説明

無線装置およびそれを備えた無線通信システム

【課題】干渉源からの干渉が存在する環境においても、干渉を抑圧して秘密鍵を生成可能な無線通信システムを提供する。
【解決手段】無線装置10は、チャネルを変動するための振幅位相制御ウェイト<W>,<W>と、干渉を抑圧するための干渉抑圧ウェイト<W>と、無線装置10,20間のチャネルを示すチャネル行列<H>とを用いて無線装置20からの既知情報を受信し、その受信信号に基づいて振幅位相制御ウェイト<W>,<W>、干渉抑圧ウェイト<W>およびチャネル行列<H>が相互に乗算された乗算結果に基づいて秘密鍵Ks1を生成する。無線装置20も、無線装置10と同様にして秘密鍵Ks2を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線装置およびそれを備えた無線通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な公衆無線LAN(Local Area Network)サービス(無線ホットスポットサービス)における認証では、MAC(Media Access Control)アドレスやESS−IDによる識別に頼っており、また、無線区間の暗号化についてWEP(Wired Equivalent Privacy)などによる暗号化を行っている場合でも、その暗号化鍵が全ての利用者に共通で配布・使用されているため、他の利用者からの攻撃を受け易くなる。
【0003】
そこで、電波伝搬特性に基づく端末識別を行い、端末認証を行うことにより、事前に秘密鍵を共有することなく、端末識別、および無線区間の暗号化が可能な方式が提案されてきた(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】北浦明人,四方博之,長谷川晃朗,植田哲郎,小花貞夫:“公衆自営連携コグニティブ無線アクセスネットワークにおける端末ID認証方式の提案”,2010年電子情報通信学会ソサイエティ大会,Sept.2010.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、アクセスポイントと、認証を行いたい端末との間で秘密鍵を生成および共有する際には、アクセスポイントと端末とが出す電波信号以外に、隠れ端末等の干渉源からもアクセスポイントに向けて電波が送信され、認証を行なおうとしている正規局間の信号と、干渉源からの信号とが互いに干渉し合う可能性がある。その結果、秘密鍵を共有できず、長時間に渡って秘密鍵を生成することができないという問題がある。
【0006】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、干渉源からの干渉が存在する環境においても、干渉を抑圧して秘密鍵を生成可能な無線装置を提供することである。
【0007】
また、この発明の別の目的は、干渉源からの干渉が存在する環境においても、干渉を抑圧して秘密鍵を生成可能な無線装置を備えた無線通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の実施の形態によれば、無線装置は、渉源から干渉波を受けるとともに、多入力/多出力通信方式によって無線通信を行なう無線装置であって、n+p(nは2以上の整数、pは1以上の整数)個のアンテナと、無線通信器とを備える。無線通信器は、他の無線装置とn+p個のアンテナを介して無線通信を行う。そして、無線通信器は、他の無線装置において任意に決定され、かつ、n+p個のアンテナと他の無線装置に装着されたn個のアンテナとの間のチャネルを変動させる第1の振幅位相制御ウェイトを既知信号に乗算した第1の乗算結果をチャネルおよびn+p個のアンテナを介して受信し、当該無線装置において任意に決定され、かつ、チャネルを変動させる第2の振幅位相制御ウェイトと干渉波を抑圧する干渉抑圧ウェイトとを受信した受信信号に乗算して第2の乗算結果を取得し、その取得した第2の乗算結果から既知信号を除いて第3の乗算結果を取得する処理をm(mは1以上の整数)回実行し、処理をm回実行して得られたm個の第3の乗算結果に基づいて秘密鍵を生成する。
【0009】
また、この発明の実施の形態によれば、無線装置は、多入力/多出力通信方式によって無線通信を行なう無線装置であって、n(nは2以上の整数)個のアンテナと、無線通信器とを備える。無線通信器は、干渉源から干渉波を受ける他の無線装置と前記n個のアンテナを介して無線通信を行う。そして、無線通信器は、他の無線装置において任意に決定され、かつ、n個のアンテナと他の無線装置に装着されたn+p(pは1以上の整数)個のアンテナとの間のチャネルを変動させる第1の振幅位相制御ウェイトと干渉波を抑圧する干渉抑圧ウェイトとを既知信号に乗算した第1の乗算結果をチャネルおよびn個のアンテナを介して受信し、当該無線装置において任意に決定され、かつ、チャネルを変動させる第2の振幅位相制御ウェイトを、受信した受信信号に乗算して第2の乗算結果を取得し、その取得した第2の乗算結果から既知信号を除いて第3の乗算結果を取得し、その取得した第3の乗算結果を他の無線装置によって取得された乗算結果に一致する第4の乗算結果に変換する処理をm(mは1以上の整数)回実行し、処理をm回実行して得られたm個の第4の乗算結果に基づいて秘密鍵を生成する。
【0010】
更に、この発明の実施の形態によれば、無線装置は、干渉源から干渉波を受けるとともに、多入力/多出力通信方式によって無線通信を行なう無線装置であって、n+p(nは2以上の整数、pは1以上の整数)個のアンテナと、無線通信器とを備える。無線通信器は、他の無線装置とn+p個のアンテナを介して無線通信を行う。そして、無線通信器は、n+p個のアンテナと他の無線装置に装着されたn個のアンテナとの間の経路を区別して無線通信を行なうための経路ウェイトと、他の無線装置において任意に決定され、かつ、データを変動させる第1の振幅位相制御ウェイトと、他の無線装置において任意に決定され、かつ、n個のアンテナとn+p個のアンテナとの間のチャネルを変動させる第2の振幅位相制御ウェイトとを情報信号に乗算した第1の乗算結果をn+p個のアンテナとn個のアンテナとの間のチャネルおよびn+p個のアンテナを介して受信し、当該無線装置において任意に決定され、かつ、データを変動させる第3の振幅位相制御ウェイトと、当該無線装置において任意に決定され、かつ、チャネルを変動させる第4の振幅位相制御ウェイトと、経路ウェイトとを、受信した受信信号に乗算して第2の乗算結果を取得し、その取得した第2の乗算結果から情報信号を除いて第3の乗算結果を取得する処理をm(mは1以上の整数)回実行し、処理をm回実行して得られたm個の第3の乗算結果に基づいて秘密鍵を生成する。
【0011】
更に、この発明の実施の形態によれば、無線装置は、多入力/多出力通信方式によって無線通信を行なう無線装置であって、n(nは2以上の整数)個のアンテナと、無線通信器とを備える。無線通信器は、干渉源から干渉波を受ける他の無線装置とn個のアンテナを介して無線通信を行う。そして、無線通信器は、n個のアンテナと他の無線装置に装着されたn+p(pは1以上の整数)個のアンテナとの間の経路を区別して無線通信を行なうための経路ウェイトと、他の無線装置において任意に決定され、かつ、データを変動させる第1の振幅位相制御ウェイトと、他の無線装置において任意に決定され、かつ、n個のアンテナとn+p個のアンテナとの間のチャネルを変動させる第2の振幅位相制御ウェイトと、干渉波を抑圧する干渉抑圧ウェイトとを情報信号に乗算した第1の乗算結果をn個のアンテナとn+p個のアンテナとの間のチャネルおよびn個のアンテナを介して受信し、当該無線装置において任意に決定され、かつ、データを変動させる第3の振幅位相制御ウェイトと、当該無線装置において任意に決定され、かつ、チャネルを変動させる第4の振幅位相制御ウェイトと、経路ウェイトとを、受信した受信信号に乗算して第2の乗算結果を取得し、その取得した第2の乗算結果から情報信号を除いて第3の乗算結果を取得し、その取得した第3の乗算結果を他の無線装置によって取得された乗算結果に一致する第4の乗算結果に変換する処理をm(mは1以上の整数)回実行し、処理をm回実行して得られたm個の第4の乗算結果に基づいて秘密鍵を生成する。
【0012】
更に、この発明の実施の形態によれば、無線通信システムは、第1および第2の無線装置を備える。第1の無線装置は、n(nは2以上の整数)個のアンテナを用いて無線通信を行なう。第2の無線装置は、干渉源からの干渉波を受信し、n+p(pは1以上の整数)個のアンテナを用いて前記第1の無線装置と無線通信を行なう。そして、第2の無線装置は、第1の無線装置において任意に決定され、かつ、第1の無線装置と第2の無線装置との間のチャネルを変動させる第1の振幅位相制御ウェイトを第1の既知信号に乗算した第1の乗算結果をn個のアンテナとn+p個のアンテナとの間のチャネルおよびn+p個のアンテナを介して第1の無線装置から受信し、干渉波を抑圧する干渉抑圧ウェイトと、第2の無線装置において任意に決定され、かつ、第1の無線装置と第2の無線装置との間のチャネルを変動させる第2の振幅位相制御ウェイトとを受信した受信信号に乗算して第2の乗算結果を取得し、その取得した第2の乗算結果から第1の既知信号を除いて第3の乗算結果を取得する第1の処理をm(mは1以上の整数)回実行し、その求めたm個の第3の乗算結果に基づいて第1の秘密鍵を生成する。また、第1の無線装置は、第2の振幅位相制御ウェイトと干渉抑圧ウェイトとを第2の既知信号に乗算した第4の乗算結果をチャネルおよびn個のアンテナを介して第2の無線装置から受信し、その受信した受信信号に第1の振幅位相制御ウェイトを乗算して第5の乗算結果を取得し、その取得した第5の乗算結果から第2の既知信号を除いて第6の乗算結果を取得し、その取得した第6の乗算結果を第3の乗算結果に一致する第7の乗算結果に変換する第2の処理をm回実行し、第2の処理をm回実行して得られたm個の第7の乗算結果に基づいて第1の秘密鍵と同じ第2の秘密鍵を生成する。
