説明

無線端末装置及び位置測位方法

【課題】ネットワーク環境に応じて測位方式を適切に選択できる無線端末装置及び位置測位方法を提供すること。
【解決手段】携帯電話機1は、複数の測位方式のいずれかを選択して位置測位を行う測位部34を備え、測位部34は、位置測位を要求された際に、所定の測位サーバと通信可能なCDMAで位置登録されている場合、要求された測位方式により位置測位を行い、所定の測位サーバと通信不可能なLTEで位置登録されている場合、測位サーバを利用しないStandalone方式により位置測位を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPSによる位置測位が可能な無線端末装置及びその位置測位方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線端末装置の現在位置情報を取得するために、GPS(Global Positioning System)による測位サービスが提供されている。このサービスでは、無線端末装置は、GPS衛星の電波を捕捉するための補助情報を、基地局を介して所定の測位サーバ(例えば、PDE;Position Determination Entity)から受信することが多い。
【0003】
補助情報を測位サーバから取得する測位方式には、Assisted方式と、Based方式がある(例えば、特許文献1参照)。Assisted方式では、無線端末装置は、測位サーバから衛星捕捉補助情報(Acquisition Assistanceデータ)を受信し、GPS衛星をサーチする。サーチ結果は測位サーバに戻され、測位サーバにて位置計算が行われる。無線端末装置は、位置計算の結果を受信し、測位結果として出力する。また、Based方式では、無線端末装置は、基地局から衛星情報(Ephemerisデータ及びAlmanacデータ)を受信する。無線端末装置は、受信した衛星情報に基づいて衛星捕捉補助情報を作成した後、衛星をサーチし、さらに、サーチ結果を測位サーバに送信することなく、自ら位置計算を行う。
【0004】
また、補助情報を測位サーバから取得しない測位方式が取られる場合もあり、Standalone方式では、無線端末装置は、測位のために基地局と通信を行わない。すなわち、無線端末装置は、GPS衛星の信号を解読して、Ephemerisデータ及びAlmanacデータを自ら取得する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−130249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、無線端末装置は、通信事業者により提供される所定のネットワークを利用するが、上述の測位サーバが接続されているネットワークは限られている。したがって、測位サーバから補助情報を取得する測位が指定された場合に、利用中のネットワークによっては、測位サーバが接続されていない場合もあり、測位処理が失敗することがあった。
【0007】
本発明は、ネットワーク環境に応じて測位方式を適切に選択できる無線端末装置及び位置測位方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る無線端末装置は、複数の測位方式のいずれかを選択して位置測位を行う測位部を備える無線端末装置であって、前記測位部は、位置測位を要求された際に、所定の測位サーバと通信可能な第1の通信方式で位置登録されている場合、前記要求された測位方式により位置測位を行い、前記所定の測位サーバと通信不可能な第2の通信方式で位置登録されている場合、前記測位サーバを利用しない測位方式により位置測位を行う。
【0009】
また、本発明に係る無線端末装置は、基地局の電波強度を測定する測定部と、前記第2の通信方式で位置登録されている場合に、前記測定部により測定された電波強度に基づいて、GPS衛星を捕捉する際の障害物の有無を判定する判定部と、を備え、前記測位部は、前記判定部により障害物があると判定された場合、障害物がないと判定された場合に比べて、GPS衛星のサーチウィンドウ及びサーチ時間を拡大することが好ましい。
【0010】
また、前記判定部は、前記第2の通信方式で位置登録されている場合、前記第2の通信方式の基地局が屋外設置型であれば、前記電波強度が所定以下のときに障害物があると判定し、前記第2の通信方式の基地局が屋内設置型であれば、前記電波強度が所定以上のときに障害物があると判定することが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る無線端末装置は、近隣基地局の位置情報を取得する取得部と、前記第2の通信方式で位置登録されている場合、前記測位部により前記位置登録されている基地局から所定範囲内に測位されなかったとき、前記取得部により取得された近隣基地局の位置情報及び電波強度に基づいて位置を算出する算出部と、を備えることが好ましい。
【0012】
また、前記第1の通信方式はCDMAであり、前記第2の通信方式はLTEであることが好ましい。
【0013】
