説明

無線通信システム、無線タグ装置、無線リーダライタ装置および無線通信方法

【課題】 無線リーダライタ装置の無線干渉が発生するのを抑えることのできる無線通信システムを提供する。
【解決手段】 無線通信システム1は、複数の周波数チャネルの中から一つの周波数チャネルを選択して無線通信を行う無線タグ装置2と複数の無線リーダライタ装置3を備える。無線タグ装置2は、第1の無線リーダライタ装置3との無線通信が成功したときに、第1の無線リーダライタ装置3のID情報と周波数チャネル情報と移動距離基準情報を格納し、次に無線通信が成功した第2の無線リーダライタ装置3へ送信する。第2の無線リーダライタ装置3は、無線タグ装置2から受信したID情報と周波数チャネル情報と移動距離基準情報に基づいて、第1の無線リーダライタ装置3との無線干渉の可能性の有無を判定し、無線干渉の可能性が有ると判定された場合に、無線タグ装置2との無線通信に用いる周波数チャネルを変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の周波数チャネルの中から一つの周波数チャネルを選択して無線通信を行う無線通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、RFIDタグが内蔵された端末装置(タグ装置)と、そのタグ装置と無線通信を行ってRFIDタグの情報をリード/ライトする機能を備えた装置(リーダライタ装置)とで構成される無線通信システムが、種々のサービスに利用されている。そのサービスの種類によっては、複数の無線リーダライタ装置が設置される場合があるが、その場合、複数の無線リーダライタ装置の間での無線干渉の発生を防ぐ必要がある。
【0003】
そこで、従来、複数の周波数チャネルの中から一つの周波数チャネルを選択して無線通信を行うことにより、複数の無線リーダライタ装置の間での無線干渉の発生を防ぐ方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。例えば、複数のRFIDリーダ装置の現在位置を管理するための装置(制御端末)を設置しておき、その装置で、あるRFIDリーダ装置(ハンディ型RFIDリーダ装置)が、他のRFIDリーダ装置(据置型RFIDリーダ装置)と電波干渉が発生する範囲内に位置していると判断された場合に、そのRFIDリーダ装置(ハンディ型RFIDリーダ装置)のチャネルを、他のチャネルに変更することにより、RFIDリーダ装置の間での無線干渉の発生が防がれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−226273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の方法では、複数のRFIDリーダ装置の現在位置を管理するための装置(専用の装置)を設置する必要があるという問題があった。そして、そのような専用の装置を設けるためには、その分だけ余計に費用がかかるという問題があった。
【0006】
そこで、RFIDリーダ装置が互いの位置(存在)を検知できるようにして、他のRFIDリーダ装置を検知したら、自らのチャネルを他のチャネルに変更する方法が考えられる。そうすれば、従来のような専用の装置を設けることなく、RFIDリーダ装置の間での無線干渉の発生を自律的に防ぐことができる。しかし、RFIDリーダ装置が互いの通信エリア外に位置している場合には、RFIDリーダ装置が互いの位置(存在)を検知できず、無線干渉が発生してしまうという問題があった。同様に、RFIDリーダ装置の間に壁などの遮蔽物がある場合には、RFIDリーダ装置が互いの位置(存在)を検知できず、無線干渉が発生してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたもので、従来のような専用の装置を設ける必要がなく、また、複数の無線リーダライタ装置が互いの存在を検知できないような場合であっても、他の無線リーダライタ装置との無線干渉が発生するのを抑えることのできる無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の無線通信システムは、複数の周波数チャネルの中から一つの周波数チャネルを選択して無線通信を行う無線タグ装置と複数の無線リーダライタ装置を備えた無線通信システムにおいて、前記無線タグ装置は、第1の無線リーダライタ装置との無線通信が成功したときに、前記第1の無線リーダライタ装置のIDを示すID情報を格納するID情報格納部と、前記第1の無線リーダライタ装置との無線通信に用いた周波数チャネルを示す周波数チャネル情報を格納する周波数チャネル情報格納部と、前記第1の無線リーダライタ装置との無線通信が成功してから、次に第2の無線リーダライタ装置との無線通信が成功するまでの間に、前記無線タグ装置が移動した距離を求めるための基準となる移動距離基準情報を格納する移動距離基準情報格納部と、次に前記第2の無線リーダライタ装置との無線通信が成功したときに、前記第1の無線リーダライタ装置の前記ID情報と前記周波数チャネル情報と前記移動距離基準情報を、前記第2の無線リーダライタ装置へ送信する送信部と、を備え、前記第2の無線リーダライタ装置は、前記無線タグ装置との無線通信が成功したときに、前記第1の無線リーダライタ装置の前記ID情報と前記周波数チャネル情報と前記移動距離基準情報を、前記無線タグ装置から受信する受信部と、前記第1の無線リーダライタ装置の前記ID情報と前記周波数チャネル情報と前記移動距離基準情報に基づいて、前記第1の無線リーダライタ装置との無線干渉の可能性の有無を判定する無線干渉判定部と、前記無線干渉判定部により、前記第1の無線リーダライタ装置との無線干渉の可能性が有ると判定された場合に、前記無線タグ装置との無線通信に用いる周波数チャネルを変更する周波数チャネル変更部と、を備えた構成を有している。
