説明

無線通信システムにおいてアップリンク同期化を遂行する方法

【課題】無線通信システムにおいてアップリンク同期化を遂行する方法を提供する。
【解決手段】無線通信システムにおいてアップリンク同期化を遂行する方法は、ランダムアクセスプリアンブルの集合から任意に選択されたランダムアクセスプリアンブルを伝送して、前記ランダムアクセスプリアンブルに対応するランダムアクセスプリアンブル識別子とアップリンク同期化のための時間補正値(time alignment value)とを含むランダムアクセス応答を受信して、前記時間補正値を適用した後に時間同期タイマ(time alignment timer)を開始して、前記ランダムアクセス応答を受信した後に競合解決タイマを開始し、前記競合解決タイマが満了する時、競合解決が成功していないことであり、及び前記競合解決タイマが満了する時、前記時間同期タイマを中断することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信に関し、より詳しくは、無線通信システムにおいてアップリンク同期化を遂行する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
WCDMA(Wideband Code Division Multiple Access)無線接続技術に基づく3GPP(3rd Generation Partnership Project)移動通信システムは、全世界で広範囲に展開している。WCDMAの最初進化段階と定義することができるHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)は、中期的な(mid-term)未来で高い競争力を有する無線接続技術を3GPPに提供する。然しながら、使用者と事業者の要求事項と期待が持続的に増加しており、無線接続技術開発が進行しているため、今後競争力を有するためには3GPPにおける新しい技術進化が要求される。ビット当たり費用減少、サービス可用性増大、融通性のある周波数バンドの使用、単純構造と開放型インターフェース、端末の適切なパワー消耗などが要求事項となっている。
【0003】
一般的に一つの基地局には一つ以上のセルが配置される。一つのセルには多数の端末が位置することがある。一般的に端末が網(network)に接続するためにランダムアクセス過程を経る。端末がネットワークにランダムアクセス過程を遂行する目的は、1)初期接続(initial access)、2)ハンドオーバー(Handover)、3)無線資源要請(Scheduling Request)、4)時間同期(timing synchronization)などがある。これは一例に過ぎず、ランダムアクセス過程を遂行する目的はシステムによってその数や内容が変わってもよい。
【0004】
ランダムアクセス過程は、競合基盤ランダムアクセス過程(Contention based random access procedure)と非競合基盤ランダムアクセス過程(Non-contention based random access procedure)に区分されることができる。競合基盤ランダムアクセス過程と非競合基盤ランダムアクセス過程との最も大きい相違点は、ランダムアクセスプリアンブル(Random access preamble)が一つの端末に専用(dedicated)に指定されるか否かに対することである。非競合基盤ランダムアクセス過程では、端末が自分にのみ指定された専用ランダムアクセスプリアンブルを使用するため、他の端末との競合(または衝突)が発生しない。ここで競合とは、二つ以上の端末が同じ資源を介して同じランダムアクセスプリアンブルを使用してランダムアクセス過程を試みる時発生する。競合基盤ランダムアクセス過程では、端末が任意に選択したランダムアクセスプリアンブルを使用するため、競合可能性が存在する。
【0005】
OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)基盤の無線通信システムにおいては、使用者間の干渉を最小化するために端末と基地局との間の時間同期を合わせることが重要である。ランダムアクセス過程は、アップリンク同期化(uplink synchronization)のために遂行する。ランダムアクセス過程の間、端末は基地局から伝送される時間補正値(time alignment value)を介して時間同期を合わせる。アップリンク同期化が行われると、端末は時間同期タイマ(time alignment timer)を作動させる(run)。時間同期タイマが作動中であると、端末と基地局はお互いにアップリンク同期が行われているとみなす。時間同期タイマが満了する、或いは作動されないと、端末と基地局はお互いに同期が行われていないとみなしてランダムアクセスプリアンブルの伝送以外のアップリンク伝送は行われない。
【0006】
然しながら、競合基盤のランダムアクセス過程では、競合可能性が常に存在して、ランダムアクセス失敗が発生することがある。ランダムアクセス失敗にともなうアップリンク同期化を遂行する方法が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする技術的課題は、無線通信システムにおいて競合基盤ランダムアクセス過程を遂行する間、アップリンク同期化を遂行する方法を提供することである。
