説明

無線装置およびメトリック計算方法

【課題】回路規模の増大を抑制し、消費電力を低減する。
【解決手段】減算部1aは、受信した受信信号点から、取り得る送信信号点に伝搬路状態の影響を反映させたレプリカを減算する。計算部1bは、2次関数を2のべき乗で区切った線形補間式を用いて、減算部1aによって算出される、受信信号点からレプリカを減算した値から、受信信号点とレプリカとのメトリックを計算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、複数のアンテナを用いて無線通信を行う無線装置およびそのメトリック計算方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、MIMO(Multi-Input Multi-Output)技術は、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)や3GPP(3rd Generation Partnership Project)のLTE(Long Term Evolution)などの無線通信システムに適用されており、高速伝送を実現する重要な技術となっている。
【0003】
MIMOの復調技術に関しては、様々な技術があるが、代表的なものとして、例えば、MLD(Maximum Likelihood Detection)、MMSE(Minimum Means Square Error)、およびZF(Zero Forcing)などが挙げられる。このうち、MLDは、受信機において、例えば、送信機から送信され得る複数の送信信号点のレプリカと受信信号点とのメトリックを算出する。そして、受信機は、算出したメトリックの最も小さいレプリカを検索することにより、送信機の送信した送信信号点を推定する。
【0004】
MLDは、MMSEやZFに比べて非常に受信性能が高く、同じ環境であれば低い誤り率を実現することができる。一方、MLDは、MMSEやZFに比べ処理量が多く、回路規模や消費電力が大きくなる。
【0005】
MLDの処理量を削減する方法は、多数考案され、例えば、QRM−MLDやシンボルランキングに基づく方法などが提案されている。これらの方法は、全てのレプリカに対して検索を行うのではなく、レプリカ候補を絞る段階的なアルゴリズムによって、検索対象のレプリカを低減し、処理量を削減している。
【0006】
MLDの受信機では、多数のレプリカに対する受信信号点のメトリックとして、2乗ユークリッド距離を用いることが一般的である。これは、次の理由による。まず、MLDは、ある送信信号点が送信された場合に、受信する受信信号点の確率を最大化する送信信号点を検索するものである。そして、ある送信信号点の受信信号点への遷移確率は、レプリカと受信信号点との2乗ユークリッド距離の大小で決まるからである。つまり、最も確率の高い送信信号点のレプリカを検索することは、2乗ユークリッド距離の最も小さいレプリカを検索することと同じであるためである。
【0007】
なお、従来、MIMO技術を用いた無線通信を行う際に、良好な特性を実現しながらも、現実的な回路規模および演算量にて実現可能な無線通信装置が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−217506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、2乗ユークリッド距離の計算は、2乗計算を行うために乗算器を要し、多数のレプリカ検索のため大量の乗算処理を要する。そのため、回路規模が増大し、消費電力が大きくなるという問題点があった。
【0010】
本件はこのような点に鑑みてなされたものであり、回路規模の増大を抑制し、消費電力を低減することができる無線装置およびメトリック計算方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、複数のアンテナを用いて無線通信を行う無線装置が提供される。この無線装置は、受信した受信信号点から、取り得る送信信号点に伝搬路状態の影響を反映させたレプリカを減算する減算部と、2次関数を2のべき乗で区切った線形補間式を用いて、前記減算部によって算出される値から、前記受信信号点と前記レプリカとのメトリックを計算する計算部と、を有する。
【発明の効果】
【0012】
開示の装置および方法によれば、回路規模の増大を抑制し、消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施の形態に係る無線装置のブロック図である。
【図2】2次関数を2のべき乗で区切った線形補間式を説明する図である。
【図3】第2の実施の形態に係る移動通信システムを示した図である。
【図4】送信装置のブロック図である。
【図5】無線装置のブロック図である。
【図6】MLD処理部のブロック図である。
【図7】メトリック計算部のブロック図である。
【図8】桁検出部のブロック図である。
【図9】線形補間式、2乗ユークリッド距離、およびマンハッタン距離でメトリックを算出した場合に対する誤り率のシミュレーション結果を示した図である。
【図10】無線装置の動作を示したフローチャートである。
【図11】第3の実施の形態に係るメトリック計算部のブロック図である。
【図12】無線装置のハードウェア構成例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る無線装置のブロック図である。図1に示すように、無線装置1は、減算部1aおよび計算部1bを有している。図1には、無線装置1にデータを送信する送信装置2も示している。無線装置1および送信装置2は、それぞれ複数のアンテナを有し、MIMOにより無線通信を行う。
