説明

無線管理装置および無線アクセスネットワークシステム

【課題】トラヒックに応じて無線制御装置を無線送受信装置に割り当てることで、無線制御装置のリソースを効率的に活用することを図る。
【解決手段】各RRHのトラヒックプロファイルに基づいて、RRHとRCU間の接続のRCU−RRH切替プランを作成する切替プラン作成部23と、複数のRRHと複数のRCUの接続関係を示す情報を保持するRCU−RRHテーブル25と、RCU−RRH切替プランに基づいたRRHとRCU間の接続の切替の結果に従って、RCU−RRHテーブル25の情報を更新するテーブル更新部24と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線管理装置および無線アクセスネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、第3.9世代の移動通信システムとして、3GPP(3rd Generation Partnership Project)で標準化が進められているLTE(Long Term Evolution)システムなどでは、基地局の機能を物理的に無線制御装置とRRH(Remote Radio Head)と呼ばれる無線送受信装置とに分ける形態が主流になりつつある。これにより、基地局を設置する際の自由度が高まる。この従来の構成では、無線制御装置とRRH間は光ファイバーケーブルで固定的に接続される。
【0003】
また、非特許文献1,2,3には、無線アクセスネットワーク(RAN)アーキテクチャーとして、基地局の機能を無線制御装置とRRHとに分離し、トラヒック状況に応じて無線制御装置とRRHの接続関係を動的に変更する、という概念が提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Nokia Siemens Networks, Liquid Radio, インターネット<URL:http://nsnjapan.jp/topics/event/110712_interview_2.html>
【非特許文献2】Alcatel-Lucent, Light Radio, インターネット<URL:http://www.alcatel-lucent.com/features/light_radio/index.html>
【非特許文献3】Wireless network cloud: Architecture and system requirements, IBM Journal of Research and Development, pp.4:1 − pp.4:12 54 Issue:1, January-February 2010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来のRANアーキテクチャーは、トラヒック状況に応じて無線制御装置とRRHとの接続関係を動的に変更するという概念が提案されるのみであり、その具現化が課題である。
【0006】
従来のRANシステムでは、セル(RRH群)と無線制御装置の関係は1対1であるため、無線制御装置におけるトラヒックを基に必要な無線制御装置のリソースを推定することができた。これに対して、無線制御装置とRRHの接続関係が変わるRANシステムでは、無線制御装置におけるトラヒックからセルのトラヒックを把握できない。このため、トラヒックに応じて無線制御装置をRRHに割り当てることができず、無線制御装置のリソースを効率的に活用できない、という課題がある。その結果としてコスト低減の妨げになるという問題が懸念されている。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、トラヒックに応じて無線制御装置を無線送受信装置に割り当てることで、無線制御装置のリソースを効率的に活用できる、無線管理装置および無線アクセスネットワークシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記の課題を解決するために、本発明に係る無線管理装置は、複数の無線送受信装置と前記複数の無線送受信装置を制御するための複数の無線制御装置との間の接続を動的に変更する無線アクセスネットワークシステムにおける無線管理装置において、各前記無線送受信装置のトラヒックプロファイルに基づいて、前記無線送受信装置と前記無線制御装置間の接続の切替プランを作成する切替プラン作成部と、前記複数の無線送受信装置と前記複数の無線制御装置の接続関係を示す情報を保持する記憶部と、前記切替プランに基づいた前記無線送受信装置と前記無線制御装置間の接続の切替の結果に従って、前記記憶部の情報を更新する更新部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
