説明

無線通信システムのアンテナ切替方法

【課題】複数の送信側アンテナから受信側手段に種々の信号を効率よく送信することのできる無線通信システムのアンテナ切替方法を提供する。
【解決手段】アンテナ切替器23を操作して、すべての送信側アンテナ24,25に対する受信信号強度を得る受信信号強度測定ステップ、得られたすべての送信側アンテナの信号受信強度を比較し、最も受信信号強度の高い送信側アンテナを決定するステップ、決定された最も受信信号強度の高い送信側アンテナと送信側回路22が接続されるようアンテナ切替器を操作して、送信側アンテナを固定するステップ、及び、以降の送信側回路からの信号は、固定された送信側アンテナを経由して送信するステップ、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のアンテナの中から通信品質状態にすぐれるひとつのアンテナを選択し、送受信を行なうことのできる無線通信システムのアンテナ切替方法に関するものであり、より具体的には、通信状態の確立を早め、安定した信号の送受信を行なうことができ、さらに、電池消耗を抑えることのできる無線通信システムのアンテナ切替方法に関する。
【背景技術】
【0002】
締付機等の回転軸に取り付けられる締付トルク測定ユニットに送信側手段を内蔵し、無線によりトルク値や回転角度等の締付情報を受信側手段に送信することのできる無線通信システムを出願人は提案している。
【0003】
しかしながら、上記締付トルク測定ユニットは、送信側のアンテナ数がひとつである一方、締付トルク測定ユニットは回転軸と一体に回転するため、締付トルク測定ユニットの停止位置によって、送信側アンテナが受信側手段と通信品質状態が悪くなる位置に移動した場合には、受信側手段との信号の送受信が上手くいかない可能性がある。
【0004】
複数の送信側アンテナを順次切り替えて、順次信号を送信していくことも考えられるが(例えば、特許文献1参照)、この場合、通信品質が悪い状態での送受信作業を一定間隔で繰り返すことになるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−353998号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、複数の送信側アンテナを締付トルク測定ユニットに配備して、すべての送信側アンテナから一斉に締付情報を送信する方法が考えられるが、締付トルク測定ユニットは上述のとおり回転軸と一体に回転するため、電池を電源として駆動させざるを得ず、消費電力が大きくなると、電池の消耗が早くなってしまう問題がある。
これら問題は、トルク測定ユニットに限らず、種々の信号を逐次送信する必要がある無線通信システムにおいては、特に解決が要望されている。
【0007】
本発明の目的は、複数の送信側アンテナから受信側手段に種々の信号を効率よく送信することのできる無線通信システムのアンテナ切替方法を提供するものであり、特に、複数の送信側アンテナが回転可能な部材に配備される送信側手段や、電池駆動式の送信側手段を用いた無線通信システムに好適なアンテナ切替方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の無線通信システムのアンテナ切替方法は、
信号を送受信する送信側回路と、送受信用の複数の送信側アンテナと、該複数の送信側アンテナの何れかひとつを送信側回路に接続するよう切り替えるアンテナ切替器と、送信側回路及びアンテナ切替器を制御する送信側制御手段とを有し、 送信側回路は、返信要求を含む信号の送信とその他の信号の送受信が可能である送信側手段と、
該送信側手段と信号の送受信を行なう受信側回路と、該受信側回路に接続された受信側アンテナと、受信側回路を制御する受信側制御手段とを有し、受信側制御手段は、送信側手段から返信要求を含む信号を受信したときに受信側回路から返信信号を送信する受信側手段と、
を有する無線通信システムのアンテナ切替方法であって、
