説明

無線通信システムにおいて干渉を緩和する方法及び装置

【課題】セル間干渉をより効率的な方法で低減する。
【解決手段】共有の時間及び周波数分割を用いて、セル間干渉を緩和する。周波数帯域は、多数のオーバラップしない周波数サブ帯域に分割される。送信スケジュールは、Tin時間間隔及びTout時間間隔に分割される。データは、Tin時間間隔において、周波数帯域全体で、セルのうちの少なくとも1つの内部領域内のユーザと交換される。データは、Tout時間間隔において、複数の周波数サブ帯域のセルのうちの複数の外部領域内のユーザと交換される。周波数帯域は、3つの周波数サブ帯域へ分割されうる。そして、データは、第1、第2、及び第3それぞれの周波数サブ帯域で、それぞれ第1、第2、及び第3それぞれの外部領域内のユーザと交換される。ユーザが位置する領域は、パイロット測定及び/又はその他の測定に基づいて判定されうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、通信に関し、特に、無線通信システムにおいて干渉を緩和する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
無線多元接続通信システムは、ダウンリンク及びアップリンク上の多数の端末のための通信を同時にサポートすることができる。ダウンリンク(又は順方向リンク)は、基地局から端末へ通信リンクを称し、アップリンク(又は逆方向リンク)は、端末から基地局へ通信リンクを称する。多数の端末が同時に、アップリンクでデータを送信し、ダウンリンクでデータを受信するかもしれない。これは、時間、周波数、及び/又は符号領域において互いに直交するように、各リンク上のデータ送信を多重化することにより達成されうる。この直交性は、各端末のデータ送信と、他の端末のデータ送信との干渉を最小にすることを保証する。
【0003】
多元接続システムは一般に多くのセルを有する。ここで、用語「セル」は、その用語が使用されている状況に依存して基地局及び/又はその有効範囲領域を称することができる。同じセル内の端末のためのデータ送信は、「セル内」干渉を回避するために、直交多重化を用いて送信されうる。しかしながら、異なるセル内の端末のためのデータ送信は直交しないかもしれない。その場合には、端末はそれぞれ、他のセルからの「セル間」干渉を観察するだろう。セル間干渉は、高レベルの干渉を観察する端末に対して、性能を顕著に低下させうる。
【0004】
セル間干渉と格闘するために、システムは、セルがそれぞれシステムに利用可能な周波数帯域の一部のみを使用する周波数再使用スキームを適用しうる。例えば、システムは、7つのセル再使用パターンと、1/7の周波数使用ファクタを適用しうる。このシステムでは、周波数帯域は7つの周波数サブ帯域に分割される。また、7つのセルクラスタ内のセルはそれぞれ、7つの周波数サブ帯域のうちの1つに割り当てられる。セルはそれぞれ、1つのみの周波数サブ帯域を使用し、7つおきのセルは全て、同じ周波数サブ帯域を再使用する。この周波数再使用スキームを用いると、同じ周波数サブ帯域が、互いに隣接していないセル内でのみ再使用され、各セル内で観察されるセル間干渉が、全てのセルが周波数帯域全体を使用する場合に対して相対的に減少する。しかしながら、小さな周波数使用ファクタ(例えば1/7)は、各セルが、周波数帯域の一部のみしか使用できないので、使用可能なシステムリソースの非効率的な使用を表す。
【0005】
従って、当該技術では、セル間干渉をより効率的な方法で低減する技術に対するニーズがある。
【発明の概要】
【0006】
本特許出願は、2005年2月11日に出願され、本明細書の譲受人に譲渡され、本明細書で参照によって明確に組み込まれている"FREQUENCY PLANNING SCHEME FOR AN OFDM SYSTEM"と題された米国仮出願番号60/652,518号の優先権を主張する。
【0007】
本明細書では、効率的な方法でセル間干渉を緩和することができる技術が記述される。本発明の実施形態によれば、少なくとも1つのプロセッサ及びメモリを含む装置が記述される。プロセッサは、第1の時間間隔において、セル内の少なくとも1つの内部領域内のユーザと周波数帯域でデータを交換する(例えば、データの送受信を行う)。プロセッサは、周波数帯域で形成される多数の周波数サブ帯域で、第2の時間間隔において、セルの多数の外部領域内のユーザとデータを交換する。例えば、周波数帯域は、3つのオーバラップしない周波数サブ帯域へ分割されうる。そして、プロセッサは、第2の時間間隔において、第1、第2、及び第3の各周波数サブ帯域で、第1、第2、及び第3の各外部領域内のユーザとデータを交換する。近隣セルのうち隣接する外部領域は、セル間干渉を緩和するために、第2の時間間隔において、異なる周波数サブ帯域を使用しうる。ユーザが位置する領域は、パイロット測定及び/又はその他の測定に基づいて決定されうる。
【0008】
別の実施形態によれば、第1の時間間隔において、セルのうちの少なくとも1つの内部領域内のユーザと、周波数帯域でデータを交換する方法が提供される。データは、周波数帯域で形成される多数の周波数サブ帯域で、第2の時間間隔において、セルのうちの多数の外部領域内のユーザと交換される。
【0009】
また別の実施形態によれば、第1の時間間隔において、セルのうちの少なくとも内部領域内のユーザと周波数帯域でデータを交換する手段を含む装置が記述される。この装置は更に、周波数帯域で形成される多数の周波数サブ帯域上で、第2の時間間隔において、セルのうちの多数の外部領域内のユーザとデータを交換する手段を含む。
【0010】
また別の実施形態によれば、少なくとも1つのプロセッサ及びメモリを含む装置が記述される。プロセッサは、第1の時間間隔において、セクタの第1の領域におけるユーザと周波数帯域でデータを交換する。プロセッサは、周波数帯域の一部である周波数サブ帯域で、第2の時間間隔において、セクタの第2の領域内のユーザとデータを交換する。近隣セルにおける隣接セクタは、セル間干渉を緩和するために、第2の時間間隔において、異なる周波数サブ帯域を使用してもよい。
【0011】
また別の実施形態によれば、第1の時間間隔において、セクタの第1の領域内のユーザと周波数帯域でデータを交換する方法が提供される。データは、周波数サブ帯域で、第2の時間間隔において、セクタの第2の領域内のユーザと交換される。
【0012】
また別の実施形態によれば、第1の時間間隔において、セクタの第1の時間領域内のユーザと、周波数帯域でデータを交換する手段を含む装置が記述される。この装置は更に、第2の時間間隔において、セクタの第2の領域内のユーザと周波数サブ帯域でデータを交換する手段を含む。
【0013】
また別の実施形態によれば、少なくとも1つのプロセッサ及びメモリを含む装置が記述される。プロセッサは、第1の周波数再使用スキームに基づいて、第1の時間間隔において、第1のユーザセットとデータを交換する。プロセッサは、第2の周波数再使用スキームに基づいて、第2の時間間隔において、第2のユーザセットとデータを交換する。
【0014】
