説明

無線端末装置

【課題】 空港などにおける無線端末装置の使い勝手を向上させる。
【解決手段】 無線端末装置では、音声入力手段と、入力音声信号増幅手段と、無線通信処理手段と、モード切替指示受付手段を備え、モード切替指示受付手段によりホットマイクモードへ切り替える指示が受け付けられたことに応じて、入力音声信号増幅利得制御手段が入力音声信号増幅手段の利得を高め、ホットマイク動作手段が他の所定の通信装置と通信接続して音声入力手段から入力されて入力音声信号増幅手段により増幅される音声信号を無線通信処理手段により当該他の所定の通信装置に対して送信することを常時行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、無線端末装置と基地局装置とが無線により通信する無線通信システムの無線端末装置に関し、特に、空港などにおける使い勝手を向上させた無線端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、空港エリア内に存する航空機の安全性やユーザの快適性を確保するという重要な使命を担っている空港向けのマルチチャネルアクセス(MCA:Multi Channel Access)無線システムが、電波産業会(ARIB)により、空港内デジタル移動通信システム(ARIB STD T−87)として規格化されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】ARIB STD−T87 「空港内デジタル移動通信システム」 、財団法人、電波産業会
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような無線通信システムの無線端末装置では、ユーザの使い勝手などの点で未だに不十分なところがあり、更なる開発が要求されていた。特に、空港などのように不特定多数の人が集まるような場所における無線端末装置の使い勝手を向上させたいといった要求があった。
本発明は、このような従来の事情に鑑み為されたもので、空港などにおける使い勝手を向上させることができる無線端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る無線端末装置では、無線により通信する構成において、次のような処理を行う。
すなわち、音声入力手段が、音声信号を入力する。入力音声信号増幅手段が、前記音声入力手段により入力された音声信号を増幅する。無線通信処理手段が、アンテナを用いて、信号を無線により通信する。
また、モード切替指示受付手段が、前記無線通信処理手段により無線通信動作を行う無線通信モード(例えば、通常の無線通信モード)から、ホットマイク動作を行うホットマイクモードへ切り替える指示を受け付ける。入力音声信号増幅利得制御手段が、前記モード切替指示受付手段によりホットマイクモードへ切り替える指示が受け付けられたことに応じて、前記入力音声信号増幅手段の利得を高める。ホットマイク動作手段が、前記モード切替指示受付手段によりホットマイクモードへ切り替える指示が受け付けられたことに応じて、他の所定の通信装置と通信接続して、前記音声入力手段から入力されて前記入力音声信号増幅手段により増幅される音声信号を前記無線通信処理手段により当該他の所定の通信装置に対して送信することを常時行う。
従って、無線端末装置では、ホットマイクモードへ切り替えられるに際して、入力される音声信号の増幅の利得が高められるため、当該無線端末装置の周囲の音を高感度で収集して無線送信することができ、これにより、緊急時などにおいて当該無線端末装置の周囲の状況を感度よく他の通信装置に対して報知することができ、例えば、空港などにおける無線端末装置の使い勝手を向上させることができる。
【0006】
ここで、音声入力手段としては、例えば、マイク、或いは、外部のマイクから音声信号を入力する回路を用いて構成することができる。
また、音声信号としては、必ずしも人の声の信号に限られず、例えば、種々な音の信号が含まれてもよい。
また、入力音声信号増幅手段としては、例えば、増幅器を用いて構成することができ、一例として、利得を変化させることが可能な可変利得増幅器を用いて構成することができる。
また、無線通信処理手段による無線通信処理としては、種々な処理が用いられてもよい。
また、モード切替指示受付手段としては、例えば、ユーザにより操作されるキーやボタンなどを用いて構成することができる。
また、モード切替指示受付手段としては、例えば、ホットマイクモードへ切り替えるための専用のキーやボタンなどから構成されてもよく、或いは、無線通信モードとホットマイクモードを含む複数のモードを順番に切り替えるキーやボタンなどから構成されてもよい。
また、ホットマイクモードが設定された無線端末装置が通信接続される他の所定の通信装置としては、種々なものが用いられてもよく、例えば、他の無線端末装置や、管理側の通信装置などを用いることができる。
【0007】
また、入力音声信号増幅利得制御手段により入力音声信号増幅手段の利得を高める態様としては、種々な態様が用いられてもよく、例えば、利得を最大値に設定する態様や、利得を最大値以外の比較的高い所定値に設定する態様や、利得を現在の設定値から(設定可能な範囲を超えない程度で)所定値だけ増加させる態様などを用いることができる。
なお、入力音声信号増幅利得制御手段により入力音声信号増幅手段の利得を高めようとするときに、入力音声信号増幅手段の利得が最大値に設定されている場合には、それ以上高めることができないため、特に利得を高めることは行われないが、このような場合があっても、本発明は包含する。
また、ホットマイクモードへ切り替える指示が受け付けられたことに応じて、入力音声信号増幅手段の利得を高めるタイミングとしては、種々なタイミングが用いられてもよく、例えば、ホットマイク動作手段によりホットマイク動作が開始される前のタイミングが用いられてもよく、或いは、ホットマイク動作手段によりホットマイク動作が開始された後のタイミングが用いられてもよく、或いは、ホットマイク動作手段によりホットマイク動作が開始されるのと同じタイミングが用いられてもよい。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る無線端末装置では、無線により通信する構成において、次のような処理を行う。
