説明

無線端末および端末管理システム

【課題】サーバが複数の端末を管理する端末管理システムにおいて、各端末とサーバが無線通信によってデータを伝送する構成においても、要求のあった端末の位置を特定することを目的とする。
【解決手段】端末103a〜103cの内部メモリと、端末103a〜103cに貼付されたRFIDタグ104a〜104cに同一のID番号を記録することで、通信サーバ100が無線基地局101から受信した端末103a〜103cの通信用アドレスと内部メモリに記録されたID番号と、タグリーダ102a〜102cによる空間距離検出から得られた端末103a〜103cの物理位置とRFIDタグ104a〜104cに記録されたID番号が、座席レイアウト情報105と関連付けられ、要求を行った端末の位置を特定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線端末および端末管理システムに関する。具体的には、航空機やスタジアム等、数多くの無線端末が設置された環境における、無線端末および端末管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、航空機や列車・スタジアム等の、多数の座席が設置される環境において、各座席に端末を設置し、観客・乗客が端末を介して映画や音楽などの配信サービスを受けることができるシステムが普及している。
【0003】
その中で、航空機内においては各座席に端末を設置し、乗客が映画やテレビゲームなどを楽しむことができるエンターテイメントシステムが広く利用されている。このエンターテイメントシステムにおいて、コンテンツの配信や端末の管理を行う通信サーバや各座席端末は、イーサネット(登録商標)をはじめとする有線ネットワークで接続されている。
【0004】
システムが可能にするサービスとして、乗客が端末を用いて何らかの要求を行った際に、その乗客の位置を特定し、要求を行った乗客に対してサービスを行う、というものがあり、その一例として、乗客がアテンダント(乗務員)の呼び出しや読書灯の点灯を、座席に備え付けられたボタン操作で行うものがある。
【0005】
以下、読書灯の点灯を行うサービスについて、図6を用いて説明する。図6は従来の端末管理システムの構成図で、座席が配列された航空機内の客室の一部を側面からみた図であり、100は通信サーバ、103a〜103cは座席に設置された端末、106a〜106cは読書灯、107a〜107cは座席、108は読書灯106bが照らす範囲、400a〜400cは通信サーバ100と端末103a〜103cの間に接続されたスイッチである。
【0006】
以上のように構成されたシステムにおいて、例えば座席107bの乗客が前座席107aの端末103aに設置されたタッチパネル(図示せず)、もしくは座席107bに設置されたコントローラ(図示せず)などを用いて読書灯の点灯を要求すると、端末103aからスイッチ400aを介して通信サーバ100に端末103aのIPアドレス・座席番号・要求内容が送信され、通信サーバ100は受信した内容を基に、座席107bに対応する読書灯106bを点灯し、読書灯106bは座席107bに対して、スポットライト108として限定された範囲を照らす。
【0007】
このような乗客の位置の特定を必要とするサービスでは、要求を行った乗客に対してサービスを行うために、その乗客の座席番号を特定する必要があるが、予め座席番号を端末内に記録する場合、設置時に全端末に対して座席番号を設定する必要があり、多くの手間を要する上、人為的な作業ミスが発生する可能性があり、実現困難である。
【0008】
一方、各端末はネットワーク経由で通信サーバに接続されているため、通信サーバは要求を行った端末のIPアドレスを判別することは可能である。従って、通信サーバ側で各座席端末のIPアドレスと座席番号との対応付けができていればよい。
【0009】
各座席端末のIPアドレスと座席番号との対応付けの一例を、表2に示す。
【0010】
【表2】

【0011】
図6に示す有線ネットワークのシステムでは、通信サーバ100は各端末の座席番号とIPアドレスを対応付け、要求のあった端末の場所を特定するために、以下の方法で各端末にIPアドレスを通信サーバ100より割当て、表2を作成・使用する。
【0012】
まず、スイッチ400a〜400cが自分の前後のスイッチのMAC(Media Access Control)アドレスを取得し、自分のMACアドレスと共に通信サーバ100へ送信する(例えばスイッチ400bは、自分のMACアドレスと、前後のスイッチ400aと400cのMACアドレスを送信する)。通信サーバ100は、スイッチ400a〜400cから受信したMACアドレスを基にスイッチ400a〜400cの並び順を把握し、順番にIPアドレスを割り当てる。このとき、通信サーバ100は端末103a〜103cのIPアドレスを、端末103a〜103cが接続されている各スイッチ400a〜400cそれぞれに渡し、スイッチ400a〜400cは自分に接続されている端末103a〜103cに、接続の順番にIPアドレスを割り当てる。スイッチ400a〜400cは、自分に接続された端末103a〜103cが設置されている座席の番号を予め保持しているため、以上の方法で表2に示すように端末103a〜103cの座席番号とIPアドレスとが対応付けられている。
