無線測定収集方法、無線端末、及びプロセッサ
【課題】ネットワークから受信した測定構成メッセージによって設定された測定構成に従って、無線環境の測定結果を含む測定ログを保持する処理を行うUEを用いた無線測定収集方法の提供。
【解決手段】ネットワークが、測定ログの送信を要求するためのUEInformationRequestメッセージをUEに送信するステップS109と、UEが、測定ログを送信するためのUEInformationResponseメッセージをネットワークに送信するステップS110と、を備える。ステップS110において、UEは、測定ログが保持されていない場合であっても、UEInformationResponseメッセージをネットワークに送信する。
【解決手段】ネットワークが、測定ログの送信を要求するためのUEInformationRequestメッセージをUEに送信するステップS109と、UEが、測定ログを送信するためのUEInformationResponseメッセージをネットワークに送信するステップS110と、を備える。ステップS110において、UEは、測定ログが保持されていない場合であっても、UEInformationResponseメッセージをネットワークに送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線環境の測定及び収集を行う無線測定収集方法、無線端末、及びプロセッサに関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムでは、無線基地局の周辺にビルが建設されたり、当該無線基地局の周辺基地局の設置状況が変化したりすると、当該無線基地局に係る無線環境が変化する。このため、従来では、オペレータにより、測定機材を搭載した測定用車両を使用して、無線環境を測定及び収集するドライブテストが行われている。
【0003】
このような無線環境の測定及び収集は、無線基地局等のパラメータの最適化に貢献できるが、工数が多く、且つ費用が高いという課題がある。そこで、移動通信システムの標準化プロジェクトである3GPP(3rd Generation Partnership Project)では、ユーザが所持する無線端末を使用して、無線環境の測定及び収集を自動化する技術であるMDT(Minimization of Drive Test)の仕様策定が進められている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】3GPP TR 36.805 V9.0.0 “Study on Minimization of drive-tests in Next Generation Networks”, 2009-12、及び、3GPP TS 37.320 v0.7.0, “Radio measurement collection for Minimization of Drive Tests (MDT)”, 2010-07
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
MDTの一形態である記録型MDT(Logged MDTと称される)では、以下の方法で無線環境の測定及び収集を行うことが想定されている。まず、無線基地局を含んで構成されるネットワークが、測定構成(Configuration)を設定する測定構成メッセージを無線端末に送信する。次に、無線端末が、アイドル状態(すなわち待ち受け中の状態)において、ネットワークから受信した測定構成メッセージによって設定された測定構成に従って、無線環境の測定結果を含む測定ログを保持する処理(Logging)を行う。
【0006】
そして、ネットワークは、測定ログの送信を要求するためのログ送信要求を無線端末に送信する。その後、当該無線端末は、測定ログを送信するためのログ送信応答をネットワークに送信する。しかしながら、無線端末は、測定期間が満了してから所定時間(具体的には、48時間)が経過した以降は、測定ログを保持しておく義務はない。このため、無線端末がログ送信要求を受信した後に測定ログを削除する可能性があるが、現状ではこのような事態が想定されていないため、ネットワーク側で予期せぬエラーが発生する虞がある。
【0007】
そこで、本発明は、ネットワーク側で予期せぬエラーが発生することを防ぐことができる無線測定収集方法及び無線端末を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明は以下のような特徴を有している。
【0009】
まず、本発明に係る無線測定収集方法の特徴は、ネットワーク(例えばE−UTRAN)から受信した測定構成メッセージ(例えばIdleMDTConfigurationメッセージ)によって設定された測定構成に従って、無線環境の測定結果を含む測定ログを保持する処理を行う無線端末(例えば無線端末UE)を用いた無線測定収集方法であって、前記ネットワークが、前記測定ログの送信を要求するためのログ送信要求(例えばUEInformationRequestメッセージ)を前記無線端末に送信するステップAと、前記無線端末が、前記測定ログを送信するためのログ送信応答(例えばUEInformationResponseメッセージ)を前記ネットワークに送信するステップBと、を備え、前記ステップBにおいて、前記無線端末は、前記測定ログが保持されていない場合であっても、前記ログ送信応答を前記ネットワークに送信することを要旨とする。
【0010】
本発明に係る無線測定収集方法の他の特徴は、上述した特徴において、前記無線端末が、測定期間が満了してから所定時間が経過して、前記測定ログが削除された場合であっても、前記ログ送信応答を前記ネットワークに送信することを要旨とする。
【0011】
本発明に係る無線測定収集方法の他の特徴は、上述した特徴において、前記無線端末が、アイドル状態から接続状態に移行する際に、前記測定ログを保持していることを示すログ保持情報(例えばAvailability Indicator)を前記ネットワークに送信し、前記ステップAにおいて、前記ネットワークは、前記ログ保持情報に基づいて、前記ログ送信要求を前記無線端末に送信することを要旨とする。
【0012】
本発明に係る無線測定収集方法の他の特徴は、上述した特徴において、前記無線端末が、アイドル状態から接続状態への遷移が完了した旨の遷移完了メッセージ(例えばRRCConnectionSetupCompleteメッセージ)を前記ネットワークに送信し、前記ステップAにおいて、前記ネットワークは、前記接続状態に遷移した無線端末に対して、前記ログ送信要求を送信することを要旨とする。
【0013】
本発明に係る無線測定収集方法の他の特徴は、上述した特徴において、前記遷移完了メッセージは、前記測定ログを保持していることを示すログ保持情報(例えばAvailability Indicator)を含むことを要旨とする。
【0014】
本発明に係る無線端末の特徴は、ネットワークから受信した測定構成メッセージによって設定された測定構成に従って、無線環境の測定結果を含む測定ログを保持する処理を行う無線端末であって、前記ネットワークから、前記測定ログの送信を要求するためのログ送信要求を受信する受信部と、前記測定ログを送信するためのログ送信応答を、前記ネットワークに送信する送信部と、を備え、前記送信部は、前記測定ログが記憶されていない場合であっても、前記ログ送信応答を前記ネットワークに送信することを要旨とする。
【0015】
本発明に係るプロセッサの特徴は、無線端末に適用されるプロセッサであって、前記プロセッサは、前記無線端末が、ネットワークから受信した測定構成メッセージによって設定された測定構成に従って、無線環境の測定結果を含む測定ログを保持するための処理と、前記無線端末が、前記ネットワークから前記測定ログの送信を要求するためのログ送信要求を受信した後、前記測定ログが保持されていない場合であっても、前記測定ログを送信するためのログ送信応答を前記ネットワークに送信するための処理と、を行うように構成されている、ことを要旨とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、第1実施形態に係る移動通信システム1の全体概略構成を示す図である。
【図2】図2は、無線基地局eNBの構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、無線端末UEの構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、第1実施形態に係る無線測定収集方法を示すシーケンス図である。
【図5】図5は、第1実施形態の変更例に係る無線測定収集方法を示すシーケンス図である。
【図6】図6は、第2実施形態に係る無線測定収集方法を示すシーケンス図である。
【図7】図7は、第2実施形態の変更例1に係る無線測定収集方法を示すシーケンス図である。
【図8】図8は、第2実施形態の変更例2に係る無線測定収集方法を示すシーケンス図である。
【図9】図9は、その他の実施形態の選択肢1に係る無線測定収集方法を示すシーケンス図である。
【図10】図10は、その他の実施形態の選択肢2に係る無線測定収集方法を示すシーケンス図である。
【図11】図11は、その他の実施形態の選択肢3に係る無線測定収集方法を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面を参照して、本発明の第1実施形態、第2実施形態、及びその他の実施形態を説明する。以下の各実施形態における図面において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0018】
以下においては、3GPPで仕様が策定されているLTE(Long Term Evolution)−Advancedに基づいて構成される移動通信システムを主として説明する。ただし、LTE−Advancedに限らず、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)に基づいて構成される移動通信システム等についても本発明を適用できることに留意されたい。
【0019】
(1)第1実施形態
第1実施形態では、(1.1)移動通信システムの概要、(1.2)無線基地局の構成、(1.3)無線端末の構成、(1.4)無線測定収集方法、(1.5)第1実施形態の効果、(1.6)第1実施形態の変更例について説明する。
【0020】
(1.1)移動通信システムの概要
図1は、第1実施形態に係る移動通信システム1の全体概略構成を示す図である。
【0021】
図1に示すように、移動通信システム1は、無線端末UE(User Equipment)、複数の無線基地局eNB(evolved Node-B)、保守監視装置OAM(Operation and Maintenance)、及び複数の移動管理装置MME(Mobility Management Entity)/ゲートウェイ装置S−GW(Serving Gateway)を有する。
【0022】
複数の無線基地局eNB(eNB#1〜eNB#3)は、E−UTRAN(Evolved-UMTS Terrestrial Radio Access Network)を構成する。複数の無線基地局eNBのそれぞれは、無線端末UEにサービスを提供すべき通信エリアであるセルを形成する。無線端末UEは、ユーザが所持する無線通信装置であり、ユーザ装置とも称される。
【0023】
隣接する各無線基地局eNBは、基地局間通信を提供する論理的な通信路であるX2インターフェースを介して互いに通信可能である。複数の無線基地局eNBのそれぞれは、S1インターフェースを介して、EPC(Evolved Packet Core)、具体的には、MME(Mobility Management Entity)/S−GW(Serving Gateway)と通信可能である。また、各無線基地局eNBは、オペレータによって運営される保守監視装置OAMと通信可能である。
【0024】
なお、以下においては、E−UTRANと保守監視装置OAMとを併せて適宜「ネットワーク」と称する。ただし、異なる無線通信方式(RAT: Radio Access Technology)の無線アクセスネットワークが「ネットワーク」に含まれてもよい。
【0025】
移動通信システム1は、記録型MDT(Logged MDTと称される)をサポートする。記録型MDTとは、アイドル状態の無線端末UEが、設定された条件を満たすときに測定を行い、測定結果を含む測定ログを後でネットワークに報告するために保持するものである。記録型MDTでは、以下の方法で無線環境の測定及び収集を行う。
【0026】
第1に、ネットワークが、測定構成を設定する測定設定メッセージであるIdleMDTConfigurationメッセージを無線端末UEに送信する。測定構成は、測定対象(measurements to be logged)、測定トリガ(triggering of logging event)、測定時間(total duration of logging)、タイムスタンプ(network absolute time stamp)、及び測定エリア(measurements area)を含む。ただし、測定エリア(measurements area)は、測定構成に含まれなくてもよい。なお、測定構成は、MDT Configurationと称されることがある。
【0027】
第2に、無線端末UEが、アイドル状態、且つ測定期間において、IdleMDTConfigurationメッセージに従って無線環境の測定を行うとともに、当該測定の結果を含む測定ログを保持する。具体的には、無線端末UEは、IdleMDTConfigurationメッセージによる測定構成の設定時に測定期間のタイマ(duration timer)を起動し、当該タイマが満了すると測定ログの記録を終了する。なお、無線環境とは、参照信号の受信電力(RSRP)や参照信号の受信品質(RSRQ)である。また、測定ログは、無線環境の測定結果に加え、位置情報やタイムスタンプを含んでもよい。位置情報とは、サービングセルのECGI情報、GNSS(GPS)情報、又はRFフィンガープリントである。
【0028】
第3に、無線端末UEが、アイドル状態(RRC Idle state)から接続状態(RRC Connected state)に移行する際に、測定ログを保持していることを示すログ保持情報(Availability Indicatorと称される)をネットワークに送信する。具体的には、無線端末UEは、接続状態の確立が完了したことを示すRRCConnectionSetupCompleteメッセージにログ保持情報を含めてネットワークに送信する。
【0029】
第4に、ネットワークが、受信したログ保持情報に基づいて、測定ログの報告を要求する要求メッセージであるUEInformationRequestメッセージを無線端末UEに送信する。無線端末UEは、UEInformationRequestメッセージを受信すると、保持している測定ログを含むUEInformationResponseメッセージをネットワークに送信する。
【0030】
記録型MDTでは、複数の測定構成を同時に無線端末UEに設定することができない。このため、測定ログを保持している無線端末UEがネットワークから新たな測定構成メッセージを受信して新たな測定構成を設定する場合、無線端末UEは、設定する測定構成を新たな測定構成に置き換えるとともに、保持している測定ログを消去する。
【0031】
