説明

無線通信システム

【課題】直接波音声信号、基地局波音声信号、直接波音声信号と基地局波音声信号の音声合成信号のいずれかを適切に選択することができる無線通信システムを提供する。
【解決手段】基地局波音声信号、直接波音声信号、基地局波音声信号と直接波音声信号の音声合成信号のいずれかを選択する音声選択処理部207aと、音声選択処理部207aの選択に基づいて、基地局波音声信号または直接波音声信号に切り換える音声選択部206aと、基地局波音声信号と直接波音声信号を合成する音声合成部206dと、音声選択部206aまたは音声合成部206dのいずれかに切り換える音声切換スイッチ206eとを備え、音声選択処理部207aは、基地局波音声信号と直接波音声信号の通信用チャネルに設定される送信者番号を取り出し、基地局波音声信号と直接波音声信号の両方を受信しているときは、両方の送信者番号を比較することで出力する音声信号を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムにおいて、2つの受信機を備えた無線端末が、他の無線端末から送信される音声信号(以下、直接波音声信号という)と、基地局を経由して他の無線端末から送信される音声信号(以下、基地局波音声信号という)を同時に受信したときに、いずれかの音声信号を選択する方式(以下、音声信号選択方式という)の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の無線端末と無線基地局から構成されるSCPC(Single Channel Per Carrier)方式の無線通信システムにおいて、2つの受信機を備えた無線端末が直接波音声信号と基地局波音声信号の両方の電波を同時に受信したときに、無線端末から送信される同期バースト信号に設定される送信者番号によって直接波音声信号または基地局波音声信号を区別し、何れかの音声信号を選択している。送信者番号とは、無線端末それぞれに付与されている識別情報であればどのようなものでもよく、例えば端末IDや電話番号等でもよい。図5に、同期バースト信号のフォーマットの一例を示す。同期バースト信号のフォーマット500は、LP+R、Pb、RI、SW、PICH、Gの項目から構成されているデータである。各項目に記入されている数字は、各項目のビット数である。LP+Rは、リニアライザ用プリアンブル及びバースト過渡応答用ガードタイムのデータである。Pbは、プリアンブルのデータである。RIは、無線情報チャネル用データである。SWは、同期ワードである。PICHは、パラメータ情報チャネル用データである。Gは、ガードタイムのデータである。このような構成の同期バースト信号のフォーマット500において、PICHに含まれる情報に送信者番号が設定される。
【0003】
メッセージの送信者を識別する情報を、ユーザにとって利用し易くする技術として下記特許文献1がある。特許文献1では、ユーザがメッセージを受信したとき、「送信者名」情報に対応した送信者から受信した受信メッセージの一覧を表示させて閲覧することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−297511
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、メッセージの日付や送信者毎のメッセージ数などの情報に基づいて送信者選択メニューを自動的に作成することで、ユーザは容易に送信者の識別を行うことができる。しかし、送信者の情報に基づいて直接波音声信号と基地局波音声信号のどちらの信号を有効とするかの判断を行っていない。また、従来の同期バースト信号に設定される送信者番号で、直接波音声信号または基地局波音声信号の何れかの音声信号を選択するときに、通信チャネルの起動の失敗などによる影響で同期がとれなくなった場合には、再同期により通信チャネルを捕捉する。しかし、再同期までに時間を要し、また通信チャネルを捕捉するときに、直接波音声信号と基地局波音声信号のどちらの信号を有効にすればよいか判断できないことがあり、無線端末は無音状態になると言う問題があった。