【0013】
更に、この発明の実施の形態によれば、無線通信システムは、第1および第2の無線装置を備える。第1の無線装置は、n(nは2以上の整数)個のアンテナを用いて無線通信を行なう。第2の無線装置は、干渉源からの干渉波を受信し、n+p(pは1以上の整数)個のアンテナを用いて前記第1の無線装置と無線通信を行なう。そして、第2の無線装置は、n個のアンテナとn+p個のアンテナとの間の経路を区別して無線通信を行なうための経路ウェイトと、第1の無線装置において任意に決定され、かつ、データを変動させる第1の振幅位相制御ウェイトと、第1の無線装置において任意に決定され、かつ、n個のアンテナとn+p個のアンテナとの間のチャネルを変動させる第2の振幅位相制御ウェイトとを第1の情報信号に乗算した第1の乗算結果をn個のアンテナとn+p個のアンテナとの間のチャネルおよびn+p個のアンテナを介して第1の無線装置から受信し、第2の無線装置において任意に決定され、かつ、データを変動させる第3の振幅位相制御ウェイトと、第2の無線装置において任意に決定され、かつ、チャネルを変動させる第4の振幅位相制御ウェイトと、干渉波を抑圧する干渉抑圧ウェイトとを、受信した受信信号に乗算して第2の乗算結果を取得し、その取得した第2の乗算結果から第1の情報信号を除いて第3の乗算結果を取得する第1の処理をm(mは1以上の整数)回実行し、その求めたm個の第3の乗算結果に基づいて第1の秘密鍵を生成する。また、第1の無線装置は、第3および第4の振幅位相制御ウェイトと経路ウェイトと干渉抑圧ウェイトとを第2の情報信号に乗算した第4の乗算結果をチャネルおよびn個のアンテナを介して第2の無線装置から受信し、その受信した受信信号に第1および第2の振幅位相制御ウェイトと経路ウェイトとを乗算して第5の乗算結果を取得し、その取得した第5の乗算結果から第2の情報信号を除いて第6の乗算結果を取得し、その取得した第6の乗算結果を第3の乗算結果に一致する第7の乗算結果に変換する第2の処理をm回実行し、第2の処理をm回実行して得られたm個の第7の乗算結果に基づいて第1の秘密鍵と同じ第2の秘密鍵を生成する。
【発明の効果】
【0014】
この発明の実施の形態による無線装置においては、無線通信器は、第1の振幅位相制御ウェイトと干渉抑圧ウェイトと第2の振幅位相制御ウェイトとを用いて無線通信相手の無線装置から既知信号を受信し、その受信した受信信号に基づいて、チャネル行列と、第1および第2の振幅位相制御ウェイトと、干渉抑圧ウェイトとが乗算された乗算結果に基づいて秘密鍵の1ビットを生成する。そして、無線通信器は、この処理をm回実行してmビットの秘密鍵を生成する。その結果、mビットの各々は、干渉源からの干渉波を抑圧して生成される。
【0015】
従って、干渉源からの干渉が存在する環境においても、干渉を抑圧して秘密鍵を生成できる。
【0016】
また、第1および第2の振幅位相制御ウェイトは、それぞれ、各無線装置において任意に決定される。その結果、盗聴者から見れば、チャネルによる振幅位相変動なのか、ウェイトによる人為的な変動なのかが分からない。
【0017】
従って、秘密鍵の秘匿性を向上できる。
【0018】
また、この発明の実施の形態による無線装置においては、無線通信器は、経路ウェイトと、第1の振幅位相制御ウェイトと、第2の振幅位相制御ウェイトと、干渉抑圧ウェイトと、第3の振幅位相制御ウェイトと、第4の振幅位相制御ウェイトとを用いて無線通信相手の無線装置から既知信号を受信し、その受信した受信信号に基づいて、チャネル行列と、第1から第4の振幅位相制御ウェイト、経路ウェイト、および干渉抑圧ウェイトが乗算された乗算結果に基づいて秘密鍵の1ビットを生成する。そして、無線通信器は、この処理をm回実行してmビットの秘密鍵を生成する。その結果、mビットの各々は、干渉源からの干渉波を抑圧して生成される。
【0019】
従って、干渉源からの干渉が存在する環境においても、干渉を抑圧して秘密鍵を生成できる。
【0020】
また、第1から第4の振幅位相制御ウェイトは、それぞれ、各無線装置において任意に決定される。その結果、盗聴者から見れば、チャネルによる振幅位相変動なのか、ウェイトによる人為的な変動なのかが分からない。
【0021】
従って、秘密鍵の秘匿性を向上できる。
【0022】
更に、この発明の実施の形態による無線通信システムにおいては、第1および第2の無線装置は、第1および第2の振幅位相制御ウェイトと、干渉抑圧ウェイトと、チャネル行列とを用いて無線通信相手の無線装置から既知信号を受信し、その受信した受信信号に基づいて、チャネル行列と、第1および第2の振幅位相制御ウェイトと、干渉抑圧ウェイトとが乗算された乗算結果に基づいて秘密鍵の1ビットを生成する。そして、第1および第2の無線装置は、この処理をm回実行してmビットの秘密鍵を生成する。その結果、mビットの各々は、干渉源からの干渉波を抑圧して生成される。
【0023】
従って、干渉源からの干渉が存在する環境においても、干渉を抑圧して秘密鍵を生成できる。
【0024】
また、第1および第2の振幅位相制御ウェイトは、それぞれ、第1および第2の無線装置において任意に決定される。その結果、盗聴者から見れば、チャネルによる振幅位相変動なのか、ウェイトによる人為的な変動なのかが分からない。
【0025】
従って、秘密鍵の秘匿性を向上できる。
【0026】
更に、この発明の実施の形態による無線通信システムにおいては、第1および第2の無線装置は、第1から第4の振幅位相制御ウェイトと、経路ウェイトと、干渉抑圧ウェイトと、チャネル行列とを用いて無線通信相手の無線装置から情報信号を受信し、その受信した受信信号に基づいて、第1から第4の振幅位相制御ウェイトと、経路ウェイトと、干渉抑圧ウェイトと、チャネル行列を乗算した乗算結果に基づいて秘密鍵の1ビットを生成する。そして、第1および第2の無線装置は、この処理をm回実行してmビットの秘密鍵を生成する。その結果、mビットの各々は、干渉源からの干渉波を抑圧して生成される。また、第1および第2の無線装置は、n個のアンテナとn+1個のアンテナとの間の経路を区別して情報信号を送受信できる。
【0027】
従って、干渉源からの干渉が存在する環境においても、干渉を抑圧しながら情報信号を用いて秘密鍵を生成できる。
【0028】
また、第1および第2の無線装置は、データを変動させる振幅位相制御ウェイトと、チャネルを変動させる振幅位相制御ウェイトとを用いて秘密鍵を生成する。その結果、盗聴者は、チャネルによる振幅位相変動なのか、ウェイトによる人為的な変動なのかが更に分からない。
【0029】
従って、秘密鍵の秘匿性を更に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明の実施の形態1による無線通信システムの概略図である。
【図2】図1に示す一方の無線装置の構成図である。
【図3】図1に示す他方の無線装置の構成図である。
【図4】図1に示す無線通信システムにおいて秘密鍵を生成する方法を説明するためのフローチャートである。
【図5】実施の形態2による無線通信システムの概略図である。
【図6】図5に示す一方の無線装置の構成図である。
【図7】図5に示す他方の無線装置の構成図である。
【図8】図5に示す無線通信システムにおいて秘密鍵を生成する方法を説明するためのフローチャートである。
【図9】図8に示すステップS25の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0032】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による無線通信システムの概略図である。図1を参照して、この発明の実施の形態1による無線通信システム100は、無線装置10,20を備える。
【0033】
この実施の形態1においては、無線装置10,20は、MIMOチャネルにおいて、データストリームをM(Mは2以上の整数)個の異なるサブストリームに分割し、各サブストリームをM個以上のアンテナからM個選択し、M個のアンテナを通して各サブストリームを送信する重み付き空間分割多重伝送を用いて、後述する方法によって秘密鍵を生成する。
【0034】
無線装置10は、例えば、端末装置であり、無線装置20は、例えば、アクセスポイントである。無線装置10は、2個のアンテナ11,12を有し、無線装置20は、3個のアンテナ21〜23を有する。そして、干渉源30は、アンテナ31を有し、無線装置20の近傍に存在している。
【0035】
無線装置10,20は、多入力/多出力通信方式(MIMO:Multiple Input Multiple Output)によって相互に無線通信を行う。この場合、無線装置20は、干渉源30からの干渉波を抑圧して無線装置10と無線通信を行う。
【0036】
そして、無線装置10,20は、後述する方法によって、MIMO方式に従って相互に無線通信を行い、秘密鍵を共有する。
【0037】
