説明

無線通信システムおよび無線通信装置

【課題】親機が二つの子機間のデータ転送をする場合の無線リソースの有効活用を行う。
【解決手段】TDMA−TDD方式で通信を行なうカメラ子機100と、親機300と、モニタ子機200で構成され、親機はカメラ子機からの画像データを受信してモニタ子機へ転送する転送動作において、同じスロットを使って当該データを転送先のモニタ子機へ送信するとともに転送元のカメラ子機に対して当該データの受信に関する応答通知(ACK)を送信することにより、親機は並行して二つ子機に個別の無線リンクを張って通信する必要が無く、無線リソースの効率的な利用が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線信号によって情報通信を行なう無線通信システムおよび無線通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ドアホンや防犯カメラ等の映像機器は、設置の容易さから無線通信を用いたものが開発されている。従来の、テレビドアホンシステムは、カメラ付き玄関子機、モニタ付き居室親機および無線子機で構成されたものがある。上記テレビドアホンシステムでは、カメラ付き玄関子機とモニタ付き居室親機は有線で接続され、カメラ付き玄関子機の呼び出しボタンが押されると、モニタ付き居室親機で呼び出し音がなると同時にカメラ付き玄関子機のカメラで撮影された画像がモニタ付き居室親機に写しだされる。モニタ付き居室親機は、呼び出し信号とカメラ付き玄関子機から送られてきた画像をモニタ付き居室親機および無線子機へ無線信号で送り、このモニタ付き無線子機でも呼び出し音が鳴り、モニタ付き居室親機と同じ画像が表示される。
【0003】
また、防犯カメラの場合も、カメラとモニタ間の接続が有線回線の場合、配線工事が必要となることから、設置が容易な、カメラとモニタ間を無線で通信する無線防犯カメラの開発が行われている。
【0004】
例えば特許文献1には、コードレス電話の外線通信や内線通信と、ドアホンの呼出とが同時に発生した場合でも、無線リソース不足によるビジー状態の発生を低減し、また、それぞれの呼出の報知が可能なドアホンシステムが記載されている。特許文献2には、画像データを複数回送受信する点、制御信号を送信するタイムスロットを使って制御信号とともに画像データの送信を行なう点が記載されている。特許文献3には、アップリンクよりもダウンリンクに大きな帯域幅を与え、移動局は1つのスロットの帯域幅を使用して再送信要求を送る点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−13539号公報
【特許文献2】特開2005−295368号公報
【特許文献3】特表2001−502488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カメラ付き子機から送られてきた画像をモニタ付き居室親機および無線子機へ無線信号によって送るシステムにおいて、TDMA−TDD方式無線通信では、ある1つの親機と1つの子機との間で1対1で通信する場合は送信用に1つスロット、受信用に1つスロットを使うので、双方向通信をするための1つの無線リソースとして上り/下りそれぞれ1つずつのペアスロットを占有する(対称1:1通信)。
【0007】
また、通常のデータ通信では、送るデータが一方向のみの場合、または上り(子機から親機への通信)と下り(親機から子機への通信)でデータ量の差が大きい場合がほとんどであることから、1組のペアスロットをN組使用し、2N−1個のスロットを使用して一方の通信を用い、残りの1スロット使用して他方の通信を行なう非対称通信を行って、無線リソースの有効利用を実現している(非対称N:1通信)。例えばペアスロットを2組使用し、3個のスロットを使用して一方の通信を行ない、残りの1スロット使用して他方の通信を行なう。しかしながら、複数のペアスロットを使用するので、無線リソースが枯渇してしまう問題を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、TDMA−TDD方式の多重通信を行ない、第1の無線通信装置と、第2の無線通信装置と、前記第1の無線通信装置および第2の無線通信装置を従属させる制御局として動作する第3の無線通信装置とを有するTDMA−TDD方式の無線通信システムにおいて、第3の無線通信装置(親機)は、第1のスロットを使って第1の無線通信装置からデータを受信し、第2のスロットを使って当該データを第2の無線通信装置に宛てて送信し、それとともに同じ第2のスロットを使って第1の無線通信装置に宛てて当該データの受信に関する応答通知を送信することにより、親機は並行して2つ子機にリンクを張って通信する必要が無い。
【発明の効果】
【0009】
本発明の無線通信システムおよび無線通信装置は、TDMA−TDD方式の多重通信を行ない、通常、親機が2つの子機間のデータ転送をする場合、上り2と下り2の計4スロットを必要とするが、本発明のように同じスロットを使って当該データを転送先の子機へ送信するとともに転送元の子機に対して当該データの受信に関する応答通知を送信することにより、親機は並行して2つ子機にリンクを張って通信する必要が無く、無線リソースの有効利用を図ることができる。
【0010】
また、親機から転送先子機に対してデータを分割して2つのスロットに分けて送信することにより、それぞれのスロットでは他の信号を通信可能な空き領域が生じ、親機はその一方の空き領域を使って同期維持のための制御信号を送り、他方の空き領域を使って送信元への応答通知を送ることができるので、同期維持のため、および応答通知送信のためにそれぞれ1スロットを占有せずに済み、無線リソースを有効活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の無線通信システムの実施の形態に係るドアモニタシステムの構成図
【図2】同実施の形態に係るドアモニタシステムのカメラ子機のブロック図
【図3】同実施の形態に係るドアモニタシステムの親機のブロック図
【図4】同実施の形態に係るドアモニタシステムのモニタ子機のブロック図
【図5】同実施の形態に係るドアモニタシステムにて使用する送受信データのフォーマットの構成を示す説明図
【図6】同実施の形態に係るドアモニタシステムにおいてアイドル状態でのスロット使用例を説明する説明図
【図7】同実施の形態に係るドアモニタシステムにおいてモニタ子機と親機との間で音声パスを張った状態でのスロット使用例を説明する説明図
【図8】同実施の形態に係るドアモニタシステムにおいてカメラ子機からの画像転送状態でのスロット使用例を説明する説明図
【図9】同実施の形態に係るドアモニタシステムにおいてカメラ子機からの画像転送とともに音声パスを張った状態でのスロット使用例を説明する説明図
【図10】同実施の形態に係るドアモニタシステムにおいてカメラ子機からの画像データを2つに分割して転送する場合のスロット使用例を説明する説明図
