説明

無線通信システム、無線受信機および無線送信機

【課題】他のシステムに対する干渉を抑制しつつ、フラクショナル・サンプリングによるダイバーシチ効果が得られる方式を提供する。
【解決手段】目的のOFDM信号である目的信号(シンボル長1/Fs)と、該目的信号のイメージ信号を共に送信する無線送信機と、フラクショナル・サンプリング(オーバサンプリング比G)を用いて異なるサンプル点を選択してG個のパス成分に分解することでGパスのダイバーシチ利得を得る無線受信機とからなる無線通信システムであって、前記イメージ信号は、前記目的信号との周波数間隔がn・Fsであり、nはn≠K・G(Kは任意の整数)を満たす整数である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OFDM無線技術に関し、特に、フラクショナル・サンプリングを用いたOFDM無線技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、OFDM(直交周波数分割多重:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式が広く用いられている。OFDM変調方式は、互いに直交関係にある複数のサブキャリア(副搬送波)を用いるマルチキャリア・デジタル変調方式の一種であり、高い周波数利用効率が達成できる。
【0003】
OFDM変調方式において、ダイバーシチ効果を比較的容易に実装する方式として、フラクショナル・サンプリング(Fractional Sampling:FS。分数間隔サンプリング)が提案されている(非特許文献1)。FSは、ナイキスト周波数よりも高いレートで受信信号をサンプリングし、並列にDFT処理することで、マルチパスを分解することができる。送信機で信号がアップサンプルされたとき、周波数軸上には所望帯域信号のイメージング成分が帯域外に発生する。この信号はベースバンドフィルタでフィルタリングされ所望の帯域の信号だけが送信されるが、フィルタの周波数応答によって隣接帯域の信号が残る。この帯域外残存信号がFSにダイバーシチを生む。すなわち、FSによるダイバーシチ効果は隣接帯域のイメージング成分による周波数ダイバーシチと捉えられる。
【0004】
ところで、ある無線通信システムに割り当てられているが利用されていない周波数(ホワイトスペース)を別の無線通信システムが利用するコグニティブ無線が検討されている。このような周波数が存在する理由は、その周波数を利用するシステムが地理的に離れて存在すること(例えば、TVホワイトスペース周波数)や、ISM帯のように複数のシステムが周波数を共用する前提であることなどが考えられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】C. Tepedelenlioglu, R. Challagualla, "Low Complexity Multipath Diversity Through Fractional Sampling in OFDM," IEEE Trans. on Signal Processing, vol.52, no.11, Nov. 2004.
【非特許文献2】B. Jabbari, R. Pickholtz, M. Norton, "Dynamic Spectrum Access and Management," IEEE Wireless Communications, issue 4, vol.17, pp.6-15, Oct. 2010.
【非特許文献3】S. Geirhofer, Lang Tong, B. M. Sadler, "Cognitive Radios for Dynamic Spectrum Access in the Time Domain: Modeling and Exploiting White Space," IEEE Magazine on Communications, issue 5, vol. 45, pp. 66-72, May 2007.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1の方式によりパスダイバーシチを実現するには、希望信号のイメージ成分を別のチャネルに一部もしくは全部送信する必要があり、他のシステムに対する干渉が発生してしまう。
【0007】
本発明の目的は、他のシステムに対する干渉を抑制しつつ、フラクショナル・サンプリングによるダイバーシチ効果が得られる方式を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明においては、目的のOFDM信号(目的信号)と、そのイメージ信号を共に送信する際に、受信機側でフラクショナル・サンプリングによってダイバーシチ効果が得られるようなイメージ成分のみを選択して送受信することで、フラクショナル・サンプリングによるダイバーシチ効果を実現しつつ、他のシステムに対する与干渉を抑制する。
【0009】
より具体的には、本発明の無線通信システムは、
目的のOFDM信号である目的信号と、該目的信号のイメージ信号を共に送信する無線送信機と、
受信信号から前記目的信号と前記イメージ信号以外を除去するフィルタと、受信した前記目的信号と前記イメージ信号をG倍(Gは2以上の整数)のオーバサンプリング速度でサンプリング処理してデジタル信号に変換するA/D変換器と、シンボル周期1/Fsの1/Gの各位相においてデジタル変調シンボルをそれぞれ周波数領域のデジタル信号に変換するG個のフーリエ変換器と、前記フーリエ変換手段のデジタル信号出力に基づいて、送信された前記OFDM信号を復調する信号合成器と、を備える無線受信機と、
