説明

無線通信システムと無線通信装置および測距方法

【課題】動作周波数を高く設定しなくとも、高い精度で距離を測定する。
【解決手段】クロック信号MCKの周期よりも遅延量が短い遅延素子を用いて、遅延部12から遅延クロック信号DCK-1〜DCK-5を得る。測距信号PMの送出時に、タイミング情報生成部13は、クロック信号MCKや遅延クロック信号DCK-1〜DCK-5を用いてカウント動作を開始する。応答信号PRを受信したときのカウント値に基づいて、クロック信号MCKを用いたカウント動作のカウントタイミングと応答信号PRの受信タイミングとのタイミング差TEを検出する。距離演算部16は、タイミング差TEとクロック信号MCKを用いたカウント動作での応答信号PRを受信したときのカウント値DCを用いて経過時間を算出し、この経過時間に基づいて距離を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線通信システムと無線通信装置および測距方法に関する。詳しくは、測距信号を送信してから応答信号を受信するまでの経過時間に基づいて、無線通信装置間の距離を測定するとき、クロック信号あるいは応答信号の遅延信号を生成し、測距信号の送出時に、クロック信号および/または遅延クロック信号、あるいはクロック信号および/または遅延応答信号を用いてカウント動作を開始して、カウント動作によって得たカウント値と応答信号、あるいはカウント値とクロック信号に基づき、クロック信号を用いたカウント動作のカウントタイミングと応答信号の受信タイミングとのタイミング差を検出し、応答信号を受信したときのカウント値と検出したタイミング差を用いて無線通信装置間の距離を算出するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、無線通信システムでは、複数の無線通信装置間でデータ伝送を行うだけでなく、無線信号を利用して無線通信装置間の距離を測定することが可能とされている。例えば特許文献1の発明では、基地局から送信された測距信号を端末で受信したとき、イメージ排除期間後に応答信号を発信することが行われている。また基地局は測距信号を送信してから応答信号を受信するまで経過時間を測定して、この測定した経過時間に基づいて基地局と端末間の伝搬時間を求めて、基地局から端末までの距離を算出することが行われている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−85545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、測距信号を送信してから応答信号を受信するまでの経過時間を測定する場合、例えば測距信号を送信したとき、クロック信号を用いたカウント動作を開始して、応答信号を受信したときのカウント値から経過時間を判別できる。
【0005】
このように、測距信号を送信してから応答信号を受信するまでカウント値に基づいて経過時間を算出する場合、クロック信号の周波数が低いと、1カウントに対応する時間が長いことから高い測距精度を得ることができない。従って、測距精度を高めるためには、クロック信号の周波数を高く設定しなければならない。
【0006】
しかし、動作周波数の高い発振回路を用いてクロック信号の周波数を高くすると、発振回路やクロック信号のカウント処理回路等の消費電力が増加してしまう。また、動作周波数の高い発振回路やカウント処理回路は高価であり、無線通信装置を安価に構成することができなくなってしまう。さらに、動作周波数が高いと無線通信装置を容易に設計することも困難となってしまう。
【0007】
そこで、この発明では、動作周波数を高く設定しなくとも、高い精度で距離を測定できる無線通信システムと無線通信装置および測距方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る無線通信システムと無線通信装置および測距方法は、測距信号を送信して、測距信号に対する応答信号を受信するまでの経過時間に基づいて距離を測定する場合に、クロック信号の周期よりも遅延量が短い遅延素子を用いて、該遅延素子からクロック信号を遅延させた遅延クロック信号あるいは応答信号を遅延させた遅延応答信号を得るものとし、測距信号の送出時に、クロック信号および/または遅延クロック信号、あるいはクロック信号および/または遅延応答信号を用いてカウント動作を開始して、該カウント動作によって得たカウント値と応答信号、あるいはカウント値とクロック信号に基づき、クロック信号を用いたカウント動作のカウントタイミングと応答信号の受信タイミングとのタイミング差を検出し、このタイミング差とクロック信号を用いたカウント動作での応答信号を受信したときのカウント値を用いて経過時間を算出し、該経過時間に基づき測距信号に対して応答信号を返信した無線通信装置までの距離を算出するものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、クロック信号の周期よりも遅延量が短い遅延素子を設けて、クロック信号を遅延させた遅延クロック信号あるいは応答信号を遅延させた遅延応答信号が生成される。また、測距信号の送出時に、クロック信号および/または遅延クロック信号、あるいはクロック信号および/または遅延応答信号を用いてカウント動作を開始して、カウント動作によって得たカウント値と応答信号、あるいはカウント値とクロック信号に基づき、クロック信号を用いたカウント動作のカウントタイミングと応答信号の受信タイミングとのタイミング差が検出されて、応答信号を受信したときのカウント値と検出したタイミング差を用いて無線通信装置間の距離が算出される。
【0010】
このため、クロック信号の周波数が低くても、遅延量の小さい遅延素子を複数カスケード接続して遅延クロック信号や遅延応答信号を生成して用いることにより、高精度の距離測定が可能となる。またクロック信号の周波数が低くても高精度の距離測定を行うことができるので、無線通信装置の設計が容易となり、消費電力を低く押さえることもできる。さらに安価に無線通信装置を構成できる。
