説明

無線通信システム

【課題】各無線通信端末の変復調方式を適応的に可変する無線通信システムを提供する。
【解決手段】通信元となる第1の端末と通信先となる第2の端末との間で無線通信を行う無線通信システムであって、第1の端末と第2の端末とは、第1の端末および第2の端末の位置情報に基づいて作成した通信経路の通信状況に応じて第1の変復調方式または第2の変復調方式で無線機に無線通信させる変復調制御部を備え、第1の端末が有する変復調制御部が、制御パケット生成して第2の端末に送信し、第2の端末から応答用の制御パケットを受信して応答用の制御パケットに定められた変復調方式を第2の端末との間の無線通信方式に設定し、第2の端末が有する変復調制御部が、第1の端末に送信した応答用の制御パケットに定めた変復調方式を第1の端末との間の無線通信方式に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信方式に係り、特にデータ伝送時の変復調方式を適応的に可変する適応変復調方式の無線通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワークのブロードバンド化が進み、データの高速/大容量伝送が可能となった。これに伴い、このブロードバンドネットワークを介して、より高精細な画像や動画を伝送することも可能となった。また、デジタル無線通信システムの分野においても、高信頼性で高速なデータ通信に対する要求が高まっている。この様な要求を受けて、例えば、伝播路の状況や気候の変化に応じて変調方式を切替える適応変調方式が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、この適応変調方式とは、伝送特性が良好な伝送路の場合には、例えば16QAM方式など、高速伝送が可能な多値数の多い変調方式を選択し、伝送路の状況があまり良くないときは、例えば、QPSK変調方式、或いはBPSK変調方式など、多値数が低い低速の変調方式に順次切替えるようにしたものである。このときの伝送路状況の推定方法としては、例えば、1対1通信を行う送信側と受信側の無線通信端末間で、電信受界強度を用いる方法や等化器の誤差出力を用いる方法などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−37029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1では、端末間で直接無線信号を送受信する移動体無線通信端末を複数台用いて構成し、送信側無線通信端末から他の複数の受信側無線通信端末に対して一斉にデータ送信する様な無線通信方式における変復調方式の制御や各無線通信端末の変復調方式に応じた送信データ量の制御を考慮していない。移動体通信として各端末の位置関係が常時変化することにより、例えば前記送信側無線通信端末からの通信相手となる受信側無線通信端末が無線電波の届き難い遠隔地に移動すると、無線通信による伝送が行われていても中断され易いという難点がある。
【0006】
本発明の目的は、各無線通信端末の位置関係が常時変化し、1つの無線通信端末から複数の無線通信端末に対してデータの一斉配信を行う無線通信方式において、データを一斉配信する無線通信端末の変復調方式および送信データ量、ならびにデータの転送を行う場合の各無線通信端末の変復調方式を適応的に可変する無線通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる無線通信システムは、通信元となる第1の端末と通信先となる第2の端末との間で無線通信を行う無線通信システムであって、前記第1の端末と前記第2の端末とは、前記第1の端末および前記第2の端末の位置情報に基づいて、前記第1の端末から前記第2の端末までの通信経路を示す経路情報を作成する経路情報作成部と、高速伝送に特化した第1の変復調方式または長距離伝送に特化した第2の変復調方式のいずれかの変復調方式により無線通信を行う無線機と、前記通信経路において前記第1の変復調方式と前記第2の変復調方式とのいずれの変復調方式によってデータを送信するかを定めるための制御パケットに基づいて前記通信経路の通信状況を推定し、前記通信状況に応じて前記第1の変復調方式または前記第2の変復調方式で前記無線機に無線通信させる変復調制御部と、を備え、所定のタイミングで繰り返し、前記第1の端末が有する変復調制御部が、前記制御パケット生成して前記第2の端末に送信し、または前記第2の端末から応答用の制御パケットを受信して前記応答用の制御パケットに定められた変復調方式を前記第2の端末との間の無線通信方式に設定し、前記第2の端末が有する変復調制御部が、前記制御パケットを正常に受信できたか否かを判定することにより前記第1の変復調方式または前記第2の変復調方式で無線通信する旨を定めた応答用の制御パケットを前記第1の端末に送信し、前記応答用の制御パケットに定めた無線通信方式を前記第1の端末との間の無線通信方式に設定する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、データを一斉配信する無線通信端末の変復調方式および送信データ量、ならびにデータの転送を行う場合の各無線通信端末の変復調方式を適応的に可変する無線通信システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施の形態における無線通信システムの構成の例を示す図である。
【図2】図1に示した各端末の機能的な構成を示すブロック図である。
【図3】各端末が変復調方式を切り替えて無線通信を行う処理の処理手順を示すシーケンス図である。
【図4】無線通信端末が送信する制御パケットの構成例を示す図である。
【図5】無線キー端末が送信する制御パケットの構成例を示す図である。
