説明

無線通信システム、基地局および無線リソース割当方法

【課題】通信サービスの種類とユーザのタイプに応じて適切に目標QoSと目標無線割当量を決定することができる、無線通信システムを提供する。
【解決手段】無線通信システムは、複数の移動端末50と、移動端末50と無線通信する基地局22を備える無線アクセスネットワーク20とを備える。無線アクセスネットワーク20、特に基地局22は、移動端末50の各々が利用しようとする通信サービスの種類に応じて、移動端末50のユーザが要求するであろうと推定される所要体感品質を決定する所要体感品質決定部24と、移動端末50のユーザのタイプと所要体感品質に基づいて、通信サービスにおける目標サービス品質を決定する目標サービス品質決定部26と、目標サービス品質に基づいて通信サービスで使用される基地局から移動端末50へのデータフローへの目標無線リソース割当量を決定する目標無線リソース割当量決定部28とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム、基地局および無線リソース割当方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線通信システムでの基地局と移動端末の間の通信に関する無線リソースの割当は、以下のようにして行われている。
【0003】
特許文献1に記載の技術では、希望波受信電力(RSCP、received signal code power)または信号対干渉雑音電力比(SINR、signal to noise plus interference power ratio)といった無線品質に基づいて、無線リソースが割り当てられる。
【0004】
特許文献2に記載の技術では、例えば、スループット、伝送遅延、伝送情報誤り率といったサービス品質(QoS、quality of service)に基づいて、無線リソースが割り当てられる。
【0005】
あるいは、無線品質とサービス品質の両方に基づいて、無線リソースが割り当てられる技術もある。
【0006】
特許文献3に記載の技術では、複数の端末で得られるサービス品質ができるだけ公平になるように無線リソースを割り当てるために、Proportional Fairnessアルゴリズム(PFアルゴリズム)が用いられる。
【0007】
本明細書でいう無線リソースとは、無線通信での各々のデータフローに割り当てられる情報伝送に必要な各種の無線資源であって、各データフローについての割当を変更可能なものである。全体の無線リソースは、時間、周波数、符号、空間、またはそれらの組み合わせによって分割され、分割された無線リソースが各データフローに割り当てられる。
【0008】
各データフローに割り当てられる無線リソースの量を無線リソース割当量と呼ぶ。無線リソース割当量の例は以下の通りである。
時分割多重接続では、無線リソース割当量は、単位時間(例えば1秒)あたりの各データフローのために割り当てられた時間であってよい。
周波数分割多重接続では、無線リソース割当量は、各データフローのために割り当てられた周波数の数であってよい。
符号分割多重接続では、無線リソース割当量は、各データフローのために割り当てられた符号の数であってよい。
空間分割多重接続では、無線リソース割当量は、各データフローのために割り当てられたアンテナの数であってよい。
直交周波数分割多重方式(OFDM)では、無線リソース割当量は、単位時間(例えば1サブフレーム)あたりの各データフローのために割り当てられたリソースブロックの数であってよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−309875号公報
【特許文献2】特開2003−8635号公報
【特許文献3】特開2010−161598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来のリソース割当方法には下記の問題がある。
【0011】
サービスの種類またはユーザの性格に応じた体感品質(QoE、quality of experience)とは無関係に、サービス品質が制御されている。したがって、実現されているQoSが、ユーザにとって好ましいQoEを満足するために必要十分なQoSに比べて過剰である可能性がある。
【0012】
また、QoSの変化量に対するQoEの変化量は変化しうる。通信サービスの種類によってQoSとQoEの関係は変わる。例えば、一般に、インターネット上の動画像をブラウズする場合は、インターネット上の静止画像またはテキストをブラウズする場合に比べて、同じスループットに対するユーザの満足度が低い。
【0013】
また、QoSの例がスループットである場合、同種の通信サービスでも、高いスループットをさらに増加させても、一般的にユーザはスループットが増加したことをあまり認識できないので、ユーザの満足度に由来するQoEはあまり変化しない(つまりQoEが飽和する)。図1は、スループットとQoEの関係を示す。図1に示すように、スループットが高い状態からさらにスループットを増加させても、スループットに関するQoEはあまり増加しない。
【0014】
ユーザ状況に応じたリソース割当量制御が行なえていない。たとえ適切な目標QoSが設定されていたとしても、ユーザが利用するサービスの種類が通信の途中で変更されることがある。また、ユーザの移動端末が静止しているか否かによって、所要のリソース割当量が変化する。一旦適切な目標QoSが決定されても、ユーザ状況によっては、リソース割当量が過剰または不足となる可能性がある。
【0015】
また、リソース割当量に対する目標QoS達成確率(目標とされるQoS(例えばスループット)の値または範囲を達成可能な確率)は、ユーザ状況によって変化しうる。例えばユーザの移動端末が静止している場合には、移動している場合と比較して、高次のMCS (Modulation & Coding Scheme)を利用でき、少ないリソース割当量でも目標QoSを達成可能となる。他方、多くのリソースを割り当てても一定の割当量を超えると、QoS達成確率はあまり向上しない。図2は、リソース割当量の例であるリソースブロックの数とQoS達成確率の関係(累積確率分布)を示す。図2に示すように、リソース割当量が高い状態からさらにリソース割当量を増加させても、QoS達成確率はあまり増加しない(つまりQoS達成確率が飽和する)。
【0016】
他方、QoEが厳しいデータフローについて、不完全なQoS制御によってリソース割当量が不足した場合には、QoEの劣化がより顕著となる可能性がある。
【0017】
さらに、予め経験や理論で決められた設定ルールに従って設定されている目標QoSまたは目標無線リソース割当量が、ユーザ嗜好の変化または移動端末の通信状況もしくは移動端末の状態の変化等に伴って、適切ではなくなる可能性がある。
【0018】
そこで、本発明は、通信サービスの種類とユーザのタイプに応じて適切に目標QoSと目標無線割当量を決定することができる、無線通信システム、基地局および無線リソース割当方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明に係る無線通信システムは、複数の移動端末と、前記移動端末と無線通信する基地局を備えるネットワークとを備える無線通信システムであって、前記ネットワークは、前記移動端末の各々が利用しようとする通信サービスの種類に応じて、前記移動端末のユーザが要求するであろうと推定される所要体感品質を決定する所要体感品質決定部と、前記移動端末のユーザのタイプと前記所要体感品質に基づいて、前記通信サービスにおける目標サービス品質を決定する目標サービス品質決定部と、前記目標サービス品質に基づいて前記通信サービスで使用される前記基地局から前記移動端末へのデータフローへの目標無線リソース割当量を決定する目標無線リソース割当量決定部とを備える。
【0020】
本発明においては、移動端末の各々が利用しようとする通信サービスの種類に応じて所要体感品質を一旦決定し、移動端末のユーザのタイプと所要体感品質に鑑みて、通信サービスにおける目標サービス品質を決定する。したがって、通信サービスの種類とユーザのタイプに応じて適切に目標QoS、ひいては目標無線割当量を決定することができる。特にユーザのタイプを考慮することによって、実現されているQoSが、ユーザにとって好ましいQoEを満足するために必要十分なQoSに比べて過剰となる事態を減らすことができる。また、ユーザのタイプを考慮することによって、目標QoSに対してQoEが飽和する事態を減らすことができる。
【0021】
この明細書では、「ユーザのタイプ」は、ユーザに適用されている通信オペレータによる課金制度、ユーザが短気か否かといったユーザの性格、ユーザが主に利用する通信サービスの特性または傾向といったユーザの性癖、またはそれらの組み合わせを含む。「サービス品質」は、例えば、スループット、伝送遅延、伝送情報誤り率、パケットロス、またはこれらの組み合わせを含む。「目標サービス品質」は、例えば最低スループット、許容可能な最大伝送遅延などの目標値で表されてもよいし、目標範囲で表されてもよい。「所要体感品質」も、例えば、最低許容レベルといった値で表されてもよいし、範囲で表されてもよい。「体感品質」としては、例えば、音声品質の主観的評価法としてITU-T勧告P.800に規定されている平均オピニオン評点(mean opinion score、MOS)を使用することができる。ネットワークにおいて、所要体感品質決定部、目標サービス品質決定部、目標無線リソース割当量決定部は、典型的には基地局に設けられるが、いずれかの要素は、無線ネットワーク制御装置(RNC)またはその他の機器に設けてもよい。
【0022】
前記目標無線リソース割当量決定部は、前記目標サービス品質に加えて前記移動端末の移動状態に基づいて、前記目標無線リソース割当量を決定してもよい。
このように目標サービス品質に加えて移動端末の移動状態に鑑みて目標無線リソース割当量を決定することにより、移動端末の状態に適するように目標無線リソース割当量を制御することができる。
「移動状態」は、移動端末が移動しているか静止しているかの区別、移動端末の移動速度、以前のある時点から現在までの移動端末の移動距離、以前のある時点で使用した基地局と現在使用している基地局が同じかどうかの区別のいずれかであってよい。移動状態は、移動端末に搭載された加速度センサの測定値、加速度センサの測定値の累積値、通信状態を表すチャネル推定値の変動、グローバル・ポジショニング・システムを利用した位置測定結果、使用される基地局の情報などに基づいて得ることができる。
