無線通信システムおよび無線中継局
【課題】アドホック無線通信システムにおいて、無線中継局間のバッテリ残量格差が発生した場合に、無線中継局が自律的に通信経路を変更することができない。
【解決手段】複数の無線中継局を介するマルチホップ無線ネットワークにおいて、間欠動作をする無線中継局が状況に応じて自らの判断で間欠動作間隔を変化させる。
【解決手段】複数の無線中継局を介するマルチホップ無線ネットワークにおいて、間欠動作をする無線中継局が状況に応じて自らの判断で間欠動作間隔を変化させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムおよび無線中継局に係り、特に、間欠起動型アドホックネットワークにおける無線通信システムおよび無線中継局に関する。
【背景技術】
【0002】
設置容易性・低コスト・運用容易性・拡張性の観点から産業分野での無線通信に対する需要が高まっている。特にマルチホップ通信は、消費電力や法律上の制限から生じる1対1での通信距離限界を超える手段として有望視されている。このような無線通信システムの長期運用を実現するためにはシステムを構成する端末や中継局の低消費電力化が必須である。これに対し、IEEE802.15.4e規格では、受信側からの起動通知を受けて通信セッションを開始する通信方式を提示している。受信側(中継局)は間欠的に起動し、起動通知を周囲にブロードキャストして反応を待つ。送信側(端末)は送りたい情報があれば周囲からの起動通知を待ち受け、起動通知を送信してきた中継局に対し情報を送信する。これにより中継局の起動時間を削減し、消費電力を低減する。
【0003】
一般に、アドホックネットワークでは中継局の配置状況によっては一部の中継局に通信が集中する場合があり、バッテリ消費量に偏りが生じる。通信が集中した中継局のバッテリがなくなり停止すればシステム全体に影響が及ぶ。これに対し、特許文献1の発明では、複数の無線端末が、相互に送受信される経路情報に基づいて伝送パケットを相互に中継伝送するマルチホップ無線通信システムにおいて、各端末が自身の電池残量に応じて周囲の各端末との間の経路情報の送信間隔を変更し、周囲の端末はそこから前記端末の信頼性を判断する。すなわち、各端末は、経路情報テーブルに格納されている経路情報の送信を行う際に、自己の電池残量検出部から得られる電池残量と、送信間隔制御テーブルの設定状態とに基づいて、周囲の各端末への経路情報の送信間隔を決定する。システムはそれに基づいて経路を変更することで消費電力の平滑化を図っている。
【0004】
また、特許文献2の発明では、間欠起動する他の無線端末に対して一定期間の通信を行った上で自身の消費電力を計測し、測定結果に基づいて間欠起動間隔を変更する。すなわち、ネットワークの端末の電力消費量に基づき、間欠起動周期を制御する。これにより消費電力の少ない端末が優先的に通信経路に選択されるため、消費電力が平滑化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−295310号公報
【特許文献2】特開2010−28168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したように、アドホックネットワークでは、一般に、中継局の配置状況によっては一部の中継局に通信が集中する場合があり、バッテリ消費量に偏りが生じる。
【0007】
特許文献1の発明は、マルチホップ無線通信システムを構成する各端末が自身の電池残量に応じて経路情報の送信間隔を変更し、バッテリ消費電力の平滑化を図っている。しかし、複数の端末は相互の経路情報の送信を非間欠動作で行う、すなわち常に起動状態にある。そのため、マルチホップ無線通信システム全体として、消費電力を低減しシステムの長期運用を図るのは困難である。
【0008】
また、特許文献2の発明では、各端末が経路情報の取得のための解析を行うのに一定期間の端末間通信が必要となる。そのため、通信相手の間欠起動間隔や通信環境、さらにはどの端末と通信するかなどが消費電力計測に影響し、非効率な経路設定をしてしまう可能性がある。
【0009】
一方、中継局の設置位置によりバッテリ交換の容易性に大きな差が生じる場合がある。このときシステムを構成する全中継局のバッテリが均一に消費されるよりも、バッテリ交換が容易な中継局に通信が集中させることでメンテナンスが容易になると考えられる。更に、太陽電池パネルや電源供給などで独自の給電方法をもつ中継局があれば、そこに通信を集中させることでシステム全体のバッテリ消費を抑えられると考えられる。
【0010】
しかしながら、従来の間欠起動型アドホックネットワークに関する技術では、中継局間のバッテリ残量格差の平滑化において、個別の特性や設置状況等の中継局自体の通信環境に応じた対応ができなかった。例えば、無線中継局間のバッテリ残量格差が発生した場合に、各無線中継局が自律的に通信経路を変更することはできなかった。そのため、バッテリの残量が多い中継局やバッテリ交換が容易な中継局、あるいは太陽電池パネルなど独自の給電手段をもつ中継局があっても、それらを優先的に活用することはできなかった。
【0011】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、無線中継局が自律的に通信経路を変更し、システムの長期運用が可能なマルチホップ無線通信システムおよび無線中継局を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の代表的なものの一例を示すと、次のようになる。複数の無線中継局と少なくとも1つの端末とで構成され、アドホックネットワークによるマルチホップ通信を行う無線通信システムにおいて、前記各無線中継局は、バッテリと、該バッテリの状態を検知する検知手段と、当該無線中継局の自らの間欠動作間隔の情報を与えるテーブルと、通信制御を行う制御装置とを備えており、前記テーブルの間欠動作間隔は、前記自らのバッテリの状態を含む当該無線中継局の通信環境に応じて、該通信環境の良い前記無線中継局ほど前記間欠動作間隔が短くなるように設定されており、前記各無線中継局が、前記自らの通信環境と前記テーブルの情報とに基づいて、自らの前記間欠動作間隔を設定・変更し、前記間欠動作時に前記端末からの通信情報を転送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、システムの長期運用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用したマルチホップ無線通信システムの構成例を示す図。
【図2】本発明の第一の実施例の端末の構成例を示す図。
【図3】第一の実施例の中継局の構成例を示す図。
【図4】第一の実施例の間欠動作間隔テーブルの例を示す図。
【図5A】第一の実施例における、中継局の動作を示すフローチャート。
【図5B】第一の実施例による、図1の無線通信システムにおけるメッセージフローを示す図。
【図6】第一の実施例における、中継局の間欠動作間隔変更の説明図。
【図7】端末周辺に複数の中継局が存在する場合の、通信情報が送信される中継局を選択する手順の説明図である。
【図8】本発明の第二の実施例の中継局の構成例を示す図。
【図9】第二の実施例の間欠動作間隔テーブルの例を示す図。
【図10】本発明の第三の実施例の中継局の構成例を示す図。
【図11】第三の実施例の間欠動作間隔テーブルの例を示す図。
【図12】本発明の第四の実施例による、中継局機能を併せ持つ端末の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の代表的な実施形態によれば、複数の中継局を介するマルチホップ無線ネットワークにおいて、間欠動作をする各無線中継局が、自己のバッテリの状態を含む通信環境に応じて自らの判断で間欠動作間隔を変化させる。
【0016】
なお、以下に述べる実施例は、アドホックネットワークで利用される無線接続の方式として、標準化が予定されているIEEE 802.15.4eの規格に基づき、非同期・間欠起動でアドホック通信を行う無線通信システムを前提としている。
【0017】
アドホックネットワークでは、専用の基地局を用いず、各端末装置自体が持つ中継機能を利用し、「マルチホップ通信」の技術により、多数の端末同士を基地局の介在無しに接続する。すなわち、マルチホップ通信では、一時的に相互接続される端末群でネットワークが構成され、基地局がなくても、他の端末を中継しながら通信エリアが拡大される。そのため、低消費電力で広い範囲をカバーする無線システムに適している。
【0018】
