説明

無線通信システム、基地局、移動局及び無線通信方法

【課題】上りデータの送信が可能になるまでの制御時間を短縮し、上りデータが少ない場合におけるユーザの体感速度を向上し得る無線通信システム、基地局、移動局及び無線通信方法を提供する。
【解決手段】基地局100は、スケジューリング要求に伴って割り当てられた無線リソース以外の無線リソースであって、複数の移動局が上りデータの送信に用い得る無線リソースである衝突型アクセスチャネルの情報を含む衝突型アクセス許可を複数の移動局に向けて送信する。移動局200Aは、基地局から受信した衝突型アクセス許可に基づいて、衝突型アクセスチャネルを用いて上りデータを基地局に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線リソースの割当を含むスケジューリング許可に基づいて上りデータを送信する無線通信システム、基地局、移動局及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3rd Generation Partnership Project(3GPP)において標準化されているLong Term Evolution(LTE)などの無線通信システムでは、移動局が上りデータを送信する場合、移動局は、上り無線リンクにおける無線リソースの割当を要求するスケジューリング要求を基地局に送信するように構成されている(例えば、非特許文献1)。
【0003】
基地局は、受信したスケジューリング要求に基づいて、無線リソースの割当情報を含むスケジューリング許可を移動局に送信する。移動局は、受信したスケジューリング許可に基づいて、割り当てられた無線リソース、具体的には、スケジュール型アクセスチャネル(共有データチャネル)を用いて上りデータを送信する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】3GPP TS 36.300 V10.3.0, 3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA) and Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN); Overall description; Stage 2 (Release 10)、2011年3月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の上りデータの送信には、次のような問題があった。例えば、移動局のユーザがウェブブラウジングを実行する場合、ユーザが特定のボタン押下してから、対応するウェブページが画面に表示されるまでの時間が短ければ、ユーザが体感する通信速度である体感速度が速くなると考えられる。
【0006】
ここで、ウェブページの表示などに必要なデータ量が多い場合には、下り無線リンクのスループットが、体感速度に対して支配的になると考えられる。一方、当該データ量が少ない場合には、ユーザが特定のボタンを押下し時点から上りデータの送信が可能になるまでの制御に要する時間が、体感速度に対して支配的になると考えられる。
【0007】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上りデータの送信が可能になるまでの制御時間を短縮し、上りデータが少ない場合におけるユーザの体感速度を向上し得る無線通信システム、基地局、移動局及び無線通信方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の特徴は、上り無線リンクにおける無線リソースの割当を要求するスケジューリング要求を送信する移動局(例えば、移動局200A)と、一または複数の移動局から受信した前記スケジューリング要求に基づいて、前記無線リソースの割当を含むスケジューリング許可を前記移動局に送信する基地局(基地局100)とを含む無線通信システム(無線通信システム10)であって、前記基地局は、前記スケジューリング要求に伴って割り当てられた無線リソース以外の無線リソースであって、複数の移動局が上りデータの送信に用い得る無線リソースである衝突型アクセスチャネルの情報を含む衝突型アクセス許可を前記複数の移動局に向けて送信するアクセス許可送信部(衝突型アクセス許可送信部130)を備え、前記移動局は、前記基地局から前記衝突型アクセス許可を受信するアクセス許可受信部(衝突型アクセス許可受信部230)と、受信した前記衝突型アクセス許可に基づいて、前記衝突型アクセスチャネルを用いて前記上りデータを前記基地局に送信するデータ送信部(衝突型アクセスチャネル送信部220)とを備えることを要旨とする。
