説明

無線通信システム、路側通信機、及び緊急情報の送信方法

【課題】路側通信機による緊急情報の取得を迅速に行うことができる無線通信システムを提供する。
【解決手段】本発明の無線通信システムは、複数の路側通信機2を備えている。路側通信機2は、車両に送信すべき送信情報を取得し、取得した前記送信情報を前記車両に向けて無線送信する通信制御部を備えている。前記通信制御部は、緊急事態に関する情報である緊急情報を前記送信情報として送信する場合、当該緊急情報以外の送信情報を送信するときの変調方式である16QAMよりも低い送信レートの変調方式であるBPSKによって前記緊急情報を無線送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport System)用などとして用いられる無線通信システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通安全の促進や交通事故の防止を目的として、道路に設置されたインフラ装置からの情報を受信し、或いは車両同士で情報交換を行い、これらの情報を活用することで車両の安全性を向上させる高度道路交通システムが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
かかる高度道路交通システムは、主として、インフラ側の無線通信装置である複数の路側通信機と、各車両に搭載される無線通信装置である複数の車載通信機とによって構成される。
【0003】
この場合、各通信主体間で行う通信の組み合わせには、路側通信機と車載通信機とが行う路車(又は車路)間通信、及び、車載通信機同士が行う車車間通信のほか、路側通信機同士が行う路路間通信が含まれることになる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2806801号公報
【特許文献2】特開2011−114647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、地震や津波といった大規模な自然災害等、車両の安全な運行に支障を来すような緊急事態が発生した場合、上記高度道路交通システムを用いて、車両のドライバに対して緊急事態が発生していることや、周囲の状況等の情報を速やかに提供することが考えられる。
【0006】
上記緊急事態が発生していること等を車両に知らせるためには、緊急事態の発生を認識した、システムを管制する管制センターが、緊急事態に関する情報(緊急情報)を各路側通信機に対して発信する。その後、緊急情報は、路側通信機を介して車両に搭載された車載通信機に送信され、緊急事態が発生したことを車両のドライバに知らせることができる。
【0007】
管制センターが発信する緊急情報を、路側通信機が取得する方法としては、管制センターとの間で有線通信回線を介した通信によって取得する他、上記路路間通信によって自機以外の他の路側通信機から取得することも考えられる。
しかし、路路間通信によって緊急情報を取得する場合、上記高度道路交通システムの無線通信においては、使用可能な周波数帯域(たとえば、10MHz程度)が限られているため、路車間通信及び車車間通信の共用をするだけでも帯域が十分とはいえず、路路間通信用の帯域まで確保することが困難な場合がある。
また仮に、路路間通信用の帯域を確保できたとしても、隣接交差点の数が多く周囲に路側通信機が多数存在していると、確保した帯域が、自機に隣接する他の路側通信機の使用帯域と重複する可能性が高くなり、干渉を生じさせるおそれもある。
【0008】
上記のように、路側通信機同士で干渉が生じると、路側通信機による迅速な緊急情報の取得が妨げられ、この結果、緊急情報を迅速にドライバに知らせることができないおそれがあった。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、路側通信機による緊急情報の取得を迅速に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明は、複数の路側通信機を備えた無線通信システムであって、前記複数の路側通信機は、車両に送信すべき送信情報を取得し、取得した前記送信情報を前記車両に向けて無線送信する通信制御部を備え、前記通信制御部は、緊急事態に関する情報である緊急情報を前記送信情報として送信する場合、当該緊急情報以外の送信情報を送信するときの変調方式よりも低い送信レートの変調方式によって前記緊急情報を無線送信することを特徴としている。
【0011】
上記のように構成された無線通信システムによれば、通信制御部は、緊急情報を送信情報として送信する場合、当該緊急情報以外の送信情報を送信するときの変調方式よりも低い送信レートの変調方式によって緊急情報を無線送信するので、緊急情報を送信する場合には、緊急情報以外の送信情報を送信する場合よりも堅牢性を高めることができる。これにより、車載通信機に向けた緊急情報を自機以外の他の路側通信機が希望波として受信し取得する場合において、干渉波等が存在していたとしても、希望波の復調を許容する干渉波の電力が大きくなるので、確実に希望波である自機からの緊急情報を取得することができる。この結果、他の路側通信機は、干渉を受け得る環境である場合にも、迅速に緊急情報を取得することができる。
【0012】