本発明の代表的な実施形態によれば、間欠動作を行う複数の中継局、および何れかの中継局からの起動通知信号を受けてデータ送信を行う少なくとも1つの端末を備えた、マルチホップ通信方式を用いた無線通信システムにおいて、間欠動作(間欠起動)をする各中継局が通信環境の状況に応じて自らの判断で間欠動作の間隔を変化させる。通信環境の良い無線中継局ほど間欠動作の間隔が短くなるようにしたことで、各無線中継局が自律的に通信経路を変更でき、システムの長期運用が可能となる。すなわち、中継局個別の特性や設置状況等の通信環境に応じたバッテリ消費が可能となり、システムの長期運用が可能となる。また、起動間隔の変化を各中継局が独自に判断できるため、通信相手の間欠起動間隔や通信環境、さらにはどの端末と通信するかなどの影響を受けることなく、システムの長寿命化が可能な経路を選択することができる。
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を用いながら説明する。なお、以下の説明では、端末が送信した通信情報を中継局がアクセスポイント(AP)まで転送することを想定している。
【実施例1】
【0020】
アドホックネットワークにおけるマルチホップ無線通信システムに関する、本発明の第一の実施例を、図1乃至図7を参照しながら説明する。
図1に、本発明を適用したマルチホップ無線通信システムの構成例を示す。
本発明のマルチホップ無線通信システムでは、間欠動作を行う複数の無線中継局10(A,B)、何れかの中継局からの起動通知信号を受けてデータ送信を行う複数の端末100(A,B,C)、及び、各端末が送信した通信情報の送信先となるアクセスポイント1(AP)とを備えている。端末100(A,B,C)は、センサ等により端末個有の新規通信情報を取得する機能を備え、かつ、この通信情報を送信することができる。中継局10(A,B)は、間欠起動し、その起動周期を変更できる機能、および通信情報の送受信機能を備えている。ここでは説明の簡略化のために端末3台、中継局2台、アクセスポイント(AP)(1)1台の構成になっている。無線通信システムを構成する各機器の台数に制限がないことは言うまでもない。図1の例では、マルチホップ通信により、複数の端末100(A,B,C)が、1つの中継局10(A)を介してアクセスポイント(AP)1にアクセスするネットワークが構成されている状態を示している。
【0021】
図2に、端末100の構成の例を示す。端末100は、センサ105及びそれを接続するセンサインターフェース(I/F)104、内蔵バッテリ103、センサ105の制御および端末100の通信制御を行う制御装置102、および制御装置102の指示を受けて通信情報をアンテナ106から送受信するための送受信機101から構成される。換言すると、端末100はコンピュータで構成されており、制御装置(マイクロプロセッサ)102を制御してマルチホップ無線通信のための各種の制御動作を行わせる制御プログラムが格納されたROM(図示略)や、制御装置102がアクセスするセンサ情報等の各種情報が格納されるRAM(図示略)を含んでいる。センサ105は、例えばガス濃度、電位、液体のレベル、温度、スイッチの開閉状態どの新規の通信情報を取得する。なお、センサを持たず、定期的に信号を送信することで端末自体が位置センサの役割を果たす端末に本発明を適用することも可能である。また、内蔵バッテリの代わりに電源から電力の供給を受ける端末にも本発明を適用可能である。
【0022】
図3に、第一の実施例での中継局10の構成例を示す。中継局10は、内蔵バッテリ303、この内蔵バッテリ303の残量を測定し制御装置302に入力するバッテリセンサ304、RAMに保持された間欠動作間隔テーブル306、中継局10の通信制御および間欠動作間隔の制御を行う制御装置302、および制御装置302の指示を受けて通信情報をアンテナ305から送受信するための送受信機301から構成される。
【0023】
また、各中継局の制御装置は、マルチホップ無線通信のルーティングプロトコルにより、間欠動作時に他の各中継局を経由して遂次アクセスポイント(AP)に至る、アドホックネットワークルーティングを、自律的に構築する機能を備えている。このルーティング情報はルーティングテーブル(図示略)に保有され、定期的に更新される。なお、ルーティングプロトコルとしては、マルチホップ無線通信システムを構成する中継局の規模や密度、中継局の移動性の高低等によって、プロアクティブ方式やリアクティブ方式等の最適の方式を採用すればよい。換言すると、中継局10はコンピュータで構成されており、制御装置(マイクロプロセッサ)302を制御してマルチホップ無線通信のための各種の制御動作を行わせる制御プログラムが格納されたROMや、制御装置302がアクセスする間欠動作間隔の情報やルーティング情報等の各種情報がテーブル形式等で格納されるRAMを含んでいる。
【0024】
図4に、間欠動作間隔テーブル306の例を示す。この間欠動作間隔テーブル306は、このテーブルを保持する中継局10自身の、間欠動作間隔(換言するとスリープ状態の間隔)Tの情報を与えるものである。すなわち、中継局10自身の内蔵バッテリ303のバッテリ残量(%)に対する、間欠動作間隔Tの関係を与えるテーブルである。tは任意の単位時間であり、バッテリ残量が100(%)のとき、T=tとなる。この例では、バッテリ残量が90(%)、80(%)、−、と少なくなるに従い、間欠動作間隔Tは、2t、3t、−、と次第に長くなる。そして、バッテリ残量が10(%)未満になると、t=0となり、交換アラーム連続送信モードになる。なお、tの絶対値は、各中継局10の通信環境等に応じて適宜設定される。
【0025】
図5Aは、第一の実施例における、中継局10の動作を示すフローチャートである。中継局10は、起動状態とスリープ状態とを間欠的に繰り返す。中継局10がスリープ状態にある時に、制御装置302に設けられたタイマが再起動迄の時間を計測する。この時間は間欠動作間隔Tである。中継局10は、スリープ状態において、送受信機301の電源をオフするとともに、制御装置302自体も低電力で動作し、再起動に必要なタイマなどのみが動作している。
【0026】
タイマの計測値が間欠動作間隔Tすなわち再起動に移行する時間になると、中継局10は、起動(間欠起動)する。間欠起動した中継局10は、まず、バッテリセンサ304をオン状態とし、自局のバッテリ残量を検知する(S501)。そして、バッテリ残量が所定値(Tlim)以下か否かを判定する(S502)。すなわち、RAMに保持されたテーブル306の値に基づき、バッテリ残量が(Tlim)以下か否かが判定される。ここでは、図4の例に基づき、バッテリ残量が10(%)未満の場合は、バッテリ交換のアラームを連続的に送信し続ける処理(S503)により、ユーザに中継局10自身の内蔵バッテリ303の交換を促す通知を行い、その後、処理を終了する。
【0027】
一方、バッテリ残量が10(%)以上の場合は、バッテリ残量に応じた自局の間欠動作間隔Tを設定する(S504)。その後、起動通知をブロードキャストし、受信待機状態に遷移し、受信待ちとなる(S505)。受信状態において通信要求を受信すると(S506)、通信情報転送処理を行い(S507)、その処理が終わると受信待ちとなる。受信状態において所定時間(中継局10の起動時間)Lを過ぎると(S508)、スリープ処理を行って(S509)、スリープ状態に戻る。
【0028】
なお、中継局10の起動時間Lは、間欠動作間隔Tすなわちスリープ状態の時間に比べて、かなり短く設定されている(L<T)。一例をあげると、バッテリ残量が100(%)の状態で、所定の起動時間Lはスリープ状態の時間Tの1/10あるいはそれ以下に設定される。勿論、通信情報転送処理に時間を要した場合には、L/Tが、例えば、0.3〜0.5のように大きくなることも有りうるが、全体的にはL<Tとし、中継局の起動時間をバッテリ残量に応じて削減し、必要な通信環境を維持しつつ、無線通信システム全体の消費電力を低減することができる。すなわち、各中継局が間欠動作し、通信環境の良い無線中継局ほど間欠動作間隔が短くなるようにしたことで、必要な通信環境を維持しつつ、マルチホップ無線通信システム全体の消費電力を低減することができる。
【0029】
本実施例のマルチホップ無線通信システムにおける、IEEE802.15.4e規格の通信方式に基づくメッセージフローを、図5Bに示す。受信側の中継局10Nは間欠動作間隔T毎に間欠動作を行い、起動時に自局の間欠動作間隔Tを設定した後、1回目の起動通知−1(200)を周辺にブロードキャストした後、受信待機(201)に移行する。そして、所定の起動時間Lが経過すると、スリープ状態に遷移する。
【0030】
送信側の端末100Nは、通信情報が発生すると、各中継局10の起動通知(200)を受信するために中継局起動待ち(202)を行う。中継局10Nからの起動通知、この例では2回目の起動通知−2(200)を受信した端末は、通信情報(203)を、起動通知−2を送信してきた中継局10Nに送信する。このように、IEEE802.15.4eの通信方式では、受信側からの起動通知を受けて通信セッションを開始する。中継局10Nは、受信待機(201)時に通信情報(203)を受信すると、その通信情報を転送するため中継局起動待ち(202)に移行し、アクセスポイントAP1からの通信要求(204)、もしくは次の中継局からの起動通知(200)を待つ。