【0006】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、上記課題を解決できる無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の無線通信システムは、無線基地局からの基地局波信号と他の無線端末からの直接波信号を同時に受信する2つの受信機を備えた無線通信システムであって、基地局波信号を受信する基地局波信号受信手段と、直接波信号を受信する直接波信号受信手段と、前記基地局波信号と前記直接波信号の通信用チャネルの送信者番号を取り出す送信者番号取出手段と、前記送信者番号に基づいて前記基地局波信号、前記直接波信号、前記基地局波信号と前記直接波信号の合成信号のいずれかの選択処理を行う選択処理手段と、前記選択処理手段の選択に基づいて前記基地局波信号、前記直接波信号、前記合成信号のいずれかを出力する信号出力手段と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、無線端末が受信する直接波音声信号と基地局波音声信号の通信用チャネルに設定されている送信者番号に基づいて、直接波音声信号または基地局波音声信号のいずれか、又は両方を選択することで、適切な音声信号を出力する無線通信システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る無線端末の機能構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る通信用チャネルのフレーム構成を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る音声選択処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】従来技術における同期バースト信号のフォーマット構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための実施の形態(以下、「実施形態」という)を、図面を参照して説明する。まず、図1に示す無線通信システム100の構成について説明する。無線通信システム100は、回線制御装置10、無線基地局20、無線端末30、無線端末40、アプローチ線50、通信ゾーン60、有線端末70及び有線回線80から構成されている。回線制御装置10は、無線基地局20と有線端末70の間の回線の切り替えなどの制御、データの送受信制御などを行う装置である。無線基地局20は、無線端末30、無線端末40及び有線端末70の間のデータ送受信を行うための基地局である。無線端末30は、2つの受信機を備えた移動可能な端末で、無線端末40とデータの送受信を直接行うことができ、また無線基地局20を経由して無線端末40とデータの送受信を行うことができる。無線端末40は、無線端末30と同様に2つの受信機を備えた移動可能な端末で、無線端末30とデータの送受信を直接行うことができ、また無線基地局20を経由して無線端末30とデータの送受信を行うことができる。このような構成の通信システム100において、例えば無線端末30から無線基地局20と無線端末40に周波数FL1を使用してデータを送信すると、無線基地局20が周波数FL1のデータを受信し、更にそのデータを周波数FH1を使用して無線端末40に送信する。このため、無線端末40では、無線端末30から送信される周波数FL1のデータと同じデータを、無線基地局20を経由して無線端末30から周波数FH1のデータで受信する。
【0011】
アプローチ線50は、回線制御装置10と無線基地局20とを接続する無線または専用線などの中継用回線である。通信ゾーン60は、無線基地局20と無線端末30、無線端末40とが通信可能な範囲である。有線端末70は、有線回線80により回線制御装置10と接続されている固定の端末で、無線端末30と無線端末40に指令などの情報を送信する端末である。
【0012】
次に、図2を参照して無線端末30と無線端末40の機能構成について説明する。無線端末30と無線端末40は、アンテナ201、空中線共用器202、送信部203、受信部(基地局波用)204、受信部(直接波用)205、音声選択合成回路206、制御部207、マイク208、音声増幅部209及びスピーカ210から構成されている。音声選択合成回路206は、音声選択部206a、可変抵抗器(以下、VRという)206b、可変抵抗器(以下、VRという)206c、音声合成部206d及び音声切換スイッチ206eから構成されている。また、制御部207には、音声選択処理部207aを備えている。
【0013】
アンテナ201は、空中から電波を受信すると空中線共用器202に出力し、また、アンテナ201は、空中線共用器202から出力された信号を、空中に電波で送信する機器である。空中線共用器202は、送信部203、受信部(基地局波用)204及び受信部(直接波用)205をアンテナ201に接続するための機器であり、送信部203、受信部(基地局波用)204及び受信部(直接波用)205の干渉を防止する。送信部203は、マイク208から音声信号を入力し、音声信号を送信周波数(FL1)の信号に変換してから空中線共用器202に出力する部位である。受信部(基地局波用)204は、空中線共用器202から入力した受信周波数(FH1)の信号を、基地局波音声信号として音声選択合成回路206に出力する部位である。受信部(直接波用)205は、空中線共用器202から入力した受信周波数(FL1)の信号を、直接波音声信号として音声選択合成回路206に出力する部位である。