また別の実施形態によれば、第1の周波数再使用スキームに基づいて、第1の時間間隔において、第1のユーザセットとデータを交換する方法が提供される。データは、第2の周波数再使用スキームに基づいて、第2の時間間隔において、第2のユーザセットと交換される。
【0015】
また別の実施形態によれば、第1の周波数再使用スキームに基づいて、第1の時間間隔において、第1のユーザセットとデータを交換する手段を含む装置が提供される。この装置は更に、第2の周波数再使用スキームに基づいて、第2の時間間隔において、第2のユーザセットとデータを交換する手段を含む。
【0016】
また別の実施形態によれば、少なくとも1つのプロセッサ及びメモリを含む端末が記述される。もしも端末が、セクタ又はセルの内部領域内に位置するのであれば、プロセッサは、第1の時間間隔において、周波数帯域で基地局とデータを交換する。もしも端末が、セクタ又はセルの外部領域内に位置するのであれば、プロセッサは、第2の時間間隔において、周波数帯域で基地局とデータを交換する。周波数サブ帯域は、周波数帯域で形成される多数の周波数サブ帯域のうちの1つである。
【0017】
また別の実施形態によれば、もしも端末が、セクタ又はセルの内部領域内に位置するのであれば、第1の時間間隔において、周波数帯域で基地局とデータが交換される方法が提供される。もしも端末が、セクタ又はセルの外部領域内に位置するのであれば、第2の時間間隔において、周波数帯域で基地局とデータが交換される。
【0018】
また別の実施形態によれば、もしも端末が内部領域内に位置するのであれば、第1の時間間隔において、周波数帯域で基地局とデータを交換する手段を含む装置が記述される。この装置は更に、もしも端末がセクタ又はセルの外部領域内に位置するのであれば、第2の時間間隔において、周波数帯域で基地局とデータを交換する手段を含む。
【0019】
本発明の様々な実施形態が、以下に更に詳細に記述される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、無線多元接続通信システムを示す。
【図2】図2は、セクタ化されていないセルのモデルを示す。
【図3】図3は、7つのセクタ化されていないセルのクラスタ用の典型的なセルレイアウトを示す。
【図4A】図4Aは、内部領域におけるユーザのスケジューリングを示す。
【図4B】図4Bは、外部領域におけるユーザのスケジューリングを示す。
【図5】図5は、セクタ化されたセルのモデルを示す。
【図6】図6は、7つのセクタ化されたセルのクラスタ用の典型的なセルレイアウトを示す。
【図7A】図7Aは、典型的な周波数サブ帯域構造を示す。
【図7B】図7Bは、別の典型的な周波数サブ帯域構造を示す。
【図8】図8は、典型的な送信スケジュールを示す。
【図9】図9は、セルにおけるデータ送信のための処理を示す。
【図10】図10は、セクタにおけるデータ送信のための処理を示す。
【図11】図11は、多数の周波数再使用スキームを用いてデータを送信する処理を示す。
【図12】図12は、端末によってデータを交換する処理を示す。
【図13】図13は、基地局と端末とのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
用語「典型的」(exemplary)は、本明細書では、「例、インスタンス、又は例示として役立つ」ことを意味するために使用される。本明細書で「典型的」と記載された何れの実施形態も、他の実施形態よりも好適であるとか有利であるとか必ずしも解釈される必要はない。
【0022】
図1は、無線多元接続通信システム100を示す。システム100は、多くの端末120のための通信をサポートする多くの基地局110を含んでいる。基地局は、一般に、端末と通信する固定局であり、ノードB、アクセスポイント、又はその他幾つかの用語でも称される。端末120は、一般に、システム全体にわたって分布しており、各端末は固定式又はモバイルでありうる。端末はまた、ユーザ機器(UE)、移動局、無線通信デバイス、あるいはその他の幾つかの用語で称されうる。端末は、恐らく、任意の与えられた瞬間において、ダウンリンク及び/又はアップリンクで多数の基地局と通信しうる。用語「端末」及び「ユーザ」は、下記記述において交換可能に使用される。
【0023】
集中化されたアーキテクチャの場合、システムコントローラ130が、基地局に連結しており、これらの基地局に調整及び制御を提供する。システムコントローラ130はまた、ラジオネットワークコントローラ(RNC)、基地局コントローラ(BSC)、モバイル交換局(MSC)、あるいはその他の幾つかの用語で称されうる。分散型アーキテクチャの場合、基地局は、例えば端末にサービス提供するため、システムリソースの使用量を調整する等のために、必要に応じて互いに通信する。
【0024】
キャパシティを増加させるために、基地局の有効範囲領域は、多数のセクタへ分割されうる。セクタはそれぞれ異なるアンテナビームパターンによって規定されうる。例えば、基地局有効範囲領域は、互いから120°を示す3つのビームパターンを持った3つのセクタへ分割されうる。各セクタは、基地トランシーバサブシステム(BTS)によってサービス提供されうる。セクタ化されたセルの場合、そのセルのための基地局は、一般に、そのセルの全てのセルためのBTSを含む。一般に、用語「セクタ」は、その用語が使用される状況に応じて、BTS及び/又はBTSの有効範囲領域を称することができる。簡略のため、以下の記載では、用語「基地局」は、一般に、セルにサービス提供する固定局と、セクタにサービス提供する固定局との両方のために使用される。
【0025】
簡略のため、図1は、ダウンリンク及びアップリンクでサービス提供基地局と通信している各端末を示す。各端末は、ダウンリンクによって別の基地局からのセル間干渉を観察するかもしれないし、アップリンクによって他の端末とのセル間干渉を引き起こすかもしれない。
【0026】
本明細書で記載する送信技術は、例えば、符号分割多元接続(CDMA)システム、時分割多元接続(TDMA)システム、周波数分割多元接続(FDMA)システム、直交周波数分割多元接続(OFDMA)システム、シングルキャリアFDMA(SC−FDMA)システム等のような様々な通信システムのために使用されうる。CDMAシステムは、広帯域CDMA(W−CDMA)、cdma2000等のような1又は複数のラジオアクセス技術(RAT)を実現しうる。cdma2000は、IS−2000規格、IS−856規格、及びIS−95規格をカバーする。TDMAシステムは、グローバル移動体通信システム(GSM(登録商標))のようなRATを実現しうる。これら様々なRAT及び規格は当該技術で周知である。OFDMAシステムは、直交周波数分割多重化(OFDM)を使用して、直交周波数値域上の周波数領域内で変調シンボルを送信する。SC−FDMAシステムは、直交周波数値域上の時間領域において変調シンボルを送信する。システムはまた、例えばW−CDMA及びOFDMのようなラジオ技術の組み合わせを利用する。
【0027】