(2)従って、前記複数の路側通信機には、前記緊急情報を当該緊急情報の発信元から有線通信によって取得する路側通信機と、自機以外の他の路側通信機が前記車両に向けて無線送信する前記緊急情報を受信することによって前記緊急情報を取得する路側通信機と、が含まれていてもよい。
緊急情報を緊急情報の発信元から有線通信によって取得する路側通信機は、緊急情報を迅速に取得することができる。
さらに、他の路側通信機が車両に向けて無線送信する緊急情報を受信することによって緊急情報を取得する路側通信機も、上述のように、干渉を受け得る環境である場合にも、迅速に緊急情報を取得することができる。
【0013】
(3)自機の周囲に位置する他の路側通信機が緊急情報を送信していれば、当該他の路側通信機は、緊急情報を受信し緊急事態が発生したことを認識していると判断できる。よって、自機は、自機の周囲に位置する他の路側通信機のほとんどが緊急情報を送信していれば、自機の周囲の他の路側通信機のほとんどが緊急情報を受信し緊急事態の発生を認識していると判断できるので、このような場合には、自機が緊急情報の送信を継続する必要性が低い。逆に、他の路側通信機のほとんどが緊急情報を送信していなければ、自機の周囲の他の路側通信機のほとんどが緊急情報を受信していないと判断できるので、このような場合には、自機が緊急情報の送信を継続する必要性が高い。
このため、前記通信制御部は、自機以外の他の路側通信機が、前記緊急情報を無線送信しているか否かに応じて、自機が送信する前記緊急情報の送信頻度を調整するのが好ましい。
この場合、他の路側通信機による緊急情報の送信状況に応じて、自機の緊急情報の送信頻度を適切に設定することができ、必要性が低い情報を無線送信するのを防止し、限られた無線リソースを無駄に消費するのを防ぐことができる。
【0014】
(4)より具体的には、前記通信制御部は、前記緊急情報の無線送信を開始してから所定期間の間は、第一の頻度で前記緊急情報の無線送信を実行し、前記所定期間の経過後に、前記他の路側通信機の内、前記緊急情報を無線送信している路側通信機の割合に基づいて、前記第一の頻度で前記緊急情報を無線送信するか、前記第一の頻度よりも低頻度である第二の頻度で前記緊急情報を無線送信するか否かを決定することが好ましい。
この場合、緊急情報を取得し無線送信を開始した直後は、自機の周囲の車両や他の路側通信機が緊急情報を受信し緊急事態が発生していることを認識している可能性は低いので、比較的高頻度で緊急情報の送信を実行することで効果的に車両や他の路側通信機に緊急情報を受信させることができる。その後、他の路側通信機による緊急情報の送信状況に応じて、自機の緊急情報の送信頻度を調整することで、より適切な設定が可能となる。
【0015】
(5)また、前記通信制御部は、自機以外の他の路側通信機が、前記緊急情報を無線送信しているか否かに応じて、自機が送信する前記緊急情報の内容を調整するものであってもよい。
この場合、他の路側通信機のほとんどが緊急情報として緊急事態の発生を通知する情報の送信を行っていることで、自機の周囲の路側通信機のほとんどが緊急情報を受信し緊急事態の発生を認識していると判断できるときには、緊急情報として、緊急事態の発生を通知する情報から、避難経路を示す情報等、車両に対する緊急事態対応のサービスに関する情報に変更することができる。
このように、他の路側通信機による緊急情報の送信状況に応じて、緊急情報の内容を変更し調整することで、車両にとって必要な情報を速やかに提供することができる。
【0016】
(6)また、上記無線通信システムにおいて、前記通信制御部は、前記他の路側通信機が無線送信した送信情報の変調方式に基づいて、当該送信情報が緊急情報であるか否かを判断するのが好ましい。この場合、受信した情報を復調しなくても当該受信した情報が緊急情報であることを速やかに認識することができる。
【0017】
(7)また、本発明に係る路側通信機は、車両に送信すべき送信情報を取得し、取得した前記送信情報を前記車両に向けて無線送信する通信制御部を備え、前記通信制御部は、前記送信情報として、緊急事態に関する情報である緊急情報を取得すると、当該緊急情報以外の送信情報を送信するときの変調方式よりも低い送信レートの変調方式によって前記緊急情報を無線送信することを特徴としている。
上記構成の路側通信機によれば、緊急情報の取得を迅速に行うことができる。
【0018】
(8)また、本発明は、複数の路側通信機を備えた無線通信システムによる緊急事態に関する情報である緊急情報の送信方法であって、複数の路側通信機が、車両に送信すべき送信情報を取得する取得ステップと、取得した前記送信情報を前記車両に向けて無線送信する送信ステップとを、含み、前記送信ステップは、前記送信情報として、前記緊急情報を取得すると、当該緊急情報以外の送信情報を送信するときの変調方式よりも低い送信レートの変調方式によって前記緊急情報を無線送信することを特徴としている。
上記方法によれば、路側通信機による緊急情報の取得を迅速に行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、路側通信機による緊急情報の取得を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る高度道路交通システム(ITS)の全体構成を示す概略斜視図である。