【0011】
また、測距信号を送出する無線通信装置で遅延クロック信号や遅延応答信号の生成等を行うことで、高精度の距離測定が可能となり、応答信号の送出を行う無線通信装置には変更等を加える必要がないので、容易に高精度の測距を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図を参照しながら、この発明の実施の形態について説明する。図1に示す無線通信システムにおいて、無線通信装置10から無線通信装置50までの距離を測定する場合、無線通信装置10は、時点tstで図2Aに示すように、距離測定用パルス信号である測距信号PMを送信する。また距離計測用のクロック信号を用いてカウント動作を開始する。
【0013】
無線通信装置50は、時点tstで送信された測距信号PMを、図2Bに示すように時点taで受信したとき、測距信号PMの受信に対する応答処理を行い、図2Cに示すように、時点taから応答処理に要する時間経過後の時点tbで、応答用パルス信号である応答信号PRを送信する。
【0014】
無線通信装置10は、時点tbで無線通信装置50から送信された応答信号PRを、図2Dに示すように時点tedで受信したとき、時点tstから時点tedまでのカウント値を判別して、このカウント値に基づいて距離を算出する。
【0015】
ここで、時点tstから時点taまでの時間である往路伝搬時間Tpoのカウント値、時点tbから時点tedまでの時間である復路伝搬時間Tphのカウント値は、それぞれ無線通信装置10から無線通信装置50までの距離を示している。また、無線通信装置50において、測距信号PMの受信に対する応答処理が常に一定の処理時間、すなわち時点taから時点tbまでの時間である応答処理時間Trsが常に一定であるとすると、時点tstから時点tedまでのカウント値に基づく経過時間Tmから無線通信装置50における応答処理時間Trsを減算した減算結果は、無線信号が無線通信装置10から無線通信装置50までの距離の2倍だけ進む時間に相当する。
【0016】
図3は、距離計測用のクロック信号MCKと応答信号PRのタイミングを示している。応答信号PRの受信タイミングは、クロック信号MCKに同期する場合に限られるものではなく、無線通信装置10から無線通信装置50までの距離によっては、クロック信号MCKと位相差を生じたものとなる。なお、以下の説明では、信号の立ち上がりをカウントタイミングとする。
【0017】
図3Aはクロック信号MCK、図3Bは測距信号PM、図3Cは応答信号PRを示しており、例えば時点tstで測距信号PMが送出されて、時点tedで応答信号PRを受信したとき、時点tcでカウントアップが行われていると、時点tcから時点tedまで時間が経過してもカウント値が変わらないため、時点tcから時点tedまでの時間差、すなわちクロック信号MCKを用いたカウント動作のカウントタイミングと応答信号PRの受信タイミングのタイミング差TEが測距誤差となる。
【0018】
このタイミング差TEはクロック信号の周波数を高くすることで、小さくできる。しかし、クロック信号の周波数を高くすると、無線通信装置の設計が困難となり、消費電力も大きくなったしまう。さらに、無線通信装置を安価に構成できなくなってしまう。このため、クロック信号あるいは応答信号を遅延させて用いることにより、クロック信号MCKを用いたカウント動作のカウントタイミングと応答信号PRの受信タイミングのタイミング差TEを精度良く検出して、クロック信号MCKを用いたカウント動作のカウント値だけでなく、検出したタイミング差TEを用いることで測距精度を向上させる。
【0019】
次に、クロック信号MCKと遅延クロック信号DCKを用いることで測距精度を向上させた無線通信装置の構成の一部を図4に示す。なお、図4では、測距動作に関する部分の構成のみを示している。
【0020】
無線通信装置10aの信号生成部11は、測距信号PMを生成してタイミング情報生成部13と送受信部14に供給する。また、クロック信号MCKを生成して遅延部12とタイミング情報生成部13に供給する。
【0021】
図5は、遅延部12の構成を示している。遅延部12は、クロック信号MCKの周期Tckよりも遅延量が短い遅延素子を、1あるいは複数カスケード接続して構成する。図5は、例えば、5つのバッファアンプ121-1〜121-5を遅延素子として用いて、バッファアンプ121-1〜121-5をカスケード接続した場合を示している。なお、説明を簡単とするため、バッファアンプ121-1〜121-5のそれぞれの遅延量は「(1/5)Tck」とする。なお、遅延部12は、抵抗やコンデンサーの組合せによるローパス・フィルタの位相遅れ等を利用して、遅延信号を生成するものとしても良い。
【0022】
遅延部12にクロック信号MCKを入力すると、バッファアンプ121-1からは、クロック信号MCKに対して遅延量が「(1/5)Tck」である遅延クロック信号DCK-1が出力される。また、バッファアンプ121-2からは、クロック信号MCKに対して遅延量が「(2/5)Tck」である遅延クロック信号DCK-2が出力される。同様に、バッファアンプ121-3〜121-5からは、クロック信号MCKに対する遅延量がそれぞれ「(3/5)Tck」,「(4/5)Tck」,「(5/5)Tck」である遅延クロック信号DCK-3,DCK-4,DCK-5が出力される。
【0023】
