説明

無線通信システム及びメッセージ通知方法

【課題】着信側の回線交換網にアクセス規制が実施された場合でも、容易に、音声を聞かせること。
【解決手段】交換機は、第1移動機から第2移動機への電話発信を受信した際に、該第2移動機へ接続されるべき回線交換網へのアクセスが規制されているかを判定する判定部と、規制されていると判定された場合に、ファイルサーバに、第1移動機を接続する接続先切替部とを有し、ファイルサーバは、第1移動機と接続された場合に、第2移動機のユーザ宛の音声メッセージを取得する取得部と、音声メッセージを含む音声ファイルを作成する声ファイル作成部と、音声ファイルを格納する格納部と、音声ファイルを取得するための取得情報を作成する取得情報作成部と、第2移動機に、パケット交換網を介して、取得情報を送信する送信部とを有する。送信部は、音声ファイル取得情報を受信した第2の移動機から送信されるべきダウンロード要求に従って、音声ファイルを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地震などの大規模な災害が発生した時には、災害の復旧活動にあたる行政や防災機関などに加えて、多くのユーザが被災地への安否確認などに音声電話を利用する。このとき、通常時と比べて多量のトラフィックがネットワークで処理されることになる。多量のトラフィックがネットワークで処理されることにより、通信がつながりにくい状態となる。通信がつながりにくい状態となるため、通信を規制することにより、トラヒックのネットワークコントロールが実施される。
【0003】
移動通信ネットワークには、回線交換(CS:Circuit Switching)呼を処理するネットワークと、パケット交換(PS:Packet Switching)呼を処理するネットワークとが含まれる。
【0004】
しかし、CS呼とPS呼のネットワークコントロールが、3GPP(3rd Generation Partnership Project)標準仕様で独立に制御できないように規定されているため、PS呼のトラヒック量が少ない状況のときでも、音声電話などのCS呼の規制率にしたがってPS呼が必要以上に規制されていた。
【0005】
そこで、3GPP標準仕様に、CSとPSのネットワークコントロールを独立に行う機能を追加することが行われた(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】野口勝広、金内正臣、河端剛史、藤村広太 「FOMAアクセス規制の回線交換/パケット交換分離機能」、NTT DoCoMoテクニカル・ジャーナルVol.14 No.4 2007年1月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、大規模な災害が発生した時には、音声電話が利用されることが多いため、CS呼に対してアクセス規制が実行されることが多いと想定される。
【0008】
CS呼に対してアクセス規制が実行された場合でも、災害用伝言板などを利用することにより、安否を確認できる。しかし、災害用伝言板などを利用するには複雑な操作が要求される。例えば、メッセージを登録する操作や、メッセージを登録したことを通知する操作が必要とされる。また、安否を確認したい人の電話番号を入力する操作が必要とされる。このような操作は、リテラシの高いユーザにとっては容易であるが、リテラシの低いユーザにとっては困難である。
【0009】
さらに、発信者にとっては、災害用伝言板に表示されるべき文字よりも、音声を伝えたい要求がある。また、着信者にとっては、災害用伝言板に表示されるメッセージよりも、音声を聞きたいという要求がある。
【0010】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、着信側の回線交換網にアクセス規制が実施された場合でも、容易に、音声を聞かせることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
開示の一実施例の無線通信システムは、
第1の移動機から第2の移動機への電話発信を受信した際に、該第2の移動機へ接続されるべき回線交換網へのアクセスが規制されているかどうかを判定する規制判定部と、
該規制判定部により規制されていると判定された場合に、ファイルサーバに、前記第1の移動機を接続する接続先切替部と
を有する交換機と、
前記第1の移動機と接続された場合に、該第1の移動機により通知されるべき前記第2の移動機のユーザ宛の音声メッセージを取得する音声メッセージ取得部と、