【0031】
アクセスポイントAP1は、任意の間隔で各中継局10や各端末100に通信要求(204)をブロードキャストし、受信待機(201)に移行する。
【0032】
中継局10Nや端末100Nは、アクセスポイントAP1から通信要求(204)を受けると、通信情報(203)をアクセスポイントAP1宛に送信した後、通信要求待ち(205)に移行する。
【0033】
また、中継局10Nは、受信待機(201)又は通信要求待ち(205)において一定期間(起動時間L)以上通信情報(203)の受信がなかった場合には、スリープ状態に移行し、設定された間欠動作間隔T後に再び起動し、前記動作を繰り返す。
【0034】
なお、端末100Nは、接続した自己のセンサが異常値を検出したり、あるいは前回の通信情報送信から一定の期間が経過したりするなどして通信情報の送信が必要であると判断した場合、中継局起動待ち(202)を行う。換言すると、端末100Nの起動間隔は規定されていない。この状態において、端末100Nが、起動通知(200),もしくは通信要求(204)を受信した場合、送信元の中継局もしくはAPに対して通信情報(203)を送信する。このとき、端末100Nが、通信情報(203)の送信前に送信元(中継局もしくはAP)に対して通信情報の送信を予告する通信予告を送信してリンクを確立した後に、通信情報(203)を送信する方法を用いる場合においても、本発明は適用可能である。
【0035】
図6は、中継局10のバッテリ残量Bと間欠動作間隔Tの対応の例を示すものであり、図4の間欠動作間隔テーブル306のデータに対応する。既に述べたとおり、各中継局10の制御装置302は、各々、あらかじめ図6のようなバッテリ残量Bと間欠動作間隔Tの対応を示す情報をテーブルとして持ち、自局のバッテリ残量Bの値に応じて間欠動作間隔Tを決定する。バッテリ残量が多いときは間欠動作間隔Tを短く、少ないときはTを長く設定する。
【0036】
これにより、バッテリ残量が多い中継局は、単位時間あたりの動作回数が増加し、端末100からの通信情報203を中継する確率が高くなる。一方で、バッテリ残量が少ない中継局は、間欠動作間隔T(スリープ状態)が長くなり、中継する確率が減少する。すなわち、事前のアドホックルートの設定無しでも、バッテリ残量が多い中継局が、通信情報の中継を行う確率が高くなる。これによりバッテリ残量の多い中継局ほど通信情報を転送する頻度が高くなり、マルチホップ無線システム内の中継局間のバッテリ残量の格差を平坦化できる。これにより、システムの長期運用が可能となる。
【0037】
図7は、端末周辺に複数の中継局が存在する場合に、次に通信情報が送信される中継局を選択する手順の説明図である。図7の例では中継局10Bの間欠動作間隔TBは中継局10A の間欠動作間隔TAに比べて長く設定されている。これらの間欠動作間隔Tの決定方法については後段で詳述する。間欠動作間隔Tが短い中継局10Aは単位時間内に起動通知200を送信する回数が多いため、端末100は中継局起動待ち202の間に中継局Aから起動通知200を受け取る確率が高い。このため中継局10Aは中継局10Bよりも端末100からの通信情報203を中継する確率が高くなる。端末100から通信情報203を受信した中継局10Aは中継局起動待ち(202)又は通信要求待ち(205)に移行し、同様の手順で通信情報(203)を転送する。ただし、中継局間の転送では、各中継局が持つルーティング情報に基づいて、通信情報の目的地であるAPに近づくルートにある中継局からの起動情報にのみ反応する。これにより通信情報がAPとは違う方向に転送される事態を防ぐ。
【0038】
本実施例によれば、中継局個別の通信環境に応じたバッテリ消費が可能となり、システムの長期運用が可能となる。また起動間隔の変化を中継局が独自に判断できるため、通信相手の間欠起動間隔や通信環境、さらにはどの端末と通信するかなどの影響を受けることなくシステムの長寿命化が可能な経路を選択することができる。
【実施例2】
【0039】
次に、本発明の第二の実施例を説明する。図8に、第二の実施例での中継局10の構成例を示す。内蔵バッテリ303、バッテリセンサ(図示略)、中継局10の通信制御および間欠動作間隔制御を行う制御装置302、間欠動作間隔テーブル306、および制御装置302の指示を受けて通信情報をアンテナ305から送受信するための送受信機301から構成される。間欠動作間隔テーブル306以外の構成に関しては、第一の実施例の説明を以って代える。
【0040】
図9は、第二の実施例の間欠動作間隔テーブル306の例を示す図である。
本実施例では、中継局の設置環境等からバッテリ交換の難易度Dを踏まえた間欠動作間隔Tを、中継局単位で定量化しておく。図9の例では、バッテリ交換の難易度Dが、A,B,Cの3つに区分され(A>B>C)、この区分毎に自局のバッテリセンサで検知されたバッテリ残量に応じた間欠動作間隔Tが設定されている。例えば、難易度がBの場合は、バッテリ残量に応じてt、2t、難易度がAの場合は、2t、4t、のように、難易度の低い中継局の間欠動作間隔Tがより短く設定されている。間欠動作間隔テーブル306の値を制御装置302に入力し、難易度値に応じて間欠動作間隔Tを決定する。具体的にはバッテリ交換が困難な設置環境の場合は間欠動作間隔Tを長く、容易な設置環境の場合は間欠動作間隔Tを短くすることで、バッテリ交換が容易な中継局にバッテリ消費が集中するように制御し、バッテリ交換のメンテナンスコストを抑制する。
【0041】
これにより、中継局個別の特性や設置状況等の通信環境に応じたバッテリ消費が可能となり、システムの長期運用が可能となる。また、起動間隔の変化を中継局が独自に判断できるため、通信相手の間欠起動間隔や通信環境、さらにはどの端末と通信するかなどの影響を受けることなくシステムの長寿命化が可能な経路を選択することができる。
【実施例3】
【0042】
次に、本発明の第三の実施例を説明する。図10に、第三の実施例における中継局10の構成例を示す。内蔵バッテリ303、バッテリセンサ(図示略)、中継局10の通信制御および間欠動作間隔制御を行う制御装置302、間欠動作間隔テーブル306、制御装置302の指示を受けて通信情報をアンテナ305から送受信するための送受信機301、給電装置306との接続部にあたる給電装置I/F307から構成される。間欠動作間隔テーブル306以外の構成に関しては、第一の実施例の説明を以って代える。
【0043】
図11は、第三の実施例の間欠動作間隔テーブルの例を示す図である。本実施例では、給電手段の有無を踏まえた間欠動作間隔Tを、中継局単位で定量化しておく。図11の例では、給電手段が有る中継局では間欠動作間隔Tが、バッテリ残量に応じて0.1t、0.2t、のように、給電手段が無い中継局の1/10に設定されている。中継局10は事前のオペレータによる入力、もしくは接続された機器の認識により給電手段の有無を判断する。ここでの給電手段とは、太陽光発電システムや、電源からの電力供給である。制御装置302はその情報に基づき、給電手段がある場合は間欠動作間隔Tを短く、給電手段がない場合は間欠動作間隔Tを長く設定する。
【0044】
これにより通信環境として、給電手段がある中継局は頻繁に起動し、他の中継局の送受信回数が減り消費電力が押さえられる。給電手段がある中継局はそれを用いてバッテリ充電を行うことができるため、システム全体でバッテリ消費が減少し、長寿命化が可能となる。
【実施例4】
【0045】
次に、本発明の第四の実施例を説明する。図12に、第四の実施例として中継局の機能を併せ持つ端末(中継局兼端末)110を用いる場合の端末の構成図を示す。この中継局兼端末は、他の複数の無線中継局あるいは端末と共に、アドホックネットワークによるマルチホップ通信を行う無線通信システムを構成する。
【0046】
中継局兼端末110は、センシングデータを測定するセンサ105を接続するためのセンサインターフェース(I/F)104、内蔵バッテリ103およびバッテリ残量Bを計測するバッテリセンサ107、センサ105やバッテリセンサ107の制御および通信制御を行う制御装置112、制御装置112の指示を受けて通信情報の送受信するための送受信機111から構成される。
【0047】
本実施例では中継局兼端末110は、自らが通信情報を送信するのに加え、中継局として他の端末からの通信信号を中継するために間欠的に起動する。なお、中継局兼端末110の端末及び中継局としての各機能の詳細は、第一乃至第三の実施例で述べたものと同じである。
【0048】
本実施例でも、通信環境の良い中継局兼端末ほど間欠動作間隔が短くなるようにしたことで、中継局兼端末個別の特性や設置状況等の通信環境に応じたバッテリ消費が可能となり、システムの長期運用が可能となる。また、起動間隔の変化を中継局兼端末が独自に判断できるため、通信相手の間欠起動間隔や通信環境、さらにはどの中継局兼端末(若しくは中継局)と通信するかなどの影響を受けることなくシステムの長寿命化が可能な経路を選択することができる。