図6は、タイミング情報生成部13の構成を示している。セレクタ131は、クロック信号MCKと遅延クロック信号DCK-1〜DCK-5から1つの信号を選択して、選択クロック信号SCKとしてカウンタ132に供給する。また、測距信号PMが信号生成部11から出力される毎に、選択する信号を順次に切り替えて、いずれの信号が選択されているかを示す選択情報SEをカウンタ132に供給する。例えば、最初にクロック信号MCKである選択クロック信号SCKと、クロック信号MCKが選択されていることを示す選択情報SEをカウンタ132に供給する。信号生成部11から測距信号PMが再度出力されたときには、信号の切り替えを行い、遅延クロック信号DCK-1である選択クロック信号SCKと、遅延クロック信号DCK-1が選択されていることを示す選択情報SEをカウンタ132に供給する。次に信号生成部11から測距信号PMが出力されたときも同様に信号の切り替えを行い、遅延クロック信号DCK-2である選択クロック信号SCKと、遅延クロック信号DCK-2が選択されていることを示す選択情報SEをカウンタ132に供給する。以下同様にして、セレクタ131は、信号生成部11から測距信号PMが出力される毎に信号の切り替えを行う。また、遅延クロック信号DCK-5の次にクロック信号MCKを選択することで、選択する信号の切り替えをサイクリックに行う。
【0024】
カウンタ132は、セレクタ131からの選択クロック信号SCKを用いてカウント動作を行う。このカウント動作は、測距信号PMの送出時にカウント値を初期化して開始する。また、カウンタ132は、応答信号PRが供給されたときのカウント値を、選択情報SEに基づいて、セレクタ131で選択された信号毎に保持する。
【0025】
タイミング差検出部133は、カウンタ132に保持されているカウント値の相違が、いずれの信号切り替えで生じているかを判別して、この判別結果に基づきタイミング差TEを検出する。
【0026】
送受信部14は、測距信号PMの変調処理等を行い所望の周波数帯の無線信号としてアンテナ15から送信する。また、アンテナ15で無線信号を受信して得られたRF信号の復調処理等を行い、無線通信装置50から送信された応答信号PRを得たときは、この応答信号PRをタイミング情報生成部13に供給する。また、送受信部14では、特定の無線通信装置までの距離を行う場合、この特定の無線通信装置に割り当てられているアドレス等の識別情報を送信先、自己の無線通信装置に割り当てられているアドレス等の識別情報を送信元としてヘッダ情報を生成し、このヘッダ情報を測距信号PMに付加して送信する。また、送信先の無線通信装置で測距信号PMを受信したときには、ヘッダ情報の送信元を送信先、自己の識別情報を送信元としたヘッダ情報を応答信号PRに付加して送信する。このようにすれば、無線通信装置が数多く用いられていても、特定の無線通信装置間で距離を測定することができる。
【0027】
なお、種々の情報等の伝送を行う場合には、信号処理部(図示せず)で送信情報信号を生成して送受信部14に供給して無線信号として送信する。また、無線信号を受信して受信情報信号を得られたときは、この受信情報信号を信号処理部に供給する。
【0028】
距離演算部16は、タイミング情報生成部13のカウンタ132に保持されているクロック信号MCKに基づくカウント値DCと、タイミング情報生成部13のタイミング差検出部133で検出されたタイミング差TEに基づき、応答信号PRを送出した無線通信装置50までの距離を算出する。
【0029】
図7は、測距信号PMを受信したとき応答信号PRを送出する応答信号送出側の無線通信装置50の構成を示している。無線通信装置50のアンテナ51で無線信号を受信して得られたRF信号は送受信部52に供給される。送受信部52では、受信信号の復調処理等を行い得られたベースバンド信号を信号処理部53に供給する。信号処理部53は送受信部52から供給されたベースバンド信号に基づき、測距信号PMを受信したか否か判別する。ここで、測距信号PMを受信したときには、応答信号PRを送受信部52に供給する。送受信部52は、応答信号PRの変調処理等を行い所望の周波数帯の無線信号としてアンテナ51から送信する。
【0030】
次に、無線通信装置10aの測距動作について説明する。図8は、遅延部12とタイミング情報生成部13の動作、図9は、タイミング情報生成部13のカウンタ132に保持されているカウント値を示している。
【0031】
図8Aは測距信号PM、図8Hは応答信号PRを示しており、無線通信装置間の距離が一定である場合は、測距信号PMを送出した時点tstから応答信号PRを受信した時点tedまでの経過時間Tmは一定となる。また、図8Bはクロック信号MCK、図8C〜図8Gは遅延クロック信号DCK-1〜DCK-5を示している。
【0032】
セレクタ131は、1回目の測距信号PMの送出時に、図8Bに示すクロック信号MCKを選択して選択クロック信号SCKとする。選択クロック信号SCKすなわちクロック信号MCKを用いたカウント動作において、応答信号PRを受信した時点tedのカウント値は「n」である。このため、カウンタ132は、図9に示すように、クロック信号MCKを選択したときのカウント値である「n」をクロック信号MCKに関係付けて保持する。
【0033】
セレクタ131は、2回目の測距信号PMの送出時に、図8Cに示す遅延クロック信号DCK-1を選択して選択クロック信号SCKとする。選択クロック信号SCKすなわち遅延クロック信号DCK-1を用いたカウント動作において、応答信号PRを受信した時点tedのカウント値は「n」である。このため、カウンタ132は、図9に示すように、遅延クロック信号DCK-1を選択したときのカウント値である「n」を遅延クロック信号DCK-1に関係付けて保持する。
【0034】
以下同様に、測距信号PMの送出毎に、セレクタ131で選択する信号を切り替えると、遅延クロック信号DCK-2を選択したときのカウント値は「n」、遅延クロック信号DCK-3を選択したときのカウント値は「n」、遅延クロック信号DCK-4を選択したときのカウント値は「n−1」、遅延クロック信号DCK-5を選択したときのカウント値は「n−1」となる。
【0035】
タイミング差検出部133は、カウンタ132に保持されているカウント値の相違が、いずれの信号切り替えで生じているかを判別してタイミング差を検出する。
【0036】
ここで、応答信号PRが、クロック信号MCKを用いたカウント動作のカウントタイミングに対して、バッファアンプ1個分の遅延時間よりも短い期間内に受信された場合、クロック信号MCKを用いたカウント動作ではカウントアップが行われて、遅延クロック信号DCK-1を用いたカウント動作ではカウントアップが行われない。従って、クロック信号MCKに対するカウント値と遅延クロック信号DCK-1に対するカウント値が相違する。