本発明に係る位置測位方法は、無線端末装置が複数の測位方式のいずれかを選択して位置測位を行う位置測位方法であって、位置測位を要求された際に、所定の測位サーバと通信可能な第1の通信方式で位置登録されている場合、前記要求された測位方式により位置測位を行い、前記所定の測位サーバと通信不可能な第2の通信方式で位置登録されている場合、前記測位サーバを利用しない測位方式により位置測位を行う。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、無線端末装置は、ネットワーク環境に応じて測位方式を適切に選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態に係る携帯電話機の外観斜視図である。
【図2】実施形態に係る携帯電話機の機能を示すブロック図である。
【図3】実施形態に係る基地局分布DBの一例を示す図である。
【図4】実施形態に係る電界強度DBの一例を示す図である。
【図5】実施形態に係る測位処理を示すフローチャートである。
【図6】実施形態に係るサーチウィンドウ及びサーチ時間の調整処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態の一例について説明する。なお、本実施形態では、無線端末装置の一例として携帯電話機1を説明する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る携帯電話機1の外観斜視図である。
なお、図1は、いわゆる折り畳み型の携帯電話機の形態を示しているが、本発明に係る携帯電話機の形態はこれに限られない。例えば、両筐体を重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転式(ターンタイプ)や、操作部と表示部とが1つの筐体に配置され、連結部を有さない形式(ストレートタイプ)でもよい。
【0018】
携帯電話機1は、操作部側筐体2と、表示部側筐体3と、を備えて構成される。操作部側筐体2は、表面部10に、操作部11と、携帯電話機1の使用者が通話時や音声認識アプリケーションを利用時に発した音声が入力されるマイク12と、を備えて構成される。操作部11は、各種設定機能や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作ボタン13と、電話番号の数字やメールの文字等を入力するための入力操作ボタン14と、各種操作における決定やスクロール等を行う決定操作ボタン15と、から構成されている。
【0019】
また、表示部側筐体3は、表面部20に、各種情報を表示するための表示部21と、通話の相手側の音声を出力するレシーバ22と、を備えて構成されている。
【0020】
また、操作部側筐体2の上端部と表示部側筐体3の下端部とは、ヒンジ機構4を介して連結されている。また、携帯電話機1は、ヒンジ機構4を介して連結された操作部側筐体2と表示部側筐体3とを相対的に回転することにより、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが互いに開いた状態(開状態)にしたり、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを折り畳んだ状態(閉状態)にしたりできる。
【0021】
図2は、本実施形態に係る携帯電話機1の機能を示すブロック図である。
携帯電話機1は、操作部11と、表示部21と、制御部30と、通信部40と、GPS受信部50と、音声制御部60と、記憶部70とを備える。
【0022】
制御部30は、携帯電話機1の全体を制御しており、例えば、表示部21や通信部40等の各部に対して所定の制御を行う。また、制御部30は、操作部11や通信部40、GPS受信部50等から入力を受け付けて、各種処理を実行する。そして、制御部30は、処理実行の際には、記憶部70を制御し、各種プログラム及びデータの読み出し、及びデータの書き込みを行う。なお、本実施形態に係る制御部30の詳細機能は後述する。
【0023】
通信部40は、所定の使用周波数帯(例えば、2GHz帯や800MHz帯等)で外部装置(基地局)と通信を行う。そして、通信部40は、メインアンテナ41より受信した信号を復調処理し、処理後の信号を制御部30に供給し、また、制御部30から供給された信号を変調処理し、メインアンテナ41から外部装置に送信する。
【0024】
ここで、通信部40は、本実施形態においては、音声及びデータ通信用の通信プロトコルであるCDMA2000_1xあるいはW−CDMA(以下、CDMAという)と、主に高速データ通信に用いられる通信プロトコルであるLTE(Long Term Evolution)との双方に対応しており、いずれのプロトコルの通信システムでも通信可能である。通信部40は、制御部30からの指令に基づいて、いずれかのプロトコルにより基地局と通信を行う。
【0025】
GPS受信部50は、GPSアンテナ51により受信したGPS衛星からの所定周波数帯の電波信号を復調処理し、処理後の信号を制御部30に供給する。なお、GPS受信部50及びGPSアンテナ51の機能は、それぞれ、通信部40及びメインアンテナ41が担ってもよい。
【0026】