【0009】
本発明の第2の特徴は、上り無線リンクにおける無線リソースの割当を要求するスケジューリング要求を一または複数の移動局から受信し、受信した前記スケジューリング要求に基づいて前記無線リソースの割当を含むスケジューリング許可を前記移動局に送信する基地局であって、前記スケジューリング要求に伴って割り当てられた無線リソース以外の無線リソースであって、複数の移動局が上りデータの送信に用い得る無線リソースである衝突型アクセスチャネルの情報を含む衝突型アクセス許可を前記複数の移動局に向けて送信するアクセス許可送信部を備えることを要旨とする。
【0010】
本発明の第3の特徴は、上り無線リンクにおける無線リソースの割当を要求するスケジューリング要求を基地局に向けて送信し、前記スケジューリング要求に基づいて送信された前記無線リソースの割当を含むスケジューリング許可を前記基地局から受信する移動局であって、一または複数の移動局から送信された前記スケジューリング要求に伴って割り当てられた無線リソース以外の無線リソースであって、複数の移動局が上りデータの送信に用い得る無線リソースである衝突型アクセスチャネルの情報を含む衝突型アクセス許可を、前記基地局から受信するアクセス許可受信部と、受信した前記衝突型アクセス許可に基づいて、前記衝突型アクセスチャネルを用いて前記上りデータを前記基地局に送信するデータ送信部とを備えることを要旨とする。
【0011】
本発明の第4の特徴は、上り無線リンクにおける無線リソースの割当を要求するスケジューリング要求を送信する移動局と、一または複数の移動局から受信した前記スケジューリング要求に基づいて、前記無線リソースの割当を含むスケジューリング許可を前記移動局に送信する基地局とを用いた無線通信方法であって、前記基地局が、前記スケジューリング要求に伴って割り当てられた無線リソース以外の無線リソースであって、複数の移動局が上りデータの送信に用い得る無線リソースである衝突型アクセスチャネルの情報を含む衝突型アクセス許可を前記複数の移動局に向けて送信するステップと、前記移動局が、前記基地局から前記衝突型アクセス許可を受信するステップと、前記移動局が、受信した前記衝突型アクセス許可に基づいて、前記衝突型アクセスチャネルを用いて前記上りデータを前記基地局に送信するステップとを備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の特徴によれば、上りデータの送信が可能になるまでの制御時間を短縮し、上りデータが少ない場合におけるユーザの体感速度を向上し得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る無線通信システム10の全体概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る基地局100の機能ブロック構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る移動局200Aの機能ブロック構成図である。
【図4】本発明の実施形態に係る衝突型アクセスチャネルを用いた上りデータの送信シーケンス、及びスケジュール型アクセスチャネルを用いた上りデータの送信シーケンスを示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る図5は、上述した衝突型アクセスチャネルとスケジュール型アクセスチャネルとを併用した上りデータの送信シーケンスを示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る衝突型アクセスチャネルとして使用可能の無線リソースブロック(RB)の例、及び衝突型アクセス許可のフォーマットの一例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る衝突型アクセスチャネルとして割り当てられたRBが不連続な場合における上りデータの割当例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0015】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0016】
