無線通信システムにおいて複数の信号を同時に伝送する端末装置及びその方法
【課題】2つ以上の無線通信方式を用いて複数の信号を同時に伝送する端末装置を提供する。
【解決手段】2つ以上の無線通信方式を用いて複数の信号を同時に伝送する端末装置及びその方法が開示される。本発明に係る2つ以上の無線通信方式を用いて複数の信号を同時に伝送する端末装置において、第2受信モジュールは、第1無線通信方式を用いる第1無線通信チップから伝送される第1信号の伝送電力値を受信する。第2伝送電力値決定モジュールは、受信した第1信号の伝送電力値、及びあらかじめ定義された電磁波吸収率(Specific Absorption Rate、SAR)条件に基づき、第2無線通信方式を用いる第2無線通信チップから伝送される第2信号の伝送電力値を決定する。
【解決手段】2つ以上の無線通信方式を用いて複数の信号を同時に伝送する端末装置及びその方法が開示される。本発明に係る2つ以上の無線通信方式を用いて複数の信号を同時に伝送する端末装置において、第2受信モジュールは、第1無線通信方式を用いる第1無線通信チップから伝送される第1信号の伝送電力値を受信する。第2伝送電力値決定モジュールは、受信した第1信号の伝送電力値、及びあらかじめ定義された電磁波吸収率(Specific Absorption Rate、SAR)条件に基づき、第2無線通信方式を用いる第2無線通信チップから伝送される第2信号の伝送電力値を決定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末に係り、特に、2つ以上の無線通信方式を用いて複数の信号を同時に伝送する端末装置及びその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線通信技術の目覚ましい発展に伴って電波の利用需要も増加し、通信、放送分野の他、医療、交通及び周辺の日常生活において広く使用されている。このように、電子、電気機器の使用が急増しながら、それらの電波利用施設及び機器から輻射される電磁波が人体に大きく影響を与えることになった。特に、移動通信機器の場合、米国連邦通信委員会(Federal Communication Commission、FCC)は、FCC96−326の無線周波数輻射の環境影響評価に関する指針を採択し、任意の携帯用送信機器に適用する局部的な電力吸収に制限値を規定している。ここに規定された最大許容露出の制限値は、無線周波数(Radio Frequency、RF)エネルギー吸収率の尺度である電磁波吸収率(Specific Absorption Rate、SAR)項に定量化した露出評価基準に基づく。人体に電磁波が照射された場合、電磁波の量的評価は、電力測定、電子系解析、及び動物実験などを用いたSAR測定により行われる。SARは、一般に、人体が電子系に露出されることから人体に吸収される単位質量当たりの吸収電力と表現される。
【0003】
米国のFCCの他、ヨーロッパ電気技術標準化委員会(CENELEC)などにおいても、移動通信端末に対する適合性評価の要求条件としてSAR条件を規定している。このように、米国のFCCやヨーロッパのCENELECなどは、SAR条件の基準値において差はあるものの、SAR条件を、移動通信端末の適合性評価の重要な項目として指定しており、よって、移動通信端末は、SAR条件(あるいは規定)を満たさなければならない。
【0004】
一般に、無線通信システムにおいて、端末は、2つ以上の周波数帯域を通じて同時に信号を伝送する場合にも、電磁波吸収率(SAR:Specific Absorption Rate;以下、「SAR」と略す。)規定を守る必要がある。このために、既存の端末は、第1周波数帯域及び第2周波数帯域の各電力を測定してその値を保存しておく。そして、2つの周波数帯域の各電力に基づき、どれくらいの電力をバックオフ(Back off)するかを、あらかじめ決定しておく。この場合、各周波数帯域の電力に基づき、バックオフする電力の値は、あらかじめテーブルのような形式で定義されている。
【0005】
例えば、端末が第1周波数帯域において最大電力で信号を伝送する時は、他の周波数帯域である第2周波数帯域における電力は、可能な最大量の電力バックオフが適用されるとよい。同様に、端末が第2周波数帯域における最大電力で信号を伝送する時は、第1周波数帯域における電力は、可能な最大量の電力バックオフが適用されるとよい。また、端末が、一つの周波数帯域において、最大電力ではなく特定電力値で信号を伝送する場合には、他の周波数帯域に適用される電力バックオフの量は、あらかじめ決定されている。すなわち、第1及び第2周波数帯域を通じて伝送される信号の種々の電力値に対して適用される電力バックオフ量は、テーブルとして予め定義されている。
【0006】
これを実際に具現する場合において、一つの周波数帯域を通じて伝送される信号の送信電力を知っていると仮定し、他の周波数帯域を通じて伝送される信号の送信電力を実時間で測定する。そして、両送信電力値に対して予め定義しておいた電力バックオフ量が適用されるように具現する。
【0007】
このような方式で適用される電力バックオフ基準は、絶対値ではなく、特定範囲の値に対して特定の電力バックオフ量が適用されるように具現される。しかし、このように具現された時、測定された送信電力値が特定区間に属するようになり、その区間範囲における最初の値と最後の値とを比較した時、たとえ電力には差があるが、バックオフ量は同一になるという矛盾が発生する。これは、精密で正確な電力バックオフ適用を困難にするという問題につながる。また、利得(Margin)を十分にして範囲を定めると、余分の電力バックオフが発生するという問題につながる。
【0008】
このような問題点を解消すべく特定区間を小さい値の範囲に設定して電力バックオフするテーブルを準備する場合であっても、実際の具現観点において電力値の測定に小さい誤りでも生じると、電力バックオフの適用される区間が変わり、また、微小な単位で電力値を測定し難く、面倒であるという問題点が依然として残る。
【0009】
また、第1無線通信チップの伝送電力測定及びこれを第2無線通信チップに伝達する方法について、未だ具体的に提案されたことがない。
【0010】
上述したように、無線通信システムにおいて、端末は、2つ以上の互いに異なる無線通信方式が適用された信号を同時にそれぞれ伝送する場合にも、SAR規定を守る必要がある。2つの無線通信チップから同時に最大電力で信号を送信している間において、SAR基準を超える場合が発生することを防ぐために、いずれか一方の無線通信チップから伝送した信号の電力を予測しなければならない。しかし、RACH状態のように、開ループ電力制御が行われる状況において初期伝送電力予測ができない場合には、SARを満たすことができないという深刻な問題につながるが、その解決策はまだ提示されていない現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が達成しようとする技術的課題は、2つ以上の無線通信方式を用いて複数の信号を同時に伝送する端末装置を提供することである。
【0012】
本発明が達成しようとする他の技術的課題は、端末が、2つ以上の無線通信方式を用いて複数の信号を同時に伝送する方法を提供することである。
【0013】
本発明で解決しようとする技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及していない他の技術的課題は、下の記載から、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者には明確になるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の技術的課題を達成するための、本発明に係る無線通信システムにおける端末装置は、端末の第1無線通信チップから伝送される第1信号の伝送電力値を受信する第2無線通信チップの第2受信モジュールと、前記受信した第1信号の伝送電力値、及びあらかじめ定義された電磁波吸収率(Specific Absorption Rate、SAR)条件に基づき、第2無線通信チップで伝送される第2信号の伝送電力値を決定する前記第2無線通信チップの第2伝送電力値決定モジュールと、を含み、前記第1無線通信チップは、前記第1無線通信方式を用いて前記第1信号を伝送するように構成され、前記第無線通信チップは、前記第2無線通信方式を用いて前記第2信号を伝送するように構成される。前記第2伝送電力値決定モジュールは、あらかじめ設定された最大和(maximum sum)電力値を用いて前記第2信号の伝送電力値を決定することができる。前記第2伝送電力値決定モジュールは、前記第1信号の伝送電力値と前記あらかじめ設定された最大和電力値との差分値を算出する差分値算出モジュールと、前記第1信号の伝送電力値と前記あらかじめ設定された最大和電力値間の算出された電力値を、第2信号の伝送電力値に設定する第2伝送電力値設定モジュールと、をさらに含むことができる。
【0015】
前記差分値算出モジュールは、前記第1信号の伝送電力値と前記あらかじめ設定された最大和電力値との差分値をワット(W)単位で算出し、前記第2伝送電力値設定モジュールは、前記ワット単位で算出された差分値に対応するデシベル(dB)単位の値を、前記第2信号の伝送電力値に設定することができる。
【0016】
前記あらかじめ設定された最大和電力値は、前記第1及び第2信号の電力値和の最大値である。
【0017】
前記端末装置は、前記第1信号の伝送電力値を測定する前記第1無線通信チップの第1伝送電力値測定モジュールをさらに含み、前記第2受信モジュールは、前記測定された第1信号の伝送電力値を、前記第1無線通信チップの第1伝送モジュールまたは前記第1無線通信チップの外部から受信することができる。
【0018】
前記端末装置は、前記第1信号の伝送電力値で前記第1信号を伝送する第1送信モジュールと、前記決定された第2伝送電力値で前記第2信号を伝送する第2送信モジュールと、をさらに含み、前記第1送信モジュール及び前記第2送信モジュールはそれぞれ、前記第1信号及び前記第2信号を同時に伝送することができる。
【0019】
前記端末装置は、前記次の伝送タイミングで伝送する前記第1信号の伝送電力値を決定する第1信号伝送電力値決定モジュールをさらに含み、前記第2受信モジュールに受信された前記第1信号の伝送電力値は、前記決定された第1信号伝送電力値である。
【0020】
前記第2伝送電力値決定モジュールは、前記決定された第1信号の伝送電力値と前記第1信号の伝送電力値に対応するあらかじめ設定された電力バックオフ値を用いて、前記第2信号の伝送電力値を決定することができる。
【0021】
上記の他の技術的課題を達成するための、本発明に係る2つ以上の無線通信方式を用いる無線通信システムにおいて端末を通じて複数の信号を同時に伝送する方法は、前記端末の第1無線通信方式を用いる第1無線通信チップから伝送される第1信号の伝送電力値を、前記端末の第2無線通信チップの第2受信モジュールを通じて受信する段階と、前記受信した第1信号の伝送電力値とあらかじめ定義された電磁波吸収率(Specific Absorption Rate、SAR)条件に基づき、第2信号の伝送電力値を、第2無線通信チップの第2伝送電力値決定モジュールを通じて決定する段階と、を含み、前記第1信号は、前記第1無線通信方式を用いて伝送され、前記第2信号は、前記第2無線通信方式を用いて伝送されることができる。
【0022】
前記第2信号の伝送電力値を決定する段階は、あらかじめ設定された最大和電力値を更に用いて前記第2信号の伝送電力値を決定することができる。
【0023】
前記第2信号の伝送電力値を決定する段階は、前記第2伝送電力値決定モジュールの差分値算出モジュールを通じて、前記第1信号の伝送電力値と前記あらかじめ設定された最大和電力値との差分値を算出する段階と、前記第2伝送電力値決定モジュールの第2伝送電力値設定モジュールを通じて前記第1信号の伝送電力値と前記あらかじめ設定された最大和電力値間の算出された電力値を、第2信号の伝送電力値に設定する段階と、をさらに含むことができる。
【0024】
前記第1信号の伝送電力値と前記あらかじめ設定された最大和電力値との前記差分値は、ワット(W)単位で算出し、前記第2信号の伝送電力値は、前記ワット単位で算出された差分値に対応するデシベル(dB)単位の値に設定することができる。
【0025】
前記あらかじめ設定された最大和電力値は、前記第1及び第2信号の電力値和の最大値である。
【0026】
前記方法は、前記第1無線通信チップが前記第1信号の伝送電力値を測定する段階をさらに含むことができ、前記第1信号の伝送電力値受信段階において、前記第2無線通信チップが前記第1信号の伝送電力値を前記第1無線通信チップから受信する。
【0027】
前記方法は、前記受信した第1信号の伝送電力値で前記第1信号を、前記決定された伝送電力値で第2信号を同時に伝送する段階をさらに含むことができる。前記受信した第1信号の伝送電力値は、次の伝送タイミングで伝送される前記第1信号の伝送電力値であればよい。
【0028】
前記第1信号の伝送電力値は、GPIO(General Purpose Input Output)インターフェースを通じて受信されてよい。
【0029】
前記第2信号の伝送電力値を決定する段階は、前記受信した第1信号の伝送電力値と前記第1信号の伝送電力値に対応するあらかじめ設定された電力バックオフ値を用いて、前記第2信号の伝送電力値を決定することができる。
【0030】
前記方法は、前記次の伝送タイミングで伝送する前記第1信号の伝送電力値を決定する段階をさらに含むことができる。
【0031】
前記第1信号は音声信号であり、前記第2信号はデータ信号でよい。
【0032】
上記の技術的課題を達成するための、本発明の他の実施例に係る無線通信システムにおける端末装置は、第1無線通信チップが第1信号を伝送する時に、前記第1無線通信チップが基地局との接続のためのランダムアクセスチャネル(Random Access CHannel、RACH)プロセスを行う通信モードであるか否かを示す通信モード情報を受信する第2無線通信チップの第2受信モジュールと、前記第1無線通信チップによる前記第1信号と前記第2無線通信チップによる前記第2信号が同時に伝送される時に、前記受信した通信モード情報に基づいて前記第2信号の伝送電力値を決定する電力値決定モジュールと、を含み、前記第1無線通信チップは、前記第1無線通信方式を用いて前記第1信号を伝送し、前記第2無線通信チップは、前記第2無線通信方式を用いて前記第2信号を伝送することができる。
【0033】
前記電力値決定モジュールは、前記受信した第1無線通信チップの通信モードが前記RACH過程を行うモードであれば、前記第2信号の最大伝送電力値及び前記第2信号に対して電力バックオフ(back−off)が可能な最大電力バックオフ値を用いて、前記第2信号の伝送電力値を決定することができる。前記第2信号の伝送電力値は、前記第2信号の最大伝送電力値から、前記第2信号の最大電力バックオフ値を引いて決定されるとよい。
【0034】
前記第2受信モジュールは、前記第1信号の測定された伝送電力値をさらに受信し、前記電力値決定モジュールは、前記受信した第1無線通信チップの通信モードが、前記RACH過程を行うモードである第1通信モードでないと、前記受信した第1信号の伝送電力値に対応する前記第2信号の伝送電力値を決定することができる。
【0035】
前記決定された第2信号の伝送電力値は、前記第2信号の最高伝送電力値から、前記第1信号の伝送電力値によって事前に決定されている電力バックオフ(back−off)値を引いた値でよい。
【0036】
前記測定された第1信号の伝送電力値と前記決定された第2信号の伝送電力値は、あらかじめ定義された電磁波吸収率(Specific Absorption Rate、SAR)規定を満たす。
【0037】
前記端末装置は、前記第1無線通信チップの通信モードが、前記基地局との接続のためにランダムアクセスチャネル(Random Access CHannel、RACH)プロセスを行う通信モードであるか否かを決定する通信モード決定モジュールと、前記決定された通信モード情報を前記第2受信モジュールに伝送する第1送信モジュールと、をさらに含むことができる。
【0038】
前記端末装置は、前記第1信号を外部に伝送する第1送信モジュールと、前記決定された伝送電力値で前記第2信号を外部に伝送する第2送信モジュールと、をさらに含むことができる。前記第1送信モジュール及び前記第2送信モジュールは、前記第1信号と前記第2信号を同時に伝送することができる。
【0039】
上記の他の技術的課題を達成するための、本発明の他の実施例に係る、無線通信システムにおいて端末を通じて複数の信号を同時に伝送する方法は、第1無線通信チップが基地局との接続のためのランダムアクセスチャネル(Random Access CHannel、RACH)プロセスを行う通信モードであるか否かを示す通信モード情報を、前記端末の第2無線通信チップの第2受信モジュールを通じて受信する段階と、前記第1無線通信チップによる前記第1信号と前記第2無線通信チップによる前記第2信号が同時に伝送される時に、前記受信した通信モード情報に基づき、前記第2無線通信チップの電力値決定モジュールを通じて前記第2信号の伝送電力値を決定する段階と、を含み、前記第1信号は、前記第1無線通信方式を用いて伝送され、前記第2信号は、前記第2無線通信方式を用いて伝送されればよい。
【0040】
前記第2信号の伝送電力値決定段階は、前記受信した第1無線通信チップの通信モードが前記RACH過程を行うモードであれば、前記第2信号の最大伝送電力値及び前記第2信号に対して電力バックオフ(back−off)が可能な最大電力バックオフ値を用いて、前記第2信号の伝送電力値を決定することができる。
【0041】
前記第2信号の伝送電力値は、前記第2信号の最大伝送電力値から、前記第2信号の最大電力バックオフ値を引いた値でよい。
【0042】
前記方法は、測定された前記第1信号の伝送電力値を受信する段階をさらに含み、前記電力値決定段階は、前記受信した第1無線通信チップの通信モードが、前記RACH過程を行うモードである第1通信モードでないと、前記受信した第1信号の伝送電力値に対応する前記第2信号の伝送電力値を決定することができる。
【0043】
前記決定された第2信号の伝送電力値は、前記第2信号の最高伝送電力値から、前記第1信号の伝送電力値によって事前に決定されている電力バックオフ値を引いた値でよい。
【0044】
前記方法は、前記第1無線通信チップの通信モードが、前記基地局との接続のためにランダムアクセスチャネル(Random Access CHannel、RACH)プロセスを行う通信モードであるか否かを決定する通信モード決定段階と、前記決定された通信モード情報を、前記第1無線通信チップの第1伝送モジュールを通じて前記第2受信モジュールに伝送する段階と、をさらに含むことができる。
【0045】
前記方法は、前記第1信号と前記第2信号を同時に伝送する段階をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、端末がSAR規定を満たしながら、同時に互いに異なる周波数帯域で互いに異なる無線通信方式を用いて信号を伝送することが可能になる。
【0047】
本発明によれば、端末が效率的に複数の周波数帯域で互いに異なる無線通信方式を用いて信号を同時に伝送できるように、正確で效率的に電力バックオフ(Back off)量を決定することができ、その結果、余分な電力バックオフを防止することが可能になる。
【0048】
また、本発明によれば、互いに異なる無線通信方式が適用された2つ以上の信号を同時に伝送する場合、特定無線通信チップで予測不可能な伝送電力制御が行われる場合であっても、SARの基準を満たすことが可能になる。
【0049】
また、本発明によれば、互いに異なる無線通信方式が適用された信号を同時に伝送する場合、正確で効率的な伝送電力の制御可能である。具体的に、本発明によれば、インターフェース(例えば、GPIOインターフェース)を用いて、次の信号伝送タイミングに伝送する第1無線通信チップにおける伝送電力を、第2無線通信チップに遅延なく伝達できるため、第2無線通信チップにおいて電力バックオフ時に追加の電力マージンを与えなくて済み、正確な電力バックオフが可能になる。
【0050】
本発明から得られる効果は、以上に言及した効果に制限されず、言及していない他の効果は、下の記載から、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者にとっては明確に理解されるであろう。
