説明

無線装置

【課題】周波数がズレた無線機の送信電波を受信することができることと、隣接チャネルの妨害波の影響を受けにくくする相反した受信を両立することを目的とする。
【解決手段】第1アンテナ2は、第1無線受信手段4と接続され、第2アンテナ3は、第2無線受信手段5と接続され、第1無線受信手段4と第2無線受信手段5とでは、無線電波を受信する条件パラメータを変えており、第1無線受信手段4と第2無線受信手段5とで復調された信号を比較して正常に復調できた方の無線手段を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガス、電気、水道等の使用量を無線通信により自動的に検針可能な無線検針装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の無線検針装置は、ガス使用量を検針するメータと、そのメータに接続された無線装置と、無線装置と通信可能な基地局と、基地局で受信した検針データを収集するセンタ局とから構成されていた。
【0003】
メータで検針された検針データは無線装置を介して基地局へ送信される。そして、検針データを受信した基地局はセンタ局へデータを送信することによって、センタ局では検針データ収集が可能となる(例えば、特許文献1、2、3参照)。
【0004】
そして、この無線検針装置の受信装置にはダイバーシチ制御を行う制御部とダイバーシチ受信装置を備えていた。(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−171356号公報
【特許文献2】特開2001−319285号公報
【特許文献3】特開平10−145872号公報
【特許文献4】特開平08−298483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来の技術として挙げた無線検針装置では、複数のアンテナで受信した同一の無線信号について、電波状況の優れたアンテナの信号を優先的に用いたりすることによって、通信の質や信頼性の向上を図るようになっていた。
【0007】
そのため、周波数がズレた無線機の送信電波を受信することができることと、隣接チャネルの妨害波の影響を受けにくくする相反した受信を両立させることができなかった。
【0008】
本発明は上記課題を解決するもので、相反する無線受信条件を複数の無線モジュールに設定することが可能となり、複数の無線モジュールで受信した同一の無線信号について、正常受信できた無線モジュールの信号を優先的に用いることで、たとえば、経年変化や個体差等により周波数がずれた無線機の送信電波を受信することができることと、隣接チャネルの妨害波の影響を受けにくくする相反した受信を両立させることができる。
【0009】
これにより、通信品質の向上ができ、再送が少なくなるので通信時間短縮や消費電力軽減が可能となったり、ノイズ発生源に近い電波環境が悪い場所に設置が可能となる無線検針装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従来の課題を解決するために、本発明の無線検針装置は、無線信号を受信する条件パラメータを設定されて通信規格に合致した電波を受信して復調する第1無線受信手段と、第1無線受信手段とは異なった無線信号を受信する条件パラメータを設定され通信規格に合致した電波を受信して復調する第2無線受信手段と、第1無線受信手段と第2無線受信手
段で復調された信号を比較して、正常に復調できた方の無線手段を選択する無線受信選択手段と備えるものである。
【発明の効果】
【0011】
これによれば、相反する無線受信条件を複数の無線モジュールに設定することが可能となり、複数の無線モジュールで受信した同一の無線信号について、正常受信できた無線モジュールの信号を優先的に用いることで、たとえば、経年変化や個体差等により周波数がずれた無線機の送信電波を受信することができることと、隣接チャネルの妨害波の影響を受けにくくする相反した受信を両立させることができる。
【0012】
これにより、通信品質の向上ができ、再送が少なくなるので通信時間短縮や消費電力軽減が可能となったり、ノイズ発生源に近い電波環境が悪い場所に設置が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施の形態の無線装置のブロック図
【図2】本実施の形態の無線検針装置を示す図