【0013】
しかし、上記有線ネットワークのシステムでは大量のケーブル類が必要なことから、重量が問題となる航空機では、重量削減のため無線ネットワークによるシステムの検討が行われている。
【0014】
従来、端末の位置を特定することができる無線システムとしては、公知の技術であるRFID(Radio Frequency Identification)タグを用いた非接触によるデータ読み書きと位置検出を利用したものがあり、例えば、特許文献1に記載されているものがあった。特許文献1に記載された電子情報管理システムは、従来の無線通信システムを示している。
【0015】
RFIDタグはラベルなどの貼付容易な形状を有する微小な無線ICチップであり、自身の識別コードなどの情報が記録され、電波を使って管理システムと情報を送受信する能力を持ち、近年ではアンテナ側からの非接触電力伝送技術により、電池を持たず半永久的に利用可能にもなっている。
【0016】
以下に、特許文献1に記載された電子情報管理システムの構成について、図7を用いて説明する。電子情報管理システムは、電子情報を管理するファイルサーバ701と、ファイルサーバ701から電子情報を取得するクライアント702と、クライアント702の位置情報を検出する無線タグリーダ703aおよび無線タグ703bと、無線タグリーダ703aおよび無線タグ703bで検出された位置情報からクライアント702の位置を認証してクライアント702のアクセス権を変更する位置認証部704と、から構成される。
【0017】
なお、サーバ701、クライアント702および無線タグリーダ703aは、それぞれネットワークを介して接続されており、無線タグリーダ703aと無線タグ703bとは無線通信によって接続されている。
【0018】
無線タグリーダ703aが無線タグ703bから検出してサーバ701に送信するタグの固有IDと、クライアント702がサーバ701に送信するタグの固有IDとが一致した場合にユーザにファイルアクセスの許可を与える仕組みで、サーバ701から一定距離にあるクライアント702にのみファイルアクセスの許可を与えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2005−267353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、上記特許文献1の構成では、以下の問題が発生する。
【0021】
第一に、サーバ701はクライアント702の詳細な位置を把握することはできず、クライアント702の位置がサーバ701を中心とした一定の範囲内にあるか否か、という情報しか得ることができない。
【0022】
第二に、サーバ701はクライアント702から要求を受けた際、どのクライアント702から要求を受けたのかを特定することはできず、要求を受けたクライアント702がファイルアクセス可能な条件を満たしているか、という判断のみを行う。
【0023】
第三に、クライアント702の電源が入っている状態でなければデータのやり取りを行うことができず、クライアント702が何らかの理由で電源を投入できない場合、サーバ701は端末内部のメモリに記録された情報を取得できない。
【0024】
本発明の目的は、各端末とサーバが無線通信によってデータを伝送する構成においても端末の物理位置と通信用アドレスとを対応付け、要求のあった端末の詳細な位置を特定することである。
【0025】
また、対応付けられた情報を用いて、端末の電源が入っていない状態においてもログ情報の書き込み・読み出しができる構成を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の端末管理システムは、通信サーバと、複数の無線端末と、通信サーバに接続され、複数の無線端末との通信を行う無線基地局と、通信サーバに接続され、RFIDタグのID番号読み取り機能、および前記RFIDタグとの空間距離検出機能を有した複数のタグリーダとを備え、無線端末は、固有のID番号が割当てられたRFIDタグと、固有の通信用アドレスが割当てられた無線通信インターフェースと、RFIDタグのID番号と同一のID番号が記憶された不揮発性メモリとを有し、無線端末は、無線基地局との無線通信を介して通信サーバへ通信用アドレスと共に不揮発性メモリに記憶されたID番号を伝送し、タグリーダは、RFIDタグとの空間距離とRFIDタグのID番号とを通信サーバに伝送し、通信サーバは、同一のID番号で関連付けられた無線端末の物理位置と通信用アドレスとを対応付ける。
