説明

無線機およびコンピュータプログラム

【課題】一波単信方式を採用した非常送のデジタル無線システムに使用する無線機において、混信の発生を防止するため、チャンネルの使用状況を聴覚的に簡単に確認できるようにする。
【解決手段】無線機のコントローラは、無線信号に含まれるパケットのヘッダ部から、呼び出し先に関するID情報およびデータ部に含まれるデータの種類を識別する情報を取り出して、その内容を解析し、無線信号を受信していないとき(S2でNo
)と、自局宛でないパケットを含む無線信号を受信し(S7でNo)、かつパケットのデータ部にパケット化されたデータが含まれるとき(S10でNo)で、スピーカ12から出力する音声を変える(S5、S12)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一波単信方式を採用した非常送のデジタル無線システムにおいて使用する無線機、およびその無線機の機能を実現するコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、デジタル無線システムでは、音声や文字などのデータを伝送する各チャンネルのそれぞれに1つの周波数を割り当てる一波単信方式が採用されている(例えば、特許文献1参照)。なお、一波単信方式のデジタル無線システムについては、例えば狭帯域デジタル通信方式の標準規格であるARIB STD−T98に詳しく規定されている。
【0003】
上述のデジタル無線システムでは、音声通信、すなわち送信するパケットに無線機のマイクから入力されたユーザの音声を含む場合と、データ通信、すなわち文字や音声・画像等がパケット化されたデータを含む場合とがある。
【0004】
また一波単信方式の非常送のデジタル無線システムにおいては、混信を避けるために、選択したチャンネルの使用状況を確認する必要がある。
【0005】
チャンネルの使用状況は、無線機本体のパネルの表示や受信ランプによって確認できるが、一般的な使用形態である、スピーカ付きのハンドマイク等を使用している場合、このような視覚的な方法による確認では操作性に問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−77077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
選択したチャンネルの使用状況を聴覚的に確認する方法として、従来の無線機では、チャンネルが使用中で、送信されたパケットに音声データが含まれている場合には、復号化された音声をスピーカから再生していた。
【0008】
しかしこの方法では、チャンネルが使用されていても、パケットに音声データ以外のデータ、例えば上述したパケット化されたデータ(以降「パケット化データ」という)が含まれている場合には、チャンネルが使用されていない場合と同様にスピーカから何も出力されず、両者の区別がつかないため、混信の防止には役立たなかった。
【0009】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、パケットに音声データ以外のデータが含まれている場合を含めて、チャンネルの使用状況を聴覚的に簡単に確認できる無線機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため本発明にかかる無線機は、異なる周波数が割り当てられた複数のチャンネルから任意のチャンネルを選択し、このチャンネルを用いて無線信号を送受信するデジタル無線システムに使用される無線機であって、
アンテナで受信した前記無線信号を復調してパケットを再生し、このパケットに含まれる音声データまたはパケット化されたデータを出力する受信部と、
前記受信部から出力された音声データを復号化およびD/A変換して音声信号を再生する音声コーデックと、
前記音声コーデックで再生された音声信号を音声として出力するスピーカと、
前記パケットのヘッダ部から、呼び出し先に関するID情報およびデータ部に含まれるデータの種類を識別する情報を取り出して、その内容を解析するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、前記チャンネルの使用状況を確認するために前記スピーカから出力する音声を、前記無線信号を受信していないときと、自局宛でないパケットを含む無線信号を受信し、かつ前記パケットのデータ部にパケット化されたデータが含まれるときで変えることを特徴とする。
【0011】
ここで、前記スピーカから出力される前記チャンネルの使用状況を確認する音声は、モニターキーが押されたときにのみ前記スピーカから出力されることが好ましい。
【0012】
また前記無線信号を受信していないとき、前記スピーカら擬似ランダム音が出力され、自局宛でないパケットを含む無線信号を受信し、かつ前記パケットのデータ部にパケット化されたデータが含まれるとき、前記スピーカからビープ音が出力されることが好ましい。
