説明

無線通信システム、基地局、移動局および通信制御方法

【課題】周波数利用効率を向上させつつ、所望無線信号成分への干渉を効率的に除去可能とする。
【解決手段】移動局UEが、基地局NBからの受信品質に基づいて複数の階級CLのいずれかに分類される。1つの階級CL内の1つの移動局UEへのデータ信号成分DSCの送信に使用されるリソースブロックRBが、その階級CLに属する他の移動局UEへのデータ信号成分DSCの送信に使用されるリソースブロックRBとは重畳されず、かつ、その階級CL以外の階級CLに属する移動局UEへのデータ信号成分DSCの送信に使用されるリソースブロックRBと重畳されるように、基地局NBにて割当てが実行される。移動局UEは、リソースブロックRBの割当てに基づいて、低質移動局LUEに対応するデータ信号成分DSCをキャンセルした後に、その移動局UEに対応するデータ信号成分DSCを復調する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム、基地局、移動局および通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、移動通信ネットワークにおける無線データ通信量の増大に対応するため、高速かつ大容量の無線アクセスを実現可能なLTE(Long Term Evolution)、LTE-Advanced等の無線通信規格が提案されている(例えば、非特許文献1、非特許文献2)。LTEおよびLTE-Advancedにおける下りリンク無線アクセスでは、各ユーザ装置に対してデータ信号を送信するためのデータチャネルが周波数領域または時間領域において直交する。したがって、各ユーザ装置に対するデータチャネル間での干渉が抑制される。
【0003】
例えば、図1に示す周波数領域の直交無線アクセスでは、各移動局UE(UE−A,UE−B,UE−C)に対して割り当てられる周波数帯域が相互に直交するため、干渉が抑制される。各移動局UEは、その移動局UE自身に割り当てられた周波数帯域のみを復調することで、その移動局UEに対する無線信号を取得することが可能である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】3GPP TS 36.300 V8.12.0; 3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA) and Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN) (2010-03)
【非特許文献2】3GPP TS 36.300 V10.4.0; 3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA) and Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN) (2011-06)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
直交無線アクセス方式によると、各移動局UEに割り当てられる無線リソース(例えば、周波数帯域)が単一の移動局UEに占有されるため、他移動局UEからの干渉はないものの、十分な周波数利用効率が得られない場合がある。
他方、図2のように無線リソース(周波数帯域)が複数の移動局UEによって共有される非直交無線アクセス方式では、ある移動局UE(例えば、移動局UE−C)がその移動局UEへの無線信号を取得するために、他の移動局UE(例えば、移動局UE−Aおよび移動局UE−B)に対する無線信号からの干渉を除去する必要が生じる場合がある。
【0006】
以上の事情に鑑み、本発明は、非直交無線アクセス方式を用いて下り無線通信における周波数利用効率を向上させつつ、他の移動局に対する無線信号成分による所望無線信号成分への干渉を効率的に除去可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る無線通信システムは、複数の移動局と、複数の前記移動局の各々に、所定の期間および周波数帯域に対応するリソースブロックを使用して無線送信することが可能な基地局とを備える無線通信システムであって、前記基地局は、前記基地局からの受信品質に基づいて、前記各移動局を複数の階級のいずれか1つに分類する移動局分類部と、1つの階級内の1つの移動局へのデータ信号成分の送信に使用されるリソースブロックが、当該階級に属する他の移動局へのデータ信号成分の送信に使用されるリソースブロックとは重畳されず、かつ、当該階級以外の階級に属する移動局へのデータ信号成分の送信に使用されるリソースブロックと重畳されるように、複数の前記移動局に対して前記リソースブロックの割当てを行うリソースブロック割当部と、複数の前記移動局に送信すべき複数のデータ信号成分を生成するデータ信号成分生成部と、前記リソースブロック割当部による複数の前記移動局への前記リソースブロックの割当てを示す情報を含む制御信号を生成する制御信号生成部と、前記データ信号成分生成部が生成した複数の前記データ信号成分と前記制御信号生成部が生成した前記制御信号とを送信する要素であって、前記リソースブロック割当部による前記リソースブロックの割当てに従って前記データ信号成分を送信し、前記基地局からの受信品質が悪い移動局に対するデータ信号成分ほど大きな送信電力で送信するように構成された送信部とを備え、複数の前記移動局の各々は、前記基地局の前記送信部から送信された複数の前記データ信号成分が合成されたデータ信号および前記基地局の前記送信部から送信された前記制御信号を受信する受信部と、当該移動局の前記受信部に受信された前記データ信号に、当該移動局が属する階級と比較して前記基地局からの受信品質がより悪い階級である低質階級内の移動局である低質移動局に対応するデータ信号成分が含まれる場合には、当該成分を前記制御信号に基づいて復調してキャンセルした後に、当該移動局に対応するデータ信号成分を復調するデータ信号復調部とを備える。
【0008】
以上の構成によれば、リソースブロック割当部による複数の移動局へのリソースブロックの割当てを示す情報が移動局に送信されるので、複数の移動局に対するデータ信号成分が重畳されたデータ信号から所望のデータ信号成分以外の成分をキャンセルすることが可能となる。
【0009】
本発明の好適な態様によれば、前記基地局の前記リソースブロック割当部は、前記基地局からの受信品質がより悪い階級内の1つの移動局に割り当てられるリソースブロックが、前記基地局からの受信品質がより良い階級内の1つ以上の移動局に割り当てられるリソースブロックと重畳され、前記基地局からの受信品質がより良い階級内の1つの移動局に割り当てられるリソースブロックの全てが、前記基地局からの受信品質がより悪い階級内の1つの移動局に割り当てられるリソースブロックと重畳されるように、複数の前記移動局に対して前記リソースブロックの割当てを行い、前記基地局の前記制御信号生成部は、複数の前記移動局と一対一で対応する制御要素であって、(a)当該移動局へのデータ信号成分の送信に使用されるリソースブロックの割当てを示す移動局リソースブロック割当情報と、(b)当該移動局が属する階級に隣接する低質階級に含まれる低質移動局であって当該移動局へ割り当てられるリソースブロックと同じリソースブロックが割り当てられる低質移動局を示す低質移動局識別情報と、(c)当該移動局を識別する自移動局識別情報と、を各々が含む複数の制御要素が多重された制御信号を生成し、前記基地局からの受信品質が最も悪い階級内の移動局に対応する制御要素に含まれる前記低質移動局識別情報は、当該移動局についての低質移動局が存在しないことを示し、複数の前記移動局の各々は、当該移動局の自移動局識別情報を用いて、当該移動局の前記受信部に受信された前記制御信号のうち当該移動局に対応する制御要素を復調する制御信号第1復調部と、復調された制御要素に含まれる低質移動局識別情報を用いて、前記制御信号のうち当該低質移動局識別情報が示す低質移動局に対応する制御要素を復調することを、低質移動局が存在しないことを示す低質移動局識別情報を含む制御要素が復調されるまで実行する制御信号第2復調部とを更に備え、当該移動局の前記データ信号復調部は、低質移動局に対応する各制御要素を用いて低質移動局に対応する各データ信号成分を復調およびキャンセルした後に、当該移動局に対応する制御要素を用いて当該移動局に対応するデータ信号成分を復調する。
【0010】
以上の構成によれば、基地局からの受信品質がより良い階級内の1つの移動局に割り当てられるリソースブロックの全てが、基地局からの受信品質がより悪い階級内の1つの移動局に割り当てられるリソースブロックと重畳される。その結果として、移動局が、自局宛のデータ信号成分の復調・復号に先立って、送信電力のより大きいデータ信号成分を無線信号(データ信号)からキャンセルするに際し、各低質階級につきただ1つの移動局へのデータ信号成分をキャンセルすればよい。したがって、自局宛のデータ信号成分の復調・復号の実行に先立って必要なキャンセル回数が抑制されるので、干渉成分の効率的なキャンセルが可能となる。
また、各制御要素に、その制御要素に対応する移動局が属する階級に隣接する低質階級に含まれる低質移動局であって、その移動局へ割り当てられるリソースブロックと同じリソースブロックが割り当てられる低質移動局を示す低質移動局識別情報が含まれる。したがって、他の移動局に対するリソースブロックの割当てに関する情報を直接には通知されないにも関わらず、自局向けのデータ信号成分の復調・復号を実行しようとする移動局が、制御要素に含まれる低質移動局を順に辿っていくことにより、キャンセルすべきデータ信号成分およびそのキャンセルの順序を知ることが可能である。以上の構成によれば、低質移動局の個数に依らず、各制御要素に低質移動局識別情報が1つだけ含まれるので、制御要素のサイズを固定長とすることが可能である。したがって、制御信号の構成が簡易となるので、移動局における制御信号処理のオーバヘッドをより削減することが可能となる。