【0027】
以上の構成により、通信サーバは、無線基地局を介して端末の通信用アドレスと不揮発性メモリに記録されたID番号を取得し、無線タグリーダを介して、無線端末の物理位置とRFIDタグに記録されたID番号を取得することができ、同一のID番号を用いて無線端末の物理位置と通信用アドレスとを対応付けることができる。
【0028】
また、対応付けられた情報を用いて、通信サーバがタグリーダライタを介してRFIDタグに情報を書込むことで、端末の電源が入っていない状態においても情報の読み出しを行うことができる。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、本発明の無線端末および端末管理システムによれば、無線通信においても各無線端末の物理位置と通信用アドレスとを対応付けることができ、通信サーバは目的とする端末の位置を特定することができる。また、無線通信により各無線端末から通信サーバへ情報を伝送することが可能になるため、配線が不要となり、重量やコストの削減を行うことができる。さらに、無線端末の電源が入っていない状態においても、通信サーバはRFIDタグから無線端末に関する情報の読み出しを行うことができ、メンテナンス作業の効率化に繋がるほか、故障時の対応にも効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態1における端末管理システムの構成図
【図2】同実施の形態1における端末の構成図
【図3】同実施の形態1における航空機内の座席レイアウト情報の説明図
【図4】同実施の形態1における座席レイアウト情報を用いた座標と座席番号との対応付けを示す図
【図5】本発明の実施の形態2における端末管理システムの構成図
【図6】従来の端末管理システムの構成図
【図7】従来の電子情報管理システムの構成図
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0032】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における端末管理システムの構成図で、座席が配列された航空機内の客室の一部を側面から見た図である。図2は各座席に配置された端末の構成図、図3は航空機内の座席レイアウト情報を説明するための図で、客室を上方から見た平面図である。各図において、従来例の図6と同じものは同一の番号を付している。
【0033】
本実施の形態では、端末管理システムを、図3に示されるような航空機300内の各座席107a〜107cに設置された端末の管理システムとして説明する。
【0034】
図1は、図3における航空機内の客室の座席のうち、先頭から3席の座席(図3の円で囲まれた部分)について示した図である。図1において、100は通信サーバ、101は無線基地局(アクセスポイント)、102a〜102cはタグリーダ、103a〜103cは座席にそれぞれ設置された端末、104a〜104cは端末103a〜103cにそれぞれ設置されたRFIDタグ、105は座席レイアウト情報、106a〜106cは読書灯、107a〜107cは航空機内の座席である。
【0035】
通信サーバ100は航空機内の座席のレイアウト情報105を有し、無線基地局101、タグリーダ102a〜102c、読書灯106a〜106cとそれぞれ接続され、無線基地局101を介して端末103a〜103cとの通信を行い、タグリーダ102a〜102cを介してRFIDタグ104a〜104cとの通信を行う。
【0036】
無線基地局101は、通信サーバ100に接続され、各端末103a〜103cとの無線通信を行う。
【0037】
タグリーダ102a〜102cは客室内に所定の間隔で複数配置されており、複数のタグリーダ102a〜102cを用いて端末103a〜103cに貼付されたRFIDタグ104a〜104cの空間距離を検出し、RFIDタグ104a〜104cから読み取ったID番号と共に通信サーバ100に伝送する。
【0038】
通信サーバ100は、複数のタグリーダ102a〜102cから送られた空間距離を基に、RFIDタグ104a〜104cのそれぞれの図3のXY平面上における物理位置(座標)を、三角測量等の位置算出手法により算出する。
【0039】
図3は航空機内の座席レイアウトの例であり、数字が縦列番号、アルファベットが横列番号にそれぞれ対応している。航空機の客室の座席配置は主に図3のようになっており、縦列と横列に数字とアルファベットが割り当てられ、座席107aの座席番号は、「1−A」と表される。
【0040】
