説明

無線端末装置

【課題】防水性能の高い筐体にして、アンテナを回転可能に保持できる構造にすることにより、組み立て作業を簡単にする。
【解決手段】回路基板1を収納する密閉構造のケース2内に、アンテナ3を支持する固定支持部32が設けられる。回路基板1に、アンテナ3に接触する接続部30が設けられる。ケース2内にあるアンテナ3の内部アンテナケース22に、アンテナエレメント20を露出させるための切欠部26が形成される。ケース2に形成された開口4から回路基板1が挿入されて収納されると、接続部30が切欠部26に嵌まり、アンテナエレメント20に接触する。アンテナ3は、固定支持部32と接続部30とに挟み込まれて回転自在に保持される。アンテナエレメント20は接続部30を介して回路基板1に電気的に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスメータ等の自動検針といったデータ通信に使用される無線端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信を利用した自動検針に用いる無線端末装置では、特許文献1に記載のように、アンテナが筐体に内蔵されており、アンテナを簡単に固定できる構造になっている。十分なアンテナ利得を得るためには、波長に見合ったアンテナ長を確保する必要がある。加えてアンテナの角度を調節可能とする方が有利である。そのうえで、筐体を小型化するためには、アンテナを筐体から突出させた構造が適している。
【0003】
図8は、アンテナを筐体から突出させた従来の無線端末装置を底面側からみた分解斜視図である。この無線端末装置は、回転機能を有するアンテナ150を備えている。このアンテナ150の基部151は、ケース100の側面の孔からケース100内に挿入される。基部151にねじ穴が形成され、基部151は、ケース100内部のボス101にねじ穴を介してねじ(図示しない)で固定される。
【0004】
回路基板130は、ケース100内に収容され、底板110と共にケース100内部のボスにねじ140で固定される。また、ケース100には、回路基板130にはんだ付けされた接続端子やスイッチなどを覆うためのカバー120が取り付けられる。
【0005】
アンテナ150の基部151には、アンテナストッパー160が装着されている。このアンテナストッパー160が、ケース側面の嵌合部105に嵌め込まれる。これにより、ケース100に対して、アンテナ105を特定の回転角度で保持することができる。
【0006】
アンテナ150と回路基板130との間にリード線155が掛け渡され、それぞれにリード線155がはんだ付けされる。これにより、アンテナ150と回路基板130とが電気的に接続される。
【0007】
無線端末装置が屋外に設置される場合、雨水などに対する防水性能が要求される。アンテナ150とケース100の間にパッキン(図示しない)が挟み込まれる。さらに防水性能を高めるために、ケース100内部の全周に設けられた溝102に、ひも状のパッキン(図示しない)が敷設される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−53519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の無線端末装置では、アンテナが取り付けられて回路基板を収納する筺体が、ケースと底板とカバーの組み合わせで構成される。雨水などに対する防水性能を高めるためには、ケース内部の全周に設けた溝に敷設するパッキンが必要となる。このように、部品点数が多く、組み立てに労力を要する。
【0010】
また、回転機能を有するアンテナの構造は複雑になり、回転角度を保持するためのアンテナストッパーも必要となる。しかも、アンテナと回路基板を電気的に接続するためには、はんだ付け作業も必要となる。必然的に組み立て作業工数が多くなり、ひいては製造コストがアップするという問題がある。
【0011】
そこで、本発明は、上記に鑑み、防水性能の高い筐体にして、アンテナを簡単に回転可能に保持できる構造にすることにより、部品点数、組み立て作業工数を少なくできる無線端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の無線端末装置は、回路基板を収納するケースと、ケースに取り付けられたアンテナとを備え、アンテナが回転するものである。そして、アンテナを支持する複数の支持部が設けられ、支持部は、固定された固定支持部と、移動可能な移動支持部とを有し、回路基板がケースに収納されたときに移動支持部が移動してアンテナに接触することにより、アンテナが固定支持部と移動支持部とによって挟み込まれて回転可能に保持される。