なお、E−UTRANとは異なるRATで無線端末UEに測定構成が設定されることがある。無線端末UEは、測定構成が設定されたRATとは異なるRATにおいては、ログ保持情報を送信しない。このため、E−UTRANは、無線端末UEが測定ログを保持しているにも拘わらず、新たな測定構成を無線端末UEに設定してしまう可能性がある。
【0032】
そこで、第1実施形態では、E−UTRAN(無線基地局eNB)は、ログ保持情報を無線端末UEから受信しなくても、IdleMDTConfigurationメッセージを送信する前に、所定のメッセージとしてのUEInformationRequestメッセージを無線端末UEに送信することによって、測定ログの損失を抑制する。
【0033】
(1.2)無線基地局の構成
図2は、無線基地局eNBの構成を示すブロック図である。
【0034】
図2に示すように、無線基地局eNBは、アンテナ101、無線通信部110、ネットワーク通信部120、記憶部130、及び制御部140を有する。
【0035】
アンテナ101は、無線信号の送受信に用いられる。無線通信部110は、例えば無線周波数(RF)回路やベースバンド(BB)回路等を用いて構成され、アンテナ101を介して無線信号を送受信する。また、無線通信部110は、送信信号の変調と受信信号の復調とを行う。ネットワーク通信部120は、他のネットワーク装置(保守監視装置OAMや他の無線基地局eNB等)との通信を行う。記憶部130は、例えばメモリを用いて構成され、無線基地局eNBの制御等に用いられる各種の情報を記憶する。制御部140は、例えばCPUを用いて構成され、無線基地局eNBが備える各種の機能を制御する。
【0036】
制御部140は、測定制御部141及びログ取得処理部142を有する。
【0037】
測定制御部141は、(ネットワークによって選択された)無線端末UEに測定構成を設定すると決定すると、測定構成を設定するIdleMDTConfigurationメッセージを生成する。そして、測定制御部141は、当該IdleMDTConfigurationメッセージを無線端末UEに送信するよう無線通信部110を制御する。
【0038】
ログ取得処理部142は、無線端末UEから測定ログを取得する処理を行う。ログ取得処理部142は、IdleMDTConfigurationメッセージの送信前に、UEInformationRequestメッセージを生成し、生成したUEInformationRequestメッセージを無線端末UEに送信するよう無線通信部110を制御する。ログ取得処理部142は、UEInformationRequestメッセージに応じて無線端末UEから送信(報告)されたUEInformationResponseメッセージを無線通信部110が受信すると、受信したUEInformationResponseメッセージに含まれる測定ログを取得する。
【0039】
そして、ログ取得処理部142は、取得した測定ログを保守監視装置OAMに送信するようネットワーク通信部120を制御する。なお、ログ取得処理部142は、測定ログを保守監視装置OAMに送信するケースに限らず、当該測定ログの内容を解釈し、自無線基地局eNBのパラメータ調整に使用してもよい。
【0040】
(1.3)無線端末の構成
図3は、無線端末UEの構成を示すブロック図である。
【0041】
図3に示すように、無線端末UEは、アンテナ201、無線通信部210、ユーザインターフェース部220、GPS受信機230、バッテリ240、記憶部250、及び制御部260を有する。ただし、無線端末UEは、GPS受信機230を有していなくてもよい。
【0042】
アンテナ201は、無線信号の送受信に用いられる。無線通信部210は、例えば無線周波数(RF)回路やベースバンド(BB)回路等を用いて構成され、アンテナ201を介して無線信号を送受信する。また、無線通信部210は、送信信号の変調と受信信号の復調とを行う。ユーザインターフェース部220は、ユーザとのインターフェースとして機能するディスプレイやボタン等である。バッテリ240は、無線端末UEの各ブロックに供給される電力を蓄える。記憶部250は、例えばメモリを用いて構成され、無線端末UEの制御等に用いられる各種の情報を記憶する。制御部260は、例えばCPUを用いて構成され、無線端末UEが備える各種の機能を制御する。
【0043】
制御部260は、測定処理部261及び測定情報管理部262を有する。
【0044】
測定処理部261は、接続状態において、IdleMDTConfigurationメッセージを無線通信部210が受信すると、受信したIdleMDTConfigurationメッセージに含まれる測定構成を設定(すなわち、記憶部250に記憶)する。
【0045】
測定処理部261は、アイドル状態において、記憶部250に記憶された測定構成に従って無線環境の測定及び位置情報の取得等を行うとともに、測定結果及び位置情報等を含む測定ログを保持(すなわち、記憶部250に記憶)する。具体的には、測定処理部261は、測定対象(measurements to be logged)で指定された周波数、及び測定トリガ(triggering of logging event)で指定されたトリガでの測定を行う。また、測定処理部261は、測定エリア(measurements area)で指定されたセルID又はトラッキングエリアにキャンプする場合にのみ測定を行う。
【0046】
また、測定処理部261は、測定構成の設定時に測定期間のタイマ(duration timer)を起動し、当該タイマが満了すると測定ログの記録を終了する。
【0047】
測定情報管理部262は、記憶部250に保持された測定構成及び測定ログを管理する。また、測定情報管理部262は、測定期間のタイマ(duration timer)が満了すると、測定構成を消去する。さらに、測定情報管理部262は、測定構成及び測定ログを保持している際にネットワークから新たな測定構成メッセージを受信して新たな測定構成を設定する場合、新たな測定構成に置き換えるとともに、保持している測定ログを消去する。
【0048】
測定情報管理部262は、記憶部250に測定ログが保持されている場合であって、アイドル状態から接続状態への移行が完了した際に、測定ログを保持していることを示すログ保持情報を、アイドル状態から接続状態への移行が完了したことを示すRRCConnectionSetupCompleteメッセージに含めて送信するよう無線通信部210を制御する。ただし、測定情報管理部262は、測定構成が設定されたRATとは異なるRATにおいては、ログ保持情報を送信しないよう制御する。
【0049】
測定情報管理部262は、接続状態において、UEInformationRequestメッセージを無線通信部210が受信すると、測定ログを取得し、取得した測定ログを含むUEInformationResponseメッセージを生成する。そして、測定情報管理部262は、生成したUEInformationResponseメッセージをネットワーク(無線基地局eNB)に送信するよう無線通信部210を制御する。このようにして測定ログがネットワークに報告されると、測定情報管理部262は、記憶部250に記憶された測定ログを消去する。
【0050】
なお、測定情報管理部262は、測定期間のタイマが満了してから48時間以内に、ネットワークへの測定ログの報告ができないケースでは、当該測定ログを消去することも可能である。
【0051】
(1.4)無線測定収集方法
図4は、第1実施形態に係る無線測定収集方法を示すシーケンス図である。本シーケンスでは、E−UTRANとは異なるRATで無線端末UEに測定構成が設定されるケースを説明する。無線端末UEは、測定構成が設定されたRATとは異なるRATにおいては、ログ保持情報(Availability Indicator)を送信しない。このため、E−UTRANは、無線端末UEが測定ログを保持しているにも拘わらず、新たな測定構成を無線端末UEに設定してしまう可能性がある。
【0052】
図4に示すように、ステップS101において、無線端末UEは、E−UTRANとは異なるRATからIdleMDTConfigurationメッセージを受信する。
【0053】
無線端末UEは、IdleMDTConfigurationメッセージを受信すると、ステップS102において、受信したIdleMDTConfigurationメッセージに含まれる測定構成を自無線端末UEに設定する。
【0054】
ステップS103において、無線端末UEは、接続状態からアイドル状態に移行する。
【0055】
ステップS104において、アイドル状態の無線端末UEは、設定した測定構成に従って無線環境の測定を行うとともに、当該測定の結果を含む測定ログを保持する。
【0056】
ステップS105において、無線端末UEは、無線基地局eNBとの接続処理を行う。
【0057】
ステップS106において、無線端末UEは、アイドル状態から接続状態に移行する。
【0058】
ステップS107において、無線端末UEは、無線端末UEは、アイドル状態から接続状態への移行が完了したことを示すRRCConnectionSetupCompleteメッセージを無線基地局eNBに送信する。なお、無線端末UEは、測定構成が設定されたRATとは異なるRATであることから、ログ保持情報(Availability Indicator)を送信しない。
【0059】
ステップS108において、無線基地局eNBは、例えば保守監視装置OAMからの指示に応じて、無線端末UEに測定構成を設定すると決定する。
【0060】
無線基地局eNBは、無線端末UEに測定構成を設定すると決定すると、ステップS109において、測定ログの送信を要求するUEInformationRequestメッセージを生成し、生成したUEInformationRequestメッセージを無線端末UEに送信する。
【0061】
無線端末UEは、UEInformationRequestメッセージを無線基地局eNBから受信すると、ステップS110において、保持している測定ログを含むUEInformationResponseメッセージを生成し、生成したUEInformationResponseメッセージを無線基地局eNBに送信する。このようにして測定ログがネットワークに報告されると、無線端末UEは、保持している測定ログを消去する。なお、無線基地局eNBは、測定ログを含むUEInformationResponseメッセージを無線端末UEから受信すると、受信したUEInformationResponseメッセージに含まれる測定ログを取得し、取得した測定ログを保守監視装置OAMに送信する。無線基地局eNBは、測定ログを保守監視装置OAMに送信する前に、その情報(測定ログ)を自ら使用してもよい。
【0062】
一方、無線端末UEがUEInformationRequestメッセージを無線基地局eNBから受信した際に測定ログを保持していない場合、ステップS110において、無線端末UEは、測定ログを保持していない旨の情報を含むUEInformationResponseメッセージを生成し、生成したUEInformationResponseメッセージを無線基地局eNBに送信する。あるいは、無線端末UEは、測定ログを保持していない旨の情報を含むUEInformationResponseメッセージに代えて、測定ログを保持していないことを通知するメッセージを無線基地局eNBに送信してもよい。
【0063】
ステップS111において、無線基地局eNBは、測定構成を設定するIdleMDTConfigurationメッセージを生成し、生成したIdleMDTConfigurationメッセージを無線端末UEに送信する。
【0064】
無線端末UEは、無線基地局eNBからIdleMDTConfigurationメッセージを受信すると、ステップS112において、保持している測定構成を、IdleMDTConfigurationメッセージに含まれる新たな測定構成に置き換える。
【0065】
なお、本シーケンスにおいては、E−UTRANとは異なるRATで無線端末UEに測定構成が設定されるケースを説明したが、E−UTRANで無線端末UEに測定構成が設定されてもよい。
【0066】
(1.5)第1実施形態の効果
以上説明したように、第1実施形態によれば、測定ログを保持している無線端末UEは、無線基地局eNBから新たなIdleMDTConfigurationメッセージを受信して新たな測定構成を設定する場合でも、当該新たなIdleMDTConfigurationメッセージを受信する前に、保持している測定ログを無線基地局eNBに送信できる。したがって、測定ログの損失を抑制できる。
【0067】
特に、無線基地局eNBは、ログ保持情報(Availability Indicator)を無線端末UEから受信しなくても、IdleMDTConfigurationメッセージを送信する前にUEInformationRequestメッセージを無線端末UEに送信することによって、測定ログの損失をより確実に抑制できる。
【0068】
(1.6)第1実施形態の変更例
第1実施形態では、無線端末UEが、UEInformationRequestメッセージを無線基地局eNBから受信した際に測定ログを保持していない場合、測定ログを保持していない旨を無線基地局eNBに通知するケースを説明した。本変更例では、無線端末UEが、UEInformationRequestメッセージを無線基地局eNBから受信した際に測定ログを保持していない場合、測定ログを保持していない旨を無線基地局eNBに通知しないケースを説明する。
【0069】
図5は、第1実施形態の変更例に係る無線測定収集方法を示すシーケンス図である。ステップS201〜ステップS208の処理は第1実施形態と同様であるため、ステップS209以降の処理を説明する。
【0070】
図5に示すように、無線基地局eNBは、無線端末UEに測定構成を設定すると決定すると、ステップS209において、測定ログの送信を要求するUEInformationRequestメッセージを生成し、生成したUEInformationRequestメッセージを無線端末UEに送信する。
【0071】
ステップS210において、無線基地局eNBは、UEInformationRequestメッセージを無線端末UEに送信した際に、一定時間を計時するためのタイマを起動する。
【0072】
無線端末UEは、UEInformationRequestメッセージを無線基地局eNBから受信した際に測定ログを保持している場合に、ステップS211において、保持している測定ログを含むUEInformationResponseメッセージを生成し、生成したUEInformationResponseメッセージを無線基地局eNBに送信する。
【0073】
一方、無線端末UEは、UEInformationRequestメッセージを無線基地局eNBから受信した際に測定ログを保持していない場合に、UEInformationResponseメッセージの送信を省略する。
【0074】
上記タイマが満了すると、ステップS212において、無線基地局eNBは、測定構成を設定するIdleMDTConfigurationメッセージを生成し、生成したIdleMDTConfigurationメッセージを無線端末UEに送信する。
【0075】
無線端末UEは、無線基地局eNBからIdleMDTConfigurationメッセージを受信すると、ステップS213において、保持している測定構成を、IdleMDTConfigurationメッセージに含まれる新たな測定構成に置き換える。
【0076】