【0009】
この構成により、第2の無線リーダライタ装置は、無線タグ装置から送信された情報(ID情報と周波数チャネル情報と移動距離基準情報)に基づいて、第1の無線リーダライタ装置との無線干渉の可能性が有るか否かを判定することができる。そして、第1の無線リーダライタ装置との無線干渉の可能性が有ると判定された場合には、無線タグ装置との無線通信に用いる周波数チャネルを自動的(自律的)に変更することができる。したがって、複数の周波数チャネルの中から一つの周波数チャネルを選択して無線通信を行う無線通信システムにおいて、複数の無線リーダライタ装置が互いの存在を検知できないような場合(他の無線リーダライタ装置から送信された情報を受信できない場合)であっても、他の無線リーダライタ装置との無線干渉が発生するのを抑えることができる。この場合、従来のような専用の装置を設ける必要がない。
【0010】
また、本発明の無線通信システムでは、前記移動距離基準情報は、前記第1の無線リーダライタ装置との無線通信が成功してから、次に前記第2の無線リーダライタ装置との無線通信が成功するまでの間の経過時間の情報であり、前記無線干渉判定部は、前記第1の無線リーダライタ装置とIDが異なり、かつ、前記無線通信に用いた周波数チャネルが同一であり、かつ、前記経過時間が所定のしきい時間以下である場合に、前記第1の無線リーダライタ装置との無線干渉の可能性が有ると判定する構成を有している。
【0011】
この構成により、移動距離基準情報として、第1の無線リーダライタ装置との無線通信が成功してから、次に第2の無線リーダライタ装置との無線通信が成功するまでの間の経過時間の情報が用いられる。例えば、無線タグ装置を所持しているユーザが、一定の速度(例えば、1.1m/秒)で移動していると仮定すると、経過時間から無線タグ装置が移動した距離を推定することができる。そして、第2の無線リーダライタ装置では、第1の無線リーダライタ装置とIDが異なり、かつ、無線通信に用いた周波数チャネルが同一であり、かつ、経過時間が所定のしきい時間以下(例えば、10秒以下)である場合には、第1の無線リーダライタ装置(他の無線リーダライタ装置)との無線干渉の可能性が有ると判定され、無線タグ装置との無線通信に用いる周波数チャネルが変更される。これにより、他の無線リーダライタ装置との無線干渉が発生するのを適切に抑えることができる。
【0012】
また、本発明の無線通信システムでは、前記移動距離基準情報は、前記第1の無線リーダライタ装置との無線通信が成功したときの前記無線タグ装置の位置と、次に前記第2の無線リーダライタ装置との無線通信が成功したときの前記無線タグ装置の位置の情報であり、前記無線干渉判定部は、前記第1の無線リーダライタ装置とIDが異なり、かつ、前記無線通信に用いた周波数チャネルが同一であり、かつ、前記二つの位置の間の距離が所定のしきい距離以下である場合に、前記第1の無線リーダライタ装置との無線干渉の可能性が有ると判定する構成を有している。
【0013】
この構成により、移動距離基準情報として、第1の無線リーダライタ装置との無線通信が成功したときと、次に第2の無線リーダライタ装置との無線通信が成功したときの無線タグ装置の位置の情報が用いられる。そして、第2の無線リーダライタ装置では、第1の無線リーダライタ装置とIDが異なり、かつ、無線通信に用いた周波数チャネルが同一であり、かつ、無線リーダライタ装置との無線通信が成功したときの無線タグ装置の位置から求めた距離が所定のしきい距離以下である場合には、第1の無線リーダライタ装置(他の無線リーダライタ装置)との無線干渉の可能性が有ると判定され、無線タグ装置との無線通信に用いる周波数チャネルが変更される。これにより、他の無線リーダライタ装置との無線干渉が発生するのを適切に抑えることができる。
【0014】
また、本発明の無線通信システムでは、前記移動距離基準情報は、前記第1の無線リーダライタ装置との無線通信が成功したときの前記無線タグ装置の位置から、次に前記第2の無線リーダライタ装置との無線通信が成功したときの前記無線タグ装置の位置までの距離の情報であり、前記無線干渉判定部は、前記第1の無線リーダライタ装置とIDが異なり、かつ、前記無線通信に用いた周波数チャネルが同一であり、かつ、前記距離が所定のしきい距離以下である場合に、前記第1の無線リーダライタ装置との無線干渉の可能性が有ると判定する構成を有している。
【0015】
この構成により、移動距離基準情報として、第1の無線リーダライタ装置との無線通信が成功してから、次に第2の無線リーダライタ装置との無線通信が成功するまでの無線タグ装置の距離の情報が用いられる。そして、第2の無線リーダライタ装置では、第1の無線リーダライタ装置のIDが異なり、かつ、無線通信に用いた周波数チャネルが同一であり、かつ、上記の距離が所定のしきい距離以下である場合には、第1の無線リーダライタ装置(他の無線リーダライタ装置)との無線干渉の可能性が有ると判定され、無線タグ装置との無線通信に用いる周波数チャネルが変更される。これにより、他の無線リーダライタ装置との無線干渉が発生するのを適切に抑えることができる。
【0016】
また、本発明の無線通信システムでは、前記第2の無線リーダライタ装置は、前記複数の無線リーダライタ装置の各々について予め定められた優先度に基づいて、前記無線タグ装置との無線通信に用いる周波数チャネルを変更するか否かを判定する優先度判定部を備えた構成を有している。
【0017】
