説明

無線装置

【課題】無線装置の待ち受け中、受信のみ又は送受信の各状態において電池電圧を測定し、電池残量を精度よく判定する。
【解決手段】電力増幅器が起動済みなら(ステップS1の"YES")、送信フレームの単位時間を区切る割り込みがあったとき(ステップS2の"YES")電圧測定部に電池電圧の測定を指示して(ステップS3)、測定値を送受信の状態に対応するしきい値(TH2)と比較する(ステップS4)。電力増幅器が未起動で(ステップS1の"NO")待ち受け中なら(ステップS7の"YES")、測定を指示して測定値を待ち受け中に対応するしきい値(TH0)と比較する(ステップS8、S9)。また、待ち受け中でなければ(ステップS7の"NO")、測定を指示して測定値を受信のみの状態に対応するしきい値(TH1)と比較する(ステップS10、S11)。以上の結果に基づき、電池残量を総合的に判定する(ステップS12)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線装置に係り、特に、電池駆動することができる無線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば携帯電話等の電池駆動することができる無線装置の多くは、電池電圧を検出して電池残量を判定する機能を備えている(例えば、特許文献1参照。)。そのような無線装置は、画面上のいわゆる電池ピクトの表示により、使用者に電池残量の程度を認識させることができる。
【0003】
音声通話や電子メール送受信の機能を有する無線装置は、電源が投入されている間、送信も受信も行っていない(いわゆる待ち受け中の)状態、受信のみを行っている状態、又は送信若しくは送受信を行っている状態にある。これらの状態ごとの無線装置の消費電流は、上記の順に増大する。
【0004】
上記のような無線装置の状態の区別は、時分割多元接続(TDMA)方式の携帯電話においてはアイドルスロット期間、受信スロット期間及び送信スロット期間の定義に対応する。TDMA方式の携帯電話において、電池電圧の送信スロット期間における検出値と受信又はアイドル期間における検出値が変化するために、電池残量の判定結果の精度を保つことが難しいという問題がある。このような問題を、測定のタイミングを選ぶことによって解決する技術が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
上記の特許文献2に係る発明は、送信スロットを除く期間に電池電圧を測定すると共に、待ち受け中と通信時とで異なる値に設定されたしきい値と上記の測定値を比較することにより、電池残量の判定結果の精度を保つようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−127917号公報(第11、12ページ、図3)
【特許文献2】特許第3229050号公報(第1、3、4ページ、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した無線装置の状態の区別(待ち受け中、受信のみ又は送受信)は、多元接続方式の区別によらず(TDMA方式に限らず)存在する。したがって、どのような多元接続方式のネットワークにおいて用いられる無線装置であっても、電池残量の判定結果の精度を保つには、上記の状態の区別に応じた電池電圧の測定及び電池残量の判定の処理を必要とする。
【0008】
出願人が上述した特許文献2に開示した従来の技術は、消費電流値が最大になり電池電圧が最も低下する送信スロット期間における電池電圧の測定を避け、消費電流値が相対的に小さい期間に限って測定することにより、測定結果の安定化を図ったものである。しかしこの従来の技術では、消費電流値が相対的に大きい送信中の条件が反映されないため、電池残量の判定結果の精度が必ずしも十分とはいえない場合も考えられる。
【0009】
なお、上述した特許文献1は、電池残量の測定に要する処理部の演算負荷の軽減を目的とし、本願発明とは解決しようとする課題を異にするものである(特許文献1を取り上げた目的は、電池電圧を測定して電池残量を判定する背景技術の一例を紹介することにある。)。
【0010】
本発明は上記の問題を解決するためになされたもので、無線装置が送信中の状態において電池電圧を測定することにより、電池残量を精度よく判定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
開示の無線装置は、
電池駆動することができる無線装置において、
受信手段と、
電力増幅器を含む送信手段と、