を含み、
前記イメージ信号は、前記目的信号との周波数間隔がn・Fsであり、nはn≠K・G(Kは任意の整数)を満たす整数である。
【0010】
目的信号との周波数間隔が(K・G)Fsのイメージ信号は、目的信号とコヒーレントであり、したがってダイバーシチ効果が得られない。イメージ信号を、目的信号との周波数間隔がn・Fs(n≠K・G)の成分とすることで、パスダイバーシチ効果が得られる。なお、周波数間隔が(K・G)Fsのイメージ信号を送信してS/Nを向上させても良いが、このようなイメージ信号を送信しないことで他のシステムに対する与干渉を抑制することができる。また、無線受信機側では、ダイバーシチ効果に寄与しない帯域をフィルタで除去することで、これらの帯域での雑音や被干渉による受信性能の劣化を避けることもできる。
【0011】
また、本発明において、無線受信機は、
前記目的信号との周波数間隔がm・Fs(ここで、m=K・G)であるイメージ信号が、前記目的信号との周波数間隔がn・Fs(ここで、n≠K・G)となるように受信信号を周波数変換する周波数変換器と、
受信信号と、前記周波数変換器によって周波数変換された前記受信信号とを合成する合成器と、
を有するように構成することも好ましい。
【0012】
目的信号との周波数間隔がm・Fs(m=K・G)であるコヒーレントなイメージ信号はダイバーシチ効果に寄与しない。無線送信機からコヒーレントなイメージ信号が送信された場合に、受信機において周波数変換することで、ダイバーシチ効果が得られるようになる。したがって、無線受信機のG値が無線送信機にとって未知である場合でも、フラクショナル・サンプリングによるダイバーシチ効果が得られる。
【0013】
なお、合成器への入力の前に、フィルタによって、周波数変換後の信号から変換後のイメージ信号以外の信号を除去することが好ましい。また、合成器への入力の前に、フィルタによって、受信信号から目的信号以外の信号を除去することが好ましい。合成器への入力前にこれらの信号を除去することは必須ではないが、こうすることで不必要な信号を除去可能となり、受信性能が向上する。
【0014】
また、本発明において、
前記無線受信機は、G値を前記無線送信機に通知する通知手段を有し、
前記無線送信機は、前記無線受信機から通知されたG値に基づいて、イメージ信号を送信する周波数を、イメージ信号と目的信号の周波数間隔がn・Fs(n≠K・G)となるように決定する、
ことも好ましい。
【0015】
ダイバーシチ効果が得られるイメージ信号の送信周波数は、無線受信機のG値(ブランチ数)に依存する。このように、無線受信機から無線送信機に対してG値を通知することで、無線送信機が無線受信機のG値をあらかじめ知っていない場合であっても、フラクショナル・サンプリングによるダイバーシチ効果が得られる。なお、無線送信機は、イメージ信号を送信する周波数を別途、無線受信機に通知するようにすることも好ましい。
【0016】
また、本発明において、
前記無線受信機は、前記無線送信機がイメージ信号を送信すべき周波数を通知する通知手段を有し、
前記無線送信機は、前記無線受信機から通知された周波数にてイメージ信号を送信する、
ことも好ましい。
【0017】
ダイバーシチ効果が得られるイメージ信号の送信周波数は、無線受信機のG値に依存するので、イメージ信号を送信すべき周波数は無線受信機側でも算出可能である。したがって、イメージ信号の送信周波数を無線受信機側で決定し、無線送信機はその決定にしたがってイメージ信号を送信することによっても、フラクショナル・サンプリングによるダイバーシチ効果が得られるようになる。
【0018】
また、本発明において、
前記無線受信機は、再構成可能デバイスによって前記フーリエ変換器および前記A/D変換器を構成し、G値が可変である、
とすることも好ましい。
【0019】
ここで、再構成可能デバイスには、FPGA(Field Programmable Gate Array)やD
SP(Digital Signal Processor)など、ソフトウェア(回路構成データやプログラム)によって再構成可能な回路が含まれる。無線受信機のG値(ブランチ数)を可変とすることで、無線受信機にかかる処理負荷に応じて受信処理に割り当てるリソース量を調整可能である。また、無線受信機が再構成を行ってG値を変更した場合には、上記のように変更後のG値を無線送信機に通知することが好ましい。
【0020】
また、本発明において、
前記イメージ信号は少なくともG−1波あり、
前記目的信号と前記イメージ信号の周波数間隔n・FsをG・Fsで割った剰余がFs〜(G−1)・Fsの全てをとるようにイメージ信号の周波数が選択される、
ようにすることも好ましい。
【0021】
目的信号との周波数間隔をG・Fsで割った剰余が等しいイメージ信号同士は互いにコヒーレントである。したがって、イメージ信号の周波数間隔n・FsをG・Fsで割った剰余がFs〜(G−1)・Fsの全てをとるようにイメージ成分の周波数を選択することで、Gパスのダイバーシチ効果が得られる。
【0022】
また、本発明において、前記無線送信機は、利用対象の周波数帯について、他の無線送信機から送信される電波が存在するか否かを判定する電波検出器を有し、前記目的信号と前記イメージ信号は他の無線送信機が利用していない周波数帯で送信する、ことも好まし
い。
【0023】
ホワイトスペースを利用してイメージ信号を送信することで、他のシステムに対する与干渉を抑制することができる。
【0024】