(2)(1)に係る無線管理装置において、前記切替プラン作成部は、無線送受信装置に対する要求トラヒック量をすべて収容し、且つ、割り当てる無線制御装置の台数を最小にするように、前記切替プランを作成する、ことを特徴とする。
【0010】
(3)(1)又は(2)に係る無線管理装置において、各無線送受信装置のトラヒックプロファイルを格納するデータベースと、各無線送受信装置のトラヒック量集計データに基づいて、前記データベース内の各無線送受信装置のトラヒックプロファイルを更新するトラヒックプロファイル更新部と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
(4)本発明に係る無線アクセスネットワークシステムは、複数の無線送受信装置と、前記複数の無線送受信装置を制御するための複数の無線制御装置と、前記複数の無線送受信装置と前記複数の無線制御装置間の接続を切り替えるためのスイッチと、(1)から(3)のいずれかに記載の無線管理装置と、を備え、前記無線管理装置が作成した切替プランに基づいて、前記無線送受信装置と前記無線制御装置間の接続の切替を実施する、ことを特徴とする。
【0012】
(5)上記の課題を解決するために、本発明に係る無線管理装置は、複数の無線送受信装置と前記複数の無線送受信装置を制御するための複数の無線制御装置との間の接続を動的に変更する無線アクセスネットワークシステムにおける無線管理装置において、前記複数の無線送受信装置のうち隣接する複数の無線送受信装置は予め同一エリアにグルーピングされてあり、各前記エリアのトラヒックプロファイルに基づいて、前記エリアと当該エリアの無線送受信装置に接続される前記無線制御装置との対応付けの切替プランを作成する切替プラン作成部と、複数の前記エリアと前記複数の無線制御装置の対応付けを示す情報を保持する記憶部と、前記切替プランに基づいた前記エリアと前記無線制御装置の対応付けの切替の結果に従って、前記記憶部の情報を更新する更新部と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
(6)(5)に係る無線管理装置において、前記切替プラン作成部は、エリアに対する要求トラヒック量をすべて収容し、且つ、割り当てる無線制御装置の台数を最小にするように、前記切替プランを作成する、ことを特徴とする。
【0014】
(7)(5)又は(6)に係る無線管理装置において、各エリアのトラヒックプロファイルを格納するデータベースと、各無線送受信装置のトラヒック量集計データに基づいて、前記データベース内の各エリアのトラヒックプロファイルを更新するトラヒックプロファイル更新部と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
(8)本発明に係る無線アクセスネットワークシステムは、複数の無線送受信装置と、前記複数の無線送受信装置を制御するための複数の無線制御装置と、前記複数の無線送受信装置と前記複数の無線制御装置間の接続を切り替えるためのスイッチと、(5)から(7)のいずれかに記載の無線管理装置と、を備え、前記複数の無線送受信装置のうち隣接する複数の無線送受信装置は予め同一エリアにグルーピングされてあり、前記無線管理装置が作成した切替プランに基づいて、前記エリアと前記無線制御装置の対応付けの切替を実施する、ことを特徴とする。
【0016】
(9)(8)に係る無線アクセスネットワークシステムにおいて、前記切替プランによって対応するエリアが変更となった無線制御装置は、切替前のエリアで接続している全無線送受信装置を当該切替前のエリアに対応する他の無線制御装置に接続を移し変え、切替先のエリアに対応する他の無線制御装置から当該切替先のエリアの無線送受信装置の接続を受け入れる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、トラヒックに応じて無線制御装置を無線送受信装置に割り当てることで、無線制御装置のリソースを効率的に活用できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る無線アクセスネットワーク(RAN)システムの概略構成図である。