【図6】互いの端末が電波の届かない位置関係にある場合に、通信中継端末を介して変復調方式を切り替えて無線通信を行う処理の処理手順を示すシーケンス図である。
【図7】無線中継端末が送信する制御パケットの構成例を示す図である。
【図8】無線通信端末で行われる無線通信処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】無線キー端末で行われる無線通信処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】無線中継端末で行われる無線通信処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる無線通信システムの実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
図1は、本実施の形態における無線通信システム1000の構成の例を示す図である。図1に示すように、無線通信システム1000は、無線通信端末100と、無線中継端末200〜400と、無線キー端末300とを含んで構成されている。本実施の形態における無線通信システム1000では、無線通信端末100が無線中継端末200等を介して無線キー端末300に動画や静止画等の種々の画像データを配信している場合について説明しているが、特にこれに限定されることはない。
【0012】
また、無線通信端末100、無線中継端末200〜400、無線キー端末300は、一般の携帯電話等とは異なり、例えば、アドホックネットワークにおけるOLSR(Optimized Link State Routing)のルーティングプロトコルに定義されている隣接ノードのIPアドレス情報(位置情報)を参照し、送信元と送信先との間で通信経路を確立することにより、基地局の経由を必要とせず、互いに直接無線信号を送受信することが可能な端末となっている。OLSRは、HelloメッセージおよびTC(Topology Control)メッセージを用いて端末同士で通信経路の情報(経路情報)を交換するプロトコルである。
【0013】
後述するように、本実施の形態における無線通信システム1000では、このOLSRを用いて無線通信端末100が無線中継端末200との間における伝送路の状況(通信状況)を推定して変復調方式を選択し、無線中継端末200が無線通信端末100からのデータ受信時の電波強度および無線中継端末300との伝送路の状況を推定して変復調方式を選択し、無線中継端末300は無線中継端末200からのデータ受信時の電波強度および無線キー端末500との伝送路の状況を推定して変復調方式を選択している。
【0014】
そして、最終的には、無線通信端末100から無線キー端末500までの経路上にある無線中継端末200、300に関して、当該送信側となる無線通信端末100、無線中継端末200、300が、データ伝送時の伝送路の状況に応じて変復調方式を変えてデータ伝送する、すなわち適応的に変復調方式を選択してデータ伝送することで、無線通信端末100からデータを一斉配信した際に、無線キー端末500におけるデータ損失を最小限に留め、可能な限り高速なデータ通信を実現している。なお、OLSRによって端末同士の経路情報を生成する手法については、例えば、特開2007−243328号公報に開示されている手法等、従来から知られている種々の手法により、送信元と送信先との間の経路情報を生成することが可能である。
【0015】
無線通信端末100は、無線キー端末500との間における無線通信の通信先となる端末であり、例えば、無人飛行機に搭載される端末である。無線中継端末200、300、400は、無線通信端末100と無線キー端末500との間の通信を中継する端末であり、例えば、無線通信端末100と同様の端末である。無線キー端末500は、無線通信端末100との間における無線通信の通信元となる端末であり、例えば、管制塔に配置された端末である。なお、以下では、無線通信端末100が無人飛行機である場合について説明しているが、特にこれに限定されず、例えば、無人ロボットや無人車両等の移動体に適用することも可能である。
【0016】
図2は、上述した各端末の機能的な構成を示すブロック図である。図2に示すように、各端末は、空中線110と、無線機120と、無線増幅部130と、制御器140と、カメラ150とを有している。以下では各端末のすべてがカメラ150を有している前提で説明しているが、カメラ150は無線通信端末100周辺の外部の状況やあらかじめ定められたターゲットを撮像するためのものであるため、無線中継端末200〜400、あるいは無線キー端末500には必ずしも備えていなくともよい。
【0017】
無線機120は、後述する変復調制御部142からの制御により、高速伝送に特化した無線通信をする第1の変復調部121と、長距離伝送に特化した無線通信をする第2の変復調部122と、無線通信するために必要な電波強度の閾値が設定された電波強度テーブル123とを備えている。制御器140は、制御器140を構成する各部を制御し、無線中継端末200等とのデータ送受、自端末の移動制御および無線機120が保持する電波強度テーブル123に格納されている情報を取得するための制御部141と、上述した二つの変復調部によるデータ伝送の変復調方式を切替えるための変復調制御部142と、周囲の無線中継端末200等との間の経路情報を保持するための経路情報作成部143と、データの送信周期やデータを一斉配信してから制御パケット(後述)を送信するまでの時間、制御パケットの授受の判定に必要な時間、データおよび制御パケットの送信周期を送信する周期を計時するタイマ144と、無線通信端末100の所在地(送信元の位置)や無線キー端末500の所在地(送信先の位置)、無線通信で使用する周波数帯、無線通信する変復調方式(第1の変復調方式または第2の変復調方式)など、後述する処理に必要な種々のデータを記憶する記憶部145とを有し、これらの各部が行う動作をソフトウェアプログラムにより実現可能な機能として備えている。