このように、本変更例によれば、無線端末UEは、UEInformationRequestメッセージを無線基地局eNBから受信した際に測定ログを保持していない場合に、UEInformationResponseメッセージの送信を省略する。これにより、第1実施形態と比較して、UEInformationResponseメッセージの送信に要する無線リソースを節約できる。
【0077】
(2)第2実施形態
第1実施形態では、無線基地局eNBは、IdleMDTConfigurationメッセージを送信する前に、所定のメッセージとしてのUEInformationRequestメッセージを無線端末UEに送信していた。第2実施形態では、無線基地局eNBは、IdleMDTConfigurationメッセージを送信する前に、所定のメッセージとしてのMDTConfigurationSetupメッセージを無線端末UEに送信する。MDTConfigurationSetupメッセージは、無線端末UEにおける測定ログの保持状態を示す情報の送信を要求するメッセージである。
【0078】
第2実施形態では、第1実施形態との相違点を説明し、重複する説明を省略する。以下において、(2.1)無線基地局及び無線端末の構成、(2.2)無線測定収集方法、(2.3)第2実施形態の効果、(2.4)第2実施形態の変更例1、(2.5)第2実施形態の変更例2について説明する。
【0079】
(2.1)無線基地局及び無線端末の構成
再び図2を用いて、第2実施形態に係る無線基地局eNBについて、第1実施形態との相違点を説明する。
【0080】
第2実施形態に係る無線基地局eNBでは、ログ取得処理部142は、無線端末UEから測定ログを取得する処理を行う。ログ取得処理部142は、IdleMDTConfigurationメッセージの送信前に、MDTConfigurationSetupメッセージを生成し、生成したMDTConfigurationSetupメッセージを無線端末UEに送信するよう無線通信部110を制御する。また、ログ取得処理部142は、MDTConfigurationSetupメッセージの送信後、測定ログを保持しているかの情報を含むMDTConfigurationSetupResponseメッセージを無線通信部110が無線端末UEから受信する。ログ取得処理部142は、MDTConfigurationSetupResponseメッセージを無線通信部110が無線端末UEから受信し、その中に測定ログを保持している旨の情報が含まれていた場合に、UEInformationRequestメッセージを生成し、生成したUEInformationRequestメッセージを無線端末UEに送信するよう無線通信部110を制御する。そして、ログ取得処理部142は、無線端末UEから送信(報告)されたUEInformationResponseメッセージを無線通信部110が受信すると、受信したUEInformationResponseメッセージに含まれる測定ログを取得する。
【0081】
再び図3を用いて、第2実施形態に係る無線端末UEについて、第1実施形態との相違点を説明する。
【0082】
第2実施形態に係る無線端末UEでは、測定情報管理部262は、接続状態において、MDTConfigurationSetupメッセージを無線通信部210が受信すると、測定ログを保持しているか否かを示すMDTConfigurationSetupResponseメッセージを生成し、生成したMDTConfigurationSetupResponseメッセージを無線基地局eNBに送信するよう無線通信部210を制御する。
【0083】
なお、測定情報管理部262は、無線端末UEの能力を示す能力情報をMDTConfigurationSetupResponseメッセージに含めてもよい。無線端末UEの能力とは、例えば、空きメモリ容量や、バッテリ残量、GPSの有無等を意味する。能力情報をMDTConfigurationSetupResponseメッセージに含めることで、IdleMDTConfigurationメッセージの送信前に無線端末UEの能力をネットワークが把握できるため、無線端末UEの能力に適したIdleMDTConfigurationメッセージをネットワークから無線端末UEに送信可能になる。
【0084】
(2.2)無線測定収集方法
図6は、第2実施形態に係る無線測定収集方法を示すシーケンス図である。ステップS301〜ステップS308の処理は第1実施形態と同様であるため、ステップS309以降の処理を説明する。
【0085】
図6に示すように、無線基地局eNBは、無線端末UEに測定構成を設定すると決定すると、ステップS309において、MDTConfigurationSetupメッセージを生成し、生成したMDTConfigurationSetupメッセージを無線端末UEに送信する。
【0086】
無線端末UEは、MDTConfigurationSetupメッセージを受信すると、ステップS310において、測定ログを保持しているか否かを示すMDTConfigurationSetupResponseメッセージを生成し、生成したMDTConfigurationSetupResponseメッセージを無線基地局eNBに送信する。ここでは、無線端末UEが、測定ログを保持していることを示すMDTConfigurationSetupResponseメッセージを送信したものとする。なお、無線端末UEは、無線端末UEの能力を示す能力情報をMDTConfigurationSetupResponseメッセージに含めて送信してもよい。
【0087】
無線基地局eNBは、測定ログを保持していることを示すMDTConfigurationSetupResponseメッセージを受信すると、ステップS311において、測定ログの送信を要求するUEInformationRequestメッセージを生成し、生成したUEInformationRequestメッセージを無線端末UEに送信する。MDTConfigurationSetupResponseメッセージに能力情報が含まれる場合、無線基地局eNBは、能力情報を保守監視装置OAMに送信してもよい。
【0088】
無線端末UEは、UEInformationRequestメッセージを無線基地局eNBから受信すると、ステップS312において、保持している測定ログを含むUEInformationResponseメッセージを生成し、生成したUEInformationResponseメッセージを無線基地局eNBに送信する。
【0089】
無線基地局eNBは、測定ログを含むUEInformationResponseメッセージを無線端末UEから受信すると、受信したUEInformationResponseメッセージに含まれる測定ログを取得し、取得した測定ログを保守監視装置OAMに送信する。無線基地局eNBは、測定ログを保守監視装置OAMに送信する前に、その情報(測定ログ)を自ら使用してもよい。
【0090】
ステップS313において、無線基地局eNBは、測定構成を設定するIdleMDTConfigurationメッセージを生成し、生成したIdleMDTConfigurationメッセージを無線端末UEに送信する。なお、無線基地局eNBは、MDTConfigurationSetupResponseメッセージに能力情報が含まれる場合に、当該能力情報を考慮してIdleMDTConfigurationメッセージを生成してもよい。
【0091】
無線端末UEは、無線基地局eNBからIdleMDTConfigurationメッセージを受信すると、ステップS314において、保持している測定構成を、IdleMDTConfigurationメッセージに含まれる新たな測定構成に置き換える。
【0092】
(2.3)第2実施形態の効果
以上説明したように、第2実施形態によれば、測定ログを保持している無線端末UEは、無線基地局eNBから新たなIdleMDTConfigurationメッセージを受信して新たな測定構成を設定する場合でも、当該新たなIdleMDTConfigurationメッセージを受信する前に、保持している測定ログを無線基地局eNBに送信できる。したがって、測定ログの損失を抑制できる。
【0093】
特に、無線基地局eNBは、ログ保持情報(Availability Indicator)を無線端末UEから受信しなくても、IdleMDTConfigurationメッセージを送信する前にMDTConfigurationSetupメッセージを無線端末UEに送信することによって、測定ログの損失をより確実に抑制できる。
【0094】
また、無線端末UEの能力を示す能力情報をMDTConfigurationSetupResponseメッセージに含めることによって、ネットワーク(無線基地局eNB)は、無線端末UEの能力に適したIdleMDTConfigurationメッセージを無線端末UEに送信可能になるため、効率的な無線測定収集を実現できる。
【0095】
(2.4)第2実施形態の変更例1
第2実施形態では、無線端末UEが、MDTConfigurationSetupメッセージを受信した際に測定ログを保持している場合に、測定ログを保持していることを示すMDTConfigurationSetupResponseメッセージを送信していた。本変更例では、無線端末UEが、MDTConfigurationSetupメッセージを受信した際に測定ログを保持している場合に、測定ログをMDTConfigurationSetupResponseメッセージに含めて送信する。
【0096】
図7は、第2実施形態の変更例1に係る無線測定収集方法を示すシーケンス図である。ステップS401〜ステップS408の処理は第2実施形態と同様であるため、ステップS409以降の処理を説明する。
【0097】
図7に示すように、無線基地局eNBは、無線端末UEに測定構成を設定すると決定すると、ステップS409において、MDTConfigurationSetupメッセージを生成し、生成したMDTConfigurationSetupメッセージを無線端末UEに送信する。
【0098】
無線端末UEは、MDTConfigurationSetupメッセージを受信すると、ステップS410において、MDTConfigurationSetupResponseメッセージを生成し、生成したMDTConfigurationSetupResponseメッセージを無線基地局eNBに送信する。ここで、無線端末UEは、測定ログを保持している場合に、測定ログを含むMDTConfigurationSetupResponseメッセージを生成する。一方、無線端末UEは、測定ログを保持していない場合に、測定ログを保持していない旨のMDTConfigurationSetupResponseメッセージを生成する。なお、測定ログを保持していなければ、無線端末UEは、測定ログをMDTConfigurationSetupResponseメッセージに含めることなく送信し、無線基地局eNBは、MDTConfigurationSetupResponseメッセージに測定ログが含まれなければ、無線端末UEがログを保持していないとみなす手法をとってもよい。ここでは、無線端末UEが、測定ログを含むMDTConfigurationSetupResponseメッセージを生成したものとする。なお、無線端末UEは、無線端末UEの能力を示す能力情報をMDTConfigurationSetupResponseメッセージに含めて送信してもよい。
【0099】
無線基地局eNBは、MDTConfigurationSetupResponseメッセージを受信すると、ステップS411において、測定構成を設定するIdleMDTConfigurationメッセージを生成し、生成したIdleMDTConfigurationメッセージを無線端末UEに送信する。なお、無線基地局eNBは、MDTConfigurationSetupResponseメッセージに能力情報が含まれる場合に、当該能力情報を考慮してIdleMDTConfigurationメッセージを生成してもよい。
【0100】
無線端末UEは、無線基地局eNBからIdleMDTConfigurationメッセージを受信すると、ステップS412において、保持している測定構成を、IdleMDTConfigurationメッセージに含まれる新たな測定構成に置き換える。
【0101】
このように、本変更例によれば、無線端末UEは、MDTConfigurationSetupメッセージを受信した際に測定ログを保持している場合に、測定ログをMDTConfigurationSetupResponseメッセージに含めて送信する。これにより、第1実施形態と比較して、UEInformationRequestメッセージ及びUEInformationResponseメッセージの送信に要する無線リソースを節約できる。
【0102】
(2.5)第2実施形態の変更例2
本変更例では、第1実施形態の変更例と同様に、タイマを使用する形態を説明する。
【0103】
図8は、第2実施形態の変更例2に係る無線測定収集方法を示すシーケンス図である。ステップS501〜ステップS508の処理は第2実施形態と同様であるため、ステップS509以降の処理を説明する。
【0104】
図8に示すように、無線基地局eNBは、無線端末UEに測定構成を設定すると決定すると、ステップS509において、MDTConfigurationSetupメッセージを生成し、生成したMDTConfigurationSetupメッセージを無線端末UEに送信する。
【0105】
ステップS510において、無線基地局eNBは、MDTConfigurationSetupメッセージを無線端末UEに送信した際に、一定時間を計時するためのタイマを起動する。
【0106】
無線端末UEは、MDTConfigurationSetupメッセージを無線基地局eNBから受信した際に測定ログを保持している場合に、ステップS511において、保持している測定ログを含むMDTConfigurationSetupResponseメッセージを生成し、生成したMDTConfigurationSetupResponseメッセージを無線基地局eNBに送信する。なお、無線端末UEは、無線端末UEの能力を示す能力情報をMDTConfigurationSetupResponseメッセージに含めて送信してもよい。
【0107】
一方、無線端末UEは、MDTConfigurationSetupメッセージを無線基地局eNBから受信した際に測定ログを保持していない場合に、測定ログを含めずにMDTConfigurationSetupResponseメッセージを送信する。
【0108】
上記タイマが満了すると、ステップS512において、無線基地局eNBは、測定構成を設定するIdleMDTConfigurationメッセージを生成し、生成したIdleMDTConfigurationメッセージを無線端末UEに送信する。なお、無線基地局eNBは、MDTConfigurationSetupResponseメッセージに能力情報が含まれる場合に、当該能力情報を考慮してIdleMDTConfigurationメッセージを生成してもよい。
【0109】
無線端末UEは、無線基地局eNBからIdleMDTConfigurationメッセージを受信すると、ステップS513において、保持している測定構成を、IdleMDTConfigurationメッセージに含まれる新たな測定構成に置き換える。
【0110】
(3)その他の実施形態