すなわち、音声入力手段が、音声信号を入力する。音声出力手段が、音声信号を出力する。出力音声信号増幅手段が、前記音声出力手段により出力される対象となる音声信号(出力される前の音声信号)を増幅する。無線通信処理手段が、アンテナを用いて、信号を無線により通信する。
また、報知音信号出力制御手段が、前記無線通信処理手段により無線通信動作を行う無線通信モード(例えば、通常の無線通信モード)からホットマイク動作を行うホットマイクモードへ切り替える指示の信号を前記無線通信処理手段により受信したことに応じて、前記出力音声信号増幅手段の利得を高めて、前記音声出力手段により所定の報知音信号を出力する。ホットマイク動作手段が、前記無線通信処理手段により無線通信動作を行う無線通信モードからホットマイク動作を行うホットマイクモードへ切り替える指示の信号を前記無線通信処理手段により受信したことに応じて、他の所定の通信装置と通信接続して、前記音声入力手段から入力される音声信号を前記無線通信処理手段により当該他の所定の通信装置に対して送信することを常時行う。
従って、無線端末装置では、外部からの指示信号に応じてホットマイクモードへ切り替えられるに際して、出力される音声信号の増幅の利得が高められた状態で報知音信号が出力されるため、当該無線端末装置の周囲の者に対して大きい音量で報知することができ、これにより、緊急時などにおいて当該無線端末装置の周囲の者に対して緊急事態などであることを確実に報知することができ、例えば、空港などにおける無線端末装置の使い勝手を向上させることができる。
【0009】
ここで、音声出力手段としては、例えば、スピーカ、或いは、外部のスピーカへ音声信号を出力する回路を用いて構成することができる。
また、出力音声信号増幅手段としては、例えば、増幅器を用いて構成することができ、一例として、利得を変化させることが可能な可変利得増幅器を用いて構成することができる。
また、無線通信モードからホットマイクモードへ切り替える指示の信号としては、種々な信号が用いられてもよい。
また、無線通信モードからホットマイクモードへ切り替える指示の信号としては、種々な通信装置から送信される信号が用いられてもよく、例えば、基地局装置から無線により送信される所定の信号や、他の無線端末装置から無線により送信される所定の信号や、管理側の通信装置から送信される所定の信号などを用いることができる。
【0010】
また、所定の報知音信号としては、種々な音の信号が用いられてもよく、例えば、ブザーの音のように、緊急事態などを周囲に知らせて注意を喚起させることができるような音の信号を用いることができる。
また、報知音信号出力制御手段により出力音声信号増幅手段の利得を高める態様としては、種々な態様が用いられてもよく、例えば、利得を最大値に設定する態様や、利得を最大値以外の比較的高い所定値に設定する態様や、利得を現在の設定値から(設定可能な範囲を超えない程度で)所定値だけ増加させる態様などを用いることができる。
なお、報知音信号出力制御手段により出力音声信号増幅手段の利得を高めようとするときに、出力音声信号増幅手段の利得が最大値に設定されている場合には、それ以上高めることができないため、特に利得を高めることは行われないが、このような場合があっても、本発明は包含する。
また、ホットマイクモードへ切り替える指示の信号が受信されたことに応じて、出力音声信号増幅手段の利得を高めるタイミングとしては、種々なタイミングが用いられてもよく、例えば、ホットマイク動作手段によりホットマイク動作が開始される前のタイミングが用いられてもよく、或いは、ホットマイク動作手段によりホットマイク動作が開始された後のタイミングが用いられてもよく、或いは、ホットマイク動作手段によりホットマイク動作が開始されるのと同じタイミングが用いられてもよい。
【0011】
以下で、無線通信システムの種々な構成例を示す。
一構成例として、無線端末装置と基地局装置とが無線により通信する無線通信システムにおいて、無線端末装置は、次のような処理を行う。
すなわち、無線端末装置では、音声入力手段が、音声信号を入力する。無線通信処理手段が、アンテナを用いて信号を無線により通信する。
また、無線端末装置では、モード切替指示受付手段が、無線通信処理手段により無線通信動作を行う無線通信モード(例えば、通常の無線通信モード)から、ホットマイク動作を行うホットマイクモードへ切り替える指示を受け付ける。ホットマイク動作手段が、モード切替指示受付手段によりホットマイクモードへ切り替える指示が受け付けられたことに応じて、他の所定の通信装置と通信接続して、音声入力手段から入力される音声信号を無線通信処理手段により当該他の所定の通信装置に対して送信することを常時行う。
従って、無線端末装置では、無線通信モードからホットマイクモードへ切り替えるための指示を受け付けると、音声を常時入力して当該音声を他の所定の通信装置に対して常時送信することが行われるため、使用者(ユーザ)は当該無線端末装置を通して他の所定の通信装置へ音声を常時伝えることができ、空港などにおける無線端末装置の使い勝手を向上させることができる。
【0012】
一構成例として、無線端末装置と基地局装置とが無線により通信する無線通信システムにおいて、無線端末装置は、次のような処理を行う。
すなわち、無線端末装置では、モード切替指示受付手段が、無線通信動作を行う無線通信モード(例えば、通常の無線通信モード)から、他の所定の動作を行う所定のモードへ切り替える指示を受け付ける。所定モード切替情報送信手段が、モード切替指示受付手段により所定のモードへ切り替える指示が受け付けられたことに応じて、その旨を示す情報を無線により送信する。
従って、無線端末装置では、無線通信モードから所定のモードへ切り替えるための指示を受け付けると、その旨を示す情報が無線により送信されるため、これにより、他の通信装置に対して当該情報を通知することができ、空港などにおける無線端末装置の使い勝手を向上させることができる。
【0013】
ここで、所定の動作を行う所定のモードとしては種々なものが用いられてもよく、当該所定の動作としては種々な動作が用いられてもよい。一例として、安全性や緊急性を要するようなモードや動作を用いることができる。
