説明

無線通信システム、無線アクセス局及び通信方法

【課題】ブロードキャスト等の情報提供を好適に行う。
【解決手段】無線通信システム(1)は、第2無線アクセス局(20b、20c)から送信される情報取得要求を、第1移動端末(30)を介して受信する第1受信部(215)及び第2無線アクセス局(20b、20c)に対して、第2移動端末(30)を介して情報を送信する第1送信部(2161)を備える第1無線アクセス局(20a)と、第1移動端末に情報提供要求を送信する第2送信部(2161)、第2移動端末を介して、第1無線アクセス局から送信される情報を受信する第2受信部(215)、受信した情報に対して所定のデータ処理を施す信号処理部(2165)及びデータ処理が施された情報の提供を行う情報提供部(2162、2367)を備える第2無線アクセス局とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば移動端末と無線通信を行う無線アクセス局、無線アクセス局を備える無線通信システム、及び無線通信システムにおける通信方法の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話システム等の無線通信システムでは、無線基地局は、自身がカバーしている通信エリア(例えば、セルないしはセクタ)内に位置する移動端末との間で無線通信を行う。このような無線通信システムの利用態様の一例として、無線基地局が、自身がカバーしている通信エリア内に位置する多数の移動端末に対して所定の情報をブロードキャストする利用態様がある。例えば、無線基地局が山間部の山麓付近に設置されている例では、無線基地局は、山間部の山頂ないしは峠付近に設置されている気象センサによって測定される気象情報を有線のネットワークを介して収集すると共に、当該収集した情報をブロードキャストする利用態様が想定される。その結果、山麓から山頂付近に向かう峠道を通過する移動端末は、山頂付近の気象情報を山麓付近で取得することができる。このようなブロードキャストは、例えば、局所的な情報(言い換えれば、ローカルな情報ないしは対象範囲が相対的に狭い情報)を移動端末に対して送信する場合に適用される傾向が強い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−16990号公報
【特許文献2】特開2002−271257号公報
【特許文献3】特開2005−516509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えばマクロセル等をカバーする広域の無線基地局から局所的な情報をブロードキャストすると、当該局所的な情報が要求されない範囲にまで不必要にブロードキャストしてしまいかねない。加えて、ブロードキャストする情報を無線基地局が収集するためには、上述したように有線の専用線を敷設することとなる。従って、無線基地局が局所的な情報をブロードキャストする構成では、相対的に多くのコストを要するという技術的な問題点が生ずる。
【0005】
対して、相対的に狭い範囲に対して情報を送信する(言い換えれば、ブロードキャストする)ことができるローカルなアクセスポイントを導入することで、局所的な情報が要求されない範囲にまでブロードキャストしてしまうことを防ぐことができると考えられる。つまり、アクセスポイントを導入することで、局所的な情報が要求される相対的に狭い範囲に限定してブロードキャストすることができると考えられる。しかしながら、ブロードキャストする情報をアクセスポイントが収集するためには、上述したように有線の専用線を敷設することが求められるという問題が依然としてある。
【0006】
尚、このような技術的な問題は、収集した情報(或いは、取得した情報)をブロードキャストする場合のみならず、収集した情報(或いは、取得した情報)を何かしらのサービスに対して提供する場合にも同様に生じ得る。
【0007】
本発明が解決しようとする課題には上記のようなものが一例として挙げられる。本発明は、例えばブロードキャスト等の情報提供を好適に行うことが可能な無線通信システム、無線アクセス局及び通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の無線通信システムは、移動端末と、第1無線アクセス局と、第2無線アクセス局とを備える。第1無線アクセス局及び第2無線アクセス局の夫々は、移動端末と無線通信を行うことができる。第1無線アクセス局は、第1受信部及び第1送信部を備える。第1受信部は、第1無線アクセス局の有する情報を要求する情報取得要求であって第2無線アクセス局から送信される情報取得要求を、移動端末のいずれかである第1移動端末を介して受信する。第1送信部は、情報取得要求に基づき、第2無線アクセス局に対して、移動端末のいずれかである第2移動端末を介して情報を送信する。第2無線アクセス局は、第2送信部、第2受信部、信号処理部及び情報提供部を備える。第2送信部は、第1移動端末に、第1無線アクセス局に対する情報取得要求を送信する。第2受信部は、第2移動端末を介して、第1無線アクセス局から送信される情報を受信する。信号処理部は、第2受信部が受信した情報に対して所定のデータ処理を施す。情報提供部は、データ処理が施された情報の提供を行う情報提供部とを備える。
【0009】
第2の無線通信システムは、移動端末と、第1無線アクセス局と、第2無線アクセス局とを備える。第1無線アクセス局及び第2無線アクセス局の夫々は、移動端末と無線通信を行うことができる。第1無線アクセス局は、第1送信部及び第2送信部を備える。第1送信部は、第2無線アクセス局に対して、第1無線アクセス局の有する情報を第2無線アクセス局が情報提供することを要求する情報提供要求を、移動端末のいずれかである第1移動端末を介して送信する。第2送信部は、情報提供要求に基づき、第2無線アクセス局に対して、移動端末のいずれかである第2移動端末を介して情報を送信する。第2無線アクセス局は、第1受信部、第2受信部、信号処理部及び情報提供部を備える。第1受信部は、第1移動端末を介して、第1無線アクセス局から送信される情報提供要求を受信する。第2受信部は、情報提供要求に基づき、第2移動端末を介して、第1無線アクセス局から送信される情報を受信する。信号処理部は、第2受信部が受信した情報に対して所定のデータ処理を施す。情報提供部は、データ処理が施された情報の提供を行う情報提供部とを備える。
【0010】
第1の通信方法は、移動端末と、夫々が移動端末と無線通信を行う第1無線アクセス局及び第2無線アクセス局とを備えている無線通信システムにおける通信方法であって、移動端末のいずれかである第1移動端末を介して、第1無線アクセス局の有する情報を要求する情報取得要求が、第2無線アクセス局から第1無線アクセス局に対して送信され、第1移動端末を介して、情報取得要求が第1無線アクセス局によって受信され、受信された情報取得要求に基づき、移動端末のいずれかである第2移動端末を介して、第1無線アクセス局から第2無線アクセス局に対して情報が送信され、第2移動端末を介して、第1無線アクセス局から送信される情報が第2無線アクセス局によって受信され、第2無線アクセス局によって、受信した情報に対して所定のデータ処理が施され、第2無線アクセス局によって、データ処理が施された情報が提供される。
【0011】
第2の通信方法は、移動端末と、夫々が移動端末と無線通信を行う第1無線アクセス局及び第2無線アクセス局とを備えている無線通信システムにおける通信方法であって、移動端末のいずれかである第1移動端末を介して、第1無線アクセス局の有する情報を第2無線アクセス局が情報提供することを要求する情報提供要求が、第1無線アクセス局から第2無線アクセス局に対して送信され、第1移動端末を介して、情報提供要求が第2無線アクセス局によって受信され、送信された情報取得要求に基づき、移動端末のいずれかである第2移動端末を介して、第1無線アクセス局から第2無線アクセス局に対して情報が送信され、第2移動端末を介して、第1無線アクセス局から送信される情報が第2無線アクセス局によって受信され、第2無線アクセス局によって、受信した情報に対して所定のデータ処理が施され、第2無線アクセス局によって、データ処理が施された情報が提供される。
【発明の効果】
【0012】
以上説明した無線通信システム、無線アクセス局及び通信方法によれば、ブロードキャスト等の情報提供を好適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態の無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態の無線APの機能ブロックを示すブロック図である。
【図3】第1実施形態の無線APのハードウェアブロックを示すブロック図である。
【図4】第1実施形態の移動端末の機能ブロックを示すブロック図である。
【図5】第1実施形態の移動端末のハードウェアブロックを示すブロック図である。
【図6】第1実施形態の移動端末の変形例の機能ブロックを示すブロック図である。
【図7】第1実施形態の無線通信システムの動作の流れの一例を示すシーケンス図である。
【図8】第1実施形態の無線通信システムの動作で用いられる各種情報(各種パケット及び周辺AP情報)を示すデータ構造図である。
【図9】第2実施形態の無線APの機能ブロックを示すブロック図である。
【図10】第2実施形態の無線通信システムの動作の流れの一例を示すシーケンス図である。
【図11】第2実施形態の無線通信システムの動作で用いられる各種情報(各種パケット)を示すデータ構造図である。
【図12】第2実施形態の無線通信システムの変形動作の流れの一例を示すシーケンス図である。
【図13】第2実施形態の無線通信システムの変形動作で用いられる各種情報(各種パケット及び周辺AP情報)を示すデータ構造図である。
【図14】第3実施形態の無線APの機能ブロックを示すブロック図である。
【図15】第3実施形態の無線通信システムの動作の流れの一例を示すシーケンス図である。
【図16】第3実施形態の無線通信システムの動作で用いられる各種情報(各種パケット)を示すデータ構造図である。
【図17】第3実施形態の無線通信システムの変形動作の流れの一例を示すシーケンス図である
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づいて説明する。以下の説明では、無線通信システムの一例として、携帯電話システムを用いて説明を進める。但し、携帯電話システム以外の各種無線通信システムに対して後述する実施形態を適用してもよい。
【0015】
(1)第1実施形態
図1から図8を参照して、第1実施形態の無線通信システムについて説明する。
【0016】
(1−1)無線通信システムの構成
図1を参照して、第1実施形態の無線通信システム1の構成について説明する。図1は、第1実施形態の無線通信システム1の構成の一例を示すブロック図である。
【0017】
図1に示すように、第1実施形態の無線通信システム1は、無線AP(Access Point:アクセスポイント)20aと、無線AP20bと、無線AP20cと、移動端末30aと、移動端末30bと、移動端末30cと、移動端末30dと、移動端末30eとを備えている。尚、図1に示す無線AP20の数及び移動端末30の数は一例であって、無線AP20の数及び移動端末30の数が図1に示す個数に限定されることはない。また、以下では、説明の便宜上、無線AP20aから無線AP20cを区別することなく説明する場合には、“無線AP20”と称して説明を進める。同様に、移動端末30aから移動端末30eを区別することなく説明する場合には、“移動端末30”と称して説明を進める。
【0018】
無線AP20は、所定の大きさを有するカバーエリア29(例えば、半径が概ね数mから十数mないしは数十m程度又は百数十m若しくは数百mとなるカバーエリア29)をカバーする。無線AP20は、当該無線AP20がカバーするカバーエリア29内に位置する移動端末30との間で無線通信を行う。つまり、無線AP20は、当該無線AP20がカバーするカバーエリア29内に位置する移動端末30との間で無線通信コネクションを確立すると共に、移動端末30に対してデータの送受信を行う。図1は、無線AP20aが、当該無線AP20aがカバーするカバーエリア29a内に位置する移動端末30a及び移動端末30bとの間で無線通信を行う例を示している。同様に、図1は、無線AP20bが、当該無線AP20bがカバーするカバーエリア29b内に位置する移動端末30cとの間で無線通信を行う例を示している。同様に、図1は、無線AP20cが、当該無線AP20cがカバーするカバーエリア29c内に位置する移動端末30dとの間で無線通信を行う例を示している。
【0019】
無線AP20は、その送信電力が相対的に小さい(言い換えれば、相対的に小電力又は相対的に微弱電力となる)ことが好ましい。例えば、無線AP20は、例えばセル半径が概ね数kmから十数kmないしは数十kmとなるセル(いわゆる、マクロセル)をカバーする無線基地局(いわゆる、マクロセル無線基地局)と比較して、送信電力が小さいことが好ましい。或いは、無線AP20は、セル半径が概ね数百mから1kmとなるセル(いわゆる、マイクロセル)をカバーする無線基地局(いわゆる、マイクロセル無線基地局)と比較して送信電力が同等程度又は小さいことが好ましい。或いは、無線AP20は、数mから十数mないしは数十mとなるセル(いわゆる、フェムトセル)をカバーする無線基地局(いわゆる、フェムトセル無線基地局)と比較して送信電力が同等程度又は小さい若しくは大きいことが好ましい。
【0020】
無線AP20は、その設置位置が常に固定されていてもよい。或いは、無線AP20は、その設置位置が移動してもよい。具体的には、例えば、無線AP20は、自動車や電車等の移動体に設置されてもよい。
【0021】
尚、無線AP20は、無線基地局と別個独立に設置されてもよい。この場合、図1に示す無線通信システムは、無線AP20とは別に、無線基地局を備えている。或いは、無線AP20は、無線基地局内に設置されてもよい。この場合、無線AP20は、無線基地局内の物理的なハードウェアとして実現されてもよいし、無線基地局内のCPU上で動作するソフトウェアとして実現されてもよい。無線AP20が無線基地局内に設置される場合には、無線基地局は、通常の無線基地局としての動作と無線AP20としての動作とを適宜切り替えてもよいし、同時並行して実行してもよい。
【0022】
移動端末30は、自身がその内部に位置するカバーエリア29に対応する無線AP20との間で無線通信コネクションを確立すると共に、データの送受信を行う。移動端末30は、移動することで無線通信を行う無線AP20を適宜切り替える。例えば、図1に示す移動端末30がカバーエリア29aからカバーエリア29b内に移動した場合には、移動端末30は、無線通信を行う無線AP20を、無線AP20aから無線AP20bへと切り替える。移動端末30として、例えば携帯電話機や、PDA(Personal Digital Assistant)や、その他無線通信機能を有する各種情報機器等が一例としてあげられる。
【0023】
(1−2)無線APの構成
図2及び図3を参照して、第1実施形態の無線AP20の構成について説明する。図2は、第1実施形態の無線AP20の機能ブロックを示すブロック図である。図3は、第1実施形態の無線AP20のハードウェアブロックの一例を示すブロック図である。尚、以下では、第1実施形態の無線AP20を、第2及び第3実施形態の無線AP20と区別するために、“無線AP21”と表記する。
【0024】
図2に示すように、第1実施形態の無線AP21は、アンテナ211と、RF(Radio Frequency)部212と、変復調部213と、符号化部214と、復号部215と、制御部216とを備える。
【0025】
アンテナ211は、移動端末30に対して送信されるデータに応じた無線信号(無線電波)を、移動端末30に対して出力する。アンテナ211は、移動端末30から出力されている無線信号(つまり、移動端末30から送信されるデータに応じた無線信号)を受信する。
【0026】
RF部212は、アンテナ211が受信した無線信号に対して無線受信処理(例えば、増幅処理等)を行うことで受信データを生成する。RF部212は、生成した受信データを変復調部213へと出力する。一方で、RF部212は、変復調部213から出力される送信データに対して無線送信処理(例えば、増幅処理)を施すことで無線信号を生成する。RF部212は、生成した無線信号をアンテナ211へと出力する。
【0027】
変復調部213は、RF部212から出力される受信データに対して復調処理を行う。変復調部213は、復調した受信データを復号部215へと出力する。一方で、変復調部213は、符号化部214から出力される送信データに対して変調処理を行う。変復調部213は、変調した送信データをRF部212へと出力する。
【0028】
符号化部214は、制御部216から出力される送信データに対して符号化処理を行う。符号化部214は、符号化した送信データを変復調部213へと出力する。
【0029】
復号部215は、変復調部213から出力される受信データに対して復号化処理を行う。復号部215は、復号化した受信データを制御部216へと出力する。
【0030】
制御部216は、無線AP21全体の動作を制御する。制御部216は、例えばその内部に実現される物理的な、論理的な又は機能的な処理ブロックとして、パケット生成部2161と、ブロードキャスト情報生成部2162と、メモリ部2163と、センサ2164と、信号処理部2165とを備えている。
【0031】