【0013】
固定支持部は、ケースに固定されて設けられる。移動支持部は、ケースに移動自在に設けられ、収納される回路基板が移動支持部に当接すると、移動支持部は移動する。あるいは移動支持部は、回路基板に設けられ、収納するときに回路基板が移動することにより、移動支持部も移動する。回路基板をケース内に収納すると、回路基板の移動に伴って移動支持部が移動する。回路基板が所定位置に収納されると、移動支持部がアンテナに接触することにより、アンテナが固定支持部と移動支持部とにより挟まれる。
【0014】
アンテナは、アンテナエレメントおよびアンテナエレメントを収容するアンテナケースからなり、アンテナケースに、アンテナエレメントを露出させるための切欠部が形成される。回路基板が収納されると、支持部が切欠部に嵌め込まれ、アンテナの抜け出しが防止される。移動支持部と固定支持部のうち、いずれか一方が切欠部に嵌め込まれる。
【0015】
回路基板に、アンテナに接触する接続部が設けられ、接続部が移動支持部とされ、回路基板がケースに収納されたときに、接続部がアンテナエレメントと電気的に接続される。接続部がアンテナを支持する部材を兼用することになる。これにより、回路基板をケース内に収納することにより、アンテナを保持できるとともに、電気的な接続も行える。したがって、組み立て作業工数を削減できる。
【0016】
アンテナの回転中心に対して、アンテナエレメントが偏心した位置に配置され、アンテナを回転させたときに、接続部がアンテナエレメントに接触する。回路基板を収納したときには、接続部はアンテナエレメントには接触していない。アンテナを回転させると、接続部はアンテナエレメントに接触する。したがって、アンテナ利得を得られる回転角度にアンテナを回転させると、アンテナを回路基板に電気的に接続することができる。
【0017】
接続部のアンテナエレメントに対向する接触面が、アンテナエレメントに摺接するように凸状に形成される。アンテナが回転しても、接続部を確実にアンテナエレメントに接触した状態に維持できる。
【0018】
移動支持部が半田付けにより回路基板に取り付けられ、移動支持部に、アンテナから受ける力を分散あるいは吸収して、半田付け部分にかかる負荷を緩和するための緩和部が設けられる。移動支持部によりアンテナを固定支持部に押し付けることになるので、移動支持部はアンテナから力を受ける。緩和部がこの力を緩和するので、半田付け部分に応力がかからず、クラック等の発生をなくせる。
【0019】
ケースに、アンテナの回転角度を規制する規制部が設けられる。規制部により、アンテナの回転を規制することにより、アンテナを所定の回転角度に維持できる。さらに、アンテナが一定角度以上回転しないように制限できるとともに、逆方向に回転することを阻止できる。
【0020】
ケースは密閉構造とされ、ケースの下部に、回路基板を収納するための開口が形成される。ケースは屋外に設置されるが、流れ落ちてくる水がケース内に浸入することを防止でき、防水性能が高い筺体を実現できる。
【0021】
アンテナはL形とされ、アンテナの基部がケース内に挿入され、アンテナの基部をなすアンテナケースが、円筒状に形成されて支持部に支持され、アンテナエレメントは、一部が露出するようにアンテナケースに覆われる。このような構造のアンテナにおいて、ケース内のアンテナケースを固定支持部が支持するとともに、回路基板が収納されると、移動支持部がアンテナケースを直接支持する、あるいはアンテナエレメントを介してアンテナケースを支持する。これにより、回路基板を収納する作業により、アンテナの保持および電気的な接続も同時に行える。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、回路基板をケース内に収納する作業により、アンテナを回転自在に保持できるとともに、アンテナの電気的な接続も行える。したがって、組み立て作業を大幅に簡略化できる。しかも、密閉構造のケースを用いることにより、パッキンが不要になり、部品点数を減らせる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のケースを一部破断した無線端末装置の分解斜視図
【図2】ケースを一部破断した無線端末装置の斜視図