【0023】
前記移動端末の各々は、ユーザが前記通信サービスの品質に関する満足度を入力する入力インターフェイスと、前記満足度を示す信号を前記基地局に送信する送信部とを備え、前記基地局は、前記移動端末から前記満足度を示す信号を受信し、前記目標サービス品質決定部は、前記満足度に応じて、前記目標サービス品質を調節してもよい。
このようにユーザが判断した満足度に直接的に応答して目標サービス品質を調節することにより、ユーザの性格、特に最近の気分に適するように目標サービス品質を制御することができる。すなわち状況の変化があっても、適切に目標サービス品質を決定することができ、無線リソースの過剰または不足な割当を減らすことができる。
【0024】
前記移動端末の各々は、ユーザの身体状態を計測する計測部を備え、前記移動端末または前記ネットワークは、前記計測部で計測された前記ユーザの身体状態に基づいて、前記ユーザの感情状態を推定する感情状態推定部を備え、前記目標サービス品質決定部は、前記感情状態に応じて、前記目標サービス品質を調節してもよい。
このように推定されたユーザの感情状態に応答して目標サービス品質を調節することにより、ユーザの性格に適するように目標サービス品質を制御することができる。
【0025】
前記移動端末の各々は、複数のアプリケーションに従って複数のデータフローを前記基地局から受信することを要する複数のタスクを実行可能であり、前記移動端末の各々は、前記複数のタスクのうち、ユーザに注目されているフォアグラウンドタスクとユーザに注目されていないバックグラウンドタスクを認識するタスク認識部と、前記フォアグラウンドタスクまたは前記バックグラウンドタスクを示す信号を前記基地局に送信する送信部とを備え、前記基地局は、前記移動端末から前記フォアグラウンドタスクまたは前記バックグラウンドタスクを示す信号を受信し、前記目標サービス品質決定部は、前記バックグラウンドタスクに対応するデータフローについて前記目標サービス品質を減らしてもよい。
このようにバックグラウンドタスクに対応するデータフローについて目標サービス品質を減らすことにより、そのデータフローについて無益に高い目標サービス品質を決定することなく、システム全体で使用する無線リソースを適切に配分することができる。
【0026】
さらに、前記移動端末の各々は、前記基地局から前記通信サービスのために受信した信号に基づいて、現在サービス品質を示す信号を生成する現在サービス品質信号生成部と、前記現在サービス品質を示す信号を前記基地局に送信する送信部とを備え、前記基地局は、前記移動端末から前記現在サービス品質を示す信号を受信し、前記目標無線リソース割当量決定部は、前記現在サービス品質に応じて、前記目標無線リソース割当量を調節してもよい。
このように移動端末で実際に得られた現在サービス品質に鑑みて目標無線リソース割当量を調節することにより、実際の最近の移動端末の通信状況もしくは実際の最近の移動端末の状態に適するように目標無線リソース割当量を制御することができる。すなわち状況の変化があっても、適切な目標無線リソース割当量を決定することができ、無線リソースの過剰または不足な割当を減らすことができる。
【0027】
さらに、前記目標無線リソース割当量決定部は、前記目標無線リソース割当量の調節を繰り返すとともに、前記移動端末の移動状態に基づいて、前記目標無線リソース割当量を調節する時間間隔を調節してもよい。
例えば、移動端末が静止している場合には、目標無線リソース割当量の調節は頻繁に行う必要はない。他方、移動端末が高速で移動している場合には、フェージングが急速であるため、目標無線リソース割当量の調節を頻繁に行うべきことがある。移動端末の移動状態に基づいて目標無線リソース割当量を調節する時間間隔を調節することで、無駄な調節を防止し、適切な時間間隔で目標無線リソース割当量を調節することができる。
【0028】
前記移動端末の各々は、前記基地局から前記通信サービスのために受信した信号に基づいて、現在サービス品質を示す信号を生成する現在サービス品質信号生成部と、前記現在サービス品質を示す信号を前記基地局に送信する送信部とを備え、前記基地局は、前記移動端末から前記現在サービス品質を示す信号を受信し、前記目標サービス品質決定部は、前記移動端末のユーザのタイプと前記現在サービス品質に応じて、前記目標サービス品質を調節し、前記目標無線リソース割当量決定部は、前記現在サービス品質に応じて、前記目標無線リソース割当量を調節してもよい。
この場合には、ユーザのタイプと現在サービス品質に応じて目標サービス品質を調節することにより、ユーザに適用されている通信オペレータによる課金制度、ユーザの性格、またはユーザの性癖などのユーザのタイプに適するように目標サービス品質を制御することができる。しかも、ユーザの満足度を実際に調査しなくてもよい。また、移動端末で実際に得られた現在サービス品質に鑑みて目標無線リソース割当量を調節することにより、実際の最近の移動端末の通信状況もしくは実際の最近の移動端末の状態に適するように目標無線リソース割当量を制御することができる。
【0029】
この場合、前記目標サービス品質決定部は、前記目標サービス品質の調節を繰り返すとともに、前記移動端末の移動状態に基づいて、前記目標サービス品質を調節する時間間隔を調節し、前記目標無線リソース割当量決定部は、前記目標無線リソース割当量の調節を繰り返すとともに、前記移動端末の移動状態に基づいて、前記目標無線リソース割当量を調節する時間間隔を調節してもよい。
移動端末の移動状態に基づいて目標サービス品質を調節する時間間隔と目標無線リソース割当量を調節する時間間隔を調節することで、無駄な調節を防止し、適切な時間間隔で目標サービス品質と目標無線リソース割当量を調節することができる。
【0030】
前記ネットワークは、前記基地局が複数の移動端末にそれぞれ通信サービスを提供しているとき、前記基地局から前記移動端末の各々への通信状態に基づいて、前記通信サービスで使用される前記基地局から前記複数の移動端末への複数のデータフローの各々について暫定的無線リソース割当量を決定する暫定的無線リソース割当量決定部と、前記データフローの各々について、前記暫定的無線リソース割当量が前記目標無線リソース割当量から第1の閾値を引いた量より小さいか否か判断し、前記データフローのうち前記暫定的無線リソース割当量が前記目標無線リソース割当量から第1の閾値を引いた量より小さいリソース不足データフローを選択するリソース不足判定部と、前記リソース不足判定部により少なくとも1つのリソース不足データフローが選択された場合に、他の前記データフローの各々について、前記暫定的無線リソース割当量が前記目標無線リソース割当量と第2の閾値の合計より大きいか否か判断し、前記データフローのうち前記暫定的無線リソース割当量が前記目標無線リソース割当量と第2の閾値の合計より大きいリソース過剰データフローを選択するリソース過剰判定部と、前記データフローの各々について、無線リソースを割り当てる無線リソース割当制御部とを備え、前記無線リソース割当制御部は、前記リソース不足判定部が選択した前記リソース不足データフローがない場合には、前記暫定的無線リソース割当量決定部が決定した前記暫定的無線リソース割当量に従って前記データフローの各々に無線リソースを割り当て、前記リソース不足判定部が選択した前記リソース不足データフローがあり、前記リソース過剰判定部が選択した前記リソース過剰データフローがない場合には、前記暫定的無線リソース割当量決定部が前記リソース不足データフローについて決定した前記暫定的無線リソース割当量よりもリソース割当量を増やして、前記リソース不足データフローに無線リソースを割り当てるとともに、前記暫定的無線リソース割当量決定部が決定した前記暫定的無線リソース割当量に従って他の前記データフローの各々に無線リソースを割り当て、前記リソース不足判定部が選択した前記リソース不足データフローがあり、前記リソース過剰判定部が選択した前記リソース過剰データフローがある場合には、前記暫定的無線リソース割当量決定部が前記リソース過剰データフローについて決定した前記暫定的無線リソース割当量よりもリソース割当量を減らし、前記暫定的無線リソース割当量決定部が前記リソース不足データフローについて決定した前記暫定的無線リソース割当量よりもリソース割当量を増やして、前記リソース過剰データフローと前記リソース不足データフローに無線リソースを割り当てるとともに、前記暫定的無線リソース割当量決定部が決定した前記暫定的無線リソース割当量に従って他の前記データフローの各々に無線リソースを割り当てると好ましい。
この場合には、リソース不足と推定されるデータフローには、無線リソース割当量を増やすことができる。また、リソース不足と推定されるデータフローとリソース過剰と推定されるデータフローがある場合には、リソース不足と推定されるデータフローには、無線リソース割当量を増やし、リソース過剰と推定されるデータフローには、無線リソース割当量を減らすことができる。したがって、リソース割当量が過剰または不足となる事態を最小限にすることができる。
【0031】
本発明に係る基地局は、複数の移動端末と無線通信する基地局であって、前記移動端末の各々が利用しようとする通信サービスの種類に応じて、前記移動端末のユーザが要求するであろうと推定される所要体感品質を決定する所要体感品質決定部と、前記移動端末のユーザのタイプと前記所要体感品質に基づいて、前記通信サービスにおける目標サービス品質を決定する目標サービス品質決定部と、前記目標サービス品質に基づいて前記通信サービスで使用される前記基地局から前記移動端末へのデータフローへの目標無線リソース割当量を決定する目標無線リソース割当量決定部とを備える。
【0032】
本発明に係る無線リソース割当方法は、複数の移動端末と、前記移動端末と無線通信する基地局を備えるネットワークとを備える無線通信システムで使用される無線リソース割当方法であって、前記移動端末の各々が利用しようとする通信サービスの種類に応じて、前記移動端末のユーザが要求するであろうと推定される所要体感品質を決定することと、前記移動端末のユーザのタイプと前記所要体感品質に基づいて、前記通信サービスにおける目標サービス品質を決定することと、前記目標サービス品質に基づいて前記通信サービスで使用される前記基地局から前記移動端末へのデータフローへの目標無線リソース割当量を決定することとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】スループットとQoEの関係を示すグラフである。
【図2】リソース割当量の例であるリソースブロックの数とQoS達成確率の関係を示すグラフである。