端末103a〜103cについては、図2を用いて説明する。図2は、図1における端末103a〜103cの詳細な構成図である。図2において、103は図1の端末103a〜103cの拡大図である。104は図1のRFIDタグ104a〜104cの拡大図で、端末103の外部に貼付されている。200は端末内部の不揮発性メモリ、201は無線通信インターフェースで、RFIDタグ104に記録されたID番号と不揮発性メモリ200に記録されたID番号は同一の番号である。
【0041】
本発明の最も重要な点は、図2に示すように、端末103内部の不揮発性メモリ200と、貼付されたRFIDタグ104に同一のID番号を付与することにある。例えば工場出荷時に、端末103内部の不揮発性メモリ200と、その端末103に貼付されるRFIDタグ104に同一のID番号‘1395’を記録しておく。
【0042】
このようにして、端末103とRFIDタグ104に同一のID番号を付与することにより、図1の通信サーバ100は、無線基地局101を介して、不揮発性メモリ200に記録されたID番号と端末103のIPアドレスとを受信し、さらにタグリーダ102a〜102cからRFIDタグ104に記録されたID番号と端末103の座標を受信したとき、通信サーバ100は2つの経路から同一のID番号を取得することができ、端末103a〜103cのIPアドレスと端末103a〜103cの物理位置とを対応付けることが可能になる。
【0043】
なお、同一となるID番号は、ある1つの端末103に貼付されたRFIDタグ104に記録されたID番号と、不揮発性メモリ200に記録されたID番号の1組のみであり、他には存在しない。
【0044】
座席レイアウト情報105は通信サーバ100が保持するデータベースであり、座席番号の並び順・前後左右の位置関係の情報を持ち、図3の座席配置と、後述する図5の105に相当する。
【0045】
通信サーバ100は、タグリーダ102a〜102cが検出した空間距離からRFIDタグ104a〜104cの座標を全て算出し相対位置を求め、座席レイアウト情報105と照合することにより、端末103a〜103cが設置された座席の番号を特定する。
【0046】
表1に座席レイアウト情報105の一部を示す。
【0047】
【表1】

【0048】
以上のように構成された本実施の形態の端末管理システム全体の動作について、端末103aを例に挙げ、以下に説明する。
【0049】
まず端末103aが無線基地局101を介して通信サーバ100にIPアドレスを要求し、通信サーバ100は、無線基地局101を介して各端末103aに、IPアドレス‘192.168.0.101’を割当てる。
【0050】
次に、端末103aは無線基地局101を介して、端末103aの不揮発メモリに記録されたID番号‘1395’とIPアドレス‘192.168.0.101’の組み合わせを通信サーバ100に送信する。表1の右側601は端末103a〜103cが無線基地局101を介して通信サーバ100に送信する情報であり、各端末のIPアドレスと不揮発メモリに記録されたID番号の組み合わせである。
【0051】
一方、タグリーダ102a〜102cは3機がRFIDタグ104aとのそれぞれの空間距離を検出し、RFIDタグ104aに記録されたID番号‘1395’と共に通信サーバ100に送信する。
【0052】
通信サーバ100は、タグリーダ102a〜102cから送られてきた空間距離を用い、三角測量を行うことによって、図3の座標軸301によって表されるXY平面上でのRFIDタグ104aの座標(端末103aの座標)X:1.2、Y:1.2を算出する。
【0053】
表1の左側600はタグリーダ102a〜102cが通信サーバ100に送信する情報から得られた各端末の座標とID番号の組み合わせである。
【0054】
以上の操作を繰り返し行い、通信サーバ100は全端末のIPアドレス・不揮発メモリに記録されたID番号・XY座標・RFIDタグに記録されたID番号を入手する。ここで、座標と座席番号の対応について、図5を用いて説明する。図5は全端末のXY座標とレイアウト情報105の対応付けを表しており、レイアウト情報105を用いて全端末のXY座標と座席番号が関連付けられる。例えば、端末103aには座標X:1.2、Y:1.2から、座席番号「1−A」が割り当てられる。なお、座標数値「1.2」等は、物理的距離をXY座標における相対的な位置関係で数値化したものであり、物理的距離そのものではない。
【0055】
最後に、通信サーバ100がタグリーダ102a〜102cを介して得た情報である「端末103aの座席番号1−AとRFIDタグ104aから読取ったID番号‘1395’」と、無線基地局101を介して受信した「端末103aのIPアドレス‘192.168.0.101’と不揮発メモリに記録されたID番号‘1395’」という2つの情報の組合せを、ID番号の等しいもので対応付けることにより、端末103aのIPアドレス‘192.168.0.101’と端末103aの座席番号「1−A」を関連付けてマッピングすることが可能になる。
