無線通信システム
【課題】基地局におけるスケジューリング処理の処理速度を高速化することの出来る無線通信システムを提供する。
【解決手段】 複数の周波数帯域を使って基地局と端末が通信を行う無線通信システムにおいて、端末は、周波数帯域毎の無線回線品質を測定し、基地局にこれを通知する。基地局は、端末からの通知に基づいて、端末が使用する周波数帯域を決定する。そして、端末を使用する周波数帯域の違い等に基づいてグループ化し、端末に、どの端末グループに属するかを通知する。端末は、基地局からの通知に基づいて、自端末の使用周波数帯域及び端末グループを設定し、通知された使用周波数帯域の無線回線品質を測定する。測定結果は、基地局に通知される。基地局は、端末の使用周波数帯域に関する無線回線品質に基づいて、使用周波数帯域毎にスケジューリングを行い、端末と通信を開始する。
【解決手段】 複数の周波数帯域を使って基地局と端末が通信を行う無線通信システムにおいて、端末は、周波数帯域毎の無線回線品質を測定し、基地局にこれを通知する。基地局は、端末からの通知に基づいて、端末が使用する周波数帯域を決定する。そして、端末を使用する周波数帯域の違い等に基づいてグループ化し、端末に、どの端末グループに属するかを通知する。端末は、基地局からの通知に基づいて、自端末の使用周波数帯域及び端末グループを設定し、通知された使用周波数帯域の無線回線品質を測定する。測定結果は、基地局に通知される。基地局は、端末の使用周波数帯域に関する無線回線品質に基づいて、使用周波数帯域毎にスケジューリングを行い、端末と通信を開始する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スケジューラを用いて送信割り当てを実施する移動通信システムであり、3GPPにおいて標準化が行われているHSDPAシステムの実用化が一部で始まっている。
【0003】
以下、下り高速伝送を実施するためのHSDPAシステムを例として、端末構成例と基地局構成例を用いて説明する。
【0004】
図1〜図5は、従来のHSDPAシステムを説明する図である。
図1の端末において、例えば、アンテナ10、無線部11、復調・復号部12を介して受信した下り信号のパイロット信号を基に、無線回線品質測定・算出部13において、無線回線品質指標(以後CQI : Channel Quality Indicatorと略す)を測定し算出する。具体例としては、パイロット信号の受信電力と干渉電力を測定することにより、SIRを算出し、これを基にCQIを算出する。このCQI値を無線回線品質指標送信部14で、送信用の信号に組み立て、符号化・変調部15で符号化し、変調し、アンテナ10を介して上り無線回線で基地局へ伝送する。すなわち、CQI値を基地局に報告する。
【0005】
一方、図2の基地局内は、アンテナ20、無線部21、復調・復号部22を介して、端末から送られてきたCQI値が載せられた信号を受信し、無線回線品質指標収集部23において、無線回線品質指標(CQI)を収集し、スケジューラ24に通知する。スケジューラ24において、例えば、端末から報告された無線回線品質指標(以後CQI : Channel Quality Indicatorと略す)を用いて使用周波数帯域毎に端末の優先順位を算出し、優先順位の高いものから送信パラメータを選択し、制御信号作成部25で、送信用の制御信号を生成し、符号化・変調部27、無線部28、アンテナ20を介して、端末に送信する。送信データバッファ26の送信データは、制御信号の送信後に端末に向けて送信される。
【0006】
図3は、スケジューリングの処理フローである。
今、基地局のセルの中に端末UE1〜UEnがあるとする。ステップS10において、端末UE1〜UEnのCQI値(CQI1〜CQIn)を受信する。ステップS11において、CQI1〜CQInを格納する。ステップS12において、TTIを初期化する。TTIとは、transmission time intervalの略であり、端末へのデータの送信間隔を示す。ここでは、端末への送信回数を示す変数として用いている。ステップS13において、TTIを1増加する。ステップS14において、端末UEkの優先度Pkを算出する。ステップS15において、i=0,j=1と初期化する。ステップS16において、無線リソースの残りRiを算出する。i=0のときは、まだ、無線リソースを割り当てていないので、Riは、システムの無線リソース全部である。ステップS17において、無線リソースの残りRiが0より小さくないか否かを判断する。ステップS17の判断がYesの場合には、ステップS21に進む。ステップS17の判断がNoの場合には、ステップS18において、n-i個の端末から優先度(優先順位)Pkが最大値Pk_maxとなる端末UEjを算出する。ステップS19において、端末UEjへのデータの送信方法(データ長、変調方式等)を選択する。ステップS20において、iを1増加し、jを1増加して、ステップS16に戻る。ステップS21では、ステップS19において選択した送信方法を制御信号として変調し、端末へ送信する。ステップS22においては、制御信号を送信した端末向けに送信データを変調し、送信し、ステップS13に戻る。
【0007】
また、優先順位の算出方法として、CQIの値の高いものから選択するMAX CIR法や、CQIの高いものから選択し、かつ、機会が均等となるように選択するPF(Proportional Fairness)法などが使用されている。
【0008】
ところで、上述の3GPPにおいて、次世代移動通信システムとしてE3G(Evolved 3G)システムの仕様検討が行われている。これにおいては、多元接続方式として、下りにOFDMA方式、上りにSC-FDMA方式の導入が検討されている。
【0009】
また、E3Gシステムでは、従来のHSDPAより広い周波数帯域(例えば4倍)を用い、HSDPAシステムと同様にスケジューリングを実施する。さらに、E3Gシステムで使用される端末は、上りと下りで帯域幅が異なる。さらに、例えば、下りの場合、端末が使用できる帯域は1.25MHz, 2.5MHz, 5MHz, 10MHz, 20MHzなど端末によって異なる。
【0010】
このため、HSDPAのように特定の帯域に限定したスケジューリングを行うことができず、使用帯域幅を考慮しシステム帯域20MHzでスケジューリングを実施する必要がある。
言い換えれば、図4のように、一つのスケジューラでシステム全体のスケジューリングを行う必要がある。
【0011】
また、下りのシステムの帯域幅が20MHzで、端末の下り帯域幅が5MHzの場合を想定する。このとき、運用時に使用される周波数は、他の端末との兼ね合いから、使用周波数は可変となり、4つの可能性がある。したがって、基地局のスケジューラが、他の端末の使用帯域幅を考慮し、かつ、複数の帯域から最適な帯域を選択できるようにするためには、図5に示されるように、端末において5MHz帯域毎にCQIを測定・算出し、CQIを基地局に報告しなければならない。
【0012】
すなわち、HSDPAと比較し4倍のCQIの測定・算出が必要となる。また、基地局へのCQI報告回数も4倍となる。この結果、上り回線の干渉も4倍となってしまう。
【0013】
E3Gシステムにおいて、システム全体のスケジューリングを一つのスケジューラで実施する場合、
・従来のHSDPAシステムのスケジューラと比較し単純には、スケジューリング対象の端末数は、HSDPAシステムと比較し単純には数倍(例えば4倍)となること。
・送信間隔が従来のHSDPAシステムの2msecに比較し1/4である0.5msecとなること
以上の2点から、例えば、従来の16倍のスケジューリング速度が要求されている。言い換えれば、優先順位計算時間を1/16としなければならない。
【0014】
一方、それまでにスケジューリングを行うCPUやDSPの処理性能の向上は、E3Gのサービス開始目標である2010年を基準に考えると、ムーアの法則(18ヶ月で処理速度2倍)を考慮しても4倍程度としかならず、上記16倍には及ばない。
【0015】
よって、スケジューリング処理の高速化が必要不可欠である。
特許文献1では、高速移動する端末をグルーピングし、スケジューリングする技術が示されている。さらに、スケジューリングの対象となる帯域を特化している。これらは、3GPPのHSUPA(High Speed Uplink Packet Access)をベースとするものと考えられる。
しかしながら、低速移動中や停止中の端末に対してはスケジューリングを実施しないことが説明されている。
【0016】
特許文献2は、OFCDM(Orthogonal Frequency and Code Division Multiplexing)を用いた例である。すなわち、周波数方向及び時間方向に拡散を実施し、多重する方法を用いてものである。
【0017】
特許文献3は、送信電力の減衰量を用いて端末のグルーピングを行うもので、使用周波数帯域に関しては記述がないため、従来のOFDMを使用しているものと考えられる。
【0018】
特許文献4は、基地局が移動局の移動速度をドップラー周波数を使って検出し、符号化レートと変調方式を最適に選択するものである。
【0019】
特許文献5は、移動局のドップラー周波数等の情報により、移動局と基地局の通信の伝送レートを最適に決定するものである。
【0020】
特許文献6は、副搬送波をグループ化し、グループ毎にチャネル品質情報を取得して、送受信するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2006-060814号公報
【特許文献2】特開2005-318434号公報
【特許文献3】特開2001-036950号公報
【特許文献4】特開2003-259437号公報
【特許文献5】特開2005-260992号公報
