図示省略しているが、RFIDリーダ921は、センタ91に設置されるサーバ装置と通信ネットワークを介して接続される店舗端末に接続され、店舗端末を介してRFIDタグから読み出した情報をセンタに送信する。また、RFIDタグ932は、携帯電話機用のストラップに内蔵された形で配布することが考えられる。図5は、携帯電話機931に携帯電話機用ストラップに内蔵されたRFIDタグ932(以下、RFID内蔵ストラップ932という。)が取り付けられている例を示す説明図である。
【0009】
このような無線情報機器システムは、例えば、次のように動作する。まず、RFID内蔵ストラップ932を配布する際に入会処理として顧客の携帯電話機用電子メールアドレスを入手し、センタ91側(サーバ装置が備えるデータベース等)で、配布したRFID内蔵ストラップ932に記憶されている識別情報と入手した電子メールアドレスとを対応づけて顧客情報として記憶しておく。そして、顧客93が店舗92に設置されているRFIDリーダ921にRFID内蔵ストラップ932をかざすと、RFIDリーダ921は、RFID内蔵ストラップ932に記憶されている識別情報を読み出し、センタ91に送信する。識別情報を受信したセンタ91は、顧客情報から受信した識別情報に対応する電子メールアドレスを取得し、電子メールを送信することによって情報配信やクーポン券配信等のサービスを行う。
【0010】
ここで、例えば、店舗が複数のフランチャイズチェーン店からなるコンビニエンスストアの一店舗であった場合には、1つのRFIDリーダ921の故障によって影響のでる店舗の数も多くなる。このため、各店舗に設置される無線情報機器全てに対し、故障をより的確に検出する必要がある。
【0011】
特許文献1に記載のカードリーダ装置をRFIDリーダに適用した場合、顧客が来店した店舗に設置されたRFIDリーダの故障を検出することはできるが、逆にいえば、RFIDタグをかざされない限り故障が検出されないという問題点がある。従って、利用されて初めて故障が検出されるので、故障による影響を事前に防ぐことができない。
【0012】
また、例えば、保守作業者や店員が、保守用のRFIDタグをかざす等の所定のテスト項目を実施することによって、各店舗の無線情報機器全てに対し故障を検出することができるが、個々の機器に対して保守コストがかかってしまい、結果、サービス運用コストが高くなってしまうという問題点がある。例えば、保守作業者が各設置場所に出向き確認作業を行うコストや、各店員が確認作業を行うコストが、そのままサービス運用コストとして必要になってしまう。
【0013】
そこで、本発明は、無線情報機器の故障を自動的に検出できる無線情報機器システム、無線情報機器、無線情報機器異常検出方法、および異常検出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明による無線情報機器システムは、無線で情報媒体から情報を読み出し、情報媒体に無線で情報を書き込む無線情報機器の異常を検出する無線情報機器システムであって、無線情報機器に搭載され、無線で情報の送受信を行う無線情報送受信手段(例えば、RFIDアンテナ部212)と、前記無線情報送受信手段に付随され、無線情報機器の動作確認に用いられる動作確認用情報媒体(例えば、保守用RFIDタグ)と、無線情報送受信手段を介して、動作確認用情報媒体が記憶する情報の読み出しまたは書き込みを行い、読み出した情報または書き込み結果に基づいて、無線情報機器の異常を検出する異常検出手段(例えば、RFID制御部211、制御部201)とを備えたことを特徴とする。
【0015】
また、異常検出手段は、動作確認用媒体に対し所定のパターンの情報の書き込みを行った後に、前記動作確認用情報媒体に対し情報の読み出しを行い、読み出された情報が前記所定のパターンの情報でない場合に、異常を検出してもよい。
【0016】
また、情報媒体は、情報媒体を識別するための識別情報を記憶し、動作確認用情報媒体を識別するための識別情報を記憶する記憶手段を備え、異常検出手段は、動作確認用情報媒体に対し識別情報の読み出しを行い、読み出された識別情報が前記記憶手段に記憶されている識別情報と一致しない場合に、異常が発生したと判断してもよい。