【0008】
本発明が解決しようとする他の技術的課題は、無線通信システムにおいて誤ったアップリンク同期化によって他の端末への干渉を避ける方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様において、無線通信システムにおいてアップリンク同期化を遂行する方法が提供される。前記方法は、ランダムアクセスプリアンブルの集合から任意に選択されたランダムアクセスプリアンブルを伝送して、前記ランダムアクセスプリアンブルに対応するランダムアクセスプリアンブル識別子とアップリンク同期化のための時間補正値(time alignment value)とを含むランダムアクセス応答を受信して、前記時間補正値を適用した後に時間同期タイマ(time alignment timer)を開始して、前記ランダムアクセス応答を受信した後に競合解決タイマを開始し、前記競合解決タイマが満了する時、競合解決が成功していないことであり、及び前記競合解決タイマが満了する時、前記時間同期タイマを中断することを含む。
【0010】
前記方法は、固有識別子を含むスケジューリングされたメッセージを伝送して、及び前記固有識別子に対応する競合解決識別子を含む競合解決メッセージを受信する時、競合解決タイマを中断することをさらに含むことができる。前記競合解決タイマは、前記スケジューリングされたメッセージを伝送する時開始されることができる。
【0011】
他の態様において、無線通信システムにおいてアップリンク同期化を遂行する方法が提供される。前記方法は、ランダムアクセスプリアンブルの集合から任意に選択されたランダムアクセスプリアンブルを伝送して、前記ランダムアクセスプリアンブルに対応するランダムアクセスプリアンブルを含むランダムアクセス応答を受信して、前記ランダムアクセス応答を受信した後に時間同期タイマを開始して、及び競合解決が成功していないと、前記時間同期タイマを中断することを含む。
本発明は、例えば、以下も提供する。
(項目1)
無線通信システムにおいてアップリンク同期化を遂行する方法において、
ランダムアクセスプリアンブルの集合から任意に選択されたランダムアクセスプリアンブルを伝送して;
前記ランダムアクセスプリアンブルに対応するランダムアクセスプリアンブル識別子とアップリンク同期化のための時間補正値(time alignment value)とを含むランダムアクセス応答を受信して;
前記時間補正値を適用した後に時間同期タイマ(time alignment timer)を開始して;
前記ランダムアクセス応答を受信した後に競合解決タイマを開始し、前記競合解決タイマが満了する時、競合解決が成功していないことであり;及び、
前記競合解決タイマが満了する時、前記時間同期タイマを中断することを含む方法。
(項目2)
固有識別子を含むスケジューリングされたメッセージを伝送して;及び、
前記固有識別子に対応する競合解決識別子を含む競合解決メッセージを受信する時、競合解決タイマを中断することをさらに含む項目1に記載の方法。
(項目3)
前記競合解決タイマは、前記スケジューリングされたメッセージを伝送する時開始される項目2に記載の方法。
(項目4)
前記ランダムアクセス応答は、アップリンク無線資源割当をさらに含み、前記スケジューリングされたメッセージは、前記アップリンク無線資源割当を介して伝送される項目2に記載の方法。
(項目5)
無線通信システムにおいてアップリンク同期化を遂行する方法において、
ランダムアクセスプリアンブルの集合から任意に選択されたランダムアクセスプリアンブルを伝送して;
前記ランダムアクセスプリアンブルに対応するランダムアクセスプリアンブルを含むランダムアクセス応答を受信して;
前記ランダムアクセス応答を受信した後に時間同期タイマを開始して;及び、
競合解決が成功していないと、前記時間同期タイマを中断することを含む方法。
(項目6)
前記ランダムアクセス応答を介して受信されるアップリンク同期化のための時間同期値を処理することをさらに含む項目5に記載の方法。
(項目7)
前記競合解決は、競合解決タイマが満了すると成功していないことである項目5に記載の方法。
(項目8)
前記競合解決タイマは、前記ランダムアクセス応答を受信した後に開始される項目7に記載の方法。
(項目9)
前記ランダムアクセス応答を受信した後に固有識別子を含むスケジューリングされたメッセージを伝送することをさらに含む項目5に記載の方法。
(項目10)
前記競合解決は、前記固有識別子に対応する競合解決識別子を含む競合解決メッセージが受信されないと成功していないことである項目9に記載の方法。
(項目11)
前記スケジューリングされたメッセージを伝送する時、競合解決タイマを開始し、前記競合解決タイマが満了する時まで前記競合解決メッセージが受信されないと前記競合解決は成功していないことである項目10に記載の方法。
(項目12)
前記スケジューリングされたタイマを伝送する時、競合解決タイマを開始し、前記競合解決タイマが満了する前に、前記ランダムアクセス応答に含まれる臨時C-RNTIにより
アドレスされたPDCCHにより指示される競合解決メッセージが、前記固有識別子に対応されない競合解決識別子を含む時、前記競合解決は成功していないことである項目10に記載の方法。
【発明の効果】
【0012】
