説明

無線距離測定スイッチ,無線距離検知システム,携帯端末,そのプログラム,及び無線タグ

【課題】電池の消耗の低減を図りつつ、良好に忘れ物等を検知することができる利便性・実用性の高い無線距離測定スイッチ,無線距離検知システム,携帯端末,そのプログラム,及び無線タグを提供する。
【解決手段】無線検知プログラムは、動作モードに応じた間隔で問合せ信号を送信する。各携行品の無線タグ300は、自己のIDを応答信号として送信する。これらの応答信号が携帯電話100の近距離通信部で受信されると、無線検知プログラムは、受信信号強度から、その距離を検出し、動作モードの設定値外となったときは、該当する携行品の携行ボタンをアラーム表示とするとともに、要注意モードの携行品の無線タグ300に対して警報出力を指示する。該当する無線タグ300では、制御部から発音部に駆動信号が出力され、警報音が出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線を利用して忘れ物などを検知する無線距離測定スイッチ,無線距離検知システム,携帯端末,そのプログラム,及び無線タグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近距離無線を利用して忘れ物などを検知する従来技術としては、例えば、下記特許文献1記載の「ICタグ検知装置及び携帯電話機」がある。これによれば、携帯電話機にICタグを検知するICタグ検知装置が内蔵される。一方、傘,財布,帽子などの持ち物には、それぞれICタグが取り付けられる。ICタグ検知装置によって検知対象のICタグの内の何れか1つでも検知できない場合、携帯電話機のアラーム機能によりその旨が報知される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-13789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、忘れ物を検知する距離は、対象物によって必ずしも同一である必要はなく、必要に応じて適宜設定するほうが良好に忘れ物を検知することができる。また、ICタグを検知する間隔については、短くするほど都合がよいが、携帯電話の電池の消耗が激しくなってしまう。
【0005】
本発明は、以上のような点に着目したもので、電池の消耗の低減を図りつつ、良好に忘れ物等を検知することができる利便性・実用性の高い無線距離測定スイッチ,無線距離検知システム,携帯端末,そのプログラム,及び無線タグを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の無線距離検知システムは、近距離通信手段を備えた携帯端末と、該近距離通信手段と無線通信可能であって、検知対象に取り付けられる少なくとも1つの無線タグと、前記携帯端末に設けられており、前記近距離通信手段によって前記無線タグに問合せを行い、無線タグが近辺にあるかどうかを検知する無線検知手段とを備えており、前記問合せの間隔もしくは前記携帯端末と前記無線タグとの検出距離の少なくとも一方が異なる複数の動作モードを備えたことを特徴とする。
【0007】
主要な形態の一つは、前記複数の動作モードが、前記警報を出力する距離が10mであって、1分間に1回の割合で前記問合せを行う節電モードと、前記警報を出力する距離が5mであって、1分間に6回の割合で前記問合せを行う要注意モードと、を含むことを特徴とする。他の形態の一つは、前記携帯端末が加速度センサを備えており、該加速度センサによって前記携帯端末の動きが検知されたときは、前記無線検知手段における前記問合せの間隔を短くすることを特徴とする。あるいは、前記検知対象にも警報を出力する警報出力手段を設け、前記警報を出力する距離となったときに、前記携帯端末及び検知対象の両方から警報を出力することを特徴とする。更には、前記検知対象にも警報を出力する警報出力手段を設け、前記問合せの間隔をモニターし、所定時間内に問合せがなかったときは、前記警報出力手段から警報出力を行うことを特徴とする。
【0008】
本発明の携帯端末は、前記無線距離検知システムで使用され、前記近距離通信手段,前記無線距離検出手段,及び、前記警報出力手段を備えており、前記複数の動作モードで検知対象の検知動作を行うことを特徴とする。本発明の無線距離検知プログラムは、前記携帯端末で実行され、前記無線距離検知手段として機能するとともに、前記複数の動作モードで検知対象の検知動作を行うことを特徴とする。
【0009】