【0013】
本発明にかかる無線機は、音色の異なる複数の音声信号を生成する音声信号発生器を更に備え、前記コントローラは、前記チャンネルの使用状況に応じた音声信号の生成を前記音声信号発生器に指示することが好ましい。
【0014】
なお、前記コントローラは、少なくともCPU、ROM、RAMおよび不揮発性メモリを含むと共に、前記音声信号発生器の機能を実現するプログラムが前記ROMに格納され、前記ROMから読み出されたプログラムを前記CPUで実行するようにしても良い。
【0015】
また本発明にかかるコンピュータプログラムは、コンピュータを、異なる周波数が割り当てられた複数のチャンネルから任意のチャンネルを選択し、このチャンネルを用いて無線信号を送受信するデジタル無線システムに使用される無線機のコントローラとして機能させるコンピュータプログラムであって、
前記コントローラは、音声データまたはパケット化されたデータを含むパケットのヘッダ部から呼び出し先に関するID情報およびデータ部に含まれるデータの種類に関する情報を取り出して、その内容を解析し、
前記チャンネルの使用状況を確認するためにスピーカから出力する音声を、前記無線信号を受信していないときと、自局宛でないパケットを含む無線信号を受信し、かつ前記パケットのデータ部にパケット化されたデータが含まれるときで変えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、チャンネルの使用状況を確認するためにスピーカから出力する音声の音色を、チャンネルが使用されていないときと、送信されたパケットにパケット化データが含まれているときで変えているため、混信の発生を防ぐための確認操作がより容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態にかかる無線機の構成を示すブロック図である。
【図2】無線機によって送信されるパケットの構成を示す図である。
【図3】チャンネルの使用状況に応じてスピーカから異なる音声を出力させる際の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態にかかる無線機について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
<無線機の構成>
図1に、本実施の形態にかかる無線機、すなわち一波単信方式を採用した非常送のデジタル無線システムにおいて使用する無線機の構成を示す。無線機1は、マイク11、スピーカ12、AF増幅器13、音声コーデック14、送信部15、送受切替部16、アンテナ17、受信部18、インターフェース部19、コントローラ21、操作部26、表示部29および音声信号発生器30で構成されている。図中、太い矢印は音声信号やデータの流れを示し、細い矢印は制御系統の信号の流れを示している。
【0020】
無線機の各部の構成について説明する前に、一波単信方式の非常送のデジタル無線システムについて簡単に説明する。前述したように、一波単信方式のデジタル無線システムにおいては、音声や文字等のデータを伝送するチャンネル毎に1つの周波数が割り当てられている。通信を希望する無線機のユーザは、任意のチャンネルを選択し、そのチャンネルの周波数でパケットを送信する必要がある。
【0021】
また送信するパケットに、無線機のマイクから入力されたユーザの音声を含めること(音声通信)以外に、文字や音声・画像等がパケット化されたパケット化データを含めることができる(データ通信)。音声を送る場合には、パケットのデータ部に音声データが含まれ、それ以外の場合には、データ部にパケット化データが含まれる。パケット化データは、イーサネット(登録商標)やインターネットの通信プロトコルであるTCP/IPに準拠して作成されたものである。
【0022】
次に、無線機1の各部を説明する。マイク11は、送信用の音声を入力としてアナログ音声信号を生成し、その音声信号をAF増幅器13に出力する。一方、スピーカ12は、AF増幅器13から出力されたアナログ音声信号を音声に変換する。
【0023】
AF(Audio Frequency)増幅器13は、マイク11から入力されたアナログ音声信号を増幅して音声コーデック14に供給する。また、音声コーデック14から出力された受信音声のアナログ音声信号、および音声信号発生器30から出力された音声信号を増幅してスピーカ12に出力する。
【0024】
音声コーデック14は、AF増幅器13から供給されたアナログ音声信号をA/D(アナログデジタル)変換および符号化して送信部15に出力する。また音声コーデック14は、受信部18から供給されたデジタル音声信号を復号化し、更にD/A(デジタルアナログ)変換した後、AF増幅器13に出力する。
【0025】