ランダムアクセス過程中に競合解決が成功的でないとしても誤ったアップリンク同期化を防止する。従って、他の端末への干渉を緩和して、サービスが遅れることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】無線通信システムを示したブロック図である。
【図2】E-UTRANとEPCとの間の機能分割(functional split)を示したブロック図である。
【図3】端末の要素を示したブロック図である。
【図4】使用者平面(user plane)に対する無線プロトコル構造(radio protocol architecture)を示したブロック図である。
【図5】制御平面(contro lplane)に対する無線プロトコル構造を示したブロック図である。
【図6】ランダムアクセス過程に対するフローチャートである。
【図7】本発明の一実施例に係るアップリンク同期化を遂行する方法を示すフローチャートである。
【図8】本発明の他の実施例に係るアップリンク同期化を遂行する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、無線通信システムを示したブロック図である。これはE-UMTS(Evolved-Universal Mobile Telecommunications System)の網構造であってもよい。E-UMTSシステムは、LTE(Long Term Evolution)システムと呼ぶこともできる。無線通信システムは、音声、パケットデータなどのような多様な通信サービスを提供するために広く配置される。
【0015】
図1を参照すると、E-UTRAN(Evolved-UMTS Terrestrial Radio Access Network)は、制御平面(control plane)と使用者平面(user plane)とを提供する基地局(20;Base Station、BS)を含む。
【0016】
端末(10;User Equipment、UE)は、固定される、或いは移動性を有することができて、MS(Mobile station)、UT(User Terminal)、SS(Subscriber Station)、無線機器(Wireless Device)等、他の用語とも呼ばれることがある。基地局(20)は、一般的に端末(10)と通信する固定された地点(fixed station)をいい、eNB(evolved-NodeB)、BTS(Base Transceiver System)、アクセスポイント(Access Point)等、他の用語とも呼ばれることがある。一つの基地局(20)には一つ以上のセルが存在してもよい。基地局(20)間には使用者トラフィックあるいは制御トラフィック伝送のためのインターフェースが使われてもよい。以下、ダウンリンク(downlink)は、基地局(20)から端末(10)への通信を意味して、アップリンク(uplink)は、端末(10)から基地局(20)への通信を意味する。
【0017】
基地局(20)は、X2インターフェースを介してお互いに連結される。基地局(20)は、S1インターフェースを介してEPC(Evolved Packet Core)、より詳しくは、MME(Mobility Management Entity)/S-GW(Serving Gateway、30)と連結される。S1インターフェースは、基地局(20)とMME/SAEゲートウェー(30)との間に多数-対-多数の関係(many-to-many-relation)を支援する。
【0018】
図2は、E-UTRANとEPCとの間の機能分割(functional split)を示したブロック図である。
【0019】
図2を参照すると、斜線を引いたブロックは、無線プロトコル階層(radio protocol layer)を示して、斜線を引いていないブロックは、制御平面の機能的個体(functional entity)を示す。
【0020】
基地局は、次のような機能を遂行する。(1)無線ベアラ制御(Radio Bearer Control)、無線許可制御(Radio Admission Control)、連結移動性制御(Connection Mobility Control)、端末への動的資源割当(dynamic resource allocation)のような無線資源管理(Radio Resource Management;RRM)機能、(2)IP(Internet Protocol)ヘッダ圧縮及び使用者データストリームの解読(encryption)、(3)S-GWへの使用者平面データのルーティング(routing)、(4)ページング(paging)メッセージのスケジューリング及び伝送、(5)ブロードキャスト(broadcast)情報のスケジューリング及び伝送、(6)移動性とスケジューリングのための測定と測定報告設定。
【0021】
MMEは、次のような機能を遂行する。(1)基地局らにページングメッセージの分散、(2)保安制御(Security Control)、(3)アイドル状態移動性制御(Idle State Mobility Control)、(4)SAEベアラ制御、(5)NAS(Non-Access Stratum)シグナリングの
暗号化(Ciphering)及び無欠保護(Integrity Protection)。
【0022】