また、モード切替指示受付手段としては、例えば、ユーザにより操作されるキーやボタンなどを用いて構成することができる。
また、モード切替指示受付手段としては、例えば、所定のモードへ切り替えるための専用のキーやボタンなどから構成されてもよく、或いは、無線通信モードと所定のモードを含む複数のモードを順番に切り替えるキーやボタンなどから構成されてもよい。
また、所定のモードへ切り替える指示が受け付けられた旨を示す情報(前記その旨を示す情報)としては、種々な情報が用いられてもよく、例えば、所定のモードへ切り替えたことを示す情報が用いられてもよい。
【0014】
一構成例として、前記所定のモードは、拡声器動作を行う拡声モードと、ホットマイク動作を行うホットマイクモードと、の一方又は両方である。
従って、拡声モードやホットマイクモードへ切り替える指示が受け付けられた無線端末装置から、その旨を示す情報を、他の通信装置に対して通知することができる。
【0015】
一構成例として、次のような構成とすることが可能である。
すなわち、所定モード切替通知装置を設ける。所定モード切替通知装置では、所定モード切替情報受信手段が、無線端末装置の所定モード切替情報送信手段から送信される情報を受信し、また、所定モード切替情報送信手段が、所定モード切替情報受信手段により情報が受信されたことに応じて、その旨を示す情報を、他の所定の無線端末装置に対して送信する。
従って、或る無線端末装置において所定のモードへ切り替える指示が受け付けられたことを示す情報を、所定モード切替通知装置を介して、他の無線端末装置へ通知することができる。
ここで、所定モード切替通知装置の所定モード切替情報受信手段により情報が受信されたことを示す情報(前記その旨を示す情報)としては、種々な情報が用いられてもよく、例えば、或る無線端末装置において所定のモードへ切り替えられたことを示すような情報が用いられてもよい。
また、所定モード切替通知装置の所定モード切替情報送信手段により情報を送信する相手となる無線端末装置(前記他の所定の無線端末装置)としては、種々なものが用いられてもよい。
また、所定モード切替通知装置としては、種々なものが用いられてもよく、例えば、基地局装置や、管理側の通信装置などを用いることができる。
【0016】
一構成例として、次のような構成とすることが可能である。
すなわち、所定モード切替通知装置の所定モード切替情報送信手段は、前記他の所定の無線端末装置として、所定のモードへ切り替える指示が受け付けられた旨を示す情報を送信した無線端末装置の近傍とみなされる領域に存在する他の無線端末装置に対して、情報を送信する。
従って、或る無線端末装置において所定のモードへの切替指示が受け付けられた場合に、その旨を示す情報を、当該無線端末装置の近傍の領域に存在する他の無線端末装置に対して通知することができ、例えば、緊急事態の発生などを通知することができる。
ここで、或る無線端末装置の近傍とみなされる領域としては、種々な領域が用いられてもよく、例えば、当該無線端末装置を通信可能領域(サービスエリア)に収容する基地局装置或いはその近隣の基地局装置の通信可能領域(サービスエリア)や、当該無線端末装置を収容するセクタ(例えば、基地局装置により形成されるセクタ)と同一或いは近隣のセクタなどを用いることができる。
また、例えば、或る無線端末装置の近傍とみなされる領域を決定するための基準となる情報が予め設定される。
【0017】
一構成例として、次のような構成とすることが可能である。
すなわち、所定モード切替報知装置を設けた。所定モード切替報知装置では、所定モード切替情報受信手段が、無線端末装置の所定モード切替情報送信手段から送信される情報を受信し、また、所定モード切替情報報知手段が、当該所定モード切替情報受信手段により情報が受信されたことに応じて、その旨を示す情報を人に対して報知する。
従って、或る無線端末装置において所定のモードへの切替指示が受け付けられた場合に、その旨を示す情報を、所定の人に対して報知することができ、例えば、緊急事態の発生などを報知することができる。
ここで、所定モード切替報知装置の所定モード切替情報受信手段により情報が受信されたことを示す情報(前記その旨を示す情報)としては、種々な情報が用いられてもよく、例えば、或る無線端末装置において所定のモードへ切り替えられたことを示すような情報が用いられてもよい。
また、所定モード切替報知装置としては、種々なものが用いられてもよく、例えば、管理側の通信装置などを用いることができる。
【0018】
一構成例として、無線端末装置では、無線により通信する構成において、次のような処理を行う。
すなわち、モード切替指示受付手段が、無線通信動作を行う無線通信モード(例えば、通常の無線通信モード)から、他の所定の動作を行う所定のモードへ切り替える指示を受け付ける。通信先特定情報記憶手段が、モード切替指示受付手段により所定のモードへ切り替える指示が受け付けられた場合に通信する先となる通信装置を特定する情報を記憶する。所定モード通信先特定情報送信手段が、モード切替指示受付手段により所定のモードへ切り替える指示が受け付けられたことに応じて、通信先特定情報記憶手段に記憶された情報を無線により送信する。
従って、無線端末装置では、所定の通信先を特定する情報を記憶しておき、無線通信モードから所定のモードへ切り替えるための指示を受け付けると、当該情報が無線により送信されるため、これにより、例えば、自動的に通信先が通知され、空港などにおける無線端末装置の使い勝手を向上させることができる。
【0019】
ここで、所定の動作を行う所定のモードとしては種々なものが用いられてもよく、当該所定の動作としては種々な動作が用いられてもよい。一例として、安全性や緊急性を要するようなモードや動作を用いることができる。
また、モード切替指示受付手段としては、例えば、ユーザにより操作されるキーやボタンなどを用いて構成することができる。
また、モード切替指示受付手段としては、例えば、所定のモードへ切り替えるための専用のキーやボタンなどから構成されてもよく、或いは、無線通信モードと所定のモードを含む複数のモードを順番に切り替えるキーやボタンなどから構成されてもよい。