【図11】同実施の形態に係るドアモニタシステムにおいてカメラ子機から親機を介してモニタ子機へ画像を転送する動作を示すタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記課題を解決するためになされた第1の発明は、第1の無線通信装置と、第2の無線通信装置と、前記第1の無線通信装置および第2の無線通信装置を従属させる制御局として動作する第3の無線通信装置とを有する無線通信システムであって、第3の無線通信装置は第1のスロットを使って第1の無線通信装置からデータを受信し、第2のスロットを使って当該データを第2の無線通信装置に宛てて送信するとともに第1の無線通信装置に宛てて当該データの受信に関する応答通知を送信し、第1の無線通信装置は第3の無線通信装置から第2のスロットを使って送られる応答通知を受信し、第2の無線通信装置は第3の無線通信装置から第2のスロットを使って送られるデータを受信することを特徴としたものである。
【0013】
上記課題を解決するためになされた第2の発明は、第1の無線通信装置と、第2の無線通信装置と、第1の無線通信装置および第2の無線通信装置を従属させる制御局として動作する第3の無線通信装置とを有する無線通信システムであって、第1の無線通信装置は他の無線通信装置との間でTDMAにより信号を通信する第1の通信部を備え、第2の無線通信装置は他の無線通信装置との間でTDMAにより信号を通信する第2の通信部を備え、第3の無線通信装置は、他の無線通信装置との間でTDMAにより信号を通信する第3の通信部と、前記第3の通信部を使って制御信号を送信することにより前記第1または第2の無線通信装置を自らに同期させるとともに第1の無線通信装置からのデータを受信して第2の無線通信装置へ転送する転送動作を制御する制御部を備え、第3の無線通信装置は、前記転送動作に先立って第1の無線通信装置からのデータを受信する第1のスロットを指定するとともに第2の無線通信装置へ当該データを送信する第2のスロットを指定し、第1および第2のスロットを示す情報を制御信号に載せて送信し、前記転送動作において第1の無線通信装置は制御信号に載せられた情報に従って第1のスロットを使ってデータを送信し、第3の無線通信装置は第1のスロットを使って第1の無線通信装置からデータを受信し、第2のスロットを使って当該データを第2の無線通信装置に宛てて送信するとともに第1の無線通信装置に宛てて当該データの受信に関する応答通知を送信し、
第2の無線通信装置は制御信号に載せられた情報に従って第2のスロットを使ってデータを受信し、第1の無線通信装置は制御信号に載せられた情報に従って第2のスロットを使って応答通知を受信することを特徴としたものである。
【0014】
これらの発明により、親機が2つの子機間のデータ転送をする場合に、同じスロットを使って、子機から受信したデータを転送先の他の子機へ送信すると共に転送元の子機に対して当該データの受信に関する応答通知を送信することにより、親機は並行して2つ子機にリンクを張って通信する必要が無く、無線リソースの有効利用を図ることができる。従来、親機が2つの子機間のデータ転送をする場合、上り2と下り2の計4スロットを必要とするが、本発明のように同じスロットを使って当該データを転送先の子機へ送信するとともに転送元の子機に対して当該データの受信に関する応答通知を送信することにより、必要なスロットは3つで済む。
【0015】
また上記課題を解決するためになされた第3の発明は、第1の無線通信装置と、第2の無線通信装置と、第1の無線通信装置および第2の無線通信装置を従属させる制御局として動作する第3の無線通信装置とを有する無線通信システムであって、第3の無線通信装置は第1のスロットを使って第1の無線通信装置からデータを受信し、当該データを2つに分割して一方のデータを第2のスロットを使って第2の無線通信装置に宛てて送信し、他方のデータを第3のスロットを使って第2の無線通信装置に宛てて送信し、第2または第3のスロットの何れか一方のスロットを使って同期維持のための制御信号を送信し、他方のスロットを使って第1の無線通信装置に宛てて当該データの受信に関する応答通知を送信し、第1の無線通信装置は第3の無線通信装置から第2または第3のスロットの何れか一方のスロットを使って送られる応答通知を受信し、第2の無線通信装置は第3の無線通信装置から第2および第3のスロットを使って送られるデータを受信することを特徴とする無線通信システム。
【0016】
第3の発明により、親機から転送先子機に対してデータを分割して2つのスロットに分けて送信することにより、それぞれのスロットでは他の信号を通信可能な空き領域が生じ、親機はその一方の空き領域を使って同期維持のための制御信号を送り、他方の空き領域を使って送信元への応答通知を送ることができるので、同期維持のため、および応答通知送信のためにそれぞれ1スロットを占有せずに済み、無線リソースを有効活用できる。
【0017】
(実施の形態1)
以下、本発明の無線通信システムの1実施の形態として、ドアモニタシステムについて図面と参照しながら説明する。図1は本発明の無線通信システムの1つの実施の形態であるドアモニタシステムの構成図であり、図1を参照して本発明の無線通信装置で構成されたドアモニタシステムの各機能ブロックの説明を行なう。
【0018】
図1において、100はカメラで撮影した画像データを無線信号によって送信するカメラ子機である。カメラ子機100は、主に屋外の玄関付近または門扉付近を見渡せる位置に設置される。300は親機である。200は、主にカメラ子機100で撮影した画像を表示するためのモニタ子機である。モニタ子機200は、親機300を介して転送されてくる画像データを受信し、表示する。親機300とカメラ子機100およびモニタ子機200は、DECT方式に準拠したTDMA−TDDの無線通信をする機能を備えている。400は、撮像機能および音声通話機能を備え、有線により親機300に接続された玄関子機である。玄関子機400は、主に玄関ドアの近辺、または門扉近辺であって来訪者が音声通話可能な位置に設置される。
【0019】
以下、本ドアモニタシステムの各機能ブロックの説明を行なう。図2はカメラ子機100の機能ブロックを示す。図2において、101はアンテナ、102は入力されたデータ列を変調、増幅し出力し、また、受信した無線信号を増幅、復調し、受信データを出力するDECT方式に準拠したTDMA−TDDの無線の通信を行なう無線部である。103は、制御信号、画像データ、音声信号に、TDMA−TDD通信に必要な同期信号とエラー検知用のエラー検知信号を付加し、TDMAのフレーム、スロットに合わせて送信データ列を生成し、受信した受信データ列から、TDMAのフレーム、スロットに合わせてエラー検知の処理を行ない、エラーのなかったスロットで受信された、制御信号、音声信号等を出力し、また、制御部120にフレーム、スロットのタイミングを通知するフレーム処理部である。
【0020】
104は1画面分の画像データを記憶する通信データ記憶部である。105は、通信データ記憶部104に記憶された画像データを読み込み、1スロットで送信可能な長さに分割し、順序番号を付して送信データを出力する送信情報構築部である。106は、カメラとカメラで撮影された映像を1画面分の画像データに変換し出力する変換部で構成されたカメラ部である。108は、DECT方式に用いられるスロット/周波数テーブルが記憶されたスロット/周波数テーブル記憶部である。
【0021】
111は音声通話のためのマイク、112はスピーカである。110は、マイク111によって入力されるアナログ音声信号を増幅してPCM信号に変換し、またスピーカ112へ送り出す音声信号をPCMからアナログ音声信号へ変換し、増幅する音声処理部である。120は、カメラ子機100全体を制御する制御部である。
【0022】