本発明の無線タグは、前記いずれかの無線距離検知システムで使用され、前記近距離通信手段からの問合せに対して応答信号を出力することを特徴とする。主要な形態の一つは、前記無線距離検知システムで使用され、前記近距離通信手段からの問合せに対して応答信号を出力するとともに、前記警報出力手段を備えたことを特徴とする。更に他の形態の一つは、前記無線距離検知システムで使用され、前記近距離通信手段からの問合せに対して応答信号を出力するとともに、前記問合せの間隔をモニターし、所定時間内に問合せがなかったときは前記警報出力手段から警報出力を行うことを特徴とする。
【0010】
本発明の無線距離測定スイッチは、携帯端末の近距離通信手段と、検知対象に取り付けられる少なくとも1つの無線タグとが無線通信可能であって、問合せの間隔もしくは前記携帯端末と前記無線タグとの検出距離の少なくとも一方が異なる複数の動作モードで、前記近距離通信手段によって前記無線タグに問合せを行うとともに、前記無線タグとの距離を測定し、測定結果に基づいて動作することを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、検知距離と検知間隔が異なる複数の動作モードを備えることとしたので、電池の消耗の低減を図りつつ、良好に忘れ物等を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例1の全体を示す構成図である。
【図2】前記実施例1の携帯電話の構成を示すブロック図である。
【図3】前記実施例1の無線タグの構成とIDテーブルの例を示す図である。
【図4】前記実施例1における設定動作を示すフローチャート及びその設定画面の一例を示す図である。
【図5】前記実施例1における忘れ物の検知動作を示すシーケンス図である。
【図6】本発明の実施例2における所持品の認識画面の一例を示す図である。
【図7】前記実施例2における設定動作を示すシーケンス図である。
【図8】前記実施例2における忘れ物の検知動作を示すシーケンス図である。
【図9】(A)は前記実施例2における問合せ時の動作を示すフローチャート、(B)は無線警報タグ側の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
図1には、本実施例の全体構成が示されており、携帯電話100を中心に構成されている。検知対象200としては、サイフ210,カギ220,カサ230,バッグ240が示されているが、必要に応じて増減してよい。各検知対象200には、キーホルダー212,222,232,242がそれぞれ設けられており、各キーホルダーには無線タグ300がそれぞれ内蔵されている。
【0015】
これらのうち、携帯電話100は、例えば、図2に示すようなブロック構成となっており、MPUなどによって構成された制御処理部102を中心に構成されている。この制御処理部102には、液晶ディスプレイなどの表示部110,タッチパネルやテンキーなどの入力部112,着信音などを出力するスピーカ114,通話時の音声出力を行うレシーバ115,音声を入力するマイク116,電話機能を担う通話部118,画像撮影を行うカメラ120,位置情報を取得するGPS122,カレンダー・時計124,bluetooth(登録商標)などの近距離通信部126,携帯電話100の方向を検知する加速度センサ127,メモリ130がそれぞれ接続されている。これら各部の動作制御が、制御処理部102によって行われるようになっている。
【0016】
これらの基本的な構成は公知であり、一般的な携帯電話やスマートフォンと同様である。例えば、通話を行うときは、入力部112において、相手先の電話番号を入力するとともに、オンフック操作を行うと、制御処理部102によって通話部118により発呼処理が行われ、レシーバ115及びマイク116を使用して相手方との通話が行われるという具合である。
【0017】
以上の各部のうち、特に本実施例に関係する部分について説明すると、本実施例の無線検知を行う際には、無線検知プログラム104が制御処理部102で実行されるようになっている。無線検知プログラム104は、予め携帯電話100に用意しておいてもよいが、アプリケーションソフトウエアとして、利用者がダウンロード等により取得して組み込むようにしてもよい。無線検知プログラム104が実行されると、メモリ130にIDテーブル132が用意される。IDテーブル132は、無線タグ300のIDと、それを取り付けた検知対象物との関係を示すテーブルである。例えば、タグID=No.1の無線タグ300はサイフに取り付けられており、タグID=No.2の無線タグ300はカギに取り付けられているといった具合である。
【0018】
カレンダー・時計124は、年月日と時刻を示すもので、後述するように、忘れ物を検知した日時及び時刻のデータを取得するためのものである。近距離通信部126としては、例えば、bluetooth(登録商標)による通信が可能なモジュールが用意される。