【0018】
続いて、上述した各端末により行われる動作の概要を説明する。まず、各端末において送信機能を動作させる場合について説明する。各端末は、制御器140と無線機120、無線機120と無線増幅部130、および無線増幅部130と空中線110は、有線による信号系統によって接続されている。無線機120は、制御器140から受け取った送信信号をD/A変換した後、無線増幅部130が電力増幅して空中線110へと送信し、この信号が空中線110から無線送信される。
【0019】
一方、受信機能を動作させる場合、各端末は無線信号を空中線110より受信し、その無線信号は空中線110を介して無線機120に送信される。無線機120によってA/D変換された信号は、制御器140に送信され、制御器140は受信したデータを基に必要な制御を行う。
【0020】
続いて、上述した各端末が行う無線通信処理の具体的な動作について説明する。図3は、各端末が変復調方式を切り替えて無線通信を行う処理の処理手順を示すシーケンス図である。ここでは、まず無線中継端末200、300を介さずに直接無線通信端末100と無線キー端末500とが無線通信する場合について説明する。
【0021】
なお、図3に示す例では、無線通信端末100と無線キー端末500の2端末の間で、制御パケット(後述)を送受信することによりこれらの端末間の伝送路状況を推定し、変復調方式を選択して、データを確実に伝送させるというデータ伝送についての確達性を保っている。その前提として、図3では、これらの端末間では互いの電波が届く位置関係にあり、無線通信端末100のカメラ150は、あらかじめ定められたタイミングで定期的に画像を撮像しているものとする。
【0022】
まず、無線通信端末100の制御器140は、カメラ150が撮像した画像のデータを無線機120に送り(ステップS301)、無線通信端末100の無線機120は、無線通信端末100の制御器140から受け取ったデータを無線キー端末500に送信する(ステップS302)。無線キー端末500の無線機120は、データを受け取ると、無線通信端末100に送る(ステップS303)。その後、無線キー端末500の制御器140は、そのデータを記憶部145に記憶させることとなる。
【0023】
このようにして、無線通信端末100は、データを周期t1の間隔で定期的に無線キー端末500に送信しているが、あらかじめ定められた回数だけデータを送信すると、無線通信端末100の制御器140はその送信を一旦停止させる。このとき、制御器140の変復調制御部142は、変復調方式を高速伝送に特化した第1の変復調方式に固定させる。無線通信端末100が行う処理の詳細については、図8を用いて後述する。
【0024】
そして、その後あらかじめ定められた時間t2(例えば、200ms)が経過すると、経路情報作成部143が無線キー端末500までの経路情報を生成した後、変復調制御部142は、無線機120に制御パケットを送り(ステップS304)、無線通信端末100の無線機120は、無線キー端末500に対してその制御パケットを送信する(ステップS305)。
【0025】
ここで、制御パケットとは、無線通信端末100と無線キー端末500との間の通信状況を判定し、高速伝送に特化した第1の変復調方式、または長距離伝送に特化した第2の変復調方式のいずれの方式によってデータを送信するかを定めるためのパケットである。
【0026】
図4は、無線通信端末100が送信する制御パケットの構成例を示す図である。図4に示すように、制御パケットは、無線プリアンブル部401と、パケットヘッダ部402と、検査符号部403とを含んで構成されている。図4は、無線通信端末100が送信する制御パケットの例であり、パケットヘッダ部402と検査符号部403とは、制御パケットのデータ部を構成している。
【0027】
無線プリアンブル部401は、制御パケットのパケット長、制御パケットを一意に識別するためのシーケンス番号、無線通信に使用する周波数、無線通信のタイミング等の項目を含む情報である。パケットヘッダ部402は、無線通信で使用するプロトコル、制御パケットの種類を示すメッセージタイプ、制御パケットの大きさを示すメッセージサイズ等の項目を含む情報である。検査符号部403は、受信側の端末が制御パケットを受信できたか否かを示す情報である。ここでは、データ部のサイズを一斉配信したデータと同じサイズの固定データに設定することにより、実際にデータが配信される通信経路の状況を容易に判断し、その精度を向上させている。
【0028】
例えば、制御パケットのデータ部のサイズが一斉配信するデータのサイズよりも小さい(正常でない)場合には、制御器140の変復調制御部142は、通信経路上の電波の状態が弱く第1の変復調方式には適さないと判断して変復調方式を第2の変復調方式に設定する。一方、制御パケットのデータ部のサイズが一斉配信するデータのサイズに等しい(正常である)場合には、制御器140の変復調制御部142は、通信経路上の電波の状態が強く第1の変復調方式には適していると判断して変復調方式を第1の変復調方式に設定する。
【0029】
なお、制御パケットのうち、無線プリアンブル部401については、あらかじめ定められた共通の変復調方式(例えば、第2の変復調方式)によって送信され、制御器140にて解析される対象となるデータ部については、後述するように、通信経路の状況に応じて第1の変復調方式または第2の変復調方式によって送信される。
【0030】
ステップS305において、無線通信端末100の制御器140は、制御パケットを送信してから、例えば、20msが経過するまでは変復調方式を第1の変復調方式に固定し、データの一斉配信も行わない。その理由は、この20msの期間を、無線キー端末500から制御パケットの授受が正しく行われたか否かを判定するために必要な時間(t3)とするためである。続いて、図3に戻り、ステップS306以降の処理について説明する。