この構成により、複数の無線リーダライタ装置の各々には、予め優先度が設定されており、その優先度に基づいて、無線タグ装置との無線通信に用いる周波数チャネルを変更するか否かが判定される。例えば、第1の無線リーダライタ装置(他の無線リーダライタ装置)との無線干渉の可能性が有ると判定された場合であっても、その第1の無線リーダライタ装置(他の無線リーダライタ装置)の優先度が低い場合には、周波数チャネルの変更は行われず、優先度の高い無線リーダライタ装置との無線通信が維持される。このように、無線通信に用いる周波数チャネルの変更が適切に行われる。
【0018】
本発明の無線タグ装置は、複数の周波数チャネルの中から一つの周波数チャネルを選択して複数の無線リーダライタ装置と無線通信を行う無線タグ装置であって、第1の無線リーダライタ装置との無線通信が成功したときに、前記第1の無線リーダライタ装置のIDを示すID情報を格納するID情報格納部と、前記第1の無線リーダライタ装置との無線通信に用いた周波数チャネルを示す周波数チャネル情報を格納する周波数チャネル情報格納部と、前記第1の無線リーダライタ装置との無線通信が成功してから、次に第2の無線リーダライタ装置との無線通信が成功するまでの間に、前記無線タグ装置が移動した距離を求めるための基準となる移動距離基準情報を格納する移動距離基準情報格納部と、次に前記第2の無線リーダライタ装置との無線通信が成功したときに、前記第1の無線リーダライタ装置の前記ID情報と前記周波数チャネル情報と前記移動距離基準情報を、前記第2の無線リーダライタ装置へ送信する送信部と、を備えた構成を有している。
【0019】
この無線タグ装置によっても、上記と同様に、複数の周波数チャネルの中から一つの周波数チャネルを選択して無線通信を行う無線通信システムにおいて、複数の無線リーダライタ装置が互いの存在を検知できないような場合であっても、無線リーダライタ装置の無線干渉が発生するのを抑えることができ、従来のような専用の装置を設ける必要がない。
【0020】
本発明の無線リーダライタ装置は、複数の周波数チャネルの中から一つの周波数チャネルを選択して無線タグ装置と無線通信を行う無線リーダライタ装置であって、前記無線タグ装置との無線通信が成功したときに、前記無線タグ装置が以前に無線通信に成功した他の無線リーダライタ装置のIDを示すID情報と、前記他の無線リーダライタ装置との無線通信に用いた周波数チャネルを示す周波数チャネル情報と、前記他の無線リーダライタ装置との無線通信が成功してから今回無線通信が成功するまでの間に前記無線タグ装置が移動した距離を求めるための基準となる移動距離基準情報を、前記無線タグ装置から受信する受信部と、前記他の無線リーダライタ装置の前記ID情報と前記周波数チャネル情報と前記移動距離基準情報に基づいて、前記他の無線リーダライタ装置との無線干渉の可能性の有無を判定する無線干渉判定部と、前記無線干渉判定部により、前記他の無線リーダライタ装置との無線干渉の可能性が有ると判定された場合に、前記無線タグ装置との無線通信に用いる周波数チャネルを変更する周波数チャネル変更部と、を備えた構成を有している。
【0021】
この無線リーダライタ装置によっても、上記と同様に、複数の周波数チャネルの中から一つの周波数チャネルを選択して無線通信を行う無線通信システムにおいて、複数の無線リーダライタ装置が互いの存在を検知できないような場合であっても、無線リーダライタ装置の無線干渉が発生するのを抑えることができ、従来のような専用の装置を設ける必要がない。
【0022】
本発明の無線通信方法は、複数の周波数チャネルの中から一つの周波数チャネルを選択して無線通信を行う無線タグ装置と複数の無線リーダライタ装置を備えた無線通信システムにおいて用いられる無線通信方法であって、前記無線タグ装置は、第1の無線リーダライタ装置との無線通信が成功したときに、前記第1の無線リーダライタ装置のIDを示すID情報を格納し、前記第1の無線リーダライタ装置との無線通信に用いた周波数チャネルを示す周波数チャネル情報を格納し、前記第1の無線リーダライタ装置との無線通信が成功してから、次に第2の無線リーダライタ装置との無線通信が成功するまでの間に、前記無線タグ装置が移動した距離を求めるための基準となる移動距離基準情報を格納し、次に前記第2の無線リーダライタ装置との無線通信が成功したときに、前記第1の無線リーダライタ装置の前記ID情報と前記周波数チャネル情報と前記移動距離基準情報を、前記第2の無線リーダライタ装置へ送信し、前記第2の無線リーダライタ装置は、前記無線タグ装置との無線通信が成功したときに、第1の無線リーダライタ装置の前記ID情報と前記周波数チャネル情報と前記移動距離基準情報を、前記無線タグ装置から受信し、第1の無線リーダライタ装置の前記ID情報と前記周波数チャネル情報と前記移動距離基準情報に基づいて、前記第1の無線リーダライタ装置との無線干渉の可能性の有無を判定し、前記第1の無線リーダライタ装置との無線干渉の可能性が有ると判定された場合に、前記無線タグ装置との無線通信に用いる周波数チャネルを変更する。
【0023】
この無線通信方法によっても、上記と同様に、複数の周波数チャネルの中から一つの周波数チャネルを選択して無線通信を行う無線通信システムにおいて、複数の無線リーダライタ装置が互いの存在を検知できないような場合であっても、無線リーダライタ装置の無線干渉が発生するのを抑えることができ、従来のような専用の装置を設ける必要がない。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、従来のような専用の装置を設ける必要がなく、複数の無線リーダライタ装置が互いの存在を検知できないような場合であっても、無線リーダライタ装置の無線干渉が発生するのを抑えることができるという効果を有する無線通信システムを提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態における無線通信システムのブロック図