該音声メッセージ取得部により取得されるべき音声メッセージを含む音声ファイルを作成する音声ファイル作成部と、
該音声ファイル作成部により作成されるべき音声ファイルを格納する音声ファイル格納部と、
前記音声ファイル作成部により作成されるべき音声ファイルを取得するための音声ファイル取得情報を作成する音声ファイル取得情報作成部と、
前記第2の移動機に、パケット交換網を介して、前記音声ファイル取得情報作成部により作成されるべき音声ファイル取得情報を送信する送信部と
を有するファイルサーバと
を有し、
前記送信部は、前記音声ファイル取得情報を受信した第2の移動機から送信されるべき音声ファイルをダウンロードする要求信号に従って、音声ファイルを送信する。
【0012】
開示の一実施例のメッセージ通知方法は、
第1の移動機から第2の移動機へのメッセージを通知するメッセージ通知方法であって、
第1の移動機から第2の移動機への電話発信を受信した際に、交換機が、該第2の移動機へ接続されるべき回線交換網へのアクセスが規制されているかどうかを判定する規制判定ステップと、
該規制判定ステップにより規制されていると判定された場合に、前記交換機が、ファイルサーバに、前記第1の移動機を接続する接続先切替ステップと、
前記第1の移動機と接続された場合に、前記ファイルサーバが、該第1の移動機により通知されるべき前記第2の移動機のユーザ宛の音声メッセージを取得する音声メッセージ取得ステップと、
前記ファイルサーバが、該音声メッセージ取得ステップにより取得されるべき音声メッセージを含む音声ファイルを作成する音声ファイル作成ステップと、
前記ファイルサーバが、該音声ファイル作成部により作成されるべき音声ファイルを格納する音声ファイル格納ステップと、
前記ファイルサーバが、前記音声ファイル作成ステップにより作成されるべき音声ファイルを取得するための音声ファイル取得情報を作成する音声ファイル取得情報作成ステップと、
前記ファイルサーバが、前記第2の移動機に、パケット交換網を介して、前記音声ファイル取得情報作成ステップにより作成されるべき音声ファイル取得情報を送信する送信ステップと
前記音声ファイル取得情報を受信した第2の移動機から送信されるべき音声ファイルをダウンロードする要求信号に従って、前記ファイルサーバが、音声ファイルを送信する音声ファイル送信ステップと
を有する。
【発明の効果】
【0013】
開示の無線通信システムによれば、着信側の回線交換網にアクセス規制が実施された場合でも、容易に、音声を聞かせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】無線通信システムの概要を示す図である。
【図2】無線通信システムの一実施例を示す機能ブロック図である。
【図3】交換機の一実施例を示す機能ブロック図である。
【図4】ファイルサーバの一実施例を示す機能ブロック図である。
【図5】無線通信システムの動作の一実施例を示すシーケンスチャートである。
【図6】移動機の一実施例を示す機能ブロック図である。
【図7】交換機の一実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための形態を、以下の実施例に基づき図面を参照しつつ説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0016】
<実施例>
<無線通信システム>
図1は、無線通信システムの一実施例の概要を示す。
【0017】
本実施例では、発信側のCS網へのアクセスは規制されておらず、着信側のCS網へのアクセスが規制されている。着信側のPS網へのアクセスは規制されていない。
【0018】
ユーザAがユーザBに電話をかけることを考える。
【0019】
ユーザAが電話発信する(1)。ユーザAからの発呼は、発信側のCS網から着信側のCS網に通知されようとするが、着信側のCS網が規制されている。着信側のCS網が規制されているため、該着信側のCS網から、発信側のCS網に対して、切断信号が送信される。
【0020】
着信側のCS網から切断信号が送信されると、発信側のCS網に含まれるファイルサーバは、ユーザAに、ユーザBに接続できないこと、ユーザBへのメッセージをお預かりすることを表すガイダンスを送信する。ユーザAが、該ガイダンスに従って、メッセージを発すると、該メッセージは、ファイルサーバに録音され、蓄積される(2)。ファイルサーバは、着信側のPS網を介して、ユーザBに、音声メッセージを取得するための情報を通知する。又は、ファイルサーバは、着信側のCS網を介して、ユーザBに、音声メッセージを通知するようにしてもよい。ユーザBは、該音声メッセージを取得するための情報に従って、音声メッセージを取得する(3)。ファイルサーバは、ユーザAに、ユーザBに該音声メッセージが取得されたことを通知する。
【0021】
図2は、無線通信システムの一実施例を示す。
【0022】
図2には、第1の無線通信システム(添え字「1」により表す)と、第2の無線通信システム(添え字「2」により表す)が示される。第1の無線通信システムにより無線通信を行う移動機100から、第2の無線通信システムにより無線通信を行う移動機100を着信側として、CS回線により発呼される。第2の無線通信システムの基地局200によりカバーされるセル250のCS回線へのアクセスが規制されている。
【0023】
移動機100、100は、ユーザが通信することができる適切な如何なるユーザ端末でもよく、例えば、携帯電話、情報端末、パーソナルディジタルアシスタント、携帯用パーソナルコンピュータ等が含まれるが、これらに限定されない。
【0024】
本無線通信システムは、主に無線アクセス制御を行う無線アクセスネットワーク(RAN)(図示なし)と、移動管理、呼制御、サービス制御等を行うコアネットワーク(CN)600に分類される。本実施例では、本願に特に関連するコアネットワーク(CN)600について主に説明され、無線アクセスネットワークについての説明は省略される。
【0025】
RANには、無線基地局(BTS: Base Transceiver Station)200(200)及び無線ネットワーク制御装置(RNC:Radio Network Controller)300(300)が含まれる。
【0026】
CNは、回線交換(CS: Circuit Switched)ドメイン、パケット交換(PS: Packet Switched)ドメインから構成される。一般に、CSドメインは音声系サービスを提供し、PSドメインはデータ通信系サービスを提供する。
【0027】
移動局に対して各ドメインのサービスを提供するノードとして、加入者階梯交換機(図示なし)が含まれる。
【0028】
移動局に対して各ドメインのサービスを提供するノードとして、関門階梯交換機(図示なし)が含まれる。音声呼を処理する関門階梯交換機とパケット呼を処理する関門階梯交換機が存在する。同一の装置に実装されていてもよい。
【0029】
図2に示される例では、加入者階梯交換機、関門階梯交換機は、交換機400(400)により表される。
【0030】
交換機400(400)には、ファイルサーバ500が接続される。ファイルサーバ500は、主に、発信側、すなわち第1の無線通信システムの基地局200によりカバーされるセル250のCS回線はアクセスが規制されておらず、着信側、すなわち第2の無線通信システムの基地局200によりカバーされるセルのCS回線のアクセスが規制されている場合に機能する。ここでは、主に、セルが規制されている場合を一例として説明するが、セル・交換機の両方が規制されている場合、交換機が規制されている場合についても同様である。
【0031】
該ファイルサーバ500は、基地局200に在圏する移動局100により回線交換による発呼に応じて、着信者に対する音声メッセージを録音し、ファイル化する。以下、ファイル化された着信者に対する音声メッセージを「音声ファイル」という。
【0032】
ファイルサーバ500は、着信者に、該音声ファイルを取得させるための情報(以下、「音声ファイル取得情報」という)を送信する。該音声ファイル取得情報は、ファイルサーバ500から交換機400を経由して、RNC300、BTS200を介して、着信者の移動局100に通知される。音声ファイル取得情報が、移動局100に通知される際には、第2の無線通信システムのPS網が利用される。又は、ファイルサーバ500は、着信側のCS網を介して、移動局100に着信をかけて、音声メッセージを通知するようにしてもよい。
【0033】
移動局100は、ファイルサーバ500からの音声ファイル取得情報に従って、ファイルサーバ500にアクセスし、音声ファイルをダウンロードする。ファイルサーバ500は、移動局100に、移動局100に該音声メッセージが取得されたことを通知する。
【0034】
<交換機>
図3は、交換機400の一実施例を示す。交換機400についても同様である。図3には、交換機400の機能のうち、本願に特に関連する部分が記載され、その他の部分については省略される。交換機400は、RNC300と、ファイルサーバ500と接続される。交換機400は、RNC300と、ファイルサーバ500と接続される。
【0035】
交換機400は、接続処理部402と、接続先切替部404とを有する。
【0036】
接続処理部402は、移動機100からの発呼に従って、接続先である移動機100に接続要求を行う。具体的には、交換機402は、交換機400に対して、移動機100への接続要求を行う。交換機400は、移動機100が在圏するセルのCS回線へのアクセスが規制されているため、交換機400に、切断信号を送信する。該切断信号には、接続できない理由を表す情報(Cause)が含まれる。
【0037】
交換機400からの切断信号は、接続処理部402に入力される。接続処理部402は、交換機400からの切断信号を、接続先切替部404に入力する。
【0038】
接続先切替部404は、接続処理部402と接続される。接続先切替部404は、接続処理部402から切断信号が入力されると、ファイルサーバ500に、移動機100の接続先を切替える。移動機100の接続先をファイルサーバ500に切替えるかどうかは、移動機100の在圏するセルのCS回線にアクセスが規制されているかどうかに基づいて決定されてもよい。具体的には、接続できない理由を表す情報に基づいて決定される。災害などでアクセスが規制されている場合に、ファイルサーバ500が機能する方が好ましいためである。
【0039】
<ファイルサーバ>
図4は、ファイルサーバ500の一実施例を示す。図4には、ファイルサーバ500の機能のうち、本願に特に関連する部分が記載され、その他の部分については省略される。
【0040】
ファイルサーバ500は、受信部502と、音声取得部504と、音声ファイル作成部506と、音声ファイル格納部508と、音声ファイル取得情報作成部510と、送信部512と、音声ファイル通知制御部514とを有する。
【0041】
受信部502には、交換機400からの接続要求信号が入力される。該接続要求信号は、交換機400が、ファイルサーバ500に、移動機100の接続先を切替えると判断した場合に、交換機400から送信される接続を要求するための信号である。さらに、受信部502には、移動機100からの音声信号が入力される。受信部502には、移動機100から、音声ファイルをダウンロードするための音声ファイルダウンロード要求信号が入力される。
【0042】
受信部502は、交換機400からの接続要求信号に従って接続処理を行う。接続処理の後、受信部502は、音声取得部504に音声信号を入力する。また、受信部502は、音声ファイル通知制御部514に、音声信号ダウンロード要求信号を入力する。
【0043】
音声取得部504は、受信部502と接続される。音声取得部504は、移動機100のユーザからのメッセージを取得する。具体的には、移動機100に、着信先のユーザへのアクセスが規制されていることを通知し、該着信先のユーザへのメッセージをお預かりすることを通知する。音声取得部504は、音声ファイル作成部506に、受信部502から入力されるべき音声信号を、移動機100からのメッセージとして入力する。
【0044】
音声ファイル作成部506は、音声取得部504と接続される。音声ファイル作成部506は、音声取得部504により入力されるべき移動機100からのメッセージを録音し、該録音したメッセージを含む音声ファイルを作成する。音声ファイル作成部506は、音声ファイル格納部508に、音声ファイルを格納する。さらに、音声ファイル作成部506は、音声ファイルを提供するためのウエブページに、該音声ファイルを識別するための情報(以下、「音声ファイル識別情報」という)をアップロードすることにより追加し、音声ファイル取得情報作成部510に、音声ファイル識別情報を入力する。
【0045】
音声ファイル取得情報作成部510は、音声ファイル作成部506と接続される。音声ファイル取得情報作成部510は、音声ファイル作成部506により作成されるべき音声ファイルを移動機100に取得させるための音声ファイル取得情報を作成する。具体的には、音声ファイル作成部506により入力されるべき音声ファイル識別情報と、音声ファイルを提供するためのウエブページのURL(Uniform Resource Locator)とを含む音声ファイル取得情報が作成されてもよい。音声ファイル取得情報作成部510は、音声ファイル取得情報の宛先として、ユーザ端末100の電話番号(CS回線を利用した電話信号)を指定し、送信元としてユーザ端末100の電話番号(CS回線を利用した電話信号)を指定してもよい。該音声ファイル取得情報はショートメッセージサービス(SMS: Short Message Service)の利用できる形式で作成されてもよい。又は、音声ファイル取得情報作成部510は、音声ファイル取得情報の宛先として、ユーザ端末100の電子メールのアドレスを指定し、送信元としてユーザ端末100の電話番号(CS回線を利用した電話信号)又は電子メールアドレスを指定してもよい。宛先の電話番号と、電子メールのアドレスとが関連づけられている場合に、電子メールアドレスが指定される。具体的には、移動機100のアドレス帳から、宛先の電話番号に関連づけられた電子メールのアドレスが取得されてもよい。該音声ファイル取得情報は、テキストメッセージであってもよい。音声ファイル取得情報作成部510は、送信部512に、音声ファイル取得情報を入力する。
【0046】
送信部512は、音声ファイル取得情報作成部510と接続される。送信部512は、音声ファイル取得情報作成部510からの音声ファイル取得情報を移動機100に送信する。具体的には、ショートメッセージサービスが利用されてもよいし、電子メールの形式で送信されてもよい。音声ファイル取得情報の宛先は、着信先の移動機のCS回線の電話番号が設定されてもよいし、電子メールのアドレスが設定されてもよい。送信部512は、移動機100に、音声ファイル取得情報をPS回線により通知する。または、送信部512は、着信側のCS網を介して、移動局100に着信をかけて、音声メッセージを通知するようにしてもよい。
【0047】
音声ファイル格納部508は、音声ファイル格納部508と接続される。音声ファイル格納部508は、音声ファイル作成部506により入力されるべき音声ファイルを格納する。
【0048】
音声ファイル通知制御部514は、受信部502と、音声ファイル格納部508と、送信部512と接続される。音声ファイル通知制御部514は、受信部502により入力されるべき音声ファイルダウンロード要求信号に応じて、音声ファイル格納部508から、該当する音声ファイルを取得し、送信部512に入力する。音声ファイル通知制御部514は、音声ファイル格納部508から取得した音声ファイルをそのまま移動機100に送信するようにしてもよいし、音声ファイルに含まれる音声をテキスト情報に変換して、移動機100に送信するようにしてもよい。音声ファイル通知制御部514は、移動局100に、移動局100に該音声メッセージが取得されたことを通知する。
【0049】
送信部512は、移動機100に、音声ファイル通知制御部514により入力されるべき音声ファイルを送信する。
【0050】
<無線通信システムの動作>
図5は、無線通信システムの動作の一実施例を示す。
【0051】
移動機100から、交換機400に、移動機100を着信先とする接続信号が送信される(ステップS502)。該接続信号は、CS回線を利用した電話信号が含まれる。具体的には、携帯電話の電話番号、固定電話の電話番号、特定用途用の電話番号(例えば、「171」等)が含まれる。
【0052】
交換機400は、移動機100からの接続信号に従って、移動機100に接続するために、交換機400に、接続要求を送信する(ステップS504)。該接続要求に対して、交換機400は、移動機100のCS網が規制されているため、接続できないことを通知するために、切断信号を送信する(ステップS506)。該切断信号には、接続できない理由を表す情報が含まれる。
【0053】
交換機400は、交換機400からの切断信号により移動機100の在圏するセルのCS網にアクセス規制が実行されていることを検知する(ステップS508)。
【0054】
交換機400は、着信側のCS網にアクセス規制が実行されていることを検知すると、移動機100にガイダンスメッセージを送信する(ステップS510)。具体的には、移動機100に接続できないこと、メッセージをお預かりすること、お預かりしたメッセージがあることを移動機100に通知すること、を通知する。
【0055】
また、交換機400が、着信側のCS網にアクセス規制が実行されていることを検知した場合に、移動機100の接続先をファイルサーバ500に切替えるようにしてもよい。移動機100の接続先となったファイルサーバ500は、移動機100に、上述したガイダンスと同様のガイダンスメッセージを送信するようにしてもよい。
【0056】
交換機400からのガイダンスメッセージに従って、移動機100のユーザがメッセージを発することにより、該メッセージを含む音声信号が、基地局200、RNC300、交換機400を介して(ステップS512)、ファイルサーバ500に送信される(ステップS514)。
【0057】
ファイルサーバ500は、移動機100からの音声信号を含む音声ファイルを作成する(ステップS516)。
【0058】
ファイルサーバ500は、該音声ファイルの音声ファイル識別情報を含む音声ファイル取得情報を作成し、移動機100に送信する(ステップS518)。該音声ファイル取得情報は、交換機400、RNC300、基地局200を介して、移動機100に送信される(ステップS520)。
【0059】
移動機100は、ファイルサーバ500からの音声ファイル取得情報を受信すると、ファイルサーバ500に、該音声ファイル取得情報に含まれるべき音声ファイル識別情報を含む音声ファイルをダウンロードするための音声ファイルダウンロード要求信号を送信する(ステップS522)。
【0060】
ファイルサーバ500は、移動機100からの音声ファイルダウンロード要求信号に従って、音声ファイルを送信する(ステップS524)。
【0061】
ファイルサーバ500は、移動機100に音声ファイルがダウンロードされたことを検知する(ステップS526)。移動機100から何らかの応答信号が受信されることにより検知するようにしてもよいし、移動機100に音声ファイルを送信したことにより検知するようにしてもよい。
【0062】
ファイルサーバ500は、移動機100に、移動機100に音声ファイルがダウンロードされたことを表す音声ファイル通知終了情報を通知する(ステップS528)。
【0063】
図6は、移動機100の一実施例を示す。
【0064】
移動機は、受信部102と、音声ファイル識別情報取得部104と、音声ファイルダウンロード要求信号作成部106と、送信部108と、音声ファイル再生部110とを有する。音声ファイル識別情報取得部104は受信部102と接続され、音声ファイルダウンロード要求信号作成部106は音声ファイル識別情報取得部104と接続され、送信部108は音声ファイルダウンロード要求信号作成部106と接続され、音声ファイル再生部110は受信部102と接続される。
【0065】
移動機100に所定のアプリが予めインストールされていてもよい。ファイルサーバ500からの音声ファイル取得情報が受信されることにより、該アプリは起動する。該アプリは、移動機100の音声ファイル識別情報取得部104に、該音声ファイル取得情報から、音声ファイル識別情報を取得させる。該アプリは、移動機100の音声ファイルダウンロード要求信号作成部106に、音声ファイル識別情報を含む音声ファイルダウンロード要求信号を作成させる。該アプリは、移動機100の送信部108に、音声ファイル識別情報を含む音声ファイルダウンロード要求信号を送信させる。該アプリは、移動機100の受信部102に、ファイルサーバ500から音声ファイルをダウンロードさせる。該アプリは、移動機100の音声ファイル再生部110に、音声ファイルを再生させる。音声ファイルがテキストデータに変換されている場合には、該テキストデータが出力されてもよい。
【0066】
ファイルサーバ500から、音声ファイルがダウンロードされるか、テキストデータに変換されたデータが送信されるかは、移動機100に搭載された機能により設定されてもよい。
【0067】
該所定のアプリは、アクセス規制が実施されているエリアで送信されるCBS等のメッセージが受信されることにより起動するようにしてもよい。
【0068】
ファイルサーバ500から、移動機100と何らかの条件により関連付けられたユーザのグループに対して、音声ファイル取得情報が送信されてもよい。
【0069】
また、ファイルサーバ500から、移動機100に何らかの条件により関連づけられた識別番号に対して発信が行われることにより、移動機100のユーザに、移動機100からのメッセージが通知されてもよい。具体的には、移動機100と関連づけられた固定電話に発信が行われることにより、移動機100からのメッセージが通知されてもよい。
【0070】
上述した実施例は、3以上の無線通信システムが混在した場合でも適用できる。
【0071】
また、発側の移動機100は、災害用伝言ダイヤル等の特番にダイヤルしてファイルサーバ500に音声メッセージを録音してもよい。ファイルサーバ500は、音声メッセージを記憶装置(音声ファイル格納部)に格納すると、その格納場所を予め指定された宛先の移動機に通知する。例えば、契約情報を参照して家族の端末に通知してもよく、予め発側端末のユーザが指定した端末に通知してもよい。