【実施例5】
【0049】
次に、本発明の第五の実施例を説明する。本発明のアドホックネットワークによるマルチホップ通信システムは、AMI(Advanced Metering Infrastructure:先進的メータリングインフラ)や、家庭内無線ネットワーク等の、低出力(低消費電力)で広い範囲をカバーする無線システムに広く応用できる。例えば、集合住宅や戸建住宅の各家庭に、センサ付きの端末あるいは中継局兼端末を各々設置し、各家庭から取得した電力量、ガス量、水道使用量、火災検知、電気機器等の省エネルギー関係のモニタ、などのデータを通信情報として取得し、この通信情報を集収集・管理するのに適している。高層の集合住宅の場合、最上階の端末あるいは中継局兼端末から順次下の階の中継局もしくは中継局兼端末を経て、1階あるいは他の場所にあるアクセスポイントAPに通信情報を転送し、これらの通信情報をさらに上位のサーバーシステムへ収集することができる。これにより、高層住宅の各家庭に関して、単なる検針業務だけでなく、収集データを活用した多様な業務の改善や顧客サービスの向上を図ることができる。間欠動作する各中継局もしくは各中継局兼端末の通信環境は、高層住宅の全体的な構造、各顧客用の中継局兼端末の設置位置、給電手段の有無等により異なる。本実施例によれば、各中継局もしくは各中継局兼端末が、自らの通信環境とテーブルの情報とに基づいて、自らの間欠動作間隔を設定・変更するので、マルチホップ無線通信システム全体の消費電力を低減することができると共に、システムの長期運用が可能となる。
【0050】
また、家庭内無線ネットワークであっても、間欠動作する各中継局もしくは各中継局兼端末が、バッテリ消費量や家庭内における設置位置や給電手段の有無等の通信環境に基づいて、自らの間欠動作間隔を設定・変更するようにすればよい。これにより、マルチホップ無線通信システム全体の消費電力を低減することができると共に、システムの長期運用が可能となる。
【符号の説明】
【0051】
100 端末
10 中継局
1 アクセスポイント
200 起動通知
201 受信待機
202 中継局起動待ち
203 通信情報発生
204 通信要求
205 通信要求待ち
206 通信情報送信
207 通信情報送受信
101 301 送受信機
102 302 制御装置
103 303 内蔵バッテリ
104 センサインターフェース(I/F)
105 センサ
106 305 アンテナ
107 304 バッテリセンサ
110 中継局機能を併せ持つ端末(中継局兼端末)
306 給電装置
307 給電装置インターフェース(I/F)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムおよび無線中継局に係り、特に、間欠起動型アドホックネットワークにおける無線通信システムおよび無線中継局に関する。
【背景技術】
【0002】
設置容易性・低コスト・運用容易性・拡張性の観点から産業分野での無線通信に対する需要が高まっている。特にマルチホップ通信は、消費電力や法律上の制限から生じる1対1での通信距離限界を超える手段として有望視されている。このような無線通信システムの長期運用を実現するためにはシステムを構成する端末や中継局の低消費電力化が必須である。これに対し、IEEE802.15.4e規格では、受信側からの起動通知を受けて通信セッションを開始する通信方式を提示している。受信側(中継局)は間欠的に起動し、起動通知を周囲にブロードキャストして反応を待つ。送信側(端末)は送りたい情報があれば周囲からの起動通知を待ち受け、起動通知を送信してきた中継局に対し情報を送信する。これにより中継局の起動時間を削減し、消費電力を低減する。
【0003】
一般に、アドホックネットワークでは中継局の配置状況によっては一部の中継局に通信が集中する場合があり、バッテリ消費量に偏りが生じる。通信が集中した中継局のバッテリがなくなり停止すればシステム全体に影響が及ぶ。これに対し、特許文献1の発明では、複数の無線端末が、相互に送受信される経路情報に基づいて伝送パケットを相互に中継伝送するマルチホップ無線通信システムにおいて、各端末が自身の電池残量に応じて周囲の各端末との間の経路情報の送信間隔を変更し、周囲の端末はそこから前記端末の信頼性を判断する。すなわち、各端末は、経路情報テーブルに格納されている経路情報の送信を行う際に、自己の電池残量検出部から得られる電池残量と、送信間隔制御テーブルの設定状態とに基づいて、周囲の各端末への経路情報の送信間隔を決定する。システムはそれに基づいて経路を変更することで消費電力の平滑化を図っている。
【0004】
また、特許文献2の発明では、間欠起動する他の無線端末に対して一定期間の通信を行った上で自身の消費電力を計測し、測定結果に基づいて間欠起動間隔を変更する。すなわち、ネットワークの端末の電力消費量に基づき、間欠起動周期を制御する。これにより消費電力の少ない端末が優先的に通信経路に選択されるため、消費電力が平滑化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−295310号公報
【特許文献2】特開2010−28168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したように、アドホックネットワークでは、一般に、中継局の配置状況によっては一部の中継局に通信が集中する場合があり、バッテリ消費量に偏りが生じる。
【0007】
特許文献1の発明は、マルチホップ無線通信システムを構成する各端末が自身の電池残量に応じて経路情報の送信間隔を変更し、バッテリ消費電力の平滑化を図っている。しかし、複数の端末は相互の経路情報の送信を非間欠動作で行う、すなわち常に起動状態にある。そのため、マルチホップ無線通信システム全体として、消費電力を低減しシステムの長期運用を図るのは困難である。
【0008】
また、特許文献2の発明では、各端末が経路情報の取得のための解析を行うのに一定期間の端末間通信が必要となる。そのため、通信相手の間欠起動間隔や通信環境、さらにはどの端末と通信するかなどが消費電力計測に影響し、非効率な経路設定をしてしまう可能性がある。
【0009】
一方、中継局の設置位置によりバッテリ交換の容易性に大きな差が生じる場合がある。このときシステムを構成する全中継局のバッテリが均一に消費されるよりも、バッテリ交換が容易な中継局に通信が集中させることでメンテナンスが容易になると考えられる。更に、太陽電池パネルや電源供給などで独自の給電方法をもつ中継局があれば、そこに通信を集中させることでシステム全体のバッテリ消費を抑えられると考えられる。
【0010】
しかしながら、従来の間欠起動型アドホックネットワークに関する技術では、中継局間のバッテリ残量格差の平滑化において、個別の特性や設置状況等の中継局自体の通信環境に応じた対応ができなかった。例えば、無線中継局間のバッテリ残量格差が発生した場合に、各無線中継局が自律的に通信経路を変更することはできなかった。そのため、バッテリの残量が多い中継局やバッテリ交換が容易な中継局、あるいは太陽電池パネルなど独自の給電手段をもつ中継局があっても、それらを優先的に活用することはできなかった。
【0011】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、無線中継局が自律的に通信経路を変更し、システムの長期運用が可能なマルチホップ無線通信システムおよび無線中継局を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の代表的なものの一例を示すと、次のようになる。複数の無線中継局と少なくとも1つの端末とで構成され、アドホックネットワークによるマルチホップ通信を行う無線通信システムにおいて、前記各無線中継局は、バッテリと、該バッテリの状態を検知する検知手段と、当該無線中継局の自らの間欠動作間隔の情報を与えるテーブルと、通信制御を行う制御装置とを備えており、前記テーブルの間欠動作間隔は、前記自らのバッテリの状態を含む当該無線中継局の通信環境に応じて、該通信環境の良い前記無線中継局ほど前記間欠動作間隔が短くなるように設定されており、前記各無線中継局が、前記自らの通信環境と前記テーブルの情報とに基づいて、自らの前記間欠動作間隔を設定・変更し、前記間欠動作時に前記端末からの通信情報を転送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、システムの長期運用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用したマルチホップ無線通信システムの構成例を示す図。
【図2】本発明の第一の実施例の端末の構成例を示す図。
【図3】第一の実施例の中継局の構成例を示す図。
【図4】第一の実施例の間欠動作間隔テーブルの例を示す図。
【図5A】第一の実施例における、中継局の動作を示すフローチャート。