【図3】本実施の形態の無線送信電文(検針応答)の電文フォーマットを示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の発明は、無線信号を受信する条件パラメータを設定されて通信規格に合致した電波を受信して復調する第1無線受信手段と、第1無線受信手段とは異なった無線信号を受信する条件パラメータを設定され通信規格に合致した電波を受信して復調する第2無線受信手段と、第1無線受信手段と第2無線受信手段で復調された信号を比較して、正常に復調できた方の無線手段を選択する無線受信選択手段とを備えたものである。
【0015】
これによれば、相反する無線受信条件を複数の無線モジュールに設定することが可能となり、複数の無線モジュールで受信した同一の無線信号について、正常受信できた無線モジュールの信号を優先的に用いることが可能になる。
【0016】
第2の発明は、第1無線受信手段と第2無線受信手段で復調された信号を比較して、早く復調できた方を選択する無線選択手段を備えたものである。
【0017】
これによれば、無線信号が連送形式となっていた場合、早く復調できた方を選択することで、第1無線受信手段と第2無線受信手段の両方とも無線受信を停止させることができ、余分な受信状態を継続しなくて良くなり、通信時間短縮や消費電力軽減が可能となる。
【0018】
第3の発明は、周波数フィルターの帯域を狭く調整した第1無線受信手段と、周波数フィルターの帯域を広く調整した第2無線受信手段とを備えたものである。
【0019】
これによれば、経年変化や個体差等により周波数がずれた無線機の送信電波を受信することができることと、隣接チャネルの妨害波の影響を受けにくくする相反した受信を両立させることができる。
【0020】
第4の発明は、自動周波数制御のフィードバックを大きく調整した第1無線受信手段と、自動周波数制御のフィードバックを小さく調整した第2無線受信手段とを備えたものである。
【0021】
これによれば、経年変化や個体差等により周波数がずれた無線機の送信電波を受信することができることと、隣接チャネルの妨害波の影響を受けにくくする相反した受信を両立させることができる。
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態における無線装置のブロック図を示すものである。実施の形態の無線装置1には、電波を受信したり、送信したりする第1アンテナ2及び第2アンテナ3と、アンテナで受信した電波を受信データに復調する第1無線受信手段4及び第2無線受信手段5を備えている。また、さらに送信データを変調してアンテナから送信させる第1無線送信手段6及び第2無線送信手段7と、第1無線受信手段4及び第2無線受信手段5から転送されてくる復調データの選択を行う無線受信選択手段8と、無線送信データの入力先として第1無線送信手段6や第2無線送信手段7を選択する無線送信選択手段9を備えている。また、さらに無線受信データの解析や無線送信データの作成を行う制御手段10と、無線装置に接続される外部機器と通信するためのインターフェースである外部インターフェース11を備えている。
【0024】
そして、第1アンテナ2は、第1無線受信手段4と接続され、第2アンテナ3は、第2無線受信手段5と接続され、第1無線受信手段4と第2無線受信手段5とでは、無線電波を受信する条件パラメータを変えている。
【0025】
ここでは、周波数フィルターに関しては、第1無線受信手段4には、周波数フィルターの帯域を狭く調整し、第2無線受信手段5には周波数フィルターの帯域を広く調整するように設定する。
【0026】
そして、自動周波数制御のフィードバックに関しては、第1無線受信手段4には、自動周波数制御のフィードバックを大きく調整し、第2無線受信手段5には自動周波数制御のフィードバックを小さく調整するように設定する。
【0027】
このように設定した第1無線受信手段4と第2無線受信手段5を備えた無線装置1は、無線受信する際は、制御手段10が、第1無線受信手段4及び第2無線受信手段5とを同時に起動させる。起動した第1無線受信手段4及び第2無線受信手段5は、第1アンテナ2及び第2アンテナ3で受信した無線信号を復調できた時点で、無線受信選択手段8へ復調データを転送する。無線受信選択手段8では、第1無線受信手段4及び第2無線受信手段5から転送されてくる復調データを比較して、正常に復調できた方の無線手段を優先して選択する。
【0028】
