説明

無線通信システム及びその個別識別情報取得方法

【課題】携帯情報端末の周辺機器から個別識別情報を取得することにより、対象の携帯情報端末の場所特定の補助に用いることが可能な無線通信システム方法を提供する。
【解決手段】PC端末25はインターネット網24等を介して携帯電話機A20に個別識別情報を取得するように指示する要求信号を送信する。携帯電話機は要求信号に応じてブルートゥース通信部や無線LAN通信部を起動し、周辺機器から個別識別情報を検索し、取得した個別識別情報をPC端末25に送信する。個別識別情報は機器を識別するための情報であるが、取得した個別識別情報からその機器の種別等が分かり、携帯電話機の場所の特定の補助となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブルートゥース通信や無線LAN通信等を利用して、携帯情報端末等の機器の周辺から個別識別情報を取得する無線通信システム及びその個別識別情報取得方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機、パソコン、ゲーム機器等では、外部機器と接続するブルートゥース通信機や無線LAN通信機を備えているものが多くなっている。また、GPS受信機を搭載し、補助電池を内蔵した携帯電話機においては、携帯電話機の位置を検索することは可能であるが、高層の建物内や受信しにくいエリア等では位置情報や周辺情報を正確に特定するのが難しい場合がある。
【0003】
特許文献1には、近距離無線通信を利用して、例えば、子供の携帯電話機の近くにいる携帯電話機の近辺に存在する携帯電話機を所持している相手を識別するための「相手ID」を取得し、「相手ID」がアドレス帳に登録されているか否かを判定することで、子供の近くに知り合いがいるのか不明相手がいるのかを、母親等にメールで通知することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−219314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の方法は、近距離通信を利用して対象の携帯電話機の近辺にいる携帯電話機の所有者が知っている人か不明者であるのかを判定することにより、例えば、子供がどのような相手と一緒にいるかが分かるようにするものであり、対象の携帯電話機の位置を特定するものではない。
【0006】
本発明の目的は、対象の携帯情報端末の周辺機器から個別識別情報を取得することにより、携帯情報端末の場所特定の補助に用いることが可能な無線通信システム及びその個別識別情報取得方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、情報処理端末からネットワークを介して携帯情報端末に対して周辺機器から個別識別情報(例えば、BDアドレスやMAXアドレス等)を取得するように指示する要求信号を送信する。携帯情報端末は要求信号に応じてブルートゥース通信部又は無線LAN通信部を起動して周辺機器から個別識別情報を検索し、その周辺機器から取得した個別識別情報をネットワークを介して情報処理端末に送信する。個別識別情報は機器を識別するための情報であるが、取得した個別識別情報からその機器の種別等が分かるため、携帯情報端末の場所の特定の補助となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ブルートゥース通信や無線LAN通信を利用して周辺機器から個別識別情報を取得することにより、犯罪等の緊急時に周辺機器の個別識別情報を場所特定の補助に用いることが可能となる。また、高層の建物内や受信しにくいエリア等であっても周辺機器からの個別識別情報を取得できるので、犯罪等の緊急時において場所特定の補助に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る無線通信システムの第1の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の携帯電話機A20の一例を示すブロック図である。
【図3】図1の携帯電話機B21の一例を示すブロック図である。
【図4】図1の実施形態の動作を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態の動作を説明するフローチャートである。