【図3】本発明の実施の形態に係る無線通信システムを示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る基地局を示すブロック図である。
【図5】データフローの例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る移動端末を示すブロック図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムでの無線リソース割当方法の概略を示す情報フローダイアグラムである。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る基地局で実行される1つの移動端末に関する無線リソース割当方法を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る基地局で実行される複数の移動端末に関する無線リソース割当方法を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る移動端末を示すブロック図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係る移動端末を示すブロック図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態に係る移動端末を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る様々な実施の形態を説明する。
図3に示すように、本発明の実施の形態に係る無線通信システムは、コアネットワーク10と無線アクセスネットワーク20とを備える。無線アクセスネットワーク20は、複数の無線ネットワーク制御装置(RNC)21と複数の基地局22とを備える。各RNC21はコアネットワーク10に接続されているとともに、複数の基地局22に接続されている。基地局22はその基地局のセルにある移動端末50と通信する。移動端末50は例えば携帯電話(UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)でのUE(user equipment))である。
【0035】
各基地局22は、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)でのNode Bであってもよいし、UMTS LTE(Long Term Evolution)でのeNB(evolved Node B)であってもよい。あるいは、各基地局22は、無線LAN(local area network)またはWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)でのアクセスポイントであってもよい。基地局22がアクセスポイントである場合には、RNC21に代えてルータが設けられるか、基地局22にルータの機能を設けることによりRNC21に相当する装置は設けなくてよい。
【0036】
第1の実施の形態
図4は本発明の第1の実施の形態に係る基地局22を示す。図4に示すように、各基地局22は、所要体感品質(QoE)決定部24、目標サービス品質(QoS)決定部26、目標無線リソース割当量決定部28、無線リソース割当制御部30、送信部32、受信部34、暫定的無線リソース割当量決定部36、リソース不足判定部38、リソース過剰判定部40、移動状態判定部42およびコアネットワークインターフェイス46を備える。
【0037】
基地局22のこれらの要素のうち、所要QoE決定部24、目標QoS決定部26、目標無線リソース割当量決定部28、無線リソース割当制御部30、暫定的無線リソース割当量決定部36、リソース不足判定部38、リソース過剰判定部40および移動状態判定部42は、基地局22の図示しないCPU(central processing unit)がコンピュータプログラムを実行し、そのコンピュータプログラムに従って機能することによって実現される機能ブロックである。
【0038】
送信部32は基地局22が移動端末50へ無線送信を行うための送信回路である。受信部34は基地局22が移動端末50から無線受信を行うための受信回路である。この実施の形態での送信部32による下りリンクの通信方式は、時分割多重接続、周波数分割多重接続、符号分割多重接続、空間分割多重接続、直交周波数分割多重接続のいずれか1つでよい。あるいは、それらのうち2つの方式の適切な組み合わせでもよい。受信部34によって受信される上りリンクの通信方式も、時分割多重接続、周波数分割多重接続(Single-Carrier Frequency-Division Multiple Accessを含む)、符号分割多重接続、空間分割多重接続、直交周波数分割多重接続のいずれか1つでよい。あるいは、それらのうち2つの方式の適切な組み合わせでもよい。
【0039】
基地局22の基本機能は以下の通りである。所要QoE決定部24は、移動端末50の各々が利用しようとする通信サービスの種類に応じて、移動端末50のユーザが要求するであろうと推定される所要体感品質(QoE)を通信サービスごとに決定する。「通信サービスの種類」は、例えば、VoIP(Voice over Internet Protocol)、MMTel(Multimedia Telephony)、音声と動画像のブラウジング、および静止画像もしくはテキストのブラウジングを含む。「体感品質」としては、例えば、音声品質の主観的評価法としてITU-T勧告P.800に規定されている平均オピニオン評点(mean opinion score、MOS)を使用することができる。「所要体感品質」も、例えば、最低許容レベルといった値で表されてもよいし、範囲で表されてもよい。例えば、所要QoE決定部24は、通信サービスの種類に応じて、ユーザが要求するであろう厳格さの許容レベルまたは許容範囲を決定する。
【0040】
例えば、所要QoE決定部24は、移動端末50からの通信サービス要求(移動端末50からの発呼)に添付されたQCI(QoS Class Identifier)を参照して、QCIに基づいて所要QoEを決定してもよい。所要QoE決定部24は、コアネットワーク10からの通信サービス要求(移動端末50への着呼)に添付されたDSCP(DiffServ Code Point)を参照して、DSCPに基づいて所要QoEを決定してもよい。あるいは、所要QoE決定部24は、移動端末50からの通信サービス要求またはコアネットワーク10からの通信サービス要求に添付された通信サービス種類を示す情報に基づいて所要QoEを決定してもよい。
【0041】
目標QoS決定部26は、移動端末50のユーザのタイプと、所要QoE決定部24で決定された所要QoEに基づいて、移動端末50が利用しようとする通信サービスにおける目標サービス品質(目標QoS)を決定する。「ユーザのタイプ」は、ユーザに適用されている通信オペレータによる課金制度、ユーザが短気か否かといったユーザの性格、ユーザが主に利用する通信サービスの特性または傾向といったユーザの性癖、またはそれらの組み合わせを含む。「サービス品質」は、例えば、スループット、伝送遅延、伝送情報誤り率、パケットロス、またはこれらの組み合わせを含む。「目標サービス品質」は、例えば最低スループット、許容可能な最大伝送遅延などの目標値で表されてもよいし、目標範囲で表されてもよい。
【0042】
目標QoS決定部26が目標QoSを決定するアルゴリズムは、経験則に基づいてあらかじめ準備されている。例えば、ユーザのタイプごとに、所要QoEと目標QoSの関数が準備されている。
【0043】
目標無線リソース割当量決定部28は、目標QoS決定部26で決定された目標QoSに基づいて通信サービスで使用される基地局22から移動端末50への下りリンクのデータフローへの目標無線リソース割当量を決定する。
【0044】
無線リソース割当制御部30は、下りリンクのデータフローへ実際に無線リソースを割り当てて、割り当てた無線リソースに基づいて送信部32からの無線送信を制御する。
【0045】
基地局22が移動端末50に通信サービスの提供を開始した直後の初期状態では、無線リソース割当制御部30は、目標無線リソース割当量決定部28で決定された目標無線リソース割当量が達成されるように、下りリンクのデータフローへ無線リソースを割り当てる。また、基地局22が単一の移動端末50に通信サービスを提供しているとき、無線リソース割当制御部30は、目標無線リソース割当量決定部28で決定された目標無線リソース割当量が達成されるように、下りリンクのデータフローへ無線リソースを割り当てる。
【0046】
基地局22が複数の移動端末50にそれぞれ通信サービスを提供しているとき、無線リソース割当制御部30は、後述する暫定的無線リソース割当量決定部36で決定された暫定的無線リソース割当量に基づいて、下りリンクのデータフローへ無線リソースを割り当てる。
【0047】
暫定的無線リソース割当量決定部36は、基地局22が複数の移動端末50にそれぞれ通信サービスを提供しているとき、基地局から移動端末50の各々への下りリンクの通信状態(具体的には、後述するチャネル品質信号で示される下りリンクのチャネル品質状態または現在QoS信号で示されるスループット)に基づいて、通信サービスで使用される基地局22から複数の移動端末50への下りリンクの複数のデータフローの各々について暫定的無線リソース割当量を決定する。
【0048】
暫定的無線リソース割当量決定部36は、無線リソース割当に利用されている既存の技術に従って、下りリンクの複数のデータフローの各々について暫定的無線リソース割当量を決定する。このような既存の技術には、例えば、既存のPFアルゴリズム(PF法)があるが、これには限定されない。
【0049】
PFアルゴリズムは、例えば上述した特開2010−161598号公報に開示されている。PFアルゴリズムでは、基地局が、データフロー毎に移動端末での瞬間的な受信品質(例えばスループットまたはSINR)と平均的な受信品質との比を測定し、この比が大きいデータフローほど優先的に多くの無線リソースを割り当てる。したがって、過去に悪い無線状態のために移動端末での受信状態が悪かったデータフローについて、受信状態が良好になると、多くの無線リソースが割り当てられるので、全ユーザにできるだけ公平に無線リソースが割り当てられる。
【0050】
他の実施の形態として、暫定的無線リソース割当量決定部36はその他の既存の無線リソース割当技術を使用してもよい。
【0051】