なお、図1においては、干渉源30は、無線装置20の近傍に存在するが、これは、無線装置20は、アンテナの個数が無線装置10よりも1個多いからである。従って、無線装置10のアンテナの個数が無線装置20よりも多い場合には、干渉源30は、無線装置10の近傍に存在する。そして、無線装置10は、干渉源30からの干渉波を抑圧して無線装置20と無線通信を行なう。
【0038】
MIMO方式を用いて無線通信が無線装置10,20間で行なわれた場合、無線装置20は、干渉源30からの干渉波を含む受信電波を受信する。そして、無線装置10と無線装置20との間のチャネルを示すチャネル行列を<H>とし、送信信号を<S>とすると、受信電波は、<H>・<S>によって表される。そして、チャネル行列<H>は、実在するものではなく、無線装置10または無線装置20がアンテナ11,12とアンテナ21〜23との間のチャネルを介して送信信号<S>を受信すれば、送信信号<S>に自然に乗算されるものである。
【0039】
なお、この明細書においては、表記<A>は、行列Aを表す。
【0040】
図2は、図1に示す一方の無線装置10の構成図である。図2を参照して、無線装置10は、アンテナ11,12と、受信手段13と、演算手段14,18と、鍵生成手段15と、ウェイト決定手段16と、信号生成手段17と、送信手段19とを含む。なお、受信手段13、演算手段14,18、鍵生成手段15、ウェイト決定手段16、信号生成手段17、および送信手段19は、「無線通信器」を構成する。
【0041】
受信手段13は、アンテナ11,12を介して無線装置20から電波を受信し、その受信した電波が開始信号STRTに対する応答信号RESである場合、その受信した応答信号RESを信号生成手段17へ出力する。
【0042】
受信手段13は、応答信号RESを受信した後、アンテナ11,12を介して無線装置20から<H>・<W>・<W>・<S>を受信し、その受信した<H>・<W>・<W>・<S>を演算手段14へ出力する。
【0043】
ここで、干渉抑圧ウェイト<W>は、無線装置20が干渉源30からの干渉波を抑圧するウェイトである。更に、振幅位相制御ウェイト<W>は、無線装置20において任意に決定され、かつ、MIMO方式において無線装置10,20間のチャネルを変動させるウェイトである。更に、既知信号<S>は、予め、無線装置10,20で共有された信号である。
【0044】
演算手段14は、受信手段13から乗算結果<H>・<W>・<W>・<S>を受ける。また、演算手段14は、ウェイト決定手段16によって任意に決定され、かつ、MIMO方式において無線装置10,20間のチャネルを変動させる振幅位相制御ウェイト<W>をウェイト決定手段16から受ける。そして、演算手段14は、乗算結果<H>・<W>・<W>・<S>に振幅位相制御ウェイト<W>を乗算し、その乗算結果<W>・<H>・<W>・<W>・<S>を鍵生成手段15へ出力する。
【0045】
鍵生成手段15は、信号生成手段17から既知信号<S>を受け、演算手段14から乗算結果<W>・<H>・<W>・<W>・<S>を受ける。そして、鍵生成手段15は、乗算結果<W>・<H>・<W>・<W>・<S>および既知信号<S>に基づいて、乗算結果<W>・<H>・<W>・<W>・<S>から既知信号<S>を除去し、乗算結果<W>・<H>・<W>・<W>を求める。その後、鍵生成手段15は、乗算結果<W>・<H>・<W>・<W>を保持するとともに、その保持した乗算結果<W>・<H>・<W>・<W>に基づいて、後述する方法によって秘密鍵Ks1の1ビットを生成する。
【0046】
ウェイト決定手段16は、無線装置10において任意に決定され、かつ、無線装置10,20間のチャネルを変動させる振幅位相制御ウェイト<W>を決定し、その決定した振幅位相制御ウェイト<W>を演算手段14,18へ出力する。
【0047】
信号生成手段17は、既知信号<S>を予め保持している。そして、信号生成手段17は、秘密鍵Ks1の生成を開始するとき、開始信号STRTを生成し、その生成して開始信号STRTを送信手段19およびアンテナ11,12を介して無線装置20へ送信する。その後、信号生成手段17は、既知信号<S>を鍵生成手段15および演算手段18へ出力する。
【0048】
演算手段18は、既知信号<S>を信号生成手段17から受け、振幅位相制御ウェイト<W>をウェイト決定手段16から受ける。そして、演算手段18は、既知信号<S>に振幅位相制御ウェイト<W>を乗算し、その乗算結果<W>・<S>を送信手段19へ出力する。
【0049】
送信手段19は、信号生成手段17から開始信号STRTを受けると、アンテナ11,12を介して開始信号STRTを無線装置20へ送信する。また、送信手段19は、演算手段18から乗算結果<W>・<S>を受けると、その受けた乗算結果<W>・<S>をアンテナ11,12を介して無線装置20へ送信する。
【0050】
図3は、図1に示す他方の無線装置20の構成図である。図3を参照して、無線装置20は、アンテナ21〜23と、受信手段24と、ウェイト決定手段25,28と、演算手段26,32と、鍵生成手段27と、信号生成手段29と、送信手段33とを含む。
【0051】
受信手段24は、アンテナ21〜23を介して電波を受信し、その受信した電波をウェイト決定手段25へ出力する。また、受信手段24は、受信した電波が開始信号STRTである場合、開始信号STRTを信号生成手段29へ出力する。更に、受信手段24は、受信した電波が乗算結果<H>・<W>・<S>である場合、乗算結果<H>・<W>・<S>を演算手段26へ出力する。
【0052】
ウェイト決定手段25は、受信手段24から受信電波を受ける。この受信電波は、干渉源30からの干渉波を含んでいる。そして、ウェイト決定手段25は、受信手段24から既知の送信信号<S>の受信信号<R>を受ける。この受信信号<R>は、送信信号<S>にチャネル行列<H>が自然に乗算されたものであり、干渉源30からの干渉波を含んでいる。
【0053】
ウェイト決定手段25は、送信信号<S>の受信信号<R>を受けると、その受けた受信信号<R>から既知の送信信号<S>を除去して<R>’を取得する。そして、ウェイト決定手段25は、<R>’に干渉抑圧ウェイト<W>を乗算したものが“0”になるように干渉抑圧ウェイト<W>を決定する。即ち、ウェイト決定手段25は、次式が成立するように干渉抑圧ウェイト<W>を決定する。
【0054】
<W>・<H>=0・・・(1)
受信信号<R>=<H>・<S>であり、<R>’=<H>であるので、<R>’・<W>=0であるように干渉抑圧ウェイト<W>を決定することは、式(1)が成立するように干渉抑圧ウェイト<W>を決定することに相当する。ウェイト決定手段25は、干渉抑圧ウェイト<W>を求めると、その求めた干渉抑圧ウェイト<W>を演算手段25,32へ出力する。
【0055】
演算手段26は、受信手段24から乗算結果<H>・<W>・<S>を受け、ウェイト決定手段25から干渉抑圧ウェイト<W>を受け、ウェイト決定手段28によって任意に決定され、かつ、MIMO方式において無線装置10,20間のチャネルを変動させる振幅位相制御ウェイト<W>をウェイト決定手段28から受ける。
【0056】
そして、演算手段26は、乗算結果<H>・<W>・<S>に干渉抑圧ウェイト<W>を乗算し、その乗算結果<W>・<H>・<W>・<S>に振幅位相制御ウェイト<W>を乗算し、その乗算結果<W>・<W>・<H>・<W>・<S>を鍵生成手段27へ出力する。
【0057】
鍵生成手段27は、信号生成手段29から既知信号<S>を受け、演算手段26から乗算結果<W>・<W>・<H>・<W>・<S>を受ける。そして、鍵生成手段27は、乗算結果<W>・<W>・<H>・<W>・<S>および既知信号<S>に基づいて、乗算結果<W>・<W>・<H>・<W>を求める。その後、鍵生成手段27は、乗算結果<W>・<W>・<H>・<W>を保持するとともに、その保持した乗算結果<W>・<W>・<H>・<W>に基づいて、後述する方法によって秘密鍵Ks2の1ビットを生成する。
【0058】
なお、乗算結果<W>・<W>・<H>・<W>は、無線装置10の鍵生成手段15が求める乗算結果<W>・<H>・<W>・<W>と同じである。従って、無線装置20の鍵生成手段27が生成する秘密鍵Ks2の1ビットは、無線装置10の鍵生成手段15が生成する秘密鍵Ks1の1ビットと同じである。
【0059】
ウェイト決定手段28は、任意に振幅位相制御ウェイト<W>を決定し、その決定した振幅位相制御ウェイト<W>を演算手段26,32へ出力する。
【0060】
信号生成手段29は、既知信号<S>を予め保持している。そして、信号生成手段29は、開始信号STRTを受信手段24から受けると、開始信号STRTに対する応答信号RESを生成し、その生成して応答信号RESを送信手段33およびアンテナ21〜23を介して無線装置10へ送信する。その後、信号生成手段29は、既知信号<S>を鍵生成手段27および演算手段32へ出力する。
【0061】
演算手段32は、既知信号<S>を信号生成手段29から受け、振幅位相制御ウェイト<W>をウェイト決定手段28から受ける。そして、演算手段32は、既知信号<S>に振幅位相制御ウェイト<W>を乗算し、その乗算結果<W>・<S>を送信手段33へ出力する。
【0062】
送信手段33は、信号生成手段29から応答信号RESを受けると、アンテナ21〜23を介して応答信号RESを無線装置10へ送信する。また、送信手段33は、演算手段32から乗算結果<W>・<S>を受けると、その受けた乗算結果<W>・<S>をアンテナ21〜23を介して無線装置10へ送信する。