その他の実施形態では、異なるRAT間で記録型MDT(Logged MDT)を行うケースについて説明する。また、その他の実施形態では、無線端末を単にUEと称し、無線基地局を単に(e)NBと称し、測定ログをLogged MDT dataあるいはlogged dataと称している。なお、RATは無線アクセス技術を意味し、異なるRAT間とは、例えば、LTEシステム及びWCDMAシステム間や、LTEシステム及びGSM(登録商標)システム間、LTEシステム及びEVDOシステム間などが挙げられる。
【0111】
(3.1)導入
Logged MDTについて既に決まっていることは、設定(コンフィグレーション)、測定収集、測定に係る報告は、常に、同一RATタイプのセルで行われるということである。UEにはLogged MDT のためのRAT固有コンフィグレーションが1つのみ存在する。ネットワークがコンフィグレーションを提供するとき、以前に構成されていたMDT測定コンフィグレーションは全体として新たなコンフィグレーションに置換される。また、以前に構成されていたMDT測定コンフィグレーションに対応する測定ログは、同時に消去される。新たなコンフィグレーションが提供される前の関連データを回収するかはネットワークに一任されている。なお、ネットワークは、RAT間(インターRAT)協調を行う必要があるかもしれない。
【0112】
Logged MDT 測定を行うように構成されたUEは、接続を確立する間に、RRCConnectionSetupCompleteメッセージ中の1ビットのインジケータによって、Logged MDTデータの可用性を示す。UEは、当該UEに対してLogged MDT測定を行うよう構成したRATへの接続の場合で、ロギング期間が終了していない場合でも、RRC Connected modeへの移行毎のメッセージに当該インジケーションを含める。UEは、他のRATのMDT測定の可用性を通知しない。ネットワークは、このインジケーションに基づいて測定ログを回収することを決定できる。
【0113】
(3.2)考察
いくつかのオペレータは、データを回収する機会がネットワークに無い場合に、Logged MDT データの削除を望まない。しかしながら、現状は、他のRATでは可用性インジケータを送信しないと決定されており、ログデータを回収するかはネットワークに一任されるとしている。
【0114】
ここで提案するのは、インターRATシナリオでの回収及びコンフィグレーションハンドリングのための3つの選択肢である。当該インターRATシナリオは、UEがRAT−Aに接続しつつ既にMDTコンフィグレーションが設定されていると仮定する。UEは、アイドル状態になり、ターゲットRAT(RAT−B)に移動する。UEは、RAT−Bに移動する前にRATAのMDT測定データを有しているか又は有していない。RAT−Bネットワークは、当該UEに対して新たなRAT−BのMDTコンフィグレーションを再設定するUEは、新たなMDTコンフィグレーションが設定されたときに全ての測定ログを消去する。追加情報無く、RAT−Bネットワークは、実行中のMDT活動を不注意に置換し、有益なUEのログデータを削除し得る。
【0115】
(3.2.1)インターRATデータ回収及びコンフィグレーション(再コンフィグレーション)のための選択肢
以下は、インターRATシナリオでの回収及びコンフィグレーションハンドリングのための3つの選択肢である。
【0116】
(3.2.1.1)選択肢1
図9に示すように、選択肢1では、データ回収及びMDTコンフィグレーション(再コンフィグレーション)のために既存プロトコルが利用される。
【0117】
1.ステップ1において、(e)NBは、記録されたMDTデータ(仮に存在すれば)を回収するために、UEInformationRequestメッセージをUEに送る。上記で仮定したように、UEInformationRequestメッセージは、(e)NBが可用性インジケータを受信した場合にのみUEに送られる。UEはRAT−Bの(e)NBに対して可用性インジケータを送らないため、「ブラインド」要求であるとみなされるかもしれない。しかしながら、RAT−AとRAT−Bとの間で使用できるインターRAT協調の度合いに応じて、リクエストは、RAT−AからRAT−BへのUE設定状態情報に基づくことができる。(e)NBがMDT再コンフィグレーションの前に当該リクエストを送るかは、選択可能である。このように、RAT−AからRAT−BへのUE設定状態情報により、UEがRAT−AについてのLogged MDTを行っている、あるいはUEがRAT−AについてのLogged MDTデータを有している旨を通知することによって、RAT−Bは、当該UEに対して新たなコンフィグレーションを行うか否かを判断できる。
【0118】
2.UEがlogged MDTデータを有していれば、UEInformationResponseメッセージを用いて当該データを(e)NBに送る。利用可能なデータが無くても、UEは、当該メッセージを送らなければならないが、利用可能なMDTデータが存在しないことのインジケーションと共に送る。従って、UEInformationResponse メッセージは、利用可能なMDTデータが存在しないことを示すように更新される。
【0119】
3.(e)NBは、新たなRAT−BコンフィグレーションをUEに再設定するためのIdleMDTConfiguration メッセージを送る。
【0120】
(3.2.1.2)選択肢2
図10に示すように、選択肢2では、IdleMDTConfiguration メッセージは、logged MDTデータ要求及びMDTコンフィグレーション(再コンフィグレーション)の両方に利用される。
【0121】
1.ステップ1において、(e)NBは、新たなRAT−BコンフィグレーションをUEに再設定するためのIdleMDTConfigurationメッセージをUEに送る。UEは、RAT−BのMDTコンフィグレーションでRAT−AのMDTコンフィグレーションを置換する。さらに、(e)NBは、「回収ビット(retrieve bit)」を用いて、UEに残っているlogged MDTデータを(e)NBへ送る要求を出すことができる。
【0122】
2.利用可能なlogged MDT データをUEが有していれば、UEInformationResponseメッセージを用いて当該データを(e)NBへ送る。利用可能なデータが無くても、UEは、当該メッセージを送らなければならないが、利用可能なMDTデータが存在しないことのインジケーションと共に送る。UEInformationResponse メッセージは、利用可能なMDTデータが存在しないことを示すように更新される必要があるかもしれない。
【0123】
(3.2.1.3)選択肢3
図11に示すように、選択肢3では、MDTコンフィグレーションをUEが有しているか否かを判断するために、既存プロトコルに対してUEConfigurationRequest/Responseメッセージが追加される。
【0124】
1.ステップ1において、MDTコンフィグレーション状態(例えば、UEがMDTコンフィグレーションを有しているか否か)を要求するためのUEConfigurationRequestメッセージがUEに送信される。
【0125】
2.ステップ2において、UEは、MDTコンフィグレーションを有しているか否か(Yes/No)を(e)NBに知らせるためのUEConfigurationResponseメッセージを(e)NBに送る。UEが“Yes”で応答すれば、(e)NBはMDTコンフィグレーションをRAT−Aから上書きしないことを選択できる。
【0126】
3.ステップ3において、(e)NBは、UEに残っているlogged MDTデータを回収するためのUEInformationRequestメッセージをUEに送る。UEがステップ2で“No”(例えばMDTコンフィグレーションが無い)と応答していても、UEはMDT活動が完了した後少なくとも48時間はlogged MDTデータを保持できるため、(e)NBはUEInformationRequestメッセージをUEに送信してもよい。あるいは、UEConfigurationRequestメッセージの一部としてMDTデータの要求を出すとすれば、ステップ3を不要にできる。
【0127】
4.利用可能なlogged MDTデータをUEが有していれば、UEInformationResponseメッセージを用いて当該データを(e)NBに送る。利用可能なデータが無くても、UEは、当該メッセージを送らなければならないが、利用可能なMDTデータが存在しないことのインジケーションと共に送る。UEInformationResponseメッセージは、利用可能なMDTデータが存在しないことを示すように更新される必要があるかもしれない。ただし、UEConfigurationRequestメッセージの一部としてMDTデータの要求を出せば、UEは、利用可能なMDTデータが存在しないことのUEInformationResponse メッセージを送る必要がないかもしれない。
【0128】
5.(e)NBは、新たなRAT−BコンフィグレーションをUEに再設定するためのIdleMDTConfiguration メッセージを送る。UEは、RAT−BのMDTコンフィグレーションでRAT−AのMDTコンフィグレーションを置換する。
【0129】
(3.2.2)各選択肢の比較
3つの選択肢の全ては、ネットワークが新たなMDTコンフィグレーションをUEに設定すると決定したときに、当該UEの測定ログ(存在すれば)が失われない。選択肢1及び2はデータ回収に留意する一方、選択肢3は、UEがMDTコンフィグレーションを有しているか否かを再コンフィグレーションの前に把握するため、データ回収及びMDT再コンフィグレーションの両方に留意するものである。
【0130】
選択肢1は、MDTデータの回収に既存プロトコルを利用する。 logged MDTデータの要求は、RAT−Aでの実行中のMDT活動にUEが参加しているか否かの知識に基づくことができる。RAT−Bネットワークでそのような情報が利用できない場合、(e)NBは、logged MDTデータを要求しないことを選択してもよい。この仕組みは、UEInformationRequestメッセージがオプショナルであるため、インターRAT回収をサポートしないオペレータやインターRAT協調を有しない(e)NBに与えるシグナリングのインパクトが無い。
【0131】
選択肢2では、UEからのMDTデータについての要求は、IdleMDTConfigurationメッセージに組み込まれる。MDTデータの回収の要求がなされれば、UEは先ず新たなMDTコンフィグレーションで自己のコンフィグレーションを更新し、その後、RAT−AからのMDTデータを(e)NBに送る。このプロシージャは、UEが新たなMDTデータを受信したときにはMDTデータを消去するという内容とは異なる。この場合、UEは、残っているデータを(e)NBに送るまでは当該データを削除しない。この選択肢は、データの損失を防ぐために、MDT再コンフィグレーションの間に既存プロトコルに対して非常に少量の情報を追加すればよいという点で有利である。また、データ回収要求は、UEに新たなMDTコンフィグレーションを設定する必要性の一部として送られるだけである。この仕組みは、回収ビット(retrieve bit)がオプションでメッセージに含まれるため、UEInformationRequestメッセージがオプショナルであるため、インターRAT回収をサポートしないオペレータやインターRAT協調を有しない(e)NBに与えるシグナリングのインパクトが無い。
【0132】
選択肢3は、MDTコンフィグレーションの有無をUEに問い合わせるために、既存プロトコルに対して新たなメッセージが追加される。これは、インターRAT協調が無い場合でも、存在するMDTコンフィグレーションの不要な置換を防ぐことができるという点で有利である。 (e)NBは、MDT活動のための他のUEを選択し得る。残りのプロトコルは選択肢1と同様である。
【0133】
選択肢3は、他の利点も有する。MDTの測定、ロギング/報告UEに使用されるUEは、ネットワークが特定の測定を行うために適切な装置を慎重に選択することを可能にするために、能力の組を通知するべきである。装置能力は、ロギング、特定の障害の報告、及び/又は測定のための能力に加えて、記録ストレージ及びバッテリ容量の能力も反映し得る。従って、MDTコンフィグレーションの前にUEのバッテリ状況及びメモリ状況を確認するためにUEConfigurationRequest/Responseメッセージを拡張できる。
【0134】
(3.3)まとめ
3つの選択肢は、UEが他のRATに接続した場合において、新たなMDTコンフィグレーションが設定されたときに、logged MDTデータの損失を防ぐことができる。
【0135】
なお、米国仮出願第61/373525号(2010年8月13日出願)の全内容が、参照により、本願明細書に組み込まれている。
【産業上の利用可能性】
【0136】
以上のように、本発明に係る無線測定収集方法及び無線端末によれば、ネットワーク側で予期せぬエラーが発生することを防ぐことができるため、移動体通信などの無線通信において有用である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線環境の測定及び収集を行う無線測定収集方法、無線端末、及びプロセッサに関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムでは、無線基地局の周辺にビルが建設されたり、当該無線基地局の周辺基地局の設置状況が変化したりすると、当該無線基地局に係る無線環境が変化する。このため、従来では、オペレータにより、測定機材を搭載した測定用車両を使用して、無線環境を測定及び収集するドライブテストが行われている。
【0003】
このような無線環境の測定及び収集は、無線基地局等のパラメータの最適化に貢献できるが、工数が多く、且つ費用が高いという課題がある。そこで、移動通信システムの標準化プロジェクトである3GPP(3rd Generation Partnership Project)では、ユーザが所持する無線端末を使用して、無線環境の測定及び収集を自動化する技術であるMDT(Minimization of Drive Test)の仕様策定が進められている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】3GPP TR 36.805 V9.0.0 “Study on Minimization of drive-tests in Next Generation Networks”, 2009-12、及び、3GPP TS 37.320 v0.7.0, “Radio measurement collection for Minimization of Drive Tests (MDT)”, 2010-07
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
MDTの一形態である記録型MDT(Logged MDTと称される)では、以下の方法で無線環境の測定及び収集を行うことが想定されている。まず、無線基地局を含んで構成されるネットワークが、測定構成(Configuration)を設定する測定構成メッセージを無線端末に送信する。次に、無線端末が、アイドル状態(すなわち待ち受け中の状態)において、ネットワークから受信した測定構成メッセージによって設定された測定構成に従って、無線環境の測定結果を含む測定ログを保持する処理(Logging)を行う。
【0006】