パケット生成部2161は、無線AP21から移動端末30に対して送信されるべき各種パケット(後述の図8等参照)を生成する。パケット生成部2161は、生成したパケットを、送信データとして符号化部214へと出力する。
【0032】
ブロードキャスト情報生成部2162は、メモリ部2163に格納されている各種情報(図8等参照)から、無線AP21がカバーするカバーエリア29内にブロードキャストするべき情報(以降、“ブロードキャスト情報”と称する)を抽出する。ブロードキャスト情報生成部2162は、抽出したブロードキャスト情報を、送信データとして符号化部214へと出力する。
【0033】
尚、上述したように、無線AP21の送信電力は相対的に小さい。このため、第1実施形態では、ブロードキャスト情報は、ローカルな情報(つまり、相対的に狭い範囲で要求される局所的な情報)であることが好ましい。このようなローカルな情報として、第1実施形態では、例えば、局所的な気象状態等を示す気象情報等が一例としてあげられる。もちろん、気象情報以外の任意の情報(例えば、局所的な道路状況を示す道路交通情報や、特定の観光地の観光情報等を示す観光情報や、特定の場所ないしは地点に特有の情報を示すスポット情報等)を、ローカルな情報として取り扱ってもよい。
【0034】
メモリ部2163は、無線AP21の動作に必要な各種情報を格納する。第1実施形態では、メモリ部2163は、ブロードキャスト情報や、無線AP21の周辺に位置する又は無線AP21と関連して後述する一連の処理(図7参照)を行う他の無線AP21の情報を含む周辺AP情報(図8等参照)等を格納する。
【0035】
センサ2164は、無線AP21の内部、外部、周辺又は無線AP21に関連する状況若しくは状態に関する各種情報を検出する。センサ2164の一例として、例えば積雪量センサや、温度センサや、風速センサ等があげられる。センサ2164が検出した情報(測定結果情報)は、メモリ2163に格納されてもよいし、後述する信号処理部2165に出力されてもよい。
【0036】
信号処理部2165は、無線AP21が受信する(或いは、取得する又は収集する)各種情報に対して、ブロードキャストするための形式に変換するデータ処理を行う。或いは、信号処理部は、無線AP21が受信する(或いは、取得する又は収集する)各種情報に対して、ブロードキャストするための統計処理を含むデータ処理を行う。言い換えれば、信号処理部2165は、無線AP21が受信する(或いは、取得する又は収集する)各種情報を、ブロードキャスト情報に変換する。尚、無線AP21が受信する(或いは、取得する又は収集する)各種情報としては、以下の例があげられる。まず、無線AP21は、無線AP21が備えるセンサ2163が検出する測定結果情報を受信(或いは、取得又は収集)してもよい。或いは、無線AP21は、移動端末30自身が保有している情報を、移動端末30から直接的に受信(或いは、取得又は収集)してもよい。或いは、無線AP21は、他の無線AP21が保有している情報(或いは、無線AP21が備えるセンサ2163が検出する測定結果情報)を、移動端末30を通信媒体として間に介在させることで受信(或いは、取得又は収集)してもよい。つまり、第1実施形態では、信号処理部2165は、一又は複数種類の情報源(例えば、他の無線AP21や移動端末30やセンサ2164等)から得られる一又は複数種類の各種情報を、まとめてブロードキャスト情報に変換する。信号処理部2165は、データ処理の結果生成されたブロードキャスト情報を、メモリ部2163に格納する。
【0037】
また、信号処理部2165は、他の無線AP21から送信されてくる各種パケット(図8等参照)の受信処理を行ってもよい。
【0038】
尚、第1実施形態では、ある無線AP21(例えば、山間部の山麓付近に設置される無線AP21a)が、他の無線AP21(例えば、山間部の山頂付近又は峠道の途中付近に設定される無線AP21b及び無線AP21cの少なくとも一方)が備えるセンサ2164の測定結果情報を収集すると共に、当該測定結果情報をブロードキャストする態様が、利用態様の一例として想定される。このため、このような態様では、ブロードキャストする側の無線AP21(例えば、山間部の山麓付近に設置される無線AP21a)は、センサ2164を備えていなくともよい。一方で、ブロードキャストする側でない無線AP21(例えば、山間部の山頂付近又は峠道の途中付近に設置される無線AP21b及び無線AP21cの少なくとも一方)は、ブロードキャスト情報生成部2162を備えていなくともよい。
【0039】
図3に示すように、無線AP21は、ハードウェア構成の観点からみると、FPGA(Field Programmable Gate Array)271と、DSP(Digital Signal Processor)272と、L2SW(Layer 2 Switch)273と、CPU(Central Processing Unit)274と、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)275と、RF(Radio Frequency)回路276と、アンテナ211とを備えている。FPGA271は、書き換え可能な論理回路を含む集積処理回路であり、無線AP21の仕様に応じた処理を行うように論理回路の定義付けないしは設計がなされている。DSP272は、デジタル信号に関連する各種処理を行う。L2SW273は、FPGA271、DSP272、CPU273及びRF回路276の間の信号の伝送を制御する。CPU274は、所定のファームウェア等に基づいて動作する制御回路であって、無線AP21全体の動作を制御する。SDRAM275は、無線AP21内部で使用するデータを一時的に格納したり、無線AP21としての動作を行うためのプログラム(即ち、ファームウェア)を格納する。RF回路276は、無線送受信処理(例えば、増幅処理等)を行う。FPGA271及びDSP272は、上述した変復調部213、符号化部214及び復号部215に対応している。CPU274は、上述した制御回路216に対応している。SDRAM275は、上述したメモリ部2163に対応している。RF回路267は、上述したRF部212に対応している。
【0040】
(1−3)移動端末の構成
図4及び図5を参照して、第1実施形態の移動端末30の構成について説明する。図4は、移動端末30の機能ブロックを示すブロック図である。図5は、移動端末30のハードウェアブロックの一例を示すブロック図である。
【0041】
図4に示すように、第1実施形態の移動端末30は、アンテナ311と、RF(Radio Frequency)部312と、変復調部313と、符号化部314と、復号部315と、メモリ部316と、制御部317と、ユーザデータ処理部318とを備える。
【0042】
アンテナ311は、無線AP21又は無線基地局に対して送信されるデータに応じた無線信号(無線電波)を、無線AP21又は無線基地局に対して出力する。アンテナ311は、無線AP21又は無線基地局から出力されている無線信号(つまり、無線AP21又は無線基地局から送信されるデータに応じた無線信号)を受信する。
【0043】
RF部312は、アンテナ311が受信した無線信号に対して無線受信処理(例えば、増幅処理等)を行うことで受信データを生成する。RF部312は、生成した受信データを変復調部313へと出力する。一方で、RF部312は、変復調部313から出力される送信データに対して無線送信処理(例えば、増幅処理)を施すことで無線信号を生成する。RF部312は、生成した無線信号をアンテナ311へと出力する。
【0044】
変復調部313は、RF部312から出力される受信データに対して復調処理を行う。変復調部313は、復調した受信データが無線基地局から送信されてきた受信データである場合には、復調した受信データを復号部315へと出力する。他方で、変復調部313は、復調した受信データが無線AP21から送信されてきた受信データ(例えば、後述の図8等に示す各種パケット)である場合には、復調した受信データをメモリ部316へと出力する。
【0045】
一方で、変復調部313は、符号化部314から出力される送信データに対して変調処理を行う。変復調部313は、変調した送信データをRF部312へと出力する。また、変復調部313は、メモリ部316に格納されている各種情報(例えば、後述の図8等に示す各種パケット)に対して変調処理を行う。変復調部313は、変調した各種情報(つまり、送信データ)をRF部312へと出力する。
【0046】
符号化部314は、ユーザデータ処理部318から出力される送信データに対して符号化処理を行う。符号化部314は、符号化した送信データを変復調部313へと出力する。
【0047】
復号部315は、変復調部313から出力される受信データに対して復号化処理を行う。復号部315は、復号化した受信データをユーザデータ処理部318へと出力する。
【0048】
メモリ部316は、無線AP21と移動端末30との間の無線通信で送受信される各種情報(例えば、後述の図8等に示す各種パケット)を一時的に格納する。
【0049】
制御部317は、無線AP21と移動端末30との間の無線通信を制御する。制御部317は、無線AP21から各種情報(例えば、後述の図8等に示す各種パケット)が送信されてくる場合には、当該各種情報をメモリ部316に一時的に格納するようにメモリ部316を制御する。制御部317は、無線AP21に対してメモリ部316に格納されている各種情報を送信する場合には、メモリ部316から各種情報を読み出すタイミングを変復調部313に指示する。その結果、変復調部313は、制御部317の指示に応じたタイミングでメモリ部316に格納されている各種情報を読出し且つ変調する。
【0050】
尚、第1実施形態では、移動端末30は、ある無線AP21から送信される情報を一時的に格納すると共に、当該情報を他の無線AP21に対して送信する機能を有している。例えば、移動端末30は、カバーエリア29a内に位置する場合には、カバーエリア29aをカバーする無線AP21aから送信される情報を受信すると共に当該受信した情報をメモリ部316に一時的に格納する。その後、移動端末30がカバーエリア29aからカバーエリア29b内に移動した場合には、移動端末30は、カバーエリア29bをカバーする無線AP21bに対して、メモリ部316に一時的に格納されている情報を送信する。その結果、無線AP21aから無線AP21bに対して、移動端末30を介して情報が送信される。このような機能が、上述したメモリ部316及び制御部317によって実現されている。
【0051】
ユーザデータ処理部318は、無線基地局から受信した受信データに対して、所定のデータ処理(例えば、MAC(Medium Access Control)処理やRRC(Radio Resource Control)処理やPDCP(Packet Data Convergence Protocol)処理等)を行う。同様に、ユーザデータ処理部318は、無線基地局に対して送信するべき送信データに対して所定のデータ処理を行う。つまり、ユーザデータ処理部318は、無線基地局と移動端末30との間の無線通信で送受信される各種情報(例えば、ユーザデータ等)に対するデータ処理を行う。
【0052】
図5に示すように、移動端末30は、ハードウェア構成の観点からみると、FPGA(Field Programmable Gate Array)371と、DSP(Digital Signal Processor)372と、L2SW(Layer 2 Switch)373と、CPU(Central Processing Unit)374と、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)375と、RF(Radio Frequency)回路376と、アンテナ311とを備えている。FPGA371は、書き換え可能な論理回路を含む集積処理回路であり、移動端末30の仕様に応じた処理を行うように論理回路の定義付けないしは設計がなされている。DSP372は、デジタル信号に関連する各種処理を行う。L2SW373は、FPGA371、DSP372、CPU373及びRF回路376の間の信号の伝送を制御する。CPU374は、所定のファームウェア等に基づいて動作する制御回路であって、移動端末30全体の動作を制御する。SDRAM375は、移動端末30内部で使用するデータを一時的に格納したり、移動端末30としての動作を行うためのプログラム(即ち、ファームウェア)を格納する。RF回路376は、無線送受信処理(例えば、増幅処理等)を行う。FPGA371及びDSP372は、上述した変復調部313、符号化部314、復号部315及びユーザデータ処理部318に対応している。CPU374は、上述した制御回路317に対応している。SDRAM375は、上述したメモリ部316に対応している。RF回路367は、上述したRF部312に対応している。
【0053】
尚、図5に示す例では、無線AP21と移動端末30との間の無線通信及び無線基地局と移動端末30との間の無線通信は共に、共通する1つのアンテナ311、1つのRF部312及び1つの変復調部313によって行われている。しかしながら、無線AP21と移動端末30との間の無線通信を行うアンテナ311、RF部312及び変復調部313と、無線基地局と移動端末30との間の無線通信を行うアンテナ311、RF部312及び変復調部313とを別々に用意してもよい。このような構成について、図6を参照して説明する。図6は、第1実施形態の移動端末30の変形例の機能ブロックを示すブロック図である。
【0054】
図6に示すように、第1実施形態の移動端末30の変形例は、無線AP21と移動端末30との間の無線通信を行うためのアンテナ311_1、RF部312_1及び変復調部313_1と、無線基地局と移動端末30との間の無線通信を行うためのアンテナ311_2、RF部312_2及び変復調部313_2とを別々に備えている。第1実施形態の移動端末30の変形例は、メモリ部316及び制御部317を、無線AP21と移動端末30との間の無線通信を行うためのアンテナ311_1、RF部312_1及び変復調部313_1が備えられる側に一つずつ備えている。一方で、第1実施形態の移動端末30の変形例は、符号化部314、復号部315及びユーザデータ処理部318を、無線基地局と移動端末30との間の無線通信を行うためのアンテナ311_2、RF部312_2及び変復調部313_2が備えられる側に一つずつ備えている。
【0055】
(1−4)無線通信システムの動作
図7及び図8を参照して、第1実施形態の無線通信システム1の動作について説明する。図7は、第1実施形態の無線通信システム1の動作の流れの一例を示すシーケンス図である。図8は、第1実施形態の無線通信システム1の動作で用いられる各種情報(各種パケット及び周辺AP情報)を示すデータ構造図である。
【0056】
第1実施形態の無線通信システム1では、ある無線AP21(例えば、山間部の山麓付近に設置される無線AP21a)が、他の無線AP21(例えば、山間部の山頂付近又は峠道の途中付近に設置される無線AP21b及び無線AP21cの少なくとも一方)が備えるセンサ2164の測定結果情報を収集すると共に、当該測定結果情報をブロードキャストする態様が、利用態様の一例として想定される。以下では、無線AP21aが、山間部の山麓付近に設置され、無線AP21bが山間部の山頂付近に設置され、且つ無線AP21cが峠道の途中付近に設置される例について説明を進める。尚、無線AP21aは、山間部の山麓付近をカバーしていればよく、山間部の山頂付近又は峠道の途中付近をカバーしていなくともよい。つまり、無線AP21aのカバーエリア29aは、無線AP21bのカバーエリア29bや無線AP21cのカバーエリア29cと重複していなくともよい。
【0057】
また、以下の説明では、無線AP21b及び無線AP21cの夫々が備えるセンサ2164が検出した気象情報を無線AP21aが収集すると共に、当該収集した気象情報を無線AP21aが自身のカバーエリア29aにブロードキャストする例について説明を進める。
【0058】
図7に示すように、無線AP21aは、無線AP21aの存在を、他の無線AP21b及び無線AP21cに認識させるための処理を行う(ステップS101、ステップS201及びステップS301からステップS302)。加えて、無線AP21aは、他の無線AP21b及び無線AP21cを認識するための処理を行う(ステップS102からステップS103、ステップS202及びステップS303)。以上の処理は、定期的に行われてもよいし、不定期的に行われてもよい。
【0059】
無線AP21aが無線AP21a自身の存在を他の無線AP21bに認識させるための処理は、以下のように行われる。無線AP21aが備えるパケット生成部2161は、無線AP21a自身の情報を他の無線AP21bに対して通知するための自局データ通知パケットを生成する(ステップS101)。無線AP21aが備えるパケット生成部2161は、生成した自局データ通知パケットを、無線AP21aがカバーするカバーエリア29a内に位置する移動端末30に対して送信する(ステップS101)。
【0060】
