説明

無線通信システム

【課題】 移動している端末局、若しくは基地局のグループ同士の連携により、基地局が利用周波数と送信電力を制御して基地局グループ間の干渉を回避できる無線通信システムを提供する。
【解決手段】 基地局21が、同期する端末局11を基地局グループ1とし、端末局11からの電波状況の情報を受信し、当該電波状況の情報に基づいてキャリアセンスを行い、接近している他の基地局グループ2との間で干渉発生を検出した場合に、各グループの基地局と無線端末局の位置に関する情報、移動に関する情報、及び通信に関する情報を連携用情報として各グループの基地局間で送受信して共有し、連携用情報に基づいて干渉回避の演算処理を行い、干渉回避の制御を行う無線通信システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動する複数の基地局と複数の端末局とを有する無線通信システムに係り、特に、基地局間で連携を取りながら、基地局が利用周波数と送信電力を制御することで、基地局間の干渉を回避する無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
実用化されているデジタル無線通信システムとして、サービスエリアを確保する1つ或いは複数の無線基地局と、当該無線基地局を介して無線通信を行う複数の無線端末局とから構成されるものが知られている。
また、無線通信システムにおいては、端末局だけでなく、基地局が移動するシステムがある。
【0003】
[関連技術]
尚、関連する先行技術として、特開2002−325281号公報「通信制御方式」(株式会社日立国際電気)[特許文献1]がある。
特許文献1には、デジタル無線システムにおいて、無線端末局が直接通信を行う場合、無線基地局のサービスエリア内では出力を低減させることで、無線端末局の出力による無線基地局への干渉を防ぐことが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−325281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の無線通信システムでは、移動している端末局、若しくは基地局グループ同士の連携が行われないため、同一周波数帯を使用する複数の端末局、基地局のグループ同士が接近した場合には、干渉を起こして通信品質が劣化する恐れがあるという問題点があった。
特に、電波環境をセンシングする能力がない無線機や端末局が周囲の無線機との干渉問題を如何に解決するかが課題となっている。
【0006】
また、特許文献1には、端末局が基地局に対する干渉を防ぐ技術であって、基地局間同士の干渉回避に関する技術を開示するものではない。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、移動している端末局、若しくは基地局のグループ同士の連携により、基地局が利用周波数と送信電力を制御して基地局グループ間の干渉を回避できる無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、移動可能な無線端末局と移動可能な基地局とを有する無線通信システムであって、基地局は、同期する無線端末局を自局のグループとし、無線端末局からの電波状況の情報を受信し、当該電波状況の情報に基づいてキャリアセンスを行い、接近している他の基地局のグループとの間で干渉発生を検出した場合に、各グループの基地局と無線端末局の位置に関する情報、移動に関する情報、及び通信に関する情報を連携用情報として各グループの基地局間で送受信して共有し、連携用情報に基づいて干渉回避の演算処理を行い、干渉回避の制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、基地局が、同期する無線端末局を自局のグループとし、無線端末局からの電波状況の情報を受信し、当該電波状況の情報に基づいてキャリアセンスを行い、接近している他の基地局のグループとの間で干渉発生を検出した場合に、各グループの基地局と無線端末局の位置に関する情報、移動に関する情報、及び通信に関する情報を連携用情報として各グループの基地局間で送受信して共有し、連携用情報に基づいて干渉回避の演算処理を行い、干渉回避の制御を行う無線通信システムとしているので、移動している端末局と基地局のグループ同士の連携により、基地局が利用周波数と送信電力を制御して基地局グループ間の干渉を回避できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の基地局、端末局のTDDフレーム構成を示す図である。
【図2】基地局グループ状態(実施の形態1−1)を示す図である。
【図3】基地局グループ状態(実施の形態1−2)を示す図である。
【図4】基地局グループ状態(実施の形態1−3,4)を示す図である。
【図5】基地局グループ状態(実施の形態1−5)を示す図である。
【図6】基地局グループ状態(実施の形態1−6)を示す図である。
【図7】第1の処理1を示すフローチャートである。
【図8】第1の処理2を示すフローチャートである。
【図9】第2の基地局、端末局のTDDフレーム構成を示す図である。
【図10】基地局グループ状態(実施の形態2−2)を示す図である。
【図11】基地局グループ状態(実施の形態2−3)を示す図である。
【図12】基地局グループ状態(実施の形態2−4)を示す図である。