そして、ネットワークは、測定ログの送信を要求するためのログ送信要求を無線端末に送信する。その後、当該無線端末は、測定ログを送信するためのログ送信応答をネットワークに送信する。しかしながら、無線端末は、測定期間が満了してから所定時間(具体的には、48時間)が経過した以降は、測定ログを保持しておく義務はない。このため、無線端末がログ送信要求を受信した後に測定ログを削除する可能性があるが、現状ではこのような事態が想定されていないため、ネットワーク側で予期せぬエラーが発生する虞がある。
【0007】
そこで、本発明は、ネットワーク側で予期せぬエラーが発生することを防ぐことができる無線測定収集方法及び無線端末を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明は以下のような特徴を有している。
【0009】
まず、本発明に係る無線測定収集方法の特徴は、ネットワーク(例えばE−UTRAN)から受信した測定構成メッセージ(例えばIdleMDTConfigurationメッセージ)によって設定された測定構成に従って、無線環境の測定結果を含む測定ログを保持する処理を行う無線端末(例えば無線端末UE)を用いた無線測定収集方法であって、前記ネットワークが、前記測定ログの送信を要求するためのログ送信要求(例えばUEInformationRequestメッセージ)を前記無線端末に送信するステップAと、前記無線端末が、前記測定ログを送信するためのログ送信応答(例えばUEInformationResponseメッセージ)を前記ネットワークに送信するステップBと、を備え、前記ステップBにおいて、前記無線端末は、前記測定ログが保持されていない場合であっても、前記ログ送信応答を前記ネットワークに送信することを要旨とする。
【0010】
本発明に係る無線測定収集方法の他の特徴は、上述した特徴において、前記無線端末が、測定期間が満了してから所定時間が経過して、前記測定ログが削除された場合であっても、前記ログ送信応答を前記ネットワークに送信することを要旨とする。
【0011】
本発明に係る無線測定収集方法の他の特徴は、上述した特徴において、前記無線端末が、アイドル状態から接続状態に移行する際に、前記測定ログを保持していることを示すログ保持情報(例えばAvailability Indicator)を前記ネットワークに送信し、前記ステップAにおいて、前記ネットワークは、前記ログ保持情報に基づいて、前記ログ送信要求を前記無線端末に送信することを要旨とする。
【0012】
本発明に係る無線測定収集方法の他の特徴は、上述した特徴において、前記無線端末が、アイドル状態から接続状態への遷移が完了した旨の遷移完了メッセージ(例えばRRCConnectionSetupCompleteメッセージ)を前記ネットワークに送信し、前記ステップAにおいて、前記ネットワークは、前記接続状態に遷移した無線端末に対して、前記ログ送信要求を送信することを要旨とする。
【0013】
本発明に係る無線測定収集方法の他の特徴は、上述した特徴において、前記遷移完了メッセージは、前記測定ログを保持していることを示すログ保持情報(例えばAvailability Indicator)を含むことを要旨とする。
【0014】
本発明に係る無線端末の特徴は、ネットワークから受信した測定構成メッセージによって設定された測定構成に従って、無線環境の測定結果を含む測定ログを保持する処理を行う無線端末であって、前記ネットワークから、前記測定ログの送信を要求するためのログ送信要求を受信する受信部と、前記測定ログを送信するためのログ送信応答を、前記ネットワークに送信する送信部と、を備え、前記送信部は、前記測定ログが記憶されていない場合であっても、前記ログ送信応答を前記ネットワークに送信することを要旨とする。
【0015】
本発明に係るプロセッサの特徴は、無線端末に適用されるプロセッサであって、前記プロセッサは、前記無線端末が、ネットワークから受信した測定構成メッセージによって設定された測定構成に従って、無線環境の測定結果を含む測定ログを保持するための処理と、前記無線端末が、前記ネットワークから前記測定ログの送信を要求するためのログ送信要求を受信した後、前記測定ログが保持されていない場合であっても、前記測定ログを送信するためのログ送信応答を前記ネットワークに送信するための処理と、を行うように構成されている、ことを要旨とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、第1実施形態に係る移動通信システム1の全体概略構成を示す図である。
【図2】図2は、無線基地局eNBの構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、無線端末UEの構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、第1実施形態に係る無線測定収集方法を示すシーケンス図である。
【図5】図5は、第1実施形態の変更例に係る無線測定収集方法を示すシーケンス図である。
【図6】図6は、第2実施形態に係る無線測定収集方法を示すシーケンス図である。
【図7】図7は、第2実施形態の変更例1に係る無線測定収集方法を示すシーケンス図である。
【図8】図8は、第2実施形態の変更例2に係る無線測定収集方法を示すシーケンス図である。
【図9】図9は、その他の実施形態の選択肢1に係る無線測定収集方法を示すシーケンス図である。
【図10】図10は、その他の実施形態の選択肢2に係る無線測定収集方法を示すシーケンス図である。
【図11】図11は、その他の実施形態の選択肢3に係る無線測定収集方法を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面を参照して、本発明の第1実施形態、第2実施形態、及びその他の実施形態を説明する。以下の各実施形態における図面において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0018】
以下においては、3GPPで仕様が策定されているLTE(Long Term Evolution)−Advancedに基づいて構成される移動通信システムを主として説明する。ただし、LTE−Advancedに限らず、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)に基づいて構成される移動通信システム等についても本発明を適用できることに留意されたい。
【0019】
(1)第1実施形態
第1実施形態では、(1.1)移動通信システムの概要、(1.2)無線基地局の構成、(1.3)無線端末の構成、(1.4)無線測定収集方法、(1.5)第1実施形態の効果、(1.6)第1実施形態の変更例について説明する。
【0020】
(1.1)移動通信システムの概要
図1は、第1実施形態に係る移動通信システム1の全体概略構成を示す図である。
【0021】
図1に示すように、移動通信システム1は、無線端末UE(User Equipment)、複数の無線基地局eNB(evolved Node-B)、保守監視装置OAM(Operation and Maintenance)、及び複数の移動管理装置MME(Mobility Management Entity)/ゲートウェイ装置S−GW(Serving Gateway)を有する。
【0022】
複数の無線基地局eNB(eNB#1〜eNB#3)は、E−UTRAN(Evolved-UMTS Terrestrial Radio Access Network)を構成する。複数の無線基地局eNBのそれぞれは、無線端末UEにサービスを提供すべき通信エリアであるセルを形成する。無線端末UEは、ユーザが所持する無線通信装置であり、ユーザ装置とも称される。
【0023】
隣接する各無線基地局eNBは、基地局間通信を提供する論理的な通信路であるX2インターフェースを介して互いに通信可能である。複数の無線基地局eNBのそれぞれは、S1インターフェースを介して、EPC(Evolved Packet Core)、具体的には、MME(Mobility Management Entity)/S−GW(Serving Gateway)と通信可能である。また、各無線基地局eNBは、オペレータによって運営される保守監視装置OAMと通信可能である。
【0024】
なお、以下においては、E−UTRANと保守監視装置OAMとを併せて適宜「ネットワーク」と称する。ただし、異なる無線通信方式(RAT: Radio Access Technology)の無線アクセスネットワークが「ネットワーク」に含まれてもよい。
【0025】
移動通信システム1は、記録型MDT(Logged MDTと称される)をサポートする。記録型MDTとは、アイドル状態の無線端末UEが、設定された条件を満たすときに測定を行い、測定結果を含む測定ログを後でネットワークに報告するために保持するものである。記録型MDTでは、以下の方法で無線環境の測定及び収集を行う。
【0026】
第1に、ネットワークが、測定構成を設定する測定設定メッセージであるIdleMDTConfigurationメッセージを無線端末UEに送信する。測定構成は、測定対象(measurements to be logged)、測定トリガ(triggering of logging event)、測定時間(total duration of logging)、タイムスタンプ(network absolute time stamp)、及び測定エリア(measurements area)を含む。ただし、測定エリア(measurements area)は、測定構成に含まれなくてもよい。なお、測定構成は、MDT Configurationと称されることがある。
【0027】
第2に、無線端末UEが、アイドル状態、且つ測定期間において、IdleMDTConfigurationメッセージに従って無線環境の測定を行うとともに、当該測定の結果を含む測定ログを保持する。具体的には、無線端末UEは、IdleMDTConfigurationメッセージによる測定構成の設定時に測定期間のタイマ(duration timer)を起動し、当該タイマが満了すると測定ログの記録を終了する。なお、無線環境とは、参照信号の受信電力(RSRP)や参照信号の受信品質(RSRQ)である。また、測定ログは、無線環境の測定結果に加え、位置情報やタイムスタンプを含んでもよい。位置情報とは、サービングセルのECGI情報、GNSS(GPS)情報、又はRFフィンガープリントである。
【0028】
第3に、無線端末UEが、アイドル状態(RRC Idle state)から接続状態(RRC Connected state)に移行する際に、測定ログを保持していることを示すログ保持情報(Availability Indicatorと称される)をネットワークに送信する。具体的には、無線端末UEは、接続状態の確立が完了したことを示すRRCConnectionSetupCompleteメッセージにログ保持情報を含めてネットワークに送信する。
【0029】
第4に、ネットワークが、受信したログ保持情報に基づいて、測定ログの報告を要求する要求メッセージであるUEInformationRequestメッセージを無線端末UEに送信する。無線端末UEは、UEInformationRequestメッセージを受信すると、保持している測定ログを含むUEInformationResponseメッセージをネットワークに送信する。
【0030】
記録型MDTでは、複数の測定構成を同時に無線端末UEに設定することができない。このため、測定ログを保持している無線端末UEがネットワークから新たな測定構成メッセージを受信して新たな測定構成を設定する場合、無線端末UEは、設定する測定構成を新たな測定構成に置き換えるとともに、保持している測定ログを消去する。
【0031】
なお、E−UTRANとは異なるRATで無線端末UEに測定構成が設定されることがある。無線端末UEは、測定構成が設定されたRATとは異なるRATにおいては、ログ保持情報を送信しない。このため、E−UTRANは、無線端末UEが測定ログを保持しているにも拘わらず、新たな測定構成を無線端末UEに設定してしまう可能性がある。
【0032】
そこで、第1実施形態では、E−UTRAN(無線基地局eNB)は、ログ保持情報を無線端末UEから受信しなくても、IdleMDTConfigurationメッセージを送信する前に、所定のメッセージとしてのUEInformationRequestメッセージを無線端末UEに送信することによって、測定ログの損失を抑制する。
【0033】
(1.2)無線基地局の構成
図2は、無線基地局eNBの構成を示すブロック図である。
【0034】
図2に示すように、無線基地局eNBは、アンテナ101、無線通信部110、ネットワーク通信部120、記憶部130、及び制御部140を有する。
【0035】
アンテナ101は、無線信号の送受信に用いられる。無線通信部110は、例えば無線周波数(RF)回路やベースバンド(BB)回路等を用いて構成され、アンテナ101を介して無線信号を送受信する。また、無線通信部110は、送信信号の変調と受信信号の復調とを行う。ネットワーク通信部120は、他のネットワーク装置(保守監視装置OAMや他の無線基地局eNB等)との通信を行う。記憶部130は、例えばメモリを用いて構成され、無線基地局eNBの制御等に用いられる各種の情報を記憶する。制御部140は、例えばCPUを用いて構成され、無線基地局eNBが備える各種の機能を制御する。
【0036】
制御部140は、測定制御部141及びログ取得処理部142を有する。
【0037】
測定制御部141は、(ネットワークによって選択された)無線端末UEに測定構成を設定すると決定すると、測定構成を設定するIdleMDTConfigurationメッセージを生成する。そして、測定制御部141は、当該IdleMDTConfigurationメッセージを無線端末UEに送信するよう無線通信部110を制御する。
【0038】
ログ取得処理部142は、無線端末UEから測定ログを取得する処理を行う。ログ取得処理部142は、IdleMDTConfigurationメッセージの送信前に、UEInformationRequestメッセージを生成し、生成したUEInformationRequestメッセージを無線端末UEに送信するよう無線通信部110を制御する。ログ取得処理部142は、UEInformationRequestメッセージに応じて無線端末UEから送信(報告)されたUEInformationResponseメッセージを無線通信部110が受信すると、受信したUEInformationResponseメッセージに含まれる測定ログを取得する。
【0039】
そして、ログ取得処理部142は、取得した測定ログを保守監視装置OAMに送信するようネットワーク通信部120を制御する。なお、ログ取得処理部142は、測定ログを保守監視装置OAMに送信するケースに限らず、当該測定ログの内容を解釈し、自無線基地局eNBのパラメータ調整に使用してもよい。
【0040】
(1.3)無線端末の構成
図3は、無線端末UEの構成を示すブロック図である。
【0041】
図3に示すように、無線端末UEは、アンテナ201、無線通信部210、ユーザインターフェース部220、GPS受信機230、バッテリ240、記憶部250、及び制御部260を有する。ただし、無線端末UEは、GPS受信機230を有していなくてもよい。
【0042】