送信部15は、音声コーデック14から供給されたデジタル音声信号、インターフェース部19またはコントローラ21から供給されたパケット化データに無線通信用のヘッダを付すと共に、後述するPTTスイッチ27の出力に基づいて分割し、図2に示す送信用のパケットを生成する。送信部15は更に、コントローラ21からの指示に従って送信周波数を切り替え、パケットを構成するデジタルデータで搬送波を変調し、送受切替部16を介してアンテナ17から送信する。パケットの構成については、後に図2を用いて詳述する。
【0026】
送受切替部16は、PTTスイッチ27が押されてオンになると送信部15からの送信信号をアンテナ17に導き、PTTスイッチ27が放されてオフになるとアンテナ17の受信信号を受信部18に導く。
【0027】
受信部18は、コントローラ21からの指示に従って受信周波数を切り替え、受信周波数に同調して増幅し、更に受信信号を復調してパケットを再生する。そして再生したパケットからヘッダ部を取り除き、音声データについては音声コーデック14に供給し、パケット化データ(例えば、イーサネット[登録商標]に準拠したパケット)についてはインターフェース部19またはコントローラ21に供給する。
【0028】
インターフェース部19は外部接続端子20に接続され、外部機器(GPSレシーバ、パーソナルコンピュータ等)から供給されるパケット化データを送信部15に供給する。またインターフェース部19は、受信部18から供給されたパケット化データを、外部接続端子20を介して外部機器(パーソナルコンピュータ等)に供給する。
【0029】
コントローラ21は無線機1の各部の動作を制御する。コントローラ21は、CPU(Central Processing Unit)22、CPU22の動作を規定するプログラムを記憶したROM(Read Only Memory)23、CPU22のワークメモリとして機能するRAM(Random Access Memory)24、および複数のチャンネルの周波数や自局のID情報等を格納した不揮発性メモリ25を備えている。
【0030】
またコントローラ21は、簡単なメッセージを含むパケット化データを作成し処理する機能を備えている。コントローラ21は、操作部26から入力されたメッセージをコントローラ21でパケット化データに変換し、送信部15に供給する。また、受信部18で取り出されたパケット化データに自局宛のメッセージが含まれている場合、コントローラ21は、そのパケット化データを取り込み、パケットに含まれるメッセージを取り出して表示部29に表示する。
【0031】
操作部26は複数のスイッチやキーで構成され、種々の入力信号や指示信号、更に簡単なメッセージをコントローラ21に入力するために用いられる。また操作部26には、PTT(Press To Talk)スイッチ27とモニターキー28が含まれている。
【0032】
PTTスイッチ27を押す(オンにする)と、送受切替部16が送信側に切り替わってアンテナ17から送信が行われ、放す(オフにする)と、送受切替部16が受信側に切り替わって受信した音声信号の再生が行われる。携帯型の無線機の場合、PTTスイッチ27は、無線機本体またはスピーカ付ハンドマイクに搭載されている。
【0033】
モニターキー28はチャンネルの使用状況を確認するためのスイッチであり、モニターキー28を押すと、チャンネルの使用状況に応じて音色の異なる音声がスピーカ12から出力される。携帯型の無線機の場合、モニターキー28はPTTスイッチ27と共に、無線機本体またはスピーカ付ハンドマイクに搭載されている。モニターキー28の操作方法については、後に表1および図3のフローチャートに基づいて詳述する。
【0034】
表示部29は液晶ディスプレイ等で構成され、種々のデータやメッセージを表示するのに用いられる。表示部29には、無線機1が無線信号を受信したこと(呼び出しがあったこと)や、呼び出し元(自局)および呼び出し先(相手局)のID情報等が表示される。更に、パケット化データに自局宛のメッセージが含まれている場合は、そのメッセージが表示される。
【0035】
音声信号発生器30は、コントローラ21の指示に従って異なる音色の音声信号を生成し、AF増幅器13に出力する。
【0036】
なお、コントローラ21のROM23に、あらかじめ音声信号を発生させるプログラムを格納しておき、ROM23から読み出されたプログラムをCPU22で実行することにより、音声信号発生器30と同様の機能を実現するようにしてもよい。このような構成とすれば、音声信号発生器30を別途設ける必要がないため、無線機のコストダウンが図れる。
【0037】
<パケットの構成>
次に、図2を参照して、送信部15で生成されるパケットの構成を説明する。パケットの構成は、デジタル無線システムにおいて一連のデータをどのような順番でどのようにまとめて送信するかを示したものである。
【0038】