【0056】
表1は通信サーバ100が、タグリーダ102a〜102cを介して得た情報600と、端末103a〜103cから無線基地局101を介して受信した情報601とを組み合わせ、最終的に作成する表であり、表1を用いることにより、通信サーバ100はIPアドレス‘192.168.0.101’が座席番号1−Aに設置された端末103aのものであることがわかる。
【0057】
以上の動作を他の端末103b、103c等についても行うことで、全ての端末の座席番号とIPアドレスを対応付けることができる。
【0058】
本実施の形態により、通信サーバ100は無線通信においても各端末103a〜103cの座席番号とIPアドレスを関連付けることができるため、ある乗客が端末103a〜103cを用いてアテンダントの呼び出しや読書灯106a〜106cの点灯を行う際に、通信サーバ100は端末103a〜103cより受信したIPアドレスを上記の方式により座席番号と対応付けることで、要求を行った乗客の座席番号を把握し、アテンダントはその乗客に対して個別に読書灯の点灯などのサービスを行うことができる。
【0059】
本実施の形態においては、航空機内の各座席に設置された端末の管理システムとして説明したが、無線通信においてサーバが端末を管理する他のシステムにおいても本発明を適用することができる。
【0060】
また、RFIDタグ104aの位置検出手法として、タグリーダ102a〜102cによる空間距離検出からの三角測量を例に挙げ説明したが、その他の位置検出手法を使用してもよい。
【0061】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態1では通信サーバ100が端末103a〜103cの座席番号とIPアドレスを関連付けたが、実施の形態2ではその情報を利用した端末103a〜103cのメンテナンス方法について、図4を用い、端末103aを例に挙げ、以下に説明する。
【0062】
本実施の形態において、実施の形態1との相違点は、実施の形態1ではタグリーダ102a〜102cはRFIDタグ104a〜104cの位置検出機能とデータ読み取り機能を有していたが、実施の形態2では、それに加えてRFIDタグ104a〜104cへのデータ書き込み機能を有したタグリーダライタ500a〜500cへ置き換えたことである。
【0063】
実施の形態2では、通信サーバ100が端末103aの設置された座席番号「1−A」とIPアドレス‘192.168.0.101’を対応付けた後、通信サーバ100は、端末103aから無線基地局101を介して受信した、端末103aに関するログ情報(起動・停止時刻や起動時間、過去のエラーログなど)を随時、タグリーダライタ500aを介してRFIDタグ104aに書込む。端末103aは通信サーバ100に対して、ログ情報と共にIPアドレス‘192.168.0.101’を送信するため、通信サーバ100は実施の形態1における表1のID番号‘1395’を用いて端末103aの座席番号「1−A」を特定し、座席番号「1−A」のRFIDタグ104aへログ情報を書込むことができる。
【0064】
以上の方式により、何らかの理由で端末103aに故障が発生し、電源を投入することができない場合でも、通信サーバ100はRFIDタグ104aからログ情報を読み出し、メンテナンスに有効利用することができる。
【0065】
以上の動作を他の端末103b、103c等についても行うことで、通信サーバ100は全ての端末103a〜103cに対して、端末103a〜103cの電源が投入されていなくてもログ情報の読み書きを行うことができる。
【0066】
本実施の形態において、航空機内の各座席に設置された無線端末のメンテナンス方法として説明したが、無線通信においてサーバが無線端末とデータをやり取りする他のシステムにおいても本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明にかかる無線通信による端末管理システムは、配線を必要としない無線通信においても、サーバが各無線端末の物理位置と通信用アドレスを対応付けて管理し、要求のあった無線端末の位置を特定することができる。また無線端末の電源が入っていない状態においても無線端末のログ情報の読み出しを行うことができ、故障時の対応に効果的であるので、各座席に無線端末の設置された航空機の客室や、オフィス、学校のパソコン室などの環境で有用である。
【符号の説明】
【0068】
100 通信サーバ
101 無線基地局
102a〜102c タグリーダ
103a〜103c 端末
104a〜104c RFIDタグ
105 座席レイアウト情報
106a〜106c 読書灯