明確化のために、多数の周波数値域を備えたシステムに関する送信技術が後述される。これは、OFDM、SC−FDMA、又はその他幾つかの変調技術で取得されうる。OFDM及びSC−FDMAは、システム帯域幅又は周波数帯域を、多数(K個)の直交周波数値域に分割する。これらはまた、トーン、サブキャリア、値域等とも称される。周波数値域はそれぞれ、データで変調されうる各サブキャリアと関連する。
【0028】
局面では、共有の時間及び周波数分割が、セル間干渉を緩和するために使用される。実施形態では、利用可能な周波数帯域が、多数のオーバラップしない周波数サブ帯域へ分割される。送信スケジュールも時間間隔へ分割される。時間間隔のうちの幾つかは、Tin時間間隔として明示され、時間間隔のうちの他の幾つかは、Tout時間間隔として明示される。下記に述べるように、セル間干渉を緩和するために、多数の周波数サブ帯域が、異なる時間間隔内で使用されてもよい。
【0029】
本明細書に記載した送信技術は、セクタ化されたセルを有するシステムのみならず、セクタ化されてないセルを有するシステムにも使用される。セクタ化されたセルは、多数のセクタに分割されたセルである。セクタ化されていないセルは、セクタに分割されないセルである。
【0030】
図2は、セクタ化されてないセル210のモデルを示す。このモデルでは、基地局の有効範囲領域は理想的な六角形によってモデル化される。一般に、基地局有効範囲領域は、任意のサイズ及び形状でありうるし、一般に、土地、障害物等のような様々な要因に依存する。基地局有効範囲領域は、隣接しているか、あるいは隣接してない領域かもしれない。また、セル端は、極めて複雑かもしれない。
【0031】
基地局有効範囲領域は、多数の領域へ分割されうる。領域はまた、セクション、エリア、部分等と称されうる。図2に示す実施形態では、基地局有効範囲領域は、それぞれ領域0,1,2,3とラベルされる4つの領域220a,220b,220c,220dへ分割される。領域0は、内部領域であり、セルの中心領域を含んでいる。領域0は、図2において円でモデル化される。領域0内のユーザは、内部ユーザあるいは内部円ユーザと称される。領域1,2,3は外部領域であり、セルの外部領域を含んでいる。各外部領域は理想的な六角形の1/3によってモデル化されるが、内部領域0に属する中心エリアには存在しない。領域1,2,3内のユーザは、外部ユーザあるいは外部円ユーザと称される。
【0032】
実施形態では、利用可能な周波数帯域は、f,f,fとして示される3つの周波数サブ帯域へ分割される。周波数サブ帯域fはK個の周波数値域を含み、周波数サブ帯域fはK個の周波数値域を含み、周波数サブ帯域fはK個の周波数値域を含んでいる。ここでK=K+K+Kであり、Kは、周波数帯域における周波数値域の合計数である。下記に述べるように、周波数帯域は、様々な方法で分割されうる。3つの周波数サブ帯域は、同数の、あるいは異なる数の周波数値域を含みうる。
【0033】
図3は、セル1乃至7としてラベルされる7つのセクタ化されていないセルのクラスタ用の典型的なセルレイアウト300を示す。各セルは、図2に示すような内部領域0と、3つの外部領域1,2,3とに分割される。実施形態では、各セルの内部領域0は、3つ全ての周波数サブ帯域f,f,fが割り当てられる。各セルの3つの外部領域1,2,3は、周波数サブ帯域f,f,fそれぞれが割り当てられる。従って、外部領域i、i∈{1,2,3}、は、周波数サブ帯域fが割り当てられる。各領域内のユーザは、その領域に割り当てられた周波数サブ帯域内の周波数値域が割り当てられうる。
【0034】
図3に示す実施形態では、与えられたセルの外部領域はそれぞれ、2つの近隣セル内に割り当てられた異なる周波数サブ帯域である2つの外部領域に隣接している。例えば、セル1の外部領域1は、セル2の外部領域2及びセル7の外部領域3に隣接している。セル1の外部領域2は、セル5の外部領域1及びセル6の外部領域3に隣接している。セル1の外部領域3は、セル3の外部領域2及びセル4の外部領域1に隣接している。各セルの外部領域はそれぞれ、2つの近隣セル内の2つの隣接した外部領域に対して周波数において直交する。
【0035】
図4Aは、内部ユーザをスケジュールする実施形態を図示する。この実施形態では、全てのセルの内部ユーザは、Tin時間間隔中にスケジュールされる。3つの周波数サブ帯域f,f,fの全ては、各セル内でスケジュールされる内部ユーザのために使用されてもよい。全てのセルの内部領域は、灰色の陰影で示される。図4Aに示すように、各セルの内部領域は、近隣セルの内部領域からある距離離れて位置している。従って、これらのセルの内部ユーザに、同じ周波数値域が割り当てられても、各セルの内部ユーザは、近隣セルの内部ユーザからの僅かなセル間干渉しか観察しないかもしれないし、近隣セルの内部ユーザに対して僅かな干渉しか引き起こさないかもしれない。
【0036】
図4Bは、外部ユーザをスケジュールする実施形態を図示する。この実施形態では、全てのセルの外部ユーザは、Tout時間間隔中にスケジュールされる。周波数帯域の一部である割当周波数サブ帯域のみが、各セルの個々の外部領域においてスケジュールされたユーザのために使用される。図4Bでは、全てのセルの外部領域1は灰色の陰影で示され、全てのセルの外部領域2は水平ハッチングで示され、全てのセルの外部領域3は斜めのハッチングで示される。図4Bに示すように、近隣セルの隣接した外部領域は、異なる周波数サブ帯域が割り当てられる。従って、各セルの個々の外部領域内の外部ユーザは、近隣セルの隣接した外部領域内の外部ユーザからのセル間干渉を観察しない。同じ周波数サブ帯域fが割り当てられた外部領域は、一般に、1つの外部領域によって互いに分離される。従って、与えられた外部領域i内のユーザは、近隣セルの外部領域iにおけるユーザから僅かなセル間干渉しか観察せず、近隣セルの外部領域iにおけるユーザへ僅かなセル間干渉しかもたらさない。
【0037】
別の実施形態では、幾つかのセル、あるいは全てのセルは、Tin時間間隔と同様にして、送信電力は低減されるものの、周波数帯域全体で、Tout時間間隔で、内部ユーザとデータを交換しうる。この実施形態は、例えば、与えられたセル内に全く外部ユーザが存在しないか、あるいは極僅かしか外部ユーザが存在しないのであれば、幾つかの柔軟性を与える。低減した送信電力を用いることによって、もしもあれば、近隣セル内の他の送信に対する低い干渉を保証する。
【0038】
図5は、セクタ化されたセル510のモデルを示す。図5に示される実施形態では、基地局有効範囲領域が、セクタ1,2,3としてラベルされる3のセクタ520a,520b,520cへそれぞれ分割される。図5に示すモデルの場合、基地局有効範囲領域は理想的な六角形によってモデル化される。また、セクタはそれぞれ理想的な六角形の1/3によってモデル化される。実施形態では、セクタはそれぞれ、内部領域522及び外部領域524へ分割される。この実施形態では、セルは、セルの3つのセクタについて、3つの内部領域及び3つの外部領域を含んでいる。
【0039】