【0019】
次に、図3(A)を参照しながら、携行品に取り付けられた無線タグ300について説明する。無線タグ300は、上述した携帯電話100の近距離通信部126と対応した無線モジュールによって構成されており、制御部301,送受信部302,メモリ304,電源306,発音部308が設けられている。メモリ304には、予め設定した無線タグ300のIDが記憶されている。
【0020】
bluetoothの通信規格によれば、携帯電話1台に対し、最大で7個までの通信相手を認識してそれぞれ通信指示を行うことができるようになっているので、本実施例でも携行品は最大7個となっている。また、bluetoothには、電波強度のクラスがあるが、本実施例では、例えばクラス2の電波出力「2.5mW」,到達距離「10m」が近距離通信部126と無線タグ300に設定されている。
【0021】
各部に駆動用の電力を供給する電源306としては、もちろんボタン電池や太陽電池などを使用してもよいが、携行品は振動する可能性が高いので、振動発電装置を用いて電池を充電するようにしてもよい。
以上のような無線タグ300の制御部301の基本的な動作は、
a,携帯電話100の近距離通信部126からの問合せがあったときに、メモリ304に格納されている自己のIDデータを送受信部302から送信するID送信動作,
b,携帯電話100の近距離通信部126から発音指示があったときに、発音部308を駆動してアラーム音を出力するアラーム動作,
である。
【0022】
次に、図4及び図5も参照しながら、本実施例の全体動作を説明する。まず、携帯電話100の近距離通信部126と無線タグ300との間でペアリングを行い、携帯電話100で無線タグ300を認識する。このとき、利用者は、いずれの無線タグがいずれの携行品に対応するかを予め入力しておく。ペアリングの結果は、IDテーブル132として、携帯電話100のメモリ130に格納される。図3(B)には、図1の場合におけるIDテーブル132の例が示されている。タグID=No.1の無線タグ300はサイフ210,タグID=No.2の無線タグ300はカギ220,という具合である。このペアリングの動作は、無線タグ300を新規に購入したときに一度行えばよい。
【0023】
利用者は、必要が生じたとき、例えば外出するときは、携帯電話100の入力部112によって忘れ物検知の入力操作を行う。例えば、忘れ物検知のアイコンをクリックする。すると、図4(A)に示すように、無線検知プログラム104が起動される(ステップS10)。これにより、携帯電話100の表示部110に、設定画面が表示される(ステップS12)。図4(B)には、設定画面の一例が示されている。認識可能な最大7個の無線タグ300に対応するタグID=No.1〜No.7のボタンが表示されている。いずれのタグIDがどの携行品に該当するかは、メモリ130のIDテーブル132を参照することで認識され、画面上に表示される。この画面上で、利用者は、携行の有無及び動作モードの設定を行う(ステップS14)。
【0024】
例えば、利用者が、サイフ、カギ,バッグを携行しているときは、携行ボタンSA1,SA2,SA4を「ON」とする。一方、カサは携行していないとすると、携行ボタンSA3は「OFF」のままとなる。具体的には、「ON」は青色,「OFF」は赤色で表示される。この設定結果は、IDテーブル132に保存される(図3(B)参照)。
【0025】
次に、利用者は、モード設定ボタンMA1,MB1,MA2,MB2,・・・を押して、動作モードを設定する。モード設定ボタンMA1,MA2,・・・を押すと要注意モードとなり、モード設定ボタンMB1,MB2,・・・を押すと節電モードとなる。要注意モードでは、1分間に6回の割合で無線タグ300に問合せを行うとともに、携行品との距離が5m以上離れるとアラーム出力を行う。節電モードでは、1分間に1回の割合で無線タグ300に問合せを行うとともに、携行品との距離が10m以上離れるとアラーム出力を行う。なお、全ての携行品について、共通の設定を行うときは、共通設定ボタンSA,MA,MBを操作する。設定終了後、利用者が開始ボタンSPを押すと、無線検知プログラム104は、忘れ物検知動作に移行する(ステップS16)。
【0026】
次に、忘れ物検知動作について説明する。無線検知プログラム104は、設定された動作モードに応じた間隔で問合せ信号を送信する(図5,ステップS30)。すると、各携行品の無線タグ300は、自己のIDを応答信号として送信する(ステップS32,S34,S36)。これらの応答信号が携帯電話100の近距離通信部126で受信されると、無線検知プログラム104は、受信信号強度から、その距離を検出する(ステップS38)。その結果、検出した距離が動作モードの設定値以内であるときは(ステップS40のYes)、次の応答信号の送信動作を行う。