【図3】アンテナを回転させたときのケースを一部破断した無線端末装置の斜視図
【図4】回路基板を収納したケースの断面図
【図5】他の形態のケースを一部破断した無線端末装置の斜視図
【図6】回路基板を収納したケースの断面図
【図7】アンテナを回転させたときのケースの断面図
【図8】従来の無線端末装置の分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0024】
本実施形態の無線端末装置を図1〜4に示す。この無線端末装置は、自動検針システムにおける無線通信によるデータ通信に使用されるものであって、建物の壁などの屋外に設置され、ガスメータ等のメータやセンサなどの端末機器が接続される。無線端末装置は、無線通信用の回路基板1を収納するケース2と、ケース2に回転自在に取り付けられたアンテナ3とを備えている。
【0025】
ケース2は、内部に空間を有する密閉構造とされる。ケース2の下部に、開口4が形成され、開口4を通じて回路基板1が出し入れされる。この開口4を塞ぐカバー5がケース2に着脱可能に設けられる。ケース2が密閉構造の上、開口4がケース2の下部にあるため、ケース2の外面を流れる水はカバー5を伝って流れ落ち、ケース2内部に水が浸入することはない。
【0026】
回路基板1の下部には、ガスメータなどの端末機器を接続するための端子台6と無線端末装置の電源となる電池を収容する電池収容部7とが設けられる。回路基板1は、ケース2の開口4からケース2内に挿入され、所定位置に位置決めされて収納される。
【0027】
ケース2内に、回路基板1を保持するための複数のリブ8が設けられる。リブ8は、ケース2内の上部に配される。リブ8の下部に、挿入された回路基板1を案内して位置決めする凹部9が形成される。凹部9は、回路基板1を所定位置に導く傾斜面を有する。収納された回路基板1が凹部9に嵌まることにより、回路基板1はケース2内の所定位置に位置決めされる。
【0028】
端子台6に形成されたねじ孔にケース2の裏側からねじ10を締めることにより、回路基板1はケース2に固定される。回路基板1が所定位置に固定されると、端子台6および電池収容部7は開口4に位置する。カバー5はケース2にねじ11により取り付けられる。カバー5を外すと、端子台6および電池収容部7が露出する。
【0029】
アンテナ3は、ケース2の側面から突出するように設けられ、アンテナ3の基部は、ケース2内において回転自在に支持され、アンテナ3は下向きから上向きの間で回転される。アンテナ3は、導電性のアンテナエレメント20およびアンテナエレメント20を収容するアンテナケース21,22からなり、L形に形成される。アンテナエレメント20は、金属製のL形の線材からなる。
【0030】
アンテナケース21,22は、複数のアンテナケースから構成される。ケース2から突出したアンテナ3の先端側では、2分割構造の外部アンテナケース21が用いられる。ケース2内にあるアンテナ3の基部では、円筒状の内部アンテナケース22が用いられる。これらのアンテナケース21,22は、接着や溶着などにより一体化される。
【0031】
内部アンテナケース22は、ケース2の側面に形成された挿入孔23からケース2内に挿入される。内部アンテナケース22にOリング24が装着され、挿入孔23から雨水などがケース2内に浸入するのが防止される。内部アンテナケース22の外周面に、複数の係止爪25が形成される。係止爪25は、片持ち梁構造とされる。係止爪25がケース2の内周面に引っ掛かることにより、アンテナ3がケース2から抜け出さない。なお、アンテナ3を挿入孔23から挿入するとき、係止爪25がケース2に当たって撓むことにより、内部アンテナケース22はケース2に挿入可能となる。
【0032】
アンテナエレメント20は、一部が露出するように内部アンテナケース22に覆われる。内部アンテナケース22に、アンテナエレメント20を露出させるための切欠部26が形成される。断面円形状のアンテナエレメント20は内部アンテナケース22の中心に位置し、内部アンテナケース22の外周面が連結部27を残して切り欠かれることにより、切欠部26が形成される。連結部27は、切欠部26を挟んで左右の内部アンテナケース22を一体的につなぐ。
【0033】