【0014】
音声選択合成回路206は、受信部(基地局波用)204から入力する基地局波音声信号と、受信部(直接波用)205から入力する直接波音声信号のどちらかを選択または合成する回路である。音声選択部206aは、制御部207の音声選択処理部207aからの指令により、受信部(基地局波用)204から出力される基地局波音声信号、または受信部(直接波用)205から出力される直接波音声信号のどちらかを選択し、音声切換スイッチ206eに出力する部位である。VR206bは、音声選択処理部207aからの指令により、受信部(基地局波用)204から出力される基地局波音声信号用の抵抗値であるボリュームを変更する機器である。VR206cは、音声選択処理部207aからの指令により、受信部(直接波用)205から出力される直接波音声信号用の抵抗値であるボリュームを変更する機器である。音声合成部206dは、VR206bから入力する基地局波音声信号と、VR206cから入力する直接波音声信号とを合成し、音声切換スイッチ206eに出力する部位である。音声切換スイッチ206eは、音声選択処理部207aからの指令により、音声選択部206aまたは音声合成部206dのいずれかに切り換え、切り換えた側の音声信号を音声増幅部209に出力するスイッチである。
【0015】
制御部207は、無線端末30または無線端末40の全体を制御する部位である。音声選択処理部207aは、音声選択回路206に対して音声信号の選択や合成の指令を出力する部位である。また、音声選択処理部207aは、受信部(基地局波用)204から基地局波音声信号を入力することで、受信部(基地局波用)204が基地局波音声信号を受信しているかを判定する。同様に、音声選択処理部207aは、受信部(直接波用)205から直接波音声信号を入力することで、受信部(直接波用)205が直接波音声信号を受信しているかを判定する。音声増幅部209は、音声信号を増幅する部位である。スピーカ210は、音声増幅部209から音声信号を入力し、音声を出力する機器である。
【0016】
次に、受信部(基地局波用)204と受信部(直接波用)205で受信する音声信号を識別するための送信者番号について説明する。本発明の実施形態においては、送信者番号は同期バースト信号と通信用チャネルに設定され送信されるが、本実施の形態では通信用チャネルに設定される送信者番号のみを使用する。同期バースト信号のフォーマット構成については、図5に示す従来技術における同期バースト信号のフォーマット500に同じである。
【0017】
図2に示す受信部(基地局波用)204の受信周波数(FH1)と、受信部(直接波用)205の受信周波数(FL1)の通信用チャネルについて説明する。図3(1)に、通信用チャネルのスーパフレーム構成300を示す。通信用チャネルのスーパフレームは、チャネル0〜17で1スーパフレームを構成している。チャネル0〜17の各々のチャネルは、低速付随制御チャネル(Slow Associated Control Channel、以下、SACCHという)を含むフレームからなり、チャネル0、1は、フレームにデータが設定されない未定義のチャネルであり、チャネル2〜17は、フレームにデータが設定されるチャネルである。また、チャネル2〜9(S0〜S7)が第1ユニットとなり、チャネル10〜17(S0〜S7)が第2ユニットとなる。図3(2)に、各チャネルのフレームフォーマット301を示す。チャネルのフレームフォーマット301は、LP+R、Pa、TCH/FACCH、RI、SW、SACCHの項目から構成されているデータである。各項目に記入されている数字は、各項目のビット数である。LP+Rは、リニアライザ用プリアンブル及びバースト過渡応答用ガードタイムのデータである。Paは、プリアンブルのデータである。TCH/FACCHのTCHはトラフックチャネル用データであり、FACCHは高速付随制御チャネル(Fast Associated Control Channel)用データである。RIは、無線情報チャネル用データである。SWは、同期ワードである。SACCHは、低速付随制御チャネル(Slow Associated Control Channel)用データである。図3(3)に、第1ユニットと第2ユニットによって送信される送信者番号設定データの構成302を示す。送信者番号設定データは、6バイト(48ビット)のデータであり、第1ユニットのチャネル2〜9(S0〜S7)の8フレーム、又は第2ユニットのチャネル10〜17(S0〜S7)の8フレームによって伝送されるデータである。このように、8フレームで48ビットの送信者番号設定データが送信されるので、1フレームでは送信者番号設定データの内の6ビットが送信される。この送信者番号設定データの内の6ビットは、図3(2)に示すフレームフォーマットのSACCHに設定される。そして、このSACCHに設定される6ビット/1フレームの情報を合成すると、図3(3)に示すような送信者番号設定データの構成302となり、この送信者番号設定データに送信者番号が設定されている。