図4は同ドアモニタシステムのモニタ子機200の機能ブロック図である。201はアンテナ、202は入力されたデータ列を変調、増幅し出力し、また受信した無線信号を増幅、復調し、受信データを出力するDECT方式に準拠したTDMA−TDDの無線の通信を行なう無線部である。203は、制御信号、音声信号に、TDMA−TDD通信に必要な同期信号とエラー検知用のエラー検知信号を付加し、TDMAのフレーム、スロットに合わせて送信データ列を生成し、受信した受信データ列から、TDMAのフレーム、スロットに合わせてエラー検知の処理を行ない、エラーのなかったスロットで受信された、制御信号、画像データ、音声信号等を出力し、また、制御部220にフレーム、スロットのタイミングを通知するフレーム処理部である。
【0023】
206は、親機300からの呼び出しを通知し、また、受信した画像データの画像を表示する表示部である。208は、DECT方式に用いられるスロット/周波数テーブルが記憶されたスロット/周波数テーブル記憶部である。209は、受信した画像データに付された順序番号を記憶する順序番号記憶部である。
【0024】
211は音声通話のためのマイク、212はスピーカである。210は、マイク211によって入力されるアナログ音声信号を増幅してPCM信号に変換し、またスピーカ212へ送り出す音声信号をPCMからアナログ音声信号へ変換し、増幅する音声処理部である。220は、受信した画像データの順序番号を基に受信した画像を表示するように制御を行なうと共に、モニタ子機200全体を制御する制御部である。215は、カメラ子機100に対し、モニタ操作やメニュー操作を行なう操作部である。
【0025】
図3は本ドアモニタシステムの親機300の機能ブロック図である。親機300は、システムの同期を維持するマスタ装置としての機能を有し、さらにカメラ子機100から送られてきた画像データを受信し、モニタ子機200へ転送する機能を有する。301はアンテナ、302は、入力されたデータ列を変調、増幅し出力し、また受信した無線信号を増幅、復調し、受信データを出力するDECT方式に準拠したTDMA−TDDの無線の通信を行なう無線部である。303は、制御信号に、TDMA−TDD通信に必要な同期信号とエラー検知用のエラー検知信号を付加し、TDMAのフレーム、スロットに合わせて送信データ列を生成し、受信した受信データ列から、TDMAのフレーム、スロットに合わせてエラー検知の処理を行ない、エラーのなかったスロットで受信された、制御信号、画像データを出力し、また、制御部320にフレーム、スロットのタイミングを通知するフレーム処理部である。
【0026】
304は、通信データ記憶部305に記憶された画像データを読み込み、1スロットで送信可能な長さに分割し、順序番号を付して送信データを出力する送信情報構築部である。
【0027】
通信データ記憶部305は、少なくとも1画面分の画像データを記憶可能な記憶エリアを有する。308は、DECT方式に用いられるスロット/周波数テーブルが記憶されたスロット/周波数テーブル記憶部である。309は、受信した画像データに付された順序番号を記憶する順序番号記憶部である。
【0028】
310は、玄関子機400から送られてくるアナログ音声信号をPCM信号に変換し、また玄関子機400へ送り出す音声信号をPCMからアナログ音声信号へ変換する音声処理部である。玄関子機400とモニタ子機200との間で音声通話をする場合、玄関子機400からの音声信号は音声処理部310によりPCM信号に変換されてフレーム処理部330へ渡され、フレーム処理部330にて音声データ用のフォーマットに変換され、無線部302を介してモニタ子機200へ送信される。モニタ子機200からの音声信号は無線部302にて受信され、音声処理部310によりアナログ音声信号へ変換され、玄関子機400へ送られる。320は、受信した画像データの順序番号を基に画像データを転送するように制御を行なうと共に、親機300全体を制御する制御部である。
【0029】
次に、以上のように構成されたドアモニタシステムの動作について説明を行なう。制御局として動作する親機300と、従属局として動作するカメラ子機100およびモニタ子機200の状態としては、モニタ子機200から親機300を経由してカメラ子機100を呼び出し、画像データを送信している画像通信状態と、アイドル状態の2つの状態がある。
【0030】
先ず、最初にアイドル状態の動作について説明を行なう。図6はアイドル状態での各スロットの送受信の状態を示す。アイドル状態では、親機300は、10msecのフレーム内の特定のスロットで定期的に制御信号の送信を行い、この制御信号によって、自己の識別情報、制御信号を送信しているスロット(以下制御スロットと記す)の番号及びスロット/周波数テーブル、受信スロットの待ち受けスロット/周波数テーブル、画像送信開始(呼び出し信号)等を各子機へ通知する。図6の例ではスロット:1を使って制御信号を送信している。このとき制御スロットは、図5(A)のフォーマットで送信され、制御データフィールドの前には同期信号、制御データフィールドの後には制御データフィールドのエラー検知をするためのCRC信号(図5のCRC1)が付される。自己の識別情報等の制御信号は制御データフィールドに乗せられ、送信される。
【0031】
すなわち、制御部320は、フレーム処理部303から通知されるスロットのタイミングを基に、制御スロットのタイミングに合わせてフレーム処理部303へ制御信号を出力する。また、制御部320は、スロット/周波数テーブル記憶部308を参照し、制御スロットで使用しているスロット/周波数テーブルと制御部内部で管理するインデクッスをもとに送信周波数を決定し、決定した周波数を使って制御信号の送信を行なうよう無線部302の制御を行なう。そして、フレーム処理部303は、制御部320から入力された制御信号に同期信号と制御データフィールドのエラー検知用の信号(図5のCRC1)を付して無線部302に出力する。無線部302はこれら制御信号を含むデータ列によってキャリアを変調し、増幅し、アンテナ301より送信する。
【0032】
また、親機300は、アイドル状態でフレーム内の受信スロットのうち、制御スロットに対応した受信スロットを除いた受信スロット(以下待ち受けスロットと記す)でモニタ子機200からの無線リンクの確立要求の制御信号の受信を行なう。図6の例では、親機300は、フレーム内の受信スロット(スロット:7〜スロット:12)のうち、制御スロットに対応した受信スロット:7を除いて、その他のスロット:8 〜 スロット:12を受けスロットとしてモニタ子機200からの確立要求等を待つ。
【0033】
すなわち、制御部320は、フレーム処理部303から通知されるスロットのタイミングを基に待ち受けスロットのタイミングに合わせて、スロット/周波数テーブル記憶部308を参照して受信周波数を決定し、それぞれの待ち受けスロットで決められた周波数で受信を行なうよう無線部302を制御する。そして、モニタ子機200からの無線リンクの確立要求の制御信号が受信され、受信データがフレーム処理部303に出力されると、フレーム処理部303は、同期信号を基に制御データフィールドとエラー検知用の信号の分離を行ない、エラーの有無の判定を行なう。そして、エラーの無かった制御データフィールドのデータ列、すなわち無線リンクの確立要求の制御信号を制御部320に通知し、親子機間の双方向の無線リンクの確立動作が起動される。図6の例では、モニタ子機200はスロット:11を使って無線リンクの確立要求の制御信号を親機300へ送り、親機300はこの信号を受信する。
【0034】