【0011】
本発明の好適な態様によれば、前記基地局の前記制御信号生成部は、前記基地局からの受信品質が悪い移動局ほど、当該移動局に対応する前記制御要素の冗長度が高くなるように前記制御信号を生成する。
以上の構成によれば、制御要素の冗長度を一定とする構成と比較して、基地局からの受信品質が悪い(例えば、基地局から遠い)移動局であっても、制御要素をより品質良く受信することが可能となる。
【0012】
本発明の好適な態様によれば、前記無線通信システムでは、前記基地局からの受信品質が最も悪い階級内の1つの移動局へ割り当てられるリソースブロックの全部または一部が割り当てられる移動局の集合を示す共通部分と、当該移動局の集合に含まれる各移動局を示す個別部分とを含む移動局区別情報によって前記移動局を識別可能であって、複数の前記移動局の各々には前記共通部分が予め前記基地局から通知され、前記基地局の前記制御信号生成部は、前記低質移動局識別情報として前記個別部分を各々が含む複数の制御要素が多重された制御信号を生成し、前記移動局の前記制御信号第2復調部は、当該移動局に記憶された共通部分と復調された制御要素に含まれる個別部分とを用いて、当該共通部分および当該個別部分が示す低質移動局に対応する制御要素を復調する。
以上の構成によれば、制御要素に共通部分と個別部分とを含める構成と比較して、制御要素に搭載される情報量が削減されるので、移動局における制御信号の処理負荷をより低減させることが可能である。
【0013】
また、本発明に係る基地局は、複数の移動局と、複数の前記移動局の各々に、所定の期間および周波数帯域に対応するリソースブロックを使用して無線送信することが可能な基地局とを備える無線通信システムにおける基地局であって、前記基地局からの受信品質に基づいて、前記各移動局を複数の階級のいずれか1つに分類する移動局分類部と、1つの階級内の1つの移動局へのデータ信号成分の送信に使用されるリソースブロックが、当該階級に属する他の移動局へのデータ信号成分の送信に使用されるリソースブロックとは重畳されず、かつ、当該階級以外の階級に属する移動局へのデータ信号成分の送信に使用されるリソースブロックと重畳されるように、複数の前記移動局に対して前記リソースブロックの割当てを行うリソースブロック割当部と、複数の前記移動局に送信すべき複数のデータ信号成分を生成するデータ信号成分生成部と、前記リソースブロック割当部による複数の前記移動局への前記リソースブロックの割当てを示す情報を含む制御信号を生成する制御信号生成部と、前記データ信号成分生成部が生成した複数の前記データ信号成分と前記制御信号生成部が生成した前記制御信号とを送信する要素であって、前記リソースブロック割当部による前記リソースブロックの割当てに従って前記データ信号成分を送信し、前記基地局からの受信品質が悪い移動局に対するデータ信号成分ほど大きな送信電力で送信するように構成された送信部とを備える。
【0014】
本発明の好適な態様によれば、前記リソースブロック割当部は、前記基地局からの受信品質がより悪い階級内の1つの移動局に割り当てられるリソースブロックが、前記基地局からの受信品質がより良い階級内の1つ以上の移動局に割り当てられるリソースブロックと重畳され、前記基地局からの受信品質がより良い階級内の1つの移動局に割り当てられるリソースブロックの全てが、前記基地局からの受信品質がより悪い階級内の1つの移動局に割り当てられるリソースブロックと重畳されるように、複数の前記移動局に対して前記リソースブロックの割当てを行い、前記制御信号生成部は、複数の前記移動局と一対一で対応する制御要素であって、(a)当該移動局へのデータ信号成分の送信に使用されるリソースブロックの割当てを示す移動局リソースブロック割当情報と、(b)当該移動局が属する階級と比較して前記基地局からの受信品質がより悪い階級である低質階級内の移動局である低質移動局のうち当該移動局が属する階級に隣接する低質階級に含まれる低質移動局であって、当該移動局へ割り当てられるリソースブロックと同じリソースブロックが割り当てられる低質移動局を示す低質移動局識別情報と、(c)当該移動局を識別する自移動局識別情報と、を各々が含む複数の制御要素が多重された制御信号を生成し、前記基地局からの受信品質が最も悪い階級内の移動局に対応する制御要素に含まれる前記低質移動局識別情報は、当該移動局についての低質移動局が存在しないことを示す。
【0015】
また、本発明に係る移動局は、複数の移動局と、複数の前記移動局の各々に所定の期間および周波数帯域に対応するリソースブロックを使用して無線送信することが可能であり、基地局自身からの受信品質に基づいて前記各移動局を複数の階級のいずれか1つに分類することが可能である基地局とを備える無線通信システムにおける移動局であって、前記基地局から送信されたデータ信号および制御信号を受信する受信部を備え、前記データ信号には、当該移動局へのデータ信号成分と当該移動局以外へのデータ信号成分とが重畳されており、前記制御信号には、前記基地局による複数の前記移動局への前記リソースブロックの割当てを示す情報が含まれており、さらに、当該移動局の前記受信部に受信された前記データ信号に、当該移動局が属する階級と比較して前記基地局からの受信品質がより悪い階級である低質階級内の移動局である低質移動局に対応するデータ信号成分が含まれる場合には、当該成分を前記制御信号に基づいて復調してキャンセルした後に、当該移動局に対応するデータ信号成分を復調するデータ信号復調部とを備える。
【0016】
本発明の好適な態様によれば、前記制御信号には、複数の前記移動局と一対一で対応する制御要素であって、(a)当該移動局へのデータ信号成分の送信に使用されるリソースブロックの割当てを示す移動局リソースブロック割当情報と、(b)当該移動局が属する階級に隣接する低質階級に含まれる低質移動局であって当該移動局へ割り当てられるリソースブロックと同じリソースブロックが割り当てられる低質移動局を示す低質移動局識別情報と、(c)当該移動局を識別する自移動局識別情報と、を各々が含む複数の制御要素が多重されており、前記基地局からの受信品質が最も悪い階級内の移動局に対応する制御要素に含まれる前記低質移動局識別情報は、当該移動局についての低質移動局が存在しないことを示し、前記移動局は、当該移動局の自移動局識別情報を用いて、当該移動局の前記受信部に受信された前記制御信号のうち当該移動局に対応する制御要素を復調する制御信号第1復調部と、復調された制御要素に含まれる低質移動局識別情報を用いて、前記制御信号のうち当該低質移動局識別情報が示す低質移動局に対応する制御要素を復調することを、低質移動局が存在しないことを示す低質移動局識別情報を含む制御要素が復調されるまで実行する制御信号第2復調部とを更に備え、当該移動局の前記データ信号復調部は、低質移動局に対応する各制御要素を用いて低質移動局に対応する各データ信号成分を復調およびキャンセルした後に、当該移動局に対応する制御要素を用いて当該移動局に対応するデータ信号成分を復調する。
【0017】
また、本発明の通信制御方法は、複数の移動局と、複数の前記移動局の各々に、所定の期間および周波数帯域に対応するリソースブロックを使用して無線送信することが可能な基地局とを備える無線通信システムにおける通信制御方法であって、前記基地局が、前記基地局からの受信品質に基づいて、前記各移動局を複数の階級のいずれか1つに分類することと、1つの階級内の1つの移動局へのデータ信号成分の送信に使用されるリソースブロックが、当該階級に属する他の移動局へのデータ信号成分の送信に使用されるリソースブロックとは重畳されず、かつ、当該階級以外の階級に属する移動局へのデータ信号成分の送信に使用されるリソースブロックと重畳されるように、複数の前記移動局に対して前記リソースブロックの割当てを行うことと、複数の前記移動局に送信すべき複数のデータ信号成分を生成することと、複数の前記移動局への前記リソースブロックの割当てを示す情報を含む制御信号を生成することと、複数の前記データ信号成分と前記制御信号とを送信するに際し、前記リソースブロックの割当てに従って前記データ信号成分を送信し、前記基地局からの受信品質が悪い移動局に対するデータ信号成分ほど大きな送信電力で送信することと、前記移動局が、前記基地局から送信された複数の前記データ信号成分が合成されたデータ信号および前記基地局から送信された前記制御信号を受信することと、当該移動局に受信された前記データ信号に、当該移動局が属する階級と比較して前記基地局からの受信品質がより悪い階級である低質階級内の移動局である低質移動局に対応するデータ信号成分が含まれる場合に、当該成分を前記制御信号に基づいて復調してキャンセルした後に、当該移動局に対応するデータ信号成分を復調することとを備える。
【0018】