また無線受信した後に折り返し無線送信する際は、無線受信選択手段8で選択した側の無線受信手段に接続されているアンテナから無線送信するように無線送信選択手段9が無線送信手段を選択して、無線送信する。
【0029】
以上のように構成された無線装置を使用した無線システムにおいて、以下その通信動作を説明する。
【0030】
ここで図2は、本発明の実施の形態における無線装置を使用した無線検針装置のシステム図を示すものである。
【0031】
実施の形態の無線検針無線システムには、図1で説明した無線装置の外部インターフェース11にガスメータ200に内蔵されたガスメータコントローラ201との通信インターフェースを備えた無線装置A300と、無線装置の外部インターフェース11にモデム装置700との通信インターフェースを備えた無線装置B600とが使用されている。
【0032】
家屋に設置されているガスメータコントローラ201による検針および警報データを、ガスメータコントローラ201に接続された無線装置A300が、無線装置B600とモデム装置700経由でデータ収集センタ500に送信するようになっている。ここで、無線装置A300は無線装置B600と通信が可能な状態になっている。
【0033】
そして、ガスメータコントローラ201で異常が発生した場合は、無線装置A300は、ガスメータコントローラ201から送られたメータデータを受信して、無線装置B600へ無線転送する。
【0034】
無線装置B600は、受信したメータデータをモデム装置700に送ると、モデム装置700は、公衆回線網400と回線接続を行った後、メータデータを変調して、データ収集センタ500へ送信するようになっている。
【0035】
メータデータを受信したデータ収集センタ500では、受信したデータに応じて受信確認信号を送信することになる。この確認信号は、メータデータが来た経路を折り返して、ガスメータコントローラ201に届くようになっている。
【0036】
このような無線システムにおいては、ガスメータ200の交換サイクルの10年に合わせて無線装置A300や無線装置B600も交換するため、一旦設置されると周囲建築物の増設等により電波環境が変わろうと、あるいは同じシステムの無線装置や他システムの無線装置が近接して設置されても、あるいは近隣に設置された機器から出る妨害波があっても、10年間はメンテナンスフリーで動作し続ける必要があった。
【0037】
これに対して、本実施例では、相反する無線受信条件を複数の無線モジュールに設定することが可能となり、複数の無線モジュールで受信した同一の無線信号について、正常受信できた無線モジュールの信号を優先的に用いることで、たとえば、経年変化や個体差等により周波数がずれた無線機の送信電波を受信することができることと、隣接チャネルの妨害波の影響を受けにくくする相反した受信を両立させることができる。
【0038】
これにより、通信品質の向上ができ、再送が少なくなるので通信時間短縮や消費電力軽減が可能となったり、あるいはノイズ発生源に近い場所とか、電波環境が悪い場所へ、無線装置を設置することが可能になる。
【0039】
図3は、本発明の実施の形態における無線装置を使用した無線送信電文(検針要求)の電文フォーマットを示すものである。
【0040】
図3の電文は、検針要求の電文で、先頭に位置するプリアンブルは、特定小電力無線局で送信が義務付けられている信号であり、100ビットのビット同期信号と、31ビットのフレーム同期信号と、48ビットの呼出名称を含む63ビットの呼出信号からなっている。
【0041】
プリアンブルの次に位置する子機選択短縮コードは、無線装置A300を選択する短縮コードから成るシステム起動信号で、無線信号キャリアセンス時に通信相手側無線部の電波であるかどうかを識別するためのものであり、受信側機器の無線信号キャリアセンス間隔より長い時間連続して送信される。
【0042】
その構成は、ビット同期信号と、システム識別符号(例えばPN3段符号)と、48ビットの呼出名称を短縮し誤り訂正符号を付加した短縮型呼出信号(例えば短縮した呼出名称16ビット+訂正符号16ビット=32ビット)からなるバケットを複数回連続したも
のから構成される。
【0043】
子機選択短縮コードの次に位置する検針要求コマンドには、無線装置A300を指定する無線装置A300のフルのID情報を設定し、ガスメータコントローラ201に対する要求を指示したりするための送信データがついている。
【0044】
ここでは、送信データにはガスメータコントローラ201の検針値を取得するための検針要求コマンドがセットされている。