【図2】二つの無線リーダライタ装置の間に遮蔽物がある場合の説明図
【図3】二つの無線リーダライタ装置が互いの通信エリア圏外に位置している場合の説明図
【図4】次に無線通信が成功するまでの経過時間の説明図
【図5】本発明の実施の形態における無線タグ装置の動作説明のためのフロー図
【図6】本発明の実施の形態における無線リーダライタ装置の動作説明のためのフロー図
【図7】本発明の実施の形態における周波数チャネルの変更処理を説明するためのシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態の無線通信システムについて、図面を用いて説明する。本実施の形態では、児童や高齢者の見守りシステムや店舗広告配信サービス等に用いられる無線通信システムの場合を例示する。
【0027】
児童や高齢者の見守りシステムでは、公園や学校などに無線リーダライタ装置が設置される。児童や高齢者などの見守り対象者に、RFIDタグを内蔵した端末装置(無線タグ装置)を所持させる。無線タグ装置を所持した見守り対象者が、公園や学校などに設置されている無線リーダライタ装置の近く(通信エリア内)を通過すると、無線タグ装置と無線リーダライタ装置との間で無線通信が行われ、見守り対象者の情報(誰が何時何分に何処を通過したかの情報)が取得される。その情報は、無線リーダライタ装置からセンター装置へ送られ、センター装置からユーザ端末装置(家庭などに設置されるパーソナルコンピュータなど)へ送られる。児童の保護者などは、家庭に居ながらにして、その情報(見守り対象者の情報)を確認することができる。
【0028】
店舗広告配信サービスでは、種々の店舗に無線リーダライタ装置が設置される。ユーザが、RFIDタグを内蔵した端末装置(無線タグ装置)を所持した状態で、その店舗の近く(無線リーダライタ装置の通信エリア内)を通過すると、無線タグ装置と無線リーダライタ装置との間で無線通信が行われ、その店舗の広告情報(新商品の情報や特売情報など)が、無線リーダライタ装置から無線タグ装置へ送信される。ユーザは、近くを通った店舗の広告情報を取得することができる。
【0029】
本発明の実施の形態の無線通信システムは、このような児童や高齢者の見守りシステムや店舗広告配信サービスなどに適用される。なお、本実施の形態の無線通信システムが、これら以外の種々のサービスに適用できることは勿論である。
【0030】
以下、本実施の形態の無線通信システムの構成を、図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態の無線通信システムを示すブロック図である。図1に示すように、無線通信システム1は、無線タグ装置2と無線リーダライタ装置3を備えている。無線タグ装置2と無線リーダライタ装置3は、複数の周波数チャネルの中から一つの周波数チャネルを選択して無線通信を行う。
【0031】
ここでは、まず、無線タグ装置2の構成について説明する。無線タグ装置2は、無線リーダライタ装置3へ送信するためのデータを生成するデータ生成部4と、データ生成部4で生成されたデータを無線リーダライタ装置3へ送信する送信部5を備えている。また、無線タグ装置2は、無線リーダ装置から送信されたデータを受信する受信部6と、受信部6で受信したデータを復号化するデータ復号部7を備えている。また、無線タグ装置2は、無線リーダライタ装置3とのデータの送受信を制御する制御部8を備えている。
【0032】
この無線タグ装置2は、無線リーダライタ装置3との無線通信に成功したときの履歴情報(通信成功履歴情報)を格納しておく通信成功履歴格納部9を備えている。通信成功履歴格納部9は、無線通信が成功した無線リーダライタ装置3のIDを示すID情報を格納しておくID情報格納部10と、その無線リーダライタ装置3との無線通信に用いた周波数チャネルを示す周波数チャネル情報を格納しておく周波数チャネル情報格納部11を備えている。
【0033】
また、無線タグ装置2は、その無線リーダライタ装置3との無線通信が成功してから、次に無線リーダライタ装置3との無線通信が成功するまでの間に、無線タグ装置2が移動した距離を求めるための基準となる移動距離基準情報を取得する移動距離基準情報取得部12を備えており、通信成功履歴格納部9は、移動距離基準情報取得部12によって取得した移動距離基準情報を格納しておく移動距離基準情報格納部13を備えている。
【0034】
例えば、移動距離基準情報は、無線リーダライタ装置3との無線通信が成功してから、次に無線リーダライタ装置3との無線通信が成功するまでの間の経過時間の情報である。その場合、移動距離基準情報取得部12は、経過時刻を測定する計時部である。また、移動距離基準情報は、無線リーダライタ装置3との無線通信が成功したときの無線タグ装置2の位置と、次に無線リーダライタ装置3との無線通信が成功したときの無線タグ装置2の位置の情報であってもよい。その場合、移動距離基準情報取得部12は、GPSなどで現在位置情報を取得する位置取得部である。また、移動距離基準情報は、無線リーダライタ装置3との無線通信が成功したときの無線タグ装置2の位置と、次に無線リーダライタ装置3との無線通信が成功したときの無線タグ装置2の位置との距離の情報である。その場合、移動距離基準情報取得部12は、加速度センサなどで2点間の距離を測定する距離測定部である。この場合には、上記の距離の情報を直接取得することが可能となる。
【0035】