【0037】
応答信号PRが、クロック信号MCKを用いたカウント動作のカウントタイミングに対して、バッファアンプ1個分の遅延時間以上長く2個分の遅延時間よりも短い期間内に受信された場合、クロック信号MCKと遅延クロック信号DCK-1を用いたカウント動作ではカウントアップが行われて、遅延クロック信号DCK-2を用いたカウント動作ではカウントアップが行われない。従って、遅延クロック信号DCK-1に対するカウント値と遅延クロック信号DCK-2に対するカウント値が相違する。
【0038】
このように、クロック信号MCKを用いたカウント動作のカウントタイミングに対する応答信号PRのタイミング差TEは、カウント値の相違する部分と対応するものとなる。従って、カウント値の相違する部分に基づき、クロック信号MCKを用いたカウント動作のカウントタイミングに対する応答信号PRのタイミング差TEを判別できる。
【0039】
図9に示すようにカウント値が保持されているときは、遅延クロック信号DCK-3と遅延クロック信号DCK-4の間でカウント値の相違が生じていることが判別される。なお、セレクタ131でサイクリックに信号を選択すると、遅延クロック信号DCK-5の後にクロック信号MCKが供給されてカウント値が増加する。従って、セレクタ131で遅延時間が増加するように信号選択を行う場合、カウント値の減少を検出することで、遅延クロック信号DCK-3と遅延クロック信号DCK-4の間でカウント値の相違が生じていることを正しく判別できる。
【0040】
このように、遅延クロック信号DCK-3と遅延クロック信号DCK-4の間でカウント値の相違が生じていることから、応答信号PRは、クロック信号MCKを用いたカウント動作のカウントタイミングに対して、バッファアンプ3個分の遅延時間以上長く4個分の遅延時間よりも短い期間内に受信されていることを判別できる。従って、クロック信号MCKを用いたカウント動作のカウントタイミングから応答信号PRの受信までのタイミング差TEは、バッファアンプ3個分の遅延時間と4個分の遅延時間の平均値であるバッファアンプ3.5個分の遅延時間とする。
【0041】
距離演算部16は、カウンタ132に保持されているクロック信号MCKのカウント値DCと、タイミング差検出部133で検出されたタイミング差TEに基づき経過時間を算出して、経過時間から無線通信装置間の距離を算出する。
【0042】
経過時間Tmは、式(1)に基づいて算出できる。なおタイミング差TEは、
Tm=(クロック信号MCKの周期×カウント値DC)
+タイミング差TE・・・(1)
この経過時間Tmから応答処理時間Trsを減算した時間を(1/2)倍すれば、無線通信装置間の距離に相当する伝搬時間を得ることができ、伝搬時間と無線信号の伝送速度から距離を算出できる。さらに、クロック信号MCKのカウント値のみから距離を算出する場合に比べて高精度に距離を測定できる。例えば、クロック信号MCKの周期Tckを10nsec、バッファアンプ1個の遅延時間を2nsecとすると、距離精度は式(2)に示すように「±15cm」となり、クロック信号MCKのカウント値のみから距離を算出する場合の距離精度(±75cm)よりも測距精度を高めることができる。
距離精度=3×108[m/sec]×2×10-9[sec]÷2
=±15cm ・・・(2)
【0043】
ところで、上述のタイミング情報生成部13では、測距信号PMが送出される毎に、セレクタ131で選択する信号を切り替えて、選択された信号毎のカウント値を保持するものとし、保持されているカウント値からタイミング差TEを検出するものとしたが、各遅延クロック信号を用いてカウント動作を行うことで、1回の測距信号PMの送出でもタイミング差TEを検出することができる。図10は、タイミング情報生成部の他の構成を示しており、1回の測距信号PMの送出でタイミング差TEを検出する場合である。
【0044】
タイミング情報生成部13bのカウントクロック生成部135は、遅延部12から供給された各遅延クロック信号のカウントタイミングを示すカウントクロック信号CKuを生成する。例えば微分回路を用いて遅延クロック信号毎に立ち上がりを示す信号を生成して足合わせることで、カウントクロック信号CKuを生成できる。
【0045】
遅延クロックカウンタ136は、カウントクロック信号CKuを用いてカウント動作を行う。また、遅延クロックカウンタ136は、クロック信号MCKを用いたカウント動作のカウントタイミングでカウント値を初期化し、応答信号PRが供給されたときのカウント値をタイミング差検出部137に供給する。
【0046】
タイミング差検出部137は、遅延クロックカウンタ136のカウント値SCTに基づきタイミング差TEを検出する。
【0047】
図11は、タイミング情報生成部の他の構成の動作を説明するためのものである。図11Aはクロック信号MCK、図11B〜図11Fは遅延クロック信号DCK-1〜DCK-5を示している。カウントクロック生成部135は、図11Gに示すように、遅延クロック信号DCK-1〜DCK-5のカウントタイミングである立ち上がりのタイミングを示すカウントクロック信号CKuを生成する。このカウントクロック信号CKuを用いて遅延クロックカウンタ136でカウント動作を行うと、遅延クロックカウンタ136のカウント値SCTは、図11Hに示すものとなる。なお、図11Iは、応答信号PRを示している。
【0048】
ここで、応答信号PRが、クロック信号MCKを用いたカウント動作のカウントタイミングに対して、バッファアンプ1個分の遅延時間よりも短い期間内に受信されているときには、遅延クロックカウンタ136のカウント値SCTは「0」となる。
【0049】
応答信号PRが、クロック信号MCKを用いたカウント動作のカウントタイミングに対して、バッファアンプ1個分の遅延時間以上長く2個分の遅延時間よりも短い期間内に受信されているときには、遅延クロックカウンタ136のカウント値SCTは「1」となる。