【図13】第2の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る無線通信システム(本システム)は、同一周波数帯を利用するコグニティブ移動無線機(基地局)グループ同士が接近、若しくは離れていく時に、複数の基地局同士が連携することにより自律的にGPS(Global Positioning System)による位置・時刻情報や移動方向・移動速度を認識し、使用する利用周波数帯、基地局の送信電力の制御にて周波数の有効利用をしながら干渉による通信劣化を回避するものである。
【0012】
また、本システムは、同一周波数帯を利用するコグニティブ移動無線機(基地局)グループ同士が接近、若しくは離れていく時に、複数の基地局同士が各グループの端末局を介して連携することにより、使用する利用周波数帯、基地局の送信電力、タイムスロット割当の制御にて周波数の有効利用をしながら干渉による通信劣化を回避するものである。
【0013】
[本システムの概略]
次に、本システムの概略を説明する。
ここで、本システムでは、スペクトルセンシングにより周囲の無線環境を認識し、その結果に応じて無線仕様切り替えの判断を下すことができる能力を有するコグニティブ移動無線基地局(以後、基地局)と、その基地局に同期する移動無線端末局(以後、端末局)とがひとつのグループとして構成されている。この端末局と基地局のグループ化を、基地局グループとして定義する。
【0014】
基地局グループ内では、基地局から端末局への通信(以後、下り)、端末局から基地局への通信(以後、上り)は、共に通常同一周波数faのTDD(Time Division Duplex:時分割複信)によって通信し、干渉回避ができない場合、異なる空きの割当周波数帯を利用する。
【0015】
基地局と端末局は、認識情報を有し、端末局と同期した基地局は、同期した端末局の認識情報について把握が可能である。
ここで、認識情報とは、GPSによる位置・時刻情報や移動方向・移動速度、割当利用可能周波数、送信電力、受信電力、信号対干渉波比、所属基地局グループ、個別ID(識別子)に関する情報である。
ここで、位置・時刻情報を「位置に関する情報」と称し、移動方向・移動速度の情報を「移動に関する情報」と称し、割当利用可能周波数、送信電力、受信電力、信号対干渉波比、所属基地局グループ、個別IDに関する情報を「通信に関する情報」と称することがある。
【0016】
また、基地局は、周辺のスペクトルをセンシングする機能を有し、センシングして得られた情報と認識情報を基に干渉を回避する目的で計算プログラムを動作させ、干渉回避する条件を割り出して、同期した端末局に対して、その割り出した条件にて随時制御する。
【0017】
基地局特有の基地局間連携とは、基地局が持つお互いの制御器による共通判断を基に統一された動作を行うことである。基地局間連携をする為に、同一周波数faにて基地局フレーム内に基地局間連携用のフレームを設けて、2つの基地局がそれぞれ固有の乱数アルゴリズムを使って送受信のフレームを決定し、そのフレームが同一フレームにて2つの基地局間にて送受信の関係になり、連携用信号の応答が完了したら基地局同士連携ができたものとする。
【0018】
基地局間連携した相手基地局とは、その基地局が制御権を獲得した端末局も含めて把握した認識情報を随時同期更新して認識できる能力を有する。
特に、基地局は、得られた情報を解析してその都度通信途絶の回避と周波数有効利用、高速通信と遅延時間の考慮して最適な通信パラメータ(送信電力、割当利用可能周波数)を選択し、その選択したパラメータを基地局グループ内の端末局と基地局間連携した他の基地局へ制御情報としてやり取りを行う。
【0019】
自律的に移動している端末局が基地局、もしくは基地局グループへ接近した時には、同期確立を行う。
ここで、端末局の同期確立とは、端末局が基地局のプリアンブル信号を受信し、それに伴い端末局が応答信号を基地局へ返して基地局に端末局が同期し、その後に基地局は、端末局から基地局(対端末局)下りのRSSI(Received Signal Strength Indictor:受信信号強度)、CINR(Carrier-to-Interference and Noise power Ratio:搬送波対干渉波比)値を受信して、その後に端末局へ受信応答を返すものとする。RSSI,CINRの値は、電波状況の情報に相当する。
【0020】
基地局は、必要な周辺の電波環境の認知・認識し、制御権を持つ端末局の認識情報を含めて、他の基地局や基地局グループと情報交換のやり取りを行う。
電波環境のセンシング能力を有する基地局がセンシング能力を有しない端末局等に変わって周囲の無線状況を認知・認識し、その情報を近距離で影響を及ぼす通信可能な基地局、若しくは基地局グループと認識情報を含めて共有して干渉条件を計算プログラムにより解析して干渉を回避し、通信環境の劣化を起こさないように、基地局の送信電力の出力、割当利用可能周波数を制御して端末局が基地局、若しくは基地局グループ同士が接近時に周波数有効利用(送信電力制御による干渉回避方法)を考慮しながら通信環境を確保する。
【0021】
端末局については、基地局との同期後に、基地局が端末局と干渉をしないための無線仕様に関する必要最低限の制御(利用周波数と送信電力の制御)を基地局から受ける。
複数の基地局同士が基地局間連携を行う時は、所属している端末局への下りCINRの数値が低下した時に基地局の存在を確認するために、後述する基地局間連携用フレームの受信時にてスペクトルセンシングをして相手基地局のスペクトルを確認後、そのフレームにて基地局間連携を行う。
【0022】