【0027】
しかし、検出した距離が、動作モードの設定値外となったときは(ステップS40のNo)、該当する携行品の携行ボタンSA1,SA2,・・・をアラーム表示とするとともに、要注意モードの携行品の無線タグ300に対して警報出力を指示する(ステップS42)。これに基づいて、該当する無線タグ300では、制御部301から発音部308に駆動信号が出力され、警報音が出力される。前記アラーム表示は、例えば青色の携行ボタンを黄色の点滅で表示することで行われる。同時に警報音や振動を出力するようにしてもよい。なお、節電モードでは、10mを超えたときは、電波が届かないので、無線タグ300における警報音の出力は行われない。
【0028】
例えば、サイフ210に対して要注意モードで検知動作が行われているときは、5m離れたことが検出された時点で、サイフ210に対応する携行ボタンSA1が青色から黄色の点滅に変わるとともに、サイフ210に取り付けられているキーホルダー212の無線タグ300から警報音が出力される(ステップS44)。
【0029】
同時に、無線検知プログラム104は、GPS122から位置情報を取得するとともに、カレンダー・時計124から日時の情報を取得し、忘れ物を検知した場所及び時刻のデータとしてメモリ130に保存する(ステップS46)。利用者が、黄色表示の携行ボタンSA1を押すと、表示部110上に、前記場所及び時刻のデータが表示される(ステップS48)。このとき、地図上に忘れ物をした地点を表示するようにしてもよい。
【0030】
以上のように、本実施例によれば、次のような効果がある。
a,節電モードと要注意モードを設けることとしたので、電池の消耗を低減しつつ、良好に忘れ物を検知することができる。
b,無線タグをキーホルダーに内蔵することとしたので、どのような物にも簡単に取り付けることができる。
c,無線タグの電源として振動発電装置を用いることで、利用者の移動中に発電して電池を充電することができ、電池の長寿命化を図ることができる。
d,要注意モードでは忘れ物からも警報音が出力されるので、携行品の盗難の恐れが低減される。
e,携帯電話を忘れたときに携行品側から警報音出力を行うこととしたので、携帯電話100自体の忘れ物を検知することができる。
【実施例2】
【0031】
次に、図6〜図9を参照しながら、本発明の実施例2について説明する。本実施例における携帯電話100及び無線タグ300の基本的な構成は前記実施例1と同様であるが、無線検知プログラム104及び制御部301の動作が異なり、忘れ物検知に加速度センサ127が利用される。加速度センサ127は、携帯電話100の傾きを検出し、利用者から見て画面が正しい向きで表示されるようにするためのものであるが、本実施例では、後述する図9(A)に示すように、携帯電話100にかかる加速度の検出手段として機能する。例えば、利用者が急に動いたような場合に、それが加速度センサ124によって検知される。また、本実施例の近距離通信部126としては、bluetoothの電波強度のクラス3の電波出力「1mW」,到達距離「1m」のモジュールが用いられる。
【0032】
一方、本実施例の無線タグ300も、同様にbluetoothの電波強度のクラス3のモジュールが用いられる。また、本実施例の無線タグ300は、前記実施例1で示した動作の他に、後述する図9(B)に示すように、問合せ信号の受信間隔のモニターする機能も備えている。
【0033】
次に、本実施例の全体動作を説明する。携帯電話100の近距離通信部126と無線タグ300との間でのペアリングを行う点,いずれの無線タグがいずれの所持品に対応するかの入力を行う点は、前記実施例と同様である。利用者は、必要が生じたとき、例えば外出するときは、携帯電話100の入力部112によって忘れ物検知の入力操作を行う。すると、図7に示すように、無線検知プログラム104が起動される(ステップS100)。これにより、近距離通信部126から設定信号が出力され(ステップS102)、無線タグ300の送受信部302で受信される。各タグでは、制御部301によってメモリ304から自己のIDが読み出され、送受信部302から応答信号として出力される(ステップS104〜S108)。
【0034】