アンテナ201は、無線信号の送受信に用いられる。無線通信部210は、例えば無線周波数(RF)回路やベースバンド(BB)回路等を用いて構成され、アンテナ201を介して無線信号を送受信する。また、無線通信部210は、送信信号の変調と受信信号の復調とを行う。ユーザインターフェース部220は、ユーザとのインターフェースとして機能するディスプレイやボタン等である。バッテリ240は、無線端末UEの各ブロックに供給される電力を蓄える。記憶部250は、例えばメモリを用いて構成され、無線端末UEの制御等に用いられる各種の情報を記憶する。制御部260は、例えばCPUを用いて構成され、無線端末UEが備える各種の機能を制御する。
【0043】
制御部260は、測定処理部261及び測定情報管理部262を有する。
【0044】
測定処理部261は、接続状態において、IdleMDTConfigurationメッセージを無線通信部210が受信すると、受信したIdleMDTConfigurationメッセージに含まれる測定構成を設定(すなわち、記憶部250に記憶)する。
【0045】
測定処理部261は、アイドル状態において、記憶部250に記憶された測定構成に従って無線環境の測定及び位置情報の取得等を行うとともに、測定結果及び位置情報等を含む測定ログを保持(すなわち、記憶部250に記憶)する。具体的には、測定処理部261は、測定対象(measurements to be logged)で指定された周波数、及び測定トリガ(triggering of logging event)で指定されたトリガでの測定を行う。また、測定処理部261は、測定エリア(measurements area)で指定されたセルID又はトラッキングエリアにキャンプする場合にのみ測定を行う。
【0046】
また、測定処理部261は、測定構成の設定時に測定期間のタイマ(duration timer)を起動し、当該タイマが満了すると測定ログの記録を終了する。
【0047】
測定情報管理部262は、記憶部250に保持された測定構成及び測定ログを管理する。また、測定情報管理部262は、測定期間のタイマ(duration timer)が満了すると、測定構成を消去する。さらに、測定情報管理部262は、測定構成及び測定ログを保持している際にネットワークから新たな測定構成メッセージを受信して新たな測定構成を設定する場合、新たな測定構成に置き換えるとともに、保持している測定ログを消去する。
【0048】
測定情報管理部262は、記憶部250に測定ログが保持されている場合であって、アイドル状態から接続状態への移行が完了した際に、測定ログを保持していることを示すログ保持情報を、アイドル状態から接続状態への移行が完了したことを示すRRCConnectionSetupCompleteメッセージに含めて送信するよう無線通信部210を制御する。ただし、測定情報管理部262は、測定構成が設定されたRATとは異なるRATにおいては、ログ保持情報を送信しないよう制御する。
【0049】
測定情報管理部262は、接続状態において、UEInformationRequestメッセージを無線通信部210が受信すると、測定ログを取得し、取得した測定ログを含むUEInformationResponseメッセージを生成する。そして、測定情報管理部262は、生成したUEInformationResponseメッセージをネットワーク(無線基地局eNB)に送信するよう無線通信部210を制御する。このようにして測定ログがネットワークに報告されると、測定情報管理部262は、記憶部250に記憶された測定ログを消去する。
【0050】
なお、測定情報管理部262は、測定期間のタイマが満了してから48時間以内に、ネットワークへの測定ログの報告ができないケースでは、当該測定ログを消去することも可能である。
【0051】
(1.4)無線測定収集方法
図4は、第1実施形態に係る無線測定収集方法を示すシーケンス図である。本シーケンスでは、E−UTRANとは異なるRATで無線端末UEに測定構成が設定されるケースを説明する。無線端末UEは、測定構成が設定されたRATとは異なるRATにおいては、ログ保持情報(Availability Indicator)を送信しない。このため、E−UTRANは、無線端末UEが測定ログを保持しているにも拘わらず、新たな測定構成を無線端末UEに設定してしまう可能性がある。
【0052】
図4に示すように、ステップS101において、無線端末UEは、E−UTRANとは異なるRATからIdleMDTConfigurationメッセージを受信する。
【0053】
無線端末UEは、IdleMDTConfigurationメッセージを受信すると、ステップS102において、受信したIdleMDTConfigurationメッセージに含まれる測定構成を自無線端末UEに設定する。
【0054】
ステップS103において、無線端末UEは、接続状態からアイドル状態に移行する。
【0055】
ステップS104において、アイドル状態の無線端末UEは、設定した測定構成に従って無線環境の測定を行うとともに、当該測定の結果を含む測定ログを保持する。
【0056】
ステップS105において、無線端末UEは、無線基地局eNBとの接続処理を行う。
【0057】
ステップS106において、無線端末UEは、アイドル状態から接続状態に移行する。
【0058】
ステップS107において、無線端末UEは、無線端末UEは、アイドル状態から接続状態への移行が完了したことを示すRRCConnectionSetupCompleteメッセージを無線基地局eNBに送信する。なお、無線端末UEは、測定構成が設定されたRATとは異なるRATであることから、ログ保持情報(Availability Indicator)を送信しない。
【0059】
ステップS108において、無線基地局eNBは、例えば保守監視装置OAMからの指示に応じて、無線端末UEに測定構成を設定すると決定する。
【0060】
無線基地局eNBは、無線端末UEに測定構成を設定すると決定すると、ステップS109において、測定ログの送信を要求するUEInformationRequestメッセージを生成し、生成したUEInformationRequestメッセージを無線端末UEに送信する。
【0061】
無線端末UEは、UEInformationRequestメッセージを無線基地局eNBから受信すると、ステップS110において、保持している測定ログを含むUEInformationResponseメッセージを生成し、生成したUEInformationResponseメッセージを無線基地局eNBに送信する。このようにして測定ログがネットワークに報告されると、無線端末UEは、保持している測定ログを消去する。なお、無線基地局eNBは、測定ログを含むUEInformationResponseメッセージを無線端末UEから受信すると、受信したUEInformationResponseメッセージに含まれる測定ログを取得し、取得した測定ログを保守監視装置OAMに送信する。無線基地局eNBは、測定ログを保守監視装置OAMに送信する前に、その情報(測定ログ)を自ら使用してもよい。
【0062】
一方、無線端末UEがUEInformationRequestメッセージを無線基地局eNBから受信した際に測定ログを保持していない場合、ステップS110において、無線端末UEは、測定ログを保持していない旨の情報を含むUEInformationResponseメッセージを生成し、生成したUEInformationResponseメッセージを無線基地局eNBに送信する。あるいは、無線端末UEは、測定ログを保持していない旨の情報を含むUEInformationResponseメッセージに代えて、測定ログを保持していないことを通知するメッセージを無線基地局eNBに送信してもよい。
【0063】
ステップS111において、無線基地局eNBは、測定構成を設定するIdleMDTConfigurationメッセージを生成し、生成したIdleMDTConfigurationメッセージを無線端末UEに送信する。
【0064】
無線端末UEは、無線基地局eNBからIdleMDTConfigurationメッセージを受信すると、ステップS112において、保持している測定構成を、IdleMDTConfigurationメッセージに含まれる新たな測定構成に置き換える。
【0065】
なお、本シーケンスにおいては、E−UTRANとは異なるRATで無線端末UEに測定構成が設定されるケースを説明したが、E−UTRANで無線端末UEに測定構成が設定されてもよい。
【0066】
(1.5)第1実施形態の効果
以上説明したように、第1実施形態によれば、測定ログを保持している無線端末UEは、無線基地局eNBから新たなIdleMDTConfigurationメッセージを受信して新たな測定構成を設定する場合でも、当該新たなIdleMDTConfigurationメッセージを受信する前に、保持している測定ログを無線基地局eNBに送信できる。したがって、測定ログの損失を抑制できる。
【0067】
特に、無線基地局eNBは、ログ保持情報(Availability Indicator)を無線端末UEから受信しなくても、IdleMDTConfigurationメッセージを送信する前にUEInformationRequestメッセージを無線端末UEに送信することによって、測定ログの損失をより確実に抑制できる。
【0068】
(1.6)第1実施形態の変更例
第1実施形態では、無線端末UEが、UEInformationRequestメッセージを無線基地局eNBから受信した際に測定ログを保持していない場合、測定ログを保持していない旨を無線基地局eNBに通知するケースを説明した。本変更例では、無線端末UEが、UEInformationRequestメッセージを無線基地局eNBから受信した際に測定ログを保持していない場合、測定ログを保持していない旨を無線基地局eNBに通知しないケースを説明する。
【0069】
図5は、第1実施形態の変更例に係る無線測定収集方法を示すシーケンス図である。ステップS201〜ステップS208の処理は第1実施形態と同様であるため、ステップS209以降の処理を説明する。
【0070】
図5に示すように、無線基地局eNBは、無線端末UEに測定構成を設定すると決定すると、ステップS209において、測定ログの送信を要求するUEInformationRequestメッセージを生成し、生成したUEInformationRequestメッセージを無線端末UEに送信する。
【0071】
ステップS210において、無線基地局eNBは、UEInformationRequestメッセージを無線端末UEに送信した際に、一定時間を計時するためのタイマを起動する。
【0072】
無線端末UEは、UEInformationRequestメッセージを無線基地局eNBから受信した際に測定ログを保持している場合に、ステップS211において、保持している測定ログを含むUEInformationResponseメッセージを生成し、生成したUEInformationResponseメッセージを無線基地局eNBに送信する。
【0073】
一方、無線端末UEは、UEInformationRequestメッセージを無線基地局eNBから受信した際に測定ログを保持していない場合に、UEInformationResponseメッセージの送信を省略する。
【0074】
上記タイマが満了すると、ステップS212において、無線基地局eNBは、測定構成を設定するIdleMDTConfigurationメッセージを生成し、生成したIdleMDTConfigurationメッセージを無線端末UEに送信する。
【0075】
無線端末UEは、無線基地局eNBからIdleMDTConfigurationメッセージを受信すると、ステップS213において、保持している測定構成を、IdleMDTConfigurationメッセージに含まれる新たな測定構成に置き換える。
【0076】
このように、本変更例によれば、無線端末UEは、UEInformationRequestメッセージを無線基地局eNBから受信した際に測定ログを保持していない場合に、UEInformationResponseメッセージの送信を省略する。これにより、第1実施形態と比較して、UEInformationResponseメッセージの送信に要する無線リソースを節約できる。
【0077】
(2)第2実施形態
第1実施形態では、無線基地局eNBは、IdleMDTConfigurationメッセージを送信する前に、所定のメッセージとしてのUEInformationRequestメッセージを無線端末UEに送信していた。第2実施形態では、無線基地局eNBは、IdleMDTConfigurationメッセージを送信する前に、所定のメッセージとしてのMDTConfigurationSetupメッセージを無線端末UEに送信する。MDTConfigurationSetupメッセージは、無線端末UEにおける測定ログの保持状態を示す情報の送信を要求するメッセージである。
【0078】
第2実施形態では、第1実施形態との相違点を説明し、重複する説明を省略する。以下において、(2.1)無線基地局及び無線端末の構成、(2.2)無線測定収集方法、(2.3)第2実施形態の効果、(2.4)第2実施形態の変更例1、(2.5)第2実施形態の変更例2について説明する。
【0079】
(2.1)無線基地局及び無線端末の構成
再び図2を用いて、第2実施形態に係る無線基地局eNBについて、第1実施形態との相違点を説明する。
【0080】
第2実施形態に係る無線基地局eNBでは、ログ取得処理部142は、無線端末UEから測定ログを取得する処理を行う。ログ取得処理部142は、IdleMDTConfigurationメッセージの送信前に、MDTConfigurationSetupメッセージを生成し、生成したMDTConfigurationSetupメッセージを無線端末UEに送信するよう無線通信部110を制御する。また、ログ取得処理部142は、MDTConfigurationSetupメッセージの送信後、測定ログを保持しているかの情報を含むMDTConfigurationSetupResponseメッセージを無線通信部110が無線端末UEから受信する。ログ取得処理部142は、MDTConfigurationSetupResponseメッセージを無線通信部110が無線端末UEから受信し、その中に測定ログを保持している旨の情報が含まれていた場合に、UEInformationRequestメッセージを生成し、生成したUEInformationRequestメッセージを無線端末UEに送信するよう無線通信部110を制御する。そして、ログ取得処理部142は、無線端末UEから送信(報告)されたUEInformationResponseメッセージを無線通信部110が受信すると、受信したUEInformationResponseメッセージに含まれる測定ログを取得する。
【0081】
再び図3を用いて、第2実施形態に係る無線端末UEについて、第1実施形態との相違点を説明する。
【0082】
第2実施形態に係る無線端末UEでは、測定情報管理部262は、接続状態において、MDTConfigurationSetupメッセージを無線通信部210が受信すると、測定ログを保持しているか否かを示すMDTConfigurationSetupResponseメッセージを生成し、生成したMDTConfigurationSetupResponseメッセージを無線基地局eNBに送信するよう無線通信部210を制御する。
【0083】