音声制御部60は、制御部30の制御に従って、通信部40から供給された信号に対して所定の音声処理を行い、処理後の信号をレシーバ22に出力する。レシーバ22は、音声制御部60から供給された信号を外部に出力する。なお、この信号は、レシーバ22に代えて、又はレシーバ22と共に、スピーカ(図示せず)から出力されるとしてもよい。また、音声制御部60は、制御部30の制御に従って、マイク12から入力された信号を処理し、処理後の信号を通信部40に出力する。通信部40は、音声制御部60から供給された信号に所定の処理を行い、処理後の信号をメインアンテナ41より出力する。
【0027】
記憶部70は、例えば、ワーキングメモリを含み、制御部30による演算処理に利用される。また、本実施形態に係る各種プログラムの他、後述の基地局分布DB(データベース)71や電界強度DB72等を記憶する。
【0028】
次に制御部30の機能を詳述する。
制御部30は、取得部31と、測定部32と、判定部33と、測位部34と、算出部35とを備える。
【0029】
取得部31は、近隣基地局の位置情報を取得する。具体的には、取得部31は、通信中の基地局から送信される所定のメッセージ(一例としては、3GPP2規定におけるSystem Parameter Message、Mobile Station Registered Message又はSector Parameters Message、あるいは、3GPP規定におけるこれらに相当するメッセージ)を受信する。そして、取得部31は、この受信したメッセージに含まれる近隣基地局の識別情報及び位置情報を収集して、基地局分布DB71に記録する。本処理は、携帯電話機1の電源がオフになるか、又は通信機能を用いない電波オフモードが設定されるまで定期的に繰り返される。
【0030】
図3は、本実施形態に係る基地局分布DB71の一例を示す図である。
基地局分布DB71には、携帯電話機1が通信可能な基地局に関して、これらの基地局の識別子(BSID)、周波数帯を示すバンドクラス(BC)、信号同期用の符号(PN)、周波数(FREQ)、緯度(Lat)及び経度(Lon)が記憶される。
【0031】
測定部32は、位置登録している基地局、又はその近隣にある基地局の電波強度として、電界強度を測定する。具体的には、測定部32は、通信中の基地局から、定期的に近隣基地局情報(Active Set、及びNeighbor Set)を受信し、これらの近隣基地局から送信される電波の強度である電界強度を測定する。そして、測定部32は、測定された電界強度を収集して、電界強度DB72に記録する。本処理は、携帯電話機1の電源がオフになるか、又は通信機能を用いない電波オフモードが設定されるまで定期的に繰り返される。
【0032】
図4は、本実施形態に係る電界強度DB72の一例を示す図である。
電界強度DB72には、各基地局に対して、Active Set又はNeighbor Setの区分、基地局を識別する符号(PN)、及びそれぞれの電界強度(Strength)が記憶される。
【0033】
判定部33は、LTEで位置登録されている場合に、測定部32により測定された電界強度に基づいて、GPS衛星を捕捉する際の障害物の有無を判定する。具体的には、判定部33は、LTEで位置登録されている場合、屋外に設置されている基地局の電界強度が所定以下のときに、携帯電話機1が屋内にある等でGPS衛星の電波を受信する上での障害物があると判定する。
【0034】
なお、判定部33は、位置登録する基地局が屋外設置型か否かを、基地局との同期時に基地局から受信する基地局情報から、Femtoセル基地局であることを示す情報が抽出されれば屋内設置型、そうでなければ屋外設置型、等のように、捕捉時の取得情報に基づいて判定する。
【0035】
測位部34は、ユーザの操作入力やアプリケーションの処理により位置測位を要求された際に、現在利用中のネットワーク環境や通信事業者を判断し、複数の測位方式のいずれかを選択して位置測位を行う。具体的には、測位部34は、携帯電話機1が測位サーバと通信可能なCDMA(第1の通信方式)で位置登録されている場合、要求された測位方式(例えば、Assisted方式又はBased方式)により位置測位を行う。一方、携帯電話機1が測位サーバと通信不可能なLTE(第2の通信方式)で位置登録されている場合、測位部34は、測位サーバを利用しない測位方式、すなわちStandalone方式により位置測位を行う。
【0036】
また、測位部34は、判定部33により障害物があると判定された場合、GPS衛星を捕捉できる可能性を高めるために、障害物がないと判定された場合に比べて、GPS衛星のサーチウィンドウ及びサーチ時間を拡大する。
【0037】
算出部35は、LTEで位置登録されている場合、測位部34により、位置登録されている基地局から所定範囲内に測位されなかったとき、基地局分布DB71に記憶されている近隣基地局の位置情報、及び電界強度DB72に記憶されている近隣基地局の電界強度に基づいて携帯電話機1の位置を算出する。
【0038】
図5は、本実施形態に係る携帯電話機1における測位処理を示すフローチャートである。
【0039】
ステップS1において、測位部34は、ユーザ又はアプリケーションから測位要求を受け付ける。この測位要求には、測位方式が指定されていてもよく、指定されない場合には、例えば、処理負荷が小さいAssisted方式が選択される。