【0063】
図4は、図1に示す無線通信システム100において秘密鍵を生成する方法を説明するためのフローチャートである。
【0064】
図4を参照して、秘密鍵の生成が開始されると、無線装置10の信号生成手段17は、開始信号STRTを生成し、その生成した開始信号STRTを送信手段19へ出力し、送信手段19は、開始信号STRTをアンテナ11,12を介して無線装置20へ送信する(ステップS1)。
【0065】
無線装置20の受信手段24は、アンテナ21〜23を介して開始信号STRTを受信し、その受信した開始信号STRTを信号生成手段29へ出力する。そして、無線装置20の信号生成手段29は、受信手段24から受けた開始信号STRTに応じて応答信号RESを生成し、その生成した応答信号RESを送信手段33へ出力し、送信手段33は、応答信号RESをアンテナ21〜23を介して無線装置10へ送信する(ステップS2)。
【0066】
無線装置10の受信手段13は、アンテナ11,12を介して応答信号RESを受信し、その受信した応答信号RESを信号生成手段17へ出力し、信号生成手段17は、受信手段13から応答信号RESを受ける(ステップS3)。これによって、無線装置10,20は、秘密鍵を生成する動作が開始されることを検知する。
【0067】
ステップS3の後、無線装置20のウェイト決定手段25は、上述した方法によって干渉抑圧ウェイト<W>を決定し(ステップS4)、その決定した干渉抑圧ウェイト<W>を演算手段26,32へ出力する。
【0068】
そして、無線装置10の信号生成手段17は、k=1(1≦k≦m)を設定し(ステップS5)、既知信号<S>を演算手段18へ出力する。また、無線装置10のウェイト決定手段16は、振幅位相制御ウェイト<W>を任意に決定し(ステップS6)、その決定した振幅位相制御ウェイト<W>を演算手段14,18へ出力する。
【0069】
無線装置10の演算手段18は、信号生成手段17から受けた既知信号<S>にウェイト決定手段16から受けた振幅位相制御ウェイト<W>を乗算し、その乗算結果<W>・<S>を送信手段19へ出力し、送信手段19は、乗算結果<W>・<S>をアンテナ11,12を介して重み付き空間分割多重伝送によって無線装置20へ送信する(ステップS7)。
【0070】
無線装置20の受信手段24は、アンテナ21〜23を介して受信信号<R>を受信する。この場合、受信信号<R>は、干渉源30からの干渉波を抑圧しなければ、次式によって表される。
【0071】
<R>=<H>・<W>・<S>・・・(2)
乗算結果<W>・<S>は、無線装置10,20間のチャネルを介して無線装置10から無線装置20へ送信されるので、無線装置20が受信する受信信号<R>は、乗算結果<W>・<S>にチャネル行列<H>が乗算されたものとなる。
【0072】
無線装置20の受信手段24は、その受信した受信信号<R>=<H>・<W>・<S>を演算手段26へ出力する。無線装置20の演算手段26は、受信手段24から受信信号<R>=<H>・<W>・<S>を受け、ウェイト決定手段25から干渉抑圧ウェイト<W>を受ける。そして、無線装置20の演算手段26は、受信信号<R>=<H>・<W>・<S>に干渉抑圧ウェイト<W>を乗算する(ステップS8)。また、無線装置20のウェイト決定手段28は、チャネルを変動させる、即ち、チャネル行列の固有値に変動を与える振幅位相制御ウェイト<W>を任意に決定し(ステップS9)、その決定した振幅位相制御ウェイト<W>を演算手段26,32へ出力する。
【0073】
そして、無線装置20の演算手段26は、ウェイト決定手段28から受けた振幅位相制御ウェイト<W>を乗算結果に<W>・<H>・<W>・<S>に乗算し(ステップS10)、その乗算した乗算結果<R’>を鍵生成手段27へ出力する。乗算結果<R’>は、次式によって表される。
【0074】
<R’>=<W>・<W>・<H>・<W>・<S>・・・(3)
無線装置20の鍵生成手段27は、<R’>=<W>・<W>・<H>・<W>・<S>を演算手段26から受け、既知信号<S>(=<S>)を信号生成手段29から受ける。そして、無線装置20の鍵生成手段27は、既知信号<S>を用いて<R’>=<W>・<W>・<H>・<W>・<S>から共有するチャネル行列H’=<W>・<W>・<H>・<W>を求め、その求めたチャネル行列H’を一時保存する(ステップS11)。
【0075】
その後、無線装置20の信号生成手段29は、既知信号<S>を演算手段32へ出力し、演算手段32は、信号生成手段29から受けた既知信号<S>にウェイト決定手段28から受けた振幅位相制御ウェイト<W>とウェイト決定手段25から受けた干渉抑圧ウェイト<W>とを乗算し、その乗算結果<W>・<W>・<S>を送信手段33へ出力する。そして、無線装置20の送信手段33は、演算手段32から受けた乗算結果<W>・<W>・<S>をアンテナ21〜23を介して重み付き空間分割多重伝送によって無線装置10へ送信する(ステップS12)。
【0076】
無線装置10の受信手段13は、アンテナ11,12を介して受信信号<R>を受信する。この場合、受信信号<R>は、次式によって表される。
【0077】
<R>=<H>・<W>・<W・<S>・・・(4)
Hは、転置行列を表す。
【0078】
そして、無線装置10の受信手段13は、受信信号<R>=<H>・<W>・<W・<S>を演算手段14へ出力する。そして、無線装置10の演算手段14は、受信信号<R>=<H>・<W>・<W・<S>に振幅位相制御ウェイト<W>を乗算し(ステップS13)、その乗算結果<R’>を鍵生成手段15へ出力する。
【0079】
この場合、乗算結果<R’>は、次式によって表される。
【0080】
<R’>=<W・<H>・<W>・<W・<S>・・・(5)
そうすると、無線装置10の鍵生成手段15は、<R’>=<W・<H>・<W>・<W・<S>を演算手段14から受け、既知信号<S>(=<S>)を信号生成手段17から受ける。そして、無線装置10の鍵生成手段15は、既知信号<S>を用いて<R’>=<W・<H>・<W>・<W・<S>からチャネル行列H’=<W・<H>・<W>・<Wを求める。そして、無線装置10の鍵生成手段15は、その求めたチャネル行列H’をチャネル行列H’=<W>・<W>・<H>・<W>に一致するように変換し、その変換したチャネル行列H’ =<W>・<H>・<W>・<W>を一時保存する(ステップS14)。
【0081】
なお、電波伝搬の可逆性から、<W>・<H>・<W>・<W>は、<W>・<W>・<H>・<W>と同じである。
【0082】
その後、無線装置10の信号生成手段17は、k=mであるか否かを判定する(ステップS15)。
【0083】
ステップS15において、k=mでないと判定されたとき、無線装置10の信号生成手段17は、k=k+1を設定する(ステップS16)。その後、一連の動作は、ステップS6へ戻り、ステップS15において、k=mであると判定されるまで、上述したステップS6〜ステップS16が繰返し実行される。
【0084】
なお、mは、秘密鍵Ks1,Ks2の鍵長に等しい数値からなり、1以上の整数である。
【0085】
そして、ステップS15において、k=mであると判定されると、無線装置10の鍵生成手段15は、m個のチャネル行列H’=<W>・<W>・<H>・<W>(=<W>・<H>・<W>・<W>)の各々について複数の固有値を求め、その複数の固有値から最大の固有値を抽出する処理をm個のチャネル行列H’の全てについて実行する。その結果、無線装置10の鍵生成手段15は、m個の最大の固有値を取得する。そして、無線装置10の鍵生成手段15は、m個の最大の固有値を中央値で2値化して秘密鍵Ks1を生成する。
【0086】
また、無線装置20の鍵生成手段27も、無線装置10の鍵生成手段15と同じ方法によって秘密鍵Ks1と同じ秘密鍵Ks2を生成する(ステップS17)。これによって、秘密鍵Ks1,Ks2の生成が終了する。
【0087】
上述したように、干渉源30の近傍に存在する無線装置20は、無線装置10からの受信信号に干渉抑圧ウェイト<W>を乗算してチャネル行列H’を求め、その求めたチャネル行列H’に基づいて秘密鍵Ks2を生成する(ステップS8〜ステップS11,S17参照)。また、無線装置10は、無線装置20によって既知信号<S>に振幅位相制御ウェイト<W>および干渉抑圧ウェイト<W>が乗算されたものを無線装置20から受信してチャネル行列H’を求め、その求めたチャネル行列H’に基づいて秘密鍵Ks1を生成する(ステップS12〜ステップS14,S17参照)。
【0088】
即ち、無線装置10,20は、振幅位相制御ウェイト<W>、振幅位相制御ウェイト<W>、および干渉抑圧ウェイト<W>を用いて既知信号を通信相手から受信し、その受信信号に基づいて乗算結果<W>・<W>・<H>・<W>,<W>・<H>・<W>・<W>を求め、その求めた乗算結果<W>・<W>・<H>・<W>,<W>・<H>・<W>・<W>に基づいて秘密鍵Ks1,Ks2を生成する。つまり、無線装置10,20は、干渉波を抑圧して秘密鍵Ks1,Ks2を生成する。
【0089】
従って、無線装置10,20は、干渉源30からの干渉波が存在する環境においても干渉を抑圧して秘密鍵Ks1,Ks2を生成できる。
【0090】