【0051】
本発明に関する理解を助けるために詳細な説明の一部として含まれる、添付図面は、本発明の実施例を提供し、詳細な説明と共に本発明の技術的思想を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る端末(100)の好適な構成の一例を示す図である。
【図2】本発明に係る端末(100)の詳細な構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る端末(100)の電力制御手順の好適な一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る端末(100)の電力制御手順の好適な他の例を示すフローチャートである。
【図5】図4に示す本発明に係る端末(100)の電力制御手順に続く手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の他の実施例に係る端末構成を示す図である。
【図7】第1無線通信チップ(610)の通信モード状態(state)の一例を示す図である。
【図8】第1無線通信チップ(610)の通信モード状態の他の例を示す図である。
【図9】第1無線通信チップ(610)の通信モード状態の遷移を示す図である。
【図10】本発明に係る第1無線通信チップ(610)において端末(600)の電力を制御する手順を示す図である。
【図11】本発明に係る第2無線通信チップ(620)において端末(600)の電力を制御する手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、本発明に係る好適な実施形態を、添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。添付の図面と共に以下に開示される詳細な説明は、本発明の例示的な実施形態を説明するためのもので、本発明が実施されうる唯一の実施形態を示すものではない。以下の詳細な説明は、本発明の完全な理解を提供するために具体的な細部事項を含む。しかし、それら具体的な細部事項なしにも本発明の実施が可能であるということが、当業者には明らかである。
【0054】
場合によって、本発明の概念が曖昧になることを避けるために、公知の構造及び装置は省略されてもよく、各構造及び装置の核心機能を中心にしたブロック図の形式で示してもよい。また、本明細書の全体を通じて同一の構成要素については、同一の図面符号を使用して説明する。
【0055】
なお、本発明の説明において、端末は、ユーザ機器(User Equipment、UE)、移動局(Mobile Station、MS)、改善された移動局(Advanced Mobile Station、AMS)、モバイルハンドセット(mobile handset)、移動端末(mobile terminal)等を含め、移動または固定型のユーザが使用するあらゆる通信機器を総称するものとする。また、基地局は、Node B、eNode B、Base Station、AP(Access Point)等を含め、端末と通信するネットワーク端の任意のノードを総称するものとする。
【0056】
無線通信システムにおいて、端末は、基地局からダウンリンク(Downlink)を通じて信号を受信し、アップリンク(Uplink)を通じて信号を伝送することができる。端末が伝送または受信する情報には、データ及び様々な制御情報があり、端末が伝送または受信する情報の種類・用途によって種々の物理チャネルが存在する。
【0057】
本発明でいう「無線通信方式」は、無線接続技術(Radio Access Technology、RAT)方式などの様々な形態と呼ばれてよい。無線通信方式または無線接続技術方式には、例えば、CDMA(Code Division Multiple Access)、WCDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、LTE(Long Term Evolution)などがある。
【0058】
図1は、本発明に係る端末100の好適な構成の一例を示す図である。
【0059】
図1を参照すると、端末100は、第1無線通信チップ(chip)110、第2無線通信チップ120、電力増幅器130、RFフロント−エンド(Front−end)モジュール140及びアンテナ150を含むことができる。
【0060】
無線通信において特定周波数帯域の電波が使用され、第1無線通信チップ110及び第2無線通信チップ120は、信号送信過程において本来の信号(基底帯域(baseband)信号)を高い周波数帯域の信号に変調し、信号受信過程においては、受信した高周波信号を基底帯域信号に復調する機能を果たす。各無線通信チップ110,120は、基底帯域で処理された信号を、高周波数帯域の信号に変調する「RF(Radio Frequency)チップ」にしてもよく、基底帯域信号を処理する基底帯域チップと、信号送受信過程において基底帯域で処理された信号を高周波数帯域に変調したり、受信した信号を低周波数帯域に復調して基底帯域信号として処理するRFチップとを結合した「RF及び基底帯域チップ」にしてもよい。
【0061】
また、第1及び第2無線通信チップ110,120は、図1に示すように、別個のチップとしてもよいが、一つのチップにしてもよい。
【0062】
上述したように、第1無線通信チップ110及び第2無線通信チップ120は、信号送信過程において、本来の信号を高い周波数帯域の信号に処理し、逆に、信号受信過程においては、高い周波数帯域の信号を基底帯域の信号にしつつ変調/復調する機能をそれぞれ果たす。
【0063】
端末100が、異なる無線通信方式が適用された複数の無線通信チップ110,120を介して同時にそれぞれ信号を伝送する必要がある場合、第1無線通信チップ110は、本来の信号を第1周波数帯域の信号にする機能を果たし、同時に、第2無線通信チップ120は、本来の信号を第2周波数帯域の信号にする機能を果たすことができる。すなわち、端末100は、信号送信過程において、第1及び第2無線通信チップ110,120を介して信号を互いに異なる周波数帯域に変調して伝送することができる。一般に、端末100は、第1及び第2無線通信チップ110,120で処理された信号を同時に伝送する場合、互いに異なる周波数帯域を通じて信号を伝送することができる。
【0064】
インターフェース(図示せず)は、第1無線通信チップ110と第2無線通信チップ120間の他、端末100内における構成要素間にも、信号、情報を交換するために連結されている。
【0065】
電力増幅器(Power Amplifier、PA)130は、第1無線通信チップ110、第2無線通信チップ120でそれぞれ処理される(特に、互いに異なる周波数帯域とされる)、受信された信号を増幅する役割を担う。
【0066】
RFフロント−エンド(RF Front−end)モジュール140は、端末100の送受信を自由にさせ、様々な環境で通話を可能にする役割を担うことができる。RFフロント−エンドモジュール140は、端末100内におけるアンテナ150と第1無線通信チップ110及び第2無線通信チップ120を連結することで、送受信信号を分離することができる。そして、RFフロント−エンドモジュール140には、フィルタリング及び増幅の役割を担うモジュールとして、受信信号フィルタリングフィルターを内蔵した受信端フロント−エンドモジュールと、送信信号を増幅する電力増幅器130を内蔵した送信端フロント−エンドモジュールなどがある。このようなRFフロント−エンドモジュール140は、特に、通話時に送信信号と受信信号とを切り替え(switching)して使用すべき時分割多重化接続(TDMA)方式のGSM(Global System for Mobile communications)端末に主に使用される。
【0067】
また、RFフロント−エンドモジュール140は、本発明で説明する端末100のように、多重周波数帯域を通じて信号を伝送するのに使用されてもよい。例えば、RFフロント−エンドモジュール140は、端末100がGSM方式及びW−CDMA方式を同時に用いることを可能にする。このようなRFフロント−エンドモジュール140を使用することによって、端末100の部品数を減少させることができ、端末100の信頼性を高める他、部品間の相互連係(Interconnection)による損失を低減することができる。
【0068】
RFフロント−エンドモジュール140は、電力消耗を減らしてバッテリー消耗を画期的に改善させ、多重周波数帯域、多機能端末の部品小型化を可能にする。図1に示すように、RFフロント−エンドモジュール140は、電力増幅器130から受信した複数の周波数帯域として処理された信号を、アンテナ150を介してそれぞれ伝送することができる。
【0069】
そして、アンテナ150は、外部(例えば、基地局)に信号を伝送し、図1には一つのアンテナとしているが、端末100には複数個のアンテナが存在してもよい。RF(Radio Frequency)モジュールは、基地局などにまたは基地局などから信号を送受信するためのモジュールで、RFフロント−エンドモジュール140及びアンテナ150を含むことができる。
【0070】
図2は、本発明に係る端末100の詳細構成の一例を示すブロック図である。
【0071】
図2を参照すると、本発明に係る端末100における第1無線通信チップ110は、第1伝送電力値測定モジュール111、第1送信モジュール112及び第1受信モジュール113を含むことができる。
【0072】
第1伝送電力値測定モジュール111は、第1無線通信チップ110から伝送される信号(以下、第1信号と略す。)の伝送電力値を測定する。第1伝送電力値測定モジュール111は、端末100から同時に信号が伝送される複数の周波数帯域のうち、電力測定モニタリングの対象となる周波数帯域(例えば、第1無線通信チップ110から伝送される第1信号(あるいは、第1周波数帯域の信号))の伝送電力値を測定することができる。第1伝送電力値測定モジュール111は、図2に示すように、第1無線通信チップ110の内部に位置することができる。しかし、第1無線通信チップ110から伝送される信号の伝送電力値を測定するモジュールは、第1無線通信チップ110の外部に備えられてもよい。この場合には、第1無線通信チップ110から伝送される信号の伝送電力値を、第1無線通信チップ110外部で測定することもできる。
【0073】
第1送信モジュール112は、第1伝送電力値測定モジュール111で測定された伝送電力値情報の他、各種データを、外部(例えば、第2無線通信チップ120)に伝送することができる。また、第1送信モジュール112は、第1伝送電力値測定モジュール111で測定された伝送電力値で第1信号を基地局などに伝送することができる。そして、第1受信モジュール113は、外部から各種のデータを受信することができる。
【0074】
第2無線通信チップ120は、第2伝送電力値決定モジュール121、第2受信モジュール124及び第2送信モジュール125を含むことができる。
【0075】
第2受信モジュール124は、第1送信モジュール112から、第1伝送電力値測定モジュール111で測定された第1信号の伝送電力値情報を受信することができる。また、第1無線通信チップ110から伝送される第1信号の伝送電力値が、第1無線通信チップ110の外部に備えられた測定モジュール(図示せず)により測定された場合には、第2受信モジュール124は、第1無線通信チップ110の外部に備えられた測定モジュール(図示せず)から、第1無線通信チップ110から伝送される第1信号の伝送電力値を受信することができる。また、第2受信モジュール124は、第1受信モジュール111などから各種信号、データ、情報を受信することができる。
【0076】
第2伝送電力値決定モジュール121は、第2受信モジュール124に受信された第1信号の伝送電力値及びあらかじめ定義された電磁波吸収率(Specific Absorption Rate、SAR)条件に基づき、第2無線通信方式を用いる第2無線通信チップ120から伝送される信号(以下、「第2信号」と略す。)の伝送電力値を決定することができる。
【0077】
ここで、あらかじめ定義されたSAR条件とは、米国連邦通信委員会(FCC)、ヨーロッパ電気技術標準化委員会(CENELEC)などにおいて、移動通信端末に対する適合性評価の要求条件として、人体への電子系の露出によって人体に吸収される単位質量当たりの電磁波吸収率を規定した条件のことをいう。上述したように、米国のFCCやヨーロッパのCENELECなどは、SAR条件の基準値において差はあるものの、両者ともSAR条件を移動通信端末の適合性評価の要求条件としているため、端末100はSAR規定を満たさなければならない。そこで、第2伝送電力値決定モジュール121は、第1無線通信方式を用いる第1無線通信チップ110及び第2無線通信方式を用いる第2無線通信チップ120からそれぞれ同時に伝送される信号(すなわち、第1信号及び第2信号)の送信電力の和が、SAR規定に違反しないように、第2無線通信方式を用いる第2無線通信チップ120から伝送される信号の伝送電力値を決定すればいい。
【0078】
この時、第2伝送電力値決定モジュール121は、あらかじめ定義されたSAR条件を満たす他、あらかじめ設定された最大和電力値をさらに用いて、上記第2信号の伝送電力値を決定することができる。ここで、最大和電力値(例えば、ワット(W)単位の値)とは、第1無線通信チップ110から伝送される第1信号と第2無線通信チップ120から伝送される第2信号とが同時に伝送される場合における第1信号及び第2信号の伝送電力値の和が最大となる値のことをいう。以下では、第2伝送電力値決定モジュール121が、あらかじめ設定された最大和電力値をさらに用いて、上記第2信号の伝送電力値を決定する方法について説明する。
【0079】
第2伝送電力値決定モジュール121は、差分値算出モジュール122及び第2伝送電力値設定モジュール123をさらに含むことができる。ここで、差分値算出モジュール122は、上記第1信号の伝送電力値(例えば、ワット単位の値でよい。)と、あらかじめ設定された最大和電力値(例えば、ワット単位の値でよい)との差分値を算出することができる。そして、第2伝送電力値設定モジュール123は、算出された電力値を第2信号の伝送電力値に設定することができる。ここで、差分値算出モジュール122は、上述したように、差分値を、ワット単位の値として算出することができる。また、第2伝送電力値設定モジュール123は、差分値算出モジュール122で算出されたワット単位の差分値に対応するデシベル(dB)単位の値を、上記第2信号の伝送電力値に設定することができる。
【0080】
例えば、あらかじめ設定されたSAR要求条件を、1.3W/kgとしよう。そして、第1伝送電力値測定モジュール111で測定された第1信号の伝送電力値が、0.0064W(18dBm)に該当し、あらかじめ設定された最大和電力値が0.352W(25dBm)であるとしよう。差分値算出モジュール122は、あらかじめ設定された最大和電力値である0.352Wと、測定された第1信号の伝送電力値である0.0064Wとの差に該当する値である0.251Wを算出することができる。
【0081】
これにより、第2伝送電力値設定モジュール123は、差分値算出モジュール122で算出された電力値を、第2信号の伝送電力値に設定することができる。すなわち、第2伝送電力値設定モジュール123は、上記例のように、差分値算出モジュール122で算出された電力値0.251Wを、第2信号の伝送電力値に設定することができる。この時、第2伝送電力値設定モジュール123は、0.251Wに対応するデシベル(dB)単位の値に変換し、該変換された値を第2信号の伝送電力値に設定することができる。
【0082】
すると、第2送信モジュール125は、第2伝送電力値設定モジュール123で設定された0.251W(または、0.251Wに対応するデシベル単位の値)でもって第2信号を伝送することができる。
【0083】
したがって、端末100は、SAR規定を満たしながら、2つ以上の無線通信チップ110,120を介して、互いに異なる無線通信方式が適用された信号を、複数の周波数帯域を通じて同時に伝送することが可能になる。例えば、第1信号が伝送される第1周波数帯域に適用された無線通信方式はCDMA方式であり、第2信号が伝送される第2周波数帯域に適用された無線通信方式はLTEであればよい。このように、端末100は、SAR規定を満たしながら、第1周波数帯域にはCDMA方式が適用された信号を、第2周波数帯域にはLTE方式が適用された信号を、同時に伝送することができる。
【0084】
図3は、本発明に係る端末100の電力制御手順の好適な一例を示すフローチャートである。
【0085】
図3を参照すると、第1伝送電力値測定モジュール111は、第1無線通信チップ110から伝送される第1信号の伝送電力値を測定する(S310)。第1送信モジュール112は、第1伝送電力値測定モジュール111が測定した伝送電力値で第1信号を伝送することができる(S320)。すなわち、第2受信モジュール124は、第1送信モジュール112から、第1伝送電力値測定モジュール111で測定された伝送電力値情報を受信することができる(S320)。
【0086】
その後、第2伝送電力値決定モジュール121は、第2受信モジュール124に受信された第1信号の伝送電力値(すなわち、第1無線通信チップ110から伝送される信号の伝送電力値)及びあらかじめ定義された電磁波吸収率(SAR)条件に基づき、第2無線通信方式を用いる第2無線通信チップ120から伝送される信号(以下、「第2信号」と略す。)の伝送電力値を決定することができる(S330)。特に、第2伝送電力値決定モジュール121は、あらかじめ設定された最大和電力値をさらに用いて第2信号の伝送電力値を決定することができる(S330)。
【0087】
S330段階において第2信号の伝送電力値が決定される過程について簡単に説明する。差分値算出モジュール122は、第1信号の伝送電力値(例えば、ワット単位の値でよい。)と、あらかじめ設定された最大和電力値(例えば、ワット単位の値でよい。)との差分値を算出することができる。そして、第2伝送電力値設定モジュール123は。算出された電力値を、第2信号の伝送電力値に設定することができる。ここで、第2伝送電力値設定モジュール123は、差分値算出モジュール122で算出されたワット単位の差分値に対応するデシベル(dB)単位の値を、第2信号の伝送電力値に設定することができる。
【0088】
その後、第1送信モジュール112及び第2送信モジュール125からそれぞれ第1及び第2信号を同時に伝送することができる(S340)。
【0089】
上述したように、第1無線通信チップ110における第1送信モジュール112は、第1信号の現在伝送電力値を第2無線通信チップ120に伝達する。すると、第2無線通信チップ120では、次の信号伝送タイミングに伝送する信号の伝送電力値を設定するが、この時、第1無線通信チップ110における伝送電力値に該当する時間と、第2無線通信チップ120で決定する伝送電力値に該当する時間との間には、インターフェースを介して伝送される時間及び第2無線通信チップ120におけるプロセシング時間などを合算した分の時間遅延が発生することがある。
【0090】
このような遅延(delay)中において、第1無線通信チップ110における現在伝送電力値が変更される可能性があるから、第2無線通信チップ120では、SAR規定を満たすためには、上記の遅延中において変更可能な第1無線通信チップ110における伝送電力の変化量を、追加電力マージン(margin)として与えなければならない。しかし、このような追加電力マージンにより、伝送電力がより低くなることもあり、正確な電力バックオフができないこともある。
【0091】
そのために、図2に示すように、第1無線通信チップ110は、第1伝送電力値決定モジュール114をさらに含むことができる。第1伝送電力値決定モジュール114は、現在伝送タイミングではなく、次の伝送タイミングで第1無線通信チップ110から伝送される信号の伝送電力値を決定することができる。そして、第1伝送電力値決定モジュール114は、次の伝送タイミングで伝送する、決定された第1信号の伝送電力値に基づき、第2無線通信方式を適用した第2無線通信チップ120から、次の信号伝送タイミングで同時に伝送する第2信号の電力値に対して電力バックオフを行う必要があるかどうかを決定することもできる。
【0092】