内部アンテナケース22から露出したアンテナエレメント20は、回路基板1に電気的に接続される。回路基板1に、アンテナエレメント20に接触する接続部30が設けられる。接続部30は、弾性変形可能な金属製の板状とされ、アンテナ3に対向する一端側がU字状に折り曲げられ、他端が回路基板1に半田付けにより取り付けられる。接続部30の一端側のアンテナエレメント20に対向する接触面に、アンテナエレメント20に摺接するように凸部31が形成される。この凸部31により、接続部30はアンテナエレメント20に点接触することになり、アンテナエレメント20の回転を妨げず、回転するアンテナエレメント20に対して電気的な接続を確実に維持できる。
【0034】
回路基板1がケース2内の所定位置に収納されると、接続部30は、内部アンテナケース22の切欠部26に嵌め込まれ、接触面の凸部31がアンテナエレメント20に接触する。接続部30が切欠部26に嵌まることにより、アンテナ3の左右方向への移動が阻止され、アンテナ3のケース2からの抜け出しを防止することができる。
【0035】
アンテナエレメント20が接続部30に接触しながら、アンテナ3は回転する。すなわち、内部アンテナケース22は、ケース2に回転自在に支持される。内部アンテナケース22を回転中心として、アンテナ3が回転する。ケース2の内部に、内部アンテナケース22を支持する支持部が設けられる。複数の支持部により、アンテナ3は回転自在に保持される。支持部は、固定された固定支持部32と、移動可能な移動支持部とを有する。
【0036】
固定支持部32は、ケース2に設けられる。ケース2の上部に位置するリブ8に、固定支持部32が設けられる。固定支持部32は、内部アンテナケース22が嵌まるように半円の凹みを有する。固定支持部32は、アンテナ3を挟んで接続部30に対向して配置されるとともに、切欠部26を挟んで左右両側に配置される。
【0037】
回路基板1がケース2に収納されたときに、回路基板1は移動する。これに伴って移動してきた接続部30がアンテナ3に接触し、アンテナ3は固定支持部32と接続部30とによって挟み込まれて回転自在に保持される。この移動可能な接続部30が、移動支持部とされる。
【0038】
固定支持部32が内部アンテナケース22を支持し、接続部30がアンテナエレメント20を押さえつける。アンテナ3が固定支持部32と接続部30とに挟まれることにより、アンテナ3は回転自在にケース2に保持され、かつアンテナエレメント20が回路基板1に電気的に接続される。
【0039】
上記の無線端末装置の組み立て手順を説明する。まず、作業者がアンテナ3の基部をケース2の挿入孔23に挿入する。このとき、アンテナ3の先端は下向きとされる。内部アンテナケース22がケース2内に挿入されると、内部アンテナケース22が固定支持部32に嵌る。この後、作業者は、回路基板1を開口4からケース2に挿入する。回路基板1がリブ8の凹部9に嵌まり込むと、回路基板1は所定位置に収納される。このとき、接続部30が内部アンテナケース22の切欠部26に嵌まり込み、接続部30の接触面がアンテナエレメント20に接触する。回路基板1はケースにねじ止めされ、カバー5が開口4に被せられて、ケース2にねじ止めされる。
【0040】
回路基板1が所定位置に収納されたときに接続部30はアンテナエレメント20を上方に向かって押し付け、固定支持部32が内部アンテナケース22を受け止めて支持することにより、アンテナ3の基部は複数の支持部に挟み込まれて回転自在に保持される。
【0041】
ここで、接続部30がアンテナエレメント20に接触したとき、接続部30の先端側にアンテナ3からの反力が生じる。接続部30の先端側がU字状に折り曲げられていることにより、接続部30の先端側においてこの反力が吸収され、接続部30が傾くことが防止される。したがって、接続部30の半田付け部分にかかる負荷が緩和され、半田付け部分にクラックが生じることを防げる。すなわち、接続部30の先端側のU字の形状が、アンテナ3から受ける力を吸収して、半田付け部分にかかる負荷を緩和するための緩和部35として機能する。
【0042】
このように、アンテナ3がケース2に回転自在に取り付けられて、無線端末装置が組み立てられると、無線端末装置は屋外の任意の場所に設置される。無線端末装置に雨がかかっても、ケース2は密閉構造であるので、水がケース2内に浸入することはない。
【0043】
無線端末装置では、アンテナ利得が得られるように、アンテナ3を回転して、回転角度を変える。アンテナ3を所定の回転角度に固定するために、アンテナ3の回転角度を規制する規制部が設けられる。
【0044】