所定時間長の送信フレームを単位時間に区切るタイミングに同期して割り込み信号を生成し、かつ、1の単位時間において前記電力増幅器を起動するために前記単位時間の初めの区切りより早いタイミングで前記電力増幅器に対して起動信号を送ることができる時間管理手段と、
前記電池駆動用の電池の電圧を測定することができる電圧測定手段と、
前記電力増幅器の出力を測定することができる電力測定手段と、
前記単位時間ごとに送信の可否を選択して、送信可が選択された単位時間について前記時間管理手段から前記電力増幅器に対し前記起動信号を送らせると共に前記送信手段に対して送信信号入力を与えることができ、かつ、前記電力増幅器が起動された後に前記時間管理手段から前記割り込み信号を受けて前記電圧測定手段に電池電圧の測定を指示して得られた測定値を送信時のしきい値と比較することにより、電池残量の程度を判別することができる制御手段と
を備え、
前記電圧測定手段は、1の単位時間において電池電圧の測定を終了すると前記制御手段に対して測定の終了を通知し、
前記制御手段は、前記測定の終了の通知を受けたときに前記送信手段に対して送信信号入力が与えられていなければ、該単位時間において得られた電池電圧の測定の結果を棄却し、送信可が選択された単位時間ごとに、前記電圧測定手段に対する電池電圧の測定の指示と、前記電力測定手段に対する前記電力増幅器の出力の測定の指示を交互に行う。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、無線装置の送信を制御するタイミング信号を電池電圧測定に活用して、送信中の状態において電池電圧を測定することにより、電池残量を精度よく判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1に係る無線装置のブロック図。
【図2】実施例1に係る無線装置の待ち受け中、受信のみ又は送受信の各状態における消費電流と電池電圧の推移を概念的に例示する図。
【図3】実施例1に係る無線装置の送信フレーム構成の一例を表す図。
【図4】実施例1に係る無線装置の時間管理部によるタイミング制御の概念を説明する図。
【図5】実施例1に係る無線装置の制御部の処理のフローチャート。
【図6】本発明の実施例2に係る無線装置のブロック図。
【図7】実施例2に係る無線装置の送信フレーム構成の一例に単位時間ごとの測定対象を付記して表す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を説明する。なお、各図の間で同一の符号は、同一の構成を表すものとする。
【実施例1】
【0015】
以下、図1ないし図5を参照して、本発明の実施例1を説明する。図1は、本発明の実施例1に係る無線装置1のブロック図である。無線装置1は、後述する一部の構成を共通に接続する共通バス10を備えている。
【0016】
無線装置1はアンテナ11を備え、アンテナ11は送受切り換え部12を介して無線送信部13及び無線受信部14にそれぞれ接続される。無線送信部13は、電力増幅器13aを構成に含む。無線送信部13は符号化・変調部15に、無線受信部14は復調・復号化部16に、それぞれ接続される。
【0017】
無線送信部13と符号化・変調部15は、合わせて無線装置1の送信部を構成する。無線受信部14と復調・復号化部16は、合わせて無線装置1の受信部を構成する。
【0018】
符号化・変調部15及び復調・復号化部16は、例えば共通バス10を通して制御部17に接続される。無線装置1は、例えば共通バス10を通してそれぞれ制御部17に接続された時間管理部18、表示部19及び音声インターフェース部20を備えている。時間管理部18はクロックを内蔵し、破線の矢印で表すように電力増幅器13aと接続される。無線装置1は、音声インターフェース部20に接続されたスピーカー21及びマイクロホン22を備えている。
【0019】
無線装置1は、電池30を装着するための電池ホルダ31を備えている。電池30から電池ホルダ31の電極を通して、無線装置1の各部に対して電圧・電流が与えられる。電池30は、図示しない外部電源入力によって充電可能としてもよい。電池ホルダ31の電極に、電圧測定部32が接続される。電圧測定部32は、例えば共通バス10を通して制御部17に接続される。
【0020】
図2ないし図5を参照して、無線装置1の動作について説明する。図2は、無線装置1の待ち受け中、受信のみ又は送受信の各状態における消費電流と電池電圧の推移を概念的に例示する図である。図2の上下の図は横軸(時間軸)を共通にしており、上の図の縦軸は消費電流に、下の図の縦軸は電池電圧にそれぞれ対応する。ただし、消費電流軸、電池電圧軸のいずれも相対的な値の変化を表すのみとする。また、説明の便宜上、無線装置1が有することのある通信以外の機能の利用による消費電流については考慮しない。