次に、モニタ子機200に電源が投入され、親機捕捉動作が完了するまでの動作を説明する。モニタ子機200に電源を投入すると、親機捕捉動作を開始する。すなわち親機300からの制御信号を見つけるため、受信周波数およびスロットを切り替えながら連続受信を行い、親機300の制御信号をサーチする。ある周波数およびスロットで受信した信号が親機300からの制御信号であることを確認すると、それ以降のフレームでは、当該制御信号を受信したスロット番号のスロットで継続して親機300の制御信号の受信を行なうことにより、親機300とフレームおよびスロットを合わせ、DECT方式の同期を確立する動作を実施する。すなわち、親機300の制御信号に含まれる制御信号の送信に使用している送信スロットの番号、その時のフレーム番号、スロット/周波数テーブルの情報等を入手し、以降、親機300に同期した時分割通信が可能になる。
【0035】
以下、図4を参照して、モニタ子機200が親機300に同期してフレーム毎の間欠受信動作に移行する動作を説明する。図4に示す無線部202で受信復調された受信データ列は、フレーム処理部203に出力される。フレーム処理部203では、受信データ列に含まれる同期信号の検出を行ない、同期信号が検出されると、この同期信号を元に制御データフィールドとエラー検知用の信号を分離し、受信したエラー検知用の信号を元に制御データフィールドのエラー判定を行なう。正常受信と判断した場合は、受信した制御データフィールドの受信データ列を制御部220に出力する。
【0036】
制御部220では、フレーム処理部203から入力された受信データ列の解析を行ない、制御信号に含まれる親機300の識別情報を元に、待ち受けようとする親機300か否かを判断する。受信した信号が待ち受けようとする親機300からに信号であった場合、フレーム毎の間欠受信動作に移行するよう制御を行なう。
【0037】
間欠受信動作では、親機300から制御信号に乗せて送られてくる情報およびスロット/周波数テーブル記憶部208により、親機300がモニタ子機200宛てに送る制御信号を送信するフレーム番号およびスロット番号、周波数を検知して、これら情報をスロット/周波数テーブル記憶部208に保存する。モニタ子機200の制御部220は受信動作を停止し、受信動作の停止中も内部のクロックをカウントし、スロット/周波数テーブル記憶部208に保存されたデータと比較して受信動作を起動すべきタイミングを検出する。起動すべきタイミングに至った時に、制御部220は受信動作を開始するよう無線部202を制御する。
【0038】
次にカメラ子機100が親機捕捉を行い、親機300に同期した時分割通信を行なうまでの動作を説明する。この場合も前記のモニタ子機200と同様、カメラ子機100に電源を投入すると、親機捕捉動作を開始する。すなわち親機300からの制御信号を見つけるための受信周波数およびスロットを切り替えながら連続受信を行い、親機300の制御信号をサーチする。ある周波数およびスロットで受信した信号が親機300からの制御信号であることを確認すると、それ以降のフレームでは、当該制御信号を受信したスロット番号のスロットで継続して親機300の制御信号の受信を行なうことにより、親機300とフレームおよびスロットを合わせ、DECT方式の同期を確立する動作を実施する。すなわち、親機300の制御信号に含まれる制御信号の送信に使用している送信スロットの番号、その時のフレーム番号、スロット/周波数テーブルの情報等を入手し、以降、親機300に同期した時分割通信が可能になる。
【0039】
親機300に同期した後は、モニタ子機200の場合と同様に間欠受信動作に移行する。ただ、カメラ子機100は、モニタ子機200等からの撮像の指示に迅速に対応する必要があるため、間欠受信のインターバルはモニタ子機200のよりも小さく設定される。図11は本ドアモニタシステムにおいて、カメラ子機から親機を介してモニタ子機へ画像を転送する動作を示すタイミングチャートと示す。図11に示すアイドル状態において、モニタ子機200とカメラ子機100は間欠受信動作を行なっている。
【0040】
次に、図6および図11を参照して画像通信状態の動作について説明を行なう。ユーザがモニタ子機200の操作部を操作して画像モニタ要求のための操作をすると、モニタ子機200はリンク確立要求(SETUP)の制御信号を親機300へ送る。
【0041】
親機300の制御部320は、モニタ子機200からのリンク確立を検知すると、制御信号によってカメラ子機100へモニタ要求の指令を送る。図6の例では制御スロット:1を使ってカメラ子機100へモニタ要求の指令を送る。また親機300は、カメラ子機100へモニタ要求の指令を送るとともに、モニタ子機200に対しては無線リンク起動を始めることを意味する情報(CONNECT)を送る。
【0042】
親機300では、モニタ子機200からのリンク要求が制御部320に通知され、モニタ子機200と親機300との間で双方向の音声無線リンクの確立動作が起動される。図7はモニタ子機200と親機300との間で双方向の無線リンクを確立した状態を示す。後に、親機300とモニタ子機200との間で音声通話パスを開くために、図7の例ではスロット:11を使ってモニタ子機200から親機300へ信号を送り、またスロット:11に対して特定の関係にあるスロット:5を使って親機300からモニタ子機200へ信号を送るためにそれぞれのスロットが確保される。
【0043】
カメラ子機100は、前述の親機300からのモニタ要求の指令に従い、まずは音声無線リンクの確立するため手順を開始する。すなわちカメラ子機100は、音声無線リンクの確立するためのリンク確立要求:SETUP(音声)の制御信号を親機300へ送る。親機300の制御部320は、カメラ子機100からのリンク確立要求を検知すると、カメラ子機100に対して音声無線リンク起動を始めることを意味する情報(CONNECT)を送る。これによりカメラ子機100と親機300との間でも双方向の音声無線リンクの確立動作が起動される。
【0044】
カメラ子機100との間で音声無線リンクが確立すると、図11に示すように、カメラ子機100はデータ無線リンクの確立するため手順を開始する。すなわちカメラ子機100は、データ無線リンクの確立するためのリンク確立要求:SETUP(データ)の制御信号を親機300へ送る。親機300の制御部320は、カメラ子機100からのリンク確立要求を検知すると、カメラ子機100に対してデータ無線リンク起動を始めることを意味する情報(CONNECT)を送る。これによりカメラ子機100と親機300との間でも双方向のデータ無線リンクの確立動作が起動される。
【0045】
カメラ子機100と親機300との双方向のデータ無線リンクは、第1段階では1フィレームの中で上り方向の1スロット、下り方向の1スロットから成る往復の無線リンクが確立される。その後、図11に示すように、カメラ子機100から親機300へバンド変更要求が送られ、親機300にて準備が整えば親機300へバンド変更確認が送り返され、これらの手順を経てデータ無線リンクは第2段階に切り替わる。第2段階では、親機300からカメラ子機100への下り方向の1スロットを上り方向に変更し、カメラ子機100から親機300への上り方向に2つのスロットが確保される。図8の例では上り方向のデータ送信用としてスロット:3とスロット:9が使用され、以降、カメラ子機100から画像が送信される際にはこれら2つのスロットを使用する。
【0046】