【図5B】第一の実施例による、図1の無線通信システムにおけるメッセージフローを示す図。
【図6】第一の実施例における、中継局の間欠動作間隔変更の説明図。
【図7】端末周辺に複数の中継局が存在する場合の、通信情報が送信される中継局を選択する手順の説明図である。
【図8】本発明の第二の実施例の中継局の構成例を示す図。
【図9】第二の実施例の間欠動作間隔テーブルの例を示す図。
【図10】本発明の第三の実施例の中継局の構成例を示す図。
【図11】第三の実施例の間欠動作間隔テーブルの例を示す図。
【図12】本発明の第四の実施例による、中継局機能を併せ持つ端末の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の代表的な実施形態によれば、複数の中継局を介するマルチホップ無線ネットワークにおいて、間欠動作をする各無線中継局が、自己のバッテリの状態を含む通信環境に応じて自らの判断で間欠動作間隔を変化させる。
【0016】
なお、以下に述べる実施例は、アドホックネットワークで利用される無線接続の方式として、標準化が予定されているIEEE 802.15.4eの規格に基づき、非同期・間欠起動でアドホック通信を行う無線通信システムを前提としている。
【0017】
アドホックネットワークでは、専用の基地局を用いず、各端末装置自体が持つ中継機能を利用し、「マルチホップ通信」の技術により、多数の端末同士を基地局の介在無しに接続する。すなわち、マルチホップ通信では、一時的に相互接続される端末群でネットワークが構成され、基地局がなくても、他の端末を中継しながら通信エリアが拡大される。そのため、低消費電力で広い範囲をカバーする無線システムに適している。
【0018】
本発明の代表的な実施形態によれば、間欠動作を行う複数の中継局、および何れかの中継局からの起動通知信号を受けてデータ送信を行う少なくとも1つの端末を備えた、マルチホップ通信方式を用いた無線通信システムにおいて、間欠動作(間欠起動)をする各中継局が通信環境の状況に応じて自らの判断で間欠動作の間隔を変化させる。通信環境の良い無線中継局ほど間欠動作の間隔が短くなるようにしたことで、各無線中継局が自律的に通信経路を変更でき、システムの長期運用が可能となる。すなわち、中継局個別の特性や設置状況等の通信環境に応じたバッテリ消費が可能となり、システムの長期運用が可能となる。また、起動間隔の変化を各中継局が独自に判断できるため、通信相手の間欠起動間隔や通信環境、さらにはどの端末と通信するかなどの影響を受けることなく、システムの長寿命化が可能な経路を選択することができる。
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を用いながら説明する。なお、以下の説明では、端末が送信した通信情報を中継局がアクセスポイント(AP)まで転送することを想定している。
【実施例1】
【0020】
アドホックネットワークにおけるマルチホップ無線通信システムに関する、本発明の第一の実施例を、図1乃至図7を参照しながら説明する。
図1に、本発明を適用したマルチホップ無線通信システムの構成例を示す。
本発明のマルチホップ無線通信システムでは、間欠動作を行う複数の無線中継局10(A,B)、何れかの中継局からの起動通知信号を受けてデータ送信を行う複数の端末100(A,B,C)、及び、各端末が送信した通信情報の送信先となるアクセスポイント1(AP)とを備えている。端末100(A,B,C)は、センサ等により端末個有の新規通信情報を取得する機能を備え、かつ、この通信情報を送信することができる。中継局10(A,B)は、間欠起動し、その起動周期を変更できる機能、および通信情報の送受信機能を備えている。ここでは説明の簡略化のために端末3台、中継局2台、アクセスポイント(AP)(1)1台の構成になっている。無線通信システムを構成する各機器の台数に制限がないことは言うまでもない。図1の例では、マルチホップ通信により、複数の端末100(A,B,C)が、1つの中継局10(A)を介してアクセスポイント(AP)1にアクセスするネットワークが構成されている状態を示している。
【0021】
図2に、端末100の構成の例を示す。端末100は、センサ105及びそれを接続するセンサインターフェース(I/F)104、内蔵バッテリ103、センサ105の制御および端末100の通信制御を行う制御装置102、および制御装置102の指示を受けて通信情報をアンテナ106から送受信するための送受信機101から構成される。換言すると、端末100はコンピュータで構成されており、制御装置(マイクロプロセッサ)102を制御してマルチホップ無線通信のための各種の制御動作を行わせる制御プログラムが格納されたROM(図示略)や、制御装置102がアクセスするセンサ情報等の各種情報が格納されるRAM(図示略)を含んでいる。センサ105は、例えばガス濃度、電位、液体のレベル、温度、スイッチの開閉状態どの新規の通信情報を取得する。なお、センサを持たず、定期的に信号を送信することで端末自体が位置センサの役割を果たす端末に本発明を適用することも可能である。また、内蔵バッテリの代わりに電源から電力の供給を受ける端末にも本発明を適用可能である。
【0022】
図3に、第一の実施例での中継局10の構成例を示す。中継局10は、内蔵バッテリ303、この内蔵バッテリ303の残量を測定し制御装置302に入力するバッテリセンサ304、RAMに保持された間欠動作間隔テーブル306、中継局10の通信制御および間欠動作間隔の制御を行う制御装置302、および制御装置302の指示を受けて通信情報をアンテナ305から送受信するための送受信機301から構成される。
【0023】
また、各中継局の制御装置は、マルチホップ無線通信のルーティングプロトコルにより、間欠動作時に他の各中継局を経由して遂次アクセスポイント(AP)に至る、アドホックネットワークルーティングを、自律的に構築する機能を備えている。このルーティング情報はルーティングテーブル(図示略)に保有され、定期的に更新される。なお、ルーティングプロトコルとしては、マルチホップ無線通信システムを構成する中継局の規模や密度、中継局の移動性の高低等によって、プロアクティブ方式やリアクティブ方式等の最適の方式を採用すればよい。換言すると、中継局10はコンピュータで構成されており、制御装置(マイクロプロセッサ)302を制御してマルチホップ無線通信のための各種の制御動作を行わせる制御プログラムが格納されたROMや、制御装置302がアクセスする間欠動作間隔の情報やルーティング情報等の各種情報がテーブル形式等で格納されるRAMを含んでいる。
【0024】
図4に、間欠動作間隔テーブル306の例を示す。この間欠動作間隔テーブル306は、このテーブルを保持する中継局10自身の、間欠動作間隔(換言するとスリープ状態の間隔)Tの情報を与えるものである。すなわち、中継局10自身の内蔵バッテリ303のバッテリ残量(%)に対する、間欠動作間隔Tの関係を与えるテーブルである。tは任意の単位時間であり、バッテリ残量が100(%)のとき、T=tとなる。この例では、バッテリ残量が90(%)、80(%)、−、と少なくなるに従い、間欠動作間隔Tは、2t、3t、−、と次第に長くなる。そして、バッテリ残量が10(%)未満になると、t=0となり、交換アラーム連続送信モードになる。なお、tの絶対値は、各中継局10の通信環境等に応じて適宜設定される。
【0025】
図5Aは、第一の実施例における、中継局10の動作を示すフローチャートである。中継局10は、起動状態とスリープ状態とを間欠的に繰り返す。中継局10がスリープ状態にある時に、制御装置302に設けられたタイマが再起動迄の時間を計測する。この時間は間欠動作間隔Tである。中継局10は、スリープ状態において、送受信機301の電源をオフするとともに、制御装置302自体も低電力で動作し、再起動に必要なタイマなどのみが動作している。
【0026】
タイマの計測値が間欠動作間隔Tすなわち再起動に移行する時間になると、中継局10は、起動(間欠起動)する。間欠起動した中継局10は、まず、バッテリセンサ304をオン状態とし、自局のバッテリ残量を検知する(S501)。そして、バッテリ残量が所定値(Tlim)以下か否かを判定する(S502)。すなわち、RAMに保持されたテーブル306の値に基づき、バッテリ残量が(Tlim)以下か否かが判定される。ここでは、図4の例に基づき、バッテリ残量が10(%)未満の場合は、バッテリ交換のアラームを連続的に送信し続ける処理(S503)により、ユーザに中継局10自身の内蔵バッテリ303の交換を促す通知を行い、その後、処理を終了する。
【0027】
一方、バッテリ残量が10(%)以上の場合は、バッテリ残量に応じた自局の間欠動作間隔Tを設定する(S504)。その後、起動通知をブロードキャストし、受信待機状態に遷移し、受信待ちとなる(S505)。受信状態において通信要求を受信すると(S506)、通信情報転送処理を行い(S507)、その処理が終わると受信待ちとなる。受信状態において所定時間(中継局10の起動時間)Lを過ぎると(S508)、スリープ処理を行って(S509)、スリープ状態に戻る。