【特許文献6】特開2005-160079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の課題は、基地局におけるスケジューリング処理の処理速度を高速化することの出来る無線通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の無線通信システムは、基地局が複数の周波数帯域を使って配下の複数の端末と通信する無線通信システムにおいて、端末が基地局との通信に使用する周波数帯域毎に得られた無線回線品質に基づいて、該複数の端末を該周波数帯域毎のグループに振り分けるグループ化手段と、該グループに分けられた端末を、グループを単位としてスケジューリングするスケジューリング手段と、該スケジューリングの結果に基づいて、基地局が端末と通信を行う通信手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、端末を使用周波数毎にグルーピングし、グループ毎にスケジューリングを実施することで、スケジューラ当たりのスケジューリング対象端末数を削減することが可能となり、スケジューリングを並列に実施でき、かつスケジューリング処理時間を短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】従来のHSDPAシステムを説明する図(その1)である。
【図2】従来のHSDPAシステムを説明する図(その2)である。
【図3】従来のHSDPAシステムを説明する図(その3)である。
【図4】従来のHSDPAシステムを説明する図(その4)である。
【図5】従来のHSDPAシステムを説明する図(その5)である。
【図6】本発明の実施形態の処理の流れを示すシーケンス図である。
【図7】本発明に従った、回線設定時に最も簡易な各帯域の回線品質を用いてグルーピングする場合の説明図である。
【図8】使用帯域毎の無線回線品質の測定イメージを示す図である。
【図9】端末のグルーピングとスケジューリングの仕方に関する説明をする図(その1)である。
【図10】端末のグルーピングとスケジューリングの仕方に関する説明をする図(その2)である。
【図11】端末の使用帯域幅が図10と異なる場合のグルーピングとスケジューリングの仕方のイメージを示す図である。
【図12】階層化グルーピングについて説明する図(その1)である。
【図13】階層化グルーピングについて説明する図(その2)である。
【図14】端末をグループ化した際に基地局が有するグループ化テーブルの例である。
【図15】グループ化の他の方法を説明する図である。
【図16】図15のグルーピングに対応する、基地局の有するグループ化テーブルの例である。
【図17】それぞれ端末をグループに振り分ける際の処理例を示す図(その1)である。
【図18】それぞれ端末をグループに振り分ける際の処理例を示す図(その2)である。
【図19】それぞれ端末をグループに振り分ける際の処理例を示す図(その3)である。
【図20】それぞれ端末をグループに振り分ける際の処理例を示す図(その4)である。
【図21】それぞれ端末をグループに振り分ける際の処理例を示す図(その5)である。
【図22】本発明の端末の原理構成を示す図である。
【図23】本発明の基地局の原理構成を示す図である。
【図24】図22の構成を無線回線品質としてCQIを測定する場合に適用した構成例である。
【図25】図23の構成を無線回線品質としてCQIを測定する場合に適用した構成例である。
【図26】本発明の実施形態の基地局の第2の構成例である。
【図27】本発明の実施形態の基地局の第3の構成例を示す図である。
【図28】図27に対応する本発明の実施形態の端末の第2の構成例を示す図である。
【図29】本発明の実施形態の基地局の第4の構成例を示す図である。
【図30】本発明の実施形態の基地局の第5の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、下り伝送を例として、説明する。
図6は、本発明の実施形態の処理の流れを示すシーケンス図である。
【0027】
図6において、端末は、周波数帯域毎の無線回線品質を測定する(1)。すなわち、周波数帯域毎に、受信データからSIRを計算し、これを基に、CQI値を求める。測定した無線回線品質を基地局に通知する(2)。基地局では、受信した無線回線品質の情報から、端末が使用すべき周波数帯域を決定し(3)、無線回線品質を送信してきた全ての端末をグループに分類する(4)。グループ化の設定が終わると、基地局は、各端末にその端末が属する端末グループを通知する(5)。端末グループ通知を受け取った端末は、使用周波数帯域及び端末グループの設定を行う(6)。自端末に設定された使用周波数帯域で無線回線品質を測定し(7)、この測定結果を基地局に通知する(8)。基地局では、通知された無線回線品質を基に、使用周波数帯域毎に、スケジューリングを行う。すなわち、端末の優先順位に基づき送信する端末を選択し、かつ送信方法を選択する。この結果を基に端末が受信するための制御情報を作成する。(9)、端末に、送信制御情報を通知し(10)、その後、データを送信する(11)。
【0028】
このように、OFDMAシステムやMC-CDMAシステムにおいて、端末が使用可能な帯域幅と使用周波数によって、端末をグルーピングする。グルーピングは、無線回線設定時に実施してもよいし、無線回線設定後一定周期でグルーピングしてもよい。また、グルーピングするための情報は、端末の使用可能帯域幅に加え、帯域毎の回線品質、各帯域の回線使用状況(負荷)などが考えられる。
【0029】
図7は、本発明に従った、回線設定時に最も簡易な各帯域の回線品質を用いてグルーピングする場合の説明図である。
【0030】
具体的には、ある端末が使用可能な最大帯域幅が5MHzで、システムの帯域幅が20MHzであった場合を考える。回線設定時に、端末において、システム帯域20MHzを使用可能な最大帯域幅5MHzで分割したそれぞれに対して、無線回線品質を測定し、無線回線品質指標を算出し(1)、基地局に対して通知する(2)。基地局(または、無線回線制御局)は、この情報と端末の使用可能帯域幅を基に使用周波数を決定し(3)、使用帯域幅と使用周波数毎に端末を分けグルーピングを実施する(4)。なお、収容可能な周波数間の回線負荷を考慮し、使用周波数を決定してもよい。
【0031】
図7は、図6とほぼ同じであるが、使用周波数帯域及び端末グループの設定が回線設定時に行われ、定常状態では、各端末が自端末の使用周波数帯域の無線回線品質を測定し、報告された無線回線品質を基に基地局においてスケジューリングを行い通信を開始する。定常状態の動作は図6と同じであるため説明を省略する。
【0032】
図8は、使用帯域毎の無線回線品質の測定イメージを示す図である。
前述のように端末グループが決定された端末は、決定された使用周波数に対してのみ回線品質を測定しCQIを算出し、基地局に対して報告を行う。
【0033】
これにより、CQI報告数が削減され、上り干渉を低減することができる。
CQIを受信した基地局は、その端末のグループ毎にCQIを分類し、端末グループ毎(使用周波数帯域毎)にスケジューリングを行う。これにより、スケジューリング対象の端末が減少することから、スケジューリングにおける端末の優先度算出処理量が削減され、処理を高速化できる。また、端末グループ毎にスケジューリングすることから、複数のスケジューラを平行に動作させることにより、更に処理を高速化できる。
【0034】
図9及び図10は、端末のグルーピングとスケジューリングの仕方に関する説明をする図である。
【0035】
図9及び図10では、システムの帯域が20MHzで、端末の使用帯域幅が5MHzの場合を示しており、端末UE100〜UE139を4つのグループにグループ化している。グループ1は、周波数帯域1を使用し、4つ設けられたスケジューラの内のスケジューラ1を用いてスケジューリングをする。同様に、グループ2は、帯域2、スケジューラ2が割り当てられ、グループ3は、帯域3、スケジューラ3、グループ4は、帯域4、スケジューラ4が割り当てられる。このイメージを示したのが、図10(a)である。各グループのスケジューリングは、データの送信間隔が、0.5msであるので、0.5ms毎に行う。
【0036】
このように、スケジューラを複数も受けた場合には、各端末グループに1つのスケジューラを割り当てる。すなわち、グループ1は、例えばスケジューラ1でスケジューリングを行い、グループ2はスケジューラ2でスケジューリングを行う。これらのスケジューリングは、図10(b)に示すように並列に実施することが可能である。
【0037】
図11は、端末の使用帯域幅が図10と異なる場合のグルーピングとスケジューリングの仕方のイメージを示す図である。
【0038】
図11では、端末の使用帯域幅が10MHzの場合を示しており、帯域1と帯域2を使い、スケジューラ5でスケジューリングを行うグループ5と、帯域3と帯域4を使い、スケジューラ6でスケジューリングを行うグループ6にグループ化されている。
【0039】
図12及び図13は、階層化グルーピングについて説明する図である。
上述のように端末が使用可能な帯域幅は、端末の性能によって異なる。このため、使用可能帯域幅でグルーピングする方法が考えられる。図12の場合、20MHzを使用可能な端末UE160〜UE169は、グループ7に分類され、帯域1〜4の全てを使って、スケジューラ7でスケジューリングする。一方、使用帯域が10MHzの端末UE140〜UE149と、UE150〜159は、それぞれ、帯域1、2を使い、スケジューラ5によってスケジューリングされるグループ5と、帯域3、4を使用し、スケジューラ6によってスケジューリングされるグループ6に分類される。使用帯域が5MHzの端末UE100〜109、UE110〜119、UE120〜129、UE130〜139は、それぞれ、帯域1を使い、スケジューラ1によってスケジューリングされるグループ1と、帯域2を使い、スケジューラ2によってスケジューリングされるグループ2と、帯域3を使い、スケジューラ3でスケジューリングされるグループ3と、帯域4を使い、スケジューラ4でスケジューリングされるグループ4に分類される。