カメラ子機100と親機300との間で上り方向2スロットデータ無線リンクが確立されると、カメラ子機100は画像撮影動作を開始し、また親機300はモニタ子機200へ向け画像データ送信を開始する。すなわちカメラ子機100の制御部120は、送信情報構築部105とフレーム処理部103に画像データの送信開始を通知する画像送信開始情報を出す。そして、制御信号によって親機300から指定された画像データ送信のためのスロット、図8の例ではスロット:3とスロット:9を使って画像送信開始情報を送信するよう各部を制御する。すなわち、フレーム処理部103から通知されるフレーム、スロットのタイミングを基に、スロット:3とスロット:9のタイミングに合わせて、フレーム処理部103に画像送信開始情報を出力する。フレーム処理部103は、図5(B)に示すフォーマットを用い、制御データフィールドに画像送信開始情報を乗せ、同期信号とエラー検知信号を付けて無線部102に出力し、無線部102はフレーム処理部103から入力されたデータ列によって変調しアンテナ101を介して画像送信開始情報の送信を行なう。
【0047】
画像データの送信開始を通知された送信情報構築部105は通信データ記憶部104に画像データの更新要求を行ない、通信データ記憶部104はカメラ部106を起動し、新たな画像を撮影し、画像データを更新する。また、送信情報構築部105は、送信情報構築部105が管理する順序番号の出力済み画像データの位置を示すポインタを初期化する。そして、送信情報構築部105は、フレーム処理部103から画像データの要求毎に、順序番号を付した1スロットで送信可能な長さの画像データ(以後、分割画像データと記す)をフレーム処理部103に出力する。
【0048】
以下、画像データを1スロットで送信可能な長さに分割し、同一の分割画像データを重複して送信する動作について詳細に説明する。同一の分割画像データを出力するために、フレーム処理部103から画像データの要求があると、送信情報構築部105は、通信データ記憶部104に記憶された画像データを参照し、予め出力済み画像データの位置を示すポインタをもとに出力が終わっていない画像データから1スロットで送信可能な長さの画像データ(分割画像データ)を読み込み、順序番号を付けて、同一の順序番号を付けた分割画像データをフレーム処理部103に出力し、同一の順序番号を付けた分割画像データを出力すると出力済みの画像データの位置を示すポインタを更新するよう動作する。そして、送信情報構築部105は通信データ記憶部104に記憶された画像データを送信し終えると、上記同様に、通信データ記憶部104に画像データの更新要求を行ない、カメラ部106で新たな画像が撮影され、通信データ記憶部104に記憶され、画像データが更新され、更新された画像データの分割画像データの出力を継続するように制御を行なう。
【0049】
一方、画像データの送信開始を通知されたフレーム処理部103は、フレーム毎に予め決められた位置関係にある2つのスロット(スロット:3とスロット:9)のタイミングに合わせて、送信情報構築部105に画像データの要求を行なう。そして、送信情報構築部105より入力された順序番号を付した分割画像データを用いて送信データ列の生成を行ない、無線部102に送信データ列を出力する。順序番号を付した分割画像データを送るスロットの送信データ列は、図5(B)のフォーマットが使用され、順序番号を付した分割画像データは情報データフィールドで送信される。また、このとき、情報データフィールドのエラー検知用の信号(図5のCRC2)が付加される。フレーム処理部103は、情報データフィールドに画像データを乗せ、無線部102へ渡す。無線部102はフレーム処理部103から入力されたデータ列によって変調しアンテナ101を介して画像送信開始情報の送信を行なう。
【0050】
次に、親機300の画像通信状態の動作について説明を行なう。親機300は、カメラ子機100に画像データの送信開始要求を通知した後は、モニタ子機200へ画像データの転送を行なう画像通信状態に移行する。親機300がスロット3(またはスロット3とペアの関係にあるスロット9)でカメラ子機100によって送信される画像送信開始情報を受信すると、親機300の制御部320は、順序番号記憶部309に記憶されている受信済みの順序番号を未受信状態にすると共に、指定したスロット3およびスロット9で画像データの受信を開始する。すなわち、制御部320は、スロット3とスロット9の受信を開始するよう、フレーム処理部303、無線部302を制御する。すなわち制御部320は、フレーム処理部303から通知されるフレーム、スロットのタイミングを基に、画像データを受信するスロットのタイミングに合わせて、スロット/周波数テーブルより当該スロットに対応した周波数情報を読み込み、画像データを受信するスロットおよび周波数を設定するよう無線部302を制御する。
【0051】
カメラ子機100からスロット3とスロット9で画像データが送られてくると、該当スロットの無線信号が親機300の無線部302で受信、復調され、受信データ列がフレーム処理部303に出力される。フレーム処理部303はそれぞれの画像データを受信する各スロットの受信データ列の同期信号をもとに、情報データフィールドで送られてきた順序番号を付した分割画像データとエラー検知信号を分離し、エラーが無ければ、受信した順序番号を付した分割画像データを制御部320に通知する。制御部320は、順序番号記憶部309に記憶された順序番号を読み込み、受信した画像データの順序番号と順序番号記憶部309に記憶された順序番号が同じでなければ、受信した分割画像データをそのままモニタ子機200へ転送するように準備する。画像データのモニタ子機200への送信は以降で詳細に説明する。
【0052】
なお、スロットダイバーシティモードでは、カメラ子機100は同じ画像データを、同じ順序番号を付して2回、重複して送信する。この場合、親機300は順序番号を読み込み、受信した画像データの順序番号と順序番号記憶部309に記憶された順序番号が同じでなければ、受信した分割画像データをそのままモニタ子機200へ転送して順序番号記憶部309に記憶された順序番号を受信した順序番号に更新するが、受信した画像データの順序番号と順序番号記憶部309に記憶された順序番号が同じであれば、すでに同じ画像が正常に受信されたことを意味するので、受信した分割画像データを破棄するように制御を行なう。このようにスロットダイバーシティモードでは、カメラ子機100が重複して送信した同じ画像データの一方が正常に届かない場合でも、他方が正常に届かけば欠落を防止できる。
【0053】
次に、親機300からモニタ子機200への画像データ送信動作について説明を行なう。制御部320は、まず制御スロットを使って画像データの送信開始を報知する制御信号(以後、画像送信開始情報と記す)を送信する。すなわち制御部320は、フレーム処理部303から通知されるフレーム、スロットのタイミングを基に、制御スロットのタイミングに合わせて、フレーム処理部303に画像送信開始情報を出力する。フレーム処理部303は、制御データフィールドに画像送信開始情報をのせて同期信号とエラー検知信号を付けて無線部302に出力し、無線部302では、フレーム処理部303から入力されたデータ列を変調しアンテナ301を介して画像送信開始情報の送信を行なう。
【0054】