また、本発明において、前記無線送信機は、OFDM信号のサブキャリア数のM・G倍の逆フーリエ変換器によって前記目的信号と前記イメージ信号を生成するOFDM変調器と、サンプリング周波数G・Fsでサンプリング処理してアナログ信号に変換するD/A変換器と、前記目的信号と前記イメージ信号以外を除去するフィルタと、を備えることも好ましい。
【0025】
また、本発明において、OFDM信号のサブキャリア数の逆フーリエ変換器によって前記目的信号を生成するOFDM変調器と、
前記目的信号をサンプリング周波数Fsでサンプリング処理してアナログ信号に変換するD/A変換器と、
前記目的信号と前記イメージ信号以外を除去するフィルタと、を備えることも好ましい。
【0026】
これらの構成によって、所望の周波数帯でイメージ信号を送信することが可能となる。
【0027】
なお、本発明は、上記の各手段を有する無線通信システムとして捉えることもできる。また、本発明は、上記手段の少なくとも一部を有する無線通信システムにおける無線通信方法、またはこの方法を実現するためのプログラムとして捉えることもできる。上記手段および処理の各々は可能な限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。また、本発明は、上記無線通信システムを構成する無線受信機および無線送信機として捉えることもできる。
【0028】
また、本発明の一態様としての無線受信機は、
受信信号から前記目的信号と前記イメージ信号以外を除去するフィルタと、
受信した前記目的信号と前記イメージ信号をG倍(Gは2以上の整数)のオーバサンプリング速度でサンプリング処理してデジタル信号に変換するA/D変換器と、
シンボル周期1/Fsの1/Gの各位相においてデジタル変調シンボルをそれぞれ周波数領域のデジタル信号に変換するフーリエ変換器と、
前記フーリエ変換手段のデジタル信号出力に基づいて、送信された前記OFDM信号を復調する信号合成器と、
を備える無線受信機であって、
前記イメージ信号は、前記目的信号との周波数間隔がn・Fsであり、nはn≠K・G(Kは任意の整数)を満たす整数である、
ことを特徴とする。
【0029】
すなわち、本発明の一態様としての無線送信機は、
目的のOFDM信号である目的信号と、該目的信号のイメージ信号を共に送信する無線送信機であり、
前記イメージ信号は、前記目的信号との周波数間隔がn・Fsであり、nはn≠K・G(Kは任意の整数)を満たす整数である、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、他のシステムに対する干渉を抑制しつつ、フラクショナル・サンプリングによるダイバーシチ効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】第1の実施形態にかかる無線通信システムの機能ブロックを示す図である。
【図2】第1の実施形態における送受信フィルタの応答と送受信信号スペクトルを説明する図である。
【図3】「N番目の離隔帯域」と「目的信号とイメージ信号との周波数間隔」を説明する図である。
【図4】第1の実施形態における目的信号およびイメージ信号のスペクトルの別の例である。
【図5】第2の実施形態にかかる無線通信システムの機能ブロックを示す図である。
【図6】第2の実施形態における送受信フィルタの応答と送受信信号スペクトルを説明する図である。
【図7】第3の実施形態にかかる無線受信機の機能ブロックを示す図である。
【図8】第4の実施形態における制御信号の交換処理の流れを示す図である。
【図9】第6の実施形態における制御信号の交換処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。
【0033】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態における無線通信システムのブロック図であり、図1Aは無線送信機の機能ブロック図、図1Bは無線受信機の機能ブロック図である。本実施形態は、無線送信機1においてD/A変換後のイメージ成分を利用して複数のチャネルに同一の信号成分を生成し、無線受信機2においてフラクショナル・サンプリングを用いてパスダイバーシチ効果を実現する。
【0034】
無線送信機1は、OFDM変調器11、D/A変換器12、送信フィルタ13、アップコンバータ14を含む。OFDM変調器11では、逆離散フーリエ変換(IDFT)を行って、k番目のサブキャリアに相当する情報シンボルをs[k](k=0,...,N-1)として、
【数1】

で表されるOFDM信号を生成する。ここで、n (n = 0, 1, ..., N-1) は時間インデッ
クスである。ガードインターバルが挿入された後に、サンプリング周波数Fs=20MHzのD/A変換器12によってデジタル−アナログ変換される。図2Aに示すように、20MHzでD/A変換されたOFDM変調信号は周波数軸上で20MHzごとに繰り返しそのイメージ成分が発生する。このようにイメージ成分が発生するが、送信フィルタ13によって目的信号と必要なイメージ成分のみを通過させて、アップコンバータ14によりアップコンバートして送信する。送信フィルタ13の周波数特性p(t)を図2Bに示す。ここでは一例として、目的信号以外に、目的信号から3チャンネル離れたイメージ成分を1つ通過させるフィルタを採用している。どのようなイメージ成分を送信するかについては、後で詳しく説明する。
【0035】