(1)無線通信システムの全体概略構成
図1は、本実施形態に係る無線通信システム10の全体概略構成図である。図1に示すように、無線通信システム10は、コアネットワーク30、基地局100及び移動局200A, 200Bを含む。また、コアネットワーク30には、ウェブサーバ20が接続されている。
【0017】
基地局100は、移動局200A, 200Bと無線通信を実行する。特に、本実施形態では、基地局100は、一または複数の移動局から上り無線リンクにおける無線リソースの割当を要求するスケジューリング要求を受信する。基地局100は、受信したスケジューリング要求に基づいて、当該スケジューリング要求を基地局100に対して送信した移動局に、無線リソースの割当を含むスケジューリング許可を送信する。
【0018】
移動局200A, 200Bは、上り無線リンクにおける無線リソースの割当を要求するスケジューリング要求を基地局100に対して送信する。移動局200Aは、例えば、ウェブサーバ20からのウェブページをダウンロードするために、上りデータが発生した場合、スケジューリング要求を基地局100に対して送信する。
【0019】
(2)無線通信システムの機能ブロック構成
次に、無線通信システム10の機能ブロック構成について説明する。具体的には、基地局100及び移動局200Aの機能ブロック構成について説明する。
【0020】
図2は、基地局100の機能ブロック構成図である。図3は、移動局200Aの機能ブロック構成図である。なお、以下、基地局100及び移動局200Aの機能ブロック構成のうち、本発明と関連性が高い部分について主に説明する。
【0021】
(2.1)基地局100
図2に示すように、基地局100は、スケジューラ105、スケジューリング許可送信部110、ACK信号送信部120、衝突型アクセス許可送信部130、衝突型アクセスチャネル受信部140及びスケジュール型アクセスチャネル受信部150を備える。
【0022】
スケジューラ105は、スケジューリング許可送信部110、ACK信号送信部120、衝突型アクセス許可送信部130、衝突型アクセスチャネル受信部140及びスケジュール型アクセスチャネル受信部150における無線リソースブロック(以下、RB)の割当を制御する。
【0023】
スケジューリング許可送信部110は、上り無線リンクにおける無線リソースの割当を含むスケジューリング許可(スケジューリンググラント)を、スケジューリング要求の送信元の移動局に送信する。具体的には、スケジューリング許可送信部110は、RBの割当状況に基づいて、受信したスケジューリング要求に対するスケジューリング許可を送信するか否かを判定する。
【0024】
特に、本実施形態では、スケジューリング許可送信部110は、移動局200A(200B)が衝突型アクセスチャネルを用いて送信した上りデータに含まれている移動局ID(UE ID)に基づいて、当該移動局IDを有する移動局に向けてスケジューリング許可を送信することができる。すなわち、スケジューリング許可送信部110は、衝突型アクセスチャネルを用いて上りデータを送信していた移動局200A(200B)がスケジュール型アクセスチャネルを用いた上りデータの送信に移行する場合、移動局IDやペイロードサイズなどの制御情報に基づいて、移動局IDと対応する移動局にスケジューリング許可を送信する。
【0025】
ACK信号送信部120は、移動局200A(200B)に対して各種のACKを送信する。具体的には、ACK信号送信部120は、衝突型アクセスチャネル受信部140が衝突型アクセスチャネルを受信した場合、当該衝突型アクセスチャネルを送信した移動局に対してACKを返信する。
【0026】
当該ACKの返信には、例えば、Physical Hybrid ARQ Indicator Channel(PHICH)を用いることができる。また、衝突型アクセスチャネルの送信に複数のスクランブル符号のセットが用いられる場合には、RBのindexだけではなく、該当するスクランブル符号のindexもPHICHの無線リソース決定に用いられる。
【0027】
一方、衝突型アクセスチャネル受信部140が衝突型アクセスチャネルを受信しなかった場合には、ACK信号送信部120は、何れのACKも返信しない、或いは該当するPHICHの無線リソースを用いてNACKを返信するようにしてもよい。
【0028】