続いて、制御部320は、送信情報構築部304とフレーム処理部303に画像データの送信開始を通知する。画像データの送信開始を通知された送信情報構築部304は、通信データ記憶部305に画像データの更新要求を行ない、通信データ記憶部305はカメラ子機100から受信したデータが記憶され、新しいデータを受信するたびに画像データを更新する。また、送信情報構築部304は、送信情報構築部304が管理する順序番号、送信予定ポインタを初期化する。そして、送信情報構築部304は、フレーム処理部303から画像データの要求毎に、順序番号を付した1スロットで送信可能な長さの画像データ(以後、分割画像データと記す)をフレーム処理部303に出力する。
【0055】
すなわち、送信情報構築部304は、フレーム処理部303から画像データの要求があると、通信データ記憶部305に記憶された画像データを参照し、予め決められた送信予定の位置を示すポインタをもとに出力が終わっていない画像データから1スロットで送信可能な長さに分割しての画像データ(分割画像データ)を読み込み、順序番号を付けて、フレーム処理部303に出力し、順序番号を付けた分割画像データを出力すると出力済みの画像データの位置を示すポインタを更新する。そして、送信情報構築部304は通信データ記憶部305に記憶された画像データを送信し終えると、上記同様に、通信データ記憶部305に画像データの更新要求を行ない、カメラ子機100から送信された新たな画像データが通信データ記憶部305に記憶されて画像データが更新され、順次、更新された画像データの分割画像データの出力を継続するように制御を行なう。
【0056】
一方、画像データの送信開始を通知されたフレーム処理部303は、フレーム毎に予め決められた位置関係にある2つのスロット、例えば図8の例ではスロット1とスロット7のタイミングに合わせて、送信情報構築部304に画像データの要求を行なう。そして、送信情報構築部304より入力された順序番号を付した分割画像データを用いて送信データ列の生成を行ない、無線部302に送信データ列を出力する。順序番号を付した分割画像データを送るスロットの送信データ列の送信には、図5(C)のフォーマットを使用する。フレーム処理部303は、順序番号を付した分割画像データをモニタ子機200へ転送するために、図5(C)のフォーマットの子機宛データのエリアに乗せる。また同時に、カメラ子機100への応答通知(ACK)をカメラ子機宛データのエリアに乗せる。また、このとき情報データフィールドのエラー検知用の信号(図5のCRC2)が付加される。無線部302はフレーム処理部303から入力されたデータ列によって変調しアンテナ301を介して送信を行なう。図11のチャートを参照して説明すると、カメラ子機100からペアスロット3,9で画像データが送られてくると、親機300はスロット1で送り出すデータの中にカメラ子機100への応答通知(ACK)を乗せ、同じスロット1で送るデータの中にモニタ子機200へ転送する画像データを乗せる。
【0057】
このように、カメラ子機100から送信されてきた情報をモニタ子機200へ転送するための送信のスロットの中で、送信元のカメラ子機100に対して正常受信したことを伝える応答通知(ACK)を併せて送ることにより、カメラ子機100への応答通知を送るためのスロットを別の確保する必要が無く、スロットの効率的な利用が可能になる。
【0058】
次に、モニタ子機200の画像受信の動作について説明を行なう。前述のようにモニタ子機200は、親機300へ呼び出し開始の要求を通知した後は、画像データの転送を待つ状態に移行する。モニタ子機200は、スロット1と、スロット1とペアの関係にあるスロット7で画像データが送られてくると、該当スロットの無線信号が親機300の無線部202で受信、復調され、受信データ列がフレーム処理部203に出力される。
【0059】
フレーム処理部203はそれぞれの画像データを受信する各スロットの受信データ列の同期信号をもとに、情報データフィールドで送られてきた順序番号を付した分割画像データと、エラー検知信号を分離し、エラー検知信号を基にエラーの有無の判定を行なう。そして、エラーが無ければ、受信した順序番号を付した分割画像データを制御部220に通知する。制御部220は、順序番号記憶部209に記憶された順序番号を読み込み、受信した画像データの順序番号と順序番号記憶部209に記憶された順序番号が同じでなければ、受信した分割画像データをそのまま表示部206に表示するよう制御する。
【0060】
なお、前述と同様にスロットダイバーシティモードでは、親機300は同じ画像データを、同じ順序番号を付して2回、重複して送信する。この場合、モニタ子機200は順序番号を読み込み、受信した画像データの順序番号と順序番号記憶部209に記憶された順序番号が同じでなければ、受信した分割画像データをそのまま表示部206に表示し、順序番号記憶部209に記憶された順序番号を受信した順序番号に更新する。ただし、受信した画像データの順序番号と順序番号記憶部209に記憶された順序番号が同じであれば、すでに同じ画像が正常に受信されたことを意味するので、受信した分割画像データを破棄するように制御を行なう。このようにスロットダイバーシティモードでは、親機300が重複して送信した同じ画像データの一方が正常に届かない場合でも、他方が正常に届けば欠落を防止できる。
【0061】
次に、モニタ子機200と玄関子機400との間で音声通話を開始する場合について説明する。モニタ子機200を使ってカメラ子機100からの画像を見たユーザが、モニタ子機200において通話開始の操作をすると、モニタ子機200は通話開始要求の制御信号を親機300へ送る。親機300においてモニタ子機200からの通話開始要求の制御信号が受信されると、この要求が制御部320に通知され、制御部320は音声通話路を形成するために各部を制御する。無線上での音声通話パスについては、前述のように親機300とモニタ子機200との間で図7に示すようにスロット:11とスロット:5が確保されている。
【0062】
モニタ子機200のマイク211より入力された音声信号は音声処理部210によりPCM信号に変換される。制御部220はこのPCM信号に変換された音声信号をフレーム処理部203へ渡し、フレーム処理部203はこれを音声データ用のフォーマットに変換して無線部202へ出力し、無線部202はスロット:11を使って親機300へ送信する。また親機300からの音声信号はスロット:5を使って送られ、無線部202にて受信される。制御部220はこのPCM音声信号を音声処理部210に送り、音声処理部210はアナログ音声信号へ変換してスピーカ212より発せられる。
【0063】
玄関子機400からの音声信号は親機300の音声処理部310によりPCM信号に変換される。制御部320は、このPCM信号に変換された音声信号をフレーム処理部330へ渡す。フレーム処理部330はこれを音声データ用のフォーマットに変換して無線部302へ出力し、無線部302はスロット:5を使ってモニタ子機200へ送信する。モニタ子機200からの音声信号はスロット:11を使って送信され、無線部302にて受信される。制御部320は、モニタ子機200からのPCMの音声信号を音声処理部310に送り、音声処理部310にてアナログ音声信号へ変換され、玄関子機400へ送られる。
【0064】