また、無線装置10は、無線装置20において任意に決定された振幅位相制御ウェイト<W>が含まれるチャネル行列H’=<W>・<W>・<H>・<W>に基づいて秘密鍵Ks1を生成し、無線装置20は、無線装置10において任意に決定された振幅位相制御ウェイト<W>が含まれるチャネル行列H’=<W>・<W>・<H>・<W>に基づいて秘密鍵Ks2を生成する。そして、盗聴者は、無線装置10または無線装置20からの電波を傍受しても、無線装置10,20がチャネル行列H’に基づいて秘密鍵Ks1,Ks2を生成することを検知できない。
【0091】
従って、漏洩を抑制して秘密鍵Ks1,Ks2を生成できる。
【0092】
更に、無線装置10は、既知信号<S>に振幅位相制御ウェイト<W>を乗算して送信し、無線装置20は、既知信号<S>に振幅位相制御ウェイト<W>を乗算して送信する。そして、振幅位相制御ウェイト<W>および振幅位相制御ウェイト<W>は、ステップS6〜ステップS16のループが繰り返される毎に変えられる。
【0093】
その結果、チャネル変動が振幅位相制御ウェイト<W>または振幅位相制御ウェイト<W>によって人為的に生成され、盗聴者から見れば、チャネルによる振幅位相変動なのか、ウェイトによる人為的な変動なのかが分からない。
【0094】
従って、秘密鍵Ks1,Ks2の秘匿性を向上できる。
【0095】
なお、実施の形態1においては、振幅位相制御ウェイト<W>または振幅位相制御ウェイト<W>をステップS6〜ステップS16のループが繰り返される毎に変えなくてもよく、振幅位相制御ウェイト<W>または振幅位相制御ウェイト<W>をステップS6〜ステップS16のループが一定回数繰り返される毎に変えてもよく、秘密鍵Ks1,Ks2が生成されるまで、振幅位相制御ウェイト<W>または振幅位相制御ウェイト<W>を変えなくてもよい。
【0096】
振幅位相制御ウェイト<W>または振幅位相制御ウェイト<W>を変えなくても、上述したように、盗聴者にとっては、チャネルによる振幅位相変動なのか、ウェイトによる人為的な変動なのかが分からないからである。
【0097】
また、上記においては、チャネル行列H’=<W>・<W>・<H>・<W>(=(=<W>・<H>・<W>・<W>)の最大の固有値を2値化して秘密鍵Ks1,Ks2を生成すると説明したが、実施の形態1においては、これに限らず、チャネル行列H’=<W>・<W>・<H>・<W>(=<W>・<H>・<W>・<W>)の要素、絶対値および電力値を用いて秘密鍵Ks1,Ks2を生成してもよい。つまり、チャネル行列H’=<W>・<W>・<H>・<W>(=<W>・<H>・<W>・<W>)に基づいて秘密鍵Ks1,Ks2を生成すればよい。
【0098】
[実施の形態2]
図5は、実施の形態2による無線通信システムの概略図である。図5を参照して、実施の形態2による無線通信システム100Aは、無線装置10A,20Aを備える。
【0099】
この実施の形態2においては、無線装置10A,20Aは、MIMOチャネルにおいて、データストリームをM個の異なるサブストリームに分割し、各サブストリームをM個以上の送信アンテナから形成したM個のビームに対応させて送信する固有ビーム空間分割多重伝送を用いて、後述する方法によって秘密鍵を生成する。
【0100】
無線装置10Aは、例えば、端末装置であり、無線装置20Aは、端末装置と無線通信を行なうアクセスポイントである。
【0101】
無線装置10Aは、2個のアンテナ11,12を有し、無線装置20Aは、3個のアンテナ21〜23を有する。そして、干渉源30は、無線装置20Aの近傍に存在している。
【0102】
無線装置10A,20Aは、MIMO方式によって相互に無線通信を行う。この場合、無線装置20Aは、干渉源30からの干渉波を抑圧して無線装置10Aと無線通信を行う。
【0103】
そして、無線装置10A,20Aは、後述する方法によって、MIMO方式に従って相互に無線通信を行い、秘密鍵を共有する。
【0104】
なお、図5においては、干渉源30は、無線装置20Aの近傍に存在するが、これは、無線装置20Aは、アンテナの個数が無線装置10Aよりも1個多いからである。従って、無線装置10Aのアンテナの個数が無線装置20Aよりも多い場合には、干渉源30は、無線装置10Aの近傍に存在する。そして、無線装置10Aは、干渉源30からの干渉波を抑圧して無線装置20Aと無線通信を行なう。
【0105】
図6は、図5に示す一方の無線装置10Aの構成図である。図6を参照して、無線装置10Aは、図2に示す無線装置10にウェイト決定手段34を追加し、演算手段14,18をそれぞれ演算手段14A,18Aに代えたものであり、その他は、無線装置10と同じである。
【0106】
実施の形態2においては、無線装置10Aが無線装置20Aとの間のチャネルを変動させるために任意に決定した振幅位相制御ウェイトを<WSi>とし、無線装置20Aが無線装置10Aとの間のチャネルを変動させるために任意に決定した振幅位相制御ウェイトを<WAi>とする。また、無線装置10Aがデータを変動させるために任意に決定した振幅位相制御ウェイトを<WSo>とし、無線装置20Aがデータを変動させるために任意に決定した振幅位相制御ウェイトを<WAo>とする。そして、振幅位相制御ウェイト<WSo>,<WAo>は、データ自体を拡散するためのウェイトであり、対角行列からなる。
【0107】
無線装置20Aは、ウェイト<e>を決定する場合、既知信号<S>に振幅位相制御ウェイト<WAi>および干渉抑圧ウェイト<W>を乗算して無線装置10Aへ送信する。その結果、無線装置10Aの受信手段13は、乗算結果<H>・<W>・<WAi>・<S>からなる受信電波を受信する。
【0108】
演算手段14Aは、ウェイト決定手段16から振幅位相制御ウェイト<WSo>,<WSi>を受け、ウェイト決定手段34からウェイト<e>を受ける。そして、演算手段14Aは、ウェイト<e>を決定する場合、受信電波=<H>・<W>・<WAi>・<S>を受信手段13から受け、その受けた受信電波=<H>・<W>・<WAi>・<S>に振幅位相制御ウェイト<WSi>を乗算する。そして、演算手段14Aは、その乗算結果=<WSi>・<H>・<W>・<WAi>・<S>と、既知信号<S>(=<S>)とを用いてチャネル行列<H>’=<WSi>・<H>・<W>・<WAi>を求める。そうすると、演算手段14Aは、その求めたチャネル行列<H>’=<WSi>・<H>・<W>・<WAi>をウェイト決定手段34へ出力する。
【0109】
演算手段14Aは、その他、演算手段14と同じ機能を果たす。
【0110】
演算手段18Aは、ウェイト決定手段16から振幅位相制御ウェイト<WSo>,<WSi>を受け、信号生成手段17から既知信号<S>または情報信号<D>を受け、ウェイト決定手段34からウェイト<e>を受ける。
【0111】
そして、演算手段18Aは、既知信号<S>に振幅位相制御ウェイト<WSi>を乗算し、その乗算結果を送信手段19へ出力する。また、演算手段18Aは、情報信号<D>に振幅位相制御ウェイト<WSo>,<WSi>およびウェイト<e>を乗算し、その乗算結果を送信手段19へ出力する。
【0112】
ウェイト決定手段34は、チャネル行列<H>’=<WSi>・<H>・<W>・<WAi>を演算手段14Aから受ける。そして、ウェイト決定手段34は、その受けたチャネル行列<H>’=<WSi>・<H>・<W>・<WAi>を固有値分解し、その固有値分解の結果を用いてチャネル行列<H>’=<WSi>・<H>・<W>・<WAi>を対角化するようにウェイト<e>を決定する。そうすると、ウェイト決定手段34は、その決定したウェイト<e>を演算手段14A,18Aへ出力する。
【0113】
図7は、図5に示す他方の無線装置20Aの構成図である。図7を参照して、無線装置20Aは、図3に示す無線装置20のウェイト決定手段25をウェイト決定手段25Aに代え、演算手段26,32をそれぞれ演算手段26A,32Aに代えたものであり、その他は、無線装置20と同じである。
【0114】
演算手段26Aは、ウェイト決定手段28から振幅位相制御ウェイト<WAo>,<WAi>を受け、ウェイト決定手段25Aからウェイト<e>を受ける。そして、演算手段26Aは、ウェイト<e>を決定する場合、受信電波=<H>・<W>・<WSi>・<S>を受信手段24から受け、その受けた受信電波=<H>・<W>・<WSi>・<S>に振幅位相制御ウェイト<WAi>を乗算する。そして、演算手段26Aは、その乗算結果=<WAi>・<H>・<W>・<WSi>・<S>と、既知信号<S>(=<S>)とを用いてチャネル行列<H>’=<WAi>・<H>・<W>・<WSi>を求め、その求めたチャネル行列<H>’=<WAi>・<H>・<W>・<WSi>をウェイト決定手段25Aへ出力する。なお、乗算結果<WAi>・<H>・<W>・<WSi>は、乗算結果<WSi>・<H>・<W>・<WAi>と同じであるため、乗算結果<WAi>・<H>・<W>・<WSi>をチャネル行列<H>’と表記している。
【0115】
演算手段26Aは、その他、演算手段26と同じ機能を果たす。
【0116】
演算手段32Aは、ウェイト決定手段28から振幅位相制御ウェイト<WAo>,<WAi>を受け、信号生成手段29から既知信号<S>または情報信号<D>を受け、ウェイト決定手段25Aから干渉抑圧ウェイト<W>およびウェイト<e>を受ける。
【0117】