自局データ通知パケットは、図8(a)に示すように、パケットそのものを識別するためのパケットIDフィールドと、パケットの種類を識別するためのパケット種類フィールドと、パケットの通知元(送信元)となる無線AP21を示す通知元AP_IDフィールドと、パケットの通知先(送信先)となる無線AP21を示す通知先AP_IDフィールドと、無線AP21a自身の情報を格納するペイロードフィールドとを備えている。図8(a)に示す例では、パケットIDフィールドに「0」が格納されている。図8(a)に示す例では、パケット種類フィールドに、当該パケットの種類が自局データ通知パケットであることを示す識別番号「#0」が格納されている。図8(a)に示す例では、通知元AP_IDフィールドに、自局データ通知パケットの通知元となる無線AP21aのAP_IDが格納されている。図8(a)に示す例では、通知先AP_IDフィールドに、自局データ通知パケットの通知先として全ての無線AP21を指定する「all」が格納されている。図8(a)に示す例では、ペイロードフィールドには、無線AP21a自身の情報として、無線AP21aのAP_ID(装置ID)や、無線AP21aが設置されている場所(例えば、山麓)を示す位置情報や、無線AP21aが備えているセンサ2164によって測定可能な情報(例えば、積雪量や、温度や、風速等の情報)を示すセンサ情報が格納されている。
【0061】
再び図7において、その後、無線AP21aがカバーするカバーエリア29a内に位置する移動端末30は、無線AP21aから送信される自局データ通知パケットを受信する。移動端末30が備える制御部317は、受信した自局データ通知パケットをメモリ部316に一時的に格納する。その後、他の無線AP21bがカバーするカバーエリア29b内に移動端末30が移動した後に、移動端末30が備える制御部317は、メモリ部316に格納された自局データ通知パケットを読出し且つ送信するように変復調部313を制御する。その結果、移動端末30は、無線AP21aから送信された自局データ通知パケットを、他の無線AP21bに対して転送することができる(ステップS201)。
【0062】
以上の説明で分かるとおり、第1実施形態では、ある無線AP21(無線AP21a)と他の無線AP21(無線AP21b及び無線AP21c)との間のデータ(パケット)の送受信は、間に移動端末30を介在させて行われる。つまり、第1実施形態では、ある無線AP21と他の無線AP21との間のデータ(パケット)の送受信は、ある無線AP21と他の無線AP21との間の直接的な無線通信に代えて、間に移動端末30を介在させた無線通信によって行われる。尚、ある無線AP21と他の無線AP21との間のデータの送受信が移動端末30を介在させて行われる構成は、後の説明においても同様である。
【0063】
その後、無線AP21bが備える信号処理部2165は、移動端末30から送信される(言い換えれば、転送される)自局データ通知パケットを受信する(ステップS301)。無線AP21bが備える信号処理部2165は、受信した自局データ通知パケットの通知先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP21bのAP_IDと一致する場合には、受信した自局データ通知パケットのペイロードフィールドを参照することで、無線AP21aの存在を認識する(ステップS302)。他方で、無線AP21bが備える信号処理部2165は、受信した自局データ通知パケットの通知先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP21bのAP_IDと一致しない場合には、受信した自局データ通知パケットを破棄してもよい。
【0064】
尚、上述の説明は、無線AP21aが無線AP21a自身の存在を他の無線AP21bに認識させるための処理についての説明である。しかしながら、無線AP21aが無線AP21a自身の存在を他の無線AP21cに認識させるための処理も同様の態様で行われてもよい。或いは、無線AP21bが無線AP21b自身の存在を他の無線AP21a又は無線AP21cに認識させるための処理も同様の態様で行われてもよい。或いは、無線AP21cが無線AP21c自身の存在を他の無線AP21a又は無線AP21bに認識させるための処理も同様の態様で行われてもよい。
【0065】
一方で、無線AP21aが他の無線AP21bを認識するための処理は、以下のように行われる。無線AP21bが備えるパケット生成部2161は、無線AP21b自身の情報を他の無線AP21aに対して通知するための自局データ通知パケットを生成する(ステップS303)。無線AP21bが備えるパケット生成部2161は、生成した自局データ通知パケットを、無線AP21bがカバーするカバーエリア29b内に位置する移動端末30に対して送信する(ステップS303)。
【0066】
その後、移動端末30は、無線AP21bから送信される自局データ通知パケットを、無線AP21aに対して転送する(ステップS202)。この転送の態様は、上述したステップS201における転送の態様と同様であってもよい。
【0067】
その後、無線AP21aが備える信号処理部2165は、移動端末30から送信される(言い換えれば、転送される)自局データ通知パケットを受信する(ステップS102)。無線AP21aが備える信号処理部2165は、受信した自局データ通知パケットのペイロードフィールドを参照することで、無線AP21bの存在を認識する(ステップS103)。尚、ステップS103における無線AP21bの存在を認識する動作は、ステップS302における無線AP21aの存在を認識する動作と同様である。
【0068】
尚、上述の説明は、無線AP21aが他の無線AP21bを認識するための処理についての説明である。しかしながら、無線AP21aが他の無線AP21cを認識するための処理も同様の態様で行われてもよい。或いは、無線AP21bが他の無線AP21a又は無線AP21cを認識するための処理も同様の態様で行われてもよい。或いは、無線AP21cが他の無線AP21a又は無線AP21bを認識するための処理も同様の態様で行われてもよい。
【0069】
以上の処理の結果、ある無線AP21によって認識された他の無線AP21の情報は、周辺AP情報として無線AP21が備えるメモリ部2163内で管理される。周辺AP情報は、図8(b)に示すように、他の無線AP21のAP_IDを示すAP_IDフィールドと、他の無線AP21が設置されている場所を示す設置場所フィールドと、他の無線AP21が備えるセンサ2164によって測定可能な情報を示すセンサ情報フィールドとを備えている。尚、図8(b)は、無線AP21aが備えるメモリ部2163に格納される周辺AP情報を一例として示している。図8(b)に示す例では、無線AP21bの情報として、AP_IDフィールドに「無線AP21bのAP_ID」が格納され、設置場所フィールドに「峠(山頂)」が格納され且つセンサ情報フィールドに「積雪量、温度及び風速」が格納されたレコードが含まれている。図8(b)に示す例では、無線AP21cの情報として、AP_IDフィールドに「無線AP21cのAP_ID」が格納され、設置場所フィールドに「峠(峠道の途中)」が格納され且つセンサ情報フィールドに「積雪量、温度及び風速」が格納されたレコードが含まれている。
【0070】
尚、周辺AP情報は、他の無線AP21の情報のみならず、無線AP21自身の情報を含んでいてもよい。図8(b)に示す例では、無線AP21自身の情報(つまり、無線AP21aの情報)として、AP_IDフィールドに「無線AP21aのAP_ID」が格納され、設置場所フィールドに「山麓」が格納され且つセンサ情報フィールドに「積雪量、温度及び風速」が格納されたレコードが含まれている。
【0071】
再び図7において、続いて、無線AP21aは、無線AP21aが行うブロードキャストの対象となる元情報(例えば、センサ2164の測定結果情報)が無線AP21aに転送されるように、他の無線AP21bに当該元情報の送信を要求する処理を行う(ステップS104からステップS105、ステップS204からステップS205及びステップS304からステップS305)。
【0072】
具体的には、無線AP21aが備えるパケット生成部2161は、無線AP21aに対する元情報の送信を他の無線AP21bに要求するための情報取得要求パケットを生成する(ステップS104)。無線AP21aが備えるパケット生成部2161は、生成した情報取得要求パケットを、無線AP21aがカバーするカバーエリア29a内に位置する移動端末30に対して送信する(ステップS104)。
【0073】
情報取得要求パケットは、図8(c)に示すように、パケットIDフィールドと、パケット種類フィールドと、パケットの要求元(送信元)となる無線AP21を示す要求元AP_IDフィールドと、パケットの要求先(送信先)となる無線AP21を示す要求先AP_IDフィールドと、送信を要求する元情報の種別を特定するための情報を示すペイロードフィールドとを備えている。図8(c)に示す例では、パケットIDフィールドに「1」が格納されている。図8(c)に示す例では、パケット種類フィールドに、当該パケットの種類が情報取得要求パケットであることを示す識別番号「#1」が格納されている。図8(c)に示す例では、要求元AP_IDフィールドに、情報取得要求パケットの要求元となる無線AP21aのAP_IDが格納されている。図8(c)に示す例では、要求先AP_IDフィールドに、情報取得要求パケットの要求先となる無線AP21bのAP_IDが格納されている。図8(c)に示す例では、ペイロードフィールドには、「積雪量」及び「温度」が、送信を要求する元情報の種別として格納されている。尚、ペイロードフィールドには、要求先の無線AP21bが「積雪量」及び「温度」を送信する間隔を示す「通知間隔」が格納されていてもよい。
【0074】
無線AP21aが備えるパケット生成部2161は、周辺AP情報を参照することで、いずれの種別の元情報をいずれの無線AP21に対して要求するかを決定すると共に、当該決定内容に基づいて情報取得要求パケットを生成することが好ましい。
【0075】
再び図7において、その後、移動端末30は、無線AP21aから送信される情報取得要求パケットを、他の無線AP21bに対して転送する(ステップS204)。この転送の態様は、上述したステップS201からステップS202における転送の態様と同様であってもよい。
【0076】
その後、無線AP21bが備える信号処理部2165は、移動端末30から送信される(言い換えれば、転送される)情報取得要求パケットを受信する(ステップS304)。無線AP21bが備える信号処理部2165は、受信した情報取得要求パケットの要求先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP21bのAP_IDと一致しない場合には、受信した情報取得要求パケットを破棄してもよい。他方で、無線AP21bが備える信号処理部2165は、受信した情報取得要求パケットの要求先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP21bのAP_IDと一致する場合には、応答メッセージとしての情報取得応答パケットを生成するように、無線AP21bが備えるパケット生成部2161を制御する。その結果、無線AP21bが備えるパケット生成部2161は、情報取得応答パケットを生成する(ステップS305)。その後、無線AP21bが備えるパケット生成部2161は、生成した情報取得応答パケットを、無線AP21bがカバーするカバーエリア29b内に位置する移動端末30に対して送信する(ステップS305)。
【0077】
情報取得応答パケットは、図8(d)に示すように、パケットIDフィールドと、パケット種類フィールドと、パケットの応答元(送信元)となる無線AP21を示す応答元AP_IDフィールドと、パケットの応答先(送信先)となる無線AP21を示す応答先AP_IDフィールドと、応答する情報取得要求パケットを一意に特定するための識別子を示すペイロードフィールドとを備えている。図8(d)に示す例では、パケットIDフィールドに「2」が格納されている。図8(d)に示す例では、パケット種類フィールドに、当該パケットの種類が情報取得応答パケットであることを示す識別番号「#2」が格納されている。図8(d)に示す例では、応答元AP_IDフィールドに、情報取得応答パケットの応答元となる無線AP21bのAP_IDが格納されている。図8(d)に示す例では、応答先AP_IDフィールドに、情報取得応答パケットの応答先となる無線AP21aのAP_IDが格納されている。図8(d)に示す例では、ペイロードフィールドには、応答する情報取得要求パケットを一意に特定することができる識別子(例えば、受信した情報取得要求パケットに含まれるパケットID等)が格納されている。
【0078】
再び図7において、その後、移動端末30は、無線AP21bから送信される情報取得応答パケットを、無線AP21aに対して転送する(ステップS205)。この転送の態様は、上述したステップS201からステップS204における転送の態様と同様であってもよい。
【0079】
その後、無線AP21aが備える信号処理部2165は、移動端末30から送信される(言い換えれば、転送される)情報取得応答パケットを受信する(ステップS105)。無線AP21aが備える信号処理部2165は、受信した情報取得応答パケットの応答先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP21aのAP_IDと一致しない場合には、受信した情報取得応答パケットを破棄してもよい。この場合、無線AP21aが備えるパケット生成部2161は、所定時間経過後に再度情報取得要求パケットを送信することが好ましい。他方で、無線AP21aが備える信号処理部2165は、受信した情報取得応答パケットの応答先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP21aのAP_IDと一致する場合には、受信した情報取得応答パケットのペイロードフィールドを参照することで、受信した情報取得応答パケットがステップS104で送信した情報取得要求パケットに対する応答メッセージであるか否かを判定する。無線AP21aが備えるパケット生成部2161は、受信した情報取得応答パケットがステップS104で送信した情報取得要求パケットに対する応答メッセージでない場合は、所定時間経過後に再度情報取得要求パケットを送信することが好ましい。加えて、AP21aが備えるパケット生成部2161は、情報取得応答パケットそのものを受信していない場合にも、所定時間経過後に再度情報取得要求パケットを送信することが好ましい。
【0080】
尚、上述の説明は、無線AP21aが、元情報の送信を他の無線AP21bに要求する処理についての説明である。しかしながら、無線AP21aが、元情報の送信を他の無線AP21cに要求する処理も同様の態様で行われてもよい。
【0081】
受信した情報取得応答パケットがステップS104で送信した情報取得要求パケットに対する応答メッセージである場合には、無線AP21aは、他の無線AP21bから元情報を収集する(つまり、受信する)処理を行う(ステップS106からステップS107、ステップS206及びステップS306)。
【0082】
具体的には、無線AP21bが備える信号処理部2165は、ステップS304で受信した情報取得要求パケットの要求先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP21bのAP_IDと一致する場合には、情報通知パケットの生成及び送信を行うように、無線AP21bが備えるパケット生成部2161を制御する。このとき、無線AP21bが備える信号処理部2165は、ステップS304で受信した情報取得要求パケットのペイロードフィールドに格納されている、送信を要求する元情報の種別や通知間隔等をパケット生成部2161に対して通知することが好ましい。その結果、無線AP21bが備えるパケット生成部2161は、送信が要求されている種別の元情報を含む情報通知パケットを生成する(ステップS306)。その後、無線AP21bが備えるパケット生成部2161は、生成した情報通知パケットを、無線AP21bがカバーするカバーエリア29b内に位置する移動端末30に対して送信する(ステップS306)。尚、情報通知パケットの生成及び送信は、ステップS304で受信した情報取得要求パケットのペイロードフィールドに格納されている通知間隔に同期したタイミングで行われることが好ましい。
【0083】
情報通知パケットは、図8(e)に示すように、パケットIDフィールドと、パケット種類フィールドと、パケットの通知元(送信元)となる無線AP21を示す通知元AP_IDフィールドと、パケットの通知先(送信先)となる無線AP21を示す通知先AP_IDフィールドと、送信する元情報を含むペイロードフィールドとを備えている。図8(e)に示す例では、パケットIDフィールドに「3」が格納されている。図8(e)に示す例では、パケット種類フィールドに、当該パケットの種類が情報通知パケットであることを示す識別番号「#3」が格納されている。図8(e)に示す例では、通知元AP_IDフィールドに、情報通知パケットの通知元となる無線AP21bのAP_IDが格納されている。図8(e)に示す例では、通知先AP_IDフィールドに、情報通知パケットの通知先となる無線AP21aのAP_IDが格納されている。ペイロードフィールドには、送信する元情報として、「積雪量(cm)」を示す情報や「温度(℃)」を示す情報が格納されている。
【0084】
再び図7において、その後、移動端末30は、無線AP21bから送信される情報通知パケットを、無線AP21aに対して転送する(ステップS206)。この転送の態様は、上述したステップS201からステップS205における転送の態様と同様であってもよい。
【0085】