【0031】
無線キー端末500の無線機120は、無線通信端末100から制御パケットを受信すると、その制御パケットを制御器140に送り(ステップS306)、その後、制御器140の変復調制御部142は、受信した制御パケットが正常か否かを判定し、送信元である無線通信端末100で設定すべき変復調方式を指定した制御パケットを生成し、生成した制御パケットを無線機120に送る(ステップS307)。
【0032】
図5は、無線キー端末500が送信する制御パケットの構成例を示す図である。図5に示すように、制御パケットは、図4に示した無線通信端末100が送信する制御パケットと同様のプリアンブル部501およびパケットヘッダ部502を有し、さらに、送信元である無線通信端末100で設定すべき変復調方式を指定するための送信側変復調方式指定部503を有している。制御器140の変復調制御部142は、無線通信端末100から受信した制御パケットに含まれるデータ部のサイズを読み取り、上述したように、そのサイズが一斉配信するデータのサイズよりも小さい場合には、送信側変復調方式指定部503に第1の変復調方式を設定し、そのサイズが一斉配信するデータのサイズに等しい場合には第2の変復調方式を設定する。無線キー端末500が行う処理の詳細については、図9を用いて後述する。
【0033】
無線キー端末500の無線機120は、制御器140から図5に示した制御パケットを受け取ると、その制御パケットを無線通信端末100に送信する(ステップS308)。そして、無線通信端末100の無線機120は、無線キー端末500から受信したその制御パケットを制御器140に送る(ステップS309)。そして、制御器140の変復調制御部142は、受信した制御パケットに含まれる送信側変復調方式指定部503を参照し、変復調方式を指定されている変復調方式(第1の変復調方式または第2の変復調方式)に設定する。
【0034】
その後、設定された変復調方式により、ステップS301〜S303と同様に、周期t1で無線通信端末100と無線キー端末500との間でデータの送受信が繰り返し行われることとなる(ステップS310〜S312)。そして、無線通信端末100および無線キー端末500は、データの送受信と制御パケットの送受信とを周期Tで繰り返し行い、その都度、その時点の通信状況に応じた相応しい変復調方式で無線通信を行う。
【0035】
なお、周期Tまたは時間t3は、無線通信端末100と無線キー端末500との間の距離によって適宜変更することが可能である。無線通信端末100から無線キー端末500との間の距離とは、例えば、無線通信端末100から送信したデータが無線キー端末500に到達するまでに経由しなければならない他の無線通信端末の数(後述する無線中継端末200等の数)であり、この無線通信端末の数は、無線通信端末100および無線キー端末500が有する制御器140の経路情報作成部142が、上述した従来から知られている種々の手法により設定されるものとする。
【0036】
続いて、上述した各端末が無線通信処理を行う際に、互いの端末が電波の届かない位置関係にある場合について説明する。以下では、無線通信端末100と無線キー端末500との間に1台の無線中継端末(無線中継端末200、300のいずれか)が位置する場合について説明しているが、図1に示したように、無線中継端末が複数台位置する場合(例えば、互いの電波が届く範囲を一の段とした位置に配置された複数段あるうちのそれぞれの段に無線中継端末が位置する場合)もこれと同様である。
【0037】
図6は、互いの端末が電波の届かない位置関係にある場合に、通信中継端末200等を介して変復調方式を切り替えて無線通信を行う処理の処理手順を示すシーケンス図である。図6に示すように、無線通信端末100の制御器140は、図4に示した場合と同様に、カメラ150が撮像した画像のデータを無線機120に送り(ステップS601)、無線機120は、制御器140から受け取ったデータを無線中継端末200、300に送信する(ステップS602)。
【0038】
無線中継端末200、300の無線機120は、無線通信端末100からデータを受け取ると、そのデータを制御器140に送り(ステップS603)、制御器140の経路情報作成部143が無線キー端末500までの経路情報を生成した後、データを無線機120に送り(ステップS604)、無線機120は、作成された経路情報に示された通信経路に従って、無線キー端末500に画像データを送信する(ステップS605)。無線キー端末500の無線機120は、無線中継端末200、300から受信したデータを制御器140に送り(ステップS606)、その後、制御器140は、そのデータを記憶部145に記憶させることとなる。
【0039】
そして、図3に示した場合と同様に、無線通信端末100は、画像データを周期t1の間隔で定期的に無線キー端末500に送信し、あらかじめ定められた回数だけ画像データを送信すると、無線通信端末100の制御器140はその送信を一旦停止させ、変復調制御部142は、変復調方式を高速伝送に特化した第1の変復調方式に固定させる。なお、無線通信端末100が行う処理の詳細については、図8を用いて後述する。
【0040】
そして、その後あらかじめ定められた時間t2(例えば、200ms)が経過すると、無線機120に制御パケットを送り(ステップS607)、無線機120は、無線中継端末200、300に対してその制御パケットを送信する(ステップS608)。
【0041】
このとき、無線通信端末100は、制御器140の経路情報作成部143が、無線キー端末500に関する経路情報を確認する。ここで、無線キー端末500に関する経路情報とは、無線キー端末500までデータを送る際に仲介する無線中継端末200等の数と、次にデータを送信すべき無線中継端末200等(またはその端末が最後の中継端末である場合には無線キー端末500)までの通信経路を含む情報である。図6では、無線中継端末の数が1であり、次にデータを送信すべき端末が無線キー端末500の場合について示しているが、例えば、図1に示したように、無線中継端末が無線中継端末200および無線中継端末300の2台である場合には、これらの無線中継端末までの経路と、無線中継端末(無線中継端末300)から無線キー端末500までの経路を含む情報となり、電波の届かない(電波強度が閾値に満たない)無線中継端末400は、通信経路上から外れることとなる。
【0042】
ステップS607において、無線通信端末100の制御器140は、制御パケットを送信してから、例えば、40msが経過するまでは変復調方式を第1の変復調方式に固定し、データの一斉配信も行わない。その理由は、図3に示した場合と同様に、この40msの期間を、無線キー端末500から制御パケットの授受が正しく行われたか否かを判定するために必要な時間(t3’)とするためである。
【0043】
そして、無線中継端末200、300の無線機120は、無線通信端末100から制御パケットを受信すると、その制御パケットを制御器140に送り(ステップS609)、制御器140の変復調制御部142は、その制御パケットに含まれる検査符号部403に、制御パケットを受信した旨(正常に受信した旨、または正常に受信できなかった旨)を示す値を設定し、無線通信端末100と無線中継端末200、300との間での無線通信方式(第1の変復調方式または第2の変復調方式)を設定する。具体的には、無線中継端末200、300が制御パケットを正常に受信した場合には第1の変復調方式を無線通信方式として設定し、制御パケットを正常に受信できなかった場合には第2の変復調方式を無線通信方式として設定し、制御パケットを無線機120に送り(ステップS610)、無線機120は無線キー端末500にその制御パケットを送信する(ステップS611)。
【0044】
無線キー端末500は、無線中継端末200、300から制御パケットを受信すると、その制御パケットを制御器140に送り(ステップS612)、その後、制御器140の変復調制御部142は、受信した制御パケットが正常か否かを判定し、送信元である無線中継端末200、300で設定すべき変復調方式を指定した制御パケットを生成し、図5に示したように、生成した制御パケットを無線機120に送り(ステップS613)、無線機120は、その制御パケットを無線中継端末200、300に送信する(ステップS614)。具体的には、制御パケットが正常である場合には第1の変復調方式が設定され、制御パケットが正常でない場合には第2の変復調方式が設定され、設定された制御パケットが送信されることとなる。
【0045】
無線中継端末200、300は、無線キー端末500から制御パケットを受信すると、無線機120は、制御器140にその制御パケットを送る(ステップS615)。制御器140は、受信した制御パケットに自らの端末で行うべき変復調方式を指定した制御パケットを生成し、生成した制御パケットを無線機120に送り、無線機120はその制御パケットを無線通信端末100に送信する(ステップS616)。
【0046】
図7は、無線中継端末200、300が送信する制御パケットの構成例を示す図である。図7に示すように、制御パケットは、図5に示した無線キー端末500が送信する制御パケットと同様のプリアンブル部701およびパケットヘッダ部702および送信側変復調方式指定部703を有し、さらに、自らの端末で行うべき変復調方式を指定するための自端末変復調方式指定部704を有している。上述した制御器140の変復調制御部142は、無線キー端末500から受信した制御パケットに含まれる送信側変復調方式指定部503を参照し、この自端末変復調方式指定部704に、第1の変復調方式または第2の変復調方式を設定する。無線中継端末200、300が行う処理の詳細については、図10を用いて後述する。
【0047】
そして、無線通信端末100は、制御器140の変復調制御部142が、受信した制御パケットに含まれる送信側変復調方式指定部703を参照し、変復調方式を指定されている変復調方式(第1の変復調方式または第2の変復調方式)に設定する。
【0048】
その後、ステップS601〜S606と同様に、無線通信端末100、無線中継端末200、300、および無線キー端末500との間でデータの送受信が周期t1で繰り返し行われることとなる(ステップS618〜S623)。そして、無線通信端末100、無線中継端末200、300、および無線キー端末500は、画像データの送受信と制御パケットの送受信とを周期T(例えば、2sec)で繰り返し行うことにより、その時点の通信状況に応じた相応しい変復調方式で無線通信を行う。
【0049】
続いて、各端末で行われる処理について説明する。図8は、無線通信端末100で行われる無線通信処理の処理手順を示すフローチャートである。図8に示すように、無線通信端末100は、データの一斉配信および周期t1の間隔でのスリープ状態を繰り返し(ステップS801)、制御器140の変復調制御部142は、その後、データの一斉配信を停止してスリープ状態にする(ステップS802)。
【0050】
その後、変復調制御部142は、経路情報作成部143が生成した無線キー端末500までの経路情報を参照し、その中で電波の届く端末を転送可能な端末(無線中継端末200等または無線キー端末500)として選択し(ステップS803)、その端末に制御パケットを送信する(ステップS804)。
【0051】
そして、制御器140の変復調制御部142は、送信した無線中継端末200等または無線キー端末500から制御パケットの応答を受信したか否かを判定し(ステップS805)、無線中継端末200等または無線キー端末500から制御パケットの応答を受信していないと判定した場合(ステップS805;No)、タイマ145が計時する時間が、制御パケットを送信してから20msを経過しているか否かを判定する(ステップS806)。