【0072】
宛先は、移動機の電話番号でもよく、電子メールアドレスでもよく、固定電話の電話番号でもよい。例えば、SMSメッセージの宛先は、事前に登録された家族の移動機のように、発側の移動機100と家族間の契約を締結している端末でもよい。この場合、宛先の情報は、家族間の契約情報から生成されてもよい。また、SMSメッセージの宛先は、発側の移動機100により指定された端末でもよい。
【0073】
また、特番ダイヤル時の着側の指定はファイルサーバ500または交換機より送出されるガイダンスに従い着番号を入力してもよい。
【0074】
また、SMS等により通知を受けていないユーザがウェブ画面等で発側の番号を入力しファイルサーバ500にアクセスした際に音声ファイルをダウンロードするようにしてもよい。
【0075】
上述した実施例では、加入者階梯交換機、関門階梯交換機が交換機により表される場合について説明した。交換機が加入者階梯交換機、関門階梯交換機により表される場合には、規制の対象が加入者階梯交換機である場合と、関門階梯交換機である場合が含まれる。
【0076】
図7は、交換機の一実施例を示す。
【0077】
本実施例では、発信側のCS網はアクセス規制されていないに場合について説明した。しかし、発信側のCS網にアクセス規制が実施されている場合でも、該規制の対象が関門階梯交換機であり、且つ関門階梯交換機が複数である場合には、規制されていない加入者階梯交換機が規制の対象となっていない関門階梯交換機と接続することにより、上述した機能を実現できる。換言すれば、少なくとも1つの関門階梯交換機が規制されていない場合には、上述した機能を実現できる。また、少なくとも1つの加入者階梯交換機が規制されていない場合には、上述した機能を実現できる。
【0078】
本実施例によれば、着信側のCS網へのアクセスが規制されている場合でも、発信側の移動機は、発信側のCS網を利用して、着信側の移動機に、メッセージを通知できる。この場合、移動機の設計変更は必要ない。
【0079】
説明の便宜上、発明の理解を促すため具体的な数値例を用いて説明されるが、特に断りのない限り、それらの数値は単なる一例に過ぎず適切な如何なる値が使用されてよい。
【0080】
以上、本発明は特定の実施例を参照しながら説明されてきたが、各実施例は単なる例示に過ぎず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。説明の便宜上、本発明の実施例に係る装置は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウエアで、ソフトウエアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。本発明は上記実施例に限定されず、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変形例、修正例、代替例、置換例等が包含される。
【符号の説明】
【0081】
100、100 移動機
102 受信部
104 音声ファイル識別情報取得部
106 音声ファイルダウンロード要求信号作成部
108 送信部
110 音声ファイル再生部
200、200 基地局
250、250 セル
300、300 RNC
400、400 交換機
402 接続処理部
404 接続先切替部
500 ファイルサーバ
502 受信部
504 音声取得部
506 音声ファイル作成部
508 音声ファイル格納部
510 音声ファイル取得情報作成部
512 送信部
514 音声ファイル通知制御部
600 コアネットワーク
700 加入者階梯交換機
800 関門階梯交換機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の移動機から第2の移動機への電話発信を受信した際に、該第2の移動機へ接続されるべき回線交換網へのアクセスが規制されているかどうかを判定する規制判定部と、
該規制判定部により規制されていると判定された場合に、ファイルサーバに、前記第1の移動機を接続する接続先切替部と
を有する交換機と、
前記第1の移動機と接続された場合に、該第1の移動機により通知されるべき前記第2の移動機のユーザ宛の音声メッセージを取得する音声メッセージ取得部と、
該音声メッセージ取得部により取得されるべき音声メッセージを含む音声ファイルを作成する音声ファイル作成部と、