【0015】
無線装置1の減算部1aは、送信装置2から受信した受信信号点から、取り得る送信信号点に伝搬路状態の影響を反映させたレプリカを減算する。
受信信号点およびレプリカは、IQ座標により、複素数で示される。従って、受信した受信信号点からレプリカを減算するということは、レプリカに対する受信信号点のベクトルを算出しているということになる。減算部1aからは、次の式(1)に示す形式の値が得られる。なお、jは、虚数単位を示す。
【0016】
a+jb …(1)
計算部1bは、2次関数を2のべき乗で区切った線形補間式を用いて、減算部1aによって算出される、受信信号点からレプリカを減算した値から、受信信号点とレプリカとのメトリックを計算する。
【0017】
ここで、受信信号点とレプリカとのメトリックを2乗ユークリッド距離で求めると、次の式(2)で示される。
2+b2 …(2)
一方、計算部1bは、上記したように2次関数を2のべき乗で区切った線形補間式を用いてメトリックを計算する。例えば、2次関数f(x)=x2を2のべき乗で区切った線形補間式は、次の式(3)によって示される。なお、nは、xを2進数で示したときの桁数を示している。
【0018】
f(x)=2n-1(3|x|−2n) …(3)
従って、計算部1bの計算するメトリックは、次の式(4)で示される。
k-1(3|a|−2k)+2l-1(3|b|−2l) …(4)
kは、aを2進数で示したときの桁数を示している。lは、bを2進数で示したときの桁数を示している。なお、式(4)の第1項は、式(2)の第1項の近似計算を行っている。式(4)の第2項は、式(2)の第2項の近似計算を行っている。
【0019】
例えば、減算部1aから出力される式(1)のa,bは、16ビットで出力されるとする。a,bのそれぞれの値は、000101…101、0000011…001であるとする。前記の2進数の左側をMSB(Most Significant Bit)、右側をLSB(Least Significant Bit)とする。なお、以下で2進数を示した場合、左側をMSB、右側をLSBとする。
【0020】
この場合、aの桁数は、MSB(16ビット目)から14ビット目までが0であるので、13桁となる。bの桁数は、MSBから12ビット目までが0であるので、11桁となる。従って、式(4)のk,lは、k=13およびl=11となり、計算部1bの計算するメトリックは、次の式(5)に示すようになる。
【0021】
12(3|a|−213)+210(3|b|−211) …(5)
なお、aは、上記した000101…101であり、bは0000011…001である。
【0022】
すなわち、計算部1bは、2次関数を2のべき乗で区切った線形補間式を用いて、2乗ユークリッド距離を近似計算する。
2次関数を2のべき乗で区切った線形補間式について説明する。
【0023】
図2は、2次関数を2のべき乗で区切った線形補間式を説明する図である。図2に示す点線のグラフW1は、f(x)=x2のグラフを示している。実線のグラフW2〜W4は、グラフW1を2のべき乗2n-1≦x<2nで区切った線形補間式のグラフを示している。
【0024】
例えば、グラフW2は、グラフW1を28と29で区切った区間の線形補間式を示している。グラフW3は、グラフW1を29と210で区切った区間の線形補間式を示している。グラフW4は、グラフW1を210と211で区切った区間の線形補間式を示している。なお、図2では、0〜21,21〜22,…,27〜28および211〜212,…で区切った線形補間式も存在するが、その図示を省略している。
【0025】
式(3)の桁数nは、2次関数を2のべき乗2n-1≦x<2nで区切った線形補間式を選択していると言える。例えば、n=9の場合、線形補間式は、グラフW2に示すようになる。n=10の場合、線形補間式は、グラフW3に示すようになる。n=11の場合、線形補間式は、グラフW4に示すようになる。
【0026】
例えば、520の2乗を、式(3)の線形補間式で求める(近似する)とする。520は、2進数で示すと、‘1000001000’である。桁数nは、10桁である。従って、520を求める線形補間式は、グラフW3(n=10)となり、次の式(6)で示される。
【0027】
f(x)=29(3|x|−210) …(6)
xに520を代入すると、式(6)の値は、274432となる。なお、520の2乗は、270400である。
【0028】
2次関数を2のべき乗で区切った線形補間式は、式(3)で示される。式(3)に示す3|x|の乗算は、2|x|+|x|に分解でき、2|x|は、|x|を1ビットシフトすることにより演算できる。また、2n-1と3|x|−2nの乗算は、3|x|−2nをn−1ビットシフトすることにより演算できる。
【0029】
すなわち、式(3)の線形補間式は、乗算器をビットシフトに置き換えることによってメトリックを計算できる。つまり、無線装置1は、乗算器を用いないで2乗ユークリッド距離の精度のよい近似値を算出でき、回路規模の増大を抑制し、消費電力を低減することができる。
【0030】
このように、無線装置1の減算部1aは、受信した受信信号点からレプリカを減算する。そして、計算部1bは、2次関数を2のべき乗で区切った線形補間式を用いて、減算部1aによって算出される値から、受信信号点とレプリカとのメトリックを計算するようにした。これにより、無線装置1は、回路規模の増大を抑制し、消費電力を低減することができる。
【0031】
また、無線装置1は、2次関数を2のべき乗で区切った線形補間式を用いてメトリックを算出するので、精度のよいメトリックを算出できる。