また、通信先となる通信装置を特定する情報としては、種々な情報が用いられてもよい。
また、情報記憶手段としては、例えば、情報を記憶するメモリを用いて構成することができる。
また、所定モード通信先特定情報送信手段は、例えば、通信先となる通信装置を特定する情報と共に、所定のモードへ切り替える指示が受け付けられたことを示す情報を送信してもよい。
また、所定モード通信先特定情報送信手段は、例えば、情報を基地局装置に対して無線送信する。
【0020】
一構成例として、次のような構成とすることが可能である。
すなわち、前記所定のモードは、拡声器動作を行う拡声モードと、ホットマイク動作を行うホットマイクモードと、の一方又は両方である。
また、通信先特定情報記憶手段は、拡声モードへ切り替える指示が受け付けられた場合にその旨を示す情報を通知する先となる通信装置を特定する情報と、ホットマイクモードへ切り替える指示が受け付けられた場合にその旨を示す情報を通知する先となる通信装置を特定する情報と、ホットマイクモードへ切り替える指示が受け付けられた場合に常時接続する相手となる通信装置を特定する情報のうちの1つ以上を記憶する。所定モード通信先特定情報送信手段は、モード切替指示受付手段により切り替えの指示が受け付けられたモードに対応した通信先特定情報記憶手段により記憶された1つ以上の情報を無線により送信する。
従って、例えば、拡声モードへ切り替える指示が受け付けられた場合にその旨を示す情報を無線送信することや、ホットマイクモードへ切り替える指示が受け付けられた場合にその旨を示す情報と常時接続する相手となる通信装置を特定する情報との一方又は両方を無線送信することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明に係る無線端末装置によると、ホットマイクモードへ切り替える指示を受け付けたことに応じて、入力される音声信号を増幅する増幅機能部の利得を高めることを実行するとともに、他の所定の通信装置と通信接続して、前記増幅機能部により増幅される音声信号を当該他の所定の通信装置に対して送信することを常時行うことを実行するようにしたため、緊急時などにおいて当該無線端末装置の周囲の状況を感度よく他の通信装置に対して報知することができ、例えば、空港などにおける無線端末装置の使い勝手を向上させることができる。
また、本発明に係る無線端末装置によると、ホットマイクモードへ切り替える指示の信号を受信したことに応じて、出力される音声信号を増幅する増幅機能部の利得を高めて所定の報知音信号を出力することを実行するとともに、他の所定の通信装置と通信接続して、入力される音声信号を当該他の所定の通信装置に対して送信することを常時行うことを実行するようにしたため、緊急時などにおいて当該無線端末装置の周囲の者に対して緊急事態などであることを確実に報知することができ、例えば、空港などにおける無線端末装置の使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例に係る空港内デジタル移動通信システムの構成例を示す図で ある。
【図2】(a)は第1の例に係る無線端末装置の構成例を示す図であり、(b)は信 号に含まれる情報の一例を示す図である。
【図3】(a)は第2の例に係る無線端末装置の構成例を示す図であり、(b)は信 号に含まれる情報の一例を示す図である。
【図4】無線端末装置により行われる緊急通報時に対応した処理の手順の一例を示す 図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る実施例を図面を参照して説明する。
まず、本発明を適用した無線通信システムの一例を示す。
図1には、本発明を適用した本実施例に係る空港内デジタル移動通信システムの構成例を示してある。
本実施例に係る空港内デジタル移動通信システムには、移動可能な携帯型の無線端末装置1と、移動可能な車載型の無線端末装置2と、複数の基地局装置(無線機)11、12と、インタフェース装置13と、回線制御装置14と、有線端末接続装置15と、複数の有線端末装置21、22と、ダイナミックリグルーピング端末装置23と、運用管理装置24と、監視カメラ装置31が備えられている。
ここで、基地局装置11、12は、インタフェース装置13と接続されている。また、インタフェース装置13と回線制御装置14と有線端末接続装置15は、互いに接続されている。複数の有線端末装置21、22は有線端末接続装置15と接続されており、ダイナミックリグルーピング端末装置23と運用管理装置24と監視カメラ装置31は回線制御装置14と接続されている。
なお、システムの構成としては、本例に限られず、種々なものが用いられてもよく、例えば、無線端末装置1、2の数や、基地局装置11、12の数としては、種々な数が用いられてもよい。
【0024】
本実施例に係る空港内デジタル移動通信システムにおいて行われる概略的な動作の一例を示す。
各基地局装置11、12は、自己の通信可能領域(サービスエリア)に存在する無線端末装置1、2を管理し、当該無線端末装置1、2との間で無線により通信する。
各基地局装置11、12は、インタフェース装置13を介して、回線制御装置14や有線端末接続装置15との間で通信する。
各有線端末装置21、22は、有線端末接続装置15を介して、回線制御装置14などとの間で通信する。
ダイナミックリグルーピング端末装置23は、ダイナミックなリグルーピングの処理を行う。
運用管理装置24は、例えば管理センタに設置されており、システムの運用における種々な管理を行う。
監視カメラ装置31は、所定の場所の画像を撮像し、撮像した画像を運用管理装置24などに対して送信する。
【0025】
また、本実施例に係る空港内デジタル移動通信システムでは、例えば、航空機のパイロットや、他の乗務員や、航空機の整備員や、事務員などの全ての空港勤務者が無線端末装置(例えば、無線端末装置1)を所持しており、空港の業務で使用される自動車などの全ての乗り物が無線端末装置(例えば、無線端末装置2)を搭載している。そして、例えば、管理センタに存在する管理者と外部の勤務者との間などのように、任意の勤務者の間で、無線端末装置により通話することが可能である。