なお、測定情報管理部262は、無線端末UEの能力を示す能力情報をMDTConfigurationSetupResponseメッセージに含めてもよい。無線端末UEの能力とは、例えば、空きメモリ容量や、バッテリ残量、GPSの有無等を意味する。能力情報をMDTConfigurationSetupResponseメッセージに含めることで、IdleMDTConfigurationメッセージの送信前に無線端末UEの能力をネットワークが把握できるため、無線端末UEの能力に適したIdleMDTConfigurationメッセージをネットワークから無線端末UEに送信可能になる。
【0084】
(2.2)無線測定収集方法
図6は、第2実施形態に係る無線測定収集方法を示すシーケンス図である。ステップS301〜ステップS308の処理は第1実施形態と同様であるため、ステップS309以降の処理を説明する。
【0085】
図6に示すように、無線基地局eNBは、無線端末UEに測定構成を設定すると決定すると、ステップS309において、MDTConfigurationSetupメッセージを生成し、生成したMDTConfigurationSetupメッセージを無線端末UEに送信する。
【0086】
無線端末UEは、MDTConfigurationSetupメッセージを受信すると、ステップS310において、測定ログを保持しているか否かを示すMDTConfigurationSetupResponseメッセージを生成し、生成したMDTConfigurationSetupResponseメッセージを無線基地局eNBに送信する。ここでは、無線端末UEが、測定ログを保持していることを示すMDTConfigurationSetupResponseメッセージを送信したものとする。なお、無線端末UEは、無線端末UEの能力を示す能力情報をMDTConfigurationSetupResponseメッセージに含めて送信してもよい。
【0087】
無線基地局eNBは、測定ログを保持していることを示すMDTConfigurationSetupResponseメッセージを受信すると、ステップS311において、測定ログの送信を要求するUEInformationRequestメッセージを生成し、生成したUEInformationRequestメッセージを無線端末UEに送信する。MDTConfigurationSetupResponseメッセージに能力情報が含まれる場合、無線基地局eNBは、能力情報を保守監視装置OAMに送信してもよい。
【0088】
無線端末UEは、UEInformationRequestメッセージを無線基地局eNBから受信すると、ステップS312において、保持している測定ログを含むUEInformationResponseメッセージを生成し、生成したUEInformationResponseメッセージを無線基地局eNBに送信する。
【0089】
無線基地局eNBは、測定ログを含むUEInformationResponseメッセージを無線端末UEから受信すると、受信したUEInformationResponseメッセージに含まれる測定ログを取得し、取得した測定ログを保守監視装置OAMに送信する。無線基地局eNBは、測定ログを保守監視装置OAMに送信する前に、その情報(測定ログ)を自ら使用してもよい。
【0090】
ステップS313において、無線基地局eNBは、測定構成を設定するIdleMDTConfigurationメッセージを生成し、生成したIdleMDTConfigurationメッセージを無線端末UEに送信する。なお、無線基地局eNBは、MDTConfigurationSetupResponseメッセージに能力情報が含まれる場合に、当該能力情報を考慮してIdleMDTConfigurationメッセージを生成してもよい。
【0091】
無線端末UEは、無線基地局eNBからIdleMDTConfigurationメッセージを受信すると、ステップS314において、保持している測定構成を、IdleMDTConfigurationメッセージに含まれる新たな測定構成に置き換える。
【0092】
(2.3)第2実施形態の効果
以上説明したように、第2実施形態によれば、測定ログを保持している無線端末UEは、無線基地局eNBから新たなIdleMDTConfigurationメッセージを受信して新たな測定構成を設定する場合でも、当該新たなIdleMDTConfigurationメッセージを受信する前に、保持している測定ログを無線基地局eNBに送信できる。したがって、測定ログの損失を抑制できる。
【0093】
特に、無線基地局eNBは、ログ保持情報(Availability Indicator)を無線端末UEから受信しなくても、IdleMDTConfigurationメッセージを送信する前にMDTConfigurationSetupメッセージを無線端末UEに送信することによって、測定ログの損失をより確実に抑制できる。
【0094】
また、無線端末UEの能力を示す能力情報をMDTConfigurationSetupResponseメッセージに含めることによって、ネットワーク(無線基地局eNB)は、無線端末UEの能力に適したIdleMDTConfigurationメッセージを無線端末UEに送信可能になるため、効率的な無線測定収集を実現できる。
【0095】
(2.4)第2実施形態の変更例1
第2実施形態では、無線端末UEが、MDTConfigurationSetupメッセージを受信した際に測定ログを保持している場合に、測定ログを保持していることを示すMDTConfigurationSetupResponseメッセージを送信していた。本変更例では、無線端末UEが、MDTConfigurationSetupメッセージを受信した際に測定ログを保持している場合に、測定ログをMDTConfigurationSetupResponseメッセージに含めて送信する。
【0096】
図7は、第2実施形態の変更例1に係る無線測定収集方法を示すシーケンス図である。ステップS401〜ステップS408の処理は第2実施形態と同様であるため、ステップS409以降の処理を説明する。
【0097】
図7に示すように、無線基地局eNBは、無線端末UEに測定構成を設定すると決定すると、ステップS409において、MDTConfigurationSetupメッセージを生成し、生成したMDTConfigurationSetupメッセージを無線端末UEに送信する。
【0098】
無線端末UEは、MDTConfigurationSetupメッセージを受信すると、ステップS410において、MDTConfigurationSetupResponseメッセージを生成し、生成したMDTConfigurationSetupResponseメッセージを無線基地局eNBに送信する。ここで、無線端末UEは、測定ログを保持している場合に、測定ログを含むMDTConfigurationSetupResponseメッセージを生成する。一方、無線端末UEは、測定ログを保持していない場合に、測定ログを保持していない旨のMDTConfigurationSetupResponseメッセージを生成する。なお、測定ログを保持していなければ、無線端末UEは、測定ログをMDTConfigurationSetupResponseメッセージに含めることなく送信し、無線基地局eNBは、MDTConfigurationSetupResponseメッセージに測定ログが含まれなければ、無線端末UEがログを保持していないとみなす手法をとってもよい。ここでは、無線端末UEが、測定ログを含むMDTConfigurationSetupResponseメッセージを生成したものとする。なお、無線端末UEは、無線端末UEの能力を示す能力情報をMDTConfigurationSetupResponseメッセージに含めて送信してもよい。
【0099】
無線基地局eNBは、MDTConfigurationSetupResponseメッセージを受信すると、ステップS411において、測定構成を設定するIdleMDTConfigurationメッセージを生成し、生成したIdleMDTConfigurationメッセージを無線端末UEに送信する。なお、無線基地局eNBは、MDTConfigurationSetupResponseメッセージに能力情報が含まれる場合に、当該能力情報を考慮してIdleMDTConfigurationメッセージを生成してもよい。
【0100】
無線端末UEは、無線基地局eNBからIdleMDTConfigurationメッセージを受信すると、ステップS412において、保持している測定構成を、IdleMDTConfigurationメッセージに含まれる新たな測定構成に置き換える。
【0101】
このように、本変更例によれば、無線端末UEは、MDTConfigurationSetupメッセージを受信した際に測定ログを保持している場合に、測定ログをMDTConfigurationSetupResponseメッセージに含めて送信する。これにより、第1実施形態と比較して、UEInformationRequestメッセージ及びUEInformationResponseメッセージの送信に要する無線リソースを節約できる。
【0102】
(2.5)第2実施形態の変更例2
本変更例では、第1実施形態の変更例と同様に、タイマを使用する形態を説明する。
【0103】
図8は、第2実施形態の変更例2に係る無線測定収集方法を示すシーケンス図である。ステップS501〜ステップS508の処理は第2実施形態と同様であるため、ステップS509以降の処理を説明する。
【0104】
図8に示すように、無線基地局eNBは、無線端末UEに測定構成を設定すると決定すると、ステップS509において、MDTConfigurationSetupメッセージを生成し、生成したMDTConfigurationSetupメッセージを無線端末UEに送信する。
【0105】
ステップS510において、無線基地局eNBは、MDTConfigurationSetupメッセージを無線端末UEに送信した際に、一定時間を計時するためのタイマを起動する。
【0106】
無線端末UEは、MDTConfigurationSetupメッセージを無線基地局eNBから受信した際に測定ログを保持している場合に、ステップS511において、保持している測定ログを含むMDTConfigurationSetupResponseメッセージを生成し、生成したMDTConfigurationSetupResponseメッセージを無線基地局eNBに送信する。なお、無線端末UEは、無線端末UEの能力を示す能力情報をMDTConfigurationSetupResponseメッセージに含めて送信してもよい。
【0107】
一方、無線端末UEは、MDTConfigurationSetupメッセージを無線基地局eNBから受信した際に測定ログを保持していない場合に、測定ログを含めずにMDTConfigurationSetupResponseメッセージを送信する。
【0108】
上記タイマが満了すると、ステップS512において、無線基地局eNBは、測定構成を設定するIdleMDTConfigurationメッセージを生成し、生成したIdleMDTConfigurationメッセージを無線端末UEに送信する。なお、無線基地局eNBは、MDTConfigurationSetupResponseメッセージに能力情報が含まれる場合に、当該能力情報を考慮してIdleMDTConfigurationメッセージを生成してもよい。
【0109】
無線端末UEは、無線基地局eNBからIdleMDTConfigurationメッセージを受信すると、ステップS513において、保持している測定構成を、IdleMDTConfigurationメッセージに含まれる新たな測定構成に置き換える。
【0110】
(3)その他の実施形態
その他の実施形態では、異なるRAT間で記録型MDT(Logged MDT)を行うケースについて説明する。また、その他の実施形態では、無線端末を単にUEと称し、無線基地局を単に(e)NBと称し、測定ログをLogged MDT dataあるいはlogged dataと称している。なお、RATは無線アクセス技術を意味し、異なるRAT間とは、例えば、LTEシステム及びWCDMAシステム間や、LTEシステム及びGSM(登録商標)システム間、LTEシステム及びEVDOシステム間などが挙げられる。
【0111】
(3.1)導入
Logged MDTについて既に決まっていることは、設定(コンフィグレーション)、測定収集、測定に係る報告は、常に、同一RATタイプのセルで行われるということである。UEにはLogged MDT のためのRAT固有コンフィグレーションが1つのみ存在する。ネットワークがコンフィグレーションを提供するとき、以前に構成されていたMDT測定コンフィグレーションは全体として新たなコンフィグレーションに置換される。また、以前に構成されていたMDT測定コンフィグレーションに対応する測定ログは、同時に消去される。新たなコンフィグレーションが提供される前の関連データを回収するかはネットワークに一任されている。なお、ネットワークは、RAT間(インターRAT)協調を行う必要があるかもしれない。
【0112】
Logged MDT 測定を行うように構成されたUEは、接続を確立する間に、RRCConnectionSetupCompleteメッセージ中の1ビットのインジケータによって、Logged MDTデータの可用性を示す。UEは、当該UEに対してLogged MDT測定を行うよう構成したRATへの接続の場合で、ロギング期間が終了していない場合でも、RRC Connected modeへの移行毎のメッセージに当該インジケーションを含める。UEは、他のRATのMDT測定の可用性を通知しない。ネットワークは、このインジケーションに基づいて測定ログを回収することを決定できる。
【0113】
(3.2)考察
いくつかのオペレータは、データを回収する機会がネットワークに無い場合に、Logged MDT データの削除を望まない。しかしながら、現状は、他のRATでは可用性インジケータを送信しないと決定されており、ログデータを回収するかはネットワークに一任されるとしている。
【0114】
ここで提案するのは、インターRATシナリオでの回収及びコンフィグレーションハンドリングのための3つの選択肢である。当該インターRATシナリオは、UEがRAT−Aに接続しつつ既にMDTコンフィグレーションが設定されていると仮定する。UEは、アイドル状態になり、ターゲットRAT(RAT−B)に移動する。UEは、RAT−Bに移動する前にRATAのMDT測定データを有しているか又は有していない。RAT−Bネットワークは、当該UEに対して新たなRAT−BのMDTコンフィグレーションを再設定するUEは、新たなMDTコンフィグレーションが設定されたときに全ての測定ログを消去する。追加情報無く、RAT−Bネットワークは、実行中のMDT活動を不注意に置換し、有益なUEのログデータを削除し得る。
【0115】
(3.2.1)インターRATデータ回収及びコンフィグレーション(再コンフィグレーション)のための選択肢
以下は、インターRATシナリオでの回収及びコンフィグレーションハンドリングのための3つの選択肢である。
【0116】
(3.2.1.1)選択肢1
図9に示すように、選択肢1では、データ回収及びMDTコンフィグレーション(再コンフィグレーション)のために既存プロトコルが利用される。
【0117】