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
図3は、第2の実施の形態に係る移動通信システムを示した図である。図3に示すように、移動通信システムは、無線装置10および送信装置20を有している。無線装置10および送信装置20は、それぞれ複数のアンテナを有し、MIMOにより無線通信を行う。
【0033】
無線装置10は、例えば、携帯電話機などの無線端末である。送信装置20は、例えば、基地局である。無線装置10および送信装置20は、例えば、LTEによる無線通信を行う。
【0034】
図4は、送信装置のブロック図である。図4に示すように、送信装置20は、データ分割部21、シンボル変調部22a,22b、パイロット多重部23a,23b、無線部24a,24b、およびアンテナ25a,25bを有している。
【0035】
データ分割部21には、無線装置10に無線送信するデータが入力される。データ分割部21は、入力されたデータを分割し、シンボル変調部22a,22bに出力する。例えば、データ分割部21には、データD1,D2,D3,D4,…が入力されるとする。データ分割部21は、データD1,D3,…をシンボル変調部22aに出力し、データD2,D4,…をシンボル変調部22bに出力する。
【0036】
シンボル変調部22a,22bは、データ分割部21から出力されるデータをシンボル変調し、パイロット多重部23a,23bに出力する。例えば、シンボル変調部22a,22bは、データ分割部21から出力されるデータを、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)やM値のQAM(Quadrature Amplitude Modulation)によってシンボル変調する。
【0037】
パイロット多重部23a,23bは、シンボル変調部22a,22bから出力されるシンボルに、パイロット信号(パイロットシンボル)を多重する。無線装置10は、データシンボルに多重されるパイロット信号によって、電波伝搬路のチャネル状態を推定することができる。
【0038】
無線部24a,24bは、パイロット多重部23a,23bから出力されるシンボルを無線周波数の無線信号に変換し、アンテナ25a,25bに出力する。
なお、図4では、送信装置20は、2本のアンテナ25a,25bで無線信号を送信する例を示しているが、アンテナは、3本以上であってもよい。例えば、アンテナがn本の場合、シンボル変調部、パイロット多重部、および無線部は、n本のアンテナに対応して、n個ずつ存在する。データ分割部21は、入力されるデータをn個に分割して、n個のシンボル変調部に出力する。
【0039】
図5は、無線装置のブロック図である。図5に示すように、無線装置10は、アンテナ11a,11b、無線部12a,12b、シンボル分離部13a,13b、チャネル推定部14、およびMLD処理部15を有している。
【0040】
無線部12a,12bは、アンテナ11a,11bで受信された無線信号の周波数をベースバンド周波数に変換し、ベースバンド信号を抽出する。
シンボル分離部13a,13bは、無線部12a,12bから出力されるベースバンド信号から、データのシンボルと、パイロット信号のシンボルとに分離する。シンボル分離部13a,13bは、分離したデータのシンボルをMLD処理部15に出力し、分離したパイロット信号のシンボルをチャネル推定部14に出力する。
【0041】
シンボル分離部13a,13bから出力されるデータのシンボル(受信信号点)は、伝達関数行列Hの要素をHijとして、次の式(7)によって表される。
【0042】
【数1】

【0043】
iは、無線装置10のアンテナ11a,11bに対応する。アンテナ11aをi=1、アンテナ11bをi=2とする。jは、アンテナ25a,25bに対応する。アンテナ25aをj=1、アンテナ25bをj=2とする。Ntxは、送信側のアンテナの総数を示す。送信装置20は、2本のアンテナ25a,25bを備えているので、Ntxは2となる。sjは、送信装置20のアンテナjから送信された信号点を示す。niは、アンテナiで受信した信号に含まれる外部雑音や熱雑音などのノイズを示す。
【0044】
チャネル推定部14は、シンボル分離部13a,13bから出力されるパイロット信号を用いて、アンテナ11a,11bごとに、送信装置20のアンテナ25a,25bごとにおける伝搬路のチャネル値を算出する。すなわち、チャネル推定部14は、伝達関数行列Hの各成分を算出する。
【0045】
例えば、チャネル推定部14は、アンテナ25aとアンテナ11aとにおける伝搬路のチャネル値と、アンテナ25bとアンテナ11aとにおける伝搬路のチャネル値とを算出する。また、チャネル推定部14は、アンテナ25aとアンテナ11bとにおける伝搬路のチャネル値と、アンテナ25bとアンテナ11bとにおける伝搬路のチャネル値とを算出する。
【0046】
MLD処理部15には、チャネル推定部14で算出されたチャネル値と、シンボル分離部13a,13bから出力されるデータのシンボルとが入力される。MLD処理部15は、MLDによって、チャネル推定部14で算出されたチャネル値と、シンボル分離部13a,13bから出力されるデータのシンボルとから、送信装置20が送信したデータを復調する。
【0047】
なお、図5では、無線装置10は、2本のアンテナ11a,11bで無線信号を受信する例を示しているが、アンテナは、3本以上であってもよい。例えば、アンテナがn本の場合、無線部およびシンボル分離部は、n本のアンテナに対応して、n個ずつ存在する。
【0048】
以下では、説明を簡単にするために、送信装置20が2本のアンテナ25a,25bを備え、無線装置10が2本のアンテナ11a,11bを備えた2×2MIMOの例について説明するが、もちろん、n×mMIMOについても適用できる。