【0052】
そして、変復調制御部142は、タイマ145が計時する時間が、制御パケットを送信してから20msを経過していると判定した場合(ステップS806;Yes)、変復調方式を第2の変復調方式に設定する(ステップS807)。一方、変復調制御部142は、タイマ145が計時する時間が、制御パケットを送信してから20msを経過していないと判定した場合(ステップS806;No)、ステップS805に戻ってそのまま待機する。
【0053】
一方、ステップS805において、制御器140の変復調制御部142は、無線中継端末200等または無線キー端末500から制御パケットの応答を受信したと判定した場合(ステップS805;Yes)、その応答とともに送信側変復調方式指定部に第1の変復調方式が指定された制御パケットを受信したか否かを判定する(ステップS808)。
【0054】
そして、変復調制御部142は、送信側変復調方式指定部に第1の変復調方式が指定された制御パケットを受信していないと判定した場合(ステップS808;No)、ステップS807に進み、変復調方式を第2の変復調方式に設定する。一方、変復調制御部142は、送信側変復調方式指定部に第1の変復調方式が指定された制御パケットを受信したと判定した場合(ステップS808;Yes)、その制御パケットを連続して所定の回数(例えば、8回)以上受信したか否かを判定する(ステップS809)。
【0055】
変復調制御部142は、その制御パケットを8回以上受信していないと判定した場合(ステップS809;No)、ステップS807に進み、変復調方式を第2の変復調方式に設定する。一方、変復調制御部142は、その制御パケットを8回以上受信したと判定した場合(ステップS809;Yes)、変復調方式を第1の変復調方式に設定する(ステップS810)。そして、ステップS807またはS810の処理が終了すると、データの一斉配信を再開する(ステップS811)。このステップS811の処理が終了すると、図8に示した全ての処理が終了する。
【0056】
このように、無線通信端末100の変復調制御部142は、第1の変復調方式を指示する制御パケットを受信した場合には変復調方式を第1の変復調方式に設定し、無線キー端末500からの制御パケットを受信しなかった場合および第2の変復調方式を指示する制御パケットを受信した場合には変復調方式を第2の変復調方式に設定する。そして、第1の変復調方式を指定した制御パケットを連続して所定の回数以上受信した場合にのみ第1の変復調方式に切替えているので、無線通信端末100が、無線キー端末500に対して高速伝送に特化した第1の変復調方式で通信可能なエリアと、長距離伝送に特化した第2の変復調方式でのみ通信可能なエリアの境界線上を移動するような、通信状況が不安定となっている場合であっても安定した通信経路を確保させることが可能となる。
【0057】
続いて、無線キー端末500で行われる処理について説明する。図9は、無線キー端末500で行われる無線通信処理の処理手順を示すフローチャートである。図9に示すように、無線キー端末500の変復調制御部142は、無線通信端末100または無線中継端末200等から制御パケットを受信したか否かを判定し(ステップS901)、無線通信端末100または無線中継端末200等から制御パケットを受信していないと判定した場合(ステップS901;No)、そのまま制御パケットを受信するまで待機する。このとき、無線キー端末500の変復調制御部142は、タイムアウトとみなして変復調方式を伝送速度は低速だが長距離伝送に特化した第2の変復調方式13に設定する。
【0058】
一方、変復調制御部142は、無線通信端末100または無線中継端末200等から制御パケットを受信したと判定した場合(ステップS901;Yes)、伝送路状況を推定するために、受信した制御パケットが正常か否かを判定し(ステップS902)、受信した制御パケットが正常であると判定した場合(ステップS902;Yes)、変復調制御部142は、通信経路上の電波の状態が強く第1の変復調方式には適していると判断して送信側変復調方式指定部に第1の変復調方式に設定した制御パケットを生成する(ステップS903)。
【0059】
一方、変復調制御部142は、受信した制御パケットが正常でないと判定した場合(ステップS902;No)、通信経路上の電波の状態が弱く第1の変復調方式には適さないと判断して送信側変復調方式指定部に第2の変復調方式に設定した制御パケットを生成する(ステップS904)。そして、ステップS903またはS904の処理が終了すると、制御パケットの送信元である無線通信端末100または無線中継端末200等に、送信側変復調方式指定部に設定した変復調方式を含む制御パケット(応答用制御パケット)を送信する(ステップS905)。このステップS905の処理が終了すると、図9に示した全ての処理が終了する。
【0060】
続いて、無線中継端末200等で行われる処理について説明する。図10は、無線中継端末200等で行われる無線通信処理の処理手順を示すフローチャートである。図10に示すように、無線中継端末200等の変復調制御部142は、無線通信端末100から制御パケットを受信したか否かを判定し(ステップS1001)、制御パケットを受信していないと判定した場合(ステップS1001;No)、そのまま制御パケットを受信するまで待機する。
【0061】
一方、変復調制御部142は、無線通信端末100から制御パケットを受信したと判定した場合(ステップS1001;Yes)、受信した制御パケットが正常であることを確認し、無線通信端末100と、その無線中継端末200等との間の通信方式を第1の変復調方式で行うように決定する(ステップS1002)。
【0062】