第1伝送電力値決定モジュール114は、決定された第1信号の伝送電力値に基づき、第2無線通信チップ120から伝送する第2信号の電力値に対して電力バックオフを行う必要がないと判断されると、第2無線通信チップ120から次の信号伝送タイミングに伝送する信号の電力値に対して電力バックオフを行わなくてよいと決定することができる。このように、第1伝送電力値決定モジュール114により、電力バックオフを行わなくてよいと決定された情報は、第1送信モジュール112に伝達され、送信モジュール112は、インターフェース1ビットを通じて外部(例えば、第2無線通信チップ120、または外部装置あるいはモジュール)に伝送することができる。すなわち、第1伝送電力値決定モジュール114が、第2無線通信チップ120から次の信号伝送タイミングに伝送する信号の電力値に対して電力バックオフを行う必要がないと決定すると、この情報のみを、インターフェース1ビットを通じて外部(例えば、第2無線通信チップ120、または外部装置あるいはモジュール)に伝送することができる。
【0093】
一方、第1伝送電力値決定モジュール114が、決定された第1信号の伝送電力値に基づき、第2無線通信チップから伝送する第2信号の電力値に対して電力バックオフをする必要があると判断すると、第2無線通信チップから次の信号伝送タイミングに伝送される信号に対して電力バックオフを行うと決定することができる。このように、電力バックオフを行う必要があると決定された情報及び上記決定された第1信号の伝送電力値は、第1送信モジュール112伝達され、第1送信モジュール112は、インターフェースを通じて外部(例えば、第2無線通信チップ120、または外部装置あるいはモジュール)に伝送することができる。この時、送信モジュール112は、電力バックオフを行う必要があると決定された情報を、インターフェース1ビットを通じて伝達し、電力バックオフ値または決定された第1信号の伝送電力値は、インターフェースの残りビットを通じて伝送することができる。
【0094】
上述した場合は、主として、GPIOインターフェースの個数が所定個数に制限された場合に該当する。すなわち、GPIOインターフェースの個数が所定個数に制限される場合、第1送信モジュール112は、電力バックオフを行う必要があるか否かに関する情報を、インターフェース1ビット(イネーブル/ディセーブルビット)(enable/disable bit)を通じて伝達する。もし、電力バックオフを行う必要がある場合は、第1送信モジュール112は、電力バックオフ値または決定された第1信号の伝送電力値を、インターフェースの残りビットを通じて伝送する。
【0095】
一方、多くのGPIOインターフェースの個数を使用できる場合においては、第1送信モジュール112は、第1伝送電力値決定モジュール114が決定した第1信号の伝送電力値を、一つ以上のインターフェースを通じて外部(例えば、第2受信モジュール124)に伝送することができる。
【0096】
インターフェースは、第1無線通信チップ110と第2無線通信チップ120間の信号、情報を交換するために連結されている。インターフェースの一例に、GPIO(General Purpose Input Output)インターフェースがある。GPIOは、汎用IOという意味を有するもので、リセット(Reset)やグラウンド(Ground)、クロック(Clock)ピンのように、ある特殊な目的として割り当てられたものではなく、プログラムにおいてどのように設定するかによって、その機能を様々な用途に使用できるピンのことをいう。GPIOを用いると、キー入力を受けたり、特定装置を制御したりすることができ、ソフトウェアにおいて何らかの特定の状況が起きた時、特定装置を動作させることができる。
【0097】
GPIOは、通常、入力と出力の2モードのピン状態が存在するが、両モードが同時に存在することはない。入力なのか或いは出力なのかは、プログラマーが設定することが一般的である。したがって、プログラマーは、使用するGPIOに対する設定を必ず行う必要がある。最近使用される32ビットMCUは、GPIOが最小30個から最大200個まで機能を支援する。したがって、たとえピンが40個しかないMCUであっても、200個の機能を支援することができる。1個のGPIOが多数の機能を支援するわけである。
【0098】
第2無線通信チップ120における第2受信モジュール124は、第1送信モジュール112から、第1伝送電力値決定モジュール114で決定された情報を、インターフェースを通じて受信することができる。ここで、第2受信モジュール124は、第1無線通信チップ110の外部の電力値測定装置あるいはモジュールに存在し、別のインターフェースなどを通じて第1無線通信チップ110から伝送した信号の測定された電力値を受信してもよい。
【0099】
GPIOインターフェースの個数が所定個数に制限される場合には、第2受信モジュール124は、電力バックオフを行う必要があるか否かに関する情報を、インターフェース1ビット(enable/disable bit)を通じて受信する。もし、電力バックオフを行う必要がある場合には、第2受信モジュール124は、電力バックオフ値または決定された第1信号の伝送電力値を、インターフェースの残りビットを通じて受信することができる。
【0100】
一方、多くのGPIOインターフェースの個数を使用できる場合では、第2受信モジュール124は、第1伝送電力値決定モジュール114で決定された第1信号の伝送電力値を、一つ以上のインターフェースを通じて受信することができる。
【0101】
第2伝送電力値決定モジュール121は、第2受信モジュール124に受信された第1信号の伝送電力に関する情報に基づき、第2無線通信チップ120から次の信号伝送タイミングに伝送する第2信号の伝送電力値を決定することができる。
【0102】
多くのGPIOインターフェースの個数を使用できる場合では、第2伝送電力値決定モジュール121は、第2受信モジュール124に受信された第1信号の電力値及び該受信した第1信号の電力値に対応するあらかじめ設定された電力バックオフ値を用いて、第2無線通信チップ120から次の信号伝送タイミングに第1信号と同時タイミングに伝送する第2信号の伝送電力値を決定することができる。
【0103】
ここで、あらかじめ設定された電力バックオフ値は、第1及び第2無線通信チップ110,120からそれぞれ第1及び第2信号を次の信号伝送タイミングに同時に伝送する場合に、あらかじめ定義された電磁波吸収率(SAR)条件を満たすように決定されている。すなわち、第2無線通信チップ120から次のタイミングに伝送する第2信号に割り当てる伝送電力値は、第1無線通信チップ110から次のタイミングに伝送する第1信号に対して設定された電力値に基づいて電力バックオフを行って決定する。
【0104】
下記の表1は、端末100において、互いに異なる無線通信方式が適用された複数の無線通信チップ110,120から同時に信号を伝送する場合に可能な伝送電力値(単位は、dBm)の一例を表すものである。
【0105】
【表1】
【0106】
表1を参照すると、ここで、各無線通信チップ110,120において伝送可能な最大伝送電力値はあらかじめ設定されていればよく、例えば、23dBmでよい。端末100における、互いに異なる無線通信方式が適用された複数の無線通信チップ110,120のそれぞれは、最大23dBmの電力値で信号を伝送することができる。しかし、複数の無線通信チップ110,120から同時に23dBmの大きさで信号を伝送すると、SAR規定に違反することになる。したがって、第1無線通信チップ110から次のタイミングに伝送する信号の設定された電力値が、最大伝送電力値である23dBmであれば、第2無線通信チップ120から伝送する電力値は、23dBmより小さくなければならない。すなわち、SAR規定を満たすように、第1無線通信チップ110の伝送電力値に基づき、第2無線通信チップ120の伝送電力値は、最大伝送電力値から電力バックオフされる必要がある。
【0107】
下記の表2は、SAR条件を満たすように、第1無線通信チップ110の伝送電力値に基づいて決定される第2無線通信チップ120の伝送電力値の一例を表すものである。
【0108】
【表2】
【0109】
表2のように、SAR条件を満たすような、第1及び第2無線通信チップ110,120における伝送信号の伝送電力値を、あらかじめ設定しておくことができる。例えば、表2のように、第1無線通信チップ110における次の信号伝送タイミングに伝送する第1信号伝送電力値が、最高伝送電力値である23dBmであれば、第2伝送電力値決定モジュール121は、第2無線通信チップ120から次の信号伝送タイミングに伝送する第2信号の伝送電力値に対して電力バックオフを行い、伝送する信号の電力値を18dBmと決定することができる。すなわち、この場合、第2伝送電力値決定モジュール121は、最高伝送電力値である23dBmから5dBm分の電力バックオフを行い、伝送する信号の電力値を18dBmと決定する。すなわち、電力バックオフされた値は、5dBmである。
【0110】
第1無線通信チップ110及び第2無線通信チップ120から同時に信号を伝送する場合、第1無線通信チップ110は、CDMA方式を適用して信号を伝送するチップであり、第2無線通信チップ120は、LTE方式を適用して信号を伝送するチップであるとすれば、第1無線通信チップ110では主に音声信号を、第2無線通信チップ120では主にデータ信号を伝送するようになる。端末100が音声及びデータ信号を同時に送信する場合、通常、伝送電力の観点からは、音声信号を伝送する無線通信に優先順位があるので、第2伝送電力値決定モジュール122は、第1無線通信チップ110から次のタイミングに伝送する第1信号の電力値に基づき、第2無線通信チップ120から次のタイミングで 同時に伝送する信号の伝送電力値を決定することができる。もちろん、その逆の場合も可能である。
【0111】
第2伝送電力値決定モジュール121は、表2に示すように、第2無線通信チップ120から伝送する信号の電力をバックオフする値を決定し、それによって伝送電力値を決定することができる。そして、第1送信モジュール112及び第2送信モジュール125はそれぞれ、第1伝送電力値決定モジュール114が決定した第1伝送電力値及び第2伝送電力値決定モジュール121が決定した第2伝送電力値で、次の伝送タイミングに信号を同時に伝送することができる。
【0112】
GPIOインターフェースの個数が所定個数に制限される場合には、第2伝送電力値決定モジュール121は、第2受信モジュール124がインターフェース1ビット(enable/disable bit)を通じて受信した、電力バックオフを行う必要があるか否かに関する情報に基づき、電力バックオフが必要がある場合にのみ電力バックオフを行い、次の信号伝送タイミングに伝送する第2信号の伝送電力値を決定する。すなわち、第2伝送電力値決定モジュール121は、電力バックオフが必要であるという内容の情報が、インターフェースのイネーブルビット(1ビット)を通じて第2受信モジュール124に受信された場合にのみ、電力バックオフを行い、第2信号の伝送電力値を決定する。もし、電力バックオフを行う必要がないという内容の情報が、インターフェースディセーブルビット(1ビット)を通じて受信モジュール124に受信されると、第2伝送電力値決定モジュール121は、次の信号伝送タイミングに伝送する第2信号の電力値に対して電力バックオフを行わない。このような場合には、第2伝送電力値決定モジュール121は、第2信号の次のタイミング伝送電力値を、最大伝送電力値(例えば、23dBm)と決定することができる。
【0113】
以上では、第2受信モジュール124及び第2伝送電力値決定モジュール121が第2無線通信チップ120内に具現されるとして説明したが、第2受信モジュール124及び第2伝送電力値決定モジュール121は、別個の装置あるいはモジュールに具現されてもよい。
【0114】
図4は、本発明に係る端末100における電力制御手順の好適な他の例を示すフローチャートである。
【0115】
図4を参照すると、第1無線通信チップ110は、第2無線通信チップ120と信号、情報交換のためのインターフェース(例えば、GPIO)の個数が所定個数以上であるか否かを判断する(S410)。インターフェースの個数が所定個数以上であるか否かによって、端末100の電力を制御する方法を異ならせることができる。
【0116】
インターフェースの個数が所定個数以上であれば(すなわち、数多くのインターフェースを使用できる場合であれば)(S410)、第1伝送電力値決定モジュール114は、現在ではなく次の信号伝送タイミングに伝送する第1信号の伝送電力値を決定することができる(S420)。または、第1伝送電力値決定モジュール114は、次の信号伝送タイミングに伝送する第1信号の伝送電力値に基づき、第2無線通信チップから伝送する信号に対して電力バックオフしなければならない電力バックオフ値を決定することができる(S420)。すると、第1送信モジュール112は、決定された次のタイミングにおける第1信号の伝送電力値または電力バックオフ値を、外部(例えば、第2無線通信チップ120、または外部装置あるいはモジュール)に伝送することができる(S430)。
【0117】
一方、インターフェースの個数が所定個数以下であれば(すなわち、インターフェースの使用可能な個数に制限がある場合であれば)(S410)、第1伝送電力値決定モジュール114は、次の信号伝送タイミングに伝送する第1信号の伝送電力値を設定することができる(S440)。そして、第1伝送電力値決定モジュール114は、設定された第1信号の伝送電力値に基づき、第2無線通信チップ120から同時に次の信号伝送タイミングに伝送する第2信号の伝送電力値に対して電力バックオフを行う必要があるか否かを判断することができる(S450)。もし、第1伝送電力値決定モジュール114が、電力バックオフを行う必要がないと判断すると(S450)、第1送信モジュール112は、次の信号伝送タイミングに伝送する第2信号に対して電力バックオフが必要でないという内容の情報を、外部(例えば、第2無線通信チップ120、または外部装置あるいはモジュール)に伝送することができる(S460)。一方、第1伝送電力値決定モジュール114が、電力バックオフを行う必要があると判断すると(S450)、第1送信モジュール112は、決定された第1信号の伝送電力値、及び第2信号に対して電力バックオフを行う必要があるという情報を、外部に伝送することができる(S470)。
【0118】
図5は、図4に示す本発明に係る端末100の電力制御手順に続く過程を示すフローチャートである。
【0119】
第2受信モジュール124は、第2無線通信チップ120から次の信号伝送タイミングに伝送する第2信号に対して電力バックオフを行う必要がないという内容の情報を受信することがある(S510)。すると、第2伝送電力値決定モジュール121は、電力バックオフを行わない。特に、この場合、第2伝送電力値決定モジュール121は、次の信号伝送タイミングに伝送する第2信号の伝送電力値として、第2無線通信チップ120における最大伝送電力値を割り当てることができる。
【0120】
一方、第2受信モジュール124は、インターフェースを通じて、第1無線通信チップ110から次の信号伝送タイミングに伝送するように決定された第1信号の伝送電力値を受信することがある(S530)。この場合、第2伝送電力値決定モジュール121は、第2受信モジュール124に受信された第1信号の伝送電力値を用いて、次のタイミングに伝送する第2信号の伝送電力値を決定することができる(S540)。この時、第2伝送電力値決定モジュール121は、第1信号の伝送電力値に基づき、あらかじめ設定された第2信号の最大伝送電力値に対して電力バックオフを行う方式により、次のタイミングに伝送する第2信号の伝送電力値を決定することができる(S540)。
【0121】
図6は、本発明の他の実施例に係る端末構成の一例を示す図である。
【0122】
図6を参照すると、端末600は、第1無線通信チップ610、第2無線通信チップ620、インターフェース630、RFフロント−エンド(Front−end)モジュール640、及びアンテナ650を含むことができる。特に、本実施例では、第1無線通信チップ610が、通信モード決定モジュール611、電力値測定モジュール612、第1送信モジュール613及び第1受信モジュール614を含むことができる。また、第2無線通信チップ620は、第2受信モジュール621、第2伝送電力値決定モジュール622及び第2送信モジュール623を含むことができる。
【0123】
第1無線通信チップ610における通信モード決定モジュール611は、第1無線通信チップ610が動作する通信モードが、基地局との接続のためのランダムアクセスチャネル(Random Access CHannel、RACH)過程を行う通信モードであるか否かを決定する。
【0124】
図7は、第1無線通信チップ610の通信モード状態(state)の一例を示す図である。
【0125】
図7を参照すると、第1無線通信チップ610の通信モード状態は、大きく、RACH状態と、RACH状態でない普段の状態(normal state)とに区別される。第1無線通信チップ610は、普段の状態(normal state)710において、基地局と正常の音声信号を送受信する。このような普段の状態710において、第1無線通信チップ610は、ランダムアクセスチャネル(RACH)過程が必要であると判断すると、RACH状態720に遷移させることができる。RACH状態720に遷移すると、基地局に接続していない端末600の第1無線通信チップ610が、基地局へと接続を試みるために、ランダムアクセス(Random Access)(特に、CDMAチップは、Slotted ALOHA Random Access)方式を用いてプローブ(probe)を伝送する。プローブ伝送に失敗した場合、第1無線通信チップ610は、接続に成功するまで、プローブ出力を漸次上げつつ繰り返してプローブを伝送する。第1無線通信チップ610が接続チャネルを伝送する際に、基地局との同期獲得のためのプリアンブルパートにメッセージパートを付して同時に伝送することができる。このような方式は、基地局にプリアンブルが正常に受信されなかったため、メッセージ受信可能性がないにもかかわらず、メッセージが伝送されるから、無線区間干渉が増加し、無線容量の減少につながる。
【0126】
第1無線通信チップ610は、基地局から応答があるまでプローブを繰り返し伝送する。図7では、プローブ出力を最大まで上げる反復を2回行うことが示されているが、これは、基地局の応答があるまで繰り返すことができる。すなわち、RACH状態720において、第1無線通信チップ610は、出力(送信出力)を漸次増加させつつプローブを伝送する。
【0127】
基地局から応答があり、再び普段の状態(normal state)730に遷移する必要があると判断されると、第1無線通信チップ610は、再び普段の状態730に遷移することができる。この時、図7に示すように、RACH状態720以降に逆方向トラフィック(reverse traffic)がない場合には、第1無線通信チップ610は、RACH状態完了後に直ちに普段の状態730に遷移する。
【0128】
図8は、第1無線通信チップ610の通信モード状態(state)の他の例を示す図である。
【0129】
図8を参照すると、第1無線通信チップ610の通信モード状態は、大きく、RACH状態820と、RACH状態でない普段の状態(normal state)810,830とに区別される。図7の場合とは違い、RACH状態820以降に逆方向トラフィックがある場合には、第1無線通信チップ610は、トラフィックを伝送してから特定時間後に(例えば、最小1ms後に)、RACH状態820を完了させ、普段の状態に遷移することができる。
【0130】
図9は、第1無線通信チップ610の通信モード状態の遷移を示す図である。
【0131】
図9を参照すると、第1無線通信チップ610が、基地局と信号、情報を交換する普段の状態にある途中において、信号の強度が弱くなったりして基地局との接続が切れた場合には、RACH状態(または、予測不可能な状態(unexpected state))に遷移する。そして、第1無線通信チップ610が、RACH状態において基地局から応答を受けると、普段の状態に再び遷移することができる。
【0132】
RACH状態以降に逆方向トラフィックがない場合には、第1無線通信チップ610は、RACH状態完了の直後に普段の状態に遷移する。しかし、RACH状態以降に逆方向トラフィックがある場合には、第1無線通信チップ610は、逆方向トラフィックが伝送されてから最小1ms経過した後に、普段の状態に遷移することになる。
【0133】