また、本実施例に係る空港内デジタル移動通信システムでは、例えば、航空機のパイロットや、他の乗務員や、航空機の整備員や、事務員などの任意のグループ分けが為される。そして、任意のグループを指定して、上位の装置から所定のグループに属する全ての無線端末装置に対して一斉配信することや、通常の端末装置から所定のグループに属する全ての無線端末装置に対して一斉配信することなどが可能である。
また、本実施例に係る空港内デジタル移動通信システムでは、例えば、グローバルポジショニングシステム(GPS:Global Positioning System)や基地局装置のセクタ構成などを用いて、それぞれの無線端末装置1、2が存在する場所(位置)を特定することが可能である。
【0026】
次に、図2(a)、(b)を参照して、第1の例に係る無線端末装置(例えば、図1に示される無線端末装置1、2)について説明する。
図2(a)には、本例の無線端末装置の概略的な構成例を示してある。
本例の無線端末装置は、アンテナ41と、通信処理部42と、マイク部43と、スピーカ部44と、所定モード設定スイッチ45と、制御部46を備えている。
通信処理部42は、アンテナ41を用いて信号を無線により送信や受信する機能を有している。
マイク部43は音声を入力する機能を有しており、スピーカ部44は音声を出力する機能を有している。
【0027】
所定モード設定スイッチ45は、例えば、本例の無線端末装置の使用者(ユーザ)により操作されるスイッチから構成されており、ユーザによる操作により所定のモードを指定することが可能であり、指定されたモードを示す情報(モード情報)を制御部46へ出力する。
ここで、本例では、所定モード設定スイッチ45の操作により、通常の無線通信の動作を行う無線通信モードと、ホットマイクとしての動作を行うホットマイクモードのいずれかのモードを設定することが可能である。
また、所定モード設定スイッチ45としては、例えば、操作されると無線通信モードとホットマイクモードを順番に切り替えていくようなスイッチが用いられてもよく、或いは、特定のモードに対して特定のスイッチが設けられてそのスイッチが操作されると当該特定のモードへ切り替えられるような態様が用いられてもよい。一例として、ホットマイクモードに専用のスイッチを設けると、当該スイッチの操作により、ホットマイクモードへ切り替えられる。
制御部46は、各種の処理や制御を行う機能を有しており、本例では、例えば、所定モード設定スイッチ45から入力されるモード情報に応じて、当該モード情報により示されるモードへ切り替える処理を行う。
【0028】
まず、ホットマイクモードについて説明する。
本例の無線端末装置は、例えば、ホットマイクモードを起動させるための専用のボタンスイッチを所定モード設定スイッチ45に備えている。そして、当該ボタンスイッチが押下されると、制御部46による制御により、基地局装置を介して他の所定の通信装置との通信接続状態を常時接続の状態とするとともに、マイク部43による音声入力状態をオンの状態に維持し、これにより、マイク部43により周囲の音を集音して当該音の信号を当該他の所定の通信装置に対して常時送信する。なお、例えば、当該他の所定の通信装置を特定する情報が、無線端末装置或いは基地局装置或いは管理側の装置などに設定され、当該情報に基づいて無線端末装置と常時接続する通信相手が決定される。
従って、本例の無線端末装置では、ホットマイクモード時において、常時、マイク部43のマイクから入力される音を所定の通信先に対して送信することが可能であり、無線端末装置の機能及び使い勝手を向上させることができる。
特に、空港における災害時や緊急時などには、他の人に常に情報を伝達するようなことが必要となり得ることから、無線通信機能とホットマイク機能との両方を1台の装置で実現することは効果的である。また、例えば、安全性や緊急性を要する場合に適用すると効果的である。
【0029】
次に、本例の無線端末装置によるモード切替の通知処理について説明する。
また、本例の無線端末装置は、所定モード設定スイッチ45によりホットマイクモードが設定された場合には、その旨を基地局装置(例えば、図1に示される基地局装置11、12)に対して通知する或いはその旨を基地局装置を介して管理側の通信装置(例えば、図1に示される運用管理装置24)などに対して通知する。
なお、ホットマイクモードが設定された場合に無線端末装置が常時接続する他の通信装置と無線端末装置が当該設定があった旨を通知する他の通信装置とは、例えば、同一の通信装置であってもよく、或いは、異なる通信装置であってもよく、また、例えば、他の通信装置が複数存在する場合には一部が共通であってもよい。
【0030】
図2(b)には、無線端末装置において所定のモードが設定された場合に基地局装置に対して無線送信される信号の一例を示してある。
当該信号には、通信の接続を要求する情報である接続要求情報と、所定のモードが設定されたことを通知する情報である所定モード設定通知情報が含まれている。
本例では、所定モード設定通知情報としては、例えば、ホットマイクモードが設定されたことを通知する情報が用いられる。
【0031】
次に、本例の無線端末装置などにより行われる所定のモードへの切替時における処理の具体例を示す。
なお、本例では、所定のモードとしては、通常の無線通信モードとは異なるモードであるホットマイクモードが用いられる。
本例では、無線端末装置において所定のモードが設定された旨(所定モード設定通知情報)を通知する相手となる通信装置を特定する情報や、ホットマイクモード時に無線端末装置と常時接続する相手となる通信装置を特定する情報が、基地局装置や管理側の装置(例えば、図1に示される運用管理装置24)などにより管理される。
【0032】
一例として、本例の無線端末装置は、所定のモードが設定された場合には、その旨(所定モード設定通知情報)を基地局装置に対して無線送信し、当該その旨(当該所定モード設定通知情報)が当該基地局装置を介して管理センタに設置された通信装置に通知されて、当該その旨が当該管理センタの通信装置により把握され、また、当該管理センタの通信装置や報知装置により当該その旨が表示や音声などにより出力されて管理者により把握される。