パケットPaは、ヘッダ部Phとデータ部Pdとで構成されている。ヘッダ部Phには、同期信号h1、データ種別情報h2およびID情報h3が含まれている。
【0039】
同期信号h1は入力信号の同期をとり、またこれより信号であることを表す信号である。データ種別情報h2は、データ部Pdに含まれるデータの種類、すなわち音声データであるかパケット化データであるかを示している。ID情報h3は、送信する相手局すなわち呼び出し先の無線機のID、および自局の無線機すなわち呼び出し元の無線機のIDを示している。データ部Pdには、音声データまたはパケット化データのいずれかが含まれる。
【0040】
<無線機の交信動作>
次に、図1および図2を参照して、デジタル無線システムにおける交信動作を説明する。
【0041】
ユーザは交信に先立ち、無線機1の操作部26を操作して、各チャンネルに対応した周波数のデータと、交信に必要な情報、例えば呼び出し元(自局)のIDを不揮発性メモリ25に格納しておく。
【0042】
最初に、ユーザは無線機1の操作部26を操作し、使用するチャンネルを選択すると共に、呼び出し先の無線機1に予め割り当てられたIDを指定した後、呼び出しを指示する。
【0043】
操作部26から入力された情報はコントローラ21に通知される。コントローラ21は、不揮発性メモリ25から選択されたチャンネルの周波数を読み出し、送信部15と受信部18に送信して送信周波数と受信周波数を設定する。
【0044】
操作部26から入力された呼び出し先のIDおよび不揮発性メモリ25から読み出された呼び出し元のIDは、コントローラ21を介して送信部15に送信され、送信部15でこれらのIDを含む送信用のパケットが生成される。図2に示すようにパケットPaのヘッダ部Phには、呼び出し先(相手局)のIDおよび呼び出し元(自局)のIDを示すID情報h3が含まれている。
【0045】
送信部15で生成され、高周波信号に変換されたパケットは、送受切替部16およびアンテナ17を介して無線信号に変換され送信される。無線機1から送信された無線信号は呼び出し先の無線機1に到達する。
【0046】
無線機1で受信した無線信号は、アンテナ17および送受切替部16を介して受信部18に供給され、受信部18で復調されてパケットが再生される。更に、受信部18で再生されたパケットPaからヘッダ部Phが取り除かれ、データ部Pdの内容に応じて音声コーデック14、インターフェース部19またはコントローラ21に供給される。
【0047】
音声コーデック14に供給された音声データは復号化され、さらにアナログの音声信号に変換されてAF増幅器13に供給される。AF増幅器13で増幅された音声信号はスピーカ12から出力され、呼び出し元のユーザの声が再生される。
【0048】
また受信部18で再生されたパケットPaは、コントローラ21に供給される。コントローラ21のCPU22は、ECC(Error Check Code)チェックなどにより、受信したパケットPaが有効なパケットであるか否かを判別する。
【0049】
CPU22は、有効と判別されたパケットPaのヘッダ部PhのデータをRAM24に格納すると共に、ヘッダ部Phの情報を解析する。CPU22は、解析結果に基づいて、受信したパケットPaの呼び出し先IDや呼び出し元IDを表示部29に表示する。
【0050】
<チャンネルの使用状況に応じて異なる音声を出力させる手順>
次に、表1および図3を参照して、チャンネルの使用状況に応じてスピーカ12から異なる音声を出力させる際の手順について説明する。
【0051】
本発明では、任意のチャンネルが使用されているか否か、また使用されている場合にパケットPaに音声データ/パケット化データのいずれが含まれているかによって、スピーカ12から出力される音声の音色を変えることにより、チャンネルの使用状況を聴覚的に確認できるようにしている。
【0052】
表1は、チャンネルの使用状況およびパケットに含まれるデータの種類と、スピーカから出力される音声との関係を示したものである。ユーザが操作部26のモニターキー28を押すと、チャンネルの使用状況とパケットに含まれるデータの種類に応じて、スピーカ12から異なる音声が出力される。
【0053】
【表1】

【0054】
表1の1行目に示すように、チャンネルが使用中であり、かつパケットPaのデータ部Pdに音声データが含まれている場合には、送り出し元の無線機1から送信された音声がスピーカ12から出力される。従って、ユーザはそのチャンネルが使用中であり、音声通信が行われていることを確認できる。
【0055】
表1の2行目に示すように、無線チャンネルが使用中であり、かつパケットPaのデータ部Pdにパケット化データが含まれている場合には、スピーカ12からビープ音(例えば「ピーピーピー」)が出力される。従って、ユーザはそのチャンネルが使用中であり、かつデータ通信が行われていることを確認できる。
【0056】