【0040】
図13(a)及び(b)に示されるように、使用可能帯域を全て使うことを前提とし、例えば、使用可能帯域が20MHzのように使用可能帯域が広いグループを上位グループとし、例えば使用可能帯域が5MHzのように狭いループを下位グループとする。このとき、スケジューリングは、上位グループから下位グループへと実施される。
【0041】
図13(a)に示されるように、各データの伝送時間である0.5ms毎に、最初に、グループ7がスケジューリングされ、次に、グループ5と6が、最後に、グループ1〜4がスケジューリングされる。図13(b)は、階層化されたスケジューリングのイメージを記載したものである。スケジューラ7から順次階層的に、スケジューリングを行う。スケジューラ5と6では、2つのスケジューラが、スケジューラ1〜4では、4つのスケジューラが並列動作するので、スケジューリングの高速化が期待される。
【0042】
図14は、端末をグループ化した際に基地局が有するグループ化テーブルの例である。
各端末グループ番号に対応して、各グループの使用帯域の中心周波数、帯域幅、及び、各グループに属する端末の識別番号が登録される。
【0043】
図15は、グループ化の他の方法を説明する図である。
伝送するデータによっては、必要伝送速度が異なる。そのため、必要帯域幅がデータによって異なる。すなわち、QoSによっては、使用帯域幅を広くとる必要がある場合や使用帯域幅を狭くすることが可能である場合も考えられる。更に、必要伝送速度が満たせない場合であっても、他の端末との兼ね合いから帯域幅を狭くすることで伝送可能である場合は、伝送を実施することも考えられる。このため、ある端末の使用可能な帯域幅が20MHzであった場合、使用帯域幅が20MHzの端末グループに属するだけではなく、10MHzや5MHzなど、より狭い帯域幅の端末グループに属することも可能である。そこで、端末グループをその使用帯域幅の大きさの順に階層化する。図15では、使用帯域が20MHzの端末は、10MHzでも、5MHzでも通信が可能である。また、使用帯域が10MHzの端末は、5MHzでも通信可能である。使用帯域が20MHzの端末UE160〜UE169は、帯域1〜4を使用し、スケジューラ7によってスケジューリングされるグループ7に属するほか、グループ1〜6の全てのグループに属するようにグループ化されている。したがって、端末UE160〜UE169が20MHzの帯域を使えないときは、10MHzの帯域のグループ5あるいは6、10MHzの帯域も使えない場合には、5MHzの帯域のグループ1〜4のいずれかに割り振り、端末UE160〜169が通信できなくなる可能性を低くする。同様に、使用帯域が10MHzの端末UE140〜149、UE150〜159の端末は、グループ1〜4にも割り振り、10MHz帯域での通信が出来ない場合には、5MHz帯域での通信を行えるようにする。使用帯域が5MHzの端末UE100〜109、UE110〜119、UE120〜129、UE130〜139は、5MHz以下の使用帯域がないので、グループ1〜4のみにそれぞれ属する。
【0044】
スケジューリングでは、上位の階層のグループ(例えば20MHz)から下位の階層のグループ(例えば5MHz)へと順にスケジューリングを行う。これにより、グループに於けるスケジューリング対象端末数を削減でき、優先順算出処理を削減できることから、スケジューリングを高速化できる。
【0045】
図16は、図15のグルーピングに対応する、基地局の有するグループ化テーブルの例である。
【0046】
端末グループ番号1〜7にそれぞれ対応し、各グループの使用帯域の中心周波数、帯域幅、各グループに属する端末の識別番号が登録されている。
【0047】
図14の場合も同様であるが、スケジューラを複数設ける場合には、グループの数だけ設ける。そして、グループ毎にスケジューラを設け、各スケジューラを、前述したように階層的に並列に動作させることにより、スケジューリング速度を上げることが出来る。また、スケジューラを複数設ける代わりに、並列動作が可能な1つのスケジューラを用いても良い。
【0048】
図17〜図21は、それぞれ端末をグループに振り分ける際の処理の流れの例を示す図である。
【0049】
図17の処理の例では、ステップS30において、対象端末の最大使用可能帯域幅を確認する。ステップS31において、帯域毎のCQIを端末から受信する。ステップS32において、CQIの最大値から使用帯域を選択する。ステップS33において、選択された帯域に対応する端末グループを選択する。
【0050】
図18の例では、ステップS35において、対象端末の最大使用可能帯域幅を確認し、ステップS36において、帯域毎のCQIを端末から受信する。ステップS37において、CQIと各帯域の使用状況から使用帯域を選択し、ステップS38において、端末グループを選択する。各帯域の使用状況とは、各帯域にすでに割り振られている端末の数等である。ある帯域に割り振られる端末の数が多くなりすぎると、スケジューラによる選択される頻度が低下し伝送速度が落ちるため、その場合には、CQIが最大の帯域ではなく、CQIが2番目に大きい帯域を選ぶ等の処理を施す。
【0051】
図19の例では、ステップS40において、対象端末の最大使用可能帯域幅を確認する。ステップS41において、帯域幅及び帯域毎のCQIを端末から受信する。ステップS42において、CQIの最大値から使用帯域幅及び使用帯域を選択する。ステップS43において、端末グループを選択する。図19では、端末が複数の使用帯域を使用できる場合を想定している。例えば、システム帯域が20MHzであり、端末の使用帯域が10MHzの場合、端末は、使用帯域幅として、10MHzと5MHzが使用できる。したがって、端末は、10MHz幅の2つの帯域と、5MHz幅の4つの帯域のCQIを測定し、基地局は、この測定結果から、使用帯域を選択する。
【0052】
図20の例では、例えば、QoSのGBR(Guaranteed Bit Rate)が設定されている場合を考える。すなわち、最低の伝送速度を規定したサービスが設定されている場合を考える。例えば、帯域5MHz、変調方式QPSK、符号化率1/3で伝送可能な伝送速度が3Mbpsであるとする。このとき、ある端末のGBRが5Mbpsであった場合、GBRを満たすためには、帯域幅を10MHzとする必要がある。したがって、使用帯域幅10MHzのグループに端末を割り振るようにする。変調方式としては、QPSKのほかに、16QAM、64QAMなどの多値変調方式があり、符号化率を可変にしたり、MIMO機能を使用したりすることも可能である。
【0053】
ステップS45で、対象端末の最大使用可能帯域幅を確認する。ステップS46において、対象端末への伝送データのQoSを確認する。ステップS47において、必要帯域幅を算出する。ステップS48において、必要帯域幅の帯域毎のCQIを端末から受信する。ステップS49において、CQIの最大値と使用可能帯域幅と必要帯域幅から使用帯域幅を選択し、ステップS50において、端末グループを選択する。
【0054】
図21の例では、端末の移動によって伝送特性が劣化することを考慮する。すなわち、端末の移動速度によって、ドップラー周波数が決まり、ドップラー周波数によって、その伝送特性の劣化の度合いを判断する。ドップラー周波数は、使用周波数が高いほど大きくなるため、高速移動に対応するために、端末との通信に低い周波数を使用することが望ましい。
【0055】
そこで、例えば、システム帯域幅が20MHzで、中心周波数を図14でf1<f2<f3<f4とした場合、周波数の高い帯域(中心周波数f3、f4、f6)を高速移動端末向けとし、低いほうの周波数帯域(f1、f2、f5)を低速移動または静止中の端末向けとする。
【0056】
端末のグループ分けに先立って、端末の移動速度を端末または基地局で推定する。推定方法としては、例えば、フェージングによる受信電界強度の落ち込みの間隔(フェージングピッチ)を測定することによって、移動速度を推定する。その結果を移動速度の閾値と比較し、速い場合には高速移動とし、遅い場合には、低速移動または停止中と判断する。
【0057】
ステップS55において、対象端末の移動速度推定を行う。ステップS56において、高速移動/低速移動を判定する。ステップS57において、対象端末の最大使用可能帯域幅を確認し、ステップS58において、必要帯域幅の帯域毎のCQIを端末から受信し、ステップS59において、移動速度と使用可能帯域幅と各帯域のCQIから帯域幅と使用帯域を選択し、ステップS60において、端末グループを選択する。
【0058】
図22は、本発明の端末の原理構成を示す図である。図23は、本発明の基地局の原理構成を示す図である。図22においては、図1に対応する構成には同じ参照符号を付す。図23においては、図2に対応する構成には同じ参照符号を付す。
【0059】
E3GなどのOFDMAやMC-CDMAなど複数帯域を使用する無線通信システムの下り送信において、ある端末が、回線設定時に下り制御信号(例えばパイロット)を、アンテナ10、無線部11、復調・復号部12を介して受信し、受信電力を測定することによって、回線品質測定部13で各帯域の無線回線品質を測定及び算出し、その結果を、回線品質送信部14、符号化・変調部15、無線部16、アンテナ10を介して上り無線チャネルを使って基地局へ通知する。
【0060】
各帯域の無線回線品質を受信した基地局では、回線設定用測定結果抽出部29が端末が測定した帯域毎の無線回線品質等を抽出し、回線設定部30に与える。回線設定部30は、端末グループ設定部31の端末に関する情報を参照しながら、その端末の使用可能帯域幅や、帯域の使用状況や負荷を考慮し、その端末が使用する帯域を決定し、使用帯域によって端末をグルーピングし、その結果を、端末グループ設定信号作成部32を介して端末に通知する。