送信側制御手段は、何れかひとつの送信側アンテナと送信側回路を接続するようアンテナ切替器を操作し、送信側回路から前記送信側アンテナを経由して返信要求を含む信号を送信し、返信信号の受信状態で待機し、受信側制御手段は、返信要求を含む信号を受信すると、受信側回路から受信側アンテナを経由して返信信号を送信し、送信側制御手段は、所定時間内に前記送信側アンテナが受信した返信信号の受信信号強度を測定して記憶するステップと、
アンテナ切替器を操作して、前記ステップを残りのすべての送信側アンテナに対して行ない、すべての送信側アンテナに対する受信信号強度を得るステップと、
を含む受信信号強度測定ステップ、
送信側制御手段にて、得られたすべての送信側アンテナの信号受信強度を比較し、最も受信信号強度の高い送信側アンテナを決定するステップ、
送信側制御手段は、決定された最も受信信号強度の高い送信側アンテナと送信側回路が接続されるようアンテナ切替器を操作して、送信側アンテナを固定するステップ、及び、
送信側制御手段は、以降の送信側回路からの信号は、固定された送信側アンテナを経由して送信するステップ、
を有するものである。
【発明の効果】
【0009】
送信側手段は、返信要求を含む信号をすべての送信側アンテナから順に送受信するようアンテナ切替器を操作し、各送信側アンテナに対する受信側手段からの受信信号強度を測定する。その結果、最も高い受信信号強度を得た送信側アンテナを選択して、送信側アンテナを固定することができるので、送受信の不良を生じることが少なくなるよう最適化することができる。
また、送信側アンテナ固定後は、当該送信側アンテナからのみ信号の送信が行なわれるから、通信状態の確立を早め、安定した信号の送受信を行なうことができ、さらに、電池消耗の抑制や、無線周波数空間の占有率の低減を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の無線通信システムのブロック図である。
【図2】本発明の送信側手段を締付機の締付トルク測定ユニットに搭載した実施例を示す説明図である。
【図3】本発明の無線通信システムのアンテナ切替方法のフローチャート図である。
【図4】本発明の無線通信システムのアンテナ切替方法のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本発明の無線通信システム(10)の送信側手段(20)を、締付機の回転軸(50)に装着可能な締付トルク測定ユニット(30)に搭載した実施例について、図面を参照しながら説明を行なう。
しかしながら、送信側手段(20)は、締付トルク測定ユニット(30)への適用に限定されるものではなく、その他の部材、特に回転可能な部材へ取り付けることが好適である。
【0012】
図1は、本発明の無線通信システム(10)のブロック図である。本発明の無線通信システム(10)は、種々の信号を送信する送信側手段(20)と、該送信側手段(20)からの信号を受信する受信側手段(40)を有する。送信側手段(20)は、図2に示すように、締付トルク測定ユニット(30)に配備して構成することができる。
【0013】
<送信側手段(20)>
送信側手段(20)は、図1に示すように、信号を送受信する送信側回路(22)(RF回路)と、送受信用の複数の送信側アンテナ(24)(25)とを具える。以下では、送信側アンテナを2基(送信側アンテナ1(24)と送信側アンテナ2(25))用いた実施例について説明するが、送信側アンテナの数は、3基以上とすることもできる。
送信側手段(20)への電源供給は、図示省略する電池により行なうことができる。
【0014】
送信側手段(20)は、後述する締付トルク測定ユニット(30)の筒状のケーシング(35)内の適所に収容することができる。送信側アンテナ1(24)と送信側アンテナ2(25)は、図2に示すように、ケーシング(35)の外周近傍に所定間隔毎に配備することが望ましく、実施例の場合、軸心を挟んで対向するように配備しており、さらに、隣り合うアンテナを使用する無線通信周波数の1/2波長以上離すために、対角方向に配備している。
【0015】
送信側アンテナ(24)(25)は、アンテナ切替器(23)を介して、何れか一方を切り替えて送信側回路(22)と電気的に接続可能となっている。
【0016】
送信側回路(22)及びアンテナ切替器(23)は、送信側制御手段(21)により制御される。