無線受信機2は、ダウンコンバータ21、受信フィルタ22、A/D変換器23、G個(Gは2以上の整数)のOFDM復調器24、雑音白色化フィルタ25、信号合成器26を含む。無線送信機1からの送信信号は、ダウンコンバータ21によってダウンコンバートされ、受信フィルタ22によってフィルタリングされる。受信フィルタ22の周波数特性p(t)は図2Cに示すように、無線送信機1の送信フィルタ13と同様であり送信される目的信号とイメージ信号とを取り込むような周波数特性を持つ。受信フィルタ後の
信号スペクトルは図2Dに示すとおりである。このフィルタリング後の受信信号は、
【数2】

と表される。ここで、h(t)は送受信フィルタ入出力間のチャネルのインパルス応答であり、h(t)=p(t)*c(t)*p(t)と表される。c(t)は送受信間のマルチパスチャネルのインパルス応答、記号*は畳み込みを表す。また、Tsはシンボル間隔(Ts=1/Fs)、v(t)はフィルタリングされた加法性白色ガウス雑音である。
【0036】
A/D変換器23は、帯域幅のG倍のレート、すなわちG・Fsのサンプリング周波数で受信信号をA/D変換する。なお、ここでGは2以上の整数であり、通常は2,4,8・・・をとる。変換されたデジタル信号は、Gサンプルごとに同一のOFDM復調器24に入力され、ガードインターバルが除去された後に離散フーリエ変換(DFT)される。
【0037】
v(t)は雑音をフィルタリングしたものであり、ボーレート1/Tsでサンプリングすると雑音サンプル同士は互いに無相関なので白色雑音となる。しかし、ボーレートよりも高いレートでサンプリングすると、雑音サンプル同士が相関を持つ。したがって、雑音白色化フィルタ25によって、雑音サンプルを白色化する。
【0038】
信号合成器26は、フラクショナル・サンプリングにより得られた複数の受信信号から信号雑音比(S/N)が最大となるように最大比合成(MRC)を用いて受信信号を合成する。これにより、マルチパスチャネルにおいてパスダイバーシチが実現される。
【0039】
さて、フラクショナル・サンプリングのオーバサンプル比(ブランチ数)Gとダイバーシチ効果のあるイメージ信号成分の周波数には関連がある。簡単のために雑音を無視すると、サンプリング定理からg番目のブランチでサンプルされた受信信号は一般的に以下のように表される。
【数3】

ここで、x(t)は送受信フィルタを通過したベースバンド信号、Lはマルチパスの数、α、τはそれぞれi番目の遅延波の利得および遅延時間、δはディラックのδ関数である。この信号の周波数領域表現は、
【数4】

となる。ここで、fs=1/Tsはサンプリング周波数、X(f)はx(t)の周波数領域表現である。
【0040】
ここで、受信信号がフィルタリングによって中心帯域(q=0)およびある隔離した帯域(q=Q:Qは整数)の2つの帯域に制限されると仮定する。また、帯域外に発生した信号は中心帯域のイメージ成分である(Y(f)=Y(f+qfs))とすると、フラクショナル・サンプリングのブランチで受信される信号の周波数領域表現は、
【数5】

となる。ここで、Q=K・G(Kは整数)の場合、この受信信号は、
【数6】

となる。すなわち、K・G番目の離隔帯域を使用した場合、それぞれのブランチで同じ各パスの成分量を受信することになるので、ブランチ間でコヒーレントとなりダイバーシチ効果が得られないことが分かる。
【0041】
なおここで、±N番目の離隔帯域は、目的信号の帯域をFs[Hz]として、目的信号との周波数間隔(中心周波数間の間隔)が±N・Fs[Hz]のイメージ成分を意味する。図3は、「N番目の離隔帯域」と「目的信号とイメージ信号との周波数間隔」についての関係を説明する図である。
【0042】
以上の考察を基に、送信フィルタ13および受信フィルタ22の適切な周波数特性について説明する。パスダイバーシチの効果が得られるためには、イメージ信号が目的信号からN番目の離隔帯域である場合に、N≠K・G(Gはオーバサンプリング比、Kは任意の整数)である必要がある。言い換えると、イメージ信号は、目的信号との周波数間隔がn・Fs(n≠K・Gの整数)である必要がある。
【0043】
たとえば、オーバサンプリング比(ブランチ数)としてG=2を採用する場合には、図2Bに示すように−3番目の離隔帯域のイメージ成分、言い換えると目的信号との周波数間隔が−3×Fsであるイメージ成分が目的信号と共に送信されるように送信フィルタを設計することが好ましい。こうすることで2パスダイバーシチの効果が得られる。
【0044】
なお数式(5)を参照すると、イメージ信号として複数の離隔帯域を使用した場合、Gを法として合同な離隔帯域同士(n≡n mod Gを満たすn番目とn番目の離隔帯域同士)はコヒーレントとなることが分かる。オーバサンプリング比Gの場合に最大でGパスのダイバーシチ効果が得られるが、そのためにはイメージ成分を目的信号と無相関とするだけでなく、G−1種類のインコヒーレントなイメージ成分を使用する必要がある。すなわち、イメージ成分は少なくともG−1波使用し、各イメージ成分がn番目の離隔帯域を使用するとした場合に、nをGで割った剰余が1〜G−1の全てをとるようにイメージ成分の使用周波数を選択するとGパスのダイバーシチ効果が得られる。別の表現をすると、イメージ成分と目的信号の周波数間隔をn・Fsとしたときに、n・FsをG・Fsで割った剰余がFs〜(G−1)・Fsの全てをとるようにイメージ成分の周波数を選択するとGパスのダイバーシチ効果が得られる。もっとも、G>2の場合には必ずしもこの条件を満たさなくても良く、G’(1<G’<G)パスのダイバーシチ効果を得るようにしても良い。
【0045】