【0028】
なお、中継局10の起動時間Lは、間欠動作間隔Tすなわちスリープ状態の時間に比べて、かなり短く設定されている(L<T)。一例をあげると、バッテリ残量が100(%)の状態で、所定の起動時間Lはスリープ状態の時間Tの1/10あるいはそれ以下に設定される。勿論、通信情報転送処理に時間を要した場合には、L/Tが、例えば、0.3〜0.5のように大きくなることも有りうるが、全体的にはL<Tとし、中継局の起動時間をバッテリ残量に応じて削減し、必要な通信環境を維持しつつ、無線通信システム全体の消費電力を低減することができる。すなわち、各中継局が間欠動作し、通信環境の良い無線中継局ほど間欠動作間隔が短くなるようにしたことで、必要な通信環境を維持しつつ、マルチホップ無線通信システム全体の消費電力を低減することができる。
【0029】
本実施例のマルチホップ無線通信システムにおける、IEEE802.15.4e規格の通信方式に基づくメッセージフローを、図5Bに示す。受信側の中継局10Nは間欠動作間隔T毎に間欠動作を行い、起動時に自局の間欠動作間隔Tを設定した後、1回目の起動通知−1(200)を周辺にブロードキャストした後、受信待機(201)に移行する。そして、所定の起動時間Lが経過すると、スリープ状態に遷移する。
【0030】
送信側の端末100Nは、通信情報が発生すると、各中継局10の起動通知(200)を受信するために中継局起動待ち(202)を行う。中継局10Nからの起動通知、この例では2回目の起動通知−2(200)を受信した端末は、通信情報(203)を、起動通知−2を送信してきた中継局10Nに送信する。このように、IEEE802.15.4eの通信方式では、受信側からの起動通知を受けて通信セッションを開始する。中継局10Nは、受信待機(201)時に通信情報(203)を受信すると、その通信情報を転送するため中継局起動待ち(202)に移行し、アクセスポイントAP1からの通信要求(204)、もしくは次の中継局からの起動通知(200)を待つ。
【0031】
アクセスポイントAP1は、任意の間隔で各中継局10や各端末100に通信要求(204)をブロードキャストし、受信待機(201)に移行する。
【0032】
中継局10Nや端末100Nは、アクセスポイントAP1から通信要求(204)を受けると、通信情報(203)をアクセスポイントAP1宛に送信した後、通信要求待ち(205)に移行する。
【0033】
また、中継局10Nは、受信待機(201)又は通信要求待ち(205)において一定期間(起動時間L)以上通信情報(203)の受信がなかった場合には、スリープ状態に移行し、設定された間欠動作間隔T後に再び起動し、前記動作を繰り返す。
【0034】
なお、端末100Nは、接続した自己のセンサが異常値を検出したり、あるいは前回の通信情報送信から一定の期間が経過したりするなどして通信情報の送信が必要であると判断した場合、中継局起動待ち(202)を行う。換言すると、端末100Nの起動間隔は規定されていない。この状態において、端末100Nが、起動通知(200),もしくは通信要求(204)を受信した場合、送信元の中継局もしくはAPに対して通信情報(203)を送信する。このとき、端末100Nが、通信情報(203)の送信前に送信元(中継局もしくはAP)に対して通信情報の送信を予告する通信予告を送信してリンクを確立した後に、通信情報(203)を送信する方法を用いる場合においても、本発明は適用可能である。
【0035】
図6は、中継局10のバッテリ残量Bと間欠動作間隔Tの対応の例を示すものであり、図4の間欠動作間隔テーブル306のデータに対応する。既に述べたとおり、各中継局10の制御装置302は、各々、あらかじめ図6のようなバッテリ残量Bと間欠動作間隔Tの対応を示す情報をテーブルとして持ち、自局のバッテリ残量Bの値に応じて間欠動作間隔Tを決定する。バッテリ残量が多いときは間欠動作間隔Tを短く、少ないときはTを長く設定する。
【0036】
これにより、バッテリ残量が多い中継局は、単位時間あたりの動作回数が増加し、端末100からの通信情報203を中継する確率が高くなる。一方で、バッテリ残量が少ない中継局は、間欠動作間隔T(スリープ状態)が長くなり、中継する確率が減少する。すなわち、事前のアドホックルートの設定無しでも、バッテリ残量が多い中継局が、通信情報の中継を行う確率が高くなる。これによりバッテリ残量の多い中継局ほど通信情報を転送する頻度が高くなり、マルチホップ無線システム内の中継局間のバッテリ残量の格差を平坦化できる。これにより、システムの長期運用が可能となる。
【0037】
図7は、端末周辺に複数の中継局が存在する場合に、次に通信情報が送信される中継局を選択する手順の説明図である。図7の例では中継局10Bの間欠動作間隔TBは中継局10A の間欠動作間隔TAに比べて長く設定されている。これらの間欠動作間隔Tの決定方法については後段で詳述する。間欠動作間隔Tが短い中継局10Aは単位時間内に起動通知200を送信する回数が多いため、端末100は中継局起動待ち202の間に中継局Aから起動通知200を受け取る確率が高い。このため中継局10Aは中継局10Bよりも端末100からの通信情報203を中継する確率が高くなる。端末100から通信情報203を受信した中継局10Aは中継局起動待ち(202)又は通信要求待ち(205)に移行し、同様の手順で通信情報(203)を転送する。ただし、中継局間の転送では、各中継局が持つルーティング情報に基づいて、通信情報の目的地であるAPに近づくルートにある中継局からの起動情報にのみ反応する。これにより通信情報がAPとは違う方向に転送される事態を防ぐ。
【0038】
本実施例によれば、中継局個別の通信環境に応じたバッテリ消費が可能となり、システムの長期運用が可能となる。また起動間隔の変化を中継局が独自に判断できるため、通信相手の間欠起動間隔や通信環境、さらにはどの端末と通信するかなどの影響を受けることなくシステムの長寿命化が可能な経路を選択することができる。
【実施例2】
【0039】
次に、本発明の第二の実施例を説明する。図8に、第二の実施例での中継局10の構成例を示す。内蔵バッテリ303、バッテリセンサ(図示略)、中継局10の通信制御および間欠動作間隔制御を行う制御装置302、間欠動作間隔テーブル306、および制御装置302の指示を受けて通信情報をアンテナ305から送受信するための送受信機301から構成される。間欠動作間隔テーブル306以外の構成に関しては、第一の実施例の説明を以って代える。
【0040】
図9は、第二の実施例の間欠動作間隔テーブル306の例を示す図である。
本実施例では、中継局の設置環境等からバッテリ交換の難易度Dを踏まえた間欠動作間隔Tを、中継局単位で定量化しておく。図9の例では、バッテリ交換の難易度Dが、A,B,Cの3つに区分され(A>B>C)、この区分毎に自局のバッテリセンサで検知されたバッテリ残量に応じた間欠動作間隔Tが設定されている。例えば、難易度がBの場合は、バッテリ残量に応じてt、2t、難易度がAの場合は、2t、4t、のように、難易度の低い中継局の間欠動作間隔Tがより短く設定されている。間欠動作間隔テーブル306の値を制御装置302に入力し、難易度値に応じて間欠動作間隔Tを決定する。具体的にはバッテリ交換が困難な設置環境の場合は間欠動作間隔Tを長く、容易な設置環境の場合は間欠動作間隔Tを短くすることで、バッテリ交換が容易な中継局にバッテリ消費が集中するように制御し、バッテリ交換のメンテナンスコストを抑制する。
【0041】
これにより、中継局個別の特性や設置状況等の通信環境に応じたバッテリ消費が可能となり、システムの長期運用が可能となる。また、起動間隔の変化を中継局が独自に判断できるため、通信相手の間欠起動間隔や通信環境、さらにはどの端末と通信するかなどの影響を受けることなくシステムの長寿命化が可能な経路を選択することができる。
【実施例3】
【0042】
次に、本発明の第三の実施例を説明する。図10に、第三の実施例における中継局10の構成例を示す。内蔵バッテリ303、バッテリセンサ(図示略)、中継局10の通信制御および間欠動作間隔制御を行う制御装置302、間欠動作間隔テーブル306、制御装置302の指示を受けて通信情報をアンテナ305から送受信するための送受信機301、給電装置306との接続部にあたる給電装置I/F307から構成される。間欠動作間隔テーブル306以外の構成に関しては、第一の実施例の説明を以って代える。
【0043】