送信側制御手段(21)は、CPU、メモリ等から構成することができ、後述する検出用センサ(31)からの出力の処理、送信側回路(22)から送信される種々の信号の処理、また、各送信側アンテナ(24)(25)を経由して受信した返信信号の受信信号強度の測定、記憶、比較及び送信側アンテナ(24)(25)の選択を行ない、アンテナ切替器(23)を操作して、信号を送信すべき送信側アンテナ(24)又は(25)の切替えを行なう。送信側回路(22)から送信される信号として、返信要求及び/又は後述する検出用センサ(31)が検知した締付情報を含む信号を例示することができる。
送信側制御手段(21)の動作は、以下にてフローチャート図3及びシーケンス図4を用いて詳細に説明する。
【0017】
<締付トルク測定ユニット>
送信側手段(20)が配備される締付トルク測定ユニット(30)は、図2に示すように、締付機の回転軸(50)に着脱可能又は固定して取り付けられる。締付トルク測定ユニット(30)は、外周をケーシング(35)により包囲されており、内部に、前述した送信側手段(20)が配備されると共に、図1に示すように、回転軸(50)に作用するトルクを電気的に検知する検出用センサ(31)と、該検出用センサ(31)から出力された締付情報を増幅する増幅器(32)、増幅された締付情報をA/D変換するA/D変換器(33)を有し、A/D変換器(33)によりデジタル信号化された締付情報は、送信側制御手段(21)に送信される。
【0018】
締付けに関する情報を測定する検出用センサ(31)は、締付情報として締付トルクを測定する場合、歪みゲージを例示できる。また、締付情報として回転角度に関する情報を測定する場合、エンコーダ、ジャイロセンサ、フォトインターラプタ、又は、磁気センサを例示できる。なお、エンコーダやフォトインターラプタの如き、デジタル信号を出力する検出用センサ(31)であれば、A/D変換器(33)は省略することができる。
検出用センサ(31)は、上記に限らず、種々のものを用いることができることは勿論である。
以下では、締付情報としてトルクを例示して説明を行なう。
【0019】
上記締付トルク測定ユニット(30)は、ケーシング(35)内に配備された電池(図示せず)を電源として駆動可能となっている。なお、電池は、送信側手段(20)と共用する構成としてもよい。
また、締付トルク測定ユニット(30)に、図2に示すように表示手段(36)を配備し、締付情報を直接視認することができるようにしてもよい。
【0020】
<受信側手段(40)>
送信側手段(20)から送信された信号の受信は、図1に示す受信側手段(40)により行なうことができる。
受信側手段(40)は、受信側アンテナ(43)、受信側回路(42)(RF回路)及び受信側制御手段(41)を有する。送信側手段(20)から送信された信号は、受信側アンテナ(43)及び受信側回路(42)を介して受信側制御手段(41)にて受信される。
受信側制御手段(41)は、受信待機状態において、返信要求を含む信号を受信する毎に、受信側回路(42)から受信側アンテナ(43)を介して、RSSI値(受信信号強度値)を含む返信信号を送信する。
受信側制御手段(41)にメモリ(図示せず)を内蔵したり、表示手段(45)を接続することで、受信された締付情報は、メモリに記憶したり、適宜表示手段(45)に表示することができる。
【0021】
送信側手段(20)から送信される締付情報に関する信号に、締付トルク測定ユニット(30)の機器識別番号や時刻、締付場所の位置情報等を含めることで、受信側にて締付情報の表示や管理等に役立てることができる。
【0022】
上記受信側手段(40)及び表示手段(45)等は、商用電源又は電池を電源として駆動する構成とすることができる。
【0023】
<動作説明>
上記構成の無線通信システム(10)について、受信側手段(40)のアンテナ切替器(23)の動作をフローチャート図3及びシーケンス図4を用いて説明する。
【0024】
締付機の回転軸(50)の先端ソケット(51)をボルト又はナットに嵌めて、締付けを開始する。