そして、無線タグ装置2の送信部5は、無線リーダライタ装置3との無線通信が成功したときに、通信成功履歴情報(ID情報と周波数チャネル情報と移動距離基準情報)を、その無線通信が成功した前記無線リーダライタ装置3へ送信するように構成されている。なお、移動距離基準情報取得部12と移動距離基準情報格納部13は、無線リーダライタ装置3に設けられていてもよい。
【0036】
つぎに、無線リーダライタ装置3の構成について説明する。無線リーダライタ装置3は、無線タグ装置2へ送信するためのデータを生成するデータ生成部14と、データ生成部14で生成されたデータを無線タグ装置2へ送信する送信部15を備えている。また、無線リーダライタ装置3は、無線タグ装置2から送信されたデータを受信する受信部16と、受信部16で受信したデータを復号化するデータ復号部17を備えている。また、無線リーダライタ装置3は、無線タグ装置2とのデータの送受信を制御する制御部18を備えている。
【0037】
この無線リーダライタ装置3は、判定部19を備えている。この判定部19は、無線タグ装置2から受信したID情報と周波数チャネル情報と移動距離基準情報に基づいて、他の無線リーダライタ装置3との無線干渉の可能性の有無を判定する機能を備えている。
【0038】
例えば、移動距離基準情報が、経過時間の情報(無線リーダライタ装置3との無線通信が成功してから、次に無線リーダライタ装置3との無線通信が成功するまでの間の経過時間の情報)である場合には、無線リーダライタ装置3のIDが互いに異なり、かつ、無線通信に用いた周波数チャネルが互いに同一であり、かつ、経過時間が所定のしきい時間以下(例えば、10秒以下)である場合に、他の無線リーダライタ装置3との無線干渉の可能性が有ると判定される。
【0039】
また、移動距離基準情報が、位置の情報(無線リーダライタ装置3との無線通信が成功したときの無線タグ装置2の位置と、次に無線リーダライタ装置3との無線通信が成功したときの無線タグ装置2の位置の情報)である場合には、無線リーダライタ装置3のIDが互いに異なり、かつ、無線通信に用いた周波数チャネルが互いに同一であり、かつ、二つの位置の間の距離が所定のしきい距離以下(例えば、11m以下)である場合に、他の無線リーダライタ装置3との無線干渉の可能性が有ると判定される。
【0040】
そして、無線リーダライタの制御部18は、他の無線リーダライタ装置3との無線干渉の可能性が有ると判定された場合に、無線タグ装置2との無線通信に用いる周波数チャネルを変更する制御を行う機能を備えている。
【0041】
また、無線リーダライタ装置3の判定部19は、予め定められた無線リーダライタ装置3の優先度に基づいて、無線タグ装置2との無線通信に用いる周波数チャネルを変更するか否かを判定する機能を備えている。例えば、その無線リーダライタ装置3(自装置)の優先度が「高」に設定されており、他の無線リーダライタ装置3の優先度が「低」に設定されている場合には、その無線リーダライタ装置3(自装置)の周波数チャネルを変更しないと判定される。
【0042】
その場合には、他の無線リーダライタ装置3との無線干渉の可能性が有ると判定されたとしても、無線タグ装置2との無線通信に用いる周波数チャネルを変更する制御は行われない。なお、優先度の情報は、他の無線リーダライタ装置3(前回、無線通信に成功した無線リーダライタ装置3)から無線タグ装置2へ送られ、無線タグ装置2から無線リーダライタ装置3(今回、無線通信に成功した無線リーダライタ装置3)へ送られてもよい。
【0043】
以上のように構成された無線通信システム1について、図面を参照してその動作を説明する。
【0044】
ここでは、図2に示すように、二つの無線リーダライタ装置3(無線リーダライタ装置A、B)の間に壁などの遮蔽物がある場合の動作について説明する。図2の例では、無線タグ装置2が、位置A(一方の無線リーダライタ装置Aのみの通信エリア内)から位置B(両方の無線リーダライタ装置A、Bの通信エリア内)へ移動し、さらに位置C(他方の無線リーダライタ装置Bのみの通信エリア内)へ移動した場合の動作について説明する。
【0045】
なお、この時の動作は、図3に示すように、無線リーダライタ装置3が互いの通信エリア外に位置している場合に、位置A(一方の無線リーダライタ装置Aのみの通信エリア内)から位置B(両方の無線リーダライタ装置A、Bの通信エリア内)へ移動し、さらに位置C(他方の無線リーダライタ装置Bのみの通信エリア内)へ移動した場合の動作と同じである。
【0046】
また、以下では、移動距離基準情報が、経過時間の情報である場合について説明するが、移動距離基準情報が、位置の情報であってもよいことは言うまでもない。経過時間は、無線タグ装置2が移動した距離の基準となるパラメータであり、無線リーダライタ装置3の通信エリアの大きさとは無関係に決められる。図4に示すように、経過時間Tのしきい時間の値を大きくすると、無線リーダライタ装置3の通信エリア間の距離Dが大きくなる。そのため、しきい時間の値が大きすぎると、チャネル利用効率が低くなるおそれがある。したがって、しきい時間の値は、チャネル利用効率を考慮して適切に設定される。なお、この例では、しきい時間の長さが10秒に設定されるが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【0047】
ここでは、まず、図5のフロー図を参照して、本実施の形態の無線タグ装置2の動作を説明する。図5に示すように、無線タグ装置2は、複数の周波数チャネルの中から、無線リーダライタ装置3からのビーコンの受信に用いる周波数チャネルの設定を行って(S1)、その周波数チャネルで、無線リーダライタ装置3から送信されたビーコンを受信する処理を行う(S2)。ビーコンの受信処理が成功した場合(S3)、すなわち無線リーダライタ装置3との無線通信に成功した場合には、通信成功履歴情報(ID情報と周波数チャネル情報と経過時間)を、ビーコンに対する応答とともに、無線リーダライタ装置3へ送信する(S4)。