【図2】本発明に係るRMU_1とRCU_2の実施例1である。
【図3】本発明の実施例1に係るRCU−RRH切替プラン作成方法を説明するための概念図である。
【図4】本発明に係るRMU_1とRCU_2の実施例2である。
【図5】本発明の実施例2に係るRCU−エリア切替プラン作成方法を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る無線アクセスネットワーク(RAN)システムの概略構成図である。図1において、基地局機能は、無線制御装置(Radio Control Unit:RCU)2と無線送受信装置(RRH)5とに分離されている。RCU_2は、RRH_5を制御する。
【0020】
無線管理装置(RCU Management Unit:RMU)1は、複数台のRCU_2に接続されている。また、RMU_1は、パケットゲートウェイ(PGW)6に接続されており、パケットゲートウェイ5を介してインターネットなどの外部ネットワーク7に接続する。
【0021】
RCU_2は、スイッチ3を介してWDM−PONに接続されており、WDM−PON経由でRRH_5に接続される。WDM−PONは、波長スイッチ4により波長分割多重(WDM)で、RCU_2とRRH_5間を接続する。波長スイッチ4間は光ファイバーケーブルで接続される。1台のRCU_2は、複数台のRRH_5と接続可能である。
【0022】
RMU_1、RCU_2、スイッチ3、及び、RCU_2側の波長スイッチ4は、同じ局舎8に設置されている。なお、RMU_1を地域毎に複数台設置し、RMU_1毎に異なるRCU_2を管理する構成であってもよい。これは、例えば、同一局舎8に設置するRCU_2と各サイトに設置したRRH_5との接続コスト等を考慮して行うことが挙げられる。
【0023】
RMU_1は、自己に接続する複数台のRCU_2と、それら複数台のRCU_2と接続可能な複数台のRRH_5との接続を管理する。
【0024】
RCU_2は、自己に接続されているRRH_5のトラヒック情報を収集および集計し、その集計データをRMU_1へ定期的に送信する。なお、RCU_2から複数台のRRH_5を介して1台の端末にデータを送信する場合には(例えば、1台のRCU_2に対して複数台のRRH_5が接続されている構成(Distributed Antenna:DAS構成))、当該端末に対して発生したトラヒックを当該RRH_5の台数で除算した結果を各RRH_5のトラヒック情報として集計する。
【0025】
RMU_1は、RCU_2から受信したトラヒック情報に基づいて、RCU_2とRRH_5間の接続の切替の計画(RCU−RRH切替プラン)を作成する。RMU_1は、その作成したRCU−RRH切替プランをRCU_2に送信する。RCU_2は、RMU_1から受信したRCU−RRH切替プランに従って、RCU_2とRRH_5間の接続の切り替えを実施する。RCU_2とRRH_5間の接続の切り替えは、RCU_2から、接続すべきRRH_5または接続を解除すべきRRH_5の情報をスイッチ3へ通知することにより実現される。
【0026】
以下、本実施形態に係る実施例を説明する。
【実施例1】
【0027】
図2は本発明に係るRMU_1とRCU_2の実施例1である。なお、図2には、1台のRMU_1と、該RMU_1に接続される複数のRCU_2のうち1台のRCU_2のみを示している。図2において、RMU_1は、トラヒックプロファイル更新部21と、トラヒックプロファイルデータベース(トラヒックプロファイルDB)22と、切替プラン作成部23と、テーブル更新部24と、RCU−RRHテーブル25とを有する。RCU_2は、トラヒック集計部31と、切替プラン実行部32と、切替完了通知部33とを有する。
【0028】
RCU_2において、トラヒック集計部31は、自RCU_2と接続しているRRH_5へ送信されるトラヒック量をRRH_5毎に集計する。トラヒック集計部31は、各RRH_5のトラヒック量集計データを定期的にRMU_1へ送信する。
【0029】