本発明の好適な態様によれば、前記基地局が、前記基地局からの受信品質がより悪い階級内の1つの移動局に割り当てられるリソースブロックが、前記基地局からの受信品質がより良い階級内の1つ以上の移動局に割り当てられるリソースブロックと重畳され、前記基地局からの受信品質がより良い階級内の1つの移動局に割り当てられるリソースブロックの全てが、前記基地局からの受信品質がより悪い階級内の1つの移動局に割り当てられるリソースブロックと重畳されるように、複数の前記移動局に対して前記リソースブロックの割当てを行うことと、複数の前記移動局と一対一で対応する制御要素であって、(a)当該移動局へのデータ信号成分の送信に使用されるリソースブロックの割当てを示す移動局リソースブロック割当情報と、(b)当該移動局が属する階級に隣接する低質階級に含まれる低質移動局であって当該移動局へ割り当てられるリソースブロックと同じリソースブロックが割り当てられる低質移動局を示す低質移動局識別情報と、(c)当該移動局を識別する自移動局識別情報と、を各々が含む複数の制御要素が多重された制御信号を生成することとを備え、前記基地局からの受信品質が最も悪い階級内の移動局に対応する制御要素に含まれる前記低質移動局識別情報は、当該移動局についての低質移動局が存在しないことを示し、さらに、前記移動局が、当該移動局の自移動局識別情報を用いて、当該移動局に受信された前記制御信号のうち当該移動局に対応する制御要素を復調することと、復調された制御要素に含まれる低質移動局識別情報を用いて、前記制御信号のうち当該低質移動局識別情報が示す低質移動局に対応する制御要素を復調することを、低質移動局が存在しないことを示す低質移動局識別情報を含む制御要素が復調されるまで実行することと、低質移動局に対応する各制御要素を用いて低質移動局に対応する各データ信号成分を復調およびキャンセルした後に、当該移動局に対応する制御要素を用いて当該移動局に対応するデータ信号成分を復調することとを通信制御方法が備える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】周波数領域の直交無線アクセスの一例を示す図である。
【図2】周波数領域の非直交無線アクセスの一例を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムの概略図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る基地局が移動局に送信する無線信号の例を示す図である。
【図5】前記無線通信システムにて使用されるリソースブロックに重畳された複数のデータ信号成分を例示する図である。
【図6】各移動局に割り当てられるリソースブロックの包含関係(ツリー構造)を示す図である。
【図7】本発明の第1実施形態におけるデータ信号成分の復調・復号・キャンセルの様子を示す図である。
【図8】本発明の第1実施形態における基地局の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第1実施形態における移動局の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第1実施形態におけるリソースブロックRBの割当ておよびデータ信号成分DSCの復調・復号・キャンセルの動作フロー図である。
【図11】本発明の第1実施形態の下りリンク制御情報の構成例を示す図である。
【図12】本発明の第1実施形態の制御信号の生成の様子を示す図である。
【図13】本発明の第1実施形態の下りリンク制御情報の復調・復号の動作フロー図である。
【図14】本発明の第2実施形態の低質移動局の移動局識別情報の例を示す図である。
【図15】本発明の変形例におけるリソースブロックに重畳された複数のデータ信号成分を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
第1の実施形態
(1)無線通信システムの概略
図3は、本発明の実施形態に係る無線通信システムの概略図である。無線通信システム1は、基地局NBと、複数の移動局UE(UE−A,UE−B,UE−C)とを備える。基地局NBは、基地局NB自身が形成する不図示のセル内に位置する移動局UEに対して無線信号Sを送信する。説明の簡単のため1つの基地局NBのみが図示されるが、無線通信システム1が複数の基地局NBを含み得ることは当然に理解される。
【0021】
無線通信システム1内の各通信要素(基地局NB,移動局UE等)は所定の無線アクセス技術(例えば、LTE)に従って無線通信を行う。本実施形態では、無線通信システム1がLTEに従って動作する形態を想定して説明するが、本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない。本発明は、必要な設計上の変更を施した上で、他の無線アクセス技術(例えば、IEEE 802.16シリーズに規定されるWiMAX)にも適用可能である。
【0022】
図4に、基地局NBが移動局UEに送信する無線信号Sの例を示す。図4において、縦軸は時間を示し横軸は周波数を示す。無線信号Sには、制御信号CSが送信される制御領域CRと、データ信号DSが送信されるデータ領域DRとが含まれる。制御領域CRは下りリンク制御チャネル(Physical Downlink Control Channel, PDCCH)とも称され、データ領域DRは下りリンク共通チャネル(Physical Downlink Shared Channel, PDSCH)とも称される。無線信号Sは1サブフレーム(1 ms)単位で区分けされ、制御領域CRとデータ領域DRとが各サブフレームに含まれる。
【0023】
詳細は後述されるが、制御信号CSには個々の移動局UEに対応する複数の下りリンク制御情報(Downlink Control Information)DCIが含まれ、データ信号DSには個々の移動局UEに対応する複数のデータ信号成分DSCが含まれる。移動局UEは、その移動局UE自身に対応する下りリンク制御情報DCIに含まれた割当情報に基づいて、その移動局UE自身に対応するデータ信号成分DSCを復調・復号する。そのため、データ信号成分DSCの復調・復号に先立って、そのデータ信号成分DSCに対応する下りリンク制御情報DCIを復調・復号する必要がある。
【0024】
複数の下りリンク制御情報DCIが共通の周波数帯域で送信されることはない(すなわち、重畳されない)が、複数のデータ信号成分DSCは共通の周波数帯域で送信されることがある(すなわち、重畳され得る)。なお、図4では、図示の簡単のため、データ領域DR内の各区画に複数のデータ信号成分DSCが重畳されない例が示されている。
【0025】
(2)非直交無線アクセス
無線通信システム1においては、所定の時間長(例えば、1 ms)と所定の周波数帯域(例えば、180 kHz)とに対応するリソースブロックRB単位で、基地局NBと移動局UEとの無線通信に使用される無線リソース(時間長および周波数帯域)が割り当てられる。また、本実施形態の基地局NBは、図2のように、複数の移動局UEに対して共通の周波数帯域を使用して無線信号S(データ信号DS)を送信する。すなわち、基地局NBは、複数の移動局UEに対して送信すべき複数のデータ信号成分DSCを、各リソースブロックRBに重畳して送信することが可能である。換言すると、基地局NBは、相互に直交しない(非直交の)複数のリソースブロックRBを用いて無線送信を実行することが可能である。
【0026】
図5は、複数のリソースブロックRBに重畳された複数のデータ信号成分DSCを例示する図である。図5において、横軸は周波数を示す。複数の縦点線にて区画される1つの領域が1つのリソースブロックRBを示す。各ボックスは、各ボックス内に記された移動局UE(例えば、移動局UE−A)に対するデータ信号成分DSC(例えば、データ信号成分DSC−A)を示す。すなわち、図5では、各リソースブロックRBに重畳される複数のデータ信号成分DSCが示されている。例えば、図5で最も左に位置するリソースブロックRBには、移動局UE−Aに対するデータ信号成分DSC−Aと、移動局UE−Bに対するデータ信号成分DSC−Bと、移動局UE−Eに対するデータ信号成分DSC−Eと、移動局UE−Hに対するデータ信号成分DSC−Hとが重畳される。
【0027】
図5では、縦軸上の位置に従い各ボックス(ひいては、各移動局UE)が各階級CLに分類される。すなわち、第1階級CL1には移動局UE−Aが分類され、第2階級CL2には移動局UE−Bないし移動局UE−Dが分類され、第3階級CL3には移動局UE−Eないし移動局UE−Gが分類され、第4階級CL4には移動局UE−Hないし移動局UE−Kが分類される。
【0028】
図5の縦軸は、基地局NBからの受信品質、基地局NBからの送信電力、および移動局UEでのデータ信号成分DSCのキャンセルの順番を示す(データ信号成分DSCのキャンセルについては後述される)。すなわち、より上方の階級CL内の移動局UEほど基地局NBからの受信品質が良く、より下方の階級CL内の移動局UEほど基地局NBからの受信品質が悪い。例えば、第4階級CL4内の移動局UE−Hが基地局NBからの受信品質が最も良く、第3階級CL3内の移動局UE−E、第2階級CL2内の移動局UE−B、第1階級CL1内の移動局UE−Aの順に基地局NBからの受信品質が悪くなる(すなわち、第1階級CL1内の移動局UE−Aが基地局NBからの受信品質が最も悪い)。以下、説明の簡単のため、ある移動局UEが属する階級CL(例えば、第4階級CL4)と比較して、基地局NBからの受信品質がより大きい階級CL(例えば、第1階級CL1、第2階級CL2、第3階級CL3)のことを、低質階級LCLと称する場合があり、低質階級LCL内の移動局UEのことを低質移動局LUEと称する場合がある。
【0029】
したがって、より上方の階級CL(すなわち、より基地局NBからの受信品質が良い階級CL)内の移動局UEほど、より小さな送信電力で基地局NBからデータ信号成分DSCが送信され、より下方の階級CL(すなわち、より基地局NBからの受信品質が悪い階級CL)内の移動局UEほど、より大きな送信電力で基地局NBからデータ信号成分DSCが送信されると好適である。
なお、より基地局NBに近い移動局UEほど電波の受信品質が高い傾向にあり、より基地局NBから遠い移動局UEほど電波の受信品質が低い傾向にあることを踏まえて、より基地局NBに近い移動局UEほどより小さな送信電力で基地局NBからデータ信号成分DSCが送信され、より基地局NBから遠い移動局UEほどより大きな送信電力で基地局NBからデータ信号成分DSCが送信されても好適である。