リソース不足判定部38は、基地局22が複数の移動端末50にそれぞれ通信サービスを提供しているとき、データフローの各々について、暫定的無線リソース割当量と目標無線リソース割当量とを比較し、暫定的無線リソース割当量が目標無線リソース割当量よりもかなり小さいリソース不足データフローを選択する。リソース不足判定部38が少なくとも1つのリソース不足データフローを選択した場合には、無線リソース割当制御部30は、暫定的無線リソース割当量決定部36がリソース不足データフローについて決定した暫定的無線リソース割当量よりもリソース割当量を増やし、増やされたリソース割当量が達成されるように、リソース不足データフローに無線リソースを割り当てる。
【0052】
リソース不足判定部38により少なくとも1つのリソース不足データフローが選択された場合に、リソース過剰判定部40は、他のデータフローの各々について、暫定的無線リソース割当量と目標無線リソース割当量とを比較し、暫定的無線リソース割当量が目標無線リソース割当量よりもかなり大きいリソース過剰データフローを選択する。リソース過剰判定部40が少なくとも1つのリソース過剰データフローを選択した場合には、無線リソース割当制御部30は、暫定的無線リソース割当量決定部36がリソース過剰データフローについて決定した暫定的無線リソース割当量よりもリソース割当量を減らし、減らされたリソース割当量が達成されるように、リソース過剰データフローに無線リソースを割り当てる。
【0053】
リソース不足データフローとリソース過剰データフロー以外のデータフローの各々には、無線リソース割当制御部30は、暫定的無線リソース割当量決定部36が決定した暫定的無線リソース割当量に従って無線リソースを割り当てる。つまり無線リソース割当制御部30は、これらのデータフローの各々についての暫定的無線リソース割当量が達成されるように、これらのデータフローの各々に無線リソースを割り当てる。
【0054】
「データフロー」とは、目標QoSを設定する対象となる1つのデータの流れである。データフローの例は以下の通りである(図5参照)。
3GPP(Third Generation Partnership Project)におけるRRC(radio resource control)レイヤにおいて、TFT(Traffic Flow Template)によって一意に識別されるRAB (Radio Access Bearer)。
RABが複数のRAB subflowからなる場合には、各RAB subflowに対応するRB (Radio Bearer)をデータフローとみなすこともできる。
宛先と送り元のIPアドレスの組み合わせによって一意に識別される論理パス上を流れるデータフロー。
IPアドレスに加えてセッション層で提供されるポート番号によって一意に識別される論理パス上を流れるデータフロー。
アプリケーションによって識別されるデータフロー。
データフローは、これらのいずれであってもよいし、それらのうち複数のタイプの適切な組み合わせでもよい。
【0055】
「データフロー」のタイプには、通信方式によっては使用されないものがある。例えばRABは無線LAN等では使用されない。基地局22が利用する通信方式によって、データフローのタイプは選択される。
【0056】
移動状態判定部42は、各移動端末50から受信部34が受信した信号に基づいて各移動端末50の移動状態を判定する。「移動状態」は、移動端末50が移動しているか静止しているかの区別、移動端末50の移動速度、以前のある時点から現在までの移動端末50の移動距離、以前のある時点で使用した基地局22と現在使用している基地局22が同じかどうかの区別のいずれかであってよい。移動状態は、移動端末50に搭載された図示しない加速度センサの測定値、その加速度センサの測定値の累積値、移動端末50で測定され通信状態を表すチャネル推定値の変動、グローバル・ポジショニング・システムを利用した移動端末50による位置測定結果、移動端末50に使用される基地局22の情報などに基づいて得ることができる。
【0057】
但し、移動状態判定部を各移動端末50に設けて、移動端末50から基地局22に当該移動端末の移動状態を報告するようにしてもよい(後述する移動端末50の移動状態判定部64)。この場合には、基地局22には移動状態判定部42は不要である。
【0058】
目標無線リソース割当量決定部28は、目標QoS決定部26で決定された目標QoSに加えて移動端末50の移動状態に基づいて、目標無線リソース割当量を決定する。
【0059】
コアネットワークインターフェイス46は、基地局22がコアネットワーク10との通信を行うための通信インターフェイスである。
【0060】
図6は本発明の第1の実施の形態に係る移動端末50を示すブロック図である。図6に示すように、各移動端末50は、送信部52、受信部54、入力インターフェイス56、スピーカ58、マイクロフォン59、ディスプレイ60、移動状態判定部64、利用サービス種類通知部66、ユーザ特性情報通知部68、ユーザ満足度通知部70、現在サービス品質(QoS)信号生成部72およびチャネル品質信号生成部74を備える。
【0061】
移動端末50のこれらの要素のうち、移動状態判定部64、利用サービス種類通知部66、ユーザ特性情報通知部68、ユーザ満足度通知部70、現在QoS信号生成部72およびチャネル品質信号生成部74は、移動端末50の図示しないCPUがコンピュータプログラムを実行し、そのコンピュータプログラムに従って機能することによって実現される機能ブロックである。
【0062】
送信部52は移動端末50が基地局22へ無線送信を行うための送信回路である。受信部54は移動端末50が基地局22から無線受信を行うための受信回路である。
【0063】
入力インターフェイス56は、例えばキーパッドであり、ユーザが移動端末50に各種の指令および選択を入力するために使用される。ディスプレイ60は、入力インターフェイス56での入力に応答して画像を表示する。また、ディスプレイ60は通信サービスの間に受信部54で受信された受信信号に基づいて動画像、静止画像、またはテキストを表示する。スピーカ58は、通信サービスが音声を移動端末50に供給する場合、通信サービスの間に受信部54で受信された受信信号に基づいて音声を出力する。マイクロフォン59は、通信サービスがユーザの音声を移動端末50から通信相手に供給する場合、通信サービスの間にユーザの音声を電気信号に変換し、送信部52に供給する。
【0064】
移動状態判定部64は移動端末50の移動状態を判定し、移動状態を示す信号を生成する。移動状態判定部64は、送信部52を介して移動状態を示す信号を基地局22に送信する。基地局22では、目標無線リソース割当量決定部28は、目標QoS決定部26で決定された目標QoSに加えて移動端末50の移動状態に基づいて、目標無線リソース割当量を決定する。このような移動状態の報告は定期的に、例えば数ミリ秒おきに繰り返される。
【0065】
但し、基地局22に上述した移動状態判定部42を設け、移動端末50では移動状態判定の材料となる情報を基地局22に送信してもよい。この場合には、移動端末50には移動状態判定部64は不要である。
【0066】
移動端末50が基地局22から通信サービスの提供を享受する前に、利用サービス種類通知部66は、享受しようとする通信サービスの種類を示す利用サービス種類信号またはその種類に対応するQCIを生成し、送信部52を介して利用サービス種類信号またはQCIを基地局22に送信する。基地局22では、受信部34で受信された利用サービス種類信号またはQCIが示すサービスの種類に応じて、所要QoE決定部24が、移動端末50のユーザが要求するであろうと推定される所要QoEを決定する。
【0067】
ユーザ特性情報通知部68は、移動端末50のユーザが短気か否かといったユーザの性格、ユーザが主に利用する通信サービスの特性または傾向といったユーザの性癖、またはその両方を示すユーザ特性情報信号を生成し、送信部52を介してユーザ特性情報信号を基地局22に送信する。基地局22では、受信部34で受信されたユーザ特性情報信号に示されたユーザの特性は、「ユーザのタイプ」として基地局22の目標QoS決定部26が目標QoSを決定するために使用される。
【0068】
移動端末50は、移動端末50が基地局22に通信サービスの提供を要求する度に、ユーザにユーザの性格を選択させるガイダンスをディスプレイ60に表示し、そのガイダンスに従ったユーザの選択に基づいて、ユーザ特性情報通知部68がユーザ特性情報信号を生成してもよい。あるいは、移動端末50では、一旦ユーザ特性情報信号が生成されたら、ユーザ特性情報信号を記憶し、移動端末50が別の通信サービスの提供を享受する前に、記憶されたユーザ特性情報信号をユーザ特性情報通知部68が基地局22に送信してもよい。例えば、ユーザにユーザの性格を選択させるガイダンスは、移動端末50がデータまたは音声通信していない待ち受けモードで表示してもよい。
【0069】
ユーザ特性情報信号は、ユーザの特性として、ユーザが主に利用する通信サービスの特性または傾向、つまりユーザの性癖を示してもよい。通信サービスの傾向とは、例えば、ユーザがVoIPを主に利用するが、MMTelを利用することは希であるとか、ユーザが音声と動画像のブラウジングを主に利用するが、静止画像もしくはテキストのブラウジングを利用することは希であるといったことである。動画像を利用することが多いユーザは、高いQoSを要求しがちである。この場合、ユーザ特性情報通知部68が過去のユーザの通信サービスの利用の履歴に基づいて、ユーザ特性情報信号を生成することが好ましい。
【0070】
ユーザ満足度通知部70は、移動端末50が享受している通信サービスの品質に関するユーザの満足度を示すユーザ満足度信号を生成し、送信部52を介してユーザ満足度信号を基地局22に送信する。基地局22では、受信部34で受信されたユーザ満足度信号が示すユーザの満足度に基づいて、目標QoS決定部26が目標QoSを調節する。例えば、ユーザが品質に満足していれば、目標QoS決定部26は目標QoSを調節せず、ユーザが品質に不満であれば、目標QoS決定部26は目標QoSを高くする。「満足度」は、例えば満足か不満かという二者択一でもよいし、大いに満足、満足、不満という3段階評価、またはその他の段階評価でもよい。
【0071】
ユーザ満足度通知部70によるユーザ満足度信号の生成には、入力インターフェイス56でのユーザの入力が使用される。移動端末50が基地局22から通信サービスの提供を享受している途中に(例えば定期的に、具体的には数秒おきに)、移動端末50は、ユーザに通信サービスの品質に関する満足度を選択させるガイダンスをディスプレイ60に表示し、そのガイダンスに従ったユーザの選択に基づいて、ユーザ満足度通知部70がユーザ満足度信号を生成する。