なお、1台のRCU_2に複数台のRRH_5が接続されたDAS構成の場合には、RRH_5毎に送信されるリファレンス情報によってユーザ端末側でRRH_5を識別可能である。ユーザ端末は、RRH_5毎の情報(例えば、無線品質情報)をRCU_2宛てに送信する際に、自己が接続しているRRH_5の情報を付加して送る。これにより、RCU_2は、RRH_5に接続されているユーザ端末を識別できるので、ユーザ端末毎のトラヒック量に基づいてRRH_5毎のトラヒック量を集計することができる。
【0030】
RMU_1において、トラヒックプロファイル更新部21は、RCU_2から受信した各RRH_5のトラヒック量集計データを、一定時間(例えば一日)単位でRRH_5毎に集計する。トラヒックプロファイル更新部21は、RRH_5毎に、一定時間分の集計データを用いてトラヒックプロファイルを更新する。各RRH_5のトラヒックプロファイルは、トラヒックプロファイルDB_22に格納される。これにより、トラヒックプロファイルDB_22には、各RRH_5のトラヒックプロファイルが一定時間毎に更新されて格納される。
【0031】
なお、各RRH_5のトラヒックプロファイルは、曜日毎に作成してもよい。この場合、各RRH_5のトラヒックプロファイルを更新する際には、RRH_5毎に、過去の数週間分の同一曜日のトラヒックプロファイルを平均化する。これにより、一定期間のトラヒック変動を考慮できるようにする。また同一曜日のトラヒックプロファイルを平均化する際には、トラヒックの変動を早期に反映できるように、例えば最新のトラヒックプロファイルから順に重みを大きくするなど、運用ポリシーに応じて重みづけ平均を行ってもよい。
【0032】
また、RCU_2は、自己のリソース使用率を測定し、その測定値をRRH_5毎のトラヒック量集計データと共にRMU_1へ送信してもよい。この場合、RMU_1は、各RRH_5のトラヒックプロファイルを更新する際に、RCU_2のリソース使用率が100%に近いRRH_5のトラヒック量集計データに対して、トラヒック量を一定量上乗せする。
【0033】
切替プラン作成部23は、一定時間分(例えば1日分)のRCU−RRH切替プランを作成する。切替プラン作成部23は、定期的に、一定時間先のRCU−RRH切替プランを順次作成する。
【0034】
ここで、図3を参照して、実施例1に係るRCU−RRH切替プラン作成方法を説明する。図3は、実施例1に係るRCU−RRH切替プラン作成方法を説明するための概念図である。ここでは、毎日、RCU−RRH切替プランを作成する場合を例に挙げる。各RRH_5のトラヒックプロファイルは、曜日毎に作成されて、トラヒックプロファイルDB_22に格納されている。
【0035】
切替プラン作成部23は、RCU−RRH切替プランを作成する日と同じ曜日の各RRH_5のトラヒックプロファイルを、トラヒックプロファイルDB_22から取得する。次いで、切替プラン作成部23は、取得した各RRH_5のトラヒックプロファイルに基づいて、RCU−RRH切替プランを作成する。
【0036】
図3には、RRH_5(#1)とRRH_5(#8)とRRH_5(#15)について、各トラヒックプロファイルが示されている。この例では、RRH_5(#1)とRRH_5(#8)とRRH_5(#15)は、全てピークトラヒックが異なる時間帯にある。そして、RRH_5(#1)とRRH_5(#8)とRRH_5(#15)のトラヒック需要を1台のRCU_2のキャパシティ(最大容量)で賄うことができる。これにより、切替プラン作成部23は、1台のRCU_2(#1)に対して、RRH_5(#1)とRRH_5(#8)とRRH_5(#15)を割り当てる。
【0037】
RRH_5に対してRCU_2を割り当てる方法としては、以下に示す最適化問題を解くことによって実現する。
目的関数:割り当てるRCU_2の台数を最小にする。
制約条件:
・1台のRCU_2は所定N台のRRH_5と接続可能である。
・1台のRRH_5が接続できるRCU_2は1台のみである。
・必要なRCU_2の台数の合計はRANシステムで利用可能なRCU_2の台数を超えない。
・RRH_5に対する要求トラヒック量をすべて収容する。
・RCU_2とRRH_5の切替回数の所定最大値を超えない。この制約条件は、RCU_2とRRH_5の不必要な切替を防ぐためである。
【0038】