図11は、第三の実施例の間欠動作間隔テーブルの例を示す図である。本実施例では、給電手段の有無を踏まえた間欠動作間隔Tを、中継局単位で定量化しておく。図11の例では、給電手段が有る中継局では間欠動作間隔Tが、バッテリ残量に応じて0.1t、0.2t、のように、給電手段が無い中継局の1/10に設定されている。中継局10は事前のオペレータによる入力、もしくは接続された機器の認識により給電手段の有無を判断する。ここでの給電手段とは、太陽光発電システムや、電源からの電力供給である。制御装置302はその情報に基づき、給電手段がある場合は間欠動作間隔Tを短く、給電手段がない場合は間欠動作間隔Tを長く設定する。
【0044】
これにより通信環境として、給電手段がある中継局は頻繁に起動し、他の中継局の送受信回数が減り消費電力が押さえられる。給電手段がある中継局はそれを用いてバッテリ充電を行うことができるため、システム全体でバッテリ消費が減少し、長寿命化が可能となる。
【実施例4】
【0045】
次に、本発明の第四の実施例を説明する。図12に、第四の実施例として中継局の機能を併せ持つ端末(中継局兼端末)110を用いる場合の端末の構成図を示す。この中継局兼端末は、他の複数の無線中継局あるいは端末と共に、アドホックネットワークによるマルチホップ通信を行う無線通信システムを構成する。
【0046】
中継局兼端末110は、センシングデータを測定するセンサ105を接続するためのセンサインターフェース(I/F)104、内蔵バッテリ103およびバッテリ残量Bを計測するバッテリセンサ107、センサ105やバッテリセンサ107の制御および通信制御を行う制御装置112、制御装置112の指示を受けて通信情報の送受信するための送受信機111から構成される。
【0047】
本実施例では中継局兼端末110は、自らが通信情報を送信するのに加え、中継局として他の端末からの通信信号を中継するために間欠的に起動する。なお、中継局兼端末110の端末及び中継局としての各機能の詳細は、第一乃至第三の実施例で述べたものと同じである。
【0048】
本実施例でも、通信環境の良い中継局兼端末ほど間欠動作間隔が短くなるようにしたことで、中継局兼端末個別の特性や設置状況等の通信環境に応じたバッテリ消費が可能となり、システムの長期運用が可能となる。また、起動間隔の変化を中継局兼端末が独自に判断できるため、通信相手の間欠起動間隔や通信環境、さらにはどの中継局兼端末(若しくは中継局)と通信するかなどの影響を受けることなくシステムの長寿命化が可能な経路を選択することができる。
【実施例5】
【0049】
次に、本発明の第五の実施例を説明する。本発明のアドホックネットワークによるマルチホップ通信システムは、AMI(Advanced Metering Infrastructure:先進的メータリングインフラ)や、家庭内無線ネットワーク等の、低出力(低消費電力)で広い範囲をカバーする無線システムに広く応用できる。例えば、集合住宅や戸建住宅の各家庭に、センサ付きの端末あるいは中継局兼端末を各々設置し、各家庭から取得した電力量、ガス量、水道使用量、火災検知、電気機器等の省エネルギー関係のモニタ、などのデータを通信情報として取得し、この通信情報を集収集・管理するのに適している。高層の集合住宅の場合、最上階の端末あるいは中継局兼端末から順次下の階の中継局もしくは中継局兼端末を経て、1階あるいは他の場所にあるアクセスポイントAPに通信情報を転送し、これらの通信情報をさらに上位のサーバーシステムへ収集することができる。これにより、高層住宅の各家庭に関して、単なる検針業務だけでなく、収集データを活用した多様な業務の改善や顧客サービスの向上を図ることができる。間欠動作する各中継局もしくは各中継局兼端末の通信環境は、高層住宅の全体的な構造、各顧客用の中継局兼端末の設置位置、給電手段の有無等により異なる。本実施例によれば、各中継局もしくは各中継局兼端末が、自らの通信環境とテーブルの情報とに基づいて、自らの間欠動作間隔を設定・変更するので、マルチホップ無線通信システム全体の消費電力を低減することができると共に、システムの長期運用が可能となる。
【0050】
また、家庭内無線ネットワークであっても、間欠動作する各中継局もしくは各中継局兼端末が、バッテリ消費量や家庭内における設置位置や給電手段の有無等の通信環境に基づいて、自らの間欠動作間隔を設定・変更するようにすればよい。これにより、マルチホップ無線通信システム全体の消費電力を低減することができると共に、システムの長期運用が可能となる。
【符号の説明】
【0051】
100 端末
10 中継局
1 アクセスポイント
200 起動通知
201 受信待機
202 中継局起動待ち
203 通信情報発生
204 通信要求
205 通信要求待ち
206 通信情報送信
207 通信情報送受信
101 301 送受信機
102 302 制御装置
103 303 内蔵バッテリ
104 センサインターフェース(I/F)
105 センサ
106 305 アンテナ
107 304 バッテリセンサ
110 中継局機能を併せ持つ端末(中継局兼端末)
306 給電装置
307 給電装置インターフェース(I/F)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線中継局と少なくとも1つの端末とで構成され、アドホックネットワークによるマルチホップ通信を行う無線通信システムにおいて、
前記各無線中継局は、
バッテリと、該バッテリの状態を検知する検知手段と、当該無線中継局の自らの間欠動作間隔の情報を与えるテーブルと、通信制御を行う制御装置と、を備え、
前記テーブルの間欠動作間隔は、前記自らのバッテリの状態を含む当該無線中継局の通信環境に基づいて、該通信環境の良い前記無線中継局ほど前記間欠動作間隔が短くなるように設定され、
前記各無線中継局が、前記自らの通信環境と前記テーブルの情報とに基づいて、自らの前記間欠動作間隔を設定または変更し、
前記間欠動作時に前記端末からの通信情報を転送する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記テーブルの間欠動作間隔は、前記各無線中継局のバッテリ残量の減少に基づいて、前記間欠動作間隔が長くなるように設定されている
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
請求項2において、
前記各無線中継局の通信環境は、当該無線中継局の設置環境に基づくバッテリ交換のし易さを含み、
前記テーブルの間欠動作間隔は、該バッテリ交換のし易さが容易なほど前記間欠動作間隔が短くなるように設定されている
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
請求項2において、
前記各無線中継局の通信環境は、当該無線中継局への給電手段の有無を含み、 前記テーブルの間欠動作間隔は、該給電手段が有る場合は無い場合に比べて前記間欠動作間隔が短くなるように設定されている
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
請求項1において、
前記各無線中継局の前記間欠起動は、非同期であり、かつ、
前記各無線中継局の前記間欠動作時の起動時間は、前記間欠動作間隔に比べて短く設定されている
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項6】
請求項2において、
前記各無線中継局は、前記間欠起動時の自局のバッテリ残量が一定値以下に低下した場合、バッテリ交換通知を連続的にブロードキャストする
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項7】
請求項2において、
前記各無線中継局は、前記間欠動作間隔毎に間欠起動し、該間欠起動時における前記自局のバッテリ残量に応じて、前記自局の間欠動作間隔を再設定し、その後、起動通知をブロードキャストする
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項8】
請求項2において、
前記各無線中継局は、タイマを備えており、
前記タイマの計測値が前記間欠動作間隔になると、間欠起動状態となり、
間欠起動した該無線中継局は、該間欠起動時における前記自局のバッテリ残量が所定値未満の場合、バッテリ交換通知を連続的にブロードキャストし、
前記バッテリ残量が所定値以上の場合、該バッテリ残量に応じた前記自局の間欠動作間隔を再設定し、その後、起動通知をブロードキャストし、
前記端末は、送りたい情報があるとき前記起動通知を待ち受け、該起動通知を送信してきた前記中継局に対し前記通信情報を送信する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項9】
請求項1において、
前記各無線中継局は、ルーティング情報を保持しており、
前記各無線中継局間の転送では、前記各無線中継局が持つルーティング情報に基づいて、前記通信情報の目的地であるアクセスポイントに近づくルートにある前記無線中継局からの起動情報にのみ反応する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項10】
請求項1において、