【0061】
通知を受けた端末は、端末グループ設定情報抽出部17でこの情報を抽出し、自端末が割り当てられた端末グループの周波数帯域などの設定を端末設定制御部18を介して、無線部11、16、回線品質測定部13に行う。その後、回線品質測定部13で使用帯域の回線品質を定期的に測定し、回線品質指標を算出し、上り無線チャネルを介して基地局へ報告する。
【0062】
回線品質情報収集・分類部23で各端末からの無線回線品質指標を受信した基地局は、端末の属するグループ毎に無線回線品質指標を分類し、スケジューラ24−1〜24−nを用いて、グループ毎に無線回線品質指標を基に送信優先順位を算出する。このとき、各スケジューラ24−1〜24−nは、回線品質情報を送ってきた端末が属する端末グループを担当するスケジューラが選択されて、送信優先順位を算出する。なお、図23では、スケジューラは、2つしか記載されていないが、一般にn個設けることが出来、端末グループの数だけ設ければ効果的である。
【0063】
優先順位の算出結果を基に、送信する端末を選択すると共に、送信方法(例えば、送信データ量、変調方式、符号化率など)を選択し、その結果を基に、制御信号作成部25−1〜25−nにおいて、送信制御信号を作成し、データを送信する端末に対して送信する。送信制御信号に続いて、決定された送信方法に基づいて送信データを符号化し、変調ののち端末に送信する。なお、端末の使用可能帯域幅や使用可能変調方式などを考慮し、送信方法の選択を行う。さらに、グループ毎(スケジューラ毎)に使用可能な変調方式などを制限することにより、送信方法選択処理を簡単にする。
【0064】
端末では、基地局から送られてくる送信制御信号を制御信号抽出部19で抽出し、信号の内容を解読して、データの受信に必要な設定を復調・復号部12に行う。設定後は、基地局から送られてくるデータを受信する。
【0065】
上記のように、端末を使用する帯域でグループ化することによって、以下の処理が可能となる。
1)使用帯域に対してのみ無線回線品質を測定し、無線回線品質指標を算出し基地局へ報告する。
2)グループ毎にスケジューリングを行い、優先順の算出、送信端末の選択および送信方法を決定する。
【0066】
上記により以下の効果がある。
未使用の帯域に関して無線回線品質の測定を削減することができる。すなわち、処理が簡易となる。また、基地局に対しての無線回線品質指標の報告数を削減できる。これにより、端末における送信処理を軽減でき、報告数が削減されることから、上り回線の電波干渉を低減できる。
【0067】
また、グループ毎にスケジューリングすることから、スケジューリング対象端末数を削減でき、優先順位算出等の処理時間を短縮することができる。更に、グループ毎にスケジューリングすることから、スケジューリングの並行動作が可能となり、優先順位算出等の処理時間を短縮することができる。
【0068】
なお、図23の基地局構成例において、点線で囲まれた回線設定部30と端末グループ設定部31については、基地局の上位装置である無線回線制御局(RNC)に備えてもよい。
【0069】
上記では端末のグルーピングを回線設定時に行うとしたが、一定間隔でグルーピングを変更したり、対応する帯域における端末の収容数(すなわち負荷)の調整のため等で随時グルーピングを変更してもよい。この場合、例えば図6に示すような手順で処理する。
【0070】
図24は、図22の構成を無線回線品質としてCQIを測定する場合に適用した構成例である。図25は、図23の構成を無線回線品質としてCQIを測定する場合に適用した構成例である。
【0071】
図24のCQI測定・算出部は、自端末がどの端末グループに属するか決定されてから、自端末グループの使用する周波数帯域についてのみCQIを測定、算出するものである。そのための設定は、端末設定制御部18によって行われる。図25のCQI収集・分類部23は、端末からの、その端末が属する端末グループの使用周波数帯域に関するCQIの測定、算出値を収集するもので、得られたCQI値は、対応する端末グループのスケジューリングを担当するスケジューラに渡される。
【0072】
図26は、本発明の実施形態の基地局の第2の構成例である。
図26において、図23に対応する構成には同じ参照符号を付す。
【0073】
上記構成例では、端末の使用可能帯域幅を考慮し、グルーピングを実施した。ここでは、例えば、端末の使用可能帯域が20MHzであり、分割された一つの帯域が5MHzであった場合を考える。この端末は使用帯域20MHzのグループに属する。しかし、伝送するデータによっては、20MHzの帯域幅を使用しなくてもよい程度の要求伝送速度である可能性がある。この場合、使用帯域幅を20MHzとすることは、不効率である。しかし、使用帯域幅が固定されたグループでは、20MHzの使用となってしまう。
【0074】
そこで、例えば使用可能な帯域幅20MHzでのグループと、帯域幅が10MHzのグループ及び帯域幅が5MHzのグループに重複して属することとする。なお、使用中心周波数が異なるグループに属すことも可能であるから、この場合7つのグループに属することとなる。このとき、広い帯域幅を使用する場合は、送信する端末を選択する際に、使用する帯域幅が広いものから順にスケジューリングを実施しなければない。そこで、使用帯域幅が広いグループから狭いグループへと階層化することによって、広い帯域の使用を容易にすることができる。また、広い使用帯域を使用する際には、連続した帯域を選択することが望ましいが、上記のように階層化することで連続した帯域の使用が容易となる。
【0075】
このような階層化されたグルーピングをする場合、各端末グループに異なるスケジューラを割り当てるのではなく、並列計算が可能な1つの階層化スケジューラ24aを設けることによって、実現が可能である。
【0076】
図27は、本発明の実施形態の基地局の第3の構成例を示す図である。図28は、図27に対応する本発明の実施形態の端末の第2の構成例を示す図である。図27において、図23に対応する構成には同じ参照符号を付す。図28において、図22に対応する構成には同じ参照符号を付す。
【0077】
ここでは、上り伝送を例として説明するが、下り伝送に際して上り無線回線品質を用いて使用周波数帯域を選択してもよい。
【0078】
端末は、端末性能記憶部52に記憶された端末性能を基に端末性能情報作成部53が端末性能情報を作成し、端末性能である使用可能帯域情報にしたがって、上り制御信号作成部54が作成した制御信号(例パイロット信号)を基地局へ送信する。
【0079】
基地局は、CQI測定・算出部50において回線設定時に端末から各帯域で送信された制御信号(例パイロット信号)の受信電力を測定し、各帯域の無線回線品質を算出して得られた結果と、端末の使用可能帯域幅を端末性能情報抽出部51が抽出し、これを回線設定部30に与えて、該当する端末の属するグループを選択し、端末に通知する。
【0080】
通知を受けた端末は、端末グループ設定情報抽出部17でグループ情報を抽出し、対応する帯域で受信できるよう、端末設定制御部18が無線部11、16などの装置設定を行い、以後その帯域を用いて上りデータ伝送を実施する。
【0081】
一方、基地局は、以後端末が属するグループの帯域に対してのみ、CQI測定・算出部23で上り無線回線品質を測定・算出し、その結果を基に上りスケジューリングを実施する。スケジューリングにより算出した優先度を基に端末を選択し、上り送信方法を選択し、選択した端末に対して通知する。この通知は、端末の制御信号抽出部19で抽出され、復調・復号部12に設定される。
【0082】
図29は、本発明の実施形態の基地局の第4の構成例を示す図である。図29において、図23に対応する構成には同じ参照符号を付す。
【0083】
上記構成では、各帯域の無線回線品質と、端末の使用可能帯域幅を用いて端末のグルーピングを実施したが、ここでは、さらに伝送するデータのQoS(Quality of Service)を考慮し端末のグルーピングを行う。QoSは、基地局と端末が通信を行う場合に予め(例えば、回線設定時)決められており、基地局は端末と通信するときのQoSを予め知っているので、この情報を回線設定部30及び端末グループ設定部31に入力して、端末をグループ化するときの考慮対象とする。
【0084】
図30は、本発明の実施形態の基地局の第5の構成例を示す図である。図30において、図23に対応する構成には同じ参照符号を付す。
【0085】
上記構成では、各帯域の無線回線品質と、端末の使用可能帯域幅を用いて端末のグルーピングを実施したが、ここでは、さらに、端末の移動速度を考慮しグルーピングを実施する。基地局において、例えば端末から送られた制御信号(例えばパイロット信号)やデータの受信電力を移動速度測定・算出部40で測定し、測定結果を基に端末の移動速度(または端末と基地局の相対速度)を算出する。端末グループ設定部31または回線設定部30において、測定・算出した端末の速度と端末グループ設定部31または回線設定部30の内部に保持された速度閾値とを比較し閾値以上の場合、端末が高速移動していると判断し、使用帯域幅や使用周波数の選択を行うと共に、端末のグループを選択する。なお、速度閾値は、端末グループ設定部31や回線設定部30の外部に保持されてもよい。
【0086】
以上説明したように、本発明によれば、端末を使用周波数毎にグルーピングし、グループ毎にスケジューリングを実施することで、スケジューラ当たりのスケジューリング対象端末数を削減することが可能となり、スケジューリングを並列に実施でき、かつスケジューリング処理時間を短縮することが可能となる。
【0087】
また、使用周波数帯域に対してのみ無線回線品質の測定を実施すればよいことから、測定処理を削減することができる。さらに、無線回線品質の報告数を削減することができることから干渉電力を削減することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スケジューラを用いて送信割り当てを実施する移動通信システムであり、3GPPにおいて標準化が行われているHSDPAシステムの実用化が一部で始まっている。
【0003】
以下、下り高速伝送を実施するためのHSDPAシステムを例として、端末構成例と基地局構成例を用いて説明する。
【0004】
図1〜図5は、従来のHSDPAシステムを説明する図である。
図1の端末において、例えば、アンテナ10、無線部11、復調・復号部12を介して受信した下り信号のパイロット信号を基に、無線回線品質測定・算出部13において、無線回線品質指標(以後CQI : Channel Quality Indicatorと略す)を測定し算出する。具体例としては、パイロット信号の受信電力と干渉電力を測定することにより、SIRを算出し、これを基にCQIを算出する。このCQI値を無線回線品質指標送信部14で、送信用の信号に組み立て、符号化・変調部15で符号化し、変調し、アンテナ10を介して上り無線回線で基地局へ伝送する。すなわち、CQI値を基地局に報告する。
【0005】
一方、図2の基地局内は、アンテナ20、無線部21、復調・復号部22を介して、端末から送られてきたCQI値が載せられた信号を受信し、無線回線品質指標収集部23において、無線回線品質指標(CQI)を収集し、スケジューラ24に通知する。スケジューラ24において、例えば、端末から報告された無線回線品質指標(以後CQI : Channel Quality Indicatorと略す)を用いて使用周波数帯域毎に端末の優先順位を算出し、優先順位の高いものから送信パラメータを選択し、制御信号作成部25で、送信用の制御信号を生成し、符号化・変調部27、無線部28、アンテナ20を介して、端末に送信する。送信データバッファ26の送信データは、制御信号の送信後に端末に向けて送信される。
【0006】
図3は、スケジューリングの処理フローである。
今、基地局のセルの中に端末UE1〜UEnがあるとする。ステップS10において、端末UE1〜UEnのCQI値(CQI1〜CQIn)を受信する。ステップS11において、CQI1〜CQInを格納する。ステップS12において、TTIを初期化する。TTIとは、transmission time intervalの略であり、端末へのデータの送信間隔を示す。ここでは、端末への送信回数を示す変数として用いている。ステップS13において、TTIを1増加する。ステップS14において、端末UEkの優先度Pkを算出する。ステップS15において、i=0,j=1と初期化する。ステップS16において、無線リソースの残りRiを算出する。i=0のときは、まだ、無線リソースを割り当てていないので、Riは、システムの無線リソース全部である。ステップS17において、無線リソースの残りRiが0より小さくないか否かを判断する。ステップS17の判断がYesの場合には、ステップS21に進む。ステップS17の判断がNoの場合には、ステップS18において、n-i個の端末から優先度(優先順位)Pkが最大値Pk_maxとなる端末UEjを算出する。ステップS19において、端末UEjへのデータの送信方法(データ長、変調方式等)を選択する。ステップS20において、iを1増加し、jを1増加して、ステップS16に戻る。ステップS21では、ステップS19において選択した送信方法を制御信号として変調し、端末へ送信する。ステップS22においては、制御信号を送信した端末向けに送信データを変調し、送信し、ステップS13に戻る。
【0007】
また、優先順位の算出方法として、CQIの値の高いものから選択するMAX CIR法や、CQIの高いものから選択し、かつ、機会が均等となるように選択するPF(Proportional Fairness)法などが使用されている。
【0008】
ところで、上述の3GPPにおいて、次世代移動通信システムとしてE3G(Evolved 3G)システムの仕様検討が行われている。これにおいては、多元接続方式として、下りにOFDMA方式、上りにSC-FDMA方式の導入が検討されている。
【0009】
また、E3Gシステムでは、従来のHSDPAより広い周波数帯域(例えば4倍)を用い、HSDPAシステムと同様にスケジューリングを実施する。さらに、E3Gシステムで使用される端末は、上りと下りで帯域幅が異なる。さらに、例えば、下りの場合、端末が使用できる帯域は1.25MHz, 2.5MHz, 5MHz, 10MHz, 20MHzなど端末によって異なる。
【0010】
このため、HSDPAのように特定の帯域に限定したスケジューリングを行うことができず、使用帯域幅を考慮しシステム帯域20MHzでスケジューリングを実施する必要がある。
言い換えれば、図4のように、一つのスケジューラでシステム全体のスケジューリングを行う必要がある。
【0011】
また、下りのシステムの帯域幅が20MHzで、端末の下り帯域幅が5MHzの場合を想定する。このとき、運用時に使用される周波数は、他の端末との兼ね合いから、使用周波数は可変となり、4つの可能性がある。したがって、基地局のスケジューラが、他の端末の使用帯域幅を考慮し、かつ、複数の帯域から最適な帯域を選択できるようにするためには、図5に示されるように、端末において5MHz帯域毎にCQIを測定・算出し、CQIを基地局に報告しなければならない。
【0012】
すなわち、HSDPAと比較し4倍のCQIの測定・算出が必要となる。また、基地局へのCQI報告回数も4倍となる。この結果、上り回線の干渉も4倍となってしまう。
【0013】
E3Gシステムにおいて、システム全体のスケジューリングを一つのスケジューラで実施する場合、
・従来のHSDPAシステムのスケジューラと比較し単純には、スケジューリング対象の端末数は、HSDPAシステムと比較し単純には数倍(例えば4倍)となること。
・送信間隔が従来のHSDPAシステムの2msecに比較し1/4である0.5msecとなること
以上の2点から、例えば、従来の16倍のスケジューリング速度が要求されている。言い換えれば、優先順位計算時間を1/16としなければならない。
【0014】
一方、それまでにスケジューリングを行うCPUやDSPの処理性能の向上は、E3Gのサービス開始目標である2010年を基準に考えると、ムーアの法則(18ヶ月で処理速度2倍)を考慮しても4倍程度としかならず、上記16倍には及ばない。
【0015】
よって、スケジューリング処理の高速化が必要不可欠である。
特許文献1では、高速移動する端末をグルーピングし、スケジューリングする技術が示されている。さらに、スケジューリングの対象となる帯域を特化している。これらは、3GPPのHSUPA(High Speed Uplink Packet Access)をベースとするものと考えられる。
しかしながら、低速移動中や停止中の端末に対してはスケジューリングを実施しないことが説明されている。
【0016】
特許文献2は、OFCDM(Orthogonal Frequency and Code Division Multiplexing)を用いた例である。すなわち、周波数方向及び時間方向に拡散を実施し、多重する方法を用いてものである。
【0017】
特許文献3は、送信電力の減衰量を用いて端末のグルーピングを行うもので、使用周波数帯域に関しては記述がないため、従来のOFDMを使用しているものと考えられる。
【0018】
特許文献4は、基地局が移動局の移動速度をドップラー周波数を使って検出し、符号化レートと変調方式を最適に選択するものである。
【0019】
特許文献5は、移動局のドップラー周波数等の情報により、移動局と基地局の通信の伝送レートを最適に決定するものである。
【0020】
特許文献6は、副搬送波をグループ化し、グループ毎にチャネル品質情報を取得して、送受信するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2006-060814号公報
【特許文献2】特開2005-318434号公報
【特許文献3】特開2001-036950号公報
【特許文献4】特開2003-259437号公報
【特許文献5】特開2005-260992号公報
【特許文献6】特開2005-160079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の課題は、基地局におけるスケジューリング処理の処理速度を高速化することの出来る無線通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の無線通信システムは、基地局が複数の周波数帯域を使って配下の複数の端末と通信する無線通信システムにおいて、端末が基地局との通信に使用する周波数帯域毎に得られた無線回線品質に基づいて、該複数の端末を該周波数帯域毎のグループに振り分けるグループ化手段と、該グループに分けられた端末を、グループを単位としてスケジューリングするスケジューリング手段と、該スケジューリングの結果に基づいて、基地局が端末と通信を行う通信手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、端末を使用周波数毎にグルーピングし、グループ毎にスケジューリングを実施することで、スケジューラ当たりのスケジューリング対象端末数を削減することが可能となり、スケジューリングを並列に実施でき、かつスケジューリング処理時間を短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】従来のHSDPAシステムを説明する図(その1)である。
【図2】従来のHSDPAシステムを説明する図(その2)である。
【図3】従来のHSDPAシステムを説明する図(その3)である。
【図4】従来のHSDPAシステムを説明する図(その4)である。
【図5】従来のHSDPAシステムを説明する図(その5)である。
【図6】本発明の実施形態の処理の流れを示すシーケンス図である。
【図7】本発明に従った、回線設定時に最も簡易な各帯域の回線品質を用いてグルーピングする場合の説明図である。
【図8】使用帯域毎の無線回線品質の測定イメージを示す図である。
【図9】端末のグルーピングとスケジューリングの仕方に関する説明をする図(その1)である。
【図10】端末のグルーピングとスケジューリングの仕方に関する説明をする図(その2)である。
【図11】端末の使用帯域幅が図10と異なる場合のグルーピングとスケジューリングの仕方のイメージを示す図である。
【図12】階層化グルーピングについて説明する図(その1)である。
【図13】階層化グルーピングについて説明する図(その2)である。
【図14】端末をグループ化した際に基地局が有するグループ化テーブルの例である。
【図15】グループ化の他の方法を説明する図である。
【図16】図15のグルーピングに対応する、基地局の有するグループ化テーブルの例である。
【図17】それぞれ端末をグループに振り分ける際の処理例を示す図(その1)である。
【図18】それぞれ端末をグループに振り分ける際の処理例を示す図(その2)である。
【図19】それぞれ端末をグループに振り分ける際の処理例を示す図(その3)である。
【図20】それぞれ端末をグループに振り分ける際の処理例を示す図(その4)である。
【図21】それぞれ端末をグループに振り分ける際の処理例を示す図(その5)である。
【図22】本発明の端末の原理構成を示す図である。
【図23】本発明の基地局の原理構成を示す図である。
【図24】図22の構成を無線回線品質としてCQIを測定する場合に適用した構成例である。
【図25】図23の構成を無線回線品質としてCQIを測定する場合に適用した構成例である。
【図26】本発明の実施形態の基地局の第2の構成例である。
【図27】本発明の実施形態の基地局の第3の構成例を示す図である。
【図28】図27に対応する本発明の実施形態の端末の第2の構成例を示す図である。
【図29】本発明の実施形態の基地局の第4の構成例を示す図である。
【図30】本発明の実施形態の基地局の第5の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、下り伝送を例として、説明する。
図6は、本発明の実施形態の処理の流れを示すシーケンス図である。
【0027】
図6において、端末は、周波数帯域毎の無線回線品質を測定する(1)。すなわち、周波数帯域毎に、受信データからSIRを計算し、これを基に、CQI値を求める。測定した無線回線品質を基地局に通知する(2)。基地局では、受信した無線回線品質の情報から、端末が使用すべき周波数帯域を決定し(3)、無線回線品質を送信してきた全ての端末をグループに分類する(4)。グループ化の設定が終わると、基地局は、各端末にその端末が属する端末グループを通知する(5)。端末グループ通知を受け取った端末は、使用周波数帯域及び端末グループの設定を行う(6)。自端末に設定された使用周波数帯域で無線回線品質を測定し(7)、この測定結果を基地局に通知する(8)。基地局では、通知された無線回線品質を基に、使用周波数帯域毎に、スケジューリングを行う。すなわち、端末の優先順位に基づき送信する端末を選択し、かつ送信方法を選択する。この結果を基に端末が受信するための制御情報を作成する。(9)、端末に、送信制御情報を通知し(10)、その後、データを送信する(11)。
【0028】
このように、OFDMAシステムやMC-CDMAシステムにおいて、端末が使用可能な帯域幅と使用周波数によって、端末をグルーピングする。グルーピングは、無線回線設定時に実施してもよいし、無線回線設定後一定周期でグルーピングしてもよい。また、グルーピングするための情報は、端末の使用可能帯域幅に加え、帯域毎の回線品質、各帯域の回線使用状況(負荷)などが考えられる。
【0029】
図7は、本発明に従った、回線設定時に最も簡易な各帯域の回線品質を用いてグルーピングする場合の説明図である。
【0030】
具体的には、ある端末が使用可能な最大帯域幅が5MHzで、システムの帯域幅が20MHzであった場合を考える。回線設定時に、端末において、システム帯域20MHzを使用可能な最大帯域幅5MHzで分割したそれぞれに対して、無線回線品質を測定し、無線回線品質指標を算出し(1)、基地局に対して通知する(2)。基地局(または、無線回線制御局)は、この情報と端末の使用可能帯域幅を基に使用周波数を決定し(3)、使用帯域幅と使用周波数毎に端末を分けグルーピングを実施する(4)。なお、収容可能な周波数間の回線負荷を考慮し、使用周波数を決定してもよい。
【0031】
図7は、図6とほぼ同じであるが、使用周波数帯域及び端末グループの設定が回線設定時に行われ、定常状態では、各端末が自端末の使用周波数帯域の無線回線品質を測定し、報告された無線回線品質を基に基地局においてスケジューリングを行い通信を開始する。定常状態の動作は図6と同じであるため説明を省略する。
【0032】
図8は、使用帯域毎の無線回線品質の測定イメージを示す図である。
前述のように端末グループが決定された端末は、決定された使用周波数に対してのみ回線品質を測定しCQIを算出し、基地局に対して報告を行う。
【0033】
これにより、CQI報告数が削減され、上り干渉を低減することができる。
CQIを受信した基地局は、その端末のグループ毎にCQIを分類し、端末グループ毎(使用周波数帯域毎)にスケジューリングを行う。これにより、スケジューリング対象の端末が減少することから、スケジューリングにおける端末の優先度算出処理量が削減され、処理を高速化できる。また、端末グループ毎にスケジューリングすることから、複数のスケジューラを平行に動作させることにより、更に処理を高速化できる。
【0034】
図9及び図10は、端末のグルーピングとスケジューリングの仕方に関する説明をする図である。
【0035】
図9及び図10では、システムの帯域が20MHzで、端末の使用帯域幅が5MHzの場合を示しており、端末UE100〜UE139を4つのグループにグループ化している。グループ1は、周波数帯域1を使用し、4つ設けられたスケジューラの内のスケジューラ1を用いてスケジューリングをする。同様に、グループ2は、帯域2、スケジューラ2が割り当てられ、グループ3は、帯域3、スケジューラ3、グループ4は、帯域4、スケジューラ4が割り当てられる。このイメージを示したのが、図10(a)である。各グループのスケジューリングは、データの送信間隔が、0.5msであるので、0.5ms毎に行う。
【0036】
このように、スケジューラを複数も受けた場合には、各端末グループに1つのスケジューラを割り当てる。すなわち、グループ1は、例えばスケジューラ1でスケジューリングを行い、グループ2はスケジューラ2でスケジューリングを行う。これらのスケジューリングは、図10(b)に示すように並列に実施することが可能である。
【0037】
図11は、端末の使用帯域幅が図10と異なる場合のグルーピングとスケジューリングの仕方のイメージを示す図である。
【0038】
図11では、端末の使用帯域幅が10MHzの場合を示しており、帯域1と帯域2を使い、スケジューラ5でスケジューリングを行うグループ5と、帯域3と帯域4を使い、スケジューラ6でスケジューリングを行うグループ6にグループ化されている。
【0039】
図12及び図13は、階層化グルーピングについて説明する図である。
上述のように端末が使用可能な帯域幅は、端末の性能によって異なる。このため、使用可能帯域幅でグルーピングする方法が考えられる。図12の場合、20MHzを使用可能な端末UE160〜UE169は、グループ7に分類され、帯域1〜4の全てを使って、スケジューラ7でスケジューリングする。一方、使用帯域が10MHzの端末UE140〜UE149と、UE150〜159は、それぞれ、帯域1、2を使い、スケジューラ5によってスケジューリングされるグループ5と、帯域3、4を使用し、スケジューラ6によってスケジューリングされるグループ6に分類される。使用帯域が5MHzの端末UE100〜109、UE110〜119、UE120〜129、UE130〜139は、それぞれ、帯域1を使い、スケジューラ1によってスケジューリングされるグループ1と、帯域2を使い、スケジューラ2によってスケジューリングされるグループ2と、帯域3を使い、スケジューラ3でスケジューリングされるグループ3と、帯域4を使い、スケジューラ4でスケジューリングされるグループ4に分類される。
【0040】
図13(a)及び(b)に示されるように、使用可能帯域を全て使うことを前提とし、例えば、使用可能帯域が20MHzのように使用可能帯域が広いグループを上位グループとし、例えば使用可能帯域が5MHzのように狭いループを下位グループとする。このとき、スケジューリングは、上位グループから下位グループへと実施される。
【0041】
図13(a)に示されるように、各データの伝送時間である0.5ms毎に、最初に、グループ7がスケジューリングされ、次に、グループ5と6が、最後に、グループ1〜4がスケジューリングされる。図13(b)は、階層化されたスケジューリングのイメージを記載したものである。スケジューラ7から順次階層的に、スケジューリングを行う。スケジューラ5と6では、2つのスケジューラが、スケジューラ1〜4では、4つのスケジューラが並列動作するので、スケジューリングの高速化が期待される。
【0042】
図14は、端末をグループ化した際に基地局が有するグループ化テーブルの例である。
各端末グループ番号に対応して、各グループの使用帯域の中心周波数、帯域幅、及び、各グループに属する端末の識別番号が登録される。
【0043】
図15は、グループ化の他の方法を説明する図である。
伝送するデータによっては、必要伝送速度が異なる。そのため、必要帯域幅がデータによって異なる。すなわち、QoSによっては、使用帯域幅を広くとる必要がある場合や使用帯域幅を狭くすることが可能である場合も考えられる。更に、必要伝送速度が満たせない場合であっても、他の端末との兼ね合いから帯域幅を狭くすることで伝送可能である場合は、伝送を実施することも考えられる。このため、ある端末の使用可能な帯域幅が20MHzであった場合、使用帯域幅が20MHzの端末グループに属するだけではなく、10MHzや5MHzなど、より狭い帯域幅の端末グループに属することも可能である。そこで、端末グループをその使用帯域幅の大きさの順に階層化する。図15では、使用帯域が20MHzの端末は、10MHzでも、5MHzでも通信が可能である。また、使用帯域が10MHzの端末は、5MHzでも通信可能である。使用帯域が20MHzの端末UE160〜UE169は、帯域1〜4を使用し、スケジューラ7によってスケジューリングされるグループ7に属するほか、グループ1〜6の全てのグループに属するようにグループ化されている。したがって、端末UE160〜UE169が20MHzの帯域を使えないときは、10MHzの帯域のグループ5あるいは6、10MHzの帯域も使えない場合には、5MHzの帯域のグループ1〜4のいずれかに割り振り、端末UE160〜169が通信できなくなる可能性を低くする。同様に、使用帯域が10MHzの端末UE140〜149、UE150〜159の端末は、グループ1〜4にも割り振り、10MHz帯域での通信が出来ない場合には、5MHz帯域での通信を行えるようにする。使用帯域が5MHzの端末UE100〜109、UE110〜119、UE120〜129、UE130〜139は、5MHz以下の使用帯域がないので、グループ1〜4のみにそれぞれ属する。
【0044】
スケジューリングでは、上位の階層のグループ(例えば20MHz)から下位の階層のグループ(例えば5MHz)へと順にスケジューリングを行う。これにより、グループに於けるスケジューリング対象端末数を削減でき、優先順算出処理を削減できることから、スケジューリングを高速化できる。
【0045】
図16は、図15のグルーピングに対応する、基地局の有するグループ化テーブルの例である。
【0046】
端末グループ番号1〜7にそれぞれ対応し、各グループの使用帯域の中心周波数、帯域幅、各グループに属する端末の識別番号が登録されている。
【0047】
図14の場合も同様であるが、スケジューラを複数設ける場合には、グループの数だけ設ける。そして、グループ毎にスケジューラを設け、各スケジューラを、前述したように階層的に並列に動作させることにより、スケジューリング速度を上げることが出来る。また、スケジューラを複数設ける代わりに、並列動作が可能な1つのスケジューラを用いても良い。
【0048】
図17〜図21は、それぞれ端末をグループに振り分ける際の処理の流れの例を示す図である。
【0049】
図17の処理の例では、ステップS30において、対象端末の最大使用可能帯域幅を確認する。ステップS31において、帯域毎のCQIを端末から受信する。ステップS32において、CQIの最大値から使用帯域を選択する。ステップS33において、選択された帯域に対応する端末グループを選択する。
【0050】
図18の例では、ステップS35において、対象端末の最大使用可能帯域幅を確認し、ステップS36において、帯域毎のCQIを端末から受信する。ステップS37において、CQIと各帯域の使用状況から使用帯域を選択し、ステップS38において、端末グループを選択する。各帯域の使用状況とは、各帯域にすでに割り振られている端末の数等である。ある帯域に割り振られる端末の数が多くなりすぎると、スケジューラによる選択される頻度が低下し伝送速度が落ちるため、その場合には、CQIが最大の帯域ではなく、CQIが2番目に大きい帯域を選ぶ等の処理を施す。
【0051】
図19の例では、ステップS40において、対象端末の最大使用可能帯域幅を確認する。ステップS41において、帯域幅及び帯域毎のCQIを端末から受信する。ステップS42において、CQIの最大値から使用帯域幅及び使用帯域を選択する。ステップS43において、端末グループを選択する。図19では、端末が複数の使用帯域を使用できる場合を想定している。例えば、システム帯域が20MHzであり、端末の使用帯域が10MHzの場合、端末は、使用帯域幅として、10MHzと5MHzが使用できる。したがって、端末は、10MHz幅の2つの帯域と、5MHz幅の4つの帯域のCQIを測定し、基地局は、この測定結果から、使用帯域を選択する。
【0052】
図20の例では、例えば、QoSのGBR(Guaranteed Bit Rate)が設定されている場合を考える。すなわち、最低の伝送速度を規定したサービスが設定されている場合を考える。例えば、帯域5MHz、変調方式QPSK、符号化率1/3で伝送可能な伝送速度が3Mbpsであるとする。このとき、ある端末のGBRが5Mbpsであった場合、GBRを満たすためには、帯域幅を10MHzとする必要がある。したがって、使用帯域幅10MHzのグループに端末を割り振るようにする。変調方式としては、QPSKのほかに、16QAM、64QAMなどの多値変調方式があり、符号化率を可変にしたり、MIMO機能を使用したりすることも可能である。
【0053】
ステップS45で、対象端末の最大使用可能帯域幅を確認する。ステップS46において、対象端末への伝送データのQoSを確認する。ステップS47において、必要帯域幅を算出する。ステップS48において、必要帯域幅の帯域毎のCQIを端末から受信する。ステップS49において、CQIの最大値と使用可能帯域幅と必要帯域幅から使用帯域幅を選択し、ステップS50において、端末グループを選択する。
【0054】
図21の例では、端末の移動によって伝送特性が劣化することを考慮する。すなわち、端末の移動速度によって、ドップラー周波数が決まり、ドップラー周波数によって、その伝送特性の劣化の度合いを判断する。ドップラー周波数は、使用周波数が高いほど大きくなるため、高速移動に対応するために、端末との通信に低い周波数を使用することが望ましい。
【0055】
そこで、例えば、システム帯域幅が20MHzで、中心周波数を図14でf1<f2<f3<f4とした場合、周波数の高い帯域(中心周波数f3、f4、f6)を高速移動端末向けとし、低いほうの周波数帯域(f1、f2、f5)を低速移動または静止中の端末向けとする。
【0056】
端末のグループ分けに先立って、端末の移動速度を端末または基地局で推定する。推定方法としては、例えば、フェージングによる受信電界強度の落ち込みの間隔(フェージングピッチ)を測定することによって、移動速度を推定する。その結果を移動速度の閾値と比較し、速い場合には高速移動とし、遅い場合には、低速移動または停止中と判断する。
【0057】
ステップS55において、対象端末の移動速度推定を行う。ステップS56において、高速移動/低速移動を判定する。ステップS57において、対象端末の最大使用可能帯域幅を確認し、ステップS58において、必要帯域幅の帯域毎のCQIを端末から受信し、ステップS59において、移動速度と使用可能帯域幅と各帯域のCQIから帯域幅と使用帯域を選択し、ステップS60において、端末グループを選択する。
【0058】
図22は、本発明の端末の原理構成を示す図である。図23は、本発明の基地局の原理構成を示す図である。図22においては、図1に対応する構成には同じ参照符号を付す。図23においては、図2に対応する構成には同じ参照符号を付す。
【0059】
E3GなどのOFDMAやMC-CDMAなど複数帯域を使用する無線通信システムの下り送信において、ある端末が、回線設定時に下り制御信号(例えばパイロット)を、アンテナ10、無線部11、復調・復号部12を介して受信し、受信電力を測定することによって、回線品質測定部13で各帯域の無線回線品質を測定及び算出し、その結果を、回線品質送信部14、符号化・変調部15、無線部16、アンテナ10を介して上り無線チャネルを使って基地局へ通知する。
【0060】
各帯域の無線回線品質を受信した基地局では、回線設定用測定結果抽出部29が端末が測定した帯域毎の無線回線品質等を抽出し、回線設定部30に与える。回線設定部30は、端末グループ設定部31の端末に関する情報を参照しながら、その端末の使用可能帯域幅や、帯域の使用状況や負荷を考慮し、その端末が使用する帯域を決定し、使用帯域によって端末をグルーピングし、その結果を、端末グループ設定信号作成部32を介して端末に通知する。
【0061】
通知を受けた端末は、端末グループ設定情報抽出部17でこの情報を抽出し、自端末が割り当てられた端末グループの周波数帯域などの設定を端末設定制御部18を介して、無線部11、16、回線品質測定部13に行う。その後、回線品質測定部13で使用帯域の回線品質を定期的に測定し、回線品質指標を算出し、上り無線チャネルを介して基地局へ報告する。
【0062】
回線品質情報収集・分類部23で各端末からの無線回線品質指標を受信した基地局は、端末の属するグループ毎に無線回線品質指標を分類し、スケジューラ24−1〜24−nを用いて、グループ毎に無線回線品質指標を基に送信優先順位を算出する。このとき、各スケジューラ24−1〜24−nは、回線品質情報を送ってきた端末が属する端末グループを担当するスケジューラが選択されて、送信優先順位を算出する。なお、図23では、スケジューラは、2つしか記載されていないが、一般にn個設けることが出来、端末グループの数だけ設ければ効果的である。
【0063】
優先順位の算出結果を基に、送信する端末を選択すると共に、送信方法(例えば、送信データ量、変調方式、符号化率など)を選択し、その結果を基に、制御信号作成部25−1〜25−nにおいて、送信制御信号を作成し、データを送信する端末に対して送信する。送信制御信号に続いて、決定された送信方法に基づいて送信データを符号化し、変調ののち端末に送信する。なお、端末の使用可能帯域幅や使用可能変調方式などを考慮し、送信方法の選択を行う。さらに、グループ毎(スケジューラ毎)に使用可能な変調方式などを制限することにより、送信方法選択処理を簡単にする。
【0064】