上記の最適化問題は、一般化割当問題として、ヒューリスティックなアプローチを使って解を求めることができる。これにより、切替対象のRRH_5(#1)、RRH_5(#8)及びRRH_5(#15)に対して、切替後のRCU_2(#1)が決定される。切替プラン作成部23は、その結果に基づいて、RCU−RRH切替プランを作成する。RCU−RRH切替プランは、図3に例示されるように、切替対象のRRH_5(#1)、RRH_5(#8)、RRH_5(#15)に対して、切替前のRCU_2(#2)、切替前のRCU_2(#5)、切替前のRCU_2(#8)と、切替後のRCU_2(#1)とを対応付ける。
【0039】
説明を図2に戻す。
RMU_1の切替プラン作成部23は、RCU−RRH切替プランをRCU_2へ送信する。RCU−RRH切替プランには有効期間を設ける。例えば、ピークトラヒックを迎える前のトラヒックが少ない時間帯に切り替えた方が良いので、有効期間にはトラヒックが少ない時間帯を指定することが挙げられる。
【0040】
RCU_2の切替プラン実行部32は、RMU_1から受信したRCU−RRH切替プランに基づいて、切替対象となるRCU_2間(切替前のRCU_2と切替後のRCU_2間)で連携して、RCU−RRH切替プランの有効期間内に、切替対象のRRH_5の切替を実施する。具体的には、切替対象のRRH_5に関して、切替前のRCU_2と切替後のRCU_2は、互いに通信し、所定の切替手順に従って同時にスイッチ3へ切替指示を出す。これにより、スイッチ3は、切替対象のRRH_5に関して、切替前のRCU_2から切替後のRCU_2へ、接続を切り替える。
【0041】
切替完了通知部33は、切替プラン実行部32によるRCU_2とRRH_5の切替が成功すると、成功した切替の情報(切替対象のRRH_5及び切替後のRCU_2の情報)を、RCU−RRH切替完了通知としてRMU_1へ送信する。
【0042】
RMU_1のテーブル更新部24は、RCU_2から受信したRCU−RRH切替完了通知に基づいて、RCU−RRHテーブル25を更新する。RCU−RRHテーブル25は、RCU_2とRRH_5の接続関係を示す情報を保持する記憶手段である。RCU−RRHテーブル25を参照することによって、どのRCU_2とどのRRH_5が接続されているかが分かる。
【実施例2】
【0043】
図4は本発明に係るRMU_1とRCU_2の実施例2である。なお、図4には、1台のRMU_1と、該RMU_1に接続される複数のRCU_2のうち1台のRCU_2のみを示している。図4において、図2の各部に対応する部分には同一の符号を付している。
【0044】
上述した実施例1では、RRH_5に対してRCU_2を最適に割り当てることができるが、RRH_5の台数増によって最適化問題の規模が大きくなる。そこで、実施例2では、大規模なRANシステムに適した実施例を示す。
【0045】
実施例2では、あらかじめ、隣接する複数のRRH_5を同一エリアにグルーピングしておく。図4において、RCU_2のトラヒック集計部31は、実施例1と同様に、自RCU_2と接続しているRRH_5へ送信されるトラヒック量をRRH_5毎に集計し、そのRRH_5毎のトラヒック量集計データを定期的にRMU_1へ送信する。
【0046】
RMU_1において、トラヒックプロファイル更新部21は、RCU_2から受信した各RRH_5のトラヒック量集計データに基づいて、エリア毎にトラヒックプロファイルを作成する。トラヒックプロファイルDB_22は、各エリアのトラヒックプロファイルを格納する。切替プラン作成部23は、各エリアのトラヒックプロファイルに基づいて、RCU_2がどのエリアのRRH_5に接続するのかを示すRCU−エリア切替プランを作成する。
【0047】
RMU_1は、RCU−エリアテーブル40を有する。RCU−エリアテーブル40は、RCU_2とエリアの対応関係を示す情報を保持する記憶手段である。
RCU−エリアテーブル40を参照することによって、どのRCU_2とどのエリアのRRH_5が接続されているかが分かる。
【0048】
ここで、図5を参照して、実施例2に係るRCU−エリア切替プラン作成方法を説明する。図5は、実施例2に係るRCU−エリア切替プラン作成方法を説明するための概念図である。ここでは、毎日、RCU−エリア切替プランを作成する場合を例に挙げる。各エリアのトラヒックプロファイルは、曜日毎に作成されて、トラヒックプロファイルDB_22に格納されている。
【0049】