このように、通信モード決定モジュール611は、第1無線通信チップ610が現在動作する通信モードが、基地局との接続のためのRACH状態モードであるか、あるいは、普段の状態モードであるかを決定する。
【0134】
電力値測定モジュール612は、第1無線通信チップ610において第1無線通信方式(例えば、CDMA)の適用された信号が伝送される伝送電力値を測定する。電力値測定モジュール612は、互いに異なる無線通信方式を適用した2つ以上の信号を同時に伝送する必要がある場合に、伝送電力値を測定することができる。この時、電力値測定モジュール612は、互いに異なる無線通信方式を適用した2つ以上の信号を同時に伝送している間においては、一定周期で伝送電力値を測定することができる。
【0135】
ここで、第1無線通信チップ610の内部における電力値測定モジュール612が、第1無線通信チップ610から伝送した信号の伝送電力を測定するとして説明しているが、これに制限されるわけではない。すなわち、第1無線通信チップ610の外部における電力値測定装置あるいはモジュール(図示せず)が、第1無線通信チップ610から伝送する信号の伝送電力値を測定してもよい。
【0136】
第1送信モジュール613は、通信モード決定モジュール611が決定した通信モード情報を、インターフェース630を通じて、第1無線通信チップ110の外部(例えば、第2無線通信チップ620、または外部装置あるいはモジュール)に伝送することができる。また、第1送信モジュール613は、電力値測定モジュール612で測定された第1無線通信チップ610の伝送電力値を、第1無線通信チップ610の外部(例えば、第2無線通信チップ620、または外部装置あるいはモジュール)に伝送することができる。第1受信モジュール614は、第1無線通信チップ610の内部または外部から各種データ、情報などを受信することができる。
【0137】
第2無線通信チップ620における第2受信モジュール621は、第1送信モジュール613から、通信モード決定モジュール611で決定された通信モード情報を、インターフェース630を通じて受信することができる。また、第2受信モジュール621は、電力値測定モジュール612で測定された第1無線通信チップ610の伝送電力値を、第1送信モジュール613からインターフェース630を通じて受信することができる。他の例として、第2受信モジュール621は、第1無線通信チップ610の外部の電力値測定装置あるいはモジュールに存在して別のインターフェースなどを通じて第1無線通信チップ610から伝送した信号の測定された電力値を受信することもできる。
【0138】
第2伝送電力値決定モジュール622は、第1無線通信チップ610及び第2無線通信方式を適用した信号を伝送する第2無線通信チップ620から同時に信号を伝送する場合に、第2無線通信チップ620から伝送する信号の電力値を決定することができる。この時、第2伝送電力値決定モジュール622は、第2受信モジュール621に受信された第1無線通信チップ610の通信モード状態に関する情報に基づき、第2無線通信チップ120から伝送する信号の伝送電力値を決定することができる。
【0139】
第2伝送電力値決定モジュール622は、第2受信モジュール621に受信された第1無線通信チップ610の通信モード状態が、RACH過程を行う通信モードであれば、第2無線通信チップ620から伝送する信号の最大伝送電力値と、第2無線通信チップ620から伝送する信号の最大電力バックオフ値を用いて、第2無線通信チップ620から伝送する信号の伝送電力値を決定することができる。
【0140】
特に、第2伝送電力値決定モジュール622は、第2無線通信チップ620から伝送する信号の最大伝送電力値から、第2無線通信チップ620から伝送する信号の最大電力バックオフ値を引いた値を、第2無線通信チップ620から伝送する信号の伝送電力値と決定することができる。ここで、第2無線通信チップ620から伝送する信号の最大電力バックオフ値は、あらかじめ設定されていればよい。例えば、第2無線通信チップ620から伝送する信号の最大電力バックオフ値は、4dBmまたは5dBmでよい。
【0141】
また、第2伝送電力値決定モジュール622は、第2受信モジュール621に受信された第1無線通信チップ610の通信モード状態が、RACH過程を行う通信モードでないと、第2受信モジュール621に受信された、第1無線通信チップ610から伝送されたり伝送する信号の伝送電力値に対応する、第2無線通信チップ620から伝送する信号の伝送電力値を決定することができる。すなわち、第2伝送電力値決定モジュール622は、第2無線通信チップ620から伝送する信号の伝送電力値を、第2無線通信チップ620から伝送する信号の最高伝送電力値から、第1無線通信チップ610から伝送された信号に対して測定した伝送電力値によって事前に決定されている電力バックオフ値を引いた値に決定することができる。電力バックオフを行う方法は、上記表1及び表2に関する説明と略同様である。第2無線通信チップ620から伝送する第2信号の伝送電力値は、第1無線通信チップ610から伝送された第1信号に対して測定した伝送電力値に対応する事前に決定された電力バックオフ値を、第2信号の最高伝送電力値から引いて算出された値と決定することができる。
【0142】
第1無線通信チップ610及び第2無線通信チップ620から同時に信号を伝送する場合、第1無線通信チップ610は、CDMA方式を適用して信号を伝送するチップとし、第2無線通信チップ620は、LTE方式を適用して信号を伝送するチップとすれば、第1無線通信チップ610では主に音声信号を、第2無線通信チップ620は主にデータ信号を伝送するようになる。端末600が音声及びデータ信号を同時に送信する場合、通常、伝送電力の観点からは、音声信号を伝送する無線通信に優先順位があるため、第2伝送電力値決定モジュール622は、第1無線通信チップ610から信号を伝送した電力値に基づき、第2無線通信チップ620から伝送する信号の伝送電力値を決定する。第2伝送電力値決定モジュール622は、上記の表2に示す値のように、第2無線通信チップ620から伝送する信号の電力をバックオフする値を決定し、これによって伝送電力値を決定することができる。
【0143】
すると、第2送信モジュール623は、電力値決定モジュール621で決定された電力値で信号を外部に伝送することができる。
【0144】
以上では、第2受信モジュール621及び第2伝送電力値決定モジュール622が、第2無線通信チップ内に具現されるとして説明したが、第2受信モジュール621及び第2伝送電力値決定モジュール622は、別個の装置あるいはモジュールで具現されてもよい。
【0145】
インターフェース630は、第1無線通信チップ610と第2無線通信チップ620との間の信号や情報を交換するために連結されている。インターフェース630の一例には、GPIOがある。電力増幅器(PA)(図示せず)は、第1無線通信チップ610、第2無線通信チップ620でそれぞれ処理されて(特に、互いに異なる周波数帯域とされて)受信された信号を増幅する役割を果たす。RFフロント−エンドモジュール640は、端末600の送受信を自由にし、様々な環境で通話を可能にする役割を果たすもので、図1で説明した端末100におけると同一の機能を担当する。
【0146】
図10は、本発明に係る第1無線通信チップ610において端末600の電力を制御する過程を示す図である。
【0147】
図10を参照すると、第1無線通信チップ610における通信モード決定モジュール611は、第1無線通信チップ610が現在行う通信モードを決定する(S1010)。通信モード決定モジュール611は、現在第1無線通信チップ610の通信モードがRACH状態モードであると判断すると(S1020)、第1送信モジュール613は、決定された通信モードに関する情報を、インターフェース630を通じて、外部(例えば、第2無線通信チップなど)に伝送する(S1030)。しかし、通信モード決定モジュール611は、現在第1無線通信チップ610の通信モードがRACH状態モードでないと判断すると(S1020)、電力値測定モジュール612は、第1無線通信チップ610から伝送した信号の電力値を測定する(S1040)。その後、第1送信モジュール613は、決定された通信モードに関する情報及び測定された電力値情報を、外部(例えば、第2無線通信チップなど)に伝送する(S1050)。
【0148】
図11は、本発明に係る第2無線通信チップ620において端末600の電力を制御する過程を示す図である。
【0149】
図11を参照すると、第2受信モジュール621は、第1送信モジュール613から、通信モード情報及び第1無線通信チップ610から伝送された信号の電力値を、インターフェース630を通じて受信する(S1110)。第2伝送電力値決定モジュール622は、第2受信モジュール621に受信された第1無線通信チップ610の通信モード情報がRACH状態モードと判断されると(S1120)、第2伝送電力値決定モジュール622は、第2無線通信チップ620から伝送する信号の最大伝送電力値と、第2無線通信チップ620から伝送する信号の最大電力バックオフ値を用いて、第2無線通信チップ620から伝送する信号の伝送電力値を決定することができる(S1130)。特に、第2伝送電力値決定モジュール622は、第2無線通信チップ620から伝送する信号の最大伝送電力値から、第2無線通信チップ620から伝送する信号の最大電力バックオフ値を引いた値を、第2無線通信チップ620から伝送する信号の伝送電力値と決定することができる。ここで、第2無線通信チップ620から伝送する信号の最大電力バックオフ値は、あらかじめ設定されていればよい(S1130)。
【0150】
一方、第2伝送電力値決定モジュール622は、第2受信モジュール621に受信された第1無線通信チップ610の通信モード状態が、RACH過程を行う通信モードでないと判断されると(S1120)、第2伝送電力値決定モジュール622は、第1無線通信チップ610から伝送されたり伝送する信号の伝送電力値に対応する、第2無線通信チップ620から伝送する信号の伝送電力値を決定することができる(S1140)。すなわち、第2伝送電力値決定モジュール622は、第2無線通信チップ620から伝送する信号の伝送電力値を、第2無線通信チップ620から伝送する信号の最高伝送電力値から、第1無線通信チップ610から伝送された信号に対して測定した伝送電力値によって電力バックオフしなければならない事前に決定されている電力バックオフ値を引いた値に決定することができる(S1140)。
【0151】
本発明に係る実施例は、様々な手段、例えば、ハードウェア、ファームウェア(firmware)、ソフトウェアまたはそれらの結合などにより具現することができる。
【0152】
ハードウェアによる具現の場合、本発明の一実施例は、一つまたはそれ以上のASICs(application specific integrated circuits)、DSPs(digital signal processors)、DSPDs(digital signal processing devices)、PLDs(programmable logic devices)、FPGAs(field programmable gate arrays)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサなどにより具現することができる。
【0153】
ファームウェアやソフトウェアによる具現の場合、本発明の一実施例は、以上で説明された機能または動作を行うモジュール、手順または関数などの形態とすることができる。例えば、ソフトウェアコードは、メモリーユニットに記憶され、プロセッサにより駆動されることができる。メモリーユニットは、プロセッサの内部または外部に設けられて、公知の様々な手段によりプロセッサとデータを交換することができる。
【0154】
以上説明された実施例は、本発明の構成要素及び特徴を所定の形態で結合したものである。各構成要素または特徴は、別の明示的な言及がない限り、選択的なものとして考慮することができる。各構成要素または特徴は、他の構成要素や特徴と結合しない形態で実施することもできる。また、一部の構成要素及び/または特徴を結合して本発明の実施例を構成することができる。本発明の実施例で説明される動作の順序は変更可能である。ある実施例の一部構成や特徴は、他の実施例に含まれることもでき、他の実施例の対応する構成または特徴に取って代わることもできる。なお、特許請求の範囲で明示的な引用関係を有しない請求項を結合して実施例を構成したり、出願後の補正により新しい請求項として含めることができるということは明らかである。
【0155】
本発明は、本発明の技術的思想及び必須特徴を逸脱しない範囲で他の特定の形態に具体化可能であるということは、当業者にとっては明らかである。したがって、上記の詳細な説明は、いずれの面においても制約的に解析されてはならず、例示的なものとして考慮されなければならない。本発明の範囲は、添付した請求項の合理的な解析により決定されるべきであり、よって、本発明の等価的範囲内における変更はいずれも本発明の範囲に含まれる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末に係り、特に、2つ以上の無線通信方式を用いて複数の信号を同時に伝送する端末装置及びその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線通信技術の目覚ましい発展に伴って電波の利用需要も増加し、通信、放送分野の他、医療、交通及び周辺の日常生活において広く使用されている。このように、電子、電気機器の使用が急増しながら、それらの電波利用施設及び機器から輻射される電磁波が人体に大きく影響を与えることになった。特に、移動通信機器の場合、米国連邦通信委員会(Federal Communication Commission、FCC)は、FCC96−326の無線周波数輻射の環境影響評価に関する指針を採択し、任意の携帯用送信機器に適用する局部的な電力吸収に制限値を規定している。ここに規定された最大許容露出の制限値は、無線周波数(Radio Frequency、RF)エネルギー吸収率の尺度である電磁波吸収率(Specific Absorption Rate、SAR)項に定量化した露出評価基準に基づく。人体に電磁波が照射された場合、電磁波の量的評価は、電力測定、電子系解析、及び動物実験などを用いたSAR測定により行われる。SARは、一般に、人体が電子系に露出されることから人体に吸収される単位質量当たりの吸収電力と表現される。
【0003】
米国のFCCの他、ヨーロッパ電気技術標準化委員会(CENELEC)などにおいても、移動通信端末に対する適合性評価の要求条件としてSAR条件を規定している。このように、米国のFCCやヨーロッパのCENELECなどは、SAR条件の基準値において差はあるものの、SAR条件を、移動通信端末の適合性評価の重要な項目として指定しており、よって、移動通信端末は、SAR条件(あるいは規定)を満たさなければならない。
【0004】
一般に、無線通信システムにおいて、端末は、2つ以上の周波数帯域を通じて同時に信号を伝送する場合にも、電磁波吸収率(SAR:Specific Absorption Rate;以下、「SAR」と略す。)規定を守る必要がある。このために、既存の端末は、第1周波数帯域及び第2周波数帯域の各電力を測定してその値を保存しておく。そして、2つの周波数帯域の各電力に基づき、どれくらいの電力をバックオフ(Back off)するかを、あらかじめ決定しておく。この場合、各周波数帯域の電力に基づき、バックオフする電力の値は、あらかじめテーブルのような形式で定義されている。
【0005】
例えば、端末が第1周波数帯域において最大電力で信号を伝送する時は、他の周波数帯域である第2周波数帯域における電力は、可能な最大量の電力バックオフが適用されるとよい。同様に、端末が第2周波数帯域における最大電力で信号を伝送する時は、第1周波数帯域における電力は、可能な最大量の電力バックオフが適用されるとよい。また、端末が、一つの周波数帯域において、最大電力ではなく特定電力値で信号を伝送する場合には、他の周波数帯域に適用される電力バックオフの量は、あらかじめ決定されている。すなわち、第1及び第2周波数帯域を通じて伝送される信号の種々の電力値に対して適用される電力バックオフ量は、テーブルとして予め定義されている。
【0006】
これを実際に具現する場合において、一つの周波数帯域を通じて伝送される信号の送信電力を知っていると仮定し、他の周波数帯域を通じて伝送される信号の送信電力を実時間で測定する。そして、両送信電力値に対して予め定義しておいた電力バックオフ量が適用されるように具現する。
【0007】
このような方式で適用される電力バックオフ基準は、絶対値ではなく、特定範囲の値に対して特定の電力バックオフ量が適用されるように具現される。しかし、このように具現された時、測定された送信電力値が特定区間に属するようになり、その区間範囲における最初の値と最後の値とを比較した時、たとえ電力には差があるが、バックオフ量は同一になるという矛盾が発生する。これは、精密で正確な電力バックオフ適用を困難にするという問題につながる。また、利得(Margin)を十分にして範囲を定めると、余分の電力バックオフが発生するという問題につながる。
【0008】
このような問題点を解消すべく特定区間を小さい値の範囲に設定して電力バックオフするテーブルを準備する場合であっても、実際の具現観点において電力値の測定に小さい誤りでも生じると、電力バックオフの適用される区間が変わり、また、微小な単位で電力値を測定し難く、面倒であるという問題点が依然として残る。
【0009】
また、第1無線通信チップの伝送電力測定及びこれを第2無線通信チップに伝達する方法について、未だ具体的に提案されたことがない。
【0010】
上述したように、無線通信システムにおいて、端末は、2つ以上の互いに異なる無線通信方式が適用された信号を同時にそれぞれ伝送する場合にも、SAR規定を守る必要がある。2つの無線通信チップから同時に最大電力で信号を送信している間において、SAR基準を超える場合が発生することを防ぐために、いずれか一方の無線通信チップから伝送した信号の電力を予測しなければならない。しかし、RACH状態のように、開ループ電力制御が行われる状況において初期伝送電力予測ができない場合には、SARを満たすことができないという深刻な問題につながるが、その解決策はまだ提示されていない現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が達成しようとする技術的課題は、2つ以上の無線通信方式を用いて複数の信号を同時に伝送する端末装置を提供することである。
【0012】
本発明が達成しようとする他の技術的課題は、端末が、2つ以上の無線通信方式を用いて複数の信号を同時に伝送する方法を提供することである。
【0013】
本発明で解決しようとする技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及していない他の技術的課題は、下の記載から、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者には明確になるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の技術的課題を達成するための、本発明に係る無線通信システムにおける端末装置は、端末の第1無線通信チップから伝送される第1信号の伝送電力値を受信する第2無線通信チップの第2受信モジュールと、前記受信した第1信号の伝送電力値、及びあらかじめ定義された電磁波吸収率(Specific Absorption Rate、SAR)条件に基づき、第2無線通信チップで伝送される第2信号の伝送電力値を決定する前記第2無線通信チップの第2伝送電力値決定モジュールと、を含み、前記第1無線通信チップは、前記第1無線通信方式を用いて前記第1信号を伝送するように構成され、前記第無線通信チップは、前記第2無線通信方式を用いて前記第2信号を伝送するように構成される。前記第2伝送電力値決定モジュールは、あらかじめ設定された最大和(maximum sum)電力値を用いて前記第2信号の伝送電力値を決定することができる。前記第2伝送電力値決定モジュールは、前記第1信号の伝送電力値と前記あらかじめ設定された最大和電力値との差分値を算出する差分値算出モジュールと、前記第1信号の伝送電力値と前記あらかじめ設定された最大和電力値間の算出された電力値を、第2信号の伝送電力値に設定する第2伝送電力値設定モジュールと、をさらに含むことができる。