【0018】
次に、受信部(基地局波用)204から出力される基地局波音声信号と受信部(直接波用)205から出力される直接波音声信号のいずれかを選択する音声選択処理について説明する。無線端末40において、無線端末30または無線基地局20から音声信号を受信すると、制御部207の音声選択処理部207aが音声選択処理を開始する。また同様に、無線端末30において、無線端末40または無線基地局20から音声信号を受信すると、制御部207の音声選択処理部207aが音声選択処理を開始する。以下、図4に示す音声選択処理の処理手順を示すフローチャートについて、図2と図3をも参照してステップ順に説明する。
【0019】
(ステップS401)
まず、音声選択処理部207aは、受信部(基地局波用)204から基地局波音声信号を入力し、受信部(基地局波用)204が基地局波音声信号を受信しているかを確認する。受信部(基地局波用)204が、基地局波音声信号を受信しているとき(ステップS401のYes)は、直接波音声信号を受信しているかを確認するステップS402に進む。また、受信部(基地局波用)204が基地局波音声信号を受信していないとき(ステップS401のNo)は、直接波音声信号を受信しているかを確認するステップS406に進む。
【0020】
(ステップS402)
ステップS401がYesの場合、音声選択処理部207aは、受信部(直接波用)205から直接波音声信号を入力し、受信部(直接波用)205が直接波音声信号を受信しているかを確認する。受信部(直接波用)205が、直接波音声信号を受信しているとき(ステップS402のYes)は、基地局波音声信号の送信者番号と直接波音声信号の送信者番号を比較するステップS403に進む。また、受信部(直接波用)205が直接波音声信号を受信していないとき(ステップS402のNo)は、基地局波音声信号を選択するステップS405に進む。
【0021】
(ステップS403)
ステップS402がYesの場合、音声選択処理部207aは、基地局波音声信号の送信者番号と直接波音声信号の送信者番号を比較し、一致しているかを確認する。尚、基地局波音声信号の送信者番号と直接波音声信号の送信者番号は、通信用チャネルのSACCHフレームによって送信される送信者番号設定データに設定される図3(3)に示す送信者番号から取り出す。基地局波音声信号の送信者番号と直接波音声信号の送信者番号が一致しているとき(ステップS403のYes)は、直接波音声信号を選択するステップS407に進む。このように、基地局波音声信号と直接波音声信号の両方を受信し、送信者番号が一致しているときは、基地局波音声信号の方が伝送路が長いので直接波音声信号を選択する。また、基地局波音声信号の送信者番号と直接波音声信号の送信者番号が一致していないとき(ステップS403のNo)は、基地局波音声信号と直接波音声信号の合成を選択するステップS404に進む。このように、基地局波音声信号と直接波音声信号の両方を受信しているが、送信者番号が一致していないときは、無線基地局20を経由して送信された有線端末70からの指令の音声信号を受信し、更に無線端末30(自局が無線端末40のとき)または無線端末40(自局が無線端末30のとき)から送信された音声信号を受信しているので、両方の音声を出力するために基地局波音声信号と直接波音声信号を合成する。
【0022】
(ステップS404)
ステップS403がYesの場合、音声選択処理部207aは、基地局波音声信号と直接波音声信号の合成を選択するので、音声切換スイッチ206eに対して音声合成部206d側に切り換える指令を出力する。この指令により、音声切換スイッチ206eは音声合成部206d側にスイッチを切り換える。そして、音声選択処理部207aは、音声選択処理を終了する。
【0023】
(ステップS405)
ステップS402がNoの場合、音声選択処理部207aは基地局波音声信号を選択するために、音声選択部206aに対して受信部(基地局波用)204側に切り換える指令を出力する。この指令により、音声選択部206aは受信部(基地局波用)204側に切り換える。更に、音声選択処理部207aは、音声切換スイッチ206eに対して、音声選択部206a側に切り換える指令を出力する。この指令により、音声切換スイッチ206eは、音声選択部206a側にスイッチを切り換える。そして、音声選択処理部207aは、音声選択処理を終了する。