そして、演算手段32Aは、既知信号<S>に振幅位相制御ウェイト<WAi>および干渉抑圧ウェイト<W>を乗算し、その乗算結果を送信手段33へ出力する。また、演算手段32Aは、情報信号<D>に振幅位相制御ウェイト<WSo>,<WSi>、干渉抑圧ウェイト<W>およびウェイト<e>を乗算し、その乗算結果を送信手段33へ出力する。
【0118】
ウェイト決定手段25Aは、チャネル行列<H>’=<WAi>・<H>・<W>・<WSi>を演算手段26Aから受ける。そして、ウェイト決定手段25Aは、その受けたチャネル行列<H>’=<WAi>・<H>・<W>・<WSi>を固有値分解し、その固有値分解の結果を用いてチャネル行列<H>’=<WAi>・<H>・<W>・<WSi>を対角化するようにウェイト<e>を決定する。そうすると、ウェイト決定手段25Aは、その決定したウェイト<e>を演算手段26A,32Aへ出力する。
【0119】
ウェイト決定手段25Aは、その他、ウェイト決定手段25と同じ機能を果たす。
【0120】
図8は、図5に示す無線通信システム100Aにおいて秘密鍵を生成する方法を説明するためのフローチャートである。
【0121】
図8を参照して、秘密鍵の生成が開始されると、無線装置10A,20Aは、図4に示すステップS1〜ステップS3を順次実行し、開始信号STRTおよび応答信号RESを相互に送受信する(ステップS21〜ステップS23)。
【0122】
ステップS23の後、無線装置20Aは、上述した方法によって、干渉抑圧ウェイト<W>を決定する(ステップS24)。
【0123】
そして、無線装置10A,20Aは、それぞれ、既知信号<S>,<S>を相互に送受信してウェイト<e>を決定する(ステップS25)。
【0124】
そして、無線装置10Aの信号生成手段17は、k=1(1≦k≦m)を設定し(ステップS26)、情報信号<D>を演算手段18Aへ出力する。また、無線装置10Aのウェイト決定手段16は、振幅位相制御ウェイト<WSi>,<WSo>を任意に決定し(ステップS27)、その決定した振幅位相制御ウェイト<WSi>,<WSo>を演算手段14A,18Aへ出力する。
【0125】
無線装置10Aの演算手段18Aは、信号生成手段17から受けた情報信号<D>に乗算結果<WSi>・<e>・<WSo>を乗算し、その乗算結果<WSi>・<e>・<WSo>・<D>を送信手段19へ出力し、送信手段19は、乗算結果<WSi>・<e>・<WSo>・<D>をアンテナ11,12を介して固有ビーム空間分割多重伝送によって無線装置20Aへ送信する(ステップS28)。
【0126】
ここで、振幅位相制御ウェイト<WSo>は、上述したように、データ自体を拡散するためのウェイトであり、対角行列からなる。従って、振幅位相制御ウェイト<WSo>を乗算することによって、盗聴者に対して秘匿を行なうことができる。
【0127】
無線装置20Aの受信手段24は、アンテナ21〜23を介して受信信号<R”>を受信する。この場合、受信信号<R”>は、次式によって表される。
【0128】
<R”>=<H>・<WSi>・<e>・<WSo>・<D>・・・(6)
無線装置20Aのウェイト決定手段28は、振幅位相制御ウェイト<WAi>,<WAo>を任意に決定し(ステップS29)、その決定した振幅位相制御ウェイト<WAi>,<WAo>を演算手段26A,32Aへ出力する。
【0129】
無線装置20Aの受信手段24は、その受信した受信信号<R”>=<H>・<WSi>・<e>・<WSo>・<D>を演算手段26Aへ出力する。無線装置20Aの演算手段26Aは、受信手段24から受信信号<R”>=<H>・<WSi>・<e>・<WSo>・<D>を受け、ウェイト決定手段25Aから干渉抑圧ウェイト<W>およびウェイト<e>を受ける。そして、無線装置20Aの演算手段26Aは、受信信号<R”>=<H>・<WSi>・<e>・<WSo>・<D>に乗算結果<WAi>・<e>・<WAo>・<W>を乗算する(ステップS30)。
【0130】
無線装置20Aの鍵生成手段27は、乗算結果<WAi>・<e>・<WAo>・<W>・<H>・<WSi>・<e>・<WSo>・<D>を演算手段26Aから受け、情報信号<D>(=<D>)を信号生成手段29から受ける。そして、無線装置20Aの鍵生成手段27は、情報信号<D>を用いて乗算結果<WAi>・<e>・<WAo>・<W>・<H>・<WSi>・<e>・<WSo>・<D>から共有するチャネル行列H”=<WAi>・<e>・<WAo>・<W>・<H>・<WSi>・<e>・<WSo>を求め、その求めたチャネル行列H”を一時保存する(ステップS31)。
【0131】
その後、無線装置20Aの信号生成手段29は、情報信号<D>を演算手段32Aへ出力し、演算手段32Aは、信号生成手段29から受けた情報信号<D>に乗算結果<W>・<WAi>・<e>・<WAo>を乗算して固有ビーム空間分割多重伝送によって無線装置10Aへ送信する(ステップS32)。
【0132】
ここで、振幅位相制御ウェイト<WAo>は、上述したように、データ自体を拡散するためのウェイトであり、対角行列からなる。従って、振幅位相制御ウェイト<WAo>を乗算することによって、盗聴者に対して秘匿を行なうことができる。
【0133】
無線装置10Aの受信手段13は、アンテナ11,12を介して受信信号<R”>を受信する。この場合、受信信号<R”>は、次式によって表される。
【0134】
<R”>=<H>・<W>・<WAi>・<e>・<WAo>・<D>・・・(7)
そして、無線装置10Aの受信手段13は、受信信号<R”>=<H>・<W>・<WAi>・<e>・<WAo>・<D>を演算手段14Aへ出力する。そして、無線装置10Aの演算手段14Aは、<R”>=<H>・<W>・<WAi>・<e>・<WAo>・<D>に乗算結果<WSo>・<e>・<WSiを乗算し(ステップS33)、その乗算結果<WSo>・<e>・<WSi・<H>・<W>・<WAi>・<e>・<WAo>・<D>を鍵生成手段15へ出力する。
【0135】
そうすると、無線装置10Aの鍵生成手段15は、乗算結果<WSo>・<e>・<WSi・<H>・<W>・<WAi>・<e>・<WAo>・<D>を演算手段14Aから受け、情報信号<D>(=<D>)を信号生成手段17から受ける。そして、無線装置10Aの鍵生成手段15は、情報信号<D>を用いて乗算結果<WSo>・<e>・<WSi・<H>・<W>・<WAi>・<e>・<WAo>・<D>から乗算結果<WSo>・<e>・<WSi・<H>・<W>・<WAi>・<e>・<WAo>を求め、その求めた乗算結果<WSo>・<e>・<WSi・<H>・<W>・<WAi>・<e>・<WAo>をチャネル行列H”=<WAi>・<e>・<WAo>・<W>・<H>・<WSi>・<e>・<WSo>に一致する<WSo>・<e>・<WSi>・<H>・<W>・<WAi>・<e>・<WAo>に変換し、その変換した<WSo>・<e>・<WSi>・<H>・<W>・<WAi>・<e>・<WAo>をチャネル行列H”として一時保存する(ステップS34)。
【0136】
なお、電波伝搬の可逆性から<WSo>・<e>・<WSi>・<H>・<W>・<WAi>・<e>・<WAo>は、<WAi>・<e>・<WAo>・<W>・<H>・<WSi>・<e>・<WSo>と同じである。
【0137】
また、<WSo>・<e>・<WSi>・<H>・<W>・<WAi>・<e>・<WAo>および<WAi>・<e>・<WAo>・<W>・<H>・<WSi>・<e>・<WSo>は、対角行列からなるため、情報信号<D>,<D>が互いに干渉せず、情報信号<D>,<D>を個別に取り出すことができる。また、無線装置10A,20Aにおいて、同じチャネル行列H”を取得できる。
【0138】
その後、無線装置10Aの信号生成手段17は、k=mであるか否かを判定する(ステップS35)。
【0139】
ステップS35において、k=mでないと判定されたとき、無線装置10Aの信号生成手段17は、k=k+1を設定する(ステップS36)。その後、一連の動作は、ステップS27へ戻り、ステップS35において、k=mであると判定されるまで、上述したステップS27〜ステップS36が繰返し実行される。
【0140】
そして、ステップS35において、k=mであると判定されると、無線装置10Aの鍵生成手段15は、m個のチャネル行列H”の各々について複数の固有値を求め、その複数の固有値から最大の固有値を抽出する処理をm個のチャネル行列H”の全てについて実行する。その結果、無線装置10Aの鍵生成手段15は、m個の最大の固有値を取得する。そして、無線装置10Aの鍵生成手段15は、m個の最大の固有値を中央値で2値化して秘密鍵Ks1を生成する。
【0141】
また、無線装置20Aの鍵生成手段27も、無線装置10Aの鍵生成手段15と同じ方法によって秘密鍵Ks1と同じ秘密鍵Ks2を生成する(ステップS37)。これによって、秘密鍵Ks1,Ks2の生成が終了する。
【0142】
図9は、図8に示すステップS25の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0143】
図9を参照して、図8に示すステップS24の後、無線装置10Aは、既知信号<S>に振幅位相制御ウェイト<WSi>を乗算して無線装置20Aへ送信する(ステップS251)。
【0144】
無線装置20Aは、受信信号に干渉抑圧ウェイト<W>および振幅位相制御ウェイト<WAi>を乗算し(ステップS252)、その乗算結果に基づいて、<WAi>・<W>・<H>・<WSi>を求める(ステップS253)。
【0145】