【0015】
前記差分値算出モジュールは、前記第1信号の伝送電力値と前記あらかじめ設定された最大和電力値との差分値をワット(W)単位で算出し、前記第2伝送電力値設定モジュールは、前記ワット単位で算出された差分値に対応するデシベル(dB)単位の値を、前記第2信号の伝送電力値に設定することができる。
【0016】
前記あらかじめ設定された最大和電力値は、前記第1及び第2信号の電力値和の最大値である。
【0017】
前記端末装置は、前記第1信号の伝送電力値を測定する前記第1無線通信チップの第1伝送電力値測定モジュールをさらに含み、前記第2受信モジュールは、前記測定された第1信号の伝送電力値を、前記第1無線通信チップの第1伝送モジュールまたは前記第1無線通信チップの外部から受信することができる。
【0018】
前記端末装置は、前記第1信号の伝送電力値で前記第1信号を伝送する第1送信モジュールと、前記決定された第2伝送電力値で前記第2信号を伝送する第2送信モジュールと、をさらに含み、前記第1送信モジュール及び前記第2送信モジュールはそれぞれ、前記第1信号及び前記第2信号を同時に伝送することができる。
【0019】
前記端末装置は、前記次の伝送タイミングで伝送する前記第1信号の伝送電力値を決定する第1信号伝送電力値決定モジュールをさらに含み、前記第2受信モジュールに受信された前記第1信号の伝送電力値は、前記決定された第1信号伝送電力値である。
【0020】
前記第2伝送電力値決定モジュールは、前記決定された第1信号の伝送電力値と前記第1信号の伝送電力値に対応するあらかじめ設定された電力バックオフ値を用いて、前記第2信号の伝送電力値を決定することができる。
【0021】
上記の他の技術的課題を達成するための、本発明に係る2つ以上の無線通信方式を用いる無線通信システムにおいて端末を通じて複数の信号を同時に伝送する方法は、前記端末の第1無線通信方式を用いる第1無線通信チップから伝送される第1信号の伝送電力値を、前記端末の第2無線通信チップの第2受信モジュールを通じて受信する段階と、前記受信した第1信号の伝送電力値とあらかじめ定義された電磁波吸収率(Specific Absorption Rate、SAR)条件に基づき、第2信号の伝送電力値を、第2無線通信チップの第2伝送電力値決定モジュールを通じて決定する段階と、を含み、前記第1信号は、前記第1無線通信方式を用いて伝送され、前記第2信号は、前記第2無線通信方式を用いて伝送されることができる。
【0022】
前記第2信号の伝送電力値を決定する段階は、あらかじめ設定された最大和電力値を更に用いて前記第2信号の伝送電力値を決定することができる。
【0023】
前記第2信号の伝送電力値を決定する段階は、前記第2伝送電力値決定モジュールの差分値算出モジュールを通じて、前記第1信号の伝送電力値と前記あらかじめ設定された最大和電力値との差分値を算出する段階と、前記第2伝送電力値決定モジュールの第2伝送電力値設定モジュールを通じて前記第1信号の伝送電力値と前記あらかじめ設定された最大和電力値間の算出された電力値を、第2信号の伝送電力値に設定する段階と、をさらに含むことができる。
【0024】
前記第1信号の伝送電力値と前記あらかじめ設定された最大和電力値との前記差分値は、ワット(W)単位で算出し、前記第2信号の伝送電力値は、前記ワット単位で算出された差分値に対応するデシベル(dB)単位の値に設定することができる。
【0025】
前記あらかじめ設定された最大和電力値は、前記第1及び第2信号の電力値和の最大値である。
【0026】
前記方法は、前記第1無線通信チップが前記第1信号の伝送電力値を測定する段階をさらに含むことができ、前記第1信号の伝送電力値受信段階において、前記第2無線通信チップが前記第1信号の伝送電力値を前記第1無線通信チップから受信する。
【0027】
前記方法は、前記受信した第1信号の伝送電力値で前記第1信号を、前記決定された伝送電力値で第2信号を同時に伝送する段階をさらに含むことができる。前記受信した第1信号の伝送電力値は、次の伝送タイミングで伝送される前記第1信号の伝送電力値であればよい。
【0028】
前記第1信号の伝送電力値は、GPIO(General Purpose Input Output)インターフェースを通じて受信されてよい。
【0029】
前記第2信号の伝送電力値を決定する段階は、前記受信した第1信号の伝送電力値と前記第1信号の伝送電力値に対応するあらかじめ設定された電力バックオフ値を用いて、前記第2信号の伝送電力値を決定することができる。
【0030】
前記方法は、前記次の伝送タイミングで伝送する前記第1信号の伝送電力値を決定する段階をさらに含むことができる。
【0031】
前記第1信号は音声信号であり、前記第2信号はデータ信号でよい。
【0032】
上記の技術的課題を達成するための、本発明の他の実施例に係る無線通信システムにおける端末装置は、第1無線通信チップが第1信号を伝送する時に、前記第1無線通信チップが基地局との接続のためのランダムアクセスチャネル(Random Access CHannel、RACH)プロセスを行う通信モードであるか否かを示す通信モード情報を受信する第2無線通信チップの第2受信モジュールと、前記第1無線通信チップによる前記第1信号と前記第2無線通信チップによる前記第2信号が同時に伝送される時に、前記受信した通信モード情報に基づいて前記第2信号の伝送電力値を決定する電力値決定モジュールと、を含み、前記第1無線通信チップは、前記第1無線通信方式を用いて前記第1信号を伝送し、前記第2無線通信チップは、前記第2無線通信方式を用いて前記第2信号を伝送することができる。
【0033】
前記電力値決定モジュールは、前記受信した第1無線通信チップの通信モードが前記RACH過程を行うモードであれば、前記第2信号の最大伝送電力値及び前記第2信号に対して電力バックオフ(back−off)が可能な最大電力バックオフ値を用いて、前記第2信号の伝送電力値を決定することができる。前記第2信号の伝送電力値は、前記第2信号の最大伝送電力値から、前記第2信号の最大電力バックオフ値を引いて決定されるとよい。
【0034】
前記第2受信モジュールは、前記第1信号の測定された伝送電力値をさらに受信し、前記電力値決定モジュールは、前記受信した第1無線通信チップの通信モードが、前記RACH過程を行うモードである第1通信モードでないと、前記受信した第1信号の伝送電力値に対応する前記第2信号の伝送電力値を決定することができる。
【0035】
前記決定された第2信号の伝送電力値は、前記第2信号の最高伝送電力値から、前記第1信号の伝送電力値によって事前に決定されている電力バックオフ(back−off)値を引いた値でよい。
【0036】
前記測定された第1信号の伝送電力値と前記決定された第2信号の伝送電力値は、あらかじめ定義された電磁波吸収率(Specific Absorption Rate、SAR)規定を満たす。
【0037】
前記端末装置は、前記第1無線通信チップの通信モードが、前記基地局との接続のためにランダムアクセスチャネル(Random Access CHannel、RACH)プロセスを行う通信モードであるか否かを決定する通信モード決定モジュールと、前記決定された通信モード情報を前記第2受信モジュールに伝送する第1送信モジュールと、をさらに含むことができる。
【0038】
前記端末装置は、前記第1信号を外部に伝送する第1送信モジュールと、前記決定された伝送電力値で前記第2信号を外部に伝送する第2送信モジュールと、をさらに含むことができる。前記第1送信モジュール及び前記第2送信モジュールは、前記第1信号と前記第2信号を同時に伝送することができる。
【0039】
上記の他の技術的課題を達成するための、本発明の他の実施例に係る、無線通信システムにおいて端末を通じて複数の信号を同時に伝送する方法は、第1無線通信チップが基地局との接続のためのランダムアクセスチャネル(Random Access CHannel、RACH)プロセスを行う通信モードであるか否かを示す通信モード情報を、前記端末の第2無線通信チップの第2受信モジュールを通じて受信する段階と、前記第1無線通信チップによる前記第1信号と前記第2無線通信チップによる前記第2信号が同時に伝送される時に、前記受信した通信モード情報に基づき、前記第2無線通信チップの電力値決定モジュールを通じて前記第2信号の伝送電力値を決定する段階と、を含み、前記第1信号は、前記第1無線通信方式を用いて伝送され、前記第2信号は、前記第2無線通信方式を用いて伝送されればよい。
【0040】
前記第2信号の伝送電力値決定段階は、前記受信した第1無線通信チップの通信モードが前記RACH過程を行うモードであれば、前記第2信号の最大伝送電力値及び前記第2信号に対して電力バックオフ(back−off)が可能な最大電力バックオフ値を用いて、前記第2信号の伝送電力値を決定することができる。
【0041】
前記第2信号の伝送電力値は、前記第2信号の最大伝送電力値から、前記第2信号の最大電力バックオフ値を引いた値でよい。
【0042】
前記方法は、測定された前記第1信号の伝送電力値を受信する段階をさらに含み、前記電力値決定段階は、前記受信した第1無線通信チップの通信モードが、前記RACH過程を行うモードである第1通信モードでないと、前記受信した第1信号の伝送電力値に対応する前記第2信号の伝送電力値を決定することができる。
【0043】
前記決定された第2信号の伝送電力値は、前記第2信号の最高伝送電力値から、前記第1信号の伝送電力値によって事前に決定されている電力バックオフ値を引いた値でよい。
【0044】
前記方法は、前記第1無線通信チップの通信モードが、前記基地局との接続のためにランダムアクセスチャネル(Random Access CHannel、RACH)プロセスを行う通信モードであるか否かを決定する通信モード決定段階と、前記決定された通信モード情報を、前記第1無線通信チップの第1伝送モジュールを通じて前記第2受信モジュールに伝送する段階と、をさらに含むことができる。
【0045】
前記方法は、前記第1信号と前記第2信号を同時に伝送する段階をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、端末がSAR規定を満たしながら、同時に互いに異なる周波数帯域で互いに異なる無線通信方式を用いて信号を伝送することが可能になる。
【0047】
本発明によれば、端末が效率的に複数の周波数帯域で互いに異なる無線通信方式を用いて信号を同時に伝送できるように、正確で效率的に電力バックオフ(Back off)量を決定することができ、その結果、余分な電力バックオフを防止することが可能になる。
【0048】
また、本発明によれば、互いに異なる無線通信方式が適用された2つ以上の信号を同時に伝送する場合、特定無線通信チップで予測不可能な伝送電力制御が行われる場合であっても、SARの基準を満たすことが可能になる。
【0049】
また、本発明によれば、互いに異なる無線通信方式が適用された信号を同時に伝送する場合、正確で効率的な伝送電力の制御可能である。具体的に、本発明によれば、インターフェース(例えば、GPIOインターフェース)を用いて、次の信号伝送タイミングに伝送する第1無線通信チップにおける伝送電力を、第2無線通信チップに遅延なく伝達できるため、第2無線通信チップにおいて電力バックオフ時に追加の電力マージンを与えなくて済み、正確な電力バックオフが可能になる。
【0050】
本発明から得られる効果は、以上に言及した効果に制限されず、言及していない他の効果は、下の記載から、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者にとっては明確に理解されるであろう。
【0051】
本発明に関する理解を助けるために詳細な説明の一部として含まれる、添付図面は、本発明の実施例を提供し、詳細な説明と共に本発明の技術的思想を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る端末(100)の好適な構成の一例を示す図である。
【図2】本発明に係る端末(100)の詳細な構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る端末(100)の電力制御手順の好適な一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る端末(100)の電力制御手順の好適な他の例を示すフローチャートである。
【図5】図4に示す本発明に係る端末(100)の電力制御手順に続く手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の他の実施例に係る端末構成を示す図である。
【図7】第1無線通信チップ(610)の通信モード状態(state)の一例を示す図である。
【図8】第1無線通信チップ(610)の通信モード状態の他の例を示す図である。
【図9】第1無線通信チップ(610)の通信モード状態の遷移を示す図である。
【図10】本発明に係る第1無線通信チップ(610)において端末(600)の電力を制御する手順を示す図である。
【図11】本発明に係る第2無線通信チップ(620)において端末(600)の電力を制御する手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、本発明に係る好適な実施形態を、添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。添付の図面と共に以下に開示される詳細な説明は、本発明の例示的な実施形態を説明するためのもので、本発明が実施されうる唯一の実施形態を示すものではない。以下の詳細な説明は、本発明の完全な理解を提供するために具体的な細部事項を含む。しかし、それら具体的な細部事項なしにも本発明の実施が可能であるということが、当業者には明らかである。
【0054】
場合によって、本発明の概念が曖昧になることを避けるために、公知の構造及び装置は省略されてもよく、各構造及び装置の核心機能を中心にしたブロック図の形式で示してもよい。また、本明細書の全体を通じて同一の構成要素については、同一の図面符号を使用して説明する。
【0055】
なお、本発明の説明において、端末は、ユーザ機器(User Equipment、UE)、移動局(Mobile Station、MS)、改善された移動局(Advanced Mobile Station、AMS)、モバイルハンドセット(mobile handset)、移動端末(mobile terminal)等を含め、移動または固定型のユーザが使用するあらゆる通信機器を総称するものとする。また、基地局は、Node B、eNode B、Base Station、AP(Access Point)等を含め、端末と通信するネットワーク端の任意のノードを総称するものとする。
【0056】
無線通信システムにおいて、端末は、基地局からダウンリンク(Downlink)を通じて信号を受信し、アップリンク(Uplink)を通じて信号を伝送することができる。端末が伝送または受信する情報には、データ及び様々な制御情報があり、端末が伝送または受信する情報の種類・用途によって種々の物理チャネルが存在する。
【0057】
本発明でいう「無線通信方式」は、無線接続技術(Radio Access Technology、RAT)方式などの様々な形態と呼ばれてよい。無線通信方式または無線接続技術方式には、例えば、CDMA(Code Division Multiple Access)、WCDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、LTE(Long Term Evolution)などがある。
【0058】
図1は、本発明に係る端末100の好適な構成の一例を示す図である。
【0059】
図1を参照すると、端末100は、第1無線通信チップ(chip)110、第2無線通信チップ120、電力増幅器130、RFフロント−エンド(Front−end)モジュール140及びアンテナ150を含むことができる。
【0060】
無線通信において特定周波数帯域の電波が使用され、第1無線通信チップ110及び第2無線通信チップ120は、信号送信過程において本来の信号(基底帯域(baseband)信号)を高い周波数帯域の信号に変調し、信号受信過程においては、受信した高周波信号を基底帯域信号に復調する機能を果たす。各無線通信チップ110,120は、基底帯域で処理された信号を、高周波数帯域の信号に変調する「RF(Radio Frequency)チップ」にしてもよく、基底帯域信号を処理する基底帯域チップと、信号送受信過程において基底帯域で処理された信号を高周波数帯域に変調したり、受信した信号を低周波数帯域に復調して基底帯域信号として処理するRFチップとを結合した「RF及び基底帯域チップ」にしてもよい。
【0061】
また、第1及び第2無線通信チップ110,120は、図1に示すように、別個のチップとしてもよいが、一つのチップにしてもよい。
【0062】
上述したように、第1無線通信チップ110及び第2無線通信チップ120は、信号送信過程において、本来の信号を高い周波数帯域の信号に処理し、逆に、信号受信過程においては、高い周波数帯域の信号を基底帯域の信号にしつつ変調/復調する機能をそれぞれ果たす。
【0063】
端末100が、異なる無線通信方式が適用された複数の無線通信チップ110,120を介して同時にそれぞれ信号を伝送する必要がある場合、第1無線通信チップ110は、本来の信号を第1周波数帯域の信号にする機能を果たし、同時に、第2無線通信チップ120は、本来の信号を第2周波数帯域の信号にする機能を果たすことができる。すなわち、端末100は、信号送信過程において、第1及び第2無線通信チップ110,120を介して信号を互いに異なる周波数帯域に変調して伝送することができる。一般に、端末100は、第1及び第2無線通信チップ110,120で処理された信号を同時に伝送する場合、互いに異なる周波数帯域を通じて信号を伝送することができる。
【0064】
インターフェース(図示せず)は、第1無線通信チップ110と第2無線通信チップ120間の他、端末100内における構成要素間にも、信号、情報を交換するために連結されている。
【0065】
電力増幅器(Power Amplifier、PA)130は、第1無線通信チップ110、第2無線通信チップ120でそれぞれ処理される(特に、互いに異なる周波数帯域とされる)、受信された信号を増幅する役割を担う。
【0066】
RFフロント−エンド(RF Front−end)モジュール140は、端末100の送受信を自由にさせ、様々な環境で通話を可能にする役割を担うことができる。RFフロント−エンドモジュール140は、端末100内におけるアンテナ150と第1無線通信チップ110及び第2無線通信チップ120を連結することで、送受信信号を分離することができる。そして、RFフロント−エンドモジュール140には、フィルタリング及び増幅の役割を担うモジュールとして、受信信号フィルタリングフィルターを内蔵した受信端フロント−エンドモジュールと、送信信号を増幅する電力増幅器130を内蔵した送信端フロント−エンドモジュールなどがある。このようなRFフロント−エンドモジュール140は、特に、通話時に送信信号と受信信号とを切り替え(switching)して使用すべき時分割多重化接続(TDMA)方式のGSM(Global System for Mobile communications)端末に主に使用される。
【0067】
また、RFフロント−エンドモジュール140は、本発明で説明する端末100のように、多重周波数帯域を通じて信号を伝送するのに使用されてもよい。例えば、RFフロント−エンドモジュール140は、端末100がGSM方式及びW−CDMA方式を同時に用いることを可能にする。このようなRFフロント−エンドモジュール140を使用することによって、端末100の部品数を減少させることができ、端末100の信頼性を高める他、部品間の相互連係(Interconnection)による損失を低減することができる。
【0068】
RFフロント−エンドモジュール140は、電力消耗を減らしてバッテリー消耗を画期的に改善させ、多重周波数帯域、多機能端末の部品小型化を可能にする。図1に示すように、RFフロント−エンドモジュール140は、電力増幅器130から受信した複数の周波数帯域として処理された信号を、アンテナ150を介してそれぞれ伝送することができる。
【0069】