次に、モニタ子機200とカメラ子機100との間で音声通話を行なう場合について説明する。図9は、本実施の形態に係るドアモニタシステムにおいて、カメラ子機100からの画像をモニタ子機200へ転送するのと並行して、カメラ子機100と親機300との間でも音声パスを張った状態でのスロット使用例を示す。モニタ子機200を使ってカメラ子機100からの画像を見たユーザが、カメラ子機100との間で通話するよう操作をすると、モニタ子機200は通話開始要求の制御信号を親機300へ送る。親機300においてモニタ子機200からの通話開始要求の制御信号が受信されると、この要求が制御部320に通知され、制御部320はカメラ子機100との間で音声通話路を形成するために各部を制御する。図9の例ではスロット:2を使って親機300からカメラ子機100へ信号を送り、またスロット:2に対して特定の関係にあるスロット:8を使ってカメラ子機100から親機300へ信号を送るようにそれぞれのスロットが新たに割り当てられる。
【0065】
カメラ子機100のマイク111より入力された音声信号は音声処理部110によりPCM信号に変換される。制御部120はこのPCM信号に変換された音声信号をフレーム処理部103へ渡し、フレーム処理部103はこれを音声データ用のフォーマットに変換して無線部102へ出力し、無線部102はスロット:8を使って親機300へ送信する。また親機300からの音声信号はスロット:2を使って送られ、無線部102にて受信される。制御部120はこのPCM音声信号を音声処理部110に送り、音声処理部110はアナログ音声信号へ変換してスピーカ112より発せられる。なお、この場合もモニタ子機200と親機300との間の音声通話パスについては、図7に示すようにスロット:11とスロット:5が使用される。
【0066】
なお、親機300からモニタ子機200は画像データを送信する動作に関し、モニタ子機200から親機300に対して画像データが正常に受信できたことを通知する応答通知(ACK)を送信する必要がある。本実施の形態では、モニタ子機200がスロット:11にてデータを送る時の送信データ列の送信には図5(C)と同様のフォーマットを使用し、図7に示すようにモニタ子機200から親機300に対し音声を送るスロット:11を使って音声データとともに応答通知(ACK)を送信する。すなわちモニタ子機200のフレーム処理部203は、音声データを親機宛データのエリアに乗せ、また同時に親機300への応答通知(ACK)を同じフレームの他のエリアに乗せる。このように、1つのスロットで、音声データとともに応答通知(ACK)を送信することにより、これらを送信するためのスロットを個別に割り当てる必要が無いので、無線リソースを有効活用できる。
【0067】
親機300は転送動作において、ある1つのスロット(第1のスロット)を使ってカメラ子機100から画像データを受信し、この1つのスロットで送られた画像データを2つに分割する。2つに分割したデータ(以下、2分割画像データと記す)は、1つのスロットの中の2分の1の時間幅で転送が可能となる。
【0068】
親機300は、一方の2分割画像データを他の第2のスロットを使ってモニタ子機200に宛てて送信し、他方の2分割画像データをさらに他の第3のスロットを使ってモニタ子機200に宛てて送信する。また親機300は、第2のスロットまたは第3のスロットの何れか一方のスロットを使って同期維持のための制御信号を各子機へ送信し、他方のスロットを使ってカメラ子機100に宛てて当該画像データの受信に関する応答通知(ACK)を送信する。
【0069】
図10は、カメラ子機100からの画像データを2つに分割して転送する場合のスロット使用例を示す。親機300は転送動作において、スロット:3を使ってカメラ子機100から画像データ(画像データ:1)を受信する。親機300は画像データを2つに分割し、2分割画像データの一方(画像データ:1A)はスロット:7を使ってモニタ子機200へ送信し、他方の2分割画像データ(画像データ:1Bはスロット:1を使ってモニタ子機200へ送信する。また親機300は、スロット:1を使って同期維持のための制御信号を各子機へ送信し、スロット:7を使ってカメラ子機100へ当該画像データの受信に関する応答通知(ACK)を送信する。モニタ子機200はスロット:1およびスロット:7を使って親機300から送られる画像データを受信する。一方、カメラ子機100は、スロット:7を使って親機300から送られる応答通知を受信する。
【0070】
このように、親機300が2つのスロットを使って送る画像データは、1スロット当たり通常の半分の時間領域しか使わないので、他の時間領域を使って制御信号または送信元(カメラ子機100)への応答通知を送信することにより、これら制御信号や応答通知を送信するためのスロットを個別に割り当てる必要が無いので、無線リソースを有効活用できる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、TDMA−TDD方式で通信を行ない、制御局が複数の従属局間でデータを転送することが可能な無線通信システムであり、転送の際に無線リソースの効率的な利用が可能になる。
【符号の説明】
【0072】
100 カメラ子機
101 アンテナ
102 無線部
103 フレーム処理部
105 送信情報構築部
104 通信データ記憶部
106 カメラ部
108 スロット/周波数テーブル記憶部
110 音声処理部
111 マイク
112 スピーカ
110 音声処理部
120 制御部
200 子機
201 アンテナ
202 無線部
203 フレーム処理部
206 表示部
208 スロット/周波数テーブル記憶部
209 順序番号記憶部
210 音声処理部
211 マイク
212 スピーカ
215 操作部
220 制御部
300 親機
301 アンテナ
302 無線部
303 フレーム処理部
304 送信情報構築部
305 通信データ記憶部
308 スロット/周波数テーブル記憶部
309 順序番号記憶部
310 音声処理部
320 制御部
400 玄関子機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の無線通信装置と、第2の無線通信装置と、前記第1の無線通信装置および第2の無線通信装置を従属させる制御局として動作する第3の無線通信装置とを有する無線通信システムであって、
前記第3の無線通信装置は第1のスロットを使って前記第1の無線通信装置からデータを受信し、第2のスロットを使って当該データを前記第2の無線通信装置に宛てて送信するとともに前記第1の無線通信装置に宛てて当該データの受信に関する応答通知を送信し、
前記第1の無線通信装置は前記第3の無線通信装置から第2のスロットを使って送られる応答通知を受信し、
前記第2の無線通信装置は前記第3の無線通信装置から第2のスロットを使って送られるデータを受信する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記第1の無線通信装置は他の無線通信装置との間でTDMAにより信号を通信する第1の通信部を備え、
前記第2の無線通信装置は他の無線通信装置との間でTDMAにより信号を通信する第2の通信部を備え、
前記第3の無線通信装置は、
他の無線通信装置との間でTDMAにより信号を通信する第3の通信部とを有し、
前記第3の無線通信装置は前記第3の通信部を使って制御信号を送信することにより前記第1または第2の無線通信装置を自らに同期させる
ことを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記第3の無線通信装置は、データの転送動作に先立って第1の無線通信装置からのデータを受信する第1のスロットと、第2の無線通信装置へ当該データを送信する第2のスロットを指定し、第1および第2のスロットを示す情報を制御信号に載せて送信する