切替プラン作成部23は、RCU−エリア切替プランを作成する日と同じ曜日の各エリアのトラヒックプロファイルを、トラヒックプロファイルDB_22から取得する。次いで、切替プラン作成部23は、取得した各エリアのトラヒックプロファイルに基づいて、RCU−エリア切替プランを作成する。
【0050】
図5には、隣接する7台のRRH_5を一エリアにグルーピングした例が示されている。この例では、エリア#1〜#4に関して、各エリアのトラヒックプロファイルに基づいて、割り当て可能なRCU_2の中から、各エリアにRCU_2が割り当てられる。
【0051】
エリアに対してRCU_2を割り当てる方法としては、上述した実施例1と同様に最適化問題を解くことによって実現する。但し、実施例2では、全てのエリアの要求トラヒック量を収容し、且つ、割り当てるRCU_2の台数を最小にするように、各エリアに割り当てるRCU_2の台数を決定する。
【0052】
切替プラン作成部23は、その最適化問題の解に基づいて、RCU−エリア切替プランを作成する。RCU−エリア切替プランは、RCU_2とエリアの対応関係を示す。図5の例では、RCU−エリア切替プランとして、RCU−エリアテーブルの形式を用いる。図5に例示されるように、RCU−エリア切替プランは、RCU_2とエリアの対応関係を示す。
【0053】
説明を図4に戻す。
RMU_1の切替プラン作成部23は、RCU−エリア切替プランをRCU_2へ送信する。RCU−エリア切替プランには有効期間を設ける。
【0054】
RCU_2の切替プラン実行部32は、RMU_1から受信したRCU−エリア切替プランに基づいて、RCU_2とエリアの切替を実施する。この切替方法については後述する。
【0055】
切替完了通知部33は、切替プラン実行部32によるRCU_2とエリアの切替が成功すると、成功した切替の情報(切替対象のRCU_2及びエリアの情報)を、RCU−エリア切替完了通知としてRMU_1へ送信する。
【0056】
RMU_1のテーブル更新部24は、RCU_2から受信したRCU−エリア切替完了通知に基づいて、RCU−エリアテーブル40を更新する。
【0057】
なお、グルーピングするエリアは、トラヒックのピーク時間が異なるRRH_5を含むように、範囲を決定することが好ましい。また、隣接するRRH_5を同一エリアにグルーピングすることにより、隣接するRRH_5が同一RCU_2に接続される可能性が高くなるので、隣接するRRH_5間の連携が容易となる。
【0058】
次に、実施例2に係るRCU_2とエリアの切替方法を説明する。
【0059】
[エリア内のRCU_2とRRH_5の切替方法]
まず、エリア内のRCU_2とRRH_5の切替方法を説明する。この切替処理は、RCU−エリア切替プランの有無にかかわらず、エリア内で行われる。一エリア内において、あるRCU_2(第1のRCU_2)のトラヒック負荷が一定期間にわたって下限値を下回り、且つ、この第1のRCU_2に接続されているRRH_5と隣接するRRH_5を接続している他のRCU_2(第2のRCU_2)のトラヒック負荷も同様に、一定期間にわたって下限値を下回る場合には、第1のRCU_2と第2のRCU_2が連携して、第1のRCU_2または第2のRCU_2のいずれかのRCU_2へ、RRH_5の接続を集約するように切替を行う。この結果として、いずれのRRH_5にも割り当てられないRCU_2が発生する。
【0060】
一方、接続しているRRH_5が複数台あり、且つ、トラヒック負荷が一定期間にわたって上限値を超えたRCU_2(第3のRCU_2)については、この第3のRCU_2と接続しているRRH_5を他のRCU_2(第4のRCU_2)へ接続を切り替えることを試みる。RRH_5を移し替える先の第4のRCU_2の候補は、以下の2つである。
・いずれのRRH_5にも接続されていないRCU_2。
・第3のRCU_2と接続しているRRH_5と隣接するRRH_5に接続されたRCU_2であり、且つ、トラヒック負荷が一定期間にわたって下限値を下回るRCU_2。
上記いずれかに該当するRCU_2がある場合には、第3のRCU_2と接続しているRRH_5を該当する第4のRCU_2へ移すように切替を行う。
【0061】
[RCU−エリア切替プランによる切替方法]
次に、RCU−エリア切替プランによるRCU_2とRRH_5の切替方法を説明する。