【0040】
ステップS2において、測位部34は、現在利用中のアクティブなネットワークを調査する。具体的には、CDMA又はLTEが利用可能な携帯電話機1においては、測位部34は、いずれの通信方式を使用中であるかを判定する。
【0041】
ステップS3において、測位部34は、ステップS2で判定されたアクティブなネットワークにより測位サーバへ接続できるか否かを判定する。この判定がYESの場合(CDMAである場合)、処理はステップS4に移り、判定がNOの場合(LTEである場合)、処理はステップS5に移る。
【0042】
ステップS4において、測位部34は、測位サーバへ接続可能であるので、通常通り、ステップS1で指定された測位方式(例えば、Assisted方式)により、測位を実行する。
【0043】
ステップS5において、測位部34は、指定された測位方式によらず、測位方式を測位サーバへの接続が不要なStandalone方式に設定する。
【0044】
ステップS6において、判定部33は、GPS衛星を捕捉する上での障害物の有無を判断するために、電界強度DB72を取得する。
【0045】
ステップS7において、制御部30(判定部33、測位部34)は、電界強度DB72から得られる電界強度情報に基づいて障害物の有無を判定し、GPS衛星のサーチウィンドウ及びサーチ時間を調整する。
【0046】
ステップS8において、測位部34は、調整されたサーチウィンドウにより、GPS衛星の捕捉を試みる。ここで、測位部34は、4個以上のGPS衛星を捕捉するまで、サーチ時間を限度に捕捉を試みる。
【0047】
ステップS9において、測位部34は、捕捉したGPS衛星から受信される信号に基づいて、測位演算処理を行う。
【0048】
ステップS10において、測位部34は、ステップS8において捕捉されたGPS衛星が4個以上で、かつ信号強度が十分であるか否かを判定する。この判定がYESの場合、測位結果の信頼度が高いので、処理はステップS15に移り、判定がNOの場合、処理はステップS11に移る。
【0049】
ステップS11において、測位部34は、4個未満のGPS衛星からの信号に基づいて、GPS測位が成功したか否かを判定する。この判定がYESの場合、処理はステップS12に移り、判定がNOの場合、処理はステップS13に移る。
【0050】
ステップS12において、測位部34は、測位結果が位置登録されている基地局から所定範囲内であるか否かを判定する。この判定がYESの場合、測位結果が信頼できるので、処理はステップS15に移る。一方、判定がNOの場合、測位結果の信頼度が低いので、処理はステップS13に移る。
【0051】
ステップS13において、算出部35は、携帯電話機1の位置を算出するために、基地局分布DB71及び電界強度DB72を取得する。
【0052】
ステップS14において、算出部35は、ステップS13で取得したデータベースから、近隣基地局の位置情報と電界強度情報とを取得し、携帯電話機1の位置を算出する。
【0053】
ステップS15において、制御部30は、測位部34又は算出部35による測位結果を出力する。
【0054】
図6は、本実施形態に係るサーチウィンドウ及びサーチ時間の調整処理を示すフローチャートである。本処理は、測位処理(図5)のステップS7に相当する。
【0055】
ステップS21において、判定部33は、電界強度DB72を参照し、通信中の基地局の電界強度を取得する。
【0056】
ステップS22において、判定部33は、ステップS21で取得した電界強度が所定以下の弱電界か否かを判定する。この判定がYESの場合、判定部33は、GPS衛星を捕捉する上での障害物があると判断し、処理はステップS23に移る。一方、判定がNOの場合、判定部33は、障害物がないと判断し、処理はステップS25に移る。
【0057】
ステップS23において、携帯電話機1は、障害物によりGPS衛星の捕捉が難しいと判定されており、また、弱電界であることから基地局の分布及び電界強度から位置を算出することも難しい。そこで、測位部34は、GPS衛星を捕捉できる可能性を高めるために、GPS衛星のサーチ時間を最大値(例えば、255秒)に設定する。
【0058】
ステップS24において、測位部34は、GPS衛星を捕捉できる可能性をさらに高めるために、サーチウィンドウを拡大する。
【0059】
ステップS25において、携帯電話機1は、GPS衛星の捕捉が容易であると判定されている。また、たとえGPS測位が失敗しても、強電界であることから基地局の分布及び電界強度から位置を算出することも可能である。したがって、測位部34は、GPS衛星のサーチ時間を標準値(例えば、60秒)に設定する。
【0060】
ステップS26において、測位部34は、サーチ時間と同様に、サーチウィンドウを標準に設定する。
【0061】
以上のように、本実施形態によれば、携帯電話機1は、測位サーバと通信できない場合に、測位方式をStandalone方式に設定するので、ネットワーク環境に応じて測位方式を適切に選択できる。その結果、GPS測位を要求するアプリケーションにおいてネットワーク環境を考慮する必要がなく、容易に汎用化できると共に、処理負荷が低減される。
【0062】