【0048】
その後、通信成功履歴情報を更新し(S5)、スリープへ移行した後(S6)、処理を終了する。この場合、移動距離基準情報が経過時間の情報であるため、通信成功履歴情報の更新処理(S5)で、経過時刻の測定が開始される。なお、移動距離基準情報が位置の情報である場合には、通信成功履歴情報の更新処理(S5)で、位置の測定が開始される。
【0049】
ビーコンの受信処理が成功しなかった場合には(S3)、全ての周波数チャネルでの受信処理が終了したか否かの判断を行う(S7)。全ての周波数チャネルでの受信処理が終了していなければ、再度、ビーコンの受信に用いる周波数チャネルの設定を行う(S1)。一方、全ての周波数チャネルでの受信処理が終了していれば、無線タグ装置2は、スリープへ移行した後(S6)、処理を終了する。
【0050】
つぎに、図6のフロー図を参照して、本実施の形態の無線リーダライタ装置3の動作を説明する。図6に示すように、無線リーダライタ装置3は、無線タグ装置2からビーコンに対する応答とともに、通信成功履歴情報(ID情報と周波数チャネル情報と経過時間)を受信する(S10)。そして、通信成功履歴情報に含まれる経過時間が所定のしきい時間以下(例えば、10秒以下)であり(S11)、かつ、通信成功履歴情報に含まれる周波数チャネルが現在ビーコンの送信に使用している周波数チャネルと同じであり(S12)、かつ、通信成功履歴情報に含まれるIDを有する無線リーダライタ装置3が自装置より優先度の高いと判定された場合には(S13)、ビーコンの送信に使用している周波数チャネルを変更する処理を行う(S14)。
【0051】
最後に、図7のシーケンス図を参照して、周波数チャネルの変更処理のシステム全体の流れについて説明する。図7に示すように、無線タグ装置2が、位置A(一方の無線リーダライタ装置Aのみの通信エリア内)に存在している場合、無線リーダライタ装置Aからのビーコンを受信することはできるが、無線リーダライタ装置Bからのビーコンを受信することはできない。なお、無線タグ装置2が、スリープ状態のときには、無線リーダライタ装置Aからのビーコンも受信することができない。
【0052】
無線タグ装置2が、スリープ状態から復帰しているときに、無線リーダライタ装置Aからのビーコンが送信されると、無線タグ装置2は、無線リーダライタ装置Aに応答を送信する。なお、無線タグ装置2が無線通信に成功したことがない場合には、通信成功履歴情報を送信せずに、応答のみを無線リーダライタ装置Aに送信してもよい。
【0053】
無線リーダライタ装置Aが、無線タグ装置2からの応答を受信すると、無線通信が成功したことを示すビーコン(ACK)を無線タグ装置2へ送信する。無線タグ装置2が、無線リーダライタ装置Aからのビーコン(ACK)を受信すると、無線通信が成功したことになり、通信成功履歴情報が更新される。
【0054】
つぎに、無線タグ装置2が、位置B(両方の無線リーダライタ装置A、Bの通信エリア内)へ移動した場合、二つの無線リーダライタ装置A、Bの両方からのビーコンを受信することができるようになる。この場合、二つの無線リーダライタ装置A、Bの両方が、ともに周波数チャネル1(CH1)を使用してビーコンを送信しており、無線リーダライタ装置A、Bの間で無線干渉が発生してしまう。
【0055】
そこで、無線タグ装置2が、位置C(他方の無線リーダライタ装置Bのみの通信エリア内)へ移動したときに、無線リーダライタ装置Bからのビーコンを受信すると、無線タグ装置2は、無線リーダライタ装置Bに応答を送信するとともに、無線リーダライタ装置Bに通信成功履歴情報(経過時間Tだけ前に、無線リーダライタ装置Aと周波数チャネル1を使って無線通信に成功したことを示す情報)を送信する。そうすると、無線リーダライタ装置Bでは、この通信成功履歴情報に基づいて、ビーコンの送信に使用する周波数チャネルを、周波数チャネル2(CH2)へ変更する処理が行われる。したがって、その後、無線タグ装置2が位置Bに移動したとしても、無線リーダライタ装置A、Bの間で無線干渉が発生することがない。
【0056】
このような本実施の形態の無線通信システム1によれば、従来のような専用の装置を設ける必要がなく、複数の無線リーダライタ装置3が互いの存在を検知できないような場合であっても、無線リーダライタ装置3の無線干渉が発生するのを抑えることができる。
【0057】
すなわち、本実施の形態では、無線リーダライタ装置3は、無線タグ装置2から送信された情報(ID情報と周波数チャネル情報と移動距離基準情報)に基づいて、他の無線リーダライタ装置3との無線干渉の可能性が有るか否かを判定することができる。そして、他の無線リーダライタ装置3との無線干渉の可能性が有ると判定された場合には、無線タグ装置2との無線通信に用いる周波数チャネルを自動的(自律的)に変更することができる。したがって、複数の周波数チャネルの中から一つの周波数チャネルを選択して無線通信を行う無線通信システム1において、複数の無線リーダライタ装置3が互いの存在を検知できないような場合(他の無線リーダライタ装置3から送信された情報を受信できない場合)であっても、他の無線リーダライタ装置3との無線干渉が発生するのを抑えることができる。この場合、従来のような専用の装置を設ける必要がない。
【0058】