【図6】本発明の第3の実施形態の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は本発明に係る無線通信システムの第1の実施形態を示すブロック図である。図中A20及びA21は携帯情報端末としての携帯電話機、22は無線LANアクセスポイント、23は電話通信網、24はインターネット網、25はPC端末(情報処理端末)である。携帯電話機A20及びB21は、通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能、ブルートゥース通信機能、無線LAN通信機能等を備えている。
【0012】
また、携帯電話機A20はメイン電池の他にサブ電池を備えている。PC端末25はインターネット網24、電話通信網23を介して携帯電話機A20に接続することが可能である。本実施形態では、例えば、携帯電話機A20の所有者が犯罪等に巻き込まれ、行方を探し出すため、その場所特定の補助を行うことを想定している。そのため、PC端末25は、例えば、捜査関係者が使用するものとする。
【0013】
即ち、携帯電話機A20の周辺機器から個別識別情報を取得して場所の特定の補助に用いるものとする。個別識別情報とは、例えば、BDアドレスやMAXアドレス等である。BDアドレスやMAXアドレス等は機器を識別するための情報であり、取得した個別識別情報からその機器の種別(無線LANのアクセスポイント、携帯電話機、M3Pプレーヤー、ゲーム機器等)や製造メーカや製造番号等が分かる。つまり、取得した個別識別情報から直接、場所を特定する訳ではなく、取得した個別識別情報を場所特定の補助に使用するものである。
【0014】
例えば、公共の無線LANのアクセスポイントであれば個別識別情報から設置場所を特定でき、携帯電話機であれば個別識別情報から契約者を特定することができる。また、ゲーム機器等の場合もユーザー登録情報から購入者情報を特定できるため、場所特定の補助に用いることが可能である。
【0015】
図2は携帯電話機A20の一例を示すブロック図である。図中1はブルートゥース通信部、2はブルートゥース用アンテナ、3は無線LAN通信を行う無線LAN通信部、4は無線LAN用アンテナである。また、5は送受信部、6は送受信用アンテナ、7はメイン電池、8はサブ電池、12は操作部、13はLCD等の表示部、9は各部を制御する制御部である。制御部9は電源供給検出・切替部10、タイマ11、メールデータ生成部14を備えている。
【0016】
電源供給検出・切替部10はメイン電池7の電源供給を監視し、メイン電池7からの電源供給が遮断された場合にはサブ電池8に切り替える。タイマ11はサブ電池8に切り替えられた時に時間を計時し、予め設定した時間が経過すると、ブルートゥース通信部1もしくは無線LAN通信部3に起動信号を送出する。メールデータ生成部14はブルートゥース通信部1もしくは無線LAN通信部3から個別識別情報信号が入力されると、メールデータを生成して送受信部5へ送出する。
【0017】
図2は携帯電話機B21の一例を示すブロック図である。携帯電話機B21は携帯電話機A20に対してサブ電池8を備えていない点、制御部内に電源供給検出・切替部10、タイマ11、メールデータ生成部14を備えていない点で相違する。その他は携帯電話機A20と同様である。簡単に説明すると、1bはブルートゥース通信部、2bはブルートゥース用アンテナ、3bは無線LAN通信を行う無線LAN通信部、4bは無線LAN用アンテナ、5は送受信部、6は送受信用アンテナ、7はメイン電池、12は操作部、13は表示部、9bは制御部である。
【0018】
次に、本実施形態の動作を図1乃至図4を用いて説明する。図4は本実施形態の動作を説明するフローチャートである。なお、上述のように捜査関係者がPC端末25からインターネット網24等を介して携帯電話機A20と接続し、携帯電話機A20の周辺機器から個別識別情報を取得するものとする。
【0019】
まず、ステップS1で動作をスタートすると、ステップS2で携帯電話機A20がメイン電池7からの電源供給かサブ電池8からの電源供給かを判定し、メイン電池7からの電源供給の場合にはステップS3に進む。ステップS3では捜査関係者がPC端末25からインターネット網24、電話通信網23を介して携帯電話機A20と接続し、その所在情報を入手するため周辺端末情報要求信号を送信し、周辺機器の個別識別情報の取得要求を行ったものとする。