S-GWは、次のような機能を遂行する。(1)ページングに対する使用者平面パケットの終点(termination)、(2)端末移動性の支援のための使用者平面スイッチング。
【0023】
図3は、端末の要素を示したブロック図である。端末(50)は、プロセッサ(processor、51)、メモリ(memory、52)、RF部(RF unit、53)、ディスプレー部(display unit、54)、使用者インターフェース部(user interface unit、55)を含む。プロセッサ(51)は、無線インターフェースプロトコルの階層が具現されて、制御平面と使用者平面を提供する。各階層の機能は、プロセッサ(51)を介して具現されることができる。メモリ(52)は、プロセッサ(51)と連結されて、端末駆動システム、アプリケーション及び一般的なファイルを格納する。ディスプレー部(54)は、端末の多様な情報をディスプレーして、LCD(Liquid Crystal Display)、OLED(Organic Light Emitting Diodes)等よく知られた要素を使用することができる。使用者インターフェース部(55)は、キーパッドやタッチスクリーンなどよく知られた使用者インターフェースの組合せによりなることができる。RF部(53)は、プロセッサと連結されて、無線信号(radio signal)を送信及び/または受信する。
【0024】
端末とネットワークとの間の無線インターフェースプロトコル(radio interface protocol)の階層は、通信システムにおいて広く知られた開放型システム間相互接続(Open System Interconnection;OSI)モデルの下位3個階層に基づいてL1(第1階層)、L2(第2階層)、L3(第3階層)に区分されることができる。このうち第1階層に属する物理階層は、物理チャネル(physical channel)を用いた情報伝送サービス(information transfer service)を提供して、第3階層に位置する無線資源制御(radio resource control;以下、RRCという)階層は、端末とネットワークとの間に無線資源を制御する役割を遂行する。このためにRRC階層は、端末とネットワークとの間にRRCメッセージをお互いに交換する。
【0025】
図4は、使用者平面(user plane)に対する無線プロトコル構造(radio protocol architecture)を示したブロック図である。図5は、制御平面(control plane)に対する無線プロトコル構造を示したブロック図である。これは端末とE-UTRANとの間の無線インターフェースプロトコルの構造を示す。データ平面は、使用者データ伝送のためのプロトコルスタック(protocol stack)であり、制御平面は、制御信号伝送のためのプロトコルスタックである。
【0026】
図4及び図5を参照すると、第1階層である物理階層(PHY(physical) layer)は、物理チャネル(physical channel)を用いて上位階層に情報伝送サービス(information transfer service)を提供する。物理階層は、上位にある媒体接続制御(Medium access Control;MAC)階層とは伝送チャネル(transport channel)を介して連結されており、この伝送チャネルを介してMAC階層と物理階層との間のデータが移動する。また、相異する物理階層間、即ち、送信側と受信側の物理階層間は物理チャネルを介してデータが移動する。前記物理チャネルは、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式に変調されて、時間と周波数を無線資源として活用することができる。
【0027】
第2階層のMAC階層は、論理チャネル(logical channel)を介して上位階層である無線リンク制御(Radio Link Control;RLC)階層にサービスを提供する。第2階層のRLC階層は、信頼性のあるデータの伝送を支援する。RLC階層にはデータの伝送方法に従って透明モード(Transparent Mode、TM)、非確認モード(Unacknowledged Mode、UM)及び確認モード(Acknowledged Mode、AM)の三つの動作モードが存在する。AM RLCは、両方向データ伝送サービスを提供して、RLC PDU(Protocol Data Unit)の伝送失敗時再伝送を支援する。
【0028】
第2階層のPDCP(Packet Data Convergence Protocol)階層は、IPv4やIPv6のようなIP(InternetProtocol)パケット伝送時に帯域幅が小さい無線区間で効率的にパケットを伝送するために相対的に大きさが大きくて不必要な制御情報を含んでいるIPパケットヘッダサイズを減らすヘッダ圧縮(header compression)機能を遂行する。
【0029】