そして、アンテナ150は、外部(例えば、基地局)に信号を伝送し、図1には一つのアンテナとしているが、端末100には複数個のアンテナが存在してもよい。RF(Radio Frequency)モジュールは、基地局などにまたは基地局などから信号を送受信するためのモジュールで、RFフロント−エンドモジュール140及びアンテナ150を含むことができる。
【0070】
図2は、本発明に係る端末100の詳細構成の一例を示すブロック図である。
【0071】
図2を参照すると、本発明に係る端末100における第1無線通信チップ110は、第1伝送電力値測定モジュール111、第1送信モジュール112及び第1受信モジュール113を含むことができる。
【0072】
第1伝送電力値測定モジュール111は、第1無線通信チップ110から伝送される信号(以下、第1信号と略す。)の伝送電力値を測定する。第1伝送電力値測定モジュール111は、端末100から同時に信号が伝送される複数の周波数帯域のうち、電力測定モニタリングの対象となる周波数帯域(例えば、第1無線通信チップ110から伝送される第1信号(あるいは、第1周波数帯域の信号))の伝送電力値を測定することができる。第1伝送電力値測定モジュール111は、図2に示すように、第1無線通信チップ110の内部に位置することができる。しかし、第1無線通信チップ110から伝送される信号の伝送電力値を測定するモジュールは、第1無線通信チップ110の外部に備えられてもよい。この場合には、第1無線通信チップ110から伝送される信号の伝送電力値を、第1無線通信チップ110外部で測定することもできる。
【0073】
第1送信モジュール112は、第1伝送電力値測定モジュール111で測定された伝送電力値情報の他、各種データを、外部(例えば、第2無線通信チップ120)に伝送することができる。また、第1送信モジュール112は、第1伝送電力値測定モジュール111で測定された伝送電力値で第1信号を基地局などに伝送することができる。そして、第1受信モジュール113は、外部から各種のデータを受信することができる。
【0074】
第2無線通信チップ120は、第2伝送電力値決定モジュール121、第2受信モジュール124及び第2送信モジュール125を含むことができる。
【0075】
第2受信モジュール124は、第1送信モジュール112から、第1伝送電力値測定モジュール111で測定された第1信号の伝送電力値情報を受信することができる。また、第1無線通信チップ110から伝送される第1信号の伝送電力値が、第1無線通信チップ110の外部に備えられた測定モジュール(図示せず)により測定された場合には、第2受信モジュール124は、第1無線通信チップ110の外部に備えられた測定モジュール(図示せず)から、第1無線通信チップ110から伝送される第1信号の伝送電力値を受信することができる。また、第2受信モジュール124は、第1受信モジュール111などから各種信号、データ、情報を受信することができる。
【0076】
第2伝送電力値決定モジュール121は、第2受信モジュール124に受信された第1信号の伝送電力値及びあらかじめ定義された電磁波吸収率(Specific Absorption Rate、SAR)条件に基づき、第2無線通信方式を用いる第2無線通信チップ120から伝送される信号(以下、「第2信号」と略す。)の伝送電力値を決定することができる。
【0077】
ここで、あらかじめ定義されたSAR条件とは、米国連邦通信委員会(FCC)、ヨーロッパ電気技術標準化委員会(CENELEC)などにおいて、移動通信端末に対する適合性評価の要求条件として、人体への電子系の露出によって人体に吸収される単位質量当たりの電磁波吸収率を規定した条件のことをいう。上述したように、米国のFCCやヨーロッパのCENELECなどは、SAR条件の基準値において差はあるものの、両者ともSAR条件を移動通信端末の適合性評価の要求条件としているため、端末100はSAR規定を満たさなければならない。そこで、第2伝送電力値決定モジュール121は、第1無線通信方式を用いる第1無線通信チップ110及び第2無線通信方式を用いる第2無線通信チップ120からそれぞれ同時に伝送される信号(すなわち、第1信号及び第2信号)の送信電力の和が、SAR規定に違反しないように、第2無線通信方式を用いる第2無線通信チップ120から伝送される信号の伝送電力値を決定すればいい。
【0078】
この時、第2伝送電力値決定モジュール121は、あらかじめ定義されたSAR条件を満たす他、あらかじめ設定された最大和電力値をさらに用いて、上記第2信号の伝送電力値を決定することができる。ここで、最大和電力値(例えば、ワット(W)単位の値)とは、第1無線通信チップ110から伝送される第1信号と第2無線通信チップ120から伝送される第2信号とが同時に伝送される場合における第1信号及び第2信号の伝送電力値の和が最大となる値のことをいう。以下では、第2伝送電力値決定モジュール121が、あらかじめ設定された最大和電力値をさらに用いて、上記第2信号の伝送電力値を決定する方法について説明する。
【0079】
第2伝送電力値決定モジュール121は、差分値算出モジュール122及び第2伝送電力値設定モジュール123をさらに含むことができる。ここで、差分値算出モジュール122は、上記第1信号の伝送電力値(例えば、ワット単位の値でよい。)と、あらかじめ設定された最大和電力値(例えば、ワット単位の値でよい)との差分値を算出することができる。そして、第2伝送電力値設定モジュール123は、算出された電力値を第2信号の伝送電力値に設定することができる。ここで、差分値算出モジュール122は、上述したように、差分値を、ワット単位の値として算出することができる。また、第2伝送電力値設定モジュール123は、差分値算出モジュール122で算出されたワット単位の差分値に対応するデシベル(dB)単位の値を、上記第2信号の伝送電力値に設定することができる。
【0080】
例えば、あらかじめ設定されたSAR要求条件を、1.3W/kgとしよう。そして、第1伝送電力値測定モジュール111で測定された第1信号の伝送電力値が、0.0064W(18dBm)に該当し、あらかじめ設定された最大和電力値が0.352W(25dBm)であるとしよう。差分値算出モジュール122は、あらかじめ設定された最大和電力値である0.352Wと、測定された第1信号の伝送電力値である0.0064Wとの差に該当する値である0.251Wを算出することができる。
【0081】
これにより、第2伝送電力値設定モジュール123は、差分値算出モジュール122で算出された電力値を、第2信号の伝送電力値に設定することができる。すなわち、第2伝送電力値設定モジュール123は、上記例のように、差分値算出モジュール122で算出された電力値0.251Wを、第2信号の伝送電力値に設定することができる。この時、第2伝送電力値設定モジュール123は、0.251Wに対応するデシベル(dB)単位の値に変換し、該変換された値を第2信号の伝送電力値に設定することができる。
【0082】
すると、第2送信モジュール125は、第2伝送電力値設定モジュール123で設定された0.251W(または、0.251Wに対応するデシベル単位の値)でもって第2信号を伝送することができる。
【0083】
したがって、端末100は、SAR規定を満たしながら、2つ以上の無線通信チップ110,120を介して、互いに異なる無線通信方式が適用された信号を、複数の周波数帯域を通じて同時に伝送することが可能になる。例えば、第1信号が伝送される第1周波数帯域に適用された無線通信方式はCDMA方式であり、第2信号が伝送される第2周波数帯域に適用された無線通信方式はLTEであればよい。このように、端末100は、SAR規定を満たしながら、第1周波数帯域にはCDMA方式が適用された信号を、第2周波数帯域にはLTE方式が適用された信号を、同時に伝送することができる。
【0084】
図3は、本発明に係る端末100の電力制御手順の好適な一例を示すフローチャートである。
【0085】
図3を参照すると、第1伝送電力値測定モジュール111は、第1無線通信チップ110から伝送される第1信号の伝送電力値を測定する(S310)。第1送信モジュール112は、第1伝送電力値測定モジュール111が測定した伝送電力値で第1信号を伝送することができる(S320)。すなわち、第2受信モジュール124は、第1送信モジュール112から、第1伝送電力値測定モジュール111で測定された伝送電力値情報を受信することができる(S320)。
【0086】
その後、第2伝送電力値決定モジュール121は、第2受信モジュール124に受信された第1信号の伝送電力値(すなわち、第1無線通信チップ110から伝送される信号の伝送電力値)及びあらかじめ定義された電磁波吸収率(SAR)条件に基づき、第2無線通信方式を用いる第2無線通信チップ120から伝送される信号(以下、「第2信号」と略す。)の伝送電力値を決定することができる(S330)。特に、第2伝送電力値決定モジュール121は、あらかじめ設定された最大和電力値をさらに用いて第2信号の伝送電力値を決定することができる(S330)。
【0087】
S330段階において第2信号の伝送電力値が決定される過程について簡単に説明する。差分値算出モジュール122は、第1信号の伝送電力値(例えば、ワット単位の値でよい。)と、あらかじめ設定された最大和電力値(例えば、ワット単位の値でよい。)との差分値を算出することができる。そして、第2伝送電力値設定モジュール123は。算出された電力値を、第2信号の伝送電力値に設定することができる。ここで、第2伝送電力値設定モジュール123は、差分値算出モジュール122で算出されたワット単位の差分値に対応するデシベル(dB)単位の値を、第2信号の伝送電力値に設定することができる。
【0088】
その後、第1送信モジュール112及び第2送信モジュール125からそれぞれ第1及び第2信号を同時に伝送することができる(S340)。
【0089】
上述したように、第1無線通信チップ110における第1送信モジュール112は、第1信号の現在伝送電力値を第2無線通信チップ120に伝達する。すると、第2無線通信チップ120では、次の信号伝送タイミングに伝送する信号の伝送電力値を設定するが、この時、第1無線通信チップ110における伝送電力値に該当する時間と、第2無線通信チップ120で決定する伝送電力値に該当する時間との間には、インターフェースを介して伝送される時間及び第2無線通信チップ120におけるプロセシング時間などを合算した分の時間遅延が発生することがある。
【0090】
このような遅延(delay)中において、第1無線通信チップ110における現在伝送電力値が変更される可能性があるから、第2無線通信チップ120では、SAR規定を満たすためには、上記の遅延中において変更可能な第1無線通信チップ110における伝送電力の変化量を、追加電力マージン(margin)として与えなければならない。しかし、このような追加電力マージンにより、伝送電力がより低くなることもあり、正確な電力バックオフができないこともある。
【0091】
そのために、図2に示すように、第1無線通信チップ110は、第1伝送電力値決定モジュール114をさらに含むことができる。第1伝送電力値決定モジュール114は、現在伝送タイミングではなく、次の伝送タイミングで第1無線通信チップ110から伝送される信号の伝送電力値を決定することができる。そして、第1伝送電力値決定モジュール114は、次の伝送タイミングで伝送する、決定された第1信号の伝送電力値に基づき、第2無線通信方式を適用した第2無線通信チップ120から、次の信号伝送タイミングで同時に伝送する第2信号の電力値に対して電力バックオフを行う必要があるかどうかを決定することもできる。
【0092】
第1伝送電力値決定モジュール114は、決定された第1信号の伝送電力値に基づき、第2無線通信チップ120から伝送する第2信号の電力値に対して電力バックオフを行う必要がないと判断されると、第2無線通信チップ120から次の信号伝送タイミングに伝送する信号の電力値に対して電力バックオフを行わなくてよいと決定することができる。このように、第1伝送電力値決定モジュール114により、電力バックオフを行わなくてよいと決定された情報は、第1送信モジュール112に伝達され、送信モジュール112は、インターフェース1ビットを通じて外部(例えば、第2無線通信チップ120、または外部装置あるいはモジュール)に伝送することができる。すなわち、第1伝送電力値決定モジュール114が、第2無線通信チップ120から次の信号伝送タイミングに伝送する信号の電力値に対して電力バックオフを行う必要がないと決定すると、この情報のみを、インターフェース1ビットを通じて外部(例えば、第2無線通信チップ120、または外部装置あるいはモジュール)に伝送することができる。
【0093】
一方、第1伝送電力値決定モジュール114が、決定された第1信号の伝送電力値に基づき、第2無線通信チップから伝送する第2信号の電力値に対して電力バックオフをする必要があると判断すると、第2無線通信チップから次の信号伝送タイミングに伝送される信号に対して電力バックオフを行うと決定することができる。このように、電力バックオフを行う必要があると決定された情報及び上記決定された第1信号の伝送電力値は、第1送信モジュール112伝達され、第1送信モジュール112は、インターフェースを通じて外部(例えば、第2無線通信チップ120、または外部装置あるいはモジュール)に伝送することができる。この時、送信モジュール112は、電力バックオフを行う必要があると決定された情報を、インターフェース1ビットを通じて伝達し、電力バックオフ値または決定された第1信号の伝送電力値は、インターフェースの残りビットを通じて伝送することができる。
【0094】
上述した場合は、主として、GPIOインターフェースの個数が所定個数に制限された場合に該当する。すなわち、GPIOインターフェースの個数が所定個数に制限される場合、第1送信モジュール112は、電力バックオフを行う必要があるか否かに関する情報を、インターフェース1ビット(イネーブル/ディセーブルビット)(enable/disable bit)を通じて伝達する。もし、電力バックオフを行う必要がある場合は、第1送信モジュール112は、電力バックオフ値または決定された第1信号の伝送電力値を、インターフェースの残りビットを通じて伝送する。
【0095】
一方、多くのGPIOインターフェースの個数を使用できる場合においては、第1送信モジュール112は、第1伝送電力値決定モジュール114が決定した第1信号の伝送電力値を、一つ以上のインターフェースを通じて外部(例えば、第2受信モジュール124)に伝送することができる。
【0096】
インターフェースは、第1無線通信チップ110と第2無線通信チップ120間の信号、情報を交換するために連結されている。インターフェースの一例に、GPIO(General Purpose Input Output)インターフェースがある。GPIOは、汎用IOという意味を有するもので、リセット(Reset)やグラウンド(Ground)、クロック(Clock)ピンのように、ある特殊な目的として割り当てられたものではなく、プログラムにおいてどのように設定するかによって、その機能を様々な用途に使用できるピンのことをいう。GPIOを用いると、キー入力を受けたり、特定装置を制御したりすることができ、ソフトウェアにおいて何らかの特定の状況が起きた時、特定装置を動作させることができる。
【0097】
GPIOは、通常、入力と出力の2モードのピン状態が存在するが、両モードが同時に存在することはない。入力なのか或いは出力なのかは、プログラマーが設定することが一般的である。したがって、プログラマーは、使用するGPIOに対する設定を必ず行う必要がある。最近使用される32ビットMCUは、GPIOが最小30個から最大200個まで機能を支援する。したがって、たとえピンが40個しかないMCUであっても、200個の機能を支援することができる。1個のGPIOが多数の機能を支援するわけである。
【0098】
第2無線通信チップ120における第2受信モジュール124は、第1送信モジュール112から、第1伝送電力値決定モジュール114で決定された情報を、インターフェースを通じて受信することができる。ここで、第2受信モジュール124は、第1無線通信チップ110の外部の電力値測定装置あるいはモジュールに存在し、別のインターフェースなどを通じて第1無線通信チップ110から伝送した信号の測定された電力値を受信してもよい。
【0099】
GPIOインターフェースの個数が所定個数に制限される場合には、第2受信モジュール124は、電力バックオフを行う必要があるか否かに関する情報を、インターフェース1ビット(enable/disable bit)を通じて受信する。もし、電力バックオフを行う必要がある場合には、第2受信モジュール124は、電力バックオフ値または決定された第1信号の伝送電力値を、インターフェースの残りビットを通じて受信することができる。
【0100】
一方、多くのGPIOインターフェースの個数を使用できる場合では、第2受信モジュール124は、第1伝送電力値決定モジュール114で決定された第1信号の伝送電力値を、一つ以上のインターフェースを通じて受信することができる。
【0101】
第2伝送電力値決定モジュール121は、第2受信モジュール124に受信された第1信号の伝送電力に関する情報に基づき、第2無線通信チップ120から次の信号伝送タイミングに伝送する第2信号の伝送電力値を決定することができる。
【0102】
多くのGPIOインターフェースの個数を使用できる場合では、第2伝送電力値決定モジュール121は、第2受信モジュール124に受信された第1信号の電力値及び該受信した第1信号の電力値に対応するあらかじめ設定された電力バックオフ値を用いて、第2無線通信チップ120から次の信号伝送タイミングに第1信号と同時タイミングに伝送する第2信号の伝送電力値を決定することができる。
【0103】
ここで、あらかじめ設定された電力バックオフ値は、第1及び第2無線通信チップ110,120からそれぞれ第1及び第2信号を次の信号伝送タイミングに同時に伝送する場合に、あらかじめ定義された電磁波吸収率(SAR)条件を満たすように決定されている。すなわち、第2無線通信チップ120から次のタイミングに伝送する第2信号に割り当てる伝送電力値は、第1無線通信チップ110から次のタイミングに伝送する第1信号に対して設定された電力値に基づいて電力バックオフを行って決定する。
【0104】
下記の表1は、端末100において、互いに異なる無線通信方式が適用された複数の無線通信チップ110,120から同時に信号を伝送する場合に可能な伝送電力値(単位は、dBm)の一例を表すものである。
【0105】
【表1】
【0106】
表1を参照すると、ここで、各無線通信チップ110,120において伝送可能な最大伝送電力値はあらかじめ設定されていればよく、例えば、23dBmでよい。端末100における、互いに異なる無線通信方式が適用された複数の無線通信チップ110,120のそれぞれは、最大23dBmの電力値で信号を伝送することができる。しかし、複数の無線通信チップ110,120から同時に23dBmの大きさで信号を伝送すると、SAR規定に違反することになる。したがって、第1無線通信チップ110から次のタイミングに伝送する信号の設定された電力値が、最大伝送電力値である23dBmであれば、第2無線通信チップ120から伝送する電力値は、23dBmより小さくなければならない。すなわち、SAR規定を満たすように、第1無線通信チップ110の伝送電力値に基づき、第2無線通信チップ120の伝送電力値は、最大伝送電力値から電力バックオフされる必要がある。
【0107】
下記の表2は、SAR条件を満たすように、第1無線通信チップ110の伝送電力値に基づいて決定される第2無線通信チップ120の伝送電力値の一例を表すものである。
【0108】
【表2】
【0109】
表2のように、SAR条件を満たすような、第1及び第2無線通信チップ110,120における伝送信号の伝送電力値を、あらかじめ設定しておくことができる。例えば、表2のように、第1無線通信チップ110における次の信号伝送タイミングに伝送する第1信号伝送電力値が、最高伝送電力値である23dBmであれば、第2伝送電力値決定モジュール121は、第2無線通信チップ120から次の信号伝送タイミングに伝送する第2信号の伝送電力値に対して電力バックオフを行い、伝送する信号の電力値を18dBmと決定することができる。すなわち、この場合、第2伝送電力値決定モジュール121は、最高伝送電力値である23dBmから5dBm分の電力バックオフを行い、伝送する信号の電力値を18dBmと決定する。すなわち、電力バックオフされた値は、5dBmである。
【0110】