【0020】
この周辺端末情報要求信号は、携帯電話機A20の送受信用アンテナ6、送受信部5を介して制御部9に入力される。携帯電話機A20の制御部9は周辺端末情報要求信号を受信すると、ブルートゥース通信部1を起動し、ブルートゥース用アンテナ2を介して周辺のブルートゥース通信圏内の周辺機器から個別識別情報信号(BDアドレス等)を検索する(ステップS4)。
【0021】
通常、ブルートゥース通信には機器の種類毎に策定されたプロトコルがあり、機器間で通信する場合には同じプロファイルを有し、認証鍵を一致させる必要がある。この認証に用いられるのがBDアドレス等の個別識別情報であり、ブルートゥース機器は接続する為に個別識別情報を発信する。
【0022】
即ち、ブルートゥース通信機器は、通信時、つまり、ブルートゥースの電源オン時には周辺に接続可能な機器がないかBDアドレス等の個別識別情報を発信する。機器間で通信する場合には同じプロファイルを持ち、認証鍵を一致させる必要がある。例えば、携帯電話機とワイヤレスイヤホンを接続して音楽を聴く、携帯電話機とPCを接続してデータを送信する等の例がある。
【0023】
図1の例では、携帯電話機A20のブルートゥース通信部1がオンの場合には、個別識別情報信号を発信する。携帯電話機B21は携帯電話機A20の個別識別情報信号を受信するが、上述のような「携帯電話機とワイヤレスイヤホン」間や「携帯電話機とPC」間のような通信ではない。よって、図3の説明上、携帯電話機A20と携帯電話機B21間では策定されたプロトコル上での通信ではない。携帯電話機A20と無線LANアクセスポイントの場合も同様である。
【0024】
ここで、例えば、携帯電話機A20が携帯電話機B21内に実装されているブルートゥース通信部1bから発信された個別識別情報信号を受信すると、ブルートゥース用アンテナ2、ブルートゥース通信部1を介して個別識別情報信号が制御部9内に入力される(ステップS4)。ステップS4で周辺機器から個別識別情報信号を受信できない場合には、受信できるまで検索動作を繰り返し行う。
【0025】
携帯電話機A20は周辺機器から個別識別情報信号を取得すると、制御部9は内部のメールデータ生成部14でメールデータを作成し、送受信部5、送受信用アンテナ6を介して電話通信網23へ送信し、更にインターネット網24を介して使用者のPC端末25に取得した個別識別情報を送信する(ステップS5)。PC端末25に送信された周辺機器の個別識別情報は、捜査対象である携帯電話機A20の場所を特定するための補助に用いられる。
【0026】
一方、ステップS2で携帯電話機A20がメイン電池7からの電源供給ではない場合には、ステップS6へ進む。ステップS6ではメイン電池7からの電源供給が遮断されたことを確認する。メイン電池7からの電源供給の遮断としては、所有者又は第3者による操作部12からの電源オフがなされた場合、携帯電話機本体からメイン電池7が取り外された場合等がある。電池容量切れの場合もある。
【0027】
メイン電池7からの電源供給が遮断されると、ステップS7で電源供給検出・切替部10はメイン電池7から携帯電話機A20に内蔵されたサブ電池8に電源供給の切り替えを行う。この時、表示部13は起動しないため、メイン電池7からの電源供給を遮断した人物には電源供給がなされていることは気付かれない。つまり、携帯電話機A20の所有者が犯罪(誘拐、監禁等)等に巻き込まれ、携帯電話機A20の電源が強制的に遮断された場合には、自動的にサブ電池8に切り替えられ、携帯電話機A20はそのまま動作を続けることになる。
【0028】
次いで、ステップS8でタイマ11が起動し、予め設定された時間が経過すると、ステップS4へ進む。ステップS4以降の動作は、上述のようにブルートゥース通信部1を起動し、周辺機器から個別識別情報信号を受信してPC端末25に個別識別情報をメールで送信する。なお、図1では、携帯電話機A20の周辺機器として携帯電話機B21のみを示しているが、ブルートゥース通信圏内の全ての周辺機器から個別識別情報が取得され、得られた個別識別情報がPC端末25に送信され、携帯電話機A20の場所を特定するための補助に用いられる。
【0029】