【0049】
図6は、MLD処理部のブロック図である。図6に示すように、MLD処理部15は、レプリカ生成部15a、減算部15b、メトリック計算部15c、および最小メトリック候補選択部15dを有している。
【0050】
レプリカ生成部15aには、チャネル推定部14で算出されたチャネル値が入力される。レプリカ生成部15aは、チャネル推定部14で算出されたチャネル値を考慮したレプリカを生成する。例えば、レプリカ生成部15aは、送信装置20から送信され得る複数の送信信号点に伝達関数行列Hを乗算したレプリカを生成する。すなわち、レプリカ生成部15aは、伝搬路の状態に応じて、送信装置20から送信され得る複数の送信信号点の振幅を変更または回転してレプリカを生成する。
【0051】
具体的には、送信装置20のアンテナ25a,25bから送信され得る信号点をsj(k)とする。jは、上記したように、送信装置20のアンテナ25a,25bに対応する。
【0052】
kは、アンテナjに適用されている変調方式によって決まる値である。例えば、アンテナjにQPSKが適用されている場合、kは、k=1,2,…,4の値をとり、アンテナjから送信され得る信号点sj(k)は、IQ軸上のそれぞれにおいて次の値をとる。
【0053】
【数2】

【0054】
また、例えば、アンテナjに16QAMが適用されている場合、kは、k=1,2,…,16の値をとり、アンテナjから送信され得る信号点sj(k)は、IQ軸上のそれぞれにおいて次の値をとる。
【0055】
【数3】

【0056】
また、アンテナjに64QAMが適用されている場合、kは、k=1,2,…,64の値をとり、アンテナjから送信され得る信号点sj(k)は、IQ軸上のそれぞれにおいて次の値をとる。
【0057】
【数4】

【0058】
レプリカ生成部15aは、sj(k)に伝達関数行列Hを乗算してレプリカを生成する。例えば、アンテナjに64QAMの変調方式が適用されているとすると、レプリカ生成部15aは、k=1,2,…,64の64個の信号点sj(k)に対して、Hijj(k)を計算する。Hijは、伝達関数行列Hの要素を示す。iは、上記したように、無線装置10のアンテナ11a,11bに対応する。jは、上記したように、送信装置20のアンテナ25a,25bに対応する。
【0059】
ここで、上記の(a)〜(c)に示す各変調方式における信号点sj(k)を、それぞれ、21/2,101/2,421/2倍することを考える。すると、各変調方式のIQ軸上のそれぞれの値(実数部および虚数部の値)は、次の値をとる。
【0060】
QPSK:±1 …(d)
16QAM:±1,±3 …(e)
64QAM:±1,±3,±5,±7 …(f)
従って、レプリカ生成処理は、Hijj(k)の乗算を含むが、成分に分解すれば、乗算回数を低減することができる。
【0061】
例えば、64QAMにおいて、Hijj(k)の実数部は、次の式(8)によって算出することができる
Re(Hijj(k))=
Re(Hij)Re(sj(k))−Im(Hij)Im(sj(k)) …(8)
式(8)の右辺第1項は、次の式(9)に示すように変形することができる。
【0062】
【数5】

【0063】
式(9)の最右辺の421/2j(k)は、上記の(f)の値をとる。従って、レプリカ生成部15aは、±A,±3A,±5A,±7Aを計算することにより、式(8)の右辺第1項を算出できる。
【0064】
3A,5A,7Aは、それぞれ、3A=2A+A,5A=4A+A,7A=8A−Aと分解できる。2A,4A,8Aの乗算は、ビットシフトで実現できる。また、−A,−3A,−5A,−7Aは、A,3A,5A,Aを符号反転することにより算出できる。従って、レプリカ生成部15aは、例えば、上記の(f)に示す定数をメモリなどの記憶装置に記憶し、Aの計算を1回行えば、後は、ビットシフト、加算処理、および符号反転により、式(8)の右辺第1項を計算できる。つまり、レプリカ生成部15aは、1回の乗算で式(8)の右辺第1項を計算できる。
【0065】
なお、レプリカ生成部15aは、式(8)の右辺第2項も上記と同様にして計算することができる。
また、レプリカ生成部15aは、次の式(10)によって、64QAMにおけるHijj(k)の虚数部を算出できる。
【0066】
Im(Hijj(k))=
Re(Hij)Im(sj(k))+Im(Hij)Re(sj(k)) …(10)
レプリカ生成部15aは、上記の実数部の場合と同様にして式(10)の値を算出できる。
【0067】
また、上記では、64QAMのレプリカ生成について説明したが、その他の変調方式の場合も同様にしてレプリカを生成することができる。
また、上記は、送信装置20から送信され得る信号点が均等な確率で発生する場合に、sj(k)の電力が1となるような振幅で送信されているとして説明した。sj(k)の電力が1でない場合、レプリカ生成部15aは、対応する振幅で規格化することにより、上記と同様にしてレプリカを生成することができる。
【0068】
減算部15bは、シンボル分離部13a,13bから出力される受信信号点から、レプリカ生成部15aで生成されたレプリカを減算する。受信信号点からのレプリカの減算は、次の式(11)で示される。
【0069】
【数6】

【0070】
式(11)は、複素数であり、次の式(12)の形式で示される。
x(i)+jy(i) …(12)