基地局間連携後には、基地局グループの基地局同士が、お互いの持っている端末局も含めて認識情報を交換し、他基地局グループを含めた計算プログラムにより干渉回避するための解析を行い、他基地局グループも含めた電波の干渉を回避できる要素(利用周波数、送信電力)を制御することにより、グループ単位での自律分散による動作が可能になる。また、基地局同士間の距離が離れて通信が途絶したら、基地局間連携を解除する。
【0023】
端末局は、自分の認識情報を持ち、近くに基地局が存在する場合は、その基地局との同期動作に入り、動作完了後にその基地局グループ所属の端末局(基地局グループ)となる。そして、基地局との通信が途絶し、同期ができなくなった場合は、所属していた基地局との同期を解除する。また、ある基地局に同期中でも、更に距離が近い基地局が存在した場合には、離れた基地局との同期を解除し、近い基地局と上記の方法による同期動作を繰り返す。
【0024】
次に、本システムの構成、TDDフレーム構成、状態1〜6における処理について具体的に説明する。
本システムにおいては、一つの基地局とその基地局に同期した複数の端末局を基地局グループの一単位としている。つまり、基地局に端末局が同期することで基地局グループとなり、基地局や端末局自身が移動することにより、そのエリアが変化するシステムである。
【0025】
そして、例えば、2つの基地局グループにおいて基地局間で通信が可能な場合は、連携することを基本としたシステムである。
基地局が一つに対して端末局が複数の場合もTDMA(Time Division Multiple Access)方式にすれば適応可能であるが、今回の実施の形態においては、端末局が一つの場合を示した。
【0026】
[本システムの構成]
本システムは、図2〜6に示すように、具体的には、基地局グループ1は、基地局21と、端末局11とから構成され、基地局グループ2は、基地局22と、端末局12とから構成されている。
基地局と端末局とは、端末局が基地局との同期による制御、又は基地局グループ間の連携後における周波数変更等の制御を受けない限り、同一周波数faにて通信を行うものである。
【0027】
基地局21,22と端末局11,12は、全てGPSに同期してフレームの同期が取れているため、基地局21と端末局11との間、基地局22と端末局12との間、基地局21と基地局22との間もGPSによるフレームの同期が取れているものとする。
【0028】
[フレーム構成:図1]
本システムで用いられる第1のフレーム構成について図1を参照しながら説明する。図1は、第1の基地局、端末局のTDDフレーム構成を示す図である。
全ての端末局11,12、基地局21,22のTDDフレームの構成は、図1に示すように、端末局11(対基地局21)及び端末局12(対基地局22)のフレームと、基地局21(対基地局22)のフレームと、基地局22(対基地局21)のフレームと、基地局21の乱数符号系列と、基地局22の乱数符号系列とを示している。
【0029】
[フレームの説明]
基地局21,22同士で相関のない乱数アルゴリズムにより、TDDフレーム構成を選択する。
基地局間連携用1,2フレームの乱数値(0=受信、1=送信)について、基地局21が0(受信)で、基地局22が1(送信)の場合、または、基地局21が1(送信)で、基地局22が0(受信)の場合は、送受信可と判定され、双方ともに0(受信)又は1(送信)の場合は、送受信否と判定される。
【0030】
図1では、フレーム2において、乱数の符号系列により基地局22(送信)から基地局21(受信)となっている。
その先のフレームにおいては、基地局21(送信)から基地局22(受信)になった場合を示している。
基地局間連携用1,2フレームで、乱数=0は受信であり、乱数=1は送信である。
【0031】
端末局11,12のTDDフレーム構成について、1,2フレームまでの端末局用上りフレームについては、端末局からの上り(端末局送信)を禁止して空きフレームとし、それ以外の3〜nフレームまでは、上りフレームとする。
基地局21,22のTDDフレーム構成について、1,2フレームまで基地局間連携用フレームとし、それ以外の3〜nフレームまでは、端末局11からの上り(端末局送信)フレームとする。つまり、nフレームまでの最初の数フレームを基地局間連携用とする。
【0032】
基地局21の1,2フレームにて送受信を乱数値により選択し、基地局間連携用フレームにて連携用信号を受信したら応答信号を送信して返す。
【0033】
基地局22の1,2フレームにて送受信を乱数により選択して基地局間連携用フレームにて連携用信号を送信し、応答信号の戻りを受信として待つ。もし、応答信号を受信できなかったら、基地局によってそれぞれ異なるタイムアウト時間まで連携用信号を送信し続けて応答信号を待つ動作を繰り返す。もし、応答信号の戻りがない場合には、一度タイムアウトしてスペクトルセンシングに戻る。
【0034】
[本システムにおける第1の処理動作]
基地局22は、同期している端末局12の下りCINR値の低下を検知した後、基地局間連携用フレーム(受信)によるスペクトルセンシングで基地局21を検知すると、基地局22は、基地局21へ基地局連携用フレームにて連携用信号(基地局間同期を取るためのプリアンブル信号など)を基地局同士相関の無い乱数アルゴリズムでランダムに送信し続け、基地局21からの応答信号(連携用信号の受信確認と連携用信号の戻り)を受信するまで、予め決められたタイムアウト時間待ち受けする。
【0035】
その他、端末局下りCINR値の低下を検知しなくても基地局間連携用フレームにて連携用信号を受信できた場合は、以後上記同じ動作を続ける。