【0017】
また、情報媒体から情報が読み出された場合に、動作確認用情報媒体から読み出されたか否かを判断し、必要に応じて動作確認用情報媒体から読み出された情報を無効とする制御手段(例えば、RFID制御部211)を備えていてもよい。ここで、「読み出した情報を無効とする」とは、例えば、読み出した情報を破棄したり、読み出したときの処理を行わないことによって、読み出されなかったものとして扱うことをいう。
【0018】
また、無線情報機器と接続される店舗端末と、店舗端末と通信ネットワークを介して接続される管理装置とを備え、店舗端末は、異常検出手段が異常を検出した場合に、無線情報機器に異常が発生したことを示す情報を管理装置に送信する異常通知手段(例えば、通信部203)を備えていてもよい。
【0019】
また、本発明による無線情報機器は、無線で情報媒体から情報を読み出し、情報媒体に無線で情報を書き込む無線情報機器であって、無線で情報の送受信を行う無線情報送受信手段と、無線情報送受信手段に付随され、当該無線情報機器の動作確認に用いられる動作確認用情報媒体と、前記無線情報送受信手段を介して、動作確認用情報媒体が記憶する情報の読み出しまたは書き込みを行い、読み出した情報または書き込み結果に基づいて、当該無線情報機器の異常を検出する異常検出手段とを備えたことを特徴とする。
【0020】
また、本発明による無線情報機器異常検出方法は、無線で情報媒体から情報を読み出し、情報媒体に無線で情報を書き込む無線情報機器異常検出方法であって、無線情報機器に付随される無線情報機器の動作確認に用いられる動作確認用情報媒体から情報の読み出しまたは書き込みを行うステップと、読み出した情報または情報の書き込み結果に基づいて、無線情報機器の異常を検出するステップと、異常を検出すると、無線情報機器に異常が発生したことを示す情報を、無線情報機器を管理する管理装置に送信するステップとを含むことを特徴とする。
【0021】
また、本発明による無線情報機器異常検出プログラムは、無線で情報媒体から情報を読み出し、情報媒体に無線で情報を書き込む無線情報機器であって、該無線情報機器の動作確認に用いられる動作確認用情報媒体が付随された無線情報機器と接続されるコンピュータに、動作確認用情報媒体から読み出した情報、または動作確認用情報媒体への情報の書き込み結果に基づいて、無線情報機器の異常を検出する処理、および異常を検出すると、無線情報機器に異常が発生したことを示す情報を、無線情報機器を管理する管理装置に送信する処理を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、無線情報機器が、無線情報送受信手段に付随された動作確認用情報媒体を用いて動作確認するので、各無線情報機器において動作不良等の問題が発生したことを自動で検出することができる。従って、個々の無線情報機器において故障を検出するためのコストが不要となり、無線情報機器を利用したサービスを低コストで運用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態による無線情報機器システムの構成例を示すブロック図である。図1に示す無線情報機器システムは、例えば来店した顧客の携帯電話機向けに情報配信等の顧客向けサービスを行う無線情報機器システムであって、センタに設置されるセンタ用コンピュータ10と、センタ用コンピュータ10と通信ネットワークを介して接続される店舗システム20とを備える。なお、図1では、1つの店舗システム20を示しているが、店舗システムはサービスを提供する店舗の数に応じていくつであってもよい。ここで、店舗は、例えば複数のフランチャイズチェーン店からなるコンビニエンスストアの一店舗であり、センタは、それらのフランチャイズチェーン店を総括する本部などである。
【0024】
センタ用コンピュータ10は、例えば、店舗システム20から送信される情報に基づいて顧客向けサービスを実行する。センタ用コンピュータ10には、予め顧客情報として、顧客の所有する携帯電話機の電子メールアドレスと、顧客に配布したRFIDタグに記憶されている識別情報とが対応づけられて記憶されている。センタ用コンピュータ10は、例えば、データベースを備えたサーバ装置等の情報処理装置である。