ここで、互いにコヒーレントなイメージ成分を用いてもかまわない。例えばオーバサンプリング比がG=2のときに、図4に示すように、−3番目と3番目の離隔帯域のような互いにコヒーレントな2波のイメージ信号を送信しても良い。図2Bのようにイメージ成分を1波としたときには、目的信号と同等の信号レベルとしたときにダイバーシチ利得が最大となるが、図4のように2波を用いる場合はイメージ信号を目的信号に対して3dB
ダウンした信号レベルとしても2波パスダイバーシチの最大利得が得られる。このように、互いにコヒーレントな複数のイメージ成分を利用することで、利用する数に逆比例してイメージ信号の信号レベルを低減させることができる。したがって複数のイメージ成分を用いるときには信号の信号レベルを低減させて与干渉を与えにくくすることができる。同様に目的信号とコヒーレントなイメージ信号(K・G番目の離隔帯域)を用いることで、受信機でのS/Nを増大させても良い。
【0046】
また、イメージ信号を送信する周波数帯域は、他の無線局によって利用されていない周波数帯(ホワイトスペース)を利用すると良い。すなわち、無線送信機が、利用対象の周波数帯について、他の無線送信機から送信される電波が存在するか否かを判定する電波検出器を有するように構成し、他の無線送信機が利用していない周波数帯でイメージ信号を送信することが好ましい。
【0047】
以上のように、本実施形態に依れば、ホワイトスペースなどを利用して目的信号のイメージ信号を送信することで、フラクショナル・サンプリングを用いたOFDM受信機でダイバーシチが実現できる。さらに、ダイバーシチ効果が得られないようなイメージ信号を送信しないことで、無線送信機としては不必要な与干渉を避けることができるという利点がある。また、無線受信機としてはダイバーシチ効果に寄与しない周波数帯をフィルタで除去することで、これらの周波数帯での被干渉や環境雑音による受信性能の低下を避けることができるという利点がある。
【0048】
また、本実施形態では送信機側でDFT回路を増大させたりD/A変換器の高速化させたりする必要がないので、送信機の低コスト化および低消費電力化が可能である。
【0049】
(第2の実施形態)
図5は第2の実施形態における無線通信システムのブロック図である。本実施形態は、無線送信機3においてサブキャリアのM・G(Gはオーバサンプリング比、Mは整数)倍のサイズの逆離散フーリエ変換(IDFT)を利用して複数のチャネルに同一の信号成分を生成し、無線受信機4においてフラクショナル・サンプリングを用いてパスダイバーシチ効果を実現する。
【0050】
無線送信機3は、OFDM変調器31、D/A変換器32、送信フィルタ33、アップコンバータ34を含む。OFDM変調器31では、上述のようにサブキャリアのM・G倍のサイズのIDFTを利用して、図6Aに示すようにOFDM変調信号(目的信号)とそのイメージ信号を周波数軸上でM・G−1チャネル離れて配置する。
【0051】
このOFDM変調信号とそのイメージ信号は、ガードインターバルが挿入された後に、サンプリング周波数M・G・Fs(例えば、Fs=20MHz)のD/A変換器32によってデジタル−アナログ変換される。このD/A変換により図6Aの繰り返し成分が発生するが、図6BのようにOFDM変調器31が出力するOFDM変調信号とイメージ信号のみを通過させる周波数特性を有する送信フィルタ33によって、目的信号とMG−1チャネル離れたイメージ信号のみをフィルタリングする。フィルタされた信号はアップコンバータ34によりアップコンバートされて送信される。
【0052】
無線受信機4は、ダウンコンバータ41、受信フィルタ42、A/D変換器43、G個のOFDM復調器44、雑音白色化フィルタ45、信号合成器46を含む。無線受信機4の構成および動作は第1の実施形態とほぼ同様のため、主に異なる点について説明する。本実施形態においては、受信フィルタ42は図6Cに示すように、無線送信機3から送信される目的信号とイメージ信号を取り込むような周波数特性を持つ。
【0053】
無線送信器3におけるイメージ信号の周波数選択については、第1の実施形態と同様である。すなわち、イメージ信号は目的信号からN番目の離隔帯域(N≠K・G(Kは整数)を満たす整数)とする。言い換えると、イメージ信号は、目的信号との周波数間隔がn・Fs(n≠K・Gの整数)とする。
【0054】
より好ましくは、イメージ成分をG−1波利用し、各イメージ成分がn番目の離隔帯域を使用するとした場合に、nをGで割った剰余が1〜G−1の全てをとるようにイメージ成分の使用周波数を選択する。こうすることでGパスのダイバーシチ効果が得られる。 別の表現をすると、イメージ成分と目的信号の周波数間隔をn・Fsとしたときに、n・FsをG・Fsで割った剰余がFs〜(G−1)・Fsの全てをとるようにイメージ成分の周波数を選択してGパスのダイバーシチ効果を得ることが好ましい。
【0055】
(第3の実施形態)
上記の説明では、無線送信機は、無線受信機のブランチ数Gをあらかじめ知っていて、どの周波数にてイメージ信号を送信すればダイバーシチ効果が得られるかを知っていることを前提としていた。本実施形態では、無線送信機が、イメージ信号をどの周波数にて送信すべきかをあらかじめ知らない場合でも、ダイバーシチ効果が得られるようにする。本実施形態では、無線受信機側で、イメージ信号の周波数を周波数変換することで、ダイバーシチ効果が得られない周波数でイメージ信号が送信された場合でも、ダイバーシチ効果が得られるようにする。
【0056】
図7は、本実施形態にかかる無線受信機の機能ブロックを示す図である。なお、無線送信機は、上記の実施形態のいずれかを用いればよいので、ここでは説明を省略する。
【0057】