規制部は、ケース2の側面に設けられた複数の突起36とされる。複数の突起36が、アンテナ3の回転中心を中心とする円周上に一定の間隔で並んでいる。アンテナ3に、突起36に係止される係止部37が設けられる。平板状の係止部37は、外部アンテナケース21に半径方向に突出するように形成される。係止部37の先端側に、突起36が嵌まる嵌合孔38が形成される。
【0045】
アンテナ3は、図1に示す下向きの状態から図3に示す上向きの状態まで回転する。アンテナ3が回転して、嵌合孔38に突起36が嵌ると、アンテナ3の回転が規制される。すなわち、アンテナ3は固定され、その回転角度が保持される。
【0046】
ここで、アンテナ3の回転角度を変える場合、係止部37が突起36を乗り越えるようにアンテナ3を回転させる。係止部37のアンテナ3近傍に溝39が形成され、係止部37の一部が薄肉になることにより、係止部37は撓みやすくなる。係止部37が突起36を乗り越えるとき、係止部36が撓んで持ち上がる。係止部37が次の突起36に嵌るまでアンテナ3が回転し、回転角度を変えることができる。
【0047】
また、アンテナ3が一定角度以上回転しないように、アンテナ3の回転を阻止するストッパ40が設けられる。ストッパ40は、ケース2の側面に設けられ、係止部37がストッパ40に当接することにより、アンテナ3が上向きになった後、それ以上の回転が妨げられる。また、アンテナ3が下向きにあるとき、逆向きに回転しても、係止部37がストッパ40に当たり、アンテナ3の逆回転が阻止される。
【0048】
さらに、アンテナ3の回転が規制されるのに伴い、内部アンテナケース22の連結部27の回り込みも防止できる。アンテナ3が一定角度以上回転しないので、連結部27が接続部30に当たらない。そのため、連結部27の衝突により接続部30が大きく変形することを防止できる。
【0049】
次に、アンテナエレメント20と接続部50との他の接続形態を図5〜7に示す。アンテナエレメント20は、アンテナ3の回転に応じて接続部50に対して接触あるいは離間する。その他の構成は、上記の実施形態と同じである。
【0050】
接続部50は、平板状に形成され、アンテナエレメント20に対向する接触面に、アンテナエレメント20に摺接する半球状の凸部51が形成される。この接続部50では、アンテナエレメント20が接触したとき、接続部50全体が撓む。接続部50の半田付け部分に負荷がかかるので、アンテナ3からかかる力を分散させる緩和部が設けられる。
【0051】
緩和部として、接続部50の接触面とは反対側の面の基部に補助リブ52が設けられる。補助リブ52は、接続部50の一部を折り曲げて形成される。接続部50にアンテナ3から力がかかると、接続部50の先端側が撓んで変形するが、基部では、補助リブ52が力を受けて回路基板1に当接して、接続部50の基部は変形しない。したがって、接続部50の半田付け部分には、負荷がかからない。
【0052】
アンテナエレメント20は、アンテナ3の回転中心に対して偏心した位置に配される。連結部27は、回転中心を挟んでアンテナエレメント20とは反対側に位置する。一方、接続部50は、アンテナ3よりも下側に位置する。アンテナエレメント20は、アンテナ3の回転に応じて位置が変わる。アンテナエレメント20は、アンテナ3が下向きのとき、回転中心よりも上側に位置し、アンテナエレメント20と接続部50とは離間している。アンテナ3が上向きのとき、回転中心よりも下側に位置する。アンテナエレメント20は接続部50に接触する。このように、接続部50は、アンテナ3の回転角度に応じてアンテナエレメント20に対して接触あるいは離間する。
【0053】
アンテナ3は、下向きにしてケース2に取り付けられる。このとき、図6に示すように、接続部50は、アンテナエレメント20に接触しない。接続部50は、内部アンテナケース22の切欠部26には嵌り込んでいるが、アンテナエレメント20と接続部50との間には連結部27があり、接続部50は連結部27に接触する。アンテナ3は、回路基板1に電気的に接続されていない。
【0054】
図7に示すように、アンテナ3を上向きに回転させると、アンテナエレメント20が接続部50に接触し、アンテナ3は回路基板1に電気的に接続される。通常、無線端末装置を屋外に設置したとき、アンテナ3を上向きにしたとき、アンテナ利得が得やすい。アンテナ3を上向きに回転させなければ、アンテナ3は回路基板1に電気的に接続されない。これにより、アンテナ3を確実にアンテナ利得を得やすい回転角度にすることができる。