【0025】
店舗システム20は、制御部201と、タイマ部202と、通信部203と、RFIDリーダライタ210とを有する。なお、RFIDリーダライタ210は、RFID制御部211と、RFIDアンテナ部212とを含む。店舗システム20は、顧客が所持するRFIDタグがRFIDリーダライタ210にかざされた際に、RFIDタグに記憶されている情報を読み出して、来店情報としてセンタに通知するシステムである。
【0026】
店舗システム20は、例えば、制御部201と、タイマ部202と、通信部203とを備えるパーソナルコンピュータと、アンテナを内蔵したRFIDリーダライタ装置とが、専用ケーブルで接続されるシステムである。また、例えば、パーソナルコンピュータとセンタ用コンピュータ10とがインターネット等の通信ネットワークを介して接続される。
【0027】
制御部201は、店舗システム20の全体的な制御を行う。具体的には、制御部201は、RFIDリーダライタ210に対し、RFIDタグとの通信を行うよう起動をかけることによって、RFIDリーダライタ210が読み出した情報を受信し、センタ用コンピュータ10に通信部203を介して送信する。また、RFIDリーダライタ210に対し、新たな情報を書き込むよう要求する場合もある。また、本実施の形態においては、制御部201は、RFIDリーダライタ210の異常を検出するための処理を行う。
【0028】
タイマ部202は、時間経過をカウントする。また、タイマ部202は、要求があった場合には、指定された時間が経過したときにタイムアウトした旨の通知信号を制御部201に出力する。通信部203は、通信ネットワークを介してセンタ用コンピュータ10との通信を行う。
【0029】
なお、制御部201、タイマ部202は、例えばプログラムに従って動作するCPUによって実現される。また、通信部203は、例えばハードウェアの通信装置とプログラムに従って動作するCPUとによって実現される。
【0030】
RFID制御部211は、RFIDリーダライタ210の全体的な制御を行う処理部である。具体的には、RFID制御部211は、上位機器(ここでは、制御部201)からの要求に従って、RFIDアンテナ部212を用いて、RFIDタグから情報を読み込む、または書き込む。RFIDアンテナ部212は、RFIDタグに対し電波の受け渡しを行う。
【0031】
なお、本発明において、RFIDリーダライタ210は、通信エリア内に複数のRFIDタグが存在する場合にも、RFIDタグからのデータ同士の衝突を防止したり、または衝突した場合に情報を識別することができるアンチコリジョン機能を有しているものとする。
【0032】
また、RFIDアンテナ部212には、保守用のRFIDタグが付随される。図2は、本実施の形態におけるRFIDリーダライタの例を示す説明図である。図2に示す例では、RFIDアンテナ部212には、5枚の保守用RFIDタグ213−1〜5を付随させている。なお、RFIDタグを「付随させる」とは、表面に付けたり印刷したりするだけでなく、取り付けたり内蔵したりする場合など、付属していることが明らかな状態を示す。なお、稼働時に付属している状態であればよく、着脱可能なことを妨げない。
【0033】
また、付随させるRFIDタグは、1枚であってもよいが、保守用RFIDタグが故障する可能性を考慮すると、複数であることが望ましい。ただし、RFIDリーダライタに付随させる枚数は、運用形態においてかざされうる枚数を含めて、RFIDリーダライタが備えるアンチコリジョン機能によって確実に情報を読み出すことができる枚数に限られる。
【0034】
なお、RFID制御部211は、例えばRFIDリーダライタ装置が備えるプロセッサユニットによって実現される。なお、プロセッサユニットには、デコーダ、エンコーダ、メモリを含む。また、RFIDアンテナ部212は、例えばハードウェアの無線通信装置によって実現される。
【0035】
本発明では、RFID制御部211は、RFIDアンテナ部212に付随される保守用RFIDタグの識別IDを認識し、通常運用時においては、保守用RFIDタグからの応答や、保守用のRFIDタグへの要求は処理対象から除外する。なお、保守用RFIDタグの認識は、例えば起動時に読み出し処理を行って、その際読み出せた識別IDを、保守用RFIDタグの識別IDとしてメモリに記憶しておけばよい。なお、設定インタフェース等を用いて、予めRFIDリーダライタ装置が備えるメモリに保守用RFIDタグの識別IDを記憶しておくことも可能である。または、制御部201が、保守用RFIDタグを認識し、保守用RFIDタグからの読み出しや、保守用RFIDタグへの書き込みを処理対象から除外するよう制御することも可能である。なお、保守用RFIDタグの識別IDは、例えば店舗システム20が備える記憶装置に記憶しておけばよい。そのような場合には、RFID制御部211に特別な処理は不要である。
【0036】
次に、本実施の形態の動作について説明する。まず、サービス運用時の動作について説明する。ここでは、顧客が店舗を訪問した際に予め配布されたRFIDタグをRFIDリーダライタにかざすと、来店ポイントを加算するとともに、最新の商品情報を顧客の携帯電話機向けに配信するサービスを提供する場合を例に説明する。
【0037】
まず、店舗を訪れる顧客に対しあらかじめ会員登録を行い、顧客の携帯電話機の電子メールアドレスと、顧客に配布するRFIDタグに記憶される識別IDとを対応づけて、顧客情報としてセンタ用コンピュータ10が備えるデータベースに記憶しておく。従って、RFIDタグには、少なくとも識別IDと来店ポイントとが記憶される。
【0038】
また、店舗に設置されたRFIDリーダライタ210は、常に、通信エリア内にいるRFIDタグから情報を読み出すよう制御される。例えば、店舗システム20の制御部201からの起動命令を受けて、RFIDリーダライタ210のRFID制御部211が、周期的に、読み出し要求を示す無線信号を送信するようRFIDアンテナ部212を制御することによって、RFIDアンテナ部212の通信エリア内にいるRFIDタグと交信可能にする。RFIDアンテナ部212の通信エリア内にいるRFIDタグは、RFIDアンテナ部212から送信される無線信号を受信し、要求に従ってデータメモリの読み出しを行い、結果を応答信号にして返信する。RFID制御部211が、RFIDアンテナ部212を介してRFIDタグから返信された応答信号を受信することで、RFIDタグに記憶された情報を読み出す。また、RFID制御部211は、読み出した情報を制御部201に送信する。
【0039】
店舗システム20の制御部201は、顧客が店舗に設置されたRFIDリーダライタ210にRFIDタグをかざすと、RFIDリーダライタ210が読み出したRFIDタグに記憶された情報(ここでは、識別IDと来店ポイント)を受信する。
【0040】
制御部201は、読み出した来店ポイントに1加算する。そして、加算した来店ポイントをRFIDタグに記憶させる。
【0041】
制御部201は、例えば、RFIDタグに記憶された来店ポイントを更新するための書き込み命令をRFID制御部211にだす。RFID制御部211は、制御部201からの書き込み命令を受けて、書き込み要求を示す無線信号を送信するようRFIDアンテナ部212を制御する。RFIDタグは、RFIDアンテナ部212から送信される無線信号を受信し、要求に従ってデータメモリの書き込みを行い、結果を応答信号にして返信する。RFID制御部211が、RFIDアンテナ部212を介してRFIDタグから返信された応答信号を受信する。RFID制御部211は、書き込み結果を制御部201に送信する。
【0042】
また、制御部201は、読み出した識別IDを来客情報としてセンタ用コンピュータ10に送信する。制御部201は、例えば、読み出した識別IDと読み出したRFIDリーダライタに割り振られた固有の機器IDとを含む来客情報をセンタ用コンピュータ10に送信する。来客情報には、加算した来店ポイントを含めてもよい。
【0043】