【図2】路側通信機の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態の無線通信システムにおいて用いられる無線フレームを示す図である。
【図4】各交差点のスロット割り当てを示す図である。
【図5】本実施形態のシステムが、緊急事態に関する情報を各路側通信機に提供する際の態様を示すシーケンス図である。
【図6】オンライン路側通信機に割り当てられた第一スロットの内容を示す図であり、(a)は平常時における第一スロット、(b)は緊急時において緊急情報を送信する際の第一スロットを示している。
【図7】路側通信機が緊急情報の送信頻度の調整処理に関するフローチャートである。
【図8】他の路側通信機による緊急情報の送信状況に応じて、自機が送信する緊急情報の内容を調整する際の処理に関するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔システムの全体構成〕
図1は、本発明の一実施形態に係る高度道路交通システム(ITS)の全体構成を示す概略斜視図である。なお、本実施形態では、道路構造の一例として、南北方向と東西方向の複数の道路が互いに交差した碁盤目構造を想定している。
図1に示すように、本実施形態の高度道路交通システムは、交通信号機1、路側通信機(無線機)2、車載通信機(無線機)3(図2参照)、中央装置4、車載通信機3を搭載した車両5、及び、車両感知器や監視カメラ等よりなる路側センサ6を含む。
【0022】
交通信号機1と路側通信機2は、複数の交差点A1〜A5,B1〜B5、C1〜C5のそれぞれに設置されており、電話回線等の有線通信回線7を介してルータ8に接続されている。このルータ8は交通管制センター内の中央装置4に接続されている。
中央装置4は、自身が管轄するエリアの交通信号機1及び路側通信機2とLAN(Local Area Network)を構成している。なお、中央装置4は、交通管制センターではなく道路上に設置してもよい。
【0023】
中央装置4に有線通信回線7で接続されている交通信号機1及び路側通信機2(オンライン路側通信機)は、中央装置4の管轄するエリアに含まれる全ての路側通信機2のうちの一部であり、中央装置4に対して有線通信回線7で接続されていない路側通信機2(スタンドアローン路側通信機)も存在する。
図1では、交差点A1〜A5,B1,C1に設置された路側通信機2が、オンライン路側通信機であり、他の交差点B2〜B5、C2〜C5に設置された路側通信機2は、スタンドアローン路側通信機である。このように、全ての路側通信機2をオンライン路側通信機としないことで、有線通信回線7の設置・維持コストを低減できる。
【0024】
路側センサ6は、各交差点に流入する車両台数をカウントする等の目的で、管轄エリア内の道路の各所に設置されている。この路側センサ6は、直下を通行する車両5を超音波感知する車両感知器、或いは、道路の交通状況を時系列に撮影する監視カメラ等よりなり、感知情報や画像データは通信回線7を介して中央装置4に送信される。
なお、図1では、図示を簡略化するために、各交差点に信号灯器が1つだけ描写されているが、実際の各交差点には、互いに交差する道路の上り下り用として少なくとも4つの信号灯器が設置されている。
【0025】
高度道路交通システムにおいて、無線通信システムを構成する、複数の交差点それぞれに設置された複数の路側通信機(無線機)2は、その周囲を走行する車両5(の車載通信機3)との間で無線通信(路車間通信)が可能である。
また、各路側通信機2は、自己の送信波が到達する所定範囲内に位置する他の路側通信機2とも無線通信(路路間通信)が可能である。
また、同じく無線通信システムを構成する車載通信機(無線機)3は、路側通信機2との間で無線通信を行うとともに、キャリアセンス方式で他の車載通信機3と無線通信(車車間通信)が可能である。
【0026】
図2は、路側通信機2の内部構成を示すブロック図である。路側通信機2は、図2に示すように、無線通信のためのアンテナ20が接続された無線通信部21と、通信制御などの処理を行う通信制御部23と、必要な情報を記憶する記憶部24と、を備えている。有線通信回線7を介して中央装置4と接続されるオンライン路側通信機2は、さらに、有線通信回線7を介して中央装置4と通信するための有線通信部22を備えている。
通信制御部23は、後述する、車載通信機3に送信すべき送信情報の無線送信に関する処理等、各通信部を制御して各種情報の送受信に関する処理を行う。
【0027】
〔無線通信の方式等〕
図3は、本実施形態の無線通信システムにおいて用いられる無線フレームを示す図である。この無線フレームは、その時間軸方向の長さが100ミリ秒に設定されており、第一スロットSL1と、第二スロットSL2とを含んで構成されている。
第一スロットSL1は、路側通信機2に割り当てられる路車間通信用のタイムスロットであり、この時間帯においては、路側通信機2による無線送信が許容される。
一方、第二スロットSL2は、車載通信機3用のタイムスロットであり、この時間帯は車載通信機3による無線送信用として開放するため、路側通信機2は第二スロットSL2では無線送信を行わない。
【0028】
無線フレームに含まれている第一スロットSL1と、第二スロットSL2とは、時間軸方向に交互に配置されている。第一スロットSL1には、それぞれ順にスロット番号i(i=1,2,3・・・)が付されている。