x(i),y(i)は、s1(k1),s2(k2)のバリエーションについて計算される。例えば、s1(k1),s2(k2)がともに64QAMで変調されているとすると、s1(k1),s2(k2)のそれぞれのk1,k2は、64通りあるので、s1(k),s2(k)の組み合わせは、64×64通りある。なお、この計算は、例えば、QRM−MLDやシンボルランキングに基づく方法などによって、検索対象となるレプリカの組み合わせを絞り込み、計算数を低減することができる。
【0071】
すなわち、減算部15bは、無線装置10のアンテナiにおけるx(i),y(i)を算出してメトリック計算部15cに出力する。
メトリック計算部15cは、2次関数を2のべき乗で区切った線形補間式を用いて、減算部15bによって算出される値x(i),y(i)から、シンボル(受信信号点)とレプリカとのメトリックを計算する。
【0072】
ここで、受信信号点とレプリカとのメトリックを2乗ユークリッド距離で求めると、次の式(13)で示される。
【0073】
【数7】

【0074】
式(13)に示すように、2乗ユークリッド距離では乗算を要する。すなわち、2ユークリッド距離を求めるには、例えば、x(i)とx(i)とを乗算する乗算器を要する。
一方、メトリック計算部15cは、上記したように、2次関数を2のべき乗で区切った線形補間式を用いて、減算部15bによって算出される値x(i),y(i)から、受信信号点とレプリカとのメトリックを計算する。従って、以下で詳細に説明するが、メトリック計算部15cは、乗算器を用いることなく、受信信号点とレプリカとのメトリックを計算することができる。
【0075】
最小メトリック候補選択部15dは、メトリック計算部15cの計算するメトリックが最小となる送信信号点s1(k1),s2(k2)の組み合わせを選択する。
図7は、メトリック計算部のブロック図である。図7に示すように、メトリック計算部15cは、演算部30,40および加算部50を有している。演算部30には、減算部15bから出力されるx(i)が入力され、演算部40には、減算部15bから出力されるy(i)が入力される。以下では、x(i),y(i)を単にx,yと示すことがある。
【0076】
演算部30は、2次関数を2のべき乗で区切った線形補間式によって、x2の近似値を算出する。演算部40は、2次関数を2のべき乗で区切った線形補間式によって、y2の近似値を算出する。2次関数を2のべき乗で区切った線形補間式は、例えば、式(3)で示される。
【0077】
加算部50は、演算部30,40から出力されるx2,y2の近似値を加算する。つまり、加算部50は、式(13)に示す2乗ユークリッド距離の近似値を出力する。
演算部30は、絶対値算出部31、シフト部32,35,37、加算部33、桁検出部34、および減算部36を有している。演算部30は、前記の各部によって、式(3)の演算を行う。
【0078】
絶対値算出部31には、減算部15bから出力されるxが入力される。絶対値算出部31は、入力されるxの絶対値|x|を算出する。
シフト部32は、絶対値算出部31から出力される|x|を、2倍するように1ビットシフトする。
【0079】
加算部33には、絶対値算出部31から出力される|x|と、シフト部32から出力される2|x|とが入力される。加算部33は、入力される|x|と2|x|とを加算する。すなわち、加算部33は、式(3)の3|x|を算出する。
【0080】
桁検出部34は、絶対値算出部31から出力される|x|の桁数を検出する。桁検出部34は、例えば、|x|の桁数を、|x|のビット幅のビットフラグで出力する。例えば、桁検出部34は、|x|の桁数に対応するビットを立てた、|x|のビット幅のビットフラグを出力する。
【0081】
具体的には、絶対値算出部31から出力される|x|を、16ビットのデータとする。桁検出部34は、16ビットデータ|x|の桁数を示す16ビット幅のビットフラグを出力する。この桁検出部34から出力される16ビット幅のビットフラグの1ビット目は、16ビットデータ|x|の1桁目に対応し、桁検出部34から出力される16ビット幅のビットフラグの2ビット目は、16ビットデータ|x|の2桁目に対応し、以下、同様にして、桁検出部34から出力される16ビット幅のビットフラグの16ビット目は、16ビットデータ|x|の16桁目に対応するとする。
【0082】
桁検出部34に入力される|x|を、例えば、000101…101(16ビット)とする。この場合、桁検出部34からは、13ビット目に1が立ち、その他のビットは0の16ビット幅のビットフラグが出力される。
【0083】
シフト部35は、桁検出部34から出力される、|x|の桁数を示すビットフラグを2倍するように1ビットシフトする。桁検出部34からは、各ビットが|x|の桁数に対応したビットフラグで出力される。従って、ビットフラグの値を2倍するということは、例えば、|x|の桁数がnであるとすると、シフト部35からは、2nの値が出力されることになる。
【0084】
例えば、上記例に従い、桁検出部34からは、13ビット目に1が立ったビットフラグが出力されたとする。この値を2のべき乗で示すと、212となる。これを2倍するようにビットシフトすると、213となる。
【0085】
すなわち、|x|の桁数をnとすると、桁検出部34からは、2n-1の値が出力される。シフト部35は、これを2倍し、2nの値を出力する。つまり、シフト部35は、式(3)の右辺の括弧内の2nを算出する。
【0086】
減算部36は、加算部33から出力される3|x|から、シフト部35から出力される2nを減算する。すなわち、減算部36は、式(3)の‘3|x|−2n’を算出する。
シフト部37には、桁検出部34から出力される|x|の桁数と、減算部36から出力される‘3|x|−2n’とが入力される。シフト部37は、減算部36から出力される‘3|x|−2n’が、2の‘桁数−1’乗倍となるようにビットシフトする。すなわち、|x|の桁数をnとすると、シフト部37は、‘3|x|−2n’を2n-1倍する。つまり、シフト部37は、式(3)の右辺を算出する。