本実施形態にかかる無線受信機と、第1および第2の実施形態にかかる無線受信機の違いは、ダウンコンバータ21の前段に、アンテナからの受信信号を周波数変換する周波数変換器27と、周波数変換後の信号に対するフィルタ28と、周波数変換後の信号とアンテナからの受信信号を合成する合成器29とが設けられている点である。ダウンコンバータ21以降の構成については、第1および第2の実施形態と同様である。
【0058】
既に述べたように、目的信号との周波数間隔がm・Fs(m=K・G、Gはブランチ数、Kは任意の整数、Fsはサンプリング周波数)のイメージ信号からはダイバーシチ効果が得られない。そこで、周波数変換器27によって、目的信号との周波数間隔がm・Fsのイメージ信号を、目的信号との周波数間隔がn・Fs(n≠K・G)となるように周波数変換する。上記の条件を満たす周波数変換であれば周波数変換器27の構成はどのようなものであっても良い。例えば、入力信号を±Fsだけ周波数変換しても良いし、±G/2・Fs(Gが偶数の時)や±(G±1)/2・Fs(Gが奇数の時)だけ周波数変換しても良い。
【0059】
フィルタ28は、受信信号に含まれるイメージ信号の周波数成分を除去するフィルタである。すなわち、周波数変換後のイメージ信号以外を除去する。フィルタ28は必須ではないが、不要な信号成分を除去することで受信性能を向上できる。また、アンテナから合成器29に直接入力するパスにおいても、目的信号以外を除去するフィルタを設けることも好ましい。
【0060】
このようにイメージ信号の周波数を変換することで、ダイバーシチ効果を得ることができるようになる。本実施形態によれば、無線送信機は任意の周波数でイメージ信号を送信できるようになるので、無線受信機のブランチ数(Gの値)をあらかじめ知らなくても良いという利点がある。また、複数の無線受信機を対象に一斉放送を行う場合に、各無線受信機のブランチ数が異なる場合であっても、受信機側で対処を行うためダイバーシチ効果
を得ることができる。
【0061】
(第4の実施形態)
上記第3の実施形態では、イメージ信号の送信周波数は変化させずに、無線受信機側でイメージ信号の周波数変換を行うことでダイバーシチ効果を得るようにした。本実施形態では、無線受信機の構成(ブランチ数G)に応じて、無線送信機がイメージ信号の送信周波数を調整する。
【0062】
本実施形態にかかる無線受信機は、無線送信機能も有する。すなわち、第1の実施形態(図1)または第3の実施形態(図7)の構成に加えて、送信手段を備える。この送信手段は、通信相手に無線受信機のブランチ数(G値)を通知するために用いられる。この通知(以下、G値通知メッセージという)は、任意のチャネルにて送られて良い。
【0063】
本実施形態にかかる無線送信機は、受信機側からのG値通知メッセージを受信する受信手段と、受信したG値に基づいてイメージ信号を送信する周波数を決定する手段を有する。無線送信機は、G値通知メッセージによって通知されたG値から、イメージ信号を送る周波数はn・Fs(n≠K・G)とすべきであることが分かる。そして、この条件を満たす周波数の中から、他の無線局によって利用されていない周波数を検出して利用する。
【0064】
以下、送受信間での制御信号の交換処理について、図8を参照しながら説明する。
【0065】
まず、無線送信機は、あらかじめ定められた周波数にイメージ信号を重畳させて無線受信機へ目的信号を送信する。無線受信機側では、受信された信号の品質評価を実施し、信号品質が良好ではない場合、G値通知メッセージによってブランチ数(G値)を無線送信機に通知する。
【0066】
G値通知メッセージを受信した無線送信機は、通知されたG値に基づいて、イメージ信号を送信する周波数を決定する。そして、決定されたイメージ信号の送信周波数を、イメージ周波数情報メッセージによって無線受信機に通知する。以下のデータ伝送の際には、決定された送信周波数でイメージ信号を重畳させて目的信号を送信する。
【0067】
このようにすることで、無線受信機のG値に応じた適切な周波数においてイメージ信号が送信されるため、フラクショナル・サンプリングによるダイバーシチ効果が実現できる。
【0068】
なお、上記の説明ではG値通知メッセージを送るタイミングを、受信信号の品質が良好ではない時としたが、これは必須ではなく、どのようなタイミングで送ってもかまわない。例えば、通信を開始する際にG値通知メッセージを送信することが考えられる。
【0069】
(第5の実施形態)
上記第4の実施形態では、無線受信機がG値を無線送信機に通知し、無線送信機がイメージ信号の送信周波数を決定していた。本実施形態では、無線受信機側で、G値に応じた適切なイメージ信号送信周波数を決定して、無線送信機へ通知する。
【0070】
無線受信機は、無線受信機から受信された信号の品質が良好ではない場合は、自らのブランチ数(G値)に基づいて、n・Fs(n≠K・G)の周波数の中から、他の無線局によって利用されていない周波数を決定する。そして、決定された周波数を無線送信機側へ通知する。無線送信機側は、通知された周波数にイメージ信号を重畳させて目的信号を送信する。
【0071】
本実施形態によっても、第4の実施形態と同様の効果が得られる。
【0072】
(第6の実施形態)
本実施形態では、無線受信機を再構成可能な回路(リコンフィギュラブル回路)によって各機能部を構成する。再構成可能な回路には、FPGA(Field Programmable Gate Array)やDSP(Digital Signal Processer)などを採用可能である。各機能部は、ソフ
トウェア(回路構成データやプログラム)の実行モジュールによって処理機能が実現されており、ソフトウェアの実行モジュールの変更によって再構成が可能である。