その後、無線AP21aが備える信号処理部2165は、移動端末30から送信される(言い換えれば、転送される)情報通知パケットを受信する(ステップS106)。無線AP21aが備える信号処理部2165は、受信した情報通知パケットの通知先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP21aのAP_IDと一致しない場合には、受信した情報通知パケットを破棄してもよい。他方で、無線AP21aが備える信号処理部2165は、受信した情報通知パケットの通知先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP21aのAP_IDと一致する場合には、受信した情報通知パケットのペイロードフィールドを参照することで、元情報を取得する。その後、無線AP21aが備える信号処理部2165は、取得した元情報を、ブロードキャストするためのフォーマットを有するブロードキャスト情報に変換する(ステップS107)。その後、無線AP21aが備える信号処理部2165は、変換によって生成されたブロードキャスト情報をメモリ部2163に格納する(ステップS107)。
【0086】
尚、上述の説明は、無線AP21aが、他の無線AP21bから元情報を収集する(つまり、受信する)処理についての説明である。しかしながら、無線AP21aが、他の無線AP21cから元情報を収集する(つまり、受信する)処理も同様の態様で行われてもよい。
【0087】
続いて、無線AP21aは、他の無線AP21bからの元情報の収集動作を終了する処理を行う(ステップS108からステップS109、ステップS208からステップS209及びステップS308からステップS309)。
【0088】
具体的には、無線AP21aが備えるパケット生成部2161は、他の無線AP21bからの元情報の収集動作の終了を当該他の無線APbに要求するための情報終了要求パケットを生成する(ステップS108)。無線AP21aが備えるパケット生成部2161は、生成した情報終了要求パケットを、無線AP21aがカバーするカバーエリア29a内に位置する移動端末30に対して送信する(ステップS108)。
【0089】
情報終了要求パケットは、図8(f)に示すように、パケットIDフィールドと、パケット種類フィールドと、パケットの要求元(送信元)となる無線AP21を示す要求元AP_IDフィールドと、パケットの要求先(送信先)となる無線AP21を示す要求先AP_IDフィールドと、ペイロードフィールドとを備えている。図8(f)に示す例では、パケットIDフィールドに「4」が格納されている。図8(f)に示す例では、パケット種類フィールドに、当該パケットの種類が情報終了要求パケットであることを示す識別番号「#4」が格納されている。図8(f)に示す例では、要求元AP_IDフィールドに、情報終了要求パケットの要求元となる無線AP21aのAP_IDが格納されている。図8(f)に示す例では、要求先AP_IDフィールドに、情報終了要求パケットの要求先となる無線AP21bのAP_IDが格納されている。ペイロードフィールドには、任意の情報が格納されていてもよいし、情報が格納されていなくてもよい。
【0090】
再び図7において、その後、移動端末30は、無線AP21aから送信される情報終了要求パケットを、他の無線AP21bに対して転送する(ステップS208)。この転送の態様は、上述したステップS201からステップS206における転送の態様と同様であってもよい。
【0091】
その後、無線AP21bが備える信号処理部2165は、移動端末30から送信される(言い換えれば、転送される)情報終了要求パケットを受信する(ステップS308)。無線AP21bが備える信号処理部2165は、受信した情報終了要求パケットの要求先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP21bのAP_IDと一致しない場合には、受信した情報終了要求パケットを破棄してもよい。他方で、無線AP21bが備える信号処理部2165は、受信した情報終了要求パケットの要求先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP21bのAP_IDと一致する場合には、応答メッセージとしての情報終了応答パケットを生成するように、無線AP21bが備えるパケット生成部2161を制御する。その結果、無線AP21bが備えるパケット生成部2161は、情報終了応答パケットを生成する(ステップS309)。その後、無線AP21bが備えるパケット生成部2161は、生成した情報終了応答パケットを、無線AP21bがカバーするカバーエリア29b内に位置する移動端末30に対して送信する(ステップS309)。
【0092】
情報終了応答パケットは、図8(g)に示すように、パケットIDフィールドと、パケット種類フィールドと、パケットの応答元(送信元)となる無線AP21を示す応答元AP_IDフィールドと、パケットの応答先(送信先)となる無線AP21を示す応答先AP_IDフィールドと、応答する情報終了要求パケットを一意に特定するための識別子を示すペイロードフィールドとを備えている。図8(g)に示す例では、パケットIDフィールドに「5」が格納されている。図8(g)に示す例では、パケット種類フィールドに、当該パケットの種類が情報終了応答パケットであることを示す識別番号「#5」が格納されている。図8(g)に示す例では、応答元AP_IDフィールドに、情報終了応答パケットの応答元となる無線AP21bのAP_IDが格納されている。図8(g)に示す例では、応答先AP_IDフィールドに、情報終了応答パケットの応答先となる無線AP21aのAP_IDが格納されている。図8(g)に示す例では、ペイロードフィールドには、応答する情報終了要求パケットを一意に特定することができる識別子(例えば、受信した情報終了要求パケットに含まれるパケットID等)が格納されている。
【0093】
再び図7において、その後、移動端末30は、無線AP21bから送信される情報終了応答パケットを、無線AP21aに対して転送する(ステップS209)。この転送の態様は、上述したステップS201からステップS208における転送の態様と同様であってもよい。
【0094】
その後、無線AP21aが備える信号処理部2165は、移動端末30から送信される(言い換えれば、転送される)情報終了応答パケットを受信する(ステップS109)。無線AP21aが備える信号処理部2165は、受信した情報終了応答パケットの応答先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP21aのAP_IDと一致しない場合には、受信した情報終了応答パケットを破棄してもよい。他方で、無線AP21aが備える信号処理部2165は、受信した情報終了応答パケットの応答先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP21aのAP_IDと一致する場合には、元情報の収集の終了が完了したと認識する。
【0095】
尚、上述の説明は、無線AP21aが他の無線AP21bからの元情報の収集動作を終了する処理についての説明である。しかしながら、無線AP21aが他の無線AP21cからの元情報の収集動作を終了する処理も同様の態様で行われてもよい。
【0096】
続いて、無線AP21aが備えるブロードキャスト情報生成部2162は、収集した元情報から生成されたブロードキャスト情報をブロードキャストする(ステップS110)。具体的には、無線AP21aが備えるブロードキャスト情報生成部2162は、メモリ部2163に格納されているブロードキャスト情報の一部又は全部を抽出する。その後、無線AP21aが備えるブロードキャスト情報生成部2162は、抽出したブロードキャスト情報を、無線AP21aがカバーするカバーエリア29aにブロードキャストする。その結果、無線AP21aがカバーするカバーエリア29a内に位置する移動端末30は、ブロードキャスト情報を受信する(ステップS210)。
【0097】
尚、図7に示すステップS201からステップS210の各ステップは、同一の移動端末30によって行われてもよいし、夫々異なる移動端末30によって行われてもよい。実際の移動端末30の移動状況(移動傾向)を考慮すれば、各ステップの動作は、異なる移動端末30によって行われることが多いと想定される。
【0098】
また、上述した説明では、1つの無線AP21(無線AP21a)が複数の無線AP21(無線AP21b及び無線AP21c)から収集した情報をブロードキャストする例について説明している。しかしながら、1つの無線AP21が1つの無線AP21から収集した情報をブロードキャストしてもよい。或いは、複数の無線AP21の夫々が1つ又は複数の無線AP21から収集した情報をブロードキャストしてもよい。
【0099】
以上説明したように、第1実施形態によれば、無線AP21aは、無線AP21b及び無線AP21cから送信される元情報(例えば、センサ2164が検出した、積雪量や温度や風速等の測定結果情報)を、移動端末30を介して無線通信で収集することができる。加えて、無線AP21aは、収集した元情報をブロードキャスト用のフォーマットを有するブロードキャスト情報に変換すると共に、当該変換したブロードキャスト情報をブロードキャストすることができる。このため、移動端末30は、山間部の山麓付近で(つまり、無線AP21aのカバーエリア29a内にいる時点で)、無線AP21bや無線AP21cが設置されている山頂付近又は峠道の途中付近の気象情報を好適に取得することができる。言い換えれば、移動端末30は、山間部の山頂付近又は峠道の途中付近に到達する前に(つまり、無線AP21bのカバーエリア29bや無線AP21cのカバーエリア29cに到達する前の時点で)、無線AP21bや無線AP21cが設置されている山頂付近又は峠道の途中付近の気象情報を好適に取得することができる。
【0100】
第1実施形態によれば、無線AP21aと無線AP21bとの間又は無線AP21aと無線AP21cとの間を接続する有線の専用線を敷設しなくとも、無線AP21aは、無線AP21b及び無線AP21cから送信される元情報を収集することができる。このため、上記無線通信システム1を導入するコストを低減することができる。
【0101】
第1実施形態によれば、無線AP21は、自局と直接通信できない他の無線APが有する所望の情報を、移動端末を介して要求し取得することができる。そして、無線AP21は、取得した当該他の無線APからの情報を自局のカバーエリアにブロードキャストすることができる。また、送信電力が相対的に小さい無線AP21を用いることにより、局所的なエリアに対して局所的な情報(局所的なブロードキャスト情報)を好適にブロードキャストすることができる。
【0102】
尚、上述した先行技術文献に開示されている技術は、送信電力が相対的に大きい無線基地局のみを対象としている点で、第1実施形態の無線AP21とは異なる。加えて、上述した先行技術文献に開示されている技術は、無線基地局間の有線通信ができない場合に、移動端末を介してある無線基地局から他の無線基地局へと情報をそのまま転送している。しかしながら、上述した先行技術文献に開示されている技術は、無線基地局間での単なる情報の転送に過ぎず(つまり、転送した情報に何らかのデータ処理を施すことはない)、転送した情報をブロードキャストすることは技術的に困難である。加えて、上述した先行技術文献に開示されている技術は、1:1の無線基地局間での単なる情報の転送に過ぎず(つまり、多:1、1対多又は多:多の無線基地局間での転送は考慮していない)、複数の無線AP21から収集した情報をブロードキャスト用にデータ処理すると共にブロードキャストすることは技術的に困難である。この点でも、上述した先行技術文献と第1実施形態の無線AP21とは異なる。
【0103】
さらに、第1実施形態によれば、情報送信元の無線AP21は転送を担う移動端末30を識別しなくてもよく、無線AP21のカバーエリア29に存在する任意の移動端末30を情報の転送媒体とすることが可能である。また、当該移動端末30は情報送信元及び情報転送先の無線AP21を識別する処理をせずに情報転送することが可能である。
【0104】
(2)第2実施形態
図9から図13を参照して、第2実施形態の無線通信システム2について説明する。尚、第2実施形態の無線通信システム2では、第1実施形態の無線通信システム1と比較して、無線AP20の構成及び動作が異なっている。無線AP20の構成及び動作以外については、第2実施形態の無線通信システム2は、第1実施形態の無線通信システム1と同一であってもよいし異なっていてもよい。以下では、説明の簡略化のために、第1実施形態の無線通信システム1とは異なる第2実施形態の無線AP20の構成及び動作に着目して説明を進める。
【0105】
尚、以下では、第2実施形態の無線AP20を、第1及び第3実施形態の無線AP20と区別するために、“無線AP22”と表記する。
【0106】
(2−1)無線APの構成
図9を参照して、第2実施形態の無線AP22の構成について説明する。図9は、第2実施形態の無線AP22の機能ブロックを示すブロック図である。
【0107】
図9に示すように、第2実施形態の無線AP22は、第1実施形態の無線AP21と同様に、アンテナ211と、RF(Radio Frequency)部212と、変復調部213と、符号化部214と、復号部215と、制御部226とを備える。第2実施形態の制御部226は、第1実施形態の制御部216と同様に、パケット生成部2161と、ブロードキャスト情報生成部2162と、メモリ部2163と、信号処理部2165とを備える。
【0108】
第2実施形態の無線AP22は、センサ2164を備えておらず且つ情報入力部2266を備えているという点で第1実施形態の無線AP21とは異なる。
【0109】
情報入力部2266は、ブロードキャストに用いる情報(元情報であり、例えば後述の特売情報や混雑情報等)を無線AP22に入力する。情報入力部2266は、例えば、ユーザによって操作可能な各種入力装置(例えば、キーボードやマウス等)であってもよい。この場合、元情報は、ユーザによって入力される。或いは、情報入力部2266は、外部入力(例えば、ユーザの入力や、無線AP22の外部若しくは内部に備え付けられるセンサの検出結果等)に応じて元情報を適宜生成する演算装置であってもよい。
【0110】
(2−2)無線通信システムの動作
図10及び図11を参照して、第2実施形態の無線通信システム2の動作について説明する。図10は、第2実施形態の無線通信システム2の動作の流れの一例を示すシーケンス図である。図11は、第2実施形態の無線通信システム2の動作で用いられる各種情報(各種パケット)を示すデータ構造図である。
【0111】
第2実施形態の無線通信システム2では、ある無線AP22(例えば、大型商業施設の売場付近に設置される無線AP22a)が、他の無線AP22(例えば、大型商業施設の外部に設置される無線AP22b又は無線AP22c)に対して、ブロードキャストを行うように要求すると共にブロードキャストの対象となる元情報を送信する態様が、利用態様の一例として想定される。以下では、無線AP22aが、大型商業施設の売場付近に設置され、無線AP22bが大型商業施設の外部に設置される例について説明を進める。
【0112】
また、以下の説明では、無線AP22aが備える情報入力部2266によって入力された元情報(例えば、売場の特売品を示す特売情報や売場の混雑状況を示す混雑情報等)を無線AP22bに対して送信すると共に、無線AP22bが特売情報や混雑情報等をブロードキャストする例について説明を進める。
【0113】
尚、この利用態様では、ブロードキャストをする側の無線AP22(例えば、大型商業施設の外部に設置される無線AP22b)は、情報入力部2266を備えていなくともよい。一方で、ブロードキャストをする側でない無線AP22(例えば、大型商業施設の売場に設置される無線AP22a)は、ブロードキャスト情報生成部2162を備えていなくともよい。
【0114】
図10に示すように、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、無線AP22aは、無線AP22aの存在を、他の無線AP22bに認識させるための処理及び他の無線AP22b及び無線AP22cを認識するための処理を行う。
【0115】
その後、無線AP22aは、他の無線AP22bに対して、ブロードキャストを行うように要求する処理を行う(ステップS111からステップS112、ステップS211からステップS212及びステップS311からステップS312)。
【0116】
具体的には、無線AP22aが備えるパケット生成部2161は、ブロードキャストを行うように他の無線AP22bに要求するためのブロードキャスト要求パケットを生成する(ステップS111)。無線AP22aが備えるパケット生成部2161は、生成したブロードキャスト要求パケットを、無線AP22aがカバーするカバーエリア29a内に位置する移動端末30に対して送信する(ステップS111)。
【0117】
ブロードキャスト要求パケットは、図11(a)に示すように、パケットIDフィールドと、パケット種類フィールドと、パケットの要求元(送信元)となる無線AP22を示す要求元AP_IDフィールドと、パケットの要求先(送信先)となる無線AP22を示す要求先AP_IDフィールドと、ペイロードフィールドとを備えている。図11(a)に示す例では、パケットIDフィールドに「0」が格納されている。図11(a)に示す例では、パケット種類フィールドに、当該パケットの種類がブロードキャスト要求パケットであることを示す識別番号「#6」が格納されている。図11(a)に示す例では、要求元AP_IDフィールドに、ブロードキャスト要求パケットの要求元となる無線AP22aのAP_IDが格納されている。図11(a)に示す例では、要求先AP_IDフィールドに、ブロードキャスト要求パケットの要求先となる無線AP22bのAP_IDが格納されている。ペイロードフィールドには、任意の情報が格納されていてもよいし、情報が格納されていなくともよい。