また、一例として、所定のモードがホットマイクモードであり、本例の無線端末装置においてホットマイクモードが設定されたことが基地局装置或いは管理センタの通信装置などへ通知されると、当該基地局装置或いは当該管理センタの通信装置などは、常時接続の相手(他の所定の通信装置)を特定する情報に基づいて、本例の無線端末装置と他の所定の通信装置とを常時接続の状態とするように制御する。
【0033】
また、一例として、多数の人たちが集まるような場所で、一人の人により携帯等される無線端末装置において所定のモードが設定されたことに応じて、その旨を当該無線端末装置が存在する位置に対して所定の領域に存在する他の無線端末装置の全て或いは一部に対して音声出力や画面表示やランプ点灯などにより報知する。当該所定の領域としては、例えば、所定のモードが設定された無線端末装置が存在するセクタと同一のセクタや、所定のモードが設定された無線端末装置が存在するセクタに隣接などする周囲のセクタや、所定のモードが設定された無線端末装置が収容される基地局装置の通信可能領域(サービスエリア)や、所定のモードが設定された無線端末装置が収容される基地局装置に隣接などする近傍の基地局装置の通信可能領域(サービスエリア)などを用いることができる。なお、例えば、いずれの基地局装置が近傍に存在するものであるかを特定する情報が予め設定されることにより、或いは、基地局装置の位置情報が取得されて近傍であるか否かを規定する距離の閾値との大小を比較することにより、近傍であるか否かが判定される。
【0034】
また、一例として、所定の場所において、いずれの無線端末装置においても所定のモードが設定されていない場合には、複数の無線端末装置を予め設定されたグループ単位で管理して通信させ、また、いずれかの無線端末装置において所定のモードが設定された場合には、複数の無線端末装置を予め設定された領域(エリア)別に管理して通信させるようなことが可能である。
また、一例として、所定のモードが設定された旨を通知する情報を、ページングチャネル(PCH:Paging Channel)やページング制御チャネル(PCCH:Paging Control Channel)などを用いて通信することも可能である。
【0035】
ここで、ホットマイクモード時における常時接続の相手としては、種々な態様を用いることができる。
例えば、ホットマイクモードが設定された無線端末装置と管理センタの通信装置とを常時接続させて、当該無線端末装置により収集される音を当該管理センタの通信装置により常時受信してスピーカから出力し、当該音をその管理者などにより聞くことができる。この場合、例えば、当該管理センタの通信装置を特定する情報が、常時接続の相手を特定する情報として設定される。
また、例えば、複数の無線端末装置を幾つかのグループに分けて、各グループに含まれる無線端末装置を特定する情報を記憶しておき、ホットマイクモードが設定された無線端末装置と所定のグループに含まれる他の無線端末装置とを常時接続させることができる。この場合、例えば、当該所定のグループを特定する情報や当該所定のグループに含まれる無線端末装置を特定する情報が、常時接続の相手を特定する情報として設定される。
【0036】
また、例えば、ホットマイクモードが設定された無線端末装置と、当該無線端末装置を通信可能領域(サービスエリア)に収容する基地局装置により収容される他の全ての或いは一部の無線端末装置とを常時接続させることができる。この場合、例えば、当該基地局装置により収容される無線端末装置を特定する情報を、常時接続の相手を特定する情報として使用することが可能であり、或いは、基地局装置が収容する全ての無線端末装置に対する報知信号などによりホットマイクモードが設定された無線端末装置からの音情報を送信するような構成が用いられてもよい。
また、例えば、ホットマイクモードが設定された無線端末装置と、当該無線端末装置を通信可能領域(サービスエリア)に収容する基地局装置及びその近傍に存在する基地局装置により収容される他の全ての或いは一部の無線端末装置とを常時接続させることができる。この場合、例えば、いずれの基地局装置が近傍に存在するものであるかを特定する情報が予め設定されることにより、或いは、基地局装置の位置情報が取得されて近傍であるか否かを規定する距離の閾値との大小を比較することにより、近傍であるか否かが判定される。
【0037】
次に、図3(a)、(b)を参照して、第2の例に係る無線端末装置(例えば、図1に示される無線端末装置1、2)について説明する。
図3(a)には、本例の無線端末装置の概略的な構成例を示してある。
本例の無線端末装置は、例えば図2(a)に示される無線端末装置に備えられたものと同様な機能を有する処理部として、アンテナ41と、通信処理部42と、マイク部43と、スピーカ部44と、所定モード設定スイッチ45と、制御部46を備えており、更に、所定モード通信先メモリ51を備えている。なお、図3(a)では、図2(a)に示される無線端末装置に備えられたものと同様な機能を有する処理部については、同一の符号を用いて示してある。
所定モード通信先メモリ51は、所定のモードが設定された場合に通信する先となる通信装置を特定する情報として、本例では、所定のモードであるホットマイクモードが設定された場合にその旨を通知する先となる通信装置を特定する情報と、所定のモードであるホットマイクモードが設定された場合に常時接続の相手となる通信装置を特定する情報の一方又は両方を記憶している。
【0038】
図3(b)には、無線端末装置において所定のモードが設定された場合に基地局装置(例えば、図1に示される基地局装置11、12)に対して無線送信される信号の一例を示してある。
当該信号には、通信の接続を要求する情報である接続要求情報と、所定のモードが設定された場合に通信する先となる通信装置を特定する情報である所定モード通信先情報と、所定のモードが設定されたことを通知する情報である所定モード設定通知情報が含まれている。
【0039】
例えば、所定モード通信先情報として、所定のモードであるホットマイクモードが設定された場合にその旨を通知する先となる通信装置を特定する情報が含まれる場合には、基地局装置や回線制御装置(例えば、図1に示される回線制御装置14)などにより、当該情報により特定される通知先に対して、無線端末装置において所定のモードが設定された旨を通知する。