図6は、セル1乃至7としてラベルされた7つのセクタ化されたセルの典型的なセルレイアウトに示す。図5に示すように、セルはそれぞれ、3つのセクタ1,2,3へ分割され、セクタはそれぞれ、内部領域及び外部領域へ分割される。実施形態では、各セルの3つのセクタ1,2,3は、周波数サブ帯域f,f,fにそれぞれ関連している。与えられたセルのセクタはそれぞれ、2つの近隣セル内の異なる周波数サブ帯域に関連している2つのセクタに隣接している。例えば、セル1のセクタ1は、セル2のセクタ2及びセル7のセクタ3に隣接している。セル1のセクタ2は、セル5のセクタ1及びセル6のセクタ3に隣接している。セル1のセクタ3は、セル3のセクタ2及びセル4のセクタ1に隣接している。
【0040】
実施形態では、セクタはそれぞれ、Tin時間間隔中に、全周波数サブ帯域で内部ユーザと通信しうる。セクタはそれぞれ、Tout時間間隔中に、関連する周波数サブ帯域で、外部ユーザと通信しうる。図6に示すように、近隣セルの隣接セクタは、異なる周波数サブ帯域に関連している。従って、各セルの各セクタの外部ユーザは、近隣セルの隣接セクタ内の外部ユーザからのセル間干渉を観察しない。
【0041】
与えられたリンクによる送信に利用可能な全送信電力Pmaxは、送信に使用される周波数サブ帯域にわたって分割されうる。Tin時間間隔中に、K個全ての周波数値域が、図3に示す実施形態の場合各セルにおいて、図5に示す実施形態の場合各セクタにおいて、スケジュールされた内部ユーザのためにそれぞれ使用されうる。各周波数値域kの送信電力Pは、次のように設定されうる。
【数1】

【0042】
out時間間隔中、周波数サブ帯域f内のK個の周波数値域が、各セルの外部領域i又はセクタi内でスケジュールされたユーザのために使用されてもよい。外部領域i又はセクタi内の各周波数値域kに対する送信電力Pk,iは、以下のように設定されうる。
【数2】

【0043】
式(1)及び(2)に示すように、Tin時間間隔中の内部ユーザのための値域毎の送信電力Pkは、Tout時間間隔中の外部ユーザのための値域毎の送信電力Pよりも低い。値域毎の送信電力Pが低いことによって、内部ユーザ間のセル間干渉が低くなるという結果に至る。
【0044】
セクタ化されたセルと、セクタ化されていないセルとの両方について、ユーザが位置する領域は、様々な方法で確かめられる。実施形態では、与えられたユーザuが位置する領域は、ユーザuによって、あるいは、ユーザuのために保持された「アクティブセット」に基づいて判定される。アクティブセットは、ユーザにサービス提供している全てのセル/セクタ、ユーザにサービス提供する候補である全てのセル/セクタ、ユーザによって強く受信されるセル/セクタ、ユーザを強く受信するセル/セクタ等を含む。例えば、セル/セクタのための受信パイロット電力が、加算しきい値を超えているとユーザuによって測定された場合、セクタ/セルが、アクティブセットに加えられる。あるいは又はそれに加えて、ユーザuのための受信パイロット電力が、加算しきい値を超えているとセル/セクタにおいて測定された場合、セル/セクタが、アクティブセットに加えられる。セル/セクタはまた、その他の方法でアクティブセットに加えられうる。
【0045】
表1は、図3のセル1における与えられたユーザのための幾つかの可能なアクティブセットをリストしている。アクティブセットはそれぞれ、1又は2つのセルを含んでいる。個々のアクティブセットについて、表1は、ユーザが位置すると考えられる領域、およびユーザのために使用されうる周波数サブ帯域を示す。アクティブセットがセル1のみを含んでいる場合、他のセルがユーザによって強く受信されないので、ユーザは、内部領域0に位置すると考えられる。アクティブセットがセル1および別のセルyを含んでいる場合、セルyもユーザによって強く受信されるので、ユーザは、近隣セルyに接する外部領域に位置すると考えられる。
【表1】

【0046】
別の実施形態では、与えられたユーザが位置する領域が、ユーザの位置推定に基づいて判定される。ユーザの位置は、例えば、全地球測位システム(GPS)、高度な順方向リンク三辺測量術(A−FLT)等のような様々な位置判定技術を使用して推定されうる。ユーザが位置する領域は、位置推定、及び、セルレイアウト情報に基づいて判定されうる。
【0047】
与えられたユーザが位置する領域を判定するための幾つかの実施形態を記述した。ユーザが位置する領域はまた、他の方法によって、及び/又は、受信パイロット電力ではない他の測定値に基づいて判定されうる。例えば、強いセル/セクタは、信号対雑音比(SNR)、チャネル利得等に基づいて識別されうる。一般に、ユーザが位置する領域は、直接測定に基づいて判定されるか、及び/又は、関連する測定値、セルレイアウト、あるいは他の情報に基づいて推定されうる。
【0048】
周波数帯域内の合計K個の周波数値域は、オーバラップしない周波数サブ帯域に、様々な方法で分布されうる。周波数サブ帯域は、もしあれば、各周波数値域が1つのみのサブ帯域に属するという点でオーバラップしていないか直交している。
【0049】
図7Aは、周波数サブ帯域構造700を示す。これは、3の周波数サブ帯域f,f,fへ周波数帯域を分割する実施形態である。この実施形態では、各サブ帯域が、周波数帯域全体にわたって一様に分布したK/3個の値域をほぼ含むことができるように、合計K個の周波数値域が、3つの周波数サブ帯域に分散される。周波数サブ帯域fは、周波数値域1,4,7等を含み、周波数サブ帯域fは、周波数値域2,5,8等を含み、周波数サブ帯域fは、周波数値域3,6,9等を含みうる。
【0050】
図7Bは、周波数サブ帯域構造710を示す。これは、3の周波数サブ帯域f,f,fへ周波数帯域を分割する別の実施形態である。この実施形態では、各サブ帯域がK/3個の連続した値域をほぼ含むことができるように、合計K個の周波数値域が、3つの周波数サブ帯域に分散される。周波数サブ帯域f1は、周波数値域1〜K/3を含み、周波数サブ帯域f2は、周波数値域K/3+1〜2K/3を含み、周波数サブ帯域f3は、周波数値域2K/3+1〜Kを含みうる。
【0051】
一般に、周波数サブ帯域はそれぞれ、任意の数の周波数値域と、合計K個の周波数値域のうちの何れか1つとを含みうる。周波数ダイバーシティを得るために、周波数サブ帯域はそれぞれ、例えば図7Aに示すように、周波数帯域から得られた周波数値域を含んで良い。チャネル推定のためのパイロットオーバヘッドを低減するために、周波数サブ帯域はそれぞれ、例えば図7Bに示すように、連続した周波数値域のブロックを含みうる。
【0052】
同じか又は異なる周波数サブ帯域構造が、ダウンリンク及びアップリンクのために使用されうる。例えば、サブ帯域構造700がダウンリンクに使用され、サブ帯域構造710がアップリンクに使用されうる。各リンクのための周波数サブ帯域は、固定式かもしれないし、あるいは設定可能であるかもしれない。各周波数サブ帯域内にどの周波数値域が含まれているのかを示す情報は、端末によって演繹的に知られているか、あるいは、基地局によってブロードキャストされる。
【0053】