基地局22は、タイムアウトまでの時間に、基地局間連携用フレームにて応答信号が受信できた場合は、基地局連携用フレームによる情報交換のやりとりを行い続ける。
【0036】
しかし、基地局22は、応答信号が得られなかった場合には、連携用信号の送信を一度停止して再度スペクトルセンシングすることを繰り返す。
基地局と端末局間通信のプリアンブル信号は、フレーム単位で先頭に挿入してフレーム内で全ての周波数検出と制御を行うため、移動体の速度に対して数フレーム検出が遅れても問題がないものとする。
【0037】
[本システムの状態1−1〜1−6]
次に、本システムにおける第1の処理における状態1−1〜1−6について実施の形態1−1〜1−6として図2〜6を参照しながら具体的に説明する。図2は、基地局グループ状態(実施の形態1−1)を示す図であり、図3は、基地局グループ状態(実施の形態1−2)を示す図であり、図4は、基地局グループ状態(実施の形態1−3,4)を示す図であり、図5は、基地局グループ状態(実施の形態1−5)を示す図であり、図6は、基地局グループ状態(実施の形態1−6)を示す図である。
【0038】
[状態1−1:図2]
状態1−1(実施の形態1−1)では、図2に示すように、基地局21,22それぞれが近くにいて認識できる端末局と同期動作を行う。
同期動作は、端末局が基地局に基地局のプリアンブル信号を受信したら、それに伴い端末局から基地局へ同期の確立を示す信号を返すことで行う。
【0039】
基地局21のエリアに対応した端末局11を、基地局グループ1とし、基地局22に対応した端末局12を、基地局グループ2とする。そして、基地局グループ1,2として移動する。その後、基地局グループ1と基地局グループ2が接近する。
【0040】
図2では、基地局21に端末局11が同期し、基地局22に端末局12が同期し、基地局と端末局が同期して基地局グループ化して全て同一周波数faにて通信し、グループが接近中を示している。
【0041】
[状態1−2:図3]
状態1−2(実施の形態1−2)では、図3に示すように、端末局11が基地局21、端末局12が基地局22へそれぞれのRSSI,CINR値を含めて認識情報を全て伝送し、基地局21,22がFFT(Fast Fourier Transform)によるスペクトルセンシングを行い、干渉の判定、及び他基地局グループの検知を行う。干渉なしの場合は、状態1に戻り、干渉ありの場合は、状態1−3へ進む。
【0042】
ここで、例えば、RSSI値とCINR値の関係で、特定の閾値と比較して干渉有りと判定し、RSSI値とCINR値の関係で、別の閾値と比較して他の基地局グループを検知したと判定する。
【0043】
[状態1−3:図4]
状態1−3(実施の形態1−3)では、図4に示すように、お互い基地局グループ同士の距離が近づき、状態1−2にて干渉有りの判定後には、どちらかの基地局が基地局間用連携フレームにて送信したプリアンブル信号をもう一方の基地局が受信できたら、その基地局が基地局間用連携フレームにて応答信号を送信して相手の基地局が受信することで基地局同士やり取りをする。
【0044】
お互いの把握している基地局とそのグループに所属している端末局を含めた認識情報(端末局のRSSI,CINR値を含む)の交換をして、干渉回避する目的で統一的な動作をする為に「基地局間連携」を取る制御を行う。
【0045】
基地局間連携とは、お互いの持っている認識情報を全て集約し、その中で基地局グループの送信電力の最適解を求める計算プログラムに対して、複数のコグニティブ無線移動基地局にある制御部同士が無線による回線を通じて通信することで情報のやりとりをし、お互いの制御部が持つ能力に応じて干渉回避するための解析プログラムを分担して処理する動作である。
計算プログラム処理では、端末局の位置と基地局の位置から端末局と基地局との間の距離を求め、送信電力を最適化するもの。また、分担処理とは、基地局が2基あるため、上記プログラム処理を半々にして配分することである。
【0046】
基地局グループ1,2間で基地局21と基地局22が、それぞれ制御権を獲得している端末局のRSSI,CINR値を含めてお互いの認識情報について基地局21から基地局22に、基地局22から基地局21に伝送し、随時情報交換を行う。
【0047】
[状態1−4:図4]
状態1−4(実施の形態1−4)では、図4に示すように、周波数有効利用の観点から全無線機の位置関係や移動方向から同一周波数の干渉による影響が発生するか検討するために、端末局11、端末局12それぞれの受信RSSI値、CINR値について端末局が受信してモニターした情報を基地局経由で共有する。
【0048】
GPSでの基地局・端末局の位置情報(緯度、経度)を把握し、相対的な位置・距離を計算により割り出して随時基地局と端末局の無線グループ同士の相対位置を認識することで位置情報が分かるため、相互の干渉に関する距離情報を補足情報とし、干渉回避条件を計算によるプログラムにて算出する。
【0049】
干渉回避可能な場合には、基地局の送信電力の制御をする。つまり、基地局のいずれか、若しくは両方の基地局の送信電力を抑制することで、他の基地局グループの端末局への干渉を防止できる。
【0050】
送信電力の制御でも干渉回避不可の場合には、予備の割当利用可能周波数fb(周波数faとは異なる周波数)への変更し、もしくは優先度の判別による利用の割当を行う。
優先度による利用の割当とは、いずれかの基地局を予め優先するとして決めておき、優先する基地局に時間配分を優先的に割り当てるというものである。
【0051】
[状態1−5:図5]