前記複数の無線中継局の少なくとも1つは、前記無線中継局としての機能に加え、前記端末としての機能も保有する中継局兼端末であり、
自ら前記端末としての前記通信情報を間欠的に送信する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項11】
請求項10において、
前記中継局兼端末は、
センサを備えており、
前記制御装置は、前記センサの情報を前記通信情報として間欠的に送信する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項12】
アドホックネットワークによるマルチホップ無線通信システムを構成する無線中継局であって、
前記無線通信システムは、複数の前記無線中継局と少なくとも1つの端末とで構成されるものにおいて、
バッテリと、該自らのバッテリの状態を検知する検知手段と、当該無線中継局自らの間欠動作間隔の情報を与えるテーブルと、通信制御を行う制御装置とを備えており、
前記テーブルの間欠動作間隔は、前記自らのバッテリの状態を含む当該無線中継局の通信環境に応じて、該通信環境の良い前記無線中継局ほど前記間欠動作間隔が短くなるように設定されており、
前記自らの通信環境と前記テーブルの情報とに基づいて、自らの前記間欠動作間隔を設定または変更する
ことを特徴とする無線中継局。
【請求項13】
請求項12において、
前記無線中継局の通信環境は、当該無線中継局の設置環境に基づくバッテリ交換のし易さを含み、
前記テーブルの間欠動作間隔は、該バッテリ交換のし易さが容易なほど前記間欠動作間隔が短くなるように設定されている
ことを特徴とする無線中継局。
【請求項14】
請求項12において、
前記無線中継局の通信環境は、当該無線中継局への給電手段の有無を含み、
前記テーブルの間欠動作間隔は、該給電手段が有る場合は無い場合に比べて前記間欠動作間隔が短くなるように設定されている
ことを特徴とする無線中継局。
【請求項15】
請求項12において、
前記無線中継局は、前記無線中継局としての機能に加え、前記端末としての機能を保有した中継局兼端末であり、
自ら前記端末としての通信情報を間欠的に送信する
ことを特徴とする無線中継局。
【請求項1】
複数の無線中継局と少なくとも1つの端末とで構成され、アドホックネットワークによるマルチホップ通信を行う無線通信システムにおいて、
前記各無線中継局は、
バッテリと、該バッテリの状態を検知する検知手段と、当該無線中継局の自らの間欠動作間隔の情報を与えるテーブルと、通信制御を行う制御装置と、を備え、
前記テーブルの間欠動作間隔は、前記自らのバッテリの状態を含む当該無線中継局の通信環境に基づいて、該通信環境の良い前記無線中継局ほど前記間欠動作間隔が短くなるように設定され、
前記各無線中継局が、前記自らの通信環境と前記テーブルの情報とに基づいて、自らの前記間欠動作間隔を設定または変更し、
前記間欠動作時に前記端末からの通信情報を転送する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記テーブルの間欠動作間隔は、前記各無線中継局のバッテリ残量の減少に基づいて、前記間欠動作間隔が長くなるように設定されている
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
請求項2において、
前記各無線中継局の通信環境は、当該無線中継局の設置環境に基づくバッテリ交換のし易さを含み、
前記テーブルの間欠動作間隔は、該バッテリ交換のし易さが容易なほど前記間欠動作間隔が短くなるように設定されている
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
請求項2において、
前記各無線中継局の通信環境は、当該無線中継局への給電手段の有無を含み、 前記テーブルの間欠動作間隔は、該給電手段が有る場合は無い場合に比べて前記間欠動作間隔が短くなるように設定されている
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
請求項1において、
前記各無線中継局の前記間欠起動は、非同期であり、かつ、
前記各無線中継局の前記間欠動作時の起動時間は、前記間欠動作間隔に比べて短く設定されている
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項6】
請求項2において、
前記各無線中継局は、前記間欠起動時の自局のバッテリ残量が一定値以下に低下した場合、バッテリ交換通知を連続的にブロードキャストする
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項7】
請求項2において、
前記各無線中継局は、前記間欠動作間隔毎に間欠起動し、該間欠起動時における前記自局のバッテリ残量に応じて、前記自局の間欠動作間隔を再設定し、その後、起動通知をブロードキャストする
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項8】
請求項2において、
前記各無線中継局は、タイマを備えており、
前記タイマの計測値が前記間欠動作間隔になると、間欠起動状態となり、
間欠起動した該無線中継局は、該間欠起動時における前記自局のバッテリ残量が所定値未満の場合、バッテリ交換通知を連続的にブロードキャストし、
前記バッテリ残量が所定値以上の場合、該バッテリ残量に応じた前記自局の間欠動作間隔を再設定し、その後、起動通知をブロードキャストし、
前記端末は、送りたい情報があるとき前記起動通知を待ち受け、該起動通知を送信してきた前記中継局に対し前記通信情報を送信する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項9】
請求項1において、
前記各無線中継局は、ルーティング情報を保持しており、
前記各無線中継局間の転送では、前記各無線中継局が持つルーティング情報に基づいて、前記通信情報の目的地であるアクセスポイントに近づくルートにある前記無線中継局からの起動情報にのみ反応する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項10】
請求項1において、
前記複数の無線中継局の少なくとも1つは、前記無線中継局としての機能に加え、前記端末としての機能も保有する中継局兼端末であり、
自ら前記端末としての前記通信情報を間欠的に送信する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項11】
請求項10において、
前記中継局兼端末は、
センサを備えており、
前記制御装置は、前記センサの情報を前記通信情報として間欠的に送信する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項12】
アドホックネットワークによるマルチホップ無線通信システムを構成する無線中継局であって、
前記無線通信システムは、複数の前記無線中継局と少なくとも1つの端末とで構成されるものにおいて、
バッテリと、該自らのバッテリの状態を検知する検知手段と、当該無線中継局自らの間欠動作間隔の情報を与えるテーブルと、通信制御を行う制御装置とを備えており、
前記テーブルの間欠動作間隔は、前記自らのバッテリの状態を含む当該無線中継局の通信環境に応じて、該通信環境の良い前記無線中継局ほど前記間欠動作間隔が短くなるように設定されており、
前記自らの通信環境と前記テーブルの情報とに基づいて、自らの前記間欠動作間隔を設定または変更する
ことを特徴とする無線中継局。
【請求項13】
請求項12において、
前記無線中継局の通信環境は、当該無線中継局の設置環境に基づくバッテリ交換のし易さを含み、
前記テーブルの間欠動作間隔は、該バッテリ交換のし易さが容易なほど前記間欠動作間隔が短くなるように設定されている
ことを特徴とする無線中継局。
【請求項14】
請求項12において、
前記無線中継局の通信環境は、当該無線中継局への給電手段の有無を含み、
前記テーブルの間欠動作間隔は、該給電手段が有る場合は無い場合に比べて前記間欠動作間隔が短くなるように設定されている
ことを特徴とする無線中継局。
【請求項15】
請求項12において、
前記無線中継局は、前記無線中継局としての機能に加え、前記端末としての機能を保有した中継局兼端末であり、
自ら前記端末としての通信情報を間欠的に送信する
ことを特徴とする無線中継局。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−30871(P2013−30871A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164017(P2011−164017)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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