【0087】
以上から、演算部30からは、次の式(14)に示す値が出力される。
n-1(3|x|−2n) …(14)
なお、nは、|x|の桁数を示す。
【0088】
演算部40は、演算部30と同様の部位を有している。従って、演算部40からは、次の式(15)に示す値が出力される。
m-1(3|y|−2m) …(15)
なお、mは、|y|の桁数を示す。
【0089】
加算部50は、演算部30から出力される値と、演算部40から出力される値とを加算する。次の式(16)は、加算部50から出力される値を示している。
n-1(3|x|−2n)+2m-1(3|y|−2m) …(16)
式(16)の第1項は、式(13)の|x|2に対応し、式(16)の第2項は、式(13)の|y|2に対応する。このようにして、メトリック計算部15cからは、受信信号点とレプリカとのメトリックが出力される。
【0090】
図8は、桁検出部のブロック図である。図8に示すように、桁検出部34は、OR部61a,61b,…,61l,61m,61nおよびXOR部62a,62b,…,62l,62m,62nを有している。
【0091】
OR部61aには、|x|のMSBと、それより1ビット桁の小さいビットとが入力される。OR部61aは、|x|のMSBと、それより1ビット桁の小さいビットとのOR演算を行う。
【0092】
XOR部62aには、|x|のMSBと、OR部61aのOR演算結果とが入力される。XOR部62aは、|x|のMSBと、OR部61aのOR演算結果とのXOR演算を行う。
【0093】
OR部61bには、OR部61aのOR演算結果と、|x|のMSBより2ビット桁の小さいビットとが入力される。OR部61bは、OR部61aのOR演算結果と、|x|のMSBより2ビット桁の小さいビットとのOR演算を行う。
【0094】
XOR部62bには、OR部61aのOR演算結果と、OR部61bのOR演算結果とが入力される。XOR部62bは、OR部61aのOR演算結果と、OR部61bのOR演算結果とのXOR演算を行う。
【0095】
以下同様にして、残りのOR部およびXOR部もOR演算およびXOR演算を行う。なお、OR部61nには、|x|のLSBが入力される。
|x|のMSBからあるビットで初めて1が立つと、そのビットに対応するOR部は、1を出力する。そして、そのビットに対応するXORも1を出力する。
【0096】
1が立ったビットより下位のビットに対応するOR部は、上位のビットに対応するOR部から1が入力されるので、入力される|x|のビットが0であっても1であっても1を出力する。
【0097】
1が立ったビットより下位のビットに対応するXOR部は、対応するOR部から1が入力され、また、上位のビットに対応するOR部から1が入力されるので0を出力する。
すなわち、桁検出部34は、|x|のMSBからあるビットで初めて1が立つと1を出力し、それより下位のビットでは0を出力する。なお、桁検出部34は、|x|のMSBが1である場合、1をそのまま出力し、MSBより下位のビットでは0を出力する。
【0098】
図7に示すメトリック計算部15cは、絶対値算出部31、シフト部32,35,37、加算部33、および減算部36を有し、乗算器を含んでない。また、桁検出部34は、図8に示すように、乗算器を含むことなく形成することができる。すなわち、メトリック計算部15cは、乗算部を備えることなく、受信信号点とレプリカとのメトリックを計算することができる。よって、メトリック計算部15cは、回路規模の増大を抑制し、消費電力を低減することができる。
【0099】
図9は、線形補間式、2乗ユークリッド距離、およびマンハッタン距離でメトリックを算出した場合に対する誤り率のシミュレーション結果を示した図である。図9の横軸はSNR(Signal Noise Ratio)を示し、縦軸は無線装置10の受信したデータの誤り率を示している。
【0100】
図9に示す実線の波形W11は、2乗ユークリッド距離でメトリックを算出した場合の、データの誤り率のシミュレーション結果を示している。1点鎖線の波形W12は、2次関数を2のべき乗で区切った線形補間式を用いてメトリックを算出した場合の、データの誤り率のシミュレーション結果を示している。2点鎖線の波形W13は、マンハッタン距離を用いてメトリックを算出した場合の、データの誤り率のシミュレーション結果を示している。
【0101】
波形W13に示すように、マンハッタン距離でメトリックを算出した場合は、2乗ユークリッド距離でメトリックを算出した場合より誤り率が劣化している。一方、波形W12に示すように、2次関数を2のべき乗で区切った線形補間式を用いてメトリックを算出した場合は、マンハッタン距離より誤り率がよく、2乗ユークリッド距離と同程度の誤り率を得ている。
【0102】
図10は、無線装置の動作を示したフローチャートである。
[ステップS1]レプリカ生成部15aは、チャネル推定部14で算出されたチャネル値と、送信装置20から送信され得る複数の送信信号点とに基づいてレプリカを生成する。
【0103】
[ステップS2]減算部15bは、受信された受信信号点から、レプリカ生成部15aで生成されたレプリカを減算する。
[ステップS3]メトリック計算部15cは、2次関数を2のべき乗で区切った線形補間式を用いて、減算部15bによって算出される値から、受信信号点とレプリカとのメトリックを計算する。
【0104】
[ステップS4]最小メトリック候補選択部15dは、メトリック計算部15cの計算するメトリックが最小となる送信信号点の組み合わせを選択する。