1.ステップ1において、(e)NBは、記録されたMDTデータ(仮に存在すれば)を回収するために、UEInformationRequestメッセージをUEに送る。上記で仮定したように、UEInformationRequestメッセージは、(e)NBが可用性インジケータを受信した場合にのみUEに送られる。UEはRAT−Bの(e)NBに対して可用性インジケータを送らないため、「ブラインド」要求であるとみなされるかもしれない。しかしながら、RAT−AとRAT−Bとの間で使用できるインターRAT協調の度合いに応じて、リクエストは、RAT−AからRAT−BへのUE設定状態情報に基づくことができる。(e)NBがMDT再コンフィグレーションの前に当該リクエストを送るかは、選択可能である。このように、RAT−AからRAT−BへのUE設定状態情報により、UEがRAT−AについてのLogged MDTを行っている、あるいはUEがRAT−AについてのLogged MDTデータを有している旨を通知することによって、RAT−Bは、当該UEに対して新たなコンフィグレーションを行うか否かを判断できる。
【0118】
2.UEがlogged MDTデータを有していれば、UEInformationResponseメッセージを用いて当該データを(e)NBに送る。利用可能なデータが無くても、UEは、当該メッセージを送らなければならないが、利用可能なMDTデータが存在しないことのインジケーションと共に送る。従って、UEInformationResponse メッセージは、利用可能なMDTデータが存在しないことを示すように更新される。
【0119】
3.(e)NBは、新たなRAT−BコンフィグレーションをUEに再設定するためのIdleMDTConfiguration メッセージを送る。
【0120】
(3.2.1.2)選択肢2
図10に示すように、選択肢2では、IdleMDTConfiguration メッセージは、logged MDTデータ要求及びMDTコンフィグレーション(再コンフィグレーション)の両方に利用される。
【0121】
1.ステップ1において、(e)NBは、新たなRAT−BコンフィグレーションをUEに再設定するためのIdleMDTConfigurationメッセージをUEに送る。UEは、RAT−BのMDTコンフィグレーションでRAT−AのMDTコンフィグレーションを置換する。さらに、(e)NBは、「回収ビット(retrieve bit)」を用いて、UEに残っているlogged MDTデータを(e)NBへ送る要求を出すことができる。
【0122】
2.利用可能なlogged MDT データをUEが有していれば、UEInformationResponseメッセージを用いて当該データを(e)NBへ送る。利用可能なデータが無くても、UEは、当該メッセージを送らなければならないが、利用可能なMDTデータが存在しないことのインジケーションと共に送る。UEInformationResponse メッセージは、利用可能なMDTデータが存在しないことを示すように更新される必要があるかもしれない。
【0123】
(3.2.1.3)選択肢3
図11に示すように、選択肢3では、MDTコンフィグレーションをUEが有しているか否かを判断するために、既存プロトコルに対してUEConfigurationRequest/Responseメッセージが追加される。
【0124】
1.ステップ1において、MDTコンフィグレーション状態(例えば、UEがMDTコンフィグレーションを有しているか否か)を要求するためのUEConfigurationRequestメッセージがUEに送信される。
【0125】
2.ステップ2において、UEは、MDTコンフィグレーションを有しているか否か(Yes/No)を(e)NBに知らせるためのUEConfigurationResponseメッセージを(e)NBに送る。UEが“Yes”で応答すれば、(e)NBはMDTコンフィグレーションをRAT−Aから上書きしないことを選択できる。
【0126】
3.ステップ3において、(e)NBは、UEに残っているlogged MDTデータを回収するためのUEInformationRequestメッセージをUEに送る。UEがステップ2で“No”(例えばMDTコンフィグレーションが無い)と応答していても、UEはMDT活動が完了した後少なくとも48時間はlogged MDTデータを保持できるため、(e)NBはUEInformationRequestメッセージをUEに送信してもよい。あるいは、UEConfigurationRequestメッセージの一部としてMDTデータの要求を出すとすれば、ステップ3を不要にできる。
【0127】
4.利用可能なlogged MDTデータをUEが有していれば、UEInformationResponseメッセージを用いて当該データを(e)NBに送る。利用可能なデータが無くても、UEは、当該メッセージを送らなければならないが、利用可能なMDTデータが存在しないことのインジケーションと共に送る。UEInformationResponseメッセージは、利用可能なMDTデータが存在しないことを示すように更新される必要があるかもしれない。ただし、UEConfigurationRequestメッセージの一部としてMDTデータの要求を出せば、UEは、利用可能なMDTデータが存在しないことのUEInformationResponse メッセージを送る必要がないかもしれない。
【0128】
5.(e)NBは、新たなRAT−BコンフィグレーションをUEに再設定するためのIdleMDTConfiguration メッセージを送る。UEは、RAT−BのMDTコンフィグレーションでRAT−AのMDTコンフィグレーションを置換する。
【0129】
(3.2.2)各選択肢の比較
3つの選択肢の全ては、ネットワークが新たなMDTコンフィグレーションをUEに設定すると決定したときに、当該UEの測定ログ(存在すれば)が失われない。選択肢1及び2はデータ回収に留意する一方、選択肢3は、UEがMDTコンフィグレーションを有しているか否かを再コンフィグレーションの前に把握するため、データ回収及びMDT再コンフィグレーションの両方に留意するものである。
【0130】
選択肢1は、MDTデータの回収に既存プロトコルを利用する。 logged MDTデータの要求は、RAT−Aでの実行中のMDT活動にUEが参加しているか否かの知識に基づくことができる。RAT−Bネットワークでそのような情報が利用できない場合、(e)NBは、logged MDTデータを要求しないことを選択してもよい。この仕組みは、UEInformationRequestメッセージがオプショナルであるため、インターRAT回収をサポートしないオペレータやインターRAT協調を有しない(e)NBに与えるシグナリングのインパクトが無い。
【0131】
選択肢2では、UEからのMDTデータについての要求は、IdleMDTConfigurationメッセージに組み込まれる。MDTデータの回収の要求がなされれば、UEは先ず新たなMDTコンフィグレーションで自己のコンフィグレーションを更新し、その後、RAT−AからのMDTデータを(e)NBに送る。このプロシージャは、UEが新たなMDTデータを受信したときにはMDTデータを消去するという内容とは異なる。この場合、UEは、残っているデータを(e)NBに送るまでは当該データを削除しない。この選択肢は、データの損失を防ぐために、MDT再コンフィグレーションの間に既存プロトコルに対して非常に少量の情報を追加すればよいという点で有利である。また、データ回収要求は、UEに新たなMDTコンフィグレーションを設定する必要性の一部として送られるだけである。この仕組みは、回収ビット(retrieve bit)がオプションでメッセージに含まれるため、UEInformationRequestメッセージがオプショナルであるため、インターRAT回収をサポートしないオペレータやインターRAT協調を有しない(e)NBに与えるシグナリングのインパクトが無い。
【0132】
選択肢3は、MDTコンフィグレーションの有無をUEに問い合わせるために、既存プロトコルに対して新たなメッセージが追加される。これは、インターRAT協調が無い場合でも、存在するMDTコンフィグレーションの不要な置換を防ぐことができるという点で有利である。 (e)NBは、MDT活動のための他のUEを選択し得る。残りのプロトコルは選択肢1と同様である。
【0133】
選択肢3は、他の利点も有する。MDTの測定、ロギング/報告UEに使用されるUEは、ネットワークが特定の測定を行うために適切な装置を慎重に選択することを可能にするために、能力の組を通知するべきである。装置能力は、ロギング、特定の障害の報告、及び/又は測定のための能力に加えて、記録ストレージ及びバッテリ容量の能力も反映し得る。従って、MDTコンフィグレーションの前にUEのバッテリ状況及びメモリ状況を確認するためにUEConfigurationRequest/Responseメッセージを拡張できる。
【0134】
(3.3)まとめ
3つの選択肢は、UEが他のRATに接続した場合において、新たなMDTコンフィグレーションが設定されたときに、logged MDTデータの損失を防ぐことができる。
【0135】
なお、米国仮出願第61/373525号(2010年8月13日出願)の全内容が、参照により、本願明細書に組み込まれている。
【産業上の利用可能性】
【0136】
以上のように、本発明に係る無線測定収集方法及び無線端末によれば、ネットワーク側で予期せぬエラーが発生することを防ぐことができるため、移動体通信などの無線通信において有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークから受信した測定構成メッセージによって設定された測定構成に従って、アイドル状態で、無線環境の測定結果を含む測定ログを保持する処理を行う無線端末を用いた無線測定収集方法であって、
前記無線端末がアイドル状態から接続状態に移行した状態であるときに、前記ネットワークが、前記測定ログの送信を要求するためのログ送信要求を前記無線端末に送信するステップAと、
前記無線端末が、接続状態を維持しているときに、前記測定ログを送信するためのログ送信応答を前記ネットワークに送信するステップBと、を備え、
前記ステップBにおいて、前記無線端末は、測定期間が満了してから所定時間が経過して前記測定ログが保持されていない場合であっても、前記ログ送信応答を前記ネットワークに送信することを特徴とする無線測定収集方法。
【請求項2】
ネットワークから受信した測定構成メッセージによって設定された測定構成に従って、アイドル状態で、無線環境の測定結果を含む測定ログを保持する処理を行う無線端末であって、
アイドル状態から接続状態に移行した状態であるときに、前記ネットワークから、前記測定ログの送信を要求するためのログ送信要求を受信する受信部と、
接続状態を維持しているときに、前記測定ログを送信するためのログ送信応答を、前記ネットワークに送信する送信部と、を備え、
前記送信部は、測定期間が満了してから所定時間が経過して前記測定ログが保持されていない場合であっても、前記ログ送信応答を前記ネットワークに送信することを特徴とする無線端末。
【請求項3】
無線端末に適用されるプロセッサであって、
前記プロセッサは、
前記無線端末が、ネットワークから受信した測定構成メッセージによって設定された測定構成に従って、アイドル状態で、無線環境の測定結果を含む測定ログを保持するための第1処理と、前記無線端末が、アイドル状態から接続状態に移行した状態であるときに、前記ネットワークから前記測定ログの送信を要求するためのログ送信要求を受信するための第2処理と、前記無線端末が、接続状態を維持しているときに、前記測定ログを送信するためのログ送信応答を前記ネットワークに送信するための第3処理と、を行うように構成され、
前記第3処理では、測定期間が満了してから所定時間が経過して前記測定ログが保持されていない場合であっても、前記測定ログを送信するためのログ送信応答を前記ネットワークに送信するための処理を行う、ことを特徴とするプロセッサ。
【請求項1】
ネットワークから受信した測定構成メッセージによって設定された測定構成に従って、アイドル状態で、無線環境の測定結果を含む測定ログを保持する処理を行う無線端末を用いた無線測定収集方法であって、
前記無線端末がアイドル状態から接続状態に移行した状態であるときに、前記ネットワークが、前記測定ログの送信を要求するためのログ送信要求を前記無線端末に送信するステップAと、
前記無線端末が、接続状態を維持しているときに、前記測定ログを送信するためのログ送信応答を前記ネットワークに送信するステップBと、を備え、
前記ステップBにおいて、前記無線端末は、測定期間が満了してから所定時間が経過して前記測定ログが保持されていない場合であっても、前記ログ送信応答を前記ネットワークに送信することを特徴とする無線測定収集方法。
【請求項2】
ネットワークから受信した測定構成メッセージによって設定された測定構成に従って、アイドル状態で、無線環境の測定結果を含む測定ログを保持する処理を行う無線端末であって、
アイドル状態から接続状態に移行した状態であるときに、前記ネットワークから、前記測定ログの送信を要求するためのログ送信要求を受信する受信部と、
接続状態を維持しているときに、前記測定ログを送信するためのログ送信応答を、前記ネットワークに送信する送信部と、を備え、
前記送信部は、測定期間が満了してから所定時間が経過して前記測定ログが保持されていない場合であっても、前記ログ送信応答を前記ネットワークに送信することを特徴とする無線端末。
【請求項3】
無線端末に適用されるプロセッサであって、
前記プロセッサは、
前記無線端末が、ネットワークから受信した測定構成メッセージによって設定された測定構成に従って、アイドル状態で、無線環境の測定結果を含む測定ログを保持するための第1処理と、前記無線端末が、アイドル状態から接続状態に移行した状態であるときに、前記ネットワークから前記測定ログの送信を要求するためのログ送信要求を受信するための第2処理と、前記無線端末が、接続状態を維持しているときに、前記測定ログを送信するためのログ送信応答を前記ネットワークに送信するための第3処理と、を行うように構成され、
前記第3処理では、測定期間が満了してから所定時間が経過して前記測定ログが保持されていない場合であっても、前記測定ログを送信するためのログ送信応答を前記ネットワークに送信するための処理を行う、ことを特徴とするプロセッサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−81233(P2013−81233A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−271141(P2012−271141)
【出願日】平成24年12月12日(2012.12.12)
【分割の表示】特願2012−230898(P2012−230898)の分割
【原出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WCDMA
2.LTE
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年12月12日(2012.12.12)
【分割の表示】特願2012−230898(P2012−230898)の分割
【原出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WCDMA
2.LTE
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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