本実施形態では、ブルートゥース通信を利用して周辺機器から個別識別情報を取得しているため、対象の携帯電話機の場所特定の補助に用いることができ、犯罪等に巻き込まれた際の捜査に役立てることが可能となる。また、高層の建物内や受信しにくいエリア等であっても携帯電話機の周辺の個別識別情報を取得することが可能となる。更に、メイン電池が強制的に遮断された場合には自動的にサブ電池に切り替えることにより、携帯電話機の電源オンが気付かれることなく、周辺機器の個別識別情報が得られ、犯罪等に巻き込まれた場合の場所特定に役立つ。
【0030】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図1乃至図3及び図5を用いて説明する。図5は本実施形態の動作を説明するフローチャートである。図4の実施形態ではブルートゥース通信によって個別識別情報を取得する例を説明したが、本実施形態では無線LAN通信によって個別識別情報を取得する例を説明する。
【0031】
また、本実施形態の無線通信システムの構成は図1と同様である。また、携帯電話機A20は図2、携帯電話機B21は図3と同様である。更に、図4のS4ではブルートゥース通信部1を起動して周辺機器の個別識別情報を取得しているのに対し、図5ではS9で無線LAN通信部3を起動して個別識別情報を取得している点が異なる。その他の処理は図4の説明と同様である。
【0032】
図5に示すようにステップS1で動作をスタートすると、図4と同様にステップS2で携帯電話機A20がメイン電池7からの電源供給かサブ電池8からの電源供給かを判定し、メイン電池7からの電源供給の場合にはステップS3に進む。ステップS3では、PC端末25の使用者がインターネット網24、電話通信網23を介して携帯電話機A20に所在情報を入手するため周辺端末情報要求信号を送信し、周辺情報の取得要求を行ったものとする。
【0033】
周辺端末情報要求信号は携帯電話機A20の送受信用アンテナ6、送受信部5を介して制御部9に入力される。制御部9は周辺端末情報要求信号を受信すると、無線LAN通信部3を起動し、無線LAN通信用アンテナ4を介して周辺の無線LAN通信圏内の個別識別情報信号(MACアドレス等)を検索する(ステップS9)。図1の例では携帯電話機B21、無線LANアクセスポイント22等がある。
【0034】
通常、無線LAN通信の接続にはアクセスポイントとクライアントの認証の設定を一致させる必要がある。この認証に用いられるのがMACアドレス等の個別識別情報であり、無線LAN通信を行うため個別識別情報を発信する。
【0035】
例えば、図1に示す携帯電話機B21内に実装されている無線LAN通信部3bから発信された個別識別情報信号を携帯電話機A20が受信した場合には、無線LAN用アンテナ4、無線LAN通信部3を介して制御部9に入力され、ステップS5へ進む。また、無線LANアクセスポイント22から発信された個別識別情報信号を携帯電話機A20が受信した場合には、無線LAN用アンテナ4、無線LAN通信部3を介して制御部9に入力され、ステップS5へ進む。周辺機器から個別識別情報信号を受信できない場合には、受信できるまで検索動作を繰り返し行う。
【0036】
周辺機器から個別識別情報信号を取得すると、制御部9は内部のメールデータ生成部14でメールデータを作成し、送受信部5、送受信用アンテナ6を介して電話通信網23へ送信し、更にインターネット網24を介してPC端末25に周辺機器の個別識別情報を送信する(ステップS5)。
【0037】
一方、ステップS2で携帯電話機A20がメイン電池7からの電源供給ではない場合には、ステップS6でメイン電池7からの電源供給が遮断されことを確認する。メイン電池7からの電源供給の遮断としては、使用者又は第3者による操作部12からの電源オフがなされた場合、携帯電話機本体からメイン電池7が取り外された場合、電池容量切れの場合がある。
【0038】
メイン電池7からの電源供給が遮断されると、同様にステップS7で電源供給検出・切替部10はメイン電池7からサブ電池8に電源供給の切り替えを行い、この時、表示部13は起動しないため、メイン電池7からの電源供給を遮断した人物には電源供給がなされていることは気付かれない。つまり、上述のように携帯電話機A20の電源が強制遮断された場合には、自動的にサブ電池8に切り替えられ、携帯電話機A20はそのまま動作を続けることになる。
【0039】