検出用センサ(31)は、回転軸(50)に作用するトルクを検知し、増幅器(32)にて増幅し、A/D変換器(33)にてA/D変換を施して、送信側制御手段(21)に送信する(ステップ1)。
【0025】
検出用センサ(31)により検出された締付情報が所定の条件を満たすまで、本実施例の場合、トルク値が所定の閾値以上となるまで、送信側制御手段(21)は、トルク値を送信側回路(22)から送信しない(ステップ1)。トルク値が所定の閾値以下である場合には、回転軸(50)が回転して、締付トルク測定ユニット(30)の位置、即ち、送信側アンテナ(24)(25)の回転方向の位置が定まらないからである。
【0026】
締付けが進み、トルクが上昇して、所定の閾値を越えると(ステップ1)、締付機の回転軸(50)は、殆んど回転せず、回転軸(50)に取り付けられた締付トルク測定ユニット(30)も回転方向の位置もほぼ固定される。従って、送信側アンテナ(24)(25)の位置も不動となる。
この状態で送信側制御手段(21)は、アンテナ切替器(23)を操作して、送信側回路(22)と接続する送信側アンテナ(24)(25)を何れかに設定する(ステップ2、アクション1:例えば、送信側アンテナ1(24)と送信側回路(22)を接続する)。なお、この状態では未だ、信号の送信は行なわない。
【0027】
送信側アンテナ1(24)と送信側回路(22)が接続された状態で、送信側制御手段(21)は、保持する各RSSI積算値をゼロにリセットする。なお、送信側アンテナ1(24)側の受信信号強度積算値をRSSI1、送信側アンテナ2(25)側の受信信号強度積算値をRSSI2とする。
【0028】
送信側制御手段(21)には、順次所定時間毎にトルク値が入力されていき(ステップ4)、所定の測定値送信タイミングが到来すると(ステップ5)、送信側アンテナ(24)(25)を固定(後述のステップ16及びステップ17)していない場合には(ステップ6)、送信側制御手段(21)は、送信側回路(22)から、返信要求とトルク値とを含む信号が送信側アンテナ1(24)を経由して送信される(ステップ8、アクション2)。これにより、各送信側アンテナ(24)(25)のRSSIの測定(受信信号強度測定ステップ)が開始される。
なお、ステップ5の測定値送信タイミングとして、トルク値が所定回数(例えば10回)、入力されたタイミングを例示できる。
【0029】
受信側手段(40)は、返信要求を含む信号を受信すると(アクション3)、受信側制御手段(41)が受信側回路(42)から、受信側アンテナ(43)を経由して、受信信号強度値(RSSI)を含む信号(返信信号)を返信する(アクション4)。
【0030】
送信側手段(20)は、送信側アンテナ1(24)を経由して返信信号を受信すると(ステップ9、アクション5)、送信した送信側アンテナのアンテナ番号(この場合は送信側アンテナ1(24))のRSSI積算値(RSSI1)を更新する(ステップ11)。RSSI1は、元のRSSI1(最初はゼロ)の値に受信したRSSIを積算することにより算出する。
【0031】
ここで、次のステップ13は、2つのアンテナのRSSI値の和が所定の閾値よりも大きいか否かを検知することで、送信側アンテナ(24)(25)の選択、固定(ステップ14、ステップ16及びステップ17)を行なうかどうかを判定するステップである。これについては、後述する。
【0032】
所定時間以内に返信信号を受信し且つ両送信側アンテナ(24)(25)のRSSI値の和が所定閾値以下の場合(ステップ13)、又は返信信号を受信できなかった場合には(ステップ9)、送信側制御手段(21)は、アンテナ切替器(23)を操作して、送信側アンテナを送信側アンテナ1(24)から送信側アンテナ2(25)に切り替える(ステップ15、アクション6)。
【0033】
アンテナ切替後、送信側制御手段(21)には、上記と同様、順次所定時間毎に締付情報が入力されていき(ステップ4)、所定の測定値送信タイミングが到来すると(ステップ5)、送信側回路(22)から、締付情報と返信要求を含む信号が送信側アンテナ2(25)を経由して送信される(ステップ8、アクション7)。
【0034】