衝突型アクセス許可送信部130は、移動局200A, 200Bによる衝突型アクセスチャネルの使用を許可する衝突型アクセス許可(衝突型アクセスグラント)を移動局200A, 200Bに向けて送信する。衝突型アクセスチャネルとは、スケジューリング要求に伴ってスケジュール型アクセスチャネル割り当てられたRB以外のRBであって、複数の移動局が上りデータの送信に用い得る無線リソースである。衝突型アクセス許可は、衝突型アクセスチャネルのRBを示す情報を含む。本実施形態において、衝突型アクセス許可送信部130は、アクセス許可送信部を構成する。
【0029】
ここで、図6(a)及び(b)は、衝突型アクセスチャネルとして使用可能の無線リソースブロック(RB)の例、及び衝突型アクセス許可のフォーマットの一例を示す。
【0030】
図6(a)に示すように、衝突型アクセスチャネルとして使用可能なRBは、スケジュール型アクセス用として、スケジュール型アクセスチャネルに割り当てたRB以外の空きRBである。なお、スケジュール型アクセスチャネルに割り当てたRBがない場合、すべてのRBを衝突型アクセスチャネルに割り当ててもよい。
【0031】
スケジューラ105及び衝突型アクセス許可送信部130は、衝突型アクセスチャネルに割り当ててもよいRBをダイナミックに下りリンクの制御チャネル(衝突型アクセス許可)を用いて通知する。衝突型アクセス許可は、衝突型アクセスチャネルの使用を試みるユーザ(移動局)間に共通のRBを用いて送信される。Long Term Evolution(LTE)に適用する場合、このようなRBは、共通サーチスペースに相当する。
【0032】
図6(b)に示すように、衝突型アクセス許可は、衝突型アクセスチャネル用のRBの割当情報、衝突型アクセス許可を識別する衝突型アクセスID、及びその他の制御情報を含む。なお、衝突型アクセスチャネル用のRBの割当情報及びアクセスIDは必須であるが、その他の制御情報は必ずしも含まれていなくても構わない。
【0033】
衝突型アクセスIDは、誤り検出(CRCチェック)を兼ねられるようなデータ系列によって構成される。また、その他の制御情報としては、以下のような情報が含まれ得る。
【0034】
・ 衝突型アクセスチャネルの信号フォーマット
・ 拡散符号のセット
・ 衝突型アクセスチャネルを送信してもよい条件
衝突型アクセスチャネルを送信してもよい条件としては、複数の移動局間における上りデータ送信の衝突確率を抑えるパラメータが考えられる。例えば、一部の移動局(ユーザ)のみが衝突型アクセスチャネルを送信可能な制御を実現する方法としては、衝突型アクセスチャネルを送信可能とする移動局の無線信号の受信品質(例えば、SIR)の範囲を指定することや、移動局ID(UE ID)の範囲を指定することが挙げられる。或いは、衝突型アクセスチャネルを送信できる確率を移動局が自律的にランダム決定してもよい。
【0035】
このように、衝突型アクセス許可送信部130は、スケジューリング要求に伴って割り当てられたRB以外のRBと、衝突型アクセス許可を識別する衝突型アクセスIDとを含む衝突型アクセス許可を、移動局200A, 200Bに向けて送信する。
【0036】
また、衝突型アクセスチャネルは、上り方向のデータ(ペイロード)に加えて、上述した衝突型アクセスID及び移動局ID(UE ID)を含む。衝突型アクセスチャネルが移動局IDを含むことによって、基地局100は、衝突型アクセスチャネルを送信した移動局を識別することができる。
【0037】
衝突型アクセスチャネル受信部140は、移動局200A(200B)から送信された衝突型アクセスチャネルを受信し、当該移動局から衝突型アクセスチャネルを用いて送信された上りデータをデコードする。なお、衝突型アクセスチャネル受信部140は、後述するように、移動局200A(200B)が衝突型アクセスチャネルによる上りデータの送信に用いたスクランブル符号やインターリーブのパターンなど、上りデータの割当パターンを認識していない場合が考えられるため、全てのスクランブル符号(またはインタリーブパターン)について復調を試みることができる。
【0038】
スケジュール型アクセスチャネル受信部150は、移動局200A(200B)から送信されたスケジュール型アクセスチャネルを受信し、当該移動局からスケジュール型アクセスチャネルを用いて送信された上りデータをデコードする。
【0039】
(2.2)移動局200A