次に、ステップS8でタイマ11を起動し、予め設定された時間を経過すると、ステップS9へ進む。ステップS9以降の動作は、上述のように無線LAN通信部3を起動し、周辺機器から個別識別情報信号を検索して、得られた全ての個別識別情報をPC端末25に送信する。
【0040】
本実施形態では、無線LAN通信を利用して周辺機器から個別識別情報を取得しているため、同様に対象の携帯電話機の場所特定の補助に用いることができる。また、高層の建物内や受信しにくいエリア等であっても周辺機器の個別識別情報を取得することが可能となる。更に、メイン電池が強制的に遮断された場合には自動的にサブ電池に切り替えることにより、携帯電話機の電源オンが気付かれることなく、周辺機器の個別識別情報が得られ、犯罪等に巻き込まれた場合の場所特定に役立つ。
【0041】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を図1乃至図3及び図6を用いて説明する。図6は本実施形態の動作を説明するフローチャートである。図4ではブルートゥース通信によって個別識別情報を取得する例を、図5では無線LAN通信によって個別識別情報を取得する例を説明したが、本実施形態ではブルートゥース通信と無線LAN通信を用いて周辺機器の個別識別情報を取得する例を説明する。
【0042】
本実施形態の無線通信システムの構成は図1と同様であり、携帯電話機A20は図2と同様であり、携帯電話機B21は図3と同様であるので詳しい説明は省略する。更に、図6ではステップS1、S2、S3、S5、S6〜S8の処理は図4、図5の同一ステップ番号の処理と同様である。
【0043】
図6に示すようにステップS1で動作をスタートすると、同様にステップS2で携帯電話機A20がメイン電池7からの電源供給かサブ電池8からの電源供給かを判定し、メイン電池7からの電源供給の場合にはステップS3に進む。ステップS3では、同様にPC端末25の使用者がインターネット網24、電話通信網23を介して携帯電話機A20に所在情報を入手するため周辺端末情報要求信号を送信し、周辺情報の取得要求を行ったものとする。
【0044】
周辺端末情報要求信号は携帯電話機A20の送受信用アンテナ6、送受信部5を介して制御部9に入力される。制御部9は周辺端末情報要求信号を受信すると、図4の説明と同様にブルートゥース通信部1を起動し、ブルートゥース用アンテナ2を介して携帯電話機A20周辺のブルートゥース通信圏内の個別識別情報信号(BDアドレス等)を検索する(ステップS10)。
【0045】
例えば、図1に示す携帯電話機B21内に実装されているブルートゥース通信部1bから発信された個別識別情報信号を携帯電話機A20が受信した場合には、その個別識別情報はブルートゥース用アンテナ2、ブルートゥース通信部1を介して制御部9内に入力される(ステップS10)。
【0046】
周辺機器から個別識別情報信号を取得すると、制御部9は内部のメールデータ生成部14でメールデータを作成し、送受信部5、送受信用アンテナ6を介して電話通信網23へ送信し、インターネット網24を介してPC端末25に周辺機器の個別識別情報信号を送信する(ステップS5)。
【0047】
また、ステップS10で周辺機器から個別識別情報信号を受信できない場合には、ステップS11へ進み、図5と同様に制御部9は無線LAN通信部3を起動し、無線LAN通信用アンテナ4を介して周辺の無線LAN通信圏内の個別識別情報信号(MACアドレス等)を検索する(ステップS11)。
【0048】
例えば、図1に示す携帯電話機B21内の無線LAN通信部3bから発信された個別識別情報信号を携帯電話機A20が受信した場合には、無線LAN用アンテナ4、無線LAN通信部3を介して制御部9に入力され、ステップS5へ進む。また、無線LANアクセスポイント22から発信された個別識別情報信号を携帯電話機A20が受信した場合には、無線LAN用アンテナ4、無線LAN通信部3を介して制御部9に入力され、ステップS5へ進む。ステップS11で周辺機器から個別識別情報信号を受信できない場合には、ステップS10へ戻り、個別識別情報を受信できるまでステップS10からS11で個別識別情報の検索動作を繰り返し行う。
【0049】
周辺機器から個別識別情報信号を取得すると、制御部9は内部のメールデータ生成部14でメールデータを作成し、送受信部5、送受信用アンテナ6を介して電話通信網23へ送信し、更にインターネット網24を介してPC端末25に周辺機器の個別識別情報信号を送信する(ステップS5)。