第1無線通信チップ110及び第2無線通信チップ120から同時に信号を伝送する場合、第1無線通信チップ110は、CDMA方式を適用して信号を伝送するチップであり、第2無線通信チップ120は、LTE方式を適用して信号を伝送するチップであるとすれば、第1無線通信チップ110では主に音声信号を、第2無線通信チップ120では主にデータ信号を伝送するようになる。端末100が音声及びデータ信号を同時に送信する場合、通常、伝送電力の観点からは、音声信号を伝送する無線通信に優先順位があるので、第2伝送電力値決定モジュール122は、第1無線通信チップ110から次のタイミングに伝送する第1信号の電力値に基づき、第2無線通信チップ120から次のタイミングで 同時に伝送する信号の伝送電力値を決定することができる。もちろん、その逆の場合も可能である。
【0111】
第2伝送電力値決定モジュール121は、表2に示すように、第2無線通信チップ120から伝送する信号の電力をバックオフする値を決定し、それによって伝送電力値を決定することができる。そして、第1送信モジュール112及び第2送信モジュール125はそれぞれ、第1伝送電力値決定モジュール114が決定した第1伝送電力値及び第2伝送電力値決定モジュール121が決定した第2伝送電力値で、次の伝送タイミングに信号を同時に伝送することができる。
【0112】
GPIOインターフェースの個数が所定個数に制限される場合には、第2伝送電力値決定モジュール121は、第2受信モジュール124がインターフェース1ビット(enable/disable bit)を通じて受信した、電力バックオフを行う必要があるか否かに関する情報に基づき、電力バックオフが必要がある場合にのみ電力バックオフを行い、次の信号伝送タイミングに伝送する第2信号の伝送電力値を決定する。すなわち、第2伝送電力値決定モジュール121は、電力バックオフが必要であるという内容の情報が、インターフェースのイネーブルビット(1ビット)を通じて第2受信モジュール124に受信された場合にのみ、電力バックオフを行い、第2信号の伝送電力値を決定する。もし、電力バックオフを行う必要がないという内容の情報が、インターフェースディセーブルビット(1ビット)を通じて受信モジュール124に受信されると、第2伝送電力値決定モジュール121は、次の信号伝送タイミングに伝送する第2信号の電力値に対して電力バックオフを行わない。このような場合には、第2伝送電力値決定モジュール121は、第2信号の次のタイミング伝送電力値を、最大伝送電力値(例えば、23dBm)と決定することができる。
【0113】
以上では、第2受信モジュール124及び第2伝送電力値決定モジュール121が第2無線通信チップ120内に具現されるとして説明したが、第2受信モジュール124及び第2伝送電力値決定モジュール121は、別個の装置あるいはモジュールに具現されてもよい。
【0114】
図4は、本発明に係る端末100における電力制御手順の好適な他の例を示すフローチャートである。
【0115】
図4を参照すると、第1無線通信チップ110は、第2無線通信チップ120と信号、情報交換のためのインターフェース(例えば、GPIO)の個数が所定個数以上であるか否かを判断する(S410)。インターフェースの個数が所定個数以上であるか否かによって、端末100の電力を制御する方法を異ならせることができる。
【0116】
インターフェースの個数が所定個数以上であれば(すなわち、数多くのインターフェースを使用できる場合であれば)(S410)、第1伝送電力値決定モジュール114は、現在ではなく次の信号伝送タイミングに伝送する第1信号の伝送電力値を決定することができる(S420)。または、第1伝送電力値決定モジュール114は、次の信号伝送タイミングに伝送する第1信号の伝送電力値に基づき、第2無線通信チップから伝送する信号に対して電力バックオフしなければならない電力バックオフ値を決定することができる(S420)。すると、第1送信モジュール112は、決定された次のタイミングにおける第1信号の伝送電力値または電力バックオフ値を、外部(例えば、第2無線通信チップ120、または外部装置あるいはモジュール)に伝送することができる(S430)。
【0117】
一方、インターフェースの個数が所定個数以下であれば(すなわち、インターフェースの使用可能な個数に制限がある場合であれば)(S410)、第1伝送電力値決定モジュール114は、次の信号伝送タイミングに伝送する第1信号の伝送電力値を設定することができる(S440)。そして、第1伝送電力値決定モジュール114は、設定された第1信号の伝送電力値に基づき、第2無線通信チップ120から同時に次の信号伝送タイミングに伝送する第2信号の伝送電力値に対して電力バックオフを行う必要があるか否かを判断することができる(S450)。もし、第1伝送電力値決定モジュール114が、電力バックオフを行う必要がないと判断すると(S450)、第1送信モジュール112は、次の信号伝送タイミングに伝送する第2信号に対して電力バックオフが必要でないという内容の情報を、外部(例えば、第2無線通信チップ120、または外部装置あるいはモジュール)に伝送することができる(S460)。一方、第1伝送電力値決定モジュール114が、電力バックオフを行う必要があると判断すると(S450)、第1送信モジュール112は、決定された第1信号の伝送電力値、及び第2信号に対して電力バックオフを行う必要があるという情報を、外部に伝送することができる(S470)。
【0118】
図5は、図4に示す本発明に係る端末100の電力制御手順に続く過程を示すフローチャートである。
【0119】
第2受信モジュール124は、第2無線通信チップ120から次の信号伝送タイミングに伝送する第2信号に対して電力バックオフを行う必要がないという内容の情報を受信することがある(S510)。すると、第2伝送電力値決定モジュール121は、電力バックオフを行わない。特に、この場合、第2伝送電力値決定モジュール121は、次の信号伝送タイミングに伝送する第2信号の伝送電力値として、第2無線通信チップ120における最大伝送電力値を割り当てることができる。
【0120】
一方、第2受信モジュール124は、インターフェースを通じて、第1無線通信チップ110から次の信号伝送タイミングに伝送するように決定された第1信号の伝送電力値を受信することがある(S530)。この場合、第2伝送電力値決定モジュール121は、第2受信モジュール124に受信された第1信号の伝送電力値を用いて、次のタイミングに伝送する第2信号の伝送電力値を決定することができる(S540)。この時、第2伝送電力値決定モジュール121は、第1信号の伝送電力値に基づき、あらかじめ設定された第2信号の最大伝送電力値に対して電力バックオフを行う方式により、次のタイミングに伝送する第2信号の伝送電力値を決定することができる(S540)。
【0121】
図6は、本発明の他の実施例に係る端末構成の一例を示す図である。
【0122】
図6を参照すると、端末600は、第1無線通信チップ610、第2無線通信チップ620、インターフェース630、RFフロント−エンド(Front−end)モジュール640、及びアンテナ650を含むことができる。特に、本実施例では、第1無線通信チップ610が、通信モード決定モジュール611、電力値測定モジュール612、第1送信モジュール613及び第1受信モジュール614を含むことができる。また、第2無線通信チップ620は、第2受信モジュール621、第2伝送電力値決定モジュール622及び第2送信モジュール623を含むことができる。
【0123】
第1無線通信チップ610における通信モード決定モジュール611は、第1無線通信チップ610が動作する通信モードが、基地局との接続のためのランダムアクセスチャネル(Random Access CHannel、RACH)過程を行う通信モードであるか否かを決定する。
【0124】
図7は、第1無線通信チップ610の通信モード状態(state)の一例を示す図である。
【0125】
図7を参照すると、第1無線通信チップ610の通信モード状態は、大きく、RACH状態と、RACH状態でない普段の状態(normal state)とに区別される。第1無線通信チップ610は、普段の状態(normal state)710において、基地局と正常の音声信号を送受信する。このような普段の状態710において、第1無線通信チップ610は、ランダムアクセスチャネル(RACH)過程が必要であると判断すると、RACH状態720に遷移させることができる。RACH状態720に遷移すると、基地局に接続していない端末600の第1無線通信チップ610が、基地局へと接続を試みるために、ランダムアクセス(Random Access)(特に、CDMAチップは、Slotted ALOHA Random Access)方式を用いてプローブ(probe)を伝送する。プローブ伝送に失敗した場合、第1無線通信チップ610は、接続に成功するまで、プローブ出力を漸次上げつつ繰り返してプローブを伝送する。第1無線通信チップ610が接続チャネルを伝送する際に、基地局との同期獲得のためのプリアンブルパートにメッセージパートを付して同時に伝送することができる。このような方式は、基地局にプリアンブルが正常に受信されなかったため、メッセージ受信可能性がないにもかかわらず、メッセージが伝送されるから、無線区間干渉が増加し、無線容量の減少につながる。
【0126】
第1無線通信チップ610は、基地局から応答があるまでプローブを繰り返し伝送する。図7では、プローブ出力を最大まで上げる反復を2回行うことが示されているが、これは、基地局の応答があるまで繰り返すことができる。すなわち、RACH状態720において、第1無線通信チップ610は、出力(送信出力)を漸次増加させつつプローブを伝送する。
【0127】
基地局から応答があり、再び普段の状態(normal state)730に遷移する必要があると判断されると、第1無線通信チップ610は、再び普段の状態730に遷移することができる。この時、図7に示すように、RACH状態720以降に逆方向トラフィック(reverse traffic)がない場合には、第1無線通信チップ610は、RACH状態完了後に直ちに普段の状態730に遷移する。
【0128】
図8は、第1無線通信チップ610の通信モード状態(state)の他の例を示す図である。
【0129】
図8を参照すると、第1無線通信チップ610の通信モード状態は、大きく、RACH状態820と、RACH状態でない普段の状態(normal state)810,830とに区別される。図7の場合とは違い、RACH状態820以降に逆方向トラフィックがある場合には、第1無線通信チップ610は、トラフィックを伝送してから特定時間後に(例えば、最小1ms後に)、RACH状態820を完了させ、普段の状態に遷移することができる。
【0130】
図9は、第1無線通信チップ610の通信モード状態の遷移を示す図である。
【0131】
図9を参照すると、第1無線通信チップ610が、基地局と信号、情報を交換する普段の状態にある途中において、信号の強度が弱くなったりして基地局との接続が切れた場合には、RACH状態(または、予測不可能な状態(unexpected state))に遷移する。そして、第1無線通信チップ610が、RACH状態において基地局から応答を受けると、普段の状態に再び遷移することができる。
【0132】
RACH状態以降に逆方向トラフィックがない場合には、第1無線通信チップ610は、RACH状態完了の直後に普段の状態に遷移する。しかし、RACH状態以降に逆方向トラフィックがある場合には、第1無線通信チップ610は、逆方向トラフィックが伝送されてから最小1ms経過した後に、普段の状態に遷移することになる。
【0133】
このように、通信モード決定モジュール611は、第1無線通信チップ610が現在動作する通信モードが、基地局との接続のためのRACH状態モードであるか、あるいは、普段の状態モードであるかを決定する。
【0134】
電力値測定モジュール612は、第1無線通信チップ610において第1無線通信方式(例えば、CDMA)の適用された信号が伝送される伝送電力値を測定する。電力値測定モジュール612は、互いに異なる無線通信方式を適用した2つ以上の信号を同時に伝送する必要がある場合に、伝送電力値を測定することができる。この時、電力値測定モジュール612は、互いに異なる無線通信方式を適用した2つ以上の信号を同時に伝送している間においては、一定周期で伝送電力値を測定することができる。
【0135】
ここで、第1無線通信チップ610の内部における電力値測定モジュール612が、第1無線通信チップ610から伝送した信号の伝送電力を測定するとして説明しているが、これに制限されるわけではない。すなわち、第1無線通信チップ610の外部における電力値測定装置あるいはモジュール(図示せず)が、第1無線通信チップ610から伝送する信号の伝送電力値を測定してもよい。
【0136】
第1送信モジュール613は、通信モード決定モジュール611が決定した通信モード情報を、インターフェース630を通じて、第1無線通信チップ110の外部(例えば、第2無線通信チップ620、または外部装置あるいはモジュール)に伝送することができる。また、第1送信モジュール613は、電力値測定モジュール612で測定された第1無線通信チップ610の伝送電力値を、第1無線通信チップ610の外部(例えば、第2無線通信チップ620、または外部装置あるいはモジュール)に伝送することができる。第1受信モジュール614は、第1無線通信チップ610の内部または外部から各種データ、情報などを受信することができる。
【0137】
第2無線通信チップ620における第2受信モジュール621は、第1送信モジュール613から、通信モード決定モジュール611で決定された通信モード情報を、インターフェース630を通じて受信することができる。また、第2受信モジュール621は、電力値測定モジュール612で測定された第1無線通信チップ610の伝送電力値を、第1送信モジュール613からインターフェース630を通じて受信することができる。他の例として、第2受信モジュール621は、第1無線通信チップ610の外部の電力値測定装置あるいはモジュールに存在して別のインターフェースなどを通じて第1無線通信チップ610から伝送した信号の測定された電力値を受信することもできる。
【0138】
第2伝送電力値決定モジュール622は、第1無線通信チップ610及び第2無線通信方式を適用した信号を伝送する第2無線通信チップ620から同時に信号を伝送する場合に、第2無線通信チップ620から伝送する信号の電力値を決定することができる。この時、第2伝送電力値決定モジュール622は、第2受信モジュール621に受信された第1無線通信チップ610の通信モード状態に関する情報に基づき、第2無線通信チップ120から伝送する信号の伝送電力値を決定することができる。
【0139】
第2伝送電力値決定モジュール622は、第2受信モジュール621に受信された第1無線通信チップ610の通信モード状態が、RACH過程を行う通信モードであれば、第2無線通信チップ620から伝送する信号の最大伝送電力値と、第2無線通信チップ620から伝送する信号の最大電力バックオフ値を用いて、第2無線通信チップ620から伝送する信号の伝送電力値を決定することができる。
【0140】
特に、第2伝送電力値決定モジュール622は、第2無線通信チップ620から伝送する信号の最大伝送電力値から、第2無線通信チップ620から伝送する信号の最大電力バックオフ値を引いた値を、第2無線通信チップ620から伝送する信号の伝送電力値と決定することができる。ここで、第2無線通信チップ620から伝送する信号の最大電力バックオフ値は、あらかじめ設定されていればよい。例えば、第2無線通信チップ620から伝送する信号の最大電力バックオフ値は、4dBmまたは5dBmでよい。
【0141】
また、第2伝送電力値決定モジュール622は、第2受信モジュール621に受信された第1無線通信チップ610の通信モード状態が、RACH過程を行う通信モードでないと、第2受信モジュール621に受信された、第1無線通信チップ610から伝送されたり伝送する信号の伝送電力値に対応する、第2無線通信チップ620から伝送する信号の伝送電力値を決定することができる。すなわち、第2伝送電力値決定モジュール622は、第2無線通信チップ620から伝送する信号の伝送電力値を、第2無線通信チップ620から伝送する信号の最高伝送電力値から、第1無線通信チップ610から伝送された信号に対して測定した伝送電力値によって事前に決定されている電力バックオフ値を引いた値に決定することができる。電力バックオフを行う方法は、上記表1及び表2に関する説明と略同様である。第2無線通信チップ620から伝送する第2信号の伝送電力値は、第1無線通信チップ610から伝送された第1信号に対して測定した伝送電力値に対応する事前に決定された電力バックオフ値を、第2信号の最高伝送電力値から引いて算出された値と決定することができる。
【0142】
第1無線通信チップ610及び第2無線通信チップ620から同時に信号を伝送する場合、第1無線通信チップ610は、CDMA方式を適用して信号を伝送するチップとし、第2無線通信チップ620は、LTE方式を適用して信号を伝送するチップとすれば、第1無線通信チップ610では主に音声信号を、第2無線通信チップ620は主にデータ信号を伝送するようになる。端末600が音声及びデータ信号を同時に送信する場合、通常、伝送電力の観点からは、音声信号を伝送する無線通信に優先順位があるため、第2伝送電力値決定モジュール622は、第1無線通信チップ610から信号を伝送した電力値に基づき、第2無線通信チップ620から伝送する信号の伝送電力値を決定する。第2伝送電力値決定モジュール622は、上記の表2に示す値のように、第2無線通信チップ620から伝送する信号の電力をバックオフする値を決定し、これによって伝送電力値を決定することができる。
【0143】
すると、第2送信モジュール623は、電力値決定モジュール621で決定された電力値で信号を外部に伝送することができる。
【0144】
以上では、第2受信モジュール621及び第2伝送電力値決定モジュール622が、第2無線通信チップ内に具現されるとして説明したが、第2受信モジュール621及び第2伝送電力値決定モジュール622は、別個の装置あるいはモジュールで具現されてもよい。
【0145】
インターフェース630は、第1無線通信チップ610と第2無線通信チップ620との間の信号や情報を交換するために連結されている。インターフェース630の一例には、GPIOがある。電力増幅器(PA)(図示せず)は、第1無線通信チップ610、第2無線通信チップ620でそれぞれ処理されて(特に、互いに異なる周波数帯域とされて)受信された信号を増幅する役割を果たす。RFフロント−エンドモジュール640は、端末600の送受信を自由にし、様々な環境で通話を可能にする役割を果たすもので、図1で説明した端末100におけると同一の機能を担当する。
【0146】
図10は、本発明に係る第1無線通信チップ610において端末600の電力を制御する過程を示す図である。
【0147】
図10を参照すると、第1無線通信チップ610における通信モード決定モジュール611は、第1無線通信チップ610が現在行う通信モードを決定する(S1010)。通信モード決定モジュール611は、現在第1無線通信チップ610の通信モードがRACH状態モードであると判断すると(S1020)、第1送信モジュール613は、決定された通信モードに関する情報を、インターフェース630を通じて、外部(例えば、第2無線通信チップなど)に伝送する(S1030)。しかし、通信モード決定モジュール611は、現在第1無線通信チップ610の通信モードがRACH状態モードでないと判断すると(S1020)、電力値測定モジュール612は、第1無線通信チップ610から伝送した信号の電力値を測定する(S1040)。その後、第1送信モジュール613は、決定された通信モードに関する情報及び測定された電力値情報を、外部(例えば、第2無線通信チップなど)に伝送する(S1050)。
【0148】
図11は、本発明に係る第2無線通信チップ620において端末600の電力を制御する過程を示す図である。
【0149】