また、例えば、所定モード通信先情報として、ホットマイクモードが設定された場合に常時接続の相手となる通信装置を特定する情報が含まれる場合には、基地局装置や回線制御装置(例えば、図1に示される回線制御装置14)などにより、当該情報により特定される通信相手と、所定のモードが設定された無線端末装置とを常時接続させることが行われる。
【0040】
次に、本発明の一実施例に係る無線端末装置を詳しく説明する。
なお、本例の無線端末装置は、例えば図1に示されるようなシステムに備えられており、例えば図2(a)や図3(a)に示されるような構成処理部を有している。
例えば、無線システムに使用される緊急通報機能付きの無線端末装置では、緊急時の一斉通報などを行うために、緊急通報ボタンなど(本例では、所定モード設定スイッチ45)が設けられる。緊急時には、緊急通報ボタンなどが人により操作されることにより、緊急状態であることを通報する。この時、例えば、通話中である無線端末装置のPTT(Push−To−Talk)ボタンなどを押すことなく音声通信が可能となり、また、この通話に参加している他の無線端末装置は自動的に送信禁止されて受信状態となるため、緊急事態を一斉に通報することができる(ホットマイク機能)。
【0041】
また、例えば、基地局装置側において各無線端末装置の管理を行う宅内無線システムなどにおいては、無線端末装置の制御により、指定した個別端末のホットマイク機能を強制的に起動する機能(リモートモニタ機能)がある。このようなリモートモニタ機能では、無線端末装置側においては通話ができないような異常事態においても、基地局装置側から送信される所定の信号(リモートモニタ信号)の受信により無線端末装置が通話状態となっているため、周辺の音や状況を他の無線端末装置に知らせることができる。また、宅内無線システムなどでは、リモートモニタ機能の起動によって、無線端末装置側に警告音を鳴らして、操作者に緊急状態を認識させることができ、また、操作者がいない場合においても警告音により周囲の人に状況を知らせることができる。更には、無線端末装置の紛失や盗難などの異常事態においても、周辺の音を拾うことにより無線端末装置の状態や、ある程度の位置を把握することが可能である。
【0042】
このように、無線端末装置では、当該無線端末装置側におけるホットマイクモードへの切替の操作や、基地局装置側からの制御によるリモートモニタ機能の起動により、当該無線端末装置側において通話することができない場合或いは操作者がいないような場合においても、周囲の状況をマイクにより拾うことができる。
しかしながら、無線端末装置がホットマイクモードへ切り替えられるに際して、例えば、当該無線端末装置側の設定によりマイクの感度を低く設定していた場合には、周辺の状況を的確に把握させることができないという問題が考えられ、また、当該無線端末装置側の設定によりスピーカの音量を低く設定していた場合には、操作者が不在であるときに警告音により周囲に緊急状態であること知らせることができないという問題が考えられる。
そこで、本例の無線端末装置では、このような問題を解消して、空港などにおける使い勝手を向上させることを実現する。
【0043】
具体的には、本例の無線端末装置では、制御部46がマイク部43のマイクの感度を制御する機能や、スピーカ部44のスピーカの音量を制御する機能を有しており、緊急通報ボタンなど(本例では、所定モード設定スイッチ45)の操作によりホットマイクモードへ切り替えられるとマイク部43のマイクの感度を高めることを行い、また、外部からのリモートモニタ機能による制御によりホットマイクモードへ切り替えられるとスピーカ部44のスピーカの音量を高めることや報知音を出力することやマイク部43のマイクの感度を高めることを行う。
ここで、マイクの感度を高める態様や、スピーカの音量を高める態様としては、例えば、最大とする態様などを用いることができる。
また、マイクの感度や、スピーカの音量は、例えば、マイクに設けられた可変利得増幅器の利得(ゲイン)や、スピーカに設けられた可変利得増幅器の利得(ゲイン)を制御することにより調整することが可能である。
【0044】
図4を参照して、本例の無線端末装置により行われる緊急通報時に対応した処理の手順の一例を示す。
まず、無線端末装置の電源がオン(ON)にされると(ステップS1)、待受状態となる(ステップS2)。この時、操作者(ユーザ)が緊急通報ボタンなどを操作してオン(ON)にすると(ステップS3)、ホットマイク機能が動作して、マイクの感度を制御している可変利得増幅器(マイクアンプ)の利得が例えば最大となるように制御してマイクの感度を最大とし(ステップS4)、強制的に送信状態となる(ステップS5)。また、無線端末装置では、待受状態において(ステップS2)、基地局装置側からリモートモニタ信号を受信すると(ステップS6)、スピーカの音量を制御している可変利得増幅器(スピーカアンプ)の利得が例えば最大となるように制御してスピーカの音量を最大とし(ステップS7)、報知音を周囲に対して鳴らし(ステップS8)、その後、マイクの感度を制御している可変利得増幅器(マイクアンプ)の利得が例えば最大となるように制御してマイクの感度を最大とし(ステップS4)、強制的に送信状態となる(ステップS5)。
【0045】
以上のように、本例の無線端末装置では、無線回線を介してデータを送受信する無線通信システムに設けられて、送信部と、受信部と、緊急通報ボタンなどの操作部と、当該緊急通報ボタンなどの操作部の制御に応じて緊急通報信号(ホットマイクモードへ切り替えられた際の信号)を送信する機能と、受信部により緊急通報起動信号(リモートモニタ信号)を受信及び検出する機能と、当該緊急通報起動信号の検出に応じて緊急通報信号を送信する機能と、マイク感度やスピーカ音量(スピーカレベル)を制御する機能を備え、緊急通報信号を送信する時にマイク感度を例えば最大とする制御を行い、また、緊急通報起動信号を受信した時にスピーカ音量を例えば最大とする制御などを行う。ここで、緊急通報起動信号(リモートモニタ信号)は、ホットマイクモードへの切替を指示する信号に相当する。
【0046】