【0021】
図2においては、無線装置1の待ち受け中に音声通話の呼が着信し、通話が開始されてしばらく続いた後に通話が終了するという過程における、無線装置1の消費電流と電池電圧の推移を表している。無線装置1は、係属する移動通信網基地局(図示せず。)との間で待ち受け中に位置登録等の目的に必要な定型的通信を行うため、一定の電流を消費する。図2の上側の図に示すように、無線装置1の待ち受け中の消費電流の値をI0とする。
【0022】
呼の着信に応答して通話が開始されると、無線装置1は受信のみの状態と送受信の状態を交互に繰り返す。このうち受信中においては、基地局からアンテナ11に到来した受信波が、送受切り換え部12を経て無線受信部14で受信される。無線受信部14は上記の受信波を増幅及び周波数変換し、続いて復調・復号化部16が上記の受信波によって搬送されてきた音声信号のシンボルを復調すると共に誤り訂正復号等の処理を行う。
【0023】
その結果得られたディジタル音声信号は、音声インターフェース部20においてアナログ電気信号に変換され、スピーカー21から再生される。図2の上側の図に示すように、受信のみの状態における無線装置の消費電流をI1とする。一般に、無線装置1の受信中は待ち受け中より大きな電流を消費することから、I0<I1である。
【0024】
次に、無線装置1がさらに送信を行う場合について説明する。相手方に送られる音声は、マイクロホン22で集音され、音声インターフェース部20においてディジタル信号に変換される。符号化・変調部15は当該ディジタル音声信号に対して誤り訂正符号化等の処理を行い、符号化出力によって連続波を変調する。
【0025】
無線送信部13は変調出力を周波数変換すると共に電力増幅器13aによって増幅し、送受切り換え部12を経てアンテナ11から上記の基地局に向けて送信波を放射する。図2の上側の図に示すように、送受信の状態における無線装置の消費電流をI2とする。無線装置1の構成のうちでも最も消費電流の大きい電力増幅器13aを動作させることから、I1<I2である。
【0026】
電池30の出力電圧は消費電流の大小に依存して変化し、消費電流が大きいほど低下する。図2の下側の図に示すように、電池電圧の待ち受け中の値をV0、受信のみの状態の値をV1、送受信の状態の値をV2とする。これらの値の間には、上述した消費電流の大小関係(I0<I1<I2)に対応して、V0>V1>V2なる大小関係が成立する。
【0027】
制御部17は、無線装置1の待ち受け中に電圧測定部32に対して電池電圧測定を指示することができる。電圧測定部32が上記の待ち受け中の値V0を測定すると、制御部17はその値V0と待ち受け中に対応するしきい値(その値を、TH0とする。)を比較する。
【0028】
制御部17は、無線装置1が受信のみの状態にある間に電圧測定部32に対して電池電圧測定を指示することができる。電圧測定部32が上記の受信のみの状態の値V1を測定すると、制御部17はその値V1と受信のみの状態に対応するしきい値(その値を、TH1とする。)を比較する。
【0029】
制御部17は、無線装置1が送受信の状態にある間に電圧測定部32に対して電池電圧測定を指示することができる。電圧測定部32が上記の送受信の状態の値V2を測定すると、制御部17はその値V2と送受信の状態に対応するしきい値(その値を、TH2とする。)を比較する。ただしこの場合の測定は電力増幅器13aが増幅動作を行っている最中に行わなければ意味がないので、送信チャネルのフレーム構成に合わせて測定のタイミングを設定する必要がある。この点については、図3及び図4を参照して後述する。
【0030】
制御部17は、上述したように、待ち受け中の電池電圧の測定値V0をしきい値TH0と、受信のみの状態の電池電圧の測定値V1をしきい値TH1と、送受信の状態の電池電圧の測定値V2をしきい値TH2と、それぞれ比較して大小関係を判定する。上記の各状態における判定結果の利用法を、次のように考えることができる。
【0031】
まず、消費電流が最大となる送受信の状態の測定値V2としきい値TH2の比較に基づいて、電池残量を判定することができる。次に、送受信中に次いで消費電流が大きい受信のみの状態の測定値V1としきい値TH1の比較を上記V2対TH2の比較と併せて、電池残量を判定することができる。又は、時間が最も長い待ち受け中の状態の測定値V0としきい値TH0の比較を上記V2対TH2の比較と併せて、電池残量を判定することができる。