図3に示すように、移動局200Aは、スケジュール型アクセスチャネル送信部210、衝突型アクセスチャネル送信部220、衝突型アクセス許可受信部230及びACK信号受信部240を備える。なお、移動局200Bも移動局200Aと同様の機能ブロック構成を有する。
【0040】
スケジュール型アクセスチャネル送信部210は、上りデータのチャネル符号化・スクランブル・変調などを実行し、当該上りデータを含むスケジュール型アクセスチャネルを送信する。
【0041】
衝突型アクセスチャネル送信部220は、スケジュール型アクセスチャネル送信部210と同様に、上りデータのチャネル符号化・スクランブル・変調などを実行し、当該上りデータを含む衝突型アクセスチャネルを送信する。具体的には、衝突型アクセスチャネル送信部220は、基地局100から受信した衝突型アクセス許可に含まれる衝突型アクセスチャネルの情報を用いて、上りデータを基地局100に送信する。本実施形態において、衝突型アクセスチャネル送信部220は、データ送信部を構成する。
【0042】
また、上述したように、移動局200Aが衝突型アクセスチャネルを用いて送信する上りデータには、当該移動局を識別する移動局IDが含まれている。スケジュール型アクセスチャネル送信部210と衝突型アクセスチャネル送信部220とは、図3に示すように切り替え可能であり、移動局200Aは、衝突型アクセスチャネルで送信したいデータが存在する場合、衝突型アクセス許可で指定されたRBの一部または全てを用いて衝突型アクセスチャネルを送信する。
【0043】
衝突型アクセスチャネル送信部220は、上りデータの衝突型アクセスチャネルへの複数の割当パターンのうち、所定の方法によってランダムに選択された何れかの割当パターンに従って、当該上りデータを衝突型アクセスチャネルに割り当てることができる。
【0044】
具体的には、衝突型アクセスチャネル送信部220は、複数の移動局(ユーザ)が同時に衝突型アクセスチャネルを送信した場合でも、基地局100が当該複数の移動局から送信された上りデータの復号を可能とするため、予め用意された複数のスクランブルコード(例えば、16)のうち、ランダムに一つを選択する。衝突型アクセスチャネル送信部220は、選択されたスクランブルコードを衝突型アクセスチャネルに適用する。なお、スクランブルコードに代えて、データのインタリーブパターンや、リソースエレメントのマッピングパターンなどを選択するようにしてもよい。また、選択方法としては、乱数を用いる方法や、特定の割当パターンが一定の確率以上となるような方法などが挙げられる。
【0045】
また、衝突型アクセスチャネル送信部220は、衝突型アクセスチャネルとして割り当てられたRB(図6(a)参照)が、周波数領域または時間領域の少なくとも何れかにおいて不連続である場合、直交周波数分割多重方式(OFDM)を従って上りデータを送信してもよい。
【0046】
図7は、衝突型アクセスチャネルとして割り当てられたRBが不連続な場合における上りデータの割当例を示す。図7に示すように衝突型アクセスチャネルとして割り当てられたRBが不連続な場合、衝突型アクセスチャネル送信部220は、通常のOFDM、またはClustered DFT-spread OFDMに従って上りデータを送信することができる。なお、図3の衝突型アクセスチャネル送信部220に含まれるDFT-プリコーディングは、通常のOFDMを用いる場合には不要である。
【0047】
衝突型アクセス許可受信部230は、基地局100から衝突型アクセス許可を受信する。本実施形態において、衝突型アクセス許可受信部230は、アクセス許可受信部を構成する。衝突型アクセス許可受信部230は、受信した衝突型アクセス許可に含まれる衝突型アクセスチャネルとして割り当てられたRBを示す情報をデコードし、当該情報を衝突型アクセスチャネル送信部220に提供する。
【0048】
ACK信号受信部240は、基地局100から各種のACKを受信する。特に、本実施形態では、ACK信号受信部240は、衝突型アクセスチャネルを受信したことを示すACKを、PHICHを用いて受信する。また、上述したように、衝突型アクセスチャネルの送信に複数のスクランブル符号のセットが用いられる場合には、RBのindexだけではなく、該当するスクランブル符号のindexもPHICHの無線リソース決定に用いられるため、ACK信号受信部240は、当該情報に基づいてACKを受信し、ACKの検出結果をデコードする。
【0049】
(3)無線通信システムの動作