【0055】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。上記では、接続部が移動支持部を兼用しているが、それぞれ別々に設けてもよい。回路基板に、接続部と移動支持部とをそれぞれ設ける。移動支持部は、内部アンテナケースの外周面に当接して、固定支持部とによりアンテナを挟み込んで回転自在に保持する。接続部は、アンテナエレメントに接触する。アンテナエレメントは、内部アンテナケースの基部側の端部から外部に突出する、あるいは内部アンテナケースの外周面上に配される。回路基板がケースに収納されたとき、接続部は、外部に露出しているアンテナエレメントに接触する。
【0056】
移動支持部をケースに移動自在に設けてもよい。移動支持部は、回路基板に当接して移動する。回路基板がケースに挿入されると、移動支持部は、回路基板に押されて移動する。回路基板が所定位置に達すると、移動支持部は内部アンテナケースの外周面に当接して、固定支持部とによりアンテナを挟み込んで回転自在に保持する。回路基板に設けられた接続部は、上記と同様にアンテナエレメントに接触する。
【0057】
また、固定支持部がアンテナに電気的に接続してもよい。固定支持部が内部アンテナケースの切欠部に嵌り、アンテナエレメントに接触する。移動支持部は、内部アンテナケースを押さえ込む。
【符号の説明】
【0058】
1 回路基板
2 ケース
3 アンテナ
4 開口
5 カバー
20 アンテナエレメント
22 内部アンテナケース
26 切欠部
30 接続部
31 凸部
32 固定支持部
35 緩和部
36 突起
37 係止部
40 ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板を収納するケースと、ケースに取り付けられたアンテナとを備え、アンテナが回転する無線端末装置であって、アンテナを支持する複数の支持部が設けられ、支持部は、固定された固定支持部と、移動可能な移動支持部とを有し、回路基板がケースに収納されたときに移動支持部が移動してアンテナに接触することにより、アンテナが固定支持部と移動支持部とによって挟み込まれて回転可能に保持されることを特徴とする無線端末装置。
【請求項2】
アンテナは、アンテナエレメントおよびアンテナエレメントを収容するアンテナケースからなり、アンテナケースに、アンテナエレメントを露出させるための切欠部が形成され、支持部が切欠部に嵌め込まれ、アンテナの抜け出しが防止されることを特徴とする請求項1記載の無線端末装置。
【請求項3】
回路基板に、アンテナに接触する接続部が設けられ、接続部が移動支持部とされ、回路基板がケースに収納されたときに接続部がアンテナエレメントと電気的に接続されることを特徴とする請求項1または2記載の無線端末装置。
【請求項4】
アンテナの回転中心に対して、アンテナエレメントが偏心した位置に配置され、アンテナを回転させたときに、接続部がアンテナエレメントに接触することを特徴とする請求項3記載の無線端末装置。
【請求項5】
接続部のアンテナエレメントに対向する接触面が、アンテナエレメントに摺接するように凸状に形成されたことを特徴とする請求項3または4記載の無線端末装置。
【請求項6】
移動支持部が半田付けにより回路基板に取り付けられ、移動支持部に、アンテナから受ける力を分散あるいは吸収して、半田付け部分にかかる負荷を緩和するための緩和部が設けられたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の無線端末装置。
【請求項7】
ケースに、アンテナの回転角度を規制する規制部が設けられたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の無線端末装置。
【請求項8】
ケースは密閉構造とされ、ケースの下部に、回路基板を収納するための開口が形成されたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の無線端末装置。
【請求項9】
アンテナはL形とされ、アンテナの基部がケース内に挿入され、アンテナの基部をなすアンテナケースが、円筒状に形成されて支持部に支持され、アンテナエレメントは、一部が露出するようにアンテナケースに覆われたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の無線端末装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate