説明

無線通信システム及びハンドオーバ方法

【課題】移動端末装置の移動経路に沿って効率良くハンドオーバできる無線通信システム及びハンドオーバ方法を提供すること。
【解決手段】本発明のハンドオーバ方法は、無線通信装置において、履歴情報に基づいてハンドオーバ先をレコメンドし、前記ハンドオーバ先情報を移動端末装置に送信し、前記移動端末装置において、前記ハンドオーバ先情報を含む情報に基づいてハンドオーバ動作を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム及びハンドオーバ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムは複数のセルで構成されている。このため、移動端末装置が移動すると、セルを移動することになり、通信する無線基地局装置を切り替える必要がある。このようなハンドオーバ(基地局の切り替え)を伴う無線通信システムとしては、例えば、3Gシステム、LTE(Long Term Evolution)システム、無線LANシステムなどが挙げられる。特に、LTEシステムにおいては、ソフトハンドオーバではなく、ハードハンドオーバとなることが規定されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】TS 36.300 10.1.2.1.1, 10.1.2.1.2, 10.1.2.3, Figure 10.1.2.1.1-1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常ハンドオーバは、移動端末装置において、イベントを検出して(例えば、通信品質を測定して)、その検出結果に基づいてハンドオーバを実施する端末主導型になっている。このため、イベントの検出結果次第では、適切な無線基地局装置間でハンドオーバが実施されずに、無駄なハンドオーバが発生する可能性がある(図1参照)。特に、LTEシステムにおいては、ハードハンドオーバとなるため、無駄なハンドオーバが発生していると、移動端末装置が高速に移動したときに瞬断が発生してしまうことが考えられる。このため、移動端末装置の移動経路に沿って効率良くハンドオーバできることが望まれている。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、移動端末装置の移動経路に沿って効率良くハンドオーバできる無線通信システム及びハンドオーバ方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の無線通信システムは、履歴情報を管理する履歴管理手段、前記履歴情報に基づいてハンドオーバ先をレコメンドするレコメンデーション手段及び前記ハンドオーバ先情報を移動端末装置に送信する送信手段を備えた無線通信装置と、前記ハンドオーバ先情報を含む情報に基づいてハンドオーバ動作を行うハンドオーバ処理手段を備えた移動端末装置と、を具備することを特徴とする。
【0007】
本発明のハンドオーバ方法は、無線通信装置において、履歴情報に基づいてハンドオーバ先をレコメンドする工程と、前記ハンドオーバ先情報を移動端末装置に送信する工程と、前記移動端末装置において、前記ハンドオーバ先情報を含む情報に基づいてハンドオーバ動作を行う工程と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、無線通信装置において、履歴情報に基づいてハンドオーバ先をレコメンドし、前記ハンドオーバ先情報を移動端末装置に送信し、前記移動端末装置において、前記ハンドオーバ先情報を含む情報に基づいてハンドオーバ動作を行うので、移動端末装置の移動経路に沿って効率良くハンドオーバすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】移動端末装置の移動経路とハンドオーバとの関係を説明するための図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る無線通信システムの一態様を説明するための図である。
【図3】(a)〜(c)は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムに使用するレコメンド技術を説明するための図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおける移動情報を説明するための図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおけるハンドオーバタイミングを説明するための図である。
【図6】セル単位の移動情報についての端末への報知及びフィードバックを説明するためのシーケンス図である。
【図7】加入者単位の移動情報についての端末への報知及びフィードバックを説明するためのシーケンス図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおける移動端末装置及び無線通信装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施の形態においては、移動端末装置が携帯電話に適用した例について説明するが、この構成に限定されるものではない。本発明において移動端末装置は、複数の無線通信システムで通信可能な装置であればどのような装置でもよく、例えば、デスクトップPC、ノートPC、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯用ゲーム機などに適用することも可能である。
【0011】
図2を参照して移動端末装置が属する無線通信システムの構成の概要について説明する。なお、図2に示す無線通信システムの構成は、あくまで例示であって、この構成に限定されるものではない。
【0012】
図2に示す無線通信システムは複数のセルを有している。また、それぞれのセルは、無線基地局装置(BTS#1〜BTS#4)を備えている。無線基地局装置は、ハンドオーバの制御などを行うRNC(Radio Network Controller)、MME(Mobility Management Entity)のような無線通信装置に接続されている。
【0013】
このような無線通信システムにおいて、移動端末装置UEがセル#1から他セルに移動する場合、RNCやMMEなどの無線通信装置は、移動端末装置UEにおける通信品質に応じて事前にハンドオーバ処理を行う。例えば、図2においては、RNCやMMEなどの無線通信装置は、無線基地局装置BTS#1,BTS#2,BTS#4との間で事前にハンドオーバ処理を行う。
【0014】
上述したように、移動端末装置UEが通信品質(イベント)を測定して、その測定結果に基づいてハンドオーバ先を決定すると、無駄なハンドオーバが発生する可能性がある。図2においては、セル#1から移動する移動端末装置UEはセル#2に移動するので、無線基地局装置BTS#1,BTS#2間でハンドオーバ処理を行うことになる。しかしながら、移動端末装置UEにおいて、無線基地局装置BTS#2との間の通信品質よりも無線基地局装置BTS#3や無線基地局装置#4との間の通信品質の方が良いと、無線基地局装置BTS#1,BTS#3間あるいは無線基地局装置BTS#1,BTS#4間でハンドオーバ処理を行い、その後、さらに無線基地局装置BTS#1,BTS#2間でハンドオーバ処理を行うことになり、無駄なハンドオーバが発生する可能性がある。
【0015】
そこで、本発明においては、無線通信装置において履歴情報に基づいてハンドオーバ先をレコメンドし、そのレコメンドされたハンドオーバ先の情報を用いて移動端末装置がハンドオーバを行う。これにより、無駄なハンドオーバの発生を防止することができる。なお、最終的にハンドオーバ先を決定するのは、移動端末装置でも良く、無線基地局装置(アクセスポイント)でも良く、ネットワーク上のサーバでも良い。すなわち、ハンドオーバ先の情報(必要に応じて通信品質情報を含めて)に基づいて移動端末装置でハンドオーバ先を決定しても良く、無線基地局装置やサーバでハンドオーバ先の情報に基づいてハンドオーバ先を決定し、その旨を移動端末装置に通知しても良い。なお、ハンドオーバ先の情報は、一つのハンドオーバ先であっても良く、複数のハンドオーバ先候補であっても良い。
【0016】
上記のように、移動端末装置は、レコメンドされたハンドオーバ先の情報に基づいてハンドオーバ先を決定しても良く、自装置で測定した通信品質情報を用いてハンドオーバ先を決定しても良いので、レコメンドされたハンドオーバ先が必ず採用されるわけではない。このため、移動端末装置は、実際にハンドオーバしたハンドオーバ先の情報を無線通信装置(無線基地局装置やサーバ)にフィードバックすることが好ましい。これにより、ハンドオーバ履歴情報の精度が高くなり、より正確にハンドオーバ先をレコメンドすることができる。
【0017】
一般的に、無線基地局装置(BTS、eNB)やアクセスポイント(AP)などは、道路沿いや線路沿いに配置されている。このため、人間の移動は道路や線路を動線として、そこから大きく逸脱するものではない。また、大多数の人の行動パターンは類似している。このため、このような観点から、履歴としては、過去のハンドオーバ履歴又は移動端末装置の行動履歴などが挙げられる。
【0018】
移動端末装置の行動履歴については、例えば、協調フィルタリング、予め決められたルール、又はベイジアンネットワークなどのいわゆるレコメンド技術を用いてハンドオーバ先をレコメンドすることが好ましい。例えば、あるセル(エリア)内のユーザが次に移動するセル(エリア)を、以前そのエリア内にいたユーザの行動から予測した上で、適切な無線基地局装置にハンドオーバできるように移動端末装置UEにレコメンドする。例えば、図2においては、無線基地局装置BTS#1は、セル#1内のユーザの行動から適切である無線基地局装置BTS#2を移動端末装置UEにレコメンドする。そして、移動端末装置UEは、レコメンドされた無線基地局装置BTS#2をハンドオーバ先としてハンドオーバを行う。これらのレコメンドは、移動端末装置UEの行動履歴データを無線基地局装置やネットワーク上のサーバが保管することにより実現することができる。
【0019】
なお、移動端末装置においては、レコメンドされたハンドオーバ先とハンドオーバを実施しても良く、レコメンドされたハンドオーバ先に加えて、その他のイベント(通信品質など)を用いてハンドオーバ先を決定しても良い。
【0020】
ここで、協調フィルタリングなどのレコメンド技術について簡単に説明する。
協調フィルタリングは、過去の履歴から行動の傾向が近いケースを抽出し、次の行動を予測することである。協調フィルタリングを用いる場合には、例えば、ハンドオーバ時にハンドオーバ元の情報を引き継いで登録しておき、その情報に基づいてハンドオーバ先をレコメンドする。無線基地局装置BTS#4で移動端末装置UE#1に対してハンドオーバ先をレコメンドする場合、図3(a)のテーブルから分かるように、移動端末装置UE#1や移動端末装置UE#nでBTS#2→BTS#3と移動してきているときには、無線基地局装置BTS#5に行く可能性が高いので、無線基地局装置BTS#4は、ハンドオーバ先として無線基地局装置BTS#5をレコメンドする。そして、無線基地局装置BTS#4は、セッションを確立するための事前準備(認証等)を実施する。このように、多数の人が移動した経路は自分が移動する確率も高いため行動予測し易い。この行動予測に基づくことにより、高速なハンドオーバを行うことが可能となる。
【0021】
次に、道路沿い、線路沿いなどの移動経路が限定されている場合においては、予め決められたルールやベイジアンネットワークでレコメンドする。図3(b)に示す構成において、無線基地局装置BTS#3で移動端末装置UE#1に対してハンドオーバ先をレコメンドする場合、図3(b)のテーブルから分かるように、ルール#1では、無線基地局装置BTS#1から移動した移動端末装置は、無線基地局装置BTS#4にハンドオーバするようになっているので、無線基地局装置BTS#3は、ハンドオーバ先として無線基地局装置BTS#4をレコメンドする。このように、予め経路を限定しておくことで冗長なハンドオーバを削減することができると共に、高速移動時のハードハンドオーバを効率化することができる。
【0022】
ベイジアンネットワーク(ベイジアンフィルタ)は、条件付き確率から事後確率を推定し、次の行動を予測することである。ベイジアンネットワークを用いる場合には、例えば、複数の情報を組み合わせてハンドオーバ先を推定する。ここで、複数の情報としては、端末情報(GPS、アプリケーションなど)、BTSなどの情報、時間情報などが挙げられる。具体的には、ある時間に無線基地局装置BTS#1に属しており、移動速度がXでパケット通信をしている移動端末装置は、無線基地局装置BTS#2へのハンドオーバ率が75%であるとすると、無線基地局装置BTS#1は、ハンドオーバ先として無線基地局装置BTS#2をレコメンドする(図3(c)参照)。これにより、時間や移動速度、アプリケーションに応じた柔軟なハンドオーバ制御が可能となる。
【0023】
上述した履歴情報の他に、移動速度に基づいてハンドオーバ先を予測しても良い。すなわち、移動端末装置の移動速度や位置に応じてレコメンドするハンドオーバ先を変更しても良い。その際に利用できる技術として、GPS、フェージング周波数による推定、セルまたぎの頻度からの推定などがある。
【0024】
上記移動端末装置の行動履歴情報としては移動情報であることが好ましい。移動情報には、セル単位の移動情報と加入者(個人)単位の移動情報とがある。セル単位の移動情報とは、契約者情報を含まない情報であって、位置的な移動傾向を示す情報(集団的な移動傾向の履歴情報)をいう。セル単位の移動情報としては、鉄道幹線、幹線道路などにおける時刻に応じた移動傾向の情報などが挙げられる。例えば、8時〜9時の間には郊外から都心方向への移動が頻発し、セルAからセルBに移動する加入者が多い、という情報である。このような移動情報は、集団モビリティ(新幹線など)でのハンドオーバ集中の防止のために用いられる。このようなセル単位の移動情報は、無線基地局装置(BTS、eNB)やアクセスポイント、あるいは地理的に局所配置されたサーバ(あるエリアを統括するサーバなど)に格納(集積)する。また、セル単位の移動情報は、ハンドオーバ毎に更新する。
【0025】
一方、加入者単位の移動情報とは、個人の移動傾向履歴を示す情報をいう。例えば、Aさんは毎日セルCを経由した後にセルDへハンドオーバする、という情報である。加入者単位の移動情報は、個人に最適化されたハンドオーバ先の選定などのために用いられる。このような加入者単位の移動情報は、個人情報であるので、HLRなどの加入者識別可能なノードあるいはHLRなどに接続されたサーバ(加入者情報とひも付けが可能なノード:加入者管理サーバ)に格納(集積)する。加入者単位の移動情報は、ハンドオーバ毎に更新しても良く、移動端末装置でハンドオーバのセル情報を記録し、日毎にレポートをサーバに送信して更新しても良い。
【0026】
なお、移動端末装置の行動履歴情報として、セル単位の移動情報と加入者(個人)単位の移動情報とを組み合わせて最適化しても良い。これらの内容について図4に示す。
【0027】
ハンドオーバ先情報(レコメンド情報)には、ハンドオーバ先の候補となる無線基地局装置(BTS、eNB)などのIDなど、無線基地局装置(BTS、eNB)などに接続する際に必要な情報;ハンドオーバを判断するタイミング(ハンドオーバを実施する際のタイミング情報)などの情報が含まれる。例えば、早めにハンドオーバを実施させる移動端末装置には、ハンドオーバの判断基準となる受信電力値を変化させる。無線基地局装置BTS#1から無線基地局装置BTS#2にハンドオーバする移動端末装置UE#1よりも、無線基地局装置BTS#1から無線基地局装置BTS#3にハンドオーバする移動端末装置UE#2を早めにハンドオーバさせる場合には、図5に示すように、移動端末装置UE#2におけるハンドオーバ閾値を下げる。また、タイミング情報として、他の情報、例えばGPSなどの情報を用いて、ハンドオーバを実施させても良い。
【0028】
上述したように、移動端末装置の行動履歴情報として、セル単位の移動情報と加入者(個人)単位の移動情報とがある。これらの移動情報は、格納場所が異なるので、それぞれ報知手段やフィードバックが異なる。以下に、それぞれの移動情報についての移動端末装置への報知手段及びフィードバックを説明する。
【0029】
図6は、セル単位の移動情報についての端末への報知及びフィードバックを説明するためのシーケンス図である。まず、移動端末装置UE又は前に通信(在圏)していた無線基地局装置(前eNB)からハンドオーバ履歴の情報が現在通信(在圏)している無線基地局装置(現eNB)に送られる(ST101、ST102)。次いで、現eNBは、次のハンドオーバ先やハンドオーバタイミングを決定する(ST103)。このとき、現eNBは、履歴情報(ここではハンドオーバ履歴の情報)を用いてハンドオーバ先を決定すると共に、ハンドオーバタイミング(早めにハンドオーバさせるのか遅めにハンドオーバさせるのか)を決定する。現eNBは、決定したハンドオーバ先やハンドオーバタイミングを含む情報を移動端末装置UEに送信してレコメンドする(ST104)。
【0030】
次いで、移動端末装置UEは、レコメンドされたハンドオーバ先の情報を含めてハンドオーバ先を決定する(ST105)。また、移動端末装置UEは、決定したハンドオーバ先の情報(ハンドオーバ先決定結果)を現eNBに送信してフィードバックする(ST106)。現eNBは、ハンドオーバ先決定結果をレコメンド用のハンドオーバデータベースに更新する(ST107)。
【0031】
その後、移動端末装置UEは、現eNBと次eNBとの間でハンドオーバを実施する(ST108)。移動端末装置UE又は現在通信(在圏)している無線基地局装置(現eNB)からハンドオーバ履歴の情報が次に通信(在圏)している無線基地局装置(次eNB)に送られる(ST109、ST110)。そして、次eNBは、上記と同様にして、次のハンドオーバ先やハンドオーバタイミングを決定する(ST111)。
【0032】
図7は、加入者単位の移動情報についての端末への報知及びフィードバックを説明するためのシーケンス図である。まず、移動端末装置UE又は前に通信(在圏)していた無線基地局装置(前eNB)からハンドオーバ履歴の情報が加入者管理サーバ(無線通信装置)に送られる(ST201、ST202)。次いで、加入者管理サーバは、次のハンドオーバ先やハンドオーバタイミングを決定する(ST203)。このとき、加入者管理サーバは、履歴情報(ここではハンドオーバ履歴の情報)を用いてハンドオーバ先を決定すると共に、ハンドオーバタイミング(早めにハンドオーバさせるのか遅めにハンドオーバさせるのか)を決定する。加入者管理サーバは、決定したハンドオーバ先やハンドオーバタイミングを含む情報を移動端末装置UEに送信してレコメンドする(ST204)。
【0033】
次いで、移動端末装置UEは、レコメンドされたハンドオーバ先の情報を含めてハンドオーバ先を決定する(ST205)。また、移動端末装置UEは、決定したハンドオーバ先の情報(ハンドオーバ先決定結果)を加入者管理サーバに送信してフィードバックする(ST206)。加入者管理サーバは、ハンドオーバ先決定結果をレコメンド用のハンドオーバデータベースに更新する(ST207)。
【0034】
その後、移動端末装置UEは、現eNBと次eNBとの間でハンドオーバを実施する(ST208)。移動端末装置UE又は現在通信(在圏)している無線基地局装置(現eNB)からハンドオーバ履歴の情報が次に通信(在圏)している加入者管理サーバに送られる(ST209、ST210)。そして、加入者管理サーバは、上記と同様にして、次のハンドオーバ先やハンドオーバタイミングを決定する(ST211)。
【0035】
このように、移動端末装置で決定したハンドオーバ先情報を無線基地局装置や加入者管理サーバにフィードバックすることにより、ハンドオーバ履歴の情報が正確となり、レコメンドの正確性が向上する。
【0036】
以下に、上述した無線通信システムに適用する無線基地局装置(アクセスポイント)及び移動端末装置の構成の一例について説明する。なお、以下の説明における構成は、あくまで例示であって、この構成に限定されるものではない。
【0037】
図8を参照して、無線通信装置(BTS、eNB、AP)及び移動端末装置の機能構成について説明する。図8は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおける無線通信装置及び移動端末装置の機能ブロック図である。
【0038】
図8に示すように、移動端末装置UEは、アンテナ101を介して無線通信装置と無線通信する無線通信部102と、無線通信装置からの信号の通信品質を観測する無線品質観測部103と、レコメンド情報などを用いてハンドオーバ先を決定するハンドオーバ判断部104と、ハンドオーバ先の情報(ハンドオーバ先決定結果)を無線通信装置にフィードバックするハンドオーバ結果フィードバック部105とから主に構成されている。
【0039】
無線通信装置(無線基地局装置など)は、アンテナ201を介して移動端末装置や他の無線通信装置と無線通信する無線通信部202と、レコメンド用のハンドオーバデータベースであるハンドオーバ履歴管理部205と、他の無線通信装置や移動端末装置からの情報及び/又はハンドオーバ履歴情報を用いて移動端末装置にレコメンドするハンドオーバ先を推定するレコメンデーション推定部203と、レコメンドするハンドオーバ先情報を移動端末装置に通知するハンドオーバ実施指示部204とから主に構成されている。
【0040】
加入者管理サーバ(無線通信装置)は、レコメンド用のハンドオーバデータベースである加入者ハンドオーバ履歴管理部301と、他の無線通信装置や移動端末装置からの情報及び/又はハンドオーバ履歴情報を用いて移動端末装置にレコメンドするハンドオーバ先を推定するレコメンデーション推定部302と、レコメンドするハンドオーバ先情報を移動端末装置に通知するハンドオーバ実施指示部303とから主に構成されている。
【0041】
無線品質観測部103は、無線通信装置からの受信信号についての通信品質を測定する。無線品質観測部103は、この測定結果をハンドオーバ判断部104に出力する。ハンドオーバ判断部104は、レコメンドされたハンドオーバ先の情報を無線通信装置(BTSなど)から受ける。また、ハンドオーバ判断部104は、レコメンドされたハンドオーバ先の情報でハンドオーバ先を決定するか、あるいは、このハンドオーバ先の情報と通信品質測定結果(通信品質情報)とからハンドオーバ先を決定する。ハンドオーバ判断部104は、ハンドオーバ先決定結果をハンドオーバ結果フィードバック部105に出力する。ハンドオーバ結果フィードバック部105は、ハンドオーバ先決定結果を無線通信装置(加入者管理サーバ、無線基地局装置など)のハンドオーバ履歴管理部205,301に通知する。ハンドオーバ先決定結果は、無線基地局装置などへは無線アクセスネットワーク経由で送信され、加入者管理サーバへはコアネットワーク経由で送信される。移動端末装置においては、ハンドオーバ先情報を含む情報(ハンドオーバ先情報及び通信品質情報)に基づいてハンドオーバ動作を行う(ハンドオーバ処理)。
【0042】
無線基地局装置などのハンドオーバ履歴管理部205は、履歴情報であるハンドオーバ履歴情報や行動履歴情報を格納する。ハンドオーバ履歴管理部205は、履歴情報をレコメンデーション推定部203に出力する。レコメンデーション推定部203は、履歴情報を用いて適切なハンドオーバ先を推定する。この推定においては、上述したレコメンド技術を用いることができる。レコメンデーション推定部203は、レコメンドしたハンドオーバ先の情報をハンドオーバ実施指示部204に出力する。ハンドオーバ実施指示部204は、レコメンドしたハンドオーバ先の情報を無線アクセスネットワーク経由で移動端末装置に送信する。
【0043】
加入者管理サーバの加入者ハンドオーバ履歴管理部301は、履歴情報であるハンドオーバ履歴情報や行動履歴情報を格納する。レコメンデーション推定部302は、加入者ハンドオーバ履歴管理部301から履歴情報を抽出する。レコメンデーション推定部302は、履歴情報を用いて適切なハンドオーバ先を推定する。この推定においては、上述したレコメンド技術を用いることができる。レコメンデーション推定部302は、レコメンドしたハンドオーバ先の情報をハンドオーバ実施指示部303に出力する。ハンドオーバ実施指示部303は、レコメンドしたハンドオーバ先の情報をコアネットワーク経由で移動端末装置に送信する。
【0044】
上記構成の無線通信システムにおいて、本発明に係るハンドオーバ方法を行う場合について説明する。
【0045】
まず、履歴情報がセル単位の移動情報である場合について説明する。無線通信装置である無線基地局装置などにおいて、レコメンデーション推定部203がハンドオーバ履歴管理部205で管理された履歴情報(ハンドオーバ履歴情報、セル単位の移動情報)を抽出し、その履歴情報を用いて適切なハンドオーバ先を推定する。この推定においては、上述したレコメンド技術を用いる。次いで、レコメンドされたハンドオーバ先情報は、ハンドオーバ実施指示部204から無線アクセスネットワークを介して移動端末装置に送信される。
【0046】
移動端末装置において、ハンドオーバ判断部104は、無線基地局装置などから送信されたレコメンド情報(ハンドオーバ先情報、ハンドオーバタイミング情報)に基づいてハンドオーバ先を決定する、あるいは、無線品質観測部103で測定された通信品質を考慮して、ハンドオーバ先を決定する。その後、移動端末装置は、決定したハンドオーバ先に対してハンドーバを実施する。
【0047】
次に、履歴情報が加入者単位の移動情報である場合について説明する。無線通信装置である加入者管理サーバにおいて、レコメンデーション推定部302が加入者ハンドオーバ履歴管理部301で管理された履歴情報(ハンドオーバ履歴情報、加入者単位の移動情報)を抽出し、その履歴情報を用いて適切なハンドオーバ先を推定する。この推定においては、上述したレコメンド技術を用いる。次いで、レコメンドされたハンドオーバ先情報は、ハンドオーバ実施指示部303からコアネットワークを介して移動端末装置に送信される。
【0048】
移動端末装置において、ハンドオーバ判断部104は、無線基地局装置などから送信されたレコメンド情報(ハンドオーバ先情報、ハンドオーバタイミング情報)に基づいてハンドオーバ先を決定する、あるいは、無線品質観測部103で測定された通信品質を考慮して、ハンドオーバ先を決定する。その後、移動端末装置は、決定したハンドオーバ先に対してハンドーバを実施する。
【0049】
このように、履歴情報を用いてハンドオーバ先をレコメンドすることにより、移動端末装置の移動経路に沿って効率良くハンドオーバすることができる。これにより、無駄なハンドオーバの発生を防止してハンドオーバ回数を抑制することができる。また、移動端末装置の移動経路に沿って効率良くハンドオーバするので、移動端末装置が高速で移動していても最適な経路でハンドオーバでき、瞬断の発生を防止することができ、結果として、通信品質を向上させることができる。
【0050】
また、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であってこの実施の形態に制限されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施の形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0051】