携帯電話100の近距離通信部126で応答信号が受信されると、そのIDから利用者が持っている所持品を認識し(ステップS110)、認識した物としなかった物を表示部110に表示する(ステップS112)。図6には、表示の一例が示されている。IDとして、No.1,No.2,No.4が受信されたとすると、それらのIDに何が対応するかはメモリ130のIDテーブル132を参照することで知ることができ、本例では、サイフ210,カギ220,バッグ240が所持品として認識される。この認識結果は、IDテーブル132に保存されるとともに、携帯電話100の表示部110にチェックマークによって表示される。利用者は、この画面を参照することで、サイフ210,カギ220,バッグ240を持っているが、カサ230は持っていないことを確認することができる。もし、カサ230も必要であるということであれば、利用者は、カサ230を携帯して画面上の再設定ボタンB10を押し、図7の動作を再度行う。利用者が、図6の表示画面上の確認ボタンB12を押してチェックを確認する入力を行うと(ステップS114)、無線検知プログラム104は、忘れ物検知動作に移行する(ステップS116)。
【0035】
次に、図8に示す忘れ物検知動作について説明する。無線検知プログラム104は、適宜の間隔で問合せ信号を送信する(ステップS120)。すると、各所持品の無線タグ300は、自己のIDを応答信号として送信する(ステップS122,S124,S126)。これらの応答信号が携帯電話100の近距離通信部126で受信されると、無線検知プログラム104は、IDテーブル132を参照し、チェックした所持品と受信IDとが一致するかどうかを比較する(ステップS128)。その結果、距離が離れて所定強度の応答信号を受信できず、チェックした所持品と受信IDとが一致していないときは、スピーカ114からアラーム音を出力する(ステップS130)。これにより、利用者は、忘れ物が生じたことを知ることができる。アラーム音の代わりに「○○を忘れました」という具合に音声出力を行ってもよいし、その旨の表示や振動を行うようにしてもよい。
【0036】
ところで、この場合において、無線検知プログラム104は、図9(A)に示すように、加速度センサ127の検知出力をモニターしており(ステップS150)、何らかの動きを検知したときは(ステップS152のYes)、一定の間、問合せ信号の間隔を通常時より小さくする(ステップS154)。例えば、通常モード時は30秒に1回の割合で問合せ信号を送信するのに対し、動きを検知した要注意モード時は3秒に1回の割合で問合せ信号を送信するという具合である。この動作は、一定時間,例えば3分間程度行うようにしてもよいし、動きを検知しなくなるまで継続して行ってもよい。加速度センサ127で動きを検知した場合とは、例えば、電車などに乗降する場合、飲食店などにおいて席を立つような場合が考えられ、最も忘れ物が生ずる可能性が高く、注意を要する。そこで、問合せ信号の送信頻度を高めることで、忘れ物が生じたことを速やかに検知して利用者に知らせるようにする。
【0037】
加えて、無線タグ300では、図9(B)に示すように、その制御部301において問合せ信号の受信間隔がモニターされる(ステップS160)。その結果、所定時間内に問合せ信号を受信しなかったときは(ステップS162のNo)、発音部308からアラーム音を出力する(ステップS164)。問合せ信号の送信間隔は、上述したように予め決まっているので、それを所定時間内に受信できず、アラーム音が鳴ったときは、
a,無線タグ300が付されているサイフ210等を忘れたために、携帯電話100とサイフ210等との距離が所定以上となったか、もしくは、
b,サイフ210等は持参しているが、携帯電話100を忘れて、両者の距離が所定以上となった、
可能性がある。なお、本例では、bluetoothの電波強度クラス3が用いられているため、1m以上離れると、アラーム音が出力される。
【0038】
このように、サイフ210等を忘れたときは、上述したように携帯電話100側でもその旨の警告が行われるので、これによって利用者はサイフ210等を忘れたことを知ることができる。一方、携帯電話100を忘れたときは、サイフ210等の無線タグ300から警告が行われるので、これによって利用者は携帯電話100を忘れたことを知ることができる。加えて、忘れた携帯電話100のみならずサイフ210等からもアラーム音が出力されるので、利用者は、その音を頼りに忘れた物を探し出すことができる。また、第三者も、アラーム音が鳴っている物を取得することにためらいを生ずるため、盗難の恐れが低減されるようになる。
【0039】
以上のように、本実施例によれば、前記実施例に加えて、次のような効果がある。
a,出かけるときに、携行品を自動的に認識することとしたので、入力設定の手間を省くことができる。