【0029】
路側通信機2には、無線フレームに含まれる複数の第一スロットSL1(例えば、10個の第一スロット)の内の一つが割り当てられる。路側通信機2はスロット番号iによっていずれのスロットが自機に割り当てられるかを認識する。
例えば、i=1の第一スロットSL1には、交差点A2,B5,C3の路側通信機2に割り当てられ、i=2の第一スロットSL1には、交差点A3,B1,C4の路側通信機2に割り当てられ、i=3の第一スロットSL1には、交差点A4,B2,C5の路側通信機2に割り当てられ、i=4の第一スロットSL1には、交差点A5,B3,C1の路側通信機2に割り当てられ、i=5の第一スロットSL1には、交差点A1,B4,C2の路側通信機2に割り当てられている。
【0030】
図4は、各交差点のスロット割り当てを示す図である。図4では、図1に示す複数の路側通信機2に対する、図3に従った第一スロットSL1の割り当て方を示しており、各交差点の丸内の数字は、スロット番号iを示している。隣接する交差点の路側通信機2に対して同一の第一スロットSL1が割り当てられていると、隣接する交差点間にいる車両5は、双方の路側通信機2からの路車間通信の電波を受け、干渉が生じる。しかし、図3のように、同一の第一スロットSL1を分散させて割り当てることで、各路側通信機2による路車間通信の際の干渉を防止できる。
つまり、同じ第一スロットSL1が割り当てられる路側通信機2同士の位置関係は、互いの送信信号によってさほど干渉を生じさない程に十分に離れており、路側通信機2同士の位置関係が距離的に近い場合には、互いに異なるスロットが割り当てられる。
【0031】
前記無線フレームは、時間軸方向に複数並べて配置され、いずれかの路側通信機2に割り当てられる、各スロット番号の第一スロットSL1は、各無線フレーム内において一つだけである。また、各スロット番号の第一スロットSL1は、それぞれ、1無線フレームの長さ(100ミリ秒)を1周期として周期的に配置されている。従って、各路側通信機2は、第一スロットSL1を用いた送信を100ミリ秒ごとに行う。
【0032】
〔緊急事態が発生した場合の通知〕
本実施形態の高度道路交通システムでは、上記路車間通信を用いて、車両5についての安全運転支援制御を行う機能を有する他、地震や津波といった大規模な自然災害や、広範囲に亘る大規模な交通事故や火災等、車両の安全な運行に支障を来すような緊急事態が発生した場合、その旨を示す情報を車載通信機3に送信し、緊急事態が発生したことを車両5のドライバに知らせるとともに、緊急事態に伴って必要な避難経路等の情報を提供する機能も有している。
【0033】
本システムにおいて、各路側通信機2それぞれの近傍に位置する車載通信機3に関する情報は、各路側通信機2それぞれによって自律的に処理されるが、中央装置4が自ら情報の発信元として各車載通信機3に情報を提供するためには、各路側通信機2を介して行う必要がある。
ここで、各路側通信機2(の通信制御部23)は、車両5の車載通信機3に送信すべき送信情報を取得すれば、自機の周囲の車両5の車載通信機3に向けてその送信情報を無線送信する機能を有している。
従って、中央装置4が各車載通信機3に緊急事態の発生を知らせるためには、中央装置4が、各路側通信機2に対して、緊急事態が発生したことを示す情報を、車載通信機3に送信すべき送信情報として与える必要がある。
【0034】
図5は、本実施形態のシステムが、緊急事態に関する情報を各路側通信機2に提供する際の態様を示すシーケンス図である。
本システムにおいて、各路側通信機2は、緊急事態ではない平常時では、車載通信機3に送信すべき送信情報を16QAMで変調し、無線送信を行う。
【0035】
ここで、緊急事態が発生し、中央装置4が緊急事態の発生を認識すると(ステップS1)、当該中央装置4は、緊急事態に関する情報である緊急情報を、車載通信機3に送信すべき送信情報として、有線通信回線7を介してオンライン路側通信機2に送信する(ステップS2)。なお、この緊急情報の内容としては、緊急事態が発生したこと、及びその緊急事態の内容を示す情報(緊急事態通知情報)であり、例えば、予め想定される緊急事態の内容(例えば、地震、津波、大規模火災等)に割り当てられたコード番号が挙げられる。緊急情報を取得した各通信機2,3は、このコード番号を認識すれば、そのコード番号に相当する緊急事態が発生したこと、及びその内容を認識することができる。
【0036】
緊急情報を有線通信回線7を介して受信し取得したオンライン路側通信機2は、この取得した緊急情報によって、緊急事態の発生及びその内容を認識する(ステップS3)。そしてオンライン路側通信機2は、この受信した緊急情報の内容と同一内容の緊急情報を、車載通信機3に向けて無線送信する(ステップS4)。
ここで、オンライン路側通信機2は、平常時における車載通信機3に送信すべき情報、つまり、車載通信機3に送信すべき情報が緊急情報以外の情報については、上述のように変調方式を16QAMとして無線送信するが、車載通信機3に送信すべき情報が緊急情報である場合、16QAMよりも低い送信レートの変調方式であるBPSKによる変調を行い無線送信する。
【0037】
図6は、オンライン路側通信機2に割り当てられた第一スロットSL1の内容を示す図であり、(a)は平常時における第一スロットSL1、(b)は緊急時において緊急情報を送信する際の第一スロットSL1を示している。