RCU−エリア切替プランによって対応するエリアが変更となったRCU_2(第5のRCU_2)は、まず切替前のエリアで接続しているRRH_5を当該切替前のエリアに対応する他のRCU_2(第6のRCU_2)へ接続を切り替える。第5のRCU_2は、切替前のエリアで接続しているRRH_5を切り替える先の第6のRCU_2を見つけるために、当該切替対象のRRH_5に隣接するRRH_5を接続しているRCU_2へ、当該切替対象のRRH_5の切替を通知する。この通知を受けたRCU_2は、当該切替対象のRRH_5を受け入れ可能な場合には、当該切替対象のRRH_5の受け入れ許可を第5のRCU_2へ通知し、第5のRCU_2との間で連携して当該切替対象のRRH_5の切替を行う。なお、切替対象のRRH_5を受け入れ可能なRCU_2とは、切替対象のRRH_5と隣接するRRH_5に接続されたRCU_2であり、且つ、トラヒック負荷が一定期間にわたって下限値を下回るRCU_2である。
【0062】
一方、第5のRCU_2から切替対象のRRH_5の切替を通知されたRCU_2が当該切替対象のRRH_5を受け入れ不可能な場合には、第5のRCU_2は、切替前のエリア内の他のすべてのRCU_2へ、当該切替対象のRRH_5の切替を通知する。この通知を受けたRCU_2のうち、トラヒック負荷が一定期間にわたって下限値を下回るRCU_2、又は、いずれのRRH_5にも接続されていないRCU_2は、当該切替対象のRRH_5の受け入れ許可を第5のRCU_2へ通知する。第5のRCU_2は、当該切替対象のRRH_5を受け入れ許可するRCU_2との間で連携して当該切替対象のRRH_5の接続の切替を行う。第5のRCU_2は、すべてのRRH_5を切り離すまで、上述のRRH_5切替処理を行う。
【0063】
次いで、第5のRCU_2は、切替先のエリアに対応するRCU_2(第7のRCU_2)から当該切替先のエリアのRRH_5の接続を受け入れる。このRRH_5の接続の受け入れは、第7のRCU_2からRRH受け入れ要求を受信したときに、第5のRCU_2と第7のRCU_2間で連携してRRH_5の接続を切り替えることで行われる。なお、RRH受け入れ要求は、例えば自身のRCU_2のトラヒック負荷が一定期間にわたって上限値を上回る場合に通知される。
【0064】
上述した実施形態によれば、RCU_2が、RMU_1から提供される切替プランに基づいて、RCU_2とRRH_5の接続を切り替える。これにより、トラヒックの変動に応じた柔軟なRANシステム構成を実現できると共に、RCU_2のリソースを有効に活用することができ、RANシステム構築コストの低減に寄与することができる。
【0065】
また、切替プランは、割り当てるRCU_2の台数を最小化するように作成されるので、いずれのRRH_5にも割り当てられないRCU_2に関しては、RMU_1との通信機能だけをアクティブな状態にしておけば良いので、省電力化に寄与することができる。
【0066】
また、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。現在も急速に増加しつつあるモバイルトラヒックを限られた周波数リソースで収容するためには、周波数の繰り返し利用率を向上させRANシステム容量を増大することが必要である。この解決策としての小セル化は、基地局数の増加によるコスト増を招くが、本実施形態によれば、RCU_2のリソースを有効に活用できることから、RANシステム構築コストの低減化を図ることができるという、格別な効果を奏する。
【0067】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0068】
1…無線管理装置(RMU)、2…無線制御装置(RCU)、3…スイッチ、4…波長スイッチ、5…無線送受信装置(RRH)、21…トラヒックプロファイル更新部、22…トラヒックプロファイルデータベース(トラヒックプロファイルDB)、23…切替プラン作成部、24…テーブル更新部、25…RCU−RRHテーブル(記憶部)、31…トラヒック集計部、32…切替プラン実行部、33…切替完了通知部、40…RCU−エリアテーブル(記憶部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線送受信装置と前記複数の無線送受信装置を制御するための複数の無線制御装置との間の接続を動的に変更する無線アクセスネットワークシステムにおける無線管理装置において、
各前記無線送受信装置のトラヒックプロファイルに基づいて、前記無線送受信装置と前記無線制御装置間の接続の切替プランを作成する切替プラン作成部と、
