説明

無線接続装置および方法

【課題】無線接続装置は、接続した複数の端末が複数の通信方式を使用可能な場合に、各通信方式の通信状態と、使用する通信方式間の比率とに基づいて、各端末と通信する通信方式を決定すること。
【解決手段】第1通信方式で初期接続した複数の端末の通信状態を確認し、複数の端末と通信する第2通信方式の通信状態を確認する接続状態確認部と、第1通信方式の通信状態と第2通信方式の通信状態、並びに第1通信方式と第2通信方式との通信比率均等に基づいて、各端末と通信する通信方式を決定する通信決定部とを含むことを特徴とする無線接続装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線接続装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線接続装置であるAP(Access Point)は、無線周波数(RF)通信を用いてネットワークに接続可能な装置であって、通信可能領域内の端末との無線接続を提供することにより、端末を介して超高速インターネットを使用者に提供することができる。
【0003】
最近、モバイル機器のような端末の大衆化に伴い、1つのAPに多くの端末が無線接続される現象が頻繁に発生する。1つのAPに多くの端末が接続されると、多くのトラフィックがAPに集中してしまう。しかし、現再使用しているRF帯域で処理可能なトラフィック容量は定められているため、トラフィックの急増は、無線接続の不安定およびトラフィック処理速度の低下など、サービス品質の低下を招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国特許出願公開第2006−0018539号
【特許文献2】米国特許第7,725,096号
【特許文献3】米国特許出願公開第2006/0146768号
【特許文献4】米国特許出願公開第2007/0294758号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的課題は、限定された無線周波数資源を有し、より多くの加入者を収容することができる無線接続装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、無線接続を提供する装置が提供される。無線接続装置は、接続状態確認部と、通信決定部とを含む。接続状態確認部は、第1通信方式で初期接続した複数の端末の通信状態を確認し、前記複数の端末と通信する第2通信方式の通信状態を確認する。そして、通信決定部は、前記第1通信方式の通信状態と前記第2通信方式の通信状態、並びに前記第1通信方式と第2通信方式との通信比率均等に基づいて、各端末と通信する通信方式を決定する。
【0007】
前記第1通信方式は、無線周波数通信を含むことができる。
【0008】
前記第2通信方式は、電力線通信を含むことができる。
前記接続状態確認部は、前記第1通信方式または前記第2通信方式により前記複数の端末から受信される信号の品質情報から、前記第1通信方式または前記第2通信方式の通信状態を確認することができる。
【0009】
前記接続状態確認部は、前記第2通信方式の信号をブロードキャスティングし、当該端末から応答信号を受信確認して前記第2通信方式の通信状態を確認することができる。
【0010】
本発明の他の実施形態によれば、無線接続装置で無線接続を提供する方法が提供される。無線接続方法は、接続した複数の端末が使用可能な通信方式を確認するステップと、前記複数の端末が使用可能な通信方式の通信状態を確認するステップと、前記複数の端末が使用可能な通信方式の通信状態と、使用する通信方式間の比率とに基づいて、前記複数の端末とそれぞれ通信する通信方式を決定するステップとを含む。
【0011】
前記通信方式は、無線周波数通信と、電力線通信を含むことができる。
【0012】
前記通信方式を確認するステップは、第1通信方式を用いて初期接続した複数の端末から、前記第1通信方式の通信状態を確認するステップと、前記複数の端末のうち、前記第1通信方式とは異なる第2通信方式で通信が可能な端末を確認するステップと、前記第2通信方式が可能な端末が存在する場合に、前記第2通信方式の通信状態を確認するステップとを含むことができる。
【0013】
前記決定するステップは、前記通信方式間の通信比率が最大限均等になるように、前記複数の端末とそれぞれ通信する通信方式を決定するステップを含むことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の実施形態によれば、接続された複数の端末に伝送する多くのデータを多様な通信資源を用いて分配処理可能なため、限定された無線周波数資源を有しても、多くのデータを安定して処理することができる。また、VLCを用いる場合、室内の照明が至る所の電波陰影地域の解消も可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態にかかる無線接続装置と端末との間の通信方式の一例を示す図である。
【図2】図1に示されたAPを示す図である。
【図3】本発明の実施形態にかかるAPにおいて通信方式を決定する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は、種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0017】
そして、図面において、本発明を明確に説明するために、説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたり、類似の部分については類似の図面符号を付した。
【0018】
明細書および請求の範囲全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0019】
以下、本発明の実施形態にかかる無線接続装置および方法について、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態にかかる無線接続装置と端末との間の通信方式の一例を示す図である。
【0021】
図1を参照すれば、無線接続装置(Access Point、AP)100は、インターネット300に接続されており、無線接続する複数の端末、例えば、端末200a、200b、200cにインターネットサービスを提供する。
【0022】
AP100と端末200a、200b、200cとは、設定された通信方式で無線通信することができる。
【0023】
AP100と端末200a、200b、200cは、無線周波数(Radio Frequency、RF)資源を用いたRF通信と、RF通信とは異なる通信方式、例えば、電力線通信(Power Line Communication、PLC)とを全て支援する多重通信モード装置である。このため、AP100は、電力線(power line)に接続される。
【0024】
端末200a、200b、200cは、電力線400に接続可能であり、PLCを介してAP100と通信することができる。この時、PLCのためには、AP100と電力線400との間にPLCモデム500aが設けられ、端末200a、200b、200cと電力線400との間にPLCモデム500b、500cが設けられる。
【0025】
また、端末200a、200b、200cは、電力線400に接続されると移動性に制限があるため、PLCを用いた光無線通信を近距離通信として使用することもできる。PLCを用いた光無線通信としては、光源を用いた可視光無線通信(Visual Light Communication、VLC)や赤外線(InfraRed、IR)通信があり得る。
【0026】
端末200a、200b、200cは、RF通信を用いてAP100に初期接続を試みることができ、その後、AP100からPLC通信の試みがあった場合に、これに応答してPLC通信を行うことができる。
【0027】
図1のように、PLCを用いた光無線通信を近距離通信として使用する端末200b/200bの場合、PLCモデム500b/500cと端末200b/200cとの間の信号を変換して送受信する信号変換器600a、600c/600b、600dが設けられていてよい。PLCモデム500a〜500cや信号変換器600a〜600dについては、すでに公知の技術に該当するので、説明を省略する。この時、信号変換器600a、600c/600b、600dの機能に応じてIR通信またはVLC通信が実行できる。
【0028】
AP100は、RF通信を用いて初期接続を試みた端末200a、200b、200cとの通信方式を決定するが、AP100に接続した端末200a、200b、200cの通信比率において、RF通信比率と他の通信比率との間の通信負荷均衡に基づいて、端末200a、200b、200cとの通信方式を決定することができる。
【0029】
以下、無線接続装置100と端末200a、200b、200cとの間の通信方法について、図2および図3を参照して詳細に説明する。
【0030】
図2は、図1に示されたAPを示す図である。
【0031】
図2を参照すれば、AP100は、通信部110と、接続状態確認部120と、通信決定部130と、データ処理部140とを含む。
【0032】
通信部110は、それぞれ異なる通信資源を用いる複数の通信モジュール、例えば、第1通信モジュール112と、第2通信モジュール114とを含むことができる。第1通信モジュール112は、RF通信を用いてデータを送受信する。第2通信モジュール114は、PLCを用いてデータを送受信する。
【0033】
接続状態確認部120は、端末200a、200b、200cの初期無線接続状態を確認する。
【0034】
接続状態確認部120は、第1通信モジュール112を介して端末200a、200b、200cから受信されるRF信号を用いて、端末200a、200b、200cの初期無線接続状態、つまり、RF通信状態を確認することができる。例えば、接続状態確認部120は、第1通信モジュール112を介して端末200a、200b、200cから受信されるRF信号の品質を示す情報、例えば、受信信号対雑音比(Signal to Noise Ratio、SNR)を測定し、端末200a、200b、200cのSNRが設定された閾値より大きい場合には、RF通信状態が良好であると判断し、そうでない場合には、RF通信状態が不良であると判断することができる。
【0035】
接続状態確認部120は、端末200a、200b、200cと通信する他の通信方式があるかを確認し、当該通信方式の通信状態を確認する。接続状態確認部120は、端末200a、200b、200cと通信する他の通信方式があるかを確認するために、第2通信モジュール114を介して基準信号をブロードキャスティングすることができる。接続状態確認部120は、端末200a、200b、200cから基準信号に対する応答信号を受信確認し、使用可能な通信方式と、その通信方式の通信状態とを確認することができる。接続状態確認部120は、応答信号のSNRを測定し、応答信号のSNRが設定された閾値より大きい場合に、該当通信方式の通信状態が良好であると判断し、そうでない場合に、該当通信方式の通信状態が不良であると判断することができる。
【0036】
通信決定部130は、AP100に初期接続を試みた端末200a、200b、200cのRF通信状態と、端末200a、200b、200cの他の通信方式、例えば、PLCの通信状態とに基づいて、端末200a、200b、200cと通信する通信方式を決定する。
【0037】
通信決定部130は、AP100に接続した端末200a、200b、200cの通信比率において、RF通信比率と他の通信比率との間の通信負荷均衡に基づいて、端末200a、200b、200cとの通信方式を決定することができる。つまり、通信決定部130は、RF通信資源のほか、他の通信資源を用いて通信できるように、端末200a、200b、200cの通信方式を決定する。
【0038】
データ処理部140は、通信決定部130により端末200a、200b、200cの通信方式が決定されると、当該端末200a、200b、200cに伝送するデータまたは当該端末200a、200b、200cから受信したデータを処理し、当該通信モジュール112または114に伝達する。
【0039】
こうすれば、AP100は、インターネット300を介して受信される各端末200a、200b、200cのデータを互いに異なる通信資源を用いて分担処理することができ、これにより、データ処理のためのRF資源の依存度を低減することができ、通信速度も増加させることができる。また、限定されたRF資源を有しても、より多くのトラフィックを処理することができ、通信システム全体のトラフィックスループットを向上させることができる。
【0040】
図3は、本発明の実施形態にかかるAPにおいて通信方式を決定する方法を示すフローチャートである。
【0041】
図3を参照すれば、AP100は、RF通信を用いて初期接続する複数の端末200a、200b、200cからRF信号を受信する(S310)と、端末200a、200b、200cのRF信号から、端末200a、200b、200cのRF通信状態を確認する(S320)。
【0042】
AP100は、端末200a、200b、200cのうち、RF通信とは異なる通信方式で通信可能な端末があるかを確認する(S330)。例えば、AP100は、端末200a、200b、200cとPLC通信が可能であるかを確認するために、電力線400を介して基準信号をブロードキャスティングすることができ、基準信号に対する応答信号を確認してPLC通信が可能な端末を確認することができる。ここでは、全ての端末200a、200b、200cがPLC通信が可能なものと仮定する。
【0043】
AP100は、RF通信とは異なる通信方式で通信可能な端末200a、200b、200cが存在する(S340)と、当該端末200a、200b、200cの応答信号から、各端末200a、200b、200cの通信方式と、通信状態とを確認する(S350)。AP100は、応答信号を分析して応答信号の通信方式を確認することができる。
【0044】
AP100は、端末200a、200b、200cのRF通信状態と端末200a、200b、200cの他の通信方式の通信状態、並びにRF通信比率と他の通信比率との間の通信負荷均衡に基づいて、端末200a、200b、200cの通信方式を決定する(S360)。例えば、端末200a、200b、200cのRF通信状態が全て良好で、端末200cのPLCの通信状態が良好な場合に、AP100は、端末200a、200b、200cの通信方式を全てRF通信に決定するのではなく、RF通信比率と他の通信比率との間の通信負荷均衡が最大限合うように、端末200a、200bの通信方式としてRF通信を決定し、端末200cの通信方式としてはPLCを決定することができる。こうすれば、AP100は、インターネット300を介して受信される端末200a、200b、200cのデータをRF通信とPLCとを介して分配処理することにより、RF資源を節約することができ、高速通信も可能になり、VLCを用いる場合、室内の照明が至る所の電波陰影地域を解消することもできる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、下記の請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線接続を提供する装置において、
第1通信方式で初期接続した複数の端末の通信状態を確認し、前記複数の端末と通信する第2通信方式の通信状態を確認する接続状態確認部と、
前記第1通信方式の通信状態と前記第2通信方式の通信状態、並びに前記第1通信方式と第2通信方式との通信比率均等に基づいて、各端末と通信する通信方式を決定する通信決定部とを含むことを特徴とする無線接続装置。
【請求項2】
前記第1通信方式は、無線周波数通信を含んで、前記第2通信方式は、電力線通信を含むことを特徴とする請求項1に記載の無線接続装置。
【請求項3】
前記接続状態確認部は、
前記第1通信方式または前記第2通信方式により前記複数の端末から受信される信号の品質情報から、前記第1通信方式または前記第2通信方式の通信状態を確認することを特徴とする請求項1に記載の無線接続装置。
【請求項4】
前記接続状態確認部は、
前記第2通信方式の信号をブロードキャスティングし、当該端末から応答信号を受信確認して前記第2通信方式の通信状態を確認することを特徴とする請求項1に記載の無線接続装置。
【請求項5】
無線接続装置で無線接続を提供する方法において、
接続した複数の端末が使用可能な通信方式を確認するステップと、
前記複数の端末が使用可能な通信方式の通信状態を確認するステップと、
前記複数の端末が使用可能な通信方式の通信状態と、使用する通信方式間の比率とに基づいて、前記複数の端末とそれぞれ通信する通信方式を決定するステップとを含むことを特徴とする無線接続方法。
【請求項6】
前記通信方式は、無線周波数通信と、電力線通信を含むことを特徴とする請求項5に記載の無線接続方法。
【請求項7】
前記通信方式を確認するステップは、
第1通信方式を用いて初期接続した複数の端末から、前記第1通信方式の通信状態を確認するステップと、
前記複数の端末のうち、前記第1通信方式とは異なる第2通信方式で通信が可能な端末を確認するステップと、
前記第2通信方式が可能な端末が存在する場合に、前記第2通信方式の通信状態を確認するステップとを含むことを特徴とする請求項5に記載の無線接続方法。
【請求項8】
前記第1通信方式の通信状態を確認するステップは、
前記第1通信方式により前記複数の端末から受信される信号の品質情報を測定するステップを含み、
前記第2通信方式の通信状態を確認するステップは、
前記第2通信方式により当該端末から受信される信号の品質情報を測定するステップを含むことを特徴とする請求項7に記載の無線接続方法。
【請求項9】
前記決定するステップは、
前記通信方式間の通信比率が最大限均等になるように、前記複数の端末とそれぞれ通信する通信方式を決定するステップを含むことを特徴とする請求項5に記載の無線接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−93838(P2013−93838A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−166906(P2012−166906)
【出願日】平成24年7月27日(2012.7.27)
【出願人】(596180076)韓國電子通信研究院 (733)
【氏名又は名称原語表記】Electronics and Telecommunications Research Institute
【住所又は居所原語表記】161 Kajong−dong, Yusong−gu, Taejon korea
【Fターム(参考)】