b,通常時は比較的大きな時間間隔で問合せを行い、動きを検知した要注意時は小さな時間間隔で問合せを行うようにしたので、電池の消耗を低減しつつ、電車の乗降時などにおいても、効果的に忘れ物を検知することができる。
【0040】
なお、前記説明では、無線タグ300側で図9(B)に示した問合せ信号の受信間隔モニターを行うとともに警報音出力を行ったが、これは、携帯電話100を忘れた場合にそれを検知するためのもので、そのような必要性がないときは、問合せに対して単に自己のIDを送信するだけの機能を備えた簡便な構造の無線タグ,例えば、電源がなくても動作するパッシブ型の無線タグを用いるようにしてよい。また、サイフなど、重要度の高い携行品に本実施例のような無線タグを取り付け、重要度の低い携行品にはパッシブ型の無線タグを取り付けるようにしてもよい。
【0041】
加えて、携帯電話100の加速度センサ127で携帯電話100の動きを検知したときに、無線検知プログラム104が起動されているかどうかをチェックし、起動されていないときは、その起動を促すようにしてもよい。外出するときは、携帯電話100に動きが生ずると考えられる。その場合に、利用者が無線検知プログラム104の起動を忘れていると、忘れ物検知を行うことができないので、その旨を画面に表示する,その旨の音声信号を出力するなどの方法で無線検知プログラム104の起動を促すようにする。
【実施例3】
【0042】
次に、本発明の他の変形例を実施例3として説明する。
(1)設定時に、無線検知プログラム104によって天気情報を取得する。そして、降水確率が50%以上でカサ230を所持していないとき、降水確率が50%以下でカサ230を所持しているときは、その旨を設定画面上もしくは音声にて問い合わせる。これにより、カサが必要となる可能性が高いのに所持し忘れたり、逆にカサが不要である可能性が高いのに所持したりといった不都合を防ぐことができる。
(2)忘れ物として検知された無線タグ300からの信号を受信したときにロックして開かないようにするロック装置をバッグに設け、バッグが盗難に合ったときに内部を保護する。
(3)無線タグ300側で電池残量が少くなったときに、これを携帯電話100側に通知し、その旨の表示を行うことで、電池交換ないし充電を促すようにする。
(4)無線検知動作の終了は、図4(B)に示した設定画面上で終了のボタン(図示せず)を操作することで終了するようにしてもよいが、例えば、自宅に戻ったこと,職場に到着したこと等、予め設定した地点に到着したことがGPS122の出力から確認できたときは、自動的に終了するようにしてもよく、無線検知プログラム104にかかる機能を備えておけばよい。
【0043】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例では、携帯電話と携行品との距離を検知してアラーム出力を行ったが、広く考えると、無線で距離を測定してアラーム出力のスイッチをONとするという無線距離測定スイッチと考えることができる。
(2)前記実施例で示した携行品の種類や数は必要に応じて増減してよい。現行のbluetoothの規格によれば7つまでとなるが、規格に限定されるものではない。電波の出力強度や到達距離も同様であり、必要に応じて適宜設定してよい。問合せの時間間隔や忘れ物として検出する距離も同様であり、両方もしくは一方を適宜設定する。
(3)前記実施例では、無線タグをキーホルダーとして携行品に取り付けるようにしたが、バッジなどとして取り付けてもよいし、タグ自体を直接携行品に取り付けるようにしてもよい。
(4)前記実施例では、携行品に無線タグを取り付けて忘れ物を防止するようにしたが、置引きの防止にも同様に利用できる。また、子供や老人など人に無線タグを所持させることで、迷子の防止・発見,徘徊者の発見などにも利用することができる。
(5)前記実施例では、携帯電話を利用した場合を説明したが、スマートフォン,PHS,PDA,電子書籍端末など、各種の携帯端末に適用可能である。また、前記実施例では、近距離通信方式として、bluetoothを用いた場合を示したが、無線LANなど、他の方式を採用してもよい。近距離通信用モジュールのみによる専用端末を構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明によれば、検知距離と検知間隔が異なる複数の動作モードを備えることとしたので、電池の消耗の低減を図りつつ、良好に忘れ物等を検知することができ、利便性・実用性の高い忘れ物検知システムや迷子発見システムなどに好適である。
【符号の説明】
【0045】
100:携帯電話
102:制御処理部
104:無線検知プログラム
110:表示部
112:入力部
114:スピーカ
115:レシーバ
116:マイク
118:通話部
120,:カメラ