このように、無線装置10の減算部15bは、受信した受信信号点からレプリカを減算する。そして、メトリック計算部15cは、2次関数を2のべき乗で区切った線形補間式を用いて、減算部15bによって算出された値から、受信信号点とレプリカとのメトリックを計算するようにした。これにより、無線装置10は、回路規模の増大を抑制し、消費電力を低減することができる。
【0105】
また、メトリック計算部15cは、2次関数を2のべき乗で区切った線形補間式を用いてメトリックを算出するので、2乗ユークリッド距離と同程度の誤り率を得ることができる。
【0106】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。第3の実施の形態では、メトリック計算部の別の例について説明する。なお、第3の実施の形態に係る無線装置のブロックは、図5に示したブロックと同様である。また、MLD処理部15は、図6に示したブロックと同様である。
【0107】
式(3)に示す2次関数を2のべき乗で区切った線形補間式は、次の式(17)に示すように変形することができる。
f(x)=2n-1(3|x|−2n
=2n-1(|x|+2|x|−2n
=2n-1{|x|+2(|x|−2n-1)} …(17)
式(17)の第2項‘|x|−2n-1’は、2n-1≦x<2nであることから、|x|を2進数で示した場合の下位n−1ビットを抽出したものである。
【0108】
例えば、|x|は、16ビットのデータで、00…0010010100であるとする。前記データのMSBから9ビット目までは0とする。|x|の桁数は、8桁(n=8)である。この場合、‘|x|−2n-1’の値は、下位7ビットを抽出した10100となる(7,6ビットは0)。
【0109】
第3の実施の形態のメトリック計算部15cは、式(17)を計算する。
図11は、第3の実施の形態に係るメトリック計算部のブロック図である。図11に示すように、メトリック計算部15cは、演算部70,80および加算部90を有している。
【0110】
演算部70には、減算部15bから出力されるxが入力され、演算部80には、減算部15bから出力されるyが入力される。
演算部70は、2次関数を2のべき乗で区切った線形補間式によって、x2の近似値を算出する。演算部70は、2次関数を2のべき乗で区切った線形補間式によって、y2の近似値を算出する。2次関数を2のべき乗で区切った線形補間式は、式(17)で示される。
【0111】
加算部90は、演算部70,80から出力されるx2,y2の近似値を加算する。つまり、加算部50は、式(13)に示す2乗ユークリッド距離の近似値を出力する。
演算部70は、絶対値算出部71、桁検出部72、ビット抽出部73、シフト部74,76、および加算部75を有している。
【0112】
絶対値算出部71には、減算部15bから出力されるxが入力される。絶対値算出部71は、入力されるxの絶対値|x|を算出する。
桁検出部72は、絶対値算出部71から出力される|x|の桁数を検出する。桁検出部72は、例えば、|x|の桁数を、|x|のビット幅のビットフラグで出力する。例えば、桁検出部72は、|x|の桁数に対応するビットを立てた、|x|のビット幅のビットフラグを出力する。桁検出部72は、図8に示したブロックと同様のブロックを有している。
【0113】
ビット抽出部73は、|x|の下位n−1ビットを抽出する。nは、|x|の桁数を示す。例えば、|x|の桁数がnであるとすると、桁検出部72からは、2n-1の値が出力されることになる。ビット抽出部73は、例えば、|x|と2n-1とのXORを演算することにより、|x|の下位n−1ビットを抽出することができる。なお、|x|の下位n−1ビットを抽出した値は、|x|−2n-1であり、ビット抽出部73は、式(17)の|x|−2n-1を算出している。
【0114】
シフト部74は、ビット抽出部73から出力される‘|x|−2n-1’の値が2倍となるように1ビットシフトする。すなわち、シフト部74は、式(17)の2(|x|−2n-1)を算出する。
【0115】
加算部75は、絶対値算出部71から出力される|x|と、シフト部74から出力される2(|x|−2n-1)とを加算する。すなわち、加算部75は、式(17)の|x|+2(|x|−2n-1)を算出する。
【0116】
シフト部76は、加算部75から出力される値‘|x|+2(|x|−2n-1)’が2n-1倍となるようにn−1ビットシフトする。すなわち、シフト部76は、式(17)の‘2n-1{|x|+2(|x|−2n-1)}’を算出する。
【0117】
演算部80は、演算部70と同様の部位を有している。従って、演算部80からは、次の式(18)に示す値が出力される。
m-1{|y|+2(|y|−2m-1)} …(18)
なお、mは、|y|の桁数を示す。
【0118】
加算部90は、演算部70から出力される値と、演算部80から出力される値とを加算する。次の式(19)は、加算部90の出力の値を示している。
n-1{|x|+2(|x|−2n-1)}+2m-1{|y|+2(|y|−2m-1)} …(19)
式(19)の第1項は、式(13)の|x|2に対応し、式(19)の第2項は、式(13)の|y|2に対応する。このようにして、メトリック計算部15cからは、受信信号点とレプリカとのメトリックが出力される。
【0119】
図11に示すメトリック計算部15cは、図7に示すメトリック計算部15cに対し、減算部36が不要である。従って、図11に示すメトリック計算部15cは、図7に示すメトリック計算部15cよりさらに回路規模の増大を抑制し、消費電力を低減することができる。
【0120】