図8は、本明細書に記載した送信技術のために使用される典型的な送信スケジュール800を示す。図8に示す実施形態では、送信スケジュールは、Tin間隔スパン及びTout間隔スパンとして交互に指定されている時間間隔へ分割される。各Tin時間間隔は、Nin個のフレームにわたり、各Tout時間間隔は、Nout個のフレームにわたる。ここで、一般に、Nin≧1かつNout≧1である。各フレームはそれぞれ、例えば2,5,10,20,40,80ミリ秒(ms)のような任意の時間持続にわたりうる。
【0054】
一般に、Tin時間間隔及びTout時間間隔は、同じ持続時間かもしれないし、異なる持続時間かもしれない。Tin時間間隔及びTout時間間隔は、固定持続時間を有しうる。これは、内部領域及び外部領域のために期待されるデータ要求に基づいて選択されうる。あるいは、Tin時間間隔及びTout時間間隔は、設定可能な持続時間を有しうる。これは、内部領域及び外部領域のための実際のデータ要求に基づいて選択されうる。
【0055】
この送信技術はまた、単一の周波数サブ帯域又は単一のキャリアとともに使用されうる。例えば、各Tout時間間隔は、より小さなT,T,T時間間隔へ分割されうる。全てのセルの外部領域1内のユーザは、T時間間隔において単一の周波数サブ帯域での送信のためにスケジュールされ、外部領域2内のユーザは、T時間間隔でスケジュールされ、外部領域3内のユーザは、T時間間隔でスケジュールされうる。
【0056】
図9は、本明細書に記載の送信技術に従ってデータを交換する処理900の実施形態を示す。処理900は、セルによって実行されうる。各ユーザが位置する領域は、例えば、ユーザのアクティブセット、異なるセル又はセクタのユーザによってなされた測定、ユーザのために、異なるセル又はセクタによってなされた測定等に基づいて判定されうる(ブロック912)。セルは、少なくとも1つの内部領域と多数の外部領域へ分割されうる。例えば、セルは、(1)図2に示すように、1つの基地局によってサービス提供される1つの内部領域と、3つの外部領域、あるいは(2)図5に示すように、3つのBTSによってサービス提供される3つの内部領域と、3つの外部領域に分割されうる。セルはまた、それよりも少ない領域又はそれよりも多い領域へ分割されうる。多数の領域へのセルの分割は、異なるアンテナビームパターンによって物理的に、あるいは、事実上、測定値やその他の情報に基づいて達成されうる。
【0057】
内部領域内のユーザは、Tin時間間隔における送信のためにスケジュールされる(ブロック914)。外部領域内のユーザは、Tout時間間隔における送信のためにスケジュールされる(ブロック916)。データは、Tin時間間隔において、内部領域内のスケジュールされたユーザと周波数帯域全体で交換される(ブロック918)。データは、Tout時間間隔において、多数の外部領域内のスケジュールされたユーザと、異なる周波数サブ帯域で交換される(ブロック920)。例えば、3つの外部領域1,2,3がある場合、周波数帯域は、3の周波数サブ帯域f,f,fへ分割されうる。そして、データは、内部領域内のスケジュールされたユーザと、3つ全ての周波数サブ帯域で交換されうる。データは、外部領域1,2,3内のスケジュールされたユーザと、周波数サブ帯域f,f,fでそれぞれ交換されうる。各時間間隔では、全送信電力が、その時間間隔内での送信に利用可能な全ての周波数値域にわたって分散されうる。データ交換は、ダウンリンクでユーザへデータを送ること、アップリンクでユーザからデータを受信すること、あるいはそれら両方を含みうる。
【0058】
図10は、本明細書に記載する送信技術に従ってデータを交換する処理1000の実施形態を示す。処理1000は、セクタ化されたセル内のセクタによって行なわれうる。各ユーザが位置する領域が判定される(ブロック1012)。内部領域内のユーザは、Tin時間間隔における送信のためにスケジュールされる(ブロック1014)。外部領域内のユーザは、Tout時間間隔における送信のためにスケジュールされる(ブロック1016)。データは、Tin時間間隔において、内部領域内のスケジュールされたユーザと周波数帯域全体で交換される(ブロック1018)。データは、Tout時間間隔において、外部領域内のスケジュールされたユーザと、指定された周波数サブ帯域で交換される(ブロック1020)。この指定された周波数サブ帯域は、周波数帯域の一部であり、近隣セルにおける隣接セクタの周波数サブ帯域と直交している。あるいは、又はそれに加えて、データは、各Tout時間間隔の一部で、外部領域内のスケジュールされたユーザと交換される。
【0059】
図11は、本明細書に記載する送信技術に従ってデータを交換する処理1100の実施形態を示す。処理1100は、セクタ又はセルによって実施されうる。ユーザが位置する領域が判定される(ブロック1112)。データは、第1の周波数再使用スキームに基づいて、第1の時間間隔において、第1のユーザセットと交換される(ブロック1114)。データは、第2の周波数再使用スキームに基づいて、第2の時間間隔において、第2のユーザセットと交換される(ブロック1116)。第1のユーザセットは、セクタの内部セル内か、あるいは、セルの少なくとも1つの内部領域内に位置しうる。第2のユーザセットは、セクタの外部領域内か、あるいは、セルの多数の外部領域内に位置しうる。第1の周波数再使用スキームが、1である周波数使用ファクタと関連しており、送信のために周波数帯域全体が使用されることが可能となりうる。第2の周波数再使用スキームは、1未満の周波数使用ファクタと関連しており、異なる周波数サブ帯域、又は、第2の時間間隔の異なる部分を、異なる外部領域、又は、異なるセクタに割り当てうる。
【0060】
図12は、本明細書に記載の技術に従ってデータを交換する処理1200の実施形態を示す。処理1200は、端末によって実施されうる。例えば、異なる基地局に対し端末によってなされた測定に基づいて、及び/又は、この端末に対し基地局によってなされた測定に基づいて、端末が位置する領域が判定される(ブロック1212)。そして、この端末が、内部領域内に位置するのか、あるいは、外部領域内に位置するのかが判定される。端末が内部領域内に位置する場合、第1の時間間隔において、周波数帯域によって、少なくとも1つの基地局とデータが交換される(ブロック1214)。端末が外部領域内に位置する場合、第2の時間間隔において、周波数帯域によって、少なくとも1つの基地局とデータが交換される(ブロック1216)。周波数サブ帯域は、周波数帯域の一部である。
【0061】
図13は、基地局110及び端末120の実施形態のブロック図を示す。ダウンリンクの場合、基地局110では、送信(TX)データプロセッサ1310が、スケジュールされた端末のためにトラフィックデータを受信し、このトラフィックデータを処理(例えば、符号化、インタリーブ、及びシンボルマップ)し、データシンボルを提供する。本明細書で使用しているように、データシンボルはデータのための変調シンボルであり、パイロットシンボルはパイロットのための変調シンボルであり、変調シンボルは、信号コンステレーション(例えば、M−PSK又はM−QAMのための)内のポイントのための複素数値である。また、パイロットは、基地局と端末との両方に演繹的に知られているデータである。
【0062】