図6(a)に示すように、路側通信機2は、平常時においては、変調方式16QAMによって、緊急情報以外の通常の情報を送信している。
一方、路側通信機2は、緊急情報を送信する場合、緊急情報以外の情報よりも優先的に緊急情報を第一スロットSL1に割り当てて無線送信する。よって、図6(b)に示すように、まず、BPSKにて変調された緊急情報を第一スロットSL1に割り当て、残りの領域に、緊急情報以外の通常の情報の内、比較的優先順位が高いものを第一スロットSL1に割り当てる。なお、残りの領域に割り当てられる情報は、緊急情報以外の情報なので16QAMで変調される。
以上のようにして、緊急情報は、緊急情報以外の情報よりも優先して車載通信機3に送信される。
【0038】
図5に戻って、有線通信回線7によって中央装置4と接続されていないスタンドアローン路側通信機2は、自機の周囲に設置された自機以外の他の路側通信機2が送信する車載通信機3に向けた無線送信を受信することで、緊急情報を取得する。
スタンドアローン路側通信機2は、自機に割り当てられている第一スロットSL1以外の第一スロットSL1のタイミングにおいては、自機以外の他の路側通信機2の車載通信機3に向けた信号を受信する。
【0039】
スタンドアローン路側通信機2は、他の路側通信機2からの送信情報を受信すると、まず、その送信情報の変調方式を特定する(ステップS5)。オンライン路側通信機2が送信する情報は、平常時の場合は16QAMで変調され、緊急情報の場合はBPSKで変調されて送信されるので、これを受信した路側通信機2は、変調方式を特定することで、オンライン路側通信機2が送信する送信情報が緊急情報であるか否かを判断することができる。
【0040】
緊急事態が発生した場合、図5のように、オンライン路側通信機2は緊急情報をBPSKで変調して送信するので、これを受信したスタンドアローン路側通信機2は、受信した他の路側通信機2の信号をBPSKで変調されていることを特定する。
これにより、スタンドアローン路側通信機2は、オンライン路側通信機2からの送信情報が緊急情報であり、緊急事態が発生したことを認識する(ステップS6)。
【0041】
無線通信によって受信した情報の内容を認識するためには、その情報を復調する必要があるが、このスタンドアローン路側通信機2によれば、受信した情報を復調せずとも、当該受信した情報が緊急情報であることを速やかに認識することができる。
このため、スタンドアローン路側通信機2は、以降の処理については、緊急事態の際に実行すべき処理を優先的に行う等、平常時のモードとは異なる緊急事態発生時のモードに切り替えるといったことを迅速に行うことができる。
【0042】
次いで、スタンドアローン路側通信機2は、受信した情報を復調し、緊急情報の内容を取得し、取得した緊急情報の内容と同一内容の緊急情報を、車載通信機3に向けて無線送信する(ステップS7)。スタンドアローン路側通信機2も、オンライン路側通信機2と同様、車載通信機3に送信すべき送信情報が緊急情報以外の情報については、変調方式を16QAMとして無線送信するが、車載通信機3に送信すべき情報が緊急情報である場合、16QAMよりも低い送信レートの変調方式であるBPSKによる変調を行い無線送信する。
また、スタンドアローン路側通信機2は、オンライン路側通信機2と同様、緊急情報以外の情報よりも優先的に緊急情報を第一スロットSL1に割り当てて無線送信する。また、第一スロットSL1の残りの領域には、緊急情報以外の情報の内、比較的優先度の高い情報を割り当てて送信する。
【0043】
さらに、上記緊急情報の送信を開始したスタンドアローン路側通信機2の近傍に他のスタンドアローン路側通信機2が存在している場合、当該他のスタンドアローン路側通信機2は、緊急情報の送信を開始したスタンドアローン路側通信機2からの緊急情報を受信して変調方式を特定し(ステップS8)、その結果、変調方式がBPSKであることから緊急事態を認識し(ステップS9)、緊急情報を取得する。そして、変調方式をBPSKとして緊急情報を車載通信機3に対して無線送信する(ステップS10)。
【0044】
以上のようにして、本システムでは、中央装置4が有線通信回線7を介してオンライン路側通信機2に送信した緊急情報は、各路側通信機2により車載通信機3に対して無線送信され、それと同時に、緊急情報が、自機とは異なる他の路側通信機2に受信されることで路路間通信を行い、各路側通信機2に対して緊急情報が与えられる。
【0045】
ここで、図4中の交差点B4に設置されたスタンドアローン路側通信機2に着目して緊急情報に関する路路間通信について説明する。
交差点B4の路側通信機2には、スロット番号i=5の第一スロットSL1が割り当てられている。よって、交差点B4の路側通信機2は、それ以外のスロット番号の第一スロットSL1が割り当てられかつ、もっとも近傍に位置するオンライン路側通信機2である交差点A4に設置された路側通信機2(スロット番号i=3)から、緊急情報を受信する。
【0046】