【0050】
一方、ステップS2で携帯電話機A20がメイン電池7からの電源供給ではない場合には、同様にステップS6でメイン電池7からの電源供給が遮断されことを確認する。メイン電池7からの電源供給の遮断としては、使用者又は第3者による操作部12からの電源オフがなされた場合、携帯電話機本体からメイン電池7が取り外された場合、電池容量切れの場合がある。
【0051】
メイン電池7からの電源供給が遮断されると、ステップS7で電源供給検出・切替部10はメイン電池7からサブ電池8に電源供給の切り替えを行い、この時、表示部13は起動しないため、メイン電池7からの電源供給を遮断した人物には電源供給がなされていることは気付かれない。つまり、上述のように携帯電話機A20の電源が強制的に遮断された場合には、自動的にサブ電池8に切り替えられ、携帯電話機A20はそのまま動作を続けることになる。
【0052】
次いで、ステップS8でタイマ11が起動し、予め設定された時間を経過すると、ステップS10へ進む。ステップS10以降の動作は上述のようにブルートゥース通信部1や無線LAN通信部3を起動し、周辺機器から個別識別情報信号を検索してPC端末25に送信する。なお、ブルートゥース通信部1を先に起動し、無線LAN通信部3を後に起動しているが、起動する順序は逆でもよい。
【0053】
本実施形態では、ブルートゥース通信及び無線LAN通信を利用して周辺機器から個別識別情報を取得しているため、ブルートゥース通信により周辺機器の個別識別情報を取得できなくても無線LAN通信により個別識別情報を取得することが可能となり、より確実に周辺機器の個部識別情報を取得することができる。また、高層の建物内や受信しにくいエリア等であっても周辺機器の個別識別情報を取得することが可能となる。更に、メイン電池が強制的に遮断された場合には自動的にサブ電池に切り替えることにより、携帯電話機の電源オンが気付かれることなく、周辺機器の個別識別情報が得られ、犯罪等に巻き込まれた場合の場所特定に役立つ。
【符号の説明】
【0054】
1、1b ブルートゥース通信部
2、2b ブルートゥース用アンテナ
3、3b 無線LAN通信部
4、4b 無線LAN用アンテナ
5 送受信部
6 送受信用アンテナ
7 メイン電池
8 サブ電池
9、9b 制御部
10 電源供給検出・切替部
11 タイマ
12 操作部
13 表示部
14 メールデータ生成部
A20 携帯電話機
B21 携帯電話機
22 無線LANアクセスポイント
23 電話通信網
24 インターネット網
25 PC端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブルートゥース通信部、メール機能及びネットワーク接続機能を有する携帯情報端末と、前記携帯情報端末とネットワークを介して接続可能な情報処理端末とを有する無線通信システムであって、
前記情報処理端末は、前記ネットワークを介して前記携帯情報端末に接続し、当該携帯情報端末に対して周辺機器から個別識別情報を取得するように指示する要求信号を送信する手段を有し、
前記携帯情報端末は、前記要求信号に応じて前記ブルートゥース通信部を起動し、周辺機器から個別識別情報を検索する手段と、
前記周辺機器から取得した個別識別情報を前記ネットワークを介して前記情報処理端末に送信する手段と、
を備えたことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
無線LAN通信部、メール機能及びネットワーク接続機能を有する携帯情報端末と、前記携帯情報端末とネットワークを介して接続可能な情報処理端末とを有する無線通信システムであって、
前記情報処理端末は、前記ネットワークを介して前記携帯情報端末に接続し、当該携帯情報端末に対して周辺機器から個別識別情報を取得するように指示する要求信号を送信する手段を有し、
前記携帯情報端末は、前記要求信号に応じて前記無線LAN通信部を起動し、周辺機器から個別識別情報を検索する手段と、
前記周辺機器から取得した個別識別情報を前記ネットワークを介して前記情報処理端末に送信する手段と、
を備えたことを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