次に、無線通信システム10の動作について説明する。具体的には、衝突型アクセスチャネルを用いた上りデータの送信動作について説明する。
【0050】
図4(a)は、衝突型アクセスチャネルを用いた上りデータの送信シーケンスを示す。図4(b)は、スケジュール型アクセスチャネルを用いた上りデータの送信シーケンスを示す。
【0051】
図4(a)に示すように、基地局100は、衝突型アクセスチャネルの使用を許可する衝突型アクセス許可(衝突型アクセスグラント)を移動局200A, 200Bに向けて送信する(S10)。なお、衝突型アクセス許可は、所定の周期で繰り返し送信される。
【0052】
このように、衝突型アクセス許可が所定の周期で基地局100から繰り返し送信されている状態において、移動局200Aにおいて上りデータが発生する(S20)。例えば、移動局200Aのユーザがウェブサーバ20(図1参照)に接続し、ウェブページを閲覧している場合に、ウェブサーバ20からのウェブページをダウンロードするため、移動局200Aがウェブサーバ20にhttpリクエストなどを送信しようとした場合である。
【0053】
移動局200Aは、所定の周期で繰り返し送信される衝突型アクセス許可に基づいて、当該上りデータを衝突型アクセスチャネルに割り当て、衝突型アクセスチャネルを用いて当該上りデータを基地局100に送信する(S30, S40)。当該上りデータは、基地局100を経由してウェブサーバ20に転送される。
【0054】
図4(b)は、衝突型アクセスチャネルを用いた上りデータの送信シーケンスと比較するため、スケジュール型アクセスチャネルを用いた上りデータの一般的な送信シーケンスを示す。
【0055】
図4(b)に示すように、移動局200Aにおいて上りデータが発生する(S110)。移動局200Aは、上りデータが発生すると、上り無線リンクの無線リソースブロック(RB)の割当を要求するスケジューリング要求を基地局100に送信する(S120)。
【0056】
基地局100は、移動局200Aから受信したスケジューリング要求に基づいて、無線リソースの割当を実行、つまり、移動局200Aをスケジューリングし、割り当てた無線リソースを含むスケジューリング許可(スケジューリンググラント)を移動局200Aに送信する(S130, 140)。
【0057】
移動局200Aは、受信したスケジューリング許可に基づいて、当該上りデータをスケジュール型アクセスチャネルに割り当て、スケジュール型アクセスチャネルを用いて当該上りデータを基地局100に送信する(S150, S160)。
【0058】
また、図5は、上述した衝突型アクセスチャネルとスケジュール型アクセスチャネルとを併用した上りデータの送信シーケンスを示す。図5に示すように、ステップS10〜S40までの処理は、図4(a)と同様である。
【0059】
基地局100は、移動局200Aから受信した衝突型アクセスチャネルから、上りデータの受信結果を取得する。具体的には、基地局100は、移動局200Aの移動局IDやペイロードサイズなどの制御情報を取得する(S50)。
【0060】
基地局100は、移動局200Aの移動局IDやペイロードサイズなどの制御情報に基づいて、上り無線リンクにおける無線リソースの割当を含むスケジューリング許可(スケジューリンググラント)を移動局200Aに送信する(S60)。
【0061】
移動局200Aは、受信したスケジューリング許可に基づいて、当該上りデータをスケジュール型アクセスチャネルに割り当て、スケジュール型アクセスチャネルを用いて、当該上りデータを基地局100に送信する(S70, S80)。すなわち、移動局200Aは、衝突型アクセスチャネルによる上りデータの送信から、スケジュール型アクセスチャネルによる上りデータの送信にシームレスに移行する。
【0062】
(4)作用・効果
無線通信システム10によれば、基地局100は、複数の移動局が上りデータの送信に用い得る無線リソースである衝突型アクセスチャネルの情報を含む衝突型アクセス許可を当該複数の移動局に向けて送信する。また、移動局200A(200B)は、受信した衝突型アクセス許可に基づいて、衝突型アクセスチャネルを用いて上りデータを基地局に送信する。
【0063】