表1の3行目に示すように、チャンネルが使用されていない場合には、擬似ランダム音がスピーカ12から出力される。従って、ユーザはそのチャンネルが使用されていないことを確認できる。
【0057】
次に、図3のフローチャートを参照して、チャンネルの使用状況に応じてスピーカ12から出力される音声の音色を変える際の手順を説明する。
【0058】
最初に、ユーザはパケットの受信を確認する(ステップS1)。具体的には、操作部26から選択したチャンネルの番号を入力すると、その信号を受けたコントローラ21は、不揮発性メモリ25からそのチャンネルに対応した周波数を読み出して受信部18に送信し、受信周波数を変更する。
【0059】
コントローラ21は、パケットPaを受信していれば、受信部18で再生されたパケットPaのデータをRAM24に格納する。コントローラ21は、パケットPaのヘッダ部Phに含まれる同期信号h1の有無により無線信号を受信したか否かを確認する。同期信号h1を検出しない場合には、無線信号を受信していない、すなわちそのチャンネルが使用されていないと判断する。
【0060】
コントローラ21がヘッダ部Phの同期信号h1を検出できない、すなわちパケットを受信せず(ステップS2でNo)、かつユーザがモニターキー28を押さない場合(ステップS3においてNo)には、スピーカ12から音声は出力されない(ステップS4)。
【0061】
一方、パケットを受信しない状態(ステップS2でNo)において、ユーザがモニターキー28を押した場合(ステップS3においてYes)、モニターキー28が押されたことを示す信号が、コントローラ21に通知される。
【0062】
この通知を受けたコントローラ21は、音声信号発生器30に擬似ランダム音の出力を指示する(ステップS5)。コントローラ21の指示に従って音声信号発生器30で擬似ランダム音の音声信号が生成され、AF増幅器13に供給されて、スピーカ12から擬似ランダム音が出力される。
【0063】
ステップS2においてパケットを受信中の場合(Yes)、コントローラ21はRAM24に格納されたパケットPaを読み出して、ヘッダ部Phの情報を解析する(ステップS6)。
【0064】
ヘッダ部PhのID情報h3の解析からパケットPaが自局宛である場合(ステップS7においてYes)、受信部18でパケットPaから取り出されたデータが音声コーデック14、インターフェース部19またはコントローラ21に出力される。
【0065】
音声コーデック14に供給された音声データは復号化され、さらにアナログの音声信号に変換された後、スピーカ12から呼び出し元のユーザの声が再生される(ステップS8)。一方、インターフェース部19に供給されたパケット化データは端子20から外部機器に出力される。この場合、スピーカ12から音声は出力されない(ステップS8)。なお、パケット化データに自局宛のメッセージが含まれている場合、パケット化データはコントローラ21で処理され、メッセージが表示部12に表示される。この場合も、スピーカ12から音声は出力されない。
【0066】
パケットPaが自局宛でない場合(ステップS7においてNo)で、かつユーザがモニターキー28を押さない場合(ステップS9においてNo)には、スピーカから音声は何も出力されない(ステップS4)。
【0067】
これに対し、パケットPaが自局宛でない場合(ステップS7においてNo)において、ユーザがモニターキー28を押した場合(ステップS9でYes)、モニターキー28が押されたことを示す信号が、コントローラ21に通知される。
【0068】
この通知を受けたコントローラ21は、パケットPaのヘッダ部Phの解析結果に基づいて、データ部Pdに音声データが含まれている場合には(ステップS10においてYes)、音声コーデック14で復号化され、さらにアナログの音声信号に変換された音声信号をスピーカ12から出力する(ステップS11)。
【0069】
一方、データ部Pdにパケット化データが含まれている場合には(ステップS10においてNo)、コントローラ21は、音声信号発生器30にビープ音の出力を指示する(ステップS12)。コントローラ21の指示に従って音声信号発生器30でビープ音の音色の音声信号が生成され、AF増幅器13に供給されて、スピーカ12からビープ音が出力される。
【0070】
上述したように、選択した任意のチャンネルにおいて、チャンネルの使用/不使用に応じて、またパケットに含まれるデータの種類に応じて、モニターキー28が押されたときにスピーカ12から出力される音声を変えることにより、そのチャンネルの使用状況を、聴覚を通じて簡単に確認できる。結果として、混信の発生を防ぐための確認操作がより容易に行えるようになる。
【0071】