【0030】
図5においては、基地局NBからの受信品質がより悪い階級CL内の1つの移動局UEに割り当てられるリソースブロックRBが、基地局NBからの受信品質がより良い階級CL内の1つ以上の移動局UEに割り当てられるリソースブロックRBと重畳される(例えば、第1階級CL1内の移動局UE−Aに割り当てられたリソースブロックRBが、より基地局NBからの受信品質が良い第2階級CL2内の移動局UE−B、移動局UE−C、および移動局UE−Dにも割り当てられる)。また、基地局NBからの受信品質がより良い階級CL内の1つの移動局UEに割り当てられるリソースブロックRBの全てが、基地局NBからの受信品質がより悪い階級CL内の1つの移動局UEに割り当てられるリソースブロックRBと重畳される(例えば、第4階級CL4内の移動局UE−Hに割り当てられたリソースブロックRBの全てが、低質階級LCLである第3階級CL3内の移動局UE−Eに割り当てられる)。
【0031】
すなわち、図5において各移動局UEに割り当てられるリソースブロックRBの包含関係は、図6に示すツリー構造を形成する。図6のツリー構造において、根ノード(第1階級CL1内の移動局UE−A)以外の各ノード(第2階級CL2ないし第4階級CL4内の各移動局UE)は、1段階上の階級(以下、隣接低質階級ALCLと称する場合がある)のノード(親ノード)を1つだけ有する。なお、以上のツリー構造が基地局NBに無線接続される移動局UEの個数および受信品質に応じて変化し得ることは、当然に理解される。
【0032】
(3)データ信号成分の復調・復号・キャンセル
図7は、本実施形態におけるデータ信号成分DSCの復調・復号・キャンセルの様子を示す図である。図7では、移動局UE−Aに対するデータ信号成分DSC−A、移動局UE−Bに対するデータ信号成分DSC−B、および移動局UE−Eに対するデータ信号成分DSC−Eが共通のリソースブロックRBに重畳されてデータ信号DSとして送信される場合を想定する。図7において、横軸は周波数を示し、縦軸は各データ信号成分DSCの基地局NBからの送信電力の大きさを示す。データ信号成分DSC−Aの送信電力が最も大きく、データ信号成分DSC−Bの送信電力が次に大きく、データ信号成分DSC−Eの送信電力は最も小さい。
【0033】
データ信号成分DSC−Aは送信電力が最も大きいので、より送信電力の小さいデータ信号成分DSC−Bおよびデータ信号成分DSC−Eからの干渉は相対的に小さい。したがって、移動局UE−Aは、データ信号成分DSC−Bおよびデータ信号成分DSC−Eをキャンセルせずにデータ信号成分DSC−Aを復調・復号することが可能である。
データ信号成分DSC−Bは次に送信電力が大きいので、より送信電力の小さいデータ信号成分DSC−Eからの干渉は相対的に小さいが、より送信電力の大きいデータ信号成分DSC−Aからの干渉が相対的に大きい。したがって、移動局UE−Bは、データ信号成分DSC−Bを復調・復号するのに先立って、データ信号成分DSC−Bに重畳されているデータ信号成分DSC−Aをキャンセルする。より送信電力の小さいデータ信号成分DSC−Eについてはキャンセル不要である。
データ信号成分DSC−Eは送信電力が最も低いので、より送信電力の大きいデータ信号成分DSC−Aおよびデータ信号成分DSC−Bからの干渉が相対的に大きい。したがって、移動局UE−Eは、データ信号成分DSC−Eを復調・復号するのに先立って、データ信号成分DSC−Eに重畳されているデータ信号成分DSC−Aおよびデータ信号成分DSC−Bをキャンセルする。
【0034】
移動局UE−Eの動作を具体的に説明する。移動局UE−Eは、まず、データ信号DSに含まれる最も送信電力の大きいデータ信号成分DSC−Aを、復調・復号してデータ信号DSからキャンセルし(図7(A)から図7(B))、次いで、次に送信電力の大きいデータ信号成分DSC−Bを、復調・復号してデータ信号DSからキャンセルする(図7(B)から図7(C))。そして、データ信号成分DSC−Eを復調・復号する(図7(C))。以上のようにして、自局向けのデータが移動局UE−Eに取得される。
なお、データ信号成分DSCのキャンセルは公知の任意の手法にて実行され得るが、例えば、「Fundamentals of Wireless Communication」(D. Tse and P. Viswanath, Cambridge University Press, May 2005)の6章に記載の手法にて実行されると好適である。
【0035】
上述の通り、あるデータ信号成分DSCを復調・復号する際に、そのデータ信号成分DSCと同じリソースブロックRBに重畳された、より送信電力の大きいデータ信号成分DSCをキャンセルすると好適である。したがって、図5においては、より送信電力の大きいデータ信号成分DSCに対応する移動局UE、すなわち、より下方の階級CL(基地局NBからの受信品質がより悪い低質階級LCL)内の移動局UEに対するデータ信号成分DSCから順にキャンセルを実行すると好適であると理解される。
【0036】
(4)小括
本実施形態では、基地局NBからの受信品質がより良い階級CL内の1つの移動局UEに割り当てられるリソースブロックRBの全てが、基地局NBからの受信品質がより悪い階級CL(すなわち、低質階級LCL)内の1つの移動局UEに割り当てられるリソースブロックRBと重畳される。その結果として、移動局UEが、自局宛のデータ信号成分DSCの復調・復号に先立って、送信電力のより大きいデータ信号成分DSC(すなわち、低質階級LCL内の移動局UEへのデータ信号成分DSC)を無線信号S(データ信号DS)からキャンセルするに際し、各低質階級LCLにつきただ1つの移動局UEへのデータ信号成分DSCをキャンセルすればよい。
【0037】
例えば、図5の第4階級CL4内の移動局UE−Hが、自局宛のデータ信号成分DSC−Hを復調・復号するに際しては、第1階級CL1については移動局UE−Aへのデータ信号成分DSC−Aをキャンセルし、第2階級CL2については移動局UE−Bへのデータ信号成分DSC−Bをキャンセルし、第3階級CL3については移動局UE−Eへのデータ信号成分DSC−Eをキャンセルすればよい。以上のキャンセルを実行することで、自局宛のデータ信号成分DSC−Hへの干渉成分が除去され、データ信号成分DSC−Hを復調・復号することが可能となる。
【0038】
したがって、ある移動局UEが、各低質階級LCLにつき2つ以上の移動局UEへのデータ信号成分DSCをキャンセルする必要があり得る構成(例えば、図15に示す構成では、第3階級CL3内の移動局UE−Fは、第2階級CL2について、移動局UE−Bおよび移動局UE−Cへのデータ信号成分DSC(DSC−B,DSC−C)をキャンセルする必要がある)と比較して、自局宛のデータ信号成分DSCの復調・復号の実行に先立って必要なキャンセル回数が抑制されるので、干渉成分の効率的なキャンセルが可能となる。
【0039】
以下に、上述したリソースブロックRBの割当ておよびデータ信号成分DSCの復調・復号・キャンセルを実現するための具体的な構成を説明する。
【0040】
(5)基地局の構成
図8は、本発明の実施形態に係る基地局NBの構成を示すブロック図である。基地局NBは、無線通信部110と制御部130とを備える。
無線通信部110は、各移動局UEとの間で無線通信を実行するための要素であり、送受信アンテナ120と、移動局UEから電波を受信して電気信号に変換する受信回路と、音声信号等の電気信号を電波に変換して送信する送信回路とを含む。
【0041】
制御部130は、移動局分類部132、リソースブロック割当部134、制御信号生成部136、およびデータ信号成分生成部138を要素として含む。制御部130および制御部130に含まれる各要素(移動局分類部132、リソースブロック割当部134、制御信号生成部136、およびデータ信号成分生成部138)は、基地局NB内の不図示のCPU(Central Processing Unit)が、不図示の記憶部に記憶されたコンピュータプログラムを実行し、そのコンピュータプログラムに従って機能することにより実現される機能ブロックであり得る。制御部130の動作は後述される。
【0042】
(6)移動局の構成
図9は、本発明の実施形態に係る移動局UEの構成を示すブロック図である。移動局UEは、無線通信部210と制御部230とを備える。なお、音声・映像等を出力する出力装置およびユーザからの指示を受け付ける入力装置等の図示は便宜的に省略されている。
無線通信部210は、基地局NBとの間で無線通信を実行するための要素であり、送受信アンテナ220と、移動局UEから電波を受信して電気信号に変換する受信回路と、音声信号等の電気信号を電波に変換して送信する送信回路とを含む。
【0043】
制御部230は、特性値測定部232、特性値報告部234、制御信号復調部236、およびデータ信号復調部238を要素として含む。制御部230および制御部230に含まれる各要素(特性値測定部232、特性値報告部234、制御信号復調部236、およびデータ信号復調部238)は、基地局NB内の不図示のCPUが、不図示の記憶部に記憶されたコンピュータプログラムを実行し、そのコンピュータプログラムに従って機能することにより実現される機能ブロックであり得る。制御部230の動作は後述される。
【0044】
(7)動作フロー
図10を参照して、本実施形態のリソースブロックRBの割当ておよびデータ信号成分DSCの復調・復号・キャンセルの動作のフローを説明する。
【0045】