【0050】
このように、クロック信号MCKを用いたカウント動作のカウントタイミングに対する応答信号PRのタイミング差TEは、遅延クロックカウンタ136のカウント値SCTと対応するものとなる。従って、遅延クロックカウンタ136のカウント値SCTに基づき、クロック信号MCKを用いたカウント動作のカウントタイミングに対する応答信号PRの受信のタイミング差TEを検出できる。
【0051】
図11では、応答信号PRを受信した時点tedでカウント値SCTが「3」であることから、応答信号PRは、クロック信号MCKを用いたカウント動作のカウントタイミングに対して、バッファアンプ3個分の遅延時間以上長く4個分の遅延時間よりも短い期間内に受信されていることを検出できる。従って、クロック信号MCKを用いたカウント動作のカウントタイミングと応答信号PRの受信タイミングとのタイミング差TEは、バッファアンプ3個分の遅延時間と4個分の遅延時間の平均値であるバッファアンプ3.5個分の遅延時間とする。
【0052】
また、カウンタ138は、クロック信号MCKを用いてカウント動作を行い、応答信号PRを受信した時点tedでのカウント値DCを距離演算部16に供給する。
【0053】
従って、距離演算部16は、上述のようにカウント値DCとタイミング差TEに基づいて、無線通信装置間の距離を高精度に測定できる。
【0054】
このように各遅延クロック信号に基づいてカウントクロック信号CKuを生成してカウント動作を行い、応答信号PRを受信したときのカウント値を用いるものとすれば、1回の測距信号の送出で、タイミング差TEを検出することが可能となり、測距信号の送出を繰り返したときに無線通信装置間の距離の変動が生じても、距離の変動を反映した測距結果を得ることができる。
【0055】
次に、遅延応答信号を用いて測距精度を向上させることができる無線通信装置について説明する。
【0056】
図12は、無線通信装置の他の構成として、応答信号PRを遅延させた遅延応答信号DPRを用いて、測距精度を高める場合を示している。なお、図4と対応する部分については同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0057】
信号生成部21は、測距信号PMを生成してタイミング情報生成部23と送受信部14に供給する。また、クロック信号MCKを生成してタイミング情報生成部23に供給する。
【0058】
送受信部14で得られた応答信号PRは、遅延部22とタイミング情報生成部23に供給する。
【0059】
遅延部22は、遅延部12と同様に構成されており、応答信号PRを遅延させて遅延応答信号DPR-1〜DPR-5を生成してタイミング情報生成部23に供給する。
【0060】
図13は、タイミング情報生成部23の構成を示している。セレクタ231は、応答信号PRと遅延応答信号DPR-1〜DPR-5から1つの信号を選択して、選択応答信号SPRとしてカウンタ232に供給する。また、測距信号PMが信号生成部11から出力される毎に、選択する信号を順次に切り替えて、いずれの信号が選択されているかを示す選択情報SEをカウンタ232に供給する。例えば、最初に応答信号PRである選択応答信号SPRと、応答信号PRが選択されていることを示す選択情報SEをカウンタ232に供給する。信号生成部21から測距信号PMが再度送出されたときには、信号の切り替えを行い、遅延応答信号DPR-1である選択応答信号SPRと、遅延応答信号DPR-1が選択されていることを示す選択情報SEをカウンタ232に供給する。次に信号生成部21から測距信号PMが送出されたときも同様に信号の切り替えを行い、遅延応答信号DPR-2である選択クロック信号SCKと、遅延応答信号DPR-2が選択されていることを示す選択情報SEをカウンタ232に供給する。以下同様にして、セレクタ231は、信号生成部21から測距信号PMが出力される毎に信号の切り替えを行う。また、遅延応答信号DPR-5の次に応答信号PRを選択することで、選択する信号の切り替えをサイクリックに行う。
【0061】
カウンタ232は、信号生成部21で生成されたクロック信号MCKを用いてカウント動作を行う。このカウント動作は、測距信号PMの送出時にカウント値を初期化して開始する。また、カウンタ232は、セレクタ231から供給された応答信号PRあるいは遅延応答信号DPR-1〜DPR-5が供給されたときのカウント値を、選択情報SEに基づきセレクタ231で選択された信号毎に保持する。
【0062】
タイミング差検出部233は、カウンタ232に保持されているカウント値の相違が、いずれの信号切り替えで生じているかを判別して、この判別結果に基づきタイミング差TEを検出する。
【0063】
次に、無線通信装置10bの測距動作について説明する。図14は遅延部22とタイミング情報生成部23の動作、図15はタイミング情報生成部23のカウンタ232で保持されているカウント値を示している。
【0064】
図14Aは測距信号PM、図14Bはクロック信号MCK、図14Cは応答信号PRを示しており、無線通信装置間の距離が一定である場合は、測距信号PMの送出から応答信号PRの受信までの経過時間Tmは一定となる。また、図14D〜図14Hは遅延応答信号DPR-1〜DPR-5を示している。
【0065】
セレクタ231は、1回目の測距信号PMの送出時に、図14Cに示す応答信号PRを選択して選択応答信号SPRとする。選択応答信号SPRすなわちクロック信号MCKを用いたカウント動作において、応答信号PRを受信した時点tedのカウント値は「n」である。このため、カウンタ232は、図15に示すように、応答信号PRを選択したときのカウント値である「n」を、応答信号PRに関係付けて保持する。
【0066】
セレクタ231は、2回目の測距信号PMの送出時に、図14Dに示す遅延応答信号DPR-1を選択応答信号SPRとして選択する。選択応答信号SPRすなわち遅延応答信号DPR-1がカウンタ232に供給されたときのカウント値は「n」である。このため、カウンタ232は、図15に示すように、遅延応答信号DPR-1を選択したときのカウント値である「n」を遅延応答信号DPR-1に関係付けて保持する。