そして、無線装置20Aは、乗算結果<WAi>・<W>・<H>・<WSi>を固有値分解し、その固有値分解の結果に基づいて、乗算結果<WAi>・<W>・<H>・<WSi>を対角化するウェイト<e>を決定する(ステップS254)。
【0146】
引き続いて、無線装置20Aは、既知信号<S>に干渉抑圧ウェイト<W>および振幅位相制御ウェイト<WAi>を乗算して無線装置10Aへ送信する(ステップS255)。
【0147】
無線装置A0Aは、受信信号に振幅位相制御ウェイト<WSi>を乗算し(ステップS256)、その乗算結果に基づいて、<WSi>・<H>・<W>・<WAi>を求める(ステップS257)。
【0148】
そして、無線装置10Aは、乗算結果<WSi>・<H>・<W>・<WAi>を固有値分解し、その固有値分解の結果に基づいて、乗算結果<WSi>・<H>・<W>・<WAi>を対角化するウェイト<e>を決定する(ステップS258)
その後、一連の動作は、図8に示すステップS26へ移行する。
【0149】
上述したように、干渉源30の近傍に存在する無線装置20Aは、無線装置10Aからの受信信号に乗算結果<WAo>・<e>・<WAi>・<W>を乗算してチャネル行列H”を求め、その求めたチャネル行列H”に基づいて秘密鍵Ks2を生成する(ステップS30,S31,S37参照)。また、無線装置10Aは、無線装置20Aによって情報信号<D>に乗算結果<W>・<WAi>・<e>・<WAo>が乗算されたものを無線装置20Aから受信してチャネル行列H”を求め、その求めたチャネル行列H”に基づいて秘密鍵Ks1を生成する(ステップS32〜ステップS34,S37参照)。
【0150】
即ち、無線装置10A,20Aは、振幅位相制御ウェイト<WAo>、振幅位相制御ウェイト<WAi>、振幅位相制御ウェイト<WSo>、振幅位相制御ウェイト<WSi>、干渉抑圧ウェイト<W>、ウェイト<e>およびチャネルを用いて通信相手から情報信号を受信し、その受信信号に基づいて振幅位相制御ウェイト<WAo>、振幅位相制御ウェイト<WAi>、振幅位相制御ウェイト<WSo>、振幅位相制御ウェイト<WSi>、干渉抑圧ウェイト<W>、ウェイト<e>およびチャネル行列<H>が乗算された乗算結果を求め、その求めた乗算結果に基づいて秘密鍵Ks1,Ks2を生成する。つまり、無線装置10A,20Aは、干渉波を抑圧しながら情報信号<D>,<D>を用いて秘密鍵Ks1,Ks2を生成する。
【0151】
従って、無線装置10A,20Aは、干渉源30からの干渉波が存在する環境においても干渉を抑圧して秘密鍵Ks1,Ks2を生成できる。
【0152】
また、無線装置10A,20Aは、情報信号<D>,<D>の送受信においてウェイト<e>を乗算してチャネル行列H”を求める(ステップS28,S30,S32,S33参照)。
【0153】
従って、無線装置10A,20Aは、アンテナ11,12とアンテナ21〜23との間の経路を区別して情報信号<D>,<D>を送受信できる。
【0154】
更に、無線装置10A,20Aは、無線装置10Aにおいて任意に決定された振幅位相制御ウェイト<WSi>,<WSo>および無線装置20Aにおいて任意に決定された振幅位相制御ウェイト<WAi>,<WAo>が含まれるチャネル行列H”に基づいて、それぞれ、秘密鍵Ks1,Ks2を生成する。そして、盗聴者は、無線装置10Aまたは無線装置20Aからの電波を傍受しても、無線装置10A,20Aがチャネル行列H”に基づいて秘密鍵Ks1,Ks2を生成することを検知できない。
【0155】
従って、漏洩を抑制して秘密鍵Ks1,Ks2を生成できる。
【0156】
更に、無線装置10Aは、情報信号<D>に振幅位相制御ウェイト<WSi>,<WSo>を乗算して送信し、無線装置20Aは、既知信号<D>に振幅位相制御ウェイト<WAi>,<WAo>を乗算して送信する。そして、振幅位相制御ウェイト<WSi>,<WSo>および振幅位相制御ウェイト<WAi>,<WAo>は、ステップS27〜ステップS36のループが繰り返される毎に変えられる。
【0157】
その結果、チャネル変動が振幅位相制御ウェイト<WSi>,<WSo>または振幅位相制御ウェイト<WAi>,<WAo>によって人為的に生成され、盗聴者から見れば、チャネルによる振幅位相変動なのか、ウェイトによる人為的な変動なのかが分からない。
【0158】
従って、秘密鍵Ks1,Ks2の秘匿性を向上できる。
【0159】
なお、実施の形態2においては、振幅位相制御ウェイト<WSi>,<WSo>または振幅位相制御ウェイト<WAi>,<WAo>をステップS27〜ステップS36のループが繰り返される毎に変えなくてもよく、振幅位相制御ウェイト<WSi>,<WSo>または振幅位相制御ウェイト<WAi>,<WAo>をステップS27〜ステップS36のループが一定回数繰り返される毎に変えてもよく、秘密鍵Ks1,Ks2が生成されるまで、振幅位相制御ウェイト<WSi>,<WSo>または振幅位相制御ウェイト<WAi>,<WAo>を変えなくてもよい。
【0160】
振幅位相制御ウェイト<WSi>,<WSo>または振幅位相制御ウェイト<WAi>,<WAo>を変えなくても、上述したように、盗聴者にとっては、チャネルによる振幅位相変動なのか、ウェイトによる人為的な変動なのかが分からないからである。
【0161】
また、上記においては、チャネル行列H”の最大の固有値を2値化して秘密鍵Ks1,Ks2を生成すると説明したが、実施の形態2においては、これに限らず、チャネル行列H”の要素、絶対値および電力値を用いて秘密鍵Ks1,Ks2を生成してもよい。つまり、チャネル行列H”に基づいて秘密鍵Ks1,Ks2を生成すればよい。
【0162】
更に、上記においては、無線装置20,20Aは、無線装置10,10Aよりも1個だけ多い3個のアンテナ21〜23を備えると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、無線装置20,20Aは、無線装置10,10Aがn(nは2以上の整数)個のアンテナを備える場合、n+p(pは1以上の整数)個のアンテナを備える。
【0163】
なお、実施の形態2においては、ウェイト<e>は、「経路ウェイト」を構成する。
【0164】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0165】
この発明は、無線装置および無線通信システムに適用される。
【符号の説明】
【0166】
10,10A,20,20A 無線装置、11,12,21〜23,31 アンテナ、13,24 受信手段、14,14A,18,18A,26,26A,32,32A 演算手段、15,27 鍵生成手段、16,25,25A,28,34 ウェイト決定手段、17,29 信号生成手段、19,33 送信手段、30 干渉源、100,100A 無線通信システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
干渉源から干渉波を受けるとともに、多入力/多出力通信方式によって無線通信を行なう無線装置であって、
n+p(nは2以上の整数、pは1以上の整数)個のアンテナと、
他の無線装置と前記n+p個のアンテナを介して無線通信を行う無線通信器とを備え、
前記無線通信器は、前記他の無線装置において任意に決定され、かつ、前記n+p個のアンテナと前記他の無線装置に装着されたn個のアンテナとの間のチャネルを変動させる第1の振幅位相制御ウェイトを既知信号に乗算した第1の乗算結果を前記チャネルおよび前記n+p個のアンテナを介して受信し、当該無線装置において任意に決定され、かつ、前記チャネルを変動させる第2の振幅位相制御ウェイトと前記干渉波を抑圧する干渉抑圧ウェイトとを前記受信した受信信号に乗算して第2の乗算結果を取得し、その取得した第2の乗算結果から前記既知信号を除いて第3の乗算結果を取得する処理をm(mは1以上の整数)回実行し、前記処理を前記m回実行して得られたm個の第3の乗算結果に基づいて秘密鍵を生成する、無線装置。
【請求項2】
多入力/多出力通信方式によって無線通信を行なう無線装置であって、
n(nは2以上の整数)個のアンテナと、
干渉源から干渉波を受ける他の無線装置と前記n個のアンテナを介して無線通信を行う無線通信器とを備え、
前記無線通信器は、前記他の無線装置において任意に決定され、かつ、前記n個のアンテナと前記他の無線装置に装着されたn+p(pは1以上の整数)個のアンテナとの間のチャネルを変動させる第1の振幅位相制御ウェイトと前記干渉波を抑圧する干渉抑圧ウェイトとを既知信号に乗算した第1の乗算結果を前記チャネルおよび前記n個のアンテナを介して受信し、当該無線装置において任意に決定され、かつ、前記チャネルを変動させる第2の振幅位相制御ウェイトを前記受信した受信信号に乗算して第2の乗算結果を取得し、その取得した第2の乗算結果から前記既知信号を除いて第3の乗算結果を取得し、その取得した第3の乗算結果を前記他の無線装置によって取得された乗算結果に一致する第4の乗算結果に変換する処理をm(mは1以上の整数)回実行し、前記処理を前記m回実行して得られたm個の第4の乗算結果に基づいて秘密鍵を生成する、無線装置。
【請求項3】
干渉源から干渉波を受けるとともに、多入力/多出力通信方式によって無線通信を行なう無線装置であって、
n+p(nは2以上の整数、pは1以上の整数)個のアンテナと、
他の無線装置と前記n+p個のアンテナを介して無線通信を行う無線通信器とを備え、