第3階層の無線資源制御(Radio Resource Control;以下、RRC)階層は制御平面でのみ定義される。RRC階層は、無線ベアラ(Radio Bearer;RB)の設定(configuration)、再設定(re-configuration)及び解除(release)と関連して論理チャネル、伝送チャネル及び物理チャネルの制御を担当する。RBは、端末とE-UTRANとの間のデータ伝達のために第2階層により提供されるサービスを意味する。端末のRRCとネットワークのRRCとの間にRRC連結(RRC Connection)がある場合、端末は、RRC連結モード(RRC Connected Mode)にあるようになり、そうでない場合、RRCアイドルモード(RRC Idle Mode)にあるようになる。
【0030】
RRC階層上位に位置するNAS(Non-Access Stratum)階層は、連結管理(Session Management)と移動性管理(Mobility Management)などの機能を遂行する。
【0031】
ネットワークから端末にデータを伝送するダウンリンク伝送チャネル(transport channel)には、システム情報(System Information)を伝送するBCH(Broadcast Channel)、使用者トラフィックや制御メッセージを伝送するDL-SCH(Downlink-Shared Channel)などがある。ダウンリンクマルチキャストまたはブロードキャストサービスのトラフィックまたは制御メッセージの場合、DL-SCHを介して伝送されることもあり、またはダウンリンクMCH(Multicast Channel)を介して伝送されることもある。端末からネットワークにデータを伝送するアップリンク伝送チャネルには、初期制御メッセージを伝送するRACH(Random access Channel)と使用者トラフィックや制御メッセージを伝送するUL-SCH(Uplink-Shared Channel)がある。
【0032】
ダウンリンク伝送チャネルにマッピングされるダウンリンク物理チャネルには、BCHの情報を伝送するPBCH(Physical Broadcast Channel)、MCHの情報を伝送するPMCH(Physical Multicast Channel)、PCHとDL-SCHの情報を伝送するPDSCH(Physical Downlink shared Channel)、また、ダウンリンクまたはアップリンク無線資源割当情報(DL/UL Scheduling Grant)等のように、第1階層と第2階層で提供する制御情報を伝送するPDCCH(Physical Downlink Control Channel)がある。PDCCHは、ダウンリンクL1/L2制御チャネルともいう。アップリンク伝送チャネルにマッピングされるアップリンク物理チャネルには、UL-SCHの情報を伝送するPUSCH(PhysicalUplink Shared Channel)、RACH情報を伝送するPRACH(Physical Random access Channel)、また、HARQ ACK/NACK信号、スケジューリング要請(Scheduling Request)信号、CQI(Channel Quality Indicator)などのように、第1階層と第2階層で提供する制御情報を伝送するPUCCH(Physical Uplink Control Channel)がある。
【0033】
以下、ランダムアクセス過程を説明する。端末は、(1)初期接続過程、(2)ハンドオーバー過程、(3)時間同期が合わない端末にダウンリンクデータを伝送する過程、(4)時間同期が合わない端末がアップリンクにデータを伝送する過程、及び(5)無線連結の障害発生時、復旧過程でランダムアクセスを遂行するようになる。
【0034】
図6は、ランダムアクセス過程に対するフローチャートである。
【0035】
図6を参照すると、段階S110で、端末は、基地局から伝送されたシステム情報を用いてランダムアクセスプリアンブル(Random access Preamble)を選択されたPRACH資源(PRACH resource)を介して基地局に伝送する。システム情報は、可能なランダムアクセスプリアンブルの集合に関する情報を含んだ。端末は、ランダムアクセスプリアンブルの集合から任意に選択されたランダムアクセスプリアンブルを伝送する。
【0036】
段階S120で、基地局は、ランダムアクセス応答(RandoMACcessResponse)をDL-SCH上に伝送する。ランダムアクセス応答は、端末のアップリンク同期化のための時間補正値(Time Alignment Value)、アップリンク無線資源割当情報、ランダムアクセスを遂行する端末を識別するために受信したランダムアクセスプリアンブルのインデックス及び臨時(Temporary)C-RNTI(Cell-Radio Network Temporary Identity)のような端末の臨時識別子を含む。
【0037】
段階S130で、端末は、前記時間補正値を適用して、前記アップリンク無線資源割当情報を用いて端末固有識別子を含むスケジューリングされたメッセージを基地局に伝送する(S130)。ここで、端末固有識別子は、C-RNTI、S-TMSI(SAE Temporary Mobile Station Identifier)、または上位階層識別子であってもよい。固有識別子は、競合解決のために使われるため、競合解決識別子(Contention Resolution Identifier)ともいう。
【0038】
段階S140で、基地局は、スケジューリングされたメッセージを受信した後に、前記端末固有識別子を含む競合解決(Contention Resolution)メッセージを端末に伝送する。