このため、基地局100が、特定の移動局から受信したスケジューリング要求に基づいて、無線リソースの割当情報を含むスケジューリング許可を当該移動局に送信し、移動局が、受信したスケジューリング許可に基づいて、スケジュール型アクセスチャネルを用いて上りデータを送信する従来の上りデータの送信手順と比較して、上りデータの送信が可能になるまでの制御時間を短縮することができる。このため、特に、上りデータが少ない場合における遅延時間が減少し、移動局のユーザの体感速度を向上し得る。
【0064】
本実施形態では、基地局100は、衝突型アクセスチャネルに含まれる移動局IDを取得するとともに、取得した移動局IDに基づいて、上り無線リンクにおける無線リソースの割当を含むスケジューリング許可を、移動局IDを有する移動局に向けて送信する。このため、当該移動局IDを有する移動局は、移動局200Aは、衝突型アクセスチャネルによる上りデータの送信から、スケジュール型アクセスチャネルによる上りデータの送信にシームレスに移行することができる。
【0065】
本実施形態では、移動局200A(200B)は、上りデータの衝突型アクセスチャネルへの複数の割当パターンのうち、所定の方法によってランダムに選択された何れかの割当パターンに従って、上りデータを衝突型アクセスチャネルに割り当てる。このため、複数の移動局(ユーザ)が同時に衝突型アクセスチャネルを送信した場合でも、基地局100は、割当パターンに従った復号をそれぞれ試みることによって、当該複数の移動局から同時に送信された上りデータの復号が可能となる。
【0066】
本実施形態では、移動局200A(200B)は、衝突型アクセスチャネルとして割り当てられた無線リソースブロックが、周波数領域または時間領域の少なくとも何れかにおいて不連続である場合、直交周波数分割多重方式(OFDM)を従って上りデータを送信する。このため、無線リソースブロックが不連続である場合でも、当該無線リソースブロックを衝突型アクセスチャネルとして効率的に用いることができる。
【0067】
(5)その他の実施形態
上述したように、本発明の一実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態が明らかとなろう。
【0068】
例えば、上述した実施形態では、LTEにおけるスケジュール型アクセスを前提として説明したが、本発明の適用範囲は、LTEに限定されるものではなく、一または複数の移動局から受信したスケジューリング要求に基づいて、基地局無線リソースの割当を含むスケジューリング許可を移動局に送信するような形態の無線通信システムに広く適用できる。
【0069】
さらに、衝突型アクセスチャネルをフェムトセルなどの小型基地局に適用し、スケジュール型アクセスチャネルをマクロセルなどの公衆型基地局に適用してもよい。或いは、上りデータのサービス品質(QoS)に応じて、衝突型アクセスチャネルを用いるか否かを決定してもよい。例えば、遅延に敏感なVoIPやゲームなどのアプリケーションに関する上りデータの送信に衝突型アクセスチャネルを用いるようにしてもよい。
【0070】
また、基地局100及び移動局200A, 200Bは、衝突型アクセスの対応可否を通知し合うようにしてもよい。
【0071】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0072】
10…無線通信システム
20…ウェブサーバ
30…コアネットワーク
100…基地局
105…スケジューラ
110…スケジューリング許可送信部
120…ACK信号送信部
130…衝突型アクセス許可送信部
140…衝突型アクセスチャネル受信部
150…スケジュール型アクセスチャネル受信部
200A, 200B…移動局
210…スケジュール型アクセスチャネル送信部
220…衝突型アクセスチャネル送信部
230…衝突型アクセス許可受信部
240…ACK信号受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上り無線リンクにおける無線リソースの割当を要求するスケジューリング要求を送信する移動局と、
一または複数の移動局から受信した前記スケジューリング要求に基づいて、前記無線リソースの割当を含むスケジューリング許可を前記移動局に送信する基地局と
を含む無線通信システムであって、
前記基地局は、前記スケジューリング要求に伴って割り当てられた無線リソース以外の無線リソースであって、複数の移動局が上りデータの送信に用い得る無線リソースである衝突型アクセスチャネルの情報を含む衝突型アクセス許可を前記複数の移動局に向けて送信するアクセス許可送信部を備え、
前記移動局は、