状態1−5(実施の形態1−5)では、図5に示すように、基地局グループ間の距離が離れて、基地局間のRSSIの値が低下し、通信が途絶した場合には、基地局間連携から離脱する。
また、別の無線グループと接近したら、状態3の基地局間連携による動作を繰り返す。
【0052】
[状態1−6:図6]
状態1−6(実施の形態1−6)では、図6に示すように、基地局グループ内で基地局と端末局との間の距離が離れて、基地局と端末局間のRSSIの値が低下し、受信ができなくなったら、基地局グループ内での基地局と端末局間での同期動作を解除する。
【0053】
[本システムの処理フロー:図7、図8]
上記状態1−1〜1−6に関する処理について図7、図8を参照しながら説明する。図7は、処理1を示すフローチャートであり、図8は、処理2を示すフローチャートである。図7と図8は、(A)と(B)の部分で連続している。
まず、基地局、端末局がそれぞれ待ち受け状態にある(S1)。
【0054】
[実施の形態1−1の処理]
そして、基地局21が端末局11、基地局22が端末局12にそれぞれ接近して同期動作を完了し、それぞれ基地局グループ1,2として移動し、接近する(S2)。これが状態1−1(実施の形態1−1の処理)である。
【0055】
[実施の形態1−2の処理]
そして、基地局21から端末局12に対する間で、基地局22から端末局11に対する間で、RSSI,CINR値を含めて端末局が所属している基地局へ認識情報を伝送し、基地局が干渉の有無を判別する。具体的には、基地局21と基地局22がスペクトル解析を行う(S3)。これが状態1−2(実施の形態1−2の処理)である。
【0056】
[実施の形態1−3の処理]
上記干渉有無の判別によって、干渉有りの場合、周波数faにてTDDシステムの基地局間連携フレームの送受信を切替し、そのフレームにてプリアンブル信号を受信して同期を取り、基地局間連携をする(S4)。尚、干渉なしの場合は処理S2に戻る。
【0057】
そして、基地局21,22が制御権を獲得した所属の端末局からのRSSI,CINRの数値を随時更新する。端末局と基地局の持つ認識情報を同期したグループ外の基地局21から基地局22へ、基地局22から基地局21へ伝送する(S5)。これが状態1−3(実施の形態1−3の処理)である。
【0058】
[実施の形態1−4の処理]
更に、基地局21,22の制御部が連携して干渉を回避するために、所属の端末局も含めてGPSに時刻同期していることと、送信電力の調整によりRSSI,CINR値が良くなるようにプログラムによる計算を行い、基地局グループ1,2が同一周波数で出力制御により干渉回避できる条件があるかを計算により解析・検討する(S6)。
【0059】
そして、干渉回避不可の場合(A)、割当利用可能周波数から予備周波数への変更を選択する(S7)。但し、予備周波数がない場合、基地局間連携にて優先度や通信量の大きさに応じて基地局グループ(基地局G)毎に割り当てる(S8)。
【0060】
また、干渉回避可の場合(B)、送信電力の出力制御を選択する(S9)。この場合、基地局同士の位置情報と移動方向を把握し、基地局グループ1,2の出力制御による干渉を回避する(S10)。これが状態1−4(実施の形態1−4の処理)である。
尚、処理S5,S6,S9,S10で、基地局グループでの連携が外れた時、基地局間の再連携のためには、処理S4に戻る。
【0061】
[実施の形態1−5の処理]
そして、基地局21,22間の距離が離れてRSSIが低下して通信が途絶したら、基地局グループ外との連携を解除する(S11)。これが状態1−5(実施の形態5−1の処理)である。
【0062】
[実施の形態1−6の処理]
また、基地局グループ内の基地局と端末局との間の距離が離れてRSSIが低下し、通信が途絶したら、基地局グループ内の同期を解除する。グループ外(G外)連携時には、相手基地局へ端末局の離脱を連絡する(S12)。これが状態1−6(実施の形態6の処理)である。
【0063】
処理S11で、基地局グループ内の同期離脱の場合は、処理S12に移行し、処理S12で、基地局グループ外の連携解除の場合は、処理S11に移行する。
また、処理S11で、基地局グループ内の同期継続する場合、処理S12で、基地局グループ外の連携継続する場合は、端末局の同期が解除されていれば処理S1に移行し、端末局の同期が継続していれば処理S2に移行する。
【0064】
[本システムの第2の処理動作]
本システムにおける第2の処理動作について、以下説明する。
電波環境のセンシング能力を有する基地局が、周波数切替時にある幅を持った帯域幅をセンシングする能力を有しない端末局等に代わって周囲の無線状況を認知・認識し、その情報を近距離で影響を及ぼす通信可能な基地局、もしくは基地局グループと認識情報を含めて共有して干渉条件を計算プログラムにより解析して干渉を回避し、通信環境の劣化を起こさないように端末局や基地局のタイムスロット、出力、割当利用可能周波数を制御して端末局が基地局、もしくは基地局グループ同士が接近時に周波数有効利用(送信電力制御による干渉回避方法)を考慮しながら通信環境を確保する。
【0065】
干渉を回避するための計算プログラムは、認識情報から得られた無線局の送受信時の位置と出力電力、RSSI,CINR値から、例えば、干渉対象にある送信局のタイムスロットを変更し、電力制御を図ることにより、受信局のCINR値を改善させて通信状態を維持する為の解析解を導くものである。
【0066】
ここで、認識情報には、GPSによる位置・時刻情報や移動方向・移動速度、割当利用可能周波数、送信電力、受信電力、信号対干渉波比、所属基地局グループ、個別ID、タイムスロットが含まれることになる。