【0039】
ランダムアクセス過程で、競合は、可能なランダムアクセスプリアンブルの数が有限するため発生する。セル内の全ての端末に固有のランダムアクセスプリアンブルを付与することができないため、端末は、可能なランダムアクセスプリアンブルの集合のうち任意に一つのランダムアクセスプリアンブルを選択して伝送する。これに伴って同じPRACH資源を介して二つ以上の端末が同じランダムアクセスプリアンブルを選択して伝送することができる。これは競合の発生した場合である。ランダムアクセスプリアンブルを受信した基地局は、競合如何が分からない状態で前記ランダムアクセスプリアンブルに対するランダムアクセス応答を伝送する。然しながら、競合が発生したため、二つ以上の端末が同じランダムアクセス応答を受信するようになり、前記端末は、前記ランダムアクセス応答に含まれた情報に基づいてスケジューリングされたメッセージを各々伝送する。これはランダムアクセス応答に含まれたアップリンク無線資源割当情報を介して二つ以上の端末が、相異するスケジューリングされたメッセージを伝送することを意味する。このとき、スケジューリングされたメッセージの伝送は全て成功するか、端末の位置または伝送パワーに従って特定端末のスケジューリングされたメッセージのみ基地局が成功的に受信する。スケジューリングされたメッセージを基地局で成功的に受信した場合、基地局は、スケジューリングされたメッセージに含まれた端末固有識別子を用いて競合解決メッセージを伝送する。自分の端末固有識別子を受信した端末は、競合解決が成功的であることが分かる。競合基盤のランダムアクセス過程で、端末が競合の失敗または成功如何が分かるようにすることが競合解決(Contention Resolution)という。
【0040】
競合解決のために競合解決タイマを用いる。競合解決タイマは、ランダムアクセス応答を受信した後に始まる。競合解決タイマは、端末がスケジューリングされたメッセージを伝送する時、始まることができる。競合解決タイマが満了すると、競合解決が成功的でないと判断して、新しいランダムアクセス過程を開始する。自分の固有識別子を含む競合解決メッセージを受信すると、競合解決タイマは中断され(stop)、競合解決が成功的であると判断する。もし、端末がランダムアクセス過程前に既にC-RNTIのような固有のセル識別子を有しているならば、端末は、自分のセル識別子を含むスケジューリングされたメッセージを基地局に伝送した後、競合解決タイマを始める。競合解決タイマが満了する前に自分のセル識別子によりアドレスされる(address)PDCCHを受信すると、端末は、自分が競合で成功したと判断してランダムアクセス過程を正常に終えるようになる。または、端末がC-RNTIを有していない場合、上位階層識別子を固有識別子として使用することができる。端末は、上位階層識別子を含むスケジューリングメッセージを伝送した後、競合解決タイマを始める。競合解決タイマが満了する前に自分の上位識別子を含んだ競合解決メッセージをDL-SCH上に受信した場合、端末は、ランダムアクセス過程が成功したと判断する。前記競合解決メッセージは、臨時C-RNTIによりアドレスされたPDCCHを用いて受信する。然しながら、競合解決タイマが満了する時まで自分の固有識別子を含んだ競合解決メッセージをDL-SCH上に受信することができないと、端末は競合で失敗したと判断する。
【0041】
以下、アップリンク同期化のための時間補正(Time Alignment)に対して記述する。OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)基盤のシステムにおいては使用者間の干渉を最小化するために端末と基地局との間の時間同期を合わせることが重要である。
【0042】
ランダムアクセス過程は、アップリンクの時間同期化のための一つの方法である。即ち、基地局は、端末が伝送するランダムアクセスプリアンブルを介して時間補正値を測定して、時間補正値をランダムアクセス応答を介して端末に提供する。ランダムアクセス応答を受信した端末は、前記時間補正値を適用させて、時間同期タイマ(Time alignment timer)を始める。時間同期タイマの作動中には端末と基地局との間の時間同期が維持されており、時間同期タイマが満了される、或いは作動しないと、端末と基地局との間の時間同期が維持されないとみなす。時間同期タイマが満了される、或いは動作しないと、端末はランダムアクセスプリアンブル伝送以外には如何なるアップリンク伝送もすることができない。
【0043】
ランダムアクセス遂行過程で競合が発生すると、端末が誤った時間補正値を適用することができる。端末がランダムアクセスプリアンブルを伝送する前に端末と基地局との間の時間同期が合わない場合、作動中である時間同期タイマによってアップリンクへの誤った伝送をすることがある。
【0044】