センタ用コンピュータ10は、店舗システム20から来客情報を受信する。センタ用コンピュータ10は、来客情報を受信すると、センタ用コンピュータ10が備えるデータベースに記憶されている顧客情報から、来客情報に含まれる識別IDに対応づけられた顧客の電子メールアドレスを取得する。そして、最新の商品情報を本文に含む電子メールを作成し、取得した電子メールアドレス宛に送信することによって、メール配信サービスを行う。なお、メール配信サービス等の処理は、センタ用コンピュータ10を介して行うが、来店ポイントに応じた割引サービス等、顧客情報を用いない場合には、店舗システム20内で処理することも可能である。
【0044】
ここまでは、サービス運用における本システムの動作を説明したが、本実施の形態では、各店舗システム20において、サービス運用の合間に無線情報機器(ここでは、RFIDリーダライタ210)の保守を行う。図3は、本実施の形態における店舗システム20の保守動作の一例を示すフローチャートである。
【0045】
まず、店舗システム20の制御部201は、一定時間経過毎(例えば、24時間毎)に通知を受けとるように予めタイマ部202に対しタイマの起動を要求している。制御部201は、一定時間が経過する毎に(ステップS1のYes)、RFIDリーダライタ210に対し正常動作確認処理を行うよう指示をだす。例えば、制御部201は、タイマ202から一定時間経過した旨の通知を受けとると、RFID制御部211に、正常動作確認命令をだす。なお、制御部201は、一定時間が経過しない間は、保守動作については何も行わず、通常のサービス運用動作を行っているものとする(ステップS1のNo)。なお、RFID制御部211または制御部201が、正常動作確認処理中以外で保守用RFIDタグから読み出された情報を無視するので、保守用RFIDタグが付随されている状態であっても通常のサービス運用が可能である。
【0046】
RFID制御部211は、制御部201からの正常動作確認命令を受けて、正常動作確認処理を行う(ステップS2)。RFID制御部211は、RFIDアンテナ部212を用いて、保守用RFIDタグ213−1〜5から所定のデータを読み込み、または書き込みを行うことによって、RFIDリーダライタ210が正常に動作しているか否かを確認する。例えば、5枚の保守用RFIDタグが付随されている場合に、4枚の保守用RFIDタグからしかデータが読み出せない場合や、異なるデータが読み出せる場合や、1枚の保守用RFIDタグに対し書き込み処理を行った際に書き込み結果が異常の場合や、その後の読み出し処理で、以前の書き込み処理で書き込んだデータが読み出せない場合に、RFIDリーダライタ210に何らかの障害が発生しているとして異常を検出する。なお、RFID制御部211は、所定のデータの書き込み処理や読み込み処理を複数パターンで行って異常を検出してもよい。
【0047】
RFID制御部211は、正常動作確認命令の応答として、検出結果を制御部201に送信する。なお、保守用RFIDタグの方に障害が発生することを考慮すると、異常が検出された場合には、異常の検出の原因となった保守用RFIDタグを特定可能な情報(例えば、識別ID)を含めて送信することがより好ましい。
【0048】
RFID制御部211から正常動作確認命令の応答を受信すると、制御部201は、正常動作確認処理の結果を確認する(ステップS3)。なお、制御部201は、RFID制御部211に対し、正常動作確認命令ではなく、所定のデータの読み出し命令や書き込み命令を出して、制御部201が正常動作確認処理を行うことも可能である。そのような場合には、制御部201が、RFID制御部211から送られる読み出した情報や、書き込み結果に基づいて異常を検出する。制御部201は、正常動作確認処理の結果が正常であれば(ステップS3のYes)、タイマを初期化する(ステップS4)。すなわち、制御部201は、RFID制御部211による正常動作確認処理の結果、異常が検出されなければ、タイマ部202に対しタイマの再起動を要求して次の一定時間経過後を待ちつつ、通常のサービス運用を継続する。
【0049】
また、制御部201は、正常動作確認処理の結果、異常が検出されれば、センタ用コンピュータ10に異常を通知する(ステップS5)。例えば、制御部201は、RFID制御部211による正常動作確認処理の結果、異常が検出されれば、通信部202を用いて、異常である旨とRFIDリーダライタ固有の機器IDとを含む障害情報をセンタ用コンピュータ10に送信する。また、制御部201は、店舗システム20がディスプレイ装置やアラームLED等の出力装置を備える場合には、出力装置に対してもアラームの出力を行う。