このとき、交差点A4のオンライン路側通信機2は、スロット番号i=3の第一スロットSL1を用いて送信するが、交差点B4を通過する紙面横方向に延びる道路上の交差点B2の路側通信機2も、スロット番号i=3の第一スロットSL1が割り当てられている。よって、交差点B4のスタンドアローン路側通信機2が、交差点A4のオンライン路側通信機2からの情報を希望波として受信しようとするときに、交差点B2の路側通信機2も同一のタイミング(スロット番号i=3の第一スロットSL1のタイミング)で送信情報を送信する。このため、交差点B2の路側通信機2が送信する送信情報は、交差点A4のオンライン路側通信機2が送信する送信情報に対して干渉を生じさせることがある。このような干渉が生じると、交差点B4の路側通信機2による迅速な緊急情報の取得が妨げられ、この結果、交差点B4のスタンドアローン路側通信機2では、緊急事態が発生したことを迅速にドライバに知らせることができないおそれがある。
【0047】
この点、本実施形態のシステムによれば、路側通信機2の通信制御部23は、緊急情報を取得すると、当該緊急情報以外の送信情報を送信するときの変調方式である16QAMよりも低い送信レートの変調方式であるBPSKによって緊急情報を無線送信するので、緊急情報を送信する場合には、緊急情報以外の送信情報を送信する場合よりも堅牢性を高めることができる。これにより、車載通信機3に向けた緊急情報を自機以外の他の路側通信機2が希望波として受信し取得する場合において、上述のように、干渉波が存在していたとしても、希望波の復調を許容する干渉波の電力が大きくなり(受信に必要な許容DU比(Desired to Undesired signal ratio)が小さくなり)、確実に希望波である自機からの緊急情報を取得することができる。この結果、交差点B4のスタンドアローン路側通信機2は、干渉を受け得る環境である場合にも、迅速に緊急情報を取得することができる。
【0048】
また、本実施形態のシステムでは、緊急情報の発信元である中央装置4から有線通信回線7によって緊急情報を取得するオンライン路側通信機2と、自機以外の他の路側通信機2が車載通信機3に向けて無線送信する緊急情報を受信することによって緊急情報を取得するスタンドアローン路側通信機2とを備えている。
この内、オンライン路側通信機2は、有線通信回線7によって緊急情報を迅速に取得できる。
さらに、スタンドアローン路側通信機2も、上述のように、干渉を受け得る環境である場合にも、迅速に緊急情報を取得することができる。
【0049】
〔緊急情報の送信頻度〕
各路側通信機2は、緊急情報を受信することで緊急事態の発生を認識し、車載通信機3に緊急情報を送信するが、経時的な状況の変化によって、緊急情報の必要性は低下する。必要性が低い情報を無線送信することになれば、限られた無線リソースを無駄に消費してしまうことになる。
上記のように無線リソースを無駄に消費するのを防止することを目的として、本実施形態のシステムによる各路側通信機2は、緊急情報の送信を開始した後、自機が送信する緊急情報の送信頻度を調整する機能を有している。
【0050】
図7は、路側通信機2が緊急情報の送信頻度の調整処理に関するフローチャートである。
緊急情報を受信することで緊急事態の発生を認識した路側通信機2は、受信し取得した緊急情報を車載通信機3に無線送信することを決定し(ステップS100)、所定期間の間、緊急情報を可能な限りの最大頻度で送信する(ステップS101)。
路側通信機2が緊急事態の発生を認識した直後は、自機の周囲の車載通信機3や他の路側通信機2においては緊急事態の発生を認識している可能性が低い。
よって、路側通信機2は、緊急事態の発生を認識した直後については、自機の周囲の車載通信機3や他の路側通信機2においては緊急事態の発生を認識していないとみなし、速やかに周囲の車載通信機3や他の路側通信機2に緊急事態が発生したことを認識させるために、緊急情報を最大頻度で送信する。
【0051】
所定期間の経過後、路側通信機2は、自機の周囲に位置する他の路側通信機2の送信情報を受信し取得する(ステップS102)。なお、このステップS102における他の路側通信機2の送信情報の受信は、ステップS101における緊急情報を送信する所定期間の間に行うこともできる。路側通信機2は、他の路側通信機2からの送信情報の受信において、自機が割り当てられている第一スロットSL1と異なるスロットが割り当てられている他の路側通信機2からの送信情報しか受信できない。よって、自機による緊急情報の送信と、他の路側通信機2の送信情報の受信とを同時に実行することができるからである。
【0052】
他の路側通信機2の送信情報を受信した路側通信機2は、受信した送信情報を参照し、所定期間の経過後において、自機の周囲に位置する他の路側通信機2の内、8割以上が緊急情報を送信しているか否かを判断する(ステップS103)。
【0053】
ステップS103において、他の路側通信機2の内、8割以上が緊急情報を送信していないと判断した場合、路側通信機2は、ステップS101に戻り、再度所定期間の間、最大頻度で緊急情報を送信し、上記と同様の処理を繰り返す。
一方、ステップS103において、他の路側通信機2の内、8割以上が緊急情報を送信していると判断した場合、路側通信機2は、ステップS104に進み、緊急情報を最大頻度よりも低頻度で所定期間の間、送信する(ステップS104)。
【0054】
他の路側通信機2が緊急情報を送信していれば、当該他の路側通信機2は、緊急情報を受信し緊急事態が発生したことを認識していると判断できる。よって、自機である路側通信機2は、自機の周囲に位置する他の路側通信機2が緊急情報を送信しているか否かによって、周囲の他の路側通信機2が緊急事態の発生を認識しているか否かを判断でき、これに基づいて、緊急情報の送信頻度を調整する。