また、本実施の形態では、移動距離基準情報として、無線リーダライタ装置3との無線通信が成功してから、次に無線リーダライタ装置3との無線通信が成功するまでの間の経過時間の情報が用いられる。例えば、無線タグ装置2を所持しているユーザが、一定の速度(例えば、1.1m/秒)で移動していると仮定すると、経過時間から無線タグ装置2が移動した距離を推定することができる。そして、無線リーダライタ装置3のIDが異なり、かつ、無線通信に用いた周波数チャネルが同一であり、かつ、経過時間が所定のしきい時間以下(例えば、10秒以下)である場合には、他の無線リーダライタ装置3との無線干渉の可能性が有ると判定され、無線タグ装置2との無線通信に用いる周波数チャネルが変更される。これにより、他の無線リーダライタ装置3との無線干渉が発生するのを適切に抑えることができる。
【0059】
また、本実施の形態では、移動距離基準情報として、無線リーダライタ装置3との無線通信が成功したときの無線タグ装置2の位置の情報が用いられる。そして、無線リーダライタ装置3のIDが異なり、かつ、無線通信に用いた周波数チャネルが同一であり、かつ、無線リーダライタ装置3との無線通信が成功したときの無線タグ装置2の位置から求めた距離が所定のしきい距離以下である場合には、他の無線リーダライタ装置3との無線干渉の可能性が有ると判定され、無線タグ装置2との無線通信に用いる周波数チャネルが変更される。これにより、他の無線リーダライタ装置3との無線干渉が発生するのを適切に抑えることができる。
【0060】
また、本実施の形態では、無線リーダライタ装置3には、予め優先度が設定されており、その優先度に基づいて、無線タグ装置2との無線通信に用いる周波数チャネルを変更するか否かが判定される。例えば、他の無線リーダライタ装置3との無線干渉の可能性が有ると判定された場合であっても、その無線リーダライタ装置3(他の無線リーダライタ装置3)の優先度が低い場合には、周波数チャネルの変更は行われず、優先度の高い無線リーダライタ装置3との無線通信が維持される。このように、無線通信に用いる周波数チャネルの変更が適切に行われる。
【0061】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上のように、本発明にかかる無線通信システムは、従来のような専用の装置を設ける必要がなく、複数の無線リーダライタ装置が互いの存在を検知できないような場合であっても、無線リーダライタ装置の無線干渉が発生するのを抑えることができるという効果を有し、児童や高齢者の見守りシステムや店舗広告配信サービス等に適用され、有用である。
【符号の説明】
【0063】
1 無線通信システム
2 無線タグ装置
3 無線リーダライタ装置
4 データ生成部
5 送信部
6 受信部
7 データ復号部
8 制御部
9 通信成功履歴格納部
10 ID情報格納部
11 周波数チャネル情報格納部
12 移動距離基準情報取得部
13 移動距離基準情報格納部
14 データ生成部
15 送信部
16 受信部
17 データ復号部
18 制御部
19 判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の周波数チャネルの中から一つの周波数チャネルを選択して無線通信を行う無線タグ装置と複数の無線リーダライタ装置を備えた無線通信システムにおいて、
前記無線タグ装置は、
第1の無線リーダライタ装置との無線通信が成功したときに、前記第1の無線リーダライタ装置のIDを示すID情報を格納するID情報格納部と、
前記第1の無線リーダライタ装置との無線通信に用いた周波数チャネルを示す周波数チャネル情報を格納する周波数チャネル情報格納部と、
前記第1の無線リーダライタ装置との無線通信が成功してから、次に第2の無線リーダライタ装置との無線通信が成功するまでの間に、前記無線タグ装置が移動した距離を求めるための基準となる移動距離基準情報を格納する移動距離基準情報格納部と、
次に前記第2の無線リーダライタ装置との無線通信が成功したときに、前記第1の無線リーダライタ装置の前記ID情報と前記周波数チャネル情報と前記移動距離基準情報を、前記第2の無線リーダライタ装置へ送信する送信部と、
を備え、
前記第2の無線リーダライタ装置は、
前記無線タグ装置との無線通信が成功したときに、前記第1の無線リーダライタ装置の前記ID情報と前記周波数チャネル情報と前記移動距離基準情報を、前記無線タグ装置から受信する受信部と、
前記第1の無線リーダライタ装置の前記ID情報と前記周波数チャネル情報と前記移動距離基準情報に基づいて、前記第1の無線リーダライタ装置との無線干渉の可能性の有無を判定する無線干渉判定部と、
前記無線干渉判定部により、前記第1の無線リーダライタ装置との無線干渉の可能性が有ると判定された場合に、前記無線タグ装置との無線通信に用いる周波数チャネルを変更する周波数チャネル変更部と、
を備えたことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記移動距離基準情報は、前記第1の無線リーダライタ装置との無線通信が成功してから、次に前記第2の無線リーダライタ装置との無線通信が成功するまでの間の経過時間の情報であり、
前記無線干渉判定部は、前記第1の無線リーダライタ装置とIDが異なり、かつ、前記無線通信に用いた周波数チャネルが同一であり、かつ、前記経過時間が所定のしきい時間以下である場合に、前記第1の無線リーダライタ装置との無線干渉の可能性が有ると判定することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記移動距離基準情報は、前記第1の無線リーダライタ装置との無線通信が成功したときの前記無線タグ装置の位置と、次に前記第2の無線リーダライタ装置との無線通信が成功したときの前記無線タグ装置の位置の情報であり、