ブルートゥース通信部、無線LAN通信部、メール機能及びネットワーク接続機能を有する携帯情報端末と、前記携帯情報端末とネットワークを介して接続可能な情報処理端末とを有する無線通信システムであって、
前記情報処理端末は、前記ネットワークを介して前記携帯情報端末に接続し、当該携帯情報端末に対して周辺機器から個別識別情報を取得するように指示する要求信号を送信する手段を有し、
前記携帯情報端末は、前記要求信号に応じて前記ブルートゥース通信部又は無線LAN通信部のいずれか一方を起動し、周辺機器から個別識別情報を検索する手段と、
前記周辺機器から個別識別情報を取得できなかった時に他方の通信部を起動し、周辺機器から個別識別情報を検索する手段と、
前記周辺機器から取得した個別識別情報を前記ネットワークを介して前記情報処理端末に送信する手段と、
を備えたことを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
前記携帯情報端末はメイン電池及びサブ電池を有し、前記メイン電池からの電源供給が遮断された時には前記サブ電池からの電源供給に切り替えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項5】
ブルートゥース通信部、メール機能及びネットワーク接続機能を有する携帯情報端末と、前記携帯情報端末とネットワークを介して接続可能な情報処理端末とを有するシステムの個別識別情報取得方法であって、
前記情報処理端末により、前記ネットワークを介して前記携帯情報端末に接続し、当該携帯情報端末に対して周辺機器から個別識別情報を取得するように指示する要求信号を送信する工程と、
前記携帯情報端末により、前記要求信号に応じて前記ブルートゥース通信部を起動し、周辺機器から個別識別情報を検索する工程、
及び前記周辺機器から取得した個別識別情報を前記ネットワークを介して前記情報処理端末に送信する工程と、
を含むことを特徴とする個別識別情報取得方法。
【請求項6】
無線LAN通信部、メール機能及びネットワーク接続機能を有する携帯情報端末と、前記携帯情報端末とネットワークを介して接続可能な情報処理端末とを有するシステムの個別識別情報取得方法であって、
前記情報処理端末により、前記ネットワークを介して前記携帯情報端末に接続し、当該携帯情報端末に対して周辺機器から個別識別情報を取得するように指示する要求信号を送信する工程と、
前記携帯情報端末により、前記要求信号に応じて前記無線LAN通信部を起動し、周辺機器から個別識別情報を検索する工程、
及び前記周辺機器から取得した個別識別情報を前記ネットワークを介して前記情報処理端末に送信する工程と、
を含むことを特徴とする個別識別情報取得方法。
【請求項7】
ブルートゥース通信部、無線LAN通信部、メール機能及びネットワーク接続機能を有する携帯情報端末と、前記携帯情報端末とネットワークを介して接続可能な情報処理端末とを有するシステムの個別識別情報取得方法であって、
前記情報処理端末により、前記ネットワークを介して前記携帯情報端末に接続し、当該携帯情報端末に対して周辺機器から個別識別情報を取得するように指示する要求信号を送信する工程と、
前記携帯情報端末により、前記要求信号に応じて前記ブルートゥース通信部又は無線LAN通信部のいずれか一方を起動し、周辺機器から個別識別情報を検索する工程、及び前記周辺機器から個別識別情報を取得できなかった時に他方の通信部を起動し、周辺機器から個別識別情報を検索する工程、
前記周辺機器から取得した個別識別情報を前記ネットワークを介して前記情報処理端末に送信する工程と、
を含むことを特徴とする個別識別情報取得方法。
【請求項8】
前記携帯情報端末はメイン電池及びサブ電池を有し、前記メイン電池からの電源供給が遮断された時には前記サブ電池からの電源供給に切り替えることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の個別識別情報取得方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−109512(P2011−109512A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263903(P2009−263903)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】