107a〜107c 座席
108 スポットライト
200 不揮発性メモリ
201 無線通信インターフェース
300 航空機
301 座標軸
400a〜400c スイッチ
500a〜500c タグリーダライタ
600 通信サーバがタグリーダから受信する情報
601 通信サーバが端末から受信する情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線により読み取り可能な固有のID番号が割当てられたRFIDタグと、
固有の通信用アドレスが割当てられた無線通信インターフェースと、
前記RFIDタグのID番号と同一のID番号が記憶された不揮発性メモリとを具備する無線端末。
【請求項2】
通信サーバと、
複数の無線端末と、
前記通信サーバに接続され、前記複数の無線端末との通信を行う無線基地局と、
前記通信サーバに接続され、RFIDタグのID番号読み取り機能、および前記RFIDタグとの空間距離検出機能を有した複数のタグリーダと、
を備えた端末管理システムにおいて、
前記無線端末は、固有のID番号が割当てられたRFIDタグと、固有の通信用アドレスが割当てられた無線通信インターフェースと、前記RFIDタグのID番号と同一のID番号が記憶された不揮発性メモリとを具備し、
前記無線端末は、前記無線基地局との無線通信を介して前記通信サーバへ前記通信用アドレスと共に前記不揮発性メモリに記憶されたID番号を伝送し、
前記タグリーダは、前記RFIDタグとの空間距離と前記RFIDタグのID番号とを前記通信サーバに伝送し、
前記通信サーバは、同一のID番号で関連付けられた前記無線端末の物理位置と前記通信用アドレスとを対応付けることを特徴とする端末管理システム。
【請求項3】
通信サーバと、
複数の無線端末と、
前記通信サーバに接続され、前記複数の無線端末との通信を行う無線基地局と、
前記通信サーバに接続され、RFIDタグのID番号読み取り機能、前記RFIDタグへの情報の書き込み機能、および前記RFIDタグとの空間距離検出機能を有した複数のタグリーダライタと、
を備えた端末管理システムにおいて、
前記無線端末は固有のID番号が割当てられたRFIDタグと、固有の通信用アドレスが割当てられた無線通信インターフェースと、前記RFIDタグのID番号と同一のID番号が記憶された不揮発性メモリを具備し、
前記無線端末は、前記無線基地局との無線通信を介して前記通信サーバへ前記通信用アドレスと共に前記不揮発性メモリに記憶されたID番号を伝送し、
前記タグリーダライタは、前記RFIDタグとの空間距離と前記RFIDタグのID番号とを前記通信サーバに伝送し、
前記通信サーバは、同一のID番号で関連付けられた前記無線端末の物理位置と前記通信用アドレスとを対応付け、
前記タグリーダライタは、前記通信サーバによって対応付けられた情報を基に、前記RFIDタグに、前記無線端末に関する情報の読み書きを行うことを特徴とする端末管理システム。
【請求項4】
所定のエリアに配列された複数の座席と、
前記複数の座席のそれぞれに設置され、IPアドレスおよび端末IDが割り当てられた複数の座席端末と、
前記エリアにおける前記複数の座席のレイアウト情報を有し、前記複数の座席端末を管理する管理サーバと、
前記管理サーバに接続され、前記複数の座席端末と無線通信を行うアクセスポイントと、
前記複数の座席端末のそれぞれに取付けられたRFIDタグと、
前記RFIDタグのタグIDを読み取る複数のIDリーダとを備え、
前記複数の座席端末に割り当てられたIPアドレスおよび端末IDをネットワーク経由で前記管理サーバに送信し、前記複数のタグリーダが検出した前記無線IDタグのタグIDおよび距離情報を前記アクセスポイントを介して前記管理サーバに送信することで、前記管理サーバが前記レイアウト情報に基づき、前記座席端末の物理的位置情報を前記IPアドレスと関連付けて管理する端末管理システム。
【請求項5】
前記管理サーバは、前記座席端末の物理的位置情報を、前記複数のタグリーダからの距離情報を用いて求めることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の端末管理システム。
【請求項6】
前記管理サーバは、前記座席端末の物理的位置情報を、前記複数のタグリーダからの距離情報を用いて三角測量の位置算出手法により算出することを特徴とする請求項5に記載の端末管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−22650(P2011−22650A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−164747(P2009−164747)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】