まず、端末と基地局との間のアップリンク同期化が行われない状態で端末が任意に選択したランダムアクセスプリアンブルを基地局に伝送して、前記ランダムアクセスプリアンブルに対するランダムアクセス応答を受信する。競合が発生するとしても、端末はランダムアクセス応答を受信することができる。このとき、前記端末は、競合が発生したか否かが分からないため、受信されたランダムアクセス応答に含まれた時間補正値を自分に適用させて、時間同期タイマを始める。次いで、端末は、自分の固有識別子を含んだスケジューリングされたメッセージを基地局に伝送して、競合解決タイマを始める。前記競合解決タイマが満了する時まで、端末は、自分の固有識別子によりアドレスされた競合解決メッセージを受信することができないと、端末は、ランダムアクセス過程を再試図するようになる。然しながら、時間同期タイマは、作動し続けているため、基地局でダウンリンクデータを伝送するようになると、アップリンク同期が合わない状態にも拘わらず、端末は、作動中である時間同期タイマによってアップリンク同期が合うと判断して、アップリンクデータを伝送することができる。これは誤ったアップリンク同期化による他の使用者の伝送に干渉を起こすことがある。
【0045】
図7は、本発明の一実施例に係るアップリンク同期化を遂行する方法を示すフローチャートである。まず、端末は、時間同期タイマが満了される、或いは時間同期タイマが作動しない状態である。これは、端末がネットワークに初期に進入しようとする時や、無線リ
ンク失敗(Radio Link Failure)によるセルの再探索を遂行する時、競合基盤ランダムアクセス過程を始める場合である。
【0046】
図7を参考すると、段階S210で、端末は、任意に選択したランダムアクセスプリアンブルを基地局に伝送する。段階S220で、基地局は、前記ランダムアクセスプリアンブルに対する応答としてランダムアクセス応答を端末に伝送する。前記ランダムアクセス応答は、アップリンク無線資源割当情報、ランダムアクセスプリアンブル識別子、時間補正値、臨時(temporaty)C-RNTIを含む。段階S230で、端末は、前記ランダムアクセス応答に含まれた時間補正値を適用し、時間同期タイマを始める。
【0047】
段階S240で、端末は、ランダムアクセス応答に含まれたアップリンク無線資源割当情報を介して、固有識別子を含んだスケジューリングされたメッセージを基地局に伝送する。段階S250で、端末は、前記スケジューリングされたメッセージを伝送した後、競合解決タイマを始める。
【0048】
段階S260で、前記競合解決タイマが満了する時まで、端末が、自分の固有識別子を含んだ競合解決メッセージを受信しない場合、端末は、時間同期タイマを中断する。このとき、端末は、競合で失敗したと判断して、ランダムアクセス過程を再試図することができる。
【0049】
ランダムアクセス失敗が発生すると、端末は、以前に作動させた時間同期タイマを中断する。以前に受信した時間補正値が他の端末のための値である場合があるためである。従って、時間同期タイマを中断することによって、誤った時間同期補正値を用いたアップリンク伝送を禁止する。
【0050】
図8は、本発明の他の実施例に係るアップリンク同期化を遂行する方法を示すフローチャートである。
【0051】
図8を参考すると、段階S310で、端末は、任意に選択されたランダムアクセスプリアンブルを基地局に伝送する(S310)。段階S320で、基地局は、ランダムアクセスプリアンブルに対する応答としてランダムアクセス応答を端末に伝送する。前記ランダムアクセス応答は、ランダムアクセスプリアンブル識別子及び臨時C-RNTIを含む。段階S330で、端末は、時間補正値を適用して、時間同期タイマを始める。段階S340で、端末は、ランダムアクセス応答に含まれたアップリンク無線資源割当情報を介して固有識別子を含むスケジューリングされたメッセージを基地局に伝送する。段階S350で、前記スケジューリングされたメッセージを伝送した後、端末は競合解決タイマを始める。
【0052】
段階S360で、競合解決タイマが満了する前に、端末は、臨時C-RNTIによりアドレスされた(addressed)PDCCHにより指示される競合解決メッセージを受信する。競合解決メッセージは競合解決識別子を含む。段階S370で、端末は、競合解決識別子を介して競合の成功如何を判断する。例えば、前記競合解決識別子(Contention Resolution Identifier)とスケジューリングされたメッセージに含まれる識別子とを比較して、両識別子を比較する。両識別子が一致しない場合、競合から失敗したと判断する。
【0053】
段階S380で、競合が成功していないと判断した場合、端末は、時間同期タイマを中断する。このとき、端末は、ランダムアクセス過程を再試図する、或いは上位階層に失敗事実を通報することができる。
【0054】
ランダムアクセス遂行過程で、端末が競合に失敗した場合、動作中である時間同期タイマを中断する。アップリンク同期が合わない場合にも時間同期タイマが作動し続けることによって発生する問題点を解決することができる。
【0055】
本発明は、ハードウェア、ソフトウェアまたはこれらの組合せにより具現されることができる。ハードウェア具現において、前述した機能を遂行するためにデザインされたASIC(application specific integrated circuit)、DSP(digital signal processing)、PLD(programmable logic device)、FPGA(field programmable gate array)、プロセッサ、制御機、マイクロプロセッサ、他の電子ユニットまたはこれらの組合せにより具現されることができる。ソフトウェア具現において、前述した機能を遂行するモジュールにより具現されることができる。ソフトウェアは、メモリユニットに格納されることができて、プロセッサにより実行される。メモリユニットやプロセッサは、当業者によく知られた多様な手段を採用してもよい。