受信側手段(40)は、返信要求を含む信号を受信すると(アクション8)、受信側制御手段(41)が受信側回路(42)から、受信側アンテナ(43)を経由して、受信信号強度値(RSSI)を含む信号(返信信号)を返信する(アクション9)。
【0035】
送信側手段(20)は、送信側アンテナ2(25)を経由して返信信号を受信すると(ステップ9、アクション10)、送信側アンテナ2(25)のRSSI積算値(RSSI2)を更新する(ステップ11)。RSSI2は、元のRSSI2(最初はゼロ)の値に受信したRSSIを積算することにより算出する。
【0036】
所定時間以内に返信信号を受信し且つ両送信側アンテナ(24)(25)のRSSI値が所定の条件を満たさなかった場合(ステップ13)、又は返信信号を受信できなかった場合には(ステップ9)、送信側制御手段(21)は、アンテナ切替器(23)を操作して、送信側アンテナを送信側アンテナ2(25)から、再度送信側アンテナ1(24)に切り替える(ステップ15、アクション11)。
【0037】
上記ステップにおいて、送信側アンテナ(24)(25)の何れかから送信した返信要求を含む信号が、受信側手段(40)に未到達の場合(例えばアクション13)、受信側手段(40)からの返信信号はないから(ステップ9のNo)、RSSI値の加算は行なわれない(アクション14)。
【0038】
ステップ13において、両送信側アンテナ(24)(25)のRSSI積算値の和が所定閾値よりも大きくなった場合には、送信側制御手段(21)は、両送信側アンテナ(24)(25)のRSSI値を比較し(ステップ14、アクション25)、RSSI値の大きい送信側アンテナ(24)又は(25)を選択し、アンテナ切替器(23)を操作して、送信側アンテナ(24)又は(25)を固定する(ステップ16、ステップ17、アクション26)。
【0039】
例えば、送信側アンテナ2(25)が選択、固定された場合、以降の送信は、送信側アンテナ2(25)から行なわれる(ステップ6、ステップ7)。なお、送信側アンテナ固定後は、送信側手段(20)から送信される信号には、返信要求は含めなくてよい(アクション27〜アクション32)。
【0040】
受信側手段(40)は、送信側手段(20)から送信されたトルク値を含む信号を受信し、メモリに記憶したり、表示手段(45)に表示等行なう。なお、送信側アンテナの番号や、RSSI値を合わせて表示するようにしてもよい。
【0041】
上記において、トルク値が所定時間変動しなかったり、一旦上昇したトルク値がピーク後に減少した場合に、1回の締付け作業が完了したものと判断して、トルク値を含む信号の送信を止めるようにすればよい。なお、次に新たな締付けが行なわれて、トルク値が所定閾値以上となると(ステップ1)、再度上記フローを行なえばよい。
【0042】
本実施例では、ステップ13において、2つのアンテナのRSSI積算値の和が所定の閾値よりも大きくなるまで繰り返すことを条件として、上記受信信号強度の測定ステップを行っているが(アクション1〜アクション24)、受信信号強度の測定ステップは、1回とすることもできるし、何れかのRSSI値が所定閾値以上となるまでとすることもできる。また、受信信号強度の測定ステップの回数を決めて、その回数に達した段階で、最もRSSI積算値の高い送信用アンテナを選択し、固定するようにしてもよい。
【0043】
本発明の無線通信システム(10)によれば、複数の送信側アンテナのうち、最も受信信号強度の高い送信側アンテナを選択するまでは、個々の送信側アンテナから順に信号を送受信するが、一旦送信側アンテナが選択されると、当該送信側アンテナから固定して信号を送信することができるため、通信状態の確立を早めることができ、電池の消耗を抑制し、また、無線周波数空間の占有率を低減することができる。
【0044】
なお、上記実施例では、受信側手段(40)は、1基の送信側手段(20)と無線通信しているが、複数の送信側手段(40)と無線通信し、RSSIを含む信号を送受信するシステムを構成することもできる。
【0045】
また、受信側手段(40)に、受信側アンテナ(23)を複数設けて、送信側手段(20)と同様の方法により、最も通信品質のすぐれた受信側アンテナ(23)と、送信側アンテナ(24)(25)との組合せを選択する構成とすることもできる。