【0073】
例えば、本実施形態にかかる無線受信機では、第3の実施形態(図7)に示される、A/D変換器23やOFDM復調器24の数(G値)や処理内容、受信フィルタ22や、雑音白色化フィルタ25、信号合成器26、周波数変換器27、フィルタ28などの処理内容を、再構成可能とする。
【0074】
本実施形態にかかる無線受信機では、内部処理の負荷に応じてG値を任意に変更可能とする。すなわち、処理負荷が小さい時には大きめのG値を採用し、処理負荷が大きい場合には小さめのG値となるように無線受信機を再構成可能とする。これによって、その時点での処理負荷に応じて最適なG値を選択して装置を構成することができる。
【0075】
本実施形態においても、第4の実施形態と同様にG値を無線送信機側に送信することが好ましい。本実施形態における制御信号の交換処理について、図9を参照しながら説明する。無線受信機から受信された信号の品質が良好ではない場合は、自らのブランチ数(G値)に基づいて、n・Fs(n≠K・G)の周波数の中から、他の無線局によって利用されていない周波数を決定する。そして、決定された周波数を無線送信機側へ通知する。なお、ここでは受信信号の品質が良好ではない場合にG値通知メッセージを通知する場合を説明したが、処理負荷の変更などの理由により無線受信機を再構成してG値を変更した場合にもG値通知メッセージを送信することが好ましい。
【0076】
G値通知メッセージは、通知されたG値に基づいて、イメージ信号を送信する周波数を決定する。そして、イメージ周波数情報メッセージによって、どの周波数でイメージ信号を送信するかを無線受信機に通知する。
【0077】
無線受信機は、イメージ周波数情報メッセージによって通知された周波数でイメージ信号を受信できるように、周波数変換器27、フィルタ28、受信フィルタ22などの再構成を行う。
【0078】
本実施形態によれば、無線受信機の処理負荷に応じて適切なG値を採用することができる。例えば、画像信号処理などに計算資源を多く割り当てる必要がある場合にはG値を小さくし、逆に計算資源に余裕がある場合にはG値を大きくするといったことができる。
【符号の説明】
【0079】
1,3 無線送信機
11,31 OFDM変調器
12,32 D/A変換器
13,33 送信フィルタ
14,34 アップコンバータ
2,4 無線受信機
21,41 ダウンコンバータ
22,42 受信フィルタ
23,43 A/D変換器
24,44 OFDM復調器
25,45 雑音白色化フィルタ
26,46 信号合成器
27 周波数変換器
28 フィルタ
29 合成器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的のOFDM信号である目的信号と、該目的信号のイメージ信号とを共に送信する無線送信機と、
受信信号から前記目的信号と前記イメージ信号以外を除去するフィルタと、受信した前記目的信号と前記イメージ信号をG倍(Gは2以上の整数)のオーバサンプリング速度でサンプリング処理してデジタル信号に変換するA/D変換器と、シンボル周期1/Fsの1/Gの各位相においてデジタル変調シンボルをそれぞれ周波数領域のデジタル信号に変換するG個のフーリエ変換器と、前記フーリエ変換器のデジタル信号出力に基づいて、送信された前記OFDM信号を復調する信号合成器と、を備える無線受信機と、
を含む無線通信システムであって、
前記イメージ信号は、前記目的信号との周波数間隔がn・Fsであり、nはn≠K・G(Kは任意の整数)を満たす整数である、
無線通信システム。
【請求項2】
前記無線受信機は、
前記目的信号との周波数間隔がm・Fs(ここで、m=K・G)であるイメージ信号が、前記目的信号との周波数間隔がn・Fs(ここで、n≠K・G)となるように受信信号を周波数変換する周波数変換器と、
受信信号と、前記周波数変換器によって周波数変換された前記受信信号とを合成する合成器と、
を有する、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記無線受信機は、G値を前記無線送信機に通知する通知手段を有し、
前記無線送信機は、前記無線受信機から通知されたG値に基づいて、イメージ信号を送信する周波数を、イメージ信号と目的信号の周波数間隔がn・Fs(n≠K・G)となるように決定する、
請求項1または2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記無線受信機は、前記無線送信機がイメージ信号を送信すべき周波数を通知する通知手段を有し、
前記無線送信機は、前記無線受信機から通知された周波数にてイメージ信号を送信する、
請求項1または2に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記無線受信機は、再構成可能デバイスによって前記フーリエ変換器および前記A/D変換器を構成し、G値が可変である、
請求項1〜4のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記イメージ信号は少なくともG−1波あり、
前記目的信号と前記イメージ信号の周波数間隔n・FsをG・Fsで割った剰余がFs〜(G−1)・Fsの全てをとるようにイメージ信号の周波数が選択される、
請求項1〜5のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記無線送信機は、利用対象の周波数帯について、他の無線送信機から送信される電波が存在するか否かを判定する電波検出器を有し、前記目的信号と前記イメージ信号は他の無線送信機が利用していない周波数帯で送信する、