【0024】
(ステップS406)
ステップS401がNoの場合、音声選択処理部207aは、受信部(直接波用)205から直接波音声信号を入力し、受信部(直接波用)205が直接波音声信号を受信しているかを確認する。受信部(直接波用)205が、直接波音声信号を受信しているとき(ステップS406のYes)は、直接波音声信号を選択するステップS407に進む。また、受信部(直接波用)205が直接波音声信号を受信していないとき(ステップS406のNo)は、音声信号の出力を停止するステップS408に進む。
【0025】
(ステップS407)
ステップS406がYesの場合、音声選択処理部207aは直接波音声信号を選択するので、音声選択部206aに対して受信部(直接波用)205側に切り換える指令を出力する。この指令により、音声選択部206aは受信部(直接波用)205側に切り換える。更に、音声選択処理部207aは、音声切換スイッチ206eに対して、音声選択部206a側に切り換える指令を出力する。この指令により、音声切換スイッチ206eは、音声選択部206a側にスイッチを切り換える。そして、音声選択処理部207aは、音声選択処理を終了する。
【0026】
(ステップS408)
ステップS406がNoの場合、受信部(基地局波用)204は基地局波音声信号を受信していない、また受信部(直接波用)205も直接波音声信号を受信していないので、音声選択処理部207aは、音声出力を停止する。そして、音声選択処理部207aは、音声選択処理を終了する。
【0027】
以上の実施形態においては、無線基地局20、無線端末30、無線端末40及び有線端末70から構成される無線通信システム100について説明したが、複数の無線基地局、複数の無線端末及び複数の有線端末から構成される無線通信システムにおいても、本発明の実施形態の音声選択処理を適用することが可能である。また、実施形態では音声信号とその合成について説明したが、音声出力のためのスピーカの代わりに表示部を設け、非音声信号について音声信号と同様の処理を行うようにすることも可能である。更にスピーカと表示部を併設することで、音声信号と非音声信号とを同時に処理を行うようにすることも可能である。
【0028】
このような実施形態によれば、無線端末が受信する直接波音声信号と基地局波音声信号の通信用チャネルに設定されている送信者識別番号に基づいて、直接波音声信号または基地局波音声信号のいずれか、又は両方を選択することで、適切な音声信号を出力する無線通信システムを提供することができる。
【0029】
以上、具体的な実施の形態により本発明を説明したが、上記実施の形態は本発明の例示であり、この実施の形態に限定されないことは言うまでもない。
【0030】
以上をまとめると、本発明は次のような特徴を有する。
(1) 本発明の無線通信システムは、無線基地局からの基地局波信号と他の無線端末からの直接波信号を同時に受信する2つの受信機を備えた無線通信システムであって、基地局波信号を受信する基地局波信号受信手段と、直接波信号を受信する直接波信号受信手段と、前記基地局波信号と前記直接波信号の通信用チャネルの送信者番号を取り出す送信者番号取出手段と、前記送信者番号に基づいて前記基地局波信号、前記直接波信号、前記基地局波信号と前記直接波信号の合成信号のいずれかの選択処理を行う選択処理手段と、前記選択処理手段の選択に基づいて前記基地局波信号、前記直接波信号、前記合成信号のいずれかを出力する信号出力手段と、を備えることを特徴としている。
(2) 無線基地局からの基地局波信号と他の無線端末からの直接波信号を同時に受信する2つの受信機を備えた無線通信システムであって、基地局波信号を受信する基地局波信号受信手段と、直接波信号を受信する直接波信号受信手段と、前記基地局波信号と前記直接波信号の通信用チャネルの送信者番号を取り出す送信者番号取出手段と、前記送信者番号に基づいて前記基地局波信号、前記直接波信号、前記基地局波信号と前記直接波信号の合成信号のいずれかの選択処理を行う選択処理手段と、前記選択処理手段の選択に基づいて前記基地局波信号、前記直接波信号、前記合成信号のいずれかを出力する信号出力手段と、を備えることを特徴としている。
(3) (1)の無線通信システムは、前記選択処理手段の選択に基づいて前記基地局波信号または前記直接波信号を選択する選択手段と、前記選択処理手段の選択に基づいて前記基地局波信号と前記直接波信号を合成する合成手段と、前記選択処理手段の選択に基づいて前記選択手段から出力される信号または前記合成手段から出力される信号のいずれかに切り換える切換スイッチ手段と、を前記信号出力手段に備えることを特徴としている。