端末局については、基地局と同期後に基地局が端末局と干渉をしないための無線仕様に関する必要最低限の制御情報(利用周波数、送信電力、タイムスロットの情報)を基地局から受ける。
【0067】
基地局グループ間にて連携を行う時は、所属している端末局との下り、若しくは上りのCINRの数値が低下した時に、端末局又は基地局グループの存在を確認するために、後述する図9に示すように、基地局・端末局連携用フレームの受信時にて基地局グループの存在(無線局グループの構成)とその無線局それぞれの認識情報を確認後に、その連携用フレームにて基地局グループ間連携を行う。
【0068】
基地局グループ間連携後には、無線グループの基地局同士がお互いの持っている端末局も含めて認識情報の交換をし、他基地局グループを含めた計算プログラムにより干渉回避するための解析を行い、他基地局グループも含めた電波の干渉を回避できる要素(利用周波数、送信電力、タイムスロット)を制御することにより、グループ単位での自律分散による動作が可能になる。
【0069】
また、基地局グループ間の距離が離れて通信が途絶したら、基地局グループ間連携を解除する。第1の処理では、異なる基地局グループ間での基地局間通信を介した端末局間連携動作が行われていたが、端末局間通信を介した連携動作が容易に行われないという問題点がある。
【0070】
上記の干渉回避動作を無線局同士の電波干渉時に成立させるためには、干渉が起きている通常のデータ伝送用スロット(以降、端末局→基地局を「上りフレーム」、基地局→端末局を「下りフレーム」とする)ではなく、乱数による相関のないアルゴリズムで送受信を決定する特殊な連携用フレームを基地局用と端末局用に設けて制御情報のやりとりを行うことで解決することができる。
【0071】
この特殊フレームでは、認識情報の他に連携用の同期信号を含めて送信し、受信応答(ACK)を受信応答フレームにて受信したら、その対象基地局・端末局連携用フレームの送信・受信を一時固定して同期する。その後、対象の通信相手先が変更になったら連携用フレームの固定を解除する。
【0072】
[第2の処理に関するシステム構成]
第2の処理を実現する本システムにおいては、一つの基地局とその基地局に同期した複数の端末局を基地局グループの一単位とする。
基地局に端末局が同期することで基地局グループとなり、基地局や端末局自身が移動することにより、そのエリアが変化するシステムである。この定義による2つの基地局グループにおいて基地局グループ間で通信が可能な場合は、連携することを基本としたシステムである。
【0073】
基地局が一つに対して端末局が複数の場合もTDMA方式にすれば適応可能であるが、今回の図10〜13においては、端末局が三つの場合を示した。具体的な構成について基地局グループ1の構成は、(基地局21,端末局11・11A・11B)であり、基地局グループ2の構成は、(基地局22,端末局12・12A・12B)である。
【0074】
基地局・端末局は、端末局が基地局との同期による制御や基地局グループ間連携後の周波数変更等の制御を受けない限り同一周波数faにて通信を行うものとする。基地局21,22と端末局11,12は、全てGPSに同期してフレームの同期が取れているため、基地局21と端末局11との間、基地局22と端末局12との間、端末局11と端末局12との間もGPSによるフレームの同期が取れているものとする。
【0075】
[第2の基地局、端末局のTDDフレーム構成:図9]
第2の処理における基地局、端末局のTDDフレーム構成について図9を参照しながら説明する。図9は、第2の基地局、端末局のTDDフレーム構成を示す図である。
全ての端末局11,12、基地局21,22のTDDフレームの構成は、図1に示すTDDフレーム構成になっているものとする。
【0076】
図9に示すように、フレームは、プリアンブル、基地局連携用、端末局連携用、データ伝送用下り(基地局→端末局)、データ伝送用上り(端末局→基地局)、受信応答で構成される。
端末局の下り・上りフレーム割当については、干渉回避前(#0:端末局11・12、#1:端末局11A・12A、#2:端末局11B・12B)、干渉回避後(#0:端末局11・12A、#1:端末局11A・12、#2:端末局11B・12B)である。
基地局・端末局連携用フレームの内容については、認識情報と連携用同期信号(連携前のみ)である。
【0077】
[乱数アルゴリズムの動作]
乱数アルゴリズムによる動作については、基地局21,22、端末局11,12同士では、相関のない乱数アルゴリズム(乱数=0;基地局・端末局連携用フレーム受信、乱数=1;基地局・端末局連携用フレーム送信)により、基地局・端末局連携用フレームの送受信を選択する。
【0078】
特に、図9では端末局連携用フレームにおいて、基地局・端末局同士相関のない乱数アルゴリズムの符号系列により基地局21(送信)→端末局11(受信)、基地局22(送信)→端末局12(受信)、端末局12(送信)→端末局11(受信)・基地局22(受信)の送受信が成功して、受信応答(ACK)が戻ってきた場合を示す。
【0079】
無線局同士で送信に対する受信応答(ACK)が完了した時点で同期が成立し、以降、基地局・端末局連携用フレームの送信と受信のフレームが一時固定されるものとする。
もし、相手先無線局が変更になった場合には、基地局・端末局連携用フレームの固定を一時解除する。図9にある太矢印は、乱数の符号系列により決められた送受信において送信と受信が成功した時を示す。