変調器1312は、OFDM、SC−FDMA、及び/又は、本システムによってサポートされているその他の変調技術を行なう。OFDMの場合、変調器1312は、(1)スケジュールされた端末に割り当てられた周波数値域にデータシンボルをマップし、(2)パイロット送信のために使用される周波数値域にパイロットシンボルをマップし、(3)IFFTを用いて、データシンボル及びパイロットシンボルを時間領域に変換し、(4)各OFDMシンボルに周期的プレフィクスを追加しうる。SC−FDMAの場合、変調器1312は、(1)FFTを用いて、データシンボル及びパイロットシンボルを周波数領域に変換し、(2)割り当てられた周波数値域に、FFT出力をマップし、(3)割り当てられていない周波数値域にゼロ値をマップし、(4)このマップされた値を、IFFTを用いて時間領域に変換し、(5)各SC−FDMAシンボルに周期的プレフィックスを追加しうる。変調器1312は、OFDMシンボル又はSC−FDMAシンボルでありうる送信シンボルのストリームを提供する。送信機ユニット(TMTR)1314は、この送信シンボルを処理(例えば、アナログ変換、フィルタ、増幅、及び周波数アップコンバート)し、ダウンリンク信号を生成する。これは、アンテナ1316を経由して送信される。
【0063】
端末120では、アンテナ1352が、基地局110からのダウンリンク信号を受信し、この受信信号を、受信機ユニット(RCVR)1354に提供する。受信機ユニット1354は、この受信信号を調整(例えば、フィルタ、増幅、周波数ダウンコンバート、及びデジタル化)し、データサンプルを提供する。復調器(Demod)1356は、基地局110において変調器1312によって行なわれた変調に対する相補的な方法で復調を行ない、シンボル推定値を提供する。受信(RX)データプロセッサ1358は、このシンボル推定値を処理(例えば、逆マップ、逆インタリーブ、及び復号)し、復号データを提供する。
【0064】
アップリンクでは、端末120において、トラフィックデータがTXデータプロセッサ1370によって処理され、更に変調器1372によって処理され、送信機ユニット1374によって調整されてアップリンク信号が生成される。これは、アンテナ1352を経由して送信される。基地局110では、アップリンク信号がアンテナ1316によって受信され、受信機ユニット1330によって調整され、復調器1332によって処理され、RXデータプロセッサ1334によって更に処理される。
【0065】
コントローラ/プロセッサ1320及びコントローラ/プロセッサ1360はそれぞれ、基地局110及び端末120における動作を指示する。コントローラ/プロセッサ1320及びコントローラ/プロセッサ1360は、更に、本明細書で記載した送信技術のための様々な機能を実行しうる。例えば、コントローラ/プロセッサ1320は、図9中の処理900、図10中の処理1000、及び/又は図11中の処理1100の実行又は監督をしうる。コントローラ/プロセッサ1360は、図12中の処理1200の実行又は監督をしうる。メモリユニット1322及びメモリユニット1362は、それぞれ基地局110及び端末120のためのデータとプログラムコードを格納する。
【0066】
本明細書に記載の送信技術の場合、セクタ、セル、多数のセクタ、又は多数のセルのためのスケジューラは、ユーザがそれぞれ位置する領域を判定し、各ユーザのために使用されうる周波数サブ帯域を決定し、データ送信のためにユーザをスケジュールし、適用可能な周波数サブ帯域から、スケジュールされたユーザへの周波数値域の割り当て、又はトラフィックチャネルの割り当てを行いうる。セクタ又はセルはそれぞれ、スケジュールされた各ユーザに、例えばover-the-airシグナリングによって、割り当てられた周波数値域又はトラフィックチャネルを提供する。セクタ又はセルはそれぞれ、ダウンリンクで端末にデータを送るか、及び/又は、割り当てられた周波数値域で、端末からアップリンクでデータを受信しうる。
【0067】
明確化のために、本送信技術は、特に、各周波数サブ帯域が、OFDM又はSC−FDMAで形成される多数の周波数値域を含むOFDM及びSC−FDMAを対象として具体的に説明されている。この送信技術は、他の通信システムにも使用可能である。例えば、この技術は3つのキャリアを備えたCDMAシステムに使用されてもよい。キャリアは、cdma2000における1.23MHzの帯域幅を持っているかもしれない。各セルの内部領域は、3つのキャリア全てが割り当てられるかもしれない。そして、各セルの3つの領域すなわちセクタに、異なるキャリアが割り当てられるかもしれない。
【0068】
当該技術における熟練者であれば、これら情報および信号が、種々異なった技術や技法を用いて表されることを理解するであろう。例えば、上述した記載の全体で引用されているデータ、指示、命令、情報、信号、ビット、シンボル、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁場または磁性粒子、光学場または光学微粒子、あるいはこれら何れかの組み合わせによって表現されうる。
【0069】
これら熟練者であれば、更に、ここで開示された実施形態に関連して記載された様々な説明的論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップが、電子工学ハードウェア、コンピュータソフトウェア、あるいはこれらの組み合わせとして実現されることを理解するであろう。ハードウェアとソフトウェアとの相互互換性を明確に説明するために、様々に例示された部品、ブロック、モジュール、回路、およびステップが、それらの機能に関して一般的に記述された。それら機能がハードウェアとして又はソフトウェアとして実現されているかは、特定のアプリケーション及びシステム全体に課せられている設計制約に依存する。熟練した技術者であれば、各特定のアプリケーションに応じて変更した方法で上述した機能を実施しうる。しかしながら、この適用判断は、本発明の範囲から逸脱したものと解釈されるべきではない。
【0070】
ここで開示された実施形態に関連して記述された様々の説明的論理ブロック、モジュール、および回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、アプリケーションに固有の集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)あるいはその他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲートあるいはトランジスタロジック、ディスクリートハードウェア部品、又は上述された機能を実現するために設計された上記何れかの組み合わせを用いて実現又は実行されうる。汎用プロセッサとしてマイクロプロセッサを用いることが可能であるが、代わりに、従来技術によるプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、あるいは状態機器を用いることも可能である。プロセッサは、たとえばDSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアに接続された1つ以上のマイクロプロセッサ、またはこのような任意の構成である計算デバイスの組み合わせとして実現することも可能である。