【0072】
このようなガイダンスは、移動端末50が基地局22から通信サービスの提供を享受した後に、ディスプレイ60に表示されてもよい。この場合、ガイダンスに従ったユーザの選択は移動端末50に記憶され、ユーザ特性情報通知部68が過去のユーザの満足度の履歴に基づいて、ユーザ特性情報信号を生成してもよい。
【0073】
現在QoS信号生成部72は、移動端末50が基地局22から通信サービスの提供を享受している途中に、基地局22から通信サービスのために受信部54が受信した信号の現在QoSを測定し、現在QoSを示す現在QoS信号を生成する。現在QoS信号生成部72は、送信部52を介して現在QoS信号を基地局22に送信する。基地局22では、受信部34が移動端末50から現在QoS信号を受信し、目標無線リソース割当量決定部28は、現在QoS信号で示された現在QoSに応じて、目標無線リソース割当量を調節する。
【0074】
現在QoS信号生成部72は、定期的に、例えば数ミリ秒おきに、現在QoSの測定および現在QoS信号の送信を繰り返す。現在QoS信号の受信に応じて、目標無線リソース割当量決定部28は、目標無線リソース割当量の調節を繰り返す。さらに、目標無線リソース割当量決定部28は、移動端末50の移動状態に基づいて、目標無線リソース割当量を調節する時間間隔を決定および調節する。例えば、移動端末50が静止している場合には、目標無線リソース割当量の調節は頻繁に行う必要はない。他方、移動端末50が高速で移動している場合には、フェージングが急速であるため、目標無線リソース割当量の調節を頻繁に行うべきことがある。移動端末50の移動状態に基づいて目標無線リソース割当量を調節する時間間隔を調節することで、無駄な調節を防止し、適切な時間間隔で目標無線リソース割当量を調節することができる。
【0075】
チャネル品質信号生成部74は、移動端末50が基地局22から通信サービスの提供を享受している途中に、基地局22から通信サービスのために受信部54が受信した下りリンク信号のチャネル品質状態を測定し、測定されたチャネル品質状態そのものまたは測定されたチャネル品質状態が属するレベルを示すチャネル品質信号を生成する。「チャネル品質状態」とは、希望波の強度、希望波と雑音の比(SNR)、希望波と干渉の比(SIR)、またはSINRのいずれでもよい。チャネル品質信号は、例えば、CQI(Channel Quality Indicator)でもよいし、CSI(Channel State Information)でもよい。チャネル品質信号生成部74は、送信部52を介してチャネル品質信号を基地局22に送信する。基地局22では、例えばPF法を使用して暫定的無線リソース割当量決定部36が暫定的無線リソース割当量を決定するために、各移動端末50から受信されたチャネル品質信号で示されたチャネル品質信号を使用する。
【0076】
但し、基地局22では、例えばPF法を使用して暫定的無線リソース割当量決定部36が暫定的無線リソース割当量を決定するために、各移動端末50から受信された現在QoS信号で示された現在QoS、より具体的には現在スループットを使用してもよい。
【0077】
図7および図8を参照し、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムでの無線リソース割当方法の概略を説明する。1つの基地局22のセルでの1つの移動端末50のみに通信サービスを提供すると仮定する。
【0078】
まず、移動端末50またはコアネットワーク10から基地局22に通信サービス要求が送信されると、基地局22の所要QoE決定部24は所要QoEを決定する(図8のステップS10、S11)。移動端末50から通信サービス要求が送信された場合(移動端末50から発呼があった場合)には、基地局22の所要QoE決定部24は、移動端末50の利用サービス種類通知部66が生成しその通信要求に添付されたQCIまたは通信サービス種類を示す情報に基づいて所要QoEを決定する。コアネットワーク10から通信サービス要求要求が送信された場合(移動端末50への着呼があった場合)には、基地局22の所要QoE決定部24は、その通信要求に添付されたDSCPまたは通信サービス種類を示す情報に基づいて所要QoE(許容レベルまたは許容範囲)を決定する。
【0079】
次に基地局22はユーザのタイプを把握する(図8のステップS12)。すなわち基地局22は、移動端末50からユーザ特性情報通知部68が生成したユーザ特性情報を取得し、コアネットワーク10から課金制度の通知を取得する。ユーザ特性情報はユーザのタイプとしてユーザの特性(ユーザの性格、性癖またはその両方)を示し、課金制度の通知はユーザのタイプとしてユーザに適用されている通信オペレータによる課金制度を示す。
【0080】
移動端末50から通信サービス要求が送信された場合、ユーザ特性情報は、通信サービス要求に添付されているか、通信サービス要求の直後に移動端末50から送信される。コアネットワーク10から通信サービス要求が送信された場合、基地局22は、移動端末50にユーザ特性情報の送信を要求し、移動端末50からユーザ特性情報を受信する。通信サービス要求が移動端末50からされた場合もコアネットワーク10からされた場合も、基地局22は、コアネットワーク10のPCRF(Policy and Charging Rules Function)もしくはHSS(Home Subscriber Service)またはその両方に課金制度の通知を要求し、コアネットワーク10から課金制度の通知を受信する。
【0081】
基地局22において目標QoS決定部26は、移動端末50のユーザのタイプ(つまりユーザの特性と課金制度)と、所要QoE決定部24で決定された所要QoEに基づいて、移動端末50が利用しようとする通信サービスにおける目標QoS(許容レベルまたは許容範囲)を決定する(図8のステップS13)。
【0082】
具体的には、ユーザが短気であることまたは動画像を利用することが多いことをユーザ特性情報が示し、ユーザが高額の料金を支払うことを課金制度の通知が示す場合には、目標QoS決定部26は、極めて高いQoSを保証するように目標QoSを決定する。ユーザが短気でないかまたは動画像を利用することが少ない場合、かつユーザが高額の料金を支払う場合には、目標QoS決定部26は、2番目に高いQoSを保証するように目標QoSを決定する。ユーザが短気であることまたは動画像を利用することが多いことをユーザ特性情報が示し、ユーザが低額の料金を支払うことを課金制度の通知が示す場合には、目標QoS決定部26は、中程度のQoSを保証するように目標QoSを決定する。ユーザが短気でないかまたは動画像を利用することが少ない場合、かつユーザが低額の料金を支払う場合には、目標QoS決定部26は、最低のQoSを保証するように目標QoSを決定する。
【0083】
上記の通り、ユーザのタイプと所要QoEに応じて、目標QoS決定部26が目標QoSを決定するアルゴリズムは、経験則に基づいてあらかじめ準備されている。
【0084】
次に、基地局22は移動端末50から移動状態判定部64が生成した移動端末50の移動状態を示す信号(移動状態の報告)を取得する(図8のステップS14)。移動端末50から通信サービス要求が送信された場合、移動状態の報告は、通信サービス要求に添付されているか、通信サービス要求の直後に移動端末50から送信される。コアネットワーク10から通信サービス要求が送信された場合、基地局22は、移動端末50に移動状態の報告を要求し、移動端末50から移動状態の報告を受信する。
【0085】
基地局22の目標無線リソース割当量決定部28は、目標QoSに加えて移動端末50の移動状態に基づいて、目標無線リソース割当量の初期値を決定する(図8のステップS15)。下りリンク通信に符号分割多重接続を使用する場合には、目標無線リソース割当量決定部28は、通信サービスに利用される1つ以上のRABを決定し、複数のRABが設定されるべき場合には、各RABについて目標無線リソース割当量を決定する(これらの複数のRABはデータフローとみなすことができる)。
【0086】
例えば、移動端末50が静止している場合には、目標無線リソース割当量決定部28は小さい目標無線リソース割当量を決定する。他方、移動端末50が高速で移動している場合には、フェージングが急速であるため、目標無線リソース割当量決定部28は大きい目標無線リソース割当量を決定する。目標QoSが高い場合には、目標無線リソース割当量決定部28は大きい目標無線リソース割当量を決定する。目標QoSが低い場合には、目標無線リソース割当量決定部28は小さい目標無線リソース割当量を決定する。
【0087】
さらに、目標無線リソース割当量決定部28は、移動端末50の移動状態に基づいて、目標無線リソース割当量を調節する時間間隔を決定する(図8のステップS16)。例えば、移動端末50が静止している場合には、目標無線リソース割当量の調節は頻繁に行う必要はないので、目標無線リソース割当量決定部28は時間間隔を大きく設定する。他方、移動端末50が高速で移動している場合には、フェージングが急速であるため、目標無線リソース割当量の調節を頻繁に行うべきであるため、目標無線リソース割当量決定部28は時間間隔を小さく設定する。
【0088】
目標無線リソース割当量決定部28で決定された目標無線リソース割当量の初期値に基づいて、無線リソース割当制御部30は目標無線リソース割当量決定部28で決定された目標無線リソース割当量が達成されるように、下りリンクのデータフローへ無線リソースを割り当てる(図8のステップS17)。このようにして、移動端末50が基地局22から通信サービスの提供を享受する前に、無線リソースの割当が行われる。このような無線リソースの割当の下で、下りリンクのデータフローを通じて通信サービスが移動端末50に提供され始める。
【0089】
通信サービスの開始後は、移動端末50からユーザ満足度の報告(ユーザ満足度信号)を受信すると(図8のステップS21)、ユーザの満足度に基づいて、基地局22の目標QoS決定部26が目標QoSを調節する(図8のステップS22)。既に決定されている目標無線リソース割当量を調節する時間間隔に従った適切な時点に、基地局22の目標無線リソース割当量決定部28は、調節された目標QoSと既に把握している移動端末50の移動状態に基づいて、目標無線リソース割当量を調節する(図8のステップS18、S19)。目標無線リソース割当量決定部28で調節された目標無線リソース割当量に基づいて、無線リソース割当制御部30は目標無線リソース割当量が達成されるように、下りリンクのデータフローへ無線リソースを再度割り当てる(図8のステップS20)。