そして、変復調制御部142は、制御パケット受信時の電波強度が電波強度テーブル123が記憶する閾値以上であるか否かを判定し(ステップS1003)、制御パケット受信時の電波強度が電波強度テーブル123が記憶する閾値以上でないと判定した場合(ステップS1003;No)、ステップS1008に進み、変復調方式を第2の変復調方式に設定する(ステップS1008)。この場合、無線中継端末200等は、制御パケットを無線キー端末500に送信せず、変復調方式を第2の変復調方式13に設定するので、無線中継端末200等と無線通信端末100とが高速伝送に特化した第1の変復調方式では電波の届き難い位置関係に移動した場合の通信断を防ぐ。
【0063】
一方、変復調制御部142は、制御パケット受信時の電波強度が電波強度テーブル123が記憶する閾値以上であると判定した場合(ステップS1003;Yes)、経路情報作成部143が作成した経路情報を確認し、無線キー端末500を自端末から送信する制御パケットの宛先として設定し(ステップS1004)、その宛先の無線キー端末500に制御パケットを送信する(ステップS1005)。
【0064】
そして、制御器140の変復調制御部142は、送信した無線キー端末500から制御パケットの応答を受信したか否かを判定し(ステップS1006)、無線キー端末500から制御パケットの応答を受信していないと判定した場合(ステップS1006;No)、タイマ145が計時する時間が、制御パケットを送信してから20msを経過しているか否かを判定する(ステップS1007)。
【0065】
そして、変復調制御部142は、タイマ145が計時する時間が、制御パケットを送信してから20msを経過していると判定した場合(ステップS1007;Yes)、変復調方式を第2の変復調方式に設定する(ステップS1008)。一方、変復調制御部142は、タイマ145が計時する時間が、制御パケットを送信してから20msを経過していないと判定した場合(ステップS1007;No)、ステップS1006に戻ってそのまま待機する。
【0066】
一方、ステップS1006において、制御器140の変復調制御部142は、無線キー端末500から制御パケットの応答を受信したと判定した場合(ステップS1006;Yes)、その応答とともに送信側変復調方式指定部に第1の変復調方式が指定された制御パケットを受信したか否かを判定する(ステップS1009)。
【0067】
そして、変復調制御部142は、送信側変復調方式指定部に第1の変復調方式が指定された制御パケットを受信していないと判定した場合(ステップS1009;No)、ステップS1008に進み、変復調方式を第2の変復調方式に設定する。一方、変復調制御部142は、送信側変復調方式指定部に第1の変復調方式が指定された制御パケットを受信したと判定した場合(ステップS1009;Yes)、その制御パケットを連続して所定の回数(例えば、8回)以上受信したか否かを判定する(ステップS1010)。
【0068】
変復調制御部142は、その制御パケットを8回以上受信していないと判定した場合(ステップS1010;No)、ステップS1008に進み、変復調方式を第2の変復調方式に設定する。一方、変復調制御部142は、その制御パケットを8回以上受信したと判定した場合(ステップS1010;Yes)、変復調方式を第1の変復調方式に設定する(ステップS1011)。そして、ステップS1008またはS1011の処理が終了すると、無線通信端末100に、自端末である無線中継端末200等が行う変復調方式と、無線通信端末100が設定すべき変復調方式とを含む応答用の制御パケットを送信する(ステップS1012)。このステップS1012の処理が終了すると、図10に示した全ての処理が終了する。
【0069】
このように、無線中継端末200等は、電波強度に応じた無線キー端末500への制御パケットの送信制御、およびその応答となる無線通信端末500から受信した制御パケットの解析およびそれに伴う変復調切替処理の完了後に、自端末の変復調方式と、無線通信端末100に対して指示する変復調方式をデータ部に含む図7に示したような構成をした制御パケットを無線通信端末100に送信する。例えば、無線中継端末200等は、第1の変復調方式が指定された図6に示した制御パケットを無線キー端末500から受信した場合には、第1の変復調方式を自端末変復調指定部に設定し、さらに無線通信端末100から受信した制御パケットが正常であった場合には、送信側変復調指定部に第1の変復調方式を設定した制御パケットを、無線通信端末100に対する応答用の制御パケットとして送信する。
【0070】
したがって、無線通信端末100は、無線中継端末200等から受信したその応答用の制御パケットに含まれるデータ部の変復調方式を確認することで、送信元である無線通信端末100から送信先である無線キー端末500までの無線中継端末200等を介した各端末間の変復調方式を把握し、その変復調方式に応じて一斉配信するデータの伝送レートを適応的に変更可能とすることができる。
【0071】
また、無線通信端末、無線中継端末、無線キー端末等の移動体無線通信端末を複数用いた環境下において、送信側の無線通信端末から複数の受信側無線通信端末へとデータを一斉送信する際に、送信側の無線通信端末におけるデータ送信先との伝送路の状況を推定し、送信側無線通信端末から特定の受信側無線通信端末までの経路上に中継を介す場合のデータ転送を行う各無線通信端末における転送データ受信時の電波強度の監視とデータ転送先との伝送路状況を推定し、データ一斉配信を行う無線通信端末とデータ転送を行う各無線通信端末が、適応的にデータ通信に用いる変復調方式を切替えるので、特定の受信側無線通信端末におけるデータの確達率を維持しつつ可能な限り高速な通信が可能となる。
【符号の説明】
【0072】