【0071】
ここで開示された実施形態に関連して記述された方法やアルゴリズムのステップは、ハードウェアや、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールや、これらの組み合わせによって直接的に具現化される。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD−ROM、あるいは当該技術分野で知られているその他の型式の記憶媒体に収納されうる。典型的な記憶媒体は、プロセッサがそこから情報を読み取り、またそこに情報を書き込むことができるようにプロセッサに結合される。または、記憶媒体はプロセッサに統合されうる。このプロセッサと記憶媒体は、ASIC内に存在することができる。ASICは、ユーザ端末内に存在することもできる。あるいはこのプロセッサと記憶媒体は、ユーザ端末内のディスクリート部品として存在しうる。
【0072】
開示された実施形態における上述の記載は、当該技術分野におけるいかなる人であっても、本発明の活用または利用を可能とするように提供される。これらの実施形態への様々な変形例もまた、当該技術分野における熟練者に対しては明らかであって、ここで定義された一般的な原理は、本発明の主旨または範囲を逸脱せずに他の実施形態にも適用されうる。このように、本発明は、ここで示された実施形態に制限されるものではなく、ここで記載された原理と新規の特徴に一致した最も広い範囲に相当するものを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の時間間隔において、セルの少なくとも1つの内部領域内のユーザと、周波数帯域でデータを交換し、かつ、第2の時間間隔において、前記セルの多数の外部領域内のユーザと、前記周波数帯域で形成される多数の周波数サブ帯域でデータを交換するように構成された少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに接続されたメモリと
を備える装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つの近隣セル内の少なくとも1つの隣接する外部領域のために使用される少なくとも1つの周波数サブ帯域とオーバラップしない別の周波数サブ帯域で、各外部領域内のユーザとデータを交換する請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記多数の外部領域は、第1、第2、及び第3の外部領域を備え、前記多数の周波数サブ帯域は、第1、第2、及び第3の周波数サブ帯域を備え、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記第2の時間間隔において、前記第1、第2、及び第3それぞれの周波数サブ帯域で、前記第1、第2、及び第3それぞれの外部領域内のユーザとデータを交換する請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのプロセッサは、低減された送信電力で、前記第2の時間間隔において、前記少なくとも1つの内部領域内の少なくとも1つのユーザとデータを交換する請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのプロセッサは、パイロット測定に基づいて、ユーザが位置する領域を判定する請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのプロセッサは、ユーザのためのアクティブセットを決定し、かつ、前記アクティブセットに基づいて、前記ユーザが位置する領域を判定する請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記周波数帯域は、複数の周波数値域を含み、前記多数の周波数サブ帯域の各々は、前記複数の周波数値域からなる異なるサブセットを備える請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのプロセッサは、直交周波数分割多重化(OFDM)を用いて前記ユーザとデータを交換する請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのプロセッサは、シングルキャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA)を使用して前記ユーザとデータを交換する請求項1に記載の装置。
【請求項10】
第1の時間間隔において、セルのうちの少なくとも1つの内部領域内のユーザと、周波数帯域でデータを交換することと、
第2の時間間隔において、前記セルのうちの多数の外部領域内のユーザと、前記周波数帯域で形成される多数の周波数サブ帯域でデータを交換することと
を備える方法。
【請求項11】
前記多数の外部領域内のユーザとデータを交換することは、前記第2の時間間隔において、第1、第2、及び第3それぞれの外部領域内のユーザと、第1、第2、及び第3それぞれの周波数サブ帯域でデータを交換することを備える請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの内部領域内のユーザのためのデータと、前記多数の外部領域内のユーザのためのデータとを、直交周波数分割多重化(OFDM)を用いて処理することを更に備える請求項10に記載の方法。
【請求項13】
ユーザが位置する領域を、パイロット測定に基づいて判定することを更に備える請求項10に記載の方法。
【請求項14】
第1の時間間隔において、セルのうちの少なくとも1つの内部領域内のユーザと、周波数帯域でデータを交換する手段と、
第2の時間間隔において、前記セルのうちの多数の外部領域内のユーザと、前記周波数帯域で形成される多数の周波数サブ帯域でデータを交換する手段と
を備える装置。
【請求項15】
前記多数の外部領域内のユーザとデータを交換する手段は、前記第2の時間間隔において、第1、第2、及び第3それぞれの外部領域内のユーザと、第1、第2、第3それぞれの周波数サブ帯域でデータを交換する手段を備える請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの内部領域内のユーザのためのデータと、多数の外部領域内のユーザのためのデータとを、直交周波数分割多重化(OFDM)を用いて処理する手段を更に備える請求項14に記載の装置。
【請求項17】
ユーザが位置する領域を、パイロット測定に基づいて判定する手段を更に備える請求項14に記載の装置。
【請求項18】
第1の時間間隔において、セクタの第1の領域内のユーザと、周波数帯域でデータを交換し、かつ、第2の時間間隔において、前記セクタの第2の領域内のユーザと、前記周波数帯域の一部に相当する周波数サブ帯域でデータを交換するように構成された少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに接続されたメモリと