【0046】
上記実施例では、本発明の無線通信システムのアンテナ切替方法を、締付トルク測定ユニットに適用して説明したが、本発明の適用は、本実施例に限定されるものでないことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、複数の送信側アンテナを具えた無線通信システムのアンテナ切替方法として有用である。
【符号の説明】
【0048】
(10) 無線通信システム
(20) 送信側手段
(21) 送信側制御手段
(22) 送信側回路
(23) アンテナ切替器
(24) 送信側アンテナ1
(25) 送信側アンテナ2
(30) トルク測定ユニット
(31) 検出用センサ
(40) 受信側手段
(41) 受信側制御手段
(42) 受信側回路
(43) 受信側アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号を送受信する送信側回路と、送受信用の複数の送信側アンテナと、該複数の送信側アンテナの何れかひとつを送信側回路に接続するよう切り替えるアンテナ切替器と、送信側回路及びアンテナ切替器を制御する送信側制御手段とを有し、送信側回路は、返信要求を含む信号の送信とその他の信号の送受信が可能である送信側手段と、
該送信側手段と信号の送受信を行なう受信側回路と、該受信側回路に接続された受信側アンテナと、受信側回路を制御する受信側制御手段とを有し、受信側制御手段は、送信側手段から返信要求を含む信号を受信したときに受信側回路から返信信号を送信する受信側手段と、
を有する無線通信システムのアンテナ切替方法であって、
送信側制御手段は、何れかひとつの送信側アンテナと送信側回路を接続するようアンテナ切替器を操作し、送信側回路から前記送信側アンテナを経由して返信要求を含む信号を送信し、返信信号の受信状態で待機し、受信側制御手段は、返信要求を含む信号を受信すると、受信側回路から受信側アンテナを経由して受信信号強度値を含む返信信号を送信し、送信側制御手段は、所定時間内に前記送信側アンテナが受信した返信信号の受信信号強度を記憶するステップと、
アンテナ切替器を操作して、前記ステップを残りのすべての送信側アンテナに対して行ない、すべての送信側アンテナに対する受信信号強度を得るステップと、
を含む受信信号強度測定ステップ、
送信側制御手段にて、得られたすべての送信側アンテナの信号受信強度を比較し、最も受信信号強度の高い送信側アンテナを決定するステップ、
送信側制御手段は、決定された最も受信信号強度の高い送信側アンテナと送信側回路が接続されるようアンテナ切替器を操作して、送信側アンテナを固定するステップ、及び、
送信側制御手段は、以降の送信側回路からの信号は、固定された送信側アンテナを経由して送信するステップ、
を有することを特徴とする無線通信システムのアンテナ切替方法。
【請求項2】
受信信号強度測定ステップは、複数回繰り返して行なわれ、送信側制御手段は、各送信側アンテナについて、受信信号強度を比較する請求項1に記載の無線通信システムのアンテナ切替方法。
【請求項3】
送信側アンテナは、回転可能な部材の周方向に所定の間隔で配置され、受信信号強度測定ステップは、回転可能な部材が停止又はほぼ停止した状態で行なわれる請求項1又は請求項2に記載の無線通信システムのアンテナ切替方法。
【請求項4】
回転可能な部材は、締付機の締付軸に装着されるトルク締付ユニットである請求項3に記載の無線通信システムのアンテナ切替方法。
【請求項5】
送信側手段は、電池駆動式である請求項1乃至請求項4の何れかに記載の無線通信システムのアンテナ切替方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−101153(P2011−101153A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253790(P2009−253790)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(000201467)前田金属工業株式会社 (22)
【Fターム(参考)】