前記基地局から前記衝突型アクセス許可を受信するアクセス許可受信部と、
受信した前記衝突型アクセス許可に基づいて、前記衝突型アクセスチャネルを用いて前記上りデータを前記基地局に送信するデータ送信部と
を備える無線通信システム。
【請求項2】
上り無線リンクにおける無線リソースの割当を要求するスケジューリング要求を一または複数の移動局から受信し、受信した前記スケジューリング要求に基づいて前記無線リソースの割当を含むスケジューリング許可を前記移動局に送信する基地局であって、
前記スケジューリング要求に伴って割り当てられた無線リソース以外の無線リソースであって、複数の移動局が上りデータの送信に用い得る無線リソースである衝突型アクセスチャネルの情報を含む衝突型アクセス許可を前記複数の移動局に向けて送信するアクセス許可送信部を備える基地局。
【請求項3】
前記アクセス許可送信部は、前記スケジューリング要求に伴って割り当てられた無線リソース以外の無線リソースと、前記衝突型アクセス許可を識別するアクセスIDとを含む衝突型アクセス許可を送信する請求項2に記載の基地局。
【請求項4】
前記移動局が前記衝突型アクセスチャネルを用いて送信した上りデータには、前記移動局を識別する移動局IDが含まれており、
前記移動局IDを取得するとともに、取得した前記移動局IDに基づいて、前記上り無線リンクにおける無線リソースの割当を含むスケジューリング許可を、前記移動局IDを有する移動局に向けて送信するスケジューリング許可送信部を備える請求項2に記載の基地局。
【請求項5】
上り無線リンクにおける無線リソースの割当を要求するスケジューリング要求を基地局に向けて送信し、前記スケジューリング要求に基づいて送信された前記無線リソースの割当を含むスケジューリング許可を前記基地局から受信する移動局であって、
一または複数の移動局から送信された前記スケジューリング要求に伴って割り当てられた無線リソース以外の無線リソースであって、複数の移動局が上りデータの送信に用い得る無線リソースである衝突型アクセスチャネルの情報を含む衝突型アクセス許可を、前記基地局から受信するアクセス許可受信部と、
受信した前記衝突型アクセス許可に基づいて、前記衝突型アクセスチャネルを用いて前記上りデータを前記基地局に送信するデータ送信部と
を備える移動局。
【請求項6】
前記アクセス許可受信部は、前記スケジューリング要求に伴って割り当てられた無線リソース以外の無線リソースと、前記衝突型アクセス許可を識別するアクセスIDとを含む衝突型アクセス許可を受信する請求項5に記載の移動局。
【請求項7】
前記データ送信部は、前記上りデータの前記衝突型アクセスチャネルへの複数の割当パターンのうち、所定の方法によってランダムに選択された何れかの割当パターンに従って、前記上りデータを前記衝突型アクセスチャネルに割り当てる請求項5に記載の移動局。
【請求項8】
前記データ送信部は、前記衝突型アクセスチャネルとして割り当てられた前記無線リソースブロックが、周波数領域または時間領域の少なくとも何れかにおいて不連続である場合、直交周波数分割多重方式を従って前記上りデータを送信する請求項5に記載の移動局。
【請求項9】
上り無線リンクにおける無線リソースの割当を要求するスケジューリング要求を送信する移動局と、
一または複数の移動局から受信した前記スケジューリング要求に基づいて、前記無線リソースの割当を含むスケジューリング許可を前記移動局に送信する基地局と
を用いた無線通信方法であって、
前記基地局が、前記スケジューリング要求に伴って割り当てられた無線リソース以外の無線リソースであって、複数の移動局が上りデータの送信に用い得る無線リソースである衝突型アクセスチャネルの情報を含む衝突型アクセス許可を前記複数の移動局に向けて送信するステップと、
前記移動局が、前記基地局から前記衝突型アクセス許可を受信するステップと、
前記移動局が、受信した前記衝突型アクセス許可に基づいて、前記衝突型アクセスチャネルを用いて前記上りデータを前記基地局に送信するステップと
を備える無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−5148(P2013−5148A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133065(P2011−133065)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】