1000:無線通信システム、100:無線通信端末、200〜400:無線中継端末、500:無線キー端末、110:空中線、120:無線機、121:第1の変復調部、122:第2の変復調部、123:電波強度テーブル、140:制御器、141:制御部、142:変復調制御部、143:経路情報作成部、144:タイマ、145:記憶部、150:カメラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信元となる第1の端末と通信先となる第2の端末との間で無線通信を行う無線通信システムであって、
前記第1の端末と前記第2の端末とは、
前記第1の端末および前記第2の端末の位置情報に基づいて、前記第1の端末から前記第2の端末までの通信経路を示す経路情報を作成する経路情報作成部と、
高速伝送に特化した第1の変復調方式または長距離伝送に特化した第2の変復調方式のいずれかの変復調方式により無線通信を行う無線機と、
前記通信経路において前記第1の変復調方式と前記第2の変復調方式とのいずれの変復調方式によってデータを送信するかを定めるための制御パケットに基づいて前記通信経路の通信状況を推定し、前記通信状況に応じて前記第1の変復調方式または前記第2の変復調方式で前記無線機に無線通信させる変復調制御部と、を備え、
所定のタイミングで繰り返し、前記第1の端末が有する変復調制御部が、前記制御パケット生成して前記第2の端末に送信し、または前記第2の端末から応答用の制御パケットを受信して前記応答用の制御パケットに定められた変復調方式を前記第2の端末との間の無線通信方式に設定し、前記第2の端末が有する変復調制御部が、前記制御パケットを正常に受信できたか否かを判定することにより前記第1の変復調方式または前記第2の変復調方式で無線通信する旨を定めた応答用の制御パケットを前記第1の端末に送信し、前記応答用の制御パケットに定めた無線通信方式を前記第1の端末との間の無線通信方式に設定する、
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記制御パケットが正常に受信されたか否かは、前記第1の端末と前記第2の端末との間の電波強度に基づいて定められる、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記制御パケットは、前記データと同じサイズのデータを含み、
前記第2の端末が有する前記変復調制御部は、前記制御パケットに含まれる前記サイズが前記データと同じであるか否かを判定し、前記制御パケットに含まれる前記サイズが前記データと同じであると判定した場合には前記第1の変復調方式により無線通信させ、前記制御パケットに含まれる前記サイズが前記データと同じでないと判定した場合には前記第2の変復調方式により無線通信させる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記第1の端末が有する前記変復調制御部は、前記第2の端末から前記第1の変復調方式で無線通信する旨を定めた前記応答用の制御パケットを所定の回数以上連続して受信した場合にのみ、無線通信方式を前記第1の変復調方式に設定する、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記第1の端末と前記第2の端末との間の無線通信を中継し、前記経路情報作成部と前記無線機と前記変復調制御部とを備えた第3の端末をさらに備え、
前記第1の端末の変復調制御部は、前記第3の端末に前記制御パケットを送信し、または前記第3の端末から応答用の制御パケットを受信して前記応答用の制御パケットに定められた変復調方式を前記第3の端末との間の無線通信方式に設定し、
前記第3の端末の変復調制御部は、前記経路情報に基づいて前記第1の端末から受信した前記制御パケットの送信先を前記第2の端末として設定して前記制御パケットを送信し、前記第2の端末から受信した応答用の制御パケットに定められた変復調方式を前記第2の端末との間の無線通信方式に設定し、設定した前記第2の端末との間の無線通信方式と、前記第1の端末から受信した制御パケットを正常に受信できたか否かを判定することにより設定した前記第1の端末との間の無線通信方式とを前記制御パケットに設定し、前記第2の端末との間の無線通信方式および前記第1の端末との間の無線通信方式が設定された応答用の制御パケットを前記第1の端末に送信する、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記第3の端末を複数備え、
前記第1の端末の変復調制御部は、電波が届く範囲にある前記第3の端末を特定し、特定した前記第3の端末にのみ前記制御パケットを送信する、
ことを特徴とする請求項5に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記第3の端末のそれぞれは、互いの電波が届く範囲を一の段とした位置に配置され、それぞれの第3の端末において、互いに前記第2の端末との間の無線通信方式および前記第1の端末との間の無線通信方式が設定された応答用の制御パケットを送受信する、
ことを特徴とする請求項6に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記第3の端末の変復調制御部は、前記第1の端末から前記制御パケットを受信した際の電波強度が所定の閾値以上であるか否かを判定し、前記第1の端末から前記制御パケットを受信した際の電波強度が所定の閾値以上でないと判定した場合、前記制御パケットを前記第2の端末に送信することなく前記第2の端末との間の無線通信方式を第2の変復調方式に設定する、
ことを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−21540(P2013−21540A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153868(P2011−153868)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】