ステップS110〜ステップS130の動作により、基地局NBと無線接続する複数の移動局UEの各々が、その移動局UEにおける基地局NBからの無線信号S(電波)の受信品質に応じて、図5にて例示したような複数の階級CLのいずれか1つに分類される。具体的には、まず、各移動局UEの特性値測定部232が、基地局NBから受信した電波の参照信号受信品質(Reference Signal Received Quality, RSRQ)Rを測定する(ステップS110)。測定された参照信号受信品質Rが特性値報告部234に供給され、無線通信部210を介して基地局NBに報告される(ステップS120)。基地局NBの移動局分類部132は、各移動局UEから報告された参照信号受信品質Rに応じて各移動局UEを複数の階級CLのいずれか1つに分類し、複数の移動局UEの各々が属する階級CLを示す分類情報CLIをリソースブロック割当部134に供給する(ステップS130)。
なお、基地局NBからの受信品質として用いられるパラメータは参照信号受信品質Rに限られず、受信品質を反映し得る任意のパラメータ(例えば、受信電力(Reference Signal Received Power, RSRP)または信号対干渉比(Signal to Interference Ratio, SIR)等)であり得る。
また、より基地局NBに近い移動局UEほど電波の受信品質が高い傾向にあり、より基地局NBから遠い移動局UEほど電波の受信品質が低い傾向にあることを踏まえて、ステップS130において、基地局NBの移動局分類部132が、各移動局UEから報告された受信電力等に応じて、基地局NBから各移動局UEまでの距離を算定し、算定した距離に応じて各移動局UEを複数の階級CLのいずれか1つに分類してもよい。
【0046】
ステップS140で、基地局NBのデータ信号成分生成部138が、複数の移動局UEに送信すべきデータ信号DSの要素である複数のデータ信号成分DSCを生成して、無線通信部110に供給する。各データ信号成分DSCは、不図示の上位層からデータ信号成分生成部138に供給されるデータDに基づいて生成される。また、データ信号成分生成部138は、リソースブロックRBの割当てに用いられるトラヒック情報TIをリソースブロック割当部134に供給する。トラヒック情報TIには、例えば、移動局UEに対して送信すべきデータ量等が含まれる。
【0047】
ステップS150で、基地局NBのリソースブロック割当部134が、トラヒック情報TI、分類情報CLI、およびその他の補足的な情報(例えば、下りリンクチャネルの状態等)に基づいて、基地局NBと無線接続する複数の移動局UEに対して、データ信号DS(複数のデータ信号成分DSC)の送信のためのリソースブロックRBを割り当てる。具体的には、図5を参照して説明したように、基地局NBからの受信品質がより悪い階級CL内の1つの移動局UEに割り当てられるリソースブロックRBが、基地局NBからの受信品質がより良い階級CL内の1つ以上の移動局UEに割り当てられるリソースブロックRBと重畳され、基地局NBからの受信品質がより良い階級CL内の1つの移動局UEに割り当てられるリソースブロックRBの全てが、基地局NBからの受信品質がより悪い階級CL内の1つの移動局UEに割り当てられるリソースブロックRBと重畳されるように、リソースブロックRBの割当てが実行される(なお、同一の階級CL内に属する複数の移動局UEの間では、リソースブロックRBが重畳されない)。そして、複数の移動局UEへのリソースブロックRBの割当てを示す情報AIが、無線通信部110および制御信号生成部136に供給される。
【0048】
ステップS160で、基地局NBの制御信号生成部136が、リソースブロック割当部134による複数の移動局UEへのリソースブロックRBの割当てを示す情報AIを含む制御信号CSを生成する。図4を参照して前述した通り、制御信号CSには複数の下りリンク制御情報DCIが含まれる。
【0049】
図11に、下りリンク制御情報DCIの具体的構成例を示す。下りリンク制御情報DCIは、移動局UEと一対一で対応する。制御信号生成部136は、複数の移動局UEへのリソースブロックRBの割当てを示す情報AIに基づいて、各移動局UEについて、(a)その移動局UEへのデータ信号成分DSCの送信に使用されるリソースブロックRBの割当てを示す移動局リソースブロック割当情報UAIと、(b)その移動局UEが属する階級CLの隣接低質階級ALCLに含まれる低質移動局LUEであって、その移動局UEへ割り当てられるリソースブロックRBと同じリソースブロックRBが割り当てられる低質移動局LUE(例えば、その移動局UEが図5の移動局UE−Hであれば、移動局UE−E)の移動局識別情報UE−IDと、(c)誤り検出符号との間で排他的論理和演算がされた、その移動局UEを識別する移動局識別情報UE−IDと、を生成する。なお、移動局識別情報UE−IDは、ある基地局NBに無線接続された移動局UEを一意に識別する識別子であり、例えば16ビットの2進数である。また、誤り検出符号には、CRC(Cyclic Redundancy Check)が採用されると好適である。
【0050】
制御信号生成部136は、基地局NBからの受信品質が悪い移動局UEほど、その移動局UEに対応する下りリンク制御情報DCIの冗長度を高く設定すると好適である。具体的には、例えば、図12(A)に示すように、基地局NBからの受信品質が最も良い第4階級CL4内の移動局UE−Hおよび移動局UE−Iについては下りリンク制御情報DCIの符号化率を高く設定し(ビット数を少なく設定し)、より受信品質が悪い第3階級CL3内の移動局UE−Eについては下りリンク制御情報DCIの符号化率をより低く設定し(ビット数をより多く設定し)、さらに受信品質が悪い第2階級CL2内の移動局UE−Bについては符号化率をさらに低く設定する(ビット数をさらに多く設定する)と好適である。なお、制御信号CSの構成単位である72ビットの制御チャネル要素(Control Channel Element)CCEの整数倍の大きさに下りリンク制御情報DCIが設定されるとより好適である。以上では説明のために4つの移動局UEに対応する4つの下りリンク制御情報DCIのみを例示したが、基地局NBに無線接続される移動局UEの数に応じて、生成される下りリンク制御情報DCIの数が変化することは当然に理解される。
【0051】
なお、基地局NBからの受信品質が最も悪い階級(例えば、図5および図6の第1階級CL1)内の移動局UE(例えば、移動局UE−A)に対応する下りリンク制御情報DCIに含まれる低質移動局LUEの移動局識別情報UE−IDは、その移動局UEについての低質移動局LUEが存在しないことを示す。
【0052】
制御信号生成部136は、各移動局UEに対応する下りリンク制御情報DCIを連結(concatenate)して、制御信号CSを生成する(図12(B))。制御信号CSに含まれる制御チャネル要素CCEの数は送信帯域幅に応じて定まる。図12(B)のように、制御信号CSに含まれる制御チャネル要素CCEの数(9つ)よりも、送信すべき制御チャネル要素CCEの数(8つ)が少ない場合には、剰余の制御チャネル要素CCE(CCE#9)を不使用とすればよい。
【0053】
ステップS160における制御信号CSの生成には、以上の処理以外の処理が含まれ得る。例えば、連続的なノイズへの耐性を向上させるために、上述のように生成された制御信号CSがさらにインターリーブされてもよい。インターリーブは、例えば所定のサブキャリア単位で実行されると好適である。
【0054】
ステップS170で、基地局NBの無線通信部110が、データ信号成分生成部138が生成した複数のデータ信号成分DSCと、制御信号生成部136が生成した制御信号CSとを送信する。具体的には、無線通信部110は、図5を参照して説明したように、情報AIが示すリソースブロックRBの割当てに従って各データ信号成分DSCを送信する。また、無線通信部110は、図5を参照して説明したように、基地局NBからの受信品質が悪い移動局UEに対するデータ信号成分DSCほど、大きな送信電力で送信する。送信された複数のデータ信号成分DSCは、空間的に合成されて各データ信号成分DSCを含むデータ信号DSとなる。
【0055】
ステップS180で、移動局UEの無線通信部210は、基地局NBの無線通信部110から送信された複数のデータ信号成分DSCが合成されたデータ信号DS、および基地局NBの無線通信部110から送信された制御信号CSを受信する。受信された制御信号CSは制御部230の制御信号復調部236に供給され、受信されたデータ信号DSは制御部230のデータ信号復調部238に供給される。
【0056】
ステップS190で、移動局UEの制御信号復調部236は、その移動局UEの不図示の記憶部に記憶されたその移動局UE自身の移動局識別情報UE−IDを用いて、供給された制御信号CSのうち、その移動局UEに対応する下りリンク制御情報DCIを復調・復号する。そして、その移動局UEの低質移動局LUEの下りリンク制御情報DCIについても復調・復号を実行する。具体的には、図13を参照しながら以下に説明する。
【0057】
前述のように、各下りリンク制御情報DCIには、誤り検出符号との間で排他的論理和演算がされた、その下りリンク制御情報DCIに対応する移動局UEを識別する移動局識別情報UE−IDが含まれる。したがって、その下りリンク制御情報DCIに対応する移動局UEを識別する移動局識別情報UE−IDと、移動局UE自身の移動局識別情報UE−IDとが一致する場合、元の誤り検出符号が正しく取得される(あるビット列Xに対して、同じ値を用いた排他的論理和演算を2回実行すると、元のビット列Xが取得されるからである)。