【0032】
さらに、例えば上記3通りの状態それぞれの判定結果を適宜重み付けして総合的に判定することにより、送信中であって電力増幅器13aが動作中の場合を常に考慮に入れて精度よく電池残量の判定をすることができる。
【0033】
制御部17は、上記の電池残量の判定結果を、例えば表示部19にいわゆる電池ピクト表示の形式で表示させることができる。また、電池残量が不足すると判定したとき、表示部19又はスピーカー21を用いて任意の形式の警報表示をすることができる。
【0034】
図3は、無線装置1に割り当てられた送信チャネルのフレーム構成の一例を表す図である。この例では、時間幅が20ミリ秒(mS)の1フレームを16の単位時間に区切り(1単位時間の幅は1.25mS)、設定された所要の送信ビット率に対応して制御部17が上記の単位時間ごとに送信の可否を選択するものとしている(例えば、次の文献による)。
3GPP2 C.S0002−0 Version 1.0 (http://www.3gpp2.org/Public_html/specs/C.S0002−0_v1.0.pdf)、pp.148−150。
【0035】
図3に示すように、時間幅20mSの1フレームが時間幅1.25msの単位時間に16分割される。各単位時間には、"0"から"15"までの番号が割り振られる。制御部17は、送信に必要とされるビット率に対応して、1フレーム中の何個の単位時間において送信可とするかを決定し、かつ、何番目の単位時間において送信可とするかを決定する。図3は、ハッチングで表した0番目、2番目、5及び6番目、9番目、11及び12番目、15番目の単位時間において送信可とされた例を示している。
【0036】
図3に示したような単位時間の管理は、クロックを内蔵する時間管理部18が、単位時間を区切るタイミングに同期して1.25mSおきに割り込み信号を生成することによって行われる。これに加えて、時間管理部18は、送信可にされた単位時間の初めから送信を可能とするように電力増幅器13aに対するタイミング制御を行う。図4は、上記の時間管理部18によるタイミング制御の概念を説明する図である。
【0037】
図4の上下の図は横軸(時間軸)を共通にしており、上の図は時間管理部18が生成するタイミング信号の時間関係を表している。図4の下の図は、電力増幅器13aの消費電流の時間的な変化を概念的に表している。図4の上の図に表された初めの(左側の)「割り込み」から後の(右側の)「割り込み」までの1.25mSの時間幅は、送信可とされた単位時間の1つに対応する。
【0038】
図4の上の図に表された「起動信号」は、単位時間の区切りに対応する割り込み信号よりも"τ"なる時間幅だけ先行して、時間管理部18から電力増幅器13aに送られる信号である。電力増幅器13aは、無線送信部13において前段から信号入力を与えられたときただちに増幅動作を行って送信出力を得られるように、予め起動信号を与えられて準備する必要がある。図4の下の図に示すように、この準備段階において電力増幅器13aの消費電流が徐々に増大するため、電池30の出力は電流値が増加し電圧値が低下する過渡状態にある。
【0039】
制御部17は、送信可とされた単位時間の始まりに対応する割り込み信号を受けて、無線送信部13に対する信号入力(符号化・変調部15の変調出力)を与えるように符号化・変調部15を制御する(図4の上の図のブロック矢印で表す。)。そうすると、電力増幅器13aは予め起動信号を与えられて送信の準備をしているから、上記の単位時間の初めから送信出力を得ることができる。図4の下の図に示すように、この段階で電力増幅器13aの消費電流値はほぼ安定するから、電池30の出力電流・電圧の値もほぼ安定する。
【0040】
次に、制御部17が電圧測定部32に対して指示する電池電圧測定のタイミングについて説明する。制御部17が電池電圧測定部32に対して、時間管理部18から電力増幅器13aに対して起動信号が送られた後に電池電圧を測定するように指示すると、電圧測定部32は図4の初めの割り込み信号の前に電池電圧を測定する可能性がある。その場合には、上述したように電池30の出力電圧が過渡状態にあるため、不正確な測定結果を得ることになる。
【0041】
このような問題を避けるため、制御部17は、時間管理部18から電力増幅器13aに対して起動信号が送られ電力増幅器13aが起動された後、図4の初めの割り込み信号を受けて電圧測定部32に対し電池電圧の測定を指示する。このようにすれば、電池30の出力電圧値が安定した後に測定することができるので、より正確な測定結果が得られる。