【0118】
再び図10において、その後、移動端末30は、無線AP22aから送信されるブロードキャスト要求パケットを、他の無線AP22bに対して転送する(ステップS211)。この転送の態様は、上述したステップS201及びステップS209における転送の態様と同様であってもよい。
【0119】
その後、無線AP22bが備える信号処理部2165は、移動端末30から送信される(言い換えれば、転送される)ブロードキャスト要求パケットを受信する(ステップS311)。無線AP22bが備える信号処理部2165は、受信したブロードキャスト要求パケットの要求先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP22bのAP_IDと一致しない場合には、受信したブロードキャスト要求パケットを破棄してもよい。他方で、無線AP22bが備える信号処理部2165は、受信したブロードキャスト要求パケットの要求先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP22bのAP_IDと一致する場合には、応答メッセージとしてのブロードキャスト応答パケットを生成するように、無線AP22bが備えるパケット生成部2161を制御する。その結果、無線AP22bが備えるパケット生成部2161は、ブロードキャスト応答パケットを生成する(ステップS312)。その後、無線AP22bが備えるパケット生成部2161は、生成したブロードキャスト応答パケットを、無線AP22bがカバーするカバーエリア29b内に位置する移動端末30に対して送信する(ステップS312)。
【0120】
ブロードキャスト応答パケットは、図11(b)に示すように、パケットIDフィールドと、パケット種類フィールドと、パケットの応答元(送信元)となる無線AP22を示す応答元AP_IDフィールドと、パケットの応答先(送信先)となる無線AP22を示す応答先AP_IDフィールドと、応答するブロードキャスト要求パケットを一意に特定するための識別子を示すペイロードフィールドとを備えている。図11(b)に示す例では、パケットIDフィールドに「1」が格納されている。図11(b)に示す例では、パケット種類フィールドに、当該パケットの種類がブロードキャスト応答パケットであることを示す識別番号「#7」が格納されている。図11(b)に示す例では、応答元AP_IDフィールドに、ブロードキャスト応答パケットの応答元となる無線AP22bのAP_IDが格納されている。図11(b)に示す例では、応答先AP_IDフィールドに、ブロードキャスト応答パケットの応答先となる無線AP22aのAP_IDが格納されている。図11(b)に示す例では、ペイロードフィールドには、応答するブロードキャスト要求パケットを一意に特定することができる識別子(例えば、受信したブロードキャスト要求パケットに含まれるパケットID等)が格納されている。
【0121】
再び図10において、その後、移動端末30は、無線AP22bから送信されるブロードキャスト応答パケットを、無線AP22aに対して転送する(ステップS212)。この転送の態様は、上述したステップS201からステップS209及びステップS211における転送の態様と同様であってもよい。
【0122】
その後、無線AP22aが備える信号処理部2165は、移動端末30から送信される(言い換えれば、転送される)ブロードキャスト応答パケットを受信する(ステップS112)。無線AP22aが備える信号処理部2165は、受信したブロードキャスト応答パケットの応答先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP22aのAP_IDと一致しない場合には、受信したブロードキャスト応答パケットを破棄してもよい。この場合、無線AP22aが備えるパケット生成部2161は、所定時間経過後に再度ブロードキャスト要求パケットを送信することが好ましい。他方で、無線AP22aが備える信号処理部2165は、受信したブロードキャスト応答パケットの応答先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP22aのAP_IDと一致する場合には、受信したブロードキャスト応答パケットのペイロードフィールドを参照することで、受信したブロードキャスト応答パケットがステップS111で送信したブロードキャスト要求パケットに対する応答メッセージであるか否かを判定する。無線AP22aが備えるパケット生成部2161は、受信したブロードキャスト応答パケットがステップS111で送信したブロードキャスト要求パケットに対する応答メッセージでない場合は、所定時間経過後に再度ブロードキャスト要求パケットを送信することが好ましい。また、無線AP22aが備えるパケット生成部2161は、ブロードキャスト応答パケットそのものを受信していない場合にも、所定時間経過後に再度ブロードキャスト要求パケットを送信することが好ましい。
【0123】
受信したブロードキャスト応答パケットがステップS111で送信したブロードキャスト要求パケットに対する応答メッセージである場合には、無線AP22aは、ブロードキャストを希望する元情報(例えば、情報入力部2266によって入力される特売情報や混雑状況)のブロードキャストを、他の無線AP22bに対して行わせる処理を行う(ステップS113、ステップS213からステップS215及びステップS313からステップS315)。
【0124】
具体的には、無線AP22aが備えるパケット生成部2161は、ブロードキャストを希望する元情報を他の無線AP22bに通知するためのブロードキャスト内容通知パケットを生成する(ステップS113)。その後、無線AP22aが備えるパケット生成部2161は、生成したブロードキャスト内容通知パケットを、無線AP22aがカバーするカバーエリア29a内に位置する移動端末30に対して送信する(ステップS113)。
【0125】
ブロードキャスト内容通知パケットは、図11(c)に示すように、パケットIDフィールドと、パケット種類フィールドと、パケットの通知元(送信元)となる無線AP22を示す通知元AP_IDフィールドと、パケットの通知先(送信先)となる無線AP22を示す通知先AP_IDフィールドと、ブロードキャストを希望する元情報を含むペイロードフィールドとを備えている。図11(c)に示す例では、パケットIDフィールドに「2」が格納されている。図11(c)に示す例では、パケット種類フィールドに、当該パケットの種類がブロードキャスト内容通知パケットであることを示す識別番号「#8」が格納されている。図11(c)に示す例では、通知元AP_IDフィールドに、ブロードキャスト内容通知パケットの通知元となる無線AP22aのAP_IDが格納されている。図11(c)に示す例では、通知先AP_IDフィールドに、ブロードキャスト内容通知パケットの通知先となる無線AP22bのAP_IDが格納されている。図11(c)に示す例では、ペイロードフィールドには、ブロードキャストを希望する元情報として、特売品を示す特売情報や混雑状況を示す混雑情報が格納されている。尚、ペイロードフィールドには、ブロードキャストを行う期間を指定する「ブロードキャスト期間」が格納されていてもよい。
【0126】
再び図10において、その後、移動端末30は、無線AP22aから送信されるブロードキャスト内容通知パケットを、無線AP22bに対して転送する(ステップS213)。この転送の態様は、上述したステップS201からステップS209及びステップS211からステップS212における転送の態様と同様であってもよい。
【0127】
その後、無線AP22bが備える信号処理部2165は、移動端末30から送信される(言い換えれば、転送される)ブロードキャスト内容通知パケットを受信する(ステップS313)。無線AP22bが備える信号処理部2165は、受信したブロードキャスト内容通知パケットの通知先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP22bのAP_IDと一致しない場合には、受信したブロードキャスト内容通知パケットを破棄してもよい。他方で、無線AP22bが備える信号処理部2165は、受信したブロードキャスト内容通知パケットの通知先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP22bのAP_IDと一致する場合には、受信したブロードキャスト内容通知パケットのペイロードフィールドを参照することで、元情報を取得する。このとき、無線AP22bが備える信号処理部2165は、ステップS313で受信したブロードキャスト内容通知パケットのペイロードフィールドに格納されているブロードキャスト期間等をブロードキャスト情報生成部2162に対して通知することが好ましい。その後、無線AP22bが備える信号処理部2165は、取得した元情報を、ブロードキャストするためのフォーマットを有するブロードキャスト情報に変換する(ステップS314)。その後、無線AP21aが備えるブロードキャスト情報生成部2162は、ブロードキャスト情報を、無線AP22bがカバーするカバーエリア29bにブロードキャストする(ステップS315)。ステップS314及びステップS315の動作は、図7に示すステップS107及びステップS110の動作と同様の態様で行われてもよい。尚、ブロードキャスト情報のブロードキャストは、ブロードキャスト内容通知パケットのペイロードフィールドに格納されているブロードキャスト期間によって指定されている間は継続して又は断続的に若しくは非断続的に行われることが好ましい。その結果、無線AP22bがカバーするカバーエリア29b内に位置する移動端末30は、ブロードキャスト情報を受信する(ステップS215)。
【0128】
加えて、無線AP22bが備える信号処理部2165は、受信したブロードキャスト内容通知パケットに応じたブロードキャストを行う都度、当該ブロードキャストを行った旨を無線AP22aに通知する処理を行う(ステップS116、ステップS216及びステップS316)。
【0129】
具体的には、無線AP22bが備えるパケット生成部2161は、受信したブロードキャスト内容通知パケットに応じたブロードキャストを行う都度、当該ブロードキャストを行った旨を通知するためのブロードキャスト内容応答パケットを生成する(ステップS316)。その後、無線AP22bが備えるパケット生成部2161は、生成したブロードキャスト内容応答パケットを、無線AP22bがカバーするカバーエリア29b内に位置する移動端末30に対して送信する(ステップS316)。
【0130】
ブロードキャスト内容応答パケットは、図11(d)に示すように、パケットIDフィールドと、パケット種類フィールドと、パケットの応答元(送信元)となる無線AP22を示す応答元AP_IDフィールドと、パケットの応答先(送信先)となる無線AP22を示す応答先AP_IDフィールドと、応答するブロードキャスト内容通知パケットを一意に特定するための識別子を示すペイロードフィールドとを備えている。図11(d)に示す例では、パケットIDフィールドに「3」が格納されている。図11(d)に示す例では、パケット種類フィールドに、当該パケットの種類がブロードキャスト内容応答パケットであることを示す識別番号「#9」が格納されている。図11(d)に示す例では、応答元AP_IDフィールドに、ブロードキャスト内容応答パケットの応答元となる無線AP22bのAP_IDが格納されている。図11(d)に示す例では、応答先AP_IDフィールドに、ブロードキャスト内容応答パケットの応答先となる無線AP22aのAP_IDが格納されている。図11(d)に示す例では、ペイロードフィールドには、応答するブロードキャスト内容通知パケットを一意に特定することができる識別子(例えば、受信したブロードキャスト内容通知パケットに含まれるパケットID等)が格納されている。
【0131】
再び図10において、その後、移動端末30は、無線AP22bから送信されるブロードキャスト内容応答パケットを、無線AP22aに対して転送する(ステップS216)。この転送の態様は、上述したステップS201からステップS209及びステップS211からステップS213における転送の態様と同様であってもよい。
【0132】
その後、無線AP22aが備える信号処理部2165は、移動端末30から送信される(言い換えれば、転送される)ブロードキャスト内容応答パケットを受信する(ステップS116)。無線AP22aが備える信号処理部2165は、受信したブロードキャスト内容応答パケットの応答先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP22aのAP_IDと一致しない場合には、受信したブロードキャスト内容応答パケットを破棄してもよい。この場合、無線AP22aが備えるパケット生成部2161は、所定時間経過後に再度ブロードキャスト内容通知パケットを送信することが好ましい。他方で、無線AP22aが備える信号処理部2165は、受信したブロードキャスト内容応答パケットの応答先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP22aのAP_IDと一致する場合には、受信したブロードキャスト内容応答パケットのペイロードフィールドを参照することで、受信したブロードキャスト内容応答パケットがステップS113で送信したブロードキャスト内容通知パケットに対する応答メッセージであるか否かを判定する。無線AP22aが備えるパケット生成部2161は、受信したブロードキャスト内容応答パケットがステップS113で送信したブロードキャスト内容通知パケットに対する応答メッセージでない場合は、所定時間経過後に再度ブロードキャスト内容通知パケットを送信することが好ましい。また、無線AP22aが備えるパケット生成部2161は、ブロードキャスト内容応答パケットそのものを受信していない場合にも、所定時間経過後に再度ブロードキャスト内容通知パケットを送信することが好ましい。
【0133】
受信したブロードキャスト内容応答パケットがステップS113で送信したブロードキャスト内容通知パケットに対する応答メッセージである場合には、無線AP22aは、ステップS113で送信したブロードキャスト内容通知パケットに応じたブロードキャストが完了したと認識する。
【0134】
続いて、無線AP22bは、ブロードキャストを終了する処理を行う(ステップS117からステップS118、ステップS217からステップS218及びステップS317からステップS318)。
【0135】
具体的には、無線AP22bが備えるパケット生成部2161は、ブロードキャスト内容通知パケットのペイロードフィールドに格納されているブロードキャスト期間が経過した後、ブロードキャストの終了を通知するためのブロードキャスト終了通知パケットを生成する(ステップS317)。無線AP22bが備えるパケット生成部2161は、生成したブロードキャスト終了通知パケットを、無線AP22bがカバーするカバーエリア29b内に位置する移動端末30に対して送信する(ステップS317)。
【0136】
ブロードキャスト終了通知パケットは、図11(e)に示すように、パケットIDフィールドと、パケット種類フィールドと、パケットの通知元(送信元)となる無線AP21を示す通知元AP_IDフィールドと、パケットの通知先(送信先)となる無線AP21を示す通知先AP_IDフィールドと、ペイロードフィールドとを備えている。図11(e)に示す例では、パケットIDフィールドに「4」が格納されている。図11(e)に示す例では、パケット種類フィールドに、当該パケットの種類がブロードキャスト終了通知パケットであることを示す識別番号「#10」が格納されている。図11(e)に示す例では、通知元AP_IDフィールドに、ブロードキャスト終了通知パケットの通知元となる無線AP22bのAP_IDが格納されている。図11(e)に示す例では、通知先AP_IDフィールドに、ブロードキャスト終了通知パケットの通知先となる無線AP22aのAP_IDが格納されている。ペイロードフィールドには、任意の情報が格納されていてもよいし、情報が格納されていなくてもよい。
【0137】
再び図10において、その後、移動端末30は、無線AP22bから送信されるブロードキャスト終了通知パケットを、他の無線AP22aに対して転送する(ステップS217)。この転送の態様は、上述したステップS201からステップS209及びステップS211からステップS216における転送の態様と同様であってもよい。
【0138】
その後、無線AP22aが備える信号処理部2165は、移動端末30から送信される(言い換えれば、転送される)ブロードキャスト終了通知パケットを受信する(ステップS117)。無線AP22aが備える信号処理部2165は、受信したブロードキャスト終了通知パケットの通知先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP22aのAP_IDと一致しない場合には、受信したブロードキャスト終了通知パケットを破棄してもよい。他方で、無線AP22aが備える信号処理部2165は、受信したブロードキャスト終了通知パケットの通知先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP22aのAP_IDと一致する場合には、応答メッセージとしてのブロードキャスト終了応答パケットを生成するように、無線AP22aが備えるパケット生成部2161を制御する。その結果、無線AP22aが備えるパケット生成部2161は、ブロードキャスト終了応答パケットを生成する(ステップS118)。その後、無線AP22aが備えるパケット生成部2161は、生成したブロードキャスト終了応答パケットを、無線AP22aがカバーするカバーエリア29a内に位置する移動端末30に対して送信する(ステップS118)。