端末では、基地局から送られてくる送信制御信号を制御信号抽出部19で抽出し、信号の内容を解読して、データの受信に必要な設定を復調・復号部12に行う。設定後は、基地局から送られてくるデータを受信する。
【0065】
上記のように、端末を使用する帯域でグループ化することによって、以下の処理が可能となる。
1)使用帯域に対してのみ無線回線品質を測定し、無線回線品質指標を算出し基地局へ報告する。
2)グループ毎にスケジューリングを行い、優先順の算出、送信端末の選択および送信方法を決定する。
【0066】
上記により以下の効果がある。
未使用の帯域に関して無線回線品質の測定を削減することができる。すなわち、処理が簡易となる。また、基地局に対しての無線回線品質指標の報告数を削減できる。これにより、端末における送信処理を軽減でき、報告数が削減されることから、上り回線の電波干渉を低減できる。
【0067】
また、グループ毎にスケジューリングすることから、スケジューリング対象端末数を削減でき、優先順位算出等の処理時間を短縮することができる。更に、グループ毎にスケジューリングすることから、スケジューリングの並行動作が可能となり、優先順位算出等の処理時間を短縮することができる。
【0068】
なお、図23の基地局構成例において、点線で囲まれた回線設定部30と端末グループ設定部31については、基地局の上位装置である無線回線制御局(RNC)に備えてもよい。
【0069】
上記では端末のグルーピングを回線設定時に行うとしたが、一定間隔でグルーピングを変更したり、対応する帯域における端末の収容数(すなわち負荷)の調整のため等で随時グルーピングを変更してもよい。この場合、例えば図6に示すような手順で処理する。
【0070】
図24は、図22の構成を無線回線品質としてCQIを測定する場合に適用した構成例である。図25は、図23の構成を無線回線品質としてCQIを測定する場合に適用した構成例である。
【0071】
図24のCQI測定・算出部は、自端末がどの端末グループに属するか決定されてから、自端末グループの使用する周波数帯域についてのみCQIを測定、算出するものである。そのための設定は、端末設定制御部18によって行われる。図25のCQI収集・分類部23は、端末からの、その端末が属する端末グループの使用周波数帯域に関するCQIの測定、算出値を収集するもので、得られたCQI値は、対応する端末グループのスケジューリングを担当するスケジューラに渡される。
【0072】
図26は、本発明の実施形態の基地局の第2の構成例である。
図26において、図23に対応する構成には同じ参照符号を付す。
【0073】
上記構成例では、端末の使用可能帯域幅を考慮し、グルーピングを実施した。ここでは、例えば、端末の使用可能帯域が20MHzであり、分割された一つの帯域が5MHzであった場合を考える。この端末は使用帯域20MHzのグループに属する。しかし、伝送するデータによっては、20MHzの帯域幅を使用しなくてもよい程度の要求伝送速度である可能性がある。この場合、使用帯域幅を20MHzとすることは、不効率である。しかし、使用帯域幅が固定されたグループでは、20MHzの使用となってしまう。
【0074】
そこで、例えば使用可能な帯域幅20MHzでのグループと、帯域幅が10MHzのグループ及び帯域幅が5MHzのグループに重複して属することとする。なお、使用中心周波数が異なるグループに属すことも可能であるから、この場合7つのグループに属することとなる。このとき、広い帯域幅を使用する場合は、送信する端末を選択する際に、使用する帯域幅が広いものから順にスケジューリングを実施しなければない。そこで、使用帯域幅が広いグループから狭いグループへと階層化することによって、広い帯域の使用を容易にすることができる。また、広い使用帯域を使用する際には、連続した帯域を選択することが望ましいが、上記のように階層化することで連続した帯域の使用が容易となる。
【0075】
このような階層化されたグルーピングをする場合、各端末グループに異なるスケジューラを割り当てるのではなく、並列計算が可能な1つの階層化スケジューラ24aを設けることによって、実現が可能である。
【0076】
図27は、本発明の実施形態の基地局の第3の構成例を示す図である。図28は、図27に対応する本発明の実施形態の端末の第2の構成例を示す図である。図27において、図23に対応する構成には同じ参照符号を付す。図28において、図22に対応する構成には同じ参照符号を付す。
【0077】
ここでは、上り伝送を例として説明するが、下り伝送に際して上り無線回線品質を用いて使用周波数帯域を選択してもよい。
【0078】
端末は、端末性能記憶部52に記憶された端末性能を基に端末性能情報作成部53が端末性能情報を作成し、端末性能である使用可能帯域情報にしたがって、上り制御信号作成部54が作成した制御信号(例パイロット信号)を基地局へ送信する。
【0079】
基地局は、CQI測定・算出部50において回線設定時に端末から各帯域で送信された制御信号(例パイロット信号)の受信電力を測定し、各帯域の無線回線品質を算出して得られた結果と、端末の使用可能帯域幅を端末性能情報抽出部51が抽出し、これを回線設定部30に与えて、該当する端末の属するグループを選択し、端末に通知する。
【0080】
通知を受けた端末は、端末グループ設定情報抽出部17でグループ情報を抽出し、対応する帯域で受信できるよう、端末設定制御部18が無線部11、16などの装置設定を行い、以後その帯域を用いて上りデータ伝送を実施する。
【0081】
一方、基地局は、以後端末が属するグループの帯域に対してのみ、CQI測定・算出部23で上り無線回線品質を測定・算出し、その結果を基に上りスケジューリングを実施する。スケジューリングにより算出した優先度を基に端末を選択し、上り送信方法を選択し、選択した端末に対して通知する。この通知は、端末の制御信号抽出部19で抽出され、復調・復号部12に設定される。
【0082】
図29は、本発明の実施形態の基地局の第4の構成例を示す図である。図29において、図23に対応する構成には同じ参照符号を付す。
【0083】
上記構成では、各帯域の無線回線品質と、端末の使用可能帯域幅を用いて端末のグルーピングを実施したが、ここでは、さらに伝送するデータのQoS(Quality of Service)を考慮し端末のグルーピングを行う。QoSは、基地局と端末が通信を行う場合に予め(例えば、回線設定時)決められており、基地局は端末と通信するときのQoSを予め知っているので、この情報を回線設定部30及び端末グループ設定部31に入力して、端末をグループ化するときの考慮対象とする。
【0084】
図30は、本発明の実施形態の基地局の第5の構成例を示す図である。図30において、図23に対応する構成には同じ参照符号を付す。
【0085】
上記構成では、各帯域の無線回線品質と、端末の使用可能帯域幅を用いて端末のグルーピングを実施したが、ここでは、さらに、端末の移動速度を考慮しグルーピングを実施する。基地局において、例えば端末から送られた制御信号(例えばパイロット信号)やデータの受信電力を移動速度測定・算出部40で測定し、測定結果を基に端末の移動速度(または端末と基地局の相対速度)を算出する。端末グループ設定部31または回線設定部30において、測定・算出した端末の速度と端末グループ設定部31または回線設定部30の内部に保持された速度閾値とを比較し閾値以上の場合、端末が高速移動していると判断し、使用帯域幅や使用周波数の選択を行うと共に、端末のグループを選択する。なお、速度閾値は、端末グループ設定部31や回線設定部30の外部に保持されてもよい。
【0086】
以上説明したように、本発明によれば、端末を使用周波数毎にグルーピングし、グループ毎にスケジューリングを実施することで、スケジューラ当たりのスケジューリング対象端末数を削減することが可能となり、スケジューリングを並列に実施でき、かつスケジューリング処理時間を短縮することが可能となる。
【0087】
また、使用周波数帯域に対してのみ無線回線品質の測定を実施すればよいことから、測定処理を削減することができる。さらに、無線回線品質の報告数を削減することができることから干渉電力を削減することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局が複数の周波数帯域を使って複数の端末と通信する無線通信システムにおいて、
端末ごとの通信可能な帯域幅に基づいて、前記複数の端末ごとに送信割り当てを行なう割り当て手段と、
該割り当て結果に基づいて、基地局が端末と通信を行う通信手段とを有することを特徴とする無線通信システム。
【請求項1】
基地局が複数の周波数帯域を使って複数の端末と通信する無線通信システムにおいて、
端末ごとの通信可能な帯域幅に基づいて、前記複数の端末ごとに送信割り当てを行なう割り当て手段と、
該割り当て結果に基づいて、基地局が端末と通信を行う通信手段とを有することを特徴とする無線通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2012−50126(P2012−50126A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228020(P2011−228020)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【分割の表示】特願2008−541962(P2008−541962)の分割
【原出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【分割の表示】特願2008−541962(P2008−541962)の分割
【原出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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