【0042】
電圧測定部32による電池電圧の測定は、開始から終了まである程度の時間を必要とする。電圧測定部32は、測定の終了を例えば割り込み信号として制御部17に対して通知することができる。
【0043】
無線送信部13に対する信号入力が、図4における後の割り込み信号のタイミングよりも早く終わってしまう場合も考えられる。信号入力が終わると電力増幅器13aの消費電流は減少し、電池30の出力電圧は上昇する。この状態において電池電圧を測定すると、送信中の値としては不正確な結果を得る可能性がある。
【0044】
制御部17はこれを避けるために、ある単位時間において電圧測定部32から測定の終了の通知を受けたときに無線送信部13に対して送信信号入力が与えられていなければ、該単位時間における電池電圧の測定結果(測定値又はしきい値(TH2)と比較した判定結果)を棄却するものとしてもよい。
【0045】
上述した制御部17の処理について、図5を参照して説明する。図5は、制御部17の処理のフローチャートである。処理を開始する("START")と、制御部17は、電力増幅器13aが時間管理部18から起動信号を受けて起動済みであるかどうかを確認する(ステップS1)。起動済みの場合には(ステップS1の"YES")、時間管理部18からの割り込み信号を待つ(ステップS2の"NO")。
【0046】
制御部17は、上記の割り込み信号を受けて(ステップS2の"YES")、電圧測定部32に電池電圧測定を指示し(ステップS3)、得られた測定値を送受信の状態に対応するしきい値(TH2)と比較する(ステップS4)。電圧測定部32から測定終了の通知を得たとき無線送信部13に対する送信信号入力が与えられていれば(ステップS5の"YES")、後述する電池残量の総合判定に進む。電圧測定部32から測定終了の通知を得たとき無線送信部13に対する送信信号入力が与えられていなければ(ステップS5の"NO")、測定値としきい値(TH2)の比較の結果を棄却して(ステップS6)、再びステップS2の割り込みを待機する。
【0047】
ステップS1において電力増幅器13aが起動済みでなければ(ステップS1の"NO")、無線装置1が待ち受け中の場合に(ステップS7の"YES")制御部17は電圧測定部32に電池電圧測定を指示し(ステップS8)、得られた測定値を待ち受け中に対応するしきい値(TH0)と比較する(ステップS9)。また、無線装置1が待ち受け中でない場合に(ステップS7の"NO")制御部17は電圧測定部32に電池電圧測定を指示し(ステップS10)、得られた測定値を受信のみの状態に対応するしきい値(TH1)と比較する(ステップS11)。
【0048】
制御部17は、ステップS4、S9及びS11における電池電圧と各しきい値の比較の結果に基づき、先に述べたように電池残量を総合的に判定する(ステップS12)。
【0049】
本発明の実施例1によれば、送信フレーム構成における単位時間の区切りに同期したタイミングで送信中の電池電圧を測定することにより、電池残量を精度よく評価することができる。
【実施例2】
【0050】
以下、図6及び図7を参照して、本発明の実施例2を説明する。図6は、本発明の実施例2に係る無線装置2のブロック図である。無線装置2は、電力測定部35を備えている。無線装置2のその他の構成は、図1に同じ符号を付して表した無線装置1の各構成と同じであるものとして、説明を省略する。
【0051】
電力測定部35は、例えば共通バス10を通して制御部17に接続される。電力測定部35は無線送信部13の出力段に接続され、制御部17から指示を受けて無線送信部13の送信電力を測定することができるように構成される。
【0052】
図7は、無線装置2に割り当てられた送信チャネルのフレーム構成の一例を表す図3と同様の図に、送信可とされた単位時間ごとに測定する対象(電池電圧又は送信電力)を付記した図である。図中の記号"V"は電池電圧を意味し、実施例1と同様に制御部17が電圧測定部32に指示して測定させる。図中の記号"P"は送信電力を意味し、制御部17が電力測定部35に指示して測定させる。
【0053】
電池電圧測定と送信電力測定は、無線装置2のハードウェア構成により例えば制御部17の時分割的な処理によって実行されることが考えられ、そのような場合には同時に行うことはできない。
【0054】
また実施例1について述べたように、電圧測定部32による電池電圧の測定は、開始から終了まである程度の時間を必要とする。同様に、電力測定部35による送信電力の測定は、開始から終了まである程度の時間を必要とする。したがって、同一の単位時間の範囲内で電池電圧測定と送信電力測定を終えることができない場合がある。