なお、本実施の形態では、チャンネルが使用されていないときに、スピーカから擬似ランダム音を出力するようにした。これは、アナログの無線機において、同様の場合にスピーカからノイズ音が出力されることから、それに対応させ、ノイズ音に類似した擬似ランダム音を出力するものである。チャンネルが使用されていないことを喚起する音として他の音を用いてもよい、もしくは音を出さないようにしてもよい。同様に、データ通信が行われているときに、スピーカからビープ音を出力する代わりに、他の喚起音を出力するようにしてもよい。
【0072】
また、本実施の形態のコントローラおよび音声信号発生器の機能をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録媒体(例えばCD−ROM)に記録して配布したり、ネットワークで配信したりしてもよい。このコンピュータプログラムは、コンピュータの記録媒体に記録されインストールされる。
【符号の説明】
【0073】
1 無線機
11 マイク
12 スピーカ
13 AF増幅器
14 音声コーデック
15 送信部
16 送受切替部
17 アンテナ
18 受信部
19 インターフェース部
21 コントローラ
22 CPU
23 ROM
24 RAM
25 不揮発性メモリ
26 操作部
27 PTTスイッチ
28 モニターキー
29 表示部
30 音声信号発生器
Pa パケット
Ph ヘッド部
Pd データ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる周波数が割り当てられた複数のチャンネルから任意のチャンネルを選択し、このチャンネルを用いて無線信号を送受信するデジタル無線システムに使用される無線機であって、
アンテナで受信した前記無線信号を復調してパケットを再生し、このパケットに含まれる音声データまたはパケット化されたデータを出力する受信部と、
前記受信部から出力された音声データを復号化およびD/A変換して音声信号を再生する音声コーデックと、
前記音声コーデックで再生された音声信号を音声として出力するスピーカと、
前記パケットのヘッダ部から、呼び出し先に関するID情報およびデータ部に含まれるデータの種類を識別する情報を取り出して、その内容を解析するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、前記チャンネルの使用状況を確認するために前記スピーカから出力する音声を、前記無線信号を受信していないときと、自局宛でないパケットを含む無線信号を受信し、かつ前記パケットのデータ部にパケット化されたデータが含まれるときで変えることを特徴とする無線機。
【請求項2】
前記スピーカから出力される前記チャンネルの使用状況を確認する音声は、モニターキーが押されたときにのみ前記スピーカから出力されることを特徴とする、請求項1に記載の無線機。
【請求項3】
前記無線信号を受信していないとき、前記スピーカら擬似ランダム音が出力され、
自局宛でないパケットを含む無線信号を受信し、かつ前記パケットのデータ部にパケット化されたデータが含まれるとき、前記スピーカからビープ音が出力されることを特徴とする、請求項1または2に記載の無線機。
【請求項4】
音色の異なる複数の音声信号を生成する音声信号発生器を更に備え、前記コントローラは、前記チャンネルの使用状況に応じた音声信号の生成を前記音声信号発生器に指示することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の無線機。
【請求項5】
前記コントローラは、少なくともCPU、ROM、RAMおよび不揮発性メモリを含むと共に、前記音声信号発生器の機能を実現するプログラムが前記ROMに格納され、前記ROMから読み出されたプログラムを前記CPUで実行することを特徴とする、請求項4に記載の無線機。
【請求項6】
コンピュータを、
異なる周波数が割り当てられた複数のチャンネルから任意のチャンネルを選択し、このチャンネルを用いて無線信号を送受信するデジタル無線システムに使用される無線機のコントローラとして機能させるコンピュータプログラムであって、
前記コントローラは、音声データまたはパケット化されたデータを含むパケットのヘッダ部から呼び出し先に関するID情報およびデータ部に含まれるデータの種類に関する情報を取り出して、その内容を解析し、
前記チャンネルの使用状況を確認するためにスピーカから出力する音声を、前記無線信号を受信していないときと、自局宛でないパケットを含む無線信号を受信し、かつ前記パケットのデータ部にパケット化されたデータが含まれるときで変えることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−98684(P2013−98684A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238401(P2011−238401)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000100746)アイコム株式会社 (273)
【Fターム(参考)】