前記無線干渉判定部は、前記第1の無線リーダライタ装置とIDが異なり、かつ、前記無線通信に用いた周波数チャネルが同一であり、かつ、前記二つの位置の間の距離が所定のしきい距離以下である場合に、前記第1の無線リーダライタ装置との無線干渉の可能性が有ると判定することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記移動距離基準情報は、前記第1の無線リーダライタ装置との無線通信が成功したときの前記無線タグ装置の位置から、次に前記第2の無線リーダライタ装置との無線通信が成功したときの前記無線タグ装置の位置までの距離の情報であり、
前記無線干渉判定部は、前記第1の無線リーダライタ装置とIDが異なり、かつ、前記無線通信に用いた周波数チャネルが同一であり、かつ、前記距離が所定のしきい距離以下である場合に、前記第1の無線リーダライタ装置との無線干渉の可能性が有ると判定することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記第2の無線リーダライタ装置は、
前記複数の無線リーダライタ装置の各々について予め定められた優先度に基づいて、前記無線タグ装置との無線通信に用いる周波数チャネルを変更するか否かを判定する優先度判定部を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項6】
複数の周波数チャネルの中から一つの周波数チャネルを選択して複数の無線リーダライタ装置と無線通信を行う無線タグ装置であって、
第1の無線リーダライタ装置との無線通信が成功したときに、前記第1の無線リーダライタ装置のIDを示すID情報を格納するID情報格納部と、
前記第1の無線リーダライタ装置との無線通信に用いた周波数チャネルを示す周波数チャネル情報を格納する周波数チャネル情報格納部と、
前記第1の無線リーダライタ装置との無線通信が成功してから、次に第2の無線リーダライタ装置との無線通信が成功するまでの間に、前記無線タグ装置が移動した距離を求めるための基準となる移動距離基準情報を格納する移動距離基準情報格納部と、
次に前記第2の無線リーダライタ装置との無線通信が成功したときに、前記第1の無線リーダライタ装置の前記ID情報と前記周波数チャネル情報と前記移動距離基準情報を、前記第2の無線リーダライタ装置へ送信する送信部と、
を備えたことを特徴とする無線タグ装置。
【請求項7】
複数の周波数チャネルの中から一つの周波数チャネルを選択して無線タグ装置と無線通信を行う無線リーダライタ装置であって、
前記無線タグ装置との無線通信が成功したときに、前記無線タグ装置が以前に無線通信に成功した他の無線リーダライタ装置のIDを示すID情報と、前記他の無線リーダライタ装置との無線通信に用いた周波数チャネルを示す周波数チャネル情報と、前記他の無線リーダライタ装置との無線通信が成功してから今回無線通信が成功するまでの間に前記無線タグ装置が移動した距離を求めるための基準となる移動距離基準情報を、前記無線タグ装置から受信する受信部と、
前記他の無線リーダライタ装置の前記ID情報と前記周波数チャネル情報と前記移動距離基準情報に基づいて、前記他の無線リーダライタ装置との無線干渉の可能性の有無を判定する無線干渉判定部と、
前記無線干渉判定部により、前記他の無線リーダライタ装置との無線干渉の可能性が有ると判定された場合に、前記無線タグ装置との無線通信に用いる周波数チャネルを変更する周波数チャネル変更部と、
を備えたことを特徴とする無線リーダライタ装置。
【請求項8】
複数の周波数チャネルの中から一つの周波数チャネルを選択して無線通信を行う無線タグ装置と複数の無線リーダライタ装置を備えた無線通信システムにおいて用いられる無線通信方法であって、
前記無線タグ装置は、
第1の無線リーダライタ装置との無線通信が成功したときに、前記第1の無線リーダライタ装置のIDを示すID情報を格納し、
前記第1の無線リーダライタ装置との無線通信に用いた周波数チャネルを示す周波数チャネル情報を格納し、
前記第1の無線リーダライタ装置との無線通信が成功してから、次に第2の無線リーダライタ装置との無線通信が成功するまでの間に、前記無線タグ装置が移動した距離を求めるための基準となる移動距離基準情報を格納し、
次に前記第2の無線リーダライタ装置との無線通信が成功したときに、前記第1の無線リーダライタ装置の前記ID情報と前記周波数チャネル情報と前記移動距離基準情報を、前記第2の無線リーダライタ装置へ送信し、
前記第2の無線リーダライタ装置は、
前記無線タグ装置との無線通信が成功したときに、第1の無線リーダライタ装置の前記ID情報と前記周波数チャネル情報と前記移動距離基準情報を、前記無線タグ装置から受信し、
第1の無線リーダライタ装置の前記ID情報と前記周波数チャネル情報と前記移動距離基準情報に基づいて、前記第1の無線リーダライタ装置との無線干渉の可能性の有無を判定し、
前記第1の無線リーダライタ装置との無線干渉の可能性が有ると判定された場合に、前記無線タグ装置との無線通信に用いる周波数チャネルを変更することを特徴とする無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−230531(P2012−230531A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98145(P2011−98145)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、総務省、ユビキタス・プラットフォーム技術の研究開発(ユビキタス端末技術)委託事業
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】