122:GPS
124:カレンダー・時計
126:近距離通信部
127:加速度センサ
130:メモリ
132:IDテーブル
200:検知対象
210:サイフ
212,222,232,242:キーホルダー
220:カギ
230:カサ
240:バッグ
300:無線タグ
301:制御部
302:送受信部
304:メモリ
306:電源
308:発音部
B10:再設定ボタン
B12:確認ボタン
MA1,MA2,・・・:モード設定ボタン
SA,MA,MB:共通設定ボタン
SA1,SA2,SA4:携行ボタン
SP:開始ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近距離通信手段を備えた携帯端末と、
該近距離通信手段と無線通信可能であって、検知対象に取り付けられる少なくとも1つの無線タグと、
前記携帯端末に設けられており、前記近距離通信手段によって前記無線タグに問合せを行い、無線タグが近辺にあるかどうかを検知する無線検知手段とを備えており、
前記問合せの間隔もしくは前記携帯端末と前記無線タグとの検出距離の少なくとも一方が異なる複数の動作モードを備えたことを特徴とする無線距離検知システム。
【請求項2】
前記複数の動作モードが、
前記警報を出力する距離が10mであって、1分間に1回の割合で前記問合せを行う節電モードと、
前記警報を出力する距離が5mであって、1分間に6回の割合で前記問合せを行う要注意モードと、
を含むことを特徴とする請求項1記載の無線距離検知システム。
【請求項3】
前記携帯端末が加速度センサを備えており、
該加速度センサによって前記携帯端末の動きが検知されたときは、前記無線検知手段における前記問合せの間隔を短くすることを特徴とする請求項1記載の無線距離検知システム。
【請求項4】
前記検知対象にも警報を出力する警報出力手段を設け、
前記警報を出力する距離となったときに、前記携帯端末及び検知対象の両方から警報を出力することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の無線距離検知システム。
【請求項5】
前記検知対象にも警報を出力する警報出力手段を設け、
前記問合せの間隔をモニターし、所定時間内に問合せがなかったときは、前記警報出力手段から警報出力を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の無線距離検知システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の無線距離検知システムで使用され、前記近距離通信手段,前記無線距離検出手段,及び、前記警報出力手段を備えており、前記複数の動作モードで検知対象の検知動作を行うことを特徴とする携帯端末。
【請求項7】
請求項6記載の携帯端末で実行され、前記無線距離検知手段として機能するとともに、前記複数の動作モードで検知対象の検知動作を行うことを特徴とする無線距離検知プログラム。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の無線距離検知システムで使用され、前記近距離通信手段からの問合せに対して応答信号を出力することを特徴とする無線タグ。
【請求項9】
請求項4記載の無線距離検知システムで使用され、前記近距離通信手段からの問合せに対して応答信号を出力するとともに、前記警報出力手段を備えたことを特徴とする無線タグ。
【請求項10】
請求項5記載の無線距離検知システムで使用され、前記近距離通信手段からの問合せに対して応答信号を出力するとともに、前記問合せの間隔をモニターし、所定時間内に問合せがなかったときは前記警報出力手段から警報出力を行うことを特徴とする無線タグ。
【請求項11】
携帯端末の近距離通信手段と、検知対象に取り付けられる少なくとも1つの無線タグとが無線通信可能であって、
問合せの間隔もしくは前記携帯端末と前記無線タグとの検出距離の少なくとも一方が異なる複数の動作モードで、前記近距離通信手段によって前記無線タグに問合せを行うとともに、前記無線タグとの距離を測定し、測定結果に基づいて動作することを特徴とする無線距離測定スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−54518(P2013−54518A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191828(P2011−191828)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(511214967)有限会社大東鉄工 (1)
【Fターム(参考)】