請求項1〜6のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記無線送信機は、OFDM信号のサブキャリア数のM・G倍(Mは整数)の逆フーリ
エ変換器によって前記目的信号と前記イメージ信号を生成するOFDM変調器と、サンプリング周波数M・G・Fsでサンプリング処理してアナログ信号に変換するD/A変換器と、前記目的信号と前記イメージ信号以外を除去するフィルタと、を備える、
請求項1〜7のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項9】
前記無線送信機は、OFDM信号のサブキャリア数の逆フーリエ変換器によって前記目的信号を生成するOFDM変調器と、前記目的信号をサンプリング周波数Fsでサンプリング処理してアナログ信号に変換するD/A変換器と、前記目的信号と前記イメージ信号以外を除去するフィルタと、を備える、
請求項1〜7のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項10】
受信信号から目的のOFDM信号である目的信号およびそのイメージ信号以外の信号を除去するフィルタと、
受信した前記目的信号と前記イメージ信号をG倍(Gは2以上の整数)のオーバサンプリング速度でサンプリング処理してデジタル信号に変換するG個のA/D変換器と、
シンボル周期1/Fsの1/Gの各位相においてデジタル変調シンボルをそれぞれ周波数領域のデジタル信号に変換するフーリエ変換器と、
前記フーリエ変換手段のデジタル信号出力に基づいて、送信された前記OFDM信号を復調する信号合成器と、
を備える無線受信機であって、
前記イメージ信号は、前記目的信号との周波数間隔がn・Fsであり、nはn≠K・G(Kは任意の整数)を満たす整数である、
無線受信機。
【請求項11】
前記目的信号との周波数間隔がm・Fs(ここで、m=K・G)であるイメージ信号が、前記目的信号との周波数間隔がn・Fs(ここで、n≠K・G)となるように受信信号を周波数変換する周波数変換器と、
受信信号と、前記周波数変換器によって周波数変換された前記受信信号とを合成する合成器と、
を有する、請求項10に記載の無線受信機。
【請求項12】
G値を通信相手に通知する通知手段を有する、
請求項10または11に記載の無線受信機。
【請求項13】
通信相手がイメージ信号を送信すべき周波数を通知する通知手段を有する、
請求項10または11に記載の無線受信機。
【請求項14】
再構成可能デバイスによって前記フーリエ変換器および前記A/D変換器を構成し、G値が可変である、
請求項10〜13のいずれかに記載の無線受信機。
【請求項15】
前記イメージ成分はG−1波あり、
前記目的信号と前記イメージ成分の周波数間隔n・FsをG・Fsで割った剰余がFs〜(G−1)・Fsの全てをとるようにイメージ成分の周波数が選択される、
請求項10〜14のいずれかに記載の無線受信機。
【請求項16】
目的のOFDM信号である目的信号と、該目的信号のイメージ信号を共に送信する無線送信機であり、
前記イメージ信号は、前記目的信号との周波数間隔がn・Fsであり、nはn≠K・G(Kは任意の整数、Gは2以上の整数)を満たす整数である、
無線送信機。
【請求項17】
通信相手から通知されたG値に基づいて、イメージ信号を送信する周波数を、イメージ信号と目的信号の周波数間隔がn・Fs(n≠K・G)となるように決定する、
請求項16に記載の無線送信機。
【請求項18】
通信相手から通知されたイメージ信号の送信周波数にて、イメージ信号を送信する、
請求項16または17に記載の無線送信機。
【請求項19】
前記イメージ成分はG−1波あり、
前記目的信号と前記イメージ成分の周波数間隔n・FsをG・Fsで割った剰余がFs〜(G−1)・Fsの全てをとるようにイメージ成分の周波数が選択される、
請求項16〜18のいずれかに記載の無線送信機。
【請求項20】
利用対象の周波数帯について、他の無線送信機から送信される電波が存在するか否かを判定する電波検出器を有し、
前記目的信号と前記イメージ信号は他の無線送信機が利用していない周波数帯で送信する、
請求項16〜19のいずれか記載の無線送信機。
【請求項21】
OFDM信号のサブキャリア数のM・G倍(Mは整数)の逆フーリエ変換器によって前記目的信号と前記イメージ信号を生成するOFDM変調器と、
サンプリング周波数M・G・Fsでサンプリング処理してアナログ信号に変換するD/A変換器と、
前記目的信号と前記イメージ信号以外を除去するフィルタと、
を備える、請求項16〜20のいずれかに記載の無線送信機。
【請求項22】
OFDM信号のサブキャリア数の逆フーリエ変換器によって前記目的信号を生成するOFDM変調器と、
前記目的信号をサンプリング周波数Fsでサンプリング処理してアナログ信号に変換するD/A変換器と、
前記目的信号と前記イメージ信号以外を除去するフィルタと、
を備える、請求項16〜21のいずれかに記載の無線送信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−90007(P2013−90007A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226125(P2011−226125)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(899000079)学校法人慶應義塾 (742)
【Fターム(参考)】