該音声ファイル作成部により作成されるべき音声ファイルを格納する音声ファイル格納部と、
前記音声ファイル作成部により作成されるべき音声ファイルを取得するための音声ファイル取得情報を作成する音声ファイル取得情報作成部と、
前記第2の移動機に、パケット交換網を介して、前記音声ファイル取得情報作成部により作成されるべき音声ファイル取得情報を送信する送信部と
を有するファイルサーバと
を有し、
前記送信部は、前記音声ファイル取得情報を受信した第2の移動機から送信されるべき音声ファイルをダウンロードする要求信号に従って、音声ファイルを送信する、無線通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の無線通信システムにおいて、
前記第2の移動機に、回線交換網を介して、前記音声ファイル作成部により作成されるべき音声ファイルに含まれる音声メッセージを通知する音声メッセージ通知部
を有する無線通信システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の無線通信システムにおいて、
前記音声ファイル取得情報作成部は、前記音声ファイル作成部により作成されるべき音声ファイルを識別するための情報と、前記第2の移動機が前記音声ファイルを取得する際にアクセスすべきウエブページを指定するための情報とを含む音声ファイル取得情報を作成する、無線通信システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の無線通信システムにおいて、
前記送信部は、ショートメッセージサービスを利用して、前記音声ファイル取得情報を送信する、無線通信システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の無線通信システムにおいて、
前記規制判定部は、該第2の移動機へ接続されるべき回線交換網への接続要求に対する応答として切断信号が受信されるかどうかに基づいて、前記第2の移動機へ接続されるべき回線交換網へのアクセスが規制されているかどうかを判定する、無線通信システム。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の無線通信システムにおいて、
前記送信部により音声ファイルが送信された後に、前記第1の移動機に、前記第2の移動機により音声ファイルが取得されたことを表す情報を通知する、無線通信システム。
【請求項7】
第1の移動機から第2の移動機へのメッセージを通知するメッセージ通知方法であって、
第1の移動機から第2の移動機への電話発信を受信した際に、交換機が、該第2の移動機へ接続されるべき回線交換網へのアクセスが規制されているかどうかを判定する規制判定ステップと、
該規制判定ステップにより規制されていると判定された場合に、前記交換機が、ファイルサーバに、前記第1の移動機を接続する接続先切替ステップと、
前記第1の移動機と接続された場合に、前記ファイルサーバが、該第1の移動機により通知されるべき前記第2の移動機のユーザ宛の音声メッセージを取得する音声メッセージ取得ステップと、
前記ファイルサーバが、該音声メッセージ取得ステップにより取得されるべき音声メッセージを含む音声ファイルを作成する音声ファイル作成ステップと、
前記ファイルサーバが、該音声ファイル作成部により作成されるべき音声ファイルを格納する音声ファイル格納ステップと、
前記ファイルサーバが、前記音声ファイル作成ステップにより作成されるべき音声ファイルを取得するための音声ファイル取得情報を作成する音声ファイル取得情報作成ステップと、
前記ファイルサーバが、前記第2の移動機に、パケット交換網を介して、前記音声ファイル取得情報作成ステップにより作成されるべき音声ファイル取得情報を送信する送信ステップと
前記音声ファイル取得情報を受信した第2の移動機から送信されるべき音声ファイルをダウンロードする要求信号に従って、前記ファイルサーバが、音声ファイルを送信する音声ファイル送信ステップと
を有する、メッセージ通知方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−231433(P2012−231433A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100152(P2011−100152)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】