【0050】
また、センタ用コンピュータ10は、店舗システム20から障害情報を受信すると、例えば、画面に障害情報を表示する。保守担当者は、センタ用コンピュータ10の画面に障害情報が表示されることによって、異常の検出されたRFIDリーダライタを認識する。
【0051】
また、制御部201は、異常が検出された場合には、通常動作には戻らず、RFIDリーダライタに対する処理を終了する。なお、再度タイマーを初期化し、正常動作確認処理のみを繰り返すことも可能である。このような場合には、例えば、異常の検出の原因となった保守用RFIDタグが交換される等により、次の正常動作確認処理で異常が解消される場合に、そのまま通常動作に復帰することが可能となる。
【0052】
以上のように、本実施の形態によれば、保守用RFIDタグをRFIDアンテナ部に付随させ、RFID制御部が保守用RFIDタグを認識した上で、周期的に正常動作確認処理を行うことによって、人手を介さずに、かつ、システム内のRFIDリーダライタ全てに対し的確に異常を検出することができる。
【0053】
なお、本例では、店舗システム20が備える制御部201が正常動作確認処理を行うタイミングを制御していたが、センタ用コンピュータ10がタイマ機能を備え、センタ側から正常動作確認処理のタイミングを制御するという方法も考えられる。センタ側による正常動作確認処理のタイミングには、全店舗にて一斉に行ってもよいし、地域ごとにまとめて行うことも、個々の店舗毎にそれぞれのタイミングで行うことも可能である。
【0054】
また、システムの保守機能として捉えるだけでなく、RFIDリーダライタ装置の自動保守機能として捉えることも可能である。例えば、RFIDリーダライタ210がタイマ機能を備え、RFID制御部211が、自律的に正常動作確認処理を行い、異常が検出された場合に上位機器にその旨を送信することも考えられる。
【0055】
また、異常を検出する対象はRFIDリーダライタに限られず、読み出し処理のみを行うRFIDリーダであってもよい。このようなの場合には、正常動作確認処理を読み出し処理のみで行えばよく、例えば、予め記憶されている保守用RFIDタグの識別IDが読み出せるか否かを確認することによって、RFIDリーダの異常を検出できる。
【0056】
また、本発明による無線情報機器システムは、RFIDに限定されず、有線で接続されずに自動認識を行う類似の技術であれば、適用可能である。また、どのようなサービスを行うか、保守用RFIDタグ以外のRFIDタグにどのような情報を記録するか等、サービス内容には影響されない。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、コンビニエンスストアやスーパーマーケット、量販店等の店舗や商店街の店舗における顧客向けサービスを提供するような、複数の無線情報機器を用いる自動認識システムに好適に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本実施の形態による無線情報機器システムの構成例を示すブロック図。
【図2】RFIDリーダライタの例を示す説明図。
【図3】店舗システム20の保守動作の一例を示すフローチャート。
【図4】情報配信サービスを行う無線情報機器システムの構成例を示す概念図。
【図5】RFID内蔵ストラップの例を示す説明図。
【符号の説明】
【0059】
10 センタ用コンピュータ
20 店舗システム
201 制御部
202 タイマ部
203 通信部
210 RFIDリーダライタ
211 RFID制御部
212 RFIDアンテナ部
213−1〜5 保守用RFIDタグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線で情報媒体から情報を読み出し、情報媒体に無線で情報を書き込む無線情報機器の異常を検出する無線情報機器システムであって、