【0080】
また、太線枠・太字数字のみ乱数アルゴリズムの変数により送受信が決定するフレームである。
図10,11(実施の形態2−2〜2−3)では、基地局21,22と端末局11,12との間にてそれぞれ干渉があるため、端末用連携用フレームにおいて、端末局11の乱数値が「1(送信)」で端末局12の乱数値が「0(受信)」の場合に、端末局11が端末局12又は基地局21に送信でき、端末局12が端末局11又は基地局22から受信できる。
また、端末用連携用フレームにおいて、端末局11の乱数値が「0(受信)」で端末局12の乱数値が「1(送信)」の場合に、端末局11が端末局12又は基地局21から受信でき、端末局12が端末局11又は基地局22に送信できる。
【0081】
基地局連携用フレームにおいて、基地局21の乱数値が「1(送信)」で基地局22の乱数値が「0(受信)」の場合に、基地局21が端末局11に送信でき、基地局22が端末局12から受信できる。
基地局連携用フレームにおいて、基地局21の乱数値が「0(受信)」で基地局22の乱数値が「1(送信)」の場合に、基地局21が端末局11から受信でき、基地局22が端末局12に送信できる。
【0082】
[状態2−1〜2−4の概要]
後述する状態2−1〜2−4の概要について説明する。
本システムにおいて、基地局21(又は基地局22)に同期している端末局11(又は端末局12)との下り、若しくは上りのCINR値等の低下を検知した後に、端末局11(又は端末局12)は、それぞれの持つ認識情報と連携用信号を端末局連携用フレームにて送信して端末局12(又は端末局11)と基地局21(又は基地局22)が受信して、受信応答フレームにて受信応答(ACK)を返して同期を取る。
【0083】
受信した端末局12(又は端末局11)が端末局連携用フレームにて基地局22(又は基地局21)へ受信した認識情報を転送して受信応答(ACK)を返して同期を取る。
基地局グループ1(又は基地局グループ2)を検知した基地局21(又は基地局21)は、これまでとは逆の方向で基地局22(又は基地局21)から基地局連携用フレームにて一度端末局12(又は端末局11)へ認識情報と連携用信号を送り、端末局間を経由して相手基地局・端末局連携用フレームにて連携用信号(基地局グループ間で連携して、同期を取るためのプリアンブル信号など)を相手基地局まで送信する。
【0084】
その他、端末局下りCINR値等の低下を検知しなくても端末局間連携用フレームにて連携用信号を受信できた場合は、以後上記同様の動作を続ける。
タイムアウトまでの時間に基地局・端末局連携用フレームにて応答信号が受信できた場合は、基地局・端末局連携フレームによる情報交換のやりとりを行い続ける。しかし、応答信号が得られなかった場合には、連携用信号の送信を一度停止して再度送信することを繰り返す。
【0085】
基地局・端末局連携用フレームで乱数を使ったアルゴリズムによる送受信を繰り返すことにより、上り下りが干渉時で情報のやり取りが不可の時も基地局グループ同士の連携が取れる。
基地局グループ連携時に制御情報のやりとりは、所属の基地局・端末局を経由してそれぞれの連携用フレームを駆使して行われる。干渉回避の動作は、基地局同士による干渉回避プログラムにより解析して制御される。
【0086】
[本システムの状態2−1〜2−4]
次に、本システムにおける状態2−1〜2−4について実施の形態2−1〜2−4として図10〜12を参照しながら具体的に説明する。図10は、基地局グループ状態(実施の形態2−2)を示す図であり、図11は、基地局グループ状態(実施の形態2−3)を示す図であり、図12は、基地局グループ状態(実施の形態2−4)を示す図である。
【0087】
[状態2−1]
状態2−1(実施の形態2−1)では、基地局21,22それぞれが近くにいて認識できる端末局と同期動作を行う。状態2−1は、図2の状態1−1と同様の状態である。
具体的には、端末局が基地局の連携用同期信号を受信したら、それに伴い端末局から基地局へ同期の確立を示す信号を基地局に返す。基地局21のエリアに対応した端末局11(以後、基地局グループ1)と基地局22に対応した端末局12(以後、基地局グループ2)があり、基地局グループ1,2として移動する。
【0088】
[状態2−2:図10]
状態2−2(実施の形態2−2)では、図10に示すように、基地局グループ1と基地局グループ2が接近し、特に同じタイムスロットが割当られている端末局11と端末局12との間が近づいたため、端末局11,12と基地局21,22との間で干渉が起きて、端末局11と基地局21との間、端末局12と基地局22の間のCINR値が低下している状態である。
【0089】
[状態2−3:図11]
状態2−3(実施の形態2−3)では、図11に示すように、CINR値等の低下を検知した端末局11,12は、自分の所属基地局21,22と相手グループの端末局12,11へ端末局の認識情報を相関の無い乱数アルゴリズムを使った端末局連携用フレームにて送信する。
そして、端末局11,12は、当該送信に対して受信応答(ACK)して同期した後に、認識情報を受信した相手端末局12,11から同じ端末局連携用フレームにて所属の基地局へ認識情報を転送する。
【0090】
更に、認識情報を受信した基地局21,22は、受信応答(ACK)して同期をとる。認識情報を受信した基地局21,22は、相手基地局グループ2,1と連携するために連携用信号を先程の逆のルートで基地局連携用フレームにて所属端末局11,12を経由し、その端末局11,12から端末局連携用フレームにて相手端末局12,11まで伝送する。