以上のことを利用して、制御信号復調部236は、制御信号CSに含まれる下りリンク制御情報DCIについて、その移動局UE自身の移動局識別情報UE−IDとの排他的論理和演算を実行し、排他的論理和演算により取得されたその下りリンク制御情報DCI内の誤り検出符号と、実際に計算して取得されたその下りリンク制御情報DCIの誤り検出符号とが一致するか否かを判定する。制御信号復調部236は、一致すると判定されるまで各下りリンク制御情報DCIについて判定を実行し、一致すると判定された下りリンク制御情報DCIを自局向けの下りリンク制御情報DCIとして採用する(ステップS192)。以上の一連の処理を、下りリンク制御情報DCIのブラインド復調と称する。
【0058】
制御信号復調部236は、復調された自局向けの下りリンク制御情報DCIに含まれる低質移動局LUEの移動局識別情報UE−IDを参照し、低質移動局LUEが存在しないと判定される場合には(ステップS194:NO)、ステップS190を終了してステップS200へと進む。他方、低質移動局LUEが存在すると判定される場合には(ステップS194:YES)、その低質移動局LUEの移動局識別情報UE−IDを使用して、ステップS192と同様にブラインド復調を実行する(ステップS196)。ステップS196のブラインド復調により取得された低質移動局LUE向けの下りリンク制御情報DCIがさらに低質移動局LUEの存在を示す場合には、さらにブラインド復調が実行される(ステップS194:YES→ステップS196)。したがって、低質移動局LUEが存在しないことを示す低質移動局LUEの移動局識別情報UE−IDが含まれる下りリンク制御情報DCIが復調されるまで、ステップS190の動作(すなわち、下りリンク制御情報DCIの復調・復号)が実行される。
その移動局UEに対応する低質移動局LUEが存在する場合には、ステップS190の動作により、各低質移動局LUEの基地局NBからの受信電力が悪い順序(すなわち、データ信号成分DSCをキャンセルすべき順序)を示す移動局順序情報OIが、制御信号復調部236に取得される。取得された移動局順序情報OIはデータ信号復調部238に供給される。
【0059】
ステップS200で、移動局UEのデータ信号復調部238は、無線通信部210から供給されたデータ信号DSに、低質階級LCL内の移動局UEである低質移動局LUEに対応するデータ信号成分DSCが含まれる場合には、その各データ信号成分DSCを各下りリンク制御情報DCIを用いて復調してキャンセルした後に、移動局UE自身に対応する下りリンク制御情報DCIを用いて移動局UE自身へのデータ信号成分DSCを復調する。
【0060】
すなわち、図7を参照して上述したように、ステップS190の処理により取得された移動局順序情報OIに基づいて、データ信号復調部238が、より低質の階級CL内の移動局UEに対応するデータ信号成分DSCから順に(すなわち、送信電力の大きいデータ信号成分DSCから順に)、各低質移動局LUEの下りリンク制御情報DCIを用いて復調・復号・キャンセルを実行した後、移動局UE自身へのデータ信号成分DSCを復調・復号する。
【0061】
(8)総括
以上に説明したように、基地局NBからの受信電力がより良い階級CL内の1つの移動局UEに割り当てられるリソースブロックRBの全てが、基地局NBからの受信電力がより悪い階級CL(すなわち、低質階級LCL)内の1つの移動局UEに割り当てられるリソースブロックRBと重畳される構成において、データ信号成分DSCの復調・復号を実行しようとする移動局UEの隣接低質階級ALCLに含まれる低質移動局LUEであって、その移動局UEへ割り当てられるリソースブロックRBと同じリソースブロックRBが割り当てられる低質移動局LUEの移動局識別情報UE−IDが、下りリンク制御情報DCIによって伝えられる。また、低質移動局LUEの下りリンク制御情報DCIにも、その低質移動局LUEについての低質移動局LUEの移動局識別情報UE−IDが含まれる。したがって、他の移動局UEに対するリソースブロックRBの割当てに関する情報を直接には通知されないにも関わらず、自局向けのデータ信号成分DSCの復調・復号を実行しようとする移動局UEが、下りリンク制御情報DCIに含まれる低質移動局LUEを順に辿っていくことにより、キャンセルすべきデータ信号成分DSC(移動局UE)およびそのキャンセルの順序を知ることが可能である。以上の構成によれば、低質移動局LUEの個数に依らず、各下りリンク制御情報DCIに低質移動局LUEの移動局識別情報UE−IDが1つだけ含まれるので、下りリンク制御情報DCIのサイズを固定長とすることが可能である。したがって、制御信号CSの構成が簡易となるので、移動局UEにおける制御信号処理のオーバヘッドをより削減することが可能となる。
【0062】
第2実施形態
本発明の第2実施形態を以下に説明する。以下に例示する各態様において、作用や機能が第1実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の説明を適宜に省略する。
【0063】
第1実施形態では、全長の低質移動局LUEの移動局識別情報UE−IDが下りリンク制御情報DCIに搭載される。第2実施形態では、低質移動局LUEの移動局識別情報UE−IDの一部が下りリンク制御情報DCIに搭載される。
【0064】
前述のように、移動局識別情報UE−IDは、ある基地局NBに無線接続された移動局UEを一意に識別する識別子である。第2実施形態では、移動局識別情報UE−IDは16ビットの2進数である。
【0065】
図14は、第2実施形態の低質移動局LUEの移動局識別情報UE−IDの例を示す図である。移動局UE−Hおよび移動局UE−Eの移動局識別情報UE−IDが例示されている。移動局識別情報UE−IDは、上位12ビットの共通部分(101010101010)と、下位4ビットの個別部分(0001または0010)とに区画される。
【0066】
共通部分は、基地局NBからの受信品質が最も悪い階級CL内の1つの移動局UEへ割り当てられるリソースブロックRBの全部または一部が割り当てられる移動局UEの集合Gを示す識別子である。図5をも参照して説明すると、基地局NBからの受信品質が最も悪い第1階級CL1内の移動局UE−Aには、複数のリソースブロックRBの全部が割り当てられている。また、移動局UE−Aに割り当てられる複数のリソースブロックRBの一部が、移動局UE−Bないし移動局UE−Kに割り当てられている。したがって、移動局UE−Aないし移動局UE−Kが1つの集合Gに属する。そのため、移動局UE−Aないし移動局UE−Kの移動局識別情報UE−IDには、同じ集合Gを示す共通部分(101010101010)が含まれる。
【0067】
個別部分は、1つの集合Gに含まれる移動局UE(移動局UE−Aないし移動局UE−K)のいずれかを示す識別子である。個別部分0001は移動局UE−Hを示し、個別部分0010は移動局UE−Eを示す。
【0068】
1つの集合Gに含まれる移動局UEには、集合Gを示す移動局識別情報UE−IDの共通部分が基地局NBから予め通知される。例えば、移動局UEが基地局NBへハンドオーバし、その移動局UEが集合Gに属した時点にて共通部分が通知される。通知された共通部分は、移動局UE内の不図示の記憶部に記憶される。
【0069】
基地局NBの制御信号生成部136は、低質移動局LUEの移動局識別情報UE−IDとして、(移動局識別情報UE−ID全体ではなく)個別部分のみを下りリンク制御情報DCIに含め、制御信号CSを生成する(図11のステップS160)。
【0070】
移動局UEの制御信号復調部236は、その移動局UE内の不図示の記憶部に記憶された共通部分と、復調された下りリンク制御情報DCIに含まれる個別部分とを用いて、16ビットの移動局識別情報UE−IDを復元し、復元された移動局識別情報UE−IDを用いて、その移動局識別情報UE−IDに対応する下りリンク制御情報DCIを復調する(図11のステップS190)。
【0071】
移動局UE−Hと、移動局UE−Hの低質移動局LUEである移動局UE−Eとを例として説明する。移動局UE−Hに対する下りリンク制御情報DCIには、移動局UE−Hの低質移動局LUEである移動局UE−Eを示す個別部分0010が格納されている。したがって、移動局UE−Hが自局に記憶された移動局識別情報UE−IDを用いて下りリンク制御情報DCIを復調すると個別部分0010が得られる。移動局UE−Hは、予め通知され記憶部に記憶された共通部分101010101010と復調により得られた個別部分0010とを元に、移動局UE−Eの移動局識別情報UE−ID(1010101010100010)を復元し、移動局UE−Eに対する下りリンク制御情報DCIの復調に用いる。
【0072】
以上の構成によれば、下りリンク制御情報DCIに全長の低質移動局LUEの移動局識別情報UE−IDを含める構成と比較して、下りリンク制御情報DCIに搭載されるビット数が削減されるので、移動局UEにおける制御信号CSの処理負荷を低減させることが可能である。
【0073】
変形例
以上の実施の形態は多様に変形される。具体的な変形の態様を以下に例示する。以上の実施形態および以下に例示された形態から任意に選択された2以上の態様は相互に矛盾しない限り適宜に併合され得る。
【0074】
(1)変形例1