また、携帯電話機1は、基地局の電界強度を測定することにより、GPS衛星を捕捉する際の障害物の有無を判定できる。また、障害物があると判定された場合には、GPS衛星のサーチウィンドウ及びサーチ時間を拡大するので、GPS衛星を捕捉できる可能性が高まり、測位処理の信頼性が向上する。
【0063】
また、携帯電話機1は、近隣基地局の位置情報を取得し、それぞれの電界強度を測定できる。したがって、携帯電話機1は、GPS測位結果の信頼度が低い場合にも、この位置情報及び電界強度情報に基づいて位置を算出できる。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0065】
前述の実施形態における第1の通信方式としてのCDMA2000_1x、及び第2の通信方式としてのLTEは一例に過ぎず、他の通信プロトコルであってもよい。例えば、第1の通信方式としては、CDMA方式のEVDOやW−CDMA等が挙げられる。また、第2の通信方式としては、例えば、WiFi等が挙げられる。
【0066】
ここで、第2の通信方式がWiFi等、その基地局が屋内設置型であれば、電界強度が所定以上のときに障害物があると判定する。
このように、携帯電話機1は、利用中の通信システムの基地局が屋外設置型であるのか、屋内設定型であるのかによって、障害物の有無の判定方法を分けたので、本発明を適用できる通信システムが増加する。
【0067】
また、本発明に係る無線端末装置は、携帯電話機1には限られない。本発明は、PHS(登録商標;Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ゲーム機、ナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ、通信機能に特化した通信専用モジュール等、様々な装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 携帯電話機(無線端末装置)
11 操作部
21 表示部
30 制御部
31 取得部
32 測定部
33 判定部
34 測位部
35 算出部
40 通信部
41 メインアンテナ
50 GPS受信部
51 GPSアンテナ
60 音声制御部
70 記憶部
71 基地局分布DB
72 電界強度DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の測位方式のいずれかを選択して位置測位を行う測位部を備える無線端末装置であって、
前記測位部は、位置測位を要求された際に、所定の測位サーバと通信可能な第1の通信方式で位置登録されている場合、前記要求された測位方式により位置測位を行い、前記所定の測位サーバと通信不可能な第2の通信方式で位置登録されている場合、前記測位サーバを利用しない測位方式により位置測位を行う無線端末装置。
【請求項2】
基地局の電波強度を測定する測定部と、
前記第2の通信方式で位置登録されている場合に、前記測定部により測定された電波強度に基づいて、GPS衛星を捕捉する際の障害物の有無を判定する判定部と、を備え、
前記測位部は、前記判定部により障害物があると判定された場合、障害物がないと判定された場合に比べて、GPS衛星のサーチウィンドウ及びサーチ時間を拡大する請求項1に記載の無線端末装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記第2の通信方式で位置登録されている場合、前記第2の通信方式の基地局が屋外設置型であれば、前記電波強度が所定以下のときに障害物があると判定し、前記第2の通信方式の基地局が屋内設置型であれば、前記電波強度が所定以上のときに障害物があると判定する請求項2に記載の無線端末装置。
【請求項4】
近隣基地局の位置情報を取得する取得部と、
前記第2の通信方式で位置登録されている場合、前記測位部により前記位置登録されている基地局から所定範囲内に測位されなかったとき、前記取得部により取得された近隣基地局の位置情報及び電波強度に基づいて位置を算出する算出部と、を備える請求項2又は請求項3に記載の無線端末装置。
【請求項5】
前記第1の通信方式はCDMAであり、前記第2の通信方式はLTEである請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の無線端末装置。
【請求項6】
無線端末装置が複数の測位方式のいずれかを選択して位置測位を行う位置測位方法であって、
位置測位を要求された際に、所定の測位サーバと通信可能な第1の通信方式で位置登録されている場合、前記要求された測位方式により位置測位を行い、前記所定の測位サーバと通信不可能な第2の通信方式で位置登録されている場合、前記測位サーバを利用しない測位方式により位置測位を行う位置測位方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−154834(P2012−154834A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15132(P2011−15132)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】