【0067】
以下同様に、測距信号PMの送出毎に、セレクタ231で選択する信号を切り替えると、遅延応答信号DPR-2を選択したときのカウント値は「n+1」、遅延応答信号DPR-3を選択したときのカウント値は「n+1」、遅延応答信号DPR-4を選択したときのカウント値は「n+1」、遅延応答信号DPR-5を選択したときのカウント値は「n+1」となり、信号毎にカウント値を保持する。
【0068】
タイミング差検出部233は、カウンタ232に保持されているカウント値の相違が、いずれの信号切り替えで生じているかを判別してタイミング差を検出する。
【0069】
ここで、クロック信号MCKを用いたカウント動作のカウントタイミングが、応答信号PRと遅延応答信号DPR-1との間にあるとき、応答信号PRに対応するカウント値と遅延応答信号DPR-1に対応するカウント値が相違する。また、応答信号PRに対応するカウント値と遅延応答信号DPR-1に対応するカウント値が相違する場合、応答信号PRのタイミングは、クロック信号MCKを用いたカウント動作のカウントタイミングから、バッファアンプ1個分の遅延時間前までの時間範囲に含まれる。
【0070】
また、クロック信号MCKを用いたカウント動作のカウントタイミングが、遅延応答信号DPR-1と遅延応答信号DPR-2との間にあるとき、遅延応答信号DPR-1に対応するカウント値と遅延応答信号DPR-2に対応するカウント値が相違する。また、遅延応答信号DPR-1に対応するカウント値と遅延応答信号DPR-2に対応するカウント値が相違する場合、遅延応答信号DPR-1のタイミングは、クロック信号MCKを用いたカウント動作のカウントタイミングから、バッファアンプ1個分の遅延時間前の時間範囲に含まれる。また、応答信号PRのタイミングは、遅延応答信号DPR-1のタイミングからバッファアンプ1個分の遅延時間前のタイミングである。
【0071】
このように、クロック信号MCKを用いたカウント動作のカウントタイミングに対する応答信号PRのタイミング差TEは、カウント値の相違する部分と対応するものとなる。従って、カウント値の相違する部分に基づき、クロック信号MCKを用いたカウント動作のカウントタイミングに対する応答信号PRのタイミング差TEを判別できる。
【0072】
ここで、図15に示すようにカウント値が保持されているときは、遅延応答信号DPR-1と遅延応答信号DPR-2の間でカウント値の相違が生じていることが判別される。なお、セレクタ231でサイクリックに信号を選択すると、遅延応答信号DPR-5の後に応答信号PRが供給されてカウント値が減少する。従って、セレクタ231で遅延時間が増加するように信号選択を行う場合、カウント値の増加を検出することで、遅延応答信号DPR-1と遅延応答信号DPR-2の間でカウント値の相違が生じていることを正しく判別できる。
【0073】
このように、遅延応答信号DPR-1と遅延応答信号DPR-2の間でカウント値の相違が生じていることから、遅延応答信号DPR-1は、クロック信号MCKを用いたカウント動作のカウントタイミングから、バッファアンプ1個分の遅延時間前までの時間範囲における中間位置、すなわちクロック信号MCKを用いたカウント動作のカウントタイミングから、バッファアンプ0.5個分の遅延時間前の位置とする。また、応答信号PRの受信タイミングは、遅延応答信号DPR-1のタイミングからバッファアンプ1個分の遅延時間前のタイミングである。すなわち、クロック信号MCKを用いたカウント動作のカウントタイミングから、バッファアンプ1.5個分の遅延時間前の位置として、タイミング差TEはバッファアンプ1.5個分の遅延時間となる。
【0074】
距離演算部16は、カウンタ232に保持されているクロック信号MCKのカウント値DCと、タイミング差検出部233で検出されたタイミング差TEに基づき経過時間を算出して、経過時間から無線通信装置間の距離を算出する。
【0075】
ここで、タイミング差TEは、応答信号PRを受信したときのカウント値DCに対して1カウント後のタイミングとの差を示していることから、経過時間Tmは、式(3)に基づいて算出できる。
【0076】
Tm=(クロック信号MCKの周期×カウント値DC+1)
−タイミング差TE・・・(3)
この経過時間Tmから応答処理時間Trsを減算した時間を(1/2)倍すれば、無線通信装置間の距離に相当する伝搬時間を得ることができ、伝搬時間と無線信号の伝送速度から距離を算出できる。さらに、高精度に距離を測定できる。例えば、クロック信号MCKの周期Tckを10nsec、バッファアンプ1個の遅延時間を2nsecとすると、距離精度は上述のように「±15cm」となり測距精度を高めることができる。
【0077】
また、遅延応答信号を用いる場合も、各遅延応答信号を用いてカウント動作を行うことで、1回の測距信号PMの送出でもタイミング差TEを検出することができる。図16はタイミング情報生成部の他の構成を示しており、1回の測距信号PMの送出でタイミング差TEを検出する場合である。
【0078】
タイミング情報生成部23bのカウントクロック生成部235は、遅延部22から供給された各遅延応答信号のカウントタイミングを示すカウントクロック信号CKrを生成する。例えば微分回路を用いて遅延応答信号毎に立ち上がりを示す信号を生成して足合わせることで、カウントクロック信号CKrを生成できる。
【0079】
遅延応答カウンタ236は、カウントクロック信号CKrを用いてカウント動作を行う。また、遅延応答カウンタ236は、カウントクロック信号CKrが供給されてカウント動作開始後、クロック信号MCKを用いたカウント動作のカウントタイミングとなったときのカウント値をタイミング差検出部237に供給する。
【0080】
タイミング差検出部237は、遅延応答カウンタ236のカウント値SCTに基づきタイミング差TEを検出する。
【0081】