を備える装置。
【請求項19】
前記第1の領域及び第2の領域はそれぞれ、前記セクタの第1の領域及び第2の領域である請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記第1の時間間隔のために、前記周波数帯域内の周波数値域にわたって全送信電力を分散し、かつ、前記第2の時間間隔のために、前記周波数サブ帯域内の周波数値域にわたって全送信電力を分散させる請求項18に記載の装置。
【請求項21】
第1の時間間隔において、セクタの第1の領域内のユーザと、周波数帯域でデータを交換する手段と、
第2の時間間隔において、前記セクタの第2の領域内のユーザと、前記周波数帯域の一部に対応する周波数サブ帯域でデータを交換する手段と
を備える装置。
【請求項22】
前記第1の時間間隔のために、前記周波数帯域内の周波数値域にわたって全送信電力を分散させる手段と、
前記第2の時間間隔のために、前記周波数サブ帯域内の周波数値域にわたって全送信電力を分散させる手段と
を更に備える請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記第1の時間間隔において、第1の周波数再使用スキームに基づいて、第1のユーザセットとデータを交換し、かつ、第2の時間間隔において、第2の周波数再使用スキームに基づいて、第2のユーザセットとデータを交換するように構成された少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに接続されたメモリと
を備える装置。
【請求項24】
前記第1の周波数再使用スキームは、1である周波数使用ファクタに関連しており、前記第2の周波数再使用スキームは、1未満の周波数使用ファクタに関連している請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記少なくとも1つのプロセッサは、セクタ又はセルの内部領域内のユーザから第1のユーザセットを選択し、かつ、前記第1の時間間隔において、前記内部領域内の選択されたユーザへ、周波数帯域でデータを送る請求項23に記載の装置。
【請求項26】
前記少なくとも1つのプロセッサは、セルの多数の外部領域内のユーザから、第2のユーザセットを選択し、かつ、前記第2の時間間隔において、前記多数の外部領域内の選択されたユーザへ、別の周波数サブ帯域でデータを送る請求項23に記載の装置。
【請求項27】
前記少なくとも1つのプロセッサは、セルの多数の外部領域内のユーザから、第2のユーザセットを選択し、かつ、第2の時間間隔の別の部分において、前記多数の外部領域内の選択されたユーザへデータを送る請求項23に記載の装置。
【請求項28】
前記少なくとも1つのプロセッサは、セクタの外部領域内のユーザから、第2のユーザセットを選択し、かつ、前記第2の時間間隔において、前記外部領域内の選択されたユーザへ、周波数サブ帯域でデータを送る請求項23に記載の装置。
【請求項29】
第1の時間間隔において、第1の周波数再使用スキームに基づいて、第1のユーザセットとデータを交換する手段と、
第2の時間間隔において、第2の周波数再使用スキームに基づいて、第2のユーザセットとデータを交換する手段と
を備える装置。
【請求項30】
前記第2のユーザセットとデータを交換する手段は、
セルの多数の外部領域内のユーザから、前記第2のユーザセットを選択する手段と、
前記第2の時間間隔において、前記多数の外部領域内の選択されたユーザと、別の周波数サブ帯域でデータを交換する手段と
を備える請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記第2のユーザセットとデータを交換する手段は、
セクタの外部領域内のユーザから前記第2のユーザセットを選択する手段と、
前記第2の時間間隔において、前記外部領域内の選択されたユーザと、周波数サブ帯域でデータを交換する手段と
を備える請求項29に記載の装置。
【請求項32】
端末であって、
前記端末が、セクタ又はセルの内部領域内に位置しているのであれば、第1の時間間隔において、基地局と、周波数帯域でデータを交換し、前記端末が、前記セクタ又はセルの外部領域内に位置しているのであれば、第2の時間間隔において、前記周波数帯域で形成される多数の周波数サブ帯域のうちの1つである周波数サブ帯域で、前記基地局とデータを交換するように構成された少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに接続されたメモリと
を備える端末。
【請求項33】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記端末のアクティブセットに基づいて、前記端末が位置している領域を判定する請求項32に記載の端末。
【請求項34】
前記少なくとも1つのプロセッサは、基地局のためのパイロット測定値を取得し、かつ、前記パイロット測定値に基づいて、前記端末が位置する領域を判定する請求項32に記載の端末。
【請求項35】
端末が、セクタ又はセルの内部領域内に位置しているのであれば、第1の時間間隔において、周波数帯域で基地局とデータを交換することと、
前記端末が、前記セクタ又はセルの外部領域内に位置しているのであれば、第2の時間間隔において、前記周波数帯域で形成される多数の周波数サブ帯域のうちの1つである周波数サブ帯域で前記基地局とデータを交換することと
を備える方法。
【請求項36】
基地局のためのパイロット測定値を取得することと、
前記パイロット測定値に基づいて、前記端末が位置している領域を判定することと
を更に備える請求項35に記載の方法。
【請求項37】
端末が、セクタ又はセルの内部領域内に位置するのであれば、第1の時間間隔において、基地局と、周波数帯域でデータを交換する手段と、
前記端末が、前記セクタ又はセルの外部領域内に位置するのであれば、第2の時間間隔において、前記周波数帯域で形成される多数の周波数サブ帯域のうちの1つである周波数サブ帯域で前記基地局とデータを交換する手段と
を備える装置。
【請求項38】
基地局のためのパイロット測定値を取得する手段と、
前記パイロット測定値に基づいて、前記端末が位置する領域を判定する手段と
を更に備える請求項37に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−31177(P2013−31177A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−176040(P2012−176040)
【出願日】平成24年8月8日(2012.8.8)
【分割の表示】特願2007−555343(P2007−555343)の分割
【原出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WCDMA
2.EEPROM
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】