従って、本例の無線端末装置では、緊急時にホットマイクとなり得る構成において、緊急状態時に当該無線端末装置の操作部の操作に応じてホットマイクモードへ移行する場合に、マイクの感度が例えば最大などに高められるように設定されるため、緊急通報時に周辺音を拾いやすくすることができ、緊急状態における状況把握をいち早くシステム使用者に知らせて検知することができ、他の無線端末装置に緊急状態をいち早く通報することができる。
また、本例の無線端末装置では、緊急時にホットマイクとなり得る構成において、緊急状態時に基地局装置からのリモートモニタ信号に応じてホットマイクモードへ移行する場合に、スピーカの音量が例えば最大などに高められるように設定されるため、緊急通報時に周辺に対して大きい音を出力することができ、緊急状態における状況把握をいち早く周囲の者に知らせて検知することができ、周囲の者に緊急状態をいち早く通報することができる。
【0047】
なお、本例の無線端末装置では、マイク部43のマイクの機能により音声入力手段が構成されており、マイク部43のマイクから入力される音声信号を可変な利得で増幅する可変利得増幅器の機能により入力音声信号増幅手段が構成されており、スピーカ部44のスピーカの機能により音声出力手段が構成されており、スピーカ部44のスピーカから出力される前の音声信号を可変な利得で増幅する可変利得増幅器の機能により出力音声信号増幅手段が構成されており、アンテナ41や通信処理部42により無線通信を行う機能により無線通信処理手段が構成されており、所定モード設定スイッチ45の機能によりモード切替指示受付手段が構成されており、ホットマイクモードへの切替時に制御部46がマイクに対して設けられた可変利得増幅器の利得を制御する機能により入力音声信号増幅利得制御手段が構成されており、ホットマイクモードへの切替時に制御部46がスピーカに対して設けられた可変利得増幅器の利得を制御してスピーカから報知音を出力する機能により報知音信号出力制御手段が構成されており、制御部46がホットマイクモードへ切り替えてホットマイク動作を行う機能によりホットマイク動作手段が構成されている。
【0048】
ここで、本発明に係る無線端末装置や無線通信システムなどの構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。また、本発明は、例えば、本発明に係る処理を実行する方法或いは方式や、このような方法や方式を実現するためのプログラムや当該プログラムを記録する記録媒体などとして提供することも可能であり、また、種々な装置やシステムとして提供することも可能である。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。例えば、本発明は、マルチチャネルアクセス(MCA:Multi Channel Access)などの構内無線システムや、市町村などの公共の防災システムなどに適用することも可能である。
また、本発明に係る無線端末装置や無線通信システムなどにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを当該記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
【符号の説明】
【0049】
1、2・・無線端末装置、 11、12・・基地局装置、 13・・インタフェース装置、 14・・回線制御装置、 15・・有線端末接続装置、 21、22・・有線端末装置、 23・・ダイナミックリグルーピング端末装置、 24・・運用管理装置、 31・・監視カメラ装置、 41・・アンテナ、 42・・通信処理部、 43・・マイク部、 44・・スピーカ部、 45・・所定モード設定スイッチ、 46・・制御部、 51・・所定モード通信先メモリ、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線により通信する無線端末装置において、
音声信号を入力する音声入力手段と、
前記音声入力手段により入力された音声信号を増幅する入力音声信号増幅手段と、
アンテナを用いて信号を無線により通信する無線通信処理手段と、
前記無線通信処理手段により無線通信動作を行う無線通信モードから他の所定の通信装置と常時接続する常時接続モードへ切り替える指示を受け付けるモード切替指示受付手段と、
前記モード切替指示受付手段により常時接続モードへ切り替える指示が受け付けられたことに応じて、前記他の所定の通信装置と通信接続して、音声信号を前記無線通信処理手段により前記他の所定の通信装置に対して送信することを常時行う常時接続動作手段と、
通信相手となる他の通信装置が常時接続モードに切り替えられたことを前記無線通信処理手段による受信により受けた場合に、自装置の送信動作を禁止して受信状態となるように制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする無線端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の無線端末装置において、
前記制御手段は、前記モード切替指示受付手段により無線通信モードから常時接続モードへ切り替える指示が受け付けられた場合に、モードが常時接続モードに切り替えられたことを他の所定の通信装置へ通知するように制御する、
ことを特徴とする無線端末装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の無線端末装置において、
前記制御手段は、他の所定の通信装置から自装置を常時接続モードへ切り替える指示の信号が前記無線通信処理手段により受信された場合に、自装置を強制的に常時接続モードに切り替えて常時送信の状態に移行するように制御する、
ことを特徴とする無線端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−112058(P2009−112058A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33437(P2009−33437)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【分割の表示】特願2004−184609(P2004−184609)の分割
【原出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】