図17は、タイミング情報生成部の他の構成の動作を説明するためのものである。図17Aはクロック信号MCK、図17Bは応答信号PR、図17C〜図17Gは遅延応答信号DPR-1〜DPR-5を示している。カウントクロック生成部235は、図17Hに示すように、遅延応答信号DPR-1〜DPR-5のカウントタイミングである立ち上がりのタイミングを示すカウントクロック信号CKrを生成する。このカウントクロック信号CKrを用いて遅延応答カウンタ236でカウント動作を行うと、遅延応答カウンタ236のカウント値SCTは、図17Iに示すものとなる。
【0082】
ここで、遅延応答カウンタ236のカウント値SCTが「1」のときにクロック信号MCKを用いたカウント動作のカウントタイミングとなった場合は、上述したカウントタイミングが応答信号PRと遅延応答信号DPR-1との間にある場合に相当する。従って、応答信号PRのタイミングは、クロック信号MCKを用いたカウント動作のカウントタイミングから、バッファアンプ1個分の遅延時間前までの時間範囲に含まれる。
【0083】
また、遅延応答カウンタ236のカウント値SCTが「2」のときにクロック信号MCKを用いたカウント動作のカウントタイミングとなった場合は、上述したカウントタイミングが、遅延応答信号DPR-1と遅延応答信号DPR-2との間にある場合に相当する。従って、遅延応答信号DPR-1のタイミングは、クロック信号MCKを用いたカウント動作のカウントタイミングから、バッファアンプ1個分の遅延時間前の時間範囲に含まれる。また、応答信号PRのタイミングは、遅延応答信号DPR-1のタイミングからバッファアンプ1個分の遅延時間前のタイミングである。
【0084】
このように、クロック信号MCKを用いたカウント動作のカウントタイミングに対する応答信号PRのタイミング差TEは、遅延応答カウンタ236のカウント値SCTと対応するものとなる。従って、遅延応答カウンタ236のカウント値SCTに基づき、クロック信号MCKを用いたカウント動作のカウントタイミングと応答信号PRの受信タイミングとのタイミング差TEを検出できる。
【0085】
図17では、クロック信号MCKを用いたカウント動作のカウントタイミングにおける遅延応答カウンタ236のカウント値SCTが「2」であることから、クロック信号MCKを用いたカウント動作のカウントタイミングに対して、バッファアンプ2個分の遅延時間前から1個分の遅延時間前までの短い期間内に受信されていることを検出できる。従って、クロック信号MCKを用いたカウント動作のカウントタイミングと応答信号PRの受信タイミングとのタイミング差TEは、バッファアンプ1個分の遅延時間と2個分の遅延時間の平均値であるバッファアンプ1.5個分の遅延時間とする。
【0086】
また、カウンタ238は、クロック信号MCKを用いてカウント動作を行い、応答信号PRを受信したときのカウント値DCを距離演算部16に供給する。
【0087】
従って、距離演算部16は、上述の式(3)のようにカウント値DCとタイミング差TEに基づいて、無線通信装置間の距離を高精度に測定できる。
【0088】
このように各遅延応答信号に基づいてカウントクロック信号CKrを生成してカウント動作を行い、クロック信号MCKを用いたカウント動作におけるカウントタイミングでのカウント値を用いるものとすれば、1回の測距信号の送出で、タイミング差TEを得ることが可能となり、測距信号の送出を繰り返したときに無線通信装置間の距離の変動が生じても、距離の変動を反映した測距結果を得ることができる。
【0089】
なお、遅延部で用いる遅延素子や素子数は例示的なものであり、上述の記載に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】無線通信システムの構成を示す図である。
【図2】測距動作を説明するため図である。
【図3】クロック信号と応答信号のタイミングを示す図である。
【図4】無線通信装置の構成の一部を示す図である。
【図5】遅延部の構成を示す図である。
【図6】タイミング情報生成部の構成を示す図である。
【図7】応答信号送出側の無線通信装置の構成を示す図である。
【図8】遅延部とタイミング情報生成部の動作を説明するための図である。
【図9】保持されたカウント値を示す図である。
【図10】タイミング情報生成部の他の構成を示す図である。
【図11】タイミング情報生成部の他の構成の動作を説明するための図である。
【図12】無線通信装置の他の構成を示す図である。
【図13】タイミング情報生成部の構成を示す図である。
【図14】遅延部とタイミング情報生成部の動作を説明するための図である。
【図15】保存されたカウント値を示す図である。
【図16】タイミング情報生成部の他の構成を示す図である。
【図17】タイミング情報生成部の他の構成の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0091】
10,10a,10b,50・・・無線通信装置、11,21・・・信号生成部、12,22・・・遅延部、13,13b,23,23b・・・タイミング情報生成部、14,52・・・送受信部、15,51・・・アンテナ、16・・・距離演算部、53・・・信号処理部、121-1〜121-5・・・バッファアンプ、131,231・・セレクタ、132,138,232,238・・・カウンタ、133,233・・・タイミング差検出部、135,235・・カウントクロック生成部、136,236・・・遅延クロックカウンタ、137,237・・タイミング差検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測距信号を送信する第1の無線通信装置と、前記測距信号を受信したとき応答信号を返信する第2の無線通信装置を有し、前記第1の無線通信装置が前記測距信号を送信してから前記応答信号を受信するまでの経過時間に基づいて、前記第1および第2の無線通信装置間の距離を測定する無線通信システムにおいて、
前記第1の無線通信装置は、
クロック信号を生成する信号生成部と、