前記複数の無線送受信装置と前記複数の無線制御装置の接続関係を示す情報を保持する記憶部と、
前記切替プランに基づいた前記無線送受信装置と前記無線制御装置間の接続の切替の結果に従って、前記記憶部の情報を更新する更新部と、
を備えたことを特徴とする無線管理装置。
【請求項2】
前記切替プラン作成部は、無線送受信装置に対する要求トラヒック量をすべて収容し、且つ、割り当てる無線制御装置の台数を最小にするように、前記切替プランを作成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線管理装置。
【請求項3】
各無線送受信装置のトラヒックプロファイルを格納するデータベースと、
各無線送受信装置のトラヒック量集計データに基づいて、前記データベース内の各無線送受信装置のトラヒックプロファイルを更新するトラヒックプロファイル更新部と、
を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の無線管理装置。
【請求項4】
複数の無線送受信装置と、
前記複数の無線送受信装置を制御するための複数の無線制御装置と、
前記複数の無線送受信装置と前記複数の無線制御装置間の接続を切り替えるためのスイッチと、
請求項1から3のいずれか1項に記載の無線管理装置と、を備え、
前記無線管理装置が作成した切替プランに基づいて、前記無線送受信装置と前記無線制御装置間の接続の切替を実施する、
ことを特徴とする無線アクセスネットワークシステム。
【請求項5】
複数の無線送受信装置と前記複数の無線送受信装置を制御するための複数の無線制御装置との間の接続を動的に変更する無線アクセスネットワークシステムにおける無線管理装置において、
前記複数の無線送受信装置のうち隣接する複数の無線送受信装置は予め同一エリアにグルーピングされてあり、
各前記エリアのトラヒックプロファイルに基づいて、前記エリアと当該エリアの無線送受信装置に接続される前記無線制御装置との対応付けの切替プランを作成する切替プラン作成部と、
複数の前記エリアと前記複数の無線制御装置の対応付けを示す情報を保持する記憶部と、
前記切替プランに基づいた前記エリアと前記無線制御装置の対応付けの切替の結果に従って、前記記憶部の情報を更新する更新部と、
を備えたことを特徴とする無線管理装置。
【請求項6】
前記切替プラン作成部は、エリアに対する要求トラヒック量をすべて収容し、且つ、割り当てる無線制御装置の台数を最小にするように、前記切替プランを作成する、
ことを特徴とする請求項5に記載の無線管理装置。
【請求項7】
各エリアのトラヒックプロファイルを格納するデータベースと、
各無線送受信装置のトラヒック量集計データに基づいて、前記データベース内の各エリアのトラヒックプロファイルを更新するトラヒックプロファイル更新部と、
を備えたことを特徴とする請求項5又は6に記載の無線管理装置。
【請求項8】
複数の無線送受信装置と、
前記複数の無線送受信装置を制御するための複数の無線制御装置と、
前記複数の無線送受信装置と前記複数の無線制御装置間の接続を切り替えるためのスイッチと、
請求項5から7のいずれか1項に記載の無線管理装置と、を備え、
前記複数の無線送受信装置のうち隣接する複数の無線送受信装置は予め同一エリアにグルーピングされてあり、
前記無線管理装置が作成した切替プランに基づいて、前記エリアと前記無線制御装置の対応付けの切替を実施する、
ことを特徴とする無線アクセスネットワークシステム。
【請求項9】
前記切替プランによって対応するエリアが変更となった無線制御装置は、切替前のエリアで接続している全無線送受信装置を当該切替前のエリアに対応する他の無線制御装置に接続を移し変え、切替先のエリアに対応する他の無線制御装置から当該切替先のエリアの無線送受信装置の接続を受け入れる、
ことを特徴とする請求項8に記載の無線アクセスネットワークシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−77965(P2013−77965A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216434(P2011−216434)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】