【0139】
ブロードキャスト終了応答パケットは、図11(f)に示すように、パケットIDフィールドと、パケット種類フィールドと、パケットの応答元(送信元)となる無線AP21を示す応答元AP_IDフィールドと、パケットの応答先(送信先)となる無線AP21を示す応答先AP_IDフィールドと、応答するブロードキャスト終了通知パケットを一意に特定するための識別子を示すペイロードフィールドとを備えている。図11(f)に示す例では、パケットIDフィールドに「5」が格納されている。図11(f)に示す例では、パケット種類フィールドに、当該パケットの種類がブロードキャスト終了応答パケットであることを示す識別番号「#11」が格納されている。図11(f)に示す例では、応答元AP_IDフィールドに、ブロードキャスト終了応答パケットの応答元となる無線AP22aのAP_IDが格納されている。図11(f)に示す例では、応答先AP_IDフィールドに、ブロードキャスト終了応答パケットの応答先となる無線AP22bのAP_IDが格納されている。図11(f)に示す例では、ペイロードフィールドには、応答するブロードキャスト終了通知パケットを一意に特定することができる識別子(例えば、受信したブロードキャスト終了通知パケットに含まれるパケットID等)が格納されている。
【0140】
再び図10において、その後、移動端末30は、無線AP22aから送信されるブロードキャスト終了応答パケットを、無線AP22bに対して転送する(ステップS218)。この転送の態様は、上述したステップS201からステップS209及びステップS211からステップS217における転送の態様と同様であってもよい。
【0141】
その後、無線AP22bが備える信号処理部2165は、移動端末30から送信される(言い換えれば、転送される)ブロードキャスト終了応答パケットを受信する(ステップS318)。無線AP22bが備える信号処理部2165は、受信したブロードキャスト終了応答パケットの応答先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP22bのAP_IDと一致しない場合には、受信したブロードキャスト終了応答パケットを破棄してもよい。他方で、無線AP22bが備える信号処理部2165は、受信したブロードキャスト終了応答パケットの応答先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP22bのAP_IDと一致する場合には、ブロードキャストの終了が完了したと認識する。
【0142】
以上説明したように、第2実施形態の無線通信システム2によれば、第1実施形態の無線通信システム1が享受する効果と同様の効果を好適に享受することができる。
【0143】
(2−3)変形動作例
図12及び図13を参照して、第2実施形態の無線通信システム2の変形動作について説明する。図12は、第2実施形態の無線通信システム2の変形動作の流れの一例を示すシーケンス図である。図13は、第2実施形態の無線通信システム2の変形動作で用いられる各種情報(各種パケット)を示すデータ構造図である。
【0144】
図12に示すように、変形動作例では、図10に示す動作の途中で、無線AP22aがブロードキャスト内容の修正(例えば、ブロードキャストを希望する元情報の種別又は内容の修正や、ブロードキャスト期間の修正)を希望する場合に、当該ブロードキャスト内容の修正処理が行われる。
【0145】
図12に示すように、無線AP22aは、他の無線AP22bに対して、ブロードキャスト内容の修正を要求する処理を行う(ステップS121からステップS122、ステップS221からステップS222及びステップS321からステップS322)。
【0146】
具体的には、無線AP22aが備えるパケット生成部2161は、他の無線AP22bに対してブロードキャストの内容の修正を要求するためのブロードキャスト内容修正要求パケットを生成する(ステップS121)。無線AP22aが備えるパケット生成部2161は、生成したブロードキャスト内容修正要求パケットを、無線AP22aがカバーするカバーエリア29a内に位置する移動端末30に対して送信する(ステップS121)。
【0147】
ブロードキャスト内容修正要求パケットは、図13(a)に示すように、パケットIDフィールドと、パケット種類フィールドと、パケットの要求元(送信元)となる無線AP22を示す要求元AP_IDフィールドと、パケットの要求先(送信先)となる無線AP22を示す要求先AP_IDフィールドと、ペイロードフィールドとを備えている。図13(a)に示す例では、パケットIDフィールドに「0」が格納されている。図13(a)に示す例では、パケット種類フィールドに、当該パケットの種類がブロードキャスト内容修正要求パケットであることを示す識別番号「#12」が格納されている。図13(a)に示す例では、要求元AP_IDフィールドに、ブロードキャスト内容修正要求パケットの要求元となる無線AP22aのAP_IDが格納されている。図13(a)に示す例では、要求先AP_IDフィールドに、ブロードキャスト内容修正要求パケットの要求先となる無線AP22bのAP_IDが格納されている。ペイロードフィールドには、任意の情報が格納されていてもよいし、情報が格納されていなくともよい。
【0148】
再び図12において、その後、移動端末30は、無線AP22aから送信されるブロードキャスト内容修正要求パケットを、他の無線AP22bに対して転送する(ステップS221)。この転送の態様は、上述したステップS201及びステップS209及びステップS211からステップS218における転送の態様と同様であってもよい。
【0149】
その後、無線AP22bが備える信号処理部2165は、移動端末30から送信される(言い換えれば、転送される)ブロードキャスト内容修正要求パケットを受信する(ステップS321)。無線AP22bが備える信号処理部2165は、受信したブロードキャスト内容修正要求パケットの要求先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP22bのAP_IDと一致しない場合には、受信したブロードキャスト内容修正要求パケットを破棄してもよい。他方で、無線AP22bが備える信号処理部2165は、受信したブロードキャスト内容修正要求パケットの要求先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP22bのAP_IDと一致する場合には、応答メッセージとしてのブロードキャスト内容修正応答パケットを生成するように、無線AP22bが備えるパケット生成部2161を制御する。その結果、無線AP22bが備えるパケット生成部2161は、ブロードキャスト内容修正応答パケットを生成する(ステップS322)。その後、無線AP22bが備えるパケット生成部2161は、生成したブロードキャスト内容修正応答パケットを、無線AP22bがカバーするカバーエリア29b内に位置する移動端末30に対して送信する(ステップS322)。
【0150】
ブロードキャスト内容修正応答パケットは、図13(b)に示すように、パケットIDフィールドと、パケット種類フィールドと、パケットの応答元(送信元)となる無線AP22を示す応答元AP_IDフィールドと、パケットの応答先(送信先)となる無線AP22を示す応答先AP_IDフィールドと、応答するブロードキャスト内容修正要求パケットを一意に特定するための識別子を示すペイロードフィールドとを備えている。図13(b)に示す例では、パケットIDフィールドに「1」が格納されている。図13(b)に示す例では、パケット種類フィールドに、当該パケットの種類がブロードキャスト内容修正応答パケットであることを示す識別番号「#13」が格納されている。図13(b)に示す例では、応答元AP_IDフィールドに、ブロードキャスト内容修正応答パケットの応答元となる無線AP22bのAP_IDが格納されている。図13(b)に示す例では、応答先AP_IDフィールドに、ブロードキャスト内容修正応答パケットの応答先となる無線AP22aのAP_IDが格納されている。図11(b)に示す例では、ペイロードフィールドには、応答するブロードキャスト内容修正要求パケットを一意に特定することができる識別子(例えば、受信したブロードキャスト内容修正要求パケットに含まれるパケットID等)が格納されている。
【0151】
再び図12において、その後、移動端末30は、無線AP22bから送信されるブロードキャスト内容修正応答パケットを、無線AP22aに対して転送する(ステップS222)。この転送の態様は、上述したステップS201からステップS209、ステップS211からステップS218及びステップS221における転送の態様と同様であってもよい。
【0152】
その後、無線AP22aが備える信号処理部2165は、移動端末30から送信される(言い換えれば、転送される)ブロードキャスト内容修正応答パケットを受信する(ステップS122)。無線AP22aが備える信号処理部2165は、受信したブロードキャスト内容修正応答パケットの応答先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP22aのAP_IDと一致しない場合には、受信したブロードキャスト内容修正応答パケットを破棄してもよい。この場合、無線AP22aが備えるパケット生成部2161は、所定時間経過後に再度ブロードキャスト内容修正要求パケットを送信することが好ましい。他方で、無線AP22aが備える信号処理部2165は、受信したブロードキャスト内容修正応答パケットの応答先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP22aのAP_IDと一致する場合には、受信したブロードキャスト内容修正応答パケットのペイロードフィールドを参照することで、受信したブロードキャスト内容修正応答パケットがステップS121で送信したブロードキャスト内容修正要求パケットに対する応答メッセージであるか否かを判定する。無線AP22aが備えるパケット生成部2161は、受信したブロードキャスト内容修正応答パケットがステップS121で送信したブロードキャスト内容修正要求パケットに対する応答メッセージでない場合は、所定時間経過後に再度ブロードキャスト内容修正要求パケットを送信することが好ましい。また、無線AP22aが備えるパケット生成部2161は、ブロードキャスト内容修正応答パケットそのものを受信していない場合にも、所定時間経過後に再度ブロードキャスト内容修正要求パケットを送信することが好ましい。
【0153】
受信したブロードキャスト内容修正応答パケットがステップS121で送信したブロードキャスト内容修正要求パケットに対する応答メッセージである場合には、無線AP22aは、修正した元情報のブロードキャストを、他の無線AP22bに対して行わせる処理を行う(ステップS123、ステップS223からステップS225及びステップS313からステップS325)。
【0154】
具体的には、無線AP22aが備えるパケット生成部2161は、ブロードキャスト内容の修正事項(或いは、修正後のブロードキャスト内容)を他の無線AP22bに通知するためのブロードキャスト内容修正パケットを生成する(ステップS123)。その後、無線AP22bが備えるパケット生成部2161は、生成したブロードキャスト内容修正パケットを、無線AP22aがカバーするカバーエリア29a内に位置する移動端末30に対して送信する(ステップS123)。
【0155】
ブロードキャスト内容修正パケットは、図13(c)に示すように、パケットIDフィールドと、パケット種類フィールドと、パケットの通知元(送信元)となる無線AP22を示す通知元AP_IDフィールドと、パケットの通知先(送信先)となる無線AP22を示す通知先AP_IDフィールドと、修正後のブロードキャスト内容を含むペイロードフィールドとを備えている。図13(c)に示す例では、パケットIDフィールドに「2」が格納されている。図13(c)に示す例では、パケット種類フィールドに、当該パケットの種類がブロードキャスト内容修正パケットであることを示す識別番号「#14」が格納されている。図13(c)に示す例では、通知元AP_IDフィールドに、ブロードキャスト内容修正パケットの通知元となる無線AP22aのAP_IDが格納されている。図13(c)に示す例では、通知先AP_IDフィールドに、ブロードキャスト内容修正パケットの通知先となる無線AP22bのAP_IDが格納されている。図13(c)に示す例では、ペイロードフィールドには、修正後の元情報(例えば、修正後の特売情報や修正後の混雑情報)や修正後の「ブロードキャスト期間」が格納されていてもよい。
【0156】
再び図12において、その後、移動端末30は、無線AP22aから送信されるブロードキャスト内容修正パケットを、無線AP22bに対して転送する(ステップS223)。この転送の態様は、上述したステップS201からステップS209、ステップS211からステップS218及びステップS221からステップS222における転送の態様と同様であってもよい。
【0157】
その後、無線AP22bが備える信号処理部2165は、移動端末30から送信される(言い換えれば、転送される)ブロードキャスト内容修正パケットを受信する(ステップS323)。無線AP22bが備える信号処理部2165は、受信したブロードキャスト内容修正パケットの通知先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP22bのAP_IDと一致しない場合には、受信したブロードキャスト内容修正パケットを破棄してもよい。他方で、無線AP22bが備える信号処理部2165は、受信したブロードキャスト内容修正パケットの通知先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP22bのAP_IDと一致する場合には、受信したブロードキャスト内容修正パケットのペイロードフィールドを参照することで、修正後の元情報等を取得する。その後、無線AP22bは、修正後の元情報等に応じたブロードキャストを行う。(ステップS315)。
【0158】
変形動作例によれば、ブロードキャスト内容の修正を好適に行いつつ、上述した第2実施形態の無線通信システム2が享受する効果と同様の効果を好適に享受することができる。
【0159】
(3)第3実施形態
図14から図17を参照して、第3実施形態の無線通信システム3について説明する。尚、第3実施形態の無線通信システム3では、第1実施形態の無線通信システム1及び第2実施形態の無線通信システム2と比較して、無線AP20の構成及び動作が異なっている。無線AP20の構成及び動作以外については、第3実施形態の無線通信システム1は、第1実施形態の無線通信システム1又は第2実施形態の無線通信システム2と同一であってもよいし異なっていてもよい。以下では、説明の簡略化のために、第1実施形態の無線通信システム1又は第2実施形態の無線通信システム2とは異なる第3実施形態の無線AP20の構成及び動作に着目して説明を進める。
【0160】
尚、以下では、第3実施形態の無線AP20を、第1及び第2実施形態の無線AP20と区別するために、“無線AP23”と表記する。
【0161】
(3−1)無線APの構成
図14を参照して、第3実施形態の無線AP23の構成について説明する。図14は、第3実施形態の無線AP23の機能ブロックを示すブロック図である。
【0162】
図14に示すように、第3実施形態の無線AP23は、第1実施形態の無線AP21又は第2実施形態の無線AP22と同様に、アンテナ211と、RF(Radio Frequency)部212と、変復調部213と、符号化部214と、復号部215と、制御部226とを備える。第3実施形態の制御部236は、第1実施形態の制御部216又は第2実施形態の制御部226と同様に、パケット生成部2161と、メモリ部2163と、信号処理部2165とを備える。
【0163】
第3実施形態の無線AP23は、ブロードキャスト情報生成部2162及びセンサ2164を備えておらず且つネットワークIF(Interface:インタフェース)部2366及び表示装置2367を備えているという点で第1実施形態の無線AP21又は第2実施形態の無線AP22とは異なる。
【0164】
ネットワークIF部2366は、有線又は無線のネットワークを終端するインタフェース装置である。ネットワークIF部2366は、外部の装置から、有線又は無線のネットワークを介して所定の情報(例えば、後述する広告情報)を取得する。
【0165】
表示装置2367は、任意の情報(例えば、後述する広告情報)を表示する。
【0166】
(3−2)無線通信システムの動作
図15及び図16を参照して、第3実施形態の無線通信システム3の動作について説明する。図15は、第3実施形態の無線通信システム3の動作の流れの一例を示すシーケンス図である。図16は、第3実施形態の無線通信システム3の動作で用いられる各種情報(各種パケット)を示すデータ構造図である。
【0167】
第3実施形態の無線通信システム3では、ある無線AP23がネットワークIF部2366を介して広告情報を取得し且つ他の無線AP23に対して取得した広告情報を送信すると共に、他の無線AP23が実際に広告表示を行う態様が、利用態様の一例として想定される。以下では、このような利用態様を一例として用いながら説明を進める。
【0168】