前記クロック信号の周期よりも遅延量が短い遅延素子を設けて、前記クロック信号を遅延させた遅延クロック信号あるいは前記応答信号を遅延させた遅延応答信号を得る遅延部と、
前記測距信号の送出時に、前記クロック信号および/または前記遅延クロック信号、あるいは前記クロック信号および/または前記遅延応答信号を用いてカウント動作を開始して、該カウント動作によって得たカウント値と前記応答信号、あるいは該カウント値と前記クロック信号に基づき、前記クロック信号を用いたカウント動作のカウントタイミングと前記応答信号の受信タイミングとのタイミング差を検出し、該タイミング差と前記クロック信号を用いたカウント動作での前記応答信号を受信したときのカウント値を出力するタイミング情報生成部と、
前記タイミング情報生成部から出力されたタイミング差とカウント値を用いて前記経過時間を算出し、該経過時間に基づいて前記第1および第2の無線通信装置間の距離を算出する距離演算部とを有する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
測距信号とクロック信号を生成する信号生成部と、
前記測距信号の送信および該測距信号に対する応答信号を受信する送受信部と、
前記クロック信号の周期よりも遅延量が短い遅延素子を設けるものとして、該遅延素子から前記クロック信号を遅延させた遅延クロック信号あるいは前記応答信号を遅延させた遅延応答信号を得る遅延部と、
前記測距信号の送出時に、前記クロック信号および/または前記遅延クロック信号、あるいは前記クロック信号および/または前記遅延応答信号を用いてカウント動作を開始して、該カウント動作によって得たカウント値と前記応答信号、あるいは該カウント値と前記クロック信号に基づき、前記クロック信号を用いたカウント動作のカウントタイミングと前記応答信号の受信タイミングとのタイミング差を検出し、該タイミング差と前記クロック信号を用いたカウント動作での前記応答信号を受信したときのカウント値を出力するタイミング情報生成部と、
前記タイミング情報生成部から出力されたカウント値とタイミング差を用いて前記経過時間を算出し、該経過時間に基づき前記測距信号に対して応答信号を返信した無線通信装置までの距離を算出する距離演算部とを有する
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項3】
前記信号生成部は、測距範囲に対応する経過時間よりも長い時間間隔で前記測距信号を繰り返し出力し、
前記タイミング情報生成部には、前記クロック信号と前記遅延クロック信号を、前記測距信号の出力毎に切り替えて選択するセレクタを設け、
前記タイミング情報生成部では、前記セレクタで選択した信号を用いてカウント動作を行い、前記応答信号の受信時のカウント値を選択した信号毎に保持するものとし、該保持しているカウント値の相違に基づいて前記タイミング差を検出する
ことを特徴とする請求項2記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記信号生成部は、測距範囲に対応する経過時間よりも長い時間間隔で前記測距信号を繰り返し出力し、
前記タイミング情報生成部には、前記応答信号と前記遅延応答信号を、前記測距信号の出力毎に切り替えて選択するセレクタを設け、
前記タイミング情報生成部では、前記クロック信号を用いたカウント動作を行い、前記セレクタで選択した前記応答信号あるいは前記遅延応答信号が供給されたときのカウント値を選択した信号毎に保持するものとし、該保持しているカウント値の相違に基づいて前記タイミング差を検出する
ことを特徴とする請求項2記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記タイミング情報生成部には、前記遅延クロック信号を用いてカウント動作を行う遅延クロック信号カウンタを設け、
前記タイミング情報生成部では、前記応答信号を受信したときの前記遅延クロック信号カウンタのカウント値から前記タイミング差を検出する
ことを特徴とする請求項2記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記タイミング情報生成部には、前記遅延応答信号を用いてカウント動作を行う遅延応答信号カウンタを設け、
前記タイミング情報生成部では、前記クロック信号を用いたカウント動作のカウントタイミングにおける前記遅延応答信号カウンタのカウント値から前記タイミング差を検出する
ことを特徴とする請求項2記載の無線通信装置。
【請求項7】
測距信号を送信する工程と、
前記測距信号に対する応答信号を受信する工程と、
クロック信号を生成する工程と、
前記クロック信号の周期よりも遅延量が短い遅延素子を用いて、該遅延素子から前記クロック信号を遅延させた遅延クロック信号あるいは前記応答信号を遅延させた遅延応答信号を得る工程と、
前記測距信号の送出時に、前記クロック信号および/または前記遅延クロック信号、あるいは前記クロック信号および/または前記遅延応答信号を用いてカウント動作を開始して、該カウント動作によって得たカウント値と前記応答信号、あるいは該カウント値と前記クロック信号に基づき、前記クロック信号を用いたカウント動作のカウントタイミングと前記応答信号の受信タイミングとのタイミング差を検出し、該タイミング差と前記クロック信号を用いたカウント動作での前記応答信号を受信したときのカウント値を出力する工程と、
前記応答信号を受信したときのカウント値と前記検出したタイミング差を用いて経過時間を算出し、該経過時間に基づいて前記測距信号に対して前記応答信号を返信した無線通信装置までの距離を算出する工程とを有する
ことを特徴とする測距方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−47047(P2007−47047A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−232508(P2005−232508)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】