無線情報機器に搭載され、無線で情報の送受信を行う無線情報送受信手段と、
前記無線情報送受信手段に付随され、前記無線情報機器の動作確認に用いられる動作確認用情報媒体と、
前記無線情報送受信手段を介して、前記動作確認用情報媒体が記憶する情報の読み出しまたは書き込みを行い、読み出した情報または書き込み結果に基づいて、前記無線情報機器の異常を検出する異常検出手段と
を備えたことを特徴とする無線情報機器システム。
【請求項2】
異常検出手段は、動作確認用媒体に対し所定のパターンの情報の書き込みを行った後に、前記動作確認用情報媒体に対し情報の読み出しを行い、読み出された情報が前記所定のパターンの情報でない場合に、異常を検出する請求項1記載の無線情報機器システム。
【請求項3】
情報媒体は、情報媒体を識別するための識別情報を記憶し、
動作確認用情報媒体を識別するための識別情報を記憶する記憶手段を備え、
異常検出手段は、動作確認用情報媒体に対し識別情報の読み出しを行い、読み出された識別情報が前記記憶手段に記憶されている識別情報と一致しない場合に、異常が発生したと判断する
請求項1または請求項2記載の無線情報機器システム。
【請求項4】
情報媒体から情報が読み出された場合に、動作確認用情報媒体から読み出されたか否かを判断し、必要に応じて動作確認用情報媒体から読み出された情報を無効とする制御手段を備えた
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の無線情報機器システム。
【請求項5】
無線情報機器と接続される店舗端末と、前記店舗端末と通信ネットワークを介して接続される管理装置とを備え、
店舗端末は、異常検出手段が異常を検出した場合に、前記無線情報機器に異常が発生したことを示す情報を前記管理装置に送信する異常通知手段を備えた
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の無線情報機器システム。
【請求項6】
無線で情報媒体から情報を読み出し、情報媒体に無線で情報を書き込む無線情報機器であって、
無線で情報の送受信を行う無線情報送受信手段と、
前記無線情報送受信手段に付随され、当該無線情報機器の動作確認に用いられる動作確認用情報媒体と、
前記無線情報送受信手段を介して、前記動作確認用情報媒体が記憶する情報の読み出しまたは書き込みを行い、読み出した情報または書き込み結果に基づいて、当該無線情報機器の異常を検出する異常検出手段と
を備えたことを特徴とする無線情報機器。
【請求項7】
無線で情報媒体から情報を読み出し、情報媒体に無線で情報を書き込む無線情報機器の異常を検出する無線情報機器異常検出方法であって、
無線情報機器に付随される前記無線情報機器の動作確認に用いられる動作確認用情報媒体から情報の読み出しまたは書き込みを行うステップと、
読み出した情報または情報の書き込み結果に基づいて、前記無線情報機器の異常を検出するステップと、
異常を検出すると、前記無線情報機器に異常が発生したことを示す情報を、前記無線情報機器を管理する管理装置に送信するステップとを含む
ことを特徴とする無線情報機器異常検出方法。
【請求項8】
無線で情報媒体から情報を読み出し、情報媒体に無線で情報を書き込む無線情報機器であって、該無線情報機器の動作確認に用いられる動作確認用情報媒体が付随された無線情報機器と接続されるコンピュータに、
前記動作確認用情報媒体から読み出した情報、または前記動作確認用情報媒体への情報の書き込み結果に基づいて、前記無線情報機器の異常を検出する処理、および
異常を検出すると、前記無線情報機器に異常が発生したことを示す情報を、前記無線情報機器を管理する管理装置に送信する処理を
実行させるための無線情報機器異常検出プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−249553(P2007−249553A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−71564(P2006−71564)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】