このように、無線装置10のビット抽出部73は、減算部15bによって算出される値から、桁検出部72によって検出される桁数から1を引いた数のビットを抽出する。そして、メトリック計算部15cは、線形補間式を用いて、減算部15bによって算出される値、桁検出部72で検出される桁数、およびビット抽出部73から抽出されるビットから、受信信号点とレプリカとのメトリックを計算するようにした。これにより、無線装置10は、回路規模の増大を抑制し、消費電力を低減することができる。
【0121】
以下、無線装置10のハードウェア構成例について説明する。
図12は、無線装置のハードウェア構成例を示した図である。図12に示すように、無線装置10は、RF(Radio Frequency)部101a,101b、ADC(Analog to Digital Converter)102a,102b、およびLSI(Large Scale Integration)103を有している。
【0122】
RF部101a,101bは、例えば、1チップの半導体装置で形成されている。ADC102a,102bは、RF部101a,101bから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。ADC102a,102bは、例えば、1チップの半導体装置で形成されている。図5に示した無線部12a,12bは、例えば、図12に示すRF部101a,101bおよびADC102a,102bによって、その機能が実現される。
【0123】
LSI103は、BB(ベースバンド)処理部103aおよびCPU(Central Processing Unit)103bを有している。図1に示した減算部1aおよび計算部1bは、例えば、図12に示すBB処理部103aによって、その機能が実現される。また、図5に示したシンボル分離部13a,13b、チャネル推定部14、およびMLD処理部15は、例えば、図12に示すBB処理部103aによって、その機能が実現される。CPU103bは、通信制御や上位レイヤの通信処理を行う。
【符号の説明】
【0124】
1 無線装置
1a 減算部
1b 計算部
2 送信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナを用いて無線通信を行う無線装置において、
受信した受信信号点から、取り得る送信信号点に伝搬路状態の影響を反映させたレプリカを減算する減算部と、
2次関数を2のべき乗で区切った線形補間式を用いて、前記減算部によって算出される値から、前記受信信号点と前記レプリカとのメトリックを計算する計算部と、
を有することを特徴とする無線装置。
【請求項2】
前記計算部は、前記減算部によって算出される値の2進数における桁数を検出する検出部を有し、
前記線形補間式を用いて、前記減算部によって算出される値と、前記検出部で検出される桁数とから、前記受信信号点と前記レプリカとのメトリックを計算することを特徴とする請求項1記載の無線装置。
【請求項3】
前記計算部は、前記減算部によって算出される値から、前記検出部によって検出される桁数から1を引いた数のビットを抽出する抽出部をさらに有し、
前記線形補間式を用いて、前記減算部によって算出される値、前記検出部で検出される桁数、および前記抽出部から抽出されるビットから、前記受信信号点と前記レプリカとのメトリックを計算することを特徴とする請求項2記載の無線装置。
【請求項4】
前記線形補間式は、前記減算部によって算出される値をx、前記xの桁数をnとして、2n-1(3|x|−2n)で示され、
前記計算部は、
前記xの|x|を算出する絶対値算出部と、
前記|x|をビットシフトして2|x|を算出する第1のシフト部と、
前記|x|と前記2|x|とを加算して3|x|を算出する加算部と、
前記|x|から前記nを検出する検出部と、
前記nから2nを出力する第2のシフト部と、
前記3|x|から前記2nを減算して3|x|−2nを算出する減算部と、
前記3|x|−2nをビットシフトして2n-1(3|x|−2n)を算出する第3のシフト部と、
を有することを特徴とする請求項1記載の無線装置。
【請求項5】
前記線形補間式は、前記減算部によって算出される値をx、前記xの桁数をnとして、2n-1{|x|+2(|x|−2n-1)}で示され、
前記計算部は、
前記xの|x|を算出する絶対値算出部と、
前記|x|から前記nを検出する検出部と、
前記|x|から下位n−1ビットを抽出して|x|−2n-1を出力する抽出部と、
前記|x|−2n-1をビットシフトして2(|x|−2n-1)を出力する第1のシフト部と、
前記|x|と前記2(|x|−2n-1)とを加算して|x|+2(|x|−2n-1)を算出する加算部と、
前記|x|+2(|x|−2n-1)をビットシフトして2n-1{|x|+2(|x|−2n-1)}を出力する第2のシフト部と、
を有することを特徴とする請求項1記載の無線装置。
【請求項6】
複数のアンテナを用いて無線通信を行う無線装置のメトリック計算方法において、
受信した受信信号点から、取り得る送信信号点に伝搬路状態の影響を反映させたレプリカを減算し、
2次関数を2のべき乗で区切った線形補間式を用いて、前記受信信号点から前記レプリカを減算した値から、前記受信信号点と前記レプリカとのメトリックを計算する、
ことを特徴とするメトリック計算方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−48332(P2013−48332A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185661(P2011−185661)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】