以上の各実施形態では、図5のように、基地局NBからの受信品質がより悪い階級CL内の1つの移動局UEに割り当てられるリソースブロックRBが、基地局NBからの受信品質がより良い階級CL内の1つ以上の移動局UEに割り当てられるリソースブロックRBと重畳され、基地局NBからの受信品質がより良い階級CL内の1つの移動局UEに割り当てられるリソースブロックRBの全てが、基地局NBからの受信品質がより悪い階級CL内の1つの移動局UEに割り当てられるリソースブロックRBと重畳される。しかしながら、1つの階級CL内の1つの移動局UEへのデータ信号成分DSCの送信に使用されるリソースブロックRBが、その階級CLに属する他の移動局UEへのデータ信号成分DSCの送信に使用されるリソースブロックRBとは重畳されず、かつ、その階級CL以外の階級CLに属する移動局UEへのデータ信号成分DSCの送信に使用されるリソースブロックRBと重畳されるように割り当てられるだけでもよい。すなわち、図15に示すように、ある移動局UEに対して割り当てられたリソースブロックRBが、2つ以上の低質移動局LUEに対して割り当てられてもよい(例えば、移動局UE−Fに割り当てられたリソースブロックRBが、2つの移動局UE(移動局UE−Bおよび移動局UE−C)に割り当てられている)。
【0075】
以上の構成においては、基地局NBの制御信号生成部136は、複数の移動局UEへのリソースブロックRBの割当てを示す情報AIを制御信号CSに搭載する。移動局UEは、制御信号CSに含まれる上記の情報AIに基づいて、その移動局UE自身に割り当てられるリソースブロックRBに重畳された、その移動局UEへのデータ信号成分DSC以外のデータ信号成分DSCを復調・復号・キャンセルした後に、その移動局UEへのデータ信号成分DSCを復調・復号する。
【0076】
以上の構成によっても、リソースブロックRBへの複数のデータ信号成分DSCの重畳による周波数利用効率の増大という効果が達成され得る。また、各移動局UEに対して自由にリソースブロックRBを割り当てられるという利点もある。ただし、以上の構成を採用する場合には、各移動局UEに対して、基地局NBからの受信品質が最も悪い移動局UEに対する送信電力にて制御信号CS(複数の移動局UEへのリソースブロックRBの割当てを示す情報AI)を送信する必要が生じるので、移動局UEにおける制御信号処理のためのオーバヘッド削減を考慮した場合には、前述の各実施形態を採用すると好適である。
【0077】
(2)変形例2
以上の各実施形態では、下りリンク制御情報DCIに含まれる、その下りリンク制御情報DCIに対応する移動局UEの移動局識別情報UE−IDは、誤り検出符号との間で排他的論理和演算がされていた。しかしながら、斯かる排他的論理和演算は必須ではなく、下りリンク制御情報DCIに対応する移動局UEの移動局識別情報UE−IDが、受信側の移動局UEにおいて復調可能であり、復調された移動局識別情報UE−IDによって移動局UEを識別可能であれば足りる。
【0078】
(3)変形例3
移動局UEは、基地局NBと無線通信が可能な任意の装置である。移動局UEは、例えばフィーチャーフォンまたはスマートフォン等の携帯電話端末でもよく、デスクトップ型パーソナルコンピュータでもよく、ノート型パーソナルコンピュータでもよく、UMPC(Ultra-Mobile Personal Computer)でもよく、携帯用ゲーム機でもよく、その他の無線端末でもよい。
【0079】
(4)変形例4
無線通信システム1内の各要素(基地局NB、移動局UE)においてCPUが実行する各機能は、CPUの代わりに、ハードウェアで実行してもよいし、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)等のプログラマブルロジックデバイスで実行してもよい。
【符号の説明】
【0080】
1……無線通信システム、NB……基地局、110……無線通信部、120……送受信アンテナ、130……制御部、132……移動局分類部、134……リソースブロック割当部、136……制御信号生成部、138……データ信号成分生成部、UE……移動局、210……無線通信部、220……送受信アンテナ、230……制御部、232……特性値測定部、234……特性値報告部、236……制御信号復調部、238……データ信号復調部、ALCL……隣接低質階級、CCE……制御チャネル要素、CL……階級、CLI……分類情報、CR……制御領域、CS……制御信号、DCI……下りリンク制御情報、DR……データ領域、DS……データ信号、DSC……データ信号成分、LCL……低質階級、OI……移動局順序情報、LUE……低質移動局、RB……リソースブロック、S……無線信号、UAI……移動局リソースブロック割当情報、UE−ID……移動局識別情報。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動局と、
複数の前記移動局の各々に、所定の期間および周波数帯域に対応するリソースブロックを使用して無線送信することが可能な基地局と
を備える無線通信システムであって、
前記基地局は、
前記基地局からの受信品質に基づいて、前記各移動局を複数の階級のいずれか1つに分類する移動局分類部と、
1つの階級内の1つの移動局へのデータ信号成分の送信に使用されるリソースブロックが、当該階級に属する他の移動局へのデータ信号成分の送信に使用されるリソースブロックとは重畳されず、かつ、当該階級以外の階級に属する移動局へのデータ信号成分の送信に使用されるリソースブロックと重畳されるように、複数の前記移動局に対して前記リソースブロックの割当てを行うリソースブロック割当部と、
複数の前記移動局に送信すべき複数のデータ信号成分を生成するデータ信号成分生成部と、
前記リソースブロック割当部による複数の前記移動局への前記リソースブロックの割当てを示す情報を含む制御信号を生成する制御信号生成部と、
前記データ信号成分生成部が生成した複数の前記データ信号成分と前記制御信号生成部が生成した前記制御信号とを送信する要素であって、前記リソースブロック割当部による前記リソースブロックの割当てに従って前記データ信号成分を送信し、前記基地局からの受信品質が悪い移動局に対するデータ信号成分ほど大きな送信電力で送信するように構成された送信部とを備え、
複数の前記移動局の各々は、
前記基地局の前記送信部から送信された複数の前記データ信号成分が合成されたデータ信号および前記基地局の前記送信部から送信された前記制御信号を受信する受信部と、
当該移動局の前記受信部に受信された前記データ信号に、当該移動局が属する階級と比較して前記基地局からの受信品質がより悪い階級である低質階級内の移動局である低質移動局に対応するデータ信号成分が含まれる場合には、当該成分を前記制御信号に基づいて復調してキャンセルした後に、当該移動局に対応するデータ信号成分を復調するデータ信号復調部とを備える
無線通信システム。
【請求項2】
前記基地局の前記リソースブロック割当部は、前記基地局からの受信品質がより悪い階級内の1つの移動局に割り当てられるリソースブロックが、前記基地局からの受信品質がより良い階級内の1つ以上の移動局に割り当てられるリソースブロックと重畳され、前記基地局からの受信品質がより良い階級内の1つの移動局に割り当てられるリソースブロックの全てが、前記基地局からの受信品質がより悪い階級内の1つの移動局に割り当てられるリソースブロックと重畳されるように、複数の前記移動局に対して前記リソースブロックの割当てを行い、
前記基地局の前記制御信号生成部は、複数の前記移動局と一対一で対応する制御要素であって、(a)当該移動局へのデータ信号成分の送信に使用されるリソースブロックの割当てを示す移動局リソースブロック割当情報と、(b)当該移動局が属する階級に隣接する低質階級に含まれる低質移動局であって当該移動局へ割り当てられるリソースブロックと同じリソースブロックが割り当てられる低質移動局を示す低質移動局識別情報と、(c)当該移動局を識別する自移動局識別情報と、を各々が含む複数の制御要素が多重された制御信号を生成し、
前記基地局からの受信品質が最も悪い階級内の移動局に対応する制御要素に含まれる前記低質移動局識別情報は、当該移動局についての低質移動局が存在しないことを示し、
複数の前記移動局の各々は、
当該移動局の自移動局識別情報を用いて、当該移動局の前記受信部に受信された前記制御信号のうち当該移動局に対応する制御要素を復調する制御信号第1復調部と、
復調された制御要素に含まれる低質移動局識別情報を用いて、前記制御信号のうち当該低質移動局識別情報が示す低質移動局に対応する制御要素を復調することを、低質移動局が存在しないことを示す低質移動局識別情報を含む制御要素が復調されるまで実行する制御信号第2復調部とを更に備え、
当該移動局の前記データ信号復調部は、低質移動局に対応する各制御要素を用いて低質移動局に対応する各データ信号成分を復調およびキャンセルした後に、当該移動局に対応する制御要素を用いて当該移動局に対応するデータ信号成分を復調する
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記基地局の前記制御信号生成部は、前記基地局からの受信品質が悪い移動局ほど、当該移動局に対応する前記制御要素の冗長度が高くなるように前記制御信号を生成する
請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記無線通信システムでは、前記基地局からの受信品質が最も悪い階級内の1つの移動局へ割り当てられるリソースブロックの全部または一部が割り当てられる移動局の集合を示す共通部分と、当該移動局の集合に含まれる各移動局を示す個別部分とを含む移動局区別情報によって前記移動局を識別可能であって、
複数の前記移動局の各々には前記共通部分が予め前記基地局から通知され、
前記基地局の前記制御信号生成部は、前記低質移動局識別情報として前記個別部分を各々が含む複数の制御要素が多重された制御信号を生成し、
前記移動局の前記制御信号第2復調部は、当該移動局に記憶された共通部分と復調された制御要素に含まれる個別部分とを用いて、当該共通部分および当該個別部分が示す低質移動局に対応する制御要素を復調する