【0056】
以上、本発明の望ましい実施例に対して詳細に記述したが、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、添付請求範囲に定義された本発明の精神及び範囲を外れない限り、本発明を多様な変形または、変更して実施することができる。従って、本発明の今後の実施例の変更は本発明の技術を外れることができない。
【符号の説明】
【0057】
10、50 端末
20 基地局
51 プロセッサ
51 メモリ
53 RF部
54 ディスプレー部
55 使用者インターフェース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムにおいてアップリンク同期化を遂行する方法であって、
前記方法は、使用者機器(UE)によって実行され、
前記方法は、
前記UEからネットワークにランダムアクセスプリアンブルを伝送することと、
前記UEにおいて前記ネットワークから、臨時UE識別子と、前記ネットワークとのアップリンク同期化のための時間補正値とを含むランダムアクセス応答を受信することと、
前記時間補正値を受信したことに応答して、前記UEにおいて、第1タイマを開始することと、
前記ランダムアクセス応答を受信した後に、前記UEにおいて、第2タイマを開始することと、
前記UEにより、競合解決が成功しているかどうかを決定することであって、前記第2タイマが満了する場合に前記競合解決は成功していない、ことと、
前記競合解決が成功していない場合に、前記UEにおいて、前記第1タイマを中断することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1タイマは、時間同期タイマである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2タイマは、競合解決タイマである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記UEにより、固有識別子を含むスケジューリングされたメッセージを伝送することと、
前記固有識別子に関連する競合解決識別子を含む競合解決メッセージを受信したときに、前記UEにおいて、前記第2タイマを中断することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記スケジューリングされたメッセージが前記UEから伝送されると、前記第2タイマが開始される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ランダムアクセス応答は、アップリンク無線資源割当をさらに含み、前記スケジューリングされたメッセージは、前記アップリンク無線資源割当において伝送される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記UEは、前記競合解決識別子が前記固有識別子と一致する場合に前記競合解決が成功していると決定する、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記臨時UE識別子は、臨時C−RNTI(Cell−Radio Network Temporary Identifier)である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
無線通信システムにおいてアップリンク同期化を遂行する使用者機器(UE)であって、
前記UEは、RF(Radio Frequency)部を備え、
前記RF部は、
ネットワークにランダムアクセスプリアンブルを伝送することと、
前記ネットワークから、臨時UE識別子と、前記ネットワークとのアップリンク同期化のための時間補正値とを含むランダムアクセス応答を受信することと、
前記時間補正値を受信したことに応答して、前記UEにおいて、第1タイマを開始することと、
前記ランダムアクセス応答を受信した後に、前記UEにおいて、第2タイマを開始することと、
競合解決が成功しているかどうかを決定することであって、前記第2タイマが満了する場合に前記競合解決は成功していない、ことと、
前記競合解決が成功していない場合に、前記UEにおいて、前記第1タイマを中断することと
を実行するように構成されている、UE。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−213167(P2012−213167A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−110474(P2012−110474)
【出願日】平成24年5月14日(2012.5.14)
【分割の表示】特願2009−545505(P2009−545505)の分割
【原出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WCDMA
【出願人】(502032105)エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド (2,269)
【Fターム(参考)】