【0090】
通信サービスの開始後は、移動端末50から現在QoSの報告(現在QoS信号)を受信すると(図8のステップS23)、基地局22は現在QoSの報告を記憶する(図8のステップS24)。既に決定されている目標無線リソース割当量を調節する時間間隔に従った適切な時点に、基地局22の目標無線リソース割当量決定部28は、現在QoSに応じて、目標無線リソース割当量を調節する(図8のステップS18、S19)。目標無線リソース割当量決定部28で調節された目標無線リソース割当量に基づいて、無線リソース割当制御部30は目標無線リソース割当量が達成されるように、下りリンクのデータフローへ無線リソースを再度割り当てる(図8のステップS20)。
【0091】
通信サービスの開始後は、移動端末50から移動端末50の移動状態の報告(移動状態を示す信号)を受信すると(図8のステップS25)、基地局22は移動状態の報告を記憶する(図8のステップS26)。既に決定されている目標無線リソース割当量を調節する時間間隔に従った適切な時点に、基地局22の目標無線リソース割当量決定部28は、既に把握している目標QoSに加えて移動端末50の移動状態に基づいて、目標無線リソース割当量を調節する(図8のステップS18、S19)。また、目標無線リソース割当量決定部28は、移動端末50の移動状態に基づいて、目標無線リソース割当量を調節する次の時間間隔を調節する(図8のステップS27)。目標無線リソース割当量決定部28で調節された目標無線リソース割当量に基づいて、無線リソース割当制御部30は目標無線リソース割当量が達成されるように、下りリンクのデータフローへ無線リソースを再度割り当てる(図8のステップS20)。
【0092】
以下、ユーザ満足度の報告があれば、それに従った目標QoSの調節が行われる。現在QoSの報告があれば、それに従った目標無線リソース割当量の調節が行われる。移動状態の報告があれば、それに従った目標無線リソース割当量の調節と目標無線リソース割当量を調節する時間間隔の調節が行われる。
【0093】
移動端末50からのユーザ満足度の報告に従った目標QoSの調節の時間間隔は、移動端末50からの現在QoSの報告に従った目標無線リソース割当量の調節の時間間隔よりも長い。これはユーザ満足度の報告はユーザの満足度の選択を要するのに対し、現在QoSの報告は移動端末50で自動的に行われるからである。
【0094】
基地局22での目標無線リソース割当量を調節する時間間隔の調節に加え、移動端末50においても、調節された時間間隔に応じて現在QoSの報告の時間間隔および移動端末50の移動状態の報告の時間間隔を調節してもよい。この場合には、基地局22から移動端末50に報告の時間間隔を調節する指令が送信される。
【0095】
上記の無線リソースの割当は、移動端末50への通信サービスの提供の終了まで繰り返される(図8のステップS28)。
【0096】
図9は、本発明の第1の実施の形態に係る基地局22で実行される複数の移動端末50に関する無線リソース割当方法を示すフローチャートである。図9の処理は、1つの基地局22のセルでの複数の移動端末50にそれぞれ通信サービスを提供する場合に開始する。図9のこの処理が実行される場合においても、図8の処理は、無線リソースを再割り当てするステップS20を除き、通信サービスの各々について実行される。つまり、各々の単一の移動端末50に関する目標無線リソース割当量の調節は、図9の複数の移動端末50への無線リソース割当の処理と並行して実行されるが、図9の処理が開始すると、図8の処理ではステップS20をスキップする。
【0097】
図9に示すように、無線リソースを割り当てるべき時点において(ステップS30)、基地局22の暫定的無線リソース割当量決定部36は、無線リソース割当の既存技術に従って、複数の通信サービスで使用される基地局22から複数の移動端末50への複数のデータフローの各々について暫定的無線リソース割当量を決定する。
【0098】
次に基地局22のリソース不足判定部38は、データフローの各々について、暫定的無線リソース割当量と目標無線リソース割当量とを比較し、暫定的無線リソース割当量が目標無線リソース割当量よりもかなり小さいリソース不足データフローを選択する(ステップS32)。具体的には、リソース不足判定部38は、データフローの各々について、暫定的無線リソース割当量が目標無線リソース割当量から第1の閾値(正の値)を引いた量より小さいか否か判断する。そして、データフローのうち暫定的無線リソース割当量が目標無線リソース割当量から第1の閾値を引いた量より小さいデータフローをリソース不足データフローとして選択する。
【0099】
リソース不足判定部38により少なくとも1つのリソース不足データフローが選択された場合に(ステップS33)、基地局22のリソース過剰判定部40は、リソース不足データフロー以外のデータフローの各々について、暫定的無線リソース割当量と目標無線リソース割当量とを比較し、暫定的無線リソース割当量が目標無線リソース割当量よりもかなり大きいリソース過剰データフローを選択する(ステップS35)。具体的には、リソース過剰判定部40は、データフローの各々について、暫定的無線リソース割当量が目標無線リソース割当量と第2の閾値(正の値)の合計より大きいか否か判断する。第2の閾値は第1の閾値と同じでもよいし違っていてもよい。そして、データフローのうち暫定的無線リソース割当量が目標無線リソース割当量と第2の閾値の合計より大きいデータフローをリソース過剰データフローとして選択する。
【0100】
リソース不足判定部38が選択したリソース不足データフローがない場合には(ステップS33の判定が否定的な場合には)、無線リソース割当制御部30は、暫定的無線リソース割当量決定部36が決定した暫定的無線リソース割当量に従ってデータフローの各々に無線リソースを割り当てる(ステップS34)。つまり無線リソース割当制御部30は、データフローの各々についての暫定的無線リソース割当量が達成されるように、これらのデータフローの各々に無線リソースを割り当てる。
【0101】
リソース不足判定部38が選択したリソース不足データフローがあり、リソース過剰判定部40が選択したリソース過剰データフローがない場合には(ステップS36の判定が否定的な場合には)、無線リソース割当制御部30は、暫定的無線リソース割当量決定部36がリソース不足データフローについて決定した暫定的無線リソース割当量よりもリソース割当量を増やして、リソース不足データフローに無線リソースを割り当てる(ステップS37)。そして、無線リソース割当制御部30は、暫定的無線リソース割当量決定部36が決定した暫定的無線リソース割当量に従ってリソース不足データフロー以外のデータフローの各々に無線リソースを割り当てる(ステップS38)。
【0102】
複数のリソース不足データフローがある場合には、ステップS37においては、不足量(暫定的無線リソース割当量と、目標無線リソース割当量から第1の閾値(正の値)を引いた量の相違)がより大きいデータフローについて、無線リソース割当制御部30は、無線リソースの増分をより大きく決定すると好ましい。
【0103】
リソース不足判定部38が選択したリソース不足データフローがあり、リソース過剰判定部40が選択したリソース過剰データフローがある場合には(ステップS36の判定が肯定的な場合には)、無線リソース割当制御部30は、暫定的無線リソース割当量決定部36がリソース過剰データフローについて決定した暫定的無線リソース割当量よりもリソース割当量を減らし、暫定的無線リソース割当量決定部36がリソース不足データフローについて決定した暫定的無線リソース割当量よりもリソース割当量を増やして、リソース過剰データフローとリソース不足データフローに無線リソースを割り当てる(ステップS39)。そして、無線リソース割当制御部30は、暫定的無線リソース割当量決定部36が決定した暫定的無線リソース割当量に従って他のデータフローの各々に無線リソースを割り当てる(ステップS40)。
【0104】
上記の処理は、通信サービスを提供すべき移動端末の数が1に減少するまで繰り返される(ステップS42)。通信サービスを提供すべき移動端末の数が1に減少した場合には、図8の単一の移動端末50に関する目標無線リソース割当量の調節のための処理において、無線リソースを再割り当てするステップS20が実行可能になる。
【0105】
この実施の形態においては、移動端末50の各々が利用しようとする通信サービスの種類に応じて所要QoEを一旦決定し、移動端末50のユーザのタイプと所要QoEに鑑みて、通信サービスにおける目標QoSを決定する。したがって、通信サービスの種類とユーザのタイプに応じて適切に目標QoS、ひいては目標無線割当量を決定することができる。特にユーザのタイプを考慮することによって、実現されているQoSが、ユーザにとって好ましいQoEを満足するために必要十分なQoSに比べて過剰となる事態を減らすことができる。また、ユーザのタイプを考慮することによって、目標QoSに対してQoEが飽和する事態を減らすことができる。
また、目標QoSに加えて、移動端末50の移動状態に鑑みて目標無線リソース割当量を決定することにより、移動端末50の状態に適するように目標無線リソース割当量を制御することができる。
さらに、ユーザが判断した満足度に直接的に応答して目標QoSを調節することにより、ユーザの性格、特に最近の気分に適するように目標QoSを制御することができる。すなわち状況の変化があっても、適切に目標QoSを決定することができ、無線リソースの過剰または不足な割当を減らすことができる。
さらに、移動端末50で実際に得られた現在QoSに鑑みて目標無線リソース割当量を調節することにより、実際の最近の移動端末50の通信状況もしくは実際の最近の移動端末50の状態に適するように目標無線リソース割当量を制御することができる。すなわち状況の変化があっても、適切な目標無線リソース割当量を決定することができ、無線リソースの過剰または不足な割当を減らすことができる。
【0106】
また、リソース不足と推定されるデータフローには、無線リソース割当量を増やすことができる。リソース不足と推定されるデータフローとリソース過剰と推定されるデータフローがある場合には、リソース不足と推定されるデータフローには、無線リソース割当量を増やし、リソース過剰と推定されるデータフローには、無線リソース割当量を減らすことができる。したがって、リソース割当量が過剰または不足となる事態を最小限にすることができる。