尚、この利用態様では、広告表示を実際にする側の無線AP23は、ネットワークIF部2366を備えていなくともよい。一方で、広告表示を実際にする側でない(言い換えれば、広告情報を送信することで広告表示を行うよう要求する側の)無線AP23は、表示装置2367を備えていなくともよい。
【0169】
図15に示すように、第3実施形態においても、第1実施形態又は第2実施形態と同様に、無線AP23aは、無線AP23aの存在を、他の無線AP23bに認識させるための処理及び他の無線AP23b及び無線AP23cを認識するための処理を行う。
【0170】
その後、無線AP23aは、広告情報の取得を行う(ステップS130)。具体的には、無線AP23aが備えるネットワークIF部2366は、ネットワークIF部2366に接続されているネットワークを介して、外部の機器又はサーバから広告情報を取得する。無線AP23aが備えるネットワークIF部2366は、取得した広告情報を、メモリ部2163に一時的に格納する。
【0171】
その後、無線AP23aは、他の無線AP23bに対して、ステップS130で取得した広告情報の広告表示を行うように要求する処理を行う(ステップS131からステップS134、ステップS231からステップS234及びステップS331からステップS334)。
【0172】
具体的には、無線AP23aが備えるパケット生成部2161は、広告表示を行うように他の無線AP23bに要求するための広告表示要求パケットを生成する(ステップS131)。その後、無線AP23aが備えるパケット生成部2161は、生成した広告表示要求パケットを、無線AP23aがカバーするカバーエリア29a内に位置する移動端末30に対して送信する(ステップS131)。
【0173】
広告表示要求パケットは、図16(a)に示すように、パケットIDフィールドと、パケット種類フィールドと、パケットの要求元(送信元)となる無線AP23を示す要求元AP_IDフィールドと、パケットの要求先(送信先)となる無線AP23を示す要求先AP_IDフィールドと、広告表示を希望する広告情報を含むペイロードフィールドとを備えている。図16(a)に示す例では、パケットIDフィールドに「0」が格納されている。図16(a)に示す例では、パケット種類フィールドに、当該パケットの種類が広告表示要求パケットであることを示す識別番号「#15」が格納されている。図16(a)に示す例では、要求元AP_IDフィールドに、広告表示要求パケットの要求元となる無線AP23aのAP_IDが格納されている。図16(a)に示す例では、要求先AP_IDフィールドに、広告表示要求パケットの要求先となる無線AP23bのAP_IDが格納されている。図16(a)に示す例では、ペイロードフィールドには、広告表示を希望する広告情報(つまり、ステップS130で取得され且つメモリ部2163に一時的に格納されている広告情報)が格納されている。
【0174】
加えて、ペイロードフィールドには、広告表示を行う期間を指定する「広告表示期間」が格納されていてもよい。
【0175】
尚、ペイロードフィールドに格納される広告情報には、秘匿性を確保するための暗号化処理が施されていてもよい。この場合、無線AP23aが備えるパケット生成部2161は、広告情報に対して暗号化処理を施しながら広告表示要求パケットを生成することが好ましい。
【0176】
再び図15において、その後、移動端末30は、無線AP23aから送信される広告表示要求パケットを、無線AP23bに対して転送する(ステップS231)。この転送の態様は、上述したステップS201からステップS209、ステップS211からステップS218及びステップS221からステップS224における転送の態様と同様であってもよい。
【0177】
その後、無線AP23bが備える信号処理部2165は、移動端末30から送信される(言い換えれば、転送される)広告表示要求パケットを受信する(ステップS331)。無線AP23bが備える信号処理部2165は、受信した広告表示要求パケットの要求先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP23bのAP_IDと一致しない場合には、受信した広告表示要求パケットを破棄してもよい。他方で、無線AP23bが備える信号処理部2165は、受信した広告表示要求パケットの通知先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP23bのAP_IDと一致する場合には、受信した広告表示要求パケットのペイロードフィールドを参照することで、広告情報を取得する。その後、無線AP23bが備える信号処理部2165は、取得した広告情報を、広告表示用のフォーマットを有する広告表示情報に変換する(ステップS332)。その後、無線AP23bが備える信号処理部2165は、変換によって生成された広告表示情報をメモリ部2163に格納する(ステップS107)。
【0178】
尚、受信した広告表示要求パケットのペイロードフィールドに格納される広告情報に暗号化処理が施されている場合には、無線AP23bが備える信号処理部2165は、復号化処理を施すことで広告情報を取得することが好ましい。
【0179】
その後、無線AP23bが備える表示装置2367は、メモリ部2163に格納されている広告表示情報を読み出すと共に、読み出した広告表示情報に基づく広告表示を行う(ステップS333)。
【0180】
尚、受信した広告表示要求パケットのペイロードフィールドに「広告表示期間」が格納されている場合には、無線AP23bが備える表示装置2367は、当該広告表示期間によって指定されている間は継続して又は断続的に若しくは非断続的に広告表示を行うことが好ましい。
【0181】
加えて、無線AP23bが備える信号処理部2165は、受信した広告表示要求パケットに応じた広告表示を行う都度、当該広告表示を行った旨を無線AP23aに通知する処理を行う(ステップS134、ステップS234及びステップS334)。
【0182】
具体的には、無線AP23bが備えるパケット生成部2161は、受信した広告表示要求パケットに応じた広告表示を行う都度、当該広告表示を行った旨を通知するための広告表示応答パケットを生成する(ステップS334)。その後、無線AP23bが備えるパケット生成部2161は、生成した広告表示応答パケットを、無線AP22bがカバーするカバーエリア29b内に位置する移動端末30に対して送信する(ステップS334)。
【0183】
広告表示応答パケットは、図16(b)に示すように、パケットIDフィールドと、パケット種類フィールドと、パケットの応答元(送信元)となる無線AP23を示す応答元AP_IDフィールドと、パケットの応答先(送信先)となる無線AP23を示す応答先AP_IDフィールドと、応答する広告表示要求パケットを一意に特定するための識別子を示すペイロードフィールドとを備えている。図16(b)に示す例では、パケットIDフィールドに「1」が格納されている。図16(b)に示す例では、パケット種類フィールドに、当該パケットの種類が広告表示応答パケットであることを示す識別番号「#16」が格納されている。図16(b)に示す例では、応答元AP_IDフィールドに、広告表示応答パケットの応答元となる無線AP23bのAP_IDが格納されている。図16(b)に示す例では、応答先AP_IDフィールドに、広告表示応答パケットの応答先となる無線AP23aのAP_IDが格納されている。図16(b)に示す例では、ペイロードフィールドには、応答する広告表示要求パケットを一意に特定することができる識別子(例えば、受信した広告表示要求パケットに含まれるパケットID等)が格納されている。
【0184】
加えて、広告表示応答パケットのペイロードフィールドには、広告表示要求パケットによって通知された広告情報が正しく又は誤りなく受信されたか否かを示す情報が格納されていてもよい。例えば、無線AP23bが広告表示要求パケットによって通知された広告情報を正しく又は誤りなく受信した場合には、その旨を示すACK(Acknowledge)フラグが広告表示応答パケットのペイロードフィールドに格納されてもよい。例えば、無線AP23bが広告表示要求パケットによって通知された広告情報を正しく又は誤りなく受信できなかった場合には、その旨を示すNACK(Negative Acknowledge)フラグが広告表示応答パケットのペイロードフィールドに格納されてもよい。
【0185】
再び図15において、その後、移動端末30は、無線AP23bから送信される広告表示応答パケットを、無線AP23aに対して転送する(ステップS234)。この転送の態様は、上述したステップS201からステップS209及びステップS211からステップS218、ステップS221からステップS224及びステップS231における転送の態様と同様であってもよい。
【0186】
その後、無線AP23aが備える信号処理部2165は、移動端末30から送信される(言い換えれば、転送される)広告表示応答パケットを受信する(ステップS134)。無線AP23aが備える信号処理部2165は、受信した広告表示応答パケットの応答先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP23aのAP_IDと一致しない場合には、受信した広告表示応答パケットを破棄してもよい。この場合、無線AP23aが備えるパケット生成部2161は、所定時間経過後に再度広告表示要求パケットを送信することが好ましい。他方で、無線AP23aが備える信号処理部2165は、受信した広告表示応答パケットの応答先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP23aのAP_IDと一致する場合には、受信した広告表示応答パケットのペイロードフィールドを参照することで、受信した広告表示応答パケットがステップS131で送信した広告表示要求パケットに対する応答メッセージであるか否かを判定する。無線AP23aが備えるパケット生成部2161は、受信した広告表示応答パケットがステップS131で送信した広告表示要求パケットに対する応答メッセージでない場合は、所定時間経過後に再度広告表示要求パケットを送信することが好ましい。加えて、無線AP23aが備える信号処理部2165は、受信した広告表示応答パケットの応答先AP_IDフィールドに格納されているAP_IDが無線AP23aのAP_IDと一致する場合には、受信した広告表示応答パケットのペイロードフィールドを参照することで、ステップS131で送信した広告表示要求パケットによって通知した広告情報が無線AP23bによって正しく受信されたか否かを判定する。無線AP23aが備えるパケット生成部2161は、ステップS131で送信した広告表示要求パケットによって通知した広告情報が無線AP23bによって正しく受信されていない場合は、再度広告表示要求パケットを送信することが好ましい。また、無線AP23aが備えるパケット生成部2161は、広告表示応答パケットそのものを受信していない場合にも、所定時間経過後に再度広告表示要求パケットを送信することが好ましい。
【0187】
受信したブロードキャスト内容応答パケットがステップS113で送信したブロードキャスト内容通知パケットに対する応答メッセージであり且つステップS131で送信した広告表示要求パケットによって通知した広告情報が無線AP23bによって正しく受信されている場合には、無線AP23aは、ステップS131で送信した広告表示要求パケットに応じた広告表示が完了したと認識する。
【0188】
以上説明したように、第3実施形態の無線通信システム3によれば、ブロードキャスト以外の情報提供(つまり、第3実施形態の例で言えば、広告情報の広告表示)を行う場合であっても、第1実施形態の無線通信システム1又は第2実施形態の無線通信システム2が享受する効果と同様の効果を好適に享受することができる。
【0189】
(2−3)変形動作例
図17を参照して、第3実施形態の無線通信システム3の変形動作について説明する。図17は、第3実施形態の無線通信システム3の変形動作の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0190】
図17に示すように、変形動作例では、無線AP23aから無線AP23bに対する広告表示要求パケットの送信が、複数回に分割されて行われる。加えて、無線AP23bから無線AP23aに対する広告表示応答パケットの送信もまた、広告表示要求パケットの分割送信に合わせて、複数回に分割されて行われる。このような広告表示要求パケットの分割送信は、広告情報のサイズが相対的に大きい場合に行われることが好ましい。
【0191】
このような変形動作例によれば、広告情報のサイズが相対的に大きい場合にも、上述した第3実施形態の無線通信システム3が享受する効果と同様の効果を好適に享受することができる。
【0192】
尚、上述の第1実施形態から第3実施形態で説明した利用態様以外の各種態様に対しても、上述した無線AP20(つまり、移動端末30を介して相互に情報を送受信する無線AP20であって、取得した情報にデータ処理を施した上で所定の情報提供を行う無線AP)を適用してもよい。
【0193】
例えば、田畑に気温センサ、水量センサ及び水温センサ等を設置する場合には、これらのセンサの夫々に対応付けて無線AP20を設置すると共に、これらの無線AP20から測定結果情報(つまり、気温や水量や水温等)を収集する無線AP20を別途設置してもよい。このような構成により、田畑の状態を集約的に管理することができる。
【0194】
例えば、各家庭の電気メータ、ガスメータ及び水道メータの夫々に対応付けて無線AP20を設置すると共に、これらの無線AP20から測定結果情報(つまり、使用電気量や使用ガス量や使用水道量等)を収集する無線AP20を別途設置してもよい。このような構成により、各家庭の水道光熱に関する使用状態を集約的に管理することができる。
【0195】
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
【0196】
(付記1)
一以上の移動端末と、
夫々が前記移動端末と無線通信を行う第1無線アクセス局及び第2無線アクセス局と
を備えており、
前記第1無線アクセス局は、
前記第1無線アクセス局の有する情報を要求する情報取得要求であって前記第2無線アクセス局から送信される情報取得要求を、前記移動端末のいずれかである第1移動端末を介して受信する第1受信部と、
前記情報取得要求に基づき、前記第2無線アクセス局に対して、前記移動端末のいずれかである第2移動端末を介して前記情報を送信する第1送信部と、
を備え、
前記第2無線アクセス局は、
前記第1移動端末に、前記第1無線アクセス局に対する前記情報取得要求を送信する第2送信部と、
前記第2移動端末を介して、前記第1無線アクセス局から送信される前記情報を受信する第2受信部と、
前記第2受信部が受信した前記情報に対して所定のデータ処理を施す信号処理部と、
前記データ処理が施された前記情報の提供を行う情報提供部と
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【0197】
(付記2)
前記第1無線アクセス局は、自身がカバーする第1カバーエリア内に位置する前記移動端末と無線通信を行い、
前記第2無線アクセス局は、自身がカバーする第2カバーエリア内に位置する前記移動端末と無線通信を行い、
前記第1送信部は、前記第1カバーエリア内に位置する前記第2移動端末に対して前記情報を送信することで、前記第2移動端末を介して、前記第2無線アクセス局に対して前記情報を送信し、
前記第2受信部は、前記第2カバーエリア内に位置する前記第2移動端末であって且つ前記第1無線アクセス局から前記情報の送信を受けた前記第2移動端末から前記情報を受信することで、前記第2移動端末を介して、前記第1無線アクセス局から送信される情報を受信することを特徴とする付記1に記載の無線通信システム。
【0198】
(付記3)
一以上の移動端末と、
夫々が前記移動端末と無線通信を行う第1無線アクセス局及び第2無線アクセス局と
を備えており、
前記第1無線アクセス局は、
前記第2無線アクセス局に対して、前記第1無線アクセス局の有する情報を前記第2無線アクセス局が情報提供することを要求する情報提供要求を、前記移動端末のいずれかである第1移動端末を介して送信する第1送信部と、
前記情報提供要求に基づき、前記第2無線アクセス局に対して、前記移動端末のいずれかである第2移動端末を介して前記情報を送信する第2送信部と、
を備え、
前記第2無線アクセス局は、
前記第1移動端末を介して、前記第1無線アクセス局から送信される前記情報提供要求を受信する第1受信部と、
前記情報提供要求に基づき、前記第2移動端末を介して、前記第1無線アクセス局から送信される前記情報を受信する第2受信部と、
前記第2受信部が受信した前記情報に対して所定のデータ処理を施す信号処理部と、
前記データ処理が施された前記情報の提供を行う情報提供部と
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【0199】
(付記4)
前記第1無線アクセス局は、自身がカバーする第1カバーエリア内に位置する前記移動端末と無線通信を行い、
前記第2無線アクセス局は、自身がカバーする第2カバーエリア内に位置する前記移動端末と無線通信を行い、
前記第2送信部は、前記第1カバーエリア内に位置する前記第2移動端末に対して前記情報を送信することで、前記第2移動端末を介して、前記第2無線アクセス局に対して前記情報を送信し、
前記第2受信部は、前記第2カバーエリア内に位置する前記第2移動端末であって且つ前記第1無線アクセス局から前記情報の送信を受けた前記第2移動端末から前記情報を受信することで、前記第2移動端末を介して、前記第1無線アクセス局から送信される情報を受信することを特徴とする付記3に記載の無線通信システム。