ことを特徴とする請求項2記載の無線通信システム。
【請求項4】
第1の無線通信装置と、第2の無線通信装置と、前記第1の無線通信装置および第2の無線通信装置を従属させる制御局として動作する第3の無線通信装置とを有する無線通信システムであって、
前記第1の無線通信装置は、
他の無線通信装置との間でTDMAにより信号を通信する第1の通信部と、
前記第1の通信部により受信された第3の無線通信装置からの制御信号を検出することによって第3の無線通信装置に同期する処理を行う親機検出部と、
第3の無線通信装置に同期するために必要な情報を記憶する第1の記憶部とを備え、
前記第2の無線通信装置は、
他の無線通信装置との間でTDMAにより信号を通信する第2の通信部と、
前記第2の通信部により受信された第3の無線通信装置からの制御信号を検出することによって第3の無線通信装置に同期する処理を行う第2の親機検出部と、
第3の無線通信装置に同期するために必要な情報を記憶する第2の記憶部とを備え、
前記第3の無線通信装置は、
他の無線通信装置との間でTDMAにより信号を通信する第3の通信部と、
前記第3の通信部を使って制御信号を送信することにより前記第1または第2の無線通信装置を自らに同期させるとともに第1の無線通信装置からのデータを受信して第2の無線通信装置へ転送する転送動作を制御する制御部を備え、
前記第3の無線通信装置は、前記転送動作に先立って第1の無線通信装置からのデータを受信する第1のスロットを指定するとともに第2の無線通信装置へ当該データを送信する第2のスロットを指定し、第1および第2のスロットを示す情報を制御信号に載せて送信し、
前記転送動作において、前記第1の無線通信装置は前記制御信号に載せられた情報に従って第1のスロットを使ってデータを送信し、
前記第3の無線通信装置は第1のスロットを使って前記第1の無線通信装置からデータを受信し、第2のスロットを使って当該データを前記第2の無線通信装置に宛てて送信するとともに前記第1の無線通信装置に宛てて当該データの受信に関する応答通知を送信し、
前記第2の無線通信装置は前記制御信号に載せられた情報に従って第2のスロットを使ってデータを受信し、
前記第1の無線通信装置は前記制御信号に載せられた情報に従って第2のスロットを使って応答通知を受信する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
第1の無線通信装置と、第2の無線通信装置と、前記第1の無線通信装置および第2の無線通信装置を従属させる制御局として動作する第3の無線通信装置とを有する無線通信システムであって、
前記第3の無線通信装置は第1のスロットを使って前記第1の無線通信装置からデータを受信し、前記データを2つに分割して一方のデータを第2のスロットを使って前記第2の無線通信装置に宛てて送信し、他方のデータを第3のスロットを使って前記第2の無線通信装置に宛てて送信し、前記第2または第3のスロットの何れか一方のスロットを使って同期維持のための制御信号を送信し、他方のスロットを使って前記第1の無線通信装置に宛てて当該データの受信に関する応答通知を送信し、
前記第1の無線通信装置は前記第3の無線通信装置から前記第2または第3のスロットの何れか一方のスロットを使って送られる応答通知を受信し、
前記第2の無線通信装置は前記第3の無線通信装置から前記第2および第3のスロットを使って送られるデータを受信する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項6】
第1の無線通信装置と、第2の無線通信装置と、前記第1の無線通信装置および第2の無線通信装置を従属させた制御局として動作する第3の無線通信装置とを有する無線通信システムであって、
前記第1の無線通信装置は他の無線通信装置との間でTDMAにより信号を通信する第1の通信部を備え、
前記第2の無線通信装置は他の無線通信装置との間でTDMAにより信号を通信する第2の通信部を備え、
前記第3の無線通信装置は、他の無線通信装置との間でTDMAにより信号を通信する第3の通信部と、前記第3の通信部を使って制御信号を送信することにより前記第1または第2の無線通信装置を自らに同期させるとともに第1の無線通信装置からのデータを受信して第2の無線通信装置へ転送する転送動作を制御する制御部を備え、
前記制御部は前記転送動作において、第1のスロットを使って前記第1の無線通信装置からデータを受信し、前記データを2つに分割して一方のデータを第2のスロットを使って前記第2の無線通信装置に宛てて送信し、他方のデータを第3のスロットを使って前記第2の無線通信装置に宛てて送信し、前記第2または第3のスロットの何れか一方のスロットを使って同期維持のための制御信号を送信し、他方のスロットを使って前記第1の無線通信装置に宛てて当該データの受信に関する応答通知を送信し、
前記第1の無線通信装置は前記第3の無線通信装置から前記第2または第3のスロットの何れか一方のスロットを使って送られる応答通知を受信し、
前記第2の無線通信装置は前記第3の無線通信装置から前記第2および第3のスロットを使って送られるデータを受信する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項7】
制御局に同期してTDMAの通信を行なう無線通信システムにおける無線通信装置であって、
TDMAにより信号を通信する通信部を備え、
制御局から送られる制御信号を受信することにより制御局に同期し、
前記制御信号によって制御局から伝えられた第1のスロットを使って制御局へデータを送信し、
制御局が当該データを他の無線通信装置に宛てて送信する第2のスロットの信号の中から共に含まれた当該データに関する制御局からの応答通知を受信する
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項8】
他の無線通信装置を従属させる制御局として動作する無線通信装置であって、
他の無線通信装置との間でTDMAにより信号を通信する通信部とを有し、
前記通信部によって制御信号を送信することにより他の無線通信装置を自らに同期させ、第1のスロットを使って第1の無線通信装置からデータを受信し、第2のスロットを使って当該データを第2の無線通信装置に宛てて送信するとともに前記第1の無線通信装置に宛てて当該データの受信に関する応答通知を送信する
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項9】
第1のスロットを使って第1の無線通信装置から送られてくるデータを2つに分割して一方のデータを第2のスロットを使って前記第2の無線通信装置に宛てて送信し、
他方のデータを第3のスロットを使って前記第2の無線通信装置に宛てて送信し、
前記第2または第3のスロットの何れか一方のスロットを使って同期維持のための制御信号を送信し、他方のスロットを使って前記第1の無線通信装置に宛てて当該データの受信に関する応答通知を送信し、
ことを特徴とする請求項8記載の無線通信装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−110708(P2013−110708A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256461(P2011−256461)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】