(4) (1)または(2)の無線通信システムが前記基地局波信号のみを受信しているときには、前記選択処理手段は、前記基地局波信号を選択することを特徴としている。
(5) (1)から(3)の無線通信システムが前記直接波信号のみを受信しているときには、前記選択処理手段は、前記直接波信号を選択することを特徴としている。
(6) (1)から(4)の無線通信システムが前記基地局波信号と前記直接波信号の両方を受信しているときには、前記選択処理手段は、前記基地局波信号の前記送信者番号と前記直接波信号の前記送信者番号を比較し、前記送信者番号が一致しているときは前記直接波信号を選択し、前記送信者番号が一致していないときは前記基地局波信号と前記直接波信号の合成を選択することを特徴としている。
(7) (1)から(5)の無線通信システムが前記基地局波信号または前記直接波信号のどちらも受信していないときには、前記選択処理手段は、信号の出力を停止することを特徴としている。
(8) 本発明の無線通信システムの信号選択方式は、無線基地局からの基地局波信号と他の無線端末からの直接波信号を同時に受信する2つの受信機を備えた無線通信システムであって、基地局波信号を受信する基地局波信号受信工程と、直接波信号を受信する直接波信号受信工程と、前記基地局波信号と前記直接波信号の通信用チャネルの送信者番号を取り出す送信者番号取出工程と、前記送信者番号に基づいて前記基地局波信号、前記直接波信号、前記基地局波信号と前記直接波信号の合成信号のいずれかの選択処理を行う選択処理工程と、前記選択処理工程の選択に基づいて前記基地局波信号、前記直接波信号、前記合成信号のいずれかを出力する信号出力工程と、を備えることを特徴としている。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、無線通信システムに好適であるが、無線通信システムに限られるものではなく、各所からデータを受信するシステム一般に適用可能である。
【符号の説明】
【0032】
10・・・・・・・・回線制御装置
20・・・・・・・・無線基地局
30・・・・・・・・無線端末
40・・・・・・・・無線端末
50・・・・・・・・アプローチ線
60・・・・・・・・通信ゾーン
70・・・・・・・・有線端末
80・・・・・・・・有線回線
100・・・・・・・・無線通信システム
201・・・・・・・・アンテナ
202・・・・・・・・空中線共用器
203・・・・・・・・送信部
204・・・・・・・・受信部(基地局波用)
205・・・・・・・・受信部(直接波用)
206・・・・・・・・音声選択合成回路
206a・・・・・・・音声選択部
206b・・・・・・・可変抵抗器(VR)
206c・・・・・・・可変抵抗器(VR)
206d・・・・・・・音声合成部
206e・・・・・・・音声切換スイッチ
207・・・・・・・・制御部
207a・・・・・・・音声選択処理部
208・・・・・・・・マイク
209・・・・・・・・音声増幅部
210・・・・・・・・スピーカ
300・・・・・・・・通信用チャネルのスーパフレーム構成
301・・・・・・・・フレームフォーマット
302・・・・・・・・送信者番号設定データの構成
500・・・・・・・・同期バースト信号のフォーマット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線基地局からの基地局波信号と他の無線端末からの直接波信号を同時に受信する2つの受信機を備えた無線通信システムであって、
基地局波信号を受信する基地局波信号受信手段と、
直接波信号を受信する直接波信号受信手段と、
前記基地局波信号と前記直接波信号の通信用チャネルの送信者番号を取り出す送信者番号取出手段と、
前記送信者番号に基づいて前記基地局波信号、前記直接波信号、前記基地局波信号と前記直接波信号の合成信号のいずれかの選択処理を行う選択処理手段と、
前記選択処理手段の選択に基づいて前記基地局波信号、前記直接波信号、前記合成信号のいずれかを出力する信号出力手段と、
を備えることを特徴とする無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−124829(P2011−124829A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281339(P2009−281339)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】