101,201 アンテナ
102,202 無線通信部
103 無線品質観測部
104 ハンドオーバ判断部
105 ハンドオーバ結果フィードバック部
203,302 レコメンデーション推定部
204,303 ハンドオーバ実施指示部
205 ハンドオーバ履歴管理部
301 加入者ハンドオーバ履歴管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
履歴情報を管理する履歴管理手段、前記履歴情報に基づいてハンドオーバ先をレコメンドするレコメンデーション手段及び前記ハンドオーバ先情報を移動端末装置に送信する送信手段を備えた無線通信装置と、前記ハンドオーバ先情報を含む情報に基づいてハンドオーバ動作を行うハンドオーバ処理手段を備えた移動端末装置と、を具備することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記履歴情報は、ハンドオーバ履歴情報又は移動端末装置の行動履歴情報であることを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記レコメンデーション手段は、協調フィルタリング、予め決められたルール、又はベイジアンネットワークによりハンドオーバ先をレコメンドすることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記移動端末装置の行動履歴情報がセル単位の移動情報であり、前記無線通信装置が無線基地局装置であることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記移動端末装置の行動履歴情報が個人単位の移動情報であり、前記無線通信装置が加入者管理サーバであることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記移動端末装置は、前記ハンドオーバ処理手段で実際にハンドオーバしたハンドオーバ先の情報を前記無線通信装置にフィードバックすることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記ハンドオーバ処理手段は、前記ハンドオーバ先情報及び通信品質情報によりハンドオーバ先を決定することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記ハンドオーバ先情報は、ハンドオーバを実施する際のタイミング情報を含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項9】
無線通信装置において、履歴情報に基づいてハンドオーバ先をレコメンドする工程と、前記ハンドオーバ先情報を移動端末装置に送信する工程と、前記移動端末装置において、前記ハンドオーバ先情報を含む情報に基づいてハンドオーバ動作を行う工程と、を具備することを特徴とするハンドオーバ方法。
【請求項10】
前記履歴情報は、ハンドオーバ履歴情報又は移動端末装置の行動履歴情報であることを特徴とする請求項9記載のハンドオーバ方法。
【請求項11】
協調フィルタリング、予め決められたルール、又はベイジアンネットワークによりハンドオーバ先をレコメンドすることを特徴とする請求項9又は請求項10記載のハンドオーバ方法。
【請求項12】
前記移動端末装置の行動履歴情報がセル単位の移動情報であり、前記無線通信装置が無線基地局装置であることを特徴とする請求項10又は請求項11記載のハンドオーバ方法。
【請求項13】
前記移動端末装置の行動履歴情報が個人単位の移動情報であり、前記無線通信装置が加入者管理サーバであることを特徴とする請求項10又は請求項11記載のハンドオーバ方法。
【請求項14】
前記移動端末装置は、前記ハンドオーバ処理手段で実際にハンドオーバしたハンドオーバ先の情報を前記無線通信装置にフィードバックすることを特徴とする請求項9から請求項13のいずれかに記載のハンドオーバ方法。
【請求項15】
前記移動端末装置は、前記ハンドオーバ先情報及び通信品質情報によりハンドオーバ先を決定することを特徴とする請求項9から請求項14のいずれかに記載のハンドオーバ方法。
【請求項16】
前記ハンドオーバ先情報は、ハンドオーバを実施する際のタイミング情報を含むことを特徴とする請求項9から請求項15のいずれかに記載のハンドオーバ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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