【0055】
上記のような場合に制御部17は、例えば図7の最初の(0番目の)送信可とされた単位時間では電圧測定部32に電池電圧を測定させ、2番目の送信可とされた単位時間では電力測定部35に送信電力を測定させ、以降の送信可とされた単位時間で電池電圧と送信電力をそれぞれ交互に測定させることができる。
【0056】
本発明の実施例2によれば、電圧と電力を交互に測定することによって、測定用のハードウェアと測定に利用できる時間に制約があっても、電池電圧と送信電力を精度よく測定することができる。
【0057】
以上の実施例1及び実施例2の説明において、無線装置の構成、多元接続等の方式、送信フレームの構成、送信可とされた単位時間の割合や配置等は例示であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲でさまざまな変形が可能である。
【符号の説明】
【0058】
1、2 無線装置
10 共通バス
11 アンテナ
12 送受切り換え部
13 無線送信部
14 無線受信部
15 符号化・変調部
16 復調・復号化部
17 制御部
18 時間管理部
19 表示部
20 音声インターフェース
21 スピーカー
22 マイクロホン
30 電池
31 電池ホルダ
32 電圧測定部
35 電力測定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池駆動することができる無線装置において、
受信手段と、
電力増幅器を含む送信手段と、
所定時間長の送信フレームを単位時間に区切るタイミングに同期して割り込み信号を生成し、かつ、1の単位時間において前記電力増幅器を起動するために前記単位時間の初めの区切りより早いタイミングで前記電力増幅器に対して起動信号を送ることができる時間管理手段と、
前記電池駆動用の電池の電圧を測定することができる電圧測定手段と、
前記電力増幅器の出力を測定することができる電力測定手段と、
前記単位時間ごとに送信の可否を選択して、送信可が選択された単位時間について前記時間管理手段から前記電力増幅器に対し前記起動信号を送らせると共に前記送信手段に対して送信信号入力を与えることができ、かつ、前記電力増幅器が起動された後に前記時間管理手段から前記割り込み信号を受けて前記電圧測定手段に電池電圧の測定を指示して得られた測定値を送信時のしきい値と比較することにより、電池残量の程度を判別することができる制御手段と
を備え、
前記電圧測定手段は、1の単位時間において電池電圧の測定を終了すると前記制御手段に対して測定の終了を通知し、
前記制御手段は、前記測定の終了の通知を受けたときに前記送信手段に対して送信信号入力が与えられていなければ、該単位時間において得られた電池電圧の測定の結果を棄却し、送信可が選択された単位時間ごとに、前記電圧測定手段に対する電池電圧の測定の指示と、前記電力測定手段に対する前記電力増幅器の出力の測定の指示を交互に行うことを特徴とする無線装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記受信手段及び前記送信手段が待ち受け中の状態にあるとき前記電圧測定手段に電池電圧の測定を指示して得られた測定値を、待ち受け時のしきい値とさらに比較することにより、前記送信時のしきい値との比較と併せて電池残量の程度を判別することができることを特徴とする請求項1に記載の無線装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記受信手段及び前記送信手段が受信のみ実行中の状態にあるとき前記電圧測定手段に電池電圧の測定を指示して得られた測定値を、受信のみ実行時のしきい値とさらに比較することにより、前記送信時のしきい値との比較と併せて電池残量の程度を判別することができることを特徴とする請求項1に記載の無線装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−102441(P2013−102441A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−264465(P2012−264465)
【出願日】平成24年12月3日(2012.12.3)
【分割の表示】特願2007−143275(P2007−143275)の分割
【原出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(310022372)富士通モバイルコミュニケーションズ株式会社 (219)
【Fターム(参考)】