つまり、路側通信機2は、ステップS103において、自機の周囲に位置する他の路側通信機2の内、8割以上の他の路側通信機2が緊急事態の発生を認識していれば、緊急情報送信の必要性が低いと判断し送信頻度を下げるように調整し、8割以上の他の路側通信機2が緊急事態の発生を認識していなければ、緊急情報送信の必要性は未だ高いと判断し送信頻度をより高い状態で維持するように調整する。
【0055】
そして、所定期間の経過後、路側通信機2は、緊急情報の送信を停止する(ステップS105)。
【0056】
本実施形態のシステムは、複数の路側通信機2を備えた無線通信システムであって、前記複数の路側通信機2は、車両(の車載通信機3)に送信すべき送信情報を取得し、取得した前記送信情報を前記車両に向けて無線送信する通信制御部23を備え、前記通信制御部23は、前記送信情報として、緊急事態に関する情報である緊急情報を取得して当該緊急情報を無線送信するときに、自機以外の他の路側通信機2が、前記緊急情報を無線送信しているか否かに応じて、自機が送信する前記緊急情報の送信頻度を調整するものである。
【0057】
上述のように、自機の周囲に位置する他の路側通信機2が緊急情報を送信していれば、当該他の路側通信機2は、緊急情報を受信し緊急事態が発生したことを認識していると判断できる。よって、自機である路側通信機2は、自機の周囲に位置する他の路側通信機2のほとんどが緊急情報を送信していれば、自機の周囲の路側通信機2のほとんどが緊急情報を受信し緊急事態の発生を認識していると判断できるので、このような場合には、自機が緊急情報の送信を継続する必要性が低い。逆に、他の路側通信機2のほとんどが緊急情報を送信していなければ、自機の周囲の他の路側通信機2のほとんどが緊急情報を受信していないと判断できるので、このような場合には、自機が緊急情報の送信を継続する必要性が高い。
【0058】
この点、本実施形態のシステムによれば、他の路側通信機2による緊急情報の送信状況に応じて、自機の緊急情報の送信頻度を適切に設定することができ、必要性が低い情報を無線送信するのを防止し、限られた無線リソースを無駄に消費するのを防ぐことができる。
【0059】
また、上記実施形態において、路側通信機2の通信制御部23は、緊急情報の無線送信を開始してから所定期間の間は、最大頻度(第一の頻度)で緊急情報の無線送信を実行し、所定期間の経過後に、他の路側通信機2の内、緊急情報を無線送信している路側通信機2の割合に基づいて、最大頻度で緊急情報を無線送信するか、最大頻度よりも低い頻度である低頻度(第二の頻度)で緊急情報を無線送信するか否かを決定するように構成されている。
この場合、自機が緊急情報を取得し無線送信を開始した直後は、上述したように、自機の周囲の車載通信機3や他の路側通信機2が緊急情報を受信し緊急事態が発生していることを認識している可能性は低いので、高頻度で緊急情報の送信を実行することで効果的に車載通信機3や他の路側通信機2に緊急情報を受信させることができる。その後、他の路側通信機2による緊急情報の送信状況に応じて、自機の緊急情報の送信頻度を調整することで、より適切な設定が可能となる。
【0060】
上記実施形態の図7では、自機である路側通信機2が、周囲に位置する他の路側通信機2による緊急情報の送信状況に応じて、自機の緊急情報の送信頻度を調整する場合を示したが、他の路側通信機2による緊急情報の送信状況に応じて、自機が送信する緊急情報の内容を調整することもできる。
【0061】
図8は、他の路側通信機2による緊急情報の送信状況に応じて、自機が送信する緊急情報の内容を調整する際の処理に関するフローチャートであり、図7のフローチャートとはステップS104のみが異なっている。
図8中、ステップS114は、図7中のステップS103から続く処理であり、本処理は、図7中のステップS100〜103まで同一の処理で、その後、ステップS114、S105と続く。
【0062】
路側通信機2は、緊急情報の内容として、緊急事態が発生したこと及びその内容を示す情報である緊急事態通知情報を、ステップS101(図7)で送信する。
そして、ステップS103において、他の路側通信機2の内、8割以上が緊急情報を送信していると判断した場合、路側通信機2は、ステップS114に進み、緊急情報の内容を緊急事態通知情報から、緊急時サービス情報に変更し、変更した緊急情報を最大頻度で所定期間の間、送信する(ステップS114)。
そして、所定期間の経過後、路側通信機2は、緊急情報の送信を停止する(ステップS105)。
【0063】
上記緊急時サービス情報とは、車両5の車載通信機3に対して、発生した緊急事態に対する対処方法や、避難経路を示す情報等、車両5に対する緊急事態対応のサービスに関する情報である。この緊急時サービス情報も、緊急事態通知情報と同様、中央装置4からオンライン路側通信機2に送信され、さらに、オンライン路側通信機2からスタンドアローン路側通信機2に送信される。
【0064】