前記無線通信器は、前記n+p個のアンテナと前記他の無線装置に装着されたn個のアンテナとの間の経路を区別して無線通信を行なうための経路ウェイトと、前記他の無線装置において任意に決定され、かつ、データを変動させる第1の振幅位相制御ウェイトと、前記他の無線装置において任意に決定され、かつ、前記n+p個のアンテナと前記n個のアンテナとの間のチャネルを変動させる第2の振幅位相制御ウェイトとを情報信号に乗算した第1の乗算結果を前記チャネルおよび前記n+p個のアンテナを介して受信し、当該無線装置において任意に決定され、かつ、前記データを変動させる第3の振幅位相制御ウェイトと、当該無線装置において任意に決定され、かつ、前記チャネルを変動させる第4の振幅位相制御ウェイトと、前記経路ウェイトとを前記受信した受信信号に乗算して第2の乗算結果を取得し、その取得した第2の乗算結果から前記情報信号を除いて第3の乗算結果を取得する処理をm(mは1以上の整数)回実行し、前記処理を前記m回実行して得られたm個の第3の乗算結果に基づいて秘密鍵を生成する、無線装置。
【請求項4】
多入力/多出力通信方式によって無線通信を行なう無線装置であって、
n(nは2以上の整数)個のアンテナと、
干渉源から干渉波を受ける他の無線装置と前記n個のアンテナを介して無線通信を行う無線通信器とを備え、
前記無線通信器は、前記n個のアンテナと前記他の無線装置に装着されたn+p(pは1以上の整数)個のアンテナとの間の経路を区別して無線通信を行なうための経路ウェイトと、前記他の無線装置において任意に決定され、かつ、データを変動させる第1の振幅位相制御ウェイトと、前記他の無線装置において任意に決定され、かつ、前記n+p個のアンテナと前記n個のアンテナとの間のチャネルを変動させる第2の振幅位相制御ウェイトと、前記干渉波を抑圧する干渉抑圧ウェイトとを情報信号に乗算した第1の乗算結果を前記チャネルおよび前記n個のアンテナを介して受信し、当該無線装置において任意に決定され、かつ、データを変動させる第3の振幅位相制御ウェイトと、当該無線装置において任意に決定され、かつ、前記チャネルを変動させる第4の振幅位相制御ウェイトと、前記経路ウェイトとを前記受信した受信信号に乗算して第2の乗算結果を取得し、その取得した第2の乗算結果から前記情報信号を除いて第3の乗算結果を取得し、その取得した第3の乗算結果を前記他の無線装置によって取得された乗算結果に一致する第4の乗算結果に変換する処理をm(mは1以上の整数)回実行し、前記処理を前記m回実行して得られたm個の第4の乗算結果に基づいて秘密鍵を生成する、無線装置。
【請求項5】
n(nは2以上の整数)個のアンテナを用いて無線通信を行なう第1の無線装置と、
干渉源からの干渉波を受信し、n+p(pは1以上の整数)個のアンテナを用いて前記第1の無線装置と無線通信を行なう第2の無線装置とを備え、
前記第2の無線装置は、前記第1の無線装置において任意に決定され、かつ、前記第1の無線装置と前記第2の無線装置との間のチャネルを変動させる第1の振幅位相制御ウェイトを第1の既知信号に乗算した第1の乗算結果を前記n個のアンテナと前記n+p個のアンテナとの間のチャネルおよび前記n+p個のアンテナを介して前記第1の無線装置から受信し、前記干渉波を抑圧する干渉抑圧ウェイトと、前記第2の無線装置において任意に決定され、かつ、前記第1の無線装置と前記第2の無線装置との間のチャネルを変動させる第2の振幅位相制御ウェイトとを前記受信した受信信号に乗算して第2の乗算結果を取得し、その取得した第2の乗算結果から前記第1の既知信号を除いて第3の乗算結果を取得する第1の処理をm(mは1以上の整数)回実行し、その求めたm個の第3の乗算結果に基づいて第1の秘密鍵を生成し、
前記第1の無線装置は、前記第2の振幅位相制御ウェイトと前記干渉抑圧ウェイトとを第2の既知信号に乗算した第4の乗算結果を前記チャネルおよび前記n個のアンテナを介して前記第2の無線装置から受信し、その受信した受信信号に前記第1の振幅位相制御ウェイトを乗算して第5の乗算結果を取得し、その取得した第5の乗算結果から前記第2の既知信号を除いて第6の乗算結果を取得し、その取得した第6の乗算結果を前記第3の乗算結果に一致する第7の乗算結果に変換する第2の処理を前記m回実行し、前記第2の処理を前記m回実行して得られたm個の第7の乗算結果に基づいて前記第1の秘密鍵と同じ第2の秘密鍵を生成する、無線通信システム。
【請求項6】
前記第1および第2の処理の各々は、前記第1の振幅位相制御ウェイトおよび前記第2の振幅位相制御ウェイトが1回毎に変えられながら前記m回実行される、請求項5に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記m個の第3の乗算結果は、m個の第1の行列からなり、
前記m個の第7の乗算結果は、m個の第2の行列からなり、
前記第2の無線装置は、前記第1の行列の固有値を演算して複数の固有値を取得し、その取得した複数の固有値から最大の固有値を選択する処理を前記m個の第1の行列の全てについて実行してm個の最大の固有値を取得し、その取得したm個の最大の固有値を閾値によって二値化して前記第1の秘密鍵を生成し、
前記第1の無線装置は、前記第2の行列の固有値を演算して前記複数の固有値を取得し、その取得した複数の固有値から前記最大の固有値を選択する処理を前記m個の第2の行列の全てについて実行して前記m個の最大の固有値を取得し、その取得したm個の最大の固有値を閾値によって二値化して前記第2の秘密鍵を生成する、請求項5または請求項6に記載の無線通信システム。
【請求項8】
n(nは2以上の整数)個のアンテナを用いて無線通信を行なう第1の無線装置と、
干渉源からの干渉波を受信し、n+p(pは1以上の整数)個のアンテナを用いて前記第1の無線装置と無線通信を行なう第2の無線装置とを備え、
前記第2の無線装置は、前記n個のアンテナと前記n+p個のアンテナとの間の経路を区別して無線通信を行なうための経路ウェイトと、前記第1の無線装置において任意に決定され、かつ、データを変動させる第1の振幅位相制御ウェイトと、前記第1の無線装置において任意に決定され、かつ、前記n個のアンテナと前記n+p個のアンテナとの間のチャネルを変動させる第2の振幅位相制御ウェイトとを第1の情報信号に乗算した第1の乗算結果を前記チャネルおよび前記n+p個のアンテナを介して前記第1の無線装置から受信し、前記第2の無線装置において任意に決定され、かつ、データを変動させる第3の振幅位相制御ウェイトと、前記第2の無線装置において任意に決定され、かつ、前記チャネルを変動させる第4の振幅位相制御ウェイトと、前記干渉波を抑圧する干渉抑圧ウェイトとを前記受信した受信信号に乗算して第2の乗算結果を取得し、その取得した第2の乗算結果から前記第1の情報信号を除いて第3の乗算結果を取得する第1の処理をm(mは1以上の整数)回実行し、その求めたm個の第3の乗算結果に基づいて第1の秘密鍵を生成し、
前記第1の無線装置は、前記第3および第4の振幅位相制御ウェイトと前記経路ウェイトと前記干渉抑圧ウェイトとを第2の情報信号に乗算した第4の乗算結果を前記チャネルおよび前記n個のアンテナを介して前記第2の無線装置から受信し、その受信した受信信号に前記第1および第2の振幅位相制御ウェイトと前記経路ウェイトとを乗算して第5の乗算結果を取得し、その取得した第5の乗算結果から前記第2の情報信号を除いて第6の乗算結果を取得し、その取得した第6の乗算結果を前記第3の乗算結果に一致する第7の乗算結果に変換する第2の処理を前記m回実行し、前記第2の処理を前記m回実行して得られたm個の第7の乗算結果に基づいて前記第1の秘密鍵と同じ第2の秘密鍵を生成する、無線通信システム。
【請求項9】
前記第1の情報信号は、前記第2の無線装置宛ての信号であり、
前記第2の情報信号は、前記第1の無線装置宛ての信号である、請求項8に記載の無線通信システム。
【請求項10】
前記第1および第2の処理の各々は、前記第1から第4の振幅位相制御ウェイトが1回毎に変えられながら前記m回実行される、請求項8または請求項9に記載の無線通信システム。
【請求項11】
前記m個の第3の乗算結果は、m個の第1の行列からなり、
前記m個の第7の乗算結果は、m個の第2の行列からなり、
前記第2の無線装置は、前記第1の行列の固有値を演算して複数の固有値を取得し、その取得した複数の固有値から最大の固有値を選択する処理を前記m個の第1の行列の全てについて実行してm個の最大の固有値を取得し、その取得したm個の最大の固有値を閾値によって二値化して前記第1の秘密鍵を生成し、
前記第1の無線装置は、前記第2の行列の固有値を演算して前記複数の固有値を取得し、その取得した複数の固有値から前記最大の固有値を選択する処理を前記m個の第2の行列の全てについて実行して前記m個の最大の固有値を取得し、その取得したm個の最大の固有値を閾値によって二値化して前記第2の秘密鍵を生成する、請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−175446(P2012−175446A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36096(P2011−36096)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、支出負担行為担当官、総務省大臣官房会計課企画官、研究テーマ「異種無線システム動的利用による信頼性向上技術の研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)
【Fターム(参考)】