【0045】
このように無線装置B600から送信される検針要求電文の前半には、システム起動信号として、子機選択短縮コードがセットされているので、無線装置A300は間欠周期毎に一定時間無線受信電源をONにして、システム起動信号をまず受信し、自機宛を選択していると判断した場合は、引き続き後続するデータを受信するようになっている。
【0046】
そして、後続するデータつまり検針要求コマンドには、電文のスタートを表すSTXと電文のエンドを表すETX及び電文の誤り検出に使用する目的でSTXの次のデータからETXまでの排他的論理和を計算したBCCの間に、無線装置A300のIDコードと送信データである検針要求コマンドがセットされている。
【0047】
さらに検針要求コマンドが受信できなかった場合の対策として、この検針要求コマンドを3回繰り返して送信するようにしている。
【0048】
この検針要求コマンドの前には、この検針要求コマンドを繰り返し送信する回数として連送回数が、また現在送信している検針要求コマンドが連送の何番目かを知らせる連送番号がヘッダ情報として付与されている。
【0049】
このフォーマットを使用し、同じ送信データを3回連送することにより、受信成功率を高めるようにしている。
【0050】
このように同じデータを連送する電文フォーマットで通信を行う場合、無線装置1の第1無線受信手段と第2無線受信手段で復調された信号を比較する際に、無線受信選択手段8で早く復調できた方の無線受信手段を選択する。
【0051】
このように、早く復調できた方の無線受信手段を選択することで、残りの送信データの連送が終わるのを待たずに、第1無線受信手段と第2無線受信手段の両方とも無線受信を停止させることができ、余分な受信状態を継続しなくて良くなり、通信時間短縮や消費電力軽減できる。
【0052】
なお、無線信号を受信する手段として、無線装置には、第1無線受信手段4と第2無線受信手段5の2つを備えたとしたが、3つ以上の無線手段を備えて無線受信選択手段8により、最適な受信手段を選択するようにしてもよい。
【0053】
また、無線受信手段と無線送信手段を別々の構成としたが、無線受信と無線送信は、実装部品を共用化するため、送受信一体型無線送受信手段を複数備えた構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上のように、本発明にかかる無線検針装置は、ガスメータに限らず電気、水道その他の流量を計測する計測メータ装置及び、火災警報機やホームセキュリティの遠隔監視システムにも適用できるものである。
【符号の説明】
【0055】
2 第1アンテナ
3 第2アンテナ
4 第1無線受信手段
5 第2無線受信手段
6 第1無線送信手段
7 第2無線送信手段
8 無線受信選択手段
9 無線送信選択手段
10 制御手段
11 外部インターフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線信号を受信する条件パラメータを設定されて通信規格に合致した電波を受信して復調する第1無線受信手段と、前記第1無線受信手段とは異なった無線信号を受信する条件パラメータを設定され通信規格に合致した電波を受信して復調する第2無線受信手段と、前記第1無線受信手段と前記第2無線受信手段で復調された信号を比較して、正常に復調できた方の無線手段を選択する無線受信選択手段とを備える無線装置。
【請求項2】
前記無線受信選択手段は、前記第1無線受信手段と前記第2無線受信手段で復調された信号を比較して、早く復調できた方を選択する請求項1記載の無線装置。
【請求項3】
前記第1無線受信手段は周波数フィルターの帯域を狭く調整し、前記第2無線受信手段は、周波数フィルターの帯域を広く調整した請求項1または2記載の無線装置。
【請求項4】
前記第1無線受信手段は自動周波数制御のフィードバックを大きく調整し、前記第2無線受信手段は、自動周波数制御のフィードバックを小さく調整した請求項1から3のいずれか1項または2記載の無線装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−106335(P2013−106335A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251326(P2011−251326)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】