図11を参照すると、第2受信モジュール621は、第1送信モジュール613から、通信モード情報及び第1無線通信チップ610から伝送された信号の電力値を、インターフェース630を通じて受信する(S1110)。第2伝送電力値決定モジュール622は、第2受信モジュール621に受信された第1無線通信チップ610の通信モード情報がRACH状態モードと判断されると(S1120)、第2伝送電力値決定モジュール622は、第2無線通信チップ620から伝送する信号の最大伝送電力値と、第2無線通信チップ620から伝送する信号の最大電力バックオフ値を用いて、第2無線通信チップ620から伝送する信号の伝送電力値を決定することができる(S1130)。特に、第2伝送電力値決定モジュール622は、第2無線通信チップ620から伝送する信号の最大伝送電力値から、第2無線通信チップ620から伝送する信号の最大電力バックオフ値を引いた値を、第2無線通信チップ620から伝送する信号の伝送電力値と決定することができる。ここで、第2無線通信チップ620から伝送する信号の最大電力バックオフ値は、あらかじめ設定されていればよい(S1130)。
【0150】
一方、第2伝送電力値決定モジュール622は、第2受信モジュール621に受信された第1無線通信チップ610の通信モード状態が、RACH過程を行う通信モードでないと判断されると(S1120)、第2伝送電力値決定モジュール622は、第1無線通信チップ610から伝送されたり伝送する信号の伝送電力値に対応する、第2無線通信チップ620から伝送する信号の伝送電力値を決定することができる(S1140)。すなわち、第2伝送電力値決定モジュール622は、第2無線通信チップ620から伝送する信号の伝送電力値を、第2無線通信チップ620から伝送する信号の最高伝送電力値から、第1無線通信チップ610から伝送された信号に対して測定した伝送電力値によって電力バックオフしなければならない事前に決定されている電力バックオフ値を引いた値に決定することができる(S1140)。
【0151】
本発明に係る実施例は、様々な手段、例えば、ハードウェア、ファームウェア(firmware)、ソフトウェアまたはそれらの結合などにより具現することができる。
【0152】
ハードウェアによる具現の場合、本発明の一実施例は、一つまたはそれ以上のASICs(application specific integrated circuits)、DSPs(digital signal processors)、DSPDs(digital signal processing devices)、PLDs(programmable logic devices)、FPGAs(field programmable gate arrays)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサなどにより具現することができる。
【0153】
ファームウェアやソフトウェアによる具現の場合、本発明の一実施例は、以上で説明された機能または動作を行うモジュール、手順または関数などの形態とすることができる。例えば、ソフトウェアコードは、メモリーユニットに記憶され、プロセッサにより駆動されることができる。メモリーユニットは、プロセッサの内部または外部に設けられて、公知の様々な手段によりプロセッサとデータを交換することができる。
【0154】
以上説明された実施例は、本発明の構成要素及び特徴を所定の形態で結合したものである。各構成要素または特徴は、別の明示的な言及がない限り、選択的なものとして考慮することができる。各構成要素または特徴は、他の構成要素や特徴と結合しない形態で実施することもできる。また、一部の構成要素及び/または特徴を結合して本発明の実施例を構成することができる。本発明の実施例で説明される動作の順序は変更可能である。ある実施例の一部構成や特徴は、他の実施例に含まれることもでき、他の実施例の対応する構成または特徴に取って代わることもできる。なお、特許請求の範囲で明示的な引用関係を有しない請求項を結合して実施例を構成したり、出願後の補正により新しい請求項として含めることができるということは明らかである。
【0155】
本発明は、本発明の技術的思想及び必須特徴を逸脱しない範囲で他の特定の形態に具体化可能であるということは、当業者にとっては明らかである。したがって、上記の詳細な説明は、いずれの面においても制約的に解析されてはならず、例示的なものとして考慮されなければならない。本発明の範囲は、添付した請求項の合理的な解析により決定されるべきであり、よって、本発明の等価的範囲内における変更はいずれも本発明の範囲に含まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ以上の無線通信方式を用いる無線通信システムにおいて端末を通じて複数の信号を同時に伝送する方法であって、
前記端末における第1無線通信チップから伝送される第1信号の伝送電力値を、前記端末における第2無線通信チップの第2受信モジュールを通じて受信する段階と、
前記受信した第1信号の伝送電力値及びあらかじめ定義された電磁波吸収率条件に基づき、第2信号の伝送電力値を、第2無線通信チップにおける第2伝送電力値決定モジュールを通じて決定する段階と、
を含み、
前記第1信号は、前記第1無線通信方式を用いて伝送され、前記第2信号は、前記第2無線通信方式を用いて伝送される、複数の信号を同時に伝送する方法。
【請求項2】
前記第2信号の伝送電力値を決定する段階は、あらかじめ設定された最大和電力値をさらに用いて前記第2信号の伝送電力値を決定する、請求項1に記載の複数の信号を同時に伝送する方法。
【請求項3】
前記第2信号の伝送電力値を決定する段階は、
前記第2伝送電力値決定モジュールの差値算出モジュールを通じて前記第1信号の伝送電力値と前記あらかじめ設定された最大和電力値との差値を算出する段階と、
前記第2伝送電力値決定モジュールの第2伝送電力値設定モジュールを通じて前記第1信号の伝送電力値と前記あらかじめ設定された最大和電力値間における算出された電力値を、第2信号の伝送電力値に設定する段階と、
をさらに含む、請求項2に記載の複数の信号を同時に伝送する方法。
【請求項4】
前記第1信号の伝送電力値と前記あらかじめ設定された最大和電力値との差値は、ワット単位で算出し、
前記第2信号の伝送電力値は、前記ワット単位で算出された差値に対応するデシベル単位の値に設定する、請求項3に記載の複数の信号を同時に伝送する方法。
【請求項5】
前記あらかじめ設定された最大和電力値は、前記第1及び第2信号の電力値和の最大値である、請求項2に記載の複数の信号を同時に伝送する方法。
【請求項6】
前記受信した第1信号の伝送電力値は、次の伝送タイミングで伝送される前記第1信号の伝送電力値である、請求項1に記載の複数の信号を同時に伝送する方法。
【請求項7】
無線通信システムにおける端末装置であって、
端末の第1無線通信チップから伝送される第1信号の伝送電力値を受信する第2無線通信チップの第2受信モジュールと、
前記受信した第1信号の伝送電力値及びあらかじめ定義された電磁波吸収率条件に基づき、第2無線通信チップから伝送される第2信号の伝送電力値を決定する、前記第2無線通信チップの第2伝送電力値決定モジュールと、
を含み、
前記第1無線通信チップは、前記第1無線通信方式を用いて前記第1信号を伝送するように構成され、前記第無線通信チップは、前記第2無線通信方式を用いて前記第2信号を伝送するように構成される、端末装置。
【請求項8】
前記第2伝送電力値決定モジュールは、あらかじめ設定された最大和電力値を用いて前記第2信号の伝送電力値を決定する、請求項7に記載の端末装置。
【請求項9】
前記第2伝送電力値決定モジュールは、
前記第1信号の伝送電力値と前記あらかじめ設定された最大和電力値との差値を算出する差値算出モジュールと、
前記第1信号の伝送電力値と前記あらかじめ設定された最大和電力値間における算出された電力値を、第2信号の伝送電力値に設定する第2伝送電力値設定モジュールと、
をさらに含む、請求項8に記載の端末装置。
【請求項10】
前記差値算出モジュールは、前記第1信号の伝送電力値と前記あらかじめ設定された最大和電力値との差値を、ワット単位で算出し、
前記第2伝送電力値設定モジュールは、前記ワット単位で算出された差値に対応するデシベル単位の値を、前記第2信号の伝送電力値に設定する、請求項9に記載の端末装置。
【請求項11】
前記あらかじめ設定された最大和電力値は、前記第1及び第2信号の電力値和の最大値である、請求項8に記載の端末装置。
【請求項12】
前記第1信号の伝送電力値を測定する前記第1無線通信チップにおける第1伝送電力値測定モジュールをさらに含み、
前記第2受信モジュールは、前記測定された第1信号の伝送電力値を、前記第1無線通信チップの第1伝送モジュールまたは前記第1無線通信チップの外部から受信する、請求項7に記載の端末装置。
【請求項13】
無線通信システムにおける端末装置であって、
第1無線通信チップが第1信号を伝送する時に、前記第1無線通信チップが、基地局との接続のためのランダムアクセスチャネル(RACH)プロセスを行う通信モードであるか否かを示す通信モード情報を受信する第2無線通信チップの第2受信モジュールと、
前記第1無線通信チップによる前記第1信号及び前記第2無線通信チップによる前記第2信号が同時に伝送される時に、前記受信した通信モード情報に基づき、前記第2信号の伝送電力値を決定する電力値決定モジュールと、
を含み、
前記第1無線通信チップは、前記第1無線通信方式を用いて前記第1信号を伝送し、前記第2無線通信チップは、前記第2無線通信方式を用いて前記第2信号を伝送する、端末装置。
【請求項14】
前記電力値決定モジュールは、前記受信した第1無線通信チップの通信モードが前記RACHプロセスを行うモードであれば、前記第2信号の最大伝送電力値、及び前記第2信号に対して電力バックオフが可能な最大電力バックオフ値を用いて、前記第2信号の伝送電力値を決定する、請求項13に記載の端末装置。
【請求項15】
前記第2信号の伝送電力値は、前記第2信号の最大伝送電力値から前記第2信号の最大電力バックオフ値を引いて決定される、請求項14に記載の端末装置。
【請求項16】
前記第1無線通信チップの通信モードが、前記基地局との接続のためにランダムアクセスチャネルプロセスを行う通信モードであるか否かを決定する通信モード決定モジュールと、
前記決定された通信モード情報を前記第2受信モジュールに伝送する第1送信モジュールと、
をさらに含む、請求項14に記載の端末装置。
【請求項17】
2つ以上の無線通信方式を用いる無線通信システムにおいて端末を通じて複数の信号を同時に伝送する方法であって、
第1無線通信チップが基地局との接続のためのランダムアクセスチャネル(RACH)プロセスを行う通信モードであるか否かを示す通信モード情報を、前記端末の第2無線通信チップの第2受信モジュールを通じて受信する段階と、
前記第1無線通信チップによる前記第1信号と前記第2無線通信チップによる前記第2信号が同時に伝送される時に、前記受信した通信モード情報に基づき、前記第2無線通信チップの電力値決定モジュールを通じて前記第2信号の伝送電力値を決定する段階と、
を含み、
前記第1信号は、前記第1無線通信方式を用いて伝送され、前記第2信号は、前記第2無線通信方式を用いて伝送される、複数の信号を同時に伝送する方法。
【請求項18】
前記第2信号の伝送電力値決定段階は、前記受信した第1無線通信チップの通信モードが前記RACHプロセスを行うモードであると、前記第2信号の最大伝送電力値、及び前記第2信号に対して電力バックオフが可能な最大電力バックオフ値を用いて、前記第2信号の伝送電力値を決定する、請求項17に記載の複数の信号を同時に伝送する方法。
【請求項19】
前記第2信号の伝送電力値は、前記第2信号の最大伝送電力値から、前記第2信号の最大電力バックオフ値を引いた値である、請求項18に記載の複数の信号を同時に伝送する方法。
【請求項20】
前記第1無線通信チップの通信モードが、前記基地局との接続のためにランダムアクセスチャネルプロセスを行う通信モードであるか否かを、通信モード決定モジュールを通じて決定する通信モード決定段階と、
前記決定された通信モード情報を、前記第1無線通信チップの第1伝送モジュールを通じて前記第2受信モジュールに伝送する段階と、
をさらに含む、請求項17に記載の複数の信号を同時に伝送する方法。
【請求項1】
2つ以上の無線通信方式を用いる無線通信システムにおいて端末を通じて複数の信号を同時に伝送する方法であって、
前記端末における第1無線通信チップから伝送される第1信号の伝送電力値を、前記端末における第2無線通信チップの第2受信モジュールを通じて受信する段階と、
前記受信した第1信号の伝送電力値及びあらかじめ定義された電磁波吸収率条件に基づき、第2信号の伝送電力値を、第2無線通信チップにおける第2伝送電力値決定モジュールを通じて決定する段階と、
を含み、
前記第1信号は、前記第1無線通信方式を用いて伝送され、前記第2信号は、前記第2無線通信方式を用いて伝送される、複数の信号を同時に伝送する方法。
【請求項2】
前記第2信号の伝送電力値を決定する段階は、あらかじめ設定された最大和電力値をさらに用いて前記第2信号の伝送電力値を決定する、請求項1に記載の複数の信号を同時に伝送する方法。
【請求項3】
前記第2信号の伝送電力値を決定する段階は、
前記第2伝送電力値決定モジュールの差値算出モジュールを通じて前記第1信号の伝送電力値と前記あらかじめ設定された最大和電力値との差値を算出する段階と、
前記第2伝送電力値決定モジュールの第2伝送電力値設定モジュールを通じて前記第1信号の伝送電力値と前記あらかじめ設定された最大和電力値間における算出された電力値を、第2信号の伝送電力値に設定する段階と、
をさらに含む、請求項2に記載の複数の信号を同時に伝送する方法。
【請求項4】
前記第1信号の伝送電力値と前記あらかじめ設定された最大和電力値との差値は、ワット単位で算出し、
前記第2信号の伝送電力値は、前記ワット単位で算出された差値に対応するデシベル単位の値に設定する、請求項3に記載の複数の信号を同時に伝送する方法。
【請求項5】
前記あらかじめ設定された最大和電力値は、前記第1及び第2信号の電力値和の最大値である、請求項2に記載の複数の信号を同時に伝送する方法。
【請求項6】
前記受信した第1信号の伝送電力値は、次の伝送タイミングで伝送される前記第1信号の伝送電力値である、請求項1に記載の複数の信号を同時に伝送する方法。
【請求項7】
無線通信システムにおける端末装置であって、
端末の第1無線通信チップから伝送される第1信号の伝送電力値を受信する第2無線通信チップの第2受信モジュールと、
前記受信した第1信号の伝送電力値及びあらかじめ定義された電磁波吸収率条件に基づき、第2無線通信チップから伝送される第2信号の伝送電力値を決定する、前記第2無線通信チップの第2伝送電力値決定モジュールと、
を含み、
前記第1無線通信チップは、前記第1無線通信方式を用いて前記第1信号を伝送するように構成され、前記第無線通信チップは、前記第2無線通信方式を用いて前記第2信号を伝送するように構成される、端末装置。
【請求項8】
前記第2伝送電力値決定モジュールは、あらかじめ設定された最大和電力値を用いて前記第2信号の伝送電力値を決定する、請求項7に記載の端末装置。
【請求項9】
前記第2伝送電力値決定モジュールは、
前記第1信号の伝送電力値と前記あらかじめ設定された最大和電力値との差値を算出する差値算出モジュールと、
前記第1信号の伝送電力値と前記あらかじめ設定された最大和電力値間における算出された電力値を、第2信号の伝送電力値に設定する第2伝送電力値設定モジュールと、
をさらに含む、請求項8に記載の端末装置。
【請求項10】
前記差値算出モジュールは、前記第1信号の伝送電力値と前記あらかじめ設定された最大和電力値との差値を、ワット単位で算出し、
前記第2伝送電力値設定モジュールは、前記ワット単位で算出された差値に対応するデシベル単位の値を、前記第2信号の伝送電力値に設定する、請求項9に記載の端末装置。
【請求項11】
前記あらかじめ設定された最大和電力値は、前記第1及び第2信号の電力値和の最大値である、請求項8に記載の端末装置。
【請求項12】
前記第1信号の伝送電力値を測定する前記第1無線通信チップにおける第1伝送電力値測定モジュールをさらに含み、
前記第2受信モジュールは、前記測定された第1信号の伝送電力値を、前記第1無線通信チップの第1伝送モジュールまたは前記第1無線通信チップの外部から受信する、請求項7に記載の端末装置。
【請求項13】
無線通信システムにおける端末装置であって、
第1無線通信チップが第1信号を伝送する時に、前記第1無線通信チップが、基地局との接続のためのランダムアクセスチャネル(RACH)プロセスを行う通信モードであるか否かを示す通信モード情報を受信する第2無線通信チップの第2受信モジュールと、
前記第1無線通信チップによる前記第1信号及び前記第2無線通信チップによる前記第2信号が同時に伝送される時に、前記受信した通信モード情報に基づき、前記第2信号の伝送電力値を決定する電力値決定モジュールと、
を含み、
前記第1無線通信チップは、前記第1無線通信方式を用いて前記第1信号を伝送し、前記第2無線通信チップは、前記第2無線通信方式を用いて前記第2信号を伝送する、端末装置。
【請求項14】
前記電力値決定モジュールは、前記受信した第1無線通信チップの通信モードが前記RACHプロセスを行うモードであれば、前記第2信号の最大伝送電力値、及び前記第2信号に対して電力バックオフが可能な最大電力バックオフ値を用いて、前記第2信号の伝送電力値を決定する、請求項13に記載の端末装置。
【請求項15】
前記第2信号の伝送電力値は、前記第2信号の最大伝送電力値から前記第2信号の最大電力バックオフ値を引いて決定される、請求項14に記載の端末装置。
【請求項16】
前記第1無線通信チップの通信モードが、前記基地局との接続のためにランダムアクセスチャネルプロセスを行う通信モードであるか否かを決定する通信モード決定モジュールと、
前記決定された通信モード情報を前記第2受信モジュールに伝送する第1送信モジュールと、
をさらに含む、請求項14に記載の端末装置。
【請求項17】
2つ以上の無線通信方式を用いる無線通信システムにおいて端末を通じて複数の信号を同時に伝送する方法であって、
第1無線通信チップが基地局との接続のためのランダムアクセスチャネル(RACH)プロセスを行う通信モードであるか否かを示す通信モード情報を、前記端末の第2無線通信チップの第2受信モジュールを通じて受信する段階と、
前記第1無線通信チップによる前記第1信号と前記第2無線通信チップによる前記第2信号が同時に伝送される時に、前記受信した通信モード情報に基づき、前記第2無線通信チップの電力値決定モジュールを通じて前記第2信号の伝送電力値を決定する段階と、
を含み、
前記第1信号は、前記第1無線通信方式を用いて伝送され、前記第2信号は、前記第2無線通信方式を用いて伝送される、複数の信号を同時に伝送する方法。
【請求項18】
前記第2信号の伝送電力値決定段階は、前記受信した第1無線通信チップの通信モードが前記RACHプロセスを行うモードであると、前記第2信号の最大伝送電力値、及び前記第2信号に対して電力バックオフが可能な最大電力バックオフ値を用いて、前記第2信号の伝送電力値を決定する、請求項17に記載の複数の信号を同時に伝送する方法。
【請求項19】
前記第2信号の伝送電力値は、前記第2信号の最大伝送電力値から、前記第2信号の最大電力バックオフ値を引いた値である、請求項18に記載の複数の信号を同時に伝送する方法。
【請求項20】
前記第1無線通信チップの通信モードが、前記基地局との接続のためにランダムアクセスチャネルプロセスを行う通信モードであるか否かを、通信モード決定モジュールを通じて決定する通信モード決定段階と、
前記決定された通信モード情報を、前記第1無線通信チップの第1伝送モジュールを通じて前記第2受信モジュールに伝送する段階と、
をさらに含む、請求項17に記載の複数の信号を同時に伝送する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−16017(P2012−16017A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144922(P2011−144922)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(502032105)エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド (2,269)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(502032105)エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド (2,269)
【Fターム(参考)】
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