【0200】
(付記5)
前記情報提供部は、前記データ処理が施された前記情報を前記第2カバーエリア内にブロードキャストすることを特徴とする付記2又は4に記載の無線通信システム。
【0201】
(付記6)
複数の前記第1無線アクセス局を備え、
前記第2受信部は、前記複数の第1無線アクセス局の夫々から送信される前記情報を受信し、
前記情報提供部は、前記複数の第1無線アクセス局の夫々から受信した前記情報をまとめて提供することを特徴とする付記1から5のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【0202】
(付記7)
前記第2無線アクセス局は、前記移動端末から送信される情報に基づいて、前記第2無線アクセス局と前記移動端末を介して情報を送受信可能な、前記第1無線アクセス局を含む周辺の他の無線アクセス局を認識する認識部を更に備えることを特徴とする付記1から6のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【0203】
(付記8)
前記第1無線アクセス局は、前記移動端末から送信される情報に基づいて、前記第1無線アクセス局と前記移動端末を介して情報を送受信可能な、前記第2無線アクセス局を含む周辺の他の無線アクセス局を認識する認識部を更に備えることを特徴とする付記1から7のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【0204】
(付記9)
前記第1送信部は、当該第1無線アクセス局が備えるセンサ、前記移動端末及び他の無線アクセス局の少なくとも一つから収集した前記情報を送信することを特徴とする付記1に記載の無線通信システム。
【0205】
(付記10)
前記第2送信部は、当該第1無線アクセス局が備えるセンサ、前記移動端末及び他の無線アクセス局の少なくとも一つから収集した前記情報を送信することを特徴とする付記3に記載の無線通信システム。
【0206】
(付記11)
前記情報提供部は、前記データ処理が施された情報を他の情報機器に出力することを特徴とする付記1から10のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【0207】
(付記12)
前記所定のデータ処理は、前記第2受信部が受信した前記情報を提供用のデータ形式に加工する処理を含むことを特徴とする付記1から11のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【0208】
(付記13)
前記移動端末は、
前記第1無線アクセス局から送信される前記情報を受信する端末側受信部と、
前記端末側受信部が前記受信した情報を前記第2無線アクセス局に送信する端末側送信部と
を備えることを特徴とする付記1から12のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【0209】
(付記14)
前記第1無線アクセス局は、自身がカバーする第1カバーエリア内に位置する前記移動端末と無線通信を行い、
前記第2無線アクセス局は、自身がカバーする第2カバーエリア内に位置する前記移動端末と無線通信を行い、
前記端末側受信部は、前記移動端末が前記第1カバーエリア内に位置する場合に、前記第1無線アクセス局から送信される前記情報を受信し、
前記端末側送信部は、前記移動端末が前記第1カバーエリア内に位置する状態から前記第2カバーエリア内に位置する状態に遷移した場合に、前記端末側受信部が前記受信した情報を前記第2無線アクセス局に送信することを特徴とする付記13に記載の無線通信システム。
【0210】
(付記15)
一以上の移動端末と、夫々が前記移動端末と無線通信を行う複数の無線アクセス局を備えた無線通信システムにおける無線アクセス局において、
他の無線アクセス局の有する情報を要求する情報取得要求を、前記移動端末のいずれかである第1移動端末に送信する送信部と、
前記情報取得要求に基づき、前記移動端末のいずれかである第2移動端末を介して、前記他の無線アクセス局から送信される前記情報を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記情報に対して所定のデータ処理を施す信号処理部と、
前記データ処理が施された前記情報の提供を行う情報提供部と
を備えることを特徴とする無線アクセス局。
【0211】
(付記16)
一以上の移動端末と、夫々が前記移動端末と無線通信を行う複数の無線アクセス局を備えた無線通信システムにおける無線アクセス局において、
前記移動端末のいずれかである第1移動端末を介して、他の無線アクセス局の有する情報を当該無線アクセス局が情報提供することを要求する情報提供要求であって且つ前記他の無線アクセス局から送信される情報提供要求を受信する第1受信部と、
前記情報提供要求に基づき、前記移動端末のいずれかである第2移動端末を介して、前記他の無線アクセス局から送信される前記情報を受信する第2受信部と、
前記第2受信部が受信した前記情報に対して所定のデータ処理を施す信号処理部と、
前記データ処理が施された前記情報の提供を行う情報提供部と
を備えることを特徴とする無線アクセス局。
【0212】
(付記17)
一以上の移動端末と、
夫々が前記移動端末と無線通信を行う第1無線アクセス局及び第2無線アクセス局と
を備えている無線通信システムにおける通信方法であって、
前記移動端末のいずれかである第1移動端末を介して、前記第1無線アクセス局の有する情報を要求する情報取得要求が、前記第2無線アクセス局から前記第1無線アクセス局に対して送信され、
前記第1移動端末を介して、前記情報取得要求が前記第1無線アクセス局によって受信され、
受信された前記情報取得要求に基づき、前記移動端末のいずれかである第2移動端末を介して、前記第1無線アクセス局から前記第2無線アクセス局に対して前記情報が送信され、
前記第2移動端末を介して、前記第1無線アクセス局から送信される前記情報が前記第2無線アクセス局によって受信され、
前記第2無線アクセス局によって、受信した前記情報に対して所定のデータ処理が施され、
前記第2無線アクセス局によって、前記データ処理が施された前記情報が提供される
ことを特徴とする通信方法。
【0213】
(付記18)
一以上の移動端末と、
夫々が前記移動端末と無線通信を行う第1無線アクセス局及び第2無線アクセス局と
を備えている無線通信システムにおける通信方法であって、
前記移動端末のいずれかである第1移動端末を介して、前記第1無線アクセス局の有する情報を前記第2無線アクセス局が情報提供することを要求する情報提供要求が、前記第1無線アクセス局から前記第2無線アクセス局に対して送信され、
前記第1移動端末を介して、前記情報提供要求が前記第2無線アクセス局によって受信され、
送信された前記情報取得要求に基づき、前記移動端末のいずれかである第2移動端末を介して、前記第1無線アクセス局から前記第2無線アクセス局に対して前記情報が送信され、
前記第2移動端末を介して、前記第1無線アクセス局から送信される前記情報が前記第2無線アクセス局によって受信され、
前記第2無線アクセス局によって、受信した前記情報に対して所定のデータ処理が施され、
前記第2無線アクセス局によって、前記データ処理が施された前記情報が提供される
ことを特徴とする通信方法。
【0214】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う無線通信システム、無線アクセス局及び通信方法もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0215】
1 無線通信システム
20、21、22、23 無線AP
216、226、236 制御部
2161 パケット生成部
2162 ブロードキャスト情報生成部
2163 メモリ部
2165 信号処理部
30 移動端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一以上の移動端末と、
夫々が前記移動端末と無線通信を行う第1無線アクセス局及び第2無線アクセス局と
を備えており、
前記第1無線アクセス局は、
前記第1無線アクセス局の有する情報を要求する情報取得要求であって前記第2無線アクセス局から送信される情報取得要求を、前記移動端末のいずれかである第1移動端末を介して受信する第1受信部と、
前記情報取得要求に基づき、前記第2無線アクセス局に対して、前記移動端末のいずれかである第2移動端末を介して前記情報を送信する第1送信部と、
を備え、
前記第2無線アクセス局は、
前記第1移動端末に、前記第1無線アクセス局に対する前記情報取得要求を送信する第2送信部と、
前記第2移動端末を介して、前記第1無線アクセス局から送信される前記情報を受信する第2受信部と、
前記第2受信部が受信した前記情報に対して所定のデータ処理を施す信号処理部と、
前記データ処理が施された前記情報の提供を行う情報提供部と
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記第1無線アクセス局は、自身がカバーする第1カバーエリア内に位置する前記移動端末と無線通信を行い、
前記第2無線アクセス局は、自身がカバーする第2カバーエリア内に位置する前記移動端末と無線通信を行い、
前記第1送信部は、前記第1カバーエリア内に位置する前記第2移動端末に対して前記情報を送信することで、前記第2移動端末を介して、前記第2無線アクセス局に対して前記情報を送信し、
前記第2受信部は、前記第2カバーエリア内に位置する前記第2移動端末であって且つ前記第1無線アクセス局から前記情報の送信を受けた前記第2移動端末から前記情報を受信することで、前記第2移動端末を介して、前記第1無線アクセス局から送信される情報を受信することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
一以上の移動端末と、
夫々が前記移動端末と無線通信を行う第1無線アクセス局及び第2無線アクセス局と
を備えており、
前記第1無線アクセス局は、
前記第2無線アクセス局に対して、前記第1無線アクセス局の有する情報を前記第2無線アクセス局が情報提供することを要求する情報提供要求を、前記移動端末のいずれかである第1移動端末を介して送信する第1送信部と、
前記情報提供要求に基づき、前記第2無線アクセス局に対して、前記移動端末のいずれかである第2移動端末を介して前記情報を送信する第2送信部と、
を備え、
前記第2無線アクセス局は、
前記第1移動端末を介して、前記第1無線アクセス局から送信される前記情報提供要求を受信する第1受信部と、
前記情報提供要求に基づき、前記第2移動端末を介して、前記第1無線アクセス局から送信される前記情報を受信する第2受信部と、
前記第2受信部が受信した前記情報に対して所定のデータ処理を施す信号処理部と、
前記データ処理が施された前記情報の提供を行う情報提供部と
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
前記第1無線アクセス局は、自身がカバーする第1カバーエリア内に位置する前記移動端末と無線通信を行い、
前記第2無線アクセス局は、自身がカバーする第2カバーエリア内に位置する前記移動端末と無線通信を行い、
前記第2送信部は、前記第1カバーエリア内に位置する前記第2移動端末に対して前記情報を送信することで、前記第2移動端末を介して、前記第2無線アクセス局に対して前記情報を送信し、
前記第2受信部は、前記第2カバーエリア内に位置する前記第2移動端末であって且つ前記第1無線アクセス局から前記情報の送信を受けた前記第2移動端末から前記情報を受信することで、前記第2移動端末を介して、前記第1無線アクセス局から送信される情報を受信することを特徴とする請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記情報提供部は、前記データ処理が施された前記情報を前記第2カバーエリア内にブロードキャストすることを特徴とする請求項2又は4に記載の無線通信システム。
【請求項6】
複数の前記第1無線アクセス局を備え、
前記第2受信部は、前記複数の第1無線アクセス局の夫々から送信される前記情報を受信し、
前記情報提供部は、前記複数の第1無線アクセス局の夫々から受信した前記情報をまとめて提供することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記第2無線アクセス局は、前記移動端末から送信される情報に基づいて、前記第2無線アクセス局と前記移動端末を介して情報を送受信可能な、前記第1無線アクセス局を含む周辺の他の無線アクセス局を認識する認識部を更に備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記第1無線アクセス局は、前記移動端末から送信される情報に基づいて、前記第1無線アクセス局と前記移動端末を介して情報を送受信可能な、前記第2無線アクセス局を含む周辺の他の無線アクセス局を認識する認識部を更に備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項9】
前記移動端末は、
前記第1無線アクセス局から送信される前記情報を受信する端末側受信部と、
前記端末側受信部が前記受信した情報を前記第2無線アクセス局に送信する端末側送信部と
を備えることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項10】
一以上の移動端末と、夫々が前記移動端末と無線通信を行う複数の無線アクセス局を備えた無線通信システムにおける無線アクセス局において、
他の無線アクセス局の有する情報を要求する情報取得要求を、前記移動端末のいずれかである第1移動端末に送信する送信部と、
前記情報取得要求に基づき、前記移動端末のいずれかである第2移動端末を介して、前記他の無線アクセス局から送信される前記情報を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記情報に対して所定のデータ処理を施す信号処理部と、
前記データ処理が施された前記情報の提供を行う情報提供部と
を備えることを特徴とする無線アクセス局。
【請求項11】
一以上の移動端末と、夫々が前記移動端末と無線通信を行う複数の無線アクセス局を備えた無線通信システムにおける無線アクセス局において、
前記移動端末のいずれかである第1移動端末を介して、他の無線アクセス局の有する情報を当該無線アクセス局が情報提供することを要求する情報提供要求であって且つ前記他の無線アクセス局から送信される情報提供要求を受信する第1受信部と、
前記情報提供要求に基づき、前記移動端末のいずれかである第2移動端末を介して、前記他の無線アクセス局から送信される前記情報を受信する第2受信部と、
前記第2受信部が受信した前記情報に対して所定のデータ処理を施す信号処理部と、
前記データ処理が施された前記情報の提供を行う情報提供部と
を備えることを特徴とする無線アクセス局。
【請求項12】
一以上の移動端末と、
夫々が前記移動端末と無線通信を行う第1無線アクセス局及び第2無線アクセス局と
を備えている無線通信システムにおける通信方法であって、
前記移動端末のいずれかである第1移動端末を介して、前記第1無線アクセス局の有する情報を要求する情報取得要求が、前記第2無線アクセス局から前記第1無線アクセス局に対して送信され、
前記第1移動端末を介して、前記情報取得要求が前記第1無線アクセス局によって受信され、
受信された前記情報取得要求に基づき、前記移動端末のいずれかである第2移動端末を介して、前記第1無線アクセス局から前記第2無線アクセス局に対して前記情報が送信され、
前記第2移動端末を介して、前記第1無線アクセス局から送信される前記情報が前記第2無線アクセス局によって受信され、
前記第2無線アクセス局によって、受信した前記情報に対して所定のデータ処理が施され、
前記第2無線アクセス局によって、前記データ処理が施された前記情報が提供される
ことを特徴とする通信方法。
【請求項13】
一以上の移動端末と、
夫々が前記移動端末と無線通信を行う第1無線アクセス局及び第2無線アクセス局と
を備えている無線通信システムにおける通信方法であって、
前記移動端末のいずれかである第1移動端末を介して、前記第1無線アクセス局の有する情報を前記第2無線アクセス局が情報提供することを要求する情報提供要求が、前記第1無線アクセス局から前記第2無線アクセス局に対して送信され、
前記第1移動端末を介して、前記情報提供要求が前記第2無線アクセス局によって受信され、
送信された前記情報取得要求に基づき、前記移動端末のいずれかである第2移動端末を介して、前記第1無線アクセス局から前記第2無線アクセス局に対して前記情報が送信され、
前記第2移動端末を介して、前記第1無線アクセス局から送信される前記情報が前記第2無線アクセス局によって受信され、
前記第2無線アクセス局によって、受信した前記情報に対して所定のデータ処理が施され、
前記第2無線アクセス局によって、前記データ処理が施された前記情報が提供される
ことを特徴とする通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−147378(P2012−147378A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5908(P2011−5908)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】