この図8の場合、自機である路側通信機2は、自機以外の他の路側通信機2が、緊急情報を無線送信しているか否かに応じて、自機が送信する緊急情報の内容を変更し調整するので、他の路側通信機2のほとんどが緊急情報の送信を行っていることで、自機の周囲の路側通信機2のほとんどが緊急情報を受信し緊急事態の発生を認識していると判断できるときには、緊急情報として、緊急事態の発生を通知する情報から、避難経路を示す情報等、車両に対する緊急事態対応のサービスに関する情報(緊急時サービス情報)に変更することができる。
つまり、緊急事態が発生した直後は、早急に緊急事態の発生を通知する必要があるが、自機の周囲の通信機2、3のほぼ全部が緊急事態の発生を認識すれば、その後は、車載通信機3に対して、緊急事態に対する具体的な対応方法を提供すべきである。
この点、上記システムでは、他の路側通信機2による緊急情報の送信状況に応じて、緊急情報の内容を変更し調整するので、車両5の車載通信機3にとって必要な情報を速やかに提供することができる。
【0065】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、図7において、路側通信機2は、緊急情報として、緊急事態が発生したこと及びその内容を示す情報である緊急事態通知情報を送信する場合を示したが、緊急通知情報、及び上述の緊急時サービス情報の双方を含めたものを、緊急情報として無線送信してもよい。
【0066】
本発明に関して、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0067】
2 路側通信機(オンライン路側通信機、スタンドアローン路側通信機)
3 車載通信機
4 中央装置
5 車両
23 通信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の路側通信機を備えた無線通信システムであって、
前記複数の路側通信機は、車両に送信すべき送信情報を取得し、取得した前記送信情報を前記車両に向けて無線送信する通信制御部を備え、
前記通信制御部は、緊急事態に関する情報である緊急情報を前記送信情報として送信する場合、当該緊急情報以外の送信情報を送信するときの変調方式よりも低い送信レートの変調方式によって前記緊急情報を無線送信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記複数の路側通信機には、前記緊急情報を当該緊急情報の発信元から有線通信によって取得する路側通信機と、自機以外の他の路側通信機が前記車両に向けて無線送信する前記緊急情報を受信することによって前記緊急情報を取得する路側通信機と、が含まれている請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記通信制御部は、自機以外の他の路側通信機が、前記緊急情報を無線送信しているか否かに応じて、自機が送信する前記緊急情報の送信頻度を調整する請求項1又は2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記通信制御部は、前記緊急情報の無線送信を開始してから所定期間の間は、第一の頻度で前記緊急情報の無線送信を実行し、
前記所定期間の経過後に、前記他の路側通信機の内、前記緊急情報を無線送信している路側通信機の割合に基づいて、前記第一の頻度で前記緊急情報を無線送信するか、前記第一の頻度よりも低頻度である第二の頻度で前記緊急情報を無線送信するか否かを決定する請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記通信制御部は、自機以外の他の路側通信機が、前記緊急情報を無線送信しているか否かに応じて、自機が送信する前記緊急情報の内容を調整する請求項1又は2に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記通信制御部は、前記他の路側通信機が無線送信した送信情報の変調方式に基づいて、当該送信情報が緊急情報であるか否かを判断する請求項2〜5のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項7】
車両に送信すべき送信情報を取得し、取得した前記送信情報を前記車両に向けて無線送信する通信制御部を備え、
前記通信制御部は、前記送信情報として、緊急事態に関する情報である緊急情報を取得すると、当該緊急情報以外の送信情報を送信するときの変調方式よりも低い送信レートの変調方式によって前記緊急情報を無線送信することを特徴とする路側通信機。
【請求項8】
複数の路側通信機を備えた無線通信システムによる緊急事態に関する情報である緊急情報の送信方法であって、
複数の路側通信機が、車両に送信すべき送信情報を取得する取得ステップと、取得した前記送信情報を前記車両に向けて無線送信する送信ステップとを、含み、
前記送信ステップは、前記送信情報として、前記緊急情報を取得すると、当該緊急情報以外の送信情報を送信するときの変調方式よりも低い送信レートの変調方式によって前記緊急情報を無線送信することを特徴とする無線通信システムによる緊急情報の送信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−98907(P2013−98907A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242289(P2011−242289)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】