【0107】
第2の実施の形態
図10は、本発明の第2の実施の形態に係る移動端末150を示すブロック図である。この実施の形態の移動端末150の各々は、第1の実施の形態のユーザ満足度通知部70の代わりに、計測部80および感情状態推定部82を備える。他の構成要素は第1の実施の形態の移動端末50と共通である。
【0108】
計測部80はユーザの身体状態を計測し、計測された身体状態を示す信号を生成して、感情状態推定部82に供給する。計測部80は、例えば、移動端末150をユーザが耳に押し当てて電話による会話をしているときに、移動端末150のユーザの耳の脈動を計測する脈拍計測装置でよい。あるいは、計測部80は、移動端末150のユーザの手または腕の脈動を計測する脈拍計測装置でよい。あるいは、移動端末150を使って電話による会話をしているときに、移動端末150のユーザの声の周波数、強さ、およびその他のパラメータを計測する声計測装置でよい。
【0109】
感情状態推定部82は、計測部80で計測されたユーザの身体状態に基づいて、ユーザの感情状態すなわち満足度を推定する。「感情状態」すなわち「満足度」は、例えば満足か不満かという二者択一でもよいし、大いに満足、満足、不満という3段階評価、またはその他の段階評価でもよい。感情状態推定部82は、移動端末150の図示しないCPUがコンピュータプログラムを実行し、そのコンピュータプログラムに従って機能することによって実現される機能ブロックであってよい。
【0110】
第1の実施の形態のユーザ満足度通知部70と類似し、感情状態推定部82は、ユーザの感情状態すなわち満足度を示すユーザ感情状態信号を生成し、送信部52を介してユーザ感情状態信号を基地局22に送信する。基地局22では、受信部34で受信されたユーザ感情状態信号が示すユーザの感情状態に基づいて、目標QoS決定部26が目標QoSを調節する。
【0111】
第2の実施の形態の無線通信システム全体の構造は、図3に示す第1の実施の形態の無線通信システム全体の構造と同じでよい。第2の実施の形態の基地局の構造は、図4に示す第1の実施の形態の基地局22の構造と同じでよい。
【0112】
また、第1の実施の形態に関連して図7から図9を参照して説明した各種の処理も、ほぼ同様に第2の実施の形態で実行される。但し、ユーザ満足度の報告(ユーザ満足度信号)の基地局22での受信に応答した目標QoSの調節(図8のステップS21、S22)の代わりに、ユーザの感情状態の報告(ユーザ感情状態信号)の基地局22での受信に応答した目標QoSの調節が実行される。
【0113】
第1の実施の形態で達成される各種の効果のほぼすべてが第2の実施の形態でも達成される。第2の実施の形態では、推定されたユーザの感情状態に応答して目標QoSを調節することにより、ユーザの性格に適するように目標QoSを制御することができる。
【0114】
他の実施の形態として、感情状態推定部82は、移動端末150ではなく基地局22に設けることができる。
【0115】
第3の実施の形態
図11は、本発明の第3の実施の形態に係る移動端末250を示すブロック図である。この実施の形態の移動端末250の各々は、第1の実施の形態の移動端末50を基礎としている。具体的には、第1の実施の形態の移動端末50と同じ構成要素に加えてタスク認識部90を備える。
【0116】
第2の実施の形態の無線通信システム全体の構造は、図3に示す第1の実施の形態の無線通信システム全体の構造と同じでよい。第2の実施の形態の基地局の構造は、図4に示す第1の実施の形態の基地局22の構造と同じでよい。
【0117】
移動端末250の各々は、複数のアプリケーションに従って複数のデータフローを基地局22から受信することを要する複数のタスクを実行可能である。タスク認識部90は、実行されている複数のタスクのうち、ユーザに注目されているフォアグラウンドタスクとユーザに注目されていないバックグラウンドタスクを認識する。例えば、移動端末250でインターネットブラウジングとMMTelが同時に実行されている場合、通常、MMTelがフォアグラウンドタスクであり、インターネットブラウジングはバックグラウンドタスクである。タスク認識部90は、移動端末250の図示しないCPUがコンピュータプログラムを実行し、そのコンピュータプログラムに従って機能することによって実現される機能ブロックであってよい。
【0118】
移動端末250は、フォアグラウンドタスクまたはバックグラウンドタスクを示す信号を生成し、送信部52を介してこの信号を基地局22に送信する。基地局22では、フォアグラウンドタスクまたはバックグラウンドタスクを示す信号を受信部34が受信する。目標QoS決定部26はバックグラウンドタスクに対応するデータフローについて目標QoSを減らす。
【0119】
第1の実施の形態に関連して図7から図9を参照して説明した各種の処理は、同様に第3の実施の形態で実行される。したがって、第1の実施の形態で達成される各種の効果のすべてが第3の実施の形態でも達成される。さらに、第3の実施の形態では、バックグラウンドタスクに対応するデータフローについて目標QoSを減らすことにより、そのデータフローについて無益に高い目標QoSを決定することなく、システム全体で使用する無線リソースを適切に配分することができる。
【0120】
第3の実施の形態は、第1の実施の形態を基礎としている。しかし、他の実施の形態として、第2の実施の形態の移動端末150にタスク認識部90を設け、第3の実施の形態と同様の機能を第2の実施の形態のシステムで実行してもよい。
【0121】
第4の実施の形態
図12は、本発明の第4の実施の形態に係る移動端末350を示すブロック図である。この実施の形態の移動端末350の各々は、第1の実施の形態のユーザ満足度通知部70、または第2の実施の形態の計測部80および感情状態推定部82を持たない。
【0122】
移動端末350の他の構成要素は第1の実施の形態の移動端末50と共通であり、第1の実施の形態と同様に動作する。例えば、現在QoS信号生成部72は、移動端末350が基地局22から通信サービスの提供を享受している途中に、基地局22から通信サービスのために受信部54が受信した信号の現在QoSを測定し、現在QoSを示す現在QoS信号を生成する。現在QoS信号生成部72は、送信部52を介して現在QoS信号を基地局22に送信する。
【0123】
第4の実施の形態の無線通信システム全体の構造は、図3に示す第1の実施の形態の無線通信システム全体の構造と同じでよい。第4の実施の形態の基地局の構造は、図4に示す第1の実施の形態の基地局22の構造と同じでよい。
【0124】
但し、第4の実施の形態の基地局22においては、第1の実施の形態で使用されるユーザ満足度の報告(ユーザ満足度信号)の代わりに、移動端末350のユーザのタイプと現在QoSに応じて、目標QoS決定部26が目標QoSを調節する。より具体的には、目標QoS決定部26は、移動端末350から報告される移動端末350のユーザの特性情報に示されたユーザの特性、コアネットワーク10から通知されるユーザに適用されている通信オペレータによる課金制度、および移動端末350から報告される現在QoSに基づいて、ユーザの満足度を推定する。「満足度」は、例えば満足か不満かという二者択一でもよいし、大いに満足、満足、不満という3段階評価、またはその他の段階評価でもよい。推定されたユーザの満足度に基づいて、目標QoS決定部26は目標QoSを調節する。このように、第4の実施の形態では、移動端末350のユーザのタイプと現在QoSがユーザの満足度の報告の代わりに使用される。
【0125】
また、第1の実施の形態と同様に、移動端末350から報告される現在QoSは、目標無線リソース割当量決定部28にて目標無線リソース割当量を調節するために使用される。
【0126】
第1の実施の形態に関連して図7から図9を参照して説明した各種の処理は、ほぼ同様に第4の実施の形態で実行される。但し、ユーザ満足度の報告(ユーザ満足度信号)の基地局22での受信に応答した目標QoSの調節(図8のステップS21、S22)の代わりに、現在QoSの報告(現在QoS信号)の基地局22での受信に応答した目標QoSの調節が実行される。
【0127】
第1の実施の形態で達成される各種の効果のほぼすべてが第4の実施の形態でも達成される。第4の実施の形態では、ユーザのタイプと現在QoSに応じて目標QoSを調節することにより、ユーザに適用されている通信オペレータによる課金制度またはユーザの性格などのタイプに適するように目標QoSを制御することができる。しかも、ユーザの満足度を実際に調査しなくてもよい。
【0128】
第1の実施の形態と同様に、目標無線リソース割当量決定部28は、目標無線リソース割当量の調節を繰り返すとともに、移動端末350の移動状態に基づいて、目標無線リソース割当量を調節する次の時間間隔を調節する。さらに第4の実施の形態では、ユーザの満足度の選択を要せず、移動端末350で自動的に行われる現在QoSの報告に応答して、基地局22の目標QoS決定部26が目標QoSの調節を繰り返すことができる。目標QoS決定部26は、移動端末350の移動状態に基づいて、目標QoSを調節する時間間隔を調節してもよい。移動端末350の移動状態に基づいて目標QoSを調節する時間間隔と目標無線リソース割当量を調節する時間間隔を調節することで、無駄な調節を防止し、適切な時間間隔で目標QoSと目標無線リソース割当量を調節することができる。
【0129】
他の変形
上記の実施の形態においては、所要QoE決定部24、目標QoS決定部26、目標無線リソース割当量決定部28、無線リソース割当制御部30、暫定的無線リソース割当量決定部36、リソース不足判定部38、およびリソース過剰判定部40は、基地局22に設けられる。しかし、いずれかの要素は、無線アクセスネットワーク20におけるRNC21またはその他の機器に設けてもよい。
【0130】
基地局22および移動端末において、CPUが実行する各機能は、CPUの代わりに、ハードウェアで実行してもよいし、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array),DSP(Digital Signal Processor)等のプログラマブルロジックデバイスで実行してもよい。
【0131】
前記の実施の形態および変形は、矛盾しない限り、組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0132】