その後、相手端末局12,11から基地局連携用フレームにて相手基地局22,21まで伝送され、基地局グループ同士が連携される。
【0091】
[状態2−4:図12]
状態2−4(実施の形態2−4)では、図12に示すように、状態2−3で受信した情報を基に連携された基地局11,12が干渉回避のため、タイムスロット変更や送信電力制御を行う。
タイムスロット変更は、例えば、端末局12のタイムスロットを「#0」から「#1」に、端末局12Aのタイムスロットを「#1」から「#0」に変更する。
更に、タイムスロット変更でも干渉を回避できない場合は、周波数変更にて干渉回避を行う。
【0092】
[本システムの第2の処理フロー:図13]
上記状態2−1〜2−4に関する処理について図13を参照しながら説明する。図13は、第2の処理を示すフローチャートである。
[実施の形態2−1の処理]
まず、基地局グループA,B(基地局:1局、端末局:1局)が独立してTDMA方式にて移動中とする(S21)。これが、状態2−1(実施の形態2−1)である。
【0093】
[実施の形態2−2の処理]
次に、基地局グループが異なり、ある同一スロット(#0)の端末局11,12同士が接近して干渉が発生し、上り(端末局11,12→基地局21へ、端末局11,12→基地局22へ)と下り(基地局21,22→端末局11へ、基地局21,22→端末局12へ)とも不通になったとする(S22)。これが状態2−2(実施の形態2−2)である。
【0094】
[実施の形態2−3の処理]
そして、干渉した端末局11,12が所属基地局と近傍の干渉した端末局に向けて認識情報を乱数による端末局連携用フレーム(図9において、基地局21,22、端末局11,12のTDDフレーム構成)において符号系列が「1」の時に送信する(S23)。これが状態2−3(実施の形態2−3)である。
【0095】
次に、所属の基地局と干渉相手の端末局が、認識情報を端末局連携用フレームにおいて符号系列が「0」の時に受信し、受信後に受信応答フレームにて受信応答(ACK)して同期する。受信した認識情報を端末局連携用フレームにて同じ方法で端末局が所属する基地局へ認識情報を転送して、受信応答フレームにて受信応答(ACK)して同期する(S24)。
【0096】
更に、認識情報を受信した基地局同士は、連携用の同期信号を所属の端末局と相手端末局を経由して相手基地局まで送信して受信応答(ACK)して基地局グループ同士が連携する(S25)。
【0097】
[実施の形態2−4の処理]
そして、干渉回避のために、集まった認識情報を利用して基地局主導で干渉回避プログラムにより解析を行い、その解析結果を基に基地局、端末局連携用フレームにて所属端末局へ制御情報を送信して通信方式を変更し、干渉回避を行う(S26)。
通信方式の変更は、タイムスロットの割当変更、出力制御、周波数切替等である。
以上のようにして、第2の処理が為される。
【0098】
第2の処理では、基地局は、端末局からのCINR等に関する認識情報に基づいて干渉回避のための通信方式変更の処理を行うもので、基地局自体が第1の処理のようにセンシングを行うものではないが、第1の処理と同様に、端末局からの認識情報を受信して、基地局自体がセンシングし、基地局間の干渉も含めて干渉回避の処理を行うようにしてもよい。
【0099】
[実施の形態の効果]
本システムによれば、第1の処理により、センシング能力を有しない同一周波数帯を利用する無線機もコグニティブ無線機(基地局21,22)との連携を取ることで周辺の電波環境情報を共有し、別の無線機単体、グループが接近時にも干渉を回避しながら通信を継続できる効果がある。
【0100】
また、本システムによれば、第2の処理により、センシング能力を有しない同一周波数帯を利用する無線機もコグニティブ無線機(基地局21,22)や他の無線機との連携を取ることで周辺の電波環境情報を共有し、別の無線機グループが接近時にも干渉を回避しながら通信を継続できる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、移動している端末局、若しくは基地局のグループ同士の連携により、基地局が利用周波数と送信電力を制御して基地局グループ間の干渉を回避できる無線通信システムに好適である。
【符号の説明】
【0102】
11...端末局、 12...端末局、 21...基地局、 22...基地局

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能な無線端末局と移動可能な基地局とを有する無線通信システムであって、
前記基地局は、同期する無線端末局を自局のグループとし、前記無線端末局からの電波状況の情報を受信し、当該電波状況の情報に基づいてキャリアセンスを行い、接近している他の基地局のグループとの間で干渉発生を検出した場合に、各グループの基地局と無線端末局の位置に関する情報、移動に関する情報、及び通信に関する情報を連携用情報として前記各グループの基地局間で送受信して共有し、前記連携用情報に基づいて干渉回避の演算処理を行い、干渉回避の制御を行うことを特徴とする無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−156976(P2012−156976A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87204(P2011−87204)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】