請求項2または3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
複数の移動局と、
複数の前記移動局の各々に、所定の期間および周波数帯域に対応するリソースブロックを使用して無線送信することが可能な基地局と
を備える無線通信システムにおける基地局であって、
前記基地局からの受信品質に基づいて、前記各移動局を複数の階級のいずれか1つに分類する移動局分類部と、
1つの階級内の1つの移動局へのデータ信号成分の送信に使用されるリソースブロックが、当該階級に属する他の移動局へのデータ信号成分の送信に使用されるリソースブロックとは重畳されず、かつ、当該階級以外の階級に属する移動局へのデータ信号成分の送信に使用されるリソースブロックと重畳されるように、複数の前記移動局に対して前記リソースブロックの割当てを行うリソースブロック割当部と、
複数の前記移動局に送信すべき複数のデータ信号成分を生成するデータ信号成分生成部と、
前記リソースブロック割当部による複数の前記移動局への前記リソースブロックの割当てを示す情報を含む制御信号を生成する制御信号生成部と、
前記データ信号成分生成部が生成した複数の前記データ信号成分と前記制御信号生成部が生成した前記制御信号とを送信する要素であって、前記リソースブロック割当部による前記リソースブロックの割当てに従って前記データ信号成分を送信し、前記基地局からの受信品質が悪い移動局に対するデータ信号成分ほど大きな送信電力で送信するように構成された送信部とを備える
基地局。
【請求項6】
前記リソースブロック割当部は、前記基地局からの受信品質がより悪い階級内の1つの移動局に割り当てられるリソースブロックが、前記基地局からの受信品質がより良い階級内の1つ以上の移動局に割り当てられるリソースブロックと重畳され、前記基地局からの受信品質がより良い階級内の1つの移動局に割り当てられるリソースブロックの全てが、前記基地局からの受信品質がより悪い階級内の1つの移動局に割り当てられるリソースブロックと重畳されるように、複数の前記移動局に対して前記リソースブロックの割当てを行い、
前記制御信号生成部は、複数の前記移動局と一対一で対応する制御要素であって、(a)当該移動局へのデータ信号成分の送信に使用されるリソースブロックの割当てを示す移動局リソースブロック割当情報と、(b)当該移動局が属する階級と比較して前記基地局からの受信品質がより悪い階級である低質階級内の移動局である低質移動局のうち当該移動局が属する階級に隣接する低質階級に含まれる低質移動局であって、当該移動局へ割り当てられるリソースブロックと同じリソースブロックが割り当てられる低質移動局を示す低質移動局識別情報と、(c)当該移動局を識別する自移動局識別情報と、を各々が含む複数の制御要素が多重された制御信号を生成し、
前記基地局からの受信品質が最も悪い階級内の移動局に対応する制御要素に含まれる前記低質移動局識別情報は、当該移動局についての低質移動局が存在しないことを示す
請求項5に記載の基地局。
【請求項7】
複数の移動局と、複数の前記移動局の各々に所定の期間および周波数帯域に対応するリソースブロックを使用して無線送信することが可能であり、基地局自身からの受信品質に基づいて前記各移動局を複数の階級のいずれか1つに分類することが可能である基地局とを備える無線通信システムにおける移動局であって、
前記基地局から送信されたデータ信号および制御信号を受信する受信部を備え、
前記データ信号には、当該移動局へのデータ信号成分と当該移動局以外へのデータ信号成分とが重畳されており、
前記制御信号には、前記基地局による複数の前記移動局への前記リソースブロックの割当てを示す情報が含まれており、
さらに、当該移動局の前記受信部に受信された前記データ信号に、当該移動局が属する階級と比較して前記基地局からの受信品質がより悪い階級である低質階級内の移動局である低質移動局に対応するデータ信号成分が含まれる場合には、当該成分を前記制御信号に基づいて復調してキャンセルした後に、当該移動局に対応するデータ信号成分を復調するデータ信号復調部とを備える
移動局。
【請求項8】
前記制御信号には、複数の前記移動局と一対一で対応する制御要素であって、(a)当該移動局へのデータ信号成分の送信に使用されるリソースブロックの割当てを示す移動局リソースブロック割当情報と、(b)当該移動局が属する階級に隣接する低質階級に含まれる低質移動局であって当該移動局へ割り当てられるリソースブロックと同じリソースブロックが割り当てられる低質移動局を示す低質移動局識別情報と、(c)当該移動局を識別する自移動局識別情報と、を各々が含む複数の制御要素が多重されており、
前記基地局からの受信品質が最も悪い階級内の移動局に対応する制御要素に含まれる前記低質移動局識別情報は、当該移動局についての低質移動局が存在しないことを示し、
前記移動局は、
当該移動局の自移動局識別情報を用いて、当該移動局の前記受信部に受信された前記制御信号のうち当該移動局に対応する制御要素を復調する制御信号第1復調部と、
復調された制御要素に含まれる低質移動局識別情報を用いて、前記制御信号のうち当該低質移動局識別情報が示す低質移動局に対応する制御要素を復調することを、低質移動局が存在しないことを示す低質移動局識別情報を含む制御要素が復調されるまで実行する制御信号第2復調部とを更に備え、
当該移動局の前記データ信号復調部は、低質移動局に対応する各制御要素を用いて低質移動局に対応する各データ信号成分を復調およびキャンセルした後に、当該移動局に対応する制御要素を用いて当該移動局に対応するデータ信号成分を復調する
請求項7に記載の移動局。
【請求項9】
複数の移動局と、
複数の前記移動局の各々に、所定の期間および周波数帯域に対応するリソースブロックを使用して無線送信することが可能な基地局と
を備える無線通信システムにおける通信制御方法であって、
前記基地局が、
前記基地局からの受信品質に基づいて、前記各移動局を複数の階級のいずれか1つに分類することと、
1つの階級内の1つの移動局へのデータ信号成分の送信に使用されるリソースブロックが、当該階級に属する他の移動局へのデータ信号成分の送信に使用されるリソースブロックとは重畳されず、かつ、当該階級以外の階級に属する移動局へのデータ信号成分の送信に使用されるリソースブロックと重畳されるように、複数の前記移動局に対して前記リソースブロックの割当てを行うことと、
複数の前記移動局に送信すべき複数のデータ信号成分を生成することと、
複数の前記移動局への前記リソースブロックの割当てを示す情報を含む制御信号を生成することと、
複数の前記データ信号成分と前記制御信号とを送信するに際し、前記リソースブロックの割当てに従って前記データ信号成分を送信し、前記基地局からの受信品質が悪い移動局に対するデータ信号成分ほど大きな送信電力で送信することと、
前記移動局が、
前記基地局から送信された複数の前記データ信号成分が合成されたデータ信号および前記基地局から送信された前記制御信号を受信することと、
当該移動局に受信された前記データ信号に、当該移動局が属する階級と比較して前記基地局からの受信品質がより悪い階級である低質階級内の移動局である低質移動局に対応するデータ信号成分が含まれる場合に、当該成分を前記制御信号に基づいて復調してキャンセルした後に、当該移動局に対応するデータ信号成分を復調することとを備える
通信制御方法。
【請求項10】
前記基地局が、
前記基地局からの受信品質がより悪い階級内の1つの移動局に割り当てられるリソースブロックが、前記基地局からの受信品質がより良い階級内の1つ以上の移動局に割り当てられるリソースブロックと重畳され、前記基地局からの受信品質がより良い階級内の1つの移動局に割り当てられるリソースブロックの全てが、前記基地局からの受信品質がより悪い階級内の1つの移動局に割り当てられるリソースブロックと重畳されるように、複数の前記移動局に対して前記リソースブロックの割当てを行うことと、
複数の前記移動局と一対一で対応する制御要素であって、(a)当該移動局へのデータ信号成分の送信に使用されるリソースブロックの割当てを示す移動局リソースブロック割当情報と、(b)当該移動局が属する階級に隣接する低質階級に含まれる低質移動局であって当該移動局へ割り当てられるリソースブロックと同じリソースブロックが割り当てられる低質移動局を示す低質移動局識別情報と、(c)当該移動局を識別する自移動局識別情報と、を各々が含む複数の制御要素が多重された制御信号を生成することとを備え、
前記基地局からの受信品質が最も悪い階級内の移動局に対応する制御要素に含まれる前記低質移動局識別情報は、当該移動局についての低質移動局が存在しないことを示し、
さらに、前記移動局が、
当該移動局の自移動局識別情報を用いて、当該移動局に受信された前記制御信号のうち当該移動局に対応する制御要素を復調することと、
復調された制御要素に含まれる低質移動局識別情報を用いて、前記制御信号のうち当該低質移動局識別情報が示す低質移動局に対応する制御要素を復調することを、低質移動局が存在しないことを示す低質移動局識別情報を含む制御要素が復調されるまで実行することと、
低質移動局に対応する各制御要素を用いて低質移動局に対応する各データ信号成分を復調およびキャンセルした後に、当該移動局に対応する制御要素を用いて当該移動局に対応するデータ信号成分を復調することとを備える
請求項9に記載の通信制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−58945(P2013−58945A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196616(P2011−196616)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】