10 コアネットワーク、20 無線アクセスネットワーク、21 無線ネットワーク制御装置(RNC)、22 基地局、24 所要体感品質(QoE)決定部、26 目標サービス品質(QoS)決定部、28 目標無線リソース割当量決定部、30 無線リソース割当制御部、32 送信部、34 受信部、36 暫定的無線リソース割当量決定部、38 リソース不足判定部、40 リソース過剰判定部、42 移動状態判定部、46 コアネットワークインターフェイス、50,150,250,350 移動端末、52 送信部、54 受信部、56 入力インターフェイス、58 スピーカ、59 マイクロフォン、60 ディスプレイ、64 移動状態判定部、66 利用サービス種類通知部、68 ユーザ特性情報通知部、70 ユーザ満足度通知部、72 現在サービス品質(QoS)信号生成部、74 チャネル品質信号生成部、80 計測部、82 感情状態推定部、90 タスク認識部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動端末と、前記移動端末と無線通信する基地局を備えるネットワークとを備える無線通信システムであって、
前記ネットワークは、
前記移動端末の各々が利用しようとする通信サービスの種類に応じて、前記移動端末のユーザが要求するであろうと推定される所要体感品質を決定する所要体感品質決定部と、
前記移動端末のユーザのタイプと前記所要体感品質に基づいて、前記通信サービスにおける目標サービス品質を決定する目標サービス品質決定部と、
前記目標サービス品質に基づいて前記通信サービスで使用される前記基地局から前記移動端末へのデータフローへの目標無線リソース割当量を決定する目標無線リソース割当量決定部と
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記目標無線リソース割当量決定部は、前記目標サービス品質に加えて前記移動端末の移動状態に基づいて、前記目標無線リソース割当量を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記移動端末の各々は、ユーザが前記通信サービスの品質に関する満足度を入力する入力インターフェイスと、
前記満足度を示す信号を前記基地局に送信する送信部とを備え、
前記基地局は、前記移動端末から前記満足度を示す信号を受信し、
前記目標サービス品質決定部は、前記満足度に応じて、前記目標サービス品質を調節する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記移動端末の各々は、ユーザの身体状態を計測する計測部を備え、
前記移動端末または前記ネットワークは、前記計測部で計測された前記ユーザの身体状態に基づいて、前記ユーザの感情状態を推定する感情状態推定部を備え、
前記目標サービス品質決定部は、前記感情状態に応じて、前記目標サービス品質を調節する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記移動端末の各々は、複数のアプリケーションに従って複数のデータフローを前記基地局から受信することを要する複数のタスクを実行可能であり、
前記移動端末の各々は、前記複数のタスクのうち、ユーザに注目されているフォアグラウンドタスクとユーザに注目されていないバックグラウンドタスクを認識するタスク認識部と、
前記フォアグラウンドタスクまたは前記バックグラウンドタスクを示す信号を前記基地局に送信する送信部とを備え、
前記基地局は、前記移動端末から前記フォアグラウンドタスクまたは前記バックグラウンドタスクを示す信号を受信し、
前記目標サービス品質決定部は、前記バックグラウンドタスクに対応するデータフローについて前記目標サービス品質を減らす
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記移動端末の各々は、前記基地局から前記通信サービスのために受信した信号に基づいて、現在サービス品質を示す信号を生成する現在サービス品質信号生成部と、
前記現在サービス品質を示す信号を前記基地局に送信する送信部とを備え、
前記基地局は、前記移動端末から前記現在サービス品質を示す信号を受信し、
前記目標無線リソース割当量決定部は、前記現在サービス品質に応じて、前記目標無線リソース割当量を調節する
ことを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記目標無線リソース割当量決定部は、前記目標無線リソース割当量の調節を繰り返すとともに、前記移動端末の移動状態に基づいて、前記目標無線リソース割当量を調節する時間間隔を調節する
ことを特徴とする請求項6に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記移動端末の各々は、前記基地局から前記通信サービスのために受信した信号に基づいて、現在サービス品質を示す信号を生成する現在サービス品質信号生成部と、
前記現在サービス品質を示す信号を前記基地局に送信する送信部とを備え、
前記基地局は、前記移動端末から前記現在サービス品質を示す信号を受信し、
前記目標サービス品質決定部は、前記移動端末のユーザのタイプと前記現在サービス品質に応じて、前記目標サービス品質を調節し、
前記目標無線リソース割当量決定部は、前記現在サービス品質に応じて、前記目標無線リソース割当量を調節する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項9】
前記目標サービス品質決定部は、前記目標サービス品質の調節を繰り返すとともに、前記移動端末の移動状態に基づいて、前記目標サービス品質を調節する時間間隔を調節し、
前記目標無線リソース割当量決定部は、前記目標無線リソース割当量の調節を繰り返すとともに、前記移動端末の移動状態に基づいて、前記目標無線リソース割当量を調節する時間間隔を調節する
ことを特徴とする請求項8に記載の無線通信システム。
【請求項10】
前記ネットワークは、
前記基地局が複数の移動端末にそれぞれ通信サービスを提供しているとき、前記基地局から前記移動端末の各々への通信状態に基づいて、前記通信サービスで使用される前記基地局から前記複数の移動端末への複数のデータフローの各々について暫定的無線リソース割当量を決定する暫定的無線リソース割当量決定部と、
前記データフローの各々について、前記暫定的無線リソース割当量が前記目標無線リソース割当量から第1の閾値を引いた量より小さいか否か判断し、前記データフローのうち前記暫定的無線リソース割当量が前記目標無線リソース割当量から第1の閾値を引いた量より小さいリソース不足データフローを選択するリソース不足判定部と、
前記リソース不足判定部により少なくとも1つのリソース不足データフローが選択された場合に、他の前記データフローの各々について、前記暫定的無線リソース割当量が前記目標無線リソース割当量と第2の閾値の合計より大きいか否か判断し、前記データフローのうち前記暫定的無線リソース割当量が前記目標無線リソース割当量と第2の閾値の合計より大きいリソース過剰データフローを選択するリソース過剰判定部と、
前記データフローの各々について、無線リソースを割り当てる無線リソース割当制御部とを備え、
前記無線リソース割当制御部は、
前記リソース不足判定部が選択した前記リソース不足データフローがない場合には、前記暫定的無線リソース割当量決定部が決定した前記暫定的無線リソース割当量に従って前記データフローの各々に無線リソースを割り当て、
前記リソース不足判定部が選択した前記リソース不足データフローがあり、前記リソース過剰判定部が選択した前記リソース過剰データフローがない場合には、前記暫定的無線リソース割当量決定部が前記リソース不足データフローについて決定した前記暫定的無線リソース割当量よりもリソース割当量を増やして、前記リソース不足データフローに無線リソースを割り当てるとともに、前記暫定的無線リソース割当量決定部が決定した前記暫定的無線リソース割当量に従って他の前記データフローの各々に無線リソースを割り当て、
前記リソース不足判定部が選択した前記リソース不足データフローがあり、前記リソース過剰判定部が選択した前記リソース過剰データフローがある場合には、前記暫定的無線リソース割当量決定部が前記リソース過剰データフローについて決定した前記暫定的無線リソース割当量よりもリソース割当量を減らし、前記暫定的無線リソース割当量決定部が前記リソース不足データフローについて決定した前記暫定的無線リソース割当量よりもリソース割当量を増やして、前記リソース過剰データフローと前記リソース不足データフローに無線リソースを割り当てるとともに、前記暫定的無線リソース割当量決定部が決定した前記暫定的無線リソース割当量に従って他の前記データフローの各々に無線リソースを割り当てる
ことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項11】
複数の移動端末と無線通信する基地局であって、
前記移動端末の各々が利用しようとする通信サービスの種類に応じて、前記移動端末のユーザが要求するであろうと推定される所要体感品質を決定する所要体感品質決定部と、
前記移動端末のユーザのタイプと前記所要体感品質に基づいて、前記通信サービスにおける目標サービス品質を決定する目標サービス品質決定部と、
前記目標サービス品質に基づいて前記通信サービスで使用される前記基地局から前記移動端末へのデータフローへの目標無線リソース割当量を決定する目標無線リソース割当量決定部と
を備えることを特徴とすることを特徴とする基地局。
【請求項12】
複数の移動端末と、前記移動端末と無線通信する基地局を備えるネットワークとを備える無線通信システムで使用される無線リソース割当方法であって、
前記移動端末の各々が利用しようとする通信サービスの種類に応じて、前記移動端末のユーザが要求するであろうと推定される所要体感品質を決定することと、
前記移動端末のユーザのタイプと前記所要体感品質に基づいて、前記通信サービスにおける目標サービス品質を決定することと、
前記目標サービス品質に基づいて前記通信サービスで使用される前記基地局から前記移動端末へのデータフローへの目標無線リソース割当量を決定することと
を備えることを特徴とする